JPWO2012120636A1 - 粒子線治療装置、および粒子線治療装置の照射線量設定方法 - Google Patents

粒子線治療装置、および粒子線治療装置の照射線量設定方法 Download PDF

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Abstract

適切な線量校正を行うことができるスキャニング照射法による粒子線治療装置を得ることを目的とする。ペンシルビームを進行方向に垂直な方向である横方向に移動させる照射ノズルと、照射ノズルから出射される粒子線の線量を測定する線量モニタと、照射目標に照射する照射線量設定値を設定する治療計画部と、線量モニタの測定値と治療計画部により設定される照射線量設定値とに基づいて照射目標に照射する照射線量を制御する照射線量制御器とを備えた治療制御部と、を有する粒子線治療装置において、治療計画部は、予め準備した深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、ブラッグピーク位置よりもペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存し、照射線量設定値を基準深における吸収線量を基準として算出する。

Description

この発明は、粒子線を照射して癌の治療を行うなど粒子線を応用する粒子線治療装置、特にその照射線量設定方法に関するものである。
放射線の応用の一つに癌の治療があり、最近、陽子線や炭素線などの粒子線を癌細胞に照射して治療する粒子線治療が注目されている。まず、粒子線を照射して癌細胞を死滅させる粒子線照射の特性を説明する。各種の放射線ビームを人の体に照射した場合、その放射線ビームの体内における線量分布は図18に示すように変化する。図18に示すように、各種放射線の中、X線、ガンマ線などの光子線は、体の表面に近い部分で相対線量が最大となり、体の表面からの深さが増加するとともにその相対線量は低下する。一方、陽子線、炭素線などの粒子線は体の表面から深い部分で、それらの粒子が止まる位置、すなわちその粒子線の飛程の直前に相対線量がピーク値となる。このピーク値は、ブラッグピークBP(Bragg Peak)と呼ばれる。
このブラッグピークBPを、人の臓器にできた腫瘍に照射して、癌の治療を行なうのが粒子線癌治療方法である。癌以外にも、体の深い部分を治療する場合にも用いることができる。腫瘍を含む被治療部位は、一般には照射目標(TV)と呼ばれる。ブラックピークBPの位置は、照射される粒子線のエネルギーで決まり、エネルギーの高い粒子線ほどブラッグピークBPは深い位置にできる。粒子線治療では、粒子線を照射すべき照射目標TVの全体に一様な線量分布とする必要があり、このブラッグピークBPを照射目標TVの全域に与えるために、粒子線の「照射体積の拡大」が行なわれる。
この「照射体積の拡大」は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3つの方向において実施される。粒子線の照射方向をZ軸の方向としたとき、「照射体積の拡大」は、第1にこのX/Y軸方向において照射領域の拡大を行うもので、深さ方向と直交する横方向において照射領域の拡大を行うので、照射野拡大と呼ばれる。第2の「照射体積の拡大」は、Z軸方向で行われ、深さ方向の照射体積拡大と呼ばれる。
深さ方向の照射体積拡大は、粒子線の照射方向におけるブラッグピークBPの幅が、照射目標TVの深さ方向における拡がりに比べて狭いために、粒子線の照射方向におけるブラッグピークBPを、深さの方向に拡大するために行なわれる。一方、横方向の照射野拡大は、一般に加速器で加速した粒子線の分布サイズが、その照射方向と直交する方向における照射目標TVの寸法よりも小さいために、ブラッグピークBPにおける照射野をその照射方向と直交する方向に拡大するために行なわれる。これらの深さ方向の照射体積拡大と、横方向の照射野拡大の方法について、現在までに種々の方法が提案されている。最近注目されている方法として、スキャニング照射法(Scanning Irradiation)がある。
スキャニング照射法では、横方向照射野拡大法として、粒子線治療装置の粒子線照射部の上流部分に設けられた偏向電磁石を用いて細い径のペンシルビームに形成された粒子線をXY面方向に走査し、その粒子線の照射位置を時間とともに移動させることにより、広い照射野を得る方法を用いる。この方法では、一様な線量分布は、細い径のペンシルビームの隣り合う照射スポットを適切に重ね合わせることにより得ることができる。ペンシルビームの走査方法として、時間に対して連続的に走査するラスター法、時間に対してステップ状に走査するスポット法やラスター法とスポット法を組み合せた方法などがある。
深さ方向の照射体積拡大法としては、粒子線治療装置から照射される粒子線自体のエネルギーを制御する方法が用いられる。この方法では、粒子線のエネルギーは、粒子線を加速する加速器の加速エネルギーを変えることにより制御されるか、またはレンジシフタ(Range shifter)と呼ばれる器具を、粒子線ビームを横切るように挿入することにより、粒子線のエネルギーを変化させる。またこれらの加速器の制御と、レンジシフタを併用する方法もある。
この深さ方向の照射体積拡大法では、その粒子線を所定の強さのエネルギーを持ったビームとして、照射目標TVの1つの照射層に一様な線量でそのブラッグピークBPを照射した後に、粒子線のエネルギーを変化させて、照射目標TVの次の照射層にブラッグピークBPを照射する。このような操作を複数回繰返し、複数の照射層に粒子線のブラッグピークBPを照射することにより、ビーム照射方向に所望の幅を持った拡大ブラッグピークSOBP(Spread Out Bragg Peak)を得ることができる。
以上の横方向の照射野拡大法と深さ方向の照射体積拡大法とを組み合わせた粒子線の照射方法が、スキャニング照射法(Scanning Irradiation)である。
スキャニング照射法において、照射位置での目標の照射線量は、治療計画において設定される。照射野の形状や照射位置毎の目標の照射線量は患者毎に異なる。線量には、物理線量と生物学的線量(生物線量、実効線量ともいう)の2種類が定義される。物理線量は、標的のある部分に付与される質量当たりのエネルギーであって、単位はグレイ(Gy)である。これに対して生物線量は、物理線量に基づき細胞への生物学的影響を考慮して決められる値であって、単位はグレイ・イクイバレント(GyE)である。生物線量は、例えば細胞の生存率が10%になるようなコバルト60による照射線量と等価な線量という条件で定義される。粒子線治療では、処方線量は生物線量で定義される。照射体積の拡大は、照射効果を均一にすることが目的であり、患者毎の目標線量は、生物線量分布で定義される。これに対し、投与線量測定に用いる線量モニタでは生物学的効果の計測ができないため、線量校正は物理線量を使って行われる。
粒子線治療では、実際に照射される粒子線の照射目標TVにおける生物線量分布を治療計画で設定した分布通りに照射する必要がある。一方、照射中に照射目標TVにおける生物線量を直接測定する方法は無い。また、患部外においても、照射中に測定できるのは物理線量だけである。従って、物理線量を管理しながら照射目標TVにおける生物線量を治療計画通りになるように照射しなければならないということになる。
このため、照射前に線量校正の手順を実施するが、従来の技術では生物線量の深さ方向分布におけるSOBP中心の1点で線量校正を行っていた。例えば、特許文献1には、「標的を複数の層に分割し、層毎の照射量を決定すること」が示されており、特許文献2には、「標的を複数の層に分割し、各層毎の照射量が均一となるように決定すること」が示されている。
