JP4257970B2 - 担子菌類の産生する不凍タンパク質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、菌類由来の新規なタンパク質に関する。具体的には、優れた不凍活性を示し、氷再結晶阻害剤及び氷点下低温保存剤として有用な不凍タンパク質及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不凍タンパク質(AFP)は、水溶液の凍結を防止する効果を有するタンパク質であり、一般に低温環境に適応した魚類、昆虫、植物、菌類、細菌等多くの生物で発見されている。魚類及び植物由来の不凍タンパク質はいずれも、氷核を、三角錐2つを底面で合わせたようなバイピラミッド型氷結晶に成長させることが知られており、その機構は以下のように解釈されている。通常の場合氷結晶は、水溶液中に氷核が表れると、まず扁平な六角の板状に成長する。氷結晶の垂直方向への成長速度は、板状平面方向への成長速度に比べ約100倍遅い。これに対して、水溶液中に不凍タンパク質が存在すると板状平面方向への氷結晶の成長は阻止され、最初に形成された板状体を基底面として、この基底面に対し垂直方向に、順次、より小さい板状体が積み重ねられていき、最終的にはピラミッドを二つ重ねたバイピラミッド型の氷結晶にゆっくりと成長していく。
【0003】
不凍タンパク質は、これを溶解した水溶液に対し、1)温度ヒステリシス、2)氷の再結晶阻害、3)氷結晶形状制御等をもたらし、凍結防止効果を有する。通常、水の凝固点と氷の融点は同一であるが、溶液中に不凍タンパク質が存在するとそれが氷結晶と結合するため、水の凝固点が通常より降下する。この現象を温度ヒステリシスといい、この時、生じる氷の融点と水の凝固点の差を凝固点降下度という。この凝固点降下度の値が大きい程、凍結防止効果が高いといえる。また、形成した氷結晶は、−10℃以上の比較的高い温度での昇華又は一部融解によって生じた水分を吸収し、成長する。氷の再結晶阻害とは、この現象を阻害する効果をいい、この氷再結晶阻害活性が高いほど、凍結防止効果が高いといえる。これら不凍タンパク質の性質を利用し、保冷により周囲の水分子が付着再結晶することによって風味や味が損なわれるアイスクリームへの添加や、細胞や臓器の冷凍保存剤に用いることが提案されている。また、氷スラリーを使用する冷熱供給システム又は冷熱蓄熱システム等における氷の再結晶による配管系の閉塞を解消し得る有効な添加剤としても期待されている。
【0004】
しかし、これまでに報告されている動植物由来の不凍タンパク質類は安定に大量を入手することが困難なものが多い。従って、魚類や昆虫由来の不凍タンパク質に関しては、一部遺伝子組換え技術を用いて生産性を高めているものもある。しかし、遺伝子組換え体に対する消費者の反発から、食品に応用されるに至っていない。一方、微生物由来の不凍タンパク質に関しては、細菌においては不凍タンパク質の精製に成功しているが、起源となる細菌の性質上、食用には適さず、また生産性も十分ではない。食用として広く利用されている担子菌類では不凍タンパク質の存在が報告されているものの、不凍タンパク質が単離・精製されたことはない。
【0005】
これまで、主に植物及び魚類由来の天然の不凍タンパク質を用いて、アイスクリーム等の冷凍食品の品質保持、細胞の冷凍保存耐性の向上、冷熱供給システム又は冷熱蓄熱システム等への応用が試みられてきた。しかし、従来の不凍タンパク質の活性が必ずしも十分ではないこと、従って、目的の機能を果たすために大量の不凍タンパク質が必要とされること、また、生産性が不十分なこと等の理由により、いずれも実用化には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、不凍活性の高い不凍タンパク質を、安価で大量に提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、イシカリガマノホタケ等の担子菌類が不凍活性の高い新規タンパク質を産生し、これを単離・精製することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、担子菌類が産生して細胞外に分泌する新規な不凍タンパク質、及びこの物質を産生する菌株を低温条件で培養し、該培養液から不凍タンパク質を回収することを特徴とする不凍タンパク質の製造方法に関する。
【0008】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)担子菌類の産生する不凍タンパク質。
(2)担子菌類がヒダナシタケ目に属する菌類である(1)に記載の不凍タンパク質。
(3)ヒダナシタケ目に属する菌類がホウキタケ科に属する菌類である(2)に記載の不凍タンパク質。
(4)担子菌類がハラタケ目に属する菌類である(1)に記載の不凍タンパク質。
(5)ハラタケ目に属する菌類がヒトヨタケ科又はキシメジ科に属する菌類である(4)に記載の不凍タンパク質。
(6)水溶液の凝固点を降下させる効果を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の不凍タンパク質。
(7)以下のアミノ酸配列:
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Ala−Gly−Leu−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号1)、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Val−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号2)、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号3)、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号4)
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala(配列番号5)
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Thr−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala(配列番号6)及び
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Thr(配列番号7)
から選択されるN末端アミノ酸配列又はこれらと実質的に相同なN末端アミノ酸配列を含む(1)〜(6)のいずれかに記載の不凍タンパク質。
(8)以下のアミノ酸配列:
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Ala−Gly−Leu−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号1)、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Val−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号2)、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号3)、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号4)、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala(配列番号5)、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Thr−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala(配列番号6)及び
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Thr(配列番号7)
から選択されるN末端アミノ酸配列又はこれらと実質的に相同なN末端アミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有する、分子量15〜30kDaのタンパク質。
(9)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号9、11、13、15、17、19又は21で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号9、11、13、15、17、19又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
(10)以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする不凍タンパク質遺伝子。
(a)配列番号9、11、13、15、17、19又は21で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号9、11、13、15、17、19又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
(11)以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号8、10、12、14、16、18又は20で表される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号8、10、12、14、16、18又は20で表される塩基配列の全部又は一部からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質をコードするDNA
(12)(10)又は(11)に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
(13)(12)記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(14)(13)の形質転換体を培養し、得られる培養物から不凍タンパク質を採取することを特徴とする不凍タンパク質の製造方法。
(15)(1)〜(9)のいずれかに記載のタンパク質を含む凍結防止剤。
(16)(1)〜(9)のいずれかに記載のタンパク質と特異的に反応する抗体。
(17)(16)に記載の抗体と結合し、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質。
(18)不凍タンパク質を産生する能力を有する担子菌類を低温下培養し、該培養液から不凍タンパク質を回収することを特徴とする不凍タンパク質の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書において不凍タンパク質とは、当技術分野における通常の意味を有し、即ち、氷結晶の成長を阻害する活性を有するタンパク質を意味する。
【0010】
一実施形態における本発明の不凍タンパク質は、担子菌類からの抽出物に含まれている。本発明に用いる担子菌類は、不凍活性を有するタンパク質を産生しうる菌株であれば、いずれの菌株でもよいが、4℃以下の低温で生育可能な担子菌類が好ましい。このような担子菌類としては、例えば、ヒダナシタケ目、ハラタケ目に属するものが好ましく、ヒダナシタケ目に属するものとしては、アンズタケ科、サルノコシカケ科、マンネンタケ科、ハリタケ科、スエヒロタケ科、イドタケ科、ホウキタケ科、ウロコタケ科、イボタケ科の菌類が挙げられ、ハラタケ目に属するものとしては、ヌメリガサ科、キシメジ科、テングタケ科、ハラタケ科、ヒトヨタケ科、モエギタケ科、フウセンタケ科、イグチ科、ベニタケ科の菌類が挙げられる。具体的には、ヒダナシタケ目ホウキタケ科ガマノホタケ属の菌類、例えば、イシカリガマノホタケ(Typhula ishikariensis)、フユガレガマノホタケ(T. incarnata)、アカエガマノホタケ(T. phacorrhiza)、ハラタケ目ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属(Coprinus psychromorbidus)の菌類、ハラタケ目キシメジ科エノキタケ属の菌類、例えば、エノキタケ(Flammulina velutipes)等が好ましい。ガマノホタケ属及びヒトヨタケ属の菌類がより好ましい。さらに好ましくは、イシカリガマノホタケBRB株及びCoprinus psychromorbidus CCFC006721株を用いる。
イシカリガマノホタケBRB株は、自然界より新たに分離した菌株であり、下記のような微生物学的性質を示す。
【0011】
子実体は菌核より、1又は数本生じ、長さ0.5cm。先端部は棍棒状を呈し、円筒形で長さ0.2〜0.5cm(人工条件では3cm程度)、直径0.5〜2.0mm、白色又は帯白色、成熟すると淡黄褐色となり、明らかに茎部と区別できる。担子柄は棍棒状で4胞子がつく。胞子は約10×5μmで平滑、菌核は球形、楕円形又は不定形で0.5〜3mm、湿潤で暗褐色、乾燥すると黒色を呈する。上記の微生物学的性質から、分類同定の基準として「日本菌類誌第2巻擔子菌類第4号」を参考とすると、本菌株はイシカリガマノホタケとみなされる。尚、本菌株は、「Typhula ishikariensis BRB」として、平成14年2月27日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、日本国茨城県つくば市東一丁目一番地一 中央第6(郵便番号305−5466)に、受託番号FERM P―18741として寄託されている。
【0012】
また、Coprinus psychromorbidus CCFC006721株は、カナダ農務省(Canadian Collection of Fungal Cultures, Agribulture and Agri-Food Canada, Rm. 1015, K.W. Neatb Bldg., Ottawa, Ontario, K1A 0C6 CANADA)に、受託番号CCFC006721として寄託されている。
【0013】
