JPWO2012144499A1 - 積層体、その製造方法及び用途 - Google Patents

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Abstract

本発明は、支持板の層と樹脂層と無機絶縁膜付きガラス基板の層とをこの順で備え、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜と樹脂層とが接している積層体であって、無機絶縁膜付きガラス基板が、ガラス基板の片面にケイ素及びアルミニウムからなる群れから選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む無機絶縁膜を有し、無機絶縁膜の樹脂層に接した面のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下であり、支持板の層と樹脂層との界面の剥離強度が、樹脂層と無機絶縁膜との界面の剥離強度よりも高い積層体、該積層体と積層体のガラス基板表面に設けられた表示装置用部材とを有する支持板付き表示装置用パネル、該支持板付き表示装置用パネルから、無機絶縁膜と樹脂層との界面を剥離面として樹脂層付き支持板を剥離除去して形成された表示装置用パネル、該表示装置用パネルを有する表示装置に関する。

Description

本発明は、積層体、積層体の製造方法、支持板付き表示装置用パネル、表示装置用パネル、および表示装置に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いる基板の薄板化が進行している。薄板化により基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、基板のハンドリング性が低下する。
そこで、従来から、最終厚さよりも厚い基板上にデバイス用部材(例えば、薄膜トランジスタ)を形成した後、基板を化学エッチング処理により薄板化する方法が広く採用されている。しかしながら、この方法では、例えば、1枚の基板の厚さを0.7mmから0.2mmや0.1mmに薄板化する場合、元々の基板の材料の大半をエッチング液で削り落とすことになるので、生産性や原材料の使用効率という観点では好ましくない。
また、上記の化学エッチングによる基板の薄板化方法においては、基板表面に微細な傷が存在する場合、エッチング処理によって傷を起点として微細な窪み(エッチピット)が形成され、光学的な欠陥となる場合があった。
最近では、上記の課題に対応するため、薄板ガラス基板と補強板とを積層した積層体を用意し、積層体の薄板ガラス基板上にデバイス用部材を形成した後、薄板ガラス基板から補強板を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。補強板は、支持板と、該支持板上に固定された樹脂層とを有し、樹脂層と薄板ガラス基板とが剥離可能に密着される。積層体の樹脂層と薄板ガラス基板の界面が剥離され、薄板ガラス基板から分離された補強板は、新たな薄板ガラス基板と積層され、積層体として再利用することが可能である。
国際公開第2007/018028号パンフレット
しかしながら、上記従来の構成の積層体では、補強板を薄板ガラス基板から分離する際に、樹脂層の一部が製品側である薄板ガラス基板の剥離面に付着してしまうことがあった。特に、積層体に対して高温条件で加熱処理を行った後に、樹脂層の一部が製品側である薄板ガラス基板の剥離面へ付着することが頻繁に発生し、結果として歩留まりの低下を招く懸念があった。
また、分離された薄板ガラス基板剥離面上にさらに処理が施される場合があり、表面が清浄であることが望まれている。
しかし、上記従来の構成の積層体では、分離された薄板ガラス基板の剥離面に樹脂層の成分が一部付着しており、溶媒等を使用した洗浄などによる清浄化処理により該付着物を除去しようとしても実用上望ましいレベルまで除去することができなかった。
さらに、従来の構成の積層体では、分離された薄板ガラス基板の剥離面において、剥離時やその後の取扱い時に、ガラスの割れ(クラック)などが生じることがあり、歩留まりの低下を招くことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高温加熱処理が施された後であっても、樹脂層とガラス基板とを剥離する際に樹脂層のガラス基板の剥離面への付着を抑制すると共に、清浄化処理を施すことにより分離されたガラス基板の剥離面の清浄性を保持でき、さらに、ガラス基板の剥離面でのクラックの発生を抑制することができる積層体および積層体の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、該積層体を含む支持板付き表示装置用パネル、支持板付き表示装置用パネルを用いて形成される表示装置用パネル、および、表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、本発明を完成した。
すなわち、上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、支持板の層と、樹脂層と、無機絶縁膜付きガラス基板の層と、をこの順で備え、かつ該無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜と、該樹脂層と、が接している積層体であって、該無機絶縁膜付きガラス基板が、ガラス基板の片面にケイ素およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物または酸窒化物を含む無機絶縁膜を有し、該無機絶縁膜の前記樹脂層に接した面のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下であり、該支持板の層と該樹脂層の界面の剥離強度が、該樹脂層と該無機絶縁膜の界面の剥離強度よりも高い、積層体である。
第1の態様において、該無機絶縁膜が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化アルミニウムからなる膜であることが好ましい。
第1の態様において、該無機絶縁膜の該樹脂層に接した面の表面粗さ(Ra)が30nm未満であることが好ましい。
第1の態様において、該無機絶縁膜の厚さが5〜5000nmであることが好ましい。
第1の態様において、該ガラス基板の厚さが0.03〜0.8mmであることが好ましい。
第1の態様において、該樹脂層の樹脂がシリコーン樹脂であることが好ましい。
第1の態様において、該シリコーン樹脂が、オルガノアルケニルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であることが好ましい。
第1の態様において、該樹脂層の厚さが1〜100μmであることが好ましい。
第1の態様において、該支持板がガラス板であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、支持板の層と、樹脂層と、無機絶縁膜付きガラス基板の層と、をこの順で備えた積層体を製造する方法であって、ガラス基板の片面にケイ素およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物または酸窒化物を含む無機絶縁膜を有し、該無機絶縁膜の該樹脂層に接する面のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下である無機絶縁膜付きガラス基板を用意し、該支持板の片面に固定された該樹脂層を有しかつ該樹脂層の露出した表面が非付着性を有する、樹脂層付き支持板を用意し、該無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜の面と、該樹脂層付き支持板の樹脂層表面と、を積層面として、該無機絶縁膜付きガラス基板と、該樹脂層付き支持板と、を積層する積層体の製造方法である。
第2の態様において、該樹脂層付き支持板が、オルガノアルケニルポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を該支持板上で反応硬化して得られたシリコーン樹脂の層を有する支持板であることが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の積層体と、該積層体のガラス基板表面に設けられた表示装置用部材とを有する、支持板付き表示装置用パネルである。
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様の支持板付き表示装置用パネルから、該無機絶縁膜と該樹脂層との界面を剥離面として樹脂層付き支持板を剥離除去して形成された表示装置用パネルである。
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様の表示装置用パネルを有する表示装置である。
本発明によれば、積層体が高温加熱処理が施された後であっても、樹脂層とガラス基板とを剥離する際に樹脂層の樹脂がガラス基板側の剥離面(すなわち、無機絶縁膜の表面)へ付着することを抑制することができ、清浄化処理を施すことにより分離されたガラス基板側の剥離面の清浄性を保持でき、さらに、ガラス基板側の剥離面の耐薬品性を向上しかつクラックの発生を抑制することができる積層体および積層体の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、該積層体を含む支持板付き表示装置用パネル、支持板付き表示装置用パネルを用いて形成される表示装置用パネル、および、表示装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る積層体の一実施形態の模式的断面図である。 図2は、本発明に係る支持板付き表示装置用パネルの一実施形態の模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