これら、特許文献1や特許文献2に記載された技術では、ブラッグ曲線の深さ方向の変化が急峻であるため、線量計を設置する場所のわずかな位置誤差によって線量校正値に大きな誤差が発生するという問題点があった。この問題点を解消する技術として、特許文献3には、ブラッグ曲線のピークに平坦部を形成することにより、位置誤差を軽減する技術が記載されている。
特開2004−358237号公報 特開平10−314323号公報 国際公開第2009/139043A1号
特許文献1〜3に記載された粒子線の照射方法は、いずれもビームを横方向に拡大して横方向に均一な線量分布を形成して照射するブロードビーム照射法に関するものであり、ガウス分布のペンシルビームを重ねて照射するスキャニング照射法に直接適用できる技術ではない。
本発明は、ガウス分布のペンシルビームを重ねて照射するスキャニング照射法による粒子線治療装置において、適切な線量校正を行うことができる粒子線治療装置を得ることを目的とする。
この発明は、粒子線をペンシルビームとして照射目標に照射することにより、粒子線のエネルギーで決まる照射目標の深さ方向の位置に粒子線の最大吸収領域であるスポットを形成するとともに、ペンシルビームを進行方向に垂直な方向である横方向に移動させることによりスポットの位置を横方向に移動させて照射目標に粒子線を照射するための照射ノズルと、照射ノズルから出射される粒子線の線量を測定する線量モニタと、照射目標に照射する照射線量設定値を設定する治療計画部と、粒子線のエネルギーを設定するエネルギー設定制御器と、照射ノズルを制御するビーム走査制御器と、線量モニタの測定値と治療計画部により設定される照射線量設定値とに基づいて照射目標に照射する照射線量を制御する照射線量制御器とを備えた治療制御部と、を有する粒子線治療装置において、治療計画部は、予め準備した深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、ブラッグピーク位置よりもペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存し、照射線量設定値を基準深における吸収線量を基準として算出して照射線量制御器に出力するものである。
また、この発明の粒子線治療装置の照射線量設定方法は、粒子線の複数のエネルギーにおいて予め準備した深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、ブラッグピーク位置よりもペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存するステップと、照射線量設定値を、基準深における吸収線量を基準として保存したPDDに基づいて算出するステップと、を含むものである。
スキャニング照射法による粒子線治療装置において、深さ方向の吸収線量の変化が少ない基準深の吸収線量を基準として用いて照射線量設定値を算出するようにしたので、適切な線量校正を行うことができる。
本発明による粒子線治療装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明を適用する粒子線治療装置の概略全体構成の一例を示す鳥瞰図である。 本発明による粒子線治療装置の治療時の様子を説明する概略ブロック図である。 スキャニング照射法を説明する模式図である。 本発明の粒子線治療装置の照射線量設定方法を示すフロー図である。 本発明の実施の形態2による吸収線量分布測定において使用する装置の要部の概略構成を示すブロック図である。 図6の平行平板型チェンバとペンシルビームの位置関係のイメージを拡大して示す概略斜視図である。 図6の構成で取得したデータの一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるペンシルビームの横方向線量分布測定において使用する装置の要部の概略構成を示すブロック図である。 図9の構成で取得したデータの一例のイメージを示す図である。 本発明の実施の形態3において使用する装置の要部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における測定の概要を説明するための図である。 本発明の実施の形態3により算出されたエネルギー補正係数の一例を示す表である。 本発明の粒子線治療装置によりスキャニング照射法で照射目標に粒子線を照射する時のイメージを示す図である。 本発明の実施の形態6による粒子線治療装置の照射線量設定方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態7による粒子線治療装置の照射線量設定方法を示すフロー図である。 本発明の実施の形態7における測定の概要を説明するための図である。 各種の放射線ビームを人の体に照射した場合の放射線ビームの体内における線量分布を示す図である。
実施の形態1.
図1は本発明の粒子線治療装置の概略構成を示すブロック図、図2は、粒子線治療装置全体の概略構成を示す鳥瞰図である。本発明の粒子線治療装置は、図1および図2に示すように、粒子線発生部10と、粒子線輸送部20と、2つの粒子線照射部30などを備えている。図2では、粒子線照射部を2つ備えるものを示したが、粒子線照射部は2つに限らず、1つあるいは3つ以上あっても良い。図1では簡単のため粒子線照射部30が1つのものを示している。放射線安全管理などの運用上の都合から粒子線発生部10と、粒子線照射部30とは、遮蔽された個別の部屋に設置される。粒子線輸送部20は、粒子線発生部10と、各粒子線照射部30とを連結する。粒子線輸送部20は、粒子線発生部10で発生した粒子線ビームを粒子線照射部30に輸送する粒子線輸送路21を有する。粒子線輸送部20は、粒子線の方向を変えるための偏向電磁石50を備え、真空ダクト内を粒子線が通過するように構成される。粒子線照射部30は、粒子線PBを患者の照射目標TVへ照射するように構成される。
粒子線発生部10は、入射器11と加速器12を有する。入射器11は、陽子線または炭素線などの粒子線を発生する。加速器12は、入射器11で発生した粒子線を加速し、粒子線PBを形成する。加速器としては、シンクロトロンやサイクロトロンなどがある。この加速器12には、治療制御部13に備えられたエネルギー設定制御器14が電気的に接続される。このエネルギー設定制御器14は、加速器12にエネルギー制御信号を供給し、加速エネルギーを設定して加速器12から出射される粒子線PBのエネルギーを設定し制御するもので、深さ方向の照射体積拡大、すなわち粒子線の深さ方向の照射位置を制御することになる。このエネルギー設定制御器14は、通常、治療計画部40から受け取るデータにより粒子線のエネルギーを設定するもので、深さ方向に互いに異なる飛程の複数の照射層を重ね合わせる制御を行なう。複数の照射層毎に、粒子線のエネルギーを変化させ、粒子線の照射方向、すなわちZ軸方向に拡大ブラッグピークSOBPを形成する。治療制御部13は、治療時において、照射線量を設定し、粒子線発生部10や粒子線照射部30を制御する照射線量制御器15を有している。
粒子線照射部30は治療室を構成する。粒子線照射部30は、照射ノズル31、治療台32、および位置決め装置33を有する。治療台32は患者を仰臥位または座位の状態に保持するのに使用され、位置決め装置33は、X線撮像装置などにより骨による位置決めや患部臓器の位置を確認するのに使用される。照射ノズル31は、粒子線照射部30に輸送された粒子線PBをペンシルビーム状にして治療台32上の患者の照射目標に向けて照射する。
