JP2002507889A - Tenebrio不凍タンパク質 - Google Patents

Tenebrio不凍タンパク質

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Abstract

(57)【要約】 魚類不凍タンパク質の100倍までの比活性を有する熱履歴(不凍)タンパク質(THP)が、ゴミムシダマシ甲虫であるTenebrio molitorから単離および精製されている。cDNAクローニングおよび細菌中でのタンパク質の生成をもたらすタンパク質の内部配列決定により、8.4〜10.7kDa THPの正体および活性が確認された。これらは、主に、sys-thr-xaa-ser-xaa-xaa-cys-xaa-xaa-ala-xaa-thrという12アミノ酸の反復から構成される、ThrおよびCysがリッチなタンパク質である。55マイクログラム/mLの濃度では、THPは、凝固点を融点より1.6℃下に低下させ、そして約1mg/mL-の濃度では、THPまたはその改変体は、Tenebrio幼虫に見出される5.5℃の熱履歴を説明し得る。THPは、吸着阻害機構により機能し、そして曲がったプリズム面を有する卵形の氷晶を生じる。

Description

【発明の詳細な説明】 Tenebrio不凍タンパク質 関連出願の引用 本出願は、1997年6月2日に出願された米国特許出願第08/882,907号の一部継 続出願である。 発明の背景 現代では、冷蔵、特に凍結は、生物学的材料の保存の通常の、そして好ましい 手段になってきている。冷蔵は、サンプルのいくつかの重要な特性を保存するが 、他の特性は緩慢だが有意な速度で悪化し続ける。凍結保存は、この悪化の大部 分を停止させ得るが、凍結と融解との組合せは、他の重要な特性を破壊する他の 変化を導入する。 現代の世界では、凍結食品は、ヒトの食餌の頼みの綱となってきた。要求の厳 しい消費者の好みに十分な、高品質の製品を確実にするため、特に凍結野菜、そ してアイスクリームのような凍結デザートは、食品加工業者による広範囲な調査 の対象である。氷の再結晶化が、凍結食品の味覚およびテクスチャーに対してか なりの負の影響を有し得ることが現在公知である。無霜フリーザーの出現は、こ の状況を悪化させた。これは、輸送の間の温度変動とさらに伝統的に関連した。 零度より低い温度以外の温度、または持続した凍結温度での比較的短い期間の後 、多くの凍結食品は、ヒトの消費にはあまり好ましくなくなるか、または悪化し て全体に適切でなくなる。 再結晶化に伴う損傷を軽減するために種々の技術が実施されているが、制限さ れた成功しか達成されておらず、顕著な問題が残っている。しばしば、凍結食品 の加工の改変は、その品質、色、匂い、および/またはテクスチャーに強烈に影 響を与える。さらに、さらなる加工は、非常に高価でそして時間がかかり得、こ の技術を不経済にする。類似の困難性が、食料品に添加物を取り込ませることに 付随している。 生物製剤(例えば、治療薬物、血漿、組織培養における使用のための哺乳動物 細胞など)については、不凍剤は大量の損傷を生じ得る。例えば、凍結プロセス 自体が、大部分の真核生物細胞を殺傷し、そして1回でさえも凍結および融解の サイクルに供した細胞は、大いに減少した生存率を示す。生存細胞の機能の損傷 はまた、器官移植についての付随した欠点を有する、組織低温保存法において一 般的である。同様に、植物に対する霜または他の凍結損傷は、農業において深刻 な問題を提示する。最終的に、要求される厳密な温度条件下で維持されないなら ば、薬物が無効になるかまたは危険にさえなり得る。 タンパク質媒介熱履歴(以下で定義されるように、TH)の最初の記載は、Tene rbio molitor血液リンパにおいて、約30年前に注目され(Grimstoneら,Philos .Trans.B 253.343(1968))、これらの熱履歴タンパク質(THP)を精製する多 数の試みは、血液リンパの活性を説明する十分なTHを有する精製画分を得ること ができなかった(Grimstoneら,(1968);PatersonおよびDuman,J.Exp.Zool.2 10:361(1979);SchneppenheimおよびTheede Comp.Biochem.Physiol.67B:561(1 980);Tomchaneyら,Biochemistry 21:716(1982);PatersonおよびDuman J.Exp. Zool.219:381(1982);ならびに(Horwathら,Eur.J.Entomol.93:419(1996)) )。これらのタンパク質の均質性は証明されておらず、これらはアミノ酸組成が 互いに異なり、本明細書で報告する組成物とも異なる。 保存食品の保存および生物製剤の生存率を含む、低温での有機物質の保存特性 を改良するのに適切な新規な技術および組成物についての必要性が存在する。理 想的には、これらの技術および組成物は安価であり、依然として完全に安全であ り、そしてヒトによる消費またはインビボでの治療での使用に適切である。非有 機系(例えば、徐氷処置)における凝固点を低下させるかまたは凍結を阻害する のに適切な新規な技術および組成物についての必要性もまた存在する。本発明は 、これらおよび他の必要性を満たす。 発明の要旨 通常の黄色ゴミムシダマシ甲虫であるTenebrlio molitorは、温帯地域におけ る保存穀物の凍結耐性害虫である。幼虫は、−12℃の平均温度まで過冷され得る (JohnstonおよびLee,Cryobiol.27.562(1990))。凍結に対する防御の第2の 方針は、それらの血液リンパの熱履歴(TH)活性であり、この活性は、昆虫がそ れらの凝固点を氷または氷晶核形成物の存在下で低下させるのを可能にする。こ の活性は、氷を含有する溶液の凝固点と融点との間の温度差(℃)として定量さ れる。Tenebrio血液リンパにおけるTHの値は、測定方法および昆虫を飼育する条 件に従って、1℃〜10℃の範囲である(HansenおよびBaust,Biochim.Biophys .Acta 957:217(1988);ならびにPattersonおよびDuman,J.Exp.Biol.74:37(197 8))。 本発明は、Tenebrio幼虫における熱履歴を担うタンパク質をコードする核酸分 子を提供する。核酸配列決定は、12個の連続するアミノ酸のモチーフの少なくと も1反復を有する熱履歴タンパク質(THP)を予測する。この反復モチーフは、 システインおよびトレオニンがリッチである(配列番号1)。反復モチーフに加 えて、本発明のクラスのTHPのN末端は、16アミノ酸のモチーフ(配列番号3)で ある。 別の実施態様では、本発明は、本発明の核酸に由来する組換えタンパク質を提 供する。このタンパク質は、7〜13kDaの計算分子量、約8〜10のpI、および1m gタンパク質/mLで約1.5℃よりも大きなTH活性を有すると特徴付けられる。 本発明はまた、本発明のタンパク質に対して惹起された抗体、および本発明の タンパク質に結合する抗体を提供する。本発明は、免疫学的に反応性の条件下で 配列番号4を含む不凍タンパク質に特異的に免疫反応性な抗体を提供する。本発 明はまた、免疫学的に反応性の条件下で、請求項1に記載の核酸によりコードさ れるタンパク質を含む不凍タンパク質に特異的に免疫反応性な抗体を提供する。 本発明のさらなる実施態様では、形質転換された酵母、細菌、および他のトラ ンスジェニック生物が提供される。多くの凍結食料品は、持続した凝固温度以下 の温度または凍結-融解サイクルの反復に起因した氷晶の形成を被る。本発明のT HPの存在は、より長期の貯蔵寿命を提供し、これらの食料品をより口に合うよう にする。トランスジェニック動物および植物は、凝固温度以下の温度でより良好 に生存すると想像される。 本発明は、その生物またはその祖先に、ストリンジェントな条件下で配列番号 2もしくは5に特異的にハイブリダイズする外因性核酸配列、または請求項1に 記載の核酸が導入された生物を提供し、そしてこの生物は、外因性核酸を不凍タ ンパク質に翻訳する。生物から外部に発現される不凍タンパク質に翻訳される外 因性核酸配列を有する生物もまた提供される。好ましい実施態様では、生物は魚 類である。さらに好ましい実施態様では、生物は、海水環境に保持される魚類で あるか、または魚類はSalmonidae科のメンバーである。他の好ましい実施態様で は、生物は、植物、真菌、酵母、または細菌であり得る。別の実施熊様では、生 物が酵母である場合、酵母は、Torulopsis holmil、Saccharomyces fragilis、S accharomyces cerevisiae、Saccharomyces lactis、およびCandida pseudotropi calisからなる群より選択され得る。別の実施態様では、生物が細菌である場合 、細菌は、Escherichia coli、Streptococcus cremoris、Streptococcus lactis 、Streptococcus thermophilus、Leuconostoc citrovorum、Leuconostoc mesent eroides、Lactobacillus acidphilis、Lactobacillus lactis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、およびBifidobacterium longumからなる群 より選択され得る。THP配列で形質転換される植物は、ブドウ、脂肪種子植物( 例えば、カノラ)、穀物、柑橘類、およびサトウキビを含み得る。 本発明は、水溶液の凝固点を低下させるための方法であって、水溶液への不凍 タンパク質の添加を含む方法を提供する。好ましい実施態様では、この方法は、 水溶液への、請求項1に記載の核酸によりコードされる不凍タンパク質の添加を 含む。別の好ましい実施態様では、水溶液は、生物に適用され;不凍タンパク質 は、組換え手段により生成され:不凍タンパク質は、請求項13または請求項1 4に記載の抗体に特異的に結合し得;不凍タンパク質は、YL-1、YL-2、YL-3、お よびYL-4からなる群より選択され;そして/または不凍タンパク質は、配列番号 2または5に記載の核酸に特異的にハイブリダイズする核酸分子によりコードさ れる。 さらに、水溶液への本発明のTHPの添加は、輸送中の生物または他の生物製剤 をより良好に保存し得ることが意図される。 本発明の性質および利点のさらなる理解は、明細書の残りの部分、図面、およ び請求の範囲を参照することにより理解され得る。 図面の簡単な説明 そしてフェニルチオカルバミドを含まない血液リンパ緩衝液で溶出した、希釈Te nebrio血液リンパのクロマトグラムである(本文を参照のこと)。 図2は、合わされ、そして0.05%トリフルオロ酢酸中の0.4%アセトニトリル /分の勾配を用いるC18分析用カラム(Vidac)での逆相HPLCによりクロマトグラ フィーされた、ゲル排除クロマトグラフィー由来の選択された活性画分のクロマ トグラムである。 図3は、凍結乾燥され、そして50μLの0.1M NH4HCO3(pH8.0)中に再懸濁され た逆相HPLC画分の15% SDS-PAGEである。ゲルを、Silver Stain Plus Kit(Bio- Rad)を用いて染色した。およその分子量を、MALDI質量分析法により決定した。 図4は、Tenebrio血液リンパの熱履歴活性の双曲線的性質を示す、グラフであ る。 図51〜IVは、Tenebrio THP(IおよびII)および魚類不凍タンパク質(III およびIV)の存在下で成長させた氷晶のマイクロ写真である。 図6は、イソ型の組換え体THP(YL-1、YL-2、YL-4、YL-3、および5-15は、そ れぞれ、配列番号10、12、14、16、および18である)のアラインメントチャート である。ヌクレオチドが全てのcDNA配列において保存される位置(コンセンサス =配列番号20)を、アスタリスク(*)により印をつける。完全なアミノ酸配列 を、YL-1(配列番号11)のみについて示す。YL-1において見出される残基と同じ 他のイソ型の残基(YL-2、YL-4、YL-3、および5-15は、それぞれ、配列番号13、 15、17、および19である)を、ピリオド(.)により示す。差違を、見出される 場所において太字により示す。cDNA配列およびタンパク質配列の両方におけるギ ャップを、ダッシュ(-------)により示す。 発明の詳細な説明 本発明は、新規なクラスの不凍タンパク質(THP)をコードする単離された核 酸配列に関する。天然のTHP遺伝子を得るための手順は、一般的にTenebrio moli tor由来の遺伝子ライブラリーを構築または入手すること、所望の遺伝子を検出 および単離すること、それをクローニングすること、ならびに適切な宿主細胞中 でそれを発現させること、および、次いで発現したタンパク質を精製することを 含む。天然のタンパク質は、改変なしで使用され得るか、またはTH活性に影響を 与えることなしに種々の方法で改変され得る。 精製されたタンパク質のアミノ酸組成および推定成熟配列は非常に類似してい る。THPは、特にCys(18〜19%)およびThr(20〜26%)に富み、そしていくつ かの疎水性アミノ酸、特にLeuおよびIleが不足している。全体の親水性は、およ そ55%であり(Wishardら、Comput.Appl.Biosci.10:121(1994))、これは魚 ci.4:460(1995))よりもはるかに高い。 成熟THPの一次構造は非常に変わっており(図4)、そしていかなる公知の配 列とも類似していない。最初の20アミノ酸は、不規則な間隔で間隔があいている 6つのCys(Cx5Cx2Cx3Cx2Cx2C;配列番号22)を含み、そしてこの配列は、タ ンパク質の末端まで続く最初の一連の12アミノ酸反復と重複する。Cysはこの領 域を通じて6残基間隔で反復し、これはコンセンサス配列CTxSxxCxxAxT(配列番 号1)を有する。N末端Cys間隔は、亜鉛結合モチーフと共通したいくつかのエレ メントを有する(KlugおよびSchwabe,FASEB J.9:597(1995))。しかし、10mM EDTAまたは10mMフェナントロリンに対して大量に透析し、続いてキレート剤を含 まない調製液(22℃で1時間インキュベート)に、2mM ZnCl2(または2mM CaCl2 )を添加しても活性に影響はなく、このことはTH活性において二価金属イオンの 役割は存在しないことを示唆する。少なくともいくつかのCys残基が、ジスルフ ィド架橋に関与する。なぜなら、10mMジチオスレイトールとともに37℃で20分間 インキュベートすると、すべての活性が消失するからである。一方、還元剤の非 存在下では、同じ条件下では活性は失われない。N-エチルマレイミドは、TH活性 に効果がない。このことは、遊離のCysが存在する場合、これらは、活性を損失 することなく改変され得ることを示唆する。 THP改変体間の長さの違いは、多数の12アミノ酸反復を示し、各々の反復が、 機能的なドメインを形成し得ることを示唆する。THP反復は短いが、これらの反 復は独立して折り畳まれて鎖を形成し得る。この鎖は、タンパク質の実際の分子 量および見かけの分子量の間の矛盾(下記参照)を非対称性に起因するものとし て、説明し得る。 Tenebrio THPと魚類AFPとの間に構造的な類似性は存在しない。魚類のII型AFP は、10個のCysを含み、Cysの間隔においていかなる反復構造も規則性も示さない 。魚類のI型AFPおよび不凍糖タンパク質は、反復エレメントを形成するが、どち らもCysを含まない(DaviesおよびHew、FASEB J.4:2460(1990))。しかし、Ten ebrio THPにおいて最も豊富な残基であるThrもまた、魚類AFPのI型およびIII型 の氷表面への結合において中心的な役割を演じていると考えられているアミノ酸 であることは興味深い(WenおよびLaursen、J.Biol.Chem.267:14102(1992); およびChaoら、Prot.Sci.3:1760(1994))。 しかし、魚類不凍タンパク質と同様に、Tenebrio THPは、吸着阻害機構によっ て作用するようである。約1℃の熱履歴を産生するために十分なTHPの存在下の氷 晶は、非平衡凝固点を超えるまでは成長を止める。この点において、氷晶は、氷 晶核形成物から突然現れてa-軸に沿った氷の硬い塊を形成する。低い熱履歴活性 において、氷の前面は広く、滑らかである。しかし、高い熱履歴値においては、 氷の前面はもはや滑らかではない。対照的に、魚類AFPの存在下で一旦凝固点を 超えると、無数の針状の氷がC-軸に沿って、およびC-軸に平行に突然現れる。 さらに、魚類AFP(DeVries、Annu.Rev.Physiol.45:245(1983))に類似して 、TH活性とTHP濃度との関係は、双曲線型である。しかし、THPの存在下で形成し た氷晶は、それらの表面に明白な湾曲を有するという点で変わっている。対照的 に、魚類AFPのI型およびIII型によって生成される水晶は、平坦な、明確な面を 有する六方晶系の両錐である。 精製された、発現されたTHPタンパク質は、直接的に水溶液に添加されて凝固 点を低下させるか、または別の実施熊様において、不凍タンパク質を発現する形 質転換生物は、冷菓のような、凍結して保存する品目に添加され得る。なお別の 実施態様において、形質転換された生物(例えば魚類、植物、および酵母)は、 細胞外にTHPタンパク質を発現する必要はないが、THP遺伝子および細胞内タンパ ク質の存在は、凝固温度で生き残る能力の増加をその生物に与える。例えば、形 質転換された生物は、塩水魚類であり得る。形質転換される塩水魚類は、不凍タ ンパク質を有さないか、十分なレベルの不凍タンパク質を有さない、Salmonidae 科のメンバー、オヒョウ、ギンダラ、または任意の食用の塩水種を含み得る。TH P配列で形質転換される植物は、ブドウ、脂肪種子植物(例えば、カノラ)、穀 類、柑橘類、およびサトウキビを含み得る。 本明細書中に引用されるすべての出版物、特許、および特許出願は、すべての 目的のためにそれによって明確に参考として援用される。 