JPWO2012086763A1 - 分離膜モジュールの滅菌方法、滅菌用装置および化学品製造用装置 - Google Patents

分離膜モジュールの滅菌方法、滅菌用装置および化学品製造用装置 Download PDF

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Abstract

セラミックス分離膜の破損を抑制する分離膜モジュールの滅菌方法、および該滅菌方法を実現するための滅菌処理装置、ならびに化学品製造用装置を提供する。本発明のセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールの滅菌方法は、分離膜モジュールの温度変化率が毎分6.0℃以下となるように、温度および圧力を制御した滅菌用水を供給して、所定の滅菌温度まで分離膜モジュールを昇温する昇温工程(ステップS1)と、分離膜モジュールを所定温度で所定時間滅菌する滅菌工程(ステップS2)と、を含む。

Description

本発明は、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールの滅菌方法ならびに該分離膜モジュールの滅菌方法を行う滅菌用装置および化学品製造用装置に関するものである。
セラミックスを含む分離膜(以下、本発明においてセラミックス膜と略記)は、有機高分子膜と比較して物理的強度、化学的強度に優れ、細孔径の制御が精密にできるという観点において、固液分離等の目的に好適に用いることが可能である。特に、強酸や強アルカリを用いた洗浄を行っても劣化しにくいため、分離膜の洗浄を行う頻度が多い、濁質を多く含んだ液体の処理に好適に用いることが可能である。濁質を多く含む原液の一例として、乳製品などの食品を含む溶液や、医薬品の溶液などが挙げられる。
特許文献1は、セラミックス膜を分離膜として用い、乳酸菌の連続発酵を行う技術を提案したものである。連続発酵による化学品の生産では、装置内の必要箇所を滅菌し雑菌混入(コンタミネーション)を防いだ状態で培養を行うことが要求される。しかし、特許文献1では、分離膜がセラミックス膜であるため加熱殺菌が可能である、と記載されているだけであり、その具体的な手段については言及がない。
滅菌方法の例として、火炎滅菌、蒸気滅菌、温水滅菌、紫外線滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌等の方法が例示できる。このうち、火炎滅菌、紫外線滅菌、ガンマ線滅菌は、セラミックス膜をムラなく滅菌することが困難であるため分離膜モジュールの滅菌方法としては不適である。また、分離膜モジュール内にエチレンオキサイドガス等を導入するガス滅菌は、分離膜モジュール内にガスが残存する懸念があり、濾過液の性状に影響を及ぼす可能性もあるため分離膜モジュールの滅菌方法としては不適である。そのため、セラミックス膜の滅菌方法としては蒸気滅菌、温水滅菌が好適に用いられる。
特許文献2は、セラミックス膜を用いて醸造酒の連続発酵を行う技術が紹介されている。醸造酒内に雑菌が混入することを防ぐため、セラミックス膜を蒸気滅菌して使用されることが記載されている。しかし、セラミックス膜は、耐熱温度が高い反面、急激な温度変化に弱いという欠点を有しており、滅菌に使用されるような高温の蒸気と急に接触させると、セラミックス膜が割れたり、セラミックス膜が有する分画性能が損なわれるといった問題があった。
特公平7−12303号公報 特開平6−38728号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールの破損を抑制しつつ滅菌処理を可能とする、分離膜モジュールの滅菌方法、ならびに該滅菌方法を行う滅菌用装置および化学品製造用装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを、滅菌用水を用いて滅菌する分離膜モジュールの滅菌方法であって、前記分離膜モジュールに前記滅菌用水を供給し、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で上昇するように、供給する前記滅菌用水の温度および圧力を制御して、所定の滅菌温度まで前記分離膜モジュールを昇温する昇温工程と、前記分離膜モジュールが所定の滅菌温度に達したのちに、前記分離膜モジュールを所定温度で所定時間滅菌する滅菌工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、前記分離膜モジュールの温度Tを測定する温度測定工程と、前記滅菌用水の温度Twが|T−Tw|≦30.0℃となるようにTおよび/またはTwを制御する初期温度制御工程とを含み、前記初期温度制御工程後に、前記昇温工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、上記発明において、前記温度測定工程は、前記温度Tとして処理対象の原液が供給される側