図3は、ペンシルビームPを形成する粒子線を照射ノズル31から治療台32に載せられた患者100に照射しているときの様子を示す図である。図4に示すように、照射ノズル31は入射するペンシルビームPを、主に粒子線を横方向(即ち、ビーム進行方向Zに垂直なXY面)に走査するよう、図示しない偏向電磁石などで構成されている。また、粒子線の線量をモニタ(カウント)する線量モニタ34で照射線量をモニタし、モニタでカウントされる照射線量が照射線量制御器15で設定される線量に達するまで粒子線が患者100に照射される。線量モニタ34は、例えば電離箱などで構成される線量センサ341と線量センサ341で観測される電荷量をパルスに変換するなどしてカウントするカウント線量のデータを処理するデータ処理部342などで構成されている。
ここで、スポットスキャニング照射法について、図4に基づいて説明する。図4(A)は照射目標TVを模式的に示したもので、ここでは半球状の照射目標TVを想定している。境界層TVdはこの半球状の照射目標TVの表面部分(境界部分)となる。この半球状の照射目標の全領域に対して、深さ方向(Z軸方向)は粒子線エネルギーを変えることによる照射体積拡大により、横方向(X軸−Y軸方向)は照射ノズル31により粒子線を走査することによる照射野拡大により、粒子線の線量を与える。図4(A)においてZiで示す層は、ある粒子線エネルギーEiで照射する照射層(スライスとも呼ぶ)を示し、粒子線エネルギーをEiより小さいEi+1に変えて照射した照射層をZi+1で示している。以下、ある粒子線エネルギーEiにより、図4(A)に示すZiの層を照射する場合を例にとって説明する。図4(B)は、粒子線エネルギーEiによってZi層を照射する、スキャニング照射法のペンシルビームPの照射方法を示す図である。
図4(B)では、ペンシルビームPに対する横方向のX軸がX−X線で、またそのY軸がY−Y線でそれぞれ表わされる。図4(A)に示す照射目標TVの境界層TVdが、図4(B)では大きな円TVdで示されており、この円TVdの内部およびこの円TVdに一部が重なる複数の照射スポットが実線の小さな円Sとして示されている。所定のビーム径のペンシルビームで、各スポット位置において、線量モニタ34のカウント値が照射線量制御器15で設定される目標の照射線量になるまで照射する。スポット位置は照射ノズル31によりペンシルビームを偏向することにより移動させる。すなわち、あるスポット位置で目標の照射線量までペンシルビームを照射し、目標の照射線量に達した後、照射ノズル31内の走査用偏向電磁石の励磁電流を変化させて、照射スポットSを隣のスポット位置に移動させ、そのスポット位置での目標の照射線量になるまで粒子線ビームを照射する。この動作を繰り返し、図4(A)のZi層の全領域、すなわち図4(B)の小さい円で示す全スポット位置で照射スポットSの径のペンシルビームを照射する。
本発明は、この目標の照射線量の線量校正に関するものであり、スキャニング照射において、線量モニタ34により物理照射線量を管理しながら照射目標TVにおける生物線量を治療計画で決めた線量となるよう照射する方法を提供するものである。
本発明の線量校正をスポットスキャニング照射に適用する場合の概要を図5に示す。まず、患者体内での吸収線量分布の基礎データとして、患者体内を模擬するファントムを用いて、ペンシルビームを横方向に走査せずに、深さ方向、すなわちビーム進行方向の分布や、ビーム進行方向に垂直な方向である横方向分布といった線源基礎データを取得し、治療計画部40に保存する(ST1)。なお、以下ファントムとして水ファントムを用いた例で説明する。ここで、線源基礎データは、深さ方向の、ブラッグピークよりも浅い深さで、吸収線量の深さ方向の変化が少ない、深さ方向線量分布がプラトーな部分の所定深さを基準深として、基準深のデータを基準として保存する。次に、図4で説明したような、スポットスキャニング照射を水ファントムに対して行い、水ファントム中の基準深の所定位置における線量を取得し、スポットスキャニング照射基礎データとして治療計画部40に保存する(ST2)。以上のステップST1、ST2は、線源につき一回実施すれば良い。
これら線源基礎データとスポットスキャニング照射基礎データとを用いて、患者毎に治療計画で与えられる処方箋量である生物線量から、当該患者の治療時のスキャニング照射における各スポットにおけるモニタユニット値(目標の物理線量であって、照射線量設定値とも称する)を算出する(ST3)。このとき、モニタ感度が経時変化する恐れがあるため、例えば毎日といったように定期的にモニタ感度補正を行った(ST4)上で、ステップST3で算出したモニタユニット値からモニタプリセット値への換算を行う(ST5)。ステップST5で換算したモニタプリセット値を用いて、患者に対して各スポットの照射を行う(ST6)。以下、ステップST1〜ST5の詳細を、実施の形態2〜5で説明する。
なお、ここではスポットスキャニング照射法として記載したが、スポット毎にビームを遮断しない方法としてラスター法とスポット法を組み合せた方法、で実施しても良く同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図6〜図10は、本発明の実施の形態2による粒子線治療装置の動作、すなわち図5のステップST1における動作である線源基礎データの取得と保存の詳細を説明するための図である。図6は、実施の形態2の第一段階において使用する装置の要部の概略構成図である。図6において図1と同一符号は同一または相当する部分を示す。照射ノズル31から所定のビーム径のペンシルビームPをXやY方向へ走査せずに水ファントム60に照射する。照射ノズル31と水ファントム60の間には電離箱で構成される線量センサ341が配置されている。水ファントム60中のペンシルビームPが当たる位置には平行平板型チェンバ61が、ペンシルビームPの進行方向、すなわちZ軸方向に移動可能に設置されている。平行平板型チェンバ61の電荷量をエレクトロメータ610によって測定する。図7に、この平行平板型チェンバ61とペンシルビームPとの位置関係のイメージ斜視図を拡大して示す。図7に示すように平行平板型チェンバ61は、横方向分布を有するペンシルビームPのビーム径より十分大きく、ペンシルビームPの粒子が全て通過する大きさのものを用いる。
図6の構成で取得したデータの一例を図8に示す。この測定では、平行平板型チェンバ61をZ方向すなわち水ファントム60の深さ方向に移動させてデータを取得するので、深さ方向の吸収線量分布データPDD(Percentage Depth Dose)が取得できる。図8の横軸は例えば水ファントムの水表面を0とした深さ方向の距離Zであり、縦軸は、各距離において平行平板型チェンバ61から出力される電荷量Cとその時の線量センサ341がカウントする、すなわち線量モニタ34の出力Countとの比、C/Countである。このデータを、基準深D0における値を100%として規格化し、この規格化した吸収線量分布データを、治療計画部40に入力、保存する。ここでは、データは基準深D0における値を100%として規格化して保存するようにしたが、必ずしも規格化して保存する必要はなく、各距離における値が基準深における値を基準として比較できるように保存すれば、どのような保存形式でも良い。
図8の吸収線量分布データは、ペンシルビームPのエネルギーを変えて、複数のエネルギーで取得し、各エネルギーにおける基準深を基準とする吸収線量分布データを治療計画部40に保存する。エネルギーの範囲は、線源の最大エネルギーから、最小エネルギーまで、治療に使用する可能性のあるエネルギーの範囲で変化させて取得する。なお、エネルギーを変えるのは、図1の治療制御部13のエネルギー設定制御器14から加速器や粒子線照射部30に指令を送ることで実施できる。
