JP3474200B2 - ニンジン抗凍結ポリペプチド - Google Patents

ニンジン抗凍結ポリペプチド

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の属する技術分野 本発明は、抗凍結ポリペプチド(AFP)およびAFPを含
有する食品に関する。
発明の背景 抗凍結ポリペプチド(AFP)は、食料品の凍結寛容性
を改良するために示唆されてきた。
本発明の目的のためには、AFPという用語は、当業界
で周知のとおりの意味、すなわち氷晶(氷結晶)の成長
を阻害するタンパクという意味を有する。例えば、米国
特許第5,118,792号を参照されたい。
WO90/13571は、化学的に、または植物から組換えDNA
技術により生産された抗凍結ペプチドを開示する。これ
らのAFPは、アイスクリームのような食品において好適
に用いることができる。例3Bは、ウォーターアイス混合
物を0.01重量%のAFPと組み合わせてフィルム状に凍結
させた場合に改変された氷晶形を示す。
WO92/22581は、アイスクリームにおいて氷晶形を制御
するために用いることができる植物由来のAFPを開示す
る。この出願は、植物細胞を破裂させることなく抽出媒
体を用いて葉を浸透させることによる、植物の細胞外腔
からのポリペプチド組成物の抽出方法をも記載する。
WO94/03617は、酵母からのAFPの生産およびそのアイ
スクリームにおける可能性のある用途を開示する。WO96
/11586は、微生物により生産される魚AFPを開示する。
しかし、現在まで、AFPの用途は、市販されている消
費者製品に適用されていない。これについての1つの理
由は、AFPを得るためのコストの高さおよび方法の複雑
さである。別の問題は、AFPの供給源が、充分な量で入
手することが困難であるか(例えばAFPを含有する
魚)、または食品における用途に直接的に好適ではない
ことである。
本発明は、豊富な天然供給源から容易に得ることがで
き、それが用いられる製品に良好な特性を提供するとい
う利点を有する新規な抗凍結ポリペプチドを提供するこ
とを目的とする。
良好な再結晶阻害特性を有する抗凍結ポリペプチド
を、ニンジンから得ることができることが見出された。
特に、ニンジンから得られた抗凍結ポリペプチドは、他
の根菜類から単離されたポリペプチドと比較して顕著に
よい特性を示すことが見出された。特に、本発明の抗凍
結ポリペプチドは、氷晶の結晶形を有意に変化させずに
良好な再結晶阻害特性を提供することができ、それによ
って、例えばソフトアイスクリームの、より好ましい特
性をもたらし得る。
本出願人は、ニンジン由来の有効な抗凍結ポリペプチ
ドが、一般にSDS−PAGEで36kDaの見かけの分子量を有す
ることを特徴とすることを見出した。したがって、第一
の側面においては、本発明は、ニンジンから得ることが
でき、SDS−PAGEで36kDaの見かけの分子量を有する抗凍
結ポリペプチドに関する。
これに関連して、当業者には、例えばSDS−PAGEにお
ける変動のため、見かけの分子量は結果においていくら
かの変動を伴って決定され得るにすぎないことは明らか
であろう。本発明の目的のためには、これらの変動、例
えば30〜40kDaまたは34〜38kDaの変動もまた、「36kDa
の見かけの分子量」という文言の範囲内に包含される。
本出願人は、本発明にしたがった有効な抗凍結ポリペ
プチドが、例において示したようなアミノ酸配列を有す
るフラグメントを含むことも見出した。
したがって、第二の側面においては、本発明は、以下
のアミノ酸配列を有する1またはそれ以上のフラグメン
ト(A〜E)を含むポリペプチドに関する: (A)LEU−PRO−ASN−LEU−PHE−GLY−LYS (B)ILE−PRO−GLU−GLU−ILE−SER−ALA−LEU−LYS (C)LEU−THR−X−LEU−ASP−LEU−SER−PHE−ASN−
LYS (D)SER−LEU−ARG−LEU−SER−SER−THR−SER−LEU
−SER−GLY−PRO−VAL−PRO−LEU−PHE−PHE−PRO−GLN
−LEU−X−LYS (E)X−X−GLY−VAL−ILE−PRO−X−GLN−LEU−SE
R−THR−LEU−PRO−ASN−LEU−LYS 好ましくは、本発明のAFPは、部分配列(A〜E)の
全部を含む。
本発明の好ましいAFPの完全アミノ酸配列を、以下に
示す。したがって、第三の側面においては、本発明は、
配列表Iに示すアミノ酸配列を有する抗凍結タンパクに
関する: 本発明の範囲に同様に包含されるのは、抗凍結特性を
なお有する上述のポリペプチドのアイソフォームおよび
誘導体である。好ましくは、誘導体は、配列表1のポリ
ペプチドまたは部分配列(A〜E)を含むポリペプチド
と少なくとも75%の相同性を有し、より好ましくは85%
を超える相同性を有し、最も好ましくは95%を超える相
同性を有する。本発明の目的のためには、誘導体という
用語は、抗凍結特性をなお有する改変されたポリペプチ
ド、例えば上述のポリペプチドのグリコシル化形態をも
包含する。
本発明の範囲に同様に包含されるのは、上述のアミノ
酸をコードするヌクレオチド配列である。特に、本発明
は、配列表1のヌクレオチド配列およびそれらのアリル
(allele;対立遺伝子)に関する。
本発明の範囲に同様に包含されるのは、抗凍結ペプチ
ドをコードする関連遺伝子にハイブリダイズすることが