である前記分離膜モジュールの1次側の温度を測定し、前記昇温工程および前記滅菌工程は、前記分離膜モジュールの1次側に前記滅菌用水を供給することを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、上記発明において、前記温度測定工程は、前記温度Tとして前記分離膜モジュールの1次側および2次側の温度のうちいずれか一方の温度Tを測定し、前記昇温工程および前記滅菌工程は、前記分離膜モジュールの1次側および2次側に前記滅菌用水を供給することを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、上記発明において、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを、滅菌用水を用いて滅菌する分離膜モジュールの滅菌方法であって、前記分離膜モジュールの処理対象の原液が供給される1次側および処理後の濾過液が集液される2次側に前記滅菌用水の供給を開始し、前記分離膜モジュールの1次側および2次側の温度が毎分6.0℃以下で上昇するように、供給する前記滅菌用水の温度および圧力を制御して、所定の滅菌温度まで前記分離膜モジュールを昇温する昇温工程と、前記分離膜モジュールの1次側および2次側が所定の滅菌温度に達したのちに、前記分離膜モジュールを所定温度で所定時間滅菌する滅菌工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、前記分離膜モジュールの1次側の温度T1および2次側の温度T2を測定する温度測定工程と、前記分離膜モジュールの1次側に供給される滅菌用水の温度Tw1、および前記分離膜モジュールの2次側に供給される滅菌用水の温度Tw2を、|T1−Tw1|≦30.0℃、および|T2−Tw2|≦30.0℃となるように、T1および/またはT2および/またはTwを制御する初期温度制御工程とを含み、前記初期温度制御工程後に、前記昇温工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の分離膜モジュールの滅菌方法は、上記発明において、前記滅菌工程後、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で降下するように、前記分離膜モジュールを冷却する冷却工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の滅菌用装置は、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを滅菌する滅菌用装置であって、前記分離膜モジュールの温度を測定する温度測定手段と、温度および圧力が制御された気相または液相の滅菌用水を生成し、前記分離膜モジュールに供給する滅菌用水制御部と、を備え、前記滅菌用水制御部は、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で上昇および降下するように、前記滅菌用水を供給することを特徴とする。
また、本発明の化学品製造装置は、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールと、上記に記載の滅菌用装置と、発酵原料を微生物による発酵培養することにより、該発酵原料を化学品を含有する発酵液に変換する発酵槽と、前記発酵槽から前記分離膜モジュールに発酵液を送液する発酵液循環手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述の分離膜モジュールの滅菌方法を実施することで、セラミックス膜を備えた分離膜モジュール内において、滅菌開始時の滅菌用水との温度差が抑制され、分離膜モジュール内の温度変化が緩やかに保たれるため、急激な温度変化に伴うセラミックス膜の破損を抑制することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。 図2は、本発明の実施の形態1で使用される分離膜モジュールの一態様を示した図である。 図3は、図2の分離膜モジュール内のモノリス膜の一態様のa)断面図およびb)側面図である。 図4は、実施の形態1にかかる滅菌処理のフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。 図6は、実施の形態1の変形例2にかかる滅菌処理のフローチャートである。 図7は、本発明の実施の形態2にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。 図8は、実施の形態2にかかる滅菌処理のフローチャートである。 図9は、実施の形態2の変形例1にかかる滅菌処理のフローチャートである。 図10は、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。 図11は、本発明の実施の形態2の変形例3にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。 図12は、本発明の実施の形態3にかかる化学品製造装置の概略図である。
