JPWO2013001596A1 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

電圧印加部(3)から電圧ベクトルを3相回転機(1)に印加したときの電流を記憶電流値として記憶部(5)で記憶し、この記憶電流値に基づき回転機(1)の停止時における回転子位置を推定する位置推定部(6)および回転子位置の推定が可能となるよう、電圧ベクトルの印加により回転機(1)が必要最低限の磁気飽和状態となる印加時間Taに調整する調整部(7)を備え、更に、この調整部(7)は、印加時間を任意の印加時間Tmとする電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加したときの、記憶電流値から求めた加算電流値を電圧ベクトル指令の電圧振幅値で除して得られる差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を調整評価値としこの|ΔY|に基づき印加時間を調整する。これにより、磁気飽和の度合いの評価がより適切にでき、回転子位置の推定を可能とする必要最低限の印加時間設定値を、簡便かつ確実に検出設定することができる。

Description

この発明は、回転機の回転子位置を位置センサを用いることなく得ることが出来る回転機の制御装置に関するものである。
同期電動機や誘導同期電動機などの回転子に永久磁石を有した回転機を精度良く制御する場合、回転機の回転子位置と回転機に流れる電流の情報が必要である。回転子位置情報は、位置センサ等を回転機に取付けることにより回転子位置情報を得ていたが、コスト削減、省スペース、信頼性の向上という観点から位置センサレス化が進んできている。
回転機の位置センサレス制御法として、例えば、特許文献1のような回転機の誘起電圧を利用した位置センサレス制御法や、例えば、特許文献2のような突極性を利用した位置センサレス制御法などがある。誘起電圧を利用した位置センサレス制御は、速度ゼロでは誘起電圧もゼロであるため、正しく回転子位置を推定することが出来ない。また、突極性を利用した位置センサレス制御は、回転子位置推定に利用する突極性が回転子位置の2倍の周期で変わるため、推定位置も回転子位置の2倍の周期となる。即ち、推定位置は回転機の回転子位置が0〜180度と180〜360度において、同じ値となって回転子位置を確実に検出するという点で十分とは言えない。
上記のことを勘案すると、少なくとも回転機を速度ゼロ付近から起動するときは、突極性を利用した位置センサレス制御法以外に、別途回転機の回転子位置情報を推定する方法が必要である。その方法として、例えば、特許文献3のような回転機の磁気飽和を利用した方法がある。
この方法は、互いに振幅が等しくかつ等間隔の位相の2n(nは相数で3以上の自然数)個の電圧ベクトルを回転機に印加したとき、位相が互いに180度異なる各一対の電圧ベクトル印加時に流れる電流検出値を互いに加算した加算電流値から回転子位置を検出するもので、この電圧ベクトルの印加により回転機が磁気飽和状態となることが前提となる。
そして、この磁気飽和状態を確保するための調整方法として、例えば、特許文献4がある。この方法は、パルス電圧を印加したときの電流Hレベルのうちの最大値Imaxと、Imaxと180°位相差になるパルス電圧に対する電流Hレベルとの差電流ΔIbが所定値以上になるようにパルス電圧値を徐々に高めて電圧パルス値を自動調整するものである。
国際公開WO2002/091558号公報 国際公開WO2009/040965号公報 特許第4271397号公報 特開2008−054430号公報
特許文献3の回転子位置検出法を用いる場合、前述したように、回転機が磁気飽和するに十分な電流を流す必要がある。これは、磁気飽和が発生していないと、回転子位置に近い位相の電圧ベクトルを印加したときに流れる電流が回転子位置に近い位相に対して180度位相が異なる電圧ベクトルを印加したときに流れる電流と等しいが、磁気飽和が発生すると、前者が後者より大きくなり、この差電流から回転子位置の検出が可能になるという原理を利用しているからである。
そのために、回転機に印加する電圧ベクトル指令の印加時間を調整して回転機に流れる電流を調整する必要がある。ところが、回転機の磁気飽和は、回転機の種類や容量などによって異なるため、特許文献3の方法を用いるためには、予め、人手を介して回転機毎に調整する必要があるため大変煩雑となる。もっとも、十二分に磁気飽和が起こるように過大な電流を流すことも考えられるが、不要な損失の増大を招き得策とは言えない。
この一つの解決策として、前述の特許文献4では自動調整を可能としているが、差電流のみで評価しているため、回転機の磁気飽和の状態を十分に把握できるとは限らない。
即ち、磁気飽和の度合いを検出するために、特許文献4のように電流値を使っう場合、回転機が磁気飽和により差電流値が大きくなっているのか、電圧ベクトル指令の大きさ、または印加時間が大きくなっため差電流値が大きくなっているかを区別することが困難である。そのため、この方法で自動調整した電圧パルス値を用いて回転子位置検出を行った場合、検出した回転子位置の精度が悪かったり、また、回転子位置検出するために必要以上の電圧パルスを印加して過大な電流を流してしまう場合がある。