以上の深さ方向の吸収線量分布データPDDは、粒子のエネルギーと照射目標あるいは水などファントムの吸収線量率のデータなどから、シミュレーションによって算出しても良い。すなわち、予め、測定により、あるいは計算によりPDDを準備し、準備したPDDのブラッグピーク位置よりもペンシルビームの入射側の基準深における吸収線量を基準としてPDDを保存すればよい。
ここで、基準深について説明する。基準深は、深さ方向の線量分布ができるだけフラットな位置に設定するのが望ましい。従来の線量校正では、PDDにおける最大値、すなわち吸収が最大となるブラッグピークBPの部分に注目して線量校正する方法が一般的であった。しかし、ブラッグピークBP付近は線量分布の変化が大きいため、この部分を基準にすると誤差が大きくなる恐れがある。そこで、本発明では基準となる位置である基準深を、上記で取得した複数のエネルギーにおける吸収線量分布データから、ブラッグピークBPより浅い位置で吸収線量分布がフラットに近い状態となる位置とする。あるいは、基準深は、好ましくは、吸収線量分布の距離による変化が、5%/mm以下、より好ましくは、2%/mm以下といった所定の値以下となる位置とする。通常、水表面に近い位置ほど変化が少ないため、水ファントムなどの測定装置やチェンバなど測定上の制約が無ければ深さ5mmや10mmなど浅い位置とすることが望ましい。また、高いエネルギーでは変化が少ないが、低いエネルギーではブラッグピークが水表面に近づいてくるため変化は大きくなってくるので、低いエネルギーの吸収線量分布データから基準深を決定することが重要である。すなわち、取得した複数のエネルギーにおけるPDDのうち、最も低いエネルギーのPDDにおいて、吸収線量分布の距離による変化が、例えば5%/mm以下、より好ましくは、2%/mm以下といった所定の値以下となる位置とすればよい。
スキャニング照射においては、照射される粒子線がペンシルビームであり、照射中には横方向(XY方向)に大きく変化する分布があり、ブラッグピーク付近ではビーム進行方向(Z方向)にも大きく変化する分布がある。このように、ブラッグピーク付近の照射中の吸収線量分布は、3次元に大きく変化する分布となっている。これに対して本発明において基準とする位置、基準深付近ではZ方向の分布がフラットであるから、Z方向の分布変化が少ない、2次元にしか変化しない吸収線量分布となっている。このように、吸収線量分布の影響を一次元減少させることができるというのが本発明のポイントである。
次に実施の形態2の第二段階として線源の基礎データのうち、X、Y方向に走査しないペンシルビームPによる吸収線量の横方向分布(OCR:Off Central axis Ratio)を取得する。横方向分布を取得する装置の構成を図9に示す。図9において図6と同一符号は同一部分を示す。図6と構成が異なるのは、水ファントム内のセンサが平行平板型チェンバ61から指頭型チェンバ62に変わったことである。指頭型チェンバの電荷量をエレクトロメータ620によって測定する。平行平板型チェンバ61はペンシルビームPBが全て通過する形状であったが、指頭型チェンバ62はペンシルビームよりも小さい形状である。例えばペンシルビームPBのビーム径がσ5mm、指頭型チェンバ62の測定領域が半径1mm、長さ5mmである。この指頭型チェンバ62をある深さZの位置でXY方向に移動させることで、その深さにおけるXY2次元の線量分布が取得できる。この際、半径1mmの方向に移動するように測定することで分解能を向上させることができる。この測定を基準深、ブラッグピーク位置、その他の複数の深さ位置で取得する。取得したデータのイメージを図10に示す。図10(A)は図8と同じ深さ方向の吸収線量分布を示す図であり、図10(B)が、各深さで取得した横方向(XまたはY)の分布を、各深さ(Z)の位置で示したものである。このデータも、エネルギーを変えて取得し、各エネルギーにおける、各深さでの横方向分布のデータを線源基礎データの一つとして治療計画部40に保存する。但し、測定結果がガウス分布と比較して十分に相似な場合には測定結果ではなく、理想的ガウス分布を保存してもよい。同様に、2つ或いは3つの理想的ガウス分布を合成するなどした分布を用いてもよい。この分布データは本発明における線量校正の絶対値に効果的なものではなく、治療計画装置内で実施する線量分布の計算で用いるものであり、影響は少ない。
以上で、ステップST1の線源基礎データの取得と、治療計画部40への保存が完了する。
実施の形態3.
図11〜図13は、本発明の実施の形態3による粒子線治療装置の動作、すなわち図5のステップST2における動作である、スポットスキャニング照射基礎データの取得と保存の詳細を説明するための図である。図11は、実施の形態3において使用する粒子線治療装置の要部の概略構成図である。ステップST2では、ペンシルビームPを走査して、基準深D0における所定位置に設置した指頭型チェンバ62により吸収線量データを取得する。この測定における基準深の面でのスポットスキャン照射のイメージを図12に示す。この測定に際し、1スライス分の照射、すなわちあるエネルギーによる照射により、基準深(プラトー)部分で線量分布が均一となる条件を求める。この際、使用するエネルギーは、治療で使用するエネルギー毎に実施する。エネルギーが異なると水ファントム内でのスポット径が異なり、均一となるピッチもエネルギーにより異なることや、線量モニタ341を通過するエネルギーが異なることから得られる測定結果(カウント値)が異なるためである。また、スポットのサイズとピッチは各エネルギーで基準となるものを決めておき、当該基準を用いて均一な線量分布を形成する。このとき、照射野全体に対して均一線量分布を形成する必要は無く、指頭型チェンバ62と比較して十分に広く、指頭型チェンバ62の位置誤差によって測定誤差が発生しない条件であれば問題ない。この条件として、例えば10cm×10cmの領域をスキャニング照射することが考えられる。すなわち、図12の外周の四角で示す領域が10cm×10cmとなるよう、ペンシルビームPを走査して照射する。図12における丸がペンシルビームの各スポットを示している。指頭型チェンバ62のチェンバの位置はこの10cm×10cmの領域の中央になるよう設置する。
各スポットでの照射量は、線量モニタ34でのカウント値が所定の値(プリセット値という)となるまで照射する。すなわち、各スポットでのプリセット値は同じ値を設定して図12の範囲の照射を行う。全スポットを照射した時の指頭型チェンバ62の測定値、すなわち線量値Gyを測定する。この際、プリセット値は同じでも、各スポットで実際に照射した場合の線量モニタ34でのカウント値は若干異なる場合がある。これは、プリセット値である指令値に対し、例えば各スポットでの照射終了後のビームの遮断時間のばらつきなどにより誤差が生じるためである。このため、各スポットでの線量モニタ34における実際のカウント値を取得し、このカウント値の平均値Countを算出する。これら、線量値Gyと平均カウント値Countから、基準深におけるモニタ校正定数Gy/Countを算出する。以上の測定は、ステップST1で取得したPDDのデータと同じ各エネルギーで行い、各エネルギーにおける基準深でのGy/Countのデータを取得する。ここで、測定に用いたエネルギーのうち基準エネルギーを設定し、各エネルギーにおけるGy/Countと基準エネルギーにおけるGy/Countの比を求める。この比を各エネルギーのエネルギー補正係数として治療計画部40に保存する。基準エネルギーは、例えば最大エネルギーとすれば良い。治療計画部40に保存されるエネルギー補正係数の一例を図13の表に示す。
実施の形態4.
