JPWO2012165034A1 - 電気掃除機 - Google Patents

Abstract

小型軽量で、水洗いなどのメンテナンスが可能で、動作が安定している塵埃圧縮機能を有する集塵部を用いた電気掃除機を提供すること。上記の課題を解決する為には、電気掃除機において、吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、該本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、サイクロン集塵部は、内部に取り込んだ空気と塵埃を分離する遠心分離部（２１，２２）と、該遠心分離部と連通しており該遠心分離部で分離した塵埃を貯留する第１の集塵室（２４）及び第２の集塵室（２５）を有し、第１の集塵室と第２の集塵室は連通していることにより、上記の課題を解決することができる。

Description

本発明は、内部で旋回流を発生させて、空気と塵埃を分離して塵埃のみを内部に溜めるサイクロン式集塵部を有する電気掃除機に関する。

従来から電気掃除機の集塵部において、紙パック式とサイクロン式のものがある。
紙パック式集塵部の電気掃除機の場合は、流下する空気から紙パックで塵埃を濾し取ることで、集塵室の内部に塵埃を貯留する。
この為、集塵室の内部に貯留されている塵埃には、電気掃除機を使用している間、空気の流れで圧縮方向の力が働くので、塵埃が圧縮されて、より多くの塵埃を紙パックの内部に貯留することが可能である。

これに対して、サイクロン式集塵部の電気掃除機の場合、被清掃面より吸引した空気と塵埃とを遠心力を利用して分離し、塵埃を集塵室の内部に貯留する。
この為、サイクロン式集塵部の集塵室内部には、一般的に風の流れがほとんど無いために、紙パック式集塵部と異なり、塵埃は圧縮されにくい。

従って、サイクロン式集塵部及び紙パック式集塵部において、集塵室の塵埃を保持可能な空間の容積が同じであれば、サイクロン式集塵部は紙パック式集塵部に比べて、塵埃を貯留する量が少ない。
このため、サイクロン式集塵部の方が紙パック式集塵部よりも、集塵室内部から塵埃を排出するゴミ捨ての頻度が紙パック式よりも多い。

そこで、サイクロン集塵部の集塵室により多くの塵埃を貯留する為に、電力により駆動する機械的に塵埃を圧縮する機能をサイクロン集塵部に設けた電気掃除機が考案されている（例えば、特許文献１参照）。

日本特開２００９−５６０３９号公報（図１）

しかしながら特許文献１の構成であると、サイクロン集塵部の集塵室内部に、電力により駆動する機械的に塵埃を圧縮するための構造をサイクロン集塵部に設けることから、集塵部の内部構造が複雑となると共に、集塵部が大きく重くなるという課題がある。

また、集塵部は、貯留した塵埃を廃棄し、その後メンテナンスをするために、電気掃除機本体と着脱可能であることが一般的である。
しかし、特許文献１に開示されている構成のように、電力により駆動する塵埃圧縮構造を用いた場合、電気掃除機本体と集塵部とを電気的に接続可能にする必要があり、集塵部を水洗い等でメンテナンスすることが難しいという課題がある。
更に、上記の塵埃圧縮構造は、塵埃を貯留する集塵室内で稼動するために、構造内部への塵埃の浸入等により、動作が不安定になるという課題がある。

本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、小型軽量で、さらに水洗いなどのメンテナンスが可能で、動作が安定している塵埃圧縮機能を有する集塵部を用いた電気掃除機を提供することを目的とする。

上記の課題を解決する為には、電気掃除機において、吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、該本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、サイクロン集塵部は、内部に取り込んだ空気と塵埃を分離する遠心分離部と、該遠心分離部と連通しており該遠心分離部で分離した塵埃を貯留する第１の集塵室及び第２の集塵室を有し、第１の集塵室と第２の集塵室は、連通していることにより、上記の課題を解決することができる。

本発明によれば、集塵室において、電力などにより駆動される機械的に塵埃を圧縮する手段を用いずに塵埃を圧縮することができる。

電気掃除機Ｃを示す全体図である。 集塵部２０を示す（ａ）正面図、（ｂ）側面図、（ｃ）Ｘ−Ｘ断面図である。 本体１０に集塵部２０が固定された状態を示す本体１０及び集塵部２０の左右方向の中心を切断した中央断面図である。 本体１０の斜視図である。 図３に示す集塵部２０の嵌合凹部２９と本体１０の嵌合凸部１３ａの拡大図である。 図５に示す嵌合凹部３０と嵌合凸部１３ａの嵌合が離れた状態を示す図である。 図３に示すロック部３１近傍を示す断面図である。 図７に示すロック部３１を解除した状態の断面図である。 集塵部２０を各部に分解した状態を示す平面図である。 集塵部２０の（ａ）Ｙ−Ｙ断面図、（ｂ）側面図、（ｃ）（ｄ）一部拡大図である。 集塵部２０の縦断面図である。 集塵室と遠心分離部との関係を示す分解図である。 遠心分離部２１，２２と連通部２３との関係を示す分解図である。 第１の遠心分離部２１と排気筒との関係を示す分解図である。 第１の遠心分離部２１に排気筒をセットした状態を上方から見た（ａ）平面図と（ｂ）断面図と（ｃ）一部拡大図である。 実施の形態２を示す集塵室の斜視図である。

（実施の形態１）
以下、図面を参照して実施の形態１について説明する。
図１は、電気掃除機Ｃを示す全体図である。
図２は、集塵部２０を示す（ａ）正面図、（ｂ）側面図、（ｃ）断面図である。
尚、図２（ｂ）側面図は、後述する第１の遠心分離部２１側から見た図である。また、図２（ｃ）断面図は、後述する左右に並ぶ第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２
を左右方向に切断した断面図である。

図１を参照すると、電気掃除機Ｃは、内部に各種機能部品が収納された本体１０と、この本体１０の上部に着脱自在に取付けられるサイクロン式集塵部２０（以下、集塵部２０）と、清掃面から塵埃を吸込み本体へと流すための吸込経路を形成する塵埃吸込手段５０から構成されている。

本体１０の内部には、電気掃除機Ｃの各部の制御を行う制御部や、被清掃部位より塵埃を吸引する為の力である吸引力を発生させる電動送風機や、外部の電源より電力を得る為の電源コードとこの電源コードを巻き取るコードリール等が収納されている。
また、本体１０の前部には、後述するホースユニット５１が連通して接続する接続開口１１が開口している。更に、本体１０の上面側部には、接続開口１１と連通し、後述する第１の遠心分離部２１に形成された塵埃取込開口２１ｃに連通して接続する連通路１２が設けられている。

