JPWO2012121172A1 - 植物種子由来の氷結晶化阻害物質 - Google Patents

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Abstract

本発明の解決課題は、工業的に有用であり、食品製造に適する安全な方法で容易に効率良く、安定的に製造できるものであって、優れた機能や性質を有する新規な氷結晶化阻害物質を提供することにある。また、本発明は、当該氷結晶化阻害物質へ特異的に結合する抗体、並びに、当該氷結晶化阻害物質を含む組成物、食品、生体試料保護剤および化粧品、並びに、氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となるペプチドを提供することも目的とする。本発明に係る氷結晶化阻害物質は、マメ科ササゲ属植物、もしくはマメ科ササゲ属植物の類縁品種、またはこれらの改良品種に由来する種子タンパク質からなることを特徴とする。

Description

本発明は、植物の種子に由来する氷結晶化阻害物質、当該氷結晶化阻害物質へ特異的に結合する抗体、並びに、氷結晶化阻害物質を含む組成物、食品、生体試料保護剤および化粧品、並びに、氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となるペプチドに関するものである。
低温下で棲息する生物は、氷結晶化阻害タンパク質(antifreeze protein,以下、「AFP」と略記する)などの氷結晶化阻害物質を生産し、細胞の凍結から身を守る手段として利用していることが知られている。AFPは、熱ヒステリシス、水溶液の凍結の抑制、氷結晶形状制御といった作用を有するタンパク質であり、例えば、魚類、昆虫、植物、菌類、微生物などから見出されている。
これまで見出されている、魚類、昆虫、微生物に由来するAFPとしては、カジカ科の魚類に由来するもの、ゴミムシダマシの幼虫などの昆虫に由来するもの、フラボバクテリウム属などの微生物に由来するもの等があり、これらは高い氷結晶化阻害活性を有する(特許文献1〜3)。また、植物由来のAFPとしては、例えば、冬ライ麦やニンジン由来のものが知られている(非特許文献1〜2)。
その他に、菌類由来のAFPとして、例えばイシカリガマノホタケや南極エノキタケ(Flammulina velutipes KUAF−1)などの担子菌類に由来するものが知られている(特許文献4〜5)。
近年は、上記の性質を工業的に利用し、AFPをアイスクリームなどの冷凍菓子製品や冷凍食品の品質維持のために用いる試みがなされている(特許文献6〜7)。
特開2004−83546号公報 特表2002−507889号公報 特開2004−161761号公報 特開2004−24237号公報 特開2004−275008号公報 国際公開第92/22581号パンフレット 国際公開第94/03617号パンフレット
Plant Physiology(プラント・フィジオロジー),第119巻,第1361〜1369頁(1999年) Biochem.J.(バイオケミカル・ジャーナル),第340巻,第385〜391頁(1999年)
しかしながら、魚類由来のAFPは臭気を完全に取り除くことが難しい。また、昆虫や微生物は食品原料とし難いことから、昆虫や微生物由来のAFPは食品への使用には適していない。
一方、植物は食品原料として利用されていることから、植物由来のAFPは食品での使用が期待されている。しかし、その氷への結合能力が他のAFPと比較して弱いことや熱に対する安定性が十分でないといった理由から、工業化はほとんど実現していない。
そこで、本発明の解決課題は、工業的に有用であり、食品製造に適する安全な方法で容易に効率良く、安定的に製造できるものであって、優れた機能や性質を有する新規な氷結晶化阻害物質を提供することにある。また、本発明は、当該氷結晶化阻害物質へ特異的に結合する抗体、並びに、当該氷結晶化阻害物質を含む組成物、食品、生体試料保護剤および化粧品、並びに、氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となるペプチドを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、マメ科植物のうちササゲ属植物の種子から、優れた特性を有する氷結晶化阻害物質が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る氷結晶化阻害物質は、マメ科ササゲ属植物、もしくはマメ科ササゲ属植物の類縁品種、またはこれらの改良品種に由来する種子タンパク質からなることを特徴とする。
上記マメ科ササゲ属植物としては、小豆または緑豆が好適である。本発明者らの実験的知見によれば、これら植物の種子から得られた種子タンパク質には、非常に優れた氷結晶化阻害活性を有するものがある。
また、種子タンパク質としては、登熟タンパク質、LEAタンパク質(Late embryogenesis abundant protein)、およびそのアミノ酸配列が配列番号1〜2(SEQ ID NO:1〜2)の各配列、または当該各配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を有するものが好ましい。これら種子タンパク質の優れた氷結晶化阻害活性は、本発明者らにより実証されている。
本発明に係る氷結晶化阻害物質に含まれる種子タンパク質は、他の変性タンパク質と複合体を形成していてもよい。本発明者らが見出した氷結晶化阻害作用を示す種子タンパク質は、他の変性タンパク質と複合体を形成しているという構造的特徴を有するものがある。