I.定義 用語「抗体」は、分析物(抗原)に特異的に結合し、そして認識する、免疫グ ロブリン遺伝子によって実質的にコードされているポリペプチド、またはそのフ ラグメントをいう。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、 εおよびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含 む。軽鎖はκまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、 またはεとして分類され、これは次には免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA 、IgD、およびIgEとしてそれぞれ定義する。 例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。各々のテト ラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各々の対は1つの「軽」 鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各々の鎖のN-末端 は、抗原の認識を主に担う約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を規定する。用 語可変軽鎖(VD)および可変重鎖(VH)とは、これらの軽鎖および重鎖をそれぞ れいう。 抗体は、例えばインタクトな免疫グロブリンとして、または、種々のペプチダ ーゼを用いる消化によって作製される、多数の十分に特徴付けられたフラグメン トとして存在する。従って、例えば、ペプシンはヒンジ領域のジスルフィド結合 の下の抗体を消化して、F(ab)'2を産生する。これは、Fabのダイマーであり、そ れ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖である。F(ab)'2は 、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域中のジスルフィド結合を開裂し得、そ れによってF(ab)'2ダイマーをFab'モノマーに転換する。Fab'モノマーは、本質 的にはヒンジ領域の部分を有するFabである(FUNDAMENTAL IMMNOLOGY,第3版., W. E.Paul,編、Raven Press,N.Y.(1993)を参照のこと)。種々の抗体フラグメ ントがインタクトな抗体の消化によって定義されるが、当業者は、このようなフ ラグメントが化学的または組換えDNA方法論を利用することによって新規に合成 され得ることを理解する。従って、本明細書中で使用する用語、抗体は、抗体全 体の改変によって産生されるか、または組換えDNA方法論を使用して新規に合成 された抗体フラグメント(例えば、単鎖Fv)のいずれの抗体フラグメントもまた 含み得る。 「不凍タンパク質抗体」は、本発明の不凍タンパク質またはそのサブ配列に特 異的に結合する、抗体または抗体フラグメントである。 用語「不凍タンパク質」は、Tenebrio molitorゴミムシダマシおよび植物のよ うな、いくつかの変温生物(これは、非束一的に水の凝固点を下げるという一般 に公知の特性を有する)の体液に見出されるタンパク質をいう。不凍タンパク質 はまた、「熱履歴タンパク質」(THP)としても公知である。本明細書中で使用 されるように、「不凍タンパク質」または「THP」は、天然に存在する不凍タン パク質に実質的な類似性を有するタンパク質配列を有し、そして天然の不凍タン パク質の特性を保持する、化学的に合成されたおよび組換え的に産生されたポリ ペプチドを含む。 句「コンセンサス配列」は、多くの実際の配列が比較される場合に、各々の位 置が最もしばしば見出される残基または塩基を示す、核酸またはアミノ酸の配列 をいう。配列番号1は、本発明のタンパク質中に見出される反復モチーフのコン センサス配列である。 句「保存性アミノ酸」は、2つ以上の適切にアラインメントされたTHPモチー フ配列において共通するアミノ酸残基をいう。保存性アミノ酸配列は、ペプチド 内またはペプチド間であり得る。例えば、本発明のTHPにおいて、アミノ酸モチ ーフは6つの保存性アミノ酸のうちの5つからなり得、または言い換えれば、任 意の特定のモチーフの6アミノ酸残基のうちの5アミノ酸残基が、1つのTHPア ミノ酸配列内、または2つ以上のTHPアミノ酸配列内のいずれかのモチーフの6 アミノ酸のうちの5アミノ酸と共通である。 用語「連続するアミノ酸モチーフ」は、ポリペプチドまたはタンパク質に存在 するアミノ酸の反復パターンをいう。各々の反復中のアミノ酸は同じでなくても よいが、すべてに共通なパターンが存在するべきである。例えば、本発明のタン パク質のクラスにおいて、反復するアミノ酸モチーフ、cys-thr-xaa-ser-xaa-xa a cys-xaa-xaa-ala-xaa-thr(ここでxaaは任意のアミノ酸)が存在する。 用語「甲殻類」とは、この語の共通の定義、すなわちCrustacea綱の主に水生 の節足動物(ロブスター、小エビ、カニ、およびフジツボ目甲殻類を含む)をい う。 用語「水溶液の凝固点を低下させること」とは、氷晶が形成し、そして成長す る水溶液の温度を低下させることをいう。凝固点の低下は、凝固点を減少させる ために使用される薬剤および水溶液中のその濃度の両方に依存する。凝固点低下 は、最大の低下が特有の濃度において観察されるまで、不凍成分が水溶液に添加 されるに従って増大する。さらなる不凍化学薬品(例えば、エチレングリコール )の水溶液への添加は、不凍組成物の不溶性を生じるか、または混合液の凝固点 を上昇させるように作用するかのいずれかである。一方、THP濃度の増加に伴う 熱履歴の増大は、直線型ではなく双曲線型である。THP濃度の単位増加から生じ るTHの増分増加は、THP可溶性の飽和点が接近するに従って、ますますより小さ くなる。 THPタンパク質を有する溶液の凝固点は、氷晶核形成物を含む測定される試料 が、硬い氷の塊になる温度として定義される。氷晶は、自発的に形成され得るか 、または氷晶核形成物から拡大し得る。氷晶核形成物なしでの氷の硬い塊の自発 的形成は、代表的にはTHPの「過冷却能」と呼ばれる。氷の形成過程を開始する 氷晶核形成物の非存在のために、過冷却はずっと低い温度で起こり得る。 目視的に氷晶形成を検査することに加えて、熱履歴アッセイは、溶液の凝固点 と融点との間の違いを測定し得る。溶液の融点は、溶液中に1つの氷晶のみが残 っている温度である(TH活性のより完全な記載については下記参照)。 組換えタンパク質の状況における、句「外部に発現する」とは、タンパク質を 合成し、そして細胞外マトリクスに方向付ける、形質転換細胞の能力をいう。細 胞外マトリクスは、多細胞生物における細胞間の間質空間、細菌ブロス、または 組織培養培地であり得る。細菌の場合、外部発現はまた、細菌のペリプラズムへ の組換えタンパク質の発現を含み得る。外部発現は、任意の手段(例えば、分泌 および輸送小胞、膜タンパク質としての発現、切断可能なシグナルペプチドの発 現など)により得る。 本発明の状況における、用語「相同性」、「配列同一性」、および「配列類似 性」は、2つのペプチド配列が、例えばプログラムGAPまたはBESTFITによって、 デフォルトギャップウェイトを用いて最適にアラインメントされた場合、少なく とも40%の配列同一性、好ましくは少なくとも50%の配列同一性、そして最も好 ましくは少なくとも60%の配列同一性を共有することを意味する。「アミノ酸配 列同一性百分率」とは、最適にアラインメントされた場合に、ほぼ指定された百 分率の同じアミノ酸を有する、2つのポリペプチドのアミノ酸配列の比較をいう 。例えば、「60%配列同一性」および「60%相同性」とは、最適にアラインメン トされた場合に、60%のアミノ酸同一性を有する、2つのポリペプチドのアミノ 酸配列の比較をいう。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換 によって異なる。例えば、類似の化学的特性(例えば、電荷または極性)を有す るアミノ酸の置換が、タンパク質の特性に影響を与えそうでない。例は、グルタ ミンへのアスパラギンの置換、グルタミン酸へのアスパラギン酸への置換を含む 。 用語「免疫学的に反応性の条件」とは、抗体が抗原に結合し得る環境をいう。 代表的には、これは免疫学的結合アッセイである。 用語「単離された」は、核酸またはタンパク質に適用した場合、核酸またはタ ンパク質が天然状態では結合している他の細胞構成成分を本質的に含まないこと を意味する。それは好ましくは均質な状態にあるが、乾燥状態または水溶液のい ずれかであり得る。純度および均質性は、代表的には、ポリアクリルアミドゲル 電気泳動(PAGE)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のような分析化学 技法を用いて決定される。調製物に存在する優勢種であるタンパク質は、実質的 に精製されている。 特に、単離されたTHP遺伝子は、天然には遺伝子と隣接し、そしてTHP以外のタ ンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。用語「精 製された」は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル中で本質的に1本のバン ドを生じることを意味する。特に、それは核酸またはタンパク質が少なくとも8 5%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、そして最も好ましくは少なくと も99%純粋であることを意味する。 用語「核酸分子」または「核酸配列」は、1本鎖または2本鎖の形態のデオキ シリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそのポリマーをいう。特に限 定されない場合、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、そして天然に 生じるヌクレオチドと同様の様式で代謝される、天然のヌクレオチドの公知のア ナログを含む核酸を含む。他に示されない場合には、特定の核酸配列はまた、暗 黙のうちに、保存的に改変されたその変異体(例えば、縮重コドン置換)および 相補的配列ならびに明白に示される配列を含む。詳細には、縮重コドン置換は、 1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第3位が混合塩基および/ま たはデオキシイノシン残基で置換される配列を生成することによって達成され得 る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem .260:2605-2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。 用語核酸は、遺伝子、cDNA、および遺伝子にコードされるmRNAと交換可能に用い られる。 句「外因性核酸」は、一般的に、単離され、クローニングされ、そして連結さ れ、または化学的に合成され、そして天然には結合されていない核酸に連結され 、そして/またはその核酸またはタンパク質が代表的に天然に見出され得る細胞 または細胞環境ではない細胞もしくは細胞環境中に、導入されるか、そして/ま たは発現される核酸を意味する。この用語は、異なる生物またはその核酸が発現 される細胞型以外の、細胞型からもともと得られる核酸、およびまたその核酸が 発現される細胞株と同じ細胞株から得られる核酸の両方を含む。 句「コードする核酸配列」とは、構造RNA(例えば、rRNA)、またはtRNA、あ るいは特定のタンパク質もしくはペプチド、またはトランス作用調節因子の結合 部位の一次アミノ酸配列をコードする、mRNAについての配列情報を含む核酸をい う。この句は、天然の配列、または特定の宿主細胞におけるコドン優先度に一致 させるために導入され得る配列の縮重コドン(すなわち、単一のアミノ酸をコー ドする異なるコドン)を特異的に含む。 用語「組換え手段」とは、タンパク質が単離され、ここでタンパク質をコード するcDNA配列が同定され、そして発現ベクターに挿入される技法をいう。次いで ベクターは、細胞に導入され、そしてこの細胞はタンパク質を発現する。組換え 手段はまた、異なる供給源からのコードDNAまたはプロモーターDNAの、融合タン パク質の発現、タンパク質の構成的発現、またはタンパク質の誘導性発現のため の1つのベクターへの連結を含む。 句「特異的または選択的に抗体に結合する」または「特異的に免疫反応性」は 、タンパク質またはペプチドについて言及する場合に、タンパク質の異種集団お よび他の生物製剤の存在下でタンパク質の存在の決定因である結合反応をいう。 従って、示されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体が特定のタンパク質に結 合し、そして試料中に存在する他のタンパク質には有意な量では結合しない。こ のような条件下での抗体に対する特異的な結合は、特定のタンパク質に対してそ の特異性について選択された抗体を必要とし得る。例えば、本発明のTHPに対し て惹起された抗体、または配列番号4に示される部分コード配列に対して惹起さ れた抗体は、全長タンパク質に特異的に免疫反応性であり、そしておそらく多型 性改変体以外の他のタンパク質には免疫反応性でないように選択され得る。以下 に記載されるように、種々のイムノアッセイ形式は、特定のタンパク質に特異的 に免疫反応性である抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相ELISAイ ムノアッセイが、日常的に使用されてタンパク質と特異的に免疫反応性であるモ ノクローナル抗体を選択する。特異的な免疫反応性を決定するために使用され得 るイムノアッセイの形式および条件の記載について、HarlowおよびLane(1988) ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Publications,New Yo rk(「Harlow & Lane」)を参照のこと。代表的には、特異的または選択的反応 はバックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍であり、そしてより 代表的にはバックグラウンドの10〜100倍より多い。 用語「特異的にハイブリダイズする」とは、標的配列が全細胞DNAまたはRNAの 調製物に存在する場合に、特定の標的DNA配列または標的RNA配列にハイブリダイ ズするか、二量体形成するか、または結合する核酸プローブをいう。「相補性」 または「標的」核酸配列は、核酸プローブに選択的にハイブリダイズする核酸配 列をいう。適切なアニーリング条件は、例えば、プローブの長さ、塩基組成、 およびミスマッチの数およびそれらのプローブ上の位置に依存し、そしてしばし ば経験的に決定されなければならない。核酸プローブ設計およびアニーリング条 件の議論については、例えば、SambrookまたはCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley-Interscience,New Yor k(1987)(「Ausubel」)を参照のこと。 核酸ハイブリダイゼーション実験(サザンハイブリダイゼーションおよびノー ザンハイブリダイゼーション)の状況における「ストリンジェントなハイブリダ イゼーション」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」 は、配列依存性であり、そして異なる実験パラメーター下で異なる。核酸のハイ ブリダイゼーションに対する広範なガイドは、Tijssen(1993)LABORATORY TECH NIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY--HYBRIDIZATION WITH NUCLEIC ACID PROBES第I部第2章「Overview Of Principles Of Hybridization And The Strategy Of Nucleic Acid Probe Assays」,Elsevier,New Yorkに見出される 。一般的に、高ストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、規 定されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列についての熱融解点(Tm)よ りも約5℃低く選択される。Tmは、規定されたイオン強度およびpH下で、標的配 列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。非常にス トリンジェントな条件は、特定のプローブについてのTmに等しいように選択され る。サザンブロットおよびノーザンブロットにおけるフィルター上に100より多 い相補性残基を有する相補的な核酸のハイブリダイゼーションのストリンジェン トなハイブリダイゼーション条件の例は、ヘパリンを含む50%ホルムアミドで42 ℃であり、一晩のハイブリダイゼーションが行われる。非常にストリンジェント な洗浄条件の例は、0.15M NaClで、72℃で約15分間である。ストリンジェントな 洗浄条件の例は、0.2×SSC洗浄で、65℃で15分間である(SSC緩衝液の記載につ いては、Sambrook、前出を参照のこと)。しばしば、高いストリンジェンシーで の洗浄は、バックグラウンドプローブシグナルを除去するための低いストリンジ ェンシーでの洗浄のあとに行われる。(例えば、100ヌクレオチドより多い)二 重鎖についての中程度のストリンジェンシーでの洗浄の例は、1×SSCで45℃、1 5分間である。(例えば、100ヌクレオチドより多い)二重鎖についての低いス トリンジェンシーでの洗浄の例は、4〜6×SSCで40℃、15分間である。