この発明は、以上のような従来の課題を解決するためになされたもので、磁気飽和の度合いの評価がより適切にでき、回転子位置の推定を可能とする必要最低限の印加時間設定値を、簡便かつ確実に検出設定することができる回転機の制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る回転機の制御装置は、n(nは3以上の自然数)相の巻線を有する回転機を制御するものであって、回転機に電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加する電圧印加部、回転機の各相巻線に流れる電流を検出する電流検出部、電圧ベクトル指令として振幅が互いに同一かつ1周期(360度)内に等間隔の位相で印加時間が互いに同一の2n個の電圧ベクトルを演算して電圧印加部に出力する電圧ベクトル指令演算部、2n個の電圧ベクトル印加時互いに同一の条件下で電流検出部により各相で検出される2n×n個の電流を記憶電流値として記憶する記憶部、記憶部からの記憶電流値に基づき回転機の停止時における回転子位置を推定する位置推定部、および回転子位置の推定が可能となるよう、印加時間を電圧ベクトルの印加により回転機が必要最低限の磁気飽和状態となる印加時間Taに調整する調整部を備えた回転機の制御装置において、
前記の調整部は、印加時間を任意の印加時間Tmとする電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加したときの、電圧ベクトル指令の電圧振幅値と電流検出部からの記憶電流値との比に基づき調整評価値を演算し、この調整評価値に基づき印加時間を調整するものである。
この発明に係る回転機の制御装置は、以上のように、調整部を備え、印加時間を任意の印加時間Tmとする電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加したときの、電圧ベクトル指令の電圧振幅値と電流検出部からの記憶電流値との比に基づき調整評価値を演算し、この調整評価値に基づき印加時間を調整するようにしたので、磁気飽和の度合いの評価がより適切にでき、回転子位置の検出を可能とする必要最低限の電圧ベクトル指令の印加時間Taを簡便かつ確実に設定することができ、回転子位置を安定して精度良く検出することができる。
この発明の実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。 電圧ベクトルを示すベクトル図である。 各電圧ベクトルを印加したときに流れる電流波形および各記憶期間における最大値として記憶される記憶電流値を示すタイミングチャートである。 加算電流値Δiu、Δiv、Δiwと回転子位置との関係を示す図である。 差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYw、|ΔY|と回転子位置との関係を示す図である。 電圧ベクトル指令の波形を示す図である。 電圧ベクトル指令の印加時間を調整する動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る回転機の制御装置における、電圧ベクトル指令の印加時間を調整する動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る回転機の制御装置の説明において、回転機に振幅Vdcのステップ電圧を与えたときに流れる電流is(t)の波形を示すタイミングチャートである。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による回転機の制御装置の構成図である。図1において、回転機1は、U相、V相、W相の3相巻線を備えた回転機で、ここでは、回転子に永久磁石を配置した永久磁石回転機とする。回転機1は、インバータなどの電圧を印加する電圧印加部3に接続されており、電圧印加部3は、入力された電圧ベクトル指令Vrに基づく電圧ベクトルを回転機1に印加する。電圧印加部3と回転機1との間には、回転機1に流れる巻線電流を検出する電流検出部4が接続されている。
電圧ベクトル指令演算部2は、図2のように、60度間隔のV1〜V6の電圧ベクトル指令をそれぞれの間にゼロ電圧ベクトル指令V0を挟みながら、図3に示すように、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V5→V0→V6→V0と順次印加する。また、V1〜V6は大きさと印加時間は互いに同一とし、予め設定した印加時間Taを印加する。
なお、電圧印加部3は、電圧ベクトル指令演算部2から入力した電圧ベクトル指令に基づき同電圧ベクトル指令と同一の波形の電圧ベクトルを回転機1に出力するものであるので、以下の説明では、特に区別する場合を除いては、電圧ベクトル指令と電圧ベクトルとの用語は同義として適宜使用するものとする。
記憶部5は、図3の記憶動作に示したように、電圧ベクトル指令演算部2が、各電圧ベクトル指令V1〜V6とその次に出力される電圧ベクトル指令V0を出力している期間、換言すると、一の電圧ベクトル指令(例えば、V1)の印加始端から次の電圧ベクトル指令(例えば、V2)の印加始端までの期間である、記憶期間1〜6において、電流検出部4により検出する3相電流それぞれにおいて、各相電流の絶対値が最大となる値を記憶する。具体的には、図3のように、記憶期間1ではU相電流の絶対値の最大値iu1、V相電流の絶対値の最大値iv1、W相電流の絶対値の最大値iw1を記憶する。記憶期間2〜6においても同様にして、iu2〜iu6、iv2〜iv6、iw2〜iw6、合計18個(相数n=3とすると2n×n=18個に相当する)の値を記憶電流値として記憶する。