なお、本発明において、支持板の層と樹脂層の界面の剥離強度が樹脂層と無機絶縁膜の界面の剥離強度よりも高いことを、以下、樹脂層と無機絶縁膜とは剥離可能に密着し、支持板と樹脂層とは固定されているという。
本発明において、at%とは、全原子数に対する各原子の割合を指す。
図1は、本発明に係る積層体の一例の模式的断面図である。
図1に示すように、積層体10は、無機絶縁膜付きガラス基板24の層と、支持板31の層と、それらの間に樹脂層32が存在する積層体である。
無機絶縁膜付きガラス基板24は、ガラス基板20と、その表面上に設けられる無機絶縁膜22とを備える。無機絶縁膜付きガラス基板24の層は、その無機絶縁膜22と、樹脂層32と、が接するように樹脂層32上に配置され、その無機絶縁膜22と樹脂層32との界面は剥離可能に密着されている。なお、無機絶縁膜22と、樹脂層32と、の界面となる無機絶縁膜表面を表面221とし、樹脂層表面を表面321とする。
また、樹脂層32は、その一方の面が支持板31の層に固定されると共に、その他方の面(表面321)が無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜22に接し、樹脂層32と無機絶縁膜22との界面は剥離可能に密着されている。支持板31の層および樹脂層32からなる2層部分は、液晶パネルなどのデバイス(電子機器)を製造する工程において、無機絶縁膜付きガラス基板24を補強する。なお、積層体10の支持板31の層および樹脂層32からなる2層部分が積層体10から独立したものを樹脂層付き支持板(以下、補強板ともいう。)といい、積層体10における該2層部分を補強板30の層という。補強板30において樹脂層32は支持板31に固定されている。
この積層体10は、デバイスの製造工程の途中まで使用される。即ち、この積層体10は、そのガラス基板表面(すなわち、無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜22が存在しない第2主面202)上に薄膜トランジスタなどのデバイス用部材が形成されるまで使用される。その後、補強板30の層は、無機絶縁膜付きガラス基板24の層との界面で剥離され、積層体10の補強板30の層は、デバイスを構成する部分とはならない。無機絶縁膜付きガラス基板24から分離された補強板30、すなわち樹脂層付き支持板、は新たな無機絶縁膜付きガラス基板24と積層され、積層体10として再利用することができる。
本発明においては、無機絶縁膜22と、樹脂層32と、が接した構成の積層体10であることにより、所望の効果が得られることを見出した。
以下、各構成(無機絶縁膜付きガラス基板、樹脂層、支持板)について詳説する。
<無機絶縁膜付きガラス基板>
はじめに、無機絶縁膜付きガラス基板24について説明する。
無機絶縁膜付きガラス基板24は、ガラス基板20と、その表面上に設けられる無機絶縁膜22と、を備える。無機絶縁膜22は、後述する樹脂層32と剥離可能に密着するように、無機絶縁膜付きガラス基板24中の最表面に配置される。
以下に、ガラス基板20、無機絶縁膜22、および無機絶縁膜22の製造方法について詳述する。
(ガラス基板)
ガラス基板20は、樹脂層32側の第1主面201に無機絶縁膜22を備え、樹脂層32側とは反対側の第2主面202にデバイス用部材が形成されてデバイスを構成する。ここで、デバイス用部材とは、後述する表示装置用パネルの構成部材のように、デバイスの少なくとも一部を構成する部材をいう。具体例としては、薄膜トランジスタ(TFT)、カラーフィルタ(CF)が挙げられる。デバイスとしては、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などが例示される。
ガラス基板20の種類は、一般的なものであってよく、例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板などが挙げられる。ガラス基板20は耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、熱収縮率が低い。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
ガラス基板20の線膨張係数が大きいと、デバイスの製造工程は加熱処理を伴うことが多いので、様々な不都合が生じやすい。例えば、ガラス基板20上にTFTを形成する場合、加熱下でTFTが形成されたガラス基板20を冷却すると、ガラス基板20の熱収縮によって、TFTの位置ずれが過大になるおそれがある。
ガラス基板20は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板20は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。
ガラス基板20のガラスは、特に限定されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板20のガラスとしては、デバイスの種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
ガラス基板20の厚さは、特に限定されないが、ガラス基板20の薄型化および/または軽量化の観点から、通常0.8mm以下であり、好ましくは0.3mm以下であり、さらに好ましくは0.15mm以下である。0.8mm超の場合、ガラス基板20の薄型化および/または軽量化の要求を満たせない。0.3mm以下の場合、ガラス基板20に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.15mm以下の場合、ガラス基板20をロール状に巻き取ることが可能である。また、ガラス基板20の厚さは、ガラス基板20の製造が容易であること、ガラス基板20の取り扱いが容易であることなどの理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
なお、ガラス基板20は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板20の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
(無機絶縁膜)
無機絶縁膜22は、ケイ素およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物または酸窒化物を含み、これら化合物の混合物を含んでいてもよい。好ましくは無機絶縁膜22は、ケイ素またはアルミニウムの酸化物、窒化物または酸窒化物を含み、これら化合物の混合物であってもよい。無機絶縁膜22は、ケイ素またはアルミニウムの酸化物、窒化物または酸窒化物のいずれかからなることが好ましい。場合により、無機絶縁膜22は、金属原子としてケイ素原子とアルミニウム原子以外の金属原子を含んでいてもよい。例えば、チタン原子、タングステン原子、タンタル原子、モリブデン原子などを含んでいてもよい。しかし、後述のようにアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子は実質的に含まないことが好ましい。
具体的には、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化ケイ素(SiOx2-x、xは0.1〜1.9)、酸窒化アルミニウム(Al2y3-y、yは0.1〜2.9)、酸窒化ケイ素アルミニウム(Al2-xSixz4-x、xは0.1〜1.9であり、zは0.1〜3.9)などが挙げられる。または、これらの混合物であってもよい。
なかでも、耐熱性に優れ、耐クラック性が良好であることより、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si34)、SiOx2-xで表わされxが0.6〜1.4の範囲にある酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al23)が好ましく挙げられる。特に、結晶性の二酸化ケイ素が好ましい。
無機絶縁膜22は、上記酸化物、窒化物、または酸窒化物が主成分として含まれていることが好ましく、具体的には上記酸化物、窒化物、および酸窒化物の含有量が、無機絶縁膜全量に対して、98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.999質量%以上であることが特に好ましい。
無機絶縁膜22は、優れた耐熱性を示す。そのため、積層体10を高温条件に曝しても、膜自体の化学変化が起きにくく、樹脂層32との間でも化学結合を生じにくく、重剥離化による樹脂層32の樹脂の無機絶縁膜付きガラス基板24への付着を生じにくい。また、無機絶縁膜22自体が優れた機械的強度を有しており、ガラス基板20表面に対して耐クラック性を付与し得る。
上記の重剥離化とは、無機絶縁膜22と樹脂層32との界面の剥離強度が、支持板31と樹脂層32の界面の剥離強度、および、樹脂層32の材料自体の強度(バルク強度)のいずれかよりも大きくなることをいう。無機絶縁膜22と樹脂層32の界面で重剥離化が起こると、露出した無機絶縁膜表面221に樹脂層32の表面321の樹脂が付着しやすく、その表面の清浄化が困難となりやすい。無機絶縁膜表面221への樹脂の付着とは、樹脂層32全体が無機絶縁膜表面221に付着すること、および、樹脂層32の表面321が損傷し樹脂層32の表面321の樹脂の一部が無機絶縁膜表面221に付着すること、などを意味する。
無機絶縁膜22の厚みは特に制限されないが、重剥離化による樹脂層32の無機絶縁膜付きガラス基板24への付着をより抑制し、かつ耐擦傷性を維持する点では、5〜5000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましい。
無機絶縁膜22は、無機絶縁膜付きガラス基板24をデバイス用途に使用する点を考慮すると、透明であることが好ましい。具体的には、波長380〜780nmにおける透過率、すなわち無機絶縁膜付きガラス基板24の可視光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
