JPWO2013005388A1 - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

本発明のモータ制御装置は、非常停止指示部により非常停止されたことを移動指令生成部が検知して、移動指令生成部からサーボ制御部への移動指令の送出が停止したとき、偏差補正部で補正値を算出し、サーボ制御部を構成する位置制御部内の偏差カウンタ部の値をこの補正値に置き換えて制御を継続する。偏差補正部が出力する補正値は、位置制御部が出力する速度指令値で非常停止直前の値と位置ゲインの値とから算出する。偏差カウンタ部は、移動指令生成部の出力と、モータに関する情報を出力する処理部の出力との偏差を求める。

Description

本発明は、ロボット制御装置等のモータ制御装置を用いたシステムにおける非常停止時のモータの停止制御に関する。
ロボット制御装置等のモータ制御装置を使ったロボットシステムの一例について、図13を用いて説明する。なお、ロボットシステムは、モータ等により駆動されるマニピュレータと、マニピュレータを制御するためのロボット制御装置等から構成される。
図13は、従来のロボットシステムの概略構成を示す図である。図13に示すロボットシステムを構成するロボット制御装置100は、移動指令生成部101と、サーボ制御部60と、アンプ106と、を備えている。ここで、移動指令生成部101は、ユーザが作成する動作プログラムに基づいて軌道計画をして移動指令を生成する。サーボ制御部60は、移動指令生成部101が出力した移動指令を受けてモータ107を駆動制御する。アンプ106は、サーボ制御部60の出力に基づいてモータ107を制御する。
図13に示すように、サーボ制御部60は、位置制御部61と、速度制御部104と、電流制御部105と、処理部114と、を備えている。これら各制御部は、一定周期ごとに制御演算を行うデジタル制御系で構成される。
位置制御部61は、移動指令生成部101からの移動指令を受けて位置制御を行い、速度指令を生成する。速度制御部104は、位置制御部61からの速度指令を受けて速度制御を行い、電流指令を生成する。電流制御部105は、速度制御部104からの電流指令を受けて電流制御を行い、電圧指令を生成する。アンプ106は、電流制御部105からの電圧指令を受けてモータ107に与えるモータ電流を生成する。
移動指令生成部101からサーボ制御部60へ渡される移動指令は、所定の時間毎のモータ107の回転角の変化量の形をとる。位置制御部61は、偏差カウンタ部115を構成要素としている。位置制御部61では、位置制御周期毎に、移動指令を偏差カウンタ部115に加算し、一方で、処理部114の出力である実位置の位置制御周期毎のモータ107の実際の回転角の変化量を偏差カウンタ部115から減算する。なお、位置制御周期毎のモータ107の回転角の変化量は、モータ107に付随する位置検出器108が検出したモータ107の回転角に基づいて処理部114において算出されるものである。このように処理した偏差カウンタ部115の偏差カウンタ値に対し、位置ゲイン116の係数を乗じて速度指令とする。さらに、これに加えて、移動指令生成部101からの移動指令にフィードフォワード係数117の係数を乗じた値を速度指令の一部として加算するフィードフォワード制御を備えている。すなわち、位置ゲイン116の出力とフィードフォワード係数117の出力とを併せたものが、位置制御部61が出力する速度指令となる。
また、モータ107には、励磁制御を行わないときに外力で不用意に動いてしまうことを防ぐためのブレーキ109が備えられている。このブレーキ109は、通常は、保持されてブレーキがかかった状態であり、電流を通じることでブレーキが解除される。
また、ロボット制御装置100およびロボット制御装置100の外部のうちの少なくともいずれかには、モータ107の回転を速やかにかつ直接的に停止するための手段として、非常停止指示部112が設けられている。この非常停止指示部112が働いたとき、速やかにブレーキ109は保持される。すなわち、モータ107に対してブレーキ109がかかった状態となる。また、非常停止指示部112が働いたことにより、移動指令生成部101からの移動指令の送出は停止される。
具体的には、教示操作時に用いる教示装置に設けられたデッドマンスイッチ110や非常停止スイッチ111が、ブレーキ109の通電回路に連動している。これにより、デッドマンスイッチ110あるいは非常停止スイッチ111の回路が開くと、電源113からブレーキ109への通電が遮断され、モータ107は、ブレーキ109がかかった状態に保持される。なお、非常停止スイッチ111の例としては、教示装置に設けられたスイッチや、ロボット制御装置100に設けられたスイッチや、マニピュレータの周りに置かれた柵の開閉を検知するリミットスッチ等が挙げられる。また、移動指令生成部101は、例えば、ブレーキ109に印加される電圧を監視することにより、非常停止指示部112が動作したことを検知して、移動指令の送出を即時に停止する。以下、このような一連の動作を非常停止と呼ぶことにする。
ここで、マニピュレータを駆動するモータ107の回転中に、非常停止が行われた場合、直ちにモータ107を制御するサーボ制御を停止すると、モータ107が停止するまでの回転量が大きくなる場合がある。すなわち、マニピュレータの惰走距離が大きくなる場合がある。これは、ブレーキ109への通電が遮断されてからブレーキ109が利き始めるまでのタイムラグや、ブレーキトルクだけでは十分な制動トルクが得られないといったことに起因する。
そこで、非常停止が行われた場合、その後もしばらくの間サーボ制御を継続して行う。これにより、モータ107に減速トルクを発生させ、併せて、ブレーキ109も用いてモータ107を停止させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらには、非常停止時に、例えば、モータ107とマニピュレータのアームとを接続する減速機にかかる衝撃を緩和するため、もしくは、モータ107と減速機の接続部にかかる衝撃を緩和するため、ブレーキ109を、条件に応じて随時、保持したり解除したりするという方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
なお、非常停止時に、サーボ制御を継続してモータ107の減速トルクを発生させるための方法として、直接的に減速トルクを発生させる以外に、速度指令をゼロへと誘導するものがある。
例えば、偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量をゼロクリアして速度指令を直接的にゼロにするもの、あるいは、偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しながら速度指令を漸近的にゼロにしていくもの等である。
図14、図15は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
図14は、非常停止時に、図13に示す偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しながら速度指令をゼロへと誘導する場合の例を示している。すなわち、図14は、フィードフォワード制御を行う場合の、移動指令と、位置偏差量と、速度指令と、速度指令の微分値の時間的な変化の挙動を示したものである。
非常停止後は、図13の移動指令生成部101からの移動指令の送出が停止し、フィードフォワード項がゼロになる。従って、図14に示すように、非常停止直後の速度指令は、不連続に変化している。なお、この速度指令が不連続に変化している部分におけるその時間微分値(速度指令の加速度)は、理屈上、無限大である。
また、図15は、非常停止時に、図13に示す偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しないで速度指令をゼロへと誘導する場合の例を示している。すなわち、図15は、フィードフォワード制御を行わない場合の、移動指令と、位置偏差量と、速度指令およびその速度指令の微分値の時間的な変化の挙動を示したものである。
フィードフォワード制御を行わない場合、非常停止直後の速度指令は、図15に示すように、不連続になることはない。しかし、図15に示すように、速度指令の微分値は、非常停止直後に瞬間的に大きな値となる。
なお、図14、図15ともに、速度制御系と電流制御系の応答性は、位置制御系の応答性に比べて十分に高いものとし、位置制御系を時定数が1/Kpである1次遅れ系とした場合を示している。
ここで、モータ出力トルクとブレーキトルクを合わせたトルクを総合出力トルクと呼ぶことにすると、非常停止時の減速は、総合出力トルクでなされるということになる。このとき、モータ107によって駆動される被駆動部の慣性が、モータ107の慣性に比べて十分大きい場合、総合出力トルクの大部分が、モータ107と被駆動部とを接続する機構部(例えば、減速機等)にかかる。
この総合出力トルクが、機構部の設計強度よりも小さければ、問題はない。しかし、そうでない場合、機構部にダメージを与えることになる。
機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合出力トルクを許容最大総合出力トルクと呼ぶことにする。そして、この許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度を、限界加速度と呼ぶことにする。速度指令の時間微分値が限界加速度を超えている場合、結果として、機構部に許容最大総合トルクを超えるトルクがかかることになる。これは、非常停止による減速においても、速度制御により、モータ107の速度が速度指令通りとなるように制御されるからである。
上述したように、非常停止時に、機構部にダメージを与えないようにするためには、減速時の速度指令の微分値を限界加速度より小さく保つ必要がある。しかるに、上述した従来の方法では、そのようなことは考慮されておらず、非常停止時の速度指令の微分値は、必ずしも限界加速度より小さいとは限らない。
例えば、図14に示されるような場合、非常停止直後の速度指令の微分値が限界加速度を超えることは明らかである。また、図15に示されるような場合でも、非常停止直後の速度指令の微分値が限界加速度よりも小さいという保証はない。
すなわち、非常停止時の速度指令の減速のさせ方において、従来の方法では、機構部にダメージを与える可能性があるという課題があった。
特開平4−152091号公報 特開2007−104869号公報
本発明は、上記問題を解決するために、機構部にダメージを与えないように非常停止を行うモータ制御装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明のモータ制御装置は、機械の可動部の相対移動を行いブレーキにより停止されるモータの制御を行うモータ制御装置であって、移動指令生成部と、サーボ制御部とを備えている。ここで、移動指令生成部は、モータの移動指令を出力する。サーボ制御部は、上記移動指令生成部の出力に基づいて上記モータを制御するための指令を出力する。上記サーボ制御部は、位置制御部と、速度制御部と、電流制御部と、処理部とを備えている。ここで、位置制御部は、上記移動指令生成部の出力に基づいて速度指令を出力する。速度制御部は、上記位置制御部の出力に基づいて電流指令を出力する。処理部は、上記モータの回転位置を検出する位置検出器の出力に基づいて上記モータの回転角の変化量を出力する。上記位置制御部は、偏差カウンタ部と、第1の係数部と、第2の係数部と、加算部と、偏差補正部と、を備えている。ここで、偏差カウンタ部は、上記移動指令生成部の出力と上記処理部の出力との偏差を求めて出力する。第1の係数部は、上記移動指令生成部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。第2の係数部は、上記偏差カウンタ部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。加算部は、上記第1の係数部の出力と上記第2の係数部の出力を加算して上記速度制御部に出力する。上記モータ制御装置および上記モータ制御装置の外部のうちの少なくともいずれかに設けられた非常停止指示部により上記モータの非常停止が指示されると、偏差補正部は、非常停止直前の速度指令である非常停止直前の位置制御周期で上記位置制御部が出力した速度指令値と上記第2の係数部の所定の係数とに基づいて偏差補正値を求める。一方、上記非常停止指示部により非常停止が指示されると、偏差補正部は、上記移動指令生成部による移動指令の出力を停止し、上記偏差カウンタ部の偏差を上記偏差補正部で求めた偏差補正値に置き換えて上記位置制御部による制御を行う構成からなる。
この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