位置推定部6は、記憶部5の出力である18個の記憶電流値により回転機1の回転子位置を推定する。このため、電圧ベクトル指令の出力時間(印加時間)Taを、回転機1の固定子が磁気飽和するのに十分な時間に設定し当該電圧ベクトルを回転機1に印加した場合の加算電流値を演算する。例えば、(1)式で示されるように、電圧ベクトルV1を印加したときの、電圧ベクトルV1と同相のU相記憶電流値iu1と、電圧ベクトルV1と位相が180度異なる電圧ベクトルV4を印加したときの、電圧ベクトルV4と同相のU相記憶電流値iu4とを加算した加算電流値Δiuは、磁気飽和の影響により、Δiu≠0となる。なお、回転機1の固定子が磁気飽和しなければ、Δiu=0となる。
Δiu=iu1+iu4 ・・・(1)
同様に、電圧ベクトルV3を印加した時のV相記憶電流値iu3と、電圧ベクトルV3と位相が180度異なる電圧ベクトルV6を印加したときのV相記憶電流値iu6とを加算した加算電流値Δivは、下記(2)式となり、また、電圧ベクトルV5を印加した時のW相記憶電流値iw5と、電圧ベクトルV5と位相が180度異なる電圧ベクトルV2を印加したときのW相記憶電流値iw2とを加算した加算電流値Δiwは、下記(3)式となり、回転機1が磁気飽和する場合、Δiv≠0、Δiw≠0となる。
Δiv=iv3+iv6 ・・・(2)
Δiw=iw5+iw2 ・・・(3)
図4は、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwの、回転機1の回転子位置θに対する変化を表したものであり、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwは、回転機1の回転子位置θに応じて、回転子位置θと同一周期でその大きさが変化するという特徴がある。また、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwの位相差はそれぞれ120度となる。位置推定部6では、この加算電流値Δiu、Δiv、Δiwを利用して、回転機1の回転子位置θを演算する。以下にその具体例を示す。
図4から判るように、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwそれぞれの絶対値の大きさより、60度間隔の精度で回転機1の回転子位置を推定することが出来る。例えば、回転子位置θが0のとき、Δiuが最大値であり絶対値が一番大きいのはΔiuとなる。また、回転子位置θが60度のとき、Δiwが最小値であり絶対値が一番大きいのはΔiwとなる。このように、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwの絶対値と回転子位置θとの関係は、回転子位置を60度毎に区分した区分番号mを用いると、以下の(4)式となり、回転子位置を60度間隔の精度で推定することが出来る。
ここで、精度良く回転子位置を推定するためには、(4)式の条件が正確に判別できる、即ち、図4の加算電流値Δiu、Δiv、Δiwの大小関係を正確に判別する必要があり、そのためには、回転機1の固定子が十分磁気飽和するように、電圧ベクトル指令の印加時間Taを設定する必要がある。
Figure 2013001596
また、ここでの詳細な説明は省略するが、前述の特許文献3に記載されている方法を用いることで、30度、15度間隔の精度で推定することもできる。但し、この場合は、各電圧ベクトルと同相の記憶電流値に加えて、各電圧ベクトルと直交する相の電流値が必要となり、これら直交相の電流値を得るため前述した計18個の記憶電流値を全て使用することになる。
調整部7は、記憶部5の出力である電流記憶値と電圧ベクトル指令演算部2の出力である電圧ベクトル指令に基づいて、位置推定部6が精度良く回転子位置を推定できるように、回転機1の固定子が十分磁気飽和し、かつ、回転機1に流れる電流が過大になりすぎないような電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動的に調整する。回転機1の固定子が十分磁気飽和し、かつ、回転機1に流れる電流が過大になりすぎないような電圧ベクトル指令の印加時間Taは人手を介して行った場合、大幅な時間を要し煩雑である為、自動的に調整できることが望ましい。
そこで、回転子の位置推定は、前述したように、回転機1が磁気飽和することで生じる(1)〜(3)式の加算電流値を用いて、(4)式の条件により行うことを鑑みて、回転機1の磁気飽和の度合いを検出し、回転機1が十分磁気飽和しているかどうかを判断し、十分磁気飽和する電圧ベクトル印加時間を自動的に求められればよい。磁気飽和の度合いを検出するために、例えば、特許文献4のように電流値を使う場合、回転機1が磁気飽和により加算電流値が大きくなっているのか、電圧ベクトル指令の大きさ、または印加時間が大きくなっため加算電流値が大きくなっているかを区別することが困難である。
即ち、加算電流値の大きさは、回転機1の磁気飽和の度合いと電圧ベクトル指令の2つの関数であるため、加算電流値だけでは磁気飽和の度合いのみを検出することが困難であり、加算電流値のみから調整した電圧ベクトル印加時間は、回転機1が十分磁気飽和しない電圧ベクトル印加時間に調整されたり、逆に、十分磁気飽和しているが回転機1に過大な電流を流す電圧ベクトル印加時間に調整される可能性がある。
その結果、加算電流値のみから調整した電圧ベクトル印加時間を用いて位置推定を行うと、位置の誤推定や推定精度の悪化、または、回転機1に過大な電流を流してしまう場合がある。そこで、本実施の形態1の調整部7では、加算電流値と電圧ベクトル指令の2つを用いて磁気飽和の度合いを検出して上記課題を解決する。以下にその具体的方法を記す。
