JP6002526B2 - ガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法 - Google Patents

ガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料を熔かして熔融ガラスを生成させた後、熔融ガラスをガラス基板へ成形する工程を経て製造される。上記の工程中に、熔融ガラスが内包する微小な気泡を除去する清澄処理が含まれる。また、清澄工程後の熔融ガラスに対して、スターラを用いて熔融ガラスを攪拌して、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減するために、ガラス成分の均質化を行う均質化処理が含まれる。
ところで、今日、液晶ディスプレイ用ガラス基板や有機ELディスプレイ用ガラス基板などのフラットパネルディスプレイ用ガラス基板には、TFT(Thin Film Transistor)等の半導体素子が、ガラス板上に形成される。α-Si(アモルファスシリコン)・TFTやLTPS(低温ポリシリコン)・TFTや酸化物半導体がガラス基板に形成される。この半導体素子の特性の劣化を抑制するために、ガラス組成としてLi,K等のアルカリ金属を全く含有しない無アルカリガラスか、含有したとしても微量含有するアルカリ微量含有ガラスが用いられる。また、清澄剤は従来Asが一般的であったが、近年、環境負荷の観点から、SnO等が用いられる。
一般に、熔解炉から成形装置にいたる途中に設けられる清澄処理を行う清澄管及び均質化処理を行う攪拌槽、さらには、熔解炉、清澄管、攪拌槽及び成形装置の間を接続するガラス供給管には、高温の熔融ガラスを安定して流し、所定の処理を行うために、白金あるいは白金合金の耐火金属が用いられる。しかし、高温の熔融ガラスを流し、更に耐火金属を加熱して熔融ガラスを更に昇温する場合、この耐火金属においてさえも十分な強度を確保することができない。このため、耐火金属の外周には、耐火金属の破損を抑制するためのバックアップレンガ等で構成される耐火物材が設けられている。
しかし、処理容器やガラス供給管は、操業中、耐火金属(例えば白金)の揮発により薄化して破損し、破損した箇所から熔融ガラスが漏れ出し、さらにバックアップレンガを溶かし、熔融ガラスが外部に漏れ出る場合もあった。
このような状況下、熔融ガラスが金属槽から漏れ出た場合であっても、金属槽を支持することができる架台として、溶融ジルコニアを含む架台を用いる技術が知られている(特許文献1)。溶融ジルコニアは、高温において耐クリープ性、耐食性及び耐熱性に優れており、架台の外側に熔融ガラスが漏れ出ることを抑制することができる。
特表2011−502932号公報
上記熔融ジルコニアにより構成された耐火物材は、一般的に耐食性に優れるが、上記耐火物材をガラス導管あるいは処理容器に用いた場合、熱伝導率が極めて大きいため、ガラス導管あるいは処理容器から外部に向けた放熱量が大きくなる。このため、熔融ガラスの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、ガラス導管あるいは処理容器への通電量を多くしなければならず、設備設置コストおよびランニングコストが上がる。
特に、清澄剤として、SnOが使用される場合、As(亜ヒ酸)と比較して、より高い温度で清澄を行う必要があるので、清澄管や清澄管に接続されるガラス導管において上述した問題がより顕著となる。
また、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスは、高温粘性が高い。高温粘性が高いガラスは、高温粘性が低いガラスと比較して、より高い温度で清澄する必要があるので、清澄管や清澄管に接続されるガラス導管において上述した問題がより顕著となる。
すなわち、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスが使用される液晶ディスプレイ用ガラス基板や有機ELディスプレイ用ガラス基板などのフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を製造する際に、上述した問題がより顕著となる。
また、架台の材料として用いる上記熔融ジルコニアは、1600℃以上の温度に昇温するとき、温度の上昇に従って線形的に大きくなるのではなく、1100〜1200℃の温度領域で一度急激に収縮した後、それより高い温度領域で、膨張を再開するといった異常熱膨張と呼ばれる挙動を示す。このため、一体的に形成された一つの部材で架台を構成した場合、熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じることがないように温度を上昇させる作業は極めて難しく、不適切な昇温を行うと、架台に熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じる場合がある。また、架台の形状に一体的に形成された熔融ジルコニアの部材は非常に高価でコストがかかる。
そこで、本発明は、熔融ガラスを流す管に対して多量の通電をする必要がなく、管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができるガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造装置である。当該製造装置は、
ガラス原料を加熱して熔融ガラスを生成する熔解炉と、
