JP2017178760A - ガラス板の製造方法及び熔解槽 - Google Patents

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【課題】熔解工程で高温粘性の高い熔融ガラスをつくるとき、熔解槽におけるガラス温度の不均質を改善するとともに、熔解槽の寿命を長期化するガラス板の製造方法及びこの製造方法に用いられる熔解槽を提供することを目的とする。【解決手段】電極及び熔解槽本体を備える熔解槽において、通電加熱により熔融ガラスをつくる熔解工程を含むガラス板の製造方法であって、前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中で、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス板の製造方法及び熔解槽に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進んでいる。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いられるガラス基板にも高品質であることが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、高温に熱処理されたガラス基板の寸法変化が生じにくいように、熱収縮の小さいガラス板が求められている。
一般に、ガラス板の熱収縮は、ガラスの歪点が高いほど、また、ガラス板の製造工程中の徐冷速度を小さくするほど、小さくなることが知られている。そのため、同じガラス組成であっても、徐冷速度を十分に小さくすることによって、求められるレベルまで熱収縮を低減することは可能である。
しかし、ダウンドロー法を用いてガラス板を製造する場合、徐冷炉を長くして徐冷速度を小さくするには設備上あるいは操業操作上の制約が大きい。そのため、ダウンドロー法で熱収縮に対する要求を満たすガラス板を製造するためには、従来のガラス組成に比べて歪点の高いガラス組成、即ち、高温粘性の高いガラス組成のガラスを利用しなければならない。このようなガラス組成を持つガラスは、一般的に、熔融ガラス時の電気抵抗率も大きくなる傾向にある。
特許文献1に開示されるとおり、ガラス原料を熔解する熔解槽では、ガラス原料から熔融ガラスをつくるとき、熔解槽内の気相空間を加熱するバーナー加熱と、熔解槽本体に設けられた電極対による通電加熱を組み合わせてガラス原料を加熱する。バーナー加熱により熔解槽の気相空間の温度を高温化して熔解槽の壁の温度を高くし、この壁からの輻射熱により投入したガラス原料を熔解させるとともに、熔解してできる熔融ガラスを、上記輻射熱により加熱する。さらに、熔解槽本体に設けられた電極対を介して通電加熱を行うことにより、熔融ガラスの温度および粘度を調整する。
特開2012−517398号公報
熔解槽において、バーナー加熱と通電加熱でガラス原料を熔解すると、熔融ガラス液面側の上部ガラス領域では、熔解槽内の気相空間を加熱するバーナー加熱を受けてガラス温度が高くなり、通電の電流が高温領域へ偏り、電流密度も高くなる傾向にある。歪点が高く、高温粘性の高いガラス組成は、熔融ガラスの電気抵抗率が高く、通電加熱時に流す電流も多くなるため、電流密度が偏る傾向はより強くなる。
熔融ガラスの液面側の上部ガラス領域では、電流密度が高くなるにつれ、ガラス温度の高温化が進行し、他方、熔解槽の底側の下部ガラス領域では低温化する傾向にある。
特に、この傾向は、電流密度の大きい電極付近のガラス領域において強く、電流密度がガラス液面側の上部に偏るとともに、高温化が助長され、ガラス温度の均質性の低下を進行させる原因となることを見出した。熔融ガラスにおけるガラス温度の不均質は、例えば、熔解槽のガラス流出口付近で液面付近の異物を巻き込んだ下降流を発生させ、ガラス品質に脈理を起こす可能性がある。
このような品質低下を防ぐためにも、熔解槽内のガラス温度を均質にすることが求められ、特に、電流密度が高い電極付近のガラス温度の均質性を改善する必要があった。
そこで、本発明は、高温粘性の高い熔融ガラスをつくる場合、熔解槽におけるガラス温度の不均質を改善するとともに、熔解槽の寿命を長期化するガラス板の製造方法及び熔解槽を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の〔1〕〜〔8〕の構成を有する発明を完成させた。
〔1〕電極及び熔解槽本体を備える熔解槽において、通電加熱により熔融ガラスをつくる熔解工程を含むガラス板の製造方法であって、
前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中で、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする、ガラス板の製造方法。
〔2〕前記電極が前記熔解槽本体の側壁に設けられ、前記電流密度の小さいガラス領域が、前記電極付近で且つ前記熔解槽本体の底部付近にあり、前記熔解槽本体の側壁の外側で前記電極の下部に保温構造が設けられる、〔1〕に記載のガラス板の製造方法。
〔3〕前記電流密度の小さいガラス領域は、前記熔解槽本体の下角部周辺にあり、前記熔解槽本体の下角部の壁外側に保温構造が設けられる、〔2〕又は〔3〕に記載のガラス板の製造方法。
