JPH11169171A - 新規モノクローナル抗体およびその用途 - Google Patents

新規モノクローナル抗体およびその用途

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JPH11169171A
JPH11169171A JP9363494A JP36349497A JPH11169171A JP H11169171 A JPH11169171 A JP H11169171A JP 9363494 A JP9363494 A JP 9363494A JP 36349497 A JP36349497 A JP 36349497A JP H11169171 A JPH11169171 A JP H11169171A
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JP
Japan
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ssi
monoclonal antibody
protein
amino acid
hybridoma
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JP9363494A
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Kazuyuki Yoshizaki
和幸 吉崎
Tadahiro Kajita
忠宏 梶田
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International Reagents Corp
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 SSI−1蛋白質に特異的に親和性を有
するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマ、該ハイブリドーマの製造方法、該
ハイブリドーマを培養してその培養上清を採取すること
による当該モノクローナル抗体の製造方法。当該モノク
ローナル抗体を使用することを特徴とする試料中のSS
I−1蛋白質を測定する方法、該モノクローナル抗体を
含む試薬。SSIファミリーに特異的に親和性を有する
モノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ、および該モノクローナル抗体の用途。 【効果】 SSI−1蛋白質ならびにSSIファミリー
の諸性質を解析することが可能となる。さらに当該蛋白
質分子の分子学的及び生理学的機能の研究にプローブと
して利用でき、細胞内情報伝達系の制御メカニズムの解
析、基礎医学ならびに臨床医学分野での利用、医薬品お
よび診断薬開発等の研究に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターロイキン
−6(以下IL−6と略す)やインターロイキン−4
(以下IL−4と略す)などのサイトカインによって活
性化される細胞内情報伝達の調節および制御に関与する
蛋白質でありSTATによりその発現が誘導され、且つ
STATのシグナルを阻害する、相同性の高い一連の蛋
白質、就中SSI−1蛋白質(以下単にSSI−1とも
いう)に対して特異的に親和性を有するモノクローナル
抗体およびその製造方法ならびにそれらの用途に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】細胞内情報伝達において、IL−6、イ
ンターロイキン11(以下IL−11と略す)、白血病
阻害因子(以下LIFと略す)、毛様体神経栄養因子
(以下CNTFと略す)やオンコスタチンM(以下OS
Mと略す)等のサイトカインの刺激により活性化される
gp130(特開平1−200230号明細書参照)
は、JAK2やTYK2を活性化する。活性化をうけた
JAK2やTYK2はさらにSTAT(signal transduc
ers and activators of transcription)ファミリーの一
員であるSTAT3のC末側のチロシン残基をリン酸化
する。リン酸化をうけたSTAT3はホモまたはヘテロ
ダイマーを形成し、細胞質から核へ移行してDNAの特
異的な配列に結合することにより転写を活性化すること
が知られている。しかし、STAT活性化機序の全貌が
明らかにされているわけではない。
【0003】SSI−1(STAT-induced STAT inhibito
r-1 )は、IL−4、IL−6、LIF、顆粒球コロニ
ー刺激因子(以下G−CSFと略す)等のサイトカイン
によって発現誘導されるマウス由来の蛋白質であり、S
TAT3により発現誘導され、gp130及びSTAT
3のチロシンリン酸化を阻害することによりこれらの蛋
白質の活性化を阻害する、JAK−STAT信号経路の
負のフィードバック調節の役割を担っている蛋白質であ
ることが報告された(Naka et al., Nature, vol 387, p
p924-929, 1997) 。
【0004】IL−4、IL−6、LIF、G−CSF
等のサイトカインにより発現誘導され、SSI−1と同
様の働きを有する蛋白質として他に、SSI−2〜SS
I−7(仲哲治ら,第27回日本免疫学会総会・学術集
会プログラム(1997), P97 、池亀和博ら, 第27回日本
免疫学会総会・学術集会プログラム(1997), P253等)、
mmSOCS−1、hsSOCS−1、rrSOCS−
1、mmSOCS−2、mmSOCS−3、mmCIS
(R. Starr et al., Nature, vol 387, pp917-921, 199
7) 及びJAB(Takaho A. Endo et al., Nature, vol 3
87, pp921-924,1997) が報告されている。これらはSS
I−1を含め、186〜257残基のアミノ酸配列から
構成され、核酸データーベースから推定されるアミノ酸
配列検索の解析によれば、これらの蛋白質分子のN末端
側領域におけるアミノ酸配列の相同性はやや低いもの
の、いずれの蛋白質分子も配列の中央部分にはサークホ
モロジー−2(SH2)領域を持ち、さらにC末端側領
域には相同性の高い領域(SOCS box)を共通に
持っている。これらの知見より、上記一連の蛋白質は、
発現誘導される様式の類似性、蛋白質のアミノ酸配列レ
ベルから推定される構造的な類似性に基づいてJAK−
STAT経路を調節するファミリーを形成していること
が明らかとなった。すなわち、1)サイトカイン(ひい
てはSTAT)により誘導されること、2)STATシ
グナルを抑制すること、3)配列に相同性を有する(前
述参照)こと、この3点が当該ファミリーの定義である
とされている(以下、その特性に基づいて、当該ファミ
リーをSSI(STAT-induced STAT inhibitor )ファミ
リーという)。なかでもマウス由来のSSI−1、JA
BおよびmmSOCS−1とラット由来のrrSOCS
−1(それぞれ212個のアミノ酸配列より構成され
る)、およびヒト由来のhsSOC−1(211個のア
ミノ酸配列より構成される)はアミノ酸配列レベルでの
相同性が95〜99%と極めて高く、種をこえたアミノ
酸配列の保存が特徴的である。
【0005】JAK−STAT系の細胞内情報伝達に関
わる調節機構の生理的役割をさらに深く解析するために
は、これを調節する物質であるSSIファミリーの機能
解析が不可欠であり、また今後、IL−6及びIL−4
の作用を制御する治療薬を開発するためにもSSIファ
ミリーの生理的機序の解明が重要である。しかしなが
ら、SSI−1をはじめ、SSIファミリーの生体内で
の存在量は極めて微量であり、大量のSSIファミリー
を得るためには遺伝子工学的手法を用いる必要があり、
この遺伝子のクローニングによる発現、蛋白質の確認及
び精製の為にはSSIファミリーをファミリー全体とし
て、またファミリーを構成する個々の蛋白質分子をそれ
ぞれ特異的に迅速に同定出来るモノクローナル抗体の開
発が望まれる。また、SSIファミリーと相互作用する
JAKファミリーおよびTYK2との作用機序を解析
し、一連の細胞内情報伝達系の調節を解明するために
も、迅速にSSIファミリーを認識し、同定できるモノ
クローナル抗体の開発が望まれる。もし、SSIファミ
リーに対する種々のモノクローナル抗体が開発されたな
らば、IL−6に代表されるgp130を介した細胞の
活性化及び細胞内情報伝達を抑制する生理的機能の解明
や、IL−6等の働きを抑制する治療薬開発の応用に不
可欠な材料を提供することが可能である。しかしなが
ら、SSI−1をはじめ、SSIファミリーを特異的に
認識するモノクローナル抗体はこれまでのところ知られ
ていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、SS
Iファミリー、就中SSI−1に特異的に親和性を有す