本発明に係る抗体は、上記氷結晶化阻害物質と特異的に反応することを特徴とする。
本発明に係る組成物、食品、低温保護剤および化粧品は、上記本発明に係る氷結晶化阻害物質を含むことを特徴とする。
本発明に係るペプチドは、配列番号2(SEQ ID NO:2)の配列、または当該配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を含むものであることを特徴とする。
本発明に係る氷結晶化阻害物質は、マメ科ササゲ属植物、もしくはマメ科ササゲ属植物の類縁品種、またはこれらの改良品種の種子から、容易かつ効率良く製造することができるものであり、安定的に供給可能である。また、臭気などの問題もなく、植物由来であることから、食品に安心して使用することができる。よって、本発明の氷結晶化阻害物質は、例えば冷凍食品の品質維持などに役立てることができる。また、臓器や細胞、血液自体や血小板などの凍結保存における保護剤、化粧品などにも有効に用いることができる。
図1は、本発明に係る氷結晶化阻害物質により形態が制御された氷結晶の拡大写真である。 図2は、本発明に係る氷結晶化阻害物質により形態が制御された氷結晶の拡大写真である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明において、氷結晶化阻害物質とは、氷結晶の結晶面に結合して、その成長を阻害する機能を有する物質を意味するものである。また、その結合は、氷結晶への自由水の更なる結合を阻止することによって氷の再結晶化を阻害する。即ち、本発明に係る氷結晶化阻害物質は、氷再結晶化阻害活性の測定、熱ヒステリシスの測定、氷結晶構造の観察など公知のいずれかの方法により定義される氷結晶化阻害作用を有する物質を意味する。
氷結晶化阻害活性は、例えば次のように測定することができる。ショ糖を30w/v%含む氷結晶化阻害物質溶液を−40℃に冷却した後に−6℃まで温度を上げ、30分後に認められる氷結晶の平均面積を測定する。別途、対照としてショ糖の30w/v%水溶液につき同様の処理を行い、氷結晶の平均面積を測定する。氷結晶の平均面積は、例えば、氷結晶の顕微鏡画像を、Imsoft社製のImage Factory、Adobe社製のADOBE PHOTOSHOP ELEMENT8、Scion社製のScion Imageなどの市販の画像解析処理ソフトを用いて解析し、画像中の氷結晶の総面積を画像中の氷結晶の個数で除することにより測定することができる。次いで、測定された氷結晶の平均面積を、対照の平均面積で除して得られる数値を指標として、氷結晶化阻害活性を定量的に評価することができる。即ち、氷結晶化阻害物質の氷結晶化阻害活性が強いほど生成する氷結晶の平均面積は小さくなることから、対照に比べて氷結晶化阻害物質を添加したときにおける氷結晶の形成が少しでも阻害されれば、上記数値は1よりも小さくなり、氷結晶化阻害活性を有すると判断することができる。
熱ヒステリシスとは、氷結晶化阻害物質の存在によって生じた氷の融解温度と水の凍結温度の差であり、この数値が高い程、氷結晶化阻害物質の活性が高いことを意味する。熱ヒステリシスの測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
低温での温度制御が可能な位相差顕微鏡を使用し、ガラスシャーレを−20℃に保持し、その上に試料1mLを置き、100℃/分の速度で−40℃まで温度を低下させて氷結晶を形成させる。生成した氷結晶を100℃/分の速度で−5℃まで加温し、そこから5℃/分の速度で加温して氷結晶を溶解させることにより単結晶にした後、1℃/分の速度で温度を低下させ、単結晶にした氷結晶が成長し始める時間を測定し、以下の式から熱ヒステリシスを算出することができる。
熱ヒステリシス(℃)=[60−1](℃/秒)×測定時間(秒)
得られた値が0.02℃以上であれば、氷結晶化阻害活性を有すると判断することができる。熱ヒステリシスとしては、0.025℃以上がより好ましく、0.03℃以上がさらに好ましい。
また、氷結晶化阻害物質であるか否かは、被検物質を添加した水や水溶液から生成する氷結晶構造を観察することによっても判断することができる。即ち、通常の水を冷却して得られる氷結晶は扁平円板状になるが、氷結晶化阻害物質を添加した上で生成する氷結晶の形態は、例えば六方晶状(扁平六角柱状)やバイピラミッド形など、当該物質が結合する氷の結晶面に応じて様々な形態をとることから、その添加により氷結晶が扁平円板状以外の形態を示す場合には、氷結晶化阻害物質であると判断することができる。
本発明に係る氷結晶化阻害物質は、マメ科ササゲ属植物(Vigna)、もしくはマメ科ササゲ属植物の類縁品種、またはこれらの改良品種に由来する種子タンパク質からなる。
マメ科ササゲ属植物の種子としては、和名で、ほくと大納言、とよみ大納言、アカネダイナゴン、カムイダイナゴン、ベニダイナゴン、サホロショウズなどの大粒小豆(大納言小豆);エリモショウズ、シュマリショウズ、きたのおとめ、サホロショウズなどの普通小豆;きたほたる、ホッカイシロショウズなどの白小豆;緑豆(ヤエナリ);ササゲなどが挙げられる。これらの中では、食経験が豊富であり、容易に入手でき、単位重量あたりから得られる抽出物の氷結晶化阻害活性や熱ヒステリシス活性が優れている点から、小豆が好ましく、大粒小豆がより好ましい。
