JP6986958B2 - ガラス基板製造装置、及びガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
熔融ガラスを処理する処理装置を含み、
前記処理装置は、
白金族金属を含む材料から構成され、前記熔融ガラスを収容する容器と、
前記容器の外周面を被覆するよう設けられた、耐火性酸化物からなる被覆層と、
前記被覆層が設けられた前記容器を支持するよう前記容器を取り囲む耐火物支持体と、を備え、
前記耐火物支持体は、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物材料からなる、ことを特徴とする。
前記耐火物支持体のSiO2含有量は、前記第2の部分の周りにおいて、前記第1の部分の周りよりも少ないことが好ましい。
処理装置を用いて熔融ガラスを処理する処理工程を含み、
前記処理装置は、
白金族金属を含む材料から構成され、前記熔融ガラスを収容する容器と、
前記容器の外周面を被覆するよう設けられた、耐火性酸化物からなる被覆層と、
前記被覆層が設けられた前記容器を支持するよう前記容器を取り囲む耐火物支持体と、を備え、
前記耐火物支持体は、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物材料からなる、ことを特徴とする。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の工程図である。
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、を主に有する。また、均質化工程(ST3)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を有していてもよい。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有してもよい。
なお、ガラス供給管204,205は、後述するように清澄機能を有するので、実質的に清澄槽を構成する。そこで、本実施形態では、清澄槽とは、清澄槽本体202と、ガラス供給管204,205を含むものとする。以降では、ガラス供給管204を第1清澄槽204、清澄槽本体202を第2清澄槽202、ガラス供給管205を第3清澄槽205という。
本明細書において、「白金族金属」は、白金族元素からなる金属を意味し、単一の白金族元素からなる金属のみならず白金族元素の合金を含む用語として使用する。ここで、白金族元素とは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の6元素を指す。白金族金属は、高価ではあるが、融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性にも優れている。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスを板状ガラスGに成形し、板状ガラスGの流れを作る。本実施形態では、後述する成形体310を用いたオーバーフローダウンドロー法を用いる。徐冷工程(ST6)では、成形されて流れる板状ガラスGが、内部歪が生じないように冷却される。
清澄工程は、脱泡工程と吸収工程とを含む。脱泡工程では、熔融ガラスMGを1630℃以上に昇温させて、清澄剤であるSnO2が酸素を放出させ、この酸素を熔融ガラスMGの既存の泡に取り込ませ、既存の泡の泡径を拡大させる。これにより、熔融ガラスMGの温度上昇に起因した泡内のガス成分の内圧上昇による泡径の拡大と、熔融ガラスMGの温度上昇に起因した熔融ガラスMGの粘性の低下との相乗効果により、泡の浮上速度が高まり、脱泡が促進する。脱泡工程において、熔融ガラスの温度は、熔解工程後の温度範囲(例えば、1560〜1620℃)より高い温度範囲(例えば、1630〜1700℃)に保たれる。
吸収工程では、脱泡工程とは逆に熔融ガラスMGの温度を低下させることにより、熔融ガラスMG中の泡内の酸素を再び熔融ガラスMGに吸収させることと、熔融ガラスMGの温度低下により泡内のガス成分の内圧を低下させることとの相乗効果により、泡径を縮小させ、熔融ガラスMG中に泡を消滅させる。
第2清澄槽202は、第1清澄槽204と異なり、第2清澄槽202内部の上部開空間が気相の雰囲気空間であり、熔融ガラスMG中の泡が熔融ガラスMGの液面に浮上して熔融ガラスMGの外に放出できるようになっている。
第2清澄槽202では、第2清澄槽202の本体である容器の加熱により熔融ガラスMGは引き続き1630℃以上の高温に維持され、熔融ガラスMG中の泡は、第2清澄槽202の上方に向かって浮上して、熔融ガラスMGの液表面で破泡することにより熔融ガラスMGは脱泡される。特に、熔融ガラスMGが1630℃以上まで加熱されると(例えば1630〜1700℃になると)、SnO2は、還元反応を加速的に起こす。ここで、第2清澄槽202の上方の上部開空間で破泡、放出されたガス成分は、図示されない、ガス放出口より、第2清澄槽202外に放出される。第2清澄槽202において、泡の浮上、脱泡によって浮上速度の速い径の大きな泡が除去された熔融ガラスMGは、第3清澄槽205に導入される。