前記熔融ガラスからシートガラスを成形する成形装置と、
前記熔解炉と前記成形装置との間に設けられ、前記熔融ガラスの移送または処理に用いられる、白金又は白金合金から構成された管と、
を備える。
前記管の外周に、
前記管の外周に接するように設けられ、前記管を支持する、キャスタブル耐火物と、
前記キャスタブル耐火物の外周に接するように設けられ、複数の電鋳耐火物ブロックを組み立てることで構成された組立体であって、前記管およびキャスタブル耐火物を支持する、ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材と、
前記電鋳耐火物材の外周に設けられ、前記電鋳耐火物材からの放熱を抑制するための放熱抑制部材と、を更に備える。
前記電鋳耐火物材は、ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材で構成されるため、熔融ガラスに対して耐食性が高いが、熱伝導度が高い。このため、前記電鋳耐火物材の外周に放熱抑制部材が設けられる。これにより、前記電鋳耐火物材の放熱を抑制することができる。したがって、前記熔融ガラスの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、前記管をより多量に通電する必要はなくなる。したがって、前記管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。万が一、前記管が白金または白金合金の揮発により薄化し熔融ガラスの一部が前記管あるいは前記処理容器の外周に漏出しても、ジルコニアを成分として含む前記電鋳耐火物材が設けられているので、漏出した熔融ガラスは前記電鋳耐火物材の外周に流出し難い。このとき、前記電鋳耐火物材の外周に設けられた前記放熱抑制部材により、前記管の熔融ガラスの温度は低下しにくい。このため、熔融ガラスの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、前記管をより多量に通電する必要はなくなる。この結果、前記管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。
さらに、前記電鋳耐火物材は、前記電鋳耐火物材からなる複数の電鋳耐火物ブロック(単に、ブロックともいう)で組み上げられた組立体であるので、一体的に形成された一つの複雑な形状の部材で前記電鋳耐火物材を構成した場合に比べて、熱膨張に起因する熱歪みが小さい。したがって、前記管や前記電鋳耐火物材の温度を上昇させる作業中、前記電鋳耐火物材に熱歪みに起因した割れ目(クラック)が発生することは抑制される。
特に、ジルコニアを90質量%以上含む高ジルコニア質電鋳耐火物材を前記電鋳耐火物材に用いる場合好適である。高ジルコニア質電鋳耐火物材の熱膨張は、高ジルコニア質電鋳耐火物材を1600℃以上の温度に昇温するとき、温度の上昇に従って線形的に大きくなるのではなく、1100〜1200℃の温度領域で一度急激に収縮した後、それより高い温度領域で、膨張を再開するといった異常熱膨張と呼ばれる挙動を示す。このため、一体的に形成された一つの電鋳耐火物材で前記電鋳耐火物材を構成した場合、熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じることがないように温度を上昇させる作業は極めて難しく、不適切な昇温を行うと、一体的に形成された電鋳耐火物材に熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じる場合がある。また、前記電鋳耐火物材の形状に一体的に形成された高ジルコニア質電鋳耐火物材は非常に高価でコストがかかる。しかし、前記電鋳耐火物材は、高ジルコニア質電鋳耐火物材で構成された複数のブロックを組み上げた構成を採用することにより、前記電鋳耐火物材にかけるコストを抑制でき、高ジルコニア質電鋳耐火物材に割れ目(クラック)が生じ難くなる。
前記電鋳耐火物材は、ジルコニアを30質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことが、より好ましい。前記電鋳耐火物材はジルコニアの含有率が高いので、前記電鋳耐火物材は、前記管から漏出した熔融ガラスの浸食を受け難い。
前記電鋳耐火物材の熱伝導度は、1400℃において3[W/m/K]以上であってもよい。前記電鋳耐火物材の熱伝導度が1400℃において3[W/m/K]以上であっても、前記電鋳耐火物材に用いることができる。このような熱伝導度の高い電鋳耐火物材として、ジルコニアを90質量%以上含む高ジルコニア質電鋳耐火物材が挙げられる。
前記電鋳耐火物ブロックは、複数の直方体形状であることが好ましい。

前記放熱抑制部材は、保温部材であり、前記保温部材は、前記電鋳耐火物ブロック間の目地が露出するように、前記電鋳耐火物材の外周の一部に設けられ、前記管から漏れ出た前記熔融ガラスの一部を、前記目地に進入したとき固化させることが好ましい。
前記電鋳耐火物ブロック間の目地以外の部分が、前記保温部材で覆われ、前記電鋳耐火物ブロック間の目地の部分は、前記保温部材で覆われず前記保温部材の外部に対して露出している。このため、目地に熔融ガラスが進入したとしても、前記電鋳耐火物材の放熱により目地に進入した熔融ガラスは固化され易い。このため、熔融ガラスが目地に進入し、前記電鋳耐火物材の外周に流出することを防止できる。
前記保温部材は、前記管の破損による熔融ガラスの放熱量に応じてさらに前記電鋳耐火物材の外周に追加される、ことが好ましい。