本発明において、「マメ科ササゲ属植物の類縁品種」とは、例えば、同じマメ科に属する植物であり且つササゲ属には属さない植物の中でも、学術上の分類においてササゲ属に近い品種をいう。その他、具体的なマメ科ササゲ属植物の類縁品種は、同植物と学術上の分類において近い品種をいう。また、「マメ科ササゲ属植物の改良品種」とは、人為的な選択、交雑、突然変異、遺伝子組み換えなどにより改良したマメ科ササゲ属植物をいうものとする。
前記種子タンパク質としては、前記植物から抽出された種子タンパク質である限りにおいては特に制限されるものではなく、当該タンパク質を含む画分であってもよい。具体的には、植物種子が成熟・肥大することを意味する「登熟」の過程で合成蓄積されるタンパク質として一般的に定義される各種の登熟タンパク質、例えば、アルブミン、グロブリン、グルテリン、プロラミンなどの各種種子貯蔵タンパク質;熱ショックタンパク質などのストレスタンパク質;LEAタンパク質(Late embryogenesis abundant protein)などが挙げられる。上記の登熟タンパク質の中でも特にLEAタンパク質が好ましい。
本発明に係る氷結晶化阻害物質は、前記種子タンパク質を1種のみ含むものであってもよいし、前記種子タンパク質を2種以上含むものであってもよい。また、前記種子タンパク質は、本発明に係る氷結晶化阻害物質において、他のタンパク質と複合体を形成していてもよい。特にLEAタンパク質は、他の変性タンパク質と相互作用することが知られている。本発明に係る種子タンパク質と複合体を形成する変性タンパク質は、種子タンパク質が含まれる種子由来のものであってもよいし、当該種子と由来が異なるものであってもよい。また、当該変性タンパク質は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記LEAタンパク質は、細胞で水ストレスが生じた際に特異的に発現誘導される高親水性のタンパク質の一群であり、植物種子が成熟・肥大する登熟の過程で合成蓄積される。LEAタンパク質は、種子以外にも葉や根、花粉などでも蓄積が見られることがある。本発明では、マメ科ササゲ属植物の種子タンパク質と相同性があり、且つ氷結晶化阻害物質である限り、種子以外に存在するタンパク質も発明範囲に含まれるものとする。
本発明に係る氷結晶化阻害物質の分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーにて測定した平均分子量で1kDa以上、200kDa以下が好ましい。当該分子量が1kDa以上であれば、氷結晶化阻害活性が十分に発揮される。一方、当該分子量が大き過ぎると、その溶液の粘度が過剰に高くなるおそれもあり得るため、当該分子量としては200kDa以下が好適である。当該分子量としては、180kDa以下がより好ましく、160kDa以下がさらに好ましい。なお、氷結晶化阻害物質は複合体である可能性があり、上記平均分子量には、その単量体の平均分子量も含まれるものとする。また、氷結晶化阻害活性等を示す限り、上記分子量を有する氷結晶化阻害物質の各種分解物も、本発明範囲に含まれるものとする。
本発明に係る氷結晶化阻害物質としては、そのアミノ酸配列が、配列番号1〜3(SEQ ID NO:1〜3)の各配列、または当該各配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を有するものが好ましい。
上記氷結晶化阻害物質において、欠失、置換または付加されるアミノ酸の数としては、1以上、5以下が好ましく、1以上、3以下がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
上記氷結晶化阻害物質において、「氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる」とは、上記欠失などを有する配列を有するタンパク質が、氷再結晶化阻害活性の測定、熱ヒステリシスの測定、氷結晶構造の観察など公知のいずれかの方法により定義される氷結晶化阻害作用を有するといえるものであることをいう。
本発明の氷結晶化阻害物質を得る方法としては、例えば、前記マメ科ササゲ属植物等の種子より抽出処理する方法が挙げられる。以下、詳しい製造方法を説明する。
抽出に処するマメ科ササゲ属植物種子は、事前に低温馴化することにより、氷結晶化阻害物質をさらに誘導できる可能性がある。例えば、種子を20℃以下で3日以上保管することにしてもよい。但し、マメ科ササゲ属植物種子からは、低温馴化処理をせずとも、氷結晶化阻害物質を十分に得ることができる。
抽出に処するマメ科ササゲ属植物種子の形態としては、その粉砕物、破砕物、磨砕物などを用いることができる。なお、これら粉砕物等は、生の状態の種子を粉砕等して得てもよいし、乾燥した種子などを粉砕等して得てもよい。
種子を粉砕等することにより、抽出効率を高めることができる。植物種子の粉砕手段としては、各種の一般的な手段が使用可能である。例えば、加圧型破壊、機械的磨砕、超音波処理、ホモジナイザー等の物理的破砕方法を用いることができる。粉砕手段の典型例としては、ポッター−エルベージェムホモジナイザーなどのホモジナイザー、ワーリングブレンダーなどのブレンダー、ダイノーミルなどの粉砕器、フレンチプレス、乳鉢と乳棒、らいかい器、液体窒素による凍結および破砕、超音波処理などの手段が挙げられる。
また、粗粉砕した後には、さらに乳鉢と乳棒、ボールミルやハンマーミルなどでさらに微細に磨砕または微破砕してもよい。
抽出に際しては、種子の粉砕物等を抽出媒体に懸濁し、内容物の抽出を行う。なお、乾燥種子を用いる場合には、抽出を容易にするために、予め抽出媒体に浸漬しておくことが好ましい。