〔4〕前記熔解槽本体に貯留される前記溶融ガラスにおける前記電流密度の小さいガラス領域は、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱流体解析に電場解析を連成したシミュレーションに基づいて特定される、請求項〔2〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
〔5〕前記熔融ガラスが、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である、〔2〕〜〔4〕に記載のガラス板の製造方法。
〔6〕前記熔解槽本体の壁は、ジルコニア系電鋳耐火物である、〔2〕〜〔5〕に記載のガラス板の製造方法。
〔7〕熔融ガラスを通電加熱により作るための熔解槽であって、
1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを貯留する熔解槽本体と、前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスを通電加熱するための電極と、
を備え、
前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中でも、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする、熔解槽。
〔8〕前記電極が、前記熔解槽本体の側壁に設けられ
前記電流密度の小さいガラス領域が、前記電極付近で且つ前記熔解槽本体の底部付近にあり、前記熔解槽本体の側壁の外側で前記電極の下部に保温構造が設けられる〔7〕に記載の熔解槽。
実施形態に係るガラス板の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである 実施形態に係るガラス板製造装置の構成を示す模式図である。 熔解槽の熔解槽本体とその周辺構造の概略的な斜視図である。 熔解槽の長手方向に直交する方向の断面図である。 本発明の実施形態の一例で、電極下部の側壁に保温構造を有することを示す模式図である。 本発明の実施形態の一例で、電極側の側壁の角部に保温構造を有することを示す模式図である。 本発明の実施形態の一例で、電極が備えられていない側壁側へ拡大された保温構造を有することを示す模式図である。
以下、本実施形態のガラス板の製造方法およびこの製造方法に用いられる熔解槽について説明する。
本実施形態は、電極及び熔解槽本体を備える熔解槽において、通電加熱により熔融ガラスをつくる熔解工程を含むガラス板の製造方法であって、
前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中でも、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする製造方法、を含む。
本実施形態は、熔融ガラスを通電加熱により作るための熔解槽であって、
1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを貯留する熔解槽本体と、前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスを通電加熱するための電極と、
を備え、
前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中で、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする熔解槽、を含む。
溶融ガラスの電流密度の分布は、バーナー加熱、通電加熱など溶融ガラスの加熱条件とともに、熔融ガラスの電気抵抗率、熔融ガラスの温度分布にもとづいて特定され、溶融槽モデルを用いて、熱流体解析に電場解析を連成したシミュレーション(流体流れ、熱伝導、及び電場の3連成解析)を行って、ガラス領域における電流密度の分布を得て、溶融ガラスの電流密度の小さい領域を特定することができる。
(ガラス板の製造方法の全体概要)
本発明に係るガラス板の製造方法、および、この方法に用いられる熔解槽の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示すフロー図である。
(ガラス板の製造方法の全体概要)
ガラス板の製造方法は、図1に示されるように、主として、熔解工程(S1)と、清澄工程(ST)と、攪拌工程(S3)と、供給工程(S4)と、成形工程(S5)と、徐冷工程(S6)と、切断工程(S7)と、を主に備える。
この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程S1では、ガラス原料が熔解槽に投入されて加熱されることで熔融ガラスが得られる。熔融ガラスは、熔解槽の側壁の底部に形成された流出口から、清澄工程S2に向かって流出する。熔解槽における熔融ガラスの加熱は、熔解槽の側壁に設けられた電極対を用いて熔融ガラスに電気を流して直接的に熔融ガラスを加熱する(通電加熱)とともに、熔融ガラスの液面の上方空間をバーナーの炎で加熱して間接的に熔融ガラスを加熱する(バーナー加熱)ことで行われる。なお、ガラス原料には、清澄剤が添加される。清澄剤として、例えば、SnO、AsおよびSbが挙げられ、環境負荷低減の観点からSnOが用いられる。
