JPWO2012111101A1 - 空気二次電池 - Google Patents

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Abstract

アニオン交換膜と、前記アニオン交換膜の一方の側に設けられ、金属を含む負極と、前記アニオン交換膜を挟んで前記負極と反対側に設けられ、空気と接する正極とを有し、前記正極が、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す両性触媒層と、酸素の還元に活性を示す酸素還元触媒層とを、前記アニオン交換膜側からこの順に有する空気二次電池を提供する。前記両性触媒が、パイロクロア型金属酸化物である態様、前記パイロクロア型金属酸化物が、Pb2Ru2O6.5、Bi2Ru2O7、及びPb2Ir2O6.5の少なくともいずれかである態様などが好ましい。

Description

本発明は、空気中の酸素と電池に内蔵する金属を用いて充放電を行い、アニオン交換膜を固体電解質として用いたアルカリ型金属空気二次電池に関する。
将来の化石エネルギー枯渇対策、化石エネルギー由来の温室効果ガス排出削減を図るため、例えば、太陽電池、風力発電等の再生エネルギー発電、電気自動車の導入が活発になっている。これらの導入及び利用をより一層進めるためには、再生エネルギー発電特有の出力変動を吸収したり、電気自動車の航続距離をガソリン車並に延ばすことが可能な革新的な性能を備える蓄電技術の開発が最重要課題となっている。
このような革新的な蓄電技術の一つとして有望視されているのが金属空気二次電池である。金属空気二次電池は、空気中の酸素が正極活物質となって正極触媒上で反応するために電池に内蔵している活物質は負極のみであり、正極活物質を内蔵しない分負極活物質をより多く電池に搭載できることから、構造的に電池のエネルギー密度を高めることが可能である。
前記金属空気二次電池の候補として、負極活物質として金属Zn、電解液としてアルカリ性電解液を用いたアルカリ型金属空気二次電池がある。この金属空気二次電池では、負極にOHを含むアルカリ性電解液(KOH水溶液)を混合したZn粉末、正極(空気極)に酸素還元及び酸素発生が可能な触媒を用いることで、以下に示す電池反応で充放電が可能である。
このようなアルカリ型金属空気二次電池では、触媒層の薄層化による触媒使用量の低減、及び電池の耐漏液性確保のため、OH伝導性高分子固体電解質であるアニオン交換膜を用いた電池系が有望視されている。
金属Znの電池用負極としての理論エネルギー密度は1,350Wh/kgであり、金属Znを用いた金属空気二次電池はリチウムイオン二次電池の限界とみなされている250Wh/kgを超えるエネルギー密度を持つ電池が実現可能と考えられている。また、アルカリ性電解液は、負極であるZnを安定に使用することが可能な上に、正極触媒層及び電池構成部材に非貴金属、非カーボン材料が使用可能であり、電池構成部材のコスト低減の点でも有利である。
前記正極触媒層とZn負極を用いた電池系について、充電が不可能な一次電池ではアルカリ性電解液を用いた空気亜鉛一次電池については既に実用化されているが、充放電が可能な空気二次電池は未だ実用化されていない。
金属空気二次電池の実用化に向けての課題の一つとして、酸素還元反応及び酸素発生反応の両反応に良好な活性を示す正極(空気極)の開発がある。放電反応のための正極である酸素還元触媒としては、燃料電池用触媒である白金、空気亜鉛一次電池用の触媒であるMnO等が報告されている。また、酸素還元反応と、充電反応に必要な酸素発生反応の両方に活性な正極に必要となる両性触媒については、例えば、金属酸化物(ペロブスカイト型、スピネル型、パイロクロア型)、PdNiなどが提案されている。しかし、空気二次電池として充分な性能を示す正極材料は未だ提供されていない。
以上のように良好な正極が得られていない現状において、空気二次電池を構成するため、例えば、充電及び放電のそれぞれに対応した正極を持つセルを2種類準備し、金属負極の供給を切り替えてそれぞれのセルで充電及び放電を行うことが報告されている。
しかしながら、このような2セル構成では装置が複雑化及び大型化するため、充放電を1セル構成で行うことが可能な良好な電池特性を有する正極を備えた空気二次電池の速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開2006−196329号公報
J.Power Sources 165(2007),897
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、繰り返し効率よく充放電可能であり、良好な放電出力を有するアルカリ型金属空気二次電池を提供することを目的とする。
開示の空気二次電池は、アニオン交換膜と、
前記アニオン交換膜の一方の側に設けられ、金属を含む負極と、
前記アニオン交換膜を挟んで前記負極と反対側に設けられ、空気と接する正極と、
を有し、
前記正極が、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す両性触媒を含む両性触媒層と、酸素の還元に活性を示す酸素還元触媒を含む酸素還元触媒層とを、前記アニオン交換膜側からこの順に有することを特徴とする。