無機絶縁膜22は、図1において単層として記載されているが、2層以上の積層であってもよい。例えば、無機絶縁膜22が2層である場合、ガラス基板20に接する第1の無機絶縁膜と、第1の無機絶縁膜の上に設けられた第2の無機絶縁膜が設けられる。無機絶縁膜22が2層である場合、第1の無機絶縁膜と第2の無機絶縁膜との成分は異なっていてもよい。さらに、第1の無機絶縁膜と第2の無機絶縁膜の間、あるいはガラス基板20と第1の無機絶縁膜の間に無機導電膜が設けられていてもよい。
また、例えば、無機絶縁膜22の樹脂層32に接した面の表面粗さ(Ra)が30nm未満である範囲において、無機導電膜が、島状や、ストライプ状に設けられていてもよい。
また、ガラス基板20と無機絶縁膜22との間に、例えば、ガラス基板20から無機絶縁膜22へのアルカリイオンの拡散を防止するアルカリバリア層、無機絶縁膜22の表面を平坦化させる平坦化層が設けられていてもよい。
無機絶縁膜22は、本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス基板20表面上の一部に設けられていてもよい。例えば、無機絶縁膜22が、ガラス基板20表面上に、島状や、ストライプ状に設けられていてもよい。
より具体的には、無機絶縁膜22のガラス基板20表面上の被覆率は、重剥離化による樹脂層32の無機絶縁膜付きガラス基板24への付着をより抑制する点では、50〜100%が好ましく、75〜100%がより好ましい。
積層体10において、無機絶縁膜22の樹脂層32に接している面(すなわち、無機絶縁膜表面221。)のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は0.5at%以下であり、0.1at%以下であることがより好ましい。積層前の無機絶縁膜付きガラス基板24、または積層体10から分離した後の無機絶縁膜付きガラス基板24においても、無機絶縁膜22のガラス基板20がある側とは反対側の表面のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量も同様であり、0.5at%以下であり、0.1at%以下であることがより好ましい。上記範囲とすることにより重剥離化などが生じにくくなり、高温処理後における樹脂層32の樹脂の付着をさらに抑制することができると共に、付着した樹脂の除去性にもより優れた表面とすることができる。以下、積層体10における無機絶縁膜表面221と、無機絶縁膜付きガラス基板24自体の無機絶縁膜表面と、を特に言及しない限りいずれも無機絶縁膜表面221という。
本発明において、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量とは、無機絶縁膜表面をXPS(X線光電子分光装置)で測定して得られる表面のアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子の含有量を意味する。また、XPS測定には、公知のXPS測定装置を使用することができる。なお、以下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下であることを、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子を実質的に含まない、ともいう。
さらに、積層体10において無機絶縁膜22の樹脂層32に接した面(すなわち、無機絶縁膜表面221。)の表面粗さ(Ra)は30nm未満であることが好ましい。同様に、無機絶縁膜付きガラス基板24においても無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は30nm未満であることが好ましい。上記範囲とすることにより重剥離化などが生じにくくなり、高温処理後における樹脂層32の樹脂の付着をさらに抑制することができると共に、付着した樹脂の除去性にもより優れた表面とすることができる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、表面粗さ(Ra)は10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。なお、下限は特に制限されないが、0nmであることが好ましい。
RaはJIS B 0601(2001年改正)に従って測定される。
また、無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜側表面に関する上記2つの表面特性は、いずれも満たされていることがより好ましい。すなわち、無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜側表面は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子を実質的に含まず、かつその表面粗さ(Ra)は30nm未満であることがより好ましい。
通常のガラス基板には、所定量のアルカリ金属やアルカリ土類金属成分が含まれることより、その表面にはアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子が存在する。例えば、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス基板にはアルカリ金属成分は実質的に含まれないが、所定量のアルカリ土類金属成分が含まれることより、その表面にはアルカリ土類金属原子が存在する。また、ソーダライムガラスからなるガラス基板は、所定量のアルカリ金属成分とアルカリ土類金属成分が含まれることより、その表面にはアルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子が存在する。そのため、ガラス基板と、樹脂層と、を直接接触させて高温条件に曝した場合、アルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子が脱離して樹脂層の成分と化学反応し、その結果、ガラス基板表面とその表面に接した樹脂層間の結合力が増大する。このため、ガラス基板20と樹脂層32とを分離することが困難になりやすく、また重剥離化も起こりやすい。なお、アルカリ金属とはリチウム、ナトリウム、およびカリウムをいい、アルカリ土類金属とは、マグネシウム、カルシウム、バリウムおよびストロンチウムをいう。
無機絶縁膜付きガラス基板24においては、ガラス基板20中のアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子が無機絶縁膜22によりブロックされるとともに、さらに無機絶縁膜表面221もアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を実質的に含まないものとすることにより、積層体10において無機絶縁膜表面221からアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子が樹脂層32側に脱離して生じる化学反応の進行がなく、重剥離化などが生じにくいと考えられる。これにより、積層体10が高温処理された後における剥離において、無機絶縁膜表面221に樹脂の付着を抑制することができると共に、付着した樹脂の除去性にもより優れた表面とすることができる。無機絶縁膜表面221のXPS測定によるアルカリ金属やアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、0.5at%以下であり、0.1at%以下であることがより好ましい。
アルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を実質的に含まない表面は、無機絶縁膜22を形成するための材料として、アルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を実質的に含まない材料を使用することにより得られる。例えば、スパッタリング法で無機絶縁膜22を形成する場合は、スパッタターゲットなどの無機絶縁膜材料やスパッタリング雰囲気ガスなどの材料としてアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子が少ない材料を使用することにより、アルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を実質的に含まない表面を有する無機絶縁膜22を形成することができる。通常、無機絶縁膜22を形成するための上記のような材料に意図的にアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を添加しない限り、不純物として該材料に含まれるアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子は少ない。したがって、通常使用される材料を使用して得られる無機絶縁膜22は、実質的にアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を含まない無機絶縁膜となる。
また、特に厚さの薄い無機絶縁膜22でない限り、ガラス基板20のアルカリ金属原子やアルカリ金属原子が無機絶縁膜22に浸透し、ガラス基板に接していない表面まで達することはない。上記のように、無機絶縁膜22の厚さが5nm程度以上であれば、ガラス基板20のアルカリ金属原子やアルカリ土類金属原子を充分ブロックできる。
