JPWO2012091056A1 - 血液中の標的細胞の検査方法、標的細胞検索装置、及びバイオチップ - Google Patents

血液中の標的細胞の検査方法、標的細胞検索装置、及びバイオチップ Download PDF

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Abstract

非侵襲で安全に胎児の出生前診断を迅速かつ正確に行うために,採血した母体血液中に極僅かしか存在しない胎児由来標的細胞を適宜濃縮し,又は乳幼児乃至成人の血液中に存在する異常な標的細胞を適宜濃縮し,平面プレート上やバイオチップの流路内で短時間で高精度に検索し,その位置を特定してからその標的細胞を確実に回収し,その細胞核内の染色体やDNAやRNAを正確に解析する簡易かつ効率的な血液中の標的細胞の検査方法を提供する。血液中の標的細胞の検査方法は,標的辞書作成工程、及び非標的辞書作成工程を予め行っておいてから検査対象となる血液に対して検体取得工程,検体標識工程,光学標識発現工程,焦点制御工程,カラー画像取得工程,2値化処理工程,収縮膨張工程,1次候補検索工程,2次候補検索工程,3次候補検索工程,標的細胞特定工程,標的細胞回収工程,及び標的細胞検査工程の各工程を行って血液中の標的細胞を検査する。

Description

本発明は、出生前診断を行うために、採血した血液を用いて胎児由来細胞のような特定の標的細胞を検査する方法、標的細胞検索装置、及びバイオチップに関するものである。
胎児の出生前診断として知られている羊水検査は、母体への侵襲が大きいばかりでなく、子宮や胎児を傷つけ流産や死産を招いてしまう恐れがある。
母体の血液1ml中に、胎児由来細胞、例えば有核赤血球が1個程度移行していることが知られている。そこで、非侵襲性の出生前診断としての臨床的有用性を検討するため、米国等で1995年から約5年間かけて、母体血液を用いた胎児の出生前診断に関する大規模な臨床研究(NIFTY study)が行われた。この臨床研究は、抗原抗体法を用いて標的細胞を特異的に蛍光標識してから液流に乗せて流しながらレーザー光源等で蛍光強度や標的細胞の大きさ等を高速に測定するフローサイトメトリーである蛍光活性化細胞選別法(FACS法:Fluorescence-activated cell sorting)や、細胞表面抗原と抗原抗体反応する抗体を介して磁性マイクロビーズをその標的細胞へ特異的に結合させ、磁力によって目的の細胞を回収する核磁気細胞分離法(MACS法:Magnetic-activated cell sorting)などの手法により、2744症例も実施された。
これらのFACS法やMACS法などを利用した胎児細胞分離法を行った後、得られた細胞について、そのDNAを標識した蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH法:Fluorescence in situ hybridization)でXY細胞と診断できた細胞が高々41%でしかなく、しかも偽陽性率が11%にも達するという報告がなされている。
このように、これらのFACS法、MACS法などの手法では、母体血液中から胎児由来細胞をロスなく確実に回収することは極めて困難である。
これらの問題を解決するために、特許文献1に、XYステージを設けた光学顕微鏡及びCCDカメラを用いて、試料台に置かれた標的細胞のあるスライドガラスを、標的細胞の形態的な特長すなわち核領域と細胞膜領域と細胞質領域とに分けて色、形状、位置関係及び面積比などから画像処理を施すことによって、標的細胞を効果的に探索する方法が開示されている。しかし、検体がスライドガラス上に撒かれており、母体血液の1mlに1個程度、即ち血液中の雑多な約10個の細胞中に1個程度しか存在しない胎児由来有核赤血球のような標的細胞を母体血液全血から検索して見つけ出すには、くまなく全血検査して探索しなければならず、見つけ出すまでの時間が相当必要となる。仮に探索できても胎児由来有核赤血球のような極僅かの標的細胞を分離・回収するのは容易でない。
特許文献2に、対物レンズ及び撮像装置を備えた顕微鏡と、XY移動機構を有し標的対象物含有試料の載ったスライドガラスを顕微鏡で観察可能な位置に移動できる試料台と、試料から探索された標的対象物を回収するノズルと、撮像装置で取得した標的対象物及びノズルの画像データを解析する解析部及びそれらのデータ及びその位置を記憶する記憶部を有する画像処理ユニットと、焦点合わせ及びXY面内における試料板−ノズルの相対位置を制御する制御ユニットとを含む標的対象物の自動探索回収装置が開示されている。この装置では、焦点合わせの際に、顕微鏡のZ位置を移動させながら画像を取得する処理を繰り返し、得られた複数の画像のコントラスト強度を計算して、コントラスト強度が最も高い画像を合焦画像としている。しかし、複数の画像におけるコントラスト強度の計算は演算量が多いため時間が掛かってしまい、その結果、標的対象物の検索に時間がかかってしまう。
特開2004−248619号公報 特開2005−207986号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、非侵襲で安全に胎児の出生前診断を迅速かつ正確に行うために、採血した母体血液中に極僅かしか存在しない胎児由来標的細胞を適宜濃縮し、又は乳幼児乃至成人の血液中に存在する異常な標的細胞を適宜濃縮し、平面プレート上やバイオチップの流路内で、短時間で高精度に、検索し、その位置を特定してから、その標的細胞を確実に回収し、その細胞核内の染色体やDNAやRNAを正確に解析する簡易かつ効率的な血液中の標的細胞の検査方法を提供することを第一の目的とする。さらに、その方法に用いるのに適しており、多数の血液検体を迅速に検索できる簡素で高性能な標的細胞検索装置を提供することを第二の目的とする。さらに、標的細胞の光学検索に適しており、標的細胞検索装置と組み合わせて用いることで、標的細胞を迅速かつ効率的に回収できるバイオチップを提供することを第三の目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、請求の範囲の請求項1に記載された血液中の標的細胞の検査方法は、
辞書作成用サンプルとして採血した基準となる細胞が含まれる血液中の細胞を光学標識し、その光学標識に対応した光を照射してカラー撮像し、撮像したカラー画像データから前記基準となる細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を標的辞書用画像データとして所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各標的辞書用画像データを前記基準となる細胞に対応する所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め標的辞書とする標的辞書作成工程、
前記カラー画像データの中から前記基準となる細胞以外の細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を非標的辞書用画像データとして前記所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各非標的辞書用画像データを前記所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の非標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め非標的辞書とする非標的辞書作成工程、
検査用に血液を採血し、又はその血液を濃縮して、検査すべき標的細胞が含まれている血液検体を取得する検体取得工程、
前記血液検体を、平面プレート上で膜化して固定した後、又はバイオチップの流路へ注入した前若しくは後に、前記標的細胞を前記光学標識と同様に光学標識する検体標識工程、
前記平面プレート、又は前記バイオチップの前記検体に前記光学標識に対応した光学標識発現光を照射する光学標識発現工程、
前記平面プレート、又は前記バイオチップで全反射可能な照射角度で焦点合わせ用の光を照射し、前記平面プレート、又は前記バイオチップにおける前記焦点合わせ用の光の反射位置に基づいて、前記血液検体に撮像カメラの焦点合わせをする焦点制御工程、
前記撮像カメラで前記血液検体を拡大して撮像してカラー画像データを得るカラー画像取得工程、
前記カラー撮像取得工程で撮像したカラー画像データを、前記所定色に基づいて2値化処理する2値化処理工程、
前記2値化処理した画像データを収縮膨張処理する収縮膨張処理工程、
前記収縮膨張処理した画像データの各連結画素領域にラベルを付与する1次候補検索工程、
前記ラベルのうちから前記所定画像サイズ内で近接する異なるラベルの連結画素領域同士に同一のラベルを再付与し直す2次候補検索工程、
前記2次候補検索工程後の各ラベルが示す前記連結画像領域を含む前記所定画像サイズの検査用画像データを順次切り出し、その検査用画像データと、前記標的辞書及び前記非標的辞書の各々とのベクトル距離を算出し、その両ベクトル距離を順次評価処理して、前記非標的辞書よりも前記標的辞書に所定評価値内で類似する検査用画像データを選定する3次候補検索工程、
前記選定された検査用画像データの前記連結画素領域を前記標的細胞であると判定してその位置を特定する標的細胞特定工程、
前記標的細胞を前記位置の情報に基づいて回収する標的細胞回収工程、
前記標的細胞の染色体、DNA及び/又はRNAを解析する標的細胞検査工程
を有することを特徴とする。
請求項2に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1に記載のものであり、前記標的細胞が、胎児由来有核赤血球であることを特徴とする。
請求項3に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1〜2の何れかに記載のものであり、前記検体取得工程中、比重遠心法により前記濃縮が行われ、そこから比重によって分離して前記取得することを特徴とする。
請求項4に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1〜3の何れかに記載のものであり、前記検体標識工程中、前記血液検体を平面プレート上で膜化して固定し、そこから、前記標的細胞回収工程中、前記標的細胞を前記選別しつつ、吸い出し、掻き出し、又は掬い出して、前記回収することを特徴とする。
請求項5に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1〜4の何れかに記載のものであり、前記検体標識工程中、前記バイオチップの流路に、前記血液検体を注入しつつ、前記標的細胞回収工程中、前記流路内で前記位置を特定することを特徴とする。
請求項6に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項5に記載のものであり、前記標的細胞回収工程中、前記流路から、前記選別した前記標的細胞を、前記回収する流路経路へ誘導することを特徴とする。
請求項7に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1〜6の何れかに記載のものであり、前記標的細胞検査工程中、前記染色体、DNA及び/又はRNAを、その検出すべき染色体のセントロメア又は検出すべき遺伝子配列に結合する1本鎖の相補配列と蛍光色素とが結合した診断用蛍光プローブでハイブリダイゼーション反応させて検出して、前記解析することを特徴とする。
請求項8に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項7に記載されたもので、前記診断用プローブの標識材は、蛍光、又は磁気を用いていることを特徴とする。
請求項9に記載の血液中の標的細胞の検査方法は、請求項1〜8の何れかに記載されたもので、前記標的細胞検査工程中、前記標的細胞及び/又はそれに由来する組織の懸濁液からなる試料を、流路、区画、溝、キャピラリー、ファイバー及び/又ビーズからなるバイオチップ反応場に注入し、前記試料を前記細胞の染色体、DNA及び/又はRNAに反応する標識試薬と前記反応場で反応させてから、前記標識試薬の標識を、検出することを特徴とする。
請求項10に記載の標的細胞検索装置は、
辞書作成用サンプルとして採血した基準となる細胞が含まれる血液中の細胞を光学標識し、その光学標識に対応した光を照射してカラー撮像し、撮像したカラー画像データから前記基準となる細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を標的辞書用画像データとして所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各標的辞書用画像データを前記基準となる細胞に対応する所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底が標的辞書として予め記憶されている標的辞書記憶部と、
前記カラー画像データの中から前記基準となる細胞以外の細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を非標的辞書用画像データとして前記所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各非標的辞書用画像データを前記所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の非標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底が非標的辞書として予め記憶されている非標的辞書記憶部と、
検査用に血液が採血され又はその血液が濃縮され、検査すべき標的細胞が光学標識されている血液検体が、載せられた平面プレート、又は前記血液検体が注入されている流路を有するバイオチップを、保持可能であると共に、XYZ軸方向に移動制御可能なXYZステージと、
前記XYZステージで保持された前記平面プレート、又は前記バイオチップの前記血液検体を拡大してそのカラー画像を撮像可能な撮像カメラと、
前記光学標識に対応した光学標識発現光を前記平面プレート、又は前記バイオチップに照射する撮像用光源と、
前記平面プレート、又は前記バイオチップで全反射可能な照射角度で焦点制御用の光を照射する焦点制御用光源と、