先ず、磁気飽和の度合いを検出する方法について説明する。(1)式の加算電流値Δiuは、互いに180度位相が異なる電圧ベクトルV1とV4とを回転機1に印加した時に流れる電流値である、記憶部5に記憶した記憶電流値iu1とiu4との加算値である。回転機1のインピーダンスまたはアドミタンスは、180度位相が異なる位置では同一になるので、iu1とiu4とは、異符号で絶対値が同じ値になり、Δiu=0となるはずである。しかしながら、磁気飽和が生じると、iu1とiu4との絶対値が異なりΔiu≠0となる。
即ち、Δiu≠0となるのは、磁気飽和により回転機1の互いに180度位相が異なる位置のインピーダンスまたはアドミタンスに差異が生じたためと考えることができ、更に、それらのインピーダンスまたはアドミタンスの差異は、磁気飽和のみに起因して発生すると考えることが出来る。よって、互いに180度位相が異なる位置のインピーダンスまたはアドミタンスを計算し、それらの差異より回転機1の磁気飽和の度合いを検出することができる。位置推定に用いる(1)〜(3)式の加算電流値Δiu、Δiv、Δiwに関連するインピーダンスまたはアドミタンスは以下のようにして求める。
本実施の形態1では、以下のようにして加算電流値Δiu、Δiv、Δiwに関連するアドミタンスを求めることとするが、アドミタンスの逆数であるインピーダンスを求めこれを利用するようにしても、以下の内容は同様に実施可能である。
ところで、以下に説明するように、アドミタンスは、記憶電流値を電圧ベクトルの電圧振幅値で除した値として求められる。一方、インピーダンスは、アドミタンスの逆数であり、電圧ベクトルの電圧振幅値を記憶電流値で除した値として求められる。従って、インピーダンスまたはアドミタンスによって磁気飽和の度合いを検出できるということから、電圧ベクトルの電圧振幅値と記憶電流値との比を調整評価値とし、この調整評価値に基づき磁気飽和の度合いを評価することができるとも言える。
U相の加算電流値Δiuは、互いに180度位相が異なる電圧ベクトルV1とV4とを回転機1に印加した時に流れる、それぞれ電圧ベクトルV1、V4と同相の電流値である、記憶部5で記憶した記憶電流値iu1とiu4との加算値である。従って、電圧ベクトル指令V1を印加したときのV1ベクトル方向のアドミタンスは、(5)式のように、電圧ベクトルV1と電流記憶値iu1とより求めることができ、求めたアドミタンスはYu1と呼ぶこととする。
また、電圧ベクトル指令V4を印加したときのV4ベクトル方向のアドミタンスは、(6)式のように、電圧ベクトルV4と電流記憶値iu4とより求めることができ、求めたアドミタンスはYu4と呼ぶこととする。
Figure 2013001596
アドミタンスYu1とYu4との差異は、例えば、(7)式のように、Yu1とYu4との差分の大きさより求めることが出来る。なお、(7)式で得られるYu1とYu4との差分の大きさをU相差分アドミタンスΔYuと呼ぶこととする。
Figure 2013001596
同様にして、V相の加算電流値Δivは、互いに180度位相が異なる電圧ベクトルV3とV6とを回転機1に印加した時に流れる、それぞれ電圧ベクトルV3、V6と同相の電流値である、記憶部5で記憶した記憶電流値iv3とiv6との加算値である。従って、電圧ベクトルV3とV6とを印加したときのアドミタンスYv3とYv6とは、(8)、(9)式のようになり、更に、V相差分アドミタンスΔYvは、(10)式のように求めることが出来る。
Figure 2013001596
同様にして、W相の加算電流値Δiwは、互いに180度位相が異なる電圧ベクトルV5とV2とを回転機1に印加した時に流れる、それぞれ電圧ベクトルV5、V2と同相の電流値である、記憶部5で記憶した記憶電流値iw5とiw2との加算値である。従って、電圧ベクトルV5とV2とを印加したときのアドミタンスYw5とYw2は、(11)、(12)式のようになり、更に、W相差分アドミタンスΔYwは、(13)式のように求めることが出来る。
Figure 2013001596
差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYwは、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwが、図4のように、回転機1の回転子位置θによって大きさが変化するため図5のようになる。
そこで、(14)式により、差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYwからなるベクトル量の大きさ|ΔY|を演算することで、図5のように、回転子位置θによらない一定値を得ることができる。そして、この差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を、磁束飽和の度合いを評価するための調整評価値として用いて電圧ベクトル印加時間Taを調整することとする。
Figure 2013001596
なお、電圧ベクトル指令演算部2が出力する電圧ベクトル指令V1〜V6は、上述したように、大きさと印加時間は互いに同一とするため、電圧ベクトル指令の大きさ|V1|〜|V6|はすべて同じ値となる。よって、(7)、(10)、(13)式の差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYwは、電圧ベクトル指令の大きさを|V|とすると、(15)〜(17)式のように、加算電流値Δiu、Δiv、Δiwを使って演算することが出来る。