以上の実施の形態2で説明したステップST1、および実施の形態3で説明したステップST2を、線源につき1回実施することにより、治療計画部40に、エネルギー毎に規格化されたPDDのデータ、およびスポットスキャニング照射における各エネルギーでのエネルギー補正係数が保存される。本実施の形態4では、治療計画部40に保存されているPDDデータおよびエネルギー補正係数を用いて、患者の患部に照射する各スポットでの線量をモニタユニット値(MU)に換算する方法、すなわちステップST3を説明する。治療計画部40から照射線量制御器15にはこのモニタユニット値が出力される。
患者の患部に照射する線量は、患者毎に治療計画により生物線量で与えられる。治療計画部40には、治療計画により与えられる生物線量がデータとして保存されており、この生物線量から各スポットでの物理線量を換算してモニタユニット値を算出する。各スポットの線量については患部全体に対する各スポットのウェイトで指定されることになり、モニタユニット値を各スポットのウェイトで分配することで算出する。ここで各スポットのウェイトは全スポットのウェイトの合計が1となるよう設定される。
図14に、患部に照射する時のイメージを示す。ペンシルビームPが患者の体表面102から体内に入射され患部101を照射する。治療計画において、患部101内にアイソセンタ103と線量指示点104が設定される。アイソセンタ103は患者位置決めに用いられる幾何学的な点であり、線量指示点104は患部に照射する生物線量を与えるための点である。患部が球形など、どの断面においても閉じた面になるような形状であれば、アイソセンタ103と線量指示点104は一致する場合が多い。ただし、患部が中空形状のような場合はアイソセンタ103が患部内ではなく、その点を線量指示点とすることができない場合もある。線量指示点104における生物線量が単位GyEで指定される。
エネルギー毎に、そのエネルギーでのブラッグピークとなる深さにおける患部が照射層(スライス)となり、エネルギーを変えるとスライスが変わる。治療時の照射では、スライス毎に、線量モニタ34の値が各スポットで指定されたモニタユニット値(MU)に相当するモニタプリセット値に達したら次のスポットの照射を行うためペンシルビームPを横方向に移動させて、順次照射を行う。一つのスライスの照射が完了すると粒子線のエネルギーを変えて、次のスライスの照射を行う。エネルギーが高い順にエネルギーを変えて照射するイメージを、図14の右側に示している。最もエネルギーが高い粒子線で照射したスライスがスライス1で、スポットとしてスポット1〜11を照射、スライス1の全ての照射が完了すると、次にエネルギーを少し下げてスライス2を照射する。スポット2では、スポット12〜29を照射、次にさらにエネルギーを下げてスライス3のスポット30〜40を照射する。このように、スキャニング照射においては、スライス毎に複数のスポットを照射するが、スポット毎のモニタユニット値MUの指定は、モニタユニット値MUそのものを指定しても良く、また合計モニタユニット値MUに対するウエイトによって指定しても良い。
各スポットのMUおよびウエイトは以下のようにして算出される。各スポットのMUは、治療計画部40に保存されている各スポット位置での生物線量、エネルギー補正係数、PDDから算出される。ここで、スポット位置はブラッグピークの位置、すなわちPDDのピーク位置であるから、各エネルギーにおいて、PDDのピーク位置での吸収線量Dの基準深での吸収線量Dに対する比D/Dを求めて深さ係数とする。以上の各値から、式(1)により各スポットのMUを算出する。
Figure 2012120636
ここで、RBEは粒子線の種類により決まる生物的効果比である。ここでは、このRBEにスポットスキャニング照射における照射野係数(ガウス分布の広がりから隣接するスポットの線量だけが寄与するのではないため、照射する領域が小さい場合には同じ線量を照射しても吸収線量は小さくなるため、補正係数として導入する必要がある。)なども含めることとする。全てのスポットのMUが算出できると、各スポットのウエイトは式(2)により算出できる。このウエイトは、スポットにおける線量のウエイトではなく、モニタユニット値MUの分配を示すウエイトである。
Figure 2012120636
以上で算出したモニタユニット値MUが治療計画部40で指定されるが、このモニタユニット値MUは、基準エネルギー、基準スポットピッチで1MU分の照射を行うと、基準深での線量が1cGy(センチグレイ、0.01Gy)となる条件として指定されることになる。
実施の形態5.
線量モニタ34の感度は経時変化するため、感度補正が必要である。本実施の形態5は、線量モニタ34の感度補正、すなわちステップST4およびST5についての実施の形態である。線量モニタの感度補正は、定期的に、例えば毎日、実施する。まず、実施の形態3で説明したステップST2における、基準深でのモニタ校正定数Gy/Countのデータを、基準エネルギーについてのみ取得する。次に、モニタユニットMUの基準である、0.01Gy/MUとモニタ校正定数との比を求めることによりモニタ補正係数を算出する。なお、一般に指頭型センサは、校正を行うことにより絶対感度を保証して用いるものであり、ここでは指頭型センサは絶対感度が保証されているセンサを用いるものとする。
Figure 2012120636
実際に治療の照射を行う際の各スポットの目標の照射線量設定値である各スポットプリセットは、治療計画部40から指定される各スポットのモニタユニット値(MU値)を式(3)により算出されたモニタ補正係数で除算することにより、次の式(4)により換算できる(ST5)。
Figure 2012120636
以上により、治療計画において生物線量として与えられた患部への照射線量が、実際の治療において管理できる線量モニタの物理線量に、複雑な手順なく、しかも精度良く換算できる。そして、式(4)で求められる各スポットのプリセットが照射線量設定値として、治療計画部40から照射線量制御器15に出力され、患部の照射時における各スポットの照射(ST6)において、照射線量制御器15は各スポットにおいて線量モニタ34のカウント値が各スポットのプリセットに達したらそのスポットでの照射を完了させる制御を行う。
実施の形態6.