る種々のタイプのモノクローナル抗体の提供ならびに当
該モノクローナル抗体の用途を提供することにある。ま
た、本発明の別の目的は、当該モノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマ細胞系を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、種をこえてそのアミノ酸配列がよく保存されて
いることが知られているSSI−1のアミノ酸配列か
ら、既報の蛋白質とアミノ酸相同性の低い、当該SSI
−1に特異的な配列を有する領域を選択し、さらにアミ
ノ酸配列から推定される蛋白質の構造解析により、上述
の領域の内、高度に親水性を有する領域を選択し、当該
領域のオリゴペプチドを免疫原とすることで、SSI−
1を特異的に認識するモノクローナル抗体(以下、単に
抗SSI−1モノクローナル抗体ともいう)を得ること
に成功し、当該モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマ細胞系を確立し、さらに当該モノクローナル抗体
の用途を見い出した。すなわち本発明は以下のとおりで
ある。 (1) 以下の性質を有するSSIファミリー蛋白質のう
ち、少なくとも1種の蛋白質に対して特異的に親和性を
有するモノクローナル抗体: 1)STATによりその発現が誘導される 2)STATシグナルを抑制する 3)srcホモロジー(SH2)領域を有する。 (2) SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有する
上記(1) 記載のモノクローナル抗体。 (3) SSI−1蛋白質の43番目のアミノ酸から69番
目のアミノ酸までの領域に存在するエピトープを認識す
ることを特徴とする上記(2) 記載のモノクローナル抗
体。 (4) 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列内に存在す
るエピトープを認識することを特徴とする上記(2) 記載
のモノクローナル抗体。 (5) 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列の全部また
は一部を有する蛋白質に対して特異的に親和性を有する
上記(2) 記載のモノクローナル抗体。 (6) 受託番号がFERM P−16445であるハイブ
リドーマにより産生される、上記(1) 〜(5) に記載のモ
ノクローナル抗体。 (7) 上記(1) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマ。 (8) 受託番号がFERM P−16445である上記
(7) 記載のハイブリドーマ。 (9) SSIファミリー蛋白質のうちの、少なくとも1種
の蛋白質の全部またはその一部からなるオリゴペプチド
で免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエローマ細胞株と融
合せしめ、該融合細胞から、SSIファミリー蛋白質の
うちの少なくとも1種の蛋白質に対して特異的に親和性
を有するモノクローナル抗体を産生する株をクローニン
グすることを特徴とするハイブリドーマの製造方法。 (10)SSI−1蛋白質の全部またはその一部からなるオ
リゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエロー
マ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、SSI−1蛋
白質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗
体を産生する株をクローニングすることを特徴とするハ
イブリドーマの製造方法。 (11)配列表配列番号1のアミノ酸配列または配列表配列
番号1のアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が
欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるオ
リゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエロー
マ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、SSI−1蛋
白質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗
体を産生する株をクローニングすることを特徴とするハ
イブリドーマの製造方法。 (12)上記(9) に記載の製造方法により製造されるハイブ
リドーマを培養し、該培養物からモノクローナル抗体を
取得することを特徴とする、SSIファミリー蛋白質の
少なくとも1種の蛋白質に特異的に親和性を有するモノ
クローナル抗体の製造方法。 (13)上記(10)または(11)に記載の製造方法により製造さ
れるハイブリドーマを培養し、該培養物からモノクロー
ナル抗体を取得することを特徴とする、SSI−1蛋白
質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗体
の製造方法。 (14)上記(1) に記載のモノクローナル抗体と試料とを反
応させる工程を含む、試料中のSSIファミリー蛋白質
のうちの少なくとも1種の蛋白質の測定方法。 (15)上記(2) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体と試料とを反応させる工程を含む、試料中のSSI
−1蛋白質の測定方法。 (16)上記(2) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体と試料とを反応させる工程を含む、配列表配列番号
1に記載のアミノ酸配列の全部または一部を有する蛋白
質の測定方法。 (17)上記(1) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体を含む試薬。
【0008】
【発明の実施の形態】SSI−1に特異的に親和性を有
することを特徴とする本発明のモノクローナル抗体(本
発明の抗SSI−1モノクローナル抗体)は、ヒト、マ
ウス、ラット等の動物の由来にかかわらずそのアミノ酸
配列が高度に保存されている領域を認識していることを
特徴としている。当該モノクローナル抗体が認識するS
SI−1とは遺伝子工学的に発現された蛋白質、または
サイトカイン等により細胞質内で発現誘導される天然型
のSSI−1のいずれかあるいは両方を意味する。本発
明の抗SSI−1モノクローナル抗体が認識するエピト
ープは、該モノクローナル抗体がSSI−1を特異的に
認識し得る限り特に限定されないが、好ましくはSSI
−1の43番目のアミノ酸から69番目のアミノ酸まで
の領域(配列表配列番号1)内に存在している。該領域
は、SSI−1のアミノ酸配列を、既報の蛋白質のアミ
ノ酸と比較した場合、アミノ酸相同性が低く、且つ構造
解析により高度に親水性を有すると想定される領域であ
る。
【0009】また、本発明のモノクロナール抗体の別の
態様としては、配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列
の全部あるいは一部を有する蛋白質に特異的に親和性を
有するモノクローナル抗体が挙げられる。当該蛋白質と
しては、具体的には上述したように、マウス由来のJA
BおよびmmSOCS−1、ラット由来のrrSOCS
−1およびヒト由来のhsSOCS−1等が挙げられ、
アミノ酸配列レベルで極めて高い相同性を有する蛋白質
である。
【0010】さらに本発明のモノクローナル抗体の別の
態様は、SSIファミリーに属する蛋白質のうち、少な
くとも1種に対して特異的に親和性を有するものであ
る。ここでSSIファミリーは前述のとおり、1)ST
ATによりその発現が誘導され、2)STATシグナル
を抑制し、3)srcホモロジー(SH2)領域を有す
る一連の蛋白質群を意味する。該SSIファミリーに属
する蛋白質としては、具体的には前述のものが挙げられ
るが、例えばSSI−1、SSI−2、SSI−3、S
SI−4、SSI−5、SSI−6およびSSI−7等
が挙げられる。当該抗体としては、SSIファミリーに
属する蛋白質群全てに特異的な親和性を有するもの、該
ファミリーに属する蛋白質の個々を、あるいは幾つかを
認識するもの等が挙げられる。
【0011】本発明のモノクローナル抗体は、当分野で
通常実施されている方法により調製される。即ち、SS
I−1ならびにSSIファミリー、SSIファミリーに
属する各蛋白質に特異的に親和性を有する抗体産生細胞
を、骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを形成さ
せ、該ハイブリドーマをクローン化し、各蛋白質に特異
的な抗体を産生するクローンを選択することによって製