抽出媒体は、目的物質の変性が少ないものであって、毒性の低いものが好ましい。好ましい抽出媒体としては、水;食塩水;酢酸ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などの緩衝液;メタノール、エタノール、アセトンなどの親水性有機溶媒;酢酸エチルなどその他の有機溶媒;およびこれらの混合溶液などが挙げられる。本発明の氷結晶化阻害物質を食品に適用する場合を考慮すると、好ましい抽出媒体は、水、食塩水、酢酸ナトリウム水溶液、或いはこれらを適宜混合したものである。抽出媒体の組成やpHなどは、適宜選択することができる。一般的には、抽出媒体のpHは、5以上、9以下程度の中性付近とすることが好ましい。
種子に対する抽出媒体の量は、適宜選択することができ、一般的には種子全体が抽出媒体に浸る程度にする。例えば、使用する種子に対して、抽出媒体の量を1mL/g以上、5mL/g以下程度にすればよい。
抽出に際しては、生の状態や乾燥された種子と抽出媒体を混合した上で、ミキサーなどを用いて抽出媒体中で種子を粉砕等してもよい。その他、浸漬のみとしたり減圧抽出を行ってもよいし、抽出中、攪拌してもよい。
抽出温度は適宜調整すればよい。例えば、抽出温度は0℃以上、100℃以下とすることができ、より好ましくは2℃以上、10℃以下とする。特に10℃以下とすることにより、種子に含まれるプロテアーゼの活性を低下させ、タンパク質の分解をより確実に抑制することができる。なお、温度調節に関しては、抽出媒体を加えた後に種子を含む混合物を所定の温度に調節しながら抽出してもよいし、予め所定の温度に調節した抽出媒体を加えて温度を維持した状態で抽出してもよい。例えば、種子を水などに浸漬した状態で2℃以上、10℃以下に十分な時間保持した後、抽出媒体に置換して種子を粉砕等しつつ抽出することができる。
抽出時間も適宜調整すればよいが、通常、5分間以上、100時間以下とすることができる。
抽出後は、得られた抽出液を濾過や遠心分離などにより分離し、これを氷結晶化阻害物質として用いることができる。さらに抽出残渣に対して同様の抽出処理を繰り返し行い、得られた抽出液をまとめて、これを氷結晶化阻害物質として用いてもよい。
得られた抽出液に塩基を加えるアルカリ処理工程を行ってもよい。アルカリ処理工程により、タンパク質の氷結晶化阻害活性を高められることがある。
アルカリ処理の条件は特に制限されず、適宜調整すればよい。例えば、塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いることができる。pHとしては、10.0以上が好ましく、10.5以上がさらに好ましい。pHの上限は特に制限されないが、13.0以下とすることが好ましく、12.0以下とすることがより好ましい。
上記のようにpHを高めた後は、塩酸などを用い、pHを6.0以上、8.0以下程度に中和すればよい。
上記のようにして得られた氷結晶化阻害物質は、必要に応じてさらに精製を行ってもよい。例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離などを好適に組み合わせて固形分を除去した上で、例えば、塩析や有機溶媒による沈殿、アフィニティークロマトグラフィ、イオン交換カラムクロマトグラフィ、ゲル濾過、低速冷却装置を用いた氷への結合等による精製、透析や限外濾過等による濃縮を好適に組み合わせて行ってもよい。
本発明の氷結晶化阻害物質の形態は、その用途に応じて様々であり、固体、溶液、濃縮液、懸濁液などであってもよい。さらに、必要に応じて、粉末状または顆粒状、錠剤など任意の形態に加工してもよい。加工の方法は特に限定されないが、例えば、上記の抽出物を噴霧乾燥や凍結乾燥等の常法に従って粉末化する方法や、抽出物を賦形剤に吸着、担持させて粉末または顆粒状に固形化する方法などを挙げることができる。これらの操作は当業者に公知のものであり、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明に係る氷結晶化阻害物質は、水が氷結晶化することで障害が生じる様々な分野において、この障害を抑制する目的で利用可能である。例えば、食品分野、機械分野、土木分野、化粧品分野、生体材料を用いる医療分野などで利用可能である。
本発明の氷結晶化阻害物質の形態は、その用途に応じて様々であり、そのまま、溶液、濃縮液、懸濁液、凍結乾燥物、粉末、顆粒、錠剤などであってもよい。また、賦形剤などと混合した組成物とすることもできる。
本発明に係る抗体は、上記氷結晶化阻害物質と特異的に反応するものであり、担子菌またはその培養液における当該氷結晶化阻害物質の有無を試験したり、担子菌の培養液などから氷結晶化阻害活性を有する多糖類を特定したりするために用いることができる。
本発明に係る抗体の調製は常法に従えばよい。例えば、上記氷結晶化阻害物質を用いてマウスやラット等を免疫し、その抗体産生細胞や脾細胞と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを得る。このハイブリドーマをクローニングし、上記氷結晶化阻害物質へ特異的に反応する抗体を産生しているクローンをスクリーニングする。このクローンを培養し、分泌されるモノクローナル抗体を精製すればよい。
食品分野では、食品に含まれる水の氷結晶化を抑制することで、当該食品の味の劣化などを防ぐことができる。例えば、食品中の水が氷結晶化して、タンパク質や油脂成分などを物理的に圧迫し、その構造を変化させることによる味や品質などの劣化を抑制したりすることにより、冷凍食品などの品質の改善が可能になる。