本発明の不凍タンパク質は、担子菌類を培地にて培養し、該培養液から不凍タンパク質を回収することにより製造することができる。担子菌類の培養に使用する培地としては、菌株が資化し得るのに必要な炭素源、窒素源、無機物、その他必要な栄養素を適量含有するものであれば特に制限されず、天然培地、合成培地のいずれも使用できる。具体的な培地としては、例えば糸状菌培養に一般に使用されるポテト・デキストロース培地、コーンミール培地等が挙げられる。合成培地の炭素源としては、例えば、可溶性デンプン、グルコース、マルトース等が使用される。窒素源としては、例えば、ペプトン類、酵母エキス、肉エキス等の窒素含有天然物、及び硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の無機窒素含有化合物が使用される。無機物としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第二鉄等が使用される。培養方法は特に制限されないが、通常、振とう培養、通気撹拌培養又は置地培養で行なう。培養温度は、特に制限されないが、低温下、例えば、0〜15℃の範囲が好ましく、0℃以下がさらに好ましい。また、菌体を至適増殖温度にて十分に増殖させた後、新たな培地に移し0℃以下で培養することもできる。培養期間は通常1〜7週間である。
【0014】
本発明の不凍タンパク質の精製には、当技術分野において一般に使用される精製法を用いることができる。菌体の分離には、例えば、遠心分離、濾過、限外濾過等を用いることができる。菌体の分離後に得られる培養上清液に含まれる不凍タンパク質は、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウム等による塩析法、アセトンやエタノールによる有機溶媒沈殿法、陽イオン交換体(例えば、CM、S、SP)又は陰イオン交換体(例えば、DEAE、Q、QAE)等を用いたカラムクロマトグラフィー法、アガロース誘導体等を用いたゲル濾過法等により単離・精製することができる。
【0015】
さらに本発明者らは、上記菌株「Typhula ishikariensis BRB」から不凍タンパク質及び該タンパク質をコードする遺伝子を単離した。不凍タンパク質遺伝子は、当技術分野における通常の方法によって単離できる(例えば、WO 00/188045参照)。
【0016】
配列番号9、11、13、15、17、19及び21に本発明の不凍タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号8、10、12、14、16、18及び20に本発明の不凍タンパク質遺伝子の塩基配列を例示するが、これらのアミノ酸配列を含むタンパク質が水溶液の凝固点を降下させる活性を有する限り、当該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
【0017】
例えば、配列番号9、11、13、15、17、19及び21で表されるアミノ酸配列の1個、好ましくは、10〜20個、さらに好ましくは5〜10個のアミノ酸が欠失してもよく、又は配列番号9、11、13、15、17、19及び21で表されるアミノ酸配列に1個、好ましくは、10〜20個、さらに好ましくは5〜10個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号9、11、13、15、17、19及び21で表されるアミノ酸配列の1個、好ましくは、10〜20個、さらに好ましくは5〜10個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。
【0018】
本発明の不凍タンパク質遺伝子には、配列番号8、10、12、14、16、18又は20で表される塩基配列の全部又は一部からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子も包含される。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、すなわち、本発明の不凍タンパク質遺伝子に対し高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAがハイブリダイズする条件をいう。より具体的には、このような条件は、0.5〜1MのNaCl存在下42〜68℃で、ハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline sodium citrate)溶液を用いて室温〜68℃でフィルターを洗浄することにより達成できる。
【0019】
ここで、「一部の配列」とは、上記不凍タンパク質遺伝子の塩基配列の一部分を含むDNAの塩基配列であって、該DNAが水溶液の凝固点を降下させる活性を有するタンパク質をコードするものを指す。また「一部の配列」は、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせるのに十分な塩基配列の長さを有するもの、例えば、少なくとも10塩基、好ましくは少なくとも50塩基、より好ましくは少なくとも200塩基の配列である。
【0020】
なお、遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(TAKARA社製)、Mutan-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて行うことができる。なお、上記手法により塩基配列が決定された後は、化学合成によって、又は染色体DNAを鋳型としたPCR法によって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明の遺伝子を得ることができる。
【0021】
本発明の不凍タンパク質遺伝子を含む組換えベクターを作成し、該組換えベクターを導入した形質転換体を培養することによっても、不凍タンパク質を製造することができる。本発明の組換えベクターは本発明の遺伝子又はその一部を適当なベクターに連結することにより得ることができ、また、本発明の形質転換体は本発明の組換えベクターを本発明の遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。「一部」とは、宿主中に導入されて本発明の不凍タンパク質を発現することができる不凍タンパク質遺伝子の一部分を指す。
【0022】
本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主細胞で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミドなどが挙げられる。また、該ベクター自体に複製能力がない場合には宿主の染色体に挿入することによって、複製可能となるDNA断片でもよい。
【0023】
プラスミドDNAとしては特に限定されないが、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYep13等のYep系、Ycp50等のYcp系等)が挙げられ、ファージDNAとしては、特に限定されないが、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらにはレトロウイルス又はワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることができる。
【0024】