前記管の破損による熔融ガラスの放熱量に応じてさらに保温部材を、前記電鋳耐火物材の外周に追加するので、前記管の加熱量も大幅に増やすことなく、前記管内の熔融ガラスの温度を所定の温度に維持することができ、エネルギー効率の点で好ましい。
本発明の他の一態様は、前記ガラス基板の製造装置を用いてガラス基板を製造するガラス基板の製造方法である。
ガラス基板の製造方法の際に用いるガラス基板の製造装置における前記電鋳耐火物材は、ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材で構成されため、熔融ガラスに対して耐食性が高いが、熱伝導度が高い。このため、前記電鋳耐火物材の外周に放熱抑制部材が設けられる。これにより、前記電鋳耐火物材の放熱を抑制することができる。したがって、前記熔融ガラスの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、前記管をより多量に通電する必要はなくなる。したがって、前記管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。万が一、前記管が白金または白金合金の揮発により薄化して熔融ガラスの一部が前記管の外周に漏出しても、ジルコニアを成分として含む前記電鋳耐火物材が設けられているので、漏出した熔融ガラスは前記電鋳耐火物材の外周に流出し難い。このとき、前記電鋳耐火物材の外周に設けられた前記放熱抑制部材により、前記管の熔融ガラスの温度は低下しにくい。このため、熔融ガラスの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、前記管をより多量に通電する必要はなくなる。この結果、前記管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。
上述の態様のガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法によれば、熔融ガラスを流す管に対して多量の通電をする必要がなく、管の設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。
本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。 本実施形態における熔解工程〜切断工程を行う装置の一例を模式的に示す図である。 本実施形態のガラス基板の製造装置における清澄槽の管本体の構成を説明する図である。 図3に示す清澄槽の管本体とこの管本体を取り巻く構成を説明する図である。 本実施形態における保温材の追加を説明する図である。
以下、本実施形態のガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法について説明する。図1は、本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解炉で行われる。熔解工程では、熔解炉に蓄えられた熔融ガラスの液面にガラス原料を投入しガラス原料を加熱することにより、熔融ガラスを作る。さらに、熔解炉内の熔融ガラスは所定の温度に加熱されて、溶解炉の底部に設けられた流出口から後工程に向けて熔融ガラスを流す。
熔解炉の熔融ガラスの加熱は、熔融ガラス自身に電気が流れて自ら発熱して加熱する方法に加えて、バーナーによる火焔を補助的に与えてガラス原料を熔解することもできる。なお、ガラス原料には清澄剤が添加される。清澄剤として、SnO2,As23,Sb23等が知られているが、特に制限されないが、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnO2(酸化錫)を用いることが好ましい。
清澄工程(ST2)は、少なくとも清澄槽において行われる。清澄工程では、清澄槽内の熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれるO2、CO2あるいはSO2を含んだ泡が、清澄剤の還元反応により生じたO2を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に泡は浮上して泡に含まれるガスが清澄槽内の気相空間内に放出される。さらに、清澄工程では、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により得られた還元物質が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中のO2等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄剤による酸化反応及び還元反応は、熔融ガラスの温度を制御することにより行われる。
均質化工程(ST3)では、清澄槽から延びる配管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。
