JP6566824B2 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス板の製造方法、および、この製造方法に用いられる熔解槽に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進んでいる。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いられるガラス基板にも高品質であることが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、高温に熱処理されたガラス基板の寸法変化が生じにくいように、熱収縮の小さいガラス板が求められている。
一般に、ガラス板の熱収縮は、ガラスの歪点が高いほど、また、ガラス板の製造工程中の徐冷速度を小さくするほど、小さくなることが知られている。そのため、同じガラス組成であっても、徐冷速度を十分に小さくすることによって、求められるレベルまで熱収縮を低減することは可能である。特に、熔融ガラスからフロート法でガラス板を製造する場合、徐冷炉を長くして徐冷速度を小さくすることは比較的容易にできる。しかし、ダウンドロー法を用いてガラス板を製造する場合、徐冷炉を長くすることは設備上あるいは操業操作上の点から難しい。このため、ダウンドロー法で熱収縮に対する要求を満たすガラス板を製造するためには、従来のガラス組成に比べて歪点の高いガラス組成のガラスを利用する、言い換えれば、高温粘性の高いガラス組成のガラスを利用しなければならない。このようなガラス組成を持つガラスは、一般的に、熔融ガラス時の高温粘性や電気抵抗率も大きくなる傾向にある。
ここで、特許文献1(特表2012−517398号公報)に開示されているように、ガラス原料から溶融時の電気抵抗率が大きい熔融ガラスをつくる場合、熔解槽内の気相空間において、バーナー加熱により気相空間の温度を高温化して熔解槽の壁の温度を高くし、この壁からの輻射熱(輻射伝熱)により投入したガラス原料を熔解させるとともに、熔解してできる熔融ガラスを、上記輻射熱(輻射伝熱)により加熱する。さらに、熔解槽本体に設けられた電極対を介して通電加熱を行うことにより、熔融ガラスの温度および粘度を調整する。
特表2012−517398号公報
このように、熔解槽内の気相空間を高温化するためにバーナー加熱するとともに、熔解槽本体に設けられた電極対を介して溶融ガラスを通電加熱する場合、熔解槽の上層領域の溶融ガラスはバーナー加熱により温度が高くなり、加えて、通電加熱の電流は温度の高い領域へとより流れ易くなるため、電気密度が温度の高い領域へ偏り、通電加熱量を大きくするにつれて溶融ガラスの温度の高低差が増していく傾向となる。
熔解槽に貯留される溶融ガラスの温度の高低差が拡がると、熔融ガラスの液面近くで温度が著しく高くなる場合、清澄剤である酸化スズが分解し、後の清澄工程での泡の除去能力が低下する可能性がある。また、原料中のホウ酸が揮発により損失し、異質な熔融ガラスが生成し、これが混入することで脈理の原因になりうる。また、電極や耐火物が溶融ガラスと接する場所で温度の高い場所があると、電極や耐火物の侵食が激しくなり、熔解炉全体の寿命が縮まることとなる。
他方、溶融ガラスの温度が低い領域で、例えば、流出口が設けられる側壁側(短手方向)では、異質素地(難熔性成分であるSiOの濃度が他の場所よりも高くなった素地)が溜まり易く、この異質素地が溶融ガラスの下方に沈み込んで流出口から流出して後工程に流れ、ガラス板の成形工程において脈理を形成する場合がある。
そこで、本発明は、熔解槽に貯留される溶融ガラスの温度の高低差を縮小し、溶融ガラスの高温領域で生じる、電極や耐火物の侵食、清澄剤の損失を防ぎ、さらに、溶融ガラスの低温領域で生じる流出口側の側壁における異質素地の下方への沈み込みを減少させ、成形工程におけるガラス板の脈理の発生を抑制する、ガラス板の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、熔解槽において、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを通電加熱させる工程を含むガラス板の製造方法であって、前記熔解槽の側壁は、電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、前記電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、電流密度の大きい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1耐火物と、電流密度の小さい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2耐火物とを有し、第2耐火物の電気抵抗率は、第1耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする。
本発明の一態様は、熔解槽において、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを通電加熱させる工程を含むガラス板の製造方法であって、
前記熔解槽の側壁は、電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、
