JPWO2012132474A1 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

ガラス基板の製造方法における熔解工程では、ガラス原料を、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面の略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作り、前記熔解槽の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口から後工程に向けて前記熔融ガラスを流す。前記熔融ガラスを流すとき、熔融ガラスの深さ方向において前記表層より下方に位置する前記熔融ガラスの下層の温度を、前記下層において前記熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、前記熔解槽の前記第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を調整する。これにより、前記下層の熔融ガラスの前記第1の方向に沿った温度分布を均一化させる。

Description

本発明は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下FPDという)に用いるガラス基板は、例えば、厚さが0.5〜0.7mmで、サイズが300×400mm〜2850〜×3050mmのものが主流である。
FPD用ガラス基板の製造方法として、オーバーフローダウンドロー法が知られている。オーバーフローダウンドロー法では、成形炉において、熔融ガラスの成形体の上部から熔融ガラスを溢れさせることにより熔融ガラスからシートガラスが成形され、成形されたシートガラスが徐冷され、切断される。その後、切断されたシートガラスは、さらに、顧客の仕様に合わせて所定のサイズに切断され、洗浄、端面研磨などが行われ、FDP用ガラス基板として出荷される。
FPD用ガラス基板のうち、特に液晶表示装置用ガラス基板は、その表面に半導体素子が形成されるため、アルカリ金属成分を全く含有しないか、または、含まれていても半導体素子等に影響を及ぼさない程度の微量であることが好ましい。
また、ガラス基板中に泡が存在すると表示欠点の原因となるため、泡が存在するガラス基板は、FPD用ガラス基板として用いることはできない。このため、泡がガラス基板に残存しないことが求められている。
また、ガラス基板にガラス組成のムラ(ガラス組成が均一でないこと)が存在すると、例えば脈理と呼ばれるスジ状の欠陥が発生する。この脈理は、ガラス組成の不均質に起因する熔融ガラスの粘度の違いから、成形時の熔融ガラスの表面に微細な表面凹凸を形成し、この表面凹凸がガラス基板にも残存する。このため、このガラス基板を液晶パネル用のガラス基板として、液晶パネルに組み込んだとき、セルギャップに誤差が生じ、あるいは、表示ムラを起こす原因となる。このため、ガラス基板の製造段階で脈理等のガラス組成のムラを引き起こさないようにする必要がある。
例えば、熔融ガラスのホットスプリングを強調し、熔融ガラスの対流を促進して良く攪拌を行わせると共に、ガラス原料投入端側表層の半熔融状態等のガラスが導出端側へ早流れすることを阻止し得るガラス熔解窯が知られている(特許文献1)。
上記ガラス熔解窯では、ガラス原料の投入端側の領域から導出端側の領域に至る途中のホットスプリング領域に、通電方向を窯の長さ方向とした複数対の電極を適宜間隔で窯の幅方向全長に亘って複列配置することにより、熔融ガラスのホットスプリングを強調している。これにより、半熔融状態等のガラスが導出端側へ早流れすることを抑えている。
特開2002−60226号公報
しかし、上記ガラス熔解窯(熔解槽)に投入されるガラス原料のうちSiO(シリカ)は、他の原料成分に比べて熔け残り易い。このため、ホットスプリングが弱い場合には、SiOは、図6に示すように、ガラス熔解窯(熔解槽)の熔融ガラスの導出端側であるMTE(Melting End)側の液面に集まってシリカリッチの異質素地120を形成し易い。ホットスプリングが常に強調されていれば、シリカリッチの異質素地120が、導出端側へ早流れすることは少ないが、粘性の高いガラス組成の熔融ガラスの場合、ホットスプリングを強調するために、熔融ガラスの温度を高めて粘性を低くしなければならない。しかし、溶融ガラスの温度を高く上げすぎると、熔解槽を構成する耐火物等の内側側壁から、耐蝕性の確保のために含有するZrO(ジルコニア)が熔融ガラスに溶出し、ガラスの失透の原因になる場合がある。このため、粘性の高いガラス組成の熔融ガラスの場合、熔融ガラスの温度を上げて対流を作ることは難しい。
また、フラットディスプレイ、例えば液晶ディスプレイ等のガラス基板には、ガラス基板に形成するTFT(Thin Film Transistor)等の半導体素子の特性に悪影響を与えないようにすることが求められている。このため、液晶ディスプレイ等のガラス基板には、上述したようにアルカリ金属成分を全く含まない無アルカリガラス、あるいは、アルカリ金属成分を含んでも微量であるアルカリ微量含有ガラスが用いられることが好ましい。しかし、無アルカリガラスやアルカリ微量含有ガラスは、高温粘性が高いため、上述したように、ホットスプリングを強調することが難しい。すなわち、高温粘性が高いガラス組成を持つガラス基板を製造する場合、ホットスプリングを強調した上記公知の方法を用いて脈理等のガラス組成のムラを抑制したガラス基板を製造することは難しい。