供給工程(ST4)では、攪拌槽から延びる配管を通して熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形装置では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形は、オーバーフローダウンドロー法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置において、成形装置から供給されたシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。この後、ガラス基板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス基板の洗浄が行われ、さらに、気泡等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品として梱包される。
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行うガラス基板の製造装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解炉101と、清澄槽102と、攪拌槽103と、ガラス供給管104,105,106と、を有する。
図2に示す熔解炉101では、ガラス原料の投入がバケット101dを用いて行われ、熔融ガラスMGがつくられる。清澄槽102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスMGの清澄が行われる。さらに、攪拌槽103では、スターラ103aによって熔融ガラスMGが攪拌されて均質化される。成形装置200では、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスMGからシートガラスSGが成形される。
なお、図2に示す熔解炉101から成形装置200にいたる熔融ガラスMGの流路、具体的には、ガラス供給管104、清澄槽102、ガラス供給管105、攪拌槽103、およびガラス供給管106は、白金あるいは白金合金で構成されている。清澄槽102の管本体102a(図3参照)は、熔解炉101と成形装置200との間に設けられ、熔融ガラスMGの移送または処理に用いられる管である。以下、本実施形態の説明では、清澄槽102が熔融ガラスMGの移送または処理に用いられる管として用いられる。しかし、熔融ガラスの均質化処理を行う攪拌槽103の容器や熔融ガラスを温度調節しながら熔融ガラスを移送するガラス供給管104,105,106も本発明における管として用いられ得る。
(清澄槽及び清澄)
図3は、清澄槽102の管本体の構成を説明する図である。清澄槽102は、熔解装置101でつくられ、ガラス供給管104を通して供給された熔融ガラスMGの清澄処理を行ってガラス供給管105に流出させる装置である。清澄槽102は、管本体102aと、管本体102aの外周を取り巻く構成部材(キャスタブル耐火物、電鋳耐火物材及び保温部材)と、図示されない電極板及びフランジを備える。管本体102aは、少なくとも一部に白金または白金合金を用いた長尺状の管である。
清澄槽102の管本体102aには、熔解炉101で熔解された熔融ガラスMGが、ガラス供給管104を介して導入される。
清澄槽102の管本体102aで行う清澄処理は、脱泡処理を含む。以下の説明では、清澄剤としてSnO2を用いた例で説明する。SnO2は、従来のAs23に比べて清澄機能は低いが、環境負荷が低い点で清澄剤として好適に用いることができる。しかし、SnO2は、清澄機能がAs23に比べて低いので、SnO2を用いた場合、熔融ガラスMGの清澄工程時の熔融ガラスMGの温度を従来より高くしなければならない。清澄工程における最高温度は、例えば1700℃まで、場合によっては1710℃まで、上げる必要がある。
管本体102aの周りには、電鋳耐火物材で構成されて直方体形状のブロックを組み立て構成された電鋳耐火物材110aが設けられる(図4参照)。
管本体102aの長尺状の両側の端部には、図示されない電極板が、管本体102aの外周を取り巻くように設けられた図示されないフランジに接続されている。この電極板は、交流電源と接続され、所定の電圧が印加される。電極板は、管本体102aに電流を流して管本体102aを通電加熱することにより、管本体102a内を流れる熔融ガラスMGの温度を例えば1630℃以上に昇温する。
一方、熔融ガラスMGは、管本体102a内において、熔融ガラスMGが液面を有するように流れる。この昇温により粘性が例えば120〜400poiseになった熔融ガラスMGは、熔融ガラスMG内で清澄剤の作用により膨張した泡を浮上させ、熔融ガラスMGの液面で破泡させ気相空間に泡に含まれるガスを放出する。すなわち、脱泡処理が行われる。脱泡処理の後、清澄槽102及び後続するガラス供給管105において徐々に(段階的にあるいは連続的に)降温され、泡の吸収処理が行われる。吸収処理では、気泡が熔融ガラスMGの降温により熔融ガラスMG内に吸収され消滅する。
(管本体102a周りの構成)
図4は、清澄槽102の管本体102aと管本体102aの外周を取り巻く構成を説明する断面図である。
管本体102aの外周には、管本体102aの外周に接するように設けられ、管本体102aを支持する、キャスタブル耐火物110dが設けられている。キャスタブル耐火物110dの外周には、キャスタブル耐火物110dに接するように、管本体102aおよびキャスタブル耐火物110dを支持する、ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材110aが設けられている。電鋳耐火物材110aの外周には、断熱レンガ110bと保温材110cが設けられている。断熱レンガ110bと保温材110cは、電鋳耐火物材110aからの放熱を抑制するための放熱抑制部材である。