Figure 2013001596
更に、電圧印加部3が電圧型インバータなどのように、固定値の直流母線電圧をスイッチングして回転機1に電圧を印加する場合、図6に示すように、振幅が直流母線電圧Vdcで、印加時間が電圧ベクトル指令の印加時間Taであるパルス電圧であるため、(18)〜(20)式のように電圧ベクトル指令の印加時間Taを用いて差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYwを求めることが出来る。
Figure 2013001596
次に、調整評価値として、磁気飽和の度合いを示す差分アドミタンスΔYu、ΔYv、ΔYwの大きさ|ΔY|を用いて、電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動調整する方法について図7に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、電圧ベクトル指令の印加時間を任意のTmに設定し(ステップS1)、回転子位置を推定するときと同様に、図2のように60度間隔の電圧ベクトル指令V1〜V6をゼロ電圧ベクトル指令V0を挟みながら、図3のように、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V5→V0→V6→V0と順次出力する(ステップS2)。
記憶部5は、回転子位置を推定するときと同様に、図3の記憶動作に示したように、電圧ベクトル指令演算部2が、各電圧ベクトル指令V1〜V6とその次に出力される電圧ベクトル指令V0を出力している期間である記憶期間1〜6において、電流検出部4により検出する3相電流それぞれにおいて、各相電流の絶対値が最大となる値を記憶する(ステップS3)。調整部7は、記憶部5に記憶したこれら記憶電流値より、(14)式のように、差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算する(ステップS4)。
また、このとき、調整部7は、記憶部5に記憶した18個の記憶電流値のうち絶対値が最大となる|Im|を算出し、この最大電流値|Im|が予め設定した電流最大値Imax未満であるかを判断する(ステップS5)。最大電流値|Im|が電流最大値Imax以上であった場合(ステップS5でNO)、電圧指令ベクトルの印加時間Tmを変更(小さく)して(ステップS6)ステップS2からの動作を繰り返す。最大電流値|Im|が電流最大値Imax未満であった場合(ステップS5でYES)、演算した差分アドミタンスの大きさ|ΔY|が予め設定した、調整閾値である差分アドミタンス閾値ΔYlev以上かどうかを判断する(ステップS7)。
差分アドミタンスの大きさ|ΔY|が差分アドミタンス閾値ΔYlev以上であれば(ステップS7でYES)、回転機1の固定子が十分に磁気飽和したとみなすことが出来るため、そのときの電圧ベクトル指令の印加時間TmをTaと設定する(ステップS8)。そうでなければ(ステップS7でNO)、電圧ベクトル指令の印加時間Tmを変更して再度電圧ベクトルの印加、差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算、差分アドミタンス閾値ΔYlevとの比較を繰返し行う。
なお、ステップS1で設定する印加時間の初期値Tmとしては、最初のフローにおけるステップS7での判定がNOとなるよう、適宜比較的小さめに設定するのが望ましい。これによって、ほぼ確実に、回転子位置の推定を可能とする必要最低限の印加時間設定値Taを得ることができる。
なお、予め設定する電流最大値Imaxは、例えば、回転機1の定格電流値や最大電流値、または、電圧印加部3の定格電流値や最大電流値などに設定しておくと良い。また、予め設定する差分アドミタンス閾値ΔYlevは、位置推定部6で推定する推定位置が精度良く推定でき、かつ、回転機1に流れる電流が過大とならない時の差分アドミタンスの大きさに設定しておくことが望ましく、例えば、加算電流値が回転機1の定格電流値の10%で十分磁気飽和するならば、加算電流値が定格電流値の10%に相当する差分アドミタンスを差分アドミタンス閾値ΔYlevと設定しておけばよい。
以上のように、この発明の実施の形態1では、任意に設定した印加時間Tmの電圧ベクトル指令V1〜V6を順次出力したときの記憶電流値から(14)式により差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算する。そして、演算した差分アドミタンスの大きさ|ΔY|と予め設定した差分アドミタンス閾値ΔYlevとを比較し、|ΔY|≧ΔYlevとなる時の任意に設定した電圧ベクトル指令の印加時間Tmを電圧ベクトル指令の印加時間Taと設定することで、磁気飽和の度合いを適切に評価でき、人手を介すことなく、位置推定部6が精度良く回転子位置を推定でき、かつ、回転機1に流れる電流が過大になりすぎないような電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動的に調整することが出来る。