開示の空気二次電池によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、繰り返し効率よく充放電可能であり、良好な放電出力を有するアルカリ型金属空気二次電池を提供することができる。
図1は、本発明の空気二次電池の一例を示す概略図である。 図2は、空気二次電池の充電時の正極反応モデルを示す図面である。 図3は、実施例で用いた空気二次電池のコインセル構造を示す図面である。 図4は、実施例1及び比較例1〜3の空気二次電池の充放電サイクル特性を示すグラフである。 図5は、実施例1及び比較例3の空気二次電池の放電時出力を示すグラフである。 図6は、実施例2及び比較例4の空気二次電池の充放電サイクル特性を示すグラフである。 図7は、実施例2及び比較例4の空気二次電池の放電時出力を示すグラフである。 図8は、実施例3及び比較例5の空気二次電池の充放電サイクル特性を示すグラフである。 図9は、実施例3及び比較例5の空気二次電池の放電時出力を示すグラフである。
本発明の空気二次電池は、アニオン交換膜と、負極と、正極とを少なくとも有してなる。前記空気二次電池は、必要に応じて、例えば正極ケース、電解液、負極ケース、スペーサ、ガスケットを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
<アニオン交換膜>
前記アニオン交換膜は、空気二次電池における高分子固体電解質の機能を有し、両性触媒層と酸素還元触媒層からなる正極触媒層を形成するための基材としても機能する。
前記アニオン交換膜(陰イオン交換膜)は、イオン交換膜の一種である。前記イオン交換膜とは、主にフッ素樹脂、炭化水素系樹脂を主骨格とし、これらの樹脂の一部を電離可能な置換基に置換することで特定の電荷を持つイオンのみを透過可能とした樹脂膜である。また、このイオン交換膜と同等の構造を持ち、膜として成形されていない樹脂がイオン交換樹脂である。
前記イオン交換膜には、カチオン交換膜(陽イオン交換膜)とアニオン交換膜とがある。
前記カチオン交換膜、は置換基として主にスルホ基(−SOH)を導入することでスルホ基からのプロトンHの電離によって陽イオンのみを透過可能とするイオン交換膜である。
前記アニオン交換膜は、主に四級アンモニウム基(−R)を導入することで陰イオンAの電離によって陰イオンのみを透過可能なイオン交換膜である。
これらのイオン交換膜の用途として、燃料電池用電解質(カチオン交換膜)、純水製造(カチオン交換膜とアニオン交換膜を両方使用)などがあり、アニオン交換膜については株式会社アストム製ネオセプタ(Cl置換型)などが純水製造用に商品化されている。
このようなアニオン交換膜を空気二次電池のOH伝導性高分子固体電解質として用いるためには、置換基中のアニオンをOHに置換し、かつ該用途に対応した信頼性を確保すべく主骨格を改良する必要があり、様々な材料系を用いることができる(特開2009−173898号公報、特開2000−331693号公報参照)。
前記アニオン交換膜の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜50μmがより好ましい。
前記アニオン交換膜としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、株式会社トクヤマ製アニオン型電解質膜Aシリーズなどが挙げられる。
<負極>
前記負極は、前記アニオン交換膜の一方の側に設けられ、金属を含む電極である。
前記負極としては、Zn粉末とOHを含むアルカリ性電解液の混合物から形成されることが好ましい。
前記負極としては、負極活物質を含有する負極層と、前記負極層の集電を行う負極集電体とを有する。なお、後述する負極ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、金属イオンを吸蔵放出できるものであれば特に制限はなく。目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、金属イオンは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン、Znイオン、Alイオン、Feイオンであることが好ましい。前記アルカリ金属イオンとしては、例えばLiイオン、Naイオン、Kイオンなどが挙げられる。前記アルカリ土類金属イオンとしては、Mgイオン、Caイオンなどが挙げられる。これらの中でも、Znイオンが特に好ましい。
前記負極活物質としては、例えば金属単体、合金、金属酸化物、金属窒化物などが挙げられる。
前記負極層は、負極活物質のみを含有するものであってもよく、負極活物質の他に、導電性材料及びバインダーの少なくとも一方を含有するものであってもよい。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、導電性材料及びバインダーの少なくとも一方を有する負極層とすることができる。