一般的に 、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおける関連のないプローブについて 観察されるシグナル対ノイズ比の2倍(またはそれより多い)のシグナル対ノイ ズ比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。核酸がコードするポリ ペプチドが実質的に同一である場合に、ストリンジェントな条件下で互いにハイ ブリダイズしない核酸はなお、実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコ ピーが遺伝コードによって許容される最大のコドンの縮重を使用して作製される 場合に生じる。 用語「熱履歴活性」または「TH活性」とは、氷を含有する溶液の凝固点および 融点の間の温度差(℃)を変化させる能力をいう。好ましくは、TH活性は、Laws onおよびSemler(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9919(1991))によって示され た手順に従い、ナノリットル浸透圧計中の、氷晶形成の観察によって計測される 。あるいは、TH活性は、deVries、METHODS IN ENZYMOLOGY、127巻、Packer(編) 、Academic Press、New York(1986)において記載される方法またはそのバリエー ションに従って、決定され得る。 例えば、本発明において、血リンパ由来のネイティブTenebrio molitor THP約 1mg/mLのTH活性は、約5℃より大きい。本発明の組換えTHP約1mg/mLのTH活性は 、約5℃以下である。より好ましくは、TH活性は、約3℃よりも低い。最も好ま しくは、TH活性は、1.5〜3℃の間である。ネイティブTHPと組換えTHPのTH活性の 間の差は、細菌由来の組換えタンパク質のTHPの少なくとも一部の不完全なフォ ールディングに起因するとの仮説がたてられている。適切にフォールディングさ れる場合、組換えTHPのTH活性は、ネイティブTHPの活性と類似であることが予想 される。 II.THPをコードする核酸 A.一般的技術 本発明の核酸組成物(RNA、cDNA、ゲノムDNA、または遺伝的組換え体のハイブ リッドのいずれか)は、天然の供給源から単離され得るか、またはインビトロに おいて合成され得る。請求の範囲の核酸は、形質転換細胞においてか、形質転換 細胞溶解物においてか、または部分精製された形態においてか、または実質的に 精製された形態において存在し得る。 不凍タンパク質をコードする遺伝子の核酸操作技術(例えば、ライブラリーの 作成、発現ベクターへのサブクローニング、プローブの標識化、DNAハイブリ ダイゼーションなど)は、一般的にSambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATO RY MANUAL(第2版)、1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.(1989)(「 Sambrook」)において記載され、これは本明細書において参考として援用される 。 核酸およびタンパク質は、本明細書において、当該分野において周知の任意の 多数の手段によって検出および定量される。これらとしては、スペクトロメトリ 、ラジオグラフィー、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高性能液体クロマトグ ラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ハイパーディフュージョ ンクロマトグラフィーなど、および種々の免疫学的方法(例えば、液体またはゲ ル沈降素反応、免疫拡散(一重または二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッ セイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイなど)の ような分析的生化学的方法が挙げられる。サザン分析、ノザン分析、ゲル電気泳 動、 うな周知の方法によって進められる核酸の検出。 B.THPをコードする核酸の単離 全DNAまたはmRNAを単離する方法は、当業者にとって周知である。例えば、核 酸を単離および精製する方法は、LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULA RBIOLOGY:HYBRIDIZATION WITH NUCLEIC ACID PROBES、第1部、Theory and Nucleic Acid Preparation、P.Tijssen編、Elsevier,N.Y.(1993)(「Tijss en」)の第3章に詳述される。 1.DNAライブラリーの調製およびスクリーニング 本発明の不凍タンパク質をコードするDNA配列を単離するための種々の方法が 存在する。例えば、DNAは、ゲノムまたはcDNAライブラリーから、本発明におい て開示される配列またはサブ配列(配列番号2または5)に対して相補的な配列 を有する標識化オリゴヌクレオチドプローブを使用して、単離され得る。そのよ うなプローブは直接ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、THPイソ型をコ ードするDNAを単離するために使用され得る。あるいはプローブは、PCRのような 増幅技術における使用のために設計され得、そしてTHPをコードするDNAは、PCR のような方法を使用して単離され得る(下記を参照のこと)。 cDNAライブラリーを調製するために、mRNAは、Tenebrio幼虫(Carolina Biolog ical Supplyまたは地域のペットショップもしくはエサ屋)もしくは組織培養にお いて増殖した胚細胞、幼虫細胞またはおそらく成体細胞より単離される。cDNAは 、当該分野において周知の手順に従い、mRNAより逆転写され、そしてベクター中 に挿入される。ベクターは、組換え宿主中に、増殖、スクリーニングおよびクロ ーニングのためにトランスフェクトされる。cDNAライブラリーの作成およびスク リーニングのための方法は、周知である。GublerおよびHoffman、Gene 25:263(1 983)ならびにSambrookらを参照のこと。 ゲノムライブラリーを作成するために、全DNAを昆虫細胞より、周知の方法に よって抽出し(Sambrookらを参照のこと)、次に機械的にせん断するか、または 酵素的に消化して、DNAフラグメント(例えば、約12〜20kbの)を得る。フラグ メントは次に勾配遠心分離によって、所望されないサイズから分離され、そして 、バクテリオファージλまたは他のベクター中に挿入される。これらのベクター (例えば、ファージ)は、インビトロにおいて、Sambrookらにおいて記載される ようにパッケージングされる。組換えファージは、BentonおよびDavis、Science 、196:180(1977)に記載されるようにプラークハイブリダイゼーションによっ て分析される。コロニーハイブリダイゼーションは、一般的に、GrunsteinらPro c.Natl.Acad.Sci.USA 72:3961(1975)において記載されるように行われる。 THPをコードするDNAは、cDNAまたはゲノムライブラリーのいずれかにおいて、 例えば、配列番号2または5の核酸プローブとハイブリダイズする能力によって 同定される。一旦同定されると、これらのDNA領域は、当業者に精通した標準的 な方法によって単離される。あるいは、不凍タンパク質をコードするRNAは、ノ ザンブロットにおいて核酸プローブとハイブリダイズするその能力によって同定 され得る。Sambrookらを参照のこと。 プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、BeaucageおよびCarruthers によって最初に記載された固相ホスホロアミダイトトリエステル方法に従い、Ne edham-VanDevanterら(Nucleic Acids Res.12:6159(1984))に記載されるよう に自動化合成機を用い、化学的に合成される。オリゴヌクレオチドの精製は、Pe arsonおよびRegnier(J.Chrom.255:137-149(1983))に記載されるように、ネ イティブアクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換HPLCのいずれかによる 。合成オリゴヌクレオチドの配列は、MaxamおよびGilbert(Methods in Enzymolo gy,65:499(1980))の化学的分解方法を使用して確認され得る。 当業者にとって公知の他の方法はまた、不凍タンパク質をコードするDNAを単 離するために使用され得る。特定のタンパク質分子をコードするDNAの単離につ いて使用され得る他の技術の記載は、SambrookおよびAusbelを参照のこと。 2.THPをコードする核酸の増幅 頻繁に、ハイブリダイゼーションおよびそれに続くサブクローニングの前に、 核酸試料を増幅することが所望される。当業者は、どのような増幅方法が使用さ れようとも、定量的結果が所望される場合、増幅される核酸の相対的頻度を維持 または制御する方法を使用するように注意が払われなければならないことを理解 する。適切な増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(PCRP ROTOCOLS、A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS、Innisら、Academic Press、Inc、N.Y.、( 1990)、(「Innis」))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace、Genomics、 4:560(1989)、(「Wu」)、Landegrenら、Science、241:1077(1988)、(「Land egren」)およびBarringerら、Gene、89:117(1990)、(「Barringer」);転写増 幅(Kwohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86.1173(1989)(「Kwoh」));および、 自己維持的配列複製(Guatelliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874(1990) )(「Guatelli))が挙げられるが、これらに限定されない。 上記の全ての方法は、不凍タンパク質をコードするDNAを調製するために使用 され得る。PCR技術において、増幅されるべきDNA領域の2つの境界に相補的なオ リゴヌクレオチドプライマーが、合成される。次に、ポリメラーゼ連鎖反応は、 2つのプライマーを用いて行われる(Innisを参照のこと)。本発明において、 反復モチーフの存在のために、増幅産物にコードされるTHP配列の長さは、使用 される鋳型に依存する。NおよびC末端が独特であるために(すなわち、反復モチ ーフとは異なるヌクレオチド配列)、全長THPコード配列を増幅するために、配 列番号6および7のプライマーが使用され得る。 PCRは、種々のプロトコールにおいて、THPの部分配列をコードする核酸を単離 するために使用され得る。これらのプロトコールにおいて、THPの部分配列をコ ードするDNA配列を増幅するための適切なプライマーよびプローブは、本明細書 において列挙されるDNA配列の分析から生成される。例えば、配列番号6、7, 8、および9のオリゴヌクレオチドは、PCRプロトコールにおいて、THPをコード するDNAの領域を増幅するために使用され得る。一旦のそのような領域が、PCR増 幅されると、これらは配列決定され得、そして、標識されたオリゴヌクレオチド プローブは、得られた配列から調製され得る。これらのプローブは、次に、DNA ライブラリーから完全なTHPをコードするDNAを単離するために使用され得る。 配列番号2および5は、天然に存在するTenebrio molitor THP cDNAのイソ型 を表す。これらは完全なDNA遺伝子配列ではない。しかし、配列番号2または5 の部分不凍剤の核酸配列は、当業者にとって周知の標準的な方法に従い完成され 得る。好ましいDNA単離のアプローチは、RACEである。手短には、この技術は、 ランダムな5'プライマーおよび規定された3'プライマー(5’RACE)、またはラ ンダムな3'プライマーおよび規定された5'プライマー(3’RACE)を用いてcDNA 配列を増幅するために、PCRを用いることを含む。この増幅された配列は、次に 、ベクターにサブクローン化され、ここで次に標準的な方法を用いて配列決定さ れる。RACE法は、当業者に周知であり、そしてRACEを行うキットは、市販されて いる(例えば、5’RACE System、GIBCO BRL、Grand Island、New York、USA)。 3.THPをコードするインサートの細菌へのクローニング 上記のように、ゲノムDNAを調製およびスクリーニングするために、全DNAは断 片化され、そしてバクテリオファージ中に挿入される。一旦、目的の不凍剤核酸 配列を含むインサートが同定されると(PCR、ハイブリダイゼーションなどによ る)、これらは、λファージベクターから切り出され、拡大のために細菌ベクタ ーに挿入される。代表的には、適切な細菌ベクターは、当業者に公知であり、そ して市販されている。最も適切なベクターは、使用するべき細菌、インサートの サイズ、目的のインサートを含有する細菌の検出方法および実施者の好みに依存 し得る。 インサートを含有するベクターを用いて形質転換された細菌のコロニーの同定 を単純化するために、多くのベクターは、酵素(特にβガラクトシダーゼ)のコ ード配列内に位置する、制限酵素部位または他のスプライシング部位を有する。 インサートがベクターの制限部位またはスプライス部位に首尾良く挿入された場 合、コードされる酵素は不活化される。ベクターを用いる細菌の形質転換後(下 記を参照のこと)、イソプロピルβ-D-チオガラクトシド(IPTG)(βガラクトシ ダーゼの基質)の存在下において増殖するコロニーは白く現れるが、インサート を取り込まなかった細菌由来のコロニーは、青く現れる。従って、インサートの ベクターへのライゲーションの頻度が低い場合、多くのインサートを含まないコ ロニーに対して、インサートを含む数個のコロニーを選び得る。 次にベクターは、Escherichia coliの改変体に導入される。外来DNAを細菌細 胞に導入するために使用される方法は、当業者にとって公知であるが、最も頻繁 に使用されるものは、エレクトロポーレーションおよびコンピテント細胞の熱シ ョックである。最も代表的には、コンピテントE.coliは、市販されている(例 えば、Invitrogen、San Diego、CAより)。あるいは、細菌は、当該分野におい て周知の技術によって、コンピテントとされて、外来DNAを取り込み得る(例え ば、Sambrookらを参照のこと)。目的のインサートを含むベクターを細菌に導入 するために、コンピテント細菌は、熱ショックプロセスを受ける。手短には、細 菌は、氷水浴中に保たれ、そしてDNAが添加された後、細菌の温度は40〜50℃に 上昇される(好ましくは42℃)。細菌は、氷浴にもどされ、次に培養される。DN Aを細菌に導入するより詳細な記載について、Sambrookらを参照のこと(これは 、本明細書において参考として援用される)。 細菌培養物は、増殖され、次にアガー上にプレートされる。代表的には、ベク ターは、形質転換細菌に抗生物質耐性を付与する遺伝子をコードする。従って, ベクターを取り込んだ細菌は、生存して、抗生物質の染みこんだアガープレート においてコロニーを形成する。生存コロニーは、ブロスをインキュベートし、そ して形質転換した細胞の大規模培養物へと拡大するために使用され得る。 プラスミドおよび他のベクターは、細菌溶解物から、当該分野で周知の方法に よって精製され得る。多くの市販業者は、小環状DNA(プラスミド)を総細菌DNA から精製するためのキットを販売する。これらのキットは、簡便に使用され、そ して製造業者の説明書に従うことにより、収量は通常高い。 4.THP DNAの配列決定 新規に単離されたDNAの配列決定は、本発明のTHP核酸を同定して、特徴付ける 。この核酸はTHP種または対立遺伝子改変体、本発明の不凍タンパク質をコード する。タンパク質が、配列番号6および配列番号7によって同定されるTenebrio molitor THPに対して、少なくとも60%アミノ酸配列同一性を有する場合、タン パク質は、THPタンパク質のイソ型であると考慮され得る。 THPコード配列は、配列決定され得るが、それらはまだベクター中のインサー トとして存在するか、またはベクターから放出され単離されたインサートとして 存在する。THPをコードするインサートは、制限酵素によってベクターから不出 放出され得るか、またはPCRによって増幅され得る。どのインサートが不凍剤全 長コード配列を含むのか見出すためのインサートの配列決定のために、N末端ま たはC末端に基づくプライマー(例えば、配列番号8および配列番号9)、ある いは最初のλファージにおける挿入部位は、プライマーとして使用され得る。最 も好ましくは、さらなるプライマーは、重複する配列を提供するために合成され al)。しかし、他のキットおよび方法は、利用可能であり、そして当業者にとっ て公知である。 上記の細菌クローニングに代えて、cDNAライブラリー由来のポジティブλファ ージプラークが、ヘルパーファージ(例えば、R408(Stratagene))を用いるイン ビボ切り出しに供され得る。2本鎖DNAは、次に精製され、そして配列決定され得 るか、またはλファージ由来のプライマーを用いてPCRによって増幅され得る。 C.核酸ハイブリダイゼーション技術 本明細書において開示するハイブリダイゼーション技術は、本発明の不凍タン パク質(異なるTHP種および対立遺伝子改変体を含む)をコードする遺伝子お よび遺伝子産物(すなわち、mRNA)を同定、単離、および特徴付けするために使 用され得る。 