キャスタブル耐火物110dは、例えばコランダム、ムライト、シャモット等をアルミナ、シリカに混ぜた粉体を水と混練して固めたものであり、管本体102aを電鋳耐火物材110aが支持できるように管本体102aと電鋳耐火物材110aとの間に層状に充填されている。キャスタブル耐火物110dは、管本体102aを保温する機能も有する。
電鋳耐火物材110aは、管本体102aを支持するジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材で構成されている。具体的には、電鋳耐火物材110aは、電鋳耐火物材で構成された直方体形状の複数のブロックを組み上げた組立体である。図4に示す例では、複数のブロックを井桁状に組み上げて電鋳耐火物材110aが形成されている。複数のブロックを井桁状に組み上げる際、目地の隙間が小さくなるように組まれる。
電鋳耐火物材110aを構成する電鋳耐火物材は、気孔率が小さく緻密であるため、表面から熔融ガラスMGが沁み出すことは殆どない。電鋳耐火物材は、ジルコニアを30質量%以上含むもの、例えばアルミナ−ジルコニアーシリカを含むもの、ジルコニアのみを含むもの等が挙げられる。好ましくは、90質量%以上のジルコニアを有する高ジルコニア質電鋳耐火物材を用いることができる。
例えば、TFT(Thin Film Transistor)を用いたTFT液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のガラス基板においてアルミノホウケイ酸ガラスを用いる場合、電鋳耐火物材110aの温度は1600℃を越え、かつ、清澄槽102の寿命も複数年以上、例えば3年以上であることが要求される。この点から、上記高ジルコニア質電鋳耐火物材を用いることが好ましい。これに対して、電鋳耐火物材110aの温度が1500℃以下である場合、高ジルコニア質電鋳耐火物材の他に、ジルコニアを40質量%程度含有するアルミナ−ジルコニア−シリカ質電鋳耐火物材を用いることもできる。
なお、本実施形態の電鋳耐火物材110aは、電鋳耐火物材で構成された直方体形状の複数のブロックを組み上げた組立体で構成されるが、電鋳耐火物材110aを、このようなブロックによる組立体で構成するのは以下の理由に拠る。すなわち、熔融ガラスMGが電鋳耐火物材110aから流出するのを防止する観点から、ブロック間の継ぎ目である目地が無く、電鋳耐火物材110aの形状が一つの部材により一体的に形成されたものを用いることが好ましい。しかし、このような一体的に形成された電鋳耐火物材のサイズは極めて大きなものになり、図4に示すように井桁形状の断面を成しているので、精度良く作製することは難しく、さらに、作製コストは極めて高い。また、高ジルコニア質電鋳耐火物材の熱膨張率は大きい。しかも、高ジルコニア質電鋳耐火物材の熱膨張は、高ジルコニア質電鋳耐火物材を1600℃以上の温度に昇温するとき、温度の上昇に従って線形的に大きくなるのではなく、1100〜1200℃の温度領域で一度急激に収縮した後、それより高い温度領域で、膨張を再開するといった異常熱膨張と呼ばれる挙動を示す。このため、一体的に形成された一つの部材で電鋳耐火物材110aを構成した場合、熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じることがないように温度を上昇させる作業は極めて難しく、不適切な昇温を行うと、一体的に形成された電鋳耐火物材の部材に熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じる場合がある。本実施形態の電鋳耐火物材110aは、電鋳耐火物材で構成された複数のブロックを組み上げた構成を採用するので、電鋳耐火物材110aに割れ目(クラック)が生じ難くなる。特に、保温機能を有する断熱レンガ110bと保温材110cを電鋳耐火物材110aの外周に設けることで、後述するように熱伝導度が高い電鋳耐火物材であっても、電鋳耐火物材110aの温度分布が均一に近づき、熱歪みに起因した割れ目(クラック)が生じ難くなる。
ところで、電鋳耐火物材110aの熱伝導度は高いため、断熱レンガ110bと保温材110cが設けられない場合、管本体102aの外側で電鋳耐火物材110a内に保持される熔融ガラスMGの熱は電鋳耐火物材110aに伝わり外部に放熱され、しかも、その放熱量は大きい。例えば、90質量%以上のジルコニアを含有する高ジルコニア質電鋳耐火物材の、1400℃における熱伝導度は、3.5[W/m/K]であり、アルミナ−ジルコニア−シリカ質電鋳耐火物の、1400℃における熱伝導度は、6[W/m/K]であり、気孔率の高い耐火物材に比べて熱伝導度は大きい。このため、熔融ガラスMGの脱泡処理のために通電加熱して熔融ガラスMGを加熱する清澄槽102の管本体102aにおいては、電鋳耐火物材に熱が伝わり易いことを考慮して通電加熱量を大きくしなければならず、エネルギー効率の点から好ましくない。
このため、電鋳耐火物材110a内に保持される熔融ガラスMGの熱が外部へ逃げる放熱量を抑制するために、電鋳耐火物材110aの外周には、保温部材として機能する断熱レンガ110bと保温材110cが設けられている。
また、電鋳耐火物材110aの外周に、断熱レンガ110bと保温材110cを設けることにより、清澄槽102の昇温時、電鋳耐火物材110aを構成する電鋳耐火物材110aの場所による温度差が小さくなり、電鋳耐火物材110aの熱膨張に起因する割れ等を抑制することができる。断熱レンガ110bは、電鋳耐火物材110aと接触するように設けられるので、電鋳耐火物材110aを外側から補強する機能も有する。