できるコード領域に由来するヌクレオチドフラグメント
である。
本発明のタンパクは、ニンジンから容易に直接単離す
ることができるが、本発明において記載したタンパクを
生産するために遺伝子操作技術も用いることができる。
適切な宿主細胞または生物を、望ましいポリペプチド
をコードする遺伝子構築物で形質転換し得る。ポリペプ
チドをコードするヌクレオチド配列は、転写および翻訳
に必要な要素を含む好適な発現ベクターに、それらが適
切な条件下で発現されるようにして(例えば正しい方向
および正しいリーディングフレームで、および適切な標
的化(ターゲティング)および発現配列とともに)、挿
入することができる。これらの発現ベクターを構築する
ために必要な方法は、当業者には周知である。
ポリペプチドコード配列を発現させるために多数の発
現系を用いることができる。これらとしては、適切な発
現ベクターで形質転換された、細菌、酵母、昆虫細胞
系、植物細胞培養系および植物が挙げられるが、それら
に限られない。このような関係においては、酵母、植物
および植物培養系が好ましい。
非常に種々の植物および植物細胞系を、ポリペプチド
の核酸構築物で形質転換することができる。好ましい態
様としては、トウモロコシ、トマト、タバコ、ニンジ
ン、イチゴ、ナタネおよびサトウダイコンが挙げられる
が、それらに限られない。
本発明の1つの好ましい態様は、植物の霜耐性を増強
するための本発明のAFPの用途に関する。これは、例え
ば上述の方法により行うことができ、それによって、植
物は形質転換されて本発明のAFPの(増大された)産生
を確実に行い、それによりその植物の霜耐性が増強され
る。
本発明は、本発明のポリペプチド(のエピトープ)に
特異的に結合する抗体にも関する。同様に包含されるの
は、上述のポリペプチドに対する抗体との交差反応性に
より決定されるこれらのポリペプチドに免疫学的に関連
するポリペプチドである。
上記の情報に基づいて、他の天然供給源を、本明細書
において上で同定したような有利なAFPを生産するよう
に遺伝的に改変することも可能である。
好ましくは、有意な氷再結晶阻害特性を有するAFP
が、選択される。再結晶阻害特性を決定するための好適
な試験を、例Iに示す。同様に、本発明にしたがった好
ましいAFPは、再結晶に際し、50μm未満、より好まし
くは5〜40μmの凍結品における氷粒子サイズ(平均結
晶長)を提供する。
AFPは、いくつかの品、好ましくは凍結された、また
は凍結されることを意図された食品において、好都合に
用いることができる。天然に存在するレベルでAFPを含
有するニンジンは、本発明の範囲に包含されない。しか
し、ニンジン(の部分)を含む食品は、この本発明に包
含される。同様に包含されるのは、本発明のAFPを過剰
発現するように形質転換されているニンジン、すなわち
形質転換されていないニンジンより有意に高いレベルで
AFPを含有するニンジンである。
このような食品の例としては、以下のものが挙げられ
る:野菜のような冷凍食品、ソース、スープ、スナッ
ク、アイスクリームまたはウォーターアイスのような冷
凍菓子製品、乳製品等。
AFPが用いられる好ましい品は、冷凍野菜、またはア
イスクリームまたはウォーターアイスのような冷凍菓子
製品である。好ましくは、AFPのレベルは、最終製品に
基づいて0.00001〜0.5重量%である。
乾燥ミックスまたは濃縮物を用いる場合、濃度は、最
終製品におけるレベルが上述の範囲内であることを確実
にするために、これより高くてもよい。驚くべきこと
に、本発明の組成物は非常に低い量のAFPを含有し、な
おかつ良好な品質であることができることが見出され
た。
AFPの好ましいレベルは、0.00001〜0.5重量%、より
好ましくは0.00005〜0.3重量%、最も好ましくは0.0001
〜0.2重量%である。
本発明の目的のためには、精製形態のAFPを食品に添
加することは必要ではない。AFPを含有する組成物、例
えばAFPを産生する天然物質の抽出物を添加することも
可能である。食品を、例えば食品中でAFPを産生するこ
とができる遺伝的に改変された微生物を添加することに
より、インサイチュでAFPが産生されるように改変する
ことも可能である。さらに、食品(例えば野菜)を、
(野菜)それ自身においてそれがインサイチュでAFPを
産生し得るように遺伝的に改変することさえ可能であ
る。
本発明の目的のためには、「冷凍菓子製品」という用
語には、ミルク含有冷凍菓子、例えばアイスクリーム、
フローズンヨーグルト、シャーベット、ソルベ、アイス
ミルクおよびフローズンカスタード、ウォーターアイ
ス、グラニタおよびフローズンフルーツピューレが含ま
れる。
好ましくは、冷凍菓子製品中の固形物(例えば糖、脂
肪、香料等)のレベルは、3重量%を超え、より好まし
くは10〜70重量%、例えば40〜70重量%である。
本発明の冷凍菓子製品は、冷凍菓子の製造に適する任
意の方法によって生産することができる。しかし、特に
好ましくは、処方のすべての成分を、冷凍プロセスを開
始する前に充分に混合する。
例 例I ニンジン(Daucus carota cv Autumn King)を、個別
のポット中で生育させた。植物がおよそ12週齢になった
時、植物を低温室に移し、寒冷気候順化のために定常光
下で4週間、4℃に維持した。植物には、週3回、水や
りをした。
ニンジンの新鮮組織を、氷中に保った等量の緩衝液A