前記電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、高温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1耐火物と、低温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2耐火物とを有し、第2耐火物の電気抵抗率は、第1耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする、ガラス板の製造方法。
さらに、前記第1耐火物および第2耐火物は、ジルコニア系電鋳耐火物である、ことが好ましい。
さらに、前記電流密度制御構造の第2耐火物は、低温領域の溶融ガラスが接触する熔解槽側壁の隅部に設けられる、ことが好ましい。
さらに、前記溶融ガラスの高温領域および低温領域が、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱流体解析(CFD)に基づいて特定される、ことが好ましい。
本発明の、電流密度制御構造を備えた熔解槽によれば、溶融ガラスの電流密度の偏りを抑制し、熔解槽中の溶融ガラスの温度の不均一(高低差)を改善することが可能となる。これにより、溶融ガラスの高温領域で生じる、電極や耐火物の侵食、清澄剤の損失を防ぐとともに、流出口側の側壁(熔解槽の短手方向)における溶融ガラスの低温領域が縮小され、異質素地の沈み込みを抑制し、成形工程における脈理の発生を抑制することが可能となる。
実施形態に係るガラス板の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである 実施形態に係るガラス板製造装置の構成を示す模式図である。 熔解槽の熔解槽本体とその周辺構造の概略的な斜視図である。 熔解槽の長手方向に直交する方向の断面図である。 本発明の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の温度分布(電極1〜6)と、電流密度制御構造を含まない場合の温度分布(電極1〜6)を示す図である。 電流密度制御構造による溶融ガラスの温度分布を示す図である。 本発明の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の一例を示す模式図である。
以下、本実施形態のガラス板の製造方法について説明する。
本実施形態の一つ目は、熔解槽の側壁に電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、該電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、電流密度の大きい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1の耐火物と、電流密度の小さい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2の耐火物とを備え、第2の耐火物の電気抵抗率は、第1の耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする。
本実施形態の二つ目は、熔解槽の側壁に電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、該電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、高温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1耐火物と、低温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2耐火物とを有し、第2耐火物の電気抵抗率は、第1耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする。
電流密度制御構造の設定は、例えば、熔解槽モデルを用いて溶融ガラスをつくるシミュレーション計算を行って熔解槽の溶融ガラスにおける温度分布を予測計算し、予測計算で得られた温度分布で、溶融ガラスの温度が小さい、及び/又は、電流密度が小さい領域に、電流密度制御構造の第2の耐火物を設定する。
(ガラス板の製造方法の全体概要)
本発明に係るガラス板の製造方法、および、この方法に用いられる熔解槽の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示すフロー図である。
(ガラス板の製造方法の全体概要)
ガラス板の製造方法は、図1に示されるように、主として、熔解工程(S1)と、清澄工程(ST)と、攪拌工程(S3)と、供給工程(S4)と、成形工程(S5)と、徐冷工程(S6)と、切断工程(S7)と、を主に備える。
この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程S1では、ガラス原料が熔解槽に投入されて加熱されることで熔融ガラスが得られる。熔融ガラスは、熔解槽の側壁の底部に形成された流出口から、清澄工程S2に向かって流出する。熔解槽における熔融ガラスの加熱は、熔解槽の側壁に設けられた電極対を用いて熔融ガラスに電気を流して直接的に熔融ガラスを加熱する(通電加熱)とともに、熔融ガラスの液面の上方空間をバーナーの炎で加熱して間接的に熔融ガラスを加熱する(バーナー加熱)ことで行われる。なお、ガラス原料には、清澄剤が添加される。清澄剤として、例えば、SnO、AsおよびSbが挙げられ、環境負荷低減の観点からSnOが用いられる。