前記導電性材料としては、例えば、カーボン材料などが挙げられる。前記カーボン材料としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、メソポーラスカーボンなどが挙げられる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダーが特に好ましい。
−負極集電体−
前記負極集電体は、負極層の集電を行うものである。前記負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。前記負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状、メッシュ(グリッド)状などが挙げられる。
−負極の形成方法−
前記負極の形成方法は、上述した負極を形成することができる方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記負極の形成方法としては、負極活物質及びバインダーを含有する負極層形成用の組成物を作製し、この組成物を負極集電体上に塗布して、乾燥する方法が挙げられる。また、前記負極の形成の他の方法としては、箔状の負極活物質を、負極集電体上に配置して、加圧する方法を挙げることができる。
<正極>
前記正極は、前記アニオン交換膜を挟んで前記負極と反対側に設けられ、空気と接する電極である。
前記正極は、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す両性触媒を含む両性触媒層と、酸素の還元に活性を示す酸素還元触媒を含む酸素還元触媒層とが、前記アニオン交換膜側からこの順に有している。前記アニオン交換膜側から、酸素還元触媒層と、両性触媒層とをこの順に有していると、充放電サイクルに伴う容量低下が大きくなってしまうことがある。これは、例えば酸素還元触媒層として白金を用いると、白金がアニオン交換膜に接触して、充電時に白金からなる酸素還元触媒層が劣化して正極の性能が低下するためである。
ここで、前記両性触媒層と前記酸素還元触媒層とがアニオン交換膜側からこの順に形成されていることにより、例えば、試料の断面を露出させて、走査型電子顕微鏡で観察することにより、両性触媒層と酸素還元触媒層の界面を検出することができる。
前記両性触媒層と前記酸素還元触媒層とは、アニオン交換膜側からこの順に形成されていれば前記両性触媒層と前記酸素還元触媒層とは接していなくてもよく、両層間に他の層を有していても構わないが、両層が密着していることが好ましい。
<<両性触媒層>>
前記両性触媒層は、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す両性触媒を含む層である。
前記両性触媒層は、両性触媒と、バインダーとを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−両性触媒−
前記両性触媒としては、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す金属酸化物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパイロクロア型金属酸化物、ペロブスカイト型金属酸化物、スピネル型金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、良好な放電出力を有する点で、パイロクロア型金属酸化物が特に好ましい。
前記パイロクロア型金属酸化物は、一般組成式:Aを持つ遷移金属酸化物であり、下記組成式1で表されるものが好ましい。
〔B2−x〕O7−y ・・・ 組成式1
ただし、前記組成式1中、Aは、Pb又はBiを表す。Bは、Ru又はIrを表す。0≦x≦1、0≦y≦0.5である。
これらの中でも、良好な放電出力を有する点で、PbRu6.5、BiRu、及びPbIr6.5の少なくともいずれかが特に好ましい。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂が特に好ましい。
前記アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、株式会社トクヤマ製アニオン型電解質溶液A−Solutionなどが挙げられる。
前記両性触媒と前記バインダーとの混合質量比(両性触媒:バインダー)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:9〜9:1が好ましい。
前記その他の成分としては、溶媒、分散剤などが挙げられる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール類などが挙げられる。
前記両性触媒層の形成は、例えば、両性触媒及びバインダーを含有する両性触媒層形成用の組成物を作製し、この組成物を前記アニオン交換膜上に塗布して、乾燥する方法などが挙げられる。