宿主としては、目的とする遺伝子を発現できるものであれば特に限定されず、例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)などのラルストニア属に属する細菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス属に属する細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属に属する細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエッシェリヒア属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)などのカンジダ(Candida)属に属する酵母、COS細胞、CHO細胞、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などの動物細胞、SF9細胞などの昆虫細胞などが挙げられる。
【0025】
大腸菌等の細菌を宿主として用いる場合は、本発明の組換えベクターが該宿主中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、本発明のDNA、転写終結配列を含む構成であることが好ましい。プロモーターとしては、宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、trp プロモーター、lac プロモーター、PL プロモーター、PR プロモーター、T7プロモーターなどの大腸菌やファージ等に由来するプロモーターが用いられる。細菌への組換えベクターの導入方法としては、特に限定されないが、例えばカルシウムイオンを用いる方法(Current Protocols in Molecular Biology, 1, 181(1994))やエレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0026】
酵母を宿主として用いる場合は、発現ベクターとして、例えばYEp13、YCp50等が挙げられる。プロモーターとしては、例えばgal 1 プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、GAPプロモーター等が挙げられる。酵母への組換えベクターの導入方法としては、特に限定されないが、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 192, 9-1933(1978))、酢酸リチウム法(J. Bacteriol., 153, 163-168(1983))等が挙げられる。
【0027】
本発明の不凍タンパク質は、本発明の形質転換体を培地で培養し、培養物(培養菌体又は培養上清)中に本発明の不凍タンパク質を生成蓄積させ、該培養物から不凍タンパク質を採取することにより得られる。本発明の形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌等の細菌を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、完全培地又は合成培地、例えばLB培地、M9培地等が挙げられる。また、培養温度は25〜37℃の範囲で好気的に1〜72時間培養することにより不凍タンパク質を菌体内に蓄積させ、回収する。培養期間中pHは7付近に保持する。pHの調整は、無機酸又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。不凍タンパク質の精製は、上記と同様に行うことができる。
【0028】
上記した製造方法のよって得られた粗精製不凍タンパク質及び精製不凍タンパク質は、グリセロール、シュークロース、エチレングリコール等の安定化剤を添加して液状で使用することができ、又は、スプレードライや凍結乾燥等の乾燥法を用いて粉末として使用することもできる。
【0029】
上記のように、本発明の不凍タンパク質は、担子菌類及び不凍タンパク質遺伝子を導入した形質転換体を培養し、培養液から回収することにより製造できる。従って、本菌株は安価な培地を用いて、容易に大量培養が可能なことから、安価にかつ大量に不凍タンパク質を提供することができる。
【0030】
本発明はまた、上記のようにして製造された不凍タンパク質と特異的に反応する抗体と結合し、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質を包含する。このようなタンパク質は、当技術分野における通常の方法を用いて、本発明の不凍タンパク質で動物を免疫して抗体を採取することにより、製造することができる(例えば、WO 00/188045参照)。
本発明の不凍タンパク質と特異的に反応する抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよく、例えば、以下のように作製することができる。
【0031】
モノクローナル抗体の作製
上記のようにして得られた本発明の不凍タンパク質の全長又はその断片を抗原として用い、哺乳動物、例えば、ラット、マウス(例えば、近交系マウスのBALB/c)、ウサギなどに投与する。必要に応じてフロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)等のアジュバントを用いることもできる。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定されるものであるが、動物1匹当たり約50〜200μgである。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、初回免疫後、数日から数週間間隔で、好ましくは1〜4週間間隔で、2〜6回、好ましくは3〜4回追加免疫を行う。初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定を本発明の不凍タンパク質を用いたドットブロット解析及びELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)法等により繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したときは、免疫原を静脈内又は腹腔内に注射し、最終免疫とする。そして、最終免疫の日から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は局所リンパ節細胞が好ましい。
ハイブリドーマを得るため、上述のように免疫動物から得た抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行う。
【0032】
抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞としては、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。また株化細胞は、免疫動物と同種系の動物に由来するものが好ましい。ミエローマ細胞の具体例としては、BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株である、P3X63-Ag.8株(ATCC TIB9)、P3X63-Ag.8.U1株(癌研究リサーチソースバンク(JCRB)9085)、P3/NSI/1-Ag4-1株(JCRB 0009)、P3x63Ag8.653株(JCRB 0028)又はSp2/0-Ag14株(JCRB 0029)などが挙げられる。