1MUは、スポットのピッチが基準ピッチの場合に、基準深での線量が1cGyとなる線量モニタのカウント値で与えられる。したがって、スポットのピッチが基準ピッチと異なる場合、MU値を補正する必要がある。本実施の形態6は、スポットのピッチが基準と異なる場合のMU値の算出方法に関する実施の形態である。
図15に、スポットのピッチが異なる場合のイメージを示す。図15(A)は、基準ピッチで基準スポットサイズの場合のスキャニング照射時の線量分布のイメージを示す。図15(B)は、スポットサイズはそのままで、ピッチを半分にした場合の線量分布のイメージを示す。ピッチが半分になったので、例えば実施の形態3で説明した同一範囲10cm×10cmの領域をスキャニング照射すると、照射するスポット数は4倍となって、照射する線量合計が4倍となるため、Gy/Countは基準ピッチで求めたGy/Countの4倍となる。したがって、実際の治療時にスポットのピッチが基準ピッチの半分である場合、MU値は4分の1にする必要がある。
図15(C)は、スポットサイズが基準スポットサイズの2倍でスポットのピッチが基準ピッチの場合の線量分布のイメージを示す。この場合、スポット数は同じであるから、Gy/Countは基準の場合と同じになる。したがって、実際の治療時にスポットサイズのみが基準と異なっても、ピッチが基準ピッチの場合は、MU値の補正は必要ない。
図15(D)は、スポットサイズもピッチも基準の2分の1とした場合の線量分布のイメージを示す。この場合は、図15(B)と同じく照射するスポット数は基準の4倍となって、照射する線量合計が4倍となるため、Gy/Countは基準ピッチで求めたGy/Countの4倍となる。したがって、実際の治療時にスポットのピッチが基準ピッチの半分である場合、MU値は4分の1にする必要がある。
以上のように、治療時に、基準のスポットピッチと異なるピッチでスキャニング照射をする場合、治療計画部40において、以上のような、基準ピッチの照射に対するスポット数の比に応じて、スポット数の比で除してMU値の補正をする必要がある。ただし、ピッチは照射野において線量分布が均一になるように、ペンシルビームPのビーム径に対してあまり大きくならないようにする必要がある。
実施の形態7.
実施の形態3〜実施の形態6は、照射スポットをステップ状に移動させて照射する、いわゆるスポットスキャニング照射に本発明を適用する場合の実施の形態を説明した。本発明は、スポットスキャニング照射以外、例えばペンシルビームを連続的に移動させて照射する、いわゆるラスタースキャニング照射に適用することもできる。本実施の形態7は、本発明をラスタースキャニング照射に適用する場合の実施の形態である。
本発明の線量校正をラスタースキャニング照射に適用する場合の概要を図16に示す。まず、患者体内での吸収線量分布の基礎データとして、患者体内を模擬する水ファントムなどのファントムを用いて、ペンシルビームを横方向に走査せずに、深さ方向、すなわちビーム進行方向の分布や、ビーム進行方向に垂直な方向である横方向分布といった線源基礎データを取得し、治療計画部40に保存する(ST1)。ここで、線源基礎データは、深さ方向の、ブラッグピークよりも浅い深さで、吸収線量の深さ方向の変化が少ない、深さ方向線量分布がプラトーな部分の所定深さを基準深として、基準深のデータを基準として保存する。このステップST1は、ペンシルビームを横方向に走査せずに取得するデータであり、実施の形態2において詳細に説明したのと全く同じステップとなる。
次に、図17に示す、1スライス分のラスタースキャニング照射を水ファントムに対して行い、水ファントム中の基準深の所定位置における線量を取得し、ラスタースキャニング照射基礎データとして治療計画部40に保存する(ST12)。以上のステップST1、ST12は、線源につき一回実施すれば良い。
これら線源基礎データとラスタースキャニング照射基礎データとを用いて、患者毎に治療計画で与えられる処方箋量である生物線量から、当該患者の治療時のラスタースキャニング照射における照射線量設定値を算出する(ST13)。このとき、モニタ感度が経時変化する恐れがあるため、例えば毎日といったように定期的にモニタ感度補正を行った(ST14)上で、ステップST13で算出した照射線量設定値を、補正してモニタ感度補正後の照射線量設定値を算出する(ST15)。ステップST15で算出した照射線量設定値を用いて、患者に対してラスタースキャニング照射を行う(ST16)。以下、ステップST12〜ST15の詳細を説明する。
ステップST12におけるラスタースキャニング照射基礎データの取得は以下のようにして行う。用いる粒子線治療装置の要部の概略構成は、実施の形態3で示した図11と同じ構成である。図17に、ラスタースキャニング照射基礎データ取得の概要を示す。図17において、丸印がペンシルビームの照射スポットを示し、この照射スポットを連続的に矢印の方向に移動させて照射を行う。図17では、左上から照射を開始し、照射スポットを右方向(X方向)へ移動させてゆき、照射領域の右端で1スポットに相当する距離(1ピッチ分)だけ下方向(Y方向)へ移動させて、今度は左方向へ移動させて照射する。この動作を繰り返して、照射スポットが照射領域の左下端の位置に来たところで照射が完了する。一回の走査で照射線量が不足する場合は、以上の走査を複数回繰り返してもよい。
ステップST12では、ペンシルビームPを上記のように連続的に走査(ラスタースキャニング)して、図11と同様に、基準深D0における所定位置に設置した指頭型チェンバ62により吸収線量データを取得する。この測定に際し、1スライス分の照射、すなわちあるエネルギーによる照射により、基準深部分で線量分布が均一となる条件を求める。この際、使用するエネルギーは、治療で使用するエネルギー毎に実施する。エネルギーが異なると水ファントム内でのスポット径が異なり、均一となるX方向の走査速度やY方向のピッチもエネルギーにより異なることや、線量モニタ341を通過するエネルギーが異なることから得られる測定結果(カウント値)が異なるためである。また、スポットのサイズとY方向ピッチやX方向走査速度は各エネルギーで基準となるものを決めておき、当該基準を用いて均一な線量分布を形成する。このとき、照射野全体に対して均一線量分布を形成する必要は無く、指頭型チェンバ62と比較して十分に広く、指頭型チェンバ62の位置誤差によって測定誤差が発生しない条件であれば問題ない。この条件として、例えば10cm×10cmの領域をスキャニング照射することが考えられる。すなわち、図17の外周の四角で示す領域が10cm×10cmとなるよう、ペンシルビームPを走査して照射する。図17における丸がペンシルビームのスポットを示している。指頭型チェンバ62のチェンバの位置はこの10cm×10cmの領域の中央になるよう設置する。
ラスタースキャニング照射の場合、照射野に対して与える線量は、ペンシルビームの時間当たりの線量を線量モニタで観測した電流値、もしくは加速器から出射されたビーム電流(A=C/sec)をX方向走査速度(mm/sec)で除した値、C/mmに比例する。よって、ペンシルビームの時間当たりの線量値によって走査速度を決定して、上記の10cm×10cmの領域をラスタースキャニング照射する。全領域を照射した時の指頭型チェンバ62の測定値、すなわち線量値Gyを測定する。一方で、実際に照射したときの、線量モニタ34での時間当たりのカウント値とスキャニング速度から、C/mmの平均値を求める。これら、線量値Gyと平均カウント値C/mmから、基準深におけるモニタ校正定数Gy/(C/mm)を算出する。以上の測定は、ステップST1で取得したPDDのデータと同じ各エネルギーで行い、各エネルギーにおける基準深でのGy/(C/mm)のデータを取得する。ここで、測定に用いたエネルギーのうち基準エネルギーを設定し、各エネルギーにおけるGy/(C/mm)と基準エネルギーにおけるGy/(C/mm)の比を求める。この比を各エネルギーのエネルギー補正係数としてGy/(C/mm)と共に治療計画部40に保存する。基準エネルギーは、例えば最大エネルギーとすれば良い。