なお、第3清澄槽205は、第2清澄槽202よりも断面が小さいため、第2清澄槽202と比較して効率的に熔融ガラスMGを冷却させることができる。つまり、第2清澄槽202内で熔融ガラスMGの温度を冷却するよりも、第3清澄槽205内で熔融ガラスMGの温度を冷却する方が、降温速度を速くできる観点から好ましい。
次に、図3及び図4を参照しながら、清澄槽の構造について具体的に説明する。
図3及び図4は、第2清澄槽202の構造の一例を示す断面図である。
ここでは、第1清澄槽204、第2清澄槽202、第3清澄槽205のうち、代表して第2清澄槽202を例にして、その構造を説明する。
第2清澄槽202は、容器1と、被覆層2と、耐火物支持体4と、を備え、これらは内周側から外周側にこの順で配置されている。ガラス基板製造装置の運転時(操業中)には、容器1の内部に、熔融ガラスMGが供給される。なお、図2では、第2清澄槽202として容器1のみを示したが、図3および図4に示したように、現実には、容器1の外周に耐火物支持体4等が存在するために、外部から容器1の外周を視認することはできない。
不定形耐火物の種類は特に制約は設けないが、その使用条件から、最高使用温度1600℃以上、圧縮強度200kgf/cm2以上で、緻密で、ガス透過性が小さいものが望ましい。例えば、アルミナセメントを配合した、キャスタブル耐火物が適している。
ここで、図5に、従来のガラス基板製造装置における被覆層の減耗を説明する図を示す。図5(a)、図5(b)、図5(c)は、この順に時間経過したときの第2清澄槽202の一部の様子を示している。図5中の符号は、上記説明した第2清澄槽202の各要素の符号と対応する。
第2清澄槽202の容器1は、清澄工程を行う間、高温に加熱される。このとき、容器1が保有する熱が被覆層2、耐火物保護層3、耐火物支持体4に順次伝達され、あるいは、加熱装置により加熱されることで、これらの部材も高温になっている(図5(a))。第2清澄槽202が高温になっていると、耐火物支持体4に含まれるSiO2が、耐火物保護層3との界面から耐火物保護層3内に移動し、耐火物保護層3内に拡散する。このため、耐火物保護層3中のSiO2濃度が高くなる(図5(b))。すると、耐火物保護層3と被覆層2との界面において、溶射膜の成分が、耐火物保護層3中のSiO2と反応し、これにより、被覆層2は徐々に薄くなり、やがて消失すると考えられる(図5(c))。このように被覆層2が減耗すると、容器1の外周面から白金族金属の揮発が生じやすくなり、容器1の薄肉化を抑制できない。
一方、耐火物支持体4のSiO2含有量が2質量%を超えると、操業中に、耐火物保護層3内に移動する耐火物支持体4中のSiO2が多く、このため、耐火物保護層3中のSiO2と溶射膜の成分との反応を抑制できない。なお、従来のガラス基板製造装置において、耐火物支持体4のSiO2含有量は、一般に、5〜15質量%である。
本実施形態において、第2清澄槽202は、耐火物保護層3を備えていなくてもよい。この場合、耐火物支持体4は、被覆層2に接して配置されることで容器1を支持する。本実施形態では、耐火物支持体4のSiO2含有量が少ないことで、上述したように、溶射膜の成分とSiO2との反応が抑制され、被覆層2の減耗が抑制されるため、耐火物支持体4を被覆層2と接するように配置することができる。なお、耐火物支持体4中のSiO2と溶射膜の成分との反応を抑制する効果を高める観点からは、耐火物保護層3を備えない場合の耐火物支持体4のSiO2含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
耐火物支持体4に用いられる耐火レンガの材料の具体例として、アルミナ系電鋳耐火物、アルミナ−ジルコニア系電鋳耐火物が挙げられる。アルミナ系電鋳耐火物は、アルミナ(Al2O3)の含有量が90質量%以上である耐火物であり、アルミナ−ジルコニア系電鋳耐火物は、アルミナ(Al2O3)及びジルコニア(ZrO2)の含有量の合計が90質量%以上である耐火物である。アルミナ系電鋳耐火物の好ましい具体例としては、サンゴバン・ティーエム(SAINT-GOBAIN TM)社のSCIMOSシリーズのアルミナ系電鋳耐火物が挙げられる。
一方で、一実施形態によれば、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物支持体4は、第2の部分の周りだけでなく、第1の部分の周りにも、配置されてもよい。この場合、第2の部分の周りでは、耐火物支持体のSiO2含有量が、第1の部分の周りよりも少ないことが好ましい。このような形態によっても、溶射膜の成分とSiO2との反応を効果的に抑制することができる。
また、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物支持体4が、複数の処理装置に配置される場合、一実施形態によれば、操業中の温度が低い第1の処理装置よりも、操業中の温度が高い第2の処理装置では、耐火物支持体のSiO2含有量が、第1の処理装置よりも少ないことが好ましい。例えば、第1清澄槽204及び第2清澄槽202では、耐火物支持体4のSiO2含有量が、他の処理装置よりも少ないことが好ましい。さらに、第1清澄槽204及び第2清澄槽202のうち、熔融ガラスの温度が操業中の最高温度に維持される時間の長さが長い方の処理装置では、当該最高温度に維持される時間が短い方の処理装置よりも、耐火物支持体4のSiO2含有量が少ないことが好ましい。