前記平面プレート、又は前記バイオチップにおける前記焦点制御用の光の反射位置を検出する反射光検出器と、
前記反射光検出器の検出する前記反射位置に基づいて、前記XYZステージをZ軸方向に移動させて前記血液検体に前記撮像カメラの焦点合わせをする焦点制御手段と、
前記XYZステージをXY軸方向に移動させて前記撮像カメラの撮像位置を制御する撮像位置制御手段と、
前記撮像カメラに撮像させて前記血液検体のカラー画像データを取得するカラー画像取得手段と、
前記カラー画像データを前記所定色に基づいて2値化処理する2値化処理手段と、
前記2値化処理した画像データを収縮膨張処理する収縮膨張処理手段と、
前記収縮膨張処理した画像データの各連結画素領域に対応するラベルを付与する1次候補検索手段と、
前記ラベル記憶部に記憶されたラベルのうちから前記所定画像サイズ内で近接する異なるラベルの連結画素領域同士に同一のラベルを再付与し直す2次候補検索手段と、
前記2次候補検索工程後の各ラベルが示す前記連結画像領域を含む前記所定画像サイズの検査用画像データを順次切り出し、その検査用画像データと、前記標的辞書及び前記非標的辞書の各々とのベクトル距離を算出し、その両ベクトル距離を順次評価処理して、前記非標的辞書よりも前記標的辞書に所定評価値内で類似する検査用画像データを選定するする3次候補検索手段と、
前記選定された検査用画像データの前記連結画素領域が前記標的細胞であると判定してその位置を特定する標的細胞特定手段とを、
備えることを特徴とする。
請求項11に記載の標的細胞検索装置は、請求項10に記載されたもので、前記3次候補検索手段が、前記検査用画像データを切り出す位置を1画素ずつずらして前記所定画像サイズで複数回切り出して、そのずらして切り出した各々の前記検査用画像データごとに前記評価処理を行うことを特徴とする。
請求項12に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜11の何れかに記載のもので、前記標的細胞特定手段が、前記3次候補検索手段で選定された前記検査用画像データの前記連結画像領域の大きさ、及び/又は真円度が所定規定値内である前記連結画像領域を前記標的細胞であると判定してその標的細胞の位置を特定することを特徴とする。
請求項13に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜12の何れかに記載されたもので、前記焦点制御用光源が前記撮像用光源として兼用されていることを特徴とする。
請求項14に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜13の何れかに記載されたもので、前記標的細胞特定手段で前記標的細胞であると特定された前記検査用画像データと、前記標的辞書の作成に用いられた複数の前記標的用2値化画像データとを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を前記標的辞書として前記標的辞書記憶部に更新して記憶させる標的辞書学習手段をさらに備えることを特徴とする。
請求項15に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜14の何れかに記載されたもので、3次候補検索手段で前記選定されなかった前記検査用画像データ、又は前記標的細胞特定手段で前記標的細胞であると判定されなかった前記検査用画像データと、前記非標的辞書の作成に用いられた複数の前記非標的用2値化画像データとを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を非標的辞書として前記非標的辞書記憶部に更新して記憶させる非標的辞書学習手段をさらに備えることを特徴とする。
請求項16に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜15の何れかに記載されたもので、さらにディスプレイを備え、前記標的細胞特定手段が位置を特定した前記標的細胞の前記類似度、前記検査用画像データの画像、前記検査用画像データと同範囲で切り出した前記カラー画像データの画像、及びカラー画像データ全体の画像の中から選ばれる少なくとも1つを前記ディスプレイに表示可能であることを特徴とする。
請求項17に記載の標的細胞検索装置は、請求項10〜16の何れかに記載されたもので、前記標的細胞特定後の前記平面プレート、及び特定前の前記平面プレートを各々複数枚収容することが可能なストッカと、このストッカと前記XYZステージとの間で前記平面プレートを搬送する搬送機構とをさらに有することを特徴とする。
請求項18に記載のバイオチップは、検査用に採血した血液とそれを濃縮した血液との何れかの血液検体が注入される流路を有するバイオチップであって、
前記流路は、前記血液検体中の検査すべき光学標識された標的細胞が通過可能であると共に前記標的細胞よりも大きな細胞が通過不可である隙間を有する標的細胞通過フィルターと、この標的細胞通過フィルターよりも下流に配されて前記標的細胞を前記バイオチップの外界から光学観察可能な光学観測用窓部と、この光学観測用窓部よりも下流で前記流路から分岐する前記標的細胞の回収用分岐路と、この回収用分岐路の分岐部分に配されて前記標的細胞を前記回収用分岐路に誘導するための弁とを備えることを特徴とする。
請求項19に記載のバイオチップは、請求項18に記載されたもので、前記標的細胞通過フィルターが前記流路に複数配されていることを特徴とする。
請求項20に記載のバイオチップは、請求項18〜19の何れかに記載されたもので、前記弁が、熱的に制御可能な熱制御弁、電気的に制御可能な電気制御弁、又は磁気的に制御可能な磁気制御弁であることを特徴とする。
請求項21に記載のバイオチップは、請求項18〜20の何れかに記載されたもので、前記光学観測窓部における前記流路が、前記標的細胞が重なり合うことなくその流路に沿って1列で通過可能な流路幅で形成されていることを特徴とする。
請求項22に記載のバイオチップは、請求項18〜21の何れかに記載されたもので、前記光学観測窓部よりも上流の前記流路に、前記標的細胞を光学標識する光学標識用薬液を外界から注入するための薬液注入路が合流していることを特徴とする。
本発明の血液中の標的細胞の検査方法によれば、非侵襲であって母体・胎児に対して安全であり、検査を行う所為で流産や死産を誘発することがなく、胎児の出生前診断を迅速かつ正確に行うことができる。この検査方法は、採血した母体血液中に極僅かしか存在しない胎児由来標的細胞を遠心分離等で適宜濃縮し一検体当たりの容量を少なくして効率化を図ったものである。またこの検査方法によれば、出生後の乳幼児のような子供から成人までの老若を問わずその血液中に存在する異常な標的細胞の有無などの診断を迅速かつ正確に行うことができる。
この検査方法は、その母体血液から適宜濃縮した胎児由来標的細胞や乳幼児乃至成人の血液から適宜濃縮した異常な標的細胞を、平面プレート上やバイオチップの流路内で、短時間で高精度に、瞬時に検索して、その位置を光学的に測定して特定してから、その僅かな標的細胞を確実に捕捉して回収できるので、信頼性が高いものである。
しかも、その細胞核内の染色体やDNAやRNA等の遺伝子を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等により増幅したり、増幅せずに核細胞へのFISH法の操作を行ったりして、特異的な蛍光プローブで光学的に又は磁気プローブで磁気的に検出し、染色体診断・DNA診断をして、正確に解析して高信頼性の遺伝子診断をすることができるので、簡易かつ効率的に、胎児の出生前の高度な医療診断、乳幼児乃至成人の血液成分検査による精密で高度な医療診断に資する。
さらに、本発明の血液中の標的細胞の検査方法、及び標的細胞検索装置によれば、標的細胞の基準となる細胞の画像を主成分分析して標的辞書を作成し、それ以外の細胞の画像を主成分分析して非標的辞書を作成しておいて、検査用に採血した血液の画像と、これら辞書及び検査用画像とのベクトル距離を計算し、辞書との類似度を評価するという僅かな計算量で標的細胞を検索できるので、高速で高効率な検索が可能である。しかも、カラー画像自体を画像処理して検索するのではなく、標的細胞に対応する所定色でカラー画像を2値化し、この2値化画像を画像処理して検索を行うので、カラー画像での画像処理よりも演算量が少なくなり一層高速な検索が可能である。また、焦点制御用の光を平面プレート等に全反射させ、その反射位置に基づき焦点合わせを行うことで、画像のコントラスト強度を演算する場合より、演算量が遥かに少なく高速に焦点合わせを行えるので、高速な検索が可能になる。また、撮像用の光を焦点制御用の光に兼用させる場合、簡便な構成とすることができる。
また、本発明の標的細胞検索装置は、血液検体を迅速に処理して高速で高効率に標的細胞を検索できるので、標的細胞を分離して確実に捕捉して回収し、またそれの細胞核内の染色体やDNAやRNA等の遺伝子を、正確に解析して高信頼性の遺伝子診断を行う非侵襲の診断システム用に適した簡素で高性能な標的細胞検索装置である。
また、本発明のバイオチップは、血液やそれの濃縮成分・分離成分のような血液検体中から標的細胞を検索するのに適しており、検索した標的細胞を直ちに分離回収し得るものである。
本発明を適用する血液中の標的細胞の検査方法を示すフローチャートである。 標的辞書作成工程における主成分分析を詳細に説明するフローチャートである。 本発明を適用する標的細胞検索装置のブロック図である。 図3中の撮像部の概要を示す側面図(a)、及びその変形例を示す側面図(b)である。 図4の撮像部の焦点合わせの動作の概要を説明する概要図である。 図1中の3次候補検索工程を詳細に説明するフローチャートである。 本発明を適用する他の標的細胞検索装置における撮像部の概要を示す側面図である。 本発明を適用するバイオチップの模式的な平面図(a)、標的細胞通過フィルター72の拡大平面図(b)、光学観察窓部73の拡大平面図(c)、光学観察窓部73における流路76の拡大側面断面図(d)である。 本発明を適用するバイオチップの張り合わせ法を模式的に示す側面図である。 染色後の標的細胞画像(a)、赤血球画像(b)、白血球画像(c)である。 FISH後の正常細胞画像例(a)、21番染色体トリソミー細胞蛍光観察画像(b)である。 本発明を適用する染色体検査及び遺伝子検査用バイオチップの模式的な平面図である。 本発明を適用する染色体検査及び遺伝子検査用バイオチップでの染色後細胞観察画像(a)とFISH後蛍光観察画像(b)である。 本発明を適用する染色体検査及び遺伝子検査用バイオチップでの遺伝子検査用DNAマイクロアレイ蛍光観察画像を示しており、夫々正常細胞DNAマイクロアレイ結果(a)と21トリソミー細胞DNAマイクロアレイ結果(b)とを示している。 標的辞書用画像データとして切り出したカラー画像例(a)、非標的辞書用画像データとして切り出したカラー画像例(b)である。 濃縮した血液検体を撮像したカラー画像(a)、2値化処理後の2値化画像(b)、収縮膨張処理後の2値化画像(c)である。
1は標的細胞検索装置、2は撮像部、3は処理部、4はディスプレイ、5はストッカ、6は搬送機構、8は平面プレート、9は標的辞書作成手段、10は非標的辞書作成手段、11はXYZステージ、12はレーザー光源、13は焦点用カメラ、14は撮像用光源、15は撮像カメラ、16は拡大レンズ、21は画像取得手段、22は焦点制御手段、23は撮像位置制御手段、24は搬送制御手段、31は標的辞書記憶部、32は非標的辞書記憶部、41は検索用記憶部、42は2値化処理手段、43は収縮膨張処理手段、44は1次候補検索手段、45は2次候補検索手段、46は3次候補検索手段、47は標的細胞特定手段、51は標的辞書学習手段、52は非標的辞書学習手段、55は観察画像、56は規定位置、61は検体用容器、62は制御弁、63は加圧ポンプ、64は三方開閉制御弁、65は回収用容器、66は廃棄用容器、67は一方の出力管、68は他方の出力管、70・75はバイオチップ、71・76は流路、72は標的細胞通過フィルター、73は光学観察窓部、77は廃棄路、78は回収用分岐路、79は開閉制御弁、80は薬液注入路、82は隙間、85は制御用電極、86はベース板材、87はカバー板材、91は標的細胞、92は非標的細胞、101は液流路、102は開閉制御弁、103はFISHチャンバー、104は細胞固定化フィルター、105はPCRチャンバー、106はDNAマイクロアレイチャンバー、L1・L2は幅、Leは焦点制御用のレーザー光、Le´は反射光、Lは光学標識発現光、θは角度、S1は標的辞書作成工程、S2は非標的辞書作成工程、S11は検体取得工程、S12は検体標識工程、S13は光学標識発現工程、S14は焦点制御工程、S15はカラー画像取得工程、S16は2値化処理工程、S17は収縮膨張工程、S18は1次候補検索工程、S19は2次候補検索工程、S20は3次候補検索工程、S21は標的細胞特定工程、S22はステップ、S23は標的細胞回収工程、S24は標的細胞検査工程、S22・S31〜S35・S41〜S50はフローチャートにおけるステップである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明を適用する血液中の標的細胞の検査方法は、図1の標的辞書作成工程S1、及び非標的辞書作成工程S2を予め行っておく。その後、検査対象となる採血した血液に対して、同図の検体取得工程S11、検体標識工程S12を行って濃縮血液検体中の標的細胞を光学標識し、光学標識発現工程S13、焦点制御工程S14、カラー画像取得工程S15、2値化処理工程S16、収縮膨張工程S17、1次候補検索工程S18、2次候補検索工程S19、3次候補検索工程S20、標的細胞特定工程S21を行って標的細胞の位置を特定し、標的細胞回収工程S23、標的細胞検査工程S24を行って血液中の標的細胞を検査する。なお、平面プレートに濃縮血液検体を固定した場合、1度に撮像できる領域が平面プレートよりも狭いので、平面プレートの撮像領域を移動させて光学標識発現工程S13〜標的細胞特定工程S21までの処理を繰り返し行い、平面プレート全体についての標的細胞の探索を行う(ステップS22)。平面プレートの濃縮血液検体を1度で撮像できる場合には、ステップS22の繰り返しは不要である。