前記両性触媒層の平均厚みは、5μm〜25μmが好ましく、10μm〜20μmがより好ましい。前記平均厚みが、5μm未満であると、両性触媒層が酸素還元触媒層の保護層として機能しないため、充電時に酸素還元触媒層で充電反応が起こり、酸素還元触媒層の劣化を招くことがあり、25μmを超えると、両性触媒層が厚くなることで酸素還元触媒層へのOHイオンの供給経路が長くなることで、酸素還元触媒層へのOHイオンの供給量が減少して該酸素還元触媒層での酸素還元反応が滞るため、空気二次電池の放電出力の低下を招くことがある。
<<酸素還元触媒層>>
前記酸素還元触媒層は、酸素の還元に活性を示す層であり、酸素還元触媒と、バインダーとを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−酸素還元触媒−
前記酸素還元触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、白金、白金合金、又はこれらをカーボン等の導電性粉末に担持した触媒担持材料などが挙げられる。
前記白金合金としては、例えば、Pt−Co、Pt−Fe、Pt−Niなどが挙げられる。
−バインダー−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂が特に好ましい。
前記アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、株式会社トクヤマ製アニオン型電解質溶液A−Solutionなどが挙げられる。
前記酸素還元触媒と前記バインダーとの混合質量比(酸素還元触媒:バインダー)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:9〜9:1が好ましい。
前記その他の成分としては、溶媒、分散剤などが挙げられる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール類などが挙げられる。
前記酸素還元触媒層の形成は、例えば、酸素還元触媒及びバインダーを含有する酸素還元触媒層形成用の組成物を作製し、この組成物をアニオン交換膜上に形成した両性触媒層上に塗布して、乾燥する方法などが挙げられる。
前記酸素還元触媒層の平均厚みは、5μm〜25μmが好ましく、10μm〜20μmがより好ましい。前記平均厚みが、5μm未満であると、酸素還元触媒量が減少するため該酸素還元触媒層での酸素還元反応減少し、空気二次電池の放電出力の低下を招くことがあり、25μmを超えると、酸素還元触媒層が厚くなることで充電時の両性触媒層での酸素発生反応により生成した酸素ガスの放出経路が長くなるため、酸素放出が滞り充電性能の低下を招くことがある。
前記両性触媒層及び酸素還元触媒層の合計平均厚みは、50μm以下が好ましく、10μm〜50μmがより好ましく、20μm〜40μmが更に好ましい。前記合計平均厚みが、50μmを超えると、空気二次電池の放電出力の低下、又は酸素放出が滞り充電性能の低下を招くことがある。
前記両性触媒層の平均厚みAと、前記酸素還元触媒層の平均厚みBとの比(A:B)は、1:5〜5:1が好ましい。前記比(A:B)の数値範囲内において、繰り返し効率よく充放電可能であり、良好な放電出力を有することができる。
−電解液−
前記電解液としては、負極が亜鉛又はその合金の場合には、酸化亜鉛を含む水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いてもよいし、塩化亜鉛又は過塩素酸亜鉛を含む水溶液を用いてもよいし、過塩素酸亜鉛を含む非水系溶媒、亜鉛ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドを含む非水系溶媒を用いてもよい。
前記非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等の従来の二次電池又はキャパシタに使われる有機溶媒などが挙げられる。あるいは、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(am)などのイオン性液体を用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−正極ケース−
前記正極ケースは、空気が出入りする貫通孔(以下、「空気孔」と略すことがある)が形成された金属部材を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。前記正極ケースは、正極端子を兼ねている。
前記金属部材は、空気が出入りする貫通孔が形成された金属部材であれば、その材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属部材の材質としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ステンレス鋼又は鉄にニッケル等のめっきを施した金属などが挙げられる。
前記金属部材の形状としては、例えば、周囲が反り上がった底の浅い皿状、有底円筒形、有底角柱状などが挙げられる。
前記金属部材の大きさとしては、空気二次電池に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属部材の構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。前記積層構造としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、及び銅の三層構造などが挙げられる。