そこで、本発明は、従来とは全く異なる方式を用いて、脈理等のガラス組成のムラを抑制することができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス原料を熔解槽で熔解する熔解工程を含むガラス基板の製造方法である。
前記熔解工程では、ガラス原料を、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面の略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作り、
前記熔解槽の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口から後工程に向けて前記熔融ガラスを流し、
前記熔融ガラスを流すとき、熔融ガラスの深さ方向において前記表層より下方に位置する前記熔融ガラスの下層の温度を、前記下層において前記熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、前記熔解槽の前記第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を少なくとも調整することにより、前記下層の熔融ガラスの前記第1の方向に沿った温度分布を均一化させながら、前記熔融ガラスを前記流出口から前記後工程に流す。
上記形態のガラス基板の製造方法では、脈理等のガラス組成のムラを抑制することができる。
本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。 図1に示す熔解工程〜切断工程を行う装置の一例を模式的に示す図である。 図1に示す熔解工程で用いる熔解槽を説明する図である。 図3に示す熔解槽におけるガラス原料の投入を説明する図である。 本実施形態における熔解槽内部の熔融ガラスの対流を説明する図である。 従来の熔解槽内部の熔融ガラスの対流を説明する図である。
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法について説明する。図1は、本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解槽で行われる。熔解槽では、ガラス原料を、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面の略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口から後工程に向けて熔融ガラスを流す。このとき、熔融ガラスの深さ方向において表層より下方に位置する熔融ガラスの下層の温度を、下層において熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、熔解槽の第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を少なくとも調整することにより、下層の熔融ガラスの第1の方向に沿った温度分布を均一化させながら、熔融ガラスを流出口から後工程に流す。例えば、上記温度分布のうち、熔解槽の第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスの温度は下がり易いので、この温度を上昇させるように温度調節をして下層における温度分布を均一化させる。また、上記両端部に位置する熔融ガラスの温度が上がり易い場合、この温度を下げるように温度調節をして下層における温度分布を均一化させる。
ここで、ガラス原料が投入される熔融ガラスの液面の「略全面」とは、熔解槽の熔融ガラスの液面の80%以上をいう。ガラス原料の投入方法は、ガラス原料を収めたバケットを反転して熔融ガラスにガラス原料を分散投入する方式でも、ベルトコンベアを用いてガラス原料を搬送して分散投入する方式、あるいは略全面に一時に投入する方式でも、スクリューフィーダによりガラス原料を分散投入する方式、あるいは一時に略全面に一時に投入する方式でもよい。後述する実施形態では、バケットを用いてガラス原料が投入される。また、熔融ガラスの「表層」とは、液面から溶解槽の底部に向かった深さの5%以下の範囲内の液面を含む領域をいい、熔融ガラスの「下層」とは、表層以外の領域をいう。また、流出口が設けられる「底部」とは、上記下層の一部であって、底面に近い領域をいう。好ましくは、溶解槽の深さ方向において底面からの深さが、液面と溶解槽の底部との間の深さの1/2以下である領域をいう。
熔解槽の熔融ガラスは、熔融ガラス自身に電気が流れて自ら発熱することで昇温するが、加熱方法は、この通電による熔融ガラスの加熱のほかに、バーナーによる火焔を補助的に与えてガラス原料を熔解することもできる。なお、ガラス原料には清澄剤が添加される。清澄剤として、SnO,As,Sb等が知られているが、特に制限されない。しかし、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnO(酸化錫)を用いることが好ましい。