造される。
【0012】抗原としては目的とする特異性によって異
なるが、SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有
する抗体を得る場合には、SSI−1の全部またはその
一部、SSI−1の43番目のアミノ酸から69番目の
アミノ酸までの領域を有するオリゴペプチド等が用いら
れる。特異性を高めるためには、よりSSI−1に特異
的な配列であるSSI−1の43番目のアミノ酸から6
9番目のアミノ酸までの領域のオリゴペプチドを用いる
ことが好ましい。又、抗原性を保持している限りは、当
該抗原は、そのアミノ酸配列において、1乃至数個のア
ミノ酸の欠失や置換、若しくは付加といった変更がなさ
れていてもよい。
【0013】SSIファミリーに対して特異的に親和性
を有する抗体を得る場合には、該ファミリーに属する各
蛋白質の間で極めて高い相同性を有するアミノ酸配列部
分が抗原として用いられる。具体的には、例えば各蛋白
質分子の中央部分に存在するSH2領域や、C末端側領
域のSOCS boxが用いられる。又、SSIファミ
リーに属する各蛋白質分子を個々に、あるいはその幾つ
かに特異的な親和性を有する抗体を得る場合も上述と同
様に、目的とする蛋白質分子に特徴的な配列を有する領
域を選択し抗原として用いることができる。
【0014】当該抗原は遺伝子工学的に、あるいは選択
した部分的なアミノ酸配列に基づいて合成することによ
っても調製できる。感作抗原としては、得られたSSI
−1等の蛋白質分子あるいは選択した部分的なアミノ酸
配列に基づいたオリゴペプチドをリン酸緩衝液(PB
S)等の適当な緩衝液中に溶解、あるいは懸濁したもの
が用いられる。抗原溶液は通常抗原物質の量として50
〜500μg/ml程度の濃度に調製すればよい。ま
た、ペプチド抗原等、それだけでは抗原性が低い場合
は、アルブミンやキーホールリンペットヘモシアニン等
の適当なキャリヤータンパク質に架橋して用いることが
好ましい。該抗原を免疫感作させる動物としてはマウ
ス、ラット、ウマ、ヤギ、ウサギなどが例示される。好
ましくはマウス、より好ましくはBALB/cマウスで
ある。このとき、被免疫動物の抗原への応答性を高める
ため、当該抗原溶液をアジュバントと混合して投与する
ことができる。本発明において用いられるアジュバント
としては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フ
ロイント不完全アジュバント(FIA)、Ribi(M
PL)、Ribi(TDM)、Ribi(MPL+TD
M)、百日咳ワクチン(Bordetella pertussis vaccin
e)、ムラミルジペプチド(MDP)、アルミニウムアジ
ュバント(ALUM)、およびこれらの組合せが例示さ
れるが、初回免疫時にFCA、追加免疫時にFIAを使
用する組み合わせが特に好ましい。
【0015】免疫方法は、使用する抗原の種類やアジュ
バント混合の有無等により、注射部位、スケジュールな
どを適宜変化させることができるが、例えば、被免疫動
物としてマウスを用いる場合は、アジュバント混合抗原
溶液0.05〜1ml(抗原物質10〜200μg)を
腹腔内、皮下、筋肉内または(尾)静脈内に注射し、初
回免疫から約4〜14日毎に1〜4回追加免疫を行い、
さらに約1〜4週間後に最終免疫を行う。該抗原溶液を
アジュバントを使用せずに投与する場合には、抗原量を
多くして腹腔内注射してもよい。抗体価は追加免疫の約
5〜6日後に採血して調べる。抗体価の測定は、後述の
抗体アッセイに準じ、通常行われる方法で行うことがで
きる。最終免疫より約3〜5日後、該免疫動物から脾細
胞を分離して抗体産生細胞を得る。
【0016】骨髄腫細胞としては、マウス、ラット、ヒ
ト等由来のものが使用される。例えばマウスミエローマ
P3X63−Ag8、P3X63−Ag8−U1、P3
NS1−Ag4、SP2/0−Ag14、P3X63−
Ag8・653等が例示されるが、抗体産生細胞と骨髄
腫細胞とは同種動物、特に同系統の動物由来であること
が好ましい。骨髄腫細胞は凍結保存するか、ウマ、ウサ
ギまたはウシ胎児血清を添加した一般的な培地で継代し
て維持することができる。細胞融合には対数増殖期の細
胞を用いるのが好ましい。
【0017】抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合させて
ハイブリドーマを形成させる方法としては、ポリエチレ
ングリコール(PEG)を用いる方法、センダイウイル
スを用いる方法、電気融合装置を用いる方法などが例示
される。例えばPEG法の場合、約30〜60%のPE
G(平均分子量1000〜6000)を含む適当な培地
または緩衝液中に脾細胞と骨髄腫細胞を1〜10:1、
好ましくは5〜10:1の混合比で懸濁し、温度約25
〜37℃、pH6〜8の条件下で、約30秒〜3分間程
度反応させればよい。反応終了後、PEG溶液を除いて
培地に再懸濁し、セルウェルプレート中に播種して培養
を続ける。
【0018】融合操作後の細胞を選択培地で培養して、
ハイブリドーマの選択を行う。選択培地は、親細胞株が
死滅し、融合細胞のみが増殖し得る培地であり、通常ヒ
ポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培
地が使用される。ハイブリドーマの選択は、通常融合操
作の1〜7日後に、培地の一部、好ましくは約半量を選
択培地と交換することによって開始し、さらに2、3日
毎に同様の培地交換を繰り返しながら培養することによ
り行う。顕微鏡観察によりコロニーが生育しているウェ
ルを確認する。
【0019】生育しているハイブリドーマが所望の抗体
を産生しているかどうかを知るには、培養上清を採取し
て抗体アッセイを行えばよい。抗体価は、例えば固相化
したSSI−1蛋白質に該上清を加えて反応させ、さら
に蛍光物質、酵素、RI等で標識した二次抗体(抗グロ
ブリン、抗IgG、抗IgM血清等)を反応させて測定
することができる。このようにして適切な抗体を産生し
ているウェルを得る。さらに限界希釈法、軟寒天法、蛍
光励起セルソーターを用いた方法等により単一クローン
を分離する。例えば限界希釈法の場合、ハイブリドーマ
コロニーを1細胞/ウェル前後となるように培地で段階
希釈し、培養することにより目的とするモノクローナル
抗体を産生するクローンを単離することができる。得ら
れた抗体産生ハイブリドーマは、約10%(v/v)ジ
メチルスルホキシド(DMSO)あるいはグリセリン等
の凍結保護剤の共存下に凍結させて−70〜−196℃
で保存すると、約半年〜半永久的に保存可能である。細
胞は用時37℃前後の恒温槽中で急速融解して使用す
る。凍結保護剤の細胞毒性が残存しないようによく洗浄
してから使用するのが望ましい。
【0020】上記の方法で得られる本発明のモノクロー
ナル抗体は、具体的には、例えばマウス由来かつIgG
クラスのモノクローナル抗体であって、SI−1262
Bと命名されたものである。ハイブリドーマが産生する
抗体のサブクラスを調べるためには、該ハイブリドーマ
を一般的な条件で培養し、その培養上清中に分泌された
抗体のクラスを市販の抗体クラス・サブクラス判定用キ
ットなどを用いて分析することにより知ることができ
る。
【0021】本発明のモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマのうち、モノクローナル抗体SI−126
2Bを産生するハイブリドーマSI−1262B株は本
発明者らによって新たに分離され、具体的には、ブタペ
スト条約に基づく国際寄託機関である通商産業省工業技
術院生命工学工業技術院(〒305 茨城県つくば市東
1丁目1番3号)に1997年9月25日付けで国内寄
託され、受託番号としてFERM P−16445が付
されている。
【0022】モノクローナル抗体の取得は、その必要量
やハイブリドーマの性状等によってマウス腹水から取得
するか、細胞培養によるか適宜選択できる。マウス腹腔
内で増殖可能なハイブリドーマは腹水から数mg/ml
の高濃度で得ることができる。インビボで増殖できない
ハイブリドーマは細胞培養の培養上清から取得する。細
胞培養によれば、抗体産生量はインビボより低いが、腹
腔内に含まれる免疫グロブリンや他の夾雑物質の混入が
少なく、精製が容易であるという利点がある。
【0023】マウス腹腔内から取得する場合、例えば、
予めプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン)等の免疫抑制作用を有する物質を投与した
BALB/cマウスの腹腔内へハイブリドーマ(約10
6 個以上)を移植し、約1〜3週間後に貯留した腹水を
採取する。異種ハイブリドーマ(例えばマウスとラッ
ト)の場合には、ヌードマウス、放射線処理マウスを使
用することが好ましい。
【0024】一方、細胞培養上清から抗体を取得する場
合、例えば、細胞維持に用いられる静置培養法の他に、