清澄工程S2では、熔解槽から延びる配管を流れた熔融ガラスが清澄槽内で加熱されることで、熔融ガラス中に含まれるCO、N、SO等を含む泡が、清澄剤の還元反応によって生じた酸素を吸収する。酸素を吸収して成長した泡は、熔融ガラスの液面に浮上して消滅する。清澄工程S2では、さらに、熔融ガラスの温度を低下させることで、還元された清澄剤が酸化反応を起こして、熔融ガラス中に残存している酸素等のガスが熔融ガラスに吸収される。清澄剤の還元反応および酸化反応は、清澄槽内の熔融ガラスの温度を制御することにより行われる。なお、清澄工程S2では、減圧雰囲気の空間を清澄槽内に形成し、熔融ガラス中の泡を減圧雰囲気下で成長させて除去する減圧脱泡方式を用いてもよい。
攪拌工程S3では、清澄槽から延びる配管を流れた熔融ガラスが、攪拌槽内で攪拌されて、熔融ガラスの成分が均質化される。これにより、脈理の原因である熔融ガラスの組成ムラが低減される。
供給工程S4では、攪拌槽で攪拌された熔融ガラスが、配管を流れて成形装置に供給される。
成形工程S5では、成形装置に供給された熔融ガラスから、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンが連続的に成形される。
徐冷工程S6では、成形されたガラスリボンが所望の厚みを有し、かつ、歪みおよび反りが生じないように、ガラスリボンが徐々に冷却される。
切断工程S7では、冷却されたガラスリボンが所定の長さに切断されて、ガラス素板が得られる。ガラス素板は、さらに、所定の寸法に切断されて、製品サイズのガラス板が得られる。その後、ガラス板端面の研削および研磨、並びに、ガラス板の洗浄が行われる。さらに、気泡、脈理およびキズ等の欠陥の有無が検査され、検査に合格したガラス板が梱包されて製品として出荷される。ガラス板の幅方向の寸法は、例えば、500mm〜3500mmである。ガラス板の長さ方向の寸法は、500mm〜3500mm、1500mm〜3500mm、1800〜3500mm、2000mm〜3500mmなどが挙げられ、2000mm〜3500mmであることが好ましい。
このガラス板の製造方法で用いられるガラス原料は、所望の組成のガラスを実質的に得ることができるように調製されている。ガラスの組成の一例として、フラットパネルディスプレイ用のガラス板として好適な無アルカリガラスは、SiO2:50質量%〜70質量%、Al23:0質量%〜25質量%、B23:1質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
また、フラットパネルディスプレイ用のガラス板として、アルカリ金属を微量含むアルカリ微量含有ガラスを用いてもよい。アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。なお、R’Oの含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。
また、ガラスの組成は、上記成分に加えて、SnO:0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)、Fe:0質量%〜0.2質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.08質量%)をさらに含有してもよい。また、ガラスの組成は、環境負荷を考慮して、As、SbおよびPbOを実質的に含有しないことが好ましい。
なお、フラットパネルディスプレイ用のガラス板は、高温時における粘度が高い。例えば、1500℃以上で102.5ポアズの粘度を有する。あるいは、1500℃で102.5ポアズから103.5ポアズの粘度有する。
図2は、熔解工程S1から切断工程S7までを行うガラス板製造装置100の構成の一例を示す模式図である。ガラス板製造装置100は、熔解槽101と、清澄槽102と、攪拌槽103と、成形装置104と、第1供給管105aと、第2供給管105bと、第3供給管105cとを備える。第1供給管105aは、熔解槽101と清澄槽102とを接続する。第2供給管105bは、清澄槽102と攪拌槽103とを接続する。第3供給管105cは、攪拌槽103と成形装置104とを接続する。
熔解工程S1において、ガラス原料は、バケット101dを用いて熔解槽101に投入される。ガラス原料は、熔解槽101内で加熱されて熔解し、熔融ガラスMGが得られる。熔解槽101では、例えば、1500℃〜1630℃の熔融ガラスMGが得られる。熔解槽101内の熔融ガラスMGは、第1供給管105aを流れて、清澄槽102に供給される。
バケット101dを用いるガラス原料の投入方法は、熔融ガラスMGの液面のうち第1供給管105aの反対側の液面に投入する前方投入方式と、熔融ガラスMGの液面全体に均等に投入する全面投入方式とを含む。本実施形態では、図2に示されるように、前方投入方式によってガラス原料が熔解槽101に投入される。なお、ガラス原料は、バケット101dを用いる以外の方法で熔解槽101に投入されてもよく、例えば、スクリューフィーダを用いた方法による投入が挙げられる。
清澄工程S2では、清澄槽102において熔融ガラスMGが清澄される。清澄槽102では、熔融ガラスMGの温度が調整されて、熔融ガラスMG中に含まれるガス成分が除去される。清澄槽102では、熔融ガラスMGは、例えば、1500℃〜1700℃まで昇温させられる。清澄された熔融ガラスMGは、第2供給管105bを流れて、攪拌槽103に供給される。