清澄工程S2では、熔解槽から延びる配管を流れた熔融ガラスが清澄槽内で加熱されることで、熔融ガラス中に含まれるCO、N、SO等を含む泡が、清澄剤の還元反応によって生じた酸素を吸収する。酸素を吸収して成長した泡は、熔融ガラスの液面に浮上して消滅する。清澄工程S2では、さらに、熔融ガラスの温度を低下させることで、還元された清澄剤が酸化反応を起こして、熔融ガラス中に残存している酸素等のガスが熔融ガラスに吸収される。清澄剤の還元反応および酸化反応は、清澄槽内の熔融ガラスの温度を制御することにより行われる。なお、清澄工程S2では、減圧雰囲気の空間を清澄槽内に形成し、熔融ガラス中の泡を減圧雰囲気下で成長させて除去する減圧脱泡方式を用いてもよい。
攪拌工程S3では、清澄槽から延びる配管を流れた熔融ガラスが、攪拌槽内で攪拌されて、熔融ガラスの成分が均質化される。これにより、脈理の原因である熔融ガラスの組成ムラが低減される。
供給工程S4では、攪拌槽で攪拌された熔融ガラスが、配管を流れて成形装置に供給される。
成形工程S5では、成形装置に供給された熔融ガラスから、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンが連続的に成形される。
徐冷工程S6では、成形されたガラスリボンが所望の厚みを有し、かつ、歪みおよび反りが生じないように、ガラスリボンが徐々に冷却される。
切断工程S7では、冷却されたガラスリボンが所定の長さに切断されて、ガラス素板が得られる。ガラス素板は、さらに、所定の寸法に切断されて、製品サイズのガラス板が得られる。その後、ガラス板端面の研削および研磨、並びに、ガラス板の洗浄が行われる。さらに、気泡、脈理およびキズ等の欠陥の有無が検査され、検査に合格したガラス板が梱包されて製品として出荷される。ガラス板の幅方向の寸法は、例えば、500mm〜3500mmである。ガラス板の長さ方向の寸法は、500mm〜3500mm、1500mm〜3500mm、1800〜3500mm、2000mm〜3500mmなどが挙げられ、2000mm〜3500mmであることが好ましい。
このガラス板の製造方法で用いられるガラス原料は、所望の組成のガラスを実質的に得ることができるように調製されている。ガラスの組成の一例として、フラットパネルディスプレイ用のガラス板として好適な無アルカリガラスは、SiO2:50質量%〜70質量%、Al23:0質量%〜25質量%、B23:1質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
また、フラットパネルディスプレイ用のガラス板として、アルカリ金属を微量含むアルカリ微量含有ガラスを用いてもよい。アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。なお、R’Oの含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。
また、ガラスの組成は、上記成分に加えて、SnO:0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)、Fe:0質量%〜0.2質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.08質量%)をさらに含有してもよい。また、ガラスの組成は、環境負荷を考慮して、As、SbおよびPbOを実質的に含有しないことが好ましい。
なお、フラットパネルディスプレイ用のガラス板は、高温時における粘度が高い。例えば、1500℃以上で102.5ポアズの粘度を有する。あるいは、1500℃で102.5ポアズから103.5ポアズの粘度有する。
図2は、熔解工程S1から切断工程S7までを行うガラス板製造装置100の構成の一例を示す模式図である。ガラス板製造装置100は、熔解槽101と、清澄槽102と、攪拌槽103と、成形装置104と、第1供給管105aと、第2供給管105bと、第3供給管105cとを備える。第1供給管105aは、熔解槽101と清澄槽102とを接続する。第2供給管105bは、清澄槽102と攪拌槽103とを接続する。第3供給管105cは、攪拌槽103と成形装置104とを接続する。
熔解工程S1において、ガラス原料は、バケット101dを用いて熔解槽101に投入される。ガラス原料は、熔解槽101内で加熱されて熔解し、熔融ガラスMGが得られる。熔解槽101では、例えば、1500℃〜1630℃の熔融ガラスMGが得られる。熔解槽101内の熔融ガラスMGは、第1供給管105aを流れて、清澄槽102に供給される。
バケット101dを用いるガラス原料の投入方法は、熔融ガラスMGの液面のうち第1供給管105aの反対側の液面に投入する前方投入方式と、熔融ガラスMGの液面全体に均等に投入する全面投入方式とを含む。本実施形態では、図2に示されるように、前方投入方式によってガラス原料が熔解槽101に投入される。なお、ガラス原料は、バケット101dを用いる以外の方法で熔解槽101に投入されてもよく、例えば、スクリューフィーダを用いた方法による投入が挙げられる。
清澄工程S2では、清澄槽102において熔融ガラスMGが清澄される。清澄槽102では、熔融ガラスMGの温度が調整されて、熔融ガラスMG中に含まれるガス成分が除去される。清澄槽102では、熔融ガラスMGは、例えば、1500℃〜1700℃まで昇温させられる。清澄された熔融ガラスMGは、第2供給管105bを流れて、攪拌槽103に供給される。