(10mM EDTA、20mMアスコルビン酸、トリスでpH7.4に
緩衝化したもの)中で、ペッスルおよびモルタル(4℃
に冷却したもの)を用いてすりつぶした。このホモジネ
ートを、1層のモスリンを通してろ過し、さらに使用す
るまで氷中に維持した。
比較として、いくつか他の根菜を生育させ、上述のよ
うに根からホモジネートを調製した。
抗凍結活性を、「スプラットアッセイ(splat assa
y)」(Knight et al.,1988)の変法を用いて測定し
た。30%(W/W)スクロース中の2.5μlの試験対象溶液
を、適切にラベルした清浄な16mm円形カバースリップ上
に移した。第二のカバースリップを溶液の液滴の上に置
き、このサンドイッチを指の間で圧迫した。このサンド
イッチをドライアイスの箱の中で−80℃に保ったヘキサ
ン浴中に入れた。すべてのサンドイッチの調製が完了し
たとき、サンドイッチを、ドライアイスで予め冷却した
ピンセットを用いて−80℃のヘキサン浴から−6℃に保
ったヘキサン含有観察室(viewing chamber)に移し
た。−6℃に移した際、サンドイッチは、透明から濁っ
た外観に変化するのが見られた。画像をビデオカメラで
記録し、20倍の対物レンズを用いて画像解析システム
(LUCIA、Kikon)にかけた。各スプラットの画像を、時
間(t)=0に、および再び30〜60分後に記録した。両
アッセイにおける氷晶のサイズを比較した。t=0での
サイズと比較して、30〜60分でのサイズが同様である
か、または中程度にしか増大していない(例えば20%未
満の増大、より好ましくは10%未満の増大、最も好まし
くは5%未満の増大)場合、これは、良好な氷晶再結晶
阻害特性の表示である。
結果: サンドイッチスプラットアッセイ試験から、ニンジン
根、ニンジン茎およびニンジン葉からの試料が有意な氷
再結晶阻害特性を有し、根および葉がもっとも活性が高
いと思われた。比較として、気候順化しなかったニンジ
ン根の試料を試験したが、これは有意に劣った活性を示
した。以下の例については、ニンジンに関してさらに試
験するために根組織を用いた。
比較としていくつかの他の野菜の根を30%スクロース
中でのサンドイッチスプラットアッセイ試験の手段によ
り調べた。これらの野菜としては、カブ、ケール、芽キ
ャベツ、ウィンターグリーン・キャベツ、ナタネ、パク
・チョイ(体菜)、パースニップおよびイチゴが含まれ
ていた。これらの供給源のいずれもが、有意な氷再結晶
阻害活性を与えなかった。
例II ニンジン根組織を、3倍容量(w/v)の緩衝液(20mM
アスコルビン酸、10mM EDTA、50mM トリス/HCl、pH
7.2)中で、予め冷却したペッスルおよびモルタルでホ
モジナイズし、1層のモスリンを通してろ過した。ろ液
を、6,000×gで、4℃で10分間、遠心分離した。上清
を集め、100,000×gで4℃で1時間遠心分離した。こ
の工程から得たこの100,000g上清を可溶性画分、ペレッ
トをミクロゾーム画分と呼ぶ。
上清を、グラディフラック(Gradifrac)低圧クロマ
トグラフィシステム(Pharmacia)により制御されたハ
イロード(HiLoad)ポンプP−50により5ml/分の流速で
供給した50mMトリス/HCl、pH7.4中で予め平衡化させた3
0mlのファスト・フローQ(fast flow Q)セファロース
(Sepharose)カラム(Pharmacia)に4℃で適用し、溶
出液をUVモニター(モニターUV1、Pharmacia)によりOD
280で監視してチャートレコーダー(REC102、Pharmaci
a)で記録した。5ml画分を集めた。カラムを、同じ流速
の50mMトリス/HCl、pH7.4で、OD280が0に戻るまで洗浄
した。次に、トリス/HCl、pH7.4中の0〜0.4M NaClグ
ラジエント(150ml)を適用し、続いて2M NaClでカラ
ムを洗浄した。溶出液画分を、例1におけるようにスプ
ラットアッセイに供した。
再結晶阻害により明らかにされた抗凍結活性を含有す
る画分をプールし、以下のようにしてポリエチレングリ
コールを用いて濃縮した。すなわち、画分を、水道水で
洗浄しておいた10kDaカットオフの透析チューブ(Sigm
a)に移し、50mM EDTA、pH7.5中で10分間煮沸して、ミ
リQ水ですすいだ。濃縮すべき試料を含有する透析チュ
ーブを、分子量15,000〜20,000の固体のポリエチレング
リコール化合物(Sigma)でカバーし、4時間まで、ま
たは透析チューブ内の試料容量が10倍まで減少するま
で、4℃でインキュベートした。
Qセファロースカラムからのプールした濃縮物を、フ
ェニルセファロースカラム、SMART スーパーデックス
(superdex)75ゲル透過カラム、またはFPLC superdex
75ゲル透過カラムのいずれかに適用した。
ニンジン根の抗凍結タンパクを、以下のようにしてゲ
ル透過クロマトグラフィにより精製した。
試料の20μlアリコートを、流速40μl/分で0.15M N
aClを含有する50mMトリス/HCl、pH7.4(緩衝液E)中で
予め平衡化させたSMART superdex 75ゲル透過カラム
(Pharmacia)に適用し、平衡化緩衝液中で同じ流速の
ゲル透過により成分を分離した。溶出液を、OD280およ
びOD215で監視した。0.85および0.89mlの間で80μl画
分、0.89および1.24mlの間で40μl画分、1.24および3.