図1は、本発明の実施の形態1におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態2におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態3におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態3におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図7は、本発明の実施の形態3における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態4におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態4におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図10は、本発明の実施の形態5におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図11は、本発明の実施の形態5におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図12は、本発明の実施の形態5における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図13は、従来のロボットシステムの概略構成を示す図である。 図14は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図15は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態1のモータ制御装置について、図1と図2を用いて説明する。なお、背景技術で説明した図13と同様の箇所については、詳細な説明は省略する。なお、図1において、図13と異なる主な点は、位置制御部3内に偏差補正部18と判定部19を設けた点である。
図1は、本発明の実施の形態1におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。なお、ロボットシステムは、モータ7等により駆動されるマニピュレータと、マニピュレータを制御するためのロボット制御装置と、モータ7を停止させるための非常停止指示部12等から構成される。
また、マニピュレータは、モータ7により駆動されるものであり、モータ7には、位置検出器8やブレーキ9が設けられている。また、モータ制御装置であるロボット制御装置は、移動指令生成部1や、サーボ制御部2や、アンプ6を備えている。また、非常停止指示部12は、ロボット制御装置に設けても良いし、ロボット制御装置の外部に設けても良いし、ロボット制御装置とロボット制御装置の外部の両方に設けても良い。
移動指令生成部1は、ユーザが作成する動作プログラムに基づいて軌道計画をし、所定の時間毎のモータ7の回転角の変化量を移動指令として生成し、サーボ制御部2へ渡す。
サーボ制御部2は、位置制御部3と、速度制御部4と、電流制御部5と、処理部14とを備えている。位置制御部3および処理部14は、位置制御周期毎に制御演算処理を行う。速度制御部4と電流制御部5は、それぞれ所定の周期毎に制御演算処理を行う。
位置制御部3は、移動指令生成部1からの移動指令を受けて位置制御を行い、速度指令を生成する。速度制御部4は、位置制御部3からの速度指令を受けて速度制御を行い、電流指令を生成する。電流制御部5は、速度制御部4からの電流指令を受けて電流制御を行い、電圧指令を生成する。アンプ6は、電流制御部5からの電圧指令を受けてモータ7へ与える電流を生成する。
モータ7には、位置検出器8が接続されており、モータ7の回転角が検出されるようになっている。処理部14は、位置検出器8から得たモータ7の回転角の位置制御周期当りの変化量を算出し、これを実位置の変化量として出力するものである。
位置制御部3内の偏差カウンタ部15は、位置制御周期毎に、移動指令生成部1からの移動指令を偏差カウンタ部15が保持している値に加算し、一方で、処理部14からの実位置の変化量を偏差カウンタ部15が保持している値から減算する。そして、このように処理した偏差カウンタ部15の出力に第2の係数部16の位置ゲインの値Kpを乗じたものと、移動指令生成部1からの移動指令に第1の係数部17のフィードフォワード係数の値Kfを乗じたものとを加算部23で加算し、この和を速度指令として出力する。
また、モータ7には、モータ7を停止する機能を有するブレーキ9が接続されている。このブレーキ9は、ブレーキ9に通電することでブレーキが解除されるようになっている。なお、ブレーキ9に通電しない場合には、ブレーキがかかった状態となる。
電源13からブレーキ9への通電は、非常停止指示部12を構成するデッドマンスイッチ10および非常停止スイッチ11を介して行われるようになっている。すなわち、デッドマンスイッチ10もしくは非常停止スイッチ11の回路が開いた状態になると、電源13からブレーキ9への通電が遮断され、ブレーキが保持された状態、すなわち、ブレーキがかかった状態となる。
また、ブレーキ9への通電が遮断されたことは、移動指令生成部1で検知されるようになっている。なお、移動指令生成部1は、例えば、ブレーキ9に印加される電圧を監視することで、ブレーキ9への通電が遮断されたことを検知する。移動指令生成部1は、ブレーキ9への通電が遮断されたことを検知した場合、即座に移動指令の送出を停止する。
なお、以下の説明において、非常停止とは、デッドマンスイッチ10もしくは非常停止スイッチ11の回路が開いてブレーキ9が保持され、移動指令生成部1からの移動指令の送出が停止されることを指すものとする。
ここで、サーボ制御部2は、非常停止されたことを次のようにして検知する。サーボ制御部2内には、判定部19が設けられている。この判定部19は、移動指令生成部1から位置制御部3に入力される移動指令を監視し、位置制御周期毎に定期的に送られてくる移動指令が中断された場合、非常停止されたと判断する。判定部19は、適宜、サーボ制御部2内の非常停止情報を必要とする偏差補正部18に、非常停止されたことを通知する。なお、移動指令生成部1からサーボ制御部2内の判定部19へ、直接的に非常停止したことを通知して非常停止されたことを判断するようにしてもよい。
偏差補正部18は、判定部19から非常停止が行われたことを検知した旨の信号を受け取った場合、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部3が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、下記(数1)により置換量Δθcを求める。なお、置換量Δθcは、後述するように、非常停止の前後で速度指令が不連続とならず連続となるようにするために用いられる値である。
Figure 2013005388
そして、偏差カウンタ部15の値を、この置換量Δθcで置き換える。
これらの操作は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期で1回だけ行う。そして、それ以後もサーボ制御処理は継続して行う。
すなわち、偏差カウンタ部15の偏差の偏差補正部18で求めた偏差補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力との偏差に基づいて制御を行う構成としてもよい。この構成により、移動指令生成部1からの移動指令が停止された状態でも、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力に基づいてサーボ制御処理が継続して行われる。これにより、偏差カウンタ部15の値が消化されてゼロとなり、すなわち、速度指令がゼロとなり、モータ7が完全に停止することとなる。
次に、図2に、図1の構成を用いたモータ制御装置の非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図2は、それぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)、速度指令の微分値Vcmd’(t)の時間的な変化を示している。なお、速度指令の微分値Vcmd’(t)では、図を見やすくするため、符号を反転して記載している。図2の移動指令の時間的な変化は、非常停止したことにより移動指令の送出が停止したことを示している。なお、図2に示すように、位置偏差量Δθ(t)は、偏差カウンタ部15に保持される偏差カウンタ部値のことであり、Δθrは非常停止直前の偏差カウンタ部の値である。また、図2の速度指令の時間的な変化において、点線で表している直線および曲線は、参考として示す従来の方法の場合の速度指令の挙動を示しており、Kf・Waはフィードフォワード項に当たる。
図2の速度指令Vcmd(t)の時間的な変化に関し、従来の場合は、点線の曲線で示すように、移動指令の送出が停止した直後に不連続に変化するのに対して、偏差カウンタ値を(数1)で算出した置換量Δθcに置き換える。これにより、以下で説明するように、非常停止の直前と直後で速度指令を同じ値とすることができ、速度指令が連続的につながるようになる。
以下、詳細について説明する。
速度制御部4によって制御される速度制御系および電流制御部5によって制御される電流制御系の応答が、一般的に知られているように、位置制御部3によって制御される位置制御系の応答に比べて十分に高いものであるとする。そうすると、位置制御系は、1/Kpを時定数とする1次遅れ系と見なすことができる。よって、移動指令停止時点での時間をt=0として、位置偏差量の時間関数をΔθ(t)とすれば、移動指令停止以後の位置偏差量Δθ(t)は、下記(数2)のようになる。
Figure 2013005388
また、移動指令停止後の速度指令Vcmd(t)は、フィードフォワード項が0であるので、(数3)のようになる。
Figure 2013005388
t=0における速度指令Vcmd(0)は、上記(数3)、上記(数1)より、
Figure 2013005388
(数3)はt≧0において連続であること、および(数4)より、t=0において速度指令Vcmd(t)は連続である。
また、速度指令Vcmd(t)の時間微分値Vcmd’(t)は、下記(数5)のようになる。
Figure 2013005388
(数5)より、非常停止直後のVcmd’(t)の絶対値は、t=0において最大の値をとり(数6)となる。
Figure 2013005388
上記(数6)で算出される値が限界加速度を超えていなければ、モータの総合出力トルクは、許容最大総合出力トルク以下となり、機構部にダメージを与えることはない。
なお、総合出力トルクとは、モータ出力トルクとブレーキトルクを合わせたトルクのことであり、モータ7を停止するためのトルクのことである。また、許容最大総合出力トルクとは、機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクのことである。また、限界加速度とは、この許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度のことである。
以上のように、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換えることにより、非常停止時にも、速度指令を不連続とせず、連続とすることができる。
これにより、非常停止時に機構部へ過大なトルクがかかるのを防止することができ、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
すなわち、本発明のモータ制御装置は、機械の可動部の相対移動を行いブレーキ9により停止されるモータ7の制御を行うモータ制御装置であって、移動指令生成部1と、サーボ制御部2とを備えている。ここで、移動指令生成部1は、モータ7の移動指令を出力する。サーボ制御部2は、移動指令生成部1の出力に基づいてモータ7を制御するための指令を出力する。サーボ制御部2は、位置制御部3と、速度制御部4と、電流制御部5と、処理部14とを備えている。ここで、位置制御部3は、移動指令生成部1の出力に基づいて速度指令を出力する。速度制御部4は、位置制御部3の出力に基づいて電流指令を出力する。処理部14は、モータ7の回転位置を検出する位置検出器8の出力に基づいてモータ7の回転角の変化量を出力する。位置制御部3は、偏差カウンタ部15と、第1の係数部17と、第2の係数部16と、加算部23と、偏差補正部18と、を備えている。ここで、偏差カウンタ部15は、移動指令生成部1の出力と処理部14の出力との偏差を求めて出力する。第1の係数部17は、移動指令生成部1の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。第2の係数部16は、偏差カウンタ部15の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。加算部23は、第1の係数部17の出力と第2の係数部16の出力を加算して速度制御部4に出力する。モータ制御装置およびこのモータ制御装置の外部のうちの少なくともいずれかに設けられた非常停止指示部12によりモータ7の非常停止が指示されると、偏差補正部18は、非常停止直前の速度指令である非常停止直前の位置制御周期で位置制御部3が出力した速度指令値と第2の係数部16の所定の係数とに基づいて偏差補正値を求める。一方、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、偏差補正部18は、移動指令生成部1による移動指令の出力を停止し、偏差カウンタ部15の偏差を偏差補正部18で求めた偏差補正値に置き換えて位置制御部3による制御を行う構成からなる。
この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2のモータ制御装置について、図3と図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図4は、本発明の実施の形態2における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
実施の形態1で示したモータ制御装置の構成により、非常停止時も、速度指令が不連続になることを防止し、速度指令の微分値を下げることができる。しかし、例えば、第2の係数部16の位置ゲインの値Kpが大きい場合、限界加速度を超える場合がある。そこで、これに対応するための別の例として、実施の形態2のモータ制御装置について説明する。
本実施の形態2のロボットシステムの概略構成が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、係数補正部22を加えた点である。
係数補正部22は、後述のように値Kpcを求め、第2の係数部16の位置ゲインの値Kpを値Kpcに置き換える処理を行うものである。