攪拌工程S3では、攪拌槽103において熔融ガラスMGが攪拌されて、熔融ガラスMGの成分が均質化される。攪拌槽103に供給される熔融ガラスMGの温度は、所定の範囲内になるように調整されている。攪拌槽103内の熔融ガラスMGの温度は、例えば、1250℃〜1450℃である。攪拌槽103内の熔融ガラスMGの粘度は、例えば、500ポアズ〜1300ポアズである。攪拌槽103で均質化された熔融ガラスMGは、第3供給管105cに流入する。
供給工程S4では、熔融ガラスMGは、第3供給管105cの中を流れながら、次の成形工程S5におけるガラスリボンの成形に適した温度まで冷却される。例えば、熔融ガラスMGは、第3供給管105cの中を流れる過程で、1200℃付近まで冷却される。供給工程S4において、第3供給管105cの中を流れる熔融ガラスMGは、温度が制御されながら冷却される。第3供給管105cで冷却された熔融ガラスMGは、成形装置104に供給される。
成形工程S5では、成形装置104において、オーバーフローダウンドロー法によって熔融ガラスMGからガラスリボンが連続的に成形される。
徐冷工程S6では、成形装置104において、成形工程S5において成形されたガラスリボンが室温付近まで徐冷される。
切断工程S7では、徐冷されたガラスリボンが、切断装置(図示せず)によって所定の寸法に切断され、ガラス板が製造される。
本実施形態のガラス板の製造方法において、熱収縮の小さいガラス板を作るために高温粘性の高いガラスを用いる場合、熔解工程S1において、高温粘性の低いガラスに比べてより多量の電流を流して熔融ガラスを通電加熱する必要がある。溶融ガラスの高温粘性が高いほど、溶融ガラスの電気抵抗率は高い傾向にある。溶融ガラスの加熱は、熔解槽内の気相空間を高温化するためのバーナー加熱に加え、熔解槽本体に設けられた電極対を介しての溶融ガラスの通電加熱を行うため、熔解槽の上層領域の溶融ガラスはバーナー加熱により温度が高くなり、さらに、通電加熱の電流は温度の高い領域へとより流れ易くなり、電流密度が温度の高い領域へ偏り、結果、通電加熱量が大きくなるにつれて溶融ガラスの温度の高低差が増していく傾向となる。
また、熔融ガラスの高温粘性が高いほど、熔融ガラスの電気抵抗率は大きくなる傾向にあるため、熔融ガラスの電気抵抗率は、熔解槽101の側壁および底壁を構成する耐火レンガの電気抵抗率と同等になる場合がある。このため、熔解槽101の側壁に設けられた電極対を用いて熔融ガラスに電流を流す際に、本来熔融ガラスに流れるべき電流の一部が、熔解槽101の側壁および底壁に流れ、熔解槽101が加熱される場合がある。特に、熔解槽101の底壁が、耐熱性および保温性に優れた耐火レンガから構成されている場合、耐火レンガに熱が蓄積されて高温状態が維持される熱ごもりが発生する。このような熱ごもりは、熔解槽101の底壁を構成する耐火レンガの機械的強度を低下させて熱クリープを発生させる可能性があり、また、耐火レンガの一部が熔損して熔解槽101に貯留される熔融ガラスが外部に漏れ出る可能性があるため、熱ごもりを抑制するような構造を底壁に設けるのが好ましい。
本実施形態では、高温粘性の高い熔融ガラス、具体的には、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを作るための熔解槽101は、側壁110bにおいて溶融ガラスの電流密度を制御する電流密度制御構造を有する。
(1)熔解槽の詳細な構成
熔解槽101の詳細な構成について説明する。図3は、熔解槽101の熔解槽本体とその周辺構造の概略的な斜視図である。図4は、熔解槽101の長手方向に直交する方向の断面図である。熔解槽101の長手方向は、バケット101dの原料投入口から第1供給管105aへ向かう方向であり、図3において複数の電極対114の並び方向である。熔解槽101は、主として、熔解槽本体110と、バーナー112と、電極対114と、迫部118とを備える。
熔解槽本体110は、熔融ガラスMGが貯留される容器である。熔解槽本体110は、高温の熔融ガラスに対して耐熱性を有する素材で成形されている。熔解槽本体110の内部空間の上部は、熔融ガラスMGの液面より上方の気相空間110cである。熔解槽本体110の内部空間の下部は、熔融ガラスMGが貯留される貯留空間110dである。熔解槽本体110に貯留される熔融ガラスMGは、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である。
熔解槽本体110は、主として、底壁110aと、側壁110bと、気相空間仕切り壁116とから構成される。側壁110bは、底壁110aの上面の外縁から上方に向かって突出している壁である。気相空間仕切り壁116は、側壁110bの上端と接続されている壁である。気相空間110cは、主に、熔解槽本体110の一部である気相空間仕切り壁116によって四方を囲まれている。