【0033】
次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まない DMEM、RPMI-1640 培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞とミエローマ細胞とを約1:1〜20:1の割合で混合し、細胞融合促進剤の存在下にて融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量 1,500〜4,000ダルトンのポリエチレングリコール等を約10〜80%の濃度で使用することができる。また場合によっては、融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシドなどの補助剤を併用してもよい。さらに、電気刺激(例えば、エレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
【0034】
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を、例えば、ウシ胎児血清含有 RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に2×105個/ウエル程度まき、各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。培養温度は、20〜40℃、好ましくは約37℃である。ミエローマ細胞がHGPRT欠損株又はチミジンキナーゼ(TK)欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選択培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞とミエローマ細胞のハイブリドーマのみを選択的に培養し、増殖させることができる。その結果、選択培地で培養開始後、約14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
【0035】
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の一部を採取し、酵素免疫測定法(EIA;Enzyme Immuno Assay、及びELISA)、放射免疫測定法(RIA;RadioImmuno Assay)等によって行うことができる。
【0036】
融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。
樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を採用することができる。
【0037】
細胞培養法においては、ハイブリドーマを10%ウシ胎児血清含有 RPMI-1640培地、MEM 培地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば、37℃,5%CO2濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。
【0038】
腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水又は血清を採取する。
【0039】
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、又はこれらを組み合わせることにより、精製された本発明のモノクローナル抗体を得ることができる。
【0040】
ポリクローナル抗体の作製
ポリクローナル抗体を作製する場合は、前記と同様に動物を免疫し、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(ELISA(enzyme-linked immunosorbent assy)又は EIA(enzyme immunoassay))、放射性免疫測定法(RIA;radioimmuno assay)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をドットブロット解析又はELISA法などで測定する。
【0041】
このようにして得られた本発明の不凍タンパク質と特異的に反応する抗体を用いて、サンプル中における不凍タンパク質を免疫学的に検出することにより、スクリーニングすることができる。
【0042】
検出方法としては、抗体を用いる測定法、すなわち免疫学的測定法であればいずれの方法でもよく、その測定法で使用される抗体として本発明の抗体を用いることができ、例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法、免疫比濁法、免疫比ろう法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応又はウエスタンブロット法等が挙げられる。
【0043】
被検対象となるサンプルとしては、不凍タンパク質が含まれる可能性のあるサンプルであれば特に限定されるものではない。例えば、担子菌類培養液又は野外で採取もしくは培養した担子菌類子実体、胞子、菌核、菌糸などや上述の組織からの抽出液が挙げられ、担子菌類培養液又は担子菌類子実体の組織抽出液を用いるのが好ましい。
【0044】
検出を、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法等の標識を用いた免疫測定法により実施する場合には、本発明の抗体を固相化するか、又はサンプル中の成分を固相化して、それらの免疫学的反応を行うことが好ましい。
【0045】
固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティック又は試験片等の形状の不溶性担体を用いることができる。固相化は、固相担体と本発明の抗体又はサンプル成分とを物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法に従って結合させることにより行うことができる。
【0046】
本発明においては、本発明の抗体と、サンプル中の不凍タンパク質との反応を容易に検出するために、本発明の抗体を標識することにより該反応を直接検出するか、又は標識二次抗体を用いることにより間接的に検出する。本発明の検出方法においては、感度の点で、後者の間接的検出(例えばサンドイッチ法など)を利用することが好ましい。
【0047】
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、パーオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミラーゼ又はビオチン−アビジン複合体等を、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、Alexa480又はAlexaFluor488等を、そして放射免疫測定法の場合には、トリチウム、ヨウ素125又はヨウ素131等を用いることができる。また、発光免疫測定法は、NADH−FMNH2−ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系又はジオキセタン化合物系等を用いることができる。