判定部19により非常停止であることが検知された場合、係数補正部22は、値Kpcを次のようにして求める。すなわち、限界加速度の値をAc(>0)とし、非常停止の直前の位置制御部21が出力する速度指令値をVaとして、下記(数7)で演算して求める。
Figure 2013005388
そして、第2の係数部16の位置ゲインの値をこのKpcに置き換える。
すなわち、本実施の形態2のモータ制御装置は、係数の補正値を求める係数補正部22を備え、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、第2の係数部16の所定の係数を係数補正部22で求めた係数補正値に置き換えて位置制御部21による制御を行う構成としてもよい。ここで、係数補正部22は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、非常停止が指示される直前の位置制御部21が出力する速度指令値とに基づいて、係数の補正値を求めている。この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
次に、偏差補正部18において、この位置ゲインの値Kpcと速度指令値Vaとから、置換量Δθcを下記(数8)により求める。
Figure 2013005388
そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcに置き換える。
なお、係数補正部22および偏差補正部18によるこれらの操作は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期で1回だけ行う。そして、サーボ制御部20は、それ以後も置き換えた係数補正値を用いて制御を行う。これにより、サーボ制御処理は継続して行われる。
すなわち、本実施の形態2のモータ制御装置において、第2の係数部16の所定の係数の係数補正部22で求めた係数補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、置き換えた係数補正値を用いて制御を行う構成としてもよい。この構成により、移動指令生成部1からの移動指令が停止された状態でも、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力に基づいてサーボ制御処理が継続して行われる。これにより、偏差カウンタ部15の値が消化されてゼロとなり、すなわち、速度指令がゼロとなり、モータ7が完全に停止することとなる。
係数補正部22および偏差補正部18により、これらの操作を行ったときの、非常停止直後の速度指令の微分値は、上記(数6)と(数7)より、
|Vcmd’(0)|=|Kpc・Va|=Ac
となる。
なお、限界加速度Acの値は、機構部の強度に合わせて予め決めておいた値とする。
次に、図4に、図3のモータ制御装置の構成を用いたときの、非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図4の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図4は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
図4には、図3に示す係数補正部22により位置ゲインの値がKpからKpcへと変更されても、速度指令Vcmd(t)は、連続的につながることが示されている。
また、図4には、位置ゲインの値を上記(数7)のようにして決めることで、速度指令の微分値は、限界加速度以下に抑えられることが示されている。
以上のように、非常停止時に、偏差カウンタ部15の値および第2の係数部16の位置ゲインの値を置き換えることにより、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、限界加速度以下とすることができる。これにより、機構部の強度に合わせた、非常停止時の速度指令減速を行うことができ、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3のモータ制御装置について、図5から図7を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態3におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図6は、発明の実施の形態3におけるサーボ制御部30の処理フローを示す図である。図7は、本発明の実施の形態3における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
本実施の形態3のモータ制御装置が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、偏差更新部32を加えた点である。なお、偏差更新部32は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15の値を補正する部分である。
判定部19により非常停止が検知された場合、まず、偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部31が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で示した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcに置き換える。なお、これらの操作は、非常停止後に1回だけ行う。
次に、詳細は後述するが、偏差更新部32により、偏差カウンタ部15の値を位置制御周期毎に補正していく。なお、偏差更新部32の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。
偏差更新部32による補正を含む詳細な処理について、図6を用いて説明する。
なお、図6に示すステップS1とステップS2は、非常停止を検知して以後に一度だけ行い、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18における処理である。
ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値をVa、限界加速度をAc、位置制御周期をTpとして、下記(数9)により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合を一定にするための制限量Dを求める。
Figure 2013005388
ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
ステップ3において、非常停止を指示してから所定時間が経過していなければ、ステップS4、さらにステップS5へと進む。なお、非常停止を指示してから所定時間が経過した場合については後述する。
ステップS4およびステップS5は、実施の形態1において図1を用いて説明した位置制御演算に相当する。すなわち、ステップS4では、位置制御周期当りの実位置変化量を求め、ステップS5では、偏差カウンタ部15から実位置変化量を差し引いて偏差カウンタ部15の値を更新する。
なお、以下では、実位置変化量を差し引く前の偏差カウンタ部15の位置偏差カウント値を、「前回偏差」といい、実位置変化量を差し引いた後の位置偏差カウンタ値を「今回偏差」ということにする。
ステップS7において、ステップS2で求めた制限量Dを前回偏差から差し引いた値の絶対値と、ステップS5で求めた今回偏差の絶対値との比較をする。そして、前者の方が大きければ、ステップS8において、今回偏差を、前回偏差から制限量Dを差し引いた値で置き換える。
ステップS11において、上記のように補正した今回偏差に、位置ゲインの値Kpを乗じて、速度指令とする。
さらに、この速度指令に基づいて、ステップS12として、速度制御部4による速度制御と、電流制御部5による電流制御を行う。なお、速度制御と電流制御は、位置制御周期当りに1回とは限らず、複数回行われることもある。
また、ステップS13のように、今回偏差は、次の位置制御周期における前回偏差となる。
なお、ステップS3に示すように、非常停止から所定時間が経過した場合は、サーボ制御を停止するようにしている。しかし、サーボ制御を停止せず、継続するようにしてもかまわない。その場合は、偏差カウンタ部が0になるように位置制御がなされる。
次に、図7に、図5のモータ制御装置の構成を用いたときの、非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図7の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図7は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
図7に示す位置偏差量Δθ(t)は、実速度(実位置の変化量)の大きさに応じた割合で減少していこうとする。しかし、ステップS5からステップS11までの処理により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合には制限がかかる。結果として、位置偏差量Δθ(t)は、1次関数の形で減少していく。よって、図7に示す速度指令Vcmd(t)も1次関数の形で減少していき、その微分値は一定値となる。
具体的には、非常停止後の位置偏差量Δθ(t)と、速度指令値Vcmd(t)と、速度指令の微分値Vcmd’(t)は、それぞれ、下記(数10)、(数11)、(数12)のようになる。
Figure 2013005388
Figure 2013005388
Figure 2013005388
さらに、(数12)と(数1)、(数9)より、下記(数13)を得る。
Figure 2013005388
なお、速度指令が低下していって、|Tp・Vcmd(t)|≦|制限量D|となる区間(t≧t1)では、位置偏差量Δθ(t)は、その減少に制限がかからなくなり、図2または図4で示したものと同じ指数関数の形となる。よって、速度指令Vcmd(t)も同様の形となり、また、その微分値も限界加速度Acよりも小さい値となる。
すなわち、本実施の形態3のモータ制御装置は、非常停止指示部12により非常停止が指示されて偏差カウンタ部15の偏差を偏差補正部18で求めた偏差補正値に置き換えた後に、偏差カウンタ部15の値を位置制御周期毎に補正する偏差更新部32を備えている。そして、偏差更新部32は、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正値と、前回偏差と、に基づいて、今回偏差を求め、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15の偏差を求めた今回偏差に置き換えて制御を行う構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。偏差補正値は、偏差補正部18で求められる。前回偏差は、処理部14の出力である実位置変化量を差し引く前の偏差カウンタ部15の値である。今回偏差は、位置制御周期毎に実位置変化量を差し引いた後の偏差カウンタ部15の値として求められる。
この構成により、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15の値を補正しながら位置制御を行うことで、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、不必要に減速距離を伸ばすことなく減速停止させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4のモータ制御装置について、図8と図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態4におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図9は、本発明の実施の形態4におけるサーボ制御部40の処理フローを示す図である。
本実施の形態4のロボットシステムの概略構成が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、第1の位置補正部42を加えた点である。なお、第1の位置補正部42は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量を補正する部分である。
判定部19により非常停止が検知されたら、まず偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部41が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で説明した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値を、この置換量Δθcで置き換える。なお、これらの操作は非常停止後に1回だけ行う。
次に、詳細は後述するが、第1の位置補正部42において、偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量の値を位置制御周期毎に補正していく。なお、第1の位置補正部42の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。
第1の位置補正部42による補正を含む詳細な処理について、図9を用いて説明する。なお、図9に示すように、実施の形態3で用いた図6と同じ処理を行うステップについては、図6と同じ符号を付している。また、図9に示すステップS1とステップS2は、非常停止を検知して以後に一度だけ行い、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18における処理である。ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値Vaと、限界加速度Acと、位置制御周期Tpとを用いて、実施の形態3で示した(数9)により制限量Dを求める。ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