次に、塵埃吸込手段５０は、ホースユニット５１と延長パイプ５２と床面吸込具５３から構成されている。
ホースユニット５１は、ホース５１ａの一端に本体１０の接続開口１１に対して着脱自在に接続する第１の接続部５１ｂが形成され、他端に延長パイプ５２等と接続される第２の接続部５１ｃが形成されており、第２の接続部５１ｃと一体に電気掃除機Ｃの操作を行う操作部５１ｄが設けられた手元ハンドル５１ｆが設けられている。

延長パイプ５２は、外形の大きさが異なる２本のパイプを組み合わせることで、全長が伸縮自在に構成されており、一端にホースユニット５１と接続する第１の接続部５２ａが形成され、他端に床面吸込具５３と接続する第２の接続部５２ｂが形成されている。
床面吸込具５３は、床面側に塵埃を吸込む吸込み開口５３ａが形成されている基体５３ｂと、この基体５３ｂに対して連通して回動自在に設けられ一端に延長パイプ５２と接続する接続部５３ｃにより構成され、使用時に清掃面である床面に沿って走行可能となっている。

以上の本体１０と集塵部２０と塵埃吸込手段５０は、塵埃吸込手段５０から本体１０に至るまで連通して接続されている。つまり、被清掃部位から吸上げられた塵埃は、空気と共に塵埃吸込手段５０を経て本体１０へと流れ込み、その後、集塵部２０の内部へと流入する。
そして、集塵部２０の内部で、空気から塵埃が分離され、塵埃は集塵部２０の内部に溜められ、空気は再び本体１０内部へと流入し電動送風機を経て排気口より本体外部へと排出される。
尚、床面吸込具５３は、被清掃部位に応じて様々な種類のものが用いられ、上記の形態に限るものではない。

次に、図２、図９、図１０を参照して集塵部２０について説明する。
集塵部２０は、遠心分離部２１，２２と連通部２３と集塵室２４，２５，６５から構成されている。
まず、遠心分離部２１、２２は、内部に流入した空気に対して、旋回流を生じさせることにより、内部に流入した空気と塵埃を遠心力で分離する部位であり、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２から構成されている。
尚、この第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２は、第１の遠心分離部２１から第２の遠心分離部２２へと空気が流下できるように、連通部２３によって連通して接続している。

次に、第１の遠心分離部２１の形状は、第１の円筒部２１ａと、下方向に向かって窄む形状である第１の円錐部２１ｂが、同一の中心軸上で上下に連結した筒形状を成している。また、第１の円錐部２１ｂは、窄んだ形状の先端が開口して第１の先端開口２１ｅが形成されている。
このように、第１の遠心分離部２１は、第１の円筒部２１ａと第１の円錐部２１ｂが上下に連結することにより筒状を成しているので、断面形状が円形状となっている。

そして、第１の遠心分離部２１の側面には、本体１０に設けられた連通風路１２から、塵埃を含んだ空気を内部に流入させるための塵埃取込開口２１ｃと、後述する第２の集塵室２５に連通する分岐開口２１ｆが開口している。また、第１の遠心分離部２１の上面には、連通部２３と接続する連通開口２１ｄが開口している。
塵埃取込開口２１ｃは、第１の円筒部２１ａの断面形状である円の接線方向に向いて開口している。これにより、第１の遠心分離部２１の内部に流入する空気は、第１の円筒部２１ａの内壁に沿って流れるので、効率よく旋回流が生じやすい構造となっている。

分岐開口２１ｆは、第１の円筒部２１ａと第１の円錐部２１ｂの境目付近に位置し、髪の毛や綿埃など比較的大きな塵埃が通過可能な程度の大きさに開口している。
連通開口２１ｄは、第１の遠心分離部２１内で塵埃が除去された空気を第１の遠心分離部２１から排気する為の開口であり、後述するメッシュ状のフィルター２７が設けられている。

ここで、第１の遠心分離部２１の内部を流れる気流Ｒに沿って、塵埃取込開口２１ｃと分岐開口２１ｆと第１の先端開口２１ｅの位置関係を説明する。
まず、塵埃取込開口２１ｃは塵埃を第１の遠心分離部２１の内部に取り込む開口であることから、気流Ｒの最も上流に位置する。分岐開口２１ｆは、第１の円筒部２１ａと第１の円錐部２１ｂの境目付近に形成されることから、気流Ｒの中間位置となる。

第１の先端開口２１ｅは、第１の遠心分離部２１の端に位置することから、分岐開口２１ｆより下流に位置することになる。
また、第１の遠心分離部は、分岐開口２１ｆの位置から第１の先端開口２１ｅ向かって窄んだ形状となる為、第１の先端開口２１ｅに近づくにつれて、気流Ｒの旋回速度が増すように構成されている。

以上のように構成された第１の遠心分離部２１は、本体１０を流下した塵埃が混ざった空気を塵埃取込開口２１ｃから内部に取り込み、空気の旋回流を生じさせることで、取り込んだ空気から、髪の毛や飴袋や綿ゴミや比較的大きな砂など嵩が大きく風の影響を受けやすい塵埃（以下、ゴミＡとする）と、花粉などの微細塵を除くゴミＡよりも細かい塵埃（例えば、細かい砂ゴミなど、以下、ゴミＢとする）を分離する部位となっている。
つまり、ゴミＡは風の影響を受けやすいので、旋回流の速度が第１の円錐部２１ｂの位置に比べて、さほど大きくならない第１の円筒部２１ａの位置で空気から分離される。ゴミＢは、第１の円筒部２１の位置より旋回流の速度が上がる第１の円錐部２１ｂの位置で空気から分離されることとなる。

そして、ゴミＡとゴミＢが取り除かれた空気は、連通開口２１ｄからフィルター２７を通り、後述する連通部２３を経て、第２の遠心分離部２２へと流下する。
また、第１の遠心分離部２１で空気から分離されたゴミＡは、分岐開口２１ｆを経て後述する第２の集塵室２５へ、ゴミＢは第１の先端開口２１ｅを経て後述する第１の集塵室２４へ送られて溜められる。

次に、第２の遠心分離部２２の外形状は、下方向に向かって窄み先端に第２の先端開口２２ｂが開口する第２の円錐部２２ａとなっている。また、第２の円錐部２２ａの外側には、この第２の円錐部２２ａの周囲を被い、第２の先端開口２２ｂが開口する方向と同じ方向に開口する開口部２２ｆを有する第２の円筒部２２ｂが一体的に連結して筒形状を成している。
つまり、第２の円錐部２２ａは、第２の円筒部２２ｂの内部に至って円錐形状を成している。この様に外形状が構成されているので、第２の遠心分離部２２の断面形状は、円形状となっている。