清澄工程(ST2)は、少なくとも清澄槽において行われる。清澄工程では、清澄槽内の熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれるO、COあるいはSOを含んだ泡が、清澄剤の還元反応により生じたOを吸収して成長し、熔融ガラスの液面に泡は浮上して放出される。さらに、清澄工程では、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により得られた還元物質が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中のO等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄剤による酸化反応及び還元反応は、熔融ガラスの温度を制御することにより行われる。なお、清澄工程は、減圧雰囲気を清澄槽につくり、熔融ガラスに存在する泡を減圧雰囲気で成長させて脱泡させる減圧脱泡方式を用いることもできる。この場合、清澄剤を用いない点で有効である。なお後述する清澄工程では、酸化錫を清澄剤として用いた清澄方法を用いる。
均質化工程(ST3)では、清澄槽から延びる配管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。なお、攪拌槽は1つ設けても、2つ設けてもよい。
供給工程(ST4)では、攪拌槽から延びる配管を通して熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形装置では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形は、オーバーフローダウンドロー法あるいはフロート法を用いることができる。後述する本実施形態では、オーバダウンロード法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置において、成形装置から供給されたシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。この後、ガラス基板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス基板の洗浄が行われ、さらに、気泡や脈理等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品として梱包される。
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行う装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解槽101と、清澄槽102と、攪拌槽103と、ガラス供給管104,105,106と、を有する。
図2に示す例の熔解装置101では、ガラス原料の投入がバケット101dを用いて行われる。清澄槽102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスMGの清澄が行われる。さらに、攪拌槽103では、スターラ103aによって熔融ガラスMGが攪拌されて均質化される。成形装置200では、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスMGからシートガラスSGが成形される。
(熔解槽の詳細説明)
図3は、本実施形態の熔解槽101の概略構成を説明する図である。
熔解槽101は、ガラス原料を、熔解槽101に蓄えられた熔融ガラスMGの液面101cの略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽101は、熔解槽101の内側側壁のうち、図3中の左右方向(第1の方向)、より具体的には左方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口104aから後工程に向けて熔融ガラスMGを流す。
熔解槽101は、耐火レンガ等の耐火物により構成された壁110を有する。熔解槽101は、壁110で囲まれた内部空間を有する。熔解槽101の内部空間は、上記空間に投入されたガラス原料が熔解してできた溶融ガラスMGを加熱しながら収容する液槽101aと、溶融ガラスMGの上層に形成され、ガラス原料が投入される、気相である上部空間101bとを有する。
溶解槽101の上部空間101bの上記第1の方向に平行な壁110には、燃料と酸素等を混合した燃焼ガスが燃焼して火炎を発するバーナー112が設けられる。バーナー112は火炎によって上部空間101bの耐火物を加熱して壁110を高温にする。ガラス原料は、高温になった壁110の輻射熱により、また、高温となった気相の雰囲気によって加熱される。
図3中の熔解槽101の左側側壁には、上部空間101bに接する面には、原料投入窓101fが設けられている。この原料投入窓101fを通して、ガラス原料を収めたバケット101dが上部空間101bに出入りし、後述するコンピュータ118の指示に従って熔融ガラスMGの液面101c上を前後左右に移動するように構成されている。
図4は、熔解槽101におけるガラス原料の投入を説明する図である。
図4に示すように、ガラス原料は、熔解槽101に蓄えられた熔融ガラスMGの液面の略全面に投入される。これにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスMGが作られる。
すなわち、熔解槽101は、コンピュータ118の指示によって、バケット101dがガラス原料を収めた状態で、バケット101dを目標とする区域に移動させ、バケット101dの上面を下面に反転させるパケット動作機構を備える。バケット101dがガラス原料を投入する区域および投入する時間間隔は、熔融ガラスMGの液面101cに浮遊するガラス原料が無くならないように、予め定められている。したがって、熔解槽101内部では、熔融ガラスMGの液面の略全面に投入されるので、常に熔融ガラスMGの液面101cをガラス原料が覆うように浮遊している。