ステップS3において、非常停止してから所定時間が経過していなければ、ステップS4以降へと進む。ステップS4において、位置制御周期当りの実位置変化量を求める。この後は、図9に示すようにステップS20に進む。なお、非常停止してから所定時間が経過した場合については後述する。
次に、ステップS20において、ステップS4で求めた実位置変化量を位置フィードバック量とする。なお、位置フィードバック量は、図9のステップS20では、位置FB量と記載している。
ステップS21において、位置フィードバック量の絶対値と制限量Dの絶対値との比較を行い、位置フィードバック量の絶対値の方が大きければ、ステップS23において、位置フィードバック量を制限量Dで置き換える。
なお、ステップS21における判定で、位置フィードバック量の絶対値の大きさが制限量Dの絶対値より大きくない場合、位置フィードバック量の置き換えは行わない。
ステップS25において、上記のようにして求めた位置フィードバック量を、前回偏差から差し引いた値を、今回偏差とする。ここで、今回偏差、前回偏差の意味は、実施の形態3で説明したものと同じである。
次に、ステップS11において、今回偏差に位置ゲインの値Kpを乗じて速度指令を算出する。そして、ステップS12において速度制御および電流制御を行う。さらに、ステップS13において、今回偏差を次回の前回偏差として記憶し、ステップS3へと戻る。
なお、図8の構成を用いたときの非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動は、実施の形態3で説明した図7と同じになるので、説明は省略する。
本実施の形態4のモータ制御装置は、位置制御周期毎に処理部14の出力を補正して偏差カウンタ部15に出力する第1の位置補正部42を備えている。この第1の位置補正部42は、処理部14で求めた実位置変化量と、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正部18で求めた偏差補正値に基づいて、偏差カウンタ部15に出力する位置フィードバック量を求める構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。
この構成により、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15への位置フィードバック量を補正しながら位置制御を行う。そうすると、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、不必要に減速距離を伸ばすことなく減速停止させることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態5のモータ制御装置について、図10から図12を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態5におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図11は、本発明の実施の形態5におけるサーボ制御部50の処理フローを示す図である。図12は、本発明の実施の形態5における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
本実施の形態5のモータ制御装置が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、第2の位置補正部52を加えた点である。なお、この第2の位置補正部52は、図8を用いて実施の形態4で説明した第1の位置補正部42とは異なるものである。
第2の位置補正部52は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量を補正する部分である。第2の位置補正部52は、位置制御周期毎に実位置変化量を積算していったものを位置積算量として保持する。そして、第2の位置補正部52は、速度指令がゼロになるまで、偏差カウンタ部15の減少の割合を一定にするために、位置積算量の中から位置制御周期毎に一定量を取り出して位置フィードバックとして出力する。
本実施の形態5のモータ制御装置において、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、実位置変化量の積算量をゼロにした後に実位置変化量の積算を行い、実位置変化量の積算量をゼロにする処理は、前記非常停止がされたことを検知して以後一度だけ行われる構成としてもよい。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、必要かつ最短の減速距離で減速停止させることができる。
判定部19により非常停止が検知された場合、まず、偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部51が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で説明した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcで置き換える。なお、これらの操作は非常停止後に1回だけ行う。
次に、第2の位置補正部52で、位置制御周期毎に処理部14から入力した実位置変化量を補正処理して位置フィードバック量を算出する。そして、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15からこの位置フィードバック量を差し引く。なお、第2の位置補正部52の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。また、第2の位置補正部52内の位置積算量は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期に1回だけゼロクリアされる。
第2の位置補正部52による補正方法を含む詳細な処理のフローを、図11に示す。なお、図11において、実施の形態3で説明した図6や、実施の形態4で説明した図9と同じ処理を行うステップについては、図6や図9で用いたものと同じ符号を付している。なお、図11におけるステップS1、ステップS2およびステップS30の処理は、非常停止を検知して以後に一度だけ行う。そして、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18の処理である。ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値Vaと、限界加速度Acと、位置制御周期Tpを用いて、実施の形態3で示した(数9)により制限量Dを求める。ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
図10に示す第2の位置補正部52には、位置積算量が含まれ、ステップS30ではこれをゼロクリアする。ステップS3において、非常停止してから所定時間が経過していなければ、ステップS4以降へと進み、ステップS4で位置制御周期当りの実位置変化量を求める。
次に、ステップS31において、ステップS4で求めた実位置変化量を、位置積算量に加算する。ステップS32において、ステップS31で求めた位置積算量の絶対値とステップS2で求めた制限量Dの絶対値との比較を行う。位置積算量の絶対値の方が大きければ、ステップS23において、位置フィードバック量を制限量Dで置き換える。
ステップS32における判定で、位置積算量の絶対値の大きさが制限量Dの絶対値より大きくない場合は、ステップS34において、位置フィードバック量は位置積算量とする。
このようにして位置フィードバック量(図11では、「位置FB量」とする)を求め、ステップS35において、位置積算量から位置フィードバック量を差し引いて、次回の位置積算量とする。また、ステップS25において、前回偏差から位置フィードバック量を差し引いて今回偏差を求める。
次に、ステップS11において、今回偏差に位置ゲインの値Kpを乗じて速度指令を算出する。そして、ステップS12において、速度制御および電流制御を行い、ステップS13において、今回偏差を次回の前回偏差として記憶し、ステップS3へと戻る。
次に、図12に、図10のモータ制御装置の構成を用いたときの非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図12の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図12は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
位置偏差量Δθ(t)は、実速度(実位置の変化量)の大きさに応じた割合で減少していこうとする。しかし、ステップS31からステップS35までの処理により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合には制限がかかる。結果として位置偏差量Δθ(t)は1次関数の形で減少していく。よって、速度指令Vcmd(t)も1次関数の形で減少していき、その微分値は一定値となる。
具体的には、非常停止後の全区間にわたって、実施の形態3で示した(数10)から(数13)までの式で示される形となる。
なお、速度が低下していって、|Tp・Vcmd(t)|≦制限量Dとなって以後も、|位置積算量|>制限量Dであるので、位置偏差量がゼロになる直前までは、(数10)から(数13)までの式で表される状態が保たれる。
すなわち、位置偏差量がゼロになる直前までの全域にわたって、速度指令の微分値は一定であり、限界加速度Acに保たれる。
すなわち、本実施の形態5のモータ制御装置は、位置制御周期毎に処理部14の出力を補正して偏差カウンタ部15に出力する第2の位置補正部52を備えている。そして、第2の位置補正部52は、処理部14で求めた実位置変化量を位置制御周期毎に積算した積算量と、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正部18で求めた偏差補正値に基づいて、偏差カウンタ部15に出力する位置フィードバック量を求める構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。
この構成により、非常停止時に、偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15への位置フィードバック量を一定に保ちながら、位置制御を行う。そうすると、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、最短の減速距離で減速停止させることができる。
本発明のモータ制御装置は、非常停止時の減速で機構部に過大なトルクがかかるのを防止することができ、機構部へのダメージを回避できるので非常停止を行うシステム等に用いるモータ制御装置として産業上有用である。
1 移動指令生成部
2,20,30,40,50 サーボ制御部
3,21,31,41,51 位置制御部
4 速度制御部
5 電流制御部
6 アンプ
7 モータ
8 位置検出器
9 ブレーキ
10 デッドマンスイッチ
11 非常停止スイッチ
12 非常停止指示部
13 電源
14 処理部
15 偏差カウンタ部
16 第2の係数部
17 第1の係数部
18 偏差補正部
19 判定部
22 係数補正部
23 加算部
32 偏差更新部
42 第1の位置補正部
52 第2の位置補正部
本発明は、ロボット制御装置等のモータ制御装置を用いたシステムにおける非常停止時のモータの停止制御に関する。
ロボット制御装置等のモータ制御装置を使ったロボットシステムの一例について、図13を用いて説明する。なお、ロボットシステムは、モータ等により駆動されるマニピュレータと、マニピュレータを制御するためのロボット制御装置等から構成される。
図13は、従来のロボットシステムの概略構成を示す図である。図13に示すロボットシステムを構成するロボット制御装置100は、移動指令生成部101と、サーボ制御部60と、アンプ106と、を備えている。ここで、移動指令生成部101は、ユーザが作成する動作プログラムに基づいて軌道計画をして移動指令を生成する。サーボ制御部60は、移動指令生成部101が出力した移動指令を受けてモータ107を駆動制御する。アンプ106は、サーボ制御部60の出力に基づいてモータ107を制御する。
図13に示すように、サーボ制御部60は、位置制御部61と、速度制御部104と、電流制御部105と、処理部114と、を備えている。これら各制御部は、一定周期ごとに制御演算を行うデジタル制御系で構成される。
位置制御部61は、移動指令生成部101からの移動指令を受けて位置制御を行い、速度指令を生成する。速度制御部104は、位置制御部61からの速度指令を受けて速度制御を行い、電流指令を生成する。電流制御部105は、速度制御部104からの電流指令を受けて電流制御を行い、電圧指令を生成する。アンプ106は、電流制御部105からの電圧指令を受けてモータ107に与えるモータ電流を生成する。
移動指令生成部101からサーボ制御部60へ渡される移動指令は、所定の時間毎のモータ107の回転角の変化量の形をとる。位置制御部61は、偏差カウンタ部115を構成要素としている。位置制御部61では、位置制御周期毎に、移動指令を偏差カウンタ部115に加算し、一方で、処理部114の出力である実位置の位置制御周期毎のモータ107の実際の回転角の変化量を偏差カウンタ部115から減算する。なお、位置制御周期毎のモータ107の回転角の変化量は、モータ107に付随する位置検出器108が検出したモータ107の回転角に基づいて処理部114において算出されるものである。このように処理した偏差カウンタ部115の偏差カウンタ値に対し、位置ゲイン116の係数を乗じて速度指令とする。さらに、これに加えて、移動指令生成部101からの移動指令にフィードフォワード係数117の係数を乗じた値を速度指令の一部として加算するフィードフォワード制御を備えている。すなわち、位置ゲイン116の出力とフィードフォワード係数117の出力とを併せたものが、位置制御部61が出力する速度指令となる。