前記金属部材は、通常、底部に前記貫通孔を有している。前記貫通孔の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。前記貫通孔の開口部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、菱形状などが挙げられる。前記貫通孔の開口部の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属部材における前記貫通孔の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属部材を金型により打抜き加工して貫通孔を作製する方法、金属線を織って網目状にすることで、所定の形状の金属部材と貫通孔を同時に作製する方法などが挙げられる
−負極ケース−
前記負極ケースの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極ケースの材質としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ステンレス鋼、又は鉄にニッケルなどのめっきを施した金属などが挙げられる。
前記負極ケースの形状としては、例えば、周囲が反り上がった底の浅い皿状、有底円筒形、有底角柱状などが挙げられる。
前記負極ケースの大きさとしては、前記空気二次電池に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極ケースの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。前記積層構造としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、及び銅の三層構造などが挙げられる。
−スペーサ−
前記スペーサの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記スペーサの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を複合して用いてもよい。
前記スペーサの形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
前記スペーサの大きさとしては、前記空気二次電池に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記スペーサの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
−ガスケット−
前記ガスケットとしては、前記正極ケースと前記負極ケースとの絶縁を保つことができる材質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を複合して用いてもよい。
ここで、図面を参照しつつ本発明の空気二次電池の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の空気二次電池の一実施例を示す概略断面図である。この図1の金属空気二次電池10は、正極側より空気孔8が形成された正極ケース7と、気体拡散層9と、酸素還元触媒層5と、両性触媒層4と、アニオン交換膜3と、金属負極1とを有している。
アニオン交換膜3は、水を含浸してOH伝導性を発現する高分子材料であり、OH−伝導性高分子固体電解質として用いられ、例えば株式会社トクヤマ製アニオン型電解質膜Aシリーズなどが挙げられる。
両性触媒層4は、空気中の酸素及び電解液中の水から放電時の電気化学反応によってOHを生成する酸素還元能と、充電時の電気化学反応によってOHから酸素及び水を生成する酸素発生能の両特性を有し、特に酸素発生能に優れ、かつ電子伝導性を持つ両性触媒と、アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂の混合物からなる。
前記両性触媒としては、例えば、各種導電性金属酸化物を用いることができるが、例えばPbRu6.5、BiRu、PbIr6.5等のパイロクロア型金属酸化物が好適である。
前記両性触媒層4は、両性触媒にアニオン交換樹脂を混合した組成物を、前記アニオン交換膜3上に塗布することにより形成することができる。
酸素還元触媒層5は、空気中の酸素及び電解液中の水から放電時の電気化学反応によってOHを生成する酸素還元能に特に優れ、電子伝導性を有する触媒と、アニオン交換膜と同等の性能を持つアニオン交換樹脂の混合物からなる。前記酸素還元触媒としては、例えば、白金、白金合金などが挙げられる。
前記酸素還元触媒層5は、酸素還元触媒にアニオン交換樹脂を混合した組成物を、前記アニオン交換膜3上に形成された両性触媒層上に塗布することにより形成することができる。
前記両性触媒層4と前記酸素還元触媒層5とはアニオン交換膜側からこの順に形成され、合計平均厚みが50μm以下の層状構造を形成している。