核酸ハイブリダイズ技術を用いる特異的DNAおよびRNA測定のための種々の方法 は、当業者にとって公知である。NUCLEIC ACID HYBRIDIZATION、A PRACTICAL A PPROACH、Hames,B.D.およびHiggins,S.J.編、IRL Press、1985;GallおよびPar due、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:378(1969);Johnら、Nature 223:582(196 9);およびSambrookらを参照のこと。ハイブリダイゼーション様式の選択は、重 要ではない。 例えば、サンプル中の不凍タンパク質をコードするDNAの存在または不存在を 評価する1つの方法は、サザン転写を含む。手短には、消化されたゲノムDNAは 、緩衝液中のアガローススラブゲル上を泳動して、そして膜に転写される。ハイ ブリダイゼーションは核酸プローブを使用して行われる。本発明THPのために、 核酸プローブは、タンパク質のクラス中で保存された核酸配列に基づいて設計さ れ得る。好ましくは、核酸プローブは、20塩基以上の長さである。(Sambrookら 、核酸ハイブリダイゼーションにおける使用のための核酸プローブ配列の選択の 方法について、を参照のこと)。本発明において、好ましいプローブは、配列番 号2または5または任意のイソ型のコード領域全体として同定される配列である 。ハイブリダイズした部分の可視化は、不凍タンパク質をコードするDNAの存在 または不存在の定量的決定を可能にする。 同様に、ノザン転写は、不凍タンパク質をコードするmRNAの検出のために使用 され得る。手短には、mRNAは、所定の細胞サンプルから、種々の抽出方法の1つ (例えば、酸グアニジニウム-フェノール-クロロホルム)を用いて単離される。 次にmRNAは、電気泳動され、mRNA種を分離し、そしてmRNAはゲルから膜に転写さ れる。サザン転写の場合のように、標識化プローブは、THP mRNAの存在または不 存在を同定するために使用される。 サンドイッチアッセイは、核酸配列の検出および単離のための商業的に有用な ハイブリダイゼーションアッセイである。そのようなアッセイは、固相に共有結 合的に固定化された「捕獲」核酸、および溶液中の標識された「シグナル」核酸 を使用する。臨床サンプルは、標的核酸を提供する。「捕獲」核酸および「シグ ナル」核酸プローブは、標的核酸とハイブリダイズして「サンドイッチ」ハイブ リダイゼーション複合体を形成する。効果的であるために、シグナル核酸は、捕 獲核酸とハイブリダイズし得ない。 代表的には、標識化シグナル核酸は、ハイブリダイゼーションを検出するため に使用される。相補的核酸またはシグナル核酸は、いくつかの方法のいずれかで 標識され、代表的には、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの存在を検出する ために使用され得る。最も一般的な検出方法は、3H、125I、35S、14C、または32 P標識プローブ等を用いるオートラジオグラフィーまたはオートフルオログラフ ィーの使用である。他の標識としては、標識化抗体に結合するリガンド、蛍光団 、化学発光剤、酵素、および標識リガンドについての特異的結合対メンバーとし て作用し得る抗体が挙げられる。次に、検出は、使用した標識に依存する。 ハイブリダイゼーション複合体の検出は、シグナルを生成する複合体が、標的 ポリヌクレオチドもしくは核酸とプローブポリヌクレオチドもしくは核酸との二 本鎖へ結合することを必要とし得る。代表的には、このような結合は、リガンド 結合体化プローブと、シグナルと結合体化した抗リガンドとの間のようなリガン ドおよび抗リガンド相互作用を介して生じる。 標識はまた、ハイブリダイゼーション複合体の間接的検出を可能にし得る。例 えば、標識がハプテンまたは抗原である場合、サンプルは、抗体を使用して検出 され得る。これらの系において、シグナルは、蛍光分子もしくは酵素分子を抗体 に結合させることによって、またはいくつかの場合には、放射性標識に結合させ ることによって(Tijssenを参照のこと)生成される。 ハイブリダイゼーションアッセイの感度は、検出される標的核酸を増幅する核 酸増幅系の使用により増強され得る。分子プローブとして使用するための、また はその後のサブクローニングのための核酸フラグメントを生成するための、配列 の増幅に適したインビトロ増幅技術は、公知である。このようなインビトロ増幅 法(PCR、LCR、Qβレプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例 えば、NASBATM)を含む)を介して当業者を導くために十分な技術の例は、Berge r、Sambrook、およびAusubel、ならびにMullisら、米国特許第4,683,202号;Arn heim&Levison、C&EN 36(1990);Lomellら、J.Clin.Chem.,35:1826(1989);Van Brunt,Biotechnology 8:291-294(1990);Wu & Wallace,Gene 4:560(1989);Sook nanan & Malek,Biotechnology 13:563(1995);Innis;Kwoh;Guatelli;Landegren; およびBarringerに見出される。インビトロで増幅された核酸をクローニングす る改善された方法は、Wallaceら、米国特許第5,426,039号に記載される。当該分 野で最近記載された他の方法は、核酸配列に基づく増幅(NASBATM、Cangene,Mi ssissauga,Ontario)およびQβレプリカーゼ系である。これらの系は、変異体 を直接同定するために使用され得、そこではPCRまたはLCRプライマーが、選択さ れた配列が存在する場合にのみ、延長または連結されるように設計されている。 あるいは、選択された配列は、一般に、例えば、非特異的PCRプライマーを使用 して増幅され得、そしてその増幅された標的領域は、変異の指標である特異的配 列について後にプローブされる。 プローブとして使用(例えば、インビトロ増幅法において、診断法における遺 伝子プローブとして、またはインヒビター成分として(以下を参照のこと))す るためのオリゴヌクレオチドは、代表的には、BeaucageおよびCaruthersによっ て記載される固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って、例えば、Needha m-VanDevanterに記載されるような自動化合成機を使用して化学的に合成される 。オリゴヌクレオチドの精製は、必要であれば、代表的には、天然のアクリルア ミドゲル電気泳動によって、またはPearson&Regnierに記載されるような陰イオ ン交換HPLCによって行われる。台成オリゴヌクレオチドの配列は、Maxam & Gilb ertの化学分解法を使用して確認され得る。 核酸ハイブリダイゼーションアッセイもまた、アレイに基づくフォーマットで 行われ得ることが理解される。このアプローチにおいて、多重の異なる「プロー ブ」核酸を有するアレイは、標的核酸に対してハイブリダイズされる。この様式 で、多数の異なるハイブリダイゼーション反応が、本質的に「並行に」行われ得 る。これは、非常に多数の反応物質の迅速な、本質的に同時の評価を提供する。 アレイに基づく形式でハイブリダイゼーション反応を行う方法は、当業者に周知 である(例えば、Jacksonら、Nature Biotechnology 14:1685(1996)、およびChe eら、Science 274:610(1995)を参照のこと)。 タンパク質をコードする遺伝子の発現のレベルを決定するための代替の手段は 、インサイチュハイブリダイゼーションである。インサイチュハイブリダイゼー ションアッセイは、周知であり、そしてAngererら、Methods Enzymol.,152:649 (1987)に一般的に記載される。インサイチュハイブリダイゼーションアッセイ において、細胞または組織は、固体支持体、代表的にはガラススライド、に固定 される。DNAがプローブされる場合、細胞は、熱またはアルカリで変性される。 次いで、細胞は、タンパク質をコードする核酸配列に特異的な標識プローブのア ニーリングを可能にするような温和な温度で、ハイブリダイゼーション溶液と接 触させられる。プローブは、好ましくは、ラジオアイソトープまたは蛍光レポー ターで標識されている。 D.THPの発現 不凍タンパク質遺伝子のコード領域が同定された後で、天然の、または合成の 不凍剤コード核酸の発現が、不凍タンパク質遺伝子のコード領域をプロモーター (これは、構成性または誘導性のいずれかである)に作動可能に連結し、構築物 を発現ベクター中に組み込み、そしてベクターを適切な宿主細胞中に導入するこ とによって達成され得る。代表的なベクターは、転写ターミネーターおよび翻訳 ターミネーター、転写開始配列および翻訳開始配列、ならびに特定の核酸の発現 の調節のために有用なプロモーターを含む。ベクターは、必要に応じて、少なく とも1つの独立したターミネーター配列を含む一般的な発現カセット、真核生物 もしくは原核生物、またはその両方(例えば、シャトルベクター)においてカセ ットの複製を可能にする配列、ならびに原核生物系および真核生物系の両方につ いての選択マーカーを含む。ベクターは、原核生物、真核生物、または好ましく はその両方における複製および組込みのために適切である。Giliman&Smith,Gen e 8:81(1979);Robertsら、Nature 328:731(1987);Berger & Kimmel,GUIDE TO M OLECULAR CLONING TECHNIQUES,METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol 152,Academ ic Press,Inc.,San Diego,CA(「Berger」);Schneiderら、Protein Expr.Pu rif.6435:10(1995);SambrookおよびAusubelを参照のこと。生物学的試薬および 実験装置の製造業者からの製品情報もまた、公知の生物学的方法において有用な 情報を提供する。このような製造業者には、SIGMA chemical company(Saint Lou is,MO),R&D systems(Minneapolis,MN),Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ) ,CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto,CA),Aldrich Chemical Company( Milwaukee,WI),GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Galthersburg,MD),Fl uka Chemical-Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland)、 およびApplied Biosystems(Forster City,CA)、ならびに当業者に公知の多くの その他の商業的供給元が含まれる。 本発明の方法において使用される核酸(例えば、プロモーターおよびベクター )は、天然の供給源から単離され得るか、ATCCもしくはGenBankライブラリーの ような供給源から得られ得るか、または合成方法によって調製され得る。合成核 酸は、種々の液相および固相法によって、調製され得る。亜リン酸トリエステル 、ホスホトリエステル、およびH-ホスホネート化学による核酸の固相合成のため の手順の詳細な説明は、広範に利用可能である。例えば、Itakura、米国特許第4 ,401,796号;Carruthersら、米国特許第4,458,066号および同第4,500,707号;Be aucage&Carruthers;Matteucci;Carruthersら、Genetic Engineering 4:1(1982) ;Jones,第2章,Atkinsonら、第3章、およびSproatら、第4章、OLIGON UCLEOTID E SYNTHESIS:A PRACTICAL APPROACH,Gait(編)、IRL Press,Washing ton D.C .(1984);Froehlerら、Tetrahedron Lett.27:469(1986);Froehler ら、Nucleic Acids Res.14:5399(1986);Sinhaら、Tetrahedron Lett.24:5843(1983);およ びSinhaら、Nucl.Acids.Res.12:4539-4557(1984)(これらは、本明細書中で 参考として援用される)を参照のこと。 核酸を細菌細胞中に導入する周知の方法はいくつか存在し、これらのいずれも 本発明において使用され得る(Sambrookらを参照のこと)。これらには、レシピ エントの細胞を、DNA、DEAEデキストランを含む細菌のプロトプラストと融合さ せること、ウイルスベクターを用いる感染などが含まれ得る。 核酸の細菌宿主へのインビトロ送達は、培養において増殖する任意の細胞に対 してであり得る。細胞と遺伝子操作された核酸構築物との間の接触は、インビト ロで行われた場合、生物学的に適合性の培地において行われる。核酸の濃度は、 特定の適用に依存して広範に変化するが、一般に、約1μMと約10mMとの間であ る。核酸での細胞の処置は、一般に、生理学的な温度(約37℃)で、約1〜48時 間の時間に、好ましくは約2〜4時間の時間に行われる。 外因性の核酸を発現するために使用され得る細菌株には、Escherichia coli、 Streptococcus cremoria、Streptococcus lactis、Streptococcus thermophillu s、Leuconostc citrovorum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacilus acidop hilus、Lactobacillus lactis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium br eve、およびBifidobacterium longumが含まれる。 細菌発現系に加えて、本発明のTHPは、他の系、特に酵母およびバキュロウイ ルスにおいて発現され得るが、哺乳動物および植物においてもまた発現され得る 。系は、他の系で成功しなかったこと、THPを適切に折り畳む能力、およびTHPの 最終的な使用に依存して使用される。例えば、THPを、パン生地粉酵母(bread d ough yeast)を凍結から保護するために使用する場合(米国特許第5,118,792号 を参照のこと)、酵母系が使用される。外因性の核酸を発現するために使用され 得る酵母株には、Torulopsis holmil、Saccharomyces fragilis、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces lactis、およびCandida pseudotropicalisが含ま れる。凝固温度を通して生存し得る植物が所望される場合、トランスジェニック 技術が、トランスジェニック植物を作製するために使用され得る。さらに、以下 に記載されるように、動物(昆虫、魚類、および甲殻類を含む)におけるTHPに ついての用途が存在し得る。しかし、当然に、使用される系は、THPに、Tenebri o幼虫において見出された活性に匹敵する熱履歴活性を与えるべきである。 代替の発現系の例として、国際公開第WO96/11586号(米国特許出願第08/321,9 91号、1994年10月12日出願)(これは、本明細書中で参考として援用される)は 、発酵した冷凍食品(特に冷凍ヨーグルト)における氷の再結晶化を防止するた めにAFPを分泌する、魚AFP形質転換Lactobacillus bulgaricusおよびStreptococ cus thermophilusの使用を記載する。 1.組換えベクターの調製 単離された配列を上記の技術において使用するために、細胞の形質転換に適切 である組換えDNAベクターが調製される。広範な種々の動物および植物細胞を形 質転換するための技術は、周知であり、そして技術的および科学的文献に記載さ れる。例えば、植物細胞については、Weisingら、Ann.Rev.Genet.22:421(198 8)を、そして動物および細菌細胞についてはSambrookを参照のこと。 所望の不凍タンパク質をコードするDNA配列、例えば、全長THPをコードするcD NA配列は、好ましくは、トランスジェニック高等生物の細胞または意図された組 織中の遺伝子からの配列の転写を指向する転写開始調節配列および翻訳開始調節 配列と組み合わされる。プロモーターおよびエンハンサーのような広範な種々の 周知の転写調節エレメントはまた、本発明のTHPを発現するように選択されたベ クターに含められ得る。その天然の状態において本発明のTHPを指向するプロモ ーターは、本明細書中に記載される不凍タンパク質遺伝子に対応するゲノムクロ ーンの5’配列を分析することによって同定され得る。プロモーター配列に特徴 的な配列は、プロモーターを同定するために使用され得る。真核生物遺伝子発現 を制御する配列は、広範に研究されている。例えば、プロモーター配列エレメン トは、転写開始部位の上流の通常20〜30塩基対に存在するTATAボックスコンセン サス配列(TATAAT)を含む。ほとんどの場合、TATAボックスは、正確な転写開始 のために必要とされる。 本発明の組換え発現カセットの構築において、本発明のTHPに関連するか、ま たはTHPに対して異種であるかのいずれかのプロモーターフラグメントが利用さ れ得、それはトランスジェニック生物の全ての組織において遺伝子の発現を指向 する。