断熱レンガ110bは、1層の断熱レンガにより構成されてもよいが、より好ましくは、電鋳耐火物材110aに隣接する部分には、耐熱温度が高いレンガ、例えば、耐熱温度1650℃、熱伝導度0.4W/m/Kを配し、その外側に、耐熱温度は下がるが、熱伝導度がより小さなレンガ、例えば、耐熱温度1300〜1500℃、熱伝導度が0.2〜0.3W/m/Kであるレンガを配する、というように、外側に行くほど、耐熱温度は下がるが、熱伝導度が小さくなるレンガで構成される。
保温材110cは、例えば、公知のセラミックファイバを押し固めた板材で、熱伝導度が例えば0.05〜0.15[W/m/K]であるものが用いられる。
なお、電鋳耐火物材110aは、電鋳耐火物材で構成された複数のブロックを組み上げた組立体であるので、ブロック間には必ず目地が存在する。万が一、管本体102a内の熔融ガラスMGが漏出しても、電鋳耐火物材110aの外側に流出しないように、目地の隙間は制限されることが好ましい。例えば、目地の隙間は0.4mm以下であることが好ましく、0.2mm以下とすることがより好ましい。このような目地の隙間を上記数値範囲に制限するためには、ブロックの組み上げを井桁状に精度高く行う必要がある。
しかし、上記目地の隙間が広くならないように、上記ブロックの井桁状への組み上げを十分に精度高く行うことができず、粘度が比較的低い熔融ガラスMGが目地に進入する場合がある。このため、本実施形態の断熱レンガ110bと保温材110cは、電鋳耐火物材110aのブロック間の目地の部分を覆わず、ブロック間の目地以外の部分を覆っている。目地の部分は、断熱レンガ110bと保温材110cの外部に露出している。このため、電鋳耐火物材110aのブロック間の目地の部分の放熱量は高い。このような構成を採用することにより、電鋳耐火物材110a内に保持される熔融ガラスMGがブロック間の目地に進入しても、進入した熔融ガラスは、目地周りの電鋳耐火物材110aの高い熱伝導度による放熱により固化し、目地を塞ぐ役割を果たす。すなわち、放熱を利用して目地に進入した熔融ガラスを固化させて、熔融ガラスMGが電鋳耐火物材110aの外周へ流出することを防止できる。すなわち断熱レンガ110bと保温材110c等の放熱を抑制する放熱抑制部材は、電鋳耐火物材で構成されるブロックの目地が露出するように、電鋳耐火物材110aの外周の一部に設けられるので、管本体102aから漏れ出た熔融ガラスMGは、目地に進入したとき固化される。ここで、断熱レンガ110bと保温材110cにより覆われない目地の部分とは、5cm以下の幅の目地を含む領域であることが好ましく、より好ましくは3cm以下の幅の目地を含む領域である。
以上のように、熔融ガラスMGが目地に進入しないように、電鋳耐火物材110aは組み上げられるが、万が一熔融ガラスMGが目地に進入したとしても、熔融ガラスMGは固化するので、目地を伝って電鋳耐火物材110aの外周に熔融ガラスMGが流出することを防止することができる。
なお、保温材110cは、管本体102aの破損による熔融ガラスMGの管本体102aの外部への漏洩量に応じてさらに保温材110cを、電鋳耐火物材110aの外周に追加することが好ましい。図5は、熔融ガラスMGが管本体102aの外周に漏出した様子を示す図である。管本体102aに孔が開いて漏れ出る熔融ガラスMGの漏洩は、熔融ガラスMGの管本体102aの流入口102dと流出口102eにおける熔融ガラスMGの温度を計測して熔融ガラスMGの放熱量を求めることにより、検知することができる。熔融ガラスMGの温度計測は、管本体102aの流入口102dと流出口102eの部分に設けられた熱電対を用いて行うことができる。また、図示されない制御装置が、計測した温度の情報を収集し、熔融ガラスMGの管本体102aにおける放熱量を計算する。具体的には、上記制御装置は、熔融ガラスMGの流入口102dと流出口102eにおける温度差と、熔融ガラスMGの流量と、熔融ガラスMGの比熱と、を乗算し、乗算結果を、管本体102aが加熱源として与える加熱量から減算することにより、放熱量を算出する。この放熱量が予め定められた閾値を越える場合、熔融ガラスMGが管本体102aから漏出したと判定する。したがって、熔融ガラスMGが管本体102aから漏出したと判定した場合、保温材110d,110eが図示されない機構を用いて追加される。熔融ガラスMGが管本体102aから漏出した場合、漏出した熔融ガラスMGはキャスタブル耐火物110dを熔かし、キャスタブル耐火物110dと熔融ガラスの混合物に変化する(図5参照)。この時の混合物は、キャスタブル耐火物110dに比べて熱伝導度が大きく、例えば1〜6[W/m/K]程度である。このため、熔融ガラスMGの漏出が進行すると、電鋳耐火物材110aへの放熱量が増え、さらには、保温材110cの表面からの放熱も増加する。管本体102a内の熔融ガラスMGの温度を所定の温度に維持するには、管本体102aの加熱量も増やすことになるので、エネルギー効率の点で好ましくない。このために、図5に示すように、保温材110cの外側に、保温材110e,110fが追加される。
なお、図4中に矢印で示すように、図4中の保温材110cは、図示されない押さえ金具で矢印方向に押圧して電鋳耐火物材110aが熔融ガラスMGの圧力によって外側に広がろうとする力に対向する。これにより、電鋳耐火物材110aの形状は保持される。