バーナー112は、気相空間仕切り壁116に取り付けられている。バーナー112は、燃料と酸素等を混合した燃焼ガスの燃焼により生じる火炎を気相空間110cに放出する。バーナー112は、気相空間110cを加熱することで、熔解槽本体110に貯留されている熔融ガラスMGを間接的に加熱する。図3では、気相空間仕切り壁116の互いに対向する一対の壁に、それぞれ6基のバーナー112が、対向する壁のバーナー位置に対し互い違いで向き合う様に配置されている。図3では、熔解槽本体110の奥側の壁に取り付けられているバーナー112のみが示され、6基のバーナー112が互いに対向する位置に設けられるように見えるが、これら6基のバーナー112は、図3の紙面に対して垂直方向の異なる位置に設けられている。気相空間仕切り壁116に取り付けられるバーナーの数は、一対の壁にそれぞれ6基に限らず、設計に応じて設定することができる。たとえば、気相空間仕切り壁116に取り付けられるバーナーの数は、一対の壁にそれぞれ2基〜10基の範囲で設定され、気相空間110cを効果的に加熱するという観点から、一対の壁にそれぞれ3基〜8基が好ましく、より好ましくは、一対の壁にそれぞれ6基〜8基である。なお、バーナー112は、互いに対向する一対の壁の一方のみに設けられてもよく、設計に応じてバーナー数を設定することができる。
電極対114は、熔解槽本体110の長手方向の側壁110bに取り付けられている。図3では、電極対114は、長手方向の6箇所の異なる位置に、熔融ガラスMGを挟んで互いに対向するように設けられている。図3では、熔解槽本体110の手前側の側壁110bに取り付けられている電極のみが示されている。電極対114は、その間に存在する熔融ガラスMGに電流を流して、熔融ガラスMGを通電加熱する。電極対114は、例えば、酸化錫あるいはモリブデン等の耐熱性を有する導電性材料から成形される。
電極対114は、制御ユニット(図示せず)に接続され、制御ユニットから電流の供給を受ける。制御ユニットは、コンピュータ(図示せず)に接続される。コンピュータは、電極対114に流れる電流を制御するための制御信号を制御ユニットに送る。コンピュータは、熔解槽101に貯留される熔融ガラスMGの温度および粘度が所定の範囲内になるように制御信号を生成する、あるいは、電極対114それぞれで受け渡される電流が一定になるようフィードバック制御に基づいて制御信号を生成する。
電極対114が側壁110bに取り付けられる数は、設計に応じて設定することができる。たとえば、側壁110bに取り付けられる電極対の数は、2対〜10対の範囲で設定され、熔融ガラスMGの温度および粘度を所定の範囲に効率的に通電加熱する観点から、3対〜8対が好ましく、6対〜8対がより好ましい。
気相空間仕切り壁116は、熔解槽本体110の一部であり、主に、貯留空間110dの上方の気相空間110cを囲む壁である。気相空間仕切り壁116には、開閉自在な原料投入口101fが設けられている。図3に示されるバケット101dは、原料投入口101fを出入りすることができる。ガラス原料を積んだバケット101d又はスクリューフィーダにより、ガラス原料は、熔解槽本体110に貯留される熔融ガラスMGの液面に投入される。熔解槽本体110の、原料投入口101fと対向する側壁110bの底部近傍には、流出口115が設けられている。流出口115には、第1供給管105aが接続されている。熔解槽101は、流出口115を介して後工程に熔融ガラスMGを供給する。なお、バケット101dの代わりにスクリューフィーダーを用いて、熔解槽本体110に貯留される溶融ガラスMGの液面にガラス原料が投入されてもよい。
迫部118は、熔解槽101の気相空間110cを覆う天井壁である。図4には、迫部118の詳細が示されている。迫部118の頂部には、温度センサ118aが取り付けられている。温度センサ118aは、気相空間110cの温度を測定する。迫部118は、高温の熔融ガラスMGに対して耐熱性を有する素材で成形されている。なお、気相空間仕切り壁116および迫部118は、例えば、Al、ZrO及びSiOを含むAZS系電鋳耐火レンガから構成される。
次に、熔解槽本体110の詳細な構成について説明する。熔解槽本体110が備える4つの側壁110bのうち、少なくとも、1つの側壁110bが、溶融ガラスの電流密度を制御する電流密度制御構造を有する。電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物から構成され、溶融ガラスの温度領域および電流密度によって、電気抵抗率の異なる耐火物の構造配置が決定される。電流密度制御構造では、電気抵抗率の高い耐火物が高温領域及び/又は電流密度の大きい領域の溶融ガラスに接触し、電気抵抗率の低い耐火物が低温領域及び/又は電流密度が小さい領域の溶融ガラスに接触するように、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物が配置され、熔解槽の構造を構成する。
たとえば、熔解槽における溶融ガラスの各領域〔i)上層領域、ii)中層領域、iii)低層領域、iv)電極が設けられない側壁領域、v)熔解槽の角領域〕の温度分布は偏る傾向にある。通電加熱の効果が得られ易い電極対114に挟まれる領域で、且つ、バーナー加熱が伝わり易い上層領域から中層領域は、溶融ガラスが高温となる傾向が高い(溶融ガラスの高温領域)。バーナー加熱の熱が伝わり難い低層領域で、且つ、通電加熱の効果が得られ難い熔解槽の角領域又は電極が設けられない側壁領域は、溶融ガラスが低温となる傾向が高い(溶融ガラスの低温領域)。さらに、通電加熱量が大きくなるほど、溶融ガラスの低温領域では、温度が低いため、電流密度が小さくなる傾向がある。