なお、以上の説明では、記憶部5は、各電圧ベクトル印加時互いに同一条件下である、各記憶期間1〜6において電流検出部4により検出された各相電流の最大値を記憶電流値として記憶した。しかし、これとは異なり、各電圧ベクトル印加時互いに同一条件下であるが、各印加終端のタイミングにおいて電流検出部4により検出された各相電流を記憶電流値として記憶するようにしてもよい。この場合も、先の例の場合とほぼ同一の記憶電流値が得られ、また、タイミングのみを基準に検出値を抽出して記憶すればよいので、記憶部の構成が簡便となる利点がある。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、電圧ベクトル指令の印加時間Taを調整するために、電圧ベクトル指令の印加時間を任意のTmに設定し、このTmを適宜変更することで、回転子位置の推定を可能とする必要最低限の印加時間設定値Taを得ていた。本実施の形態2では、電圧ベクトル指令の印加時間の設定をゼロ付近から徐々に大きくすることで、自動調整に要する時間の短縮と回転機1に流れる電流がなるべく小さくなるようにして電圧ベクトル指令の印加時間Taを求めることが出来るようにする。
本実施の形態2の構成は、図1で示した実施の形態1の場合と同様であり、差分アドミタンスの大きさなどの求め方なども同様であり、異なるのは電圧ベクトル指令の印加時間Tmの設定方法とその後の処理のみであるため、実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。
図8は、本実施の形態2における電圧ベクトル指令の印加時間を自動調整するときの動作を示したフローチャートである。
先ず、電圧ベクトル指令の印加時間Tmの初期値を設定する(ステップT1)。初期値はゼロ付近の小さい値としておく。そして、図2のように60度間隔の電圧ベクトル指令V1〜V6をゼロ電圧ベクトル指令V0を挟みながら、図3のように、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V5→V0→V6→V0と順次出力する(ステップT2)。
記憶部5は、図3の記憶動作に示したように、電圧ベクトル指令演算部2が、各電圧ベクトル指令V1〜V6とその次に出力される電圧ベクトル指令V0を出力している期間である記憶期間1〜6において、電流検出部4により検出する3相電流それぞれにおいて、各相電流の絶対値が最大となる値を記憶する(ステップT3)。調整部7は、記憶部5に記憶した18個の記憶電流値のうち絶対値が最大となる|Im|を算出し、この最大電流値|Im|が予め設定した電流最大値Imax未満であるかどうかを判断する(ステップT4)。
このとき、最大電流値|Im|が電流最大値Imax以上となった場合(ステップT4でNO)、電流最大値Imax未満の電流値で位置推定が良好に出来る電圧ベクトル指令の印加時間が無いと判断し、位置推定不可能とするアラーム処理を行う(ステップT5)。最大電流値|Im|が電流最大値Imax未満の場合(ステップT4でYES)、調整部7は、記憶部5に記憶した記憶電流値より、(14)式のように差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算する(ステップT6)。
そして、演算した差分アドミタンスの大きさ|ΔY|が予め設定した差分アドミタンス閾値ΔYlev以上かどうかを判断する(ステップT7)。差分アドミタンスの大きさ|ΔY|が差分アドミタンス閾値ΔYlev以上であれば(ステップT7でYES)、回転機1の固定子が十分に磁気飽和したとみなし、そのときの電圧ベクトル指令の印加時間TmをTaと設定し(ステップT8)、そうでなければ(ステップT7でNO)、電圧ベクトル指令の印加時間Tmに電圧印加時間加算値ΔTを加算して電圧ベクトル指令の印加時間Tmを変更して(ステップT9)、再度電圧ベクトルの印加、差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算、差分アドミタンス閾値ΔYlevとの比較を繰返し行う。
以上のように、この発明の実施の形態2では、任意に設定する電圧ベクトル指令の印加時間Tmの初期値をゼロ付近に設定し、この設定した印加時間Tmの電圧ベクトル指令V1〜V6を順次出力したときの記憶電流値から(14)式により差分アドミタンスの大きさ|ΔY|を演算する。そして、演算した|ΔY|と予め設定した差分アドミタンス閾値ΔYlevとを比較し、|ΔY|≧ΔYlevとなるまで、設定する印加時間TmをΔTずつ増やしていき、|ΔY|≧ΔYlevとなった時に設定していた電圧ベクトル指令の印加時間Tmを電圧ベクトル指令の印加時間Taと設定することで、磁気飽和の度合いを適切に評価でき、人手を介すことなく、位置推定部6が精度良く回転子位置を推定でき、かつ、回転機1に流れる電流が過大になりすぎないような電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動的に調整することが出来る。
更に、記憶部5に記憶した18個の記憶電流値のうち絶対値が最大となる|Im|を算出し、|Im|が電流最大値Imax未満であるかどうかを判断することにより、位置推定不可能のアラーム処理も行うことが出来る。
なお、以上の説明では、図8に示すように、印加時間Tmの初期値として、磁気飽和が確実に生じない、小さい、従ってゼロ付近の値に設定し、|ΔY|≧ΔYlevとの判定となるまで設定する印加時間TmをΔTずつ増やしていくようにした。しかし、これとは異なり、印加時間Tmの初期値として、磁気飽和が確実に生じる大きい値に設定し、|ΔY|<ΔYlevとなるまで、設定する印加時間TmをΔTずつ減らしていき、|ΔY|<ΔYlevとなった時に設定していた印加時間TmにΔTを加算した値を電圧ベクトル指令の印加時間Taと設定するようにしてもよい。この場合も、印加時間Tmの初期値を適切に設定すれば、効率よく、しかも、図8の場合と同様の効果が得られる。
実施の形態3.