高密度培養方法あるいはスピンナーフラスコ培養方法な
どの培養法を用い、当該ハイブリドーマを培養し抗体を
含有する培養上清を得る。血清には、他の抗体やアルブ
ミン等の夾雑物が含まれ、抗体精製に不便な点が多いの
で培養液への添加は少なくすることが望ましい。
【0025】腹水、培養上清からのモノクローナル抗体
の精製は、免疫グロブリンの精製法として従来既知の硫
酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用いた塩析による分
画法、ポリエチレングリコール分画法、エタノール分画
法、DEAEイオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾
過法等を応用することで、容易に達成される。さらに、
本発明の抗SSI−1モノクローナル抗体が、マウスI
gG抗体である場合には、プロテインA結合担体あるい
は抗マウスイムノグロブリン結合担体を用いたアフィニ
ティークロマトグラフィーにより精製することが可能で
あり、簡便である。
【0026】本発明の新規モノクローナル抗体を用いて
試料中のSSI−1蛋白質をはじめSSIファミリーを
迅速に測定することが可能である。測定方法としては、
通常当分野で行われる各種のイムノアッセイが利用され
得る。該方法は検体と該抗体とを反応させ、形成される
免疫複合体を測定する工程を含むものであれば特に限定
されず、沈降反応や凝集反応を光学的に検出する免疫比
濁法や、分別検出の容易な物質で標識した抗体を用いる
標識化免疫測定法などがある。後者には、免疫複合体の
検出に標識としてRIを用いるラジオイムノアッセイ、
アルカリホスファターゼやパーオキシダーゼ等の酵素を
用いるエンザイムイムノアッセイ、蛍光物質を用いる蛍
光イムノアッセイなどが含まれる。標識する対象によっ
て、検出すべき抗体を直接標識する直接法の他、検出す
べき抗体の抗体つまり二次抗体を標識する間接法などが
ある。間接法を用いる場合、例えば本発明の抗SSI−
1モノクローナル抗体がマウスIgGモノクローナル抗
体である場合、二次抗体としては例えば抗マウスIgG
ポリクローナル抗体等を使用すればよい。該二次抗体の
調製法、並びに抗体の蛍光物質、RIおよび酵素等によ
る標識は、当分野で慣用の方法を用いて行うことができ
る。また、当該測定法にビオチン−アビジン(又はスト
レプトアビジン)の反応を利用する方法も可能であり、
高い感度が要求される測定の場合には好ましく採用され
る。当該方法としては、例えばビオチンで標識した抗S
SI−1モノクローナル抗体と蛍光物質等で標識したス
トレプトアビジンとを組み合わせて用いるものが挙げら
れる。抗SSI−1モノクローナル抗体のビオチンでの
標識、ストレプトアビジンの蛍光物質等での標識は、当
分野で通常行われる方法を用いて行うことができ、例え
ば蛍光物質等で標識したストレプトアビジンは商業的に
も入手可能である。
【0027】本発明の測定方法により測定される検体は
特に制限はないが、LIF等のサイトカインでSSI−
1をはじめSSI−1ファミリーを発現誘導した細胞や
当該蛋白質を遺伝子工学的に強制発現させた細胞などが
例示される。当該測定は細胞、組織レベルで測定可能で
ある他、当該細胞、組織からの抽出物を用いても測定可
能である。細胞、組織レベルでの測定としては光学およ
び電子顕微鏡等により観察する免疫組織化学や免疫細胞
化学を利用することにより行われる。細胞、組織からの
抽出物を用いた測定としては、免疫沈降法や電気泳動法
等を利用したイムノブロット法(ウエスタンブロット
法)等を利用することにより行われる。これらの測定方
法は通常当分野で行われている方法を適用し得る。
【0028】さらに本発明においては、本発明の新規モ
ノクローナル抗体を試薬に含めることができる。ここで
いう試薬には、例えば試料中のSSI−1をはじめとし
たSSIファミリーの検出用試薬、当該蛋白質に密接に
関与する分子の検出用試薬、当該蛋白質の精製の為の試
薬等が挙げられる。
【0029】SSI−1をはじめとしたSSIファミリ
ーの検出用試薬としては、測定原理として直接法を用い
る場合、該試薬は、例えばRI、酵素、蛍光物質等で標
識された該モノクローナル抗体を適当な緩衝液中に溶解
した溶液の他、標識検出用試薬、ブロッキング液、洗浄
液等から構成される。洗浄液としては、ドデシル硫酸ナ
トリウム(SDS)やポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレートなどのイオン性または非イオン性界面活性
剤あるいはゼラチン等を含有するPBS等の緩衝液(さ
らにアジ化ナトリウムを含有してもよい)が、ブロッキ
ング液としてはウシ血清アルブミン(BSA)や非イオ
ン性界面活性剤(例えばポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレート等)などを含有するPBS等の緩衝液
(さらにアジ化ナトリウムを含有してもよい)が例示さ
れる。バックグラウンドの高い試料を測定する場合など
には、ブロッキング液はさらにヤギ等の動物由来血清を
含んでいることが好ましい。一方、間接法を用いる場合
には、該試薬は、例えば未標識の該モノクローナル抗体
および該モノクローナル抗体に特異性を有する、RI、
酵素、蛍光物質等で標識された二次抗体、ブロッキング
液、洗浄液等から構成される。さらに、電気泳動法等と
組み合わせて測定を行う場合、該電気泳動法に使用する
試薬等を共に梱包しておくことも可能である。蛍光顕微
鏡による蛍光測定を行う為の試薬には、試料(細胞や組
織など)の封入剤を共に梱包しておくこともでき、かか
る封入剤としては、グリセロール含有PBS、ポリビニ
ルアルコール含有PBS等が好ましく例示される。
【0030】SSI−1をはじめとしたSSIファミリ
ーの精製用の試薬としては、例えば当該モノクローナル
抗体の他に、当分野で一般的に行われているアフィニテ
ィー精製の方法に従って、必要なものを含めることがで
きる。具体的には、本発明のモノクローナル抗体の他、
当該モノクローナル抗体を固定化する場合にはその為の
担体や試薬、洗浄用や抗原溶出用の緩衝液等が挙げられ
る。
【0031】SSI−1をはじめとしたSSIファミリ
ーに密接に関与する分子の検出用試薬としては、目的と
する分子の性質によっても異なるが、例えば、免疫沈降
法を利用した検出法に用いられる試薬が挙げられる。具
体的には、本発明のモノクローナル抗体の他、当該モノ
クローナル抗体を固定化する為の担体、洗浄用の緩衝液
等が挙げられ、沈降後の当該分子及びSSI−1(SS
Iファミリー)の検出には通常の電気泳動用試薬や前述
のウエスタンブロット法で用いる試薬と同様のものが例
示される。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、これによって本発明の範囲をなんら制限するも
のではない。 実施例1:ハイブリドーマならびに抗SSI−1モノク
ローナル抗体の作製ハイブリドーマの作製方法 (1)マウス 5乃至8週令の近交系BALB/c系マウス雌を、動物
飼育チェンバー内(23±1℃、湿度70%)で、標準
ペレットを使用して飼育し、任意に給水して飼育した。
【0033】(2)免疫原の調製 STATによりその発現が誘導され、STATシグナル
を抑制し、かつsrcホモロジー(SH2)領域を有す
ることが既に知られているSSI−1蛋白質のアミノ酸
配列から、既報の蛋白質とアミノ酸相同性の低い、当該
SSI−1に特異的な配列を有し、且つアミノ酸配列か
ら推定される蛋白質の構造解析により、高度に親水性を
有すると推定される領域(43−69残基)を選択した
(以下SSI−1−Iと命名する)。27merのSS
I−1−IのオリゴペプチドをFmoc法によりペプチ
ド合成装置421A(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて合成した。調製したオリゴペプチドはオリ
ゴT−120ODSカラム(TOSO社製)を用いた逆
相HPLCにより精製し、凍結乾燥した。精製したオリ
ゴペプチドを乾燥重量として2mg秤取り結合用緩衝液
(ピアス社製)に溶解し、2mgのマレイミド化したキ
ーホールリンペットヘモシアニン(ピアス社製、以下K
LHと略す)と結合させた。結合の後、未反応のオリゴ
ペプチドをG−25カラム(1×10cm)により除去
し、KLH結合SSI−1−Iを分離し、さらにリン酸
緩衝生理食塩液pH7.0(PBS)でKLH当たりの
濃度で1mg/mlに調製して免疫原とした。
【0034】(3)免疫方法 上記(2)で調製した抗原、すなわちKLH結合SSI
−1−Iを100μg/0.5mlとなる様にPBSで
調製し、同量(0.5ml)のフロイント完全アジュバ
ント(Freund's complete adjuvant) (Difco社
製)を混合して乳化した。この乳化状の抗原を5週令の
4匹の雌のBALB/cマウスの腹腔に1匹あたり20