また、モータ107には、励磁制御を行わないときに外力で不用意に動いてしまうことを防ぐためのブレーキ109が備えられている。このブレーキ109は、通常は、保持されてブレーキがかかった状態であり、電流を通じることでブレーキが解除される。
また、ロボット制御装置100およびロボット制御装置100の外部のうちの少なくともいずれかには、モータ107の回転を速やかにかつ直接的に停止するための手段として、非常停止指示部112が設けられている。この非常停止指示部112が働いたとき、速やかにブレーキ109は保持される。すなわち、モータ107に対してブレーキ109がかかった状態となる。また、非常停止指示部112が働いたことにより、移動指令生成部101からの移動指令の送出は停止される。
具体的には、教示操作時に用いる教示装置に設けられたデッドマンスイッチ110や非常停止スイッチ111が、ブレーキ109の通電回路に連動している。これにより、デッドマンスイッチ110あるいは非常停止スイッチ111の回路が開くと、電源113からブレーキ109への通電が遮断され、モータ107は、ブレーキ109がかかった状態に保持される。なお、非常停止スイッチ111の例としては、教示装置に設けられたスイッチや、ロボット制御装置100に設けられたスイッチや、マニピュレータの周りに置かれた柵の開閉を検知するリミットスッチ等が挙げられる。また、移動指令生成部101は、例えば、ブレーキ109に印加される電圧を監視することにより、非常停止指示部112が動作したことを検知して、移動指令の送出を即時に停止する。以下、このような一連の動作を非常停止と呼ぶことにする。
ここで、マニピュレータを駆動するモータ107の回転中に、非常停止が行われた場合、直ちにモータ107を制御するサーボ制御を停止すると、モータ107が停止するまでの回転量が大きくなる場合がある。すなわち、マニピュレータの惰走距離が大きくなる場合がある。これは、ブレーキ109への通電が遮断されてからブレーキ109が利き始めるまでのタイムラグや、ブレーキトルクだけでは十分な制動トルクが得られないといったことに起因する。
そこで、非常停止が行われた場合、その後もしばらくの間サーボ制御を継続して行う。これにより、モータ107に減速トルクを発生させ、併せて、ブレーキ109も用いてモータ107を停止させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらには、非常停止時に、例えば、モータ107とマニピュレータのアームとを接続する減速機にかかる衝撃を緩和するため、もしくは、モータ107と減速機の接続部にかかる衝撃を緩和するため、ブレーキ109を、条件に応じて随時、保持したり解除したりするという方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
なお、非常停止時に、サーボ制御を継続してモータ107の減速トルクを発生させるための方法として、直接的に減速トルクを発生させる以外に、速度指令をゼロへと誘導するものがある。
例えば、偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量をゼロクリアして速度指令を直接的にゼロにするもの、あるいは、偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しながら速度指令を漸近的にゼロにしていくもの等である。
図14、図15は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
図14は、非常停止時に、図13に示す偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しながら速度指令をゼロへと誘導する場合の例を示している。すなわち、図14は、フィードフォワード制御を行う場合の、移動指令と、位置偏差量と、速度指令と、速度指令の微分値の時間的な変化の挙動を示したものである。
非常停止後は、図13の移動指令生成部101からの移動指令の送出が停止し、フィードフォワード項がゼロになる。従って、図14に示すように、非常停止直後の速度指令は、不連続に変化している。なお、この速度指令が不連続に変化している部分におけるその時間微分値(速度指令の加速度)は、理屈上、無限大である。
また、図15は、非常停止時に、図13に示す偏差カウンタ部115内に残存する位置偏差量を消化しないで速度指令をゼロへと誘導する場合の例を示している。すなわち、図15は、フィードフォワード制御を行わない場合の、移動指令と、位置偏差量と、速度指令およびその速度指令の微分値の時間的な変化の挙動を示したものである。
フィードフォワード制御を行わない場合、非常停止直後の速度指令は、図15に示すように、不連続になることはない。しかし、図15に示すように、速度指令の微分値は、非常停止直後に瞬間的に大きな値となる。
なお、図14、図15ともに、速度制御系と電流制御系の応答性は、位置制御系の応答性に比べて十分に高いものとし、位置制御系を時定数が1/Kpである1次遅れ系とした場合を示している。
ここで、モータ出力トルクとブレーキトルクを合わせたトルクを総合出力トルクと呼ぶことにすると、非常停止時の減速は、総合出力トルクでなされるということになる。このとき、モータ107によって駆動される被駆動部の慣性が、モータ107の慣性に比べて十分大きい場合、総合出力トルクの大部分が、モータ107と被駆動部とを接続する機構部(例えば、減速機等)にかかる。
この総合出力トルクが、機構部の設計強度よりも小さければ、問題はない。しかし、そうでない場合、機構部にダメージを与えることになる。
機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合出力トルクを許容最大総合出力トルクと呼ぶことにする。そして、この許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度を、限界加速度と呼ぶことにする。速度指令の時間微分値が限界加速度を超えている場合、結果として、機構部に許容最大総合トルクを超えるトルクがかかることになる。これは、非常停止による減速においても、速度制御により、モータ107の速度が速度指令通りとなるように制御されるからである。
上述したように、非常停止時に、機構部にダメージを与えないようにするためには、減速時の速度指令の微分値を限界加速度より小さく保つ必要がある。しかるに、上述した従来の方法では、そのようなことは考慮されておらず、非常停止時の速度指令の微分値は、必ずしも限界加速度より小さいとは限らない。
例えば、図14に示されるような場合、非常停止直後の速度指令の微分値が限界加速度を超えることは明らかである。また、図15に示されるような場合でも、非常停止直後の速度指令の微分値が限界加速度よりも小さいという保証はない。
すなわち、非常停止時の速度指令の減速のさせ方において、従来の方法では、機構部にダメージを与える可能性があるという課題があった。
特開平4−152091号公報 特開2007−104869号公報
本発明は、上記問題を解決するために、機構部にダメージを与えないように非常停止を行うモータ制御装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明のモータ制御装置は、機械の可動部の相対移動を行いブレーキにより停止されるモータの制御を行うモータ制御装置であって、移動指令生成部と、サーボ制御部とを備えている。ここで、移動指令生成部は、モータの移動指令を出力する。サーボ制御部は、上記移動指令生成部の出力に基づいて上記モータを制御するための指令を出力する。上記サーボ制御部は、位置制御部と、速度制御部と、電流制御部と、処理部とを備えている。ここで、位置制御部は、上記移動指令生成部の出力に基づいて速度指令を出力する。速度制御部は、上記位置制御部の出力に基づいて電流指令を出力する。処理部は、上記モータの回転位置を検出する位置検出器の出力に基づいて上記モータの回転角の変化量を出力する。上記位置制御部は、偏差カウンタ部と、第1の係数部と、第2の係数部と、加算部と、偏差補正部と、を備えている。ここで、偏差カウンタ部は、上記移動指令生成部の出力と上記処理部の出力との偏差を求めて出力する。第1の係数部は、上記移動指令生成部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。第2の係数部は、上記偏差カウンタ部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。加算部は、上記第1の係数部の出力と上記第2の係数部の出力を加算して上記速度制御部に出力する。上記モータ制御装置および上記モータ制御装置の外部のうちの少なくともいずれかに設けられた非常停止指示部により上記モータの非常停止が指示されると、偏差補正部は、非常停止直前の速度指令である非常停止直前の位置制御周期で上記位置制御部が出力した速度指令値と上記第2の係数部の所定の係数とに基づいて偏差補正値を求める。一方、上記非常停止指示部により非常停止が指示されると、偏差補正部は、上記移動指令生成部による移動指令の出力を停止し、上記偏差カウンタ部の偏差を上記偏差補正部で求めた偏差補正値に置き換えて上記位置制御部による制御を行う構成からなる。
この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
図1は、本発明の実施の形態1におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態2におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態3におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態3におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図7は、本発明の実施の形態3における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態4におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態4におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図10は、本発明の実施の形態5におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。 図11は、本発明の実施の形態5におけるサーボ制御部の処理フローを示す図である。 図12は、本発明の実施の形態5における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図13は、従来のロボットシステムの概略構成を示す図である。 図14は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。 図15は、従来のロボット制御装置における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態1のモータ制御装置について、図1と図2を用いて説明する。なお、背景技術で説明した図13と同様の箇所については、詳細な説明は省略する。なお、図1において、図13と異なる主な点は、位置制御部3内に偏差補正部18と判定部19を設けた点である。
図1は、本発明の実施の形態1におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。なお、ロボットシステムは、モータ7等により駆動されるマニピュレータと、マニピュレータを制御するためのロボット制御装置と、モータ7を停止させるための非常停止指示部12等から構成される。
また、マニピュレータは、モータ7により駆動されるものであり、モータ7には、位置検出器8やブレーキ9が設けられている。また、モータ制御装置であるロボット制御装置は、移動指令生成部1や、サーボ制御部2や、アンプ6を備えている。また、非常停止指示部12は、ロボット制御装置に設けても良いし、ロボット制御装置の外部に設けても良いし、ロボット制御装置とロボット制御装置の外部の両方に設けても良い。
移動指令生成部1は、ユーザが作成する動作プログラムに基づいて軌道計画をし、所定の時間毎のモータ7の回転角の変化量を移動指令として生成し、サーボ制御部2へ渡す。
サーボ制御部2は、位置制御部3と、速度制御部4と、電流制御部5と、処理部14とを備えている。位置制御部3および処理部14は、位置制御周期毎に制御演算処理を行う。速度制御部4と電流制御部5は、それぞれ所定の周期毎に制御演算処理を行う。
位置制御部3は、移動指令生成部1からの移動指令を受けて位置制御を行い、速度指令を生成する。速度制御部4は、位置制御部3からの速度指令を受けて速度制御を行い、電流指令を生成する。電流制御部5は、速度制御部4からの電流指令を受けて電流制御を行い、電圧指令を生成する。アンプ6は、電流制御部5からの電圧指令を受けてモータ7へ与える電流を生成する。
モータ7には、位置検出器8が接続されており、モータ7の回転角が検出されるようになっている。処理部14は、位置検出器8から得たモータ7の回転角の位置制御周期当りの変化量を算出し、これを実位置の変化量として出力するものである。