以下では、検査すべき血液中の標的細胞が胎児由来有核赤血球(NRBC)である場合について詳細に説明するが、標的細胞はこれに限られず、未分化なNRBCのみならず非有核赤血球に限定されず、様々な血中細胞としてもよく、具体的には白血球、血小板などを検査対象としてもよい。例えば、NRBC以外の赤血球として、形態異常の赤血球、例えばマラリアに感染した患者の赤血球、鎌状赤血球(鎌状赤血球症)をはじめ、大赤血球(ビタミンB12欠乏症など)、小赤血球・低色素性(鉄欠乏症など)、球状赤血球(遺伝子性球状赤血球症など)、楕円赤血球(遺伝子性楕円赤血球症など)、口腔赤血球(溶血性貧血など)、涙滴状赤血球(骨髄線維症など)、標的赤血球(サラセミア)、有赫赤血球(先天性無β-リポプロテイン血症など)、三日月状赤血球(播種性血管内凝固など)のような、非有核赤血球を検査対象としてもよい。
標的辞書作成工程S1では、辞書作成用サンプルとして採血した基準となるNRBCが含まれる母体血液中の細胞を光学標識し、その光学標識に対応した光を照射してカラー撮像してカラー画像データを得る。このようなカラー画像データは、後述する検体取得工程S11〜カラー画像取得工程S15までと同様に行うことで得ることができる。撮像したカラー画像データ中からオペレータが画像を見ながらNRBCを複数個分選別し、選別した各細胞領域を所定画像サイズで標的辞書用画像データとして各々切り出す。この所定画像サイズは、NRBCがちょうど1つ切り出せる(含まれる)程度の画像の大きさであり、撮像倍率により適宜調整する。一例として、所定画像サイズは52画素×52画素の大きさである。切り出した各々の標的辞書用画像データを基準となるNRBCに対応する所定色に基づいて2値化処理する。このような2値化処理は、後述する2値化処理工程S16と同様に行う。得られた複数個分の標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め標的辞書とする。
図2に、主成分分析のフローチャートを示す。先ず、ステップS31で、複数(n個)のNRBCの各標的用2値化画像データD(p、q)を各々ベクトル化する。ここで、pは画素のX座標、qは画素のY座標を表し、例えば、標的用2値化画像データD(p、q)が52画素×52画素の場合、p、qは各々1〜52の値を取る。p、qの最大値をP,Qとすると、標的用2値化画像データD(p、q)はP行Q列の行列であるので、これをP×Q次元の1列の行列である標的辞書用ベクトルDv(m)で表すことができる。ここでmは、1〜P×Qの整数値であり、52画素×52画素の場合、1〜2704になる。
例えば、Dv(1)=D(1,1)、Dv(2)=D(1,2)、Dv(3)=D(1,3)・・・Dv(m)=D(P,Q)のようにベクトル化する。このような標的辞書用ベクトルがn個あるので、各ベクトルをDv1、Dv2・・・Dvnで表す。
次に、ステップS32で、辞書用ベクトルDv1、Dv2・・・Dvnの平均ベクトルを下記(1)式で算出する。
次にステップS33で、平均ベクトルとの共分散行列Cpを下記(2)式で算出する。
次に、ステップS34で、共分散行列Cpを固有値分解する。続いて、ステップS35で、固有値の値の大きい上位から複数個(例えば40個)の固有値に対する固有ベクトルを求める。固有値の個数は、90%以上を表現できる個数とすることが好ましい。これらの固有ベクトルを並べた行列は、正規直交基底であり、これが標的辞書Bになる。
後述する標的細胞検索装置1(図3参照)では、標的辞書作成手段9が上記のようにして標的辞書Bを作成して、標的辞書記憶部31に記憶させる。
非標的辞書作成工程S2では、標的辞書作成工程S1で使用したカラー画像データ、又は同様にして得られたカラー画像データの中から基準となるNRBC以外の細胞を、オペレータが画像を見ながら複数個分選別し、選別したその各細胞領域を所定画像サイズで非標的辞書用画像データとして切り出す。切り出した各非標的辞書用画像データを所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の非標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め非標的辞書Cとする。
非標的辞書を作成する際に、NRBC以外の細胞として、好中球などの白血球の他、NRBCではない赤芽球等の細胞を選択することが好ましい。
非標的辞書作成工程S2中の画像の切り出し方法、2値化処理や主成分分析の方法などは、対象とする細胞が異なるだけで、標的辞書作成工程S1と同様に行うことができるので、詳細な説明を省略する。後述する標的細胞検索装置1(図3参照)では、非標的辞書作成手段10が上記のようにして非標的辞書Cを作成して、非標的辞書記憶部32に記憶させる。また、標的辞書B及び非標的辞書Cは、標的細胞検索装置1で作成してもよいし、例えば、標的細胞検索装置1の製造メーカーが予め作成しておいて、それを装置とは別にデータで販売してもよい。
図1に戻って、検体取得工程S11から説明する。
検体取得工程S11では、検査用に採血した母体血液を遠心分離等により所望の成分に濃縮して、検査すべき胎児由来の標的細胞が含まれている濃縮血液検体を取得する。例えば、赤血球や白血球よりも比重が大小の2種で互いに難混和性懸濁液である比重調整液、具体的にはポリビニルピロリドン被覆シリカゲル微細粉末懸濁液であるパーコール液(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)と共に母体血液を遠沈管に入れて、遠心分離する。より具体的には、ヘパリン採血した母体血液を、比重の異なる2層のパーコール液を入れた遠沈管に注入し、それを遠心分離器で高速回転させて比重の違いから遠心分離させ、比重に応じて複数層に分かれた母体血液中からNRBCの含まれる赤血球及び白血球含有層をピペットで採取して濃縮血液検体を取得する。複数の遠沈管を用いて同時に遠心分離することで、異なる母体血液から濃縮血液検体を並列的に高速に採取してもよい。このような比重調整液を用いた比重遠心分離法の他に、ナイロンウール法、糖鎖レクチンを用いたレクチン法、多孔質フィルターによる白血球及びNRBC捕捉法、遠心による血漿除去法、脱水法、限外濾過法、血液吸着法など公知の種々の方法によって濃縮血液検体を採取してもよい。
検体標識工程S12では、濃縮血液検体を、平面プレート8(図3参照)上で膜化して固定した後、標的細胞全体を光学標識する。平面プレート8は、例えばスライドグラスなどの光学顕微鏡観察に適した試料台である。光学標識としては、一例として、ギムザ染色やヘマトキシリン染色やライト染色のような蛍光・染色標識;抗CD71抗体、抗CD36抗体、抗glycophorin A抗体のような抗体を用いたもので、緑色蛍光色素であるフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識モノクローナル抗体、オレンジ色蛍光色素であるフィコエリスリン(PE)標識モノクローナル抗体、テキサスレッド標識モノクローナル抗体、アロフィコシアニン標識モノクローナル抗体のような標識蛍光色素を用いた蛍光標識が挙げられる。NRBCを蛍光標識する場合、検体取得工程S11で得られた濃縮血液検体を平面プレート8上に滴下して、均一に広げて乾燥させ、ギムザ染色液などの蛍光染色液につけて乾燥させる。
このように細胞の全体を染色することによって光学標識した平面プレート8に対して、光学標識発現工程S13〜標的細胞特定工程S21を繰り返し行って、画像処理により標的細胞の位置を特定するが、先ずこれら工程S13〜S21を行うに適している本発明の標的細胞検索装置1の構成について説明を行ってから、工程S13〜S21について説明する。
図3に示すように、標的細胞検索装置1は、一例として、撮像部2、処理部3、ディスプレイ4、ストッカ5、及び搬送機構6を備えている。
撮像部2は、処理部3に制御されて動作して、濃縮血液検体を拡大したカラー画像を撮像するものであり、XYZステージ11、撮像カメラ15、撮像用光源14、レーザー光源12、及び焦点用カメラ13を備えている。この撮像部2の側面図を図4(a)に示す。
同図に示すように、XYZステージ11は、平面プレート8を位置決めして保持可能であると共に、XYZ軸方向に移動制御可能なものである。XYZステージ11は、平端な台であり、その上部(図の上側)に平面プレート8が載置され、位置決め機構(図示せず)で平面プレート8を位置決め固定する。また、XYZステージ11は、XYZ移動機構(図示せず)を有し、処理部3の撮像位置制御手段23(図3参照)に接続され、X軸方向(図の左右方向)及びY軸方向(図の表面裏面方向)の動きを制御され、処理部3の焦点制御手段22(図3参照)に接続され、Z軸方向(図の上下方向)の動きを制御される。このようなXYZステージ11は、公知のものを採用することができる。
撮像カメラ15は、一例として、カラーCCDカメラであり、その撮像方向に光学顕微鏡などの拡大レンズ16を有している。この撮像カメラ15は、XYZステージ11に保持された平面プレート8に対向する位置に配置されていて、平面プレート8上の濃縮血液検体中に含まれる標的細胞を識別可能な倍率で拡大して、そのカラー画像を撮像する。
撮像用光源14は、撮像用の光を平面プレート8に照射するものであり、濃縮血液検体の光学標識に対応して、光学標識を発現させる波長の光学標識発現光Lを照射する。例えば、光学標識が蛍光標識である場合、光学標識発現光Lは蛍光物質を励起可能な波長の光である。この場合、撮像用光源14として蛍光物質に対応した紫外や近紫外などの特定波長を発振する発光ダイオードが用いられる。また、光学標識が視認可能な染色標識である場合、光学標識発現光Lは可視光である。この場合、撮像用光源14として白色発光ダイオードやハロゲンランプなどが用いられる。
撮像用光源14は、図4(a)に示すように平面プレート8に対して撮像カメラ15と同じ側に配置する構成(落射照明の構成)としてもよいし、図4(b)に示すように平面プレート8に対して撮像カメラ15と反対側に配置する構成(透過照明の構成)としてもよい。図4(a)の落射照明の場合、撮像カメラ15は濃縮血液検体の反射光を撮像し、図4(b)の透過照明の場合、撮像カメラ15は濃縮血液検体の透過光を撮像する。透過照明の場合には、XYZステージ11には、光学標識発現光Lの照射を妨げないように平面プレート8の縁部分を保持させる。標的細胞検索装置1は、撮像用光源14として、落射照明及び透過照明の両照明を有していて、いずれかを選択可能であることが好ましい。いずれの照明で撮像するかは、光学標識の発色具合、鮮明度などに基づき適宜選択する。
レーザー光源12は、焦点制御用の光を照射する焦点制御用光源である。このレーザー光源12は、XYZステージ11上の平面プレート8に対して角度θでレーザー光Leを照射する位置に配置されている。この角度θは、レーザー光Leが平面プレート8で全反射する角度である。
焦点用カメラ13は、本発明における反射光検出器に相当し、例えばモノクロCCDカメラである。この焦点用カメラ13は、同図に示すように、平面プレート8で反射したレーザー光Leの反射光Le´を検出可能となるように、平面プレート8に対して撮像方向を角度θで傾斜させてレーザー光源12に対向する位置に配置されている。
図3に戻って説明すると、標的細胞検索装置1の処理部3は、標的細胞検索装置1の動作を統括的に制御するものであり、図示しないが、各種演算や処理を行う中央処理装置(CPU)、ROM、RAM、ハードディスク、入出力インタフェースなどを有する1台又は複数台のコンピュータ、及びその動作用プログラムで構成されている。以下の各手段は、このコンピュータ及び動作用プログラムによって協働して実現されている。
処理部3は、標的辞書作成手段9、非標的辞書作成手段10、画像取得手段21、焦点制御手段22、撮像位置制御手段23、搬送制御手段24、標的辞書記憶部31、非標的辞書記憶部32、検索用記憶部41、2値化処理手段42、収縮膨張処理手段43、1次候補検索手段44、2次候補検索手段45、3次候補検索手段46、標的細胞特定手段47、標的辞書学習手段51、及び非標的辞書学習手段52を有している。各記憶部31,32,41は、一例としてハードディスクである。
ストッカ5は、標的細胞の検索前、及び検索後の平面プレート8を、複数枚(例えば80枚)収容して、各平面プレート8の出し入れが制御可能なものである。搬送機構6は、ストッカ5と撮像部2との間で、平面プレート8を搬送する。
検査方法に戻って説明を続けると、検体標識工程S12で検体標識した複数の平面プレート8を、オペレータがストッカ5に収容する。標的細胞検索装置1を作動させると、その搬送制御手段24がストッカ5及び搬送機構6を制御して、ストッカ5から1枚の平面プレート8をXYZステージ11にセットする。また、撮像位置制御手段23が、平面プレート8の所定の撮像位置が撮像カメラ15の撮像領域に入るように、XYZステージ11を制御する。
光学標識発現工程S13では、画像取得手段21が撮像用光源14に光学標識発現光Lを照射させる。これにより、濃縮血液検体の蛍光標識が励起されて、その細胞核が蛍光発色する。
焦点制御工程S14では、焦点制御手段22がレーザー光源12にレーザー光Le(図4参照)を照射させる。焦点制御手段22が、焦点用カメラ13から撮像画像を取得し、平面プレート8で反射したレーザー光Leの反射光Le´の反射位置に基づいて、XYZステージ11をZ軸方向に移動させて、平面プレート8と拡大レンズ16との距離を制御することで、濃縮血液検体に撮像カメラ15(拡大レンズ16)の焦点合わせを行う。
図5に、焦点用カメラ13の観察画像55を示す。焦点用カメラ13は、平面プレート8上の反射光Le´の反射位置を観察している。拡大レンズ16と平面プレート8(図4参照)との距離が、拡大レンズ16の焦点がちょうど平面プレート8に合う距離で、図5(b)に示すように、反射光Le´が観察画像55の画面中央の規定位置56に一致して観察されるように、焦点用カメラ13の撮像領域を予め調整しておく。このようにしておくと、平面プレート8が拡大レンズに14に近いときには、図5(a)に示すように、反射光Le´の反射位置がずれるので、規定位置56から一例として観察画像55中の左側にずれて観察される。逆に遠いときには、図5(c)に示すように、反射光Le´の反射位置が規定位置56から右側にずれて観察される。焦点制御手段22は、反射光Le´が規定位置56にちょうど重なって観察されるようにXYZステージ11をZ軸方向に移動させることで、焦点合わせが行われる。