0μl投与した。さらに2週間毎に、GERBUVAN
T(GERBU Biotechnik,GmbH,D
−6901 Guiberg,Germany製)で1
00μg/mlとなるように調製した上記抗原をマウス
あたり20μgずつ4回投与した。さらに1ヶ月後、G
ERBUVANTで100μg/mlとなるように調製
した上記抗原を同様に追加免疫した後、マウスの抗体価
を測定した。抗体価の高いマウスはさらに2週間後にP
BSで100μg/mlに調製したKLH結合SSI−
1−Iを、マウス尾静脈より注射して最終免疫とした。
尚、抗体価の測定は、当該抗原で免疫したマウスの血清
を用いて、後述のスクリーニングの方法に準じて行っ
た。
【0035】(4)細胞融合 最終免疫から3日後にBALB/cマウスの摘脾を行
い、EMEM培養液中で脾細胞を浮遊させて、脾細胞の
浮遊液を作製した。ついで、脾細胞をEMEM培養液で
4回洗浄した後、細胞数を算定し、5.9×108 個の
脾細胞を得た。細胞融合は、2−アミノ−6−オキシ−
8−アザプリン(8−アザグアニン[2-amino-6-oxy-8-
azaprine] )耐性のBALB/cマウス由来骨髄腫培養
細胞株(P3−X63−Ag8・653、以下X63細
胞ともいう)を親細胞株として用いた。X63細胞は、
非働化した牛胎児血清(fetal calf serum: FCS)1
0%を含むRPMI−1640培養液(20μg/m
l、8−アザグアニン含有)で継代培養し、細胞融合の
3日前より8−アザグアニンを含有しない10%FCS
含有RPMI−1640培養液でさらに培養し、対数増
殖期の細胞を用いた。X63細胞はRPMI−1640
培養液で3回洗浄した後、細胞数を算定し、7×107
個の生細胞を得た。RPMI−1640培養液で、ポリ
エチレングリコール−4000が50(w/v)%濃度
となるように溶解し、上記の脾細胞とX63細胞の比が
10:1となるように混合し、公知の方法(ケラーとミ
ルスタイン共著,Nature, 第256 巻, 495-497 頁, 1975
年、Eur. J. Immunol. 第6 巻, 511-519 頁, 1976年)
に準じて細胞融合を行った。その後、10%FCSを添
加したRPMI−1640培養液に、1×10-4Mのヒ
ポキサンチン、4×10-7Mのアミノプテリン及び1.
6×10-5Mのチミジンを含有するHAT選択培地に、
脾細胞が2.0×106 個/mlとなるように浮遊させ
た。ついで、この細胞浮遊液の50μlを、96ウエル
のマイクロタイタープレートの各ウエルに分注した後、
CO2 無菌培養器において温度37℃、湿度95%、8
%のCO2 雰囲気下で培養を行った。培養開始後、1日
目と2日目にHAT培地を各ウエルに1滴ずつ、また培
養開始後7日目と9日目にHAT培地を各ウエルに2滴
ずつ添加してさらに培養を行った。その後、HATを含
まない培養液で育成させ、約10〜2週間後に、目的の
抗SSI−1モノクローナル抗体を産生するクローン
を、各種合成ペプチド(後述)を固相に吸着させたマイ
クロプレートを用いたエライザ法によるスクリーニング
によって検索した。
【0036】(5)スクリーニング 上記ハイブリドーマ細胞の培養上清を用いて、各種合成
ペプチドエライザ法により行った。即ち、ハイブリドー
マ細胞系の培養上清とオブアルブミン(以下OVAと略
す)結合SSI−1−I抗原固定化エライザプレートと
の反応により選択した。尚、非特異オリゴペプチド固相
化エライザプレートに反応する非特異反応性クローンを
除去し、SSI−1−I抗原にのみ特異的に反応するク
ローンを選別した。実施例1の(2)免疫原の調製の項
に記載の方法に準じて、SSI−1−I合成オリゴペプ
チドおよび非特異合成オリゴペプチドとマレイミド化し
たOVAとを結合させた。抗原液として、OVA結合S
SI−1−I合成ペプチドおよびOVA結合非特異合成
ペプチドをそれぞれ2μg/mlの濃度に調製し、各
々、1ウエル当たり50μlずつマイクロタイタープレ
ートに添加し、一晩吸着させた後、Tween−20を
0.05%含むリン酸緩衝液(以下洗浄液と略す)で3
回洗浄し、さらに1%BSAを含むリン酸緩衝液でブロ
ッキングし各OVA結合合成ペプチド抗原固相化プレー
トを調製した。上記で得られたハイブリドーマ細胞系の
培養上清を、当該固相化プレートに添加し、室温で1時
間反応させた後、洗浄液で3回洗浄し、さらにホースラ
ディッシュペルオキシダーゼ(以下HRPと略す)標識
した抗マウスイムノグロブリン抗体(ヤギ由来)を室温
で30分反応させた。この反応の後、洗浄液で4回洗浄
し、基質液(o−フェニレンジアミン2mg/ml及び
4mM H2 2 を含む)を室温で5分間反応させた
後、この反応を2N硫酸で停止させ、主波長492n
m、副波長690nmでエライザ用プレートリーダーに
て吸光度を測定した。非特異合成オリゴペプチドを固相
化したエライザプレートには反応せず、SSI−1−I
抗原を固相化したエライザプレートに特異的に反応する
ハイブリドーマ細胞系を選別し、当該ハイブリドーマよ
り培養上清として抗SSI−1モノクローナル抗体を得
た。
【0037】SSI−1−I配列内およびその近辺で、
領域の異なる各種オリゴペプチドを調製し、得られた抗
SSI−1モノクローナル抗体の反応するエピトープ解
析を上記と同様にELISA法により実施した。すなわ
ち、SSI−1−Iのアミノ酸配列内であるSSI−1
のアミノ酸配列の43番目から53番目のアミノ酸の1
1残基(以下、SSI−1−Aとする)、51番目から
65番目のアミノ酸の15残基(以下、SSI−1−B
とする)さらにSSI−1のアミノ酸配列の48番目か
ら70番目のアミノ酸の23残基(以下、No.10−
1−APとする)のそれぞれのオリゴペプチドを調製し
マレイミド化したOVAと結合させ、各々OVA結合オ
リゴペプチドを調製した。(尚、SSI−1−Bおよび
No.10−1−APについてはキャリアーと結合させ
る為にN末端側にシステイン残基をつけた状態で調製し
た。) さらに、2μg/mlの濃度に調製した各々のOVA結
合−オリゴペプチドを1ウエル当たり、50μlずつマ
イクロタイタープレートに入れて一晩吸着させた後、洗
浄液で3回洗浄し、さらに1%BSAを含むPBSでブ
ロッキングし各種OVA結合オリゴペプチド(SSI−
1−I、SSI−1−A、SSI−1−B及びNo.1
0−1−AP)抗原固相化プレートを調製した。上記で
スクリーニングした抗SSI−1モノクローナル抗体産
生ハイブリドーマ細胞系の培養上清を、各OVA結合オ
リゴペプチド固相と室温で1時間反応させた後、洗浄液
で3回洗浄し、さらにHRP標識した抗マウスイムノグ
ロブリン抗体(ヤギ由来)を室温で30分間反応させ
た。この反応の後、洗浄液で4回洗浄し、o−フェニレ
ンジアミン基質液と反応させた後、この反応を2N硫酸
で停止させ、主波長492nm、副波長690nmでエ
ライザ用プレートリーダーにて吸光度を測定した。
【0038】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細
胞系の樹立 上記の検討より、各種合成ペプチドエライザ法を用いた
スクリーニング法によりSSI−1蛋白質の43番目か
ら69番目までの合成オリゴペプチドSSI−1−Iに
反応するハイブリドーマ細胞系クローンが40株スクリ
ーニングされた。このうち、オリゴペプチドSSI−1
−A(43−53残基)に陽性のクローンが14クロー
ン、オリゴペプチドSSI−1−B(51−65残基)
に陽性のクローンが21クローン、さらにオリゴペプチ
ドNo.10−1−AP(48−70残基)およびSS
I−1−Iと両方に反応し、SSI−1−A及びSSI
−1−Bに反応しないクローン、5クローンを選んだ。
即ち、表1に示す様に、(1)SSI−1−A(43−
53残基)のオリゴペプチドに反応するクローン21
株、(2)SSI−1−B(51−65残基)のオリゴ
ペプチドに反応するクローン14株、(3)SSI−1
分子の65−70残基のオリゴペプチドに反応するクロ
ーン5株、の反応するアミノ酸配列を互いに異にする3
グループのモノクローナル抗体を得るに至った。
【0039】マウスイムノグロブリンサブクラスの同定 上記、クローニングにより単一クローンとして得られた
ハイブリドーマ細胞系の産生するモノクローナル抗体の
マウスイムノグロブリンサブクラスを決定した。マウス
イムノグロブリンサブクラスの同定には、各ハイブリド
ーマ細胞系の培養上清を用い、ザイメッド(Zyme
d)社製MONOAb typing kitを用い
た。その結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】以下、実施例1で得られた抗SSI−1モ
ノクローナル抗体を用いて、SSI−1の検出への応用
例を示す。当該モノクローナル抗体の標的となるSSI
─1蛋白質は、STATによりその発現が誘導され、S
TATシグナルを抑制し、且つsrcホモロジー(SH