攪拌工程S3では、攪拌槽103において熔融ガラスMGが攪拌されて、熔融ガラスMGの成分が均質化される。攪拌槽103に供給される熔融ガラスMGの温度は、所定の範囲内になるように調整されている。攪拌槽103内の熔融ガラスMGの温度は、例えば、1250℃〜1450℃である。攪拌槽103内の熔融ガラスMGの粘度は、例えば、500ポアズ〜1300ポアズである。攪拌槽103で均質化された熔融ガラスMGは、第3供給管105cに流入する。
供給工程S4では、熔融ガラスMGは、第3供給管105cの中を流れながら、次の成形工程S5におけるガラスリボンの成形に適した温度まで冷却される。例えば、熔融ガラスMGは、第3供給管105cの中を流れる過程で、1200℃付近まで冷却される。供給工程S4において、第3供給管105cの中を流れる熔融ガラスMGは、温度が制御されながら冷却される。第3供給管105cで冷却された熔融ガラスMGは、成形装置104に供給される。
成形工程S5では、成形装置104において、オーバーフローダウンドロー法によって熔融ガラスMGからガラスリボンが連続的に成形される。
徐冷工程S6では、成形装置104において、成形工程S5において成形されたガラスリボンが室温付近まで徐冷される。
切断工程S7では、徐冷されたガラスリボンが、切断装置(図示せず)によって所定の寸法に切断され、ガラス板が製造される。
本実施形態のガラス板の製造方法において、熱収縮の小さいガラス板を作るために高温粘性の高いガラスを用いる場合、熔解工程S1において、高温粘性の低いガラスに比べてより多量の電流を流して熔融ガラスを通電加熱する必要がある。溶融ガラスの高温粘性が高いほど、溶融ガラスの電気抵抗率は高い傾向にある。
溶融ガラスの加熱は、熔解槽内の気相空間を高温化するためのバーナー加熱に加え、熔解槽本体に設けられた電極対を介しての溶融ガラスの通電加熱を行う。熔解槽本体に貯留される溶融ガラスの上層領域はバーナー加熱により温度が高くなり、熔融ガラスの上層領域(熔融ガラスの液面側)のガラス温度が上昇すると、通電加熱の電流は、上層領域の温度が上昇したガラス領域へとより流れ易くなり、電流密度はより温度の高い上層のガラス領域に大きく偏る。この結果、熔融ガラスの液面側の上部ガラス領域では、電流密度が高くなるにつれ、ガラス温度の高温化が進行し、他方、熔解槽の底側の下部ガラス領域では低温化し、通電加熱により、溶融ガラスの温度の高低差が増していく傾向となる。
特に、この傾向は、電流密度の大きい電極付近のガラス領域において強く、電極付近のガラスにおいて、電流密度はガラス液面側の上部に偏るとともに、高温化が助長され、ガラス温度の均質性の低下を進行させる大きな原因となることを見出した。このような熔融ガラスにおけるガラス温度の不均質は、例えば、熔解槽のガラス流出口付近で液面付近の異物を巻き込んだ下降流を発生させ、ガラス品質に脈理を起こす可能性がある。
本実施形態は、このような、熔融ガラスにおける電流密度の偏りが引き起こすガラス温度の高低差の拡大を抑えるために、電流密度の小さいガラス領域に保温構造を有する。
高温粘性の高い熔融ガラス、具体的には、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを作る場合、熔解槽101において、通電加熱による、電流密度の偏りがより深刻となり、溶融ガラスの温度の高低差が増加する傾向となるため、このような状況を抑え、熔融ガラスの温度の高低差を改善するために、電流密度の小さいガラス領域に保温構造を有する。
また、熔融ガラスの高温粘性が高いほど、熔融ガラスの電気抵抗率は大きくなる傾向にあるため、熔融ガラスの電気抵抗率は、熔解槽101の側壁および底壁を構成する耐火レンガの電気抵抗率と同等になる場合がある。このため、熔解槽101の側壁に設けられた電極対を用いて熔融ガラスに電流を流す際に、本来熔融ガラスに流れるべき電流の一部が、熔解槽101の側壁および底壁に流れ、熔解槽101が加熱される場合がある。特に、熔解槽101の底壁が、耐熱性および保温性に優れた耐火レンガから構成されている場合、耐火レンガ自身のジュール発熱の大きさに対して,放熱の大きさが不十分で,耐火レンガが異常高温となる傾向にあり、熱ごもりが発生する。このような熱ごもりは、熔解槽101の底壁を構成する耐火レンガの機械的強度を低下させて熱クリープを発生させる可能性があり、また、耐火レンガの一部が熔損して熔解槽101に貯留される熔融ガラスが外部に漏れ出る可能性があるため、熱ごもりを抑制するような構造を底壁に設けるのが好ましい。
(熔解槽の詳細な構成)
熔解槽101の詳細な構成について説明する。図3は、熔解槽101の熔解槽本体とその周辺構造の概略的な斜視図である。図4は、熔解槽101の長手方向に直交する方向の断面図である。熔解槽101の長手方向は、バケット101dの原料投入口から第1供給管105aへ向かう方向であり、図3において複数の電極対114の並び方向である。熔解槽101は、主として、熔解槽本体110と、バーナー112と、電極対114と、迫部118とを備える。