このように焦点合わせを行うと、反射光Le´が規定位置56に合うようにXYZステージ11を移動させるだけなので、例えば、XYZステージ11をZ軸方向に徐々に移動させながら撮像カメラ15の撮像した画像のコントラストを演算し、コントラストが最も高くなる位置を見つけ出すように制御する場合よりも、遥かに演算量が少ないので、高速に焦点合わせを行うことができる。
カラー画像取得工程S15では、カラー画像取得手段21が撮像カメラ15に撮像させて、カラー画像データX(i,j)を取得し、平面プレート8におけるX,Y情報(位置情報)と共に、検索用記憶部41に記憶させる。撮像カメラ15が一度に撮像できる平面プレート8の領域は通常狭い領域であるので、撮像したカラー画像データX(i,j)は平面プレート8の一部の画像データになる。ここで、iは画像データにおけるX軸方向の位置、jはY軸方向の位置を示し、例えばカラー画像データX(i,j)が2000画素×1000画素のサイズであれば、iは1〜2000の整数値、jは1〜1000の整数値である。平面プレート8はXYZステージ11に位置決めされているので、得られたカラー画像データX(i,j)中の位置i,jを特定し、撮像したカラー画像データX(i,j)の平面プレート8における位置を参照することで、平面プレート8における位置の特定が可能である。
2値化処理工程S16では、2値化処理手段42が、検索用記憶部41に記憶されたカラー画像データX(i,j)を読み出して、基準となる細胞に対応する所定色に基づいて2値化処理して、検索用記憶部41に記憶させる。この所定色とは、この場合、標的とするNRBCの蛍光標識された細胞核の色であり、予め、サンプルから得られた基準となる複数のNRBCの色を平均化して求めている。ここでは、演算に用いるために、この所定色の赤色(R)成分、緑色(G)成分、青色(B)成分は、各々の色の階調の最大値(例えば、8ビット階調の場合255)で除算することで、最大値を1とするように、正規化されている。正規化された所定色のR成分をXr、G成分をXg、B成分をXbとする。このXr,Xg,Xbは検索用記憶部41に予め記憶させておく。
2値化処理は、2値化処理手段42がカラー画像データX(i,j)の各画素のRGB成分を、各々色の階調の最大値で正規化してから、画素ごとに下記(3)式を算出する。ここで正規化後の画素のR成分をr、G成分をg、B成分をbとする。
C>0.99となった画素、つまり所定色に近似する色の画素を例えば1とし、それ以外の画素を例えば0として全ての画素について2値化する。2値化処理手段42は、2値化した2値化画像データIR(i、j)を、カラー画像データX(i,j)とは別に検索用記憶部41に記憶させる。
このようにNRBC細胞核の色情報に基づいて2値化処理すると、カラー画像よりもデータ量が少なくなるため、以下の各工程で高速に検索することができる。
収縮膨張工程S17では、収縮膨張処理手段43が、検索用記憶部41から2値化画像データIR(i、j)を読み込んで、注目画素の周囲を取り囲む8画素の中に0が有ればその注目画素を0とする収縮処理を全画素について処理後、注目画素の周囲を取り囲む8画素の中に1が有れば注目画素を1とする膨張処理を全画素について行い、その処理結果で2値化画素データIR(i,j)を置き換えて、検索用記憶部41に記憶させる。収縮膨張処理により、ノイズが除去される。収縮膨張処理は、必要に応じて複数回行ってもよい。
1次候補検索工程S18では、1次候補検索手段44が、2値化画像データIR(i,j)の中で、1である画素が隣接し合って塊となっている連結画素領域に対して、各連結画素領域を識別できるようにラベルを付与するラベリング処理を行い、付与したラベルをその連結画素領域に対応付けて、検索用記憶部41に記憶させる。なお、ラベリング処理は公知の方法で行うことができる。
2次候補検索工程S19では、2次候補検索手段45が、検索用記憶部41に記憶されたラベルを読み込んで、所定画像サイズ内で近接する異なるラベルの連結画素領域同士に同一のラベルを再付与し直して検索用記憶部41に記憶させる。つまり、次の3次候補検索工程S20で検査用画像データを切り出す際に、所定画像サイズ内に入って同時に切り出せる異なるラベルの連結画素領域に対して、同一のラベルを再付与する。この所定画像サイズは、標的辞書Bや非標的辞書Cを作成する際の標的辞書用画像データや非標的辞書用画像データと同じ画像サイズである。例えば、切り出す所定画像サイズが52画素×52画素である場合、異なる連結画素領域がこの52画素×52画素内に入っているときには、同一のラベルを再付与する。
このように近接する連結画素領域に同一のラベルを付与することで、次の3次候補検索工程S20で処理する計算量が少なくなるので、高速に検索することができる。
また、2次候補検索手段45は、同一のラベルの連結画素領域のX座標、Y座標を平均化して、その連結画素領域の重心座標Lx,Lyを求め、そのラベルに対応付けて、検索用記憶部41に記憶させる。
3次候補検索工程S20では、3次候補検索手段46が、2次候補検索工程後の各ラベルが示す連結画像領域を含む所定画像サイズの検査用画像データを順次切り出し、その検査用画像データと、標的辞書B及び非標的辞書Cの各々とのベクトル距離を算出し、その両ベクトル距離を順次評価処理して、非標的辞書よりも標的辞書に所定評価値内で類似する検査用画像データを選定する。この3次候補検索工程S20を図6のフローチャートに沿って詳細に説明する。
先ずステップS41で、3次候補検索手段46が、検索用記憶部41から1つのラベルの重心座標Lx,Lyを読み込んで、所定画像サイズの検査用画像データの切り出し位置を決定する。標的細胞が歪んでいる場合には、重心が偏るため、重心座標Lx,Lyを中心として検査用画像データを切り出したときに、標的細胞が偏って切り出されてしまい、検査用画像データからはみ出してしまう場合がある。そのため、重心座標Lx,Lyを中心座標として検査用画像データを切り出して評価するだけでなく、切り出す中心座標を重心座標Lx,Lyから1画素ずつずらして検査用画像データを切り出して評価処理を行うことが好ましい。画素をずらす最大の範囲は、所定画像サイズの縦や横の1/8〜1/20の範囲程度とすることが好ましい。ここでは、一例として、重心座標Lx,Lyから±4画素までずらして評価するものとする。この場合、1つのラベルについて、計81回切り出して評価処理を行うことになる。このように1画素ずつずらして探索を行うと、標的細胞を高精度に検索することができる。なお、標的細胞の形状に歪みが無い場合や、検査用画像データから標的細胞がはみ出さないように切り出せる場合には、1画素ずつずらす処理は行わなくてもよい。
このように1画素ずつずらして検査用画像データを切り出すために、ステップS41では、3次候補検索手段46が、重心座標Lx,Lyから±4画素の範囲内の切り出す中心座標を順番に1つ指定する。
次にステップS42で、3次候補検索手段46が、ステップS41で指定された座標を中心とする所定画像サイズ(52画素×52画素)の検査用画像データK(p、q)を、2値化画像データIR(i,j)から切り出して検索用記憶部41から読み込む。ここで、pはX軸方向の画素を表し、qはY軸方向の画素を表す。所定画像サイズが52画素×52画素の場合、p、qは、1〜52の整数値である。
3次候補検索手段46は、この検査用画像データK(p、q)をベクトル化する。すなわち、P×Q次元の検査用ベクトルA、つまり1列の行列A(m)で表現する。このベクトル化は、標的辞書作成工程S1で行ったベクトル化と同様に行う。
例えば、検査用ベクトルA(m)は、A(1)がK(1,1)、A(2)がK(1,2)、・・・A(m)がK(P,Q)のように、検査用画像データK(p、q)が52画素×52画素の場合、その2704個の画素値を順に並べた1列の行列である。
ステップS43で、3次候補検索手段46は、検査用ベクトルA(m)の各要素(各画素)の加算平均値hを下記(4)式で算出する。
ステップS44で、3次候補検索手段46は、検査用ベクトルA(m)のノルム計算を行う。検査用ベクトルA(m)のノルムVrの計算は、以下の(5)式で算出する。
ステップS45で、3次候補検索手段46は、算出した加算平均値h及びノルムVrで検査用ベクトルA(m)を正規化する。具体的には、検査用正規化ベクトルAv(m)は、次の(6)式で算出される。
ステップS46で、3次候補検索手段46は、検査用正規化ベクトルAvと標的辞書Bとの距離Gbを算出すると共に、検査用正規化ベクトルAvと非標的辞書Cとの距離Gcを算出する。
検査用正規化ベクトルAvと標的辞書Bとの距離Gbは両ベクトル同士の内積A・Bを算出する。また、検査用正規化ベクトルAvと非標的辞書Cとの距離Gcは両ベクトル同士の内積A・Cを算出する。
ステップS47で、3次候補検索手段46は、式(7)で示す評価関数Sで類似度を算出して、検索用記憶部41に記憶させる。
この評価関数Sは、検査用正規化ベクトルAv(検査用ベクトルA)が非標的辞書Cよりも標的辞書Bに近い場合に負の値になり、標的辞書Bに近いほど値が−1に近づく。
ステップS48で、3次候補検索手段46は、ステップS46で算出した値Sが負の場合、つまり所定評価値(値0)よりも小さい範囲内の場合に、その検査用ベクトルAが、非標的辞書Cよりも標的辞書Bに類似するものとして選定し、選定したことが分かるようにフラグ等を検索用記憶部41に記憶させる。
ステップS49で、3次候補検索手段46は、重心座標Lx,Lyの±4画素の範囲について全て評価が終了していないときには、ステップS41に戻り、1画素ずらした検査用画像データを切り出してS42〜S48を行う。3次候補検索手段46は、中心位置を1画素ずつずらして評価した中で、最も評価関数Sの値が−1に近い中心位置を重心座標Lx,Lyとして更新し、そのときの類似度を、ラベルに対応させて検索用記憶部41に上書きして記憶させる。
ステップS50で、3次候補検索手段46は、全てのラベルについて類似度を算出したか判別し、まだ全ての算出が終了していないときには、別のラベルについてステップS41〜S49を繰り返す。全てのラベルについて終了すると、3次候補検索工程S20を終了する。
標的細胞特定工程S21では、標的細胞特定手段47が、3次候補検索工程S20で選定された検査用画像データの連結画素領域が標的細胞であるものと判定し、その位置を特定して出力する。なお、3次候補検索工程S20で標的細胞と判定される連結画素領域が複数あった場合、類似度が高い(Sが−1に近い)ものから所定数(例えば3つ)の連結画素領域を標的細胞と判定してそれら位置を特定して出力するようにしてもよい。
さらに、必要に応じて、標的細胞特定手段47が、3次候補検索工程S20で選定された検査用画像データの連結画像領域の大きさ、及び/又は真円度が各々所定規定値内である連結画像領域を標的細胞の細胞核であると判定する処理を行ってもよい。
具体的には、標的細胞特定手段47は、連結画素領域の大きさとして、そのX軸方向の幅、及びY軸方向の幅を判定し、両幅が大きさ判別用の所定規定値内(例えば、細胞の画素数が52画素×52画素の場合、20〜40画素の範囲内)であるものを標的細胞と判定する。この大きさ判別用の所定規定値は、検査用画像データにおいてNRBCの細胞核が取りうる大きさの範囲を、画素数に置き換えたものである。
また、標的細胞特定手段47は、連結画素領域の真円度を以下の(8)式で算出し、この真円度が、真円度判別用の所定規定値内(例えば、0.5〜1.5の範囲内)であるものを標的細胞であると判定する。
ここで、R=L÷π÷2
Lは連結画素領域の周囲長である。
標的細胞特定手段47は、大きさ、及び/又は真円度が所定規定値内のものを、標的細胞の細胞核であると特定し、特定したものであることが分かるようにフラグ等を検索用記憶部41に記憶させる。なお、大きさ及び真円度の両方から標的細胞の判定を行うことが好ましい。
標的細胞特定手段47は、3次候補検索工程S20で選定された全てのラベルについて判定し、その後、NRBCであると特定したその位置Lx,Lyや平面プレート8上の位置を細胞回収装置(図示せず)に出力する。
以上で、平面プレート8の一部の領域の標的細胞の検索が終了する。続いて撮像位置制御手段11が、XYZステージ11を撮像領域ずつ、又は多少撮像領域が重なり合うように、X軸方向やY軸方向に移動させて、上記の光学標識発現工程S13から標的細胞特定工程S21までの工程を繰り返すことで、1枚の平面プレート8の検索が終了する。
なお、カラー画像取得工程S15で、XYZステージ11をXY方向に撮像領域ずつ移動させて繰り返し撮像を行い、1枚の平面プレート8の全体のカラー画像データを取得しておいてから2値化処理工程16〜標的細胞特定工程S21までを行ってもよい。
検索が終了した平面プレート8を、搬送機構6がストッカ5に収容し、検索前の他の平面プレート8をストッカ5からXYZステージ11にセットして、同様に検索を開始する。このようにして標的細胞検索装置1は、ストッカ5に収容された全ての平面プレート8の検索を自動的に行う。
標的細胞検索装置1は、標的細胞を特定した位置、その類似度、検査用画像データの画像、検査用画像データと同範囲で切り出したカラー画像データの画像、及びカラー画像データ全体の画像の中から選ばれる少なくとも1つを、ディスプレイ4に表示可能であることが好ましい。検査用画像データの画像やカラー画像データの画像をディスプレイ4に表示させる場合、特定したNRBCの位置に、赤丸や矢印等の指示画像を表示させることが好ましい。
また、標的細胞検索装置1は、標的細胞特定手段S21がNRBCの細胞核であると判定した検査用画像データK(p、q)と、標的辞書の作成に用いられた複数の標的用2値化画像データD(p、q)とを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を標的辞書Bとして標的辞書記憶部31に更新して記憶させる標的辞書学習手段51(図3参照)をさらに備えてもよい。このように標的辞書Bを学習して更新することで、標的辞書Bがより正確になるため、NRBCの検索精度を向上させることができる。