このようにガラス原料を、常時液面101cを覆うように浮遊させるのは、熔融ガラスMGの熱が液面101cを通して、気相である上部空間101bに放射されず、熔融ガラスMGの液面を含む表層の温度分布を均一化させて、一定に維持させるためである。また、ガラス原料のうち、SiO(シリカ)等の熔解性の低い(熔解温度が高い)原料成分を効率よく熔解させ、SiO(シリカ)等の原料成分の熔け残りを防止するためである。SiO等の熔解温度の高い原料成分は、他の成分、例えばB(酸化ホウ素)等の原料成分と混合された状態では、SiO等の固有の熔解温度より低い温度でSiO等は溶解され得る。このため、熔融ガラスMGの液面101c上にガラス原料が常に存在して液面101cを覆うように、ガラス原料を絶えず分散投入する。これにより、B等の原料成分が、熔けにくいSiO等の原料成分とともに熔解するので、SiO(シリカ)等の原料成分の熔け残りを防止することができる。従来のように、ガラス原料が、熔融ガラスの液面の一部に投入される場合、熔け難いSiO等の原料成分が熔け残り、熔融ガラスの対流によって、ガラス原料の投入位置から遠くに離れた液面に異質素地として浮遊する場合がある。また、この異質素地は、熔融ガラスの対流によって熔解槽内部に移動し、場合によっては、熔解槽の流出口から流出して後処理工程に流れる場合もあり、脈理等のガラス組成のムラの原因となりやすい。
このため、本実施形態では、熔解槽101において、ガラス原料を、熔融ガラスMGの液面の略全面に投入する。したがって、熔融ガラスMGの液面を含む表層における温度が均一化される。また、SiO等の原料成分の熔け残りを防止することもできる。
熔解槽101の上記第1の方向に平行で、お互いに対向する液槽101aの内側側壁110a,110bに、酸化錫あるいはモリブデン等の耐熱性を有する導電性材料で構成された3対の電極114が設けられている。3対の電極114は、内側側壁110a,110bのうち、熔融ガラスMGの下層に対応する領域に設けられている。3対の電極114はいずれも、液槽101aの外壁の面から内壁の面まで延びている。3対の電極114のそれぞれの対のうち、図中奥側の電極は図示されていない。3対の電極114の各対は、溶融ガラスMGを通してお互いに対向するように、内側壁110a,110bに設けられている。各対の電極114は、電極間に位置する溶融ガラスMGに電流を流す。溶融ガラスMGはこの通電により、ジュール熱を自ら発して溶融ガラスMGを加熱する。熔解槽101では、溶融ガラスMGは例えば1500℃以上に加熱される。加熱された溶融ガラスMGは、ガラス供給管104を通して清澄槽102へ送られる。なお、3対の電極114のうちの各電極114の対と、この対に隣り合う電極114の対との間の第1の方向における離間距離はいずれも同じであることが、下層における熔融ガラスMGの温度を均一化させるために温度を制御する点で好ましい。
本実施形態では、熔解槽101には3対の電極114が設けられるが、2対あるいは4対以上の電極が設けられてもよい。電極114の対が4対以上の場合でも、各電極114の対と、この対に隣り合う電極114の対との間の第1の方向における離間距離はいずれも同じであることが、下層における熔融ガラスMGの温度を均一化させるために温度を制御する点で好ましい。
図3に示す熔解槽101では、バーナー112が上部空間101bに設けられているが、バーナー112は設けられなくてもよい。比抵抗が大きい溶融ガラス(例えば、1500℃における比抵抗が180Ω・cm以上である熔融ガラス)において、バーナー112が補助的に用いられてもよい。熔融ガラスMGの広い面積の液面101cにガラス原料を分散投入し、液面101cの略全面をガラス原料で覆うことにより、熔融ガラスMGの液面101cからの熱放射を防ぎ、熔融ガラスMGの温度の低下を抑えることができる。これにより、ガラス原料を、連続して熔融ガラスをつくるときバーナー112を用いることなく熔融ガラスMGの温度によって熔解させることができる。
電極114のそれぞれは、制御ユニット116に接続されており、下層における熔融ガラスMGの温度分布を均一化するために、電極114のそれぞれに投入する電力(交流)が、電極114の対毎に制御されている。制御ユニット116は、さらにコンピュータ118と接続されている。コンピュータ118は、制御ユニット116が電極114に投入する電力、具体的に電圧と電流の値を制御ユニット116から受け取り、この電圧及び電流の情報から、熔解槽101内の電極114間に挟まれた熔融ガラスMGの温度情報を求める。コンピュータ118は、さらにこの温度情報に基いて、3対の電極114のそれぞれの対が計測する熔融ガラスMGの温度が所定の許容範囲内、例えば5℃以内、好ましくは3℃以内の範囲で揃うように、電極114に投入する電力の指示を制御ユニット116に送る。また、コンピュータ118は、制御ユニット116を通して後述するバケット101dを動作するように、図示されないバケット動作機構に指示をする。
コンピュータ118は、例えば、以下の方法で、電極114の対の間に挟まれた位置にある熔融ガラスMGの温度情報を得る。すなわち、電極114の各対の電圧をE(V)とし、電流をI(A)とし、電極114の対の間において熔融ガラスMGを流れる電流の断面積をS(m)とし、電極114の対の間の長さをL(m)としたとき、ρ=E/I×S/Lの式に従って熔融ガラスMGの比抵抗ρ(Ω・m)を求める。断面積S及び長さLは、熔解槽101によって定まった値である。
