JPWO2012131852A1 - フランジ盤が溶接された鋼管 - Google Patents

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Abstract

このフランジ盤が溶接された鋼管は、平板円環状のフランジ部と、フランジ部の外周側に位置し、フランジ部の片面側にその少なくとも一部が突出する環状の部位を有する接続部と、を有するフランジ盤と、接続部の片面側に溶接され、管厚がtである鋼管と、を備え、接続部と鋼管との間に、溶接により形成された溶接金属部を有し、溶接金属部の鋼管の管軸を含む断面で、鋼管の管厚方向中央より外周側の断面積SOと、内周側の断面積SIとが、SO≧1.5SIの関係を満たし、溶接金属部の内面側かつフランジ部側である溶接止端と、接続部の内面とフランジ部の片面とが交わる部位であるフランジ角部との距離が5mm以上前記管厚t以下である。

Description

本発明は、フランジ盤が溶接された鋼管に関する。
近年、地球温暖化の一因とされるCO2ガスの削減や、石油等の化石燃料の将来的な枯渇に対処するため、再生可能な自然エネルギーを利用することが、積極的に試みられている。風力発電もその一つであり、風力発電が世界的に普及しつつある。
ここで、風力発電に最適な地域は、絶え間ない強風を期待できる地域である。それ故、このような条件を満足する洋上での風力発電(洋上風力発電)が世界規模で計画及び実現されている(特許文献1〜6参照)。
洋上に風力発電用の塔を建造する場合、風力発電塔の安定を図るために、海底の地盤に塔の基礎部分を打ち込む必要がある。また、風力発電機のタービン翼を、海水面から十分に高い位置に、かつ安定的に維持するためには、塔の基礎部分、及び、基礎部分の上に設置する鋼管柱が十分な高さを持つ必要がある。その高さは、例えば80m以上に達する。
このように、洋上風力発電用の塔は、巨大な鋼構造物であるが、絶えず強風や波に曝される。このため、塔全体は、強風や波、さらにはタービン翼の回転による振動により絶え間なく繰り返し荷重を受けることとなる。
つまり、このような環境下において、塔の基礎部分とその上に設置する鋼管柱の溶接部には、通常の疲労サイクル(106〜7)とはオーダーが異なるギガサイクル(109〜10)域の振動に対する耐疲労特性が要求されていた。
それ故、洋上風力発電塔の建造には、ギガサイクル域の振動環境に耐えうる溶接継手を形成するための溶接方法の開発が必要であった。
特開2008−111406号公報 特開2007−092406号公報 特開2007−322400号公報 特開2006−037397号公報 特開2005−194792号公報 特開2005−180239号公報
図5に、従来の洋上風力発電用の塔の概略図を示す。洋上風力発電塔は、基礎構造体(基礎部分)111の上に、管径3〜5m、管厚30〜80mmの鋼管柱112が載置され、鋼管柱112の頂部には、タービン翼114を備えるナセル113が載置される。
また、洋上風力発電塔は、高さが80m以上にも達し、常に、ギガサイクルの振動環境に置かれているので、基礎構造体111と鋼管102´の接合部A、及び、鋼管102´と鋼管102の接合部Bは、ギガサイクルの振動に耐えるものでなければならない。
また、上記に示すような洋上風力発電塔を建造する場合、鋼管柱112とするための鋼管102´と鋼管102の継手はフランジを用いた管継手となることがある。この場合も、このようなフランジを用いた管継手でない鋼管柱112の基礎構造体111への取付け、及び、フランジ部材(フランジ)と、基礎構造体111や鋼管102´や鋼管102それぞれとの接合はアーク溶接(以下、単に溶接という。)などにより行われている。このように、フランジを用いた管継手を採用した場合、接合部及びその近傍での耐疲労特性の確保が重要である。
以下に、図5中の接合部Bについて詳細に説明する。
図6に、図5中の接合部Bにおける鋼管柱112の管軸方向の断面模式図示す。
鋼管102の端面に、フランジ盤(以下単に、フランジという)101が溶接金属部103を介して接合されることによりフランジ盤が溶接された鋼管110が形成されている。なお、フランジ101は、平板円環状のフランジ部101aと接続部101bから概略構成されており、この接続部101bと鋼管102とが溶接により接合されている。ここで、後述のフランジ角部101cより内周側(内面側)のフランジ盤をフランジ部101aとし、フランジ角部101cより外周側(外面側)のフランジ盤を接続部101bとする。また、鋼管102´とフランジ101´についても同様の構造となっている。なお、接続部101b、101b´は、フランジ部101a、101a´のそれぞれの外周を囲むように設けられている。
なお、鋼管102と鋼管102´とは、フランジ部101a及びフランジ部101a´がボルト107により締結されることにより結合され、鋼管柱112を形成している。
図7に、図6に示すT部分の拡大断面模式図を示す。