位置制御部3内の偏差カウンタ部15は、位置制御周期毎に、移動指令生成部1からの移動指令を偏差カウンタ部15が保持している値に加算し、一方で、処理部14からの実位置の変化量を偏差カウンタ部15が保持している値から減算する。そして、このように処理した偏差カウンタ部15の出力に第2の係数部16の位置ゲインの値Kpを乗じたものと、移動指令生成部1からの移動指令に第1の係数部17のフィードフォワード係数の値Kfを乗じたものとを加算部23で加算し、この和を速度指令として出力する。
また、モータ7には、モータ7を停止する機能を有するブレーキ9が接続されている。このブレーキ9は、ブレーキ9に通電することでブレーキが解除されるようになっている。なお、ブレーキ9に通電しない場合には、ブレーキがかかった状態となる。
電源13からブレーキ9への通電は、非常停止指示部12を構成するデッドマンスイッチ10および非常停止スイッチ11を介して行われるようになっている。すなわち、デッドマンスイッチ10もしくは非常停止スイッチ11の回路が開いた状態になると、電源13からブレーキ9への通電が遮断され、ブレーキが保持された状態、すなわち、ブレーキがかかった状態となる。
また、ブレーキ9への通電が遮断されたことは、移動指令生成部1で検知されるようになっている。なお、移動指令生成部1は、例えば、ブレーキ9に印加される電圧を監視することで、ブレーキ9への通電が遮断されたことを検知する。移動指令生成部1は、ブレーキ9への通電が遮断されたことを検知した場合、即座に移動指令の送出を停止する。
なお、以下の説明において、非常停止とは、デッドマンスイッチ10もしくは非常停止スイッチ11の回路が開いてブレーキ9が保持され、移動指令生成部1からの移動指令の送出が停止されることを指すものとする。
ここで、サーボ制御部2は、非常停止されたことを次のようにして検知する。サーボ制御部2内には、判定部19が設けられている。この判定部19は、移動指令生成部1から位置制御部3に入力される移動指令を監視し、位置制御周期毎に定期的に送られてくる移動指令が中断された場合、非常停止されたと判断する。判定部19は、適宜、サーボ制御部2内の非常停止情報を必要とする偏差補正部18に、非常停止されたことを通知する。なお、移動指令生成部1からサーボ制御部2内の判定部19へ、直接的に非常停止したことを通知して非常停止されたことを判断するようにしてもよい。
偏差補正部18は、判定部19から非常停止が行われたことを検知した旨の信号を受け取った場合、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部3が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、下記(数1)により置換量Δθcを求める。なお、置換量Δθcは、後述するように、非常停止の前後で速度指令が不連続とならず連続となるようにするために用いられる値である。
Figure 2013005388
そして、偏差カウンタ部15の値を、この置換量Δθcで置き換える。
これらの操作は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期で1回だけ行う。そして、それ以後もサーボ制御処理は継続して行う。
すなわち、偏差カウンタ部15の偏差の偏差補正部18で求めた偏差補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力との偏差に基づいて制御を行う構成としてもよい。この構成により、移動指令生成部1からの移動指令が停止された状態でも、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力に基づいてサーボ制御処理が継続して行われる。これにより、偏差カウンタ部15の値が消化されてゼロとなり、すなわち、速度指令がゼロとなり、モータ7が完全に停止することとなる。
次に、図2に、図1の構成を用いたモータ制御装置の非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図2は、それぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)、速度指令の微分値Vcmd’(t)の時間的な変化を示している。なお、速度指令の微分値Vcmd’(t)では、図を見やすくするため、符号を反転して記載している。図2の移動指令の時間的な変化は、非常停止したことにより移動指令の送出が停止したことを示している。なお、図2に示すように、位置偏差量Δθ(t)は、偏差カウンタ部15に保持される偏差カウンタ部値のことであり、Δθrは非常停止直前の偏差カウンタ部の値である。また、図2の速度指令の時間的な変化において、点線で表している直線および曲線は、参考として示す従来の方法の場合の速度指令の挙動を示しており、Kf・Waはフィードフォワード項に当たる。
図2の速度指令Vcmd(t)の時間的な変化に関し、従来の場合は、点線の曲線で示すように、移動指令の送出が停止した直後に不連続に変化するのに対して、偏差カウンタ値を(数1)で算出した置換量Δθcに置き換える。これにより、以下で説明するように、非常停止の直前と直後で速度指令を同じ値とすることができ、速度指令が連続的につながるようになる。
以下、詳細について説明する。
速度制御部4によって制御される速度制御系および電流制御部5によって制御される電流制御系の応答が、一般的に知られているように、位置制御部3によって制御される位置制御系の応答に比べて十分に高いものであるとする。そうすると、位置制御系は、1/Kpを時定数とする1次遅れ系と見なすことができる。よって、移動指令停止時点での時間をt=0として、位置偏差量の時間関数をΔθ(t)とすれば、移動指令停止以後の位置偏差量Δθ(t)は、下記(数2)のようになる。
Figure 2013005388
また、移動指令停止後の速度指令Vcmd(t)は、フィードフォワード項が0であるので、(数3)のようになる。
Figure 2013005388
t=0における速度指令Vcmd(0)は、上記(数3)、上記(数1)より、
Figure 2013005388
(数3)はt≧0において連続であること、および(数4)より、t=0において速度指令Vcmd(t)は連続である。
また、速度指令Vcmd(t)の時間微分値Vcmd’(t)は、下記(数5)のようになる。
Figure 2013005388
(数5)より、非常停止直後のVcmd’(t)の絶対値は、t=0において最大の値をとり(数6)となる。
Figure 2013005388
上記(数6)で算出される値が限界加速度を超えていなければ、モータの総合出力トルクは、許容最大総合出力トルク以下となり、機構部にダメージを与えることはない。
なお、総合出力トルクとは、モータ出力トルクとブレーキトルクを合わせたトルクのことであり、モータ7を停止するためのトルクのことである。また、許容最大総合出力トルクとは、機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクのことである。また、限界加速度とは、この許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度のことである。
以上のように、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換えることにより、非常停止時にも、速度指令を不連続とせず、連続とすることができる。
これにより、非常停止時に機構部へ過大なトルクがかかるのを防止することができ、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
すなわち、本発明のモータ制御装置は、機械の可動部の相対移動を行いブレーキ9により停止されるモータ7の制御を行うモータ制御装置であって、移動指令生成部1と、サーボ制御部2とを備えている。ここで、移動指令生成部1は、モータ7の移動指令を出力する。サーボ制御部2は、移動指令生成部1の出力に基づいてモータ7を制御するための指令を出力する。サーボ制御部2は、位置制御部3と、速度制御部4と、電流制御部5と、処理部14とを備えている。ここで、位置制御部3は、移動指令生成部1の出力に基づいて速度指令を出力する。速度制御部4は、位置制御部3の出力に基づいて電流指令を出力する。処理部14は、モータ7の回転位置を検出する位置検出器8の出力に基づいてモータ7の回転角の変化量を出力する。位置制御部3は、偏差カウンタ部15と、第1の係数部17と、第2の係数部16と、加算部23と、偏差補正部18と、を備えている。ここで、偏差カウンタ部15は、移動指令生成部1の出力と処理部14の出力との偏差を求めて出力する。第1の係数部17は、移動指令生成部1の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。第2の係数部16は、偏差カウンタ部15の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する。加算部23は、第1の係数部17の出力と第2の係数部16の出力を加算して速度制御部4に出力する。モータ制御装置およびこのモータ制御装置の外部のうちの少なくともいずれかに設けられた非常停止指示部12によりモータ7の非常停止が指示されると、偏差補正部18は、非常停止直前の速度指令である非常停止直前の位置制御周期で位置制御部3が出力した速度指令値と第2の係数部16の所定の係数とに基づいて偏差補正値を求める。一方、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、偏差補正部18は、移動指令生成部1による移動指令の出力を停止し、偏差カウンタ部15の偏差を偏差補正部18で求めた偏差補正値に置き換えて位置制御部3による制御を行う構成からなる。
この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2のモータ制御装置について、図3と図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図4は、本発明の実施の形態2における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
実施の形態1で示したモータ制御装置の構成により、非常停止時も、速度指令が不連続になることを防止し、速度指令の微分値を下げることができる。しかし、例えば、第2の係数部16の位置ゲインの値Kpが大きい場合、限界加速度を超える場合がある。そこで、これに対応するための別の例として、実施の形態2のモータ制御装置について説明する。
本実施の形態2のロボットシステムの概略構成が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、係数補正部22を加えた点である。
係数補正部22は、後述のように値Kpcを求め、第2の係数部16の位置ゲインの値Kpを値Kpcに置き換える処理を行うものである。
判定部19により非常停止であることが検知された場合、係数補正部22は、値Kpcを次のようにして求める。すなわち、限界加速度の値をAc(>0)とし、非常停止の直前の位置制御部21が出力する速度指令値をVaとして、下記(数7)で演算して求める。
Figure 2013005388
そして、第2の係数部16の位置ゲインの値をこのKpcに置き換える。
すなわち、本実施の形態2のモータ制御装置は、係数の補正値を求める係数補正部22を備え、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、第2の係数部16の所定の係数を係数補正部22で求めた係数補正値に置き換えて位置制御部21による制御を行う構成としてもよい。ここで、係数補正部22は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、非常停止が指示される直前の位置制御部21が出力する速度指令値とに基づいて、係数の補正値を求めている。この構成により、非常停止時に、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、機構部の強度に合わせた非常停止時の速度指令の減速を行うことができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
次に、偏差補正部18において、この位置ゲインの値Kpcと速度指令値Vaとから、置換量Δθcを下記(数8)により求める。
Figure 2013005388
そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcに置き換える。
なお、係数補正部22および偏差補正部18によるこれらの操作は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期で1回だけ行う。そして、サーボ制御部20は、それ以後も置き換えた係数補正値を用いて制御を行う。これにより、サーボ制御処理は継続して行われる。
すなわち、本実施の形態2のモータ制御装置において、第2の係数部16の所定の係数の係数補正部22で求めた係数補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、置き換えた係数補正値を用いて制御を行う構成としてもよい。この構成により、移動指令生成部1からの移動指令が停止された状態でも、偏差カウンタ部15の値と処理部14の出力に基づいてサーボ制御処理が継続して行われる。これにより、偏差カウンタ部15の値が消化されてゼロとなり、すなわち、速度指令がゼロとなり、モータ7が完全に停止することとなる。
係数補正部22および偏差補正部18により、これらの操作を行ったときの、非常停止直後の速度指令の微分値は、上記(数6)と(数7)より、
|Vcmd’(0)|=|Kpc・Va|=Ac
となる。
なお、限界加速度Acの値は、機構部の強度に合わせて予め決めておいた値とする。