【0048】
標識物質と抗体との結合法は、酵素免疫測定法の場合にはグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法又は過ヨウ素酸法等の公知の方法を、放射免疫測定法の場合にはクロラミンT法、ボルトンハンター法等の公知の方法を用いることができる。
【0049】
測定の操作法は、公知の方法(日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年,石川榮治ら編「酵素免疫測定法」,第3版,医学書院,1987年,北川常廣ら編「蛋白質核酸酵素別冊No.31 酵素免疫測定法」,共立出版,1987年,入江實編「ラジオイムノアッセイ」,講談社サイエンティフィク,1974年,入江實編「続ラジオイムノアッセイ」,講談社サイエンティフィク,1979年)により行うことができる。
【0050】
上記のような検出法によって検出された本発明の抗体と結合するタンパク質であって、水溶液の凝固点を降下させる効果を有するものもまた、本発明の不凍タンパク質に包含される。
【0051】
本明細書において不凍活性とは、氷結晶の成長を阻害する活性を意味し、例えば、不凍タンパク質を含む溶液における氷結晶の成長及び形成される氷結晶の形状を顕微鏡で観察することにより、また、溶液の凝固点降下度を氷点降下法浸透圧計等で測定することにより確認できる。即ち、顕微鏡での観察により、あるタンパク質を含む溶液において、氷結晶の成長が確認されなければそのタンパク質には不凍活性が認められ、また、形成された氷結晶がギザギザを有する形状、例えば、打製石器様若しくは星形等の形状を示した場合にも不凍活性が認められる。さらに、溶液における凝固点降下度が大きいほど不凍活性が高いといえる。
【0052】
本発明で得られた担子菌類由来の不凍タンパク質を含むサンプル及び魚類由来の不凍タンパク質を含むサンプルについて、氷結晶の成長、形成された氷結晶の形状、凝固点降下度を試験した。その結果、本発明の担子菌類由来の不凍タンパク質は、魚類由来の高活性型不凍タンパク質とその氷結晶の形状が異なり、また、溶液の凝固点降下度は約1.3倍であることが確認された。即ち、本発明の不凍タンパク質は、魚類由来のものの約1.3倍の不凍活性を有していることが明らかとなった。
【0053】
本発明の方法により得られた液状又は粉末状等の形態の不凍タンパク質は、その高度な不凍活性及び生産性の高さから、冷凍食品の品質保持、細胞の冷凍保存耐性の向上、冷熱供給システム又は冷熱蓄熱システムに有利に使用することができる。本発明のタンパク質は凍結防止剤の製造のために使用することもできる。本発明で得られたタンパク質は、数種を混合して使用することもできる。さらに、不凍タンパク質を産生する能力を有する担子菌類の抽出物も同様に不凍活性を有するため、上記用途に使用できる。
【0054】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)イシカリガマノホタケ由来の不凍タンパク質の製造
Difco社製ポテト・デキストロース液体培地1lを3l容三角フラスコに移し、121℃にて15分間オートクレーブ滅菌を行った。種菌としてTyphula ishikariensis BRB 株(イシカリガマノホタケBRB株)(受託番号:FERMP−18741)を接種し、−1℃で1ヶ月間培養し、培養液を得た。該培養液を遠心分離し、得られた上清液を透析した後、Q−及びS−バイオゲルカラムクロマトグラフィーで分画し、5種の精製タンパク質標品を得た。得られたタンパク質は下記の性質を有していた。
【0056】
タンパク質の分子量は、ドテシル硫酸ナトリウム ポリアクリルアミド電気泳動法で測定したところ、いずれも15〜30kDa、約22kDaであった。また、ゲルろ過法及び動的光散乱法より単量体であることが確認された。さらに、該タンパク質のN末端アミノ酸配列をエドマン法により決定した。得られた配列は、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Ala−Gly−Leu−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr、
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Val−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr、及び
Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr
の4種であり、データーベースとの照合の結果、いずれも新規のタンパク質であることが確認された。上記4種のN末端アミノ酸配列と実質的に相同なN末端アミノ酸配列を含むタンパク質も本発明に包含される。本発明の目的において、実質的に相同であるという語は、アミノ酸の少なくとも80%、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95〜100%が重複することを意味する。残り1種のタンパク質は、エドマン法によりN末端アミノ酸配列を決定することができず、なんらかの修飾を受けているものと推定された。
【0057】
(実施例2)Coprinus psychromorbidus 由来の不凍タンパク質の製造
Difco社製ポテト・デキストロース液体培地1lを3l容三角フラスコに移し、121℃にて15分間オートクレーブ滅菌を行った。種菌としてCoprinus psychromorbidus CCFC006721株を接種し、−1℃で1ヶ月間培養し、培養液を得た。該培養液を遠心分離し、得られた上清液を透析した後、Q−及びS−バイオゲルカラムクロマトグラフィーで分画し、3種の精製タンパク質標品を得た。得られたタンパク質は下記の性質を有していた。
【0058】
タンパク質の分子量は、ドテシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動法で測定したところ、いずれも15〜30kDa、約23kDaであった。また、ゲルろ過法より単量体であることが確認された。さらに、該タンパク質のN末端アミノ酸配列をエドマン法により決定した。得られた配列は、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala、
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Thr−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Ala及び
Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Asn−Leu−Gly−Thr−Ala−Lys−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Thr−Lys−Thr