溶融ガラスの高温領域および低温領域の特定は、バーナー加熱、通電加熱など溶融ガラスの温度制御する各条件にもとづいて特定される。また、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱伝導のシミュレーション計算にもとづいて、溶融ガラスの高温領域および低温領域を特定することもできる。
電気抵抗率の高い耐火物として(第1耐火物)、1500℃での電気抵抗率が50Ω・cm〜500Ω・cm、1600℃での電気抵抗率が30Ω・cm〜200Ω・cmの電鋳耐火物が用いられ、ジルコニア系電鋳耐火物、アルミナ−ジルコニア−シリカ系電鋳耐火物、等が挙げられる。なかでも、電気抵抗性および耐食性の観点から、ジルコニア(ZrO)の含有量が90質量%以上である高ジルコニア質の耐火物のうち、電気抵抗率を高くする目的でガラス相が調整されているものを用いるのが好ましい。例えば、サンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系高抵抗電鋳耐火物(SCIMOS−CZ、SCIMOS−MCZ)が用いられる。また、高精細用低収縮ガラス基板を製造するために電気抵抗率の高いガラスを溶融する場合、熔解槽の側壁の電流密度制御構造における電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)としては、酸化タンタルなどの添加によりさらに高抵抗化された耐火物を用いるのも、好ましい。
電気抵抗率の低い耐火物として(第2耐火物)、1500℃での電気抵抗率が20Ω・cm〜200Ωcm、1600℃での電気抵抗率が20Ωcm〜100Ωcmの電鋳耐火物で、例えば、ジルコニア系電鋳耐火物、アルミナ−ジルコニア−シリカ系電鋳耐火物、等が挙げられる。なかでも、電気抵抗性および耐食性の観点から、ジルコニア(ZrO)の含有量が90質量%以上である高ジルコニアの耐火物を用いるのが好ましい。例えば、サンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−Z)が用いられる。また、高精細用低収縮ガラス基板を製造するために、電気抵抗率の高いガラスを溶融する場合、熔解槽の電流密度制御構造における電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)としては、ジルコニア電鋳耐火物のうち、電気抵抗率を高くする目的でガラス相が調整されているものも、好ましい。
電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)の、1400℃のときにおける電気抵抗率および熱伝導率の範囲は、電気抵抗率が80Ω・cm〜800Ω・cmであり、熱伝導率は3.0W/m・K〜7.0W/m・Kである。電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)の、1400℃のときにおける電気抵抗率および熱伝導率の範囲は、電気抵抗率が30Ω・cm〜300Ω・cmであり、熱伝導率は3.0W/m・K〜7.0W/m・Kである。電気抵抗率および熱伝導率がこれらの範囲にあると、保温性に優れ、且つ、電流密度制御構造の効果を高めることができる。
電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)の腐食度は、例えば、2000mdd〜20000mddである。電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)の腐食度は、例えば、2000mdd〜20000mddである。腐食度mdd(mg/dm・day)とは、耐食性を表すパラメータであり、腐食度mddが小さいほど、耐食性が高い。腐食度がこれらの範囲にあると、熔解槽の耐久性を高く維持することができる。
電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)の厚みは、60mm〜300mmである。電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)の厚みは、60mm〜300mmである。
熔解槽本体110の底壁110aは、耐火物から構成されている。例えば、耐熱耐火レンガが積層された構造を有している。底壁110aを構成する耐火物は、耐食性の高い、1種以上の耐火物で構成される。熔解槽101の底壁が、耐熱性および保温性に優れた耐火レンガから構成されている場合、耐火レンガに熱が蓄積されて高温状態が維持される熱ごもりが発生し、耐火レンガの機械的強度を低下させて熱クリープを発生させる可能性や、耐火レンガの一部が熔損する可能性があるため、熱ごもりを抑制するような構造を底壁に設けてもよい。
(2)特徴
本発明の熔解槽本体110が備える4つの側壁110bのうち、少なくとも1つの側壁110bは、溶融ガラスの電流密度を制御する電流密度制御構造を有する。電流密度制構造は、上述したように、熔解槽に貯留される溶融ガラスの温度領域における電流密度の偏りを制御するための構造である。
電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成される。電流密度制御構造における耐火物の構成は、電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)が電流密度の大きい領域の溶融ガラスに接触し、電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)が電流密度の小さい領域の溶融ガラスに接触するように、配置される。