このようなプロモーターは、本明細書において、「構成性」プロモーター と呼ばれ、そして発生または細胞分化のほとんどの環境条件および状態の下で活 性である。植物の構成性プロモーターの例には、カリフラワーモザイクウイルス (CaMV)35S転写開始領域、Agrobacterium tumafaciensのT-DNAに由来する1'また は2'−プロモーター、ならびに当業者に公知の種々の植物遺伝子に由来する他の 転写開始領域が含まれる。 あるいは、プロモーターは、特定の組織において本発明のポリヌクレオチドの 発現を指向し得(組織特異的プロモーター)るか、またはそうでなければより厳 密な環境制御の下にあり得る(誘導性プロモーター)。発生制御の下にある組織 特異的植物プロモーターの例には、特定の組織(例えば、果実、種子、または花 )においてのみ転写を開始するプロモーターが含まれる。トマト由来の組織特異 的E8プロモーターは、所望の遺伝子産物が果実に位置するように、遺伝子発現を 指向させるために特に有用である。他の適切なプロモーターには、胚貯蔵(embr yonic storage)タンパク質をコードする遺伝子由来のプロモーターが含まれる 。誘導性プロモーターによる転写をもたらし得る環境条件の例には、嫌気性条件 、上昇した温度、または光の存在が含まれる。 適切なポリペプチド発現が所望される場合、コード領域の3’末端のポリアデ ニル化領域が含まれるべきである。ポリアデニル化領域は、天然の遺伝子に、種 々の他の植物遺伝子に、またはT-DNAに由来し得る。 本発明の遺伝子に由来する配列(例えば、プロモーターまたはコード領域)を 含むベクターは、代表的には、形質転換した細胞に選択可能な表現型を付与する マーカー遺伝子を含む。例えば、マーカーは、抗生物質耐性、特に、カナマイシ ン、G418、ブレオマイシン、またはハイグロマイシンに対する耐性をコードし得 る。 植物は、ウイルスベクター(例えば、タバコモザイクウイルスのような)を使 用して、本発明のTHPタンパク質を発現するように形質転換され得る。ベクター の選択および構築、ならびに広範な種々の植物細胞を形質転換するための技術は 、周知であり、例えば、Hamamotoら、米国特許第5,618,699号を参照のこと。 2.トランスジェニック生物の産生 本発明のDNA構築物は、種々の従来的な技術によって宿主のゲノム中に導入さ れ得る。例えば、植物において、DNA構築物は、植物細胞プロトプラストのエレ クトロポレーションおよび微量注入のような技術を使用して植物細胞のゲノムDN A中に直接導入され得るか、またはDNA構築物は、DNA微粒子銃のような衝撃法を 使用して植物組織に直接導入され得る。上記のように、本発明のTHP配列を含有 するタバコモザイクウイルスのような植物ウイルスベクターは、植物を接種する ために使用され得る。あるいは、DNA構築物は、適切なT-DNA隣接領域と組み合わ され得、そして従来のAgrobacterium tumefaciens宿主ベクター中に導入され得 る。Agrobacterium tumeraciens宿主の病原性機能は、細胞が細菌に感染した場 合、構築物および隣接するマ一カーの植物細胞DNA中への挿入を指向する。 Agrobacterium tumefaciens媒介形質転換技術(武装解除(disarming)および バイナリーベクターの使用を含む)は、科学的文献に十分に記載されている。例 えば、Horschら、Science 233:496(1984)、およびFraleyら、Proc.Nat'l.Acad .Sci.USA 80:4803(1983)を参照のこと。 上記の形質転換技術のいずれかによって誘導された形質転換植物細胞は、培養 されて、形質転換遺伝子型(従って、凍結に対する増大した耐性のような所望の 表現型)を有する植物全体を再生することができる。本発明の形質転換植物はま た、実質的な量の不凍タンパク質を発現するための「生きた工場」として利用さ れ得る。このような植物再生技術は、組織培養増殖培地における特定の植物ホル モンの操作に依存し、代表的には、所望のヌクレオチド配列とともに導入される 殺生剤および/または除草剤マーカーに依存する。培養されたプロトプラストか らの植物再生は、Evansら、PROTOPLASTS ISOLATION AND CULTURE,HANDBOOK OF PLANT CELL CULTURE,124-176頁,Macmillian Publishing Company,New York, 1983;およびBinding,REGENERATION OF PLANTS,PLANT PROTOPLASTS、21-73,CR C Press,Boca Raton,1985に記載される。再生はまた、植物のカルス、外稙片 、器官またはその部分から得られ得る。このような再生技術は、Kleeら、Ann.R ev.of Plant Phys.38:467(1987)に、一般的に記載される。 トランスジェニック植物または動物(例えば、海水魚)を産生するために、微 量注入技術が、当該分野で公知であり、そして科学的文献および特許文献に十分 に記載されている。ポリエチレングリコール沈降を使用しての、DNA構築物の細 胞中への導入は、Paszkowskiら、EMBO J.3.2717(1984)に記載される。エレクト ロポレーション技術は、Frommら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5824(1985) に記載される。衝撃法形質転換技術は、Kleinら、Nature 327:70(1987)に記載さ れる。 III.本発明のTHPのクラスの検出および特徴付け 以下に記載するアッセイによって、本発明のTHPは、最終幼虫齢Tenebrio moli tor血液リンパから単離された熱履歴タンパク質と特徴を共有する。これらのア ッセイを使用して、他の新規のTHPが、本発明の範囲に入るのに十分なほど、プ ロトタイプタンパク質YL-1からYL-4に関連するか否かを規定する。アッセイはま た、細菌ブロス、組織培養液、ならびに植物および動物組織中に存在するTHPを 検出および定量するために使用され得る。 A.THPの検出 発現されたTHPは、種々の方法によって検出または定量され得る。好ましい方 法は、機能的活性アッセイおよび特異的抗体を利用する免疫学的アッセイの使用 を包含する。 1.抗体 ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する方法は、当業者に公 知である。例えば、Coligan,CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY,Wiley/Greene ,NY.(1991);Stitesら(編)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(第7版)Lange Medical Publications,Los Altos,CAおよびそこで引用される文献(「Sites」 )Goding,MONOCLINAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Academic Press,New York,NY(1986);Kohler & Milstein,Nature 256:495(1975);およ びHaHowおよびLaneを参照のこと。このような技術には、ファージまたは類似の ベクターにおける組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体調製が 含まれる。Huseら、Science 246:1275(1989)(「Huse」);およびWardら、Nat ure 341:544(1989)を参照のこと。 例えば、免疫親和性精製における使用のための抗体を大量に産生するために、 多数の免疫原が使用され得る。Tenebrio molitor由来、または本発明に記載され る形質転換細胞に由来するTHPは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗 体の産生のための好ましい免疫原である。他の生物に由来する天然に存在する不 凍タンパク質はまた、純粋なまたは不純な形態のいずれかにおいて使用され得る 。 本明細書中に記載される不凍タンパク質配列のフラグメントを使用して作製され た合成ペプチドはまた、そのタンパク質に対する抗体の産生のための免疫原とし て使用され得る。ペプチドは、単独で、または別の組成物と結合体化して使用さ れ得る。 ポリクローナル抗体の産生の方法は、当業者にとって公知である。簡単には、 免疫原は、上記のようにアジュバントと混合され、動物が免疫化される。免疫原 調製物に対する動物の免疫応答は、試験出血を採取し、そして免疫原に対する反 応性の力価を決定することによってモニターされる。免疫原に対する抗体の適切 に高い力価が得られた場合、動物から血液を採取し、そして抗血清を調製する。 タンパク質に反応性である抗体を富化するために、所望であれば、抗血清のさら なる画分化をし得る。(HarlowおよびLane、前出を参照のこと。) 免疫親和性精製またはイムノアッセイに使用するための大量のモノクローナル 抗体は、当業者に慣用的な種々の技術によって得られ得る。簡単には、所望の不 凍タンパク質で免疫した動物由来の脾臓細胞を、一般的にはミエローマ細胞との 融合によって不死化する(Kohler & Milstein,Eur.J.Immunol.6:511(1976 )(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。不死化の代替の方法 には、エプスタインバーウイルス、ガン遺伝子、レトロウイルス、または当該分 野で周知の他の方法での形質転換が含まれる。単一の不死化細胞から生じるコロ ニーは、THPに対する所望の特異性および親和性を有する抗体の産生についてス クリーニングされる。このような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の 生成は、種々の技術によって増強され得る。この技術としては、脊椎動物宿主の 腹腔への注入が挙げられる。あるいは、当業者は、モノクローナル抗体またはそ の結合フラグメントをコードするDNA配列を、Huseに概説される一般的なプロト コルに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることに よって単離し得る。 THPの濃度は、種々の免疫アッセイ法によって測定され得る。免疫学的手順お よびイムノアッセイ手順一般の総説については、Stitesを参照のこと。さらに、 本発明のイムノアッセイは、ENZYME IMMUNOASSAY,E.T.Maggio編、CRC.Press ,Boca Raton,Florida(1980);Tijssen;ならびにHarlowおよびLaneに広範に総 説される(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)任意のいくつ かの構成において行われ得る。 例えば、不凍タンパク質についてのイムノアッセイにおける使用のための抗血 清を産生するために、YL-1、YL-2、YL-3、YL-4、またはそのフラグメントが、本 明細書中に記載されるように単離される。マウスまたはウサギの近交系を、上記 の不凍剤イソ型または配列番号4のポリペプチドを用いて、標準的なアジュバン ト(例えば、フロイントアジュバント)および標準的な免疫化プロトコルを使用 して、免疫化する。あるいは、本明細書中で開示される配列に由来し、そしてキ ャリアタンパク質と結合体化した合成ペプチドが免疫原として使用され得る。ポ リクローナル血清が回収され、そしてイムノアッセイ(例えば、固体支持体に固 定したTHPを用いる固相イムノアッセイ)においてTHPに対して力価測定される。 104M-1以上のKaを有するポリクローナル血清が選択され、他の生物由来の相同タ ンパク質および/または非不凍タンパク質に対するその交差反応性について、競 合結合イムノアッセイを使用して試験される。特異的モノクローナル抗体および ポリクローナル抗体および抗血清は、通常、少なくとも約0.1mM、より通常には 少なくとも約1μM、好ましくは少なくとも約0.1μM以下、そして最も好ましく は0.01μM以下のKDで結合する。 2.免疫学的結合アッセイ 好ましくは実施態様において、THPは、任意の多くの十分に認知されている免 疫学的結合アッセイを使用して検出および/または定量される(例えば、米国特 許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;および同第4,837,168号 を参照のこと)。一般的なイムノアッセイの総説については、METHODS IN CELL BIOLOGY第37版:Antibodies in Cell Biology,Asai編、Academic Press,Inc. ,New York(1993);およびStitesもまた参照のこと。免疫学的結合アッセイ(ま たはイムノアッセイ)は、分析物(本発明の場合、THPまたはそのフラグメント )に特異的に結合し、そしてしばしば固定化するために、代表的には、「捕捉剤 」を利用する。捕捉剤は、分析物に特異的に結合する部分である。好ましい実施 態様において、捕捉剤は、THPに特異的に結合する抗体である。抗体(抗THP) は、当業者に周知の多くの手段のいずれかによって、そして上記のように産生さ れ得る。 イムノアッセイはまた、捕捉剤と分析物とで形成された結合複合体に特異的に 結合し、そして標識するために標識化剤をしばしば利用する。標識剤は、それ自 体、抗体/分析物複合体を含む部分の1つであり得る。従って、標識剤は、標識 されたTHPポリペプチドまたは標識された抗THP抗体であり得る。あるいは、標識 化剤は、抗体/THP複合体に特異的に結合する別の抗体のような第3の部分であ り得る。 好ましい実施態様では、標識化剤は、標識を有する第二のTHP抗体である。あ るいは、第二のTHP抗体は標識を欠き得るが、しかし、順に、第二の抗体が由来 する種の抗体に特異的な標識化された第三の抗体によって結合され得る。第二の 抗体は、検出可能部分(例えば、ビオチン)で修飾され得る。この検出可能部分 には、第三の標識化分子(例えば、酵素標識化ストレプトアビジン)が特異的に 結合し得る。 免疫グロブリン定常領域に特異的に結合し得る他のタンパク質(例えば、プロ テインAまたはプロテインG)はまた、標識剤として使用され得る。これらのタ ンパク質は、連鎖球菌細菌の細胞壁の通常の構成要素である。これらは、種々の 種由来の免疫グロブリン定常領域と強い非免疫反応性を示す(一般に、Kronval ら、J.Immunol.111:1401-1406(1973)、およびAkerstromら、J.Immunol.135: 2589-2542(1985)を参照のこと)。 アッセイを通じて、インキュベーションおよび/または洗浄工程は、それぞれ 試薬を組み合わせた後に必要とされ得る。インキュベーション工程は、約5秒か ら数時間まで、好ましくは、約5分から約24時間まで、変動し得る。しかし、イ ンキュベーション時間は、アッセイ形式、分析物、溶液容積、濃度などに依存す る。通常、アッセイは、室温で行われるが、ある範囲の温度(例えば、4℃から 40℃)にわたって実施され得る。 a.非競合的アッセイ形式 THPを検出するための免疫アッセイは、競合的または非競合的のいずれかであ り得る。非競合的免疫アッセイは、捕捉分析物(この場合、THP)の量が直接的 に測定されるアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイでは、 例えば、捕捉剤(抗THP抗体)が、それらが固定化された固体基材に直接的に結 合され得る。これらの固定化抗体は、次いで、試験サンプルに存在するタンパク 質を捕捉する。このように固定化されたTHPが、次いで、標識化剤(例えば、標 識を有する第二のTHP抗体)によって結合される。あるいは、第二のTHP抗体は、 標識を欠き得るが、しかし、順に、第二の抗体が由来する種の抗体に特異的な標 識化された第三の抗体によって結合され得る。第二の抗体は、検出可能部分(例 えば、ビオチン)で修飾され得る。この検出可能部分には、第三の標識化分子( 例えば、酵素標識化ストレプトアビジン)が特異的に結合し得る。 b.競合的アッセイ形式 競合的アッセイでは、サンプルに存在する分析物(THP)の量は、サンプルに 存在する分析物によって捕捉剤(抗THP抗体)から置換された(または競合して 取り除かれた)、添加された(外因性)分析物(THP)の量を測定することによ って、間接的に測定される。1つの競合的アッセイでは、既知量の、この場合、 THPをサンプルに添加し、次いでこのサンプルを捕捉剤、この場合、THPに特異的 に結合する抗体と接触させる。抗体に結合されたTHPの量は、サンプルに存在す るTHPの濃度に反比例する。 特に好ましい実施態様では、抗体は、固体基材上に固定化される。抗体に結合 されたTHPの量は、THP/抗体複合体に存在するTHPの量を測定すること、または 代わりに残存する非複合体化THPの量を測定することのいずれかによって、決定 され得る。THPの量は、標識化THP分子を提供することによって検出され得る。 ハプテン阻害アッセイは、別の好ましい競合的アッセイである。このアッセイ では、既知の分析物(この場合、THP)を、固体基材に固定化する。既知量の抗T HP抗体をサンプルに添加し、次いで、サンプルを固定化THPと接触させる。この 場合、固定化THPに結合された抗THP抗体の量は、サンプルに存在するTHPの量に 反比例する。再度、固定化抗体の量は、抗体の固定化画分または溶液中に残存す る抗体の画分のいずれかを検出することによって検出され得る。検出は、抗体が 標識化されている場合直接的であり得、または上記のように抗体に特異的に結合 する標識化部分を続いて添加することによって間接的であり得る。 競合的結合形式での免疫アッセイは、当業者が、新規なTHPが、本発明の請求 の範囲に入るように、本願発明のTHPに十分に関連しているかどうかを決定する ために、交差反応性決定のために用いられ得る。