比抵抗ρは、電流が流れる熔融ガラスMGの温度によって変化するので、予め比抵抗ρと熔融ガラスMGの温度の間の関係を求めておくことにより、この関係を用いて、コンピュータ118で算出された比抵抗ρから熔融ガラスMGの温度情報を求めることができる。比抵抗ρと熔融ガラスMGの温度の間の関係は、例えば、F(ρ)のように、比抵抗ρの関数式で表すことができる。一例を挙げると、関数式F(ρ)は下記式で定めることができる。一般に、第1の方向に面する内側壁110c,110d近傍に位置する熔融ガラスMGは内側壁110c,110dから熱放射により低温になり易い。このため、本実施形態では、熔解槽202の第1の方向の両端部における温度を上昇させることにより、下層における温度分布を均一化させる。
熔融ガラスMGの温度T(℃)= a/(log(ρ)+b)−273.15
a,b:ガラス組成に依存する定数。
熔解槽101の流出口104aは、ガラス供給管104を通して、清澄槽102と接続されている。
図5は、本実施形態における熔解槽101内部の熔融ガラスの対流を説明する図である。本実施形態では、ガラス原料を、熔解槽101に蓄えられた熔融ガラスMGの液面の略全面に投入することにより、液面101cを含む表層の温度が均一化した熔融ガラスMGを作る。この熔融ガラスMGを流出口104aから後工程に向けて流すとき、熔融ガラスMGの深さ方向において熔融ガラスMGの下層の温度を、下層において熔融ガラスMGの温度分布に起因した対流が生じないように、下層の熔融ガラスMGの図3中の左右方向(第1の方向)に沿った温度分布のうち、熔解槽101の図3中の左右方向の両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を少なくとも調整することにより、下層における温度分布を均一化させる。熔解槽101の図3中の左右方向の両端部に位置する熔融ガラスの温度を上昇させるように両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を少なくとも調整するのは、図3中の左右の側壁から外部に熱が放出され易く、上記両端部における熔融ガラスMGの温度は中央部に比べて低くなり易いからである。すなわち、温度が低下し易い両端部に位置する熔融ガラスの温度が上昇するように、両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を調整する。このため、3対の電極114に供給する電力は、熔解槽101の図3中の左右方向(第1の方向)の中央部の電極114に比べて、両側に位置する電極114の方を高く設定することが好ましい。したがって、熔融ガラスMGは、下層における熔融ガラスMGの温度分布に起因した対流を起こすことなく、熔融ガラスMGの流出口104aからの流出に引っ張られて、図5に示す矢印のように流れる。
一方、図6は、従来の熔解槽内部の熔融ガラスの対流を説明する図である。図6に示すように、従来の熔解槽では、領域Aにおいて、ポットスプリングが形成されるように熔融ガラスは部分的に強く加熱されて対流が促進される。このため、熔融ガラスの液面の一部に投入したガラス原料のうち、SiO等の熔けにくい原料成分が対流によって移動し、例えばシリカリッチの異質素地120がガラス原料の投入位置から離れたところに溜まり易い。また、この異質素地120が対流に沿って流出口から流出する機会が増え、脈理等のガラス組成のムラの原因となりやすい。
このように、本実施形態では、ガラス原料を、熔解槽101に蓄えられた熔融ガラスMGの液面の略全面に投入することにより、液面101cを含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽101の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口104aから後工程に向けて熔融ガラスMGを流す。このとき、熔融ガラスMGの下層の温度を、下層において熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、熔解槽の第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスMGに与える熱量を少なくとも調整することにより、下層の熔融ガラスMGの第1の方向に沿った温度分布を均一化させながら、熔融ガラスMGを流出口から後工程に流す。例えば、下層の熔融ガラスMGの第1の方向に沿った温度分布のうち、熔解槽101の第1の方向の両端部に位置する温度が低下し易い熔融ガラスMGの温度を上昇させることにより、下層における温度分布を均一化させながら、熔融ガラスMGを流出口104aから清澄工程に流す。このため、下層において熔融ガラスMGの温度分布に起因した対流が生じないので、異質素地120等に起因したガラス組成のムラを抑制することができる。なお、下層において熔融ガラスMGの温度分布が均一でない場合、下層と温度が均一化した表層との間には温度差の分布が生じるので、従来のようなホットスプリングの対流ができ易い。