金属負極1は、Zn粉末とOHを含むアルカリ性電解液の混合物から形成される。前記アルカリ性電解液としては、例えばKOH水溶液、NaOH水溶液などを用いることができる。
気体拡散層9は、空気中の酸素を酸素還元触媒層5及び両性触媒層4に導入できるよう多孔質体の形状とし、触媒層と集電体の間に配置されたときには導電性を持つ必要がある。このような材料としては、例えば東レ株式会社製のカーボンペーパなどが挙げられる。
本発明の作用については、以下のように考えられる。
本発明の空気二次電池の充電時の正極反応モデルを図2に示す。正極触媒層11は、アニオン交換膜3側から、両性触媒粒子を含む両性触媒層4、酸素還元触媒粒子を含む酸素還元触媒層5、及び気体拡散層9の順に配置されており、各触媒粒子の隙間にアニオン交換樹脂及び空隙を有することで、正極触媒層11内部に触媒表面−電解質−空気の三相界面を形成して良好な酸素還元反応及び酸素発生反応が実現できる構造となっている。
正極触媒層11では、電子は各触媒粒子の接触部を介して伝導し、OHは各触媒粒子の隙間に配置されたアニオン交換樹脂部を介して伝導する。正極触媒層11で充電反応を進めるときには、OHはアニオン交換膜3全体から正極触媒層11に供給され、正極触媒層内部ではアニオン交換樹脂部を介して正極側の触媒に供給される。充電時の正極の電位は充電電流に対して充分なOHを供給したときに、より低い電位で反応が進むことから、最も多くOHが供給されるアニオン交換膜3近傍に酸素発生能の高い両性触媒層4を配置することで正極の電位をより低くすることができると共に、両性触媒層4の気体拡散層9側に配置することで、高電位で劣化し易い酸素還元触媒層5を安定に使用することが可能となる。更に、両性触媒層4と、酸素還元触媒層5をアニオン交換膜3上に、この順に両性触媒層4と酸素還元触媒層5とを合計平均厚みが50μm以下となるように形成することにより、充電時に生成する酸素の放出を容易に進めることが可能となる。
−形状−
本発明の空気二次電池の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コイン型空気二次電池、ボタン型空気二次電池、シート型空気二次電池、積層型空気二次電池、円筒型空気二次電池、偏平型空気二次電池、角型空気二次電池などが挙げられる。
−用途−
本発明の空気二次電池は、繰り返し効率よく充放電可能であり、良好な放電出力を有するので、例えば、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器用途、メモリーバックアップ用電池、小型電子機器、補聴器、ハイブリッド自動車、電気自動車、分散型家庭用電源、分散型事業用電源、電力貯蔵用電池などに幅広く利用可能である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−空気二次電池の作製−
金属負極は、金属Znと7MのKOH水溶液とを質量比66:34で混合したペーストから形成した。
スペーサとして、7MのKOH水溶液を含浸したガラス繊維不織布を用いた。
アニオン交換膜として、株式会社トクヤマ製アニオン型電解質膜Aシリーズ、膜厚30μmを用いた。
アニオン交換膜上に、アニオン交換樹脂イオノマー(株式会社トクヤマ製アニオン型電解質溶液A−Solution)に、PbRu6.5(富士通株式会社製)を94質量%添加したペーストを塗布し、乾燥させて、平均厚み10μmの両性触媒層を形成した。
次に、両性触媒層上に、アニオン交換樹脂イオノマー(株式会社トクヤマ製アニオン型電解質溶液A−Solution)に、白金(Pt、Alfa Aesar社製、HiSPECTM1000)を90質量%添加したペーストを塗布し、乾燥させて、平均厚み10μmの酸素還元触媒層を形成した。
これらの材料を用い、図3に示すような、金属負極1、KOH水溶液含浸スペーサ2、両性触媒層(PbRu6.5)4、及び酸素還元触媒層(Pt)5をこの順に形成したアニオン交換膜3を配置し、実施例1の空気二次電池10を作製した。なお、図3中、6は負極ケース、7は空気孔8を有する正極ケースをそれぞれ表す。
(比較例1)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み10μmの酸素還元触媒層(Pt)及び平均厚み10μmの両性触媒層(PbRu6.5)をこの順に形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の空気二次電池を作製した。
(比較例2)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚みが20μmの酸素還元触媒層(Pt)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の空気二次電池を作製した。
(比較例3)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚みが20μmの両性触媒層(PbRu6.5)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の空気二次電池を作製した。