通常使用されているガラス基板20の表面は平滑であり、その上に形成した無機絶縁膜22の表面も平滑なものとなる。すなわち、通常使用されているガラス基板20の表面粗さ(Ra)は30nm未満であり、その上に形成された無機絶縁膜22のガラス基板20と接していない表面(無機絶縁膜表面221)の表面粗さは30nm未満となる。しかし、場合により、ガラス基板20表面をエッチング等により粗面化することがある。例えば、無機絶縁膜22の種類によってはガラス基板20表面との結合強度を高めるためにガラス基板20表面を粗面化することがある。また、ガラス基板20表面からの反射光を拡散して反射光による眩しさを低減するための処理(ノングレア化処理)として、ガラス基板20表面を粗面化することもある。ガラス基板20表面を粗面化した場合、粗面化された表面の表面粗さ(Ra)が30nm以上となるとその上に形成された無機絶縁膜22のガラス基板20と接していない表面(無機絶縁膜表面221)の表面粗さも30nm以上となるおそれが生じる。なお、無機絶縁膜22の形成により、ガラス基板20表面の表面粗さが直接無機絶縁膜表面221の表面粗さとなるとは限られず、無機絶縁膜22の表面粗さが緩和されることもあるので、無機絶縁膜表面221の表面粗さはガラス基板20表面の表面粗さのみに規定されるものではない。
(無機絶縁膜の製造方法)
無機絶縁膜22の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、蒸着法、または、スパッタリング法により、ガラス基板20上に所定の酸化物、窒化物、酸窒化物を設ける方法が挙げられる。例えば、CVD法により成膜した二酸化珪素膜をプラズマ窒化法などの方法で窒化処理して窒化酸化珪素膜を形成してもよいし、CVD法により成膜した窒化珪素膜をプラズマ酸化法などの方法で酸化処理して窒化酸化珪素膜を形成してもよい。
製造条件は、使用される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物に応じて、適宜最適な条件が選択される。
<支持板>
支持板31は、樹脂層32と協働して、無機絶縁膜付きガラス基板24を支持して補強し、デバイスの製造工程において無機絶縁膜付きガラス基板24の変形、傷付き、破損などを防止する。また、従来よりも厚さが薄い無機絶縁膜付きガラス基板24を使用する場合、従来のガラス基板と同じ厚さの積層体10とすることにより、デバイスの製造工程において、従来の厚さのガラス基板に適合した製造技術や製造設備を使用可能にすることも、支持板31を使用する目的の1つである。
支持板31としては、例えば、ガラス板、樹脂板、SUS板などの金属板などが用いられる。支持板31は、デバイスの製造工程が熱処理を伴う場合、ガラス基板20との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板20と同一材料で形成されることがより好ましく、支持板31はガラス板であることが好ましい。特に、支持板31は、ガラス基板20のガラス基板と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
支持板31の厚さは、ガラス基板20よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。好ましくは、無機絶縁膜付きガラス基板24の厚さ、樹脂層32の厚さ、および積層体10の厚さに基づいて、支持板31の厚さが選択される。例えば、現行のデバイスの製造工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、無機絶縁膜付きガラス基板24の厚さと樹脂層32の厚さとの和が0.1mmの場合、支持板31の厚さを0.4mmとする。支持板31の厚さは、通常の場合、0.2〜5.0mmであることが好ましい。
支持板31がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.08mm以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは、デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
ガラス基板20と支持板31との25〜300℃における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)の差は、好ましくは500×10-7/℃以下であり、より好ましくは300×10-7/℃以下であり、さらに好ましくは200×10-7/℃以下である。差が大き過ぎると、デバイスの製造工程における加熱冷却時に、積層体10が激しく反ったり、無機絶縁膜付きガラス基板24と補強板30とが剥離したりする可能性がある。ガラス基板20の材料と支持板31の材料が同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
<樹脂層>
樹脂層32は、支持板31上に固定されており、また、無機絶縁膜付きガラス基板24に剥離可能に密着されている。樹脂層32は、無機絶縁膜付きガラス基板24と支持板31とを分離する操作が行われるまで無機絶縁膜付きガラス基板24の位置ずれを防止すると共に、分離操作によって無機絶縁膜付きガラス基板24から容易に剥離し、無機絶縁膜付きガラス基板24などが分離操作によって破損するのを防止する。また、樹脂層32は支持板31に固定されており、分離操作において樹脂層32と支持板31が剥離するおそれはなく、分離操作によって樹脂層付き支持板(補強板30)が得られる。なお、分離操作により、樹脂層32と無機絶縁膜22の界面が剥離しやすいように、分離操作を始めるにあたり、その界面に剥離起点を設けて剥離を行うことが好ましい。
樹脂層32の無機絶縁膜22と接する表面321は、無機絶縁膜22の表面221に剥離可能に密着している。本発明では、この樹脂層表面321の容易に剥離できる性質を剥離性という。
本発明において、上記固定と、(剥離可能な)密着は、剥離強度(すなわち、剥離に要する応力)に違いがあり、固定は密着に対し剥離強度が大きいことを意味する。また、剥離可能な密着とは、剥離可能であると同時に、固定されている面の剥離を生じさせることなく剥離可能であることも意味する。具体的には、本発明の積層体10において、無機絶縁膜付きガラス基板24と支持板31とを分離する操作を行った場合、密着された面で剥離し、固定された面では剥離しないことを意味する。したがって、積層体10を無機絶縁膜付きガラス基板24と支持板31とに分離する操作を行うと、積層体10は無機絶縁膜付きガラス基板24と樹脂層付き支持板(補強板30)の2つに分離される。
樹脂層32は、接着力や粘着力などの強い結合力で支持板31表面に固定されていることが好ましい。例えば、反応硬化性樹脂を支持板31表面で反応硬化させることにより、硬化した樹脂は支持板31表面に接着する。また、支持板31表面と樹脂層32間に強い結合力を生じさせる処理(例えば、カップリング剤を使用した処理)を施して支持板31表面と樹脂層32間の結合力を高めることができる。
一方、樹脂層32は無機絶縁膜表面221に弱い結合力で結合させ、例えば固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する結合力で結合させることが好ましい。無機絶縁膜22に接する前の樹脂層表面321は、非付着性の表面であることが好ましく、この非付着性の樹脂層表面321と無機絶縁膜表面221とを接触させることにより、両表面を弱い結合力で結合させることができる。すなわち、樹脂層表面321が非付着性であると無機絶縁膜表面221との界面における剥離性がより良好なものとなる。両表面は隙間なく接触し、この状態を本発明では密着という。
なお、通常の意味で非付着性ではない樹脂層の表面に非付着性を付与する表面処理によっても樹脂層表面を非付着性とすることができる。また、通常の意味で非付着性ではない樹脂層であっても、上記固定における結合力に対して充分低い結合力で密着しうる樹脂であれば(かつ、無機絶縁膜のガラス基板からの剥離、無機絶縁膜付きガラス基板や支持板の破損、などを生じることなく剥離可能であれば)、表面処理を施すことなく樹脂層の材料として使用できる。
特に、無機絶縁膜に接する樹脂層表面が非付着性である場合は、剥離の際に樹脂層表面の破損でその一部が無機絶縁膜表面に残ることが少なく、また、無機絶縁膜の破損によりその材料の一部が樹脂層表面に残ることも少ない。
上記のように、樹脂層32の支持板31の表面に対する結合力は、樹脂層32の無機絶縁膜表面221に対する結合力よりも相対的に高い。このため、樹脂層32と支持板31との間の剥離強度は、樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との間の剥離強度よりも高くなっている。樹脂層32と支持板31との間は、粘着や接着で結合していることが好ましい。ただしこれに限られるものではなく、樹脂層32の無機絶縁膜付きガラス基板24に対する結合力よりも相対的に高い限り、樹脂層32と支持板31との間は、他の結合力に起因する力によって結合していてもよい。
樹脂層32の大きさは、特に限定されない。樹脂層32の大きさは、ガラス基板20や支持板31よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
樹脂層32の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、7〜20μmであることがさらに好ましい。樹脂層32の厚さがこのような範囲であると、樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との密着が十分になるからである。また、樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との間に気泡や異物が介在することがあっても、無機絶縁膜付きガラス基板24のゆがみ欠陥の発生を抑制することができるからである。また、樹脂層32の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではない。
なお、樹脂層32は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂層32の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、樹脂層32が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。