であり、データーベースとの照合の結果、いずれも新規のタンパク質であることが確認された。上記3種のN末端アミノ酸配列と実質的に相同なN末端アミノ酸配列を含むタンパク質も本発明に包含される。本発明の目的において、実質的に相同であるという語は、アミノ酸の少なくとも80%、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95〜100%が重複することを意味する。
【0059】
(実施例3)抗イシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質抗体の製造
1mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0)の1mlにイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質の10mgを溶解した溶液をさらに加え、室温で3時間攪拌し、抗原溶液を作成した。注射器内で完全フロイントアジュバント(Freund's complete adjuvant)(FCA)と抗原溶液を攪拌し、乳濁液を作成し、ウサギ(Japanese white)に免疫した。以後二週間ごとに計4回免疫した。ただし、二回目の免疫からはFCAの代わりに、不完全フロイントアジュバント(Freund's incomplete adjuvant)を使用した。免疫したウサギから少量採血し、精製したイシカリガマノホタケ不凍タンパク質を使用し、ドットブロット解析を行い抗体価が上がっていることを確認した。その後、ウサギから大量採血を行った。血液を3.5時間室温放置後48時間低温室に放置して血餅を作らせ、その後3000gで遠心して血清を得た。この血清を4℃で保存し抗体として使用した。
【0060】
抗体の反応特異性を調べるために、−1℃で1ヶ月間培養した担子菌類培養液を試料とし、ドテシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動したのち、タンパク質染色とウエスタンブロット法を行った。フユガレガマノホタケ(T. incarnata)、アカエガマノホタケ(T. phacorrhiza)、Coprinus psychromorbidus、エノキタケ(Flammulina velutipes)では不凍タンパク質を検出できることも確認した。
【0061】
(実施例4)不凍活性の測定
1.氷結晶成長の観察
魚類由来の不凍タンパク質(TypeIII)及び実施例1で製造したTyphula ishikariensis BRB株(イシカリガマノホタケBRB株)由来の不凍タンパク質を、それぞれ0.1M炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH7.9)に0.25mg/mlの濃度で溶解してサンプルを作成した。直径1.2mm、厚さ0.8mmのワッシャーをマニキュアで接着した直径1.6mmのカバーグラスにサンプル3μlを乗せ、さらに直径1.25mmのカバーグラスを蓋としてワッシャーにマニキュアで接着した。この測定用セルを顕微鏡に設置した冷却ステージ上に置き、カバースリップを被せた。冷却ステージを冷却システムに接続し、コントローラーによりステージ温度を制御した。サンプル温度を−25℃まで冷却(−10℃/分)して凍らせた後、サンプルを加熱し、1つの氷核を残して氷を融解させた。サンプルを徐々に冷却(−0.05℃/分)し、氷結晶の成長を高感度CCDカメラシステムとビデオで記録した(図1)。魚類由来の不凍タンパク質を含むサンプルはバイピラミダル形の氷結晶を形成するのに対して、イシカリガマノホタケ由来の不凍タンパク質を含むサンプルは、打製石器様の氷結晶を形成した。
【0062】
実施例2で得られたCoprinus psychromorbidus由来の不凍タンパク質についても同様に氷結晶を観察したところ、同様に打製石器様の氷結晶を形成した。また、低温処理を行ったエノキタケの培養液及びヒラタケの培養液をサンプルとして同様に観察したところ、エノキタケの培養液については星形の氷結晶が確認され、ヒラタケの培養液については球状の氷結晶が確認された。
【0063】
イシカリガマノホタケ(Typhula ishikariensis)由来の不凍タンパク質及びCoprinus psychromorbidus由来の不凍タンパク質を含むサンプル及びエノキタケの培養液で形成された氷結晶を、−0.5℃にて1時間保持しても氷結晶の成長は確認されなかった。一方、ヒラタケの培養液では、氷結晶の成長が確認された。
【0064】
2.凝固点の測定
0.1M炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH7.9)に、魚類由来不凍タンパク質(Type III)及び実施例1で得られたTyphula ishikariensis BRB株(イシカリガマノホタケBRB株)由来不凍タンパク質を、濃度を変化させて、それぞれ溶解させたサンプル溶液50μlについて、氷点降下法浸透圧計を用いて総浸透圧値を測定し、凝固点を算出した。イシカリガマノホタケ株由来の不凍タンパク質のサンプル溶液は、魚類由来不凍タンパク質(Type III)のサンプル溶液と、低濃度域ではほぼ同様の凝固点を示した。一方、濃度10mg/ml以上では魚類由来不凍タンパク質(Type III)のサンプル溶液の凝固点が約−0.73℃で一定になるのに対して、イシカリガマノホタケ由来の不凍タンパク質のサンプル溶液では20mg/mlの濃度まで凝固点の降下が認められ、その最低値は約−0.96℃であった。融点との差、即ち凝固点降下度の値として図2に示す。以上の結果から、本発明の不凍タンパク質は、従来の不凍タンパク質よりも温度ヒステリシス効果が大きく、不凍活性が高いことが明らかとなった。
【0065】
(実施例5)イシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質遺伝子のクローニング
0℃以下で1ヶ月程度培養したイシカリガマノホタケBRB菌体1gから、RNA調整キット(QIAGEN社製)を用いてmRNAを抽出した。得られたmRNAをもとにcDNA作成キット(BD Bioscience is Clontech社製)を用いてcDNAおよびcDNAライブラリーを作成した。
【0066】
次いで、精製したイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質およびトリプシン処理によって得られたイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質ペプチドをプロテインシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)を用いて、N末端アミノ酸配列内部アミノ酸配列を決定した。得られた配列をもとにイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質の特異的プライマーを作成した。設計されたイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質の特異的プライマーを用いて上記cDNAを鋳型にPCR反応を行って、不凍タンパク質のDNAの一部を増幅し、増幅部分の断片を単離する。さらに3'/5'-RACE法を用いてcDNAライブラリーより、本発明の不凍タンパク質遺伝子全長を単離した。単離された7種類の不凍タンパク質遺伝子はデーターベースとの照合の結果、いずれも新規の遺伝子であることが確認された。上記7種の遺伝子の塩基配列を配列番号8、10、12、14、16、18又は20に、該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号9、11、13、15、17、19又は21に示す。