熔解槽本体110は、熔融ガラスMGが貯留される容器である。熔解槽本体110は、高温の熔融ガラスに対して耐熱性を有する素材で成形されている。熔解槽本体110の内部空間の上部は、熔融ガラスMGの液面より上方の気相空間110cである。熔解槽本体110の内部空間の下部は、熔融ガラスMGが貯留される貯留空間110dである。熔解槽本体110に貯留される熔融ガラスMGは、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上とすることができる。
熔解槽本体110は、主として、底壁110aと、側壁110bと、気相空間仕切り壁116とから構成される。側壁110bは、底壁110aの上面の外縁から上方に向かって突出している壁である。気相空間仕切り壁116は、側壁110bの上端と接続されている壁である。気相空間110cは、主に、熔解槽本体110の一部である気相空間仕切り壁116によって四方を囲まれている。
バーナー112は、気相空間仕切り壁116に取り付けられている。バーナー112は、燃料と酸素等を混合した燃焼ガスの燃焼により生じる火炎を気相空間110cに放出する。バーナー112は、気相空間110cを加熱することで、熔解槽本体110に貯留されている熔融ガラスMGを間接的に加熱する。図3では、気相空間仕切り壁116の互いに対向する一対の壁に、それぞれ6基のバーナー112が、対向する壁のバーナー位置に対し互い違いで向き合う様に配置されている。図3では、熔解槽本体110の奥側の壁に取り付けられているバーナー112のみが示され、6基のバーナー112が互いに対向する位置に設けられるように見えるが、これら6基のバーナー112は、図3の紙面に対して垂直方向の異なる位置に設けられている。気相空間仕切り壁116に取り付けられるバーナーの数は、一対の壁にそれぞれ6基に限らず、設計に応じて設定することができる。たとえば、気相空間仕切り壁116に取り付けられるバーナーの数は、一対の壁にそれぞれ2基〜10基の範囲で設定され、気相空間110cを効果的に加熱するという観点から、一対の壁にそれぞれ3基〜8基が好ましく、より好ましくは、一対の壁にそれぞれ6基〜8基である。なお、バーナー112は、互いに対向する一対の壁の一方のみに設けられてもよく、設計に応じてバーナー数を設定することができる。
電極対114は、熔解槽本体110の長手方向の側壁110bに取り付けられている。図3では、電極対114は、長手方向の6箇所の異なる位置に、熔融ガラスMGを挟んで互いに対向するように設けられている。図3では、熔解槽本体110の手前側の側壁110bに取り付けられている電極のみが示されている。電極対114は、その間に存在する熔融ガラスMGに電流を流して、熔融ガラスMGを通電加熱する。電極対114は、例えば、酸化錫あるいはモリブデン等の耐熱性を有する導電性材料から成形される。
電極対114は、制御ユニット(図示せず)に接続され、制御ユニットから電流の供給を受ける。制御ユニットは、コンピュータ(図示せず)に接続される。コンピュータは、電極対114に流れる電流を制御するための制御信号を制御ユニットに送る。コンピュータは、熔解槽101に貯留される熔融ガラスMGの温度および粘度が所定の範囲内になるように制御信号を生成する、あるいは、電極対114それぞれで受け渡される電流が一定になるようフィードバック制御に基づいて制御信号を生成する。
電極対114が側壁110bに取り付けられる数は、設計に応じて設定することができる。たとえば、側壁110bに取り付けられる電極対の数は、2対〜10対の範囲で設定され、熔融ガラスMGの温度および粘度を所定の範囲に効率的に通電加熱する観点から、3対〜8対が好ましく、6対〜8対がより好ましい。
気相空間仕切り壁116は、熔解槽本体110の一部であり、主に、貯留空間110dの上方の気相空間110cを囲む壁である。気相空間仕切り壁116には、開閉自在な原料投入口101fが設けられている。図3に示されるバケット101dは、原料投入口101fを出入りすることができる。ガラス原料を積んだバケット101d又はスクリューフィーダにより、ガラス原料は、熔解槽本体110に貯留される熔融ガラスMGの液面に投入される。熔解槽本体110の、原料投入口101fと対向する側壁110bの底部近傍には、流出口115が設けられている。流出口115には、第1供給管105aが接続されている。熔解槽101は、流出口115を介して後工程に熔融ガラスMGを供給する。なお、バケット101dの代わりにスクリューフィーダーを用いて、熔解槽本体110に貯留される溶融ガラスMGの液面にガラス原料が投入されてもよい。
迫部118は、熔解槽101の気相空間110cを覆う天井壁である。図4には、迫部118の詳細が示されている。迫部118の頂部には、温度センサ118aが取り付けられている。温度センサ118aは、気相空間110cの温度を測定する。迫部118は、高温の熔融ガラスMGに対して耐熱性を有する素材で成形されている。なお、気相空間仕切り壁116および迫部118は、例えば、Al、ZrO及びSiOを含むAZS系電鋳耐火レンガから構成される。
(熔解槽の詳細)
次に、熔解槽本体110の詳細な構成について説明する。熔解槽本体において、貯留されている熔融ガラスのガラス領域全体の中で、電流密度が小さいガラス領域に接する熔解槽本体の壁(例えば、側壁110)の外側に、保温構造120を設ける。断熱材の材質として、例えば、イソライト工業社製のLAP165などアルミナ系の断熱材が挙げられる。