(実施の形態1)
本発明に係る分離膜モジュールの滅菌方法および滅菌用装置について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る分離膜モジュールの滅菌用装置を例示するための概略図である。滅菌用装置2は、セラミックス膜を備えた分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水を流し、分離膜モジュール1を滅菌する。滅菌用装置2は、滅菌用水制御部3と、滅菌用水供給ライン4と、温度測定部5と、バルブ6と、を備える。滅菌用水制御部3と分離膜モジュール1の1次側は、滅菌用水供給ライン4によって連通されており、分離膜モジュール1の1次側の温度が測定できるような位置に温度測定部5が設けられており、滅菌用水制御部3と温度測定部5の間にバルブ6が設けられている。温度測定部5で得られた温度情報は、滅菌用水制御部3に送信され、該温度情報に基づき、滅菌用水制御部3は、滅菌用水の温度を制御する。滅菌用装置2から分離膜モジュール1に供給された滅菌用水は、滅菌用水排出ライン7を介して分離膜モジュール1の系外に排出される。なお、以下、分離膜モジュール1内の、処理対象である原液と接する側を1次側と呼び、処理後の濾過液と接する側を2次側と呼ぶ。
次に、図2および3を参照して、本実施の形態1で使用される分離膜モジュール1について説明する。図2は、本発明の実施の形態1で使用される分離膜モジュール1の一態様を示した図である。図3は、図2の分離膜モジュール1内のモノリス膜のa)断面図およびb)側面図である。
図2に示すように、分離膜モジュール1はセラミックス膜10とモジュール容器11を備えてなり、セラミックス膜10の1次側と2次側が気密かつ液密に分断されるように、O−リング12などに例示されるようなシール部材が配される。また、モジュール容器11には、処理を行う原液を供給、または分離膜モジュール1で濾過液が排出され濃縮された原液を排出する原液供給口/濃縮液排出口13aと、分離膜モジュール1内で濾過された濾過液を排出、またはセラミックス膜10を洗浄する逆洗液を供給する濾過液排出口/逆洗液供給口13bが備えられる。13a、13bとも最低1つ備えられていればよいが、高濁度液の処理に有利なクロスフロー濾過を行うためには、13aは2つ備えられていることが要求される。
1本の分離膜モジュール1に充填されるセラミックス膜10は1本以上である。モジュール容器11の内径はセラミックス膜10の充填本数などから決定しても良いが、モジュール容器11の重量や扱いやすさを考慮すると、300mm以下であることが好ましいといえる。また、複数本のセラミックス膜10を充填する場合は、セラミックス膜10同士が接触しないように、仕切りや目皿などを適宜設けて用いても良い。
分離膜モジュール1のモジュール容器11は、繰り返しの滅菌処理、すなわち高温の水または水蒸気との接触に耐えうる素材からなることが好ましく、ステンレス鋼や、熱水耐性を有する樹脂、無機材料などが例示される。
また、分離膜モジュール1の1次側と2次側は液密に封止されていることが必須であり、セラミックス膜10はそれぞれモジュール容器11内において確実にシールされていることが要求される。シールを行う方法は特に制限されないが、例えば封止剤を用いてシールする方法、セラミックス膜10とモジュール容器11の間に直接O−リング12を配する方法が考えられる。また、分離膜モジュール1の中に複数本のセラミックス膜10が充填される場合は、分離膜モジュール1内に目皿(図示なし)を設けて、目皿とセラミックス膜10の間にO−リング12を配する方法などが考えられる。
封止剤を用いる場合はエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの有機系接着剤およびセラミックス系接着剤などの無機系接着剤が例示できる。このうち、無機系接着剤は耐熱性に非常に優れており、セラミックス膜10との接着性も良好なため好適に用いられる。さらに無機系接着剤は、加熱によりガラス化するペーストに、アルミナ、ジルコニア、マグネシアなどの添加剤を加えたものであり、セラミックス膜の組成と近い組成のものを選択することで、部材同士の熱膨張係数の差が小さく出来る。これにより、滅菌用水による加熱、冷却に伴う熱膨張、収縮でのセラミックス膜10とモジュール容器11との接着剥離が起こりにくくなるため、セラミックス膜10とモジュール容器11とを接着する手段として好ましい。
また、O−リング12を用いる場合は、O−リング12の材質が滅菌温度範囲において耐熱性であることが重要である。本発明において、分離膜モジュール1の滅菌温度は通常121℃以上であり、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などが好ましい材質として例示可能である。なお、滅菌用水を気相として、セラミックス膜10に透過させたい場合は、滅菌温度がさらに高温、高圧になることもあるので、その点に留意したO−リング12の材質選定を行うことが要求される。