0mlの間で100μl画分を集めた。カラムのボイド容(V
o)は、ブルーデキストラン溶液の保持容量により決定
したところ、0.91mlであった。スーパーデックスカラム
は、5mg/ml BSA〔分子量66kDa、保持(Ve)=1.02m
l)、3mg/mlカルボニックアンヒドラーゼ(分子量29kD
a、Ve=1.22ml)、2mg/mlチトクロームC(分子量12.4k
Da、Ve=1.41ml)、および2mg/mlアプロチニン(分子量
6.5kDa、Ve=1.59ml)を含有する10μlの溶液を適用す
ることにより較正し、分子量の対数に対するVe/Voの標
準曲線をプロットした。抗凍結活性を含有する画分を、
例Iに記載したスプラットアッセイにより同定し、1.16
mlの保持容量および40kDaの見かけの分子量を示した活
性ピークが存在した。これらの測定により、寒冷気候順
化ニンジン由来の36kDaのバンドが抗凍結ペプチドであ
ることが認識された。
Biorad miniシステムを用いて、Laemmli(1970)に
したがってSDS−PAGEを行った。SDS−PAGEで分析すべき
試料を、SDS−PAGE試料緩衝液(Laemmli 1970)中に溶
解し、ドライヒートブロック(Techne)上で100℃で5
分間加熱し、室温で10,000×gで3分間遠心分離した。
試料(10〜50μl)を、ミニゲル〔Biorad、0.75、1.0
または1.5mm厚、10、12、15%アクリルアミドまたは10
〜20%グラジエントアクリルアミド(Bioradのプレポア
ド)〕に適用し、電気泳動により分離した。分離された
ポリペプチドを、ゲル中で、クマシーブルー〔0.1%(W
/V)クマシーブリリアントブルー、酢酸/メタノール/
ミリQ水(5:4:31、容量比)中〕で固定および染色し、
またはBiorad銀染色キットを用いて製造者の指示書にし
たがって銀染色した。ゲルを、Biorad ゲライア(Gela
ir)ドライヤー中で2枚のGelairセロハンのシートの間
で、製造者の指示書にしたがって乾燥した。SDS−PAGE
上での見かけの分子量の決定のためには、Sigmaの高分
子量および低分子量範囲の分子量マーカーキットを製造
者の指示書にしたがって使用した。
寒冷気候順化させたニンジン根および寒冷気候順化さ
せていないニンジン根を用いて、イオン交換クロマトグ
ラフィを行った。得られたSDS−PAGEゲルは、寒冷気候
順化試料中の36kDaバンドの存在を示した。このバンド
は、寒冷気候順化されていない根においてははるかに微
量であった。したがって、この36kDaバンドに抗凍結活
性の原因が帰属された。
例III タンパク配列決定のために、約36kDaのニンジン根タ
ンパクを前記の例に記載したように精製し、次いで、更
なる精製を確実にするために、配列決定すべき試料をSD
S−PAGEゲルから切り出して、ポリアクリルアミドゲル
のスライス中でインサイチュでタンパク分解的に消化し
た。
約36kDaのほとんど純粋なタンパクの調製物(いくら
かの少量の夾雑タンパクをなお含んでいた)を、12%ポ
リアクリルアミドゲルに付した。各々2μgのタンパク
を3つのレーンに入れ、色素のフロントがゲルの底部に
達するまで、ゲル中を電気泳動させた。次いで、ゲルを
0.2%クマシー・ブリリアント・ブルー(W/V)、30%メ
タノール(V/V)、1%酢酸(V/V)中で20分間染色し、
次いでタンパクのバンドが見えるようになるまで30%メ
タノールで脱色した。36kDaのバンドは、隣接するレー
ンに入れた分子量マーカーと比較することにより同定
し、混在するバンドを排除するように注意しながら各レ
ーンからのバンドを外科用メスの刃で切り出した。
ゲルのスライスを、清浄なエッペンドルフチューブに
移し、0.5mlの50%アセトニトリル(V/V)、100mMトリ
ス−Cl、pH8.5を用いて2回洗浄した。洗浄により、ク
マシー染色のいくらかが除去され、ゲルスライスが部分
的に脱水された。次いで、ゲルスライスを、チューブか
ら取り出して、有意に縮んで巻き上がりはじめるまで実
験台上で空気中で乾燥した。次に、これらをエッペンド
ルフチューブに戻し、まず、10μlの、1μgのエンド
プロテイナーゼLys C(Boehringer Mannheim)を含有
する10Mmトリス−Cl、p8.5で再水和した。これは、リジ
ン残基のカルボキシ末端側でポリペプチド鎖を特異的に
切断するプロテイナーゼである。さらに、トリス緩衝液
を、ゲルスライスが充分に再水和されるまで添加し、次
いでゲルスライスを37℃で16時間インキュベートした。
インキュベーション後、1μlのトリフルオロ酢酸を
チューブに添加して反応を停止させ、次いでゲルスライ
スを0.3mlの60%アセトニトリル(V/V)、0.1%TFA(V/
V)で、30℃で30分間、2回洗浄した。これは、再びゲ
ルスライスを部分的に脱水し、それらを縮ませて、生成
されたペプチドを溶出させるためであった。上清を別の
清浄なエッペンドルフチューブに移し、次いで遠心エバ
ポレーター中で2時間、試料がほぼ乾燥するまで乾燥
し、0.1%TFAで0.1mlの容量に再懸濁した。
次に、SMART微量精製システム(Pharmacia)上で逆相
HPLCによりペプチドを分離した。ペプチド消化物を、0.