図7に示すように、鋼管102の端面と、フランジ盤101の接合部101bは、鋼管102及び接続部101bの内外面それぞれからV形に設けた開先(X形開先)を溶接して接合されている。
このように、鋼管102とフランジ101を溶接すると、通常、溶接金属部103、及びその近傍の鋼管102と接続部101bそれぞれの内面側の表面には、管軸方向の引張残留応力が発生する。一方、洋上風力発電塔全体が振動する際、最も厳しい疲労特性が要求されるのは、応力が集中する、フランジ部101aの接続部側の表面101dと接続部101bの内面との交わる部位であるフランジ角部101cである。
したがって、これまでは、溶接により引張残留応力が発生する領域に、フランジ角部101cが含まれないように、接続部101bの管軸方向の長さを十分長くし、溶接金属部103とフランジ角部101cとが十分に離間する構造となるよう設計されていた。
しかし、今後、洋上風力発電塔の大型化に伴い、耐疲労特性のさらなる向上が必要となるなか、洋上風力発電塔を構成する鋼管柱は大径化し、鋼管柱として使用される鋼材(鋼管)は厚肉化するが、その場合、当然に、フランジの重量も増加せざるを得ない。
通常、洋上風力発電塔用の大型のフランジは、高価な鍛造品となる。そのため、高価であるフランジの重量増加は、洋上風力発電塔の全体コストの増大を招くので、いかにフランジを軽量化して、コストの増大を抑制するかが課題となる。また、上述したように、洋上風力発電塔の基礎部分及び鋼管柱それぞれと、フランジの接続部との溶接部には、ギガサイクル域の振動に耐える耐疲労特性が要求されるため、この耐疲労特性の向上とフランジの軽量化とを両立させることが課題となる。
そこで、本発明は、鋼管に軽量なフランジを溶接する場合において、ギガサイクル域の振動に耐える疲労特性を有する、フランジ盤が溶接された鋼管を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題の対策として、溶接金属部の鋼管の管軸を含む断面において、管厚の1/2線(管厚の中央線)つまり管厚中央より外周側(外面側)の溶接金属部の断面積のほうが内周側(内面側)の溶接金属部の断面積の1.5倍よりも大きくなるように、接続部と鋼管の端部を溶接する。その上で、溶接金属部の内面側かつフランジ側の溶接止端とフランジ角部との距離をある一定の値に管理する。これにより、フランジ角部に圧縮残留応力を付与させ、フランジ盤が溶接された鋼管の、ギガサイクル域の振動に対する疲労特性を向上させるものである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明の一態様に係るフランジ盤が溶接された鋼管は、管軸方向端部にフランジ盤が溶接された鋼管であって、平板円環状のフランジ部と、前記フランジ部の外周側に位置し、前記フランジ部の片面側にその少なくとも一部が突出する環状の部位を有する接続部と、を有するフランジ盤と、前記接続部の前記片面側に溶接され、管厚がt(mm)である鋼管と、を備え、前記接続部と前記鋼管との間に、溶接により形成された溶接金属部を有し、前記溶接金属部の前記鋼管の管軸を含む断面で、前記鋼管の管厚方向中央より外周側の断面積Sと、内周側の断面積Sとが、S≧1.5Sの関係を満たし、前記溶接金属部の内面側かつ前記フランジ部側の溶接止端と、前記接続部の内面と前記フランジ部の前記片面とが交わる部位であるフランジ角部との距離が5mm以上前記管厚t以下である。
(2)上記(1)に記載のフランジ盤が溶接された鋼管では、前記フランジ盤の外周側の側面の管軸方向の長さが、前記フランジ部の板厚よりも小さくてもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載のフランジ盤が溶接された鋼管では、前記溶接により前記フランジ角部に圧縮残留応力が形成されていてもよい。
(4)上記(1)または(2)に記載のフランジ盤が溶接された鋼管では、前記鋼管の前記管厚tが30mm以上であってもよい。
(5)上記(1)または(2)に記載のフランジ盤が溶接された鋼管では、前記鋼管が、風力発電塔の鋼管柱に使用されていてもよい。
本発明によれば、フランジ盤が溶接により接合された鋼管において、溶接金属部の鋼管の管軸を含む断面で、鋼管の管厚方向中央より外周側の断面積Sのほうが、内周側の断面積Sの1.5倍よりも大きく、内周側の溶接金属部とフランジ角部との距離が十分に小さいため、内周側の溶接金属部表面及びその近傍に圧縮応力を残留させることができる。さらに、この圧縮残留応力の発生領域内にフランジ角部を位置させることにより、ギガサイクル域の振動における耐疲労特性を有するフランジ盤が溶接された鋼管を提供することができる。