機械分野、土木分野では、機械の可動部、道路、地盤などの凍結防止剤として利用できる。
化粧品分野では、化粧品の品質の劣化などを防ぐための添加剤として利用できる。例えば、油脂成分を含む化粧品を凍結させると、当該化粧品に含まれる水が氷結晶化し、当該油脂成分を物理的に圧迫してその構造を壊すことがあり、品質と使用感が劣化する。本発明に係る氷結晶化阻害物質を用いれば、水の氷結晶化を防ぐことで油脂成分の構造が保持されるため、品質の劣化などを抑制することができる。
医療分野では、生体試料を凍結保存する際の保護剤として用いることができる。例えば、細胞、血液、臓器、生理活性タンパク質、生理活性ペプチド、生体由来の低分子化合物などの生体試料を従来公知の保存液に入れて凍結保存すると、保存液中の水分が凍結して氷結晶を生じ、かかる氷結晶により生体試料が損傷することがある。しかし、本発明に係る氷結晶化阻害物質を添加すれば、氷結晶の発生や成長を抑制することができるので、生体試料を氷結晶による損傷から保護することができる。
本願は、2011年3月4日に出願された日本国特許出願第2011−048318号に基づく優先権の利益を主張するものである。2011年3月4日に出願された日本国特許出願第2011−048318号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例におけるタンパク質の濃度は、市販の測定キット(Thermo SCIENTIFIC社製,BCA Protein Assay)を用いたビシンコニン酸(BCA)法により測定した。測定条件は常法に従い、標準タンパク質としてはウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。
実施例1
1,000mL容のビーカーに市販の大納言小豆(100g)を加え、小豆が隠れる程度の蒸留水を加え、4℃で48時間浸漬した。蒸留水を除いた後、5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0,500mL)を加え、ミキサーを用いて4℃で破砕処理した後、破砕液をガーゼで濾過して、4℃、8,000×gで30分間遠心分離した。遠心分離後の上清(460mL)を粗抽出液として回収した。得られた粗抽出液のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、42mg/mLであった。
実施例2
実施例1で得られた粗抽出液(460mL)に、−30℃に冷やしたアセトンを少量ずつ滴下し、25v/v%までアセトンを加えたところで、不溶分(不溶画分1)とアセトン溶液を分離した。不溶画分1については、氷結晶化阻害活性は確認されなかった。その後、上記アセトン溶液に75v/v%になるまでアセトンを加えた後、不溶分(不溶画分2)と75v/v%アセトン溶液とを分離した。得られた不溶画分2を5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0,100mL)に溶解した。得られた溶液を透析膜(分画分子量:14,000)で透析した後、同緩衝液で置換して溶液(230mL)を得た。このようにして得られた溶液をアセトン画分として回収し、そのタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、8.3mg/mLであった。
実施例3
実施例2で得られた溶液(230mL)を、同緩衝液で平衡化したDEAEカラム(東ソー社製,製品名「DEAE TOYOPEARL 650M」)にチャージし、0〜0.5MのNaCl勾配をつけて、流速2.0mL/minの条件で溶出し、非吸着画分を活性画分として回収した。得られた画分を透析膜(分画分子量:14,000)で透析し、溶媒を20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に置換して溶液(485mL)を得た。得られたDEAEカラムクロマトグラフィ活性画分のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、1.8mg/mLであった。
実施例4
実施例3で得られた溶液(485mL)を、同緩衝液で平衡化した陽イオン交換カラム(東ソー社製,製品名「CM TOYOPEARL 650M」)にチャージし、0〜0.5MのNaCl勾配をつけて、流速2.0mL/minの条件で溶出し、吸着画分を活性画分として回収した。得られた画分を透析膜(分画分子量:14,000)で透析・脱塩し、溶媒を20mM リン酸緩衝液(pH6.0)に置換して溶液(132mL)を得た。得られた活性画分(CM1画分)のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、0.73mg/mLであった。
実施例5
実施例4で得られた溶液(132mL)を、同緩衝液で平衡化した陽イオン交換カラム(東ソー社製,製品名「CM TOYOPEAL 650M」)にチャージし、0〜0.5MのNaCl勾配をつけて、流速2.0mL/minの条件で溶出し、カラム非吸着画分(CM2非吸着画分)とカラム吸着画分(CM2吸着画分)をそれぞれ回収した。カラム吸着画分は透析膜(分画分子量:14,000)で透析・脱塩し、溶媒を20mM リン酸緩衝液(pH6.0)に置換した。得られたCM2非吸着画分(126mL)とCM2吸着画分(64mL)のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、それぞれ0.22mg/mL、0.29mg/mLであった。