樹脂層32は、ガラス転移点が室温(25℃程度)よりも低い、またはガラス転移点を有しない材料からなることが好ましい。より容易に無機絶縁膜付きガラス基板24と剥離することができ、同時に無機絶縁膜付きガラス基板24との密着も十分になるからである。
また、樹脂層32は、デバイスの製造工程において加熱処理されることが多いので、耐熱性を有していることが好ましい。
また、樹脂層32の弾性率が高すぎると無機絶縁膜付きガラス基板24との密着性が低くなる傾向にある。一方、樹脂層32の弾性率が低すぎると剥離性が低くなる。
樹脂層32を形成する樹脂の種類は、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂が挙げられる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。中でもシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂は、耐熱性や剥離性に優れるためである。また、支持板31がガラス板である場合、ガラス板表面のシラノール基との縮合反応によって、ガラス板に固定し易いからである。シリコーン樹脂層は、支持板31と無機絶縁膜付きガラス基板24との間に介装されている状態では、例えば大気中200℃程度で1時間程度処理しても、剥離性がほぼ劣化しない点も好ましい。
樹脂層32は、シリコーン樹脂の中でも剥離紙用に使用されるシリコーン樹脂(硬化物)からなることが好ましい。剥離紙の剥離層のシリコーン樹脂は、剥離紙にコートした硬化性シリコーン樹脂組成物の層を硬化させて形成される。この硬化性シリコーン樹脂組成物を使用し、この硬化性シリコーン樹脂組成物を支持板31の表面で硬化させて形成した硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層は、支持板31表面に接着するとともにその自由表面は優れた非付着性を有するので好ましい。また、柔軟性が高いので、樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との間へ気泡や塵介などの異物が混入しても無機絶縁膜付きガラス基板24のゆがみ欠陥の発生を抑制することができる。
このような剥離紙などの剥離層を形成するために使用される硬化性シリコーン樹脂組成物は、その硬化機構により縮合反応型シリコーン樹脂組成物、付加反応型シリコーン樹脂組成物、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物および電子線硬化型シリコーン樹脂組成物に分類されるが、いずれも使用することができる。これらの中でも付加反応型シリコーン樹脂組成物が好ましい。これは、硬化反応のしやすさ、硬化後の樹脂層表面321の非付着性の程度が良好で、耐熱性も高いからである。
付加反応型シリコーン樹脂組成物は、主剤および架橋剤を含み、白金系触媒などの触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物である。付加反応型シリコーン樹脂組成物の硬化は、加熱処理により促進される。付加反応型シリコーン樹脂組成物中の主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、アルケニル基などが架橋点となる。付加反応型シリコーン樹脂組成物中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、ハイドロシリル基などが架橋点となる。
付加反応型シリコーン樹脂組成物は、主剤と架橋剤の架橋点が付加反応をすることにより硬化する。
また、剥離紙などの剥離層を形成するために使用される硬化性シリコーン樹脂組成物は形態的に溶剤型、エマルジョン型および無溶剤型があり、いずれの型も使用可能である。これらの中でも無溶剤型が好ましい。生産性、安全性、環境特性の面が優れるからである。また、樹脂層32を形成する際の硬化時、すなわち、加熱硬化、紫外線硬化または電子線硬化の時に発泡を生じる溶剤を含まないため、樹脂層32中に気泡が残留しにくいからである。
また、剥離紙などの剥離層を形成するために使用される硬化性シリコーン樹脂組成物として、具体的には市販されている商品名または型番としてKNS−320A、KS−847(いずれも信越シリコーン社製)、TPR6700(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、ビニルシリコーン「8500」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11364」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11365」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせなどが挙げられる。
なお、KNS−320A、KS−847およびTPR6700は、あらかじめ主剤と架橋剤とを含有している硬化性シリコーン樹脂組成物である。
また、樹脂層32を形成するシリコーン樹脂(上記硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物)は、シリコーン樹脂層中の低分子量のシリコーン等の成分が無機絶縁膜付きガラス基板24に移行しにくい性質、すなわち低シリコーン移行性を有することが好ましい。
(樹脂層の製造方法)
樹脂層32を支持板31上に固定する方法は、特に限定されないが、例えば、支持板31表面上に樹脂層32となる硬化性樹脂組成物の層を形成し、次いで、該硬化性樹脂組成物を硬化して樹脂層32を形成する方法で支持板31上に固定された樹脂層32を形成する方法が好ましい。
また、例えばフィルム状の樹脂を支持板31の表面に固定する方法で樹脂層32を形成することもできる。具体的には、支持板31の表面に、フィルムの表面に対する高い固定力(高い剥離強度)を付与するために、支持板31の表面に表面改質処理(プライミング処理)を行い、支持板31上に固定する方法が挙げられる。例えば、シランカップリング剤のような化学的に固定力を向上させる化学的方法(プライマー処理)、フレーム(火炎)処理のように表面活性基を増加させる物理的方法、サンドブラスト処理のように表面の粗度を増加させることにより引っかかりを増加させる機械的処理方法などが例示される。
支持板31表面上に樹脂層32となる硬化性樹脂組成物の層を形成し、次いで、該硬化性樹脂組成物を硬化して樹脂層32を形成する方法において、支持板31表面上に硬化性樹脂組成物の層を形成する方法としては、例えば硬化性樹脂組成物を支持板31上にコートする方法が挙げられる。コートする方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。このような方法の中から、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができる。
また、樹脂層32となる硬化性樹脂組成物を支持板31上にコートする場合、その塗布量は1〜100g/m2であることが好ましく、5〜20g/m2であることがより好ましい。
例えば、付加反応型シリコーン樹脂組成物から樹脂層32を形成する場合、オルガノアルケニルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンと触媒との混合物からなる硬化性樹脂組成物を、上記のスプレーコート法などの公知の方法により支持板31上に塗布し、その後に加熱硬化させる。加熱硬化条件は、触媒の配合量によっても異なるが、例えば、オルガノアルケニルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの合計量100質量部に対して、白金系触媒を2質量部配合した場合、大気中で50℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃で反応させる。また、この場合の反応時間は5〜60分間、好ましくは10〜30分間とする。
硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることによって、硬化反応の際にシリコーン樹脂が支持板31と化学的に結合し、また、アンカー効果によってシリコーン樹脂層が支持板31と結合して、接着する。これらの作用によって、シリコーン樹脂層が支持板31に強固に固定される。なお、シリコーン樹脂以外の樹脂からなる樹脂層を硬化性樹脂組成物から形成する場合も、上記と同様の方法で支持板31に固定された樹脂層32を形成することができる。
<積層体および積層体の製造方法>
本発明の積層体10は、上述したように、無機絶縁膜付きガラス基板24と支持板31とそれらの間に樹脂層32が存在する積層体である。
本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、通常、無機絶縁膜付きガラス基板24と上述した方法によって作製された樹脂層付き支持板(補強板30)とを用意し、無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜の面と上記樹脂層付き支持板(補強板30)の樹脂層表面とを積層面として両者を積層する方法が好ましい。樹脂層32の積層面が非付着性を有している場合、通常の重ね合わせと加圧により、容易に剥離可能に密着させることができる。
具体的には、例えば、常圧環境下で樹脂層32の非付着性表面に無機絶縁膜付きガラス基板24を重ねた後、ロールやプレスを用いて樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24とを圧着させる方法が挙げられる。ロールやプレスで圧着することにより樹脂層32と、無機絶縁膜付きガラス基板24と、がより密着するので好ましい。また、ロールまたはプレスによる圧着により、樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が好ましく行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、無機絶縁膜付きガラス基板24のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