次に、図4に、図3のモータ制御装置の構成を用いたときの、非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図4の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図4は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
図4には、図3に示す係数補正部22により位置ゲインの値がKpからKpcへと変更されても、速度指令Vcmd(t)は、連続的につながることが示されている。
また、図4には、位置ゲインの値を上記(数7)のようにして決めることで、速度指令の微分値は、限界加速度以下に抑えられることが示されている。
以上のように、非常停止時に、偏差カウンタ部15の値および第2の係数部16の位置ゲインの値を置き換えることにより、連続性を保ちつつ指定した割合で速度指令を低下させることができ、限界加速度以下とすることができる。これにより、機構部の強度に合わせた、非常停止時の速度指令減速を行うことができ、非常停止時の機構部へのダメージを回避することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3のモータ制御装置について、図5から図7を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態3におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図6は、発明の実施の形態3におけるサーボ制御部30の処理フローを示す図である。図7は、本発明の実施の形態3における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
本実施の形態3のモータ制御装置が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、偏差更新部32を加えた点である。なお、偏差更新部32は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15の値を補正する部分である。
判定部19により非常停止が検知された場合、まず、偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部31が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で示した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcに置き換える。なお、これらの操作は、非常停止後に1回だけ行う。
次に、詳細は後述するが、偏差更新部32により、偏差カウンタ部15の値を位置制御周期毎に補正していく。なお、偏差更新部32の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。
偏差更新部32による補正を含む詳細な処理について、図6を用いて説明する。
なお、図6に示すステップS1とステップS2は、非常停止を検知して以後に一度だけ行い、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18における処理である。
ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値をVa、限界加速度をAc、位置制御周期をTpとして、下記(数9)により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合を一定にするための制限量Dを求める。
Figure 2013005388
ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
ステップ3において、非常停止を指示してから所定時間が経過していなければ、ステップS4、さらにステップS5へと進む。なお、非常停止を指示してから所定時間が経過した場合については後述する。
ステップS4およびステップS5は、実施の形態1において図1を用いて説明した位置制御演算に相当する。すなわち、ステップS4では、位置制御周期当りの実位置変化量を求め、ステップS5では、偏差カウンタ部15から実位置変化量を差し引いて偏差カウンタ部15の値を更新する。
なお、以下では、実位置変化量を差し引く前の偏差カウンタ部15の位置偏差カウント値を、「前回偏差」といい、実位置変化量を差し引いた後の位置偏差カウンタ値を「今回偏差」ということにする。
ステップS7において、ステップS2で求めた制限量Dを前回偏差から差し引いた値の絶対値と、ステップS5で求めた今回偏差の絶対値との比較をする。そして、前者の方が大きければ、ステップS8において、今回偏差を、前回偏差から制限量Dを差し引いた値で置き換える。
ステップS11において、上記のように補正した今回偏差に、位置ゲインの値Kpを乗じて、速度指令とする。
さらに、この速度指令に基づいて、ステップS12として、速度制御部4による速度制御と、電流制御部5による電流制御を行う。なお、速度制御と電流制御は、位置制御周期当りに1回とは限らず、複数回行われることもある。
また、ステップS13のように、今回偏差は、次の位置制御周期における前回偏差となる。
なお、ステップS3に示すように、非常停止から所定時間が経過した場合は、サーボ制御を停止するようにしている。しかし、サーボ制御を停止せず、継続するようにしてもかまわない。その場合は、偏差カウンタ部が0になるように位置制御がなされる。
次に、図7に、図5のモータ制御装置の構成を用いたときの、非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図7の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図7は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
図7に示す位置偏差量Δθ(t)は、実速度(実位置の変化量)の大きさに応じた割合で減少していこうとする。しかし、ステップS5からステップS11までの処理により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合には制限がかかる。結果として、位置偏差量Δθ(t)は、1次関数の形で減少していく。よって、図7に示す速度指令Vcmd(t)も1次関数の形で減少していき、その微分値は一定値となる。
具体的には、非常停止後の位置偏差量Δθ(t)と、速度指令値Vcmd(t)と、速度指令の微分値Vcmd’(t)は、それぞれ、下記(数10)、(数11)、(数12)のようになる。
Figure 2013005388
Figure 2013005388
Figure 2013005388
さらに、(数12)と(数1)、(数9)より、下記(数13)を得る。
Figure 2013005388
なお、速度指令が低下していって、|Tp・Vcmd(t)|≦|制限量D|となる区間(t≧t1)では、位置偏差量Δθ(t)は、その減少に制限がかからなくなり、図2または図4で示したものと同じ指数関数の形となる。よって、速度指令Vcmd(t)も同様の形となり、また、その微分値も限界加速度Acよりも小さい値となる。
すなわち、本実施の形態3のモータ制御装置は、非常停止指示部12により非常停止が指示されて偏差カウンタ部15の偏差を偏差補正部18で求めた偏差補正値に置き換えた後に、偏差カウンタ部15の値を位置制御周期毎に補正する偏差更新部32を備えている。そして、偏差更新部32は、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正値と、前回偏差と、に基づいて、今回偏差を求め、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15の偏差を求めた今回偏差に置き換えて制御を行う構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。偏差補正値は、偏差補正部18で求められる。前回偏差は、処理部14の出力である実位置変化量を差し引く前の偏差カウンタ部15の値である。今回偏差は、位置制御周期毎に実位置変化量を差し引いた後の偏差カウンタ部15の値として求められる。
この構成により、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15の値を補正しながら位置制御を行うことで、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、不必要に減速距離を伸ばすことなく減速停止させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4のモータ制御装置について、図8と図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態4におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図9は、本発明の実施の形態4におけるサーボ制御部40の処理フローを示す図である。
本実施の形態4のロボットシステムの概略構成が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、第1の位置補正部42を加えた点である。なお、第1の位置補正部42は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量を補正する部分である。
判定部19により非常停止が検知されたら、まず偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部41が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で説明した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値を、この置換量Δθcで置き換える。なお、これらの操作は非常停止後に1回だけ行う。
次に、詳細は後述するが、第1の位置補正部42において、偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量の値を位置制御周期毎に補正していく。なお、第1の位置補正部42の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。
第1の位置補正部42による補正を含む詳細な処理について、図9を用いて説明する。なお、図9に示すように、実施の形態3で用いた図6と同じ処理を行うステップについては、図6と同じ符号を付している。また、図9に示すステップS1とステップS2は、非常停止を検知して以後に一度だけ行い、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18における処理である。ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値Vaと、限界加速度Acと、位置制御周期Tpとを用いて、実施の形態3で示した(数9)により制限量Dを求める。ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
ステップS3において、非常停止してから所定時間が経過していなければ、ステップS4以降へと進む。ステップS4において、位置制御周期当りの実位置変化量を求める。この後は、図9に示すようにステップS20に進む。なお、非常停止してから所定時間が経過した場合については後述する。
次に、ステップS20において、ステップS4で求めた実位置変化量を位置フィードバック量とする。なお、位置フィードバック量は、図9のステップS20では、位置FB量と記載している。
ステップS21において、位置フィードバック量の絶対値と制限量Dの絶対値との比較を行い、位置フィードバック量の絶対値の方が大きければ、ステップS23において、位置フィードバック量を制限量Dで置き換える。
なお、ステップS21における判定で、位置フィードバック量の絶対値の大きさが制限量Dの絶対値より大きくない場合、位置フィードバック量の置き換えは行わない。
ステップS25において、上記のようにして求めた位置フィードバック量を、前回偏差から差し引いた値を、今回偏差とする。ここで、今回偏差、前回偏差の意味は、実施の形態3で説明したものと同じである。
次に、ステップS11において、今回偏差に位置ゲインの値Kpを乗じて速度指令を算出する。そして、ステップS12において速度制御および電流制御を行う。さらに、ステップS13において、今回偏差を次回の前回偏差として記憶し、ステップS3へと戻る。
なお、図8の構成を用いたときの非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動は、実施の形態3で説明した図7と同じになるので、説明は省略する。
本実施の形態4のモータ制御装置は、位置制御周期毎に処理部14の出力を補正して偏差カウンタ部15に出力する第1の位置補正部42を備えている。この第1の位置補正部42は、処理部14で求めた実位置変化量と、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正部18で求めた偏差補正値に基づいて、偏差カウンタ部15に出力する位置フィードバック量を求める構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。