また、第２の遠心分離部２２の第２の円錐部２２ａの内部と連通するように、第２の先端開口２２ｅに集塵円筒部２２ｄが接続されている（図１０参照）。この集塵円筒部２２ｄは、後述する第３の集塵部６５を構成する。
この集塵円筒部２２ｄの第２の円錐部２２ａと接続する側の部位の内壁２２ｉは、第２の円錐部２２ａの内壁と連続的に繋がる円錐形状となっている。これにより、集塵円筒部２２ｄの内部に至って、第２の円錐部２２ａの内壁面と連続的に円錐形状の内壁面が形成される。

この為、集塵円筒部２２ｄは、円錐形状の部位と円筒形状の部位が上下に組み合わさった形状であることから、両部位の形状の違いにより、集塵円筒部２２ｄの円筒形状の部分と円錐形状の部分との間に、空間部２２ｇが形成される。
この空間部２２ｇは、第２の先端開口２２ｂに集塵円筒部２２ｄが接続された状態において、第２の先端開口２２ｂに設けられた壁部２２ｈに周囲を囲まれることにより、塵埃の進入が防止されている。

ここで、第２の遠心分離部２２と集塵円筒部２２ｄは、樹脂によりそれぞれ別部品に成形した後、後加工で接着や超音波溶着などで固着する手法をとっている。
これは、複雑な形状や厚みが異なる部位を有する部品は、成形時に「ヒケ」等の現象が生じやすいことから、成形時のバラつきが生じにくい部品単位ごとに部位を構成し、これらを組み立てることで理想的な遠心分離部の形状を確実に形成するためである。

つまり、壁部２２ｈと集塵円筒部２２ｄと第２の円錐部２２ａを、樹脂により一体的に構成する場合、壁部２２ｈと集塵円筒部２２ｄと第２の円錐部２２ａで構成される略三角形の部位の内部を空洞にするのは、樹脂成形を行う上で狙った厚さ通りに成形することは、大変困難である。このため、上記の部位を樹脂成形により構成する場合は、他の部分よりも極端に肉厚の厚い偏肉部となってしまう。

特に、ＡＢＳ等の樹脂で偏肉部を形成した場合は、樹脂を成形時にヒケ（形状の乱れ）が生じやすく、第２の円錐部２２ａの内部にヒケが生じた場合は、空気の流れを阻害し、空気の旋回スピードを所定の速さまで上げられずに、塵埃と空気を確実に分離できない可能性が高い。
そのため、本実施の形態では、第２の円錐部２２ａと集塵円筒部２２ｄをそれぞれ別の部品で構成し、後加工（超音波溶着等）で固着する手法をとっている。

このように構成された第２の円錐部２２ａの直径は、第１の遠心分離部２１の第１の円錐部２１ｂよりも小さく構成されている。また、第２の円錐部２２ａと第２の先端開口２２ｂに接続されている集塵円筒部２２ｄの断面中心は、全て同一軸上となるように配置されている。

次に、第２の遠心分離部２２の上面には、連通部２３と接続する連通開口２２ｃが開口している。
この連通開口２２ｃは、第１の遠心分離部２１でゴミＡ及びゴミＢを分離した空気を第２の遠心分離部２２内部に取り込むと共に、第２の遠心分離部２２内部で塵埃を分離した空気を本体１０に向けて排気する為の開口である。

また、第２の遠心分離部２２も第１の遠心分離部２１と同様に、取り込んだ空気から塵埃を分離する部位であるが、第２の円錐部２２ａの直径は第１の円錐部２１ｂの直径より小さく構成されていることから、第１の遠心分離部２１の内部で生じる旋回流より、高速な旋回流が生じる。
従って、第２の遠心分離部２２は、第１の遠心分離部２１において、ゴミＡおよびゴミＢを除去した空気を取り込み、内部で空気の旋回流を生じさせることで、取り込んだ空気から微細な塵埃（例えば、微細な砂粒や花粉など、以下、「ゴミＣ」とする）を分離することができる。
そして、ゴミＣが取り除かれた空気は、後述する連通部２３に形成された排気路２３ｂを経て本体１０へと排出され、ゴミＣは後述する第３の集塵室６５へと送られて溜められる。

以上のように構成された第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２は、次のように配置されて一体に遠心分離部２１，２２を構成する。
まず、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２は、左右に並んで配置される。この状態において、第１の遠心分離部２１を構成する第１の円筒部２１ａと第１の円錐部２１ｂの断面中心を通る中心軸Ｍ１と、第２の遠心分離部２２を構成する第２の円錐部２２ａと第２の円筒部２２ｂの断面中心を通る中心軸Ｍ２は、平行となるように第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２が配置されている。
また、第１の先端開口２１ｅと第２の先端開口２２ｅは、同じ方向を向いている。つまり、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２の窄む方向が一致している。

そして、集塵部２０を本体１０に装着した際に、集塵部２０の本体１０側の反対となる位置であって、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２に挟まれた部位には、集塵部２０のみ、又は、本体１０に集塵部２０を取付けた状態で、使用者がこれらを持ち運びする為のハンドル２６が設けられている。

ハンドル２６は、中心軸Ｍ１及び中心軸Ｍ２の間に、各中心軸に沿う方向に長く延びて配置されている。つまり、中心軸Ｍ１と中心軸Ｍ２とハンドル２６は、互いに平行に並んで配置されている。
また、ハンドル２６は、集塵部２０と連通部２３が接続した状態において、連通部２３と重なるように、集塵部２０から突出して延びている。これにより連通部２３は、外部からの衝突による衝撃から、ハンドル２６により保護されている。

更に、ハンドル２６と各遠心分離部２１，２２の間には、中心軸Ｍ１及び中心軸Ｍ２の軸方向に対して、直角の向き（側方）に開口する開口部２６ａが形成されている。
この開口部２６ａは、使用者がハンドル２６を握る際に、手を挿入して手かけ位置として用いるものであり、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２に挟まれた空間、つまり、第１の遠心分離部２１の外面と第２の遠心分離部２２の外面に囲まれた位置である窪み部２０ａに、集塵部２０を側方から見て一部が重なるように開口している。