次に、本発明において分離膜として用いられるセラミックス膜10について詳細に説明する。
本発明におけるセラミックスの定義とは、金属酸化物を含有し、高温での熱処理により焼き固められたものとする。金属酸化物としては、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどが例示できる。分離膜は金属酸化物のみから形成されてもよく、シリカや炭化珪素、シリカと金属酸化物の化合物であるムライトやコージェライトなどを含んでもよい。分離膜を形成するセラミックス以外の成分は、分離膜としての多孔質体をなすことができるものであれば特に限定されない。例としては金属、樹脂、ガラスなどが挙げられるが、ほとんどの樹脂は焼結条件が融点よりも高温になるため、金属やガラスを用いることが好ましい。
実施の形態1で使用する分離膜モジュール1内のセラミックス膜10は、図2および3に示すようなモノリス膜である。セラミックス膜10をモノリス膜とすることにより、モジュール容器11内へのセラミックス膜10の充填効率が向上する。セラミックス膜10として、モノリス膜以外にも、平膜、管状膜なども使用することが可能である。
モノリス膜であるセラミックス膜10は、少なくともセラミックスを含むセラミックス基材20に、その長手方向に貫通孔21が複数設けられている。モノリス膜はこのような構造をとることで1つのモノリス膜あたりの流路面積が大きくできるため、分離膜モジュール1の形成しやすさおよび流路面積の確保のいずれの点でも有利となる。
セラミックス基材20の端面および貫通孔21の表面に、分離機能層22が積層されたセラミックス膜10も好ましい。分離機能層22を積層させることによって、セラミックス膜10の表面孔径がより精密に制御されるようになり、濾過すべき物質のみをより正確に濾過、分離できるようになる。分離機能層22をセラミックス基材20の端面にも積層することで、濾過すべきでない物質がモノリス膜の端面から濾過されてしまい、濾液の中に混入するといった問題を未然に防止できるようになる。
さらに、モノリス膜には集水スリット23が1つ以上備えられ、集水スリット23と連通する集水孔24は、セラミックス基材20の端面において原液が入らないようにふさがれるように形成されてもよい。このとき、処理する原液はモノリス膜の貫通孔21を通り、分離機能層22を経て濾過され、濾過液として集水孔24に集液される。モノリス膜内部の集水孔24は、外部の集水スリット23と集水スリット連通孔25にて連通され、濾過液は集水孔24から集水スリット23を経て、分離膜モジュール1の2次側に集液される。モノリス膜の端部において、貫通孔の一部をふさいでしまうことにより、単位体積あたりの分離膜面積は減少するが、濾過液が各貫通孔から分離膜を経て2次側に濾過されるまでの経路がスリットを設けないものよりも短くなるため、通液抵抗を落とすことが可能となる。貫通孔21と集水孔24の数量比については特に規定されない。
セラミックス膜10の気孔率は特に規定されないが、低すぎると濾過効率が悪くなり、高すぎると強度が低下してしまう。濾過効率と分離膜の強度を両立させ、繰り返し滅菌できる耐久性も持たせるためには、20%以上60%以下であることが好ましい。
なお気孔率は、以下の式より決定される。
気孔率[%]=(100×(湿潤膜重量[g]−乾燥膜重量[g]))/(水比重[g/cm]×膜体積[cm])
ここで、湿潤膜とは、孔内は純水が満たされているが、中空部内には純水が入っていない状態の膜を指し、乾燥膜は、孔内に純水が含まれていない状態の膜を指す。膜体積は、分離膜の占める体積から、中空部分の占める体積を差し引いて求められる。
セラミックス膜10の純水透水性能は、要求される濾過液量、処理原液の性状から適切な値を定めてよい。セラミックス膜10の平均気孔径についても、処理原液の性状、濾過液の要求性状から適切な値を定めてよい。
実施の形態1で使用するセラミックス膜10は、セラミックス基材20上に分離機能層22を1層積層したものであるが、分離機能層22は2層以上積層したものであってもよい。孔径の異なる分離機能層を2層以上積層することにより、セラミックス膜10全体としての平均気孔径が調節されるだけでなく、分離膜表面に親水性の層を設け、耐汚れ性を向上させることなども可能となる。分離機能層22の厚みは特に限定されないが、1μm未満では強度が不十分となるため好ましくなく、200μmを超えると透水性能が悪化するため好ましくない。よって、分離機能層22を設ける際には、その厚みは1μm以上200μm以下であることが好ましい。このセラミックス膜10の分離機能層22は、前述のアルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどにより形成されることが好ましく、チタニアは特に耐汚れ性に優れるため、特に好適に用いることが出来る。