したがって、粘性の高い熔融ガラス、例えば、熔融ガラスの102.5poiseにおける温度が1300℃以上(例えば、1300℃以上1650℃以下)、より好ましくは、1500℃以上(例えば、1500℃以上1650℃以下)である熔融ガラスであっても、本実施形態の製造方法を適用することができ、従来の製造方法の場合に比べて、脈理等のガラス組成のムラを抑制することができる利点が大きい。また、1500℃における比抵抗が180Ω・cm以上である比抵抗が大きい熔融ガラスにおいても、ホットスプリングを強調するために過度な電圧をかける必要がないため、耐火物に電流が流れることを防ぐことができる。このため、ガラスの失透の原因になり易いZrO(ジルコニア)が熔解槽101の熔融ガラスMGと接する内側側壁から溶出することを防止しつつガラス組成のムラを抑制することができるため、本実施形態の製造方法が適している。また、このような比抵抗が大きい溶融ガラスについては、熔解槽101においてバーナーによる加熱を併用してもよい。
本実施形態では、3対の電極114のそれぞれの対は、図3中の左右の方向(第1の方向)に直交する方向に向いてお互いに対向しているので、熔融ガラスMGの第1の方向に沿った下層における温度を効果的に均一化させることができる。
また、本実施形態では、3対の電極114に供給する電力は、溶解槽101の熱の放出を考慮して、第1の方向の熔解槽101の中央部に比べて、両端部の方が高くなるように供給されるので、下層における熔融ガラスMGの第1の方向における温度分布を均一化し易い。
本実施形態では、熔融ガラスの温度分布に起因する対流を引きこさないように熔融ガラスMGの下層における温度が均一化されるので、従来のように熔融ガラスの温度分布に起因した対流を促進させるために、熔解槽101を構成する耐火物の溶出を犠牲にして熔融ガラスを部分的に過度に高温に加熱する必要がなくなる。このため、ガラスの失透の原因になり易いZrO(ジルコニア)が熔解槽101の熔融ガラスMGと接する内側側壁から溶出し難く蝕なる。したがって、本実施形態の熔解方法は、耐蝕性に優れたZrOを成分に含む耐火物によって熔解槽101の内側側壁が構成されている場合に適している。
(ガラス組成)
本実施形態に用いるガラスの組成については、アルミノシリケートガラスで構成され、SiO(シリカ)を50質量%以上含むことができる。このガラス組成を有するアルミノシリケートガラスに適用した本実施形態の製造方法は、従来に比べて効果的にガラス組成のムラを抑制することができる。さらには、SiOを55質量%以上含むことができ、さらに、SiOを60質量%以上含むことができる。これらの組成を有するアルミノシリケートガラスを適用した本実施形態の製造方法は、従来に比べてより効果的にガラス組成ムラを抑制することができる。SiOを50質量%以上含み、シリカリッチの異質素地ができ易いガラス組成であっても、熔融ガラスMGが温度分布に起因した対流が発生しないように熔解されるので、シリカリッチの異質素地が流出口104aから流出することを防止することができる。また、ガラス原料が液面101cに常に一定の厚さ分存在するように投入されるので、SiOの熔け残りが防止され、図6に示すようなSiOによる異質素地120が生じ難い。また、SiOを50質量%以上含み熔融ガラスMGの粘性が高いガラス組成をガラス基板に用い、従来のように熔融ガラスの対流を促進した場合、溶解槽を構成する耐火物に含有するZrO(ジルコニア)が熔融ガラスに溶出し、ガラスの失透の原因になる場合がある。しかし、本実施形態は、熔融ガラスMGの温度分布に起因する対流を引き起こさないように下層における熔融ガラスMGの温度分布を均一化するので、従来のように熔融ガラスを過度に高温に加熱する必要がない。このため、溶解槽101の耐火物からZrO(ジルコニア)の溶出を防ぐことができる。なお、SiOのガラス組成における含有率の上限は例えば70質量%である。
また、SiOとAlとを合計で60質量%以上含むことができ、このガラス組成を有するアルミノシリケートガラスを適用した本実施形態の製造方法は、従来に比べて効果的にガラス組成のムラを抑制することができる。さらに、SiOとAlとを合計で65質量%以上含むことができ、さらに、SiOとAlとを、合計で70質量%以上含むことができる。SiOとAlとを合計で60質量%以上含みシリカリッチの異質素地120ができ易いガラス組成であっても、熔融ガラスMGが温度分布に起因した対流が発生しないように熔解されるので、シリカリッチの異質素地が流出口104aから流出することを防止することができる。また、ガラス原料が液面101cに常に一定の厚さ分存在するように投入されるので、SiOの熔け残りが防止され、図6に示すようなSiOによる異質素地120が生じ難い。また、SiOとAlとを合計で60質量%以上含み熔融ガラスMGの粘性が高いガラス組成をガラス基板に用い、従来のように熔融ガラスの対流を促進した場合、溶解槽を構成する耐火物に含有するZrO(ジルコニア)が熔融ガラスに溶出し、ガラスの失透の原因になる場合がある。しかし、本実施形態は、熔融ガラスMGの温度分布に起因する対流を引き起こさないように下層における熔融ガラスMGの温度分布を均一化するので、従来のように熔融ガラスを部分的に過度に高温に加熱する必要がない。このため、溶解槽101の耐火物からZrO(ジルコニア)の溶出を防ぐことができる。なお、ガラス組成において、SiOとAlとの合計の含有率の上限は、例えば95質量%である。
また、ガラス基板は、アルミノボロシリケートガラスで構成されることが好ましい。B(酸化ホウ素)は、SiOに比べて低温で熔解し、しかも、SiOの熔解温度を低下させる。したがって、SiOの含有率が高いガラス組成においては、Bを含有させることは、異質素地120(図6参照)を生じさせ難い点で有効である。