次に、連通部２３は、第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２を連通して接続する部位であり、内部に連通路２３ａと、この連通路２３ａとは独立した排気路２３ｂが形成されている。
この様に構成された連通部２３は、連通開口２１ｄと連通開口２２ｃが連通路２３ａで連通されると共に、連通開口２２ｃの中心に排気路２３ｂの開口が位置するように、遠心分離部２１，２２の上部に設けられる（図１０参照）。

次に、第１の遠心分離部２１及び第２の遠心分離部２２で分離された塵埃（ゴミＡ，ゴミＢ，ゴミＣ）が貯留される集塵室は、次のように構成される。
集塵室２４，２５は、カップ形状である内部に空間が形成される基体からなり、基体の内部に仕切り７０を設けることにより、仕切り７０を介して隣り合うように第１の集塵室２４と第２の集塵室２５が形成されている。

この仕切り７０には、隣り合う集塵室を連通する仕切り開口部７０ａが形成され、この仕切り開口部７０ａには、後述するフィルター手段７０ｆとなるポリエステル等のメッシュ状のクロスやエッチング処理やパンチング加工を施し微細な開口が形成されたステンレス板が設けられている。
つまり、仕切り開口部７０ａは、塵埃は通り抜けられないが、空気は通り抜けられるように構成されている。
また、第２の集塵室２５の底には、凹部２５ｃが形成されており、この凹部２５ｃにはリング形状のパッキン２５ｄが設けられている。

この様に構成され集塵室２４，２５は、次のように遠心分離部と結合する。
まず、それぞれの集塵室２４，２５を形成するカップ形状の基体の開口部２４ａ，２５ａを上方に向けて、遠心分離部２１，２２の下部に配置される。
そして、第１の集塵室２４の内部には、第１の遠心分離部２１が入り込み、第２の集塵室２５の内部には、集塵円筒部２２ｄが入り込んだ状態で、開口部２４ａ，２５ａが遠心分離部２１，２２に合わさり閉じられた状態で結合し保持される。

この状態において、第１の集塵室２４の底と、第１の先端開口２１ｅの間にはクリアランスＫが形成されている。つまり、第１の遠心分離部２１と第１の集塵室２４は、第１の先端開口２１ｅを介して連通した状態となる。
また、第２の集塵室２５の底に形成された凹部２５ｃに設けられたリング状のパッキン２５には、集塵円筒部２２ｄの先端である開口縁全体がリング状のパッキン２５ｄに当接して密着した状態となる。つまり、集塵円筒部２２ｄの内側と第２の集塵室２５は、直接連通していない状態となる。
このように、第２の集塵室２５の内部に、独立した空間を形成することで、第３の集塵室６５が形成されている。

以上のように、第１の集塵室２４は、第１の遠心分離部２１と第１の先端開口２１ｅを介して直接連通している。
また、第２の集塵室２５は、第１の遠心分離部２１と分岐開口２１ｆを介して直接連通しており、また、仕切り開口部７０ａを介して第１の集塵室２４と直接連通している。つまり、分岐開口２１ｆから第２の集塵室２５へ流れ込んだ気流は、仕切り開口部７０ａを通過して第１の集塵室２４に流れ、更に、第１の先端開口２１ｅを通過して第１の遠心分離部２１内部へ流下可能である。
更に、第３の集塵室６５は、第２の遠心分離部２２と第２の先端開口を介して直接連通している。

この様に第１の集塵室２４は、第１の遠心分離部２１で空気と分離されたゴミＢを貯留する部位であり、第２の集塵室２５は、第１の遠心分離部２２で空気と分離されたゴミＡを貯留する部位であり、第３の集塵室６５は第２の遠心分離部２２で空気と分離したゴミＣを貯留する部位となっている。

尚、第１の集塵室２４と第２の集塵室２５の間の外側には、突出部２８が各集塵室と一体的に形成されている。この突出部２８の外面は、ハンドル２６の外面と連続的に繋がる曲面に構成されている。このように曲面に構成することで、意匠性を高めると共に、障害物に対して引っかかりにくい構造と成っている。
また、第１の集塵室２４と第２の集塵室２５の間であって、突出部２８が位置する側の反対側には、集塵室２４，２５を取外した際に使用者が握る第２のハンドル２９が突出して設けられている。

次に、集塵部２０は、図３〜図８に示すように構成することで、本体１０に着脱可能に構成される。図３は、本体１０に集塵部２０が固定された状態を示す本体１０及び集塵部２０の左右方向の中心を切断した中央断面図である。図４は、本体１０の斜視図である。図５は、図３に示す集塵部２０の嵌合凹部３４と本体１０の嵌合凸部１３ａの拡大図である。図６は、図５に示す嵌合凹部３０と嵌合凸部１３ａの嵌合が離れた状態を示す図である。図７は、図３に示すロック部３１近傍を示す断面図である。図８は、図７に示すロック部３１を解除した状態の断面図である。

図３〜図８を参照すると、本体１０の上面１３は前方へ向けて傾斜しており、上面の下端には嵌合凸部１３ａが形成され、傾斜面には凹部１３ｂが形成され、上面の上端には係合受部１３ｃが設けられている。
次に、集塵部２０の集塵室２４，２５を構成する部位の下端（図５中、左斜め下端）部分には、下方に向いて開口する嵌合凹部３４が形成されている。そして、集塵部２０の連通部２３の上部には、ロック部３１が動作自在に設けられている。
このロック部３１は、使用者が動作させる為のレバー３１ａと、このレバー３１ａの動きに連動して動く係合部３１ｂと、レバー３１ａの誤動作を防止する為の誤動作防止カバー３１ｃにより構成されている。

以上のように各部が構成された集塵部２０は、嵌合凹部３４と嵌合凸部１３ａが嵌合すると共に、第２のハンドル２９が凹部１３ｂに入り込んだ状態で、本体１０の上面１３に設けられる。
そして、ロック部３１の係合部３１ｂが係合受部１３ｃに係合することにより、本体１０から集塵部２０が脱落しないように保持される。

尚、係合部３１ｂと係合受部１３ｃの係合状態は、レバー３１ａを動作させることにより解除することが可能であり、これにより、本体１０から集塵部２０を外すことが可能となる。
また、ロック部３１は、常に閉方向に付勢されている誤動作防止カバー３１ｃで覆われており（図７の状態）、誤動作防止カバー３１ｃを開方向に動作（図８の状態）させない限り、レバー３１ａを使用者が動作させることができない構造となっている。

次に、図１０を参照すると、以上のように集塵部２０を本体１０に取り付けて使用することにより、集塵部２０の内部に取り込んだ空気が旋回流となって流下し、遠心力により空気と塵埃を分離する。
尚、図中の気流Ｒ，分岐気流Ｓは、集塵部２０内部の空気の流れを示している。