作製した実施例1及び比較例1〜3の空気二次電池について、以下のようにして、5mA/cm定電流25.4mAh容量規制の放電、及び5mA/cm定電流2.0VCutoffの充電による充放電サイクル試験を行った。電池容量の変化を図4に示す。
図4の結果から、両性触媒であるPbRu6.5がアニオン交換膜に接触した構成である実施例1及び比較例3は、30サイクル経過時にも良好な充放電容量を維持していたのに対して、白金(Pt)がアニオン交換膜に接触した構成である比較例1及び2は充放電サイクルに伴う容量低下が大きかった。これは、比較例1及び2は充電時に白金からなる酸素還元触媒層が劣化したために正極の性能が低下したためであると考えられる。
<充放電サイクル試験における充放電容量の測定方法>
充放電サイクル試験は、図3に示すようなコインセルを用いて行った。このコインセルの構成は以下の通りである。
・正極触媒層:直径18mmの円形、電極面積2.54cm
・負極:Zn粉末と7MのKOH水溶液を質量比(66:34)に混合したものを1g収容=負極の仕込電気量546mAh
このコインセルについて、以下の条件で放電スタートの充放電サイクル試験を行った。
・放電:正極触媒層に対して5mA/cm=セル放電電流12.7mAで定電流放電
電池電圧が0.6V以下、又は2時間経過で放電終了(2時間放電時の放電容量=25.4mAh、負極仕込量の約5%を使用)
・充電:正極触媒層に対して2.5mA/cm=セル充電電流6.35mAで定電流充電
電池電圧が2.0V以上、又は4時間経過で充電終了(4時間充電時の充電容量=25.4mAh)
本試験により得られる充放電容量は、以下に示すとおりである。
・放電容量Qd(mAh)=12.7(mA)×放電時間(h)、最大25.4mAh(最大2時間で終了)
・充電容量Qc(mAh)=6.35(mA)×充電時間(h)、最大25.4mAh(最大4時間で終了)
次に、充放電サイクル試験で良好な特性を示した実施例1及び比較例3について、以下のようにして、電池電圧1.2V動作時の出力密度を測定した。結果を図5に示す。図5の結果から、実施例1は比較例3に比べて約1.5倍の出力が得られており、本発明に基づく正極を有する空気二次電池が高性能であることが分かった。
<出力密度の測定方法>
出力密度の測定は、前記充放電サイクル試験と同等のコインセルを別途準備し、電池電圧1.2Vで定電圧放電を10分間行った時の電池電圧(V)×放電電流(mA)で算出した。
なお、実施例1において、酸素還元触媒層における白金(Pt)を、白金合金(Pt−Co、Pt−Fe、又はPt−Ni)に置換した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ空気二次電池を作製した。
作製した各空気二次電池について、実施例1と同様にして、充放電サイクル試験、及び出力密度の測定を行った。その結果、いずれの空気二次電池においても、実施例1と同等の良好な特性を示すことが確認できた。
(実施例2)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み10μmの両性触媒層(BiRu;富士通株式会社製)及び平均厚み10μmの酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の空気二次電池を作製した。
(比較例4)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚みが20μmの両性触媒層(BiRu)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の空気二次電池を作製した。
<充放電サイクル試験における充放電容量及び出力密度の測定方法>
作製した実施例2及び比較例4の空気二次電池について、実施例1及び比較例1〜2と同様にして、充放電サイクル試験を行った。結果を図6に示す。また、実施例1及び比較例3と同様にして、1.2V動作時の出力密度を測定した。結果を図7に示す。
図6の結果から、実施例2及び比較例4は、実施例1及び比較例3と同様の良好な充放電容量を有することが分かった。
図7の結果から、1.2V動作時の出力密度については、単独材料である比較例4は比較例3の1/2程度の出力であるものの、実施例2は、比較例4の2倍以上の出力改善が図れることが分かった。これは、実施例2のようにより出力の低い触媒層をPt層に置換したときの方がPt層による出力改善効果が顕著に現れるためであると考えられる。
(実施例3)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み10μmの両性触媒層(PbIr6.5;株式会社高純度化学研究所製)及び平均厚み10μmの酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の空気二次電池を作製した。
(比較例5)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚みが20μmの両性触媒層(PbIr6.5)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の空気二次電池を作製した。