2)領域を有する蛋白質であり、SSIファミリーに属
する。又、以下に示す実施例で用いた抗SSI−1モノ
クローナル抗体(SI−1262B)は、本発明におい
て得られたモノクローナル抗体の代表例を示すものであ
って、当クローンに限定されるものではない。
【0042】実施例2:ウエスタンブロット法によるS
SI−1蛋白質の検出 SSI−1蛋白質を遺伝子工学的に強制発現させた細胞
を用い、同時に発現させたJak2またはTyk2蛋白
質とともにSSI−1蛋白質を共沈させ、当該発現蛋白
質に対する本発明の抗SSI−1モノクローナル抗体の
結合活性をウエスタンブロット法にて確認する実験を実
施した。
【0043】1×106 個のCOS7細胞に、10μ
gのSSI−1 cDNA/PEF−BOS vect
or (S. Mizushima and S. Nagata, pEF-BOS, a pow
erful mammalian expression vector, Nucleic Acid Re
search, p5322, vol.18, No.17, 1990) のみ、20μ
gのJak2 cDNA/PEF−BOS vecto
rのみ、および10μgのSSI−1 cDNA/P
EF−BOS vectorと20μgのJak2 c
DNA/PEF−BOS vector、または10μ
gのSSI−1 cDNA/PEF−BOS vect
orと20μgのTyk2 cDNA/PEF−BOS
vectorを同時にそれぞれリン酸カルシウム法で
遺伝子導入した(Naka et al., Nature, vol 387, pp924
-929, 1997) 。72時間後、細胞を集め、上清をできる
限り除去し、1mlの細胞溶解緩衝液(50mM Tr
is−HCl pH7.4、150mM NaCl、1
%(v/v) Triton−X100、30mM N
4 2 7 、50mM NaF、1mM ortho
vanadate)でよく懸濁した後、氷上で30分間
静置する。15,000rpm、20分間遠心後、上清
を別のチューブに移し、1μgの抗Jak2抗体または
抗Tyk2抗体(サンタクルズ バイオテクノロジー社
製)を添加し、4℃で24時間インキュベートした。さ
らに50μlの50%Protein G Sepha
rose(v/v)を加え、4時間インキュベートし
た。7,000rpm、20分間遠心後、上清をすて
て、1mlの細胞溶解緩衝液で4回洗浄した後、上清を
できるだけ除去し、50μlのSDS処理液(60mM
Tris−HCl pH6.8、10%(v/v)グ
リセロール、2%(w/v)SDS、650mM β−
メルカプトエタノール、0.002%(w/v)ブロモ
フェノールブルー)を加え攪拌後、96℃で3分間煮沸
した。煮沸処理後の混合液をSDS−ポリアクリルアミ
ドゲルにて電気泳動(SDS−PAGE)し、ゲルから
ニトロセルロースメンブレンに泳動分画した蛋白質を転
写した。このメンブレンをブロッキング緩衝液(5%
(w/v)スキムミルク/PBS)にて、室温で30分
間ブロッキング処理した。その後、当該メンブレンを、
1μg/mlに希釈した抗SSI−1モノクローナル抗
体(SI−1262B)で、1時間、室温でインキュベ
ートした。さらに、このメンブレンを15分間1回、5
分間2回洗浄し、2次抗体(ホースラディッシュペルオ
キシダーゼ(HRP)標識した抗マウスイムノグロブリ
ンG抗体)で、室温、30分間インキュベートした。さ
らに洗浄液にて、このメンブレンを15分間1回、5分
間2回洗浄し、エンハンストケミルミネッセンス(EC
L)検出キット(Amersham社製)で検出した。
Jak2と共沈させた場合の結果を図1に、Tyk2と
共沈させた場合の結果を図2に示す。(図1、2の上
段)
【0044】また、1×106 個のCOS7細胞に、上
記〜の発現ベクターをそれぞれリン酸カルシウム法
で遺伝子導入した後、72時間培養した。培養後、細胞
を集め、上清をできる限り除去した後、50μlの細胞
溶解緩衝液を添加して細胞を可溶化し、さらに50μl
のSDS処理液を加え攪拌後、96℃で3分間煮沸し
た。煮沸処理後の混合液をSDS−ポリアクリルアミド
ゲルにて電気泳動(SDS−PAGE)し、上記と同様
にしてニトロセルロースメンブレンに泳動分画した蛋白
質を転写した後、ブロッキング緩衝液にて、室温で30
分間ブロッキング処理した。その後、当該メンブレンを
抗SSI−1モノクローナル抗体(SI−1262B)
で1時間、室温でインキュベートした。さらに、このメ
ンブレンを15分間1回、5分間2回洗浄し、2次抗体
(HRP標識した抗マウスイムノグロブリンG抗体)
で、室温、30分間インキュベートした。さらに洗浄液
にて、このメンブレンを15分間1回、5分間2回洗浄
し、エンハンストケミルミネッセンス(ECL)検出キ
ット(Amersham社製)で検出した(図1、2の
下段)。
【0045】実施例3:抗SSI−1モノクローナル抗
体によるSSI−1蛋白質の免疫沈降法によるSSI−
1蛋白質の検出。 実施例2に記載した方法に準じて、1×106 個のCO
S7細胞に、10μgのSSI−1 cDNA/PE
F−BOS vectorのみ、20μgのJak2
cDNA/PEF−BOS vectorのみ、およ
び10μgのSSI−1 cDNA/PEF−BOS
vectorと20μgのJak2cDNA/PEF
−BOS vectorとを同時にそれぞれリン酸カル
シウム法で遺伝子導入した。72時間後、細胞を集め、
上清をできる限り除去し、1mlの細胞溶解緩衝液でよ
く懸濁した後、氷上で30分静置し、15,000rp
m、20分間遠心分離し沈澱させた後、上清を別のチュ
ーブに移し、1μgの抗SSI−1モノクローナル抗体
(SI−1262B)を添加し、4℃で24時間インキ
ュベートした。さらに、50μlの50(v/v)%P
rotein G Sepharoseを加え、4時間
インキュベートした。7,000rpm、20分間遠心
後、上清をすてて、1mlの細胞溶解緩衝液で4回洗浄
した後、上清をできるだけ除去し、50μlのSDS処
理液を加え、攪拌後、96℃で3分間煮沸し、SDS−
PAGEし、上記と同様の方法でゲルからニトロセルロ
ースメンブレンに転写を行った。転写後、該メンブレン
フィルターをブロッキング緩衝液にて、室温で30分間
ブロッキング処理した。その後、さらに当該メンブレン
を1μg/mlに希釈した抗SSI−1モノクローナル
抗体(SI−1262B)で、1時間、室温でインキュ
ベートした。さらに、このメンブレンを15分間1回、
5分間2回洗浄し、2次抗体(HRP標識した抗マウス
イムノグロブリンG抗体)で、室温、30分間インキュ
ベートした。さらに洗浄液にて、このメンブレンを15
分間1回、5分間2回洗浄し、エンハンストケミルミネ
ッセンス(ECL)検出キット(Amersham社
製)で検出した。結果を図3に示す。
【0046】
【発明の効果】本発明の抗SSI−1モノクローナル抗
体は、SSI−1蛋白質抗原分子を特異的に認識するモ
ノクローナル抗体である。当該モノクローナル抗体を用
いることにより、自然状態では極めて微量にしか産生さ
れないSSI−1蛋白質の諸性質を解析することが可能
になる。即ち、本発明の抗SSI−1モノクローナル抗
体を用いることにより、(1)ウエスタンブロット法に
よるSSI−1蛋白質の迅速な検出及び同定、(2)免
疫沈降法(Immunoprecipitation法) による、発現したS
SI−1蛋白質の検出及び同定、さらに、SSI−1蛋
白質と結合性を有する他の蛋白質の検出及び解析、
(3)SSI−1蛋白質が細胞内情報伝達の調節に関わ
る蛋白質、例えばJAKキナーゼファミリー(JAK
1、JAK2、JAK3およびTYK2)との相互作用
の解析、さらに(4)それらの成果に基づく治療薬、診
断薬等の開発等に大きな意義を持つ。
【0047】更に、該モノクローナル抗体は、上記の実
施例の他に、遺伝子工学的に発現誘導した細胞抽出液か
らアフィニティー精製により純度の高いSSI−1蛋白
質分子の精製にも応用でき、SSI−1蛋白質の結晶解
析などに用いる有用な材料を提供する可能性を有してい
ることが示唆され、その応用範囲は広い。
【0048】以上のことから、本発明の抗SSI−1モ
ノクローナル抗体をはじめとしたSSIファミリーに対
するモノクローナル抗体は、SSI−1蛋白質ならびに
各種のSSIファミリー蛋白質の分子学的及び生理学的
機能の解析等の研究に有用なプローブとしての応用が可
能である。さらに該モノクローナル抗体は、細胞内情報
伝達系の制御メカニズムを免疫学的及び組織学的に解析
するにとどまらず、基礎医学、臨床医学分野のみならず
医薬品及び診断薬開発分野等での広範囲な研究に有用な
手段を提供する新規のモノクローナル抗体である。
【0049】
【配列表】