また、標的細胞検索装置1は、3次候補検索手段46が選定しなかった検査用画像データK(p、q)、又は標的細胞特定手段がNRBCであると判定しなかった検査用画像データK(p、q)と、非標的辞書Cの作成に用いられた複数の非辞書用画像データとを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を非標的辞書Cとして非標的辞書記憶部32に更新して記憶させる非標的辞書学習手段10をさらに備えてもよい。このように非標的辞書Cを学習して更新することで、非標的辞書Cがより正確になるため、NRBCの検索精度を向上させることができる。
以上で、標的細胞検索装置1を用いたNRBCの細胞検索が終了する。
標的細胞回収工程S22では、標的細胞検索装置1から出力された標的細胞の位置に基づいて、記標的細胞を回収する。例えば、倒立顕微鏡のXYステージに平面プレート8をセットして、標的細胞が特定された位置Lx,Lyを観察するように、XYステージを移動させる。オペレータは、倒立顕微鏡を確認しつつ、標的細胞よりも幾分大きな内腔を有する細胞回収用ガラスキャピラリーの先端が標的細胞の位置Lx,Lyにくるようにモーターで大まかに位置移動し圧電素子で微小な位置移動するマイクロマニピュレーターを操作して、標的細胞を回収する。標的細胞の回収は、公知の種々の方法で行うことができる。例えば、細胞回収用ガラスキャピラリーで所望の標的細胞に、生理食塩水、リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、又はプロテインキナーゼKのような酵素含有溶液を垂らして、暫く放置してスライドガラスに固定された標的細胞を取り出し易くしてから、同一なガラスキャピラリー又は別な細胞回収用ガラスキャピラリーで、陰圧にして標的細胞を選択的に吸い出して、標的細胞を得る。スパーテルで標的細胞を掻き出したり、掬い出したりしてもよい。
標的細胞検査工程S24では、回収した標的細胞の細胞核内の染色体、DNA及び/又はRNAを解析する。そのためには高感度の分析法が必要であり、例えば、得られた細胞について、細胞核の中にある染色体やそのRNAを標識する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH法:Fluorescence in situ hybridization)、DNA等を増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR法:polymerase chain reaction)、ゲノムを通じてのコピーを開始させるためにTaq DNAポリメラーゼと組み合せてランダム15−量体を用いてゲノムDNAを増幅するプライマー伸長プレ増幅(PEP法:primer extension preamplification)、全染色体を対象にしてゲノムDNAの過剰、欠失、増幅などのコピー数異常を検出する比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH法:comparative genomic hybridization)、in situ PCR法、変性オリゴヌクレオチド起点ポリメラーゼを利用してDNA等を増幅する(DOP−PCR法:Degenerated Oligonucleotide Primer PCR)などの分析法が挙げられる。このような検査工程は、プレートのウェル、マイクロチューブ等で行われてもよいが、貴重な試料を無駄なく確実に検査処理するため、検出用バイオチップを用いてもよい。検出用バイオチップは、例えば流路、区画、溝、キャピラリー、ファイバー及び/又ビーズからなる反応場を有しており、必要に応じて標識試薬を注入できる経路、余分な試薬や副生成物や不要な薬液を排出できる経路を有し、反応場内で、これらの分析法を、微量で行うことができるものである。
例えば、得られた細胞について、CD71とglycophorin Aに対するモノクロナール抗体を使ったりするFISH法で調べることにより、染色体の異常、XY染色体数の異常、21・18又は13トリソミーの異常を検査することができ、PCR法で性別判定、個人識別、Rh(D)型を検査することができ、PEP法により複数の遺伝子異常の診断ができる。
標的細胞検査工程S24中、染色体、DNA及び/又はRNAを、染色体に特異的な遺伝子と蛍光色素とが結合した診断用蛍光プローブ、例えばセントロメアに特異的に結合する蛍光標識されたプローブを用いてハイブリダイゼーション反応させて検出して、解析してもよい。例えば、Abbott社製のCEPシリーズ(CEPは登録商標)であるCEP DNA FISHプローブ、CEP Chromosome Enumeration DNA FISH Probes、CEPプローブキットが挙げられる。診断用プローブの標識材は、蛍光、又は磁気を用いていてもよい。
以上で、血液中の標的細胞の検査方法が終了する。
なお、図7に示すように、光学標識した濃縮血液検体をバイオチップ70の流路71に注入して、標的細胞検索装置1でNRBCを検索するようにしてもよい。同図では、すでに説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
同図では、標的細胞検索装置1のXYZステージ11にバイオチップ70が保持されている。このバイオチップ70は、1本の流路71を有しているものである。バイオチップ70の流路71の入力側には、濃縮血液検体を入れた検体用容器61が管路を介して繋がり、さらにこの検体用容器61には開閉制御可能な制御弁62を介して加圧ポンプ63が繋がっている。また、流路71の出力側には、三方開閉制御弁64が繋がり、三方開閉制御弁64の一方の出力管67(回収する流路経路)には回収用容器65が繋がり、他方の出力管68には、廃棄用容器66が繋がっている。三方開閉制御弁64は、1入力ポート、2出力ポートを有して、各出力ポートを開閉制御可能な開閉制御弁である。この場合、三方開閉制御弁64は、出力管67側と出力管68側とを各々開閉制御する。なお、出力管67、出力管68の各々に別個の開閉制御弁を配してもよい。バイオチップ70は、その外界から流路71を流れるNRBCの光学観察が可能なように、透明な材質、例えば耐圧性の樹脂、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン、シリコーン樹脂などのプラスチック樹脂で形成されている。
流路は、NRBCが約10μmの大きさであるので、管路幅が10μm〜20μm、好ましくは10μm〜15μmで形成されている。
制御弁62及び三方開閉制御弁64の出力管68側を開放し、出力管67側を閉じて、濃縮血液検体が流路71に流れ込んでから各弁を閉じ、既に説明した光学標識発現工程S13〜標的細胞特定工程S21を行う。NRBCを特定した場合、制御弁62及び三方開閉制御弁64を制御して、そのNRBCが回収用容器65に流れるように誘導し、NRBC以外は廃棄用容器66に流れるように制御する。この処理を繰り返すことで、NRBCを回収する(標的細胞回収工程S22)。
又は、制御弁62及び三方開閉制御弁64の出力管68側を開放し、出力管67側を閉じて、濃縮血液検体を流路71にゆっくりと流しながら、光学標識発現工程S13〜標的細胞特定工程S21を繰り返し行い、NRBCを特定した場合、そのNRBCが回収用容器65に流れるように三方開閉制御弁64を制御して誘導し、NRBC以外は廃棄用容器66に流れるように三方開閉制御弁64を制御する(標的細胞回収工程S22)。流路71は平面プレート8よりも狭いので、画像処理する画像データのサイズが小さくなるため、画像処理を高速に行えて、NRBCを高速に特定することができる。このため、三方開閉制御弁64を通りすぎる前にNRBCを特定でき、そのNRBCを回収することができる。
このようなバイオチップ70を用いることで、平面プレート8に濃縮血液検体を固定したり、平面プレート8からNRBCを剥離、回収したりする手間が不要になるため、作業効率が向上し、NRBCを迅速に回収することができる。したがって、検査効率を向上させることができる。
また、図7のバイオチップ70を、図8に示すバイオチップ75に換えて標的細胞の検索、回収を行うようにしてもよい。この場合、図7の三方開閉制御弁64は不要であり、バイオチップ75に回収用容器65及び廃棄用容器66を接続する。
図8に示すバイオチップ75は、一例として、シリコーン樹脂(例えばポリジメチルシロキサン:PDMS)やPETやアクリル樹脂や環状ポリオレフィンのようなプラスチック樹脂やガラス、で形成されており、検査用に採血した血液を濃縮し濃縮血液検体が注入される流路76を有している。この流路76には、標的細胞通過フィルター72、光学観察窓部73、回収用分岐路78、及び開閉制御弁79が設けられている。なお、同図では、これら流路76や標的細胞通過フィルター72等の位置関係を模式的に表している。
標的細胞通過フィルター72は、同図(b)に拡大して示すように、濃縮血液検体中の検査すべき標的細胞91が通過可能であると共に標的細胞91よりも大きな細胞(非標的細胞)92が通過不可である隙間82を有している。例えば標的細胞91は、NRBCのような赤血球であり、非標的細胞92は、赤血球より大きな白血球である。非標的細胞92は、隙間82のすぐ上流側で流路76から分岐する廃棄路77を通ってバイオチップ75の外部に排出される。なお、非標的細胞92が少ない場合、バイオチップ75内に非標的細胞92の貯留槽を形成して、標的細胞通過フィルター72で除去される非標的細胞92を外部に廃棄せず貯留槽内に収容する構造としてもよい。
このような標的細胞通過フィルター72を、流路76に沿って複数配してもよい。複数の標的細胞通過フィルター72を配することで、標的細胞91と非標的細胞92との分離精度が向上するため、標的細胞91の検索が一層高速になる。
この標的細胞通過フィルター72の下流に、光学観察窓部73が配されている。その拡大平面図を同図(c)に、その拡大側面断面図を同図(d)に示す。光学観察窓部73は、バイオチップ75の外界から流路76を流れる標的細胞91の光学観察が可能なように、透明な材質で形成されている。標的細胞検索装置1の撮像カメラ15がこの光学観察窓部73を撮像するように、XYZステージ11を位置制御する。
光学観察窓部73の流路76は、NRBCが重なり合うことなく流路76に沿って1列で通過可能な流路幅で形成されていることが好ましい。具体的には、NRBCは、略円盤形状であるので、その平たい面を光学観察窓部73から観察できるように、円盤が1列で面の向きも整列して通過可能な断面が長方形状の穴で流路76を形成することが好ましい。例えば、光学観察窓部73に平行な流路76の幅を、中央で窪んだ円盤状のNRBC外形の円盤(直径約10μm)が通る程度の幅L1(例えば10μm〜15μm)で形成し、光学観察窓部73に対して垂直な流路76の幅を、円盤(厚み約3μm)が通る程度の幅L2(例えば3μm〜4μm)で形成する。このように流路76を形成すると、NRBCが重なり合うことなく、さらにその平たい面を確実に観察できるので、脱核した通常の赤血球とNRBCとを精度よく区別でき、NRBCの検索効率を一層向上することができる。同図では、標的細胞通過フィルター72を過ぎたところから、このような狭い流路幅で流路76が形成されている例を図示している。
この光学観測用窓部73よりも下流では、流路76からNRBCを回収するための回収用分岐路78(回収する流路経路)が分岐している。この回収用分岐路78の分岐部分には、分岐制御が可能な開閉制御弁79が配されている。この開閉制御弁79は、既に説明した開閉制御弁64と同様の機能のものであり、回収用分岐路78、流路76を各々開閉制御可能なものである。開閉制御弁79は、制御用電極85に制御信号を入力することで、開閉制御が可能になっている。
この開閉制御弁79は、熱的に制御可能な熱制御弁、電気的に制御可能な電気制御弁、磁気的に制御可能な磁気制御弁、又は空圧で制御可能な空圧式制御弁であることが好ましい。開閉制御弁79が熱制御弁の場合、例えば、熱膨張率が異なる2枚の金属板を重ね合わせたバイメタル、形状記憶合金、又はポリ-N-イソプロピルアミドなどの熱応答性ポリマーで弁が形成されていて、熱を加えることで弁が作動する。例えば熱制御弁にレーザー光を照射することで発熱させ、この熱で熱制御弁を作動させる。開閉制御弁79が電気制御弁の場合、例えば、電磁コイルに通電することで作動する電磁制御弁や圧電素子で弁が形成されている。電気制御弁に電気的に繋がる金属製の端子をバイオチップ75の表面に形成しておき、この端子に制御電気信号を加えて電気制御弁を作動させる。開閉制御弁79が磁気制御弁の場合、例えば、磁歪素子で弁が形成されている。磁気制御弁に磁石を近づけるなどして磁界を印加することで、磁気制御弁を作動させる。開閉制御弁79が空圧式制御弁の場合、バイオチップ内にPDMSなどの弾性素材で作られたエアバルブが形成されておりエアの加圧・減圧により空圧式制御弁を作動させる。熱制御弁や磁気制御弁の場合、バイオチップ75に非接触で弁を作動させることができるので、接触不良を考慮する必要が無く、高い信頼性で作動させることができるため好ましい。
回収用分岐路78には、図7の回収容器65を繋げ、流路76の出力には同図の廃棄用容器66を繋げる。
開閉制御弁79を作動させるための制御機構(例えば熱制御弁の場合レーザー光源及びその制御手段)は、図示しないが標的細胞検索装置1が有している。バイオチップ75内に開閉制御弁79を有し、この制御を標的細胞検索装置1が行うことで、特定したNRBCを確実に回収することができる。また、外部に三方開閉制御弁64を配する必要が無く、複数の検体を検査する場合、三方開閉制御弁64を検体ごとに交換する手間がかからず、迅速に多数の検体からNRBCを回収することができる。
なお、図8中に示すように、光学観測窓部73よりも上流の流路76に、NRBCを光学標識する光学標識用薬液を外界から注入するための薬液注入路80を合流させてもよい。この場合、流路76に光学標識していない濃縮血液検体を注入し、薬液注入路80から光学標識薬液を注入することで、流路76内でNRBCを光学標識することができる(検体標識工程S12)。染色後の細胞画像例を図10に示す。図10(a)は標的細胞であるNRBCの典型的な画像である。なお、図10(b)は非標的細胞の一例である通常の赤血球(RBC)の典型的な画像であり、図10(c)は別な非標的細胞の一例である白血球(WBC)の典型的な画像である。
また、開閉制御弁79に換えて、回収用分岐路78、流路76の分岐箇所に三方開閉制御弁を配してもよいし、回収用分岐路78及び流路76のいずれの流路に流れるかを制御可能な方向切換弁を配してもよい。