本実施形態におけるフランジ盤が溶接された鋼管を説明するための断面模式図である。 従来のフランジが溶接された鋼管の溶接金属部近傍における応力分布を説明するための断面模式図である。 図2Aの線分X−X´における応力分布を示すグラフである。 図2Aの線分Y−Y´における応力分布を示すグラフである。 本実施形態のフランジ盤が溶接された鋼管の溶接金属部近傍における応力分布を説明するための断面模式図である。 図3Aの線分X−X´における応力分布を示すグラフである。 図3Aの線分Y−Y´における応力分布を示すグラフである。 本実施形態のフランジ盤の断面模式図である。 洋上風力発電用の塔の構造を説明するための概略図である。 図5中の接合部Bにおける鋼管102の管軸方向の断面模式図である。 図6中に示すT部分の拡大断面模式図である。 本発明の実施例における開先形状を説明するためのフランジ盤が溶接された鋼管の断面模式図である。 本発明の実施例における板状試験片の斜視図である。 本発明の実施例における疲労試験及び予備疲労試験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例における予備疲労試験の方法を説明する模式図である。
本発明は、フランジ盤が溶接された鋼管であって、フランジ盤の端部に設けられたフランジ側開先面と、鋼管の端部に設けられた鋼管柱側開先面で画定される開先が、溶接されている。なお、本発明におけるフランジ盤は、平板円環状のフランジ部と、該フランジ部の外周側に位置し、該フランジ部の片面側(鋼管が溶接されている側の面)にその少なくとも一部が突出する環状の部位を有する接続部とから概略構成されている。また、フランジ側開先面と鋼管側開先面とにより画定される開先は、X形開先、V形開先、レ形開先、K形開先またはU型開先などである。
以下、本発明の一実施形態に係るフランジ盤が溶接された鋼管について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本実施形態におけるフランジ盤が溶接された鋼管の、管軸方向の断面模式図を示す。
本実施形態に係るフランジ盤が溶接された鋼管10は、図1に示すように、平板円環状のフランジ部1aと、フランジ部1aの外周側に位置し、フランジ部1aの片面(鋼管2が溶接されている側の面)1d側にその少なくとも一部が突出する環状の部位1b´を有する接続部1bと、を有するフランジ盤1と、フランジ盤1と溶接され、管厚がt(mm)である鋼管2と、後述する溶接金属部3と、を備えている。なお、鋼管2は、フランジ盤1の片面1d側に溶接されている。
また、フランジ盤1は、鋼管2に面する端部に形成されたフランジ側開先面1eを有し、鋼管2は、フランジ盤1に面する端部に形成された鋼管側開先面2eを有している。
さらに、フランジ盤1と鋼管2との間であって、フランジ側開先面1eと鋼管側開先面2eとで画定される開先が溶接されることにより、溶接金属部3が形成されている。また、図1に示す溶接金属部3の断面で、鋼管2の管厚方向(鋼管2の肉厚方向)中央線(線分C−C)より外周側の断面積Sのほうが、内周側の断面積Sの1.5倍よりも大きく、溶接金属部3の内面側かつフランジ部1a側の溶接止端1e´と、片面1dと接続部1bの内面とが交わる部位であるフランジ角部1cとの距離が5mm以上管厚t以下である。
ここで、図7に示すような、従来のフランジが溶接された鋼管を用いた構造では、溶接能率の観点から、通常、溶接金属部103の開先としてX開先が採用されている。また、上述したように、従来の構造では、溶接金属部103及びその近傍の鋼管102及び接続部101bの表面領域に、鋼管軸方向の引張残留応力が発生するという問題があった。
このような問題を解決するため、従来の構造では、溶接金属部103をフランジ角部101cからできるだけ離して形成し、引張残留応力が発生している領域に、フランジ角部101cが含まれないようにすることで、引張残留応力のフランジ角部101cへの影響をできるだけ低減することが重要であると考えられていた。
しかし、溶接金属部103をフランジ角部101cからできるだけ離し形成するためには、接続部101bの管軸方向の長さを大きくせざるを得ないため、その結果、高価であるフランジ101の重量が増加してしまう問題があった。
そこで、本発明者らは、フランジの接続部101bを軽量化のために短尺化するとともに、応力が集中するフランジ角部101cが、ギガサイクル域の振動に耐える疲労特性を備える継手構造を鋭意検討した。
以下に、本実施形態におけるフランジ盤が溶接された鋼管10について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のフランジ盤が溶接された鋼管10は、平板円環状のフランジ部1aと、フランジ部1aの外周側に位置し、フランジ部1aの片面(鋼管2が溶接されている側の一面)1d側にその少なくとも一部が突出する環状の部位1b´を有する接続部1bと、を有するフランジ盤1と、フランジ盤1と溶接され、管厚がt(mm)である鋼管2と、後述する溶接金属部3と、から概略構成されている。
また、フランジ盤1は、鋼管2に面する端部に形成されたフランジ側開先面1eを有しており、鋼管2は、フランジ1に面する端部に形成された鋼管側開先面2eを有している。