配列番号: 1 配列の長さ :27 配列の型 :アミノ酸 鎖の数 :1本鎖 トポロジー :直鎖状 配列の種類 :ペプチド 配列 Cys Pro Gly Val Pro Ala Pro Ala Pro Gly Asp Thr His Phe Arg Thr 5 10 15 Phe Arg Ser His Ser Asp Tyr Arg Arg Ile Thr 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびJak
2蛋白質を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞
における、SSI−1蛋白質の発現状況および解析を示
す電気泳動の写真である。(ウエスタンブロット像) 遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびJak2蛋白質
を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞の抽出液
をそれぞれ調製した。 (上段)得られた抽出液を用いて、抗Jak2抗体によ
り免疫沈降し、当該沈降物で抗SSI−1モノクローナ
ル抗体(SI−1262B)を用いてウエスタンブロッ
トを行い、SSI−1蛋白質を検出した。SSI−1蛋
白質はJak2蛋白質と共沈することから両者が会合し
ていることがわかる。 (下段)同じ抽出液で、抗SSI−1モノクローナル抗
体(SI−1262B)を用いてウエスタンブロットを
行い、SSI−1蛋白質を検出した。 図中の用語の説明 cDNA:発現ベクターが担持している導入すべき遺伝
子の種類 レーン1:SSI−1蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン2:Jak2蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン3:SSI−1とJak2を同時に発現させたC
OS7細胞 IP:免疫沈降 (immunoprecipitation) Blot:ウエスタンブロット Lysate:細胞可溶化抽出液を試料としたウエスタ
ンブロット像
【図2】遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびTyk
2蛋白質を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞
における、SSI−1蛋白質の発現状況および解析を示
す電気泳動の写真である。(ウエスタンブロット像) 遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびTyk2蛋白質
を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞の抽出液
をそれぞれ調製した。 (上段)得られた抽出液を用いて、抗Tyk2抗体によ
り免疫沈降し、当該沈降物で抗SSI−1モノクローナ
ル抗体(SI−1262B)を用いてウエスタンブロッ
トを行い、SSI−1蛋白質を検出した。SSI−1蛋
白質はTyk2蛋白質と共沈することから両者が会合し
ていることがわかる。 (下段)同じ抽出液で、抗SSI−1モノクローナル抗
体(SI−1262B)を用いてウエスタンブロットを
行い、SSI−1蛋白質を検出した。 図中の用語の説明 cDNA:発現ベクターが担持している導入すべき遺伝
子の種類 レーン1:SSI−1蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン2:Tyk2蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン3:SSI−1とTyk2を同時に発現させたC
OS7細胞 IP:免疫沈降 (immunoprecipitation) Blot:ウエスタンブロット Lysate:細胞可溶化抽出液を試料としたウエスタ
ンブロット像
【図3】遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびJak
2蛋白質を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞
における、SSI−1蛋白質の発現状況および解析を示
す電気泳動の写真である。(ウエスタンブロット像) 遺伝子工学的にSSI−1蛋白質およびJak2蛋白質
を単独または同時に発現誘導したCOS7細胞の抽出液
をそれぞれ調製した。得られた抽出液を用いて、抗SS
I−1モノクローナル抗体(SI−1262B)により
免疫沈降し、当該沈降物で抗SSI−1モノクローナル
抗体(SI−1262B)を用いてウエスタンブロット
を行い、SSI−1蛋白質を検出した。SSI−1蛋白
質を発現誘導した細胞にのみSSI−1蛋白質が沈降さ
れSSI−1蛋白質のバンドが検出された。このことか
ら、本発明の抗SSI−1モノクローナル抗体がウエス
タンブロット法のみならず、免疫沈降法にも有用である
ことが示された。 図中の用語の説明 cDNA:発現ベクターが担持している導入すべき遺伝
子 レーン1:SSI−1蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン2:Jak2蛋白質を発現させたCOS7細胞 レーン3:SSI−1とJak2を同時に発現させたC
OS7細胞 IP:免疫沈降 (immunoprecipitation) Blot:ウエスタンブロット Lysate:細胞可溶化抽出液を試料としたウエスタ
ンブロット像
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、種をこえてそのアミノ酸配列がよく保存されて
いることが知られているSSI−1のアミノ酸配列か
ら、既報の蛋白質とアミノ酸相同性の低い、当該SSI
−1に特異的な配列を有する領域を選択し、さらにアミ
ノ酸配列から推定される蛋白質の構造解析により、上述
の領域の内、高度に親水性を有する領域を選択し、当該
領域のオリゴペプチドを免疫原とすることで、SSI−
1を特異的に認識するモノクローナル抗体(以下、単に
抗SSI−1モノクローナル抗体ともいう)を得ること
に成功し、当該モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマ細胞系を確立し、さらに当該モノクローナル抗体
の用途を見い出した。すなわち本発明は以下のとおりで
ある。 (1) 以下の性質を有するSSIファミリー蛋白質のう
ち、少なくとも1種の蛋白質に対して特異的に親和性を
有するモノクローナル抗体: 1)STATによりその発現が誘導される 2)STATシグナルを抑制する 3)srcホモロジー(SH2)領域を有する。 (2) SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有する
上記(1) 記載のモノクローナル抗体。 (3) SSI−1蛋白質の43番目のアミノ酸から69番
目のアミノ酸までの領域に存在するエピトープを認識す
ることを特徴とする上記(2) 記載のモノクローナル抗
体。 (4) 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列内に存在す
るエピトープを認識することを特徴とする上記(2) 記載
のモノクローナル抗体。 (5) 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列の全部また
は一部を有する蛋白質に対して特異的に親和性を有する
上記(2) 記載のモノクローナル抗体。 (6) 受託番号がFERM BP−6498であるハイブ
リドーマにより産生される、上記(1) 〜(5) に記載のモ
ノクローナル抗体。 (7) 上記(1) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマ。 (8) 受託番号がFERM BP−6498である上記
(7) 記載のハイブリドーマ。 (9) SSIファミリー蛋白質のうちの、少なくとも1種
の蛋白質の全部またはその一部からなるオリゴペプチド
で免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエローマ細胞株と融
合せしめ、該融合細胞から、SSIファミリー蛋白質の
うちの少なくとも1種の蛋白質に対して特異的に親和性
を有するモノクローナル抗体を産生する株をクローニン
グすることを特徴とするハイブリドーマの製造方法。 (10)SSI−1蛋白質の全部またはその一部からなるオ
リゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエロー
マ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、SSI−1蛋
白質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗
体を産生する株をクローニングすることを特徴とするハ