1%TFA(溶媒A)で平衡化したC18カラム(2.1×100m
m)上に流速0.1ml/分で付した。次いで、カラムを、0
〜70%の溶媒B〔90%アセトニトリル(V/V)、0.085%
TFA(V/V)〕のグラジエントで、同じ流速で70分間にわ
たって溶出した。光学密度(OD)を214nmで監視し、個
々のペプチドピークを、手動で進行させながらフラクシ
ョンコレクターで集めた。製造者の推奨にしたがって液
相化学サイクルを用いて、モデル492 Perkin Elmerタ
ンパクシークエンサーにかけることにより、ポリペプチ
ドを配列決定した。
36kDaバンド中のいくつかのポリペプチドフラグメン
ト(A〜E)を解析した。これらは、以下の配列と実質
的に相同な配列を有していた: (A)LEU−PRO−ASN−LEU−PHE−GLY−LYS (B)ILE−PRO−GLU−GLU−ILE−SER−ALA−LEU−LYS (C)LEU−THR−X−LEU−ASP−LEU−SER−PHE−ASN−
LYS (D)SER−LEU−ARG−LEU−SER−SER−THR−SER−LEU
−SER−GLY−PRO−VAL−PRO−LEU−PHE−PHE−PRO−GLN
−LEU−X−LYS (E)X−X−GLY−VAL−ILE−PRO−X−GLN−LEU−SE
R−THR−LEU−PRO−ASN−LEU−LYS 例IV−a:ニンジン細胞培養 ニンジン細胞懸濁培養株(NOR)を、Department of B
iochemistry and Molecular Biology,University of Le
edsから入手した。培養物は、10mlの培養物を、25g/lス
クロースおよび1mg/l 2,4−Dを含有する90mlの新鮮Mu
rashige and Skoog培地(Sigma)に7日ごとにサブ培養
することにより維持した。培養物は、暗黒下で、25℃
で、旋回振とうインキュベーター中で150rpmでインキュ
ベートした。
NOR培養物を、以下のようにして寒冷処理した。
NOR培養物を、25℃で4日および7日生育させた後、
4℃に移した。培養物を、t=0、t=7日およびt=
14日に収穫した。収穫することに加えて、パック細胞体
積(PCV)を各時点で各培養物について決定した。
NOR懸濁培養の培地試料を、以下のようにして解析し
た。馴化した懸濁培養培地の凍結アリコートの約1/10容
量を、解凍した。解凍した(凍結濃縮された)部分をと
り、例Iに記載したようなサンドイッチスプラットアッ
セイにより活性について試験した。寒冷気候順化させた
培養物からの培地は、寒冷気候順化されていない培養物
からの培地よりも有意に高い活性を含むことが見出され
た。
寒冷気候順化させたNORニンジン培地を、100μlの1M
トリス−HCl、pH7.4を添加することにより緩衝化した。
次に、活性の精製を、例IIの方法に基づく方法を用いて
イオン交換およびゲル透過クロマトグラフィにより行っ
た。緩衝化した培地を、1mlのQセファロースカラム(P
harmacia)に1ml/分の流速で適用し、結合した分子を、
0.1Mから始まり0.5Mまで0.1Mの段階で増加する濃度のNa
Clを含有する500mMトリス−HCl、pH7.4の3mlアリコート
で溶出した。1mlの画分を集め、例Iに記載したように
活性について試験した。
活性イオン交換画分の抗凍結活性を、以下のようにし
てゲル透過クロマトグラフィにより精製した。上述の画
分を、アセトン沈殿に付し、ペレットを50μlの50mMト
リス−HCl+0.15M NaCl、pH7.2中に再懸濁した。次
に、これを、10,000×gで10分間遠心し、20μlをPhar
macia SMARTシステムでスーパーデックス75ゲル透過カ
ラム上に適用した。流速は、40μl/分であり、移動(mo
bile)相は50mMトリス−HCl+0.15M NaCl、pH7.2であ
った。80μlの画分を集め、スプラットした。活性は、
1.16mlの保持に相当する画分中に検出された。
活性タンパクのさらなる単離は、例IIのようなSDS−P
AGE解析により行うことができる。
例IV−b:ニンジン根培養 ニンジン根培養は、以下のようにして開始した。
各々の個別の培養について、10個の表面滅菌Daucus c
arote cv Autumn King種子を、250mlの滅菌三角フラス
コ中の25g/lスクロースおよび0.5g/l MESを含有する10
0mlのMS培地中に置いた。暗黒下で25℃で3週間、150rp
mで振とうすることにより、種子を発芽させた。次に、
葉および根を無菌的に採取した。根を、100mlの新鮮培
地中に置き換え、振とうしながら、さらに2週間インキ
ュベートした。
寒冷処理および寒冷処理なしの根培養物から、以下の
ようにしてホモジネートを調製した。急速冷凍した根
を、冷却したモルタルおよびペッスル中で3倍の液体窒
素中ですりつぶし、別の冷却モルタルおよびペッスルに
移して、30%(W/W)スクロースを含有する0.5倍容量の