あるいは、電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成される。電流密度制御構造における耐火物の構成は、電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)が高温領域の溶融ガラスに接触し、電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)が低温領域の溶融ガラスに接触するように、配置される。
熔解槽本体110に貯留される溶融ガラスにおける各領域の温度分布は偏る傾向にある。電極対114に挟まれる電流密度の大きい領域で、溶融ガラスの中層領域から上層領域では、溶融ガラスが高温となる傾向にある(溶融ガラスの高温領域)。電流密度の小さい熔解槽の角領域又は電極が設けられない側壁領域では、溶融ガラスが低温となる傾向にある(溶融ガラスの低温領域)。
溶融ガラスの高温領域および低温領域の特定は、バーナー加熱、通電加熱など溶融ガラスの温度制御する各条件にもとづいて特定される。また、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱伝導のシミュレーション計算にもとづいて、溶融ガラスの高温領域および低温領域を特定することもできる。
溶融ガラスの高温領域と低温領域の温度分布の差は、通電加熱量が大きくなるにつれ、拡大する傾向にある。これは、電流は温度の高いところへより流れ易くなるため、バーナー加熱により温度が高くなる溶融ガラス領域、電極対に挟まれ通電加熱により温度が高くなる溶融ガラス領域では、より多くの電流が流れ易くなる傾向となる。他方、バーナー加熱や通電加熱の熱量が到達し難い溶融ガラス領域では、低温となり、電流密度がより小さくなる傾向となる。
本実施形態の電流密度制御構造を、熔解槽本体110が備える4つの側壁110bのうち、少なくとも1つの側壁110bに備え、電気抵抗率の高い耐火物(第1耐火物)が高温領域で且つ電流密度が大きい領域の溶融ガラスに接触し、さらに、電気抵抗率の低い耐火物(第2耐火物)が低温領域で且つ電流密度が小さい領域の溶融ガラスに接触することで、電流密度の偏りを抑制し、上述のような溶融ガラスの温度分布の偏りを均一化することができる。
これにより、溶融ガラスの高温領域で生じる、電極や耐火物の侵食、清澄剤の損失を防ぐとともに、流出口側の側壁(熔解槽の短手方向)における溶融ガラスの低温領域が縮小され、異質素地の沈み込みを抑制し、成形工程における脈理の発生を抑制することが可能となる。
実施形態1
熔解槽本体の設計において、溶融ガラスMGの熱伝導のシミュレーションを行って熔解槽101全体の温度分布を求める。求めた温度分布において、溶融ガラスの温度が低く、なお且つ電流密度が小さいと算出された溶融ガラスMGの領域を特定し、電流密度制御構造の耐火物2の配置を決定した。
実施形態1では、図5に示されるとおり、熔解槽の4つの側壁のうち、溶解槽の長手方向の側壁のうちの一つにおいて、両角の側壁部位、電極直下の側壁部位、および電極下側で底壁110aと隣接する側壁部位を第2の耐火物とし、これらの側壁部位の他は全て第1の耐火物として、電流密度制御構造を設置した。第2の耐火物の電気抵抗率は、第1の耐火物の電気抵抗率よりも低くする。第1の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−CZ、電気抵抗率82Ω・cm(1600℃))、第2の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−Z)、電気抵抗率46Ω・cm(1600℃))を使用する。
このように、長手方向の側壁において、両角の側壁部位と、電極直下の側壁部位と、電極下側で底壁110aと隣接する側壁部位とを第2の耐火物とし、本発明の電気密度制御構造を設けた場合、第2の耐火物の電気抵抗率は第1の耐火物の電気抵抗率よりも低いため、通電加熱量が大きくなるにつれ、第2の耐火物に接触する溶融ガラスMGの領域へと電流密度がより拡がり、かかる領域の通電加熱量が上昇していき、第2の耐火物に接触する領域の溶融ガラス温度は、電流密度制御構造を設けない場合と比べ、より高くなる(図6を参照)。この結果、温度の不均一が改善される。
また、流出口115が設けられる側壁(短手方向の側壁)では、溶融ガラスMGの温度が低下し、下降流が生じ易い。流出口115が設けられる側壁近くには、異質素地(難熔性成分であるSiOの濃度が他の場所よりも高くなった素地)が溜まり易く、流出口115が設けられる側壁で生じる下降流によって、異質素地が溶融ガラスMGの下方に沈み込んで流出口115から流出して後工程に流れ、ガラス板の成形工程において脈理を形成する場合がある。
しかし、本実施形態1の熔解槽101では、電流密度制御構造が設けられ、第2の耐火物に接触する溶融ガラスMGの領域の電流密度がより大きくなり、第2耐火物に接触する溶融ガラスMGの領域の通電加熱量が上昇していくため、短手方向の側壁側の低温領域であった大きさは縮小し、さらに下降流の程度も小さくなる(図7のA)。これにより、流出口115が設けられる側壁では、異質素地の下方への沈み込みが抑制され、流出口115から後工程への異質素地の流れは減少し、成形工程における脈理の発生を抑制することができる。