実施例6
実施例5で得られたCM2非吸着画分とCM2吸着画分をそれぞれ20mM リン酸緩衝液に溶解した。得られた各水溶液(1000μL)のタンパク質濃度は、それぞれ5000μg/mLと5000μg/mLであった。各水溶液を試料としてゲル濾過カラム(GEヘルスケア社製,製品名「Sephacrl S300 HR」)にチャージし、4℃の温度条件下で、5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0,0.15M NaClを含む)を流速0.5mL/minの条件で流し、非吸着画分を溶出させ、吸収波長215nmにて検出した。また分子量の異なる標準タンパク質を同条件にて溶出させた。
上記カラムクロマトグラフィにおいて、それぞれ分子量約16万と13万に単一のピークが確認された。各画分(CM2非吸着S300画分と、CM2吸着S300画分)をそれぞれ回収し、水で透析した後、除粒子フィルター(クラボウ社製,製品名「セントリカット」,分画分子量:10,000)を用いて濃縮し、それぞれ精製試料を3.9mgと2.9mg得た。これらを用いてNative−PAGEを行ったところ、それぞれ単一のバンドとして確認された。また同サンプルを用いてSDS−PAGEを行った結果、それぞれ46kDaと52kDaをメインとする複数のバンドが確認できた。このことから、精製した物質の少なくとも一部は複合体を形成していることが示された。
試験例1 氷結晶化阻害活性の測定
実施例1〜6の各溶液について、氷結晶化阻害活性を測定した。具体的には、実施例1〜6で得られた各溶液を希釈して表1に記載のタンパク質濃度に調整した後、これら溶液と60w/v%ショ糖水溶液を等量混合して、試料の30w/v%ショ糖溶液を調製した。氷結晶化阻害活性の評価として、冷却調節機能が付いたステージを有する顕微鏡下、試料の30w/v%ショ糖溶液を−40℃に冷却した後に−6℃まで温度を上げて氷結晶を溶かし、−6℃を保った状態で30分間観察したときに認められる氷結晶の平均面積を測定した。なお、氷結晶の平均面積は、氷結晶の顕微鏡画像を市販の画像解析処理ソフト(Imsoft社製,Image Factory)を用いて解析し、画像中の氷結晶の総面積を画像中の氷結晶の個数で除することにより測定した。また、対照として、30w/v%ショ糖水溶液について同様に測定し、氷結晶の平均面積を算出した。
氷結晶化阻害活性が強いほど氷結晶の平均面積は小さくなることから、この平均面積を対照である30w/v%ショ糖水溶液の氷結晶平均面積で除して得られる数値(RI値)を指標として、氷結晶化阻害活性を定量的に評価した。さらに、試料のタンパク質濃度をBCA法により測定し、RI値の逆数をタンパク質濃度で除することによりタンパク質当たりの比活性を求め、実施例1の粗抽出液に対する相対値を算出した。その結果を表1に示す。
表1より、市販の大納言小豆より優れた氷結晶化阻害活性を有する抽出物が得られること、および実施例2〜6の分画・精製により、タンパク質あたりの氷結晶化阻害活性(比活性)が著しく増大していることは明らかである。
試験例2 熱ヒステリシス活性の測定
実施例6で得られたCM2非吸着S300画分とCM2吸着S300画分それぞれを、タンパク質濃度が0.25mg/mLとなるように水に溶解し、熱ヒステリシス活性を次のようにして測定した。即ち、低温での温度制御が可能な位相差顕微鏡(Olympus社製,製品名「L600A」)を使用し、ガラスシャーレを−20℃に保持し、その上に1mLの試料をおき、100℃/分の速度で−40℃まで温度を低下させて氷結晶を形成させた。生成した氷結晶を100℃/分の速度で−5℃まで加温し、そこから5℃/分の速度で加温して氷結晶を溶解させ、単結晶にした。次に、1℃/分の速度で温度を低下させ、単結晶にした氷結晶が成長し始める時間を測定し、以下の式から熱ヒステリシスを算出した。
熱ヒステリシス(℃)=[60−1](℃/秒)×測定時間(秒)
この数値が高い程、氷結晶化阻害物質の活性が高いことを意味している。結果を表2に示す。また、CM2非吸着S300画分により形態が制御された氷結晶の拡大写真を図1に、CM2吸着S300画分により形態が制御された氷結晶の拡大写真を図2に示す。
表2の結果のとおり、実施例6で得られた精製タンパク質が氷結晶化阻害物質として優れた熱ヒステリシスを有していることは明らかである。
また、図1〜2のとおり、実施例6で得られた精製タンパク質を添加して得られた氷結晶の形態はいずれもゆるやかな六角形となっており、通常の水や水溶液から得られる扁平円板状の氷結晶とは異なる。このような形態変化は、得られた精製タンパク質が氷結晶の特定の結晶面に結合していることを示すものである。従って、かかる実験結果は、これら精製タンパク質が氷結晶化阻害物質であることの証拠となる。なお、図1の写真は、六角形の結晶を側面方向から見たものである。
試験例3 精製タンパク質のアミノ酸配列の決定
実施例6で得られたCM2吸着S300画分(4.0μg)を蒸留水(5μL)に溶解し、常法に従ってプロテアーゼ処理を行った。次いで、サンプルバッファー(ATTO社製,製品名「EzApply」)(5μL)と溶液比1:1で混合した後、99℃で3分間熱処理した。熱処理後の試料を10〜20%ポリアクリルアミドゲル(ATTO社製,製品名「e‐Pagel」)にアプライし、20mAで85分間SDS−PAGEを行った。セミドライ法にてSDS−PAGE後のゲルをPVDF膜(ミリポア社製,製品名「イモビロンPSQ」)に転写した後、CBB染色を行った。プロテアーゼにより消化された52kDaをメインとする複数のバンドを切り出し、プロテインシーケンサー(島津製作所社製,製品名「PPSQ−33A」)を用いて、エドマン法によりアミノ酸配列を決定した。得られた配列は、配列番号1〜3(SEQ ID NO:1〜3)に示すとおりである。