氷冷した50mMトリス/HCl+10mM EDTA、pH7.4を用いて
すりつぶした。ホモジネートを10,000×gで10分間、4
℃で遠心分離し、上清を例Iにおけるようにして活性に
ついて試験した。寒冷処理根培養物において、寒冷処理
なしの根培養物よりも有意に高い活性が検出された。
例V:アイスクリームの調製 寒冷気候順化ニンジン根からの根抽出物を、冷水中で
新しく抜いた(例Iのように)寒冷気候順化ニンジンを
こすり洗いすることにより調製した。頂部を除去し、家
庭用ジュース抽出器(Russel Hobbs、モデル番号9915)
を用いてジュースを抽出した。ジュースを1リットルの
ブロックで凍結させて、アイスクリーム試作における使
用のために回収する前に−20℃で貯蔵した。ニンジンAF
Pジュースを、以下のアイスクリーム処方に添加した。
上記の処方を凍結させ、106%超過量までエアレーシ
ョンすることによりアイスクリームを調製した。
新鮮試料および−10℃で10日間の貯蔵により酷使した
試料について、測定を行った。比較として、ニンジン抽
出物なしの試料を同様に測定した。測定は、以下のよう
に行った。
試料を、Prolan環境キャビネット中で約12時間、−18
℃で平衡化した。アイスクリームの各バッチから代表的
に3つの試料を選び、各ブロックの中央からアイスクリ
ームの薄層を顕微鏡スライド上にスメアすることによ
り、Cryostat温度制御キャビネット中で各々からスライ
ドを調製した。ホワイトスピリットの1滴をスライドに
適用し、次いでカバースライドを適用した。各スライド
を、次に、温度制御した顕微鏡ステージに移した(Leit
LaborLux S,Leica10×対物レンズ、温度−18℃)。氷
晶の像(約400個の氷晶)を集め、ビデオカメラ(Sanyo
CCD)を通じて画像保存および解析システム(LEICA Q5
20MC)にリレーした。
保存した氷晶像は、境界線に沿って線を引くことによ
り手動でハイライトし、次いでこれが結晶全体をハイラ
イトした。次いで、ハイライトされた結晶の像を、最も
長い直線(長さ)、最も短い直線(幅)、アスペクト比
(長さ/幅)を完成するのに必要な画素の数をカウント
する画像解析ソフトウェアを用いて測定した。アイスク
リームの1バッチの各氷晶についてのデータをスプレッ
ドシートに取り入れて、ここでデータのセットの解析を
行って平均および標準偏差を見出した。
アイスクリーム硬度の測定は、Hounsfield H10KMユ
ニバーサルテスター、Hounsfield 100Nロードセルおよ
び10cmシリンダー状ステンレススチールプローブを用い
て行った。アイスクリーム試料は、−18℃に設定したPr
olan温度制御キャビネット中で486mlのアイスクリーム
ブロックを16時間インキュベートすることにより調製し
た。
アイスクリームブロックをProlan温度制御キャビネッ
トから取り出し、Hounsfield H10KMユニバーサルテス
ターに置いた。10cmシリンダー状プローブをアイスクリ
ームブロックに400mm/分の一定速度で20mmの深さまで押
し込んだ。加圧の間に記録された最大力を用い、アイス
クリーム硬度として表現した。試料の亀裂または破砕が
観察された場合、これは、右側の欄に示した。
以下の結果が得られた。
これは、ニンジンAFPが良好な氷再結晶阻害特性を有
することを証明する。
例VI 例IIIに示したペプチド配列を、縮重オリゴヌクレオ
チドプライマー設計のための適性について解析した。ペ
プチドDの部分(GLY−PRO−VAL−PRO−LEU−PHE−PHE
−PRO)を選択し、プライマーcp3(GGI CCI GTI CCI YT
I TTY TTY CC、ここでI=イノシンであり、Y=Cまた
はTである)を合成した(Genosys)。
第一鎖cDNAを、5μgの寒冷気候順化(例Iのように
1ヵ月)させたニンジン根RNAから、スーパースクリプ
ト(Superscript)リバーストランスクリプターゼ(Str
atagene)およびオリゴヌクレオチドプライマーOG1〔GA
GAGAGGATCCTCGAG(T)15〕を用いて製造者の指示にし
たがって調製した。続くPCRにおいて、第一鎖cDNA反応
物の1%を鋳型として、cp3およびOG1プライマーととも
に用いた。反応は、Taq DNAポリメラーゼ(Gibco BR
L)を用いて、製造者の指示にしたがって30サイクル(9
4℃で1分、50℃で1分、および72℃で1分)、サーマ
ルサイクラー中で行った。すべてのプライマーは、1μ
Mの濃度で用いた。得られた〜800bpのPCR生成物をゲル
で精製し、製造者の指示にしたがってpTAgベクター(R
&D Systems)中にクローニングした。クローニングさ
れたcp3 PCR生成物を、シークエナーゼ(Sequenase)
キット(USB)を用いるジデオキシ配列決定法を用いて
配列決定した。cp3ヌクレオチド配列および推定アミノ
酸配列は、以下の配列と実質的に同じであった: ニンジンAFPについてのコード領域の全長を得るため