モノリス膜のセラミックス基材20は、製造のしやすさを考慮して、その長手方向に垂直な断面の形状が円形又は多角形であることが好ましく、多角形である場合はモジュール内の充填効率からも正多角形が特に好ましく、その中でも正三角形、正方形、正六角形などの1種類の図形で隙間なく敷き詰めることが可能な正多角形であることがさらに好ましい。また、セラミックス基材20の外径は10mm以上300mm以下が好ましく、20mm以上250mm以下がより好ましく、30mm以上200mm以下がさらに好ましい。セラミックス基材20が多角柱である場合は、端面が三角形であれば、端面の外心円の直径を外径とし、端面が三角形以外の多角形であれば、任意の2つの頂点同士を結んだ線分の中で、最長となるものの長さを外径とする。セラミックス基材20の外径が10mm未満では形成できる貫通孔数が少なくなり、300mmを超えると製造が困難となる。また、セラミックス基材20の長手方向の長さは20mm以上2000mm以下が好ましく、30mm以上1700mm以下がより好ましく、40mm以上1500mm以下がさらに好ましい。セラミックス基材20の長手方向の長さが20mm未満ではセラミックス膜10の1本あたりの膜面積が小さくなり、2000mmを超えると製造、取り扱いが困難となる。
また、単位体積当たりの膜面積と強度を考慮して、モノリス膜のセラミックス基材20に設ける貫通孔21の数(集水孔24の数を含む)は10個以上5000個以下が好ましく、30個以上2000個以下がさらに好ましい。貫通孔21の数が5000個を超えると製造が困難で強度も低下するため好ましくない。
貫通孔21の形状は、円、楕円、多角形や星形などの形状から好適に選ぶことが可能であり、その相当直径は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。本発明において貫通孔21の相当直径とは、貫通孔21の断面が円である場合には内側の直径(内径)とし、貫通孔21の断面が円でない場合には、断面と同一の面積を有する円を描き、その円の直径を相当直径とする。
上記のような分離膜モジュール1を使用して濾過処理を行う際、濾過処理開始前、または濾過処理中の任意の段階で、本実施の形態1にかかる分離膜モジュールの滅菌方法により滅菌処理を行うことができる。濾過処理中に分離膜モジュールを滅菌する際には、処理原液の供給を止め、分離膜モジュール内を洗浄してから滅菌することが好ましい。分離膜モジュールの洗浄には滅菌用水を用いてよく、滅菌用水の温度は後述される温度制御の方法に沿って制御することが好ましい。
図4を参照して、実施の形態1にかかる分離膜モジュール1の滅菌方法を説明する。図4は、実施の形態1にかかる分離膜モジュール1の滅菌処理を説明するフローチャートである。
実施の形態1にかかる分離膜モジュール1の滅菌方法では、分離膜モジュール1の1次側の温度変化率△T1が毎分6.0℃以下となるように、滅菌用水制御部3により温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側に供給して、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の滅菌温度まで昇温させる(ステップS1)。温度変化率△T1が毎分6.0℃以下であれば、セラミックス膜10の劣化を抑制する効果が高いことを、本発明の発明者は検討の末に見出した。よって、分離膜モジュール1の1次側の温度T1を温度測定部5により測定しながら、滅菌用水制御部3に温度情報をフィードバックし、△T1が毎分6.0℃以下になるように滅菌用水の温度を制御することで、分離膜モジュール1中のセラミックス膜10の破損を抑制することができる。
温度変化率△T1の下限値は特に限定されないが、△T1が小さすぎると、セラミックス膜10の滅菌に時間がかかりすぎる、△T1の制御が困難になる等の問題が考えられる。よって、△T1は毎分0.01℃以上となるように、滅菌用水制御部3において滅菌用水の温度が制御されることが好ましい。
また、分離膜モジュール1の昇温(および降温時)における△T1は、一定であるように制御されてもよく、変動するように制御してもよい。△T1を変動させる場合でも、分離膜モジュール1の瞬間的な温度変化率は、毎分6.0℃以下に相当するように制御されることが要求される。
分離膜モジュール1内で滅菌用水が100℃以上になる場合は、分離膜モジュール1内を陽圧状態にすることが要求される。このとき、分離膜モジュール1内の圧力を管理するための方法として、滅菌用水供給ライン4に圧力計測部を設けて、圧力計測部で計測された圧力データを滅菌用水制御部3に送り、滅菌用水制御部3における圧力制御にフィードバックさせる方法が好ましく用いられる。