まず、塵埃取込開口２１ｃから第１の遠心分離部２１に流入した塵埃を含んだ空気は、円筒部形状である第１の遠心分離部２１の内壁に沿って、旋回する気流Ｒとなって第１の先端開口２１ｅの方向に向かって流れる。
そして、分岐開口２１ｆに気流Ｒが差し掛かると、旋回流により生じる遠心力により、嵩が大きく風の影響を受けやすいゴミＡと共に、気流Ｒから空気の流れが一部分離して分岐気流Ｓが形成される。
ここで、分岐開口２１ｆが開口する位置が第１の円筒部２１ａであるため、気流Ｒの旋回速度が、第１の円錐部２１ｂでの旋回速度より遅い。従って、分岐開口２１ｆの位置では、嵩が大きく風の影響を受けやすいゴミＡのみが、分岐気流Ｓと共に第２の集塵室２５へと流下する。

この分岐気流Ｓは、ゴミＡを含んだ状態で、分岐開口２１ｆから第２の集塵室２５内部へと入り込み、第２の集塵室２５の内部を流下する。そして、第２の集塵室２５の内部を流下した分岐気流Ｓは、仕切り７０に形成された仕切り開口部７０ａから第１の集塵室２４と入り込み、第１の先端開口２１ｅを通り抜けて気流Ｒと合流する。
つまり、分岐気流Ｓの流れる経路は、気流Ｒのバイパス風路となっている。

ここで、仕切り開口部７０ａには、ポリエステル等のメッシュクロスやエッチング処理やパンチング加工を施し微細な開口が形成されたステンレス板等のフィルター手段７０ｆが設けられている。
従って、仕切り開口部７０ａを空気は通り抜けられるが、所定の大きさがある塵埃は通り抜けることができないように構成されている。
つまり、分岐気流Ｓに含まれるゴミＡは、仕切り開口部７０ａでフィルター手段７０ｆにより濾しとられて、第２の集塵室２５の内部に貯留される。

また、第２の集塵室２５に貯留されるゴミＡは、電気掃除機を使用している間は、常に分岐気流Ｓの流れの中にある。
これにより、第２の集塵室２５に貯留されているゴミＡには、空気の流れで圧縮方向の力が作用して、ゴミＡが占有する体積が圧縮されることで、より多くの塵埃を第２の集塵室２５の内部に貯留することが可能となる。

特に、第２の集塵室２５に貯留されるゴミＡは、嵩が大きいゴミであることから、上記のように圧縮して貯留することによる集塵室内に貯留できる塵埃の貯留量増加の効果が大きい。つまり、従来の集塵室の場合、嵩が大きいゴミＡは、細かい砂粒等と比較して、集塵室に保持された状態において、近接するゴミ同士の間に比較的多くの空間が介在する。そこで、本実施の形態のように、ゴミＡを圧縮して貯留することにより、上記のゴミとゴミとの間に介在する空間を無くし、ゴミの貯留スペースとすることができる。

次に、分岐開口２１ｆから分岐気流Ｓとならずに、そのまま気流Ｒとして第１の遠心分離部２１の内部を流下した空気は、第１の円錐部２１ｂに差し掛かる。
これにより、塵埃を含んだ空気の旋回流の旋回半径が小さくなるので、旋回スピードが増大し、遠心力が強くなり、分岐開口２１ｆでは分離できなかったゴミＢが、気流から分離される。
気流から分離されたゴミＢは、気流により下方向に押され、第１の先端開口２１ｅから第１の集塵室２４の内部に入り込んで貯留される。

次に、第１の遠心分離部２４で空気と分離しきれなかった微細なゴミＣは、気流Ｒと共に第１の遠心分離室２４の内壁に沿って流下する旋回流の中心を上方に流れ、開口２１ｄに設けられたフィルター２７を経て、第１の遠心分離部２１から排出され、連通部２３を通り、第２の遠心分離部２２の内部へと流下する。

第２の遠心分離部２２へと流下したゴミＣを含んだ空気は、第２の円錐部２２ａに流下することで、第１の遠心分離部２１と同様に旋回流による遠心力を発生するが、第２の円錐部２２ａの直径は、第１の円錐部２１ｂのそれより小さく構成されている。
これにより、第２の円錐部２２ａでは、気流Ｒの旋回スピードがより速くなり、第１の遠心分離部２１で生じる遠心力よりも、強い遠心力発生させることが可能である。
従って、第２の遠心分離部２２では、第１の遠心分離部２１で分離することが難しい微細なゴミＣを、空気から分離することができる。

このように空気から分離されたゴミＣは、第２の先端開口２２ｅから第３の集塵部６５の内部へと入り込み、溜め込まれる。
ゴミＣが除去された空気は、第２の遠心分離部２２の内壁に沿って旋回しながら流下する気流Ｒの中心を上方に流れ、連通部２３に形成された排気路２３ｂを通り、本体１０に開口する排気取入口１５から本体１０内部へと流下する。
そして、本体１０の内部に流れた空気は、電動送風機を経て本体１０に開口する排気口より、本体１０の外部に排気される。

以上のように遠心分離部及び集塵室を構成することにより、次のような効果を得る。
上記のように、塵埃を含んだ空気は、塵埃取込開口２１ｃから気流Ｒの通り、各遠心分離部２１，２２に取り入れられる。そしてゴミＡ、ゴミＢ、ゴミＣと３段階に空気から分離され、それぞれ第２の集塵部２５、第１の集塵部２４、第３の集塵部６５へと溜め込まれる。

通常の場合、ゴミＡは嵩が大きいため、分離した段階では非常に大きな体積があり、そのままの状態ではすぐに集塵部が一杯になりゴミ捨ての頻度が非常に多くなってしまう。
しかし、本実施の形態のように、気流Ｒのバイパス風路となる分岐気流Ｓが形成されているため、ゴミＡは圧縮された状態で第２の集塵部２５に納まり、ゴミ捨ての頻度を減らす効果がある。
尚、ゴミＢとゴミＣは、ゴミＡと比較すると非常に体積が小さいため、被清掃面から吸引される空気に含まれる塵埃のなかで大きな体積を占めておらず、ゴミＡのみを圧縮することによりゴミ捨ての頻度の削減は問題なく達成できる。

更に、本実施の形態では、機械的な構造を用いずに、気流の流れを利用してゴミの圧縮を行っているため、安定した動作を継続的に行える。
更に、集塵室２４，２５に塵埃が溜まった場合、まず使用者は、集塵部２０を本体１０より取り外し、さらに集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２を分離して、集塵室内部の塵埃を捨てる。