<充放電サイクル試験における充放電容量及び出力密度の測定方法>
作製した実施例3及び比較例5の空気二次電池について、実施例1及び比較例1〜2と同様にして、充放電サイクル試験を行った。結果を図8に示す。また、実施例1及び比較例3と同様にして、1.2V動作時の出力密度を測定した。結果を図9に示す。
図8の結果から、実施例3及び比較例5は、実施例1〜2及び比較例3〜4と同様の良好な充放電容量を有することが分かった。
図9の結果から、1.2V動作時の出力密度については、単独材料である比較例5は、比較例3の20%アップと良好な特性を示すものの、実施例3は、比較例5の1.3倍程度の出力改善効果が得られた。これは、実施例3のようなより出力の高い触媒層をPt層に置換したときにはPt層による出力改善効果が減少するためであると考えられる。
(参考例1)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み20μmの両性触媒層(LaCoO;ペロブスカイト型金属酸化物)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、参考例1の空気二次電池を作製した。
(参考例2)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み20μmの両性触媒層(La0.5Sr0.5CoO;ペロブスカイト型金属酸化物)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、参考例2の空気二次電池を作製した。
(参考例3)
−空気二次電池の作製−
実施例1において、両性触媒層(PbRu6.5)及び酸素還元触媒層(Pt)をこの順に形成したアニオン交換膜を、平均厚み20μmの両性触媒層(Co;スピネル型金属酸化物)を形成したアニオン交換膜に代えた以外は、実施例1と同様にして、参考例3の空気二次電池を作製した。
<出力密度の測定方法>
作製した参考例1〜3について、実施例1と同様にして、出力密度を測定したところ、1.2Vで放電が不可能であり、0.8Vで放電したときの出力密度が0.1mW/cm以下と極端に低い性能となった。この原因は、ペロブスカイト型金属酸化物及びスピネル型金属酸化物の電子伝導性がパイロクロア型金属酸化物に比べて著しく低いため、電極上での電気化学反応が極めて起こりにくいことに起因すると考えられる。このため、参考例1〜3については充放電サイクル特性の評価を行わなかった。
本発明の空気二次電池は、繰り返し効率よく充放電可能であり、良好な放電出力を有するので、例えば、メモリーバックアップ用電池、小型電子機器、補聴器、ハイブリッド自動車、電気自動車、分散型家庭用電源、分散型事業用電源、電力貯蔵用電池などに幅広く用いることができる。
1 金属負極
2 スペーサ
3 アニオン交換膜
4 両性触媒層
5 酸素還元触媒層
6 負極ケース
7 正極ケース
8 空気孔
9 気体拡散層
10 空気二次電池
11 正極触媒層

Claims (10)

  1. アニオン交換膜と、
    前記アニオン交換膜の一方の側に設けられ、金属を含む負極と、
    前記アニオン交換膜を挟んで前記負極と反対側に設けられ、空気と接する正極と、
    を有し、
    前記正極が、酸素の還元に活性を示すとともに酸素の発生に活性を示す両性触媒を含む両性触媒層と、酸素の還元に活性を示す酸素還元触媒を含む酸素還元触媒層とを、前記アニオン交換膜側からこの順に有することを特徴とする空気二次電池。
  2. 両性触媒が、パイロクロア型金属酸化物である請求項1に記載の空気二次電池。
  3. パイロクロア型金属酸化物が、下記組成式1で表される請求項2に記載の空気二次電池。
    <組成式1>
    〔B2−x〕O7−y
    ただし、前記組成式1中、Aは、Pb又はBiを表す。Bは、Ru又はIrを表す。0≦x≦1、0≦y≦0.5である。
  4. パイロクロア型金属酸化物が、PbRu6.5、BiRu、及びPbIr6.5の少なくともいずれかである請求項2から3のいずれかに記載の空気二次電池。
  5. 酸素還元触媒が、白金及び白金合金の少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の空気二次電池。
  6. 両性触媒層及び酸素還元触媒層が、いずれもアニオン交換樹脂を含有する請求項1から5のいずれかに記載の空気二次電池。
  7. 両性触媒層及び酸素還元触媒層の合計平均厚みが50μm以下である請求項1から6のいずれかに記載の空気二次電池。
  8. 両性触媒層の平均厚みAと、酸素還元触媒層の平均厚みBとの比(A:B)が、1:5〜5:1である請求項1から7のいずれかに記載の空気二次電池。
  9. アニオン交換膜がOH伝導性高分子固体電解質である請求項1から8のいずれかに記載の空気二次電池。
  10. 酸素還元触媒層の正極側に、気体拡散層を有する請求項1から9のいずれかに記載の空気二次電池。
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