イブリドーマの製造方法。 (11)配列表配列番号1のアミノ酸配列または配列表配列
番号1のアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が
欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるオ
リゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエロー
マ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、SSI−1蛋
白質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗
体を産生する株をクローニングすることを特徴とするハ
イブリドーマの製造方法。 (12)上記(9) に記載の製造方法により製造されるハイブ
リドーマを培養し、該培養物からモノクローナル抗体を
取得することを特徴とする、SSIファミリー蛋白質の
少なくとも1種の蛋白質に特異的に親和性を有するモノ
クローナル抗体の製造方法。 (13)上記(10)または(11)に記載の製造方法により製造さ
れるハイブリドーマを培養し、該培養物からモノクロー
ナル抗体を取得することを特徴とする、SSI−1蛋白
質に対して特異的に親和性を有するモノクローナル抗体
の製造方法。 (14)上記(1) に記載のモノクローナル抗体と試料とを反
応させる工程を含む、試料中のSSIファミリー蛋白質
のうちの少なくとも1種の蛋白質の測定方法。 (15)上記(2) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体と試料とを反応させる工程を含む、試料中のSSI
−1蛋白質の測定方法。 (16)上記(2) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体と試料とを反応させる工程を含む、配列表配列番号
1に記載のアミノ酸配列の全部または一部を有する蛋白
質の測定方法。 (17)上記(1) 〜(6) のいずれかに記載のモノクローナル
抗体を含む試薬。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明のモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマのうち、モノクローナル抗体SI−126
2Bを産生するハイブリドーマSI−1262B株は本
発明者らによって新たに分離され、具体的には、ブタペ
スト条約に基づく国際寄託機関である通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所(〒305−8566茨城
県つくば市東1丁目1番3号)に国際寄託され、受託番
号としてFERMBP−6498が付されている(国際
寄託移管日平成10年9月10日、元の国内寄託日平成
9年9月25日、元の国内寄託番号:FERM P−1
6445)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/577 B 33/577 C12N 5/00 B

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の性質を有するSSIファミリー蛋
    白質のうち、少なくとも1種の蛋白質に対して特異的に
    親和性を有するモノクローナル抗体: 1)STATによりその発現が誘導される 2)STATシグナルを抑制する 3)srcホモロジー(SH2)領域を有する。
  2. 【請求項2】 SSI−1蛋白質に対して特異的に親和
    性を有する請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 SSI−1蛋白質の43番目のアミノ酸
    から69番目のアミノ酸までの領域に存在するエピトー
    プを認識することを特徴とする請求項2記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  4. 【請求項4】 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列
    内に存在するエピトープを認識することを特徴とする請
    求項2記載のモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列
    の全部または一部を有する蛋白質に対して特異的に親和
    性を有する請求項2記載のモノクローナル抗体。
  6. 【請求項6】 受託番号がFERM P−16445で
    あるハイブリドーマにより産生される、請求項1〜5に
    記載のモノクローナル抗体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のモノク
    ローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  8. 【請求項8】 受託番号がFERM P−16445で
    ある請求項7記載のハイブリドーマ。
  9. 【請求項9】 SSIファミリー蛋白質のうちの、少な
    くとも1種の蛋白質の全部またはその一部からなるオリ
    ゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエローマ
    細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、SSIファミリ
    ー蛋白質のうちの少なくとも1種の蛋白質に対して特異
    的に親和性を有するモノクローナル抗体を産生する株を
    クローニングすることを特徴とするハイブリドーマの製
    造方法。
  10. 【請求項10】 SSI−1蛋白質の全部またはその一
    部からなるオリゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細
    胞をミエローマ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、
    SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有するモノ
    クローナル抗体を産生する株をクローニングすることを
    特徴とするハイブリドーマの製造方法。
  11. 【請求項11】 配列表配列番号1のアミノ酸配列また
    は配列表配列番号1のアミノ酸配列において1乃至数個
    のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
    列からなるオリゴペプチドで免疫した哺乳動物の免疫細
    胞をミエローマ細胞株と融合せしめ、該融合細胞から、
    SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有するモノ
    クローナル抗体を産生する株をクローニングすることを
    特徴とするハイブリドーマの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載の製造方法により製造
    されるハイブリドーマを培養し、該培養物からモノクロ
    ーナル抗体を取得することを特徴とする、SSIファミ
    リー蛋白質の少なくとも1種の蛋白質に特異的に親和性
    を有するモノクローナル抗体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項10または11に記載の製造方
    法により製造されるハイブリドーマを培養し、該培養物
    からモノクローナル抗体を取得することを特徴とする、
    SSI−1蛋白質に対して特異的に親和性を有するモノ
    クローナル抗体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載のモノクローナル抗体
    と試料とを反応させる工程を含む、試料中のSSIファ
    ミリー蛋白質のうちの少なくとも1種の蛋白質の測定方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項2〜6のいずれかに記載のモノ
    クローナル抗体と試料とを反応させる工程を含む、試料
    中のSSI−1蛋白質の測定方法。
  16. 【請求項16】 請求項2〜6のいずれかに記載のモノ
    クローナル抗体と試料とを反応させる工程を含む、配列
    表配列番号1に記載のアミノ酸配列の全部または一部を
    有する蛋白質の測定方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜6のいずれかに記載のモノ
    クローナル抗体を含む試薬。
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