樹脂層32を無機絶縁膜付きガラス基板24上に剥離可能に密着させる際には、樹脂層32および無機絶縁膜付きガラス基板24の互いに接触する側の面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。樹脂層32と無機絶縁膜付きガラス基板24との間に異物が混入しても、樹脂層32が変形するので無機絶縁膜付きガラス基板24の表面の平坦性に影響を与えることはないが、クリーン度が高いほどその平坦性は良好となるので好ましい。
本発明の積層体10は、種々の用途に使用することができ、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品を製造する用途などが挙げられる。なお、該用途では、積層体10が高温条件(例えば、320℃以上)で曝される(例えば、1時間以上)場合が多い。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS)シャッターパネル等が含まれる。
<支持板付き表示装置用パネルおよび支持板付き表示装置用パネルの製造方法>
本発明においては、上述した積層体を用いて、支持板付き表示装置用パネルが製造される。
図2は、本発明に係る支持板付き表示装置用パネルの一例の模式的断面図である。
支持板付き表示装置用パネル40は、上記積層体10と、表示装置用パネルの構成部材50から構成される。
(表示装置用パネルの構成部材)
表示装置用パネルの構成部材50とは、例えば、ガラス基板を使用したLCD、OLED等の表示装置において、ガラス基板上に形成された部材やその一部をいう。例えば、LCD、OLED等の表示装置においては、基板の表面にTFTアレイ(以下、単に「アレイ」という。)、保護層、カラーフィルタ、液晶、ITOからなる透明電極等、各種回路パターン等の部材、またはこれらを組み合わせたものが形成される。上記アレイに使用される半導体材料は特に限定されず、例えばアモルファス・微結晶、多結晶等のシリコン、ZnO・IGZO等の金属酸化物、チオフェン誘導体・ペンタセン誘導体等の有機物などが挙げられる。また、例えば、OLEDからなる表示装置においては、基板上に形成された透明電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層等が挙げられる。
上述した支持板付き表示装置用パネル40の製造方法は特に限定されず、表示装置用パネルの構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、積層体10の無機絶縁膜付きガラス基板24表面上に、表示装置用パネルの構成部材50を形成する。
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、積層体10の無機絶縁膜付きガラス基板24の樹脂層32側とは反対側の表面上(ガラス基板20の第2主面202に該当)に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。これら構成部材の形成は、表示装置用パネルに必要な全構成部材の形成の一部であってもよい。その場合、その一部の構成部材を形成した無機絶縁膜付きガラス基板24を補強板30から分離した後、残りの構成部材を無機絶縁膜付きガラス基板24上に形成して表示装置用パネルを製造する。
<表示装置用パネルおよび表示装置用パネルの製造方法>
本発明に係る表示装置用パネル60は、図2に示すように、無機絶縁膜付きガラス基板24と表示装置用パネルの構成部材50とから構成される。
表示装置用パネル60は、支持板付き表示装置用パネル40から、無機絶縁膜22と樹脂層32の界面を剥離し、無機絶縁膜付きガラス基板24と補強板30とに分離して得ることができる。
なお、分離された無機絶縁膜付きガラス基板24上の構成部材が表示装置用パネルに必要な全構成部材の形成の一部である場合には、その後残りの構成部材を無機絶縁膜付きガラス基板24上に形成して表示装置用パネル60を製造する。
無機絶縁膜22と樹脂層32の剥離性表面とを剥離する方法は、特に限定されない。しかし、まず、無機絶縁膜22と樹脂層32の界面に剥離起点を形成して剥離することが好ましい。具体的には、例えば、無機絶縁膜22と樹脂層32との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することが好ましい。
なお、支持板付き表示装置用パネル40から表示装置用パネル60を分離した後、必要に応じて、表示装置用パネル60中の無機絶縁膜付きガラス基板24の無機絶縁膜22上に、別途表示装置用パネルの構成部材を設けてもよい。
また、分離された補強板30は、新たな無機絶縁膜付きガラス基板と積層して、本発明の積層体10を製造することができる。この新たな積層体10の製造方法としては、前述した本発明の製造方法が好ましい。
<表示装置>
また、このような表示装置用パネル60から表示装置を得ることができる。表示装置としてはLCD、OLEDが挙げられる。LCDとしてはTN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型が挙げられる。
ここで表示装置を得る操作は特に限定されず、例えば、従来公知の方法で表示装置を製造することができる。
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の実施例1〜5、比較例1、4では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦720mm、横600mm、板厚0.3mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持板としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦720mm、横600mm、板厚0.4mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
また、実施例6および比較例2では、ガラス基板および支持板としてソーダライムガラスからなるガラス板(線膨張係数85×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AS」)を使用した。実施例7および比較例3では、このソーダライムガラスからなるガラス板を450℃の硝酸カリウムの溶融塩中で1時間浸漬することによって化学強化処理し、得られた強化ガラス板をガラス基板および支持板として使用した。これらガラス基板の大きさと厚さは実施例1〜5で使用したガラス基板と同一であり、これら支持板の大きさと厚さも実施例1〜5で使用した支持板と同一である。
なお、後述する実施例および比較例において、表面粗さ(Ra)は、原子間カ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製、SPA300/SPI3800)を用いて測定した。
(剥離性評価)
後述する積層体の加熱後の無機絶縁膜付きガラス基板の剥離性は、後述する所定の条件で加熱処理後、無機絶縁膜付きガラス基板と樹脂層を剥離し、無機絶縁膜付きガラス基板の樹脂層と接触していた面上を目視にて観察することにより評価した。樹脂層の残渣がないものが良く、樹脂層の残渣があるものが悪い評価である。
(清浄性評価)
後述する所定の条件で加熱処理後、積層体から剥離された無機絶縁膜付きガラス基板をヘキサン中で超音波処理(5分間)し、その後、樹脂層と接触していた面上(無機絶縁膜面上)にセロハンテープ(商品名セロテープ(登録商標)、ニチバン製)を貼り付け、90°剥離を行い、その剥離強度を測定した。剥離強度が小さいほど、樹脂層の残渣が無機絶縁膜面上にあることを意味し、実用上、剥離強度が0.5N/25mm以上であることが好ましい。
<実施例1>
初めに、板厚0.4mmの支持板を純水洗浄した後、さらにUV洗浄して清浄化した。
次に、支持板の第1主面上に、無溶剤付加反応型剥離紙用シリコーン(信越シリコーン社製、KNS−320A、粘度:0.40Pa・s、溶解パラメータ(SP値):7.3)100質量部と白金系触媒(信越シリコーン社製、CAT−PL−56)2質量部との混合液を、縦705mm、横595mmの大きさで長方形にスクリーン印刷機にて塗工した(塗工量30g/m2)。
次に、これを180℃にて30分間大気中で加熱硬化して、支持板の第1主面に厚さ20μmのシリコーン樹脂層を形成した。
なお、上記無溶剤付加反応型剥離紙用シリコーンは、ケイ素原子に結合したビニル基とメチル基とを有する直鎖状オルガノアルケニルポリシロキサン(主剤)と、ケイ素原子に結合した水素原子をメチル基とを有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(架橋剤)とを含むものである。
次に、板厚0.3mmのガラス基板のシリコーン樹脂と接触させる側の面(第1主面)を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。さらに、清浄化した面に、マグネトロンスパッタリング法(加熱温度300℃、成膜圧力4mTorr、パワー密度3W/cm2)により、厚さ30nmのSiO2膜を形成し、無機絶縁膜付きガラス基板を得た。無機絶縁膜表面(無機絶縁膜のガラス基板側とは反対側の表面。以後、同様の意味。)の表面粗さ(Ra)は、0.8nmであった。また、XPS測定(アルバック・ファイ社製、 Quantera SXMを使用。以下同様)によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、ガラス基板のSiO2成膜面と、支持板のシリコーン樹脂層面とを、室温下で真空プレスにより張り合わせ、積層体Aを得た。
得られた積層体Aにおいては、支持板とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