ガラス基板のガラス組成は例えば以下のものを挙げることができる。
以下示す組成の含有率表示は、質量%である。
SiO:50〜70%、
:5〜18%、
Al:0〜25%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜20%、
SrO:0〜20%、
BaO:0〜10%、
RO:5〜20%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種であり、ガラス基板が含有するものである)、
を含有する無アルカリガラスであることが好ましい。
また、ガラス基板のガラスについては、以下のガラス組成を挙げることができる。
SiO:50〜70%、
:1〜10%、
Al:0〜25%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜20%、
SrO:0〜20%、
BaO:0〜10%、
RO:5〜30%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaの合量)、
を含有する無アルカリガラスであることも、同様に好ましい。
また、ガラス基板のガラスについては、以下のガラス組成を挙げることができる。
SiO:50〜70%、
:3〜15%、
Al:8〜25%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜20%、
SrO:0〜20%、
BaO:0〜10%、
RO:5〜20%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaの合量)、
を含有する無アルカリガラスであることも、同様に好ましい。
なお、本実施形態では無アルカリガラスとしたが、ガラス基板はアルカリ金属を微量含んだ(アルカリ金像の合計含有率が0質量%より大きい)アルカリ微量含有ガラスであってもよい。アルカリ金属を含有させる場合、R’Oの合計が0.10%以上0.5%以下、好ましくは0.20%以上0.5%以下(ただし、R’はLi、Na及びKから選ばれる少なくとも1種であり、ガラス基板が含有するものである)含むことが好ましい。また、ガラスの熔解を容易にするために、比抵抗を低下させるという観点から、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることがさらに好ましい。また、As、SbおよびPbOを実質的に含まないことが好ましい。
本実施形態の製造方法は、液晶表示装置用ガラス基板に効果的に適用できる。液晶表示装置用ガラス基板は、ガラス基板における熱膨張を抑制し、かつ、ガラス基板に形成されるTFT(Thin Film Transistor)の特性を低下させないために、上述したように、ガラス組成にアルカリ金属成分(Li、Na及びK)を含ませないか、含ませても微量であることが好ましい。しかし、アルカリ金属成分(Li、Na及びK)を含ませないか、含ませても微量である場合、熔融ガラスMGの高温粘性が高くなるため、強いホットスプリングを作るためには、熔融ガラスMGを部分的に高温に加熱する必要がある。本実施形態では、熔融ガラスMGの液面101cの略全面にガラス原料は投入され、しかも、熔融ガラスMGの対流が生じないように熔融ガラスMGの温度は調整されるので、従来のように、熔融ガラスの温度分布を作るために熔融ガラスMGを部分的に高温に加熱する必要がなくなる。したがって、本実施形態の製造方法は、従来のように熔融ガラスの温度を部分的に過度に高くしない点で、液晶表示装置用ガラス基板に好適に適用できる。
この他に、清澄剤として、SnO(酸化錫)を0.01〜0.5質量%含むことが、環境負荷を低減する一方、効率よい清澄効果を発揮させる点で、好ましい。
また、本実施形態では、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnOを用いるが、SnOの清澄作用を効果的に機能させるためには、熔解温度を高くしすぎないことが好ましい。熔融ガラスMGの温度を本実施形態では、従来の公知の製造方法のように、ホットスプリングを強調するために熔融ガラスを部分的に過度に加熱する必要がないので、溶解槽101の耐火物からZrO(ジルコニア)の溶出を防ぐことができる他、SnOの清澄作用を効果的に機能させることができる。
また、本実施形態では、熔融ガラスMGの下層における温度を熔解槽101内でより効果的に均一化するために、熔解槽101の外側側壁には、電極114が設けられる部分の周りに保温部材が設けられることが好ましい。保温材として、例えば、グラスウールやセラミックファイバ等の断熱材を板状に固めた板部材等が用いられる。これにより、熔解槽101の外側側壁からの放熱を防ぐことができ、熔融ガラスMGの温度を熔解槽101内でより効果的に均一にし、熔融ガラスMGの対流をより一層低減することができる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 熔解装置
101 熔解槽
101a 液槽
101b 上部空間
101c 液面
101d バケット
101f 原料投入窓
102 清澄槽
103 攪拌槽
103a スターラ
104,105,106 ガラス供給管
110 壁
110a,110b,110c,110d 内側側壁
112 バーナー
114 電極
116 制御ユニット
118 コンピュータ
120 異質素地