保温構造120は、断熱効果の高い断熱材で保温機能を有するもので構成され、構造としては1または複数の構造を有することができる。
保温構造120は、熔解槽本体110の壁外側(例えば、側壁110の外側)に設けられ、さらに、前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中でも、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けられる。
熔融ガラスのガラス領域全体〔i)液面側の上層領域、ii)中層領域、iii)低層領域〕のうち、電流密度が小さいガラス領域としてiii)低層領域が挙げられる。さらに、低層領域で且つ通電加熱の効果が得られ難い熔解槽の角領域、又は、低層領域で且つ電極が設けられない側壁領域が挙げられ、このような領域では、溶融ガラスの電流密度が小さくなる傾向が高い。
特に、電極付近の熔融ガラスでは電流密度がもともと大きいため、温度に対する影響も大きく、電極付近のガラスの電流密度の偏りは液面側と底側でより大きく拡大する傾向にあることが見出された。つまり、電極付近の底側のガラス領域において、電流密度が著しく小さくなることが見出されたため、例えば、保温構造120は、電極が設けられる熔解槽本体の側壁の外側で電極の下部に設けられるのが好ましい(実施態様1)。
ほかに、本実施形態の保温構造120が設けられる位置として、例えば、低層領域で且つ通電加熱の効果が得られ難い熔解槽の角領域が挙げられることから、電極が設けられる熔解槽本体の側壁の外側で電極下部とともに、電極が設けられる側壁の角部の外側にも合わせて保温構造を設けてもよい(実施態様2)。
あるいは、本実施形態の保温構造120が設けられる位置として、例えば、低層領域で且つ電極が設けられない側壁領域が挙げられることから、電極が設けられる熔解槽本体の側壁の外側で電極下部とともに、電極が設けられない側壁の角部の外側にも合わせて保温構造を設けてもよい(実施態様3)。
電極が設けられる熔解槽本体110の側壁110bで、電極の上部の側壁部位には、保温構造を設けないのが好ましい。
溶融ガラスの電流密度の分布は、バーナー加熱、通電加熱など溶融ガラスの加熱条件とともに、熔融ガラスの電気抵抗率、熔融ガラスの温度分布にもとづいて特定され、例えば、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱流体解析に電場解析を連成させるシミュレーションを用いて、溶融槽中の熔融ガラスが有する電流密度分布を得て、溶融ガラスの電流密度の小さい領域を特定することができる。
熔解槽本体110の側壁110bに使用されるものとして、ジルコニア系電鋳耐火物、デンスジルコン耐火物などが挙げられる。デンスジルコン耐火物、または、ジルコニア系焼成耐火物は、ジルコン(ZrSiO4)の含有量が90質量%以上であり、かつ、圧縮後の焼成によって成形される耐火物である。例えば、電極上部の側壁110bには、サンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCMOS−CZ)が用いられる。電極下部の側壁110bには、サンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCMOS−CZやSCIMOS−Z)、が用いられる。なお、耐火物の熱伝導率が低いほど、その耐火物の断熱性および保温性が高い。すなわち、耐火物の熱伝導率が低いほど、耐火物から外部に熱が逃げにくいため、上述のとおり、電流密度が小さいガラス領域の電極下部の耐火物の外側には、外部に熱が逃げ難い材質を選択するのが好ましい。
熔解槽本体110の側壁110bには、電気抵抗性および耐食性の観点から、ジルコニア(ZrO)の含有量が90質量%以上である高ジルコニアの耐火物を用いるのが好ましい。
熔解槽本体110の側壁110bに用いられる電気抵抗率の高い耐火物の、1400℃のときにおける電気抵抗率および熱伝導率の範囲は、電気抵抗率が80Ω・cm〜800Ω・cmであり、熱伝導率は3.0W/m・K〜7.0W/m・Kである。電気抵抗率の低い耐火物を用いるときには、電気抵抗率の低い耐火物の、1400℃のときにおける電気抵抗率および熱伝導率の範囲は、電気抵抗率が30Ω・cm〜300Ω・cmであり、熱伝導率は3.0W/m・K〜7.0W/m・Kである。
電気抵抗率の高い耐火物の腐食度は、例えば、2000mdd〜20000mddである。電気抵抗率の低い耐火物の腐食度は、例えば、2000mdd〜20000mddである。腐食度mdd(mg/dm・day)とは、耐食性を表すパラメータであり、腐食度mddが小さいほど、耐食性が高い。腐食度がこれらの範囲にあると、熔解槽の耐久性を高く維持することができる。
熔解槽本体の側壁110bの厚みは、60mm〜300mmである。
熔解槽本体110の底壁110aは、耐火物から構成されている。例えば、耐熱耐火レンガが積層された構造を有している。底壁110aを構成する耐火物は、耐食性の高い、1種以上の耐火物で構成される。熔解槽101の底壁が、耐熱性および保温性に優れた耐火レンガから構成されている場合、耐火レンガに熱が蓄積されて高温状態が維持される熱ごもりが発生し、耐火レンガの機械的強度を低下させて熱クリープを発生させる可能性や、耐火レンガの一部が熔損する可能性があるため、熱ごもりを抑制するような構造を底壁に設けてもよい。