この場合、保温材110eの追加は、以下のようにして行われる、すなわち、図5に示すように保温材110cの外側から保温材110cを押圧するために設けられている押さえ金具を避けて保温材110cの外側の部分に保温材110eが追加され、この保温材110eの外側から、図示されない別の押さえ金具が保温材110eを押圧するように、押さえ金具が調整される。この後、保温材110cを押圧している押さえ金具が解除される。さらに、この後、保温材110eが設けられていない保温材110cの外側の部分に、別の保温材110fが追加される。この保温材110fの外側から、図示されない別の押さえ金具が保温材110fを押圧するように、押さえ金具が調整される。
本実施形態では、キャスタブル耐火物110dの外周にはジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材110aが設けられ、更に、電鋳耐火物材110aの外周には、放熱を抑制する手段が設けられている。ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材は熔融ガラスMGに対して耐食性が高いが、熱伝導度が高い。このため、電鋳耐火物材110aの外周に放熱を抑制する手段が設けられることにより、電鋳耐火物材110aの放熱を抑制することができる。したがって、管本体102aの多量の通電加熱のための設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。万が一、管本体102aが消耗して熔融ガラスMGの一部が管本体102aの外周に漏出してもジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材110aが設けられているので、漏出した熔融ガラスMGは電鋳耐火物材110aの外周に流出し難い。このとき、電鋳耐火物材110aの外周に設けられた放熱を抑制する手段である断熱レンガ110bと保温材110cにより、管本体102a内の熔融ガラスMGの温度は低下しにくい。このため、管本体102a内の熔融ガラスMGの温度を所定の温度に維持するために、あるいは所定の温度に昇温するために、管本体102aをより多量に通電する必要はなくなる。この結果、清澄槽102を含む管本体102aの設備設置コストおよびランニングコストを抑えることができる。
本実施形態では、清澄槽102の管本体102aを中心に説明したが、電鋳耐火物材110a、断熱レンガ110b、及び保温材110cの配置を、攪拌槽103の処理容器やガラス供給管104,105,106にも適用できる。
電鋳耐火物材110aでは、ジルコニアを30質量%含む電鋳耐火物材、好ましくは、90質量%以上ジルコニアを含む高ジルコニア質電鋳耐火物材を用いるので、電鋳耐火物材110aの表面は、管本体102aから漏出した熔融ガラスMGの浸食を受け難い。
電鋳耐火物材の熱伝導度が1400℃において3W/m/K以上であっても、この電鋳耐火物材を電鋳耐火物材110aに用いることができる。このような熱伝導度の高い電鋳耐火物材は、高ジルコニア質電鋳耐火物材で構成され得る。
また、電鋳耐火物材110aは、電鋳耐火物材からなる複数のブロックで組み上げられた組立体で構成されているので、一体的に形成された一つの複雑な形状の部材で電鋳耐火物材110aを構成した場合に比べて、熱膨張に起因する熱歪みが小さい。したがって、管本体102aや電鋳耐火物材110aの温度を上昇させる作業中、電鋳耐火物材110aに熱歪みに起因した割れ目(クラック)が発生することは抑制される。特に、ジルコニアを90質量%以上含む高ジルコニア質電鋳耐火物材を電鋳耐火物材110aに用いる場合好適である。高ジルコニア質電鋳耐火物材の熱膨張は、高ジルコニア質電鋳耐火物材を1600℃以上の温度に昇温するとき、温度の上昇に従って線形的に大きくなるのではなく、1100〜1200℃の温度領域で一度急激に収縮した後、それより高い温度領域で、膨張を再開するといった異常熱膨張と呼ばれる挙動を示す。このため、一体的に形成された一つの部材で電鋳耐火物材110aを構成した場合、熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じることがないように温度を上昇させる作業は極めて難しく、不適切な昇温を行うと、一体的に形成された電鋳耐火物材に熱歪みに起因する割れ目(クラック)が生じる場合がある。また、電鋳耐火物材110aの形状に一体的に形成された高ジルコニア質電鋳耐火物材は非常に高価でコストがかかる。しかし、本実施形態の電鋳耐火物材110aは、高ジルコニア質電鋳耐火物材で構成された複数のブロックを組み上げた構成を採用することにより、電鋳耐火物材110aにかけるコストを抑制でき、高ジルコニア質電鋳耐火物材の部材に割れ目(クラック)が生じ難くなる。
本実施形態では、電鋳耐火物材からなるブロック間の目地以外の部分が、断熱レンガ110bと保温材110c等の放熱抑制部材で覆われ、ブロック間の目地の部分は、保温部材で覆われず保温部材の外部に対して露出している。このため、目地に熔融ガラスMGが進入したとしても、電鋳耐火物材の放熱により目地に進入した熔融ガラスMGは固化され易い。このため、熔融ガラスMGが目地に進入し、電鋳耐火物材110aの外周に流出することを防止できる。
また、放熱抑制部材であり保温部材として機能する保温材110cは、管本体102aの破損による熔融ガラスMGの漏洩量に応じてさらに保温材110cを、電鋳耐火物材110aの外周に追加するので、熔融ガラスMGからの放熱量の増加を抑制できる。このため、管本体102aの加熱量も大幅に増やすことなく、管本体102a内の熔融ガラスMGの温度を所定の温度に維持することができ、エネルギー効率の点で好ましい。