200 成形装置
210 成形体
300 切断装置
本発明の一態様は、ガラス原料を熔解槽で加熱して熔解する熔解工程を含むガラス基板の製造方法である。
前記熔解槽でつくられる熔融ガラスと接する前記熔解槽の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部には、流出口から後工程に向けて熔融ガラスを流す流出口が設けられ、
前記熔解槽でつくられる熔融ガラスと接する前記熔解槽の内側側壁のうち、前記熔解槽の互いに対向する内側側壁には、前記熔解槽の外側から前記内側側壁の面まで延びた、互いに対向する電極の対が、前記第1の方向に沿って少なくとも3対以上設けられ、
前記熔解工程では、
ガラス原料を、前記熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面の略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作り、
前記熔融ガラスを前記流出口から流し、
前記熔融ガラスを流すとき、熔融ガラスの深さ方向において前記表層より下方に位置する熔融ガラスの下層において、前記電極の対の間に電力を与えて、前記下層に位置する熔融ガラスを通電加熱し、かつ、前記熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、前記第1の方向の両側に位置する両側の電極の対が熔融ガラスに与える熱量を前記両側の電極の対の内側に位置する電極の対が熔融ガラスに与える熱量より大きくすることにより、前記下層の熔融ガラスの前記第1の方向に沿った温度分布を均一化させながら、前記熔融ガラスを前記流出口から前記後工程に流す。

Claims (11)

  1. ガラス原料を熔解槽で加熱して熔解する熔解工程を含み、
    前記熔解工程では、
    ガラス原料を、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面の略全面に投入することにより、液面を含む表層の温度が均一化した熔融ガラスを作り、
    前記熔解槽の内側側壁のうち、第1の方向に向く内側側壁の底部に設けられた流出口から後工程に向けて前記熔融ガラスを流し、
    前記熔融ガラスを流すとき、熔融ガラスの深さ方向において前記表層より下方に位置する前記熔融ガラスの下層の温度を、前記下層において前記熔融ガラスの温度分布に起因した対流が生じないように、前記熔解槽の前記第1の方向の両端部に位置する熔融ガラスに与える熱量を少なくとも調整することにより、前記下層の熔融ガラスの前記第1の方向に沿った温度分布を均一化させながら、前記熔融ガラスを前記流出口から前記後工程に流す、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記下層における前記温度分布を均一化させるために、前記熔解槽の前記第1の方向に平行な内側側壁のうち、前記下層に対応する前記深さ方向の部分に、前記液面に平行な方向に電流を流して前記下層に位置する熔融ガラスを通電加熱する複数対の電極が設けられ、前記複数対の電極のそれぞれの対は、前記第1の方向に直交する方向に向いてお互いに対向している、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記複数対の電極に供給する電力は、前記第1の方向の前記熔解槽の前記第1の方向の中央部に位置する電極に比べて、前記第1の方向の前記熔解槽の両側に位置する電極の方が高い、請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記熔解槽の前記熔融ガラスと接する内側側壁は、ジルコニアを成分に含む耐火物によって構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記熔融ガラスの102.5poiseにおける温度は、1300℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記製造されるガラス基板は、アルミノシリケートガラスで構成され、SiOを50質量%以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  7. 前記製造されるガラス基板は、アルミノシリケートガラスで構成され、SiOとAlとを合計で60質量%以上含む、請求項6に記載のガラス基板の製造方法。
  8. 前記製造されるガラス基板は、無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスで構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  9. 前記熔融ガラスの1500℃における比抵抗は、180Ω・cm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  10. 前記ガラス原料には、酸化錫が清澄剤として添加されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  11. 前記熔解槽の外側側壁には、前記複数対の電極が設けられる部分の周りに保温部材が設けられる、請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
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