また、開閉制御弁79に換えて、開閉操作可能な手動式の弁を配してもよい。この場合、NRBCが特定されたときに、例えば、撮像カメラ15でNRBCを追跡して撮像して、その画像を見ながらオペレータが手動で弁を操作してNRBCを回収容器65に回収する(標的細胞回収工程S22)。
バイオチップ75は、一例として、図9に側面図で示すように、2枚の板材であるベース板材86とカバー板材87とを貼り合わせて形成する。ベース板材86は、流路76、標的細胞通過フィルター72、廃棄路77、及び回収用分岐路78となる溝や、開閉制御弁79を嵌め込む溝を有し、一体成型で形成されている。このベース板材86は透明な樹脂やガラスでできており、硬質樹脂を用いる場合には金型やSi型を用いたナノインプリンティングや転写成型、切削加工、金型を用いたインジェクション成型などにより製作することができる。PDMSやエラストマーなどの軟質樹脂を用いる場合には金型やSi型を用いたナノインプリンティングや転写成型、金型を用いたインジェクション成型などにより製作することができる。ガラスを用いる場合には、ドライエッチング、ウエットエッチングなどにより製作することができる。電気配線が必要な場合にはCr、Auなどの配線を真空蒸着やスパッタにより製作する。このベース板材86に開閉制御弁79を組み込んでから、透明な樹脂平板であるカバー板材87を接着や熱接合、物理吸着により接合しバイオチップ75が完成する。光学観測窓部73には、その位置を示すような例えば枠状の指示表示を、印刷、彫り込み等で付してもよい。また、必要に応じてカバー板材86に流路を製作したり、3層以上の重ね合わせでバイオチップを製作したりすることも可能である。
バイオチップ75で回収された標的細胞(図1のS23)に対して、前記の標的細胞検査工程S24のような処理が施される。
なお、標的細胞検索装置1において、焦点制御用のレーザー光源12が、撮像用光源14として兼用されていてもよい。具体的には、図4(a)や図7の撮像用光源14を配さずに、レーザー光源12から、焦点合わせ用の光Leとして光学標識発現光Lを照射させる。このようにすると、簡便な構成になる。レーザー光Leの照射範囲(照射エリア)は狭いので、この構成は、撮像範囲が狭い図7の流路71や図8の流路76を撮像するときに特に好ましく採用することができる。
本発明を適用する血液中の細胞の検査方法を行い、母体血中の胎児由来有核赤血球(NRBC)によって出生前診断に利用した例を、以下に示す。
(実施例1)
胎児由来細胞の検査方法は、〔1〕母体血液の密度勾配遠心法によるNRBCの濃縮により濃縮血液検体を取得する検体取得工程、〔2〕濃縮血液検体を平面プレート上で塗抹して膜化し血液塗抹標本を作製し、ギムザ染色して光学標識する検体標識工程、〔3〕光学標識された検体を発現させそのカラー画像を撮像する光学標識発現工程、焦点制御工程、カラー画像取得工程、〔4〕カラー画像を2値化してノイズ除去する2値化処理工程、収縮膨張工程、〔5〕NRBCの位置を検索し特定する1次候補検索工程、2次候補検索工程、3次候補検索工程、標的細胞特定工程、〔6〕その位置情報に基づいてプレート上のNRBCを捕捉して回収する標的細胞回収工程、〔7〕回収した標的細胞の細胞核内の遺伝子情報を、FISH法のような染色体検査法である生物学的手法によって解析する標的細胞検査工程とにより、行われる。
以下に、各工程〔1〕〜〔7〕の基本的な操作手順を詳細に説明する。
〔1〕検体取得工程
ポリビニルピロリドン被覆シリカゲル微細粉末の原液(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製:パーコール)を生理食塩水(0.15MのNaCl水溶液:0.9%NaCl水溶液)で希釈し、比重1.085g/mlと1.075g/mlとのパーコール希釈液を調製した。
比重1.085g/mlのパーコール希釈液の5mlを15ml遠沈管に注入した後、その遠沈管に、比重1.075g/mlパーコール希釈液の5mlを、ゆっくりと注入し、積層させた。妊婦からヘパリン採血した母体血液を、生理食塩水で2倍に希釈した。希釈した母体血液5mlを、先の15ml遠沈管にゆっくりと注入し積層させた。なお、さらに多めの母体血液を用いる場合は遠沈管数を増やしてもよく50ml遠沈管を用いてもよい。
この遠沈管を、30分間遠心した。下から順に、赤血球層、比重1.085g/mlのパーコール希釈液層、NRBC及び白血球含有層、比重1.075g/mlパーコール希釈液、リンパ球層、血漿層に、分離した。血漿層を、ディスポーザブルピペットで除去した。次いで、リンパ球層、比重1.075g/mlパーコール希釈液層も同様に、除去した。
NRBC及び白血球が存在する目的層が、表層に現れるので、それを注意深くピペットで採取した。
採取した目的層の回収液を25ml遠沈管に入れ、そこへ生理食塩水又はpH7.2のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加え、10分間遠心し、上澄みを除去する操作を、3回繰り返すことによって、洗浄を行った。
そこへ、PBSを加えて10μlに希釈してNRBC含有細胞懸濁液を得た。
〔2〕検体標識工程
メチレンブルー、エオシン、アズールIIを含むギムザ液原液を、PBSで希釈して1%ギムザ液希釈溶液にした。
前記の検体取得工程で得たNRBC含有細胞懸濁液2μlをスライドガラス上に滴下した後、カバーガラスを用いてその懸濁液をスライドガラス上で均一に塗抹し膜にした。必要に応じその塗抹膜に冷風を当てて、塗抹膜を乾燥させた。その乾燥した塗抹膜ごとスライドガラスを、パッド中でメタノールに10分間漬け、塗抹膜を固定化した。必要に応じ冷風を当てながら塗抹膜を乾燥させた。
次いで、その乾燥した塗抹膜ごとスライドガラスを、別なパッド中で2%ギムザ液希釈溶液に、10分間漬け、染色した。その染色した塗抹膜ごとスライドガラスを、別なパッド中で、超純水で2回洗浄した。必要に応じ冷風を当てながら塗抹膜を乾燥させて、検体標識した血液塗抹サンプルを作製した。
実施形態で説明した標的細胞検索装置を試作した。標的辞書や非標的辞書を予め作成した。標的辞書の作成に使用した標的辞書用画像データの1つを拡大して図15(a)に示す。また、非標的辞書の作成に使用した非標的辞書用画像データの1つを拡大して図15(b)に示す。これらの画像は52画素×52画素の大きさである。
〔3〕光学標識発現工程、焦点制御工程、カラー画像取得工程
試作した標的細胞検索装置のストッカに、前記の検体標識工程で作成したスライドガラスをセットした。標的細胞検索装置1を作動させると、標的細胞検索装置1は、このスライドガラスをXYZステージに搬送し、血液塗抹サンプルに撮像用光源を照射すると共に、焦点合わせしてカラー画像を自動で撮像した。撮像したカラー画像の一例を図16(a)に示す。このカラー画像は、2448画素×2050画素の大きさである。
〔4〕2値化処理工程、収縮膨張工程
続いて、標的細胞検索装置は、カラー画像データを2値化処理し、収縮膨張処理した。図16(a)のカラー画像を2値化処理した2値化画像を図16(b)に示し、それを収縮膨張処理した2値化画像を図16(c)に示す。各画像中に、後述する標的細胞特定工程で特定されたNRBCの位置を、矢印で示す。
〔5〕1次候補検索工程、2次候補検索工程、3次候補検索工程、標的細胞特定工程
次いで、標的細胞検索装置は、1次検索工程〜標的細胞特定工程を行い、図16(c)の画像中から自動的に標的細胞を1個特定した。標的細胞特定工程では、3次候補検索工程で選定された検査用画像データの連結画像領域の大きさが20〜40画素の範囲内、及びは真円度が0.5〜1.5の範囲内である連結画像領域を標的細胞の細胞核であると判定した。特定したNRBCの画像を、オペレータが目視で、NRBCであることを確認した。
図16に示したNRBCは、3次候補検索工程において、
標的辞書Bとの距離Gb=44.004847
非標的辞書Cとの距離Gc=29.512506
評価関数S=−0.197128166
であり、標的細胞特定工程において、
X軸方向の幅(最大値)=25画素
Y軸方向の幅(最大値)=24画素
面積=463
周囲長L=82
半径R=周囲長÷π÷2=13.050705
真円度=0.865293
であった。
〔6〕標的細胞回収工程
標的細胞検索装置で見つけたNRBCが存在する血液塗末サンプルをマイクロマニピュレーター付き倒立顕微鏡のステージ上にセットした。標的細胞特定工程で特定された位置にステージを動かしNRBCの存在する位置に、顕微鏡に装着されたメジャーを見ながら手動で合わせた。
次いで、マイクロマニピュレーターを用いつつ、細胞回収用ガラスキャピラリーに100μg/mlのプロテイナーゼK溶液(和光純薬工業株式会社製 164−14004をTE緩衝液に溶解したもの)を吸引し、回収用キャピラリーからプロテイナーゼK溶液を、標的のNRBCに向け吐出してから室温で5分間放置した。暫くして標的のNRBC近傍がプロテイナーゼK溶液により剥離しやすくなったら、標的のNRBCを細胞剥離用ガラスキャピラリーでつついて剥がし、細胞回収用ガラスキャピラリーでNRBCを吸引し、捕捉して回収した。回収したNRBCを、600μlマイクロチューブに入れ、PBSで2回洗浄し、最終的に2μl程度の容量に調整し、回収したNRBC懸濁液を得た。なお、マイクロマニピュレーターで回収したNRBCはマイクロチューブに回収するのではなく、直接染色体検査用スライドガラス上に移してカルノア固定することも可能である。
〔7〕標的細胞検査工程(染色体検査:FISH法)
先ず、カルノア液として、エタノール:酢酸=3:1の液を、調製した。エージング溶液として、2×SSC(標準クエン酸添加生理食塩水)/0.1%NP−40(Nonidet−40)溶液を、調製した。エタノール洗浄液として、70%エタノール水溶液、85%エタノール水溶液、100%エタノールを、調製した。変性溶液として、70%ホルムアミド/2×SSC溶液を、調製した。ホルムアミド洗浄液として、50%ホルムアミド/2×SSC溶液を、調製した。
次に、ハイブリダイゼーションバッファー(Abbott製、FISHプローブに添付されているもの)7μlと、蛍光物質で標識したオリゴヌクレオチドプローブであるFISHプローブ(Abbott製 32−190002、32−190001、32−192018、32−130018、32−131018、32−132023、32−131024など)1μlと、超純水2μlとをマイクロチューブに調合した。調合比率は、使用するFISHプローブの数により異なる。上記の例は、1種類のFISHプローブを使用する場合の例これを、攪拌後数秒間、遠心した後、73℃のブロックヒーターで5分間加熱してプローブを変性させた。このプローブ液は、使用直前まで45℃に保温しておいた。
回収したNRBC懸濁液に、カルノア液5μlを加え、1500rpmで5分間遠心した後、上澄みを除去し、さらにカルノア液2μlを加えた。以上の遠心、上澄み除去、カルノア液2μl添加という操作を3回繰り返す。
このNRBCを含むカルノア液を、細胞固定化コートスライドガラスであるフロンティア(松波硝子工業株式会社製 FRC−05)の中央に滴下し、それを、加湿したタッパーに入れて67℃で10分間放置した後、冷風で乾燥し、NRBC固定化スライドを得た。
染色パッド中で、エージング溶液(2×SSC/0.1%NP−40)を37℃に加熱し、そこへ、NRBC固定化スライドを30分間浸漬した。次いで、NRBC固定化スライドを、別な染色パッド中、エタノール洗浄液である70%エタノール水溶液、85%エタノール水溶液、100%エタノールの順で、1分間ずつ浸漬して洗浄・脱水を行った後、冷風で乾燥した。
サンプル細胞の状態により、必要に応じて、硫酸リチウムドデシル(Lithium Dodecyl Sulfate:LIS)溶液処理とペプシン溶液処理を行うとFISH成功率が向上する。
NRBC固定化スライドを染色パッド中で室温のLIS溶液(10〜100mMのLIS/0.1MのTris(トリス ヒドロキシメチル アミノメタン)、pH7.4)に30分間浸漬した。次いで、NRBC固定化スライドを、別な染色パッド中、2×SSC溶液に室温で1分間浸漬する洗浄を3回行う。次に染色パッド中で37℃に加熱したペプシン溶液(10〜100μg/mlのペプシン/0.01MのHCl、pH2)に10分間浸漬した。次いで別の染色パッド中の室温の酵素反応停止溶液(50mMのMgCl/PBS溶液、pH7.4)に5分間、別の染色パッド中の室温ホルマリン再固定液(1%ホルムアルデヒド/50mMのMgCl/PBS溶液、pH7.4)に10分間浸漬した。さらに室温のPBSに5分間浸漬し、エタノール洗浄液である70%エタノール水溶液、85%エタノール水溶液、100%エタノールの順で、1分間ずつ浸漬して洗浄・脱水を行った後、冷風で乾燥した。
染色パッド中で、変性溶液(70%ホルムアミド/2×SSC溶液)を73℃に加熱し、そこへ、NRBC固定化スライドを5分間浸漬した。次いで、NRBC固定化スライドを、別な染色パッド中、エタノール洗浄液である70%エタノール水溶液、85%エタノール水溶液、100%エタノールの順で、1分間ずつ浸漬して洗浄・脱水を行った後、冷風で乾燥した。
NRBC固定化スライドを、ヒーターで45℃に加熱した後、45℃で保存しておいたプローブ液10μlを、NRBC固定化スライドに滴下し、カバーガラスを被せ、気泡を追い出した後、ペーパーボンド(コクヨ株式会社製)でシールする。もしくは、NRBC固定化スライド上の細胞固定化位置にハイブリダイゼーション用マスクシール(エスシーワールド株式会社製)を貼り、ヒーターで45℃に加熱した後、45℃で保存しておいたプローブ液2μlを、NRBC固定化スライド上でハイブリダイゼーション用マスクシールで土手の如く形作られたウェルに滴下し、気泡が入らないように封印用シールを貼った。
このプローブ液を滴下したNRBC固定化スライドを、37℃に調整したインキュベーター中の加湿したタッパーに入れ、4〜18時間ハイブリダイゼーションを行った。
カバーガラスあるいはハイブリダイゼーション用マスクシールを外し、ハイブリダイゼーションの終了したNRBC固定化スライドを、室温にて2×SSC溶液で洗浄した。
このNRBC固定化スライドを、染色パッド中で室温の2×SSC/0.3%NP−40溶液に5分間浸けて洗浄し、別の染色パッド中で73℃の2×SSC/0.3%NP−40溶液に2分間浸けて洗浄し、次いで別な染色パッド中で室温にて2×SSCに1分間浸けて洗浄した。