以上で説明したステップST1、およびステップST12を、線源につき1回実施することにより、治療計画部40に、エネルギー毎に規格化されたPDDのデータ、およびラスタースキャニング照射における各エネルギーでのエネルギー補正係数が保存される。次に、治療計画部40に保存されているPDDデータおよびエネルギー補正係数を用いて、患者の患部に照射するときの照射線量設定値に換算する方法を説明する。治療計画部40から照射線量制御器15にはこの照射線量設定値が出力される。
ラスタースキャニング照射においても、エネルギー毎に、そのエネルギーでのブラッグピークとなる深さにおける患部が照射層(スライス)となり、エネルギーを変えるとスライスが変わる。治療時の照射では、スライス・照射位置毎に、線量モニタ34の値およびペンシルビームの走査速度から算出される値が照射線量設定値C/mmとなるようペンシルビームを横方向に移動させて、照射を行う。一つのスライスの照射が完了すると粒子線のエネルギーを変えて、次のスライスの照射を行う。このように、ラスタースキャニング照射においては、スライス毎にペンシルビームを連続して移動させて照射するが、その時の線量設定は、照射線量設定値として照射線量制御器15によって設定される。ここで、照射線量を照射線量設定値に制御するためには、例えば加速器から出力される粒子線の粒子数や、ペンシルビームの走査速度を制御すればよい。またラスタースキャニング照射の場合、加速器にサイクロトロンを用いるのが望ましい。
照射線量設定値C/mmは、治療計画部40に保存されている生物線量GyE、粒子線の生物的効果比RBE、エネルギー補正係数、PDD、Gy/(C/mm)から算出される。ここで、照射位置はブラッグピークの位置、すなわちPDDのピーク位置であるから、各エネルギーにおいて、PDDのピーク位置での吸収線量Dの基準深での吸収線量Dに対する比D/Dを求めて深さ係数とし、RBEとGy/(C/mm)から算出する。以上の各値から、照射体積TV内の各照射位置における照射線量設定値C/mmを、次の式(5)で算出する(ST13)。
Figure 2012120636
線量モニタ34の感度は経時変化するため、感度補正が必要である。線量モニタの感度補正(ST14)は、定期的に、例えば毎日、実施する。まずステップST12における、基準深でのモニタ校正定数Gy/(C/mm)のデータを、基準エネルギーについてのみ取得する。次に、この基準エネルギーについての基準深でのモニタ校正定数Gy0/(C/mm)を用いてモニタ補正係数を算出する(ST14)。このモニタ補正係数により、ステップST13で算出した照射線量設定値C/mmを補正してモニタ感度補正後の照射線量設定値とする(ST15)。このモニタ感度補正後の照射線量設定値を用いて、患者に対してラスタースキャニング照射を行う(ST16)。
以上により、治療計画において生物線量として与えられた患部への照射線量が、実際の治療において管理できる線量モニタの物理線量やペンシルビームの走査速度に、複雑な手順なく、しかも精度良く換算できる。
1、2:治療室 10:粒子線発生部
11:入射器 12:加速器
13:治療制御部 14:エネルギー設定制御器
15:ビーム径制御器 20:粒子線輸送部
30、30A,30B:粒子線照射部 31:照射ノズル
32:治療台 33:位置決め装置
34:線量モニタ 341:線量センサ
342:データ処理部 40:治療計画部
60:水ファントム 61:平行平板型チェンバ
62:指頭型チェンバ 100:患者
P:ペンシルビーム PB:粒子線
図3は、ペンシルビームPを形成する粒子線を照射ノズル31から治療台32に載せられた患者100に照射しているときの様子を示す図である。図に示すように、照射ノズル31は入射するペンシルビームPを、主に粒子線を横方向(即ち、ビーム進行方向Zに垂直なXY面)に走査するよう、図示しない偏向電磁石などで構成されている。また、粒子線の線量をモニタ(カウント)する線量モニタ34で照射線量をモニタし、モニタでカウントされる照射線量が照射線量制御器15で設定される線量に達するまで粒子線が患者100に照射される。線量モニタ34は、例えば電離箱などで構成される線量センサ341と線量センサ341で観測される電荷量をパルスに変換するなどしてカウントするカウント線量のデータを処理するデータ処理部342などで構成されている。
次に実施の形態2の第二段階として線源の基礎データのうち、X、Y方向に走査しないペンシルビームPによる吸収線量の横方向分布(OCR:Off Central axis Ratio)を取得する。横方向分布を取得する装置の構成を図9に示す。図9において図6と同一符号は同一部分を示す。図6と構成が異なるのは、水ファントム内のセンサが平行平板型チェンバ61から指頭型チェンバ62に変わったことである。指頭型チェンバの電荷量をエレクトロメータ620によって測定する。平行平板型チェンバ61はペンシルビームが全て通過する形状であったが、指頭型チェンバ62はペンシルビームよりも小さい形状である。例えばペンシルビームのビーム径がσ5mm、指頭型チェンバ62の測定領域が半径1mm、長さ5mmである。この指頭型チェンバ62をある深さZの位置でXY方向に移動させることで、その深さにおけるXY2次元の線量分布が取得できる。この際、半径1mmの方向に移動するように測定することで分解能を向上させることができる。この測定を基準深、ブラッグピーク位置、その他の複数の深さ位置で取得する。取得したデータのイメージを図10に示す。図10(A)は図8と同じ深さ方向の吸収線量分布を示す図で
あり、図10(B)が、各深さで取得した横方向(XまたはY)の分布を、各深さ(Z)の位置で示したものである。このデータも、エネルギーを変えて取得し、各エネルギーにおける、各深さでの横方向分布のデータを線源基礎データの一つとして治療計画部40に保存する。但し、測定結果がガウス分布と比較して十分に相似な場合には測定結果ではなく、理想的ガウス分布を保存してもよい。同様に、2つ或いは3つの理想的ガウス分布を合成するなどした分布を用いてもよい。この分布データは本発明における線量校正の絶対値に効果的なものではなく、治療計画装置内で実施する線量分布の計算で用いるものであり、影響は少ない。
以上で、ステップST1の線源基礎データの取得と、治療計画部40への保存が完了する。
エネルギー毎に、そのエネルギーでのブラッグピークとなる深さにおける患部が照射層(スライス)となり、エネルギーを変えるとスライスが変わる。治療時の照射では、スライス毎に、線量モニタ34の値が各スポットで指定されたモニタユニット値(MU)に相当するモニタプリセット値に達したら次のスポットの照射を行うためペンシルビームPを横方向に移動させて、順次照射を行う。一つのスライスの照射が完了すると粒子線のエネルギーを変えて、次のスライスの照射を行う。エネルギーが高い順にエネルギーを変えて照射するイメージを、図14の右側に示している。最もエネルギーが高い粒子線で照射したスライスがスライス1で、スポットとしてスポット1〜11を照射、スライス1の全ての照射が完了すると、次にエネルギーを少し下げてスライス2を照射する。スライス2では、スポット12〜29を照射、次にさらにエネルギーを下げてスライス3のスポット30〜40を照射する。このように、スキャニング照射においては、スライス毎に複数のスポットを照射するが、スポット毎のモニタユニット値MUの指定は、モニタユニット値MUそのものを指定しても良く、また合計モニタユニット値MUに対するウエイトによって指定しても良い。

Claims (12)