例えば、配列番号4のTHPフラ グメントを、固体基材に固定化され得る。タンパク質を、抗血清の固定化抗原へ の結合と競合するアッセイに添加する。タンパク質が固定化THPへの抗血清の結 合と競合する能力を、固体支持体をコートするために使用されるような同じTHP による結合と比較する。上記タンパク質についての交差反応性%を標準的な計算 を用いて算定する。配列番号4のTHPと約10%未満の交差反応性を有するこれら の抗血清を選択し、そしてプールする。必要に応じて、交差反応性抗体を、プー ルされた抗血清から、上記タンパク質を用いる免疫吸着によって取り除く。 免疫吸着され、プールされた抗血清は、第二のタンパク質が本発明の不凍タン パク質であるか否かを分析するために、上記のように、競合的結合免疫アッセイ において使用され得る。競合的結合免疫アッセイにおいて、抗血清を発達させる ために使用されるタンパク質、すなわち、免疫原は、抗体結合反応において、第 二の特徴づけされていないタンパク質またはペプチドと競合する。2つのタンパ ク質は広範な濃度でそれぞれアッセイされ、そして固定化タンパク質への抗血清 の結合の50%を阻害するのに必要とされる各タンパク質の量が決定される。必要 とされる第二のタンパク質の量が、必要とされる特徴付けられた免疫原(例えば 、配列番号2、配列番号4、またはそれらの免疫原性フラグメント)の量の10倍 未満である場合、第二のタンパク質は、その特徴付けられた(不凍タンパク質) 免疫原に対して生成された抗体に特異的に結合するといわれる。 c.他のアッセイ形式 ウエスタンブロット(免疫ブロット)分析は、サンプル中の不凍タンパク質の 存在を検出および定量するために使用され得る。技術は、一般的に、分子量に基 づいてゲル電気泳動によりサンプルタンパク質を分離する工程、分離されたタン パク質を適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフ ィルター、または誘導体化されたナイロンフィルター)に転写する工程、および サンプルをTHPに特異的に結合する抗体とインキュベートする工程を包含する。 抗THP抗体は、固体支持体上でTHPに特異的に結合する。これらの抗体は、直接的 に標識化され得るか、または代わりに、抗不凍タンパク質に特異的に結合する標 識化抗体(例えば、標識化ヒツジ抗マウス抗体)を用いて続いて検出され得る。 本明細書で請求されているタンパク質のクラスの新規な形態を同定するための 核酸プローブを用いることに加えて、発現ライブラリーをプローブするために、 抗体を使用することが可能である。これは、周知の技術である(YoungおよびDav is、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 80:1194(1982)を参照のこと)。一般に、cDNA 発現ライブラリーは市販のキットから、または容易に利用可能な成分を用いて調 製され得る。ファージベクターは好ましいが、しかし、種々の他のベクターがタ ンパク質の発現のために利用可能である。このようなベクターは、酵母、動物細 胞およびXenopus卵母細胞を包含するが、これらに限定されない。当業者は、標 的タンパク質に富む供給源からmRNAを選択し、そして次いでベクターに連結され 、免疫スクリーニングのためにライブラリー宿主細胞に形質転換され得るcDNAを 作製する。スクリーニングは、細胞上で特異的タンパク質に結合されたか、また は固体支持体(例えば、ニトロセルロースまたはナイロン膜)上に固定化された 抗体の結合および可視化を包含する。ポジティブクローンは、均一までの精製に ついて選択され、そして単離されたcDNAは、次いで、所望の宿主細胞における発 現のために調製される。この技術の良好な一般的な概説は、Methods of Cell Bi ology、Vol.37「Andibodies in Cell Biology」Assai編、1993において見出さ れ得る。 本発明のTHP(システインが豊富であり、仮定では多くのジスルフィド架橋を 含む)と同様のタンパク質に対して抗体が生成される場合、試験タンパク質は、 選択的結合について十分に試験するために、必要に応じて変性され、そして、同 様のサイズのタンパク質に対して試験タンパク質を測定することが最良であり得 る。例えば、抗血清が、プロトタイプのTHPのフラグメントに対して生成された としても、プロトタイプの全長THPに対して全長THPを試験する。このことは試験 を簡素化し、そして競合的免疫アッセイからの結果の決定においてコンフォメー ションの問題および分子量/モル濃度を考慮する必要性を回避する。 他のアッセイ形式は、リポソーム免疫アッセイ(LIA)(特定の分子(例えば 、抗体)に結合し、そしてカプセル化試薬またはマーカーを放出するように設計 されたリポソームを使用する)を包含する。放出された化学物質は、次いで、標 準的な技術に従って検出される(Monroeら、Amer.Clin.Prod.Rev.5:34(1986 )を参照のこと)。 B.THPの精製 本発明のポリペプチドは、種々の供給源(例えば、仮性血液リンパ(larval h emolymph)、組織培養培地、トランスジェニック植物および動物、酵母、および 細菌)から、標準的な技術によって実質的に純粋に精製され得る。標準的な精製 手順(硫酸アンモニウムのような物質を用いる選択的沈澱;カラムクロマトグラ フィー、免疫精製方法などを包含する)については、例えば、Scopes,Protein Purification:Principles And Practice,Springer-Verlag:New York(1982),米 国特許第4,673,641号、Ausubel、およびSambrook(これらは全て本明細書中に参 考として援用される)を参照のこと。 1.細菌培養物からのTHPの精製 分泌タンパク質の場合、目的のタンパク質は、以下に詳述する細胞溶解方法の 手段をとる必要がなく細菌が増殖しているブロスから単離され、そして精製され 得る。 2.細菌細胞質およびペリプラズムからのTHPの精製 E.coliにおけるTHPの発現後、タンパク質は、細菌のペリプラズム、細胞質、 または封入体において見出され得る。細菌のペリプラズム画分は、当業者に公知 の他の方法に加えて、冷浸透圧性ショックによって単離され得る(Ausubel、お よびTrayerおよびBuckley、J.Biol.Chem.245(18):4842(1970)を参照のこと) 。 ペリプラズムおよび細胞質からタンパク質を単離するために、細菌細胞を遠心 分離してペレットを形成する。ペレットを、20%スクロースを含有する緩衝液中 に再懸濁する。細胞を溶解するために、細菌を遠心分離し、そしてペレットを氷 冷した5mM MgSO4中に再懸濁し、そして約10分間、氷浴中に置く。細胞懸濁液を 遠心分離し、上清をデカントし、保存する。あるいは、細菌を、音波処理によっ て溶解し得る。上清中に存在するタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離技 術によって宿主タンパク質から分離され得る。 3.封入体の精製 組換えタンパク質が形質転換細菌によって大量に発現される(代表的には、プ ロモーター誘導後)が;しかし、発現は構成性であり得る場合、タンパク質は、 不溶性凝集体を形成し得る。 凝集タンパク質(以降、封入体と称する)の精製は、細菌細胞の破壊(これは 、 ン性界面活性剤の緩衝液中のインキュベーションによるが、これに限定されない )による、封入体の抽出、分離、および/または精製を包含する。細胞懸濁液は 、Polytronグラインダー(Brinkman Instruments,Westbury,N.Y.)を用いて破 砕され得る。あるいは、細胞は、氷上で超音波処理され得る。細菌の溶解の代替 方法は、AusubelおよびSambrookに記載され、そして当業者に明らかである。 細胞懸濁液を遠心分離し、そして封入体を含有するペレットを緩衝液(例えば 、 非イオン性界面活性剤)中に再懸濁する。洗浄工程を繰り返して、できるだけ多 くの細胞破砕片を取り除くことが必要とされ得る。残存する封入体ペレットは、 適切な緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、pH6.8、150mM NaCl)中に再懸 濁され得る。他の適切な緩衝液は、当業者に明らかである。 洗浄工程後、封入体を、DTTのような還元剤と共に、強い水素受容体および強 い水素供与体の両方である溶媒(またはこれらの特性のそれぞれ1つを有する溶 媒の組み合わせ)を添加することによって可溶化する。封入体を形成したタンパ ク質は、次いで、適合性の緩衝液を用いて希釈または透析することにより再生さ れ得る。適切な溶媒は、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約 80%(容量/容量基準)、および塩酸グアニジン(約4M〜約8M)を包含す る が、これらに限定されない。凝集体形成タンパク質を可溶化し得るいくつかの溶 媒(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70%ギ酸)は、タンパク質の不 可逆的な変性の可能性(これは、免疫原性および/または活性の損失を伴う)の ために、本手順において使用するために不適切である。塩酸グアニジンおよび同 様の薬剤が変性剤であるが、この変性は、不可逆的ではなく、そして再生は、変 性剤を除去(例えば、透析による)するかまたは希釈することにより起こり得、 免疫学的および/または生物学的に活性なタンパク質の再形成を生じさせる。 可溶化後、タンパク質は、標準的な分離技術によって、他の細菌タンパク質か ら分離され得る。 4.標準的なタンパク質分離技術 a.可溶性分画 初期工程としてしばしば、そしてタンパク質混合物が複雑である場合、初期の 塩または有機溶媒の分画は、目的の組換えタンパク質から望ましくない宿主細胞 タンパク質(または細胞培養培地由来のタンパク質)の多くを分離し得る。好ま しい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中 の水分量を有効に減少させることによって、タンパク質を沈澱させる。タンパク 質は、次いでそれらの可溶性に基づいて沈澱する。タンパク質がより疎水性であ れば、これはより低い濃度の硫酸アンモニウムで沈澱し易くなる。代表的プロト コルは、得られる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%の間になるように、飽和硫酸 アンモニウムをタンパク質溶液に添加することである。これは、タンパク質のう ち最も疎水性であるものを沈澱させる。この沈殿物を捨て(目的のタンパク質が 疎水性でない場合)、そして硫酸アンモニウムを、目的のタンパク質を沈澱させ ることが知られる濃度に上清に添加する。次いで、沈殿物を緩衝液中に可溶化し 、そして必要であれば、透析またはダイアフィルトレーションのいずれかによっ て、過剰の塩を除去する。タンパク質の可溶性に依存する他の方法(例えば、冷 エタノール沈澱)は、当業者に周知であり、複雑なタンパク質混合物を分画する ために使用され得る。 b.サイズ差次的濾過 目的のタンパク質のサイズが公知であるか、またはcDNA配列から概算され得る 場合、より大きなサイズおよびより小さなサイズのタンパク質が、異なる孔サイ ズの膜(例えば、AmiconまたはMillipore膜)による限外濾過によって除去され 得る。最初の工程として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量より 小さな分子カットオフを有する孔サイズを有する膜によって限外濾過する。次い で、限外濾過の保持物質を、目的のタンパク質の分子量より大きな分子カットオ フを有する膜に対して限外濾過する。組換えタンパク質は、膜を透過して濾液に 排出される。次いで、濾液は、以下に記載のようにクロマトグラフィーにかけら れ得る。 c.カラムクロマトグラフィー タンパク質は、それらのサイズ、正味の表面電荷、疎水性、およびリガンドに 対する親和性に基づいて分離され得る。さらに、タンパク質に対して惹起された 抗体は、カラムマトリックスに結合体化され得、そしてタンパク質は免疫精製さ れ得る。これらの方法の全ては当該分野において周知である。Scopes,R.K.、Pr otein Purification:Principles and Practice,第2版、Springer Verlag(1987 )を参照のこと。 クロマトグラフィー技術が、任意の規模で、そして多くの異なる製造者(例え ば、Pharmacia Biotech)からの装置を用いて実施され得ることは、当業者に明 らかである。 好ましい実施態様では、E.coli上清からのTHPの精製は、ゲル濾過によって一 部達成され、そしてタンパク質濃度は、多くの技術(例えば、Bradford,Anal. Biochem.72.248-257(1976))に従って決定される。 d.アミノ酸配列 本発明のTHPのアミノ酸配列は、例えば、エドマン分解(当該分野で周知であ る技術)によって決定され得る。エドマン分解によって、THPの中間部を配列決 定した。これは、THPのバルクを構成することが見出された12の連続するアミノ 酸の反復モチーフに及ぶ。このモチーフ(配列番号1)は、各イソ型において、 少なくとも5回、より好ましくは5〜12回繰り返される。 中間部配列決定に加えて、N末端配列決定は、当該分野で公知の技術によって 実施され得る。しかし、ネイティブなTHP26において、そして組換えTHPイソ型の うち3つにおける類推によって、N末端はブロックされていた。核酸配列決定に よって、N末端を、グルタミンであると決定した。これは、N末端配列決定がピロ グルタミン(環状化グルタミン)によりブロックされることと一致する。本発明 のTHPのクラスの推定N末端は、配列番号4として同定する。 e.分子量/等電点 タンパク質の分子量は、多くの異なる方法によって決定され得る。これら全て は当業者に公知である。いくつかの決定方法は、以下を包含する:SDSゲル電気 泳動、未変性ゲル電気泳動、分子排除クロマトグラフィー、ゾーン遠心分離、質 量分析、および配列決定からの算定。異なる技術の結果間の相違は、技術に固有 の要因に起因し得る。例えば、未変性ゲル電気泳動、分子排除クロマトグラフィ ー、およびゾーン遠心分離は、タンパク質のサイズ、形状、および正味の電荷の ような要因に依存する。本発明のタンパク質は、システインが豊富であり、多く のジスルフィド結合(分子内および分子間の両方)を形成することが予測される 。SDSゲル電気泳動は、SDSのタンパク質中に存在するアミノ酸への結合に依存す る。いくつかのアミノ酸は、他より強くSDSを結合し、従って、タンパク質は、 アミノ酸組成に依存して異なって移動する。本発明では、本明細書中に開示され たTHPが、モチーフの繰り返し単位であるので、異なるアミノ酸の相対数は非常 に低く、SDSゲル電気泳動による分子量において大きな相違を生じ得た。配列か らの算定分子量は、タンパク質に存在するアミノ酸の頻度を利用し、アミノ酸の 分子量にその頻度を乗算する。タンパク質がグリコシル化されている場合、算定 分子量は、これを反映せず、質量分析が必要な代替法であり得る。 本発明では、分子排除クロマトグラフィーによるTHPのクラスの見かけ分子量 が、17〜19kDの間であり;SDSゲル電気泳動によっては、22〜30kDであった。質 量分析では、タンパク質のクラスの分子量は、7〜12、好ましくは8〜11、そ して最も好ましくは約8.4〜11.7kDの間であることが見出された。これは、分子 量がアミノ酸配列決定から算定されたときに得られた結果と一致した。アミノ酸 配列および質量分析による分子量を比較することによって、分子量における差異 は、異なる数のモチーフ反復に大きく起因すると思われる。 タンパク質の等電点は、未変性ゲル(またはディスク)電気泳動、等電点電気 泳動によって決定され得るか、または、好ましい方法では、タンパク質のアミノ 酸含量を与えられた計算によって決定され得る。本発明のタンパク質のクラスは 、約8から10の計算pIを有する。 f.機能性アッセイ 本発明のTHP種およびイソ型は、少なくとも2つの機能性特性(例えば、熱履 歴および氷晶の固有の形成)によって同定および特徴づけられ得る: (1)熱履歴 本発明のタンパク質は、熱履歴アッセイにおいて公知の魚類不凍タンパク質よ りも約100倍高い活性である。熱履歴は、溶液凍結温度および溶液融解温度との 間の差異として定義される。凝固点は、抑制できない氷の増大が、種氷晶から生 じる温度として解釈される。融点は、水晶が融解することなく安定に保持され得 る、最も高い温度として解釈される。TH活性は、当該分野で周知の方法(例えば 、Chakrabartty & Hew、Eur.J.Biochem.202:1057(1991)を参照のこと)によっ て、ナノリッター浸透圧計(Clifton Technical Physics,Martford,NY)で測 定され得る。開始氷晶は、通常、直径20〜50μmである。使用される緩衝液は、 代表的には、100mMのNH4HCO3(pH7.9)であるが、類似の浸透圧の他の緩衝液も使 用され得る。あるいは、TH活性は、細菌性ブロス、組織培養液、または血リンパ 中で測定され得る。 浸透圧計は、独立しているが連結された可変温度コントロールを有する熱電気 冷却モジュールである。この装置は、ディープフリーズモードによって、0℃〜 9℃の範囲から-40℃までの温度調節を可能にする。冷却モジュールは、顕微鏡 ステージ(このステージで、氷晶の増大および融解挙動が、直接観察され得る) でセットアップされ得る。サンプルホルダーは、複数の小さなサンプル孔(直径 約0.35mm)を含む、約7mm×7mm×0.75mmの体積を有する小プレートであり得る。 一滴の液浸オイル(例えば、Cargilleの液浸オイルB)が、サンプル孔が満たさ れるようにサンプルホルダーの下側に置かれ得る。次いで、1〜5nLのサンプル が、毛細管によって、オイルで満たされた孔の中央まで送達される。 