この構成により、非常停止時に偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15への位置フィードバック量を補正しながら位置制御を行う。そうすると、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、不必要に減速距離を伸ばすことなく減速停止させることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態5のモータ制御装置について、図10から図12を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態5におけるロボットシステムの概略構成を示す図である。図11は、本発明の実施の形態5におけるサーボ制御部50の処理フローを示す図である。図12は、本発明の実施の形態5における非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す図である。
本実施の形態5のモータ制御装置が実施の形態1と異なる主な点は、実施の形態1で説明した図1の構成に、第2の位置補正部52を加えた点である。なお、この第2の位置補正部52は、図8を用いて実施の形態4で説明した第1の位置補正部42とは異なるものである。
第2の位置補正部52は、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15から差し引く実位置変化量を補正する部分である。第2の位置補正部52は、位置制御周期毎に実位置変化量を積算していったものを位置積算量として保持する。そして、第2の位置補正部52は、速度指令がゼロになるまで、偏差カウンタ部15の減少の割合を一定にするために、位置積算量の中から位置制御周期毎に一定量を取り出して位置フィードバックとして出力する。
本実施の形態5のモータ制御装置において、非常停止指示部12により非常停止が指示されると、実位置変化量の積算量をゼロにした後に実位置変化量の積算を行い、実位置変化量の積算量をゼロにする処理は、前記非常停止がされたことを検知して以後一度だけ行われる構成としてもよい。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、必要かつ最短の減速距離で減速停止させることができる。
判定部19により非常停止が検知された場合、まず、偏差補正部18で、非常停止直前の速度指令値Va(前回の位置制御周期で位置制御部51が出力した速度指令値)と第2の係数部16の位置ゲインの値Kpとを用いて、実施の形態1で説明した(数1)により置換量Δθcを求める。そして、偏差カウンタ部15の値をこの置換量Δθcで置き換える。なお、これらの操作は非常停止後に1回だけ行う。
次に、第2の位置補正部52で、位置制御周期毎に処理部14から入力した実位置変化量を補正処理して位置フィードバック量を算出する。そして、位置制御周期毎に偏差カウンタ部15からこの位置フィードバック量を差し引く。なお、第2の位置補正部52の処理は、非常停止が検知されて以後に行う。また、第2の位置補正部52内の位置積算量は、非常停止が検知されて以後の最初の位置制御周期に1回だけゼロクリアされる。
第2の位置補正部52による補正方法を含む詳細な処理のフローを、図11に示す。なお、図11において、実施の形態3で説明した図6や、実施の形態4で説明した図9と同じ処理を行うステップについては、図6や図9で用いたものと同じ符号を付している。なお、図11におけるステップS1、ステップS2およびステップS30の処理は、非常停止を検知して以後に一度だけ行う。そして、ステップS3を含むそれ以後のステップは、位置制御周期毎に行う。
ステップS1は、上述の偏差補正部18の処理である。ステップS1の処理を行った後、ステップS2において、非常停止直前の速度指令値Vaと、限界加速度Acと、位置制御周期Tpを用いて、実施の形態3で示した(数9)により制限量Dを求める。ここで、制限量Dは、符号付きの量である。
図10に示す第2の位置補正部52には、位置積算量が含まれ、ステップS30ではこれをゼロクリアする。ステップS3において、非常停止してから所定時間が経過していなければ、ステップS4以降へと進み、ステップS4で位置制御周期当りの実位置変化量を求める。
次に、ステップS31において、ステップS4で求めた実位置変化量を、位置積算量に加算する。ステップS32において、ステップS31で求めた位置積算量の絶対値とステップS2で求めた制限量Dの絶対値との比較を行う。位置積算量の絶対値の方が大きければ、ステップS23において、位置フィードバック量を制限量Dで置き換える。
ステップS32における判定で、位置積算量の絶対値の大きさが制限量Dの絶対値より大きくない場合は、ステップS34において、位置フィードバック量は位置積算量とする。
このようにして位置フィードバック量(図11では、「位置FB量」とする)を求め、ステップS35において、位置積算量から位置フィードバック量を差し引いて、次回の位置積算量とする。また、ステップS25において、前回偏差から位置フィードバック量を差し引いて今回偏差を求める。
次に、ステップS11において、今回偏差に位置ゲインの値Kpを乗じて速度指令を算出する。そして、ステップS12において、速度制御および電流制御を行い、ステップS13において、今回偏差を次回の前回偏差として記憶し、ステップS3へと戻る。
次に、図12に、図10のモータ制御装置の構成を用いたときの非常停止時の移動指令、位置偏差量、速度指令および速度指令値の微分値の時間的な変化の挙動を示す。図12の時間的な変化は、上からそれぞれ、非常停止前後における、移動指令、位置偏差量Δθ(t)、速度指令Vcmd(t)および速度指令の微分値Vcmd’(t)を示している。図12は、図2で示したものと同じ物理量のものを示す。
位置偏差量Δθ(t)は、実速度(実位置の変化量)の大きさに応じた割合で減少していこうとする。しかし、ステップS31からステップS35までの処理により、位置偏差量Δθ(t)の減少の割合には制限がかかる。結果として位置偏差量Δθ(t)は1次関数の形で減少していく。よって、速度指令Vcmd(t)も1次関数の形で減少していき、その微分値は一定値となる。
具体的には、非常停止後の全区間にわたって、実施の形態3で示した(数10)から(数13)までの式で示される形となる。
なお、速度が低下していって、|Tp・Vcmd(t)|≦制限量Dとなって以後も、|位置積算量|>制限量Dであるので、位置偏差量がゼロになる直前までは、(数10)から(数13)までの式で表される状態が保たれる。
すなわち、位置偏差量がゼロになる直前までの全域にわたって、速度指令の微分値は一定であり、限界加速度Acに保たれる。
すなわち、本実施の形態5のモータ制御装置は、位置制御周期毎に処理部14の出力を補正して偏差カウンタ部15に出力する第2の位置補正部52を備えている。そして、第2の位置補正部52は、処理部14で求めた実位置変化量を位置制御周期毎に積算した積算量と、非常停止直前の速度指令値と、限界加速度と、位置制御周期と、偏差補正部18で求めた偏差補正値に基づいて、偏差カウンタ部15に出力する位置フィードバック量を求める構成としてもよい。ここで、限界加速度は、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である。
この構成により、非常停止時に、偏差カウンタ部15の値を置き換え、さらに、偏差カウンタ部15への位置フィードバック量を一定に保ちながら、位置制御を行う。そうすると、速度指令を、連続性を保ちつつ一定の割合で低下させることができる。これにより、非常停止時の機構部へのダメージを回避しながら、最短の減速距離で減速停止させることができる。
本発明のモータ制御装置は、非常停止時の減速で機構部に過大なトルクがかかるのを防止することができ、機構部へのダメージを回避できるので非常停止を行うシステム等に用いるモータ制御装置として産業上有用である。
1 移動指令生成部
2,20,30,40,50 サーボ制御部
3,21,31,41,51 位置制御部
4 速度制御部
5 電流制御部
6 アンプ
7 モータ
8 位置検出器
9 ブレーキ
10 デッドマンスイッチ
11 非常停止スイッチ
12 非常停止指示部
13 電源
14 処理部
15 偏差カウンタ部
16 第2の係数部
17 第1の係数部
18 偏差補正部
19 判定部
22 係数補正部
23 加算部
32 偏差更新部
42 第1の位置補正部
52 第2の位置補正部

Claims (8)

  1. 機械の可動部の相対移動を行いブレーキにより停止されるモータの制御を行うモータ制御装置であって、
    前記モータの移動指令を出力する移動指令生成部と、
    前記移動指令生成部の出力に基づいて前記モータを制御するための指令を出力するサーボ制御部とを備え、
    前記サーボ制御部は、
    前記移動指令生成部の出力に基づいて速度指令を出力する位置制御部と、
    前記位置制御部の出力に基づいて電流指令を出力する速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に基づいて電圧指令を出力する電流制御部と、
    前記モータの回転位置を検出する位置検出器の出力に基づいて前記モータの回転角の変化量を出力する処理部と、を備え、
    前記位置制御部は、
    前記移動指令生成部の出力と前記処理部の出力との偏差を求めて出力する偏差カウンタ部と、
    前記移動指令生成部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する第1の係数部と、
    前記偏差カウンタ部の出力を入力して所定の係数を乗じて出力する第2の係数部と、
    前記第1の係数部の出力と前記第2の係数部の出力を加算して前記速度制御部に出力する加算部と、
    前記モータ制御装置および前記モータ制御装置の外部のうちの少なくともいずれかに設けられた非常停止指示部により前記モータの非常停止が指示されると、非常停止直前の速度指令である非常停止直前の位置制御周期で前記位置制御部が出力した速度指令値と前記第2の係数部の所定の係数とに基づいて偏差補正値を求める偏差補正部と、を備え、
    前記非常停止指示部により非常停止が指示されると、前記移動指令生成部による移動指令の出力を停止し、前記偏差カウンタ部の偏差を前記偏差補正部で求めた偏差補正値に置き換えて前記位置制御部による制御を行う
    モータ制御装置。
  2. 前記偏差カウンタ部の偏差の偏差補正部で求めた偏差補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、前記偏差カウンタ部の値と前記処理部の出力との偏差に基づいて制御を行う請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、非常停止が指示される直前の前記位置制御部が出力する速度指令値とに基づいて、係数の補正値を求める係数補正部を備え、
    前記非常停止指示部により非常停止が指示されると、前記第2の係数部の所定の係数を前記係数補正部で求めた係数補正値に置き換えて前記位置制御部による制御を行う請求項1または2のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  4. 前記第2の係数部の所定の係数の係数補正部で求めた係数補正値への置き換えは、非常停止が行われた直後の最初の位置制御周期で1回だけ行い、それ以後は、置き換えた前記係数補正値を用いて制御を行う請求項3記載のモータ制御装置。
  5. 前記非常停止指示部により非常停止が指示されて前記偏差カウンタ部の偏差を前記偏差補正部で求めた偏差補正値に置き換えた後に、前記偏差カウンタ部の値を位置制御周期毎に補正する偏差更新部を備え、
    前記偏差更新部は、非常停止直前の速度指令値と、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、位置制御周期と、前記偏差補正部で求めた偏差補正値と、前記処理部の出力である実位置変化量を差し引く前の前記偏差カウンタ部の値である前回偏差に基づいて、前記位置制御周期毎に前記実位置変化量を差し引いた後の前記偏差カウンタ部の値としての今回偏差を求め、前記位置制御周期毎に前記偏差カウンタ部の偏差を求めた前記今回偏差に置き換えて制御を行う請求項1または2のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 位置制御周期毎に前記処理部の出力を補正して前記偏差カウンタ部に出力する第1の位置補正部を備え、
    前記第1の位置補正部は、前記処理部で求めた実位置変化量と、非常停止直前の速度指令値と、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、位置制御周期と、前記偏差補正部で求めた偏差補正値に基づいて、前記偏差カウンタ部に出力する位置フィードバック量を求める請求項1または2のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 位置制御周期毎に前記処理部の出力を補正して前記偏差カウンタ部に出力する第2の位置補正部を備え、
    前記第2の位置補正部は、前記処理部で求めた実位置変化量を位置制御周期毎に積算した積算量と、非常停止直前の速度指令値と、機械の機構部にダメージを与え始める大きさのモータ総合トルクである許容最大総合出力トルクで減速したときの加速度である限界加速度と、位置制御周期と、前記偏差補正部で求めた偏差補正値に基づいて、前記偏差カウンタ部に出力する位置フィードバック量を求める請求項1または2のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記非常停止指示部により非常停止が指示されると、前記実位置変化量の積算量をゼロにした後に前記実位置変化量の積算を行い、前記実位置変化量の前記積算量をゼロにする処理は、前記非常停止がされたことを検知して以後一度だけ行われる請求項7記載のモータ制御装置。
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