また、被覆層2と耐火物支持体4との間に耐火物保護層3を設けた場合に、耐火物保護層3の厚さを薄くすることができる、あるいは、耐火物保護層3を省略することができる。
SiO2:55−80質量%
Al2O3:8−20質量%
B2O3:0−18質量%
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)、
R’2O 0〜2モル%(R’2OはLi2O、Na2O及びK2Oの合量)。
ROのうち、MgOが0〜10質量%、CaOが0〜10質量%、SrOが0〜10質量%、BaOが0〜10質量%であることが好ましい。
さらに、熔融ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5質量%含んでいることが好ましい。
AS2O3、Sb2O3、PbOを実質的に含まないことが好ましいが、これらを任意に含んでいてもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5質量%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
また、本実施形態で製造されるガラス基板は、カバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板などにも適用することが可能である。
白金製の導管(容器)の外周面に、プラズマ溶射により厚さ1000μmのY2O3−ZrO2の溶射膜を設け、その周りを囲むように耐火レンガを配置して耐火物支持体を形成し、さらに、溶射膜と耐火物支持体との隙間に、耐火物保護層として、アルミナセメントを配合した厚さ50mmのキャスタブル耐火物を配置することで、第2清澄槽を作製した。耐火レンガには、実施例1ではSiO2 0.9質量%、実施例2ではSiO2 1.5質量%、実施例3ではSiO2 2.0質量%からなるものを用いた。この第2清澄槽を備える上記実施形態のガラス基板製造装置を用いて、ガラス基板の製造を行った(実施例1〜3)。操業中、第2清澄槽の温度は、1630〜1700℃に保たれていた。
一方、耐火レンガとして、SiO2 4.5質量%からなるものを用い、さらに、耐火物保護層の厚さを150mmとした点を除いて実施例と同様に構成した第2清澄槽を作製し、実施例と同じ操業条件でガラス基板の製造を行った(比較例)。
なお、耐火レンガのSiO2量は、走査型電子顕微鏡(SEM)に組み込まれたEDS装置を用いて測定した値である。
しかも、実施例1〜3では、比較例よりも耐火物保護層の厚さが小さいにも関わらず、溶射膜の減耗の程度が比較例よりも小さく、溶射膜の減耗を抑制する効果が高いことがわかる。
1a 被覆層
3 耐火物保護層
4 耐火物支持体
200 熔解装置
201 熔解槽
202 第2清澄槽(清澄槽本体)
203 撹拌槽
203a 撹拌機
204 第1清澄槽(ガラス供給管)
205 第3清澄槽(ガラス供給管)
206 ガラス供給管
208 成形装置
209 切断装置
MG 熔融ガラス
SG シートガラス
Claims (5)
- 熔融ガラスを処理する処理装置を含み、
前記処理装置は、
白金族金属を含む材料から構成され、前記熔融ガラスを収容する容器と、
前記容器の外周面を被覆するよう設けられた、耐火性酸化物からなる被覆層と、
前記被覆層が設けられた前記容器を支持するよう前記容器を取り囲む耐火物支持体と、を備え、
前記耐火物支持体は、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物材料からなる、ことを特徴とするガラス基板製造装置。 - 前記処理装置は、さらに、前記被覆層と前記耐火物支持体との間に配置された不定形耐火物からなる耐火物保護層を備える、請求項1に記載のガラス基板製造装置。
- 前記耐火物保護層は、前記耐火物支持体のSiO2含有量に基づいて定められた厚さを有している、請求項2に記載のガラス基板製造装置。
- 前記容器は、第1の部分と、前記熔融ガラスを処理するときに前記第1の部分より高温になる第2の部分と、を有し、
前記耐火物支持体のSiO2含有量は、前記第2の部分の周りにおいて、前記第1の部分の周りよりも少ない、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス基板製造装置。 - 処理装置を用いて熔融ガラスを処理する処理工程を含み、
前記処理装置は、
白金族金属を含む材料から構成され、前記熔融ガラスを収容する容器と、
前記容器の外周面を被覆するよう設けられた、耐火性酸化物からなる被覆層と、
前記被覆層が設けられた前記容器を支持するよう前記容器を取り囲む耐火物支持体と、を備え、
前記耐火物支持体は、SiO2含有量が2質量%以下である耐火物材料からなる、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
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