(特徴)
本発明の熔解槽本体110の壁外側には、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造120を設ける。保温構造120は、上述のとおり、熔解槽に貯留される溶融ガラスの電流密度の偏り(電流密度の高い/小さい)の差を抑制するための構造である。
特に、電極付近にある熔融ガラスでは電極付近の熔融ガラスでは電流密度がもともと大きいため、温度に対する影響も大きく、電極付近のガラスの電流密度の偏りは液面側と底側でより大きく拡大する傾向にあることが見出されたため、保温構造120は、このような電流密度の最も小さい領域にガラス領域に接する壁の外側部位に設けるのが好ましい。
保温構造120は、断熱性に優れた耐火物で構成され、熔解槽本体110に貯留される熔融ガラスの電流密度が小さいガラス領域に接する側壁の外側に設けられ、例えば、電極付近の底側のガラス領域において、電流密度が著しく小さくなることが見出されたため、電極が設けられる熔解槽本体の側壁110bの外側で電極の下部に設けられるのが好ましい(実施態様1)。
あるいは、本実施形態の保温構造120が設けられる位置として、ガラスの低層領域で且つ通電加熱の効果が得られ難い熔解槽の角領域が挙げられることから、電極が設けられる熔解槽本体の側壁の外側で電極下部とともに、電極が設けられる側壁の角部の外側にも合わせて保温構造を設けてもよい(実施態様2)。
あるいは、本実施形態の保温構造120が設けられる位置として、ガラスの低層領域で且つ電極が設けられない側壁領域が挙げられることから、電極が設けられる熔解槽本体の側壁の外側で電極下部とともに、電極が設けられない側壁の角部の外側にも合わせて保温構造を設けてもよい(実施態様3)。
溶融ガラスの加熱は、熔解槽内の気相空間を高温化するためのバーナー加熱に加え、熔解槽本体に設けられた電極対を介しての溶融ガラスの通電加熱を行う。熔解槽本体に貯留される溶融ガラスの上層領域はバーナー加熱により温度が高くなり、熔融ガラスの上層領域(熔融ガラスの液面側)のガラス温度が上昇すると、通電加熱の電流は、上層領域の温度が上昇したガラス領域へとより流れ易くなり、電流密度はより温度の高い上層のガラス領域に大きく偏る。この結果、熔融ガラスの液面側の上部ガラス領域では、電流密度が高くなるにつれ、ガラス温度の高温化が進行し、他方、熔解槽の底側の下部ガラス領域では低温化し、通電加熱により、溶融ガラスの温度の高低差が増していく傾向となる。
特に、この傾向は、電流密度の大きい電極付近のガラス領域において強く、電極付近のガラスにおいて、電流密度はガラス液面側の上部に偏るとともに、高温化が助長され、ガラス温度の均質性の低下を進行させる大きな原因となることを見出した。このような熔融ガラスにおけるガラス温度の不均質は、例えば、熔解槽のガラス流出口付近で液面付近の異物を巻き込んだ下降流を発生させ、ガラス品質に脈理を起こす可能性がある。
本実施形態の保温構造120を、熔解槽本体110の壁の外側で、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に設けることで、熔融ガラスにおける電流密度の偏りが引き起こすガラス温度の高低差の拡大を抑えることができ、熔融ガラスの温度分布の不均質を改善することができる。
これにより、溶融ガラスの高温領域で生じる、電極や耐火物の侵食、清澄剤の損失を防ぐとともに、流出口側の側壁(熔解槽の短手方向)における溶融ガラスの低温領域が縮小され、異質素地の沈み込みを抑制し、成形工程における脈理の発生を抑制することが可能となる。
実施形態1
熔解槽本体の設計において、バーナー加熱、通電加熱など溶融ガラスの加熱条件とともに、熔融ガラスの電気抵抗率、及び溶融ガラスMGの温度分布に基づいて、熔解槽本体110における、熔融ガラスMGの電流密度分布(溶融ガラスの電流密度の小さいガラス領域)を、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱流体解析に電場解析を連成させるシミュレーションを用いて求めた。電流密度が小さいと計算された溶融ガラスMGの領域を特定し、保温構造120の配置を決定した。
実施形態1では、保温構造120は、断熱性に優れた耐火物で構成され、図5に示されるとおり、電極付近の底側のガラス領域において、電流密度が著しく小さくなることが見出されたため、電極が設けられる熔解槽本体の側壁110bの外側で電極の下部に配置された(実施態様1)。
熔解槽本体110の側壁110bのうち、電極上部、電極下部および底壁には、サンゴバン・ティーエム社製のジルコニア系電鋳耐火物(SCIMOS−CZ、電気抵抗率82Ω・cm(1600℃))を使用する。
保温構造120として、イソライト工業社製のLAP165,LBK23,及びISOWOOLブランケットを用いて断熱を行う。
このように、電極が設けられる熔解槽本体の側壁110bの外側で電極の下部に保温構造120が設けられた場合、保温構造120を設けない場合と比べ、より高くなる(図6を参照)。この結果、温度の不均質が改善された。つまり、放熱の抑制により温度が上がり、さらにその効果で電流密度が上がり、温度上昇効果が増幅された。