(加熱後の剥離性評価)
積層体Aに対して、大気酸素が0.1%以下の窒素雰囲気中にて、350℃で1時間加熱処理を施した。
次に、剥離試験を行った。具体的には、まず、積層体Aにおけるガラス基板の第2主面を固定台上に固定した。一方、支持板の第2主面を吸着パッドで吸着した。次に、積層体Aが有する4つの角部のうちの1つであって無機絶縁膜付きガラス基板と樹脂層との界面に、厚さ0.4mmのナイフを挿入して、無機絶縁膜と樹脂層の界面を僅かに剥離し、剥離のきっかけを与えた。次に、吸着パッドを固定台から離れる方向へ移動させて無機絶縁膜と樹脂層の界面全体を剥離し、無機絶縁膜付きガラス基板と、樹脂層付き支持板とを分離した。
分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上(無機絶縁膜上)には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して上記清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.7N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、20重量%に希釈したレジスト剥離液(パーカーコーポレーション社製、主成分として水酸化カリウム20質量%を含む)に50℃10分浸漬し、水によるブラシ洗浄を行った後に、濃度が0.1モル/リットルである塩酸水溶液中に90℃で20時間浸漬し、水によるブラシ洗浄およびエアブローを行った。無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
(実施例1b)
マグネトロンスパッタリング法の代わりに熱CVD法(加熱温度400℃、反応圧力1Pa、反応ガスはテトラエトキシシランとオゾン/酸素、キャリアガスは窒素;2000sccm、オゾン/酸素比;3%)により厚さ100nmのSiO2膜を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体A’を得た。なお、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、2nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、0.5at%であった。
その後、積層体A’に対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.8N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
なお、無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子は、テトラエトキシシラン中の不純物に起因すると考えられる。
<実施例2>
SiO2膜を形成する代わりに、ICP−CVD法(誘導結合型プラズマCVD)(加熱温度400℃、成膜圧力1Pa、RFパワー400W、DCパワー230V/0.5A/80W、ガス流量(100%SiH4:10sccm、N2:140sccm))により、厚さ100nmのSi34膜を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体Bを得た。なお、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、2nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Bに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
<実施例3>
SiO2膜を形成する代わりに、マグネトロンスパッタリング法(加熱温度300℃、成膜圧力4mTorr、パワー密度3W/cm2)により、厚さ100nmのSiO2膜を形成し、その後、プラズマ窒化処理(加熱温度300℃、チャンバー内圧力100Pa、ガス流量(N2:100sccm、Ar:1000sccm、H2:10sccm))を行い、厚さ100nmのSiOab(a=1、b=1)膜を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体Cを得た。なお、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、1nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Cに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して実施例1と同様に清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
<実施例4>
実施例1で使用したガラス基板表面にバッファードフッ酸(フッ酸6wt%:フッ化アンモニウム30wt%、残部は水、以下同様)を噴霧(約20秒間)して粗面化し、ガラス基板の粗面化した表面に実施例1で実施されたマグネトロンスパッタリング法により厚さ30nmのSiO2膜をガラス基板上に作製し、本無機絶縁膜付きガラス基板を実施例1で使用した無機絶縁膜付きガラス基板の代わりに用いて、実施例1と同じ手順により、積層体Dを得た。なお、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、25nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Dに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、剥離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
<実施例5>
SiO2膜を形成する代わりに、反応性スパッタリング法(アルミニウムターゲット、加熱無し、成膜圧力0.1Pa、ガス流量(O2:25sccm、Ar:25sccm))により厚さ50nmのAl23膜を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体Eを得た。なお、本実施例において、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、0.8nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Eに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
<実施例6>
支持板およびガラス基板としてソーダライムガラスからなるガラス板を使用する以外は実施例1と同様の方法により、積層体Fを得た。なお、本実施例において、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、0.8nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Fに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。分離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
<実施例7>
支持板およびガラス基板として、化学強化されたガラス板を使用する以外は実施例2と同様の方法により、積層体Gを得た。なお、無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜表面の表面粗さ(Ra)は、0.8nmであった。また、XPS測定によって得られた無機絶縁膜表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、検出限界以下(0.1at%以下)であった。
その後、積層体Gに対して実施例1と同様に剥離性評価を行った。剥離された無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面上には、樹脂の残渣はなかった。
また、分離された無機絶縁膜付きガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.6N/25mmであり、優れた面清浄性を有していることが分かった。
その後、実施例1と同様の手順に従って、分離された無機絶縁膜付きガラス基板を、アルカリ、酸およびブラシ洗浄し、無機絶縁膜付きガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、クラックは認められなかった。
なお、上記実施例1〜7で使用された積層体A〜Gに関しては、上記の剥離試験において、シリコーン樹脂層と支持板の間ではなく、シリコーン樹脂層と無機絶縁膜との間で剥離が生じていた。この点から、シリコーン樹脂層と支持板との間の密着力がシリコーン樹脂層と無機絶縁膜との間の密着力よりも大きい、言い換えると、シリコーン樹脂層と支持板との間の剥離強度が、シリコーン樹脂層と無機絶縁膜との間の剥離強度よりも高いことが確認された。
<比較例1>
実施例1で使用した無機絶縁膜付きガラス基板の代わりに、無機絶縁膜のないガラス基板を使用した以外は、実施例1と同じ手順により、積層体Hを得た。積層体Hには、無機絶縁膜が含まれていない。なお、ガラス基板の樹脂層表面と接触させる側の面は、純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。また、清浄化されたガラス基板の表面粗さ(Ra)は、0.5nmであった。また、XPS測定によって得られたガラス基板表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、1.0at%であった。
次に、実施例1と同様の手順に従って、加熱処理を行った後剥離性評価を行い、積層体H中のガラス基板と、樹脂層を有する支持板とを分離した。
分離されたガラス基板の樹脂層と接触していた面上には、樹脂層の樹脂の一部が付着し、支持板上の樹脂層表面の相当する部分に破損が確認された。