先の実施の形態1や2で予め設定する差分アドミタンス閾値ΔYlevは、位置推定部6で推定する推定位置が精度良く推定でき、かつ、回転機1に流れる電流が過大とならない時の差分アドミタンスの大きさに設定しておくことが望ましい。このため、例えば、加算電流値が回転機1の定格電流値の10%で十分磁気飽和するならば、加算電流値が定格電流値の10%に相当する差分アドミタンスを差分アドミタンス閾値ΔYlevとしていた。そのような差分アドミタンス閾値ΔYlevは、回転機1の種類や容量などによって変わる場合がある。
従って、差分アドミタンス閾値ΔYlevを、例えば、回転機1の定格電流値を基準に設定し、これに基づき調整した印加時間Taを用いて回転子の位置推定を行った場合、位置推定精度が悪化する可能性があり得る。そこで、本実施の形態3では、様々な種類や容量の回転機に適用することを前提にした差分アドミタンス閾値の設定法について説明する。
なお、差分アドミタンス閾値ΔYlevを如何に設定するかという問題以外の内容については、先の実施の形態1、2と同様であるので、ここではその説明を省略する。
電圧印加部3が電圧型インバータの場合、前述したように、電圧印加部3から出力する電圧ベクトルは、図6に示したような電圧パルスとなる。回転機1が同期機の場合、回転機のインピーダンスは、R+sL(R:巻線抵抗、L:インダクタンス、s:ラプラス演算子)となり、図6の電圧パルスをステップ電圧とみなすと、そのとき回転機1に流れる電流Is(s)は、(21)式で表すことが出来る。
Figure 2013001596
(21)式を逆ラプラス変換して時間領域に変換すると(22)式となり、(22)式を図示すると、図9となる。
Figure 2013001596
(22)式より、振幅Vdcのステップ電圧を与えた時の電流is(t)の最終値は、時間tを無限大にしたときの値、即ち、Vdc/Rである。しかしながら、一般的な回転機の場合、最終値Vdc/Rは、回転機の定格電流に比べて十分大きい。また、電圧印加部3より出力する電圧ベクトルは、回転機1に流れる電流が、Vdc/Rよりも十分小さくなる、ステップ電圧ではなく印加時間Tmのパルス電圧である。従って、図6のようなパルス電圧を印加したときに回転機1に流れる電流は、(23)式のように、原点(時刻0)における微分値を傾きとする直線に近似することが出来る。
Figure 2013001596
よって、(23)式のtに電圧ベクトルの印加時間Tmを代入することにより、(24)式のように印加時間Tmの電圧ベクトルを印加したときに回転機1に流れる電流値を求めることが出来る。
Figure 2013001596
(24)式のように回転機1に流れる電流値を求めることが出来るので、電圧ベクトルV1を印加した時に記憶部5により記憶するU相記憶電流値iu1の大きさは(25)式となる。
Figure 2013001596
同様にして、記憶電流値iu4、iv3、iv6、iw5、iw2の大きさを求めると(26)〜(30)式のようになる。
Figure 2013001596
記憶電流値iu1、iu4、iv3、iv6、iw5、iw2が、(25)〜(30)式となることより、(18)〜(20)式で求める差分アドミタンスは、電圧ベクトル指令の印加時間をTmとする場合、(18)〜(20)式のTaをTmに置き換えて、(25)〜(30)式を代入することより(31)〜(33)式となる。ここで、(31)〜(33)式の意味するところは、磁気飽和により生じる、回転機1の互いに180度位相が異なる位置のインダクタンスの逆数の差分を求めているということである。
Figure 2013001596
差分アドミタンスは、インダクタンスの逆数の差分を求めていることより、差分アドミタンス閾値ΔYlevを、回転機1自身のインダクタンスの逆数の関数として得られる値に設定すれば、回転機の種類や容量が変わった場合、自ずと差分アドミタンス閾値ΔYlevも変わり、回転機の種類や容量によらず、電圧ベクトル指令の印加時間Taを調整することが可能となる。
具体的な差分アドミタンス閾値ΔYlevの設定は、回転機1のインダクタンスをLmとした場合、回転機1のインダクタンスLmの逆数である1/Lmの関数として得られる値、例えば、1/Lmの5%、10%など1/Lmの比率として設定しておく。あとは実施の形態1や実施の形態2と同様の手順で電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動調整する。
以上のように、この発明の実施の形態3では、調整部7において設定する差分アドミタンス閾値ΔYlevを、回転機1のインダクタンスLmの逆数の関数として得られる値、例えば、同逆数に係数を掛けて得られる値に設定することで、回転機1の種類や容量によらず、磁気飽和の度合いを適切に評価でき、人手を介すことなく、位置推定部6が精度良く回転子位置を推定でき、かつ、回転機1に流れる電流が過大になりすぎないような電圧ベクトル指令の印加時間Taを自動的に調整することが出来る。