TH活性を測定するために、サンプルを、最初に-40℃まで急速に冷却すること によって凍結し、次いでそれらを融点温度まで暖める。一旦、融点に達すると、 サンプルを、凍結温度に達するまで、10〜15秒あたり約0.02℃(10ミリオスモル またはmオスモル)で冷却する。単位「オスモル」から「℃」への変換は、1.00 オスモルが1.86℃に相当する。ほとんどの例では、THPサンプルの凝固点に達す る場合、サンプル内の氷晶は、自発的にそして迅速に増大する。これは、全体サ ンプルの凍結へと導く。 あるいは、小さな氷晶は、溶液の表面上で凍結され得、そして溶液の温度は、 凍結温度より低い温度まで直ちに低下する。有核の氷晶が、増大し始める場合の 凍結より低い温度が、凝固点抑制または熱履歴測定である(PattersonおよびDum an,J.Exp.Zool.210:361(1979);およびWuら、J.Comp.Physiol.B 161:271( 1991)を参照のこと)。溶液の熱履歴活性は、不凍タンパク質の濃度に依存し、 タンパク質の濃度が高くなると、溶液によって示される活性が高くなる。しかし 、THPの増加濃度は、TH活性において漸増的により小さな増加を生じ、そして最 大に近づく。言い換えると、THP濃度とTHとの間の関係は、双曲線的であり、直 線的ではない。 本発明のタンパク質は、好ましくは、約1mg/mLで、1.0℃を超える、より好ま しくは約1mg/mLで1.5℃を超える、そして最も好ましくは約1mg/mLで約1.5〜3.0 ℃の間の熱履歴値を有する。 (2)水晶の固有の形成 既知の魚類不凍タンパク質よりも約100倍高い比活性を有することに加えて、 本発明のタンパク質は、種々の形状の氷晶を生成する。顕微鏡分析下で、魚類不 凍タンパク質は、平たく十分に規定された面を有する六方両錐である氷晶を生成 する。言い換えれば、本発明のTHPは、曲線的な縁を、好ましくは楕円形状で非 平面を、好ましくは凸面を有する結晶を形成する。 IV.不凍タンパク質および関連遺伝子の使用 タンパク質またはTHPをコードする遺伝子が、氷晶の増大を抑制する途上で使 用され得る。不凍タンパク質の使用の包括的な総説については、米国特許第5,11 8,792号を参照のこと。本発明のTHPは、タンパク質形態で導入され得るか、また はタンパク質を産生するための、適切な強力プロモーターの制御下において、細 胞において不凍タンパク質を発現することによって達成され得るはずであるレベ ルで、内因的に発現される遺伝子として導入され得る。THPの適切な濃度は、使 用に依存して変化するが、代表的には10億あたり約1部から千あたり約1部の範 囲(すなわち、1μg/L〜1g/L)にある。 本発明の1つの実施態様において、タンパク質は、食糧に導入される。これは 、多くの種々の局面を有する。1つは、植物食糧への導入であり、これは、植物 全体へ導入、従って、氷点下の気候条件からの損傷に対してある程度の一般的抵 抗性を与えるか、または植物部分(例えば、果実または野菜の一部分)へ導入し て凍結の際のこれらの特定の植物器官へ特に損傷を最低限にするかのいずれかで ある。例示的な植物部分は、茎、根、葉、花、葉柄、果皮、種子、植物性組織、 塊茎などである。 凍結野菜(例えば、セロリ、ジャガイモ、アスパラガス、エンドウマメ、ニン ジン、マメ、ブロッコリ、トウモロコシ、およびホウレンソウ)の組織、味覚、 および有用な保存期間は、改良され得る。同様に、果実(イチゴ、ブルーベリー 、キイチゴ、柑橘類の果実、バナナ、ブドウ、キウイ、モモ、パイナップル、西 洋スモモ、サクランボ、トマトおよびマンゴを含む)の組織、味覚、および保存 期間は、増強される。 植物および他の産物へのこの導入は、標的生物への適切な核酸の遺伝子導入に よって最も容易に達成され得る。食品加工が開始される前、または収穫および加 工が開始された後の核酸の発現(構成的なあるいは誘導性のいずれかの)は、食 糧を効果的に保護するために有意に高いレベル(例えば、質量で植物タンパク質 全体の0.5%までであるが、より好ましくは約0.1%まで)のポリペプチドへと導き 得る。発現はまた、組織特異的基準であり得る。例えば、果実における成熟遺伝 子への連結は、産生植物からの収穫後でさえ発現を生じ得る。 ポリペプチドはまた、凍結されることが予測される食物に添加され得る。多く の凍結食物は、冷却状態で消費されることが意図され、例えば、これらとしては 、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、アイスミルク、シャーベット、アイ スキャンディー、フローズンホイップクリーム、フローズンクリームパイ、フロ ーズンプリンなどが挙げられる。詳細には、組織および味覚は、凍結融解サイク ル(これは、ほとんどの家庭用の霜のないフリーザーにおいて、または凍結状態 で維持される保存によって生じる)の間の大きな氷晶の形成によって、悪影響を 受ける。この氷晶増大プロセスは、不凍ポリペプチドの添加によって、全体とし て防止されるか、または少なくとも最小化され得る。精製された不凍タンパク質 は、食糧の至る所に組み込まれるか、または代わりに表面(ここで、凝結および 結晶形成は、最も容易に生じることが予想される)に適用され得る。 別の実施態様において、本発明のTHPをコードする遺伝子は、微生物(これは 、食糧に添加される場合、凍結から食糧または微生物を保護する)を形質転換す るために使用される。例えば、細菌(例えば、Streptococus thermophilusおよ びLactobacillus bulgaricus)が、乳製品(フローズンヨーグルトとして販売さ れることが意図される)へ添加され得る。ヨーグルトを製造するために乳製品を 発酵させることに加えて、細菌によって発現されるTHPは、家庭用フリーザー凍 結融解サイクルから製品を保護し、そしてより口当たりの良い製品を製造する。 別の使用は、THPをコードする核酸によって、パン生地酵母を形質転換するこ とである。酵母へのこの遺伝子の組み込みおよび発現、ならびに凍結パン生地に おけるこれら酵母の使用によって、パン生地は、融解の際自然に発酵する。なぜ なら、酵母の生存度は、融解の際に高いままであるからである。これらの不凍ポ リペプチドの存在下では貯蔵から集積する損傷はより少なく、そして融解された サンプルは、高い生存度を持続するので、より長い貯蔵時間が可能となるか、ま たは多分、貯蔵のために必要とされるアリコートがより少なくなるかのいずれか になる。 食物フリーザーに特異的ではない、種々の実施態様が存在する。1つは、気候 性凍結条件から植物を保護するためのTHPの使用である。THPが、導入された遺伝 子の発現によって、細胞質へ内部に組み込まれるか、あるいはタンパク質が、植 物へ外部適用され得るかのいずれかであり得る。外部適用は、植物へのタンパク 質の直接的な適用あるいはタンパク質を分泌する生物の植物上への外部沈着のい ずれかによって達成され得る。導入のためのこれらの同じ代替は、同様、他の使 用にもあてはまる。 植物に加えて、本発明のTHPを使用して、トランスジェニック動物(氷点下温度 に耐え得る魚を含む)を産生し得ることが想到される。いくらかの極地方の魚は 不凍タンパク質を確かに合成するが、ほとんどの魚は、水温が0℃未満に下がる 環境下では、生存しない。しかし、THPをコードする外因性核酸を含むトランス ジェニック魚は、氷点下の塩水で耐えることができ、おそらく一部は生育され得 る。特に、飼育場において生育されている塩水魚、大部分は特にサケである。サ ケに加えて、飼育されるトランスジェニックテナガエビ類は、THP遺伝子の潜在 的なレシピエントである。 上記の実施態様に加えて、本発明のTHPを使用して、低温耐性生物内の内因性T HP遺伝子の発現を調節し得ることが想到される。不凍タンパク質遺伝子産物の発 現は、例えば、引き続く単離物(内因性不凍タンパク質)を調製する方法として増 加され得る。逆に、内因性不凍剤遺伝子発現をダウンレギュレートすることによ って、そうでなければ低温耐性の有害生物が、あまり悪化しない表現型に変換さ れ得る。 内因性遺伝子の発現を改変する方法は、当業者に周知である。代表的には、こ のような方法は、調節されるべき特定の遺伝子の発現を制御する調節配列の全て または一部を改変または置換する工程を包含する。特定の実施態様において、1 つ以上のTHPの上流の調節配列(例えば、ネイティブプロモーター)が改変される 。 このことは、代表的に、ネイティブな調節配列に異種核酸を導入するために相 同組換えを使用することによって達成される。1つ以上のTHP遺伝子産物の発現 をダウンレギュレートするために、リーディングフレームを改変するかまたはプ ロモーターを破壊するかのいずれかの簡単な変異が適切である。THP遺伝子産物 の発現をアップレギュレートするために、ネイティブなプロモーターは、転写物 を正常レベルより高く誘導する異種プロモーターで置換され得る。 特定の好ましい実施態様において、問題の構造遺伝子または上流配列を含む核 酸配列は、異種組換え構築物を標的化するために利用される。配列番号2および 5に提供される構造遺伝子配列情報、または配列番号10、12、14および16に提供 される上流もしくは下流配列情報を利用することによって、当業者は慣用的な実 験のみで相同組換え構築物を作製し得る。 内因性遺伝子の発現を改変する相同組換えの使用は、米国特許第5,272,071号 、WO91/09955、WO93/09222、WO96/29411、WO95/31560、およびWO91/12650におい て詳細に記載される。マイコバクテリアにおける相同組換えは、Azadら、Proc.N atl.Acad.Sci.USA 93:4787(1996);Baulardら、J.Bacteriol.178:3091(1996); およびPelicicら.,Mol.Microbiol.20:919(1996)に記載される。動物における相 同組換えは、Moynahanら.,Hum.Mol.Genet.5(7):875(1996)、および植物における 相同組換えは、Offringaら.,EMBO J.9(10):3077(1990)に記載されている。 別の実施態様は、器官、組織、または他の生物学的サンプルを取り囲む水溶液 への不凍タンパク質の導入である。1つの特定の使用は、移植手術または保存目 的のための病院への輸送の間に使用することである。不凍タンパク質は、氷点下 の温度での短期または長期の保存を可能にし、それによって固有の代謝または分 解を最小化させるが、氷晶の成長に由来する細胞損傷を実質的に減少させるはず である。他の医療的に重要な温度感受性生物学的サンプルは、血液および血液製 品、治療剤、タンパク質薬物、生物学的アッセイ試薬およびワクチンである。 さらに別の実施態様は、凍結保存のために予定したおいた細胞またはそれらの 抽出物への不凍タンパク質の導入である。例えば、THPを含む細菌細胞、酵母細 胞、植物細胞、および最も特に動物細胞は、凍結融解プロセスに起因して固有の 特徴を最小限に失うかまたは全く失うことなく細胞または組織の生存性を上昇さ せる。亜細胞サンプルまたは細胞性抽出物は、凍結、特に保存の延長に対して類 似の感受性を有し得る。代表的な例は、インビトロタンパク質翻訳系、酵素調製 物、および特に感受性膜成分(例えば、クロロプラスト、またはミトコンドリア 膜調製物)を含むサンプルである。特に、オルガネラを含むサンプルは、これら の不凍ポリペプチドの添加の際に凍結損傷に対して、耐性の増加を示し得る。軟 動物組織は、本発明のポリペプチドの存在下での凍結の際に、損傷をあまり示さ ず、そしてこのポリペプチドの添加は、凍結および引き続く融解の際に細胞の完 全性が重要であるかまたは所望される状況(例えば、組織培養物寄託に関して)に おいて有用である。従って、凍結貯蔵(例えば、細胞または組織の寄託機関)を目 的とされたサンプルは、それらに添加されるタンパク質を慣用的に有し得る。こ れらの細胞型の間において、しばしば保存されるものは、細菌、真菌(酵母を含 む)、および特に高等真核生物細胞(例えば、ハイブリドーマ株または組織培養細 胞株など)の遺伝的改変体である。 本発明にはまた、当業者に周知の安定化剤および他の添加剤とともにTHPの混 合物に基づいた組成物および使用が含まれる。これらの化合物は、腐敗の阻害、 酸化の阻害、変色の防止、微生物増殖の阻害、乳化物の安定化などのために存在 し得る。 本発明においてまた、凝固点の抑制または非有機系における凍結の阻害のため (例えば、除氷処置における使用のため)に適切なTHPに基づいた組成物が含まれ る。 本明細書中に記載された実施例および実施態様は、例示のみの目的であり、こ れらに鑑みて種々の改変または変更が、当業者に示唆され、そして本出願の精神 および範囲内ならびに添付の請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。 実施例 以下の実施例は、例示のために提供され、本願発明を制限することを意図しな い。 実施例1:Tenebrio molitor幼虫由来のTHP 以下の実施例は、Tenebrio molitorの血液リンパからのTHPの単離を詳述する 。Tenebrio molitor幼虫は、暗中で生育させた以外は、以前に記載のように(Gra hamら.,Insect.Biochem.Molec.Biol.26:127(1996)を参照のこと)生育させた。血 液リンパ(600μl)を100の推定終齢幼虫の切断された前脚での滲出液から得、そ して氷冷血液リンパ緩衝液(50mM Tris-HCl(pH8.0)、150mM NaCl、および1mMフェ ニルチオカルバミド)中で1:1に希釈した。 1.6cm)上にロードし、そしてフェニルチオカルバミドを含まない血液リンパ緩衝 液を用いて溶出した。選択された活性な画分を合わせ、C18分析カラム(Vidac)に おいて、0.05%トリフルオロ酢酸において0.4%アセトニトリル/分の勾配を使用 して、逆相HPLCによってクロマトグラフィーにかけた。画分を凍結乾燥し、そし て標準的な手順に従って、TH測定のために、50μlの0.1M NH4HCO3(PH8.0)で再懸 濁した(ChakrabarrtyおよびHew、Eur.J.Biochem.202:1057(1991)を参照のこと) 。氷晶形態は、白黒フィルムを使用して撮影され、そして結晶cおよびaの軸は 、直交偏光(cross-polarized light)を使用して同定した(Hobbs、Ice Physics,C larendon Press,London(1974))。活性な画分を15%SDS−PAGEによって分離し、 そしてSilver Stain Plus Kit(Bio-Rad)を使用して染色した。 およその分子量をMALDI質量分析計によって決定した。2つの活性な、良好に 分離されたHPLC画分を、アミノ酸分析、N末端配列決定およびエレクトロスプレ ーイオン化質量分析に供した。1つの画分を還元して、アルキル化し、そしてエ ンドプロテアーゼLys-Cを使用して切断した。逆相HPLCによる切断産物の分離に 従って、最も良好に分離されたフラグメントを、自動化エドマン分解によって配 列決定した。 希釈された幼虫Tenebrio血液リンパがゲル排除クロマトグラフィーによって分 画された場合、約19および17kDの見かけの分子量を有するTH活性の2つの重複す るピークが存在した(図1)。先立つピークをHPLCによって分析した場合、活性な タンパク質は、16%アセトニトリルと22%アセトニトリルとの間で溶出し(図2) 、そしてより豊富であるが、不活性なタンパク質は、勾配の後期に溶出した。質 量分析(図3)によって、不活性なタンパク質(12.2kDa〜12.4kDa)は、SDS−PAGE において分子量に従って移動したが、その一方で、より小さなTHタンパク質(7.3 kDa〜10.7kDa)は、22〜30kDaの範囲の見かけの分子量を有する拡散性のバンドと して変則的に移動したことが示された。HPLC画分の26および27に対応する(図2) 最も高いTH活性を有する画分を、それらのアミノ酸含有量について分析した。2 つの画分の組成は類似し、そしてともに、Thrおよび短い側鎖を有する他のアミ ノ 酸(Gly、Ala、Ser)が豊富であった。全体的に、タンパク質は、中程度に親水性 であった(Wishardら.,Comput.Appl.Biosci.10:121(1994))。55μg/mlのTHP26(画 分26)のTH活性および21μg/mlのTHP27のTH活性は、それぞれ、1.6℃および1.1℃ であり、10〜30mg/mlの魚類AFPで得られた最大値に近接していた(DaviesおよびH ew、FASEB J.4:2460(1990))。 THP26およびTHP27の両方が、N末端がブロックされていた。エンドプロテイナ ーゼLys-C消化物から遊離されたTHP26からの内部フラグメントが配列決定され、 そしてそのアミノ酸含量(20残基のうち7Thrを含む)は、全体的なアミノ酸組成 と一致した。この配列に対する縮重プライマーをベクタープライマーとともに使 用して、Tenebrioc DNAライブラリーをスクリーニングするためにPCR産物を産生 した。 実施例2:THPコード遺伝子についてのcDNAライブラリースクリーニング 本発明のTHPの他のイソ型を単離するために、プローブ(配列番号2および5) 、PCRプライマー(配列番号6および7)ならびに配列決定プライマー(配列番号8 および9)についてのオリゴヌクレオチドを、TH陽性クローン(YL-1〜4)を配列決 定することによって決定されたコンセンサス配列に基づいて設計した。 Tenebrio molitor幼虫の脂肪体λ-Zap cDNAライブラリー(Grahamら、Insect B iochem.Molec.Biol.26:127(1996))のアリコートを5'末端から停止コドンまでのY L-1の核酸配列(配列番号21)を使用してスクリーニングした。約1×105プラー クを、上記に列挙した配列を使用して、標準的な方法論に従って中程度のストリ ンジェンシーにてスクリーニングした。単離された陽性プラークは、製造業者の 説明書によって、R408ヘルパーファージ(Stratagene)を使用して、インビボ切り 出しに供した。