このNRBC固定化スライドに、2.3%DABCO(1,4-diazabicyclo[2,2,2]octan、和光純薬工業株式会社製;049-25712)を含む150μg/mlのDAPI(4’,6-diamidino-2-phenylindole、株式会社同仁化学研究所製;340-07971)溶液もしくは蛍光退色防止剤入りDAPI溶液(invitorogen製;SlowFade(登録商標) Gold Antifade Reagent with DAPI S36938 など)10μlを滴下し、カバーガラスを被せ、カバーガラスのずれやDAPI溶液の乾燥を防ぐため、無蛍光かつ無色のマニキュアでカバーガラスをシールした。
蛍光顕微鏡で適切なフィルターを用いて、このNRBC固定化スライドを、観察し、画像撮像を行った。このNRBC固定化スライド上のNRBCの核は、蛍光標識したFISHプローブとのハイブリダイゼーションにより、染色体数に応じた数の蛍光のスポットが観察される状態となっていた。図11に正常細胞と21染色体トリソミー細胞の画像例を示す。図11(a)は正常細胞のFISH後の蛍光画像の顕微鏡写真であり、図11(b)は21染色体トリソミー細胞のFISH後の蛍光画像の顕微鏡写真であり、夫々XはX染色体、YはY染色体である。
撮像した画像を用いて蛍光スポット数による染色体数に関するデータ解析を行ったところ、染色体数異常による先天性異常の判定が可能であった。
(実施例2)
必要に応じて染色体検査(FISH)後の核を回収してDNAマイクロアレイによる遺伝子検査を行うことも可能である。DNAマイクロアレイを用いることにより、1つの細胞で多数の疾病に関する検査を行うことができる。その基本的な操作手順を詳細に説明する。
実施例1の〔1〕〜〔7〕のようにした染色体検査(FISH)後のNRBC固定化スライドを用いた。
〔7’〕標的細胞検査工程(遺伝子検査:DNAマイクロアレイ法)
FISH後のNRBC固定化スライドから、倒立顕微鏡に付いているマイクロマニピュレーターを用いて、NRBC若しくはNRBCの核を、マイクロチューブに回収した。
NRBCを回収したマイクロチューブに、ランダムプライマー(オペロンバイオテクノロジー株式会社製 SP180−1)とPCR酵素(タカラバイオ株式会社製 EX Taq DNA Polymerase RR001A)、バッファー(PCR酵素に添付されているもの)、dNTPPmix等(PCR酵素に添付されているもの)を加えPCR増幅反応を行った。
PCR反応後の溶液からPCR産物精製キット(株式会社キアゲン製 28104)を用いて増幅した遺伝子の精製を行ない、UULISYS Nucleic Acid Labeling Kits、Alexa Flour 546(Molecular Probe製 U-21652)を用いてPCR反応で増幅した遺伝子の蛍光ラベル化を行ない、Microcon YM-30(Millipore製 42409)で精製を行い、蛍光ラベル化したPCR産物を得た。その他の蛍光ラベル化したPCR産物を得る方法として、PCR反応時にCy3-dUTP(GE Healthcare製 PA55021)を反応溶液中に添加してPCR反応時に直接ラベル化を行い、PCR産物精製キットで精製を行うという方法もある。
この蛍光ラベル化したPCR産物と2×ハイブリダイゼーションバッファー(12 × SSC、0.4% SDS、10 × Denhardt’s溶液、0.2 mg/ml denatured salmon sperm DNA)とを等量混合し、94℃で1分間熱変性を行った後、氷上で急冷した。
それを、先天性異常に関連するDNAの部分配列を配置し固定化したDNAチップとも呼ばれるDNAマイクロアレイ(タカラバイオ株式会社製 DNAチップ用スライドガラス Takara-Hubble Slide Glass TX720や、住友ベークライト株式会社製 オリゴDNA用固定化基板 BS-11607を用いてエスシーワールド株式会社にてプローブDNAの固定化を行ったもの)上に10μl滴下し、カバーガラスを被せた。もしくは、DNAマイクロアレイ上にハイブリダイゼーション用マスクシール(エスシーワールド株式会社製)を貼り、ウェル内にハイブリダイゼーション溶液を2μl滴下し、シールをした。
ハイブリダイゼーション温度(45〜60℃)に設定したインキュベーター内の加湿したタッパーに、このDNAマイクロアレイを入れ、4〜18時間ハイブリダイゼーションを行った。
そのDNAマイクロアレイからカバーガラスやシールを外し、室温の2 × SSC溶液と65℃の2 × SSC/0.2% SDS溶液と室温の0.05 × SSC溶液の3種の洗浄液に、順番に5分間ずつ浸けて洗浄を行った。
DNAチップスキャナーもしくは蛍光顕微鏡にて、蛍光観察し、撮像を行った。ハイブリダイゼーション液中に、DNAマイクロアレイ上にスポットしたDNAに対応するDNAが存在した場合には、その箇所でDNAのハイブリダイゼーション反応が起こるため、ハイブリダイゼーション液中DNAにラベルした蛍光が観察される。
撮像した画像を用いてデータ解析を行ったところ、先天性異常に関係する遺伝子の配列の異常があった場合には、関連するプローブをスポットした箇所で蛍光が観察された。
なお、遺伝子検査の手法によってはPCR増幅時にCy3-dUTP(GE Healthcare社製 PA55021)などの蛍光標識した核酸を用いてPCR反応時に直接ラベル化を行い、PCR産物精製キットで精製を行うことにより、PCR後の蛍光ラベル化操作が必要ない場合がある。
(実施例3)
(3−1)バイオチップ上でのFISHによる染色体検査
パーコール法により得られた濃縮血液検体に0.15M KCl低膨張液を加え、室温で、10分間置き核の無い赤血球の破壊を行った(全ての無核赤血球が破壊されず残るものもあった)。次に1500rpmで5分間遠心を行い上澄みを除去した。さらに、PBSを添加し遠心、上澄み除去という操作を3回繰り返し無核赤血球量を削減した濃縮血液検体とした。
この無核赤血球量を削減した濃縮血液検体を用いたこと以外は、実施例1の〔2〕〜〔6〕と同様にして、標的細胞を回収し、NRBC懸濁液を得た。それにPBSを加え、白血球除去フィルターを通す、若しくはCD45標識磁気ビーズを用いて白血球を除去した濃縮血液検体を図12に示すバイオチップ反応検出装置上のバイオチップへ注入した。同図では、液流路101を実線で示し、各液流路101の途中に配置した開閉制御弁102の制御用パターン配線を破線で示している。同図に示すように、バイオチップ反応検出装置は、細胞固定化フィルター104を内蔵するFISH用チャンバー103、PCRチャンバー105、及びDNAマイクロアレイチャンバー(遺伝子検査用チャンバー)106を有している。
バイオチップ反応検出装置に調合した各反応液をセットした(各溶液の組成・調合等の詳細は前述したFISH、DNAマイクロアレイと同様である)。
白血球除去フィルターを通過させた濃縮血液検体液5〜10μl、もしくは血液塗抹サンプルスライドから回収したNRBC懸濁液5μlをバイオチップ内FISH用チャンバー103に送液し、細胞固定化フィルター104上に細胞を固定化させた。
エージング溶液5μl(2×SSC/0.1%NP−40)をバイオチップ内FISH用チャンバー103に送液し装置で37℃にバイオチップを加熱し、30分間置いた。次いで、室温で70%エタノール水溶液10μl、85%エタノール水溶液10μl、100%エタノール10μlの順でゆっくり送液して洗浄を行い、FISH用チャンバー103にエアを送り風乾させた。
変性溶液(70%ホルムアミド/2×SSC溶液)5μl(2×SSC/0.1%NP−40)をバイオチップ内FISH用チャンバー103に送液し、装置で73℃にバイオチップを加熱し、5分間置く。次いで、装置でバイオチップを4℃に冷却をしてから、4℃に冷却した70%エタノール水溶液10μlで洗浄した。次に装置を室温に戻し85%エタノール水溶液10μl、100%エタノール10μlの順でゆっくり送液して洗浄を行い、FISH用チャンバー103にエアを送り風乾させた。
調整済みのハイブリダイゼーション用プローブ液2μlを流路チップのFISH用チャンバー103に入れ、装置で73℃にバイオチップを加熱し、5分間加熱変性を行なった後、37℃で4〜16時間置き、ハイブリダイゼーション反応をさせた(必要に応じ振動を与えてハイブリダイゼーション反応を促進させた)。
室温で2×SSC/0.3%NP−40 10μlをFISH用チャンバー103に流し、5分間置いた。
2×SSC/0.3%NP−40 10μlをFISH用チャンバー103に流し、装置で73℃にバイオチップを加熱して2分間置いた。
室温で2×SSC 20μlをFISH用チャンバー103に流し洗浄した。
2.3% DABCOを含む対比色染色液150μg/ml DAPI 2μlをFISH用チャンバー103に入れた。
装置に搭載された適切なフィルターを用いて、このチャンバー内固定化細胞を、観察し、画像撮像を行った。
撮像した画像の細胞形状から、NRBCの判別を行い、NRBCのFISHの結果より、染色体数異常による先天性異常についての判定を行った。正常細胞観察結果例を図13に示す。図13(a)は標的細胞であるNRBCの顕微鏡写真である。図13(b)はFISH後における標的細胞であるNRBCの顕微鏡写真であり、21は21染色体であり、XはX染色体、YはY染色体である。図13から明らかな通り、評価した標的NRBCには染色体数異常は見られず正常であることが分かった。
(3−2)バイオチップ上でのDNAマイクロアレイによる遺伝子検査
染色体検査後のバイオチップのFISHチャンバー103内NRBCから直接、もしくは別途回収したNRBCからバイオチップ内で遺伝子検査を行った。染色体検査後のバイオチップ内FISHチャンバー103内NRBCを用いる場合には、FISHチャンバー103内に低張液(75mM KCl)5μl、室温で5分間置く。次に、細胞破砕液(100μg/mlプロテイナーゼK/0.01 M EDTA/0.5% SDS/TE緩衝液)5μlを注入し、装置で37℃に加熱して10分間置き細胞を破砕した。
バイオチップのFISHチャンバー103から細胞破砕液をPCR反応用チャンバー105へ移動させ、PCRミックス液(プライマー/PCR酵素/PCRバッファー/Cy3−dUTP/dNTPmix)5μlを加え、装置でバイオチップの温度をコントロール(94℃1分→37℃2分→72℃1分というサイクルを繰り返す)してPCR反応を行った。
PCR反応後の反応液を検査対象のプローブDNAを固定化したDNAマイクロアレイを内蔵した遺伝子検査用チャンバー106へ送液し、2×ハイブリダイゼーションバッファー2μlを加え、装置で94℃にバイオチップを加熱し、2分間加熱変性を行なった後、37℃まで急冷させ、37℃で4〜16時間置き、ハイブリダイゼーション反応をさせた(必要に応じ振動を与えてハイブリダイゼーション反応を促進させた)。
ハイブリダイゼーション反応終了後、遺伝子検査用チャンバー106を、室温の2×SSC 10μlで洗浄し、次に2×SSC/0.2% SDS溶液10μlを注入して装置で65℃に加熱して5分間置いた。次に、室温の0.05×SSC 20μlで洗浄を行った。
装置に搭載された適切なフィルターを用いて、遺伝子検査用チャンバー106のDNAマイクロアレイを蛍光観察し、画像撮像を行った。
DNAマイクロアレイの配置を、表1に示す。表1中、ポジティブコントロールとして各濃度のヒトの遺伝子配列とマッチングしない30塩基の合成オリゴDNA(特注品)を用い、検査用プローブとして株式会社GSP研究所製のX,Y,13,18,21の各染色体のセントロメア近傍FISHプローブを基にDNAマイクロアレイ用プローブとしたもの(濃度10μM:特注品)である。13トリソミーは所謂パトー症候群、18トリソミーは所謂エドワード症候群、21トリソミーは所謂ダウン症候群の各障害の原因となる染色体異常を検査するものである。
撮像した画像の蛍光箇所と蛍光値から、遺伝子異常による先天性異常についての判定を行った。正常細胞観察結果と21トリソミー観察結果を示す表1と2及び図14にから明らかな通り、染色体数が異常な場合は検出される蛍光値に違いが現れ、トリソミーの場合には正常の場合と比較して蛍光値が約1.5倍に明るく観察されることが分かった。
このように、21トリソミー細胞では、21番染色体プローブの蛍光値が通常細胞より約1.5倍高く染色体数異常の判定が可能であった。このように染色体数の異常の判定では、蛍光数値の大小の比較を定量的行い、遺伝子異常の判定ではプローブとのハイブリダイゼーション結果から、検知すべき所期の染色体とのハイブリダイゼーションが行われたかどうか定性的に行い、診断に用いられることが示された。
本発明の血液中の標的細胞の検査方法は、出生前診断を行うために、採血した母体血液を用いて、胎児由来細胞のような特定の標的細胞を検査して、非侵襲で安全に胎児の出生前診断するのに有用である。また乳幼児乃至成人の血液中に存在する異常な標的細胞を検査して診断や治療を行うのに有用である。本発明の標的細胞検索装置やそれに装着されるバイオチップは、この血液中の標的細胞の検査方法を正確かつ迅速に行うのに使用される。
また、第三の目的のためのバイオチップは、検査用に採血した血液とそれを濃縮した血液との何れかの血液検体が注入される流路を有するバイオチップであって、
前記流路は、前記血液検体中の検査すべき光学標識された標的細胞が通過可能であると共に前記標的細胞よりも大きな細胞が通過不可である隙間を有する標的細胞通過フィルターと、この標的細胞通過フィルターよりも下流に配されて前記標的細胞を前記バイオチップの外界から光学観察可能な光学観測用窓部と、この光学観測用窓部よりも下流で前記流路から分岐する前記標的細胞の回収用分岐路と、この回収用分岐路の分岐部分に配されて前記標的細胞を前記回収用分岐路に誘導するための弁とを備えることを特徴とする。
イオチップは、前記標的細胞通過フィルターが前記流路に複数配されていることを特徴とする。
【0029】
イオチップは、前記弁が、熱的に制御可能な熱制御弁、電気的に制御可能な電気制御弁、又は磁気的に制御可能な磁気制御弁であることを特徴とする。
【補正の内容】
イオチップは、前記光学観測窓部における前記流路が、前記標的細胞が重なり合うことなくその流路に沿って1列で通過可能な流路幅で形成されていることを特徴とする。