また、流出口115が設けられる側壁(短手方向の側壁)では、溶融ガラスMGの温度が低下し、下降流が生じ易い。流出口115が設けられる側壁近くには、異質素地(難熔性成分であるSiOの濃度が他の場所よりも高くなった素地)が溜まり易く、流出口115が設けられる側壁で生じる下降流によって、異質素地が溶融ガラスMGの下方に沈み込んで流出口115から流出して後工程に流れ、ガラス板の成形工程において脈理を形成する場合がある。
しかし、本実施形態1の熔解槽101では、保温構造120が設けられ、保温構造を有する側壁110b部位の溶融ガラスMGの領域の電流密度がより大きくなり、通電加熱量が上昇していくため、短手方向の側壁側の低温領域であった大きさは縮小し、さらに下降流の程度も小さくなる(図6のA)。これにより、流出口115が設けられる側壁では、異質素地の下方への沈み込みが抑制され、流出口115から後工程への異質素地の流れは減少し、成形工程における脈理の発生を抑制することができる。
実施形態2
実施形態1と同様にして、熔解槽本体の設計において、電流密度が小さいと算出された溶融ガラスMGの領域を特定した。
実施形態2では、図6に示されるとおり、実施形態1で設けられる保温構造120の位置に加え、さらに、電極が設けられる側壁の角部の外側にも合わせて保温構造120を設ける。熔解槽本体110の側壁110bおよび底壁は、実施形態1と同様である。
実施形態2(図6)のようにして本発明の保温構造120を設けた場合においても、通電加熱量が大きくなるにつれ、保温構造120が設けられた側壁110b部位のガラス領域にまで電流密度がより拡がり、かかる領域の通電加熱量が上昇し、保温構造120を設けない場合と比べ、温度の不均質が改善される。
実施形態3
実施形態1と同様にして、熔解槽本体の設計において、電流密度が小さいと算出された溶融ガラスMGの領域を特定した。
実施形態3では、図7に示されるとおり、実施形態1で設けられる保温構造120の位置に加え、さらに、電極が設けられない側壁の角部の外側にも合わせて保温構造120を設ける。熔解槽本体110の側壁110bおよび底壁は、実施形態1と同様である。
実施形態3のようにして電流密度の小さいガラス領域に保温構造を設けた場合においても、温度の不均質が改善される。
以上、本発明のガラス板の製造方法及び熔解槽について、実施形態により詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。
101 熔解槽
110 熔解槽本体
110a 底壁(底部)
110b 側壁(壁部)
114 電極対(電極)
120 保温構造

Claims (8)

  1. 電極及び熔解槽本体を備える熔解槽において、通電加熱により熔融ガラスをつくる熔解工程を含むガラス板の製造方法であって、
    前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中でも、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする、ガラス板の製造方法。
  2. 前記電極が前記熔解槽本体の側壁に設けられ、
    前記電流密度の小さいガラス領域が、前記電極付近で且つ前記熔解槽本体の底部付近にあり、前記熔解槽本体の側壁の外側で前記電極の下部に保温構造が設けられる、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記電流密度の小さいガラス領域は、前記熔解槽本体の下角部周辺にあり、前記熔解槽本体の下角部の壁外側に保温構造が設けられる、請求項2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記熔解槽本体に貯留される前記溶融ガラスにおける前記電流密度の小さいガラス領域は、溶融槽モデルを用いた溶融ガラスの熱流体解析に電場解析を連成したシミュレーションに基づいて特定される、請求項2〜3のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記熔融ガラスが、1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である、請求項2〜4に記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記熔解槽本体の壁は、ジルコニア系電鋳耐火物である、請求項2〜5に記載のガラス板の製造方法。
  7. 熔融ガラスを通電加熱により作るための熔解槽であって、
    1550℃における電気抵抗率が130Ω・cm以上である熔融ガラスを貯留する熔解槽本体と、
    前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスを通電加熱するための電極と、
    を備え、
    前記熔解槽本体に貯留される前記熔融ガラスのガラス領域全体の中でも、前記熔融ガラスが有する電流密度分布のうち、電流密度が小さいガラス領域に接する前記熔解槽本体の壁外側に保温構造を設けることを特徴とする、熔解槽。
  8. 前記電極が、前記熔解槽本体の側壁に設けられ、
    前記電流密度の小さいガラス領域が、前記電極付近で且つ前記熔解槽本体の底部付近にあり、前記熔解槽本体の側壁部の外側で前記電極の下部に保温構造が設けられる、請求項7に記載の熔解槽。
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