また、分離されたガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.1N/25mmであり、表面上に付着した樹脂を十分に取り除くことができなかった。
刃物で樹脂を除去した後にガラス基板の剥離面を光学顕微鏡で観察したところ、剥離面の一部にクラック発生が認められた。
<比較例2>
支持板およびガラス基板として、実施例6と同じソーダライムガラスからなるガラス板を使用する以外は比較例1と同様の方法により、積層体Jを得た。積層体Jには、無機絶縁膜が含まれていない。なお、清浄化されたガラス基板の表面粗さ(Ra)は、0.5nmであった。また、XPS測定によって得られたガラス基板表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、1.5at%であった。
次に、実施例1と同様の手順に従って、加熱処理を行った後剥離性評価を行い、積層体J中のガラス基板と、樹脂層を有する支持板とを分離した。
分離されたガラス基板の樹脂層と接触していた面上には、樹脂層の樹脂の一部が付着し、支持板上の樹脂層表面の相当する部分に破損が確認された。
また、分離されたガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.1N/25mmであり、表面上に付着した樹脂を十分に取り除くことができなかった。
<比較例3>
支持板およびガラス基板として、実施例7と同じ化学強化されたガラス板を使用する以外は比較例1と同様の方法により、積層体Kを得た。積層体Kには、無機絶縁膜が含まれていない。なお、清浄化されたガラス基板の表面粗さ(Ra)は、0.5nmであった。また、XPS測定によって得られたガラス基板表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、1.5at%であった。
次に、実施例1と同様の手順に従って、加熱処理を行った後剥離性評価を行い、積層体K中のガラス基板と、樹脂層を有する支持板とを分離した。
分離されたガラス基板の樹脂層と接触していた面上には、樹脂層の樹脂の一部が付着し、支持基板上の樹脂層表面の相当する部分に破損が確認された。
また、分離されたガラス基板に対して清浄性評価を行ったところ、剥離強度は0.1N/25mmであり、表面上に付着した樹脂を十分に取り除くことができなかった。
<比較例4>
比較例1で使用したガラス基板表面にバッファードフッ酸を噴霧(約60秒間)して粗面化し、該粗面化ガラス基板を実施例1で使用した無機絶縁膜付きガラス基板の代わりに用いて、実施例1と同じ手順により、積層体Lを得た。積層体Lには、無機絶縁膜が含まれていない。なお、粗面化ガラス基板の樹脂層と接触させる側の面は、純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。
得られた粗面化ガラス基板の清浄化された表面(粗面化された面)の表面粗さ(Ra)は、100nmであった。また、XPS測定によって得られた粗面化ガラス基板の清浄化された表面におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量は、1.1at%であった。
次に、実施例1と同様の手順に従って、加熱処理を行った後剥離性評価を行い、積層体L中のガラス基板と、樹脂層を有する支持板とを分離した。
分離されたガラス基板の樹脂層と接触していた面上には、樹脂層の樹脂の一部が付着し、支持板上の樹脂層表面の相当する部分に破損が確認された。
<実施例8>
本例では、実施例3で得た積層体Cを用いてOLEDを製造する。
透明電極を形成する工程、補助電極を形成する工程、ホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する工程、これらを封止する工程に供して、積層体Cのガラス基板上に有機EL構造体を形成する。ガラス基板上に有機EL構造体を有する積層体C(以下、パネルCという。)が、本発明の支持体付き表示装置用パネルである。
続いて、パネルCの封止体側を定盤に真空吸着させたうえで、パネルCのコーナー部のガラス基板と樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板の無機絶縁層と樹脂層の界面に剥離のきっかけを与える。そして、パネルCの支持板表面を24個の真空吸着パッドで吸着した上で、パネルCのコーナー部に近い吸着パッドから順に上昇させる。その結果、定盤上に有機EL構造体が形成されたガラス基板のみを残し、樹脂層付き支持板を剥離することができる。
続いて、分離されたガラス基板をレーザーカッタまたはスクライブ−ブレイク法を用いて切断し、縦41mm×横30mmの288個のセルに分断した後、有機EL構造体が形成されたガラス基板と対向基板とを組み立てて、モジュール形成工程を実施してOLEDを作製する。こうして得られるOLEDは、特性上問題は生じない。
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年4月22日出願の日本特許出願2011−095632に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
10 積層体
20 ガラス基板
22 無機絶縁膜
24 無機絶縁膜付きガラス基板
201 ガラス基板の第1主面
202 ガラス基板の第2主面
221 無機絶縁膜表面
30 補強板(樹脂層付き支持板)
31 支持板
32 樹脂層
321 樹脂層表面
40 支持板付き表示装置用パネル
50 表示装置用パネルの構成部材
60 表示装置用パネル

Claims (14)

  1. 支持板の層と、樹脂層と、無機絶縁膜付きガラス基板の層と、をこの順で備え、かつ前記無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜と、前記樹脂層と、が接している積層体であって、
    前記無機絶縁膜付きガラス基板が、
    ガラス基板の片面にケイ素およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物または酸窒化物を含む無機絶縁膜を有し、
    前記無機絶縁膜の前記樹脂層に接した面のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下であり、
    前記支持板の層と前記樹脂層の界面の剥離強度が、前記樹脂層と前記無機絶縁膜の界面の剥離強度よりも高い、
    積層体。
  2. 前記無機絶縁膜が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化アルミニウムからなる膜である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機絶縁膜の前記樹脂層に接した面の表面粗さ(Ra)が30nm未満である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記無機絶縁膜の厚さが5〜5000nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記ガラス基板の厚さが0.03〜0.8mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記樹脂層の樹脂がシリコーン樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記シリコーン樹脂が、オルガノアルケニルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物である、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記樹脂層の厚さが1〜100μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記支持板がガラス板である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 支持板の層と、樹脂層と、無機絶縁膜付きガラス基板の層と、をこの順で備えた積層体を製造する方法であって、
    ガラス基板の片面にケイ素およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸化物、窒化物または酸窒化物を含む無機絶縁膜を有し、前記無機絶縁膜の前記樹脂層に接する面のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の原子の合計含有量が0.5at%以下である無機絶縁膜付きガラス基板を用意し、
    前記支持板の片面に固定された前記樹脂層を有しかつ当該樹脂層の露出した表面が非付着性を有する、樹脂層付き支持板を用意し、
    前記無機絶縁膜付きガラス基板の無機絶縁膜の面と、前記樹脂層付き支持板の樹脂層表面と、を積層面として、前記無機絶縁膜付きガラス基板と、前記樹脂層付き支持板と、を積層する積層体の製造方法。
  11. 前記樹脂層付き支持板が、オルガノアルケニルポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を該支持板上で反応硬化して得られたシリコーン樹脂の層を有する支持板である、請求項10に記載の積層体の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体と、前記積層体のガラス基板表面に設けられた表示装置用部材と、を有する、支持板付き表示装置用パネル。
  13. 請求項12に記載の支持板付き表示装置用パネルから、前記無機絶縁膜と前記樹脂層との界面を剥離面として樹脂層付き支持板を剥離除去して形成された表示装置用パネル。
  14. 請求項13に記載の表示装置用パネルを有する表示装置。
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