イオチップは、前記光学観測窓部よりも上流の前記流路に、前記標的細胞を光学標識する光学標識用薬液を外界から注入するための薬液注入路が合流していることを特徴とする。

Claims (22)

  1. 辞書作成用サンプルとして採血した基準となる細胞が含まれる血液中の細胞を光学標識し、その光学標識に対応した光を照射してカラー撮像し、撮像したカラー画像データから前記基準となる細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を標的辞書用画像データとして所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各標的辞書用画像データを前記基準となる細胞に対応する所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め標的辞書とする標的辞書作成工程、
    前記カラー画像データの中から前記基準となる細胞以外の細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を非標的辞書用画像データとして前記所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各非標的辞書用画像データを前記所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の非標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底を予め非標的辞書とする非標的辞書作成工程、
    検査用に血液を採血し、又はその血液を濃縮して、検査すべき標的細胞が含まれている血液検体を取得する検体取得工程、
    前記血液検体を、平面プレート上で膜化して固定した後、又はバイオチップの流路へ注入した前若しくは後に、前記標的細胞を前記光学標識と同様に光学標識する検体標識工程、
    前記平面プレート、又は前記バイオチップの前記検体に前記光学標識に対応した光学標識発現光を照射する光学標識発現工程、
    前記平面プレート、又は前記バイオチップで全反射可能な照射角度で焦点合わせ用の光を照射し、前記平面プレート、又は前記バイオチップにおける前記焦点合わせ用の光の反射位置に基づいて、前記血液検体に撮像カメラの焦点合わせをする焦点制御工程、
    前記撮像カメラで前記血液検体を拡大して撮像してカラー画像データを得るカラー画像取得工程、
    前記カラー撮像取得工程で撮像したカラー画像データを、前記所定色に基づいて2値化処理する2値化処理工程、
    前記2値化処理した画像データを収縮膨張処理する収縮膨張処理工程、
    前記収縮膨張処理した画像データの各連結画素領域にラベルを付与する1次候補検索工程、
    前記ラベルのうちから前記所定画像サイズ内で近接する異なるラベルの連結画素領域同士に同一のラベルを再付与し直す2次候補検索工程、
    前記2次候補検索工程後の各ラベルが示す前記連結画像領域を含む前記所定画像サイズの検査用画像データを順次切り出し、その検査用画像データと、前記標的辞書及び前記非標的辞書の各々とのベクトル距離を算出し、その両ベクトル距離を順次評価処理して、前記非標的辞書よりも前記標的辞書に所定評価値内で類似する検査用画像データを選定する3次候補検索工程、
    前記選定された検査用画像データの前記連結画素領域を前記標的細胞であると判定してその位置を特定する標的細胞特定工程、
    前記標的細胞を前記位置の情報に基づいて回収する標的細胞回収工程、
    前記標的細胞の染色体、DNA及び/又はRNAを解析する標的細胞検査工程
    を有することを特徴とする血液中の標的細胞の検査方法。
  2. 前記標的細胞が、胎児由来有核赤血球であることを特徴とする請求項1に記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  3. 前記検体取得工程中、比重遠心法により前記濃縮が行われ、そこから比重によって分離して前記取得することを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  4. 前記検体標識工程中、前記血液検体を平面プレート上で膜化して固定し、そこから、前記標的細胞回収工程中、前記標的細胞を前記選別しつつ、吸い出し、掻き出し、又は掬い出して、前記回収することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  5. 前記検体標識工程中、前記バイオチップの流路に、前記血液検体を注入しつつ、前記標的細胞回収工程中、前記流路内で前記位置を特定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  6. 前記標的細胞回収工程中、前記流路から、前記選別した前記標的細胞を、前記回収する流路経路へ誘導することを特徴とする請求項5に記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  7. 前記標的細胞検査工程中、前記染色体、DNA及び/又はRNAを、その検出すべき染色体のセントロメア又は検出すべき遺伝子配列に結合する1本鎖の相補配列と蛍光色素とが結合した診断用蛍光プローブでハイブリダイゼーション反応させて検出して、前記解析することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  8. 前記診断用プローブの標識材は、蛍光、又は磁気を用いていることを特徴とする請求項7に記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  9. 前記標的細胞検査工程中、前記標的細胞及び/又はそれに由来する組織の懸濁液からなる試料を、流路、区画、溝、キャピラリー、ファイバー及び/又ビーズからなるバイオチップ反応場に注入し、前記試料を前記細胞の染色体、DNA及び/又はRNAに反応する標識試薬と前記反応場で反応させてから、前記標識試薬の標識を、検出することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の血液中の標的細胞の検査方法。
  10. 辞書作成用サンプルとして採血した基準となる細胞が含まれる血液中の細胞を光学標識し、その光学標識に対応した光を照射してカラー撮像し、撮像したカラー画像データから前記基準となる細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を標的辞書用画像データとして所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各標的辞書用画像データを前記基準となる細胞に対応する所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底が標的辞書として予め記憶されている標的辞書記憶部と、
    前記カラー画像データの中から前記基準となる細胞以外の細胞を複数個分選別し、選別した各細胞領域を非標的辞書用画像データとして前記所定画像サイズで各々切り出し、切り出した各非標的辞書用画像データを前記所定色に基づいて2値化処理し、得られた複数個分の非標的用2値化画像データを主成分分析してその固有ベクトルから得られた正規直交基底が非標的辞書として予め記憶されている非標的辞書記憶部と、
    検査用に血液が採血され又はその血液が濃縮され、検査すべき標的細胞が光学標識されている血液検体が、載せられた平面プレート、又は前記血液検体が注入されている流路を有するバイオチップを、保持可能であると共に、XYZ軸方向に移動制御可能なXYZステージと、
    前記XYZステージで保持された前記平面プレート、又は前記バイオチップの前記血液検体を拡大してそのカラー画像を撮像可能な撮像カメラと、
    前記光学標識に対応した光学標識発現光を前記平面プレート、又は前記バイオチップに照射する撮像用光源と、
    前記平面プレート、又は前記バイオチップで全反射可能な照射角度で焦点制御用の光を照射する焦点制御用光源と、
    前記平面プレート、又は前記バイオチップにおける前記焦点制御用の光の反射位置を検出する反射光検出器と、
    前記反射光検出器の検出する前記反射位置に基づいて、前記XYZステージをZ軸方向に移動させて前記血液検体に前記撮像カメラの焦点合わせをする焦点制御手段と、
    前記XYZステージをXY軸方向に移動させて前記撮像カメラの撮像位置を制御する撮像位置制御手段と、
    前記撮像カメラに撮像させて前記血液検体のカラー画像データを取得するカラー画像取得手段と、
    前記カラー画像データを前記所定色に基づいて2値化処理する2値化処理手段と、
    前記2値化処理した画像データを収縮膨張処理する収縮膨張処理手段と、
    前記収縮膨張処理した画像データの各連結画素領域に対応するラベルを付与する1次候補検索手段と、
    前記ラベル記憶部に記憶されたラベルのうちから前記所定画像サイズ内で近接する異なるラベルの連結画素領域同士に同一のラベルを再付与し直す2次候補検索手段と、
    前記2次候補検索工程後の各ラベルが示す前記連結画像領域を含む前記所定画像サイズの検査用画像データを順次切り出し、その検査用画像データと、前記標的辞書及び前記非標的辞書の各々とのベクトル距離を算出し、その両ベクトル距離を順次評価処理して、前記非標的辞書よりも前記標的辞書に所定評価値内で類似する検査用画像データを選定するする3次候補検索手段と、
    前記選定された検査用画像データの前記連結画素領域が前記標的細胞であると判定してその位置を特定する標的細胞特定手段とを、
    備えることを特徴とする標的細胞検索装置。
  11. 前記3次候補検索手段が、前記検査用画像データを切り出す位置を1画素ずつずらして前記所定画像サイズで複数回切り出して、そのずらして切り出した各々の前記検査用画像データごとに前記評価処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の標的細胞検索装置。
  12. 前記標的細胞特定手段が、前記3次候補検索手段で選定された前記検査用画像データの前記連結画像領域の大きさ、及び/又は真円度が所定規定値内である前記連結画像領域を前記標的細胞であると判定してその標的細胞の位置を特定することを特徴とする請求項10〜11の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  13. 前記焦点制御用光源が前記撮像用光源として兼用されていることを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  14. 前記標的細胞特定手段で前記標的細胞であると特定された前記検査用画像データと、前記標的辞書の作成に用いられた複数の前記標的用2値化画像データとを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を前記標的辞書として前記標的辞書記憶部に更新して記憶させる標的辞書学習手段をさらに備えることを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  15. 3次候補検索手段で前記選定されなかった前記検査用画像データ、又は前記標的細胞特定手段で前記標的細胞であると判定されなかった前記検査用画像データと、前記非標的辞書の作成に用いられた複数の前記非標的用2値化画像データとを合わせて主成分分析して、その固有ベクトルから得られた正規直交基底を非標的辞書として前記非標的辞書記憶部に更新して記憶させる非標的辞書学習手段をさらに備えることを特徴とする請求項10〜14の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  16. さらにディスプレイを備え、前記標的細胞特定手段が位置を特定した前記標的細胞の前記類似度、前記検査用画像データの画像、前記検査用画像データと同範囲で切り出した前記カラー画像データの画像、及びカラー画像データ全体の画像の中から選ばれる少なくとも1つを前記ディスプレイに表示可能であることを特徴とする請求項10〜15の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  17. 前記標的細胞特定後の前記平面プレート、及び特定前の前記平面プレートを各々複数枚収容することが可能なストッカと、
    このストッカと前記XYZステージとの間で前記平面プレートを搬送する搬送機構とをさらに有することを特徴とする請求項10〜16の何れかに記載の標的細胞検索装置。
  18. 検査用に採血した血液とそれを濃縮した血液との何れかの血液検体が注入される流路を有するバイオチップであって、
    前記流路は、前記血液検体中の検査すべき光学標識された標的細胞が通過可能であると共に前記標的細胞よりも大きな細胞が通過不可である隙間を有する標的細胞通過フィルターと、この標的細胞通過フィルターよりも下流に配されて前記標的細胞を前記バイオチップの外界から光学観察可能な光学観測用窓部と、この光学観測用窓部よりも下流で前記流路から分岐する前記標的細胞の回収用分岐路と、この回収用分岐路の分岐部分に配されて前記標的細胞を前記回収用分岐路に誘導するための弁とを備えることを特徴とするバイオチップ。
  19. 前記標的細胞通過フィルターが前記流路に複数配されていることを特徴とする請求項18に記載のバイオチップ。
  20. 前記弁が、熱的に制御可能な熱制御弁、電気的に制御可能な電気制御弁、又は磁気的に制御可能な磁気制御弁であることを特徴とする請求項18〜19の何れかに記載のバイオチップ。
  21. 前記光学観測窓部における前記流路が、前記標的細胞が重なり合うことなくその流路に沿って1列で通過可能な流路幅で形成されていることを特徴とする請求項18〜20の何れかに記載のバイオチップ。
  22. 前記光学観測窓部よりも上流の前記流路に、前記標的細胞を光学標識する光学標識用薬液を外界から注入するための薬液注入路が合流していることを特徴とする請求項18〜21の何れかに記載のバイオチップ。
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