更に、集塵部２０が吸引した塵埃により汚れてきた場合、電気的な手段を利用する機械的構造を用いていないため、集塵部２０全体を水洗いすることが可能である。
更に、集塵部２０に電気的手段を利用する機械的構造を取っていないため、集塵部２０を軽くコンパクトに構成することが出来る。

また、本実施の形態のようにハンドル２６を構成することで、次のような効果を得る。
まず、隣り合う第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２の間に、集塵部２０、又は、本体１０に取付けられた状態の集塵部２０を持ち運びする為のハンドル２６を設けることにより、ハンドル２６が集塵部２０から突出する量を最低限に抑えることができ、集塵部を小型することができる。

つまり、各遠心分離部２１，２２は、断面形状が円形状であるため、隣り合って配置されることにより、隣り合う遠心分離部２１，２２の間に窪み部２０ａが形成される。この窪み部２０ａをハンドル２６の配置位置にすることにより、集塵部２０からの突出量を抑えたハンドル２６を形成することができる。

特に、この窪み部２０ａにハンドル２６の開口２６ａを位置させることにより、ハンドル２６を大きく形成することなく、ハンドル２６を使用者が握る為の手かけ部を十分に確保することができる。
このように、集塵部２０からのハンドル２６の突出量が小さいので、掃除機全体を小型化できると共に、使用中に掃除機が転倒したり、掃除機を落下させたり、掃除機が障害物に接触しても、ハンドル２６の破損を防止することができる。

更に、遠心分離部は筒形状を成しており、隣り合う遠心分離部は、それぞれの筒の中心軸Ｍ１，Ｍ２が略平行となるように配置され、ハンドル２６の長手方向は、中心軸Ｍ１，Ｍ２の軸方向となるようにハンドル２６を形成したので、ハンドル２６の位置が集塵部２０の中心となり、使用者が、バランスよくハンドル２６を握ることができる。

更に、ハンドル２６は、集塵部２０の本体１０に取付け側の反対側の位置に設けることにより、集塵部２０を本体１０に取付けた状態で、集塵部２０と本体１０を持ち運びすることができる。
これにより、集塵部２０のハンドルと本体１０のハンドルを共通化することができ、掃除機Ｃの部品点数の低減、軽量化、小型化を行うことができる。
更に、隣り合う遠心分離部２１，２２の間にハンドル２６を位置しているので、複数の遠心分離部を一体に形成して、１つのユニットとした場合、ハンドル２６が各遠心分離部を繋ぐ補強部材の役割をはたすことができる。

（実施の形態２）
次に、図１６を参照して、本発明の実施の形態２について説明する。尚、実施の形態１と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、集塵室２４，２５を構成するカップ形状の部材と、集塵室の内部を仕切り第１の集塵室２４と第２の集塵室２５を形成する仕切り７５をそれぞれ別部品として構成したものである。
尚、仕切り７５には、第１の集塵室２４と第２の集塵室２５を連通する仕切り開口部７５ａが形成されている。また、この開口部７５ａには、空気は通過可能であるが塵埃は通過することができないフィルター手段７５ｆが取り付けられる。

集塵室２４，２５の内壁面には、仕切り７５を取り付けるための一対のガイド部２５ｇが設けられている。このガイド部２５ｇは、凹形状を成しており、開口が向かい合うように対向する壁面に設けられている。
そして、このガイド部２５ｇの開口内部に沿って、板状の仕切り７５が挿入されて集塵室２４，２５の内部に設けられ、超音波溶着などにより固着される。
また、仕切り７５のガイド部２５ｇと接する部位に、軟質材により構成されるシール部７５ｂを設けることにより、仕切り７５と集塵室２４，２５の内壁面との間がシールされる。

以上のように、集塵室２４，２５と仕切り７５を別部品として構成することにより、それぞれの部品の成形が容易になる。
つまり、仕切り７５の仕切り開口部７５ａには、上記の機能を有するフィルター手段７５ｆを設けるが、仕切り７５を樹脂により成形する際に、フィルター手段７５ｆを含めたインサート成形を行うことができるので、仕切り７５とフィルター手段７５ｆを一体に形成することが可能となる。
これにより、フィルター手段７５ｆが仕切り７５に内包されるので、フィルター手段７５ｆの脱落が生じにくく構成することができる。

尚、仕切り開口部７５ａに設けるフィルター手段７５ｆは、例えば、ポリエステルなどで構成されたメッシュ状のクロスやステンレス等の金属板にエッチング処理やパンチング加工を施し微細な開口を持たせたものを用いるとよい。
微細な開口が形成された金属板をフィルター手段７５ｆとして用いた場合、フィルター手段７５ｆの強度をより強く構成することができるので、破損などを防止することが可能となる。
メッシュ状のクロスをフィルター手段７５ｆに用いた場合、上記の金属板を用いた場合と比較して、より目の細かいフィルター手段７５ｆを構成することが可能である。
また、インサート成形に限らず、仕切り開口部７５ａの周縁の壁面に、仕切り開口部７５ａを被うようにフィルター手段７５ｆを接着剤等で貼り付けたり、別の枠体と挟み込んで固定したりしてもよい。

（参考例）
以上のように各実施の形態を説明したが、図９〜図１５を参照して、これらの集塵部２０に適用可能な分割構造の参考例について説明する。尚、各実施の形態と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図９は、集塵部２０を各部に分解した状態を示す平面図である。図１０は、集塵部２０の断面図と一部拡大図である。図１１は、集塵部２０の縦断面図である。図１２は、集塵室と遠心分離部との関係を示す分解図である。図１３は、遠心分離部２１，２２と連通部２３との関係を示す分解図である。図１４は、第１の遠心分離部２１と排気筒との関係を示す分解図である。図１５は、第１の遠心分離部２１に排気筒をセットした状態の断面図と一部拡大図である。

図９〜図１０を参照すると、集塵部２０は、遠心分離部２１，２２と連通部２３と集塵室２４，２５の３つの部品に分割可能に構成されている。
第１の遠心分離部２１と第２の遠心分離部２２を有する遠心分離部２１，２２の連通部２３と合わさる側のそれぞれの開口縁には、第１の溝部３２が形成されている。この第１の溝部３２には、連通部２３と遠心分離部２１，２２が合わさるときに、両部材の間の気密性を保つ為の第１のシール部材３２ａが圧入により取り付けられている。