また、フランジ盤1と鋼管2との間であって、これらフランジ側開先面1eと鋼管側開先面2eとで画定される開先が溶接されることにより、溶接金属部3が形成されている。この溶接金属部3は、鋼管2を管厚方向(鋼管2の肉厚方向)に貫通している。
なお、本実施形態において、フランジ盤1の径方向中央部には、鋼管柱内部の点検等のために人間が移動できるように、管軸方向に貫通した開口部が形成されている。
また、本実施形態において、溶接金属部3の鋼管2の管軸を含む断面で、鋼管2の管厚方向(鋼管2の肉厚方向)中央より外周側の断面積Sと、内周側の断面積Sとが、S≧1.5Sの関係を満たす必要がある。つまり、図1に示すように、鋼管2の管厚の中央(1/2)線である線分C−C、つまり管厚中央から外周側の形成された外周側溶接金属部3aの断面積Sを、管厚中央から内周側の形成された内周側溶接金属部3bの断面積Sの1.5倍以上とする。以下、このような断面積Sと断面積Sの限定理由について説明する。
本実施形態における溶接金属部3は、図1に示すように、鋼管2の管軸を含む断面で、鋼管2の管厚方向中央より外周側の断面積Sと、内周側の断面積Sとが、S≧1.5Sの関係を満たすよう形成されている。つまり、溶接金属部3のうち、外周側の溶接金属部3aの溶着金属量が、内周側の溶接金属部3bの溶着金属量よりも多い構造とすることにより、溶接金属部3の内周側表面からフランジ角部1cまでの領域に圧縮応力を残留させることができる。
なお、断面積Sが断面積Sの1.5倍未満であると、溶接金属部3の内周側表面からフランジ角部1cまでの領域に残留する圧縮応力を十分に確保することができず、フランジ角部1cの耐疲労特性が十分に得ることができないおそれがある。そのため、本実施形態においては、S≧1.5Sとする。なお、耐疲労特性の向上効果をより発揮させるためには、S≧2.0Sとすることが好ましく、S≧2.5Sとすることがより好ましい。
このように、断面積Sを断面積Sよりも大きくすることにより、溶接金属部3の内周側表面からフランジ角部1cまでの領域に圧縮応力を残留させることができる。
また、本実施形態においては、溶接金属部3bの内周側かつフランジ部1a側の溶接止端1e´と、フランジ角部1cとの距離dは、5mm以上前記管厚t以下である必要がある。
この距離dが小さすぎると、内周側溶接金属部3bのフランジ部1a側の溶接止端1e´への応力集中が影響してしまい、フランジ角部1cの耐疲労特性が劣化するおそれがあるため、距離dの上限は5mm以上とする。また、距離dを管厚t超とすると、フランジ角部1cの位置が圧縮応力の残留領域の範囲外となってしまい、フランジ角部1cの耐疲労特性を十分に得ることができないため、距離dの下限は管厚t以下とする。なお、耐疲労特性の向上効果をより発揮させるためには、距離dの下限を8mm又は10mmに、距離dの上限を管厚tの80%又は65%とすることが好ましい。
ここで、本実施形態での溶接金属部3及びその近傍における応力分布について、従来のフランジが溶接された鋼管110の構造と比較しながら説明する。
図2Aに、X開先を採用した従来のフランジが溶接された鋼管の管軸方向の断面模式図を示す。
図2B及び図2Cに、図2Aに示す、フランジが溶接された鋼管の溶接金属部103近傍の応力分布を示す。なお、図2Bは、溶接金属部103の中心X−X´における応力分布を示し、図2Cは、内周側の溶接金属部103a表面の中心からフランジ角部101cにわたるY−Y´(X−X´に垂直)における応力分布を示す。
フランジが溶接された鋼管の構造として従来の構造を採用した場合、図2Bに示すように、溶接金属部103の径方向中心部のみに、圧縮応力が残留し、溶接金属部103の外周側と内周側とには、引張応力が残留する。
また、図2Cに示すように、内周側溶接金属部103bからフランジ角部101cにかけての、溶接線と垂直方向の残留応力は、常に、引張応力である。
このため、従来では、フランジ角部101cの疲労特性に影響を与えないように、引張応力が残留している領域外に、フランジ角部101cを配置することを念頭に置き、接続部101bの管軸方向の長さを大きくすることが最善の策と考えられていた。そのため、フランジ101は大型化し、フランジ101のコストは上昇していた。
ここで、溶接による変形を拘束しながら、外周側の開先の幅が広いV型開先の溶接金属部を形成した場合、この溶接金属部の外周側表面及びその近傍における溶接線と垂直方向の残留応力は引張となる。一方で、溶接金属部の内周側表面での残留応力は圧縮となる。これは、開先の幅が、内周側よりも外周側の方が相対的に広く、外周側の溶着金属量が多いことに起因する。
本発明者らは、この現象を利用して、フランジ盤が溶接された鋼管において、その開先形状を検討し、内周側溶接金属部とフランジ角部に、圧縮残留応力を付与することができれば、フランジ角部の耐疲労特性の向上と、フランジ盤の軽量化が両立できるのではないか、と発想した。