に、cDNAライブラリーを構築した。ポリ(A)クイッ
クカラム(Stratagene)を用いて、製造者の指示にした
がって、500μgの寒冷気候順化(1ヵ月)ニンジン全R
NAからmRNAを精製した。得られたすべてのポリ(A)+R
NAを、cDNA合成およびラムダZAPベクターキット(Strat
agene)を用いるその後のライブラリー構築のために使
用した。cp3 PCR生成物を32P標識プローブとして用い
て、ハイブリダイゼーションにより1×105の組換えフ
ァージクローンをスクリーニングした。
陽性のプラークをスクリーニングして純化し、DNA配
列解析によりインサートを特徴づけする前にファージミ
ドを切り出した。2つのcDNAクローンを完全に配列決定
した。その5'および3'非翻訳領域にはいくらかの配列変
異が含まれていたが、コード領域は同一であった。2つ
のcDNAクローンのコード領域は、以下の配列と実質的に
同じであった: 4つの他のクローンの部分配列解析により、それらが
完全に配列決定されたクローンと同じコード領域を含
み、したがってライブラリースクリーニングからのすべ
ての陽性クローンが同じ遺伝子の転写物を表す可能性が
高いことも示された。ニンジンゲノム中のAFP遺伝子が
1コピーしか存在しないことは、制限酵素消化したニン
ジンゲノムDNAのサザン解析がプローブにハイブリダイ
ズする唯一のフラグメントを示唆したという事実によっ
てさらに実証された。
例VII 例VIに示したニンジンcDNAがAFPを表ことを証明する
ために、以下のようにしてコード領域の発現を行った。
以下に記載するように、cDNAの1つを、まず、ダブルCa
MV 35Sプロモーター(Guerineau,J.F.,Woolsten,S.,Br
ooks,L.,and Mollineaux,P.1988)発現カセットを含む
中間体pUCプラスミドベクター(Messing,1983)中にク
ローニングし、次にバイナリーベクター中にクローニン
グした。用いたすべての酵素はGibco BRLから供給され
たものであり、製造者の指示書にしたがって用いた。
cDNAクローンを含有するpBluescriptファージミド(S
tratagene)をXho Iで消化し、その3'凹み末端を、DNA
ポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて充填し
た。次に、このcDNAフラグメントを、EcoR Iで消化する
ことによりベクターから解放した。このEcoR I/平滑末
端cDNAフラグメントを、次にEcoR I/平滑末端消化中間
体pUCプラスミドベクター中にクローニングした。次
に、CaMV 35S−cDNA発現カセットを、部分Hind IIIフ
ラグメントとしてHind IIIで消化したpBin19バイナリー
ベクター(Bevan 1984)中にサブクローニングした。こ
のバイナリーベクター構築物を、次に、アグロバクテリ
ウム(Agrobacterium)媒介形質転換(Draper,J.,Scot
t,R.,Armatage,P.,and Walden,R.,1988に記載されたも
の)を用いてタバコに導入した。
充分なカナマイシン耐性材料が再生するとすぐに、ト
ランスジェニックタバコカルスを、再結晶阻害活性の発
現について解析した。小規模のタンパク抽出物を、いく
らかの独立したカナマイシン耐性カルスといくつかの野
生型タバコカルスから作製した。約2gの組織を、1〜2m
lのスクロース緩衝液(30%スクロース、50mMトリス、1
0mM EDTA、20mMアスコルベート、pH7.2)中で、モルタ
ルおよびペッスルを用いてすりつぶした。この溶液を1
0,000×gで2分間遠心分離し、上清を新たなチューブ
に採取した。タンパク抽出物の3μlアリコートを、例
Iのスクロースサンドイッチスプラットアッセイ法を用
いて再結晶活性について試験した。試験したすべてのカ
ナマイシン耐性カルス抽出物は、再結晶阻害活性を明ら
かにした。
ニンジンAFPを発現する安定なトランスジェニックタ
バコ植物もまた作製した。野生型およびトランスジェニ
ックタバコ植物からの葉抽出物を、AFP cDNAをプロー
ブとして用いるノーザン解析に供した。AFPメッセージ
(転写物)は、トランスジェニックタバコ植物中にのみ
検出可能であった。これは、AFPメッセージが温室で生
育させたトランスジェニックタバコ植物において安定で
あることを示唆する。天然のニンジン転写物と比較する
と、タバコAFP転写物は、わずかに大きいようであっ
た。この違いは、AFP発現カセットの構築の方法により
説明することができる。CaMV 35Sポリアデニル化シグ
ナルは、構築物の最も3'側にあるので、このシグナルが
トランスジェニックAFPメッセージにおいて使用され
て、より長い転写物が生じた可能性が高い。また、野生
型およびトランスジェニックタバコ植物からの葉抽出物
を、ニンジンAFP抗体を用いてウェスタンブロットによ
り解析した。交差反応性タンパクは、トランスジェニッ