また、遠心分離部２１，２２の集塵室２４，２５と合わさる側の開口縁には、第２の溝部３３が形成されている。この第２の溝部３３には、集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２が合わさるときに、両部材の間の気密性を保つ為の第２のシール部材３３ａが圧入により取り付けられる。
これらのシール部材３２ａ，３３ａは、各溝部３２，３３から着脱自在に構成されており、水洗いや部品交換などのメンテナンスを行うことができる。

次に、図１１と図１２を参照すると、集塵室２４，２５の本体１０と着脱する面と反対側の部位には、遠心分離部２１，２２方向に開口する爪受け部３５が形成されている。
また、集塵室２４，２５の本体１０と着脱する側の部位には、集塵室ロック部３７が設けられている。この集塵室ロック部３７は、遠心分離部２１，２２方向に突出する係合部３７ａとこの係合爪部３７ａを動作させる係合解除ボタン３７ｂから構成されている。
尚、集塵室ロック部３７は、集塵室２４，２５を持ち運ぶ為の第２のハンドル２９に設けられている。

そして、遠心分離部２１，２２には、集塵室２４，２５方向に突出する爪部３６と、集塵部２４，２５方向に開口する爪受け部３９が形成されている。
つまり、集塵室ロック部３７は、集塵室２４，２５を持ち運ぶ為の第２のハンドル３９の遠心分離部２１，２２と接合する側に設けられ、回動する係合爪部３７ａが、爪受け部３９との係合方向に付勢されており、爪受け部３９と係合する構造である。

この様に構成され遠心分離部２１，２２と集塵室２４，２５は、次の様に合わさり固定される。まず、爪受け部３５の内部に爪部３６が挿入されて係合される。そして、爪受け部３９の内部に係合爪部３７ａが挿入されて係合される。
尚、この状態において、第２のシール部材３３ａに集塵室２４，２５の開口縁２４ｂ，２５ｂが密着する。これにより、遠心分離部２１，２２と集塵部２４，２５は、両部材の間で気密性を保った状態で結合して保持される。

また、使用者が第２のハンドル２９を持った状態で、係合解除ボタン３７ｂを操作することにより、爪受け部３９と係合爪部３７ａの係合を解除することができるので、容易に第２のハンドル２９を持つ手を軸に、遠心分離部２１，２２と集塵室２４，２５を分離することが可能である。

また、係合解除ボタン３７ｂは、集塵室２４，２５に設けられた第２のハンドル側に位置しているので、集塵部２０が本体１０の取り付けられている状態では、集塵部２０と本体１０に挟まれた部位に位置し、使用者が操作をすることができない。
これにより、電気掃除機Ｃを用いて掃除している際に、誤って係合解除ボタン３７ｂを操作することが無く、集塵室２４，２５内部に溜めてある塵埃を開放してしまうことが無い。

次に、図１１と図１３を参照すると、連通部２３には、第１の爪受け部４０と第２の爪受け部４１が設けられている。また、遠心分離部２１，２２には、連通部ロック部４２が設けられている。この連通部ロック部４２は、第１の爪４３、第２の爪４４、連動棒４５から構成されている。
そして、第１の爪受け部４０に第１の爪４３が係合し、第２の爪受け部４２に第２の爪４４が係合しすることにより、連通部２３と遠心分離部２１，２２が連結した状態で保持される。

尚、この状態において、第１のシール部材３２ａに連通部２３の開口縁２３ｄが密着する。これにより、遠心分離部２１，２２と連通部２３は、両部材の間で気密性を保った状態で結合される。
ここで、第１の爪４３の動きに第２の爪４４が連動するように連動棒４５は設けられている。これにより、第１の爪受け部４０と第１の爪４３が係合状態と、第２の爪受け部４２と第２の爪４４の係合状態を解除する場合、使用者は、第１の爪４３を動かして係合状態を解除するだけで、第２の爪４４の係合状態を解除することができる。

ここで、図１４〜図１５を参照すると、フィルター２７は、円筒部２７ａと円筒部２７ａと一体に繋がった円錐部２７ｂにより構成された筒形状をなしたメッシュ状の開口が形成されたフィルター部と、円筒部２７ａの開口端から広がるフランジ状のベース部２７ｃから構成されている。

このように、フィルター２７の形状を円筒形状に構成することで、第１の遠心分離室２１の内部で、旋回流が生じやすることができる。
また、フィルター２７を筒形状とすることで、メッシュ状の開口が形成される面積を広く確保することができ、フィルター２７を流れる空気の流れを多くすることができる。

また、ベース部２７ｃの周縁には、外方に向かって開口する溝部２７ｄが形成されている。そして、この溝部２７ｄには、シール部材５２が設けられている。
次に、シール部材５２は、フィルター２７を第１の遠心分離部２１の連通開口２１ｄに取付けた際に、第１の遠心分離部２１の内壁面２１ｈに接合して、フィルター２７と第１の遠心分離部２１の間に介在する隙間を埋めて、両部間の気密性を確保する為の部材である。

このシール部材５２は、パッキン部５２ａを有し、パッキン部５２ａは第１の遠心分離部２１と当接して上述の気密性を確保する。このパッキン部５２ａの端部は、溝部２７ｄ内に収納され、シール面となるパッキン５２ａの部位は、溝部２７ｄから外方へ突出している。この突出した部位が、第１の遠心分離部２１の内壁面２１ｈと接する。

尚、フィルター２７が連通開口２１ｄに取付けられた際に、シール部材５２は、溝部２７ｄと第１の遠心分離部２１の内壁面２１ｈに囲まれた空間から突出する（はみ出す）ことなく、溝部２７ｄの内部に取り付けられる。
つまり、シール部材５２は、溝部２７ｄと第１の遠心分離部２１の壁面に囲まれ、第１の遠心分離部２１の内部に露出していない状態となっている。

このように構成されたフィルター２７は、第１の遠心分離部２１の中心軸Ｍ１と円筒部２７ａ及び円錐部２７ｂの軸中心が一致するように連通開口２１ｄに設けられる。
ここで、図１３を参照すると、第１の遠心分離部２１の連通開口２１ｄの近傍には、第１の遠心分離部２１の中心軸Ｍ１に対して、常に傾斜する方向に付勢されている回動邪魔板５４が設けられている。

この回動邪魔板５４が傾斜した状態であるとき、遠心分離部２１，２２に連通部２３を取り付けようとすると、邪魔板端部５５が連通部２３に形成されているリブ５６と干渉して、遠心分離部２１，２２に対して、連通部２３が取り付けられない構造となっている。つまり、回動邪魔板５４は、フィルター２７が遠心分離部２１，２２に取り付けられていない状態では、遠心分離部２１，２２に対して連通部２３の取り付けを阻害する取り付け規制手段となっている。