分離膜モジュール1に供給する滅菌用水は、液相または気相状態のいずれかの状態をとり、温度、圧力が制御されている滅菌された水のことを指す。滅菌用水にはイオン交換水、逆浸透膜透過水、蒸留水、またはそれと同程度の清浄性を有する水を用いることが好ましい。
滅菌用水制御部3は、滅菌用水を液相または気相状態とし、所定の温度および圧力に制御する。滅菌用水を得るためには、イオン交換水、逆浸透膜透過水、蒸留水などを予め滅菌し、その後に所定の温度、圧力を有する液相または気相の水となるように処理をしてもよく、イオン交換水、逆浸透膜透過水、蒸留水などを予め所定の温度、圧力を有する液相または気相の水となるように処理し、その後に滅菌フィルター等を通して滅菌処理するようにしてもよい。
滅菌用水制御部3としては、水をヒーターで加熱してもよく、広く一般的に知られているボイラーを用いることもできる。温度制御、圧力制御を行う方法としては、前述のボイラーに機能を付与させてもよく、別途熱交換器やコンプレッサー、加圧ポンプ等を設けてもよい。温度制御に関しては、加熱だけでなく冷却工程にも適用できるものが好適に用いられる。
滅菌用水制御部3により温度および圧力が制御された滅菌用水は、滅菌用水供給ライン4を介して分離膜モジュール1の1次側に供給される。本実施の形態1では分離膜モジュール1は鉛直に立てられており、滅菌用装置2を分離膜モジュール1の上部に配置して、上部から滅菌用水を供給している。滅菌用水を主として気相状態で分離膜モジュール1に供給する場合、本実施の形態1のように上部から滅菌用水を供給することで、滅菌用水の凝縮等により生じるドレンが鉛直下向きに排出されて、分離膜モジュール1内でのドレンの滞留が発生しにくく、滅菌不良を防止できる。
一方、滅菌用水を液相として分離膜モジュール1に供給する場合、図5に示すように滅菌用水が分離膜モジュール1の下から供給されるように滅菌用装置2を配することで、供給した滅菌用水により分離膜モジュール1内に存在する気体を上方に押し出すことができ、分離膜モジュール1内での気体の滞留が発生しにくいことから、滅菌不良が起こりにくくなるため好ましい。
分離膜モジュール1が所定の滅菌温度に達したのちに、分離膜モジュール1を所定温度で所定時間滅菌する(ステップS2)。水蒸気を用いた滅菌においては、通常は滅菌温度が121℃、滅菌時間が15分から20分であるが、分離膜モジュール1に要求される滅菌のレベルなどに応じて、滅菌温度および滅菌時間を適宜変更してもよい。温度を保持しやすくするために、分離膜モジュール1に滅菌用水を供給し続けることが好ましいが、滅菌条件を満たすことができれば、滅菌用水の供給を停止して滅菌処理を行ってもよい。
滅菌処理の終了後、△T1が毎分6.0℃以下となるように制御しながら、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の温度まで冷却する(ステップS3)。分離膜モジュールの冷却時間を短縮するためには、滅菌用水制御部3により温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側に供給して、△T1を毎分6.0℃以下としてT1を降下させることが好ましい。
以上のようにして分離膜モジュール1の滅菌処理を行うことにより、分離膜モジュール1内の温度変化が緩やかに保たれるため、急激な温度変化に伴うセラミックス膜10の破損を抑制することが可能となる。
一方、濾過処理に用いられた後の分離膜モジュール1を滅菌する場合には、表面および細孔内に濁質などが付着していることがあるため、分離膜モジュール1を洗浄してから滅菌することが好ましい。このとき、分離膜モジュール1の洗浄を、例えば80℃程度の洗浄液により行う場合がある。このような洗浄を行った後、分離膜モジュールの温度は洗浄液の温度と同程度になっていることから、直後に分離膜モジュール1に常温(20〜30℃)の滅菌用水を供給すると、滅菌用水の供給によりセラミックス膜10が急激な温度変化にさらされて破損等を生じる場合がある。このような場合には、供給開始時の滅菌用水の温度を制御する必要がある。以下、図6を参照して、実施の形態1の変形例2にかかる分離膜モジュール1の滅菌方法を説明する。図6は、実施の形態1の変形例2にかかる分離膜モジュール1の滅菌処理を説明するフローチャートである。
変形例2にかかる分離膜モジュール1の滅菌方法では、まず、分離膜モジュール1の1次側の温度T1を測定する(ステップS11)。分離膜モジュールの1次側の温度T1を測定するためには、分離膜モジュール1の1次側に連通するように温度測定部5を設けてもよいが、セラミックス膜10の1次側に温度測定部5が接するように配すると、セラミックス膜10の1次側の温度を得ることができ、セラミックス膜10の破損を抑制するための高精度な指標となるため好適である。
次に、分離膜モジュール1に供給する滅菌用水の温度Twと、前記温度測定工程で測定した分離膜モジュール1の1次側温度T1との絶対温度差|T1−Tw|が、30.0℃以下となるように、滅菌用水の温度Twおよび/または分離膜モジュール1の1次側温度T1の温度を制御する(ステップS12)。この工程により、滅菌用水と分離膜モジュール1内のセラミックス膜10が接触した場合の温度差が小さくなり、セラミックス膜10の急激な温度変化による損傷を抑制することが可能となる。