クタバコ植物においてのみ検出された。転写物のサイズ
の違いにもかかわらず、タバコにおいて産生されたタン
パクは、天然のニンジンAFPと同じサイズのようであっ
た。
上述のデータは、ニンジンから精製されたタンパクお
よび相当するcDNAが、活性なAFPを表すことの証明を提
供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 14/415 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A (72)発明者 ドゥース、シャルロット・ジュリエット 英国、ワイオー1・5ワイダブリュ、ヨ ーク、ヘスリントン、ザ・ユニバーシテ ィ・オブ・ヨーク、デパートメント・オ ブ・バイオロジー、ザ・プラント・ラボ ラトリー(番地なし) (72)発明者 フェン、リチャード・アンソニー 英国、エムケイ44・1エルキュー、シャ ーンブルック、コルワース・ハウス、ユ ニリーバー・リサーチ・コルワース・ラ ボラトリー(番地なし) (72)発明者 マッカーサー、アンドリュー・ジョン 英国、エムケイ44・1エルキュー、シャ ーンブルック、コルワース・ハウス、ユ ニリーバー・リサーチ・コルワース・ラ ボラトリー(番地なし) (72)発明者 サイドボトム、クリストファー・マイケ ル 英国、エムケイ44・1エルキュー、シャ ーンブルック、コルワース・ハウス、ユ ニリーバー・リサーチ・コルワース・ラ ボラトリー(番地なし) (72)発明者 スモールウッド、マーガレット・フェリ シア 英国、ワイオー1・5ワイダブリュ、ヨ ーク、ヘスリントン、ザ・ユニバーシテ ィ・オブ・ヨーク、デパートメント・オ ブ・バイオロジー、ザ・ブラント・ラボ ラトリー(番地なし) (72)発明者 ウオーラル、ダウン 英国、ワイオー1・5ワイダブリュ、ヨ ーク、ヘスリントン、ザ・ユニバーシテ ィ・オブ・ヨーク、デパートメント・オ ブ・バイオロジー、ザ・プラント・ラボ ラトリー(番地なし) (56)参考文献 国際公開92/022581(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C07K 14/415 BIOSIS/WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニンジンから得ることができ、SDS−PAGE
    上で36kDaの見かけの分子量を有する、抗凍結活性を有
    する、配列表Iに表すアミノ酸配列を有するポリペプチ
    ド。
  2. 【請求項2】抗凍結活性をなお有する請求項1に記載の
    ポリペプチドの誘導体であって、配列表Iのポリペプチ
    ドと少なくとも95%の相同性を有する該誘導体。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のポリペプチドをコ
    ードする単離された遺伝子、及び抗凍結活性をなお有す
    るポリペプチドをコードするそれらのアリル。
  4. 【請求項4】配列表Iの遺伝子配列に実質的に相当する
    遺伝子配列を有する単離された遺伝子、及び抗凍結活性
    をなお有するポリペプチドをコードするそれらのアリ
    ル。
  5. 【請求項5】前記ポリペプチドを寒冷気候順化ニンジン
    から単離することによって、請求項1又は2に記載のポ
    リペプチドを得る方法。
  6. 【請求項6】前記ポリペプチドを遺伝的に改変された生
    物により発現させることによって、請求項1又は2に記
    載のポリペプチドを得る方法。
  7. 【請求項7】前記生物が、微生物、植物又は細胞培養物
    である、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】請求項1又は2に記載のポリペプチドと特
    異的に結合することができる抗体。
  9. 【請求項9】その食品が、ニンジンではないことを条件
    として、請求項1又は2に記載のポリペプチドを含む食
    品。
  10. 【請求項10】冷凍菓子製品又は冷凍野菜である、請求
    項9に記載の食品。
  11. 【請求項11】請求項1又は2に記載の抗凍結ポリペプ
    チドを含む食品を製造する方法であって、 (a)食品に、前記抗凍結ポリペプチドを含む組成物を
    添加する工程;又は (b)前記抗凍結ポリペプチドのインサイチュ産生 の工程を含むことを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】請求項3又は4に記載の遺伝子で植物を
    形質転換することを含む、植物の霜耐性を増強するため
    の方法。
  13. 【請求項13】前記ポリペプチドを発現することができ
    る、請求項3又は4に記載の遺伝子で形質転換された、
    微生物、細胞株又は植物。
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