Claims (11)

  1. n(nは3以上の自然数)相の巻線を有する回転機を制御するものであって、前記回転機に電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加する電圧印加部、前記回転機の各相巻線に流れる電流を検出する電流検出部、前記電圧ベクトル指令として振幅が互いに同一かつ1周期(360度)内に等間隔の位相で印加時間が互いに同一の2n個の電圧ベクトル指令を演算して前記電圧印加部に出力する電圧ベクトル指令演算部、前記2n個の電圧ベクトル印加時互いに同一の条件下で前記電流検出部により前記各相で検出される前記2n×n個の電流を記憶電流値として記憶する記憶部、前記記憶部からの前記記憶電流値に基づき前記回転機の停止時における回転子位置を推定する位置推定部、および前記回転子位置の推定が可能となるよう、前記印加時間を前記電圧ベクトルの印加により前記回転機が必要最低限の磁気飽和状態となる印加時間Taに調整する調整部を備えた回転機の制御装置において、
    前記調整部は、前記印加時間を任意の印加時間Tmとする前記電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルを印加したときの、前記電圧ベクトル指令の電圧振幅値と前記電流検出部からの前記記憶電流値との比に基づき調整評価値を演算し、前記調整評価値に基づき前記印加時間を調整する回転機の制御装置。
  2. 前記調整部は、前記調整評価値が予め設定した調整閾値より大きい範囲で最小となるときの前記印加時間Tmを前記印加時間Taとして設定する請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記調整部は、前記印加時間Tmの初期値として、前記磁気飽和が確実に生じない小さい値に設定して前記調整評価値を求め前記調整閾値との大小を判定し、更に前記印加時間Tmを順次時間ΔTずつ増やして前記判定動作を繰り返し、前記判定結果が初めて(前記調整評価値>前記調整閾値)となったときの前記印加時間Tmを前記印加時間Taとして設定する請求項2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記調整部は、前記印加時間Tmの初期値として、前記磁気飽和が確実に生じる大きい値に設定して前記調整評価値を求め前記調整閾値との大小を判定し、更に前記印加時間Tmを順次時間ΔTずつ減らして前記判定動作を繰り返し、前記判定結果が初めて(前記調整評価値<前記調整閾値)となったときの前記印加時間Tmに前記時間ΔTを加算した値を前記印加時間Taとして設定する請求項2記載の回転機の制御装置。
  5. 前記調整部は、前記記憶電流値の内の最大の最大電流値を求め、当該最大電流値が予め設定した電流最大値未満となる条件下で前記調整の動作を行う請求項1記載の回転機の制御装置。
  6. 前記記憶部は、一の前記電圧ベクトル指令の印加始端から次の前記電圧ベクトル指令の印加始端までの記憶期間において検出された電流の最大値を前記記憶電流値として記憶する請求項1記載の回転機の制御装置。
  7. 前記記憶部は、前記電圧ベクトル指令の印加終端において検出された電流の値を前記記憶電流値として記憶する請求項1記載の回転機の制御装置。
  8. 前記位置推定部は、前記記憶部に記憶された記憶電流値の内、位相が互いに180度異なる各一対の電圧ベクトル印加時に検出された該電圧ベクトルと同相の電流値を互いに加算した前記n個の加算電流値を演算し前記n個の加算電流値に基づき前記回転機の停止時における回転子位置を推定する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記調整部は、前記n個の加算電流値を前記電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルの電圧振幅値で除して前記n個の差分アドミタンスを求め、更に当該n個の差分アドミタンスからなるベクトル量の大きさを前記調整評価値とした請求項8記載の回転機の制御装置。
  10. 前記調整部は、前記n個の加算電流値を前記電圧ベクトル指令に基づく電圧ベクトルの(電圧振幅値)×(印加時間)で除して前記n個の差分アドミタンスを求め、更に当該n個の差分アドミタンスからなるベクトル量の大きさを前記調整評価値とした請求項8記載の回転機の制御装置。
  11. 前記調整部は、前記回転機のインダクタンスの逆数の関数として得られる値を前記調整閾値とした請求項10記載の回転機の制御装置。
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