|T1−Tw|の好適な範囲は、分離膜モジュールの大きさ、滅菌対象箇所の容積、セラミックス膜10の素材、空隙率等の様々な要因により適宜定められるが、一般的に用いられるセラミックス膜10を備えた分離膜モジュール1であれば、|T1−Tw|≦30.0℃であればよい。好ましくは|T1−Tw|≦20.0℃であり、さらに好ましくは|T1−Tw|≦10.0℃であればよい。なお、|T1−Tw|=0℃であることがセラミックス膜10の損傷リスクを軽減する上では最良であるが、|T1−Tw|を0℃に制御することが困難である場合などは、|T1−Tw|を前述の値の範囲内に収めるようにすればよい。
滅菌用水の温度Twは、滅菌用水制御部3により制御しうるため、滅菌用水の温度Twを制御して|T1−Tw|を30.0℃以下とすることが好ましいが、分離膜モジュール1の周辺温度を制御することにより、|T1−Tw|を30.0℃以下としてもよい。
滅菌用水制御部3により所定温度Twに制御された滅菌用水は、滅菌用水供給ライン4を介して分離膜モジュール1の1次側に供給される。
滅菌用水の温度Twと分離膜モジュール1の1次側の温度T1とが、|T1−Tw|≦30.0℃となった後、分離膜モジュール1への滅菌用水の供給を開始し、分離膜モジュール1の1次側の温度変化率△T1が毎分6.0℃以下となるように、滅菌用水制御部3により温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側に供給して、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の滅菌温度まで昇温させ(ステップS13)、分離膜モジュール1が所定の滅菌温度に達したのちに、分離膜モジュール1を所定温度で所定時間滅菌する(ステップS14)。
滅菌処理の終了後、△T1が毎分6.0℃以下となるように、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の温度まで冷却する(ステップS15)。
以上のようにして分離膜モジュール1の滅菌処理を行うことにより、分離膜モジュール1内の温度変化が緩やかに保たれるため、急激な温度変化に伴うセラミックス膜10の破損を抑制することが可能となる。
なお、以上の滅菌処理において、分離膜モジュール1の1次側に供給された滅菌用水は、滅菌用水排出ライン7から排出される。実施の形態1では、滅菌用水を気相で供給するため、滅菌用装置2を分離膜モジュール1の上部に、滅菌用水排出ライン7を分離膜モジュール1の下部に配しているが、滅菌用水を液相で供給する場合、図5に示すように、滅菌用装置2Aを分離膜モジュール1の下部に、滅菌用水排出ライン7を分離膜モジュール1の上部に配置すると、滅菌不良抑制と、滅菌用水の排出効率の向上が両立できるため好ましい。
また、滅菌用水を分離膜モジュール1から排出する際に、再度滅菌用水制御部3に返送してもよい。滅菌用水は分離膜モジュール1に連続的に供給されるため、滅菌用水を滅菌用水制御部3に返送することにより、滅菌用水の温度及び圧力制御に必要とされるエネルギーが削減できるため好ましい。滅菌用水を返送するためには、分離膜モジュール1の滅菌用水排出ライン7と、滅菌用水制御部3とを、滅菌用水返送用ライン(図示なし)で接続することにより、滅菌用水の再利用が可能となる。
なお、滅菌用水を返送する際には、滅菌用水返送用ラインの途中にフィルターを設けて、滅菌用水の汚れを取り除いた後に滅菌用水制御部3に返送されるようにしても良い。さらに、排出される滅菌用水の濁度が高い場合を想定して、滅菌用水排出ライン7と、滅菌用水返送用ラインを併設するとともに、排出される滅菌用水が高濁度である場合には、滅菌用水排出ライン7を介して系外に排出し、排出される滅菌用水の濁度が低濁度である場合は滅菌用水返送用ラインを介して滅菌用水制御部3に返送してもよい。排出される滅菌用水の濁度を濁度計で計測し、得られた濁度のデータを電磁弁にフィードバックし、電磁弁の開閉によって滅菌用水排出ラインと滅菌用水返送用ラインを切り替える手法も好適に用いられる。
本実施の形態1では、分離膜モジュール1の1次側の温度T1を測定しているが、T1を直接測定できない場合は、測定対象と同じスペックのセラミックス膜10を用意して、T1と分離膜モジュール1外表面の任意の点の温度Toの相関を予め調べておき、実際に滅菌処理をする際には、Toを測定して、相関からT1を逆算する手法をとってもよい。または、事前に恒温した水を分離膜モジュール1に通水をし、分離膜モジュール1を一定の温度とし、その恒温水の温度をもって分離膜モジュール1の温度Tとみなしても良い。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる滅菌用装置は、2つの滅菌用水供給ラインを有し、該2つの滅菌用水供給ラインにより、分離膜モジュールの1次側および2次側に滅菌用水をそれぞれ供給する点で実施の形態1と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態2について説明する。図7は、本発明の実施の形態2にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。