  1. 粒子線をペンシルビームとして照射目標に照射することにより、上記粒子線のエネルギーで決まる上記照射目標の深さ方向の位置に上記粒子線の最大吸収領域であるスポットを形成するとともに、上記ペンシルビームを進行方向に垂直な方向である横方向に移動させることにより上記スポットの位置を上記横方向に移動させて上記照射目標に上記粒子線を照射するための照射ノズルと、
    上記照射ノズルから出射される上記粒子線の線量を測定する線量モニタと、
    上記照射目標に照射する照射線量設定値を設定する治療計画部と、
    上記粒子線のエネルギーを設定するエネルギー設定制御器と、上記照射ノズルを制御するビーム走査制御器と、上記線量モニタの測定値と上記治療計画部により設定される照射線量設定値とに基づいて上記照射目標に照射する照射線量を制御する照射線量制御器とを備えた治療制御部と、
    を有する粒子線治療装置において、
    上記治療計画部は、予め準備した深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、ブラッグピーク位置よりも上記ペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存し、上記照射線量設定値を上記基準深における吸収線量を基準として算出して上記照射線量制御器に出力することを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 上記治療計画部は、上記粒子線の複数のエネルギーについて上記基準深における吸収線量と、上記基準深を基準とするPDDを保存することを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
  3. 基準深を、上記PDDの深さ方向における変化が、5%/mm以下である位置に設定したことを特徴とする請求項2に記載の粒子線治療装置。
  4. 上記治療計画部は、予めファントムを用いて取得した、上記ファントム中の深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、上記ファントム中のブラッグピーク位置よりも上記ペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存し、上記照射線量設定値を上記基準深における吸収線量を基準として算出して上記照射線量制御器に出力することを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
  5. 上記治療計画部は、予め、上記粒子線の複数のエネルギーについて、ファントム中に上記ペンシルビームを所定範囲にわたって移動させて照射したときの測定値である、上記基準深における全吸収線量値と上記線量モニタの全測定値とを用いて、エネルギー毎の上記全吸収線量値と上記全測定値との比を、上記複数のエネルギーのうち基準となる基準エネルギーにおける上記全吸収線量値と上記全測定値との比で規格化することにより上記エネルギー毎のエネルギー補正係数を算出し、このエネルギー補正係数を用いて上記照射線量設定値を算出することを特徴とする請求項2に記載の粒子線治療装置。
  6. 上記照射ノズルが、上記ペンシルビームを上記横方向にステップ状に移動させることにより上記スポットの位置を上記横方向にステップ状に移動させて上記照射目標の複数のスポット位置に上記粒子線を照射するよう構成されるとともに、上記治療計画部は、上記複数の各スポット位置での生物線量データを保存し、各スポットでのモニタユニット値である各スポットMUを、粒子線の生物的効果比であるRBE、および上記規格化したPDDにおけるブラッグピーク位置での吸収線量の基準深での吸収線量に対する比である深さ係数を用いて、
    各スポットMU=当該スポット位置での生物線量/(RBE×深さ係数×エネルギー補正係数)
    により算出することを特徴とする請求項5に記載の粒子線治療装置。
  7. 上記治療計画部は、所定の時点において、ファントム中に上記基準エネルギーの上記ペンシルビームを所定範囲にわたってステップ状に移動させて照射したときの測定値である、上記基準深における全吸収線量値と上記線量モニタの全測定値を用いて、上記基準深における全吸収線量値と上記線量モニタの全測定値との比であるモニタ校正定数を求め、このモニタ校正定数からモニタ補正係数を算出し、このモニタ補正係数と上記各スポットMUとから、上記スポット毎の照射線量設定値を算出することを特徴とする請求項6に記載の粒子線治療装置。
  8. 粒子線をペンシルビームとして照射目標に照射することにより、上記粒子線のエネルギーで決まる上記照射目標の深さ方向の位置に上記粒子線の最大吸収領域であるスポットを形成するとともに、上記ペンシルビームを進行方向に垂直な方向である横方向に移動させることにより上記スポットの位置を上記横方向に移動させて、上記照射目標に上記粒子線を照射するスキャニング照射における、照射線量設定値を算出する粒子線治療装置の照射線量設定方法において、
    上記粒子線の複数のエネルギーにおいて予め準備した深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、ブラッグピーク位置よりも上記ペンシルビームが入射する側の所定位置である基準深における吸収線量を基準として保存するステップと、
    上記照射線量設定値を、上記基準深における吸収線量を基準として保存したPDDに基づいて算出するステップと、を含むことを特徴とする粒子線治療装置の照射線量設定方法。
  9. ファントムを用いて、このファントム中の深さ方向の吸収線量分布データであるPDDを、上記粒子線の複数のエネルギーにおいて取得するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の粒子線治療装置の照射線量設定方法。
  10. ファントム中に上記ペンシルビームを所定範囲にわたって移動させて照射したときの、上記基準深における全吸収線量値を、上記粒子線の複数のエネルギーについて取得し、エネルギー毎の上記全吸収線量値と上記ペンシルビームの粒子線の線量を測定する線量モニタの全測定値との比を、上記複数のエネルギーのうち基準となる基準エネルギーにおける上記全吸収線量値と上記全測定値との比により規格化して上記エネルギー毎のエネルギー補正係数を算出するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の粒子線治療装置の照射線量設定方法。
  11. 上記スキャニング照射が、上記ペンシルビームを上記横方向にステップ状に移動させることにより上記スポットの位置を上記横方向にステップ状に移動させて上記照射目標の複数のスポット位置に上記粒子線を照射するスキャニング照射であって、上記複数の各スポットでのモニタユニット値である各スポットMUを、各スポット位置での生物線量と、生物的効果比であるRBEと、上記基準深における吸収線量を基準として保存したPDDにおけるブラッグピーク位置での吸収線量の基準深での吸収線量に対する比である深さ係数と、上記エネルギー補正係数とを用いて、
    各スポットMU=当該スポット位置での生物線量/(RBE×深さ係数×エネルギー補正係数)
    により算出するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の粒子線治療装置の照射線量設定方法。
  12. 所定の時点で、ファントム中に上記基準エネルギーの上記ペンシルビームを所定範囲にわたってステップ状に移動させて照射したときの、上記基準深における全吸収線量値と上記線量モニタの全測定値との比であるモニタ校正定数によりモニタ補正係数を算出し、このモニタ補正係数と上記各スポットMUとから、上記スポット毎の照射線量設定値を算出するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の粒子線治療装置の照射線量設定方法。
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