これらの配列は、既知の種子タンパク質であるLEAタンパク質(Late embryogenesis abundant protein)のアミノ酸配列の一部と高い相同性を示した。上記の結果より、小豆から得られた氷結晶化阻害物質が種子タンパク質であることは明らかである。
実施例7
実施例1と同様にして、マメ科ササゲ属に属する市販の緑豆、白小豆および十勝産小豆より粗抽出液を調製した。タンパク質濃度を2.0mg/mLとなるように濃度調整し、試験例1の方法と同様にして氷結晶化阻害活性を測定した。その結果を表3に示す。
表3の結果より、上記のマメ科ササゲ属植物の種子から得られる種子タンパク質が優れた氷結晶化阻害活性を有することが示された。
実施例8
実施例7で得られた緑豆の粗抽出液を、沈殿を除去するため−20℃で凍結し、解凍後に遠心分離し、上清を回収した。得られた粗抽出液のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、15.5mg/mLであった。当該粗抽出液(200mL)に水酸化ナトリウムを加え、そのpHを11.0に調整した。さらに、塩酸を加えることによりそのpHを7.0に中和した後、透析膜(分画分子量:14,000)にて透析し、溶媒を水に置換して、溶液(230mL)を得た。得られた溶液のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、10.0mg/mLであった。
実施例9
実施例8で得られたアルカリ処理後の粗抽出液(100mL)を、以下に示す氷結合物質濃縮操作(コールドフィンガー(CF)法))に供した。即ち、氷結晶化阻害物質を含んだ実施例8の粗抽出液にシリンダー状の冷却棒を挿入し、周囲の溶液を低速(16時間で−0.5℃から−1.5℃)で冷却した。16時間後、冷却棒の周囲に生成した氷結晶化阻害物質が吸着した氷を回収した。この操作を2回繰り返し、CF処理後の溶液(50mL)を得た。得られた溶液のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、4.4μg/mLであった。この溶液を用いてSDS−PAGEを行った結果、約48kDaの位置に単一のバンドが確認された。
実施例10
実施例8で得られたアルカリ処理後の粗抽出液(230mL)に、−30℃に冷やしたアセトンを少量ずつ滴下し、25v/v%までアセトンを加えたところで、不溶分(不溶画分3)とアセトン溶液を分離した。その後、上記アセトン溶液に50v/v%になるまでアセトンを加えた後、不溶分(不溶画分4)とアセトン溶液を分離した。さらに上記アセトン溶液に75v/v%になるまでアセトンを加えた後、不溶分(不溶画分5)とアセトン溶液を分離した。不溶画分3〜5を5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解し、透析膜(分画分子量:14,000)で透析した後、溶液を同緩衝液で置換した。不溶画分3と不溶画分5については氷結晶化阻害活性が認められず、不溶画分4(30mL)にのみ、強い氷結晶化阻害活性を認めた。よって、不溶画分4をアセトン画分として回収し、そのタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、3.0mg/mLであった。
実施例11
実施例10で得られたアセトン画分(3.0mg)を、5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAEカラム(東ソー社製,製品名「DEAE TOYOPEARL 650M」)にチャージし、0〜0.5MのNaCl勾配をつけて、流速2.0mL/minの条件で溶出した。吸収波長215nmでピークを検出した吸着画分のフラクションを活性画分として回収した。得られた画分を透析膜(分画分子量:14,000)で透析することにより脱塩し、溶媒を脱イオン水に置換した。得られた画分のタンパク質濃度をBCA法にて測定したところ、12μg/mL(収量:30mL)であった。
試験例4 氷結晶化阻害活性の測定
緑豆より抽出して得られた実施例7〜11の各溶液について、試験例1と同様の方法で氷結晶化阻害活性を測定した。BCA法により測定した各溶液のタンパク質濃度と、氷結晶化阻害活性の指標であるRI値より、試験例1と同様の計算式にてタンパク質当たりの比活性を求め、実施例7の粗抽出液に対する相対値を算出した。また緑豆100g当たりから抽出された総タンパク質量を溶液量とタンパク質濃度から算出した。その結果を表4と表5に示す。
表4に示すように、実施例7〜9の精製処理により、緑豆の氷結晶化阻害物質は比活性1.3倍に、タンパク質濃度1/3100に精製された。また、表5に示すように、実施例10〜11の精製処理では、緑豆の氷結晶化阻害物質は比活性5.9倍、タンパク質濃度11/3100に精製された。
また、表4〜5に示すように、実施例8のアルカリ処理により、氷結晶化阻害作用は1.3倍に増大した。この結果は、アルカリ処理などタンパク質に変性の起こる条件により氷結阻害活性の増強作用があることを示すものである。かかる結果は、変性したタンパク質の凝集を抑制することが知られているLEAタンパク質の特徴と連関することから、以下、試験例5と試験例6を行った。