(ガラス組成)
本実施形態は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造に適している。フラットパネルディスプレイ用ガラス基板では、無アルカリガラスが好適に用いられる。本実施形態の製造方法で製造されるガラス基板の一例として以下のものが挙げられる。以下のガラス組成は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に適した無アルカリガラスである。
SiO2:50質量%〜70質量%、
Al23:0質量%〜25質量%、
23:1質量%〜15質量%、
MgO:0質量%〜10質量%、
CaO:0質量%〜20質量%、
SrO:0質量%〜20質量%、
BaO:0質量%〜10質量%、
を含有する。
ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
なお、本実施形態では無アルカリガラスとしたが、ガラス基板はアルカリ金属を微量含んだアルカリ微量含有ガラスであってもよい。アルカリ金属を含有させる場合、R’2Oの合計が0.10質量%以上0.5質量%以下、好ましくは0.20質量%以上0.5質量%以下(ただし、R’はLi、Na及びKから選ばれる少なくとも1種であり、ガラス基板が含有するものである)含むことが好ましい。勿論、R’2Oの合計が0.10質量%より低くてもよい。
また、本発明のガラス基板の製造方法を適用する場合は、ガラス組成物が、上記各成分に加えて、SnO2:0.01〜1質量%(好ましくは0.01〜0.5質量%)、Fe23:0〜0.2質量%(好ましくは0.01〜0.08質量%)を含有し、環境負荷を考慮して、As23、Sb23及びPbOを実質的に含有しないようにガラス原料を調製してもよい。
清澄剤として、SnO2が使用される場合、As23(亜ヒ酸)と比較して、より高い温度で清澄を行う必要があるので、清澄剤として、SnO2が使用される場合に、本発明は適している。
また、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスは、高温粘性が高い。高温粘性が高いガラスは、高温粘性が低いガラスと比較して、より高い温度で清澄する必要があるので、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスを製造する場合に、本発明は適している。すなわち、無アルカリガラスまたはアルカリ微量含有ガラスが使用される液晶ディスプレイ用ガラス基板や有機ELディスプレイ用ガラス基板などのフラットパネルディスプレイ用ガラス板を製造する場合に、本発明は適している。
以上、本発明のガラス基板の製造装置及びガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 熔解装置
101 熔解炉
101a 流出口
102 清澄槽
102a 管本体
102d 流入口
102e 流出口
103 攪拌槽
103a スターラ
110 管本体
110a 電鋳耐火物材
110b 断熱レンガ層
110c,110e,110f 保温材
110d キャスタブルセメント
200 成形装置
210 成形体
300 切断装置

Claims (7)

  1. ガラス原料を加熱して熔融ガラスを生成する熔解炉と、
    前記熔融ガラスからシートガラスを成形する成形装置と、
    前記熔解炉と前記成形装置との間に設けられ、前記熔融ガラスの移送または処理に用いられる、白金又は白金合金から構成された管と、
    を備え、
    前記管の外周に、
    前記管の外周に接するように設けられ、前記管を支持する、キャスタブル耐火物と、
    前記キャスタブル耐火物の外周に接するように設けられ、複数の電鋳耐火物ブロックを組み立てることで構成された組立体であって、前記管およびキャスタブル耐火物を支持する、ジルコニアを成分として含む電鋳耐火物材と、
    前記電鋳耐火物材の外周に設けられ、前記電鋳耐火物材からの放熱を抑制するための放熱抑制部材と、を更に備える、ことを特徴とするガラス基板の製造装置。
  2. 前記電鋳耐火物材は、ジルコニアを30質量%以上含む、請求項1に記載のガラス基板の製造装置。
  3. 前記電鋳耐火物材の熱伝導度は、1400℃において3[W/m/K]以上である、請求項1または2に記載のガラス基板の製造装置。
  4. 前記電鋳耐火物ブロックは、複数の直方体形状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造装置。
  5. 前記放熱抑制部材は、保温部材であり、前記保温部材は、前記電鋳耐火物ブロックの目地が露出するように、前記電鋳耐火物材の外周の一部に設けられ、前記管から漏れ出た前記熔融ガラスの一部を、前記目地に進入したとき固化させる、請求項4に記載のガラス基板の製造装置。
  6. 前記保温部材は、前記管の破損による熔融ガラスの放熱量に応じてさらに前記電鋳耐火物材の外周に追加される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス基板の製造装置を用いたガラス基板を製造する、ガラス基板の製造方法。
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