すなわち、本実施形態では、内周側溶接金属部3bの表面及びその近傍に残留する圧縮応力を最大限に活用するため、内周側溶接金属部3bのフランジ部側溶接止端を、フランジ角部1cに近づける構造とした。つまり、本実施形態におけるフランジ盤が溶接された鋼管10の構造は、従来の発想とは全く逆の新しい発想を具現化したものである。
図3Aに、本実施形態のフランジ盤1が溶接された鋼板2の管軸方向の断面模式図を示す。
図3B及び図3Cに、図3Aに示す、溶接金属部3近傍の応力分布を示す。なお、図3Bは、溶接金属部3の中心X−X´における応力分布を示し、図3Cは、内周側(内面側)の溶接金属部3a表面の中心からフランジ角部1cにわたるY−Y´における応力分布を示す。
本実施形態のフランジ盤が溶接された鋼管10によれば、図3Bに示すように、溶接金属部3の外周側表面と内周側表面において、鋼管の径方向(図3A中、X−X´)の残留応力は、フランジ外周側では引張であるが、内周側では圧縮となる。
また、溶接金属部3の内周側表面からフランジ角部1cにかけての、溶接線に垂直な方向(図中、Y−Y)における残留応力は、図3Cに示すように、溶接金属部3の近傍にフランジ角部1cを配置することで、圧縮となる。
次に、本実施形態におけるフランジ盤1の構造について説明する。
図4(a)〜(e)に、本実施形態におけるフランジ盤1の構造を示す。
本実施形態におけるフランジ盤1は、フランジ角部101cより鋼管径方向内側に位置する平板円環状のフランジ部1aと、フランジ部1aの外周側に位置し、フランジ部1aの片面1d側にその少なくとも一部が突出する環状の部位1b´を有する接続部1bと、から概略構成されている。また、フランジ盤1には、片面1dと接続部1bの内面とが交わる部位であるフランジ角部1cがある。
本実施形態においては、フランジ盤1の接続部1bの外周側の側面(外側面)の管軸方向の長さh1は、図4(c)〜図4(e)に示すように、フランジ部1aの板厚hよりも大きくても構わないが、図4(a)及び図4(b)に示すように、フランジ部1aの板厚hよりも小さいほうが好ましい。なお、フランジ盤1の接続部1bの外側面の管軸方向の長さh1とは、フランジ盤1の外周端面における板厚と看做すことができる。
ここで、フランジ盤1の接続部1bの外側面の管軸方向の長さh1が、フランジ部1aの板厚hよりも大きくても、本実施形態における効果と同様の効果を得ることができる。しかし、長さh1がフランジ部1aの板厚hよりも小さいほうが、上述した距離dの条件を満足し、かつ、上述した断面積Sと断面積Sとの関係であるS≧1.5Sを容易に満足することができる。その結果、断面積Sを断面積Sよりも容易に確保することができ、本実施形態における効果を容易に得ることができる。つまり、溶接金属部3の内周側表面からフランジ角部1cまでの領域に残留する圧縮応力を大きくすることができ、フランジ角部1cの耐疲労特性をより向上させることができる。
なお、フランジ盤1のうち、鋼管と溶接する側である片面1dとは反対側の面とフランジ盤1の外側面との交わる部位と、溶接金属部3の外面側かつフランジ盤1側の溶接止端との距離を、前記長さh1と看做すこともできる。
また、本実施形態における接続部1bは、上述したように、フランジ部1aの外周側に位置し、フランジ部1aの片面1d側にその少なくとも一部が突出する環状の部位1b´を有している。
ここで、本実施形態において、図4(a)及び図4(b)のように、環状の部位1b´が必ずしもフランジ盤1の外側面に接してなくてもよい。つまり、本実施形態におけるフランジ盤1の接続部1bは、鋼管2と溶接された接続部1bの少なくとも一部が片面1d側より鋼管2側に突出し、前記距離dが5mm以上前記管厚t以下となるように形成されていればよい。
また、本実施形態におけるフランジ盤1のフランジ部1aの板厚hは、管厚tの2倍以上、200mm以下であることが好ましい。このように、管厚tの2倍以上とすることにより、フランジ盤1が溶接された鋼管2における機械的接合強度を向上させることができる。しかし、フランジ部1aの板厚hが厚すぎると、製造コストの増大を招くおそれがある。そのため、フランジ部1aの板厚hの上限を200mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態における溶接は、耐疲労強度を向上させるためには、完全溶け込み溶接が望ましいが、必ずしも完全溶け込み溶接でなくてもよい。つまり、溶接金属部が必ずしも管厚方向に貫通しない部分溶け込み溶接であっても、差し支えない。具体的には、X形開先の場合、溶接金属部の内部において、ルートフェイスの一部が未溶着である部分があってもよい。
本実施形態において、フランジ側開先面1eと鋼管側開先面2eとで画定される開先は、X形開先、V形開先、レ形開先、K形開先又はU形開先のいずれかであることが好ましい。なお、上述した断面積Sと断面積Sとの関係を満たすことを考慮すると、V開先、X形開先またはK形開先であることがより好ましい。V開先、X形開先またはK形開先を採用することにより、上述した断面積Sと断面積Sとの関係をより容易に満たすことができるためである。つまり、大きな圧縮残留応力を内周側溶接金属部3bの表面及びその近傍により容易に付与することができるためである。