滅菌用装置2Bは、分離膜モジュール1の1次側および2次側に、温度および圧力を制御した滅菌用水をそれぞれ供給する滅菌用水制御部3aおよび3bと、分離膜モジュール1の1次側および2次側の温度を計測する温度測定部5aおよび5bと、分離膜モジュール1の1次側および2次側滅菌用水供給ライン4aおよび4bとを備える。
実施の形態2にかかる分離膜モジュール1の滅菌方法を、図8を参照して説明する。図8は、実施の形態2にかかる分離膜モジュール1の滅菌処理を説明するフローチャートである。
実施の形態2では、分離膜モジュール1の1次側温度変化率△T1および2次側温度変化率△T2が毎分6.0℃以下となるように、滅菌用水制御部3aおよび3bにより温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側および2次側に供給して、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の滅菌温度まで昇温させる(ステップS21)。セラミックス膜10の△T1、△T2はそれぞれ独立に制御してもよいが、セラミックス膜10の1次側温度T1と2次側温度T2について、|T1−T2|を0に近づけるように△T1、△T2をそれぞれ制御することが好ましい。
分離膜モジュール1に滅菌用水を供給し始めた後も、分離膜モジュール1中のセラミックス膜10の温度変化を緩やかに保つことで、温度変化によるセラミックス膜10の劣化、損傷の懸念が抑制される。
分離膜モジュール1が所定の滅菌温度に達したのちに、分離膜モジュール1を所定温度で所定時間滅菌する(ステップS22)。分離膜モジュール1を所定温度に保持するために、所定温度および所定圧力の滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側および2次側に供給して滅菌処理することが好ましい。
滅菌処理の終了後、分離膜モジュールの△T1、△T2が毎分6.0℃以下となるように、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の温度まで冷却する(ステップS23)。冷却時間の短縮のために、滅菌用水制御部3aおよび3bにより温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側および2次側に供給して、分離膜モジュール1を冷却することが好ましい。
本実施の形態2では、滅菌用水を分離膜モジュールの1次側および2次側のそれぞれに供給し、セラミックス膜10全体の温度を均一に近づけながら滅菌を行うことで、セラミックス膜10が破損する懸念がさらに抑制できる。
また、分離膜モジュール1の1次側および2次側に供給する滅菌用水の供給開始時の温度を制御して滅菌処理を行うことが好ましい。図9は、実施の形態2の変形例1にかかる分離膜モジュール1の滅菌処理を説明するフローチャートである。
変形例1では、分離膜モジュール1の1次側および2次側の温度T1、T2を測定し(ステップS31)、分離膜モジュール1の1次側に供給する滅菌用水の温度Tw1と、分離膜モジュール1の1次側温度T1との絶対温度差|T1−Tw1|、および分離膜モジュール1の2次側に供給する滅菌用水の温度Tw2と、分離膜モジュール1の1次側温度T2との絶対温度差|T2−Tw2|とが、ともに30.0℃以下となるように、滅菌用水の温度Tw1、Tw2、および/または分離膜モジュール1の1次側温度T1、2次側温度T2の温度を制御する(ステップS32)。この工程により、滅菌用水と分離膜モジュール1内のセラミックス膜10が接触した場合の温度差が小さくなり、セラミックス膜10の急激な温度変化による損傷を抑制することが可能となる。
ここで、分離膜モジュール1の1次側と2次側の温度差を抑えるために、滅菌開始時および滅菌用水が分離膜モジュールに供給されている間のTw1とTw2をなるべく近い値にするよう制御したり、T1の温度変化率△T1と、T2の温度変化率△T2をなるべく近い値にするよう制御することが好ましい。図10に示すように滅菌用水制御部3を分離膜モジュールの1次側と2次側で共用すると、Tw1=Tw2となるだけでなく、滅菌用水の温度、圧力制御のコストを抑える効果もあるためさらに好ましい。図10は、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。また、滅菌用装置2Cにおいて、温度測定部5aおよび5bのいずれか一方により、分離膜モジュール1のT