【0067】
(実施例6)イシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質の酵母発現系を用いた生産
クローニングによって得られたイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質遺伝子をメタノール資化性酵母発現系作成キット(インビトロジェン社製)を用いてメタノール資化性酵母(Pichia partoris)染色体上に挿入した。得られたメタノール資化性酵母形質転換体をBMMY培地で、25℃にて5日間培養すると、培地中にイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質を分泌した。培地を試料として氷結晶形状の観察を行うと不凍タンパク質に特異的な星形の氷結晶が観察された。これは、遺伝子組換え法を用いて生産したイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質が十分な不凍活性を示すことを意味している。
【0068】
【発明の効果】
これまで説明してきたように、担子菌類由来の不凍タンパク質は従来の不凍タンパク質と比べて、温度ヒステリシス活性、氷の再結晶阻害活性等の不凍活性が高い。また、菌類の持つ生物学的特性から容易に培養が可能で、大量の不凍タンパク質を安価に調製することができる。さらに、試験した担子菌類はいずれも人体に対する毒性が報告されていないことから、安全性も高いと考えられる。従って、本発明は、例えば、アイスクリーム等の冷凍食品の品質保持、細胞・組織の冷凍保存、又は冷熱供給システム、冷熱蓄熱システム等における凍結による配管系の閉塞の防止等において、不凍タンパク質の利用促進を図るための極めて実用的かつ有効な技術である。
【0069】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】魚類由来不凍タンパク質(Type III)又はイシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質を含むサンプル、低温処理を行ったエノキタケの培養液において形成される氷結晶の写真である。魚類由来不凍タンパク質(Type III)を含むサンプルでは、典型的なバイピラミダル構造の氷結晶が形成される。一方、イシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質を含むサンプル又はエノキタケの培養液では、ギザギザを有する形状、具体的には、それぞれ打製石器様又は星形の氷結晶が形成される。ヒラタケの培養液では、球状の氷結晶が形成される。
【図2】イシカリガマノホタケ由来不凍タンパク質及び魚類由来不凍タンパク質(Type III)を含む溶液の凝固点降下度を示す図である。

Claims (11)

  1. Typhula ishikariensis BRB(FERM P−18741)株の産生する分子量15〜30kDaの不凍タンパク質であって、
    以下のアミノ酸配列:
    Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Ala−Gly−Leu−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号1)、
    Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Val−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号2)、
    Ala−Gly−Pro−Thr−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号3)及び
    Ala−Gly−Pro−Ser−Ala−Val−Pro−Leu−Gly−Thr−Ala−Gly−Asn−Tyr−Ala−Ile−Leu−Ala−Ser−Thr(配列番号4)
    から選択されるN末端アミノ酸配列含む前記不凍タンパク質。
  2. Difco社製ポテト・デキストロース液体培地1lを3l容三角フラスコに移し、121℃にて15分間オートクレーブ滅菌を行い、種菌としてTyphula ishikariensis BRB(FERM P−18741)株を接種し、−1℃で1ヶ月間培養し、培養液を遠心分離し、得られた上清液を透析した後、Q−及びS−バイオゲルカラムクロマトグラフィーで分画して得られる、請求項1記載の不凍タンパク質。
  3. 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
    (a)配列番号9で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
  4. 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする不凍タンパク質遺伝子。
    (a)配列番号9で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
  5. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
    (a)配列番号8で表される塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号8で表される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質をコードするDNA
  6. 請求項又は記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  7. 請求項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  8. 請求項記載の形質転換体を培養し、得られる培養物から不凍タンパク質を採取することを特徴とする不凍タンパク質の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質を含む凍結防止剤。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質と特異的に反応する抗体。
  11. Typhula ishikariensis BRB(FERM P−18741)株。
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