実施形態2
実施形態1と同様、熔解槽本体の設計において、溶融ガラスMGの熱伝導のシミュレーションを行って熔解槽101全体の温度分布を求め、溶融ガラスの温度が低く、なお且つ電流密度が小さいと算出された溶融ガラスMGの領域を特定した。
実施形態2では、図8に示されるとおり、実施形態2で設けられる耐火物2の位置に加え、さらに、電極が配置されない短手方向の側壁部位にも第2耐火物を設け、電流密度制御構造とする。実施形態1と同様、第2の耐火物の電気抵抗率は、第1の耐火物の電気抵抗率よりも低くし、第1の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−CZ、電気抵抗率82Ω・cm(1600℃))、第2の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−Z)、電気抵抗率46Ω・cm(1600℃))を使用する。
実施形態2(図8)のようにして本発明の電流密度制御構造を設けた場合においても、第2の耐火物の電気抵抗率は第1の耐火物の電気抵抗率よりも低いため、通電加熱量が大きくなるにつれ、第2の耐火物に接触する溶融ガラスMGの領域へと電流密度がより拡がり、かかる領域の通電加熱量が上昇していき、第2の耐火物に接触する領域の溶融ガラス温度は、電流密度制御構造を設けない場合と比べ、より高くなる。この結果、温度の不均一が改善される。
実施形態3
実施形態1と同様、熔解槽本体の設計において、溶融ガラスMGの熱伝導のシミュレーションを行って熔解槽101全体の温度分布を求め、溶融ガラスの温度が低く、なお且つ電流密度が小さいと算出された溶融ガラスMGの領域を特定した。
実施形態3では、図9に示されるとおり、長手方向の2つの側壁のうちの一つを全て第2耐火物として、電流密度制御構造とする。実施形態1と同様、第2の耐火物の電気抵抗率は、第1の耐火物の電気抵抗率よりも低くし、第1の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−CZ、電気抵抗率82Ω・cm(1600℃))、第2の耐火物としてサンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−Z)、電気抵抗率46Ω・cm(1600℃))を使用する。
実施形態3(図9)のようにして本発明の電流密度制御構造を設けた場合においても、実施形態1および2と同様、温度の不均一が改善される。
101 熔解槽
110 熔解槽本体
110a 底壁(底部)
110b 側壁(壁部)
114 電極対(電極)
121 第1耐火物
122 第2耐火物

Claims (5)

  1. 熔解槽において、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを通電加熱させる工程を含むガラス板の製造方法であって、
    前記熔解槽の側壁は、電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、
    前記電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、電流密度の大きい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1耐火物と、電流密度の小さい領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2耐火物とを有し、第2耐火物の電気抵抗率は、第1耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする、ガラス板の製造方法。
  2. 熔解槽において、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを通電加熱させる工程を含むガラス板の製造方法であって、
    前記熔解槽の側壁は、電流密度を制御する電流密度制御構造を有し、
    前記電流密度制御構造は、電気抵抗率の異なる2種以上の耐火物で構成され、少なくとも、高温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第1耐火物と、低温領域の溶融ガラスに接触するように設けられる第2耐火物とを有し、第2耐火物の電気抵抗率は、第1耐火物の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする、ガラス板の製造方法。
  3. 前記第1耐火物および第2耐火物は、ジルコニア系電鋳耐火物である、請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記電流密度制御構造の第2耐火物は、低温領域の溶融ガラスが接触する熔解槽側壁の隅部に設けられる、ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記溶融ガラスの高温領域および低温領域が、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱伝導シミュレーションに基づいて特定される、請求項2から4のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
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