試験例5 精製画分を用いたタンパク質の凝集抑制効果
市販の乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase:LDH)15μgを水1.0mLに溶解した。当該溶液へ、実施例9で得られたCF処理後の緑豆精製タンパク質9μgを溶解した。CF処理後の精製タンパク質を添加していないLDH水溶液を対照として、それぞれの溶液を液体窒素で凍結させ、これを室温にて解凍した。解凍後の溶液について、340nmの吸光度を測定した。その結果を表6に示す。
対照のLDH水溶液においては凍結解凍によるLDHタンパク質の変性と凝集により溶液の濁度が増大していた。それに対し、CF処理後の緑豆精製タンパク質を添加した溶液では、濁度の増大が著しく抑制された。この結果は実施例9で得られた緑豆精製タンパク質がタンパク質の凝集抑制というLEAタンパク質に特徴的な機能を有していることを示すとともに、この緑豆精製タンパク質が凍結解凍に伴うタンパク質の変性に対して保護効果を有していることを示すものである。
試験例6 凝集抑制に伴う緑豆粗抽出液の氷結晶化阻害活性の増加
実施例7で得られた緑豆粗抽出液のタンパク質濃度を60mg/mLに調整した。この溶液240μLに実施例9で得られたCF処理後の緑豆精製タンパク質30μgを溶解した。CF処理後の精製タンパク質を添加していない緑豆粗抽出液を対照として、それぞれの溶液を液体窒素で凍結させ、これを室温にて解凍した。解凍後の溶液を遠心分離した後、タンパク質濃度を0.95mg/mLに調整した。溶液の氷結晶化阻害活性を試験例1と同様の方法にて測定した。その結果を表7に示す。
実施例9で得られたCF処理後の緑豆精製タンパク質を、極めて少量添加して凍結解凍することにより、緑豆粗抽出液の氷結晶化阻害活性は著しく増大した。この氷結晶化阻害活性の増大はCF処理後の緑豆精製タンパク質を添加するだけでは起こらないことから、凍結解凍のストレスが加わった際に、緑豆精製タンパク質が粗抽出液中のタンパク質等と相互作用することで氷結晶化阻害活性が増大されたものと考えられる。
実施例12
実施例11で得られたDEAE画分4.5mgを試料として、これをゲル濾過カラム(GEヘルスケア社製,製品名「Sephacryl S300 HR」)にチャージし、4℃の温度条件下で、5mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0,0.15M NaClを含む)を流速0.5mL/minの条件で流し、非吸着画分を溶出させ、吸収波長215nmで検出した。また分子量の異なる標準タンパク質を同条件で溶出させた。上記カラムクロマトグラフィにより、実施例6で精製した大納言小豆と同じ分子量(16万と13万)に吸収ピークが確認された。

Claims (13)

  1. マメ科ササゲ属植物、もしくはマメ科ササゲ属植物の類縁品種、またはこれらの改良品種に由来する種子タンパク質からなることを特徴とする氷結晶化阻害物質。
  2. マメ科ササゲ属植物が小豆または緑豆である請求項1に記載の氷結晶化阻害物質。
  3. 種子タンパク質が登熟タンパク質である請求項1または2に記載の氷結晶化阻害物質。
  4. 種子タンパク質がLEAタンパク質(Late embryogenesis abundant protein)である請求項1〜3のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質。
  5. 種子タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号1の配列、または当該配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を含むものである請求項4に記載の氷結晶化阻害物質。
  6. 種子タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2の配列、または当該配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を含むものである請求項4に記載の氷結晶化阻害物質。
  7. 種子タンパク質が他のタンパク質と複合体を形成しているものである請求項1〜6のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質と特異的に反応することを特徴とする抗体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質を含むことを特徴とする組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質を含むことを特徴とする食品。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質を含むことを特徴とする生体試料保護剤。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷結晶化阻害物質を含むことを特徴とする化粧品。
  13. 配列番号2の配列、または当該配列の1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加された配列であり且つ氷結晶化阻害作用を有するタンパク質の指標となる配列を含むものであることを特徴とするペプチド。
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