このような状態において、第１の遠心分離部２１にフィルター２７を取り付けると、フィルター２７に設けられた干渉板５７が回動邪魔板５４に当接する。
これにより、回動邪魔板５４が中心軸Ｍ１とほぼ平行となるように回動されて、遠心分離部２１，２２に連通部２３を取り付ける際に、邪魔板端部５５とリブ５６が干渉しない位置関係となり、遠心分離部２１，２２に連通部２３を取り付けることが可能となる。
尚、干渉板５７はフィルター２７を取り外すときの持ち手として利用することが可能である。

以上のように各部を構成することにより、次のような作用・効果を得る。
集塵室２４，２５に塵埃が溜まった場合、まず使用者は、集塵部２０を本体１０より取り外す。その後、ハンドル２６を持ち集塵部２０を、塵埃を廃棄する場所まで移動する。
そして、移動後にハンドル２６を片手で持ち、もう片方の手で集塵室２４，２５に設けられた第２のハンドル２９を持ちながら、集塵室ロック部３７の係合解除ボタン３７ｂを押すことにより、係合爪部３７ａと爪受け部３９の係合が外れ、集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２の連結が解除され、集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２を分離して、集塵室内部の塵埃を捨てる。

このように、集塵室２４，２５から塵埃を廃棄する際に、集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２の両方にそれぞれハンドルがあるため、各種解除ボタンの操作性が良い。
特に、集塵室のハンドル２９に、集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２の係合状態を解除する集塵室ロック部３７が配置されているので、集塵室２４，２５のハンドル２９を握った状態で、遠心分離部２１，２２から集塵部２４，２５を分離できる。
これにより、集塵室２４，２５内部から塵埃をこぼし難く、塵埃の排出作業を、手を汚さず行うことができる。

更に、集塵部全体を水洗い等のメンテナンスを実施する場合は、上記のように集塵室２４，２５と遠心分離部２１，２２を分離することに加え、遠心分離部２１，２２の第１の爪４３を解除方向に動作することにより、第１の爪４３と第１の爪受け部４０、第２の爪４４と第２の爪受け部４１の連結をそれぞれ解除して、連通部２３を遠心分離部２４，２５から、容易に分離することが可能である。

これにより、連通部２３と遠心分離部２１，２２と集塵室２４，２５とに、それぞれ機能別に集塵部２０を分解することができるので、各部の特徴に応じたメンテナンスを行うことができる。
また、集塵部２０は、空気と塵埃を分離する遠心分離室２１，２２、各遠心分離室を連通する風路となる連通部２３、分離した塵埃を溜める集塵室２４，２５などのように、機能ごとに纏まって分解できるので、分解や組み立て等の作業性がよく、各機能部に適したメンテナンスを行いやすい。
また、遠心分離部２１，２２から第１のシール部材３２ａと第２のシール部材３３ａを取外すことができるので、細部までメンテナンスを行うことも可能である。

更に、第１の遠心分離室２１が、髪の毛などの遠心力を受けにくく比較的に大きい塵埃を大量に吸引した場合、第１の遠心分離室２１から第１の集塵室２４へ遠心力で運べず、またフィルター２７のメッシュ状の開口も通過できないため、塵埃がそのまま第１の遠心分離室２１の内部に残ってしまう場合がある。
しかし本実施の形態の構成であれば、フィルター２７を取り外すことができるので、第１の遠心分離室２１の内部のメンテナンスを行う容易に行うことができる。

更に、フィルター２７を第１の遠心分離室２１の開口２１ｄ取付ける際に、フィルター２７に設けられるシール部材５２のパッキン部５３の端部が、溝部より突出しない、つまり、パッキン部５３が溝部の内部に納まり、溝部からはみ出さないように構成されているので、フィルター２７を着脱する際に捲れることがない。
また、シール部材５２が第１の遠心分離室２１の内部の塵埃の旋回空間に曝されないので、シール部材の劣化を防止することができる。

更に、集塵部２０は、フィルター２７を第１の遠心分離部２１に取り付けないと、遠心分離部２１，２２に連通部２３が取り付けられない構造になっているので、フィルター２７を取り付けない状態で誤って使用されることが無い。

Ｃ 電気掃除機、１０ 本体、２０ 集塵部、２１ 第１の遠心分離部、２２ 第２の遠心分離部、２３ 連通部、２４ 第１の集塵室、２５ 第２の集塵室、２６ ハンドル、２７ フィルター、２９ 第２のハンドル、３１ ロック部、３７ 集塵室ロック部、５０ 塵埃吸込手段、５１ ホースユニット、５２ 延長パイプ、５３ 床面吸込具、５４ 回動邪魔板、５６ リブ、５７ 干渉板。

Claims (7)

1. 吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、該本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、
   前記サイクロン集塵部は、内部に取り込んだ空気と塵埃を分離する遠心分離部と、該遠心分離部と連通しており該遠心分離部で分離した塵埃を貯留する第１の集塵室及び第２の集塵室を有し、
   前記第１の集塵室と前記第２の集塵室は、連通していることを特徴とする電気掃除機。
2. 前記遠心分離部は円筒部と円錐部からなる筒状の形状を成しており、
   前記円筒部には、前記遠心分離部の外部から塵埃を取り込む塵埃取込開口が形成されると共に、前記遠心分離部の内部と前記第２の集塵部の内部を連通する開口が形成され、
   前記円錐部には、前記遠心分離部の内部と前記第１の集塵部の内部を連通する開口が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の電気掃除機。
3. 前記第１の集塵室と前記第２の集塵室を連通する部位には、フィルター手段が設けられたことを特徴とする請求項１又は２に記載の電気掃除機。
4. 前記第１の集塵室と前記第２の集塵室は、内部に空間を形成する基体からなり、該基体の内部を仕切りにより仕切ることにより、それぞれの集塵部が形成され、
   前記仕切りは、前記基体と別部品で構成されると共に、前記第１の集塵室と前記第２の集塵室を連通する開口が形成され、該開口に前記フィルター手段が設けられたことを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の電気掃除機。
5. 前記仕切りは、前記開口にインサート成形によりフィルター手段を設けたことを特徴とする請求項４に記載の電気掃除機。
6. 前記フィルター手段は、微小な開口が形成された金属板であることを特徴とする請求項４又は５に記載の電気掃除機。
7. 前記フィルター手段は、メッシュ状のクロスであることを特徴とする請求項４又は５に記載の電気掃除機。

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