得られた二重鎖DNAを精製して、ベクタープライマーT7およびT3 、ならびに配列番号8および9を使用して上記のように配列決定した。 核酸配列決定からの推定翻訳物は、20残基のうち18残基までが配列決定された ペプチドフラグメントと適合した。最初の28アミノ酸は、-3位〜-1位におけるCy sでの分泌シグナルペプチドを表した(von Heijne,Nucl.ACids Res.14:4683(19 86))。3つの改変体のN末端アミノ酸は、Glnであると推測された。これは、N 末端Glnが環状化によってピログルタミン酸に変換されたN末端ブロックと一致 した。第4の改変体の切断部位は、はっきりとは推定されなかった。 実施例3:サブクローニングおよびタンパク質発現 PCRリンカー−プライマー(配列番号6および7)を設計して、THPコード領域を 増幅し、そして成熟タンパク質の推定N末端残基の前にMetコドンを導入した。 得られたフラグメントをpET-20b(+)ベクター(Novagen)に連結して、そしてE.col i BL21(DE3)に形質転換した。発現をイソプロピルβ-D-チオガラタトピラノシド を使用して誘導し、細胞を遠心分離によって採取し、そして10mM Tris−HCl(pH8 .0),1mM EDTA,0.1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド中で超音波処理した 。清透化された上清を、G75ゲル排除クロマトグラフィーカラム上にロードした 。活性な画分をプールし、凍結乾燥し、50mMTris-HCl(pH8.0)中で再懸濁し、そ して同じ緩衝液に対して一晩透析した。 実施例4:クローニングされたTHPに由来する機能的活性 クローニングされた配列が、THPをコードするということを証明するために、 従来のシグナル切断部位(YL-2、図6)を有する4つのcDNAのうち最も短いcDNAを 、E.coliにおいて発現させた。TH活性を細胞溶解物の上清において検出し、これ によってタンパク質のいくつかは、活性を示すために十分良好に折り畳みし得る ことが示された。部分的に精製された組換えTHPは、5.3℃というTHを示し、そし てTenebrio血液リンパにおいてTHPからのその特性において区別不可能であった 。その活性は、還元によって取り除かれるが、キレート化によっては影響を及ぼ されなかった。また、希釈血液リンパの存在(図4-I)および組換えタンパク質の 存在(図4-II)において形成された氷晶は、同一であった。これらの観察によって 、このTHPおよびそのイソ型は、昆虫におけるTH活性の全てを占め得ることが示 唆される。さらに、血液リンパおよび全体の抽出物の広範な分析は、これらのイ ソ型に関連しないTHPの証明を全く示さない。 本明細書中に記載された実施例および実施態様は、例示のみの目的であり、こ れらに鑑みて種々の改変または変更が、当業者に示唆され、そして本出願の精神 および範囲内ならびに添付の請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。 本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的の ために本明細書中に参考として援用される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年10月15日(1999.10.15) 【補正内容】 請求の範囲 1.不凍タンパク質をコードする単離された核酸であって、該タンパク質は以下 : (1)約7〜約13kDaの計算分子量を有する; (2)1mg/mLで約1.5℃よりも大きな熱履歴活性を有する;および (3)配列番号3に示すモチーフをコードする核酸サブ配列を有する、 と規定される、単離された核酸。 2.コードされる前記タンパク質の前記計算分子量が、約8〜約12kDaである、 請求項1に記載の単離された核酸。 3.前記熱履歴活性が、1mg/mLにて2℃よりも大きい、請求項1または2に記 載の単離された核酸。 4.コードされる前記タンパク質が、配列番号11、13、15、および17からなる群 より選択される不凍タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離された核酸。 5.コードされる前記タンパク質が、配列番号11、13、15、および17からなる群 より選択される、請求項1に記載の単離された核酸。 6.ストリンジェントな条件下で配列番号2に特異的にハイブリダイズする、単 離された核酸。 7.ストリンジェントな条件下で、成熟YL-2熱履歴タンパク質(配列番号12のヌ クレオチド105〜359)をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする、単離さ れた核酸。 8.前記ストリンジェントな条件が、65℃にて15分間の0.2×SSCでの洗浄である 、請求項6または7に記載の単離された核酸。 9.精製されたTenebrio molitor不凍タンパク質からの12個の連続するアミノ酸 のモチーフの少なくとも1反復を有し、そして配列番号3に示されるアミノ酸モ チーフを有するタンパク質をコードする単離された核酸であって、該タンパク質 は、配列番号11、13、15、および17からなる群より選択される不凍タンパク質に 対する抗体に特異的に結合する、単離された核酸。 10.単離された不凍タンパク質であって、該タンパク質は: (i)配列番号1を含む12個の連続するアミノ酸のモチーフの少なくとも1反復 を有する; (ii)約7.0〜約13.0kDaの計算分子量を有する; (iii)約8.0〜約10.0のpIを有する; (iv)1mg/mLで約1.5℃より大きい熱履歴活性を有する; (v)N末端に配列番号3に示されるアミノ酸モチーフを有する;および (vi)(a)配列番号11、13、15、および17からなる群より選択される不凍タンパ ク質に対して惹起された抗体に特異的に結合するか;または (b)配列番号11、13、15、および17からなる群より選択される不凍タンパ ク質に対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する、 単離された不凍タンパク質。 11.反復モチーフの数が、5〜12である、請求項10に記載の単離された不凍 タンパク質。 12.前記熱履歴活性が、1mg/mLの濃度で約2.0℃よりも大きい、請求項10ま たは11に記載の単離された不凍タンパク質。 13.前記タンパク質が、配列番号11、13、15、および17からなる群より選択さ れる、請求項10に記載の単離された不凍タンパク質。 14.配列番号2に特異的にハイブリダイズする核酸分子によりコードされる、 単離された不凍タンパク質。 15.組換え手段により生成される、請求項10〜14のいずれか1項に記載の 単離された不凍タンパク質。 16.免疫学的に反応性の条件下で、配列番号4のアミノ酸配列に特異的に免疫 反応性な、抗体。 17.生物であって、該生物またはその祖先に、請求項1〜9のいずれか1項に 記載の単離された核酸を含む発現ベクターが導入された、生物。 18.前記単離された核酸の配列が、前記生物から外部に発現される不凍タンパ ク質に翻訳される、請求項17に記載の生物。 19.前記生物が、魚類である、請求項17に記載の生物。 20.前記魚類が、Salmonidae科のメンバーである、請求項19に記載の生物。 21.前記生物が、甲殻類である、請求項17に記載の生物。 22.前記生物が、Natantia亜目のメンバーである、請求項21に記載の生物。 23.前記生物が、Palaemonetes属およびPeneus属からなる群より選択される、 請求項22に記載の生物。 24.前記生物が、Homarus属のメンバーである、請求項21に記載の生物。 25.前記生物が、植物である、請求項17に記載の生物。 26.前記生物が、真菌である、請求項17または18に記載の生物。 27.前記真菌が、酵母である、請求項26に記載の生物。 28.前記酵母が、Torulopsis holmil、Saccharomyces fragilis、Saccharomyc es cerevisiae、Saccharomyces lactis、およびCandida pseudotropicalisから なる群より選択される、請求項27に記載の生物。 29.前記生物が、細菌である、請求項17または18に記載の生物。 30.前記細菌が、Streptococcus cremoris、Streptococcus lactis.Streptoc occus thermophilus、Leuconostoc citrovorum、Leuconostoc mesenteroides、L actobacillus acidophilis、Lactobacillus lactos、Bifidobacterium bifudum 、Bifidobacterium breve、およびBifidobacterium longumからなる群より選択 される、請求項29に記載の生物。 31.水溶液の凝固点を低下させる方法であって、該方法は、請求項10〜15 のいずれか1項に記載の不凍タンパク質を該水溶液に添加する工程を包含する、 方法。 32.前記水溶液が、生物に適用される、請求項31に記載の方法。 33.発現ベクターであって、プロモーターに作動可能に連結された、請求項1 〜9のいずれか1項に記載の単離された核酸を含む、発現ベクター。 34.前記プロモーターが、ネイティブな状態では、THPプロモーターである 、 請求項33に記載の発現ベクター。 35.前記プロモーターが、異種性である、請求項33に記載の発現ベクター。 36.前記プロモーターが、構成性である、請求項35に記載の発現ベクター。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/18 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A // C09K 5/08 C09K 5/00 D (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 リオウ,イー−チェーン カナダ国 ケイ7エム 2ダブリュー8 オンタリオ,キングストン,マックファー ソン アベニュー 15,アパートメント 18―102 (72)発明者 ウォーカー,バージニア ケイ. カナダ国 ケイ0エイチ 2ティー0 オ ンタリオ,シデンハム,アール.アール. ナンバー1 (72)発明者 デイビス,ピーター エル. カナダ国 ケイ7エム 2エム8 オンタ リオ,キングストン,ディッケンズ ドラ イブ 100

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.不凍タンパク質をコードする単離された核酸であって、該タンパク質は以下 : (1)7〜13kDaの計算分子量を有する; (2)約1mg/mLで約1.5℃よりも大きな熱履歴活性を有する;および (3)(a)YL-1、YL-2、YL-3、またはYL-4からなる群より選択される不凍タンパク 質に対して惹起された抗体に特異的に結合する;または (b)YL-1、YL-2、YL-3、またはYL-4からなる群より選択される不凍タンパク 質に対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有する;または (c)配列番号1のコンセンサス配列の少なくとも1つの反復単位を含むアミ ノ酸配列を有する と規定される、単離された核酸。 2.コードされる前記タンパク質の前記計算分子量が、約8〜約12kDaである、 請求項1に記載の単離された核酸。 3.前記熱履歴活性が、1mg/mLにて2℃よりも大きい、請求項1に記載の単離 された核酸。 4.コードされる前記タンパク質が、YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群 より選択される不凍タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、 請求項1に記載の単離された核酸。 5.コードされる前記タンパク質が、YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群 より選択される、請求項1に記載の単離された核酸。 6.コードされる前記タンパク質が、配列番号1の6つのうちの少なくとも5つ の保存されたアミノ酸の約5〜12個の反復単位からなる、請求項1に記載の単離 された核酸。 7.ストリンジェントな条件下で配列番号2に特異的にハイブリダイズする、単 離された核酸。 8.精製されたTenebrio molitor不凍タンパク質からの12個の連続するアミノ酸 のモチーフの少なくとも1反復をコードする単離された核酸であって、YL-1、YL -2、YL-3、およびYL-4からなる群より選択される不凍タンパク質に対する抗体に 特異的に結合する、単離された核酸。 9.単離された不凍タンパク質であって、該タンパク質は: (i)配列番号1を含む12個の連続するアミノ酸のモチーフの少なくとも1反復 を有する; (ii)約7.0〜約13.0kDaの計算分子量を有する; (iii)約8.0〜約10.0のpIを有する; (iv)1mg/mLで約1.5℃より大きい熱履歴活性を有する; (v)(a)N末端に配列番号3に示されるアミノ酸モチーフを有する;または (b)YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群より選択される不凍タンパク 質に対して惹起された抗体に特異的に結合するか;もしくは (c)YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群より選択される不凍タンパク 質に対して60%のアミノ酸配列同一性を有する、 単離された不凍タンパク質。 10.反復モチーフの数が、5〜12である、請求項9に記載の単離された不凍タ ンパク質。 11.前記熱履歴活性が、約1mg/mLの濃度で約2.0℃よりも大きい、請求項9に 記載の単離された不凍タンパク質。 12.前記タンパク質が、YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群より選択さ れる、請求項9に記載の単離された不凍タンパク質。 13.免疫学的に反応性の条件下で、不凍タンパク質に特異的に免疫反応性な抗 体であって、該タンパク質は、配列番号1のモチーフを含む少なくとも1反復の 配列を有する、抗体。 14.前記不凍タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列をさらに含む、請求項 13に記載の抗体。 15.生物であって、該生物またはその祖先に、請求項1に記載の単離された核 酸が導入された、生物。 16.前記単離された核酸の配列が、前記生物から外部に発現される不凍タンパ ク質に翻訳される、請求項15に記載の生物。 17.前記生物が、魚類である、請求項15に記載の生物。 18.前記魚類が、Salmonidae科のメンバーである、請求項18に記載の生物。 19.前記生物が、甲殻類である、請求項15に記載の生物。 20.前記生物が、Natantia亜目のメンバーである、請求項19に記載の生物。 21.前記生物が、Palaemonetes属およびPeneus属からなる群より選択される、 請求項20に記載の生物。 22.前記生物が、Homarus属のメンバーである、請求項19に記載の生物。 23.前記生物が、植物である、請求項15に記載の生物。 24.前記生物が、真菌である、請求項15に記載の生物。 25.前記真菌が、酵母である、請求項24に記載の生物。 26.前記酵母が、Torulopsis holmil、Saccharomyces fragilis、Saccharomyc es cerevisiae、Saccharomycea lactis、およびCandida pseudotropicalisから なる群より選択される、請求項25に記載の生物。 27.前記生物が、細菌である、請求項15に記載の生物。 28.前記細菌が、Streptococcus cremoris、Streptococcus lactis、Streptoc occus thermophilus、Leuconostoc citrovorum、Leuconostoc mesenteroides、L actobacillus acidophilis、Lactobacillus lactis、Bifidobacterium bifidum 、Bifidobacterium breve、およびBifidobacterium longumからなる群より選択 される、請求項27に記載の生物。 29.水溶液の凝固点を低下させる方法であって、該方法は、配列番号1の連続 するアミノ酸モチーフの1より大きな反復を有する不凍タンパク質を該水溶液に 添加する工程を包含する、方法。 30.前記水溶液が、生物に適用される、請求項29に記載の方法。 31.反復モチーフの数が、約5〜約12である、請求項29に記載の方法。 32.前記不凍タンパク質が、組換え手段により生成される、請求項29に記載 の方法。 33.前記不凍タンパク質が、YL-1、YL-2、YL-3、またはYL-4に対して指向され る抗体にさらに特異的に結合する、請求項29に記載の方法。 34.前記不凍タンパク質が、YL-1、YL-2、YL-3、およびYL-4からなる群より選 択される、請求項29に記載の方法。 35.前記不凍タンパク質が、配列番号2に特異的にハイブリダイズする核酸分 子によりコードされる、請求項32に記載の方法。 36.プロモーターに作動可能に連結された請求項1に記載の単離された核酸を 含む、発現ベクター。 37.前記プロモーターが、ネイティブな状態では、THPプロモーターである、 請求項36に記載の発現ベクター。 38.前記プロモーターが、異種性である、請求項36に記載の発現ベクター。 39.前記プロモーターが、構成性である、請求項38に記載の発現ベクター。
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