また、X形開先やK形開先を採用した場合には、内周側溶接金属部により大きな圧縮応力が発生するため、鋼管2とフランジ盤1の内周側(内面側)を先に溶接し、その後、外周側(外面側)を溶接することが好ましい。なお、この場合、溶接金属部の断面をエッチングすることにより、どちらの面側から溶接したのか容易に区別できる。
また、X形開先やK形開先を採用した場合に、外周側開先の深さを、内周側開先の深さより大きくすることが好ましい。こうすることにより、内周側溶接金属部表面及びその近傍に大きな圧縮残留応力を生じさせることができる。
また、本実施形態におけるフランジ盤1が溶接された鋼管10において、鋼管2の管厚tと接続部1bの径方向の厚さとが異なってもよい。その場合でも、本実施形態における効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態に係るフランジ盤1が溶接された鋼管10に用いられる鋼管2としては、管厚tが30mm以上である高強度大径鋼管を用いることが好ましい。このような高強度大径鋼管としては、公知の成分組成の降伏強度が315MPa以上又は355MPa以上の溶接用構造用鋼管から製造したものでよい。また、降伏強度は690MPa以下または600MPa以下としてもよい。
なお、鋼管2の管厚tは40mm以上とすることがより好ましく、50mm以上とすることがさらに好ましい。このような管厚tを採用することにより、内周側溶接金属部表面及びその近傍に対し、より容易に圧縮残留応力を付与することができる。
以上説明した、本発明におけるフランジ盤が溶接された鋼管によれば、溶接金属部の鋼管の管軸を含む断面で、鋼管の管厚方向中央より外周側の断面積のほうが、内周側の断面積よりも大きく、内周側の溶接金属部とフランジ角部との距離が十分に小さいため、内周側の溶接金属部表面及びその近傍に圧縮応力を残留させることができる。そして、このような残留圧縮応力の発生領域内にフランジ角部を位置させることにより、ギガサイクル域の振動における耐疲労特性を向上させることができる。
そのため、本発明のフランジ盤が溶接された鋼管においては、ギガサイクル域の振動環境における耐疲労特性が要求されている風力発電塔用の鋼管柱として最適である。
また、本発明のフランジ盤が溶接された鋼管の構造においては、従来の構造と比較し、フランジ部の外周を囲むように形成されている接続部が小さいため、フランジ盤の大幅な軽量化を達成することができる。これにより、鍛造によらず、圧延により製造された厚鋼板を円形に切断した後で、その厚鋼板の板厚方向における一部を切削することにより、フランジ盤を製造することが可能になる。
つまり、本発明における接続部の外周端面における板厚が、従来と比較し薄い構造であるため、高価であるフランジ盤をより軽量にすることができ、製造コストを抑えることができる。
なお、本発明は、前述のように、フランジ角部に圧縮残留応力を付与することできればよく、その限りで、接合部(溶接金属部)における開先形状や位置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、限定されない。また、溶接方法においても、同様に限定されない。
また、溶接能率や、保有する機器に合わせて、圧縮残留応力が生じている領域内にフランジ角部が位置するように、開先形状とその位置を調整すればよい。なお、圧縮残留応力は、X線による残留応力測定や、歪みゲージにより測定することが可能である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、これらの一条件例のみに限定されるものではない。
本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件ないし条件の組み合わせを採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す成分組成と機械特性を有する鋼管と、フランジ盤と、JIS Z 3313 YFL−C506Rで規定される1.2mm径の溶接ワイヤとを使用して、電流200A、電圧21V、溶接速度7〜25cpm、シールドガスAr+20%CO2(25l/min)の溶接条件で、フランジ盤が溶接された鋼管を作製した。なお、本実施形態において用いた鋼管の引張強さは、板厚(管厚)50mm以下は(財)日本海事協会(NK:Nippon Kaiji Kyokai)鋼船規則・同検査要領(K編 材料)U1号試験片を、板厚(管厚)50mm超はJIS Z2201 14A号試験片を作製して、引張試験を行い測定した。
また、用いた鋼管の管厚t、フランジ盤のフランジ部の板厚h、フランジ盤の外側面の管軸方向の長さh1、板厚hと長さh1の比h1/h、及び開先形状を表2、表3に示す。なお、本実施例において、用いた鋼管の直径は700mmである。
ここで、開先形状の種類は、図8(a)に示すようなX形開先、または図8(b)に示すようなV形開先の何れかを採用した。溶接金属部3(溶接部)において、溶接部外周側からルートフェイスまでの距離t1、溶接部内周側からルートフェイスまでの距離t2、開先角度θ1、θ2、及びルートギャップgのそれぞれを表2、表3に示す。なお、図8(b)に示すような、V形開先の場合は、溶接部外周側からルートフェイスまでの距離t1と管厚tは同値とする。
次に、得られたフランジ盤が溶接された鋼管における溶接金属部を、管軸方向に切断した。この溶接金属部の切断面において、管厚方向中央より外周側の断面積Sと、内周側の断面積Sをそれぞれ測定し、SとSとの断面積比S/Sを求めた。
また、内周側の溶接金属部のフランジ盤側溶接止端とフランジ角部との距離dを測定し、さらに、この距離dと管厚tとの比d/tを求めた。
次に、得られたフランジ盤が溶接された鋼管の性能に関し、表2、表3に示す機械的特性を評価した。評価方法について以下に説明する。
まず、得られたフランジ盤が溶接された鋼管同士をボルト7にて締結し結合させてから、図9に示すような幅80mmの板状試験片を切断採取し、室温大気中、応力比−1、繰り返し速度10〜30Hzの条件で疲労試験を行い、破断寿命が繰り返し数200万回(2×106回)における継手疲労強度F1を測定した。結果を表2、表3に示す。
一方、ギガサイクルでの疲労強度については、通常の疲労試験機では極めて長時間が必要となるため、下記に示す方法によりギガサイクル(1×109回)に対応する継手疲労強度F2を推定して評価した。継手疲労強度F2の推定方法について説明する。
まず、試験番号3の開先条件で、上記F1と同様にフランジ盤が溶接された鋼管幅80mmの板状試験片を切断採取し、室温大気中、応力比−1、繰り返し速度10〜30Hz、鋼管軸方向の応力振幅が250MPaから応力を5水準変化させて試験した。その結果、図10の(A)に示すように、繰り返し数がそれぞれ約1.3×10、2.2×10、および1.2×10で破断に至り、応力振幅が140MPaと130MPaでは、繰り返し数1×10回でも破断に至らなかった。図10(A)から分かるように、疲労強度は1×10回〜1×10回の間でほぼ疲労限に達しており、1×10回から1×10回との間でほとんど疲労強度が低下しないと思われる。なお、本実施例で用いる鋼材は、引張強さで概ね500〜800MPaの範囲であるため、溶接条件が変化しても図10の(A)のように1×10回〜1×10回の間で疲労限(本実施例においては145MPa)を示すものと思われる。この関係を用いてギガサイクル(1×10回)における継手疲労強度F2を推定した。具体的には、図10(A)から推測される板状試験片における2×10での疲労強度と、疲労限に相当する1×10回での疲労強度を比較して、これら2条件の間の低下率を求めた。この低下率をそれぞれの開先条件で得られた2×10回の継手疲労強度F1に乗じて、ギガサイクル下での継手疲労強度(推定値)F2を求めた。なお、低下率は85%であった。
ここで、実機を模擬したフランジ盤が溶接された鋼管を用いて予備疲労試験を行い、上記板状試験片における疲労試験結果との比較を行った。
予備疲労試験としてまず、図11に示すように、実機を模擬した直径700mm、管厚40mmの鋼管2に、板厚80mmのフランジ盤1を、表2の試験番号3の開先形状で溶接した。また、鋼管2´とフランジ盤1´についても同様に、の試験番号3の開先形状で溶接し、フランジ盤が溶接された鋼管を作成した。フランジ盤1、1´同士はボルトにより締結し管継手を作成した。
次いで、図11に示すように、管継手の両端を固定するとともに、中央部2箇所(図11中の矢印箇所参照)を矢印方向に振幅させる4点曲げ試験を行った。なお、両端は弾性変形による部材の伸び、縮み、回転に対する自由度を十分に確保して固定した。また、この予備疲労試験は、室温大気中、応力比−1、繰り返し速度0.1〜0.3Hz、応力振幅が180MPa、200MPaの条件で試験を行った。そして、破断寿命が繰り返し数200万回(2×106回)における継手疲労強度A1を求めた。その結果、試験番号3において、図10の(B)に示すような結果が得られた。つまり、実機を模擬したフランジ盤が溶接された鋼管とそこから切り出した板状試験片それぞれにおける疲労強度において、A1>F1という結果が得られた。これはフランジ盤が溶接された鋼管と、そこから切断採取した図9に示すような板状試験片とでは、溶接変形の拘束状態が異なるためによるものと推定される。すなわち、フランジ盤が溶接された鋼管の方が溶接変形に対する拘束力が強いため、板状試験片よりもより大きな残留応力が生じていたと思われる。このため、本発明における効果はフランジ盤が溶接された鋼管において発揮するものであるが、板状試験片でも本発明の効果が顕著となることが確認できたため、本実施例においては板状試験片での評価とした。
なお試験片を作成する際には、溶接変形が生じないように試験片を固定して試験片を作成することで、できるだけフランジ盤が溶接された鋼管の残留応力状態に近づけた。
次に、フランジ角部の鋼管軸方向の残留応力は切断法を適用し測定した。単軸タイプの歪みゲージ(東京測器製FLG−02−11など)を鋼管内面側のフランジ角部近傍に鋼管軸方向に並行に貼り付けて測定を行った。なお、このときフランジ角部と内面側溶接止端との距離dが7mm未満以下の場合は、歪みゲージを設置するスペースが確保できなかったため、測定は行わなかった。
また、フランジ盤が溶接された鋼管の耐疲労特性を次のようにして評価した。
上述した疲労試験により得られたギガサイクル下での継手疲労強度F2において、F2>110MPa、を満たすものを継手の耐疲労特性において合格しているものとした。
以上の測定結果及び評価結果を表2、表3に示す。
Figure 2012131852
Figure 2012131852
Figure 2012131852
表2において、試験番号1〜27までは発明例であり、本発明の要件を全て満たしており、繰り返し数200万回(2×106回)とギガサイクル(1×109回)の継手疲労強度は、良好であった。
表3に示す、試験番号29、30、35及び、36の比較例は、内周側の溶接金属部の溶接止端とフランジ角部との距離dが大きすぎたため、フランジ角部に圧縮残留応力を付与することができず、繰り返し数200万回とギガサイクルでの疲労強度の低下が大きくなってしまった。
一方、試験番号28、34の比較例は、距離dが小さすぎたため、応力集中部である溶接部止端から疲労亀裂が発生し、繰り返し数200万回とギガサイクルの疲労強度が、ともに、非常に低い結果となった。
試験番号31〜33、37〜39の比較例は、溶接金属部の断面積比が1.5未満であったため、溶接金属部の内周側表面からフランジ角部までの領域に十分な圧縮残留応力を付与することができず、繰り返し数200万回とギガサイクルの疲労強度がともに、非常に低い結果となった。
本発明のフランジ盤が溶接された鋼管は、ギガサイクル域の繰り返しに耐える疲労特性を有するため、洋上風力発電塔用の鋼管に適用できる。
1、1´、101、101´・・・フランジ盤(フランジ)
1a、101a、101a´・・・フランジ部
1b、101b、101b´・・・接続部
1b´・・・環状の部位
1c、101c・・・フランジ角部
1d、101d・・・フランジ部の片面(表面)
1e・・・フランジ側開先面
1e´・・・内周側止端
2、2´、102、102´・・・鋼管
2e・・・鋼管側開先面
3、3´、103、103´・・・溶接金属部
3a、103a・・・外周側溶接金属部
3b、103b・・・内周側溶接金属部
10、110・・・フランジ盤が溶接された鋼管
d・・・距離
h・・・フランジ部の板厚
h1・・・接続部の外周側の側面の管軸方向の長さ
t・・・鋼管の管厚
107・・・ボルト
111・・・基礎構造体
112・・・鋼管柱
113・・・ナセル
114・・・タービン翼

Claims (5)

  1. 管軸方向端部にフランジ盤が溶接された鋼管であって、
    平板円環状のフランジ部と、前記フランジ部の外周側に位置し、前記フランジ部の片面側にその少なくとも一部が突出する環状の部位を有する接続部と、を有するフランジ盤と;
    前記接続部の前記片面側に溶接され、管厚がt(mm)である鋼管と;
    を備え、
    前記接続部と前記鋼管との間に、溶接により形成された溶接金属部を有し;
    前記溶接金属部の前記鋼管の管軸を含む断面で、前記鋼管の管厚方向中央より外周側の断面積Sと、内周側の断面積Sとが、S≧1.5Sの関係を満たし;
    前記溶接金属部の内面側かつ前記フランジ部側の溶接止端と、前記接続部の内面と前記フランジ部の前記片面とが交わる部位であるフランジ角部との距離が5mm以上前記管厚t以下である;
    ことを特徴とするフランジ盤が溶接された鋼管。
  2. 前記フランジ盤の外周側の側面の管軸方向の長さが、前記フランジ部の板厚よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフランジが溶接された鋼管。
  3. 前記溶接により前記フランジ角部に圧縮残留応力が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフランジ盤が溶接された鋼管。
  4. 前記鋼管の前記管厚tが30mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフランジ盤が溶接された鋼管。
  5. 前記鋼管が、風力発電塔の鋼管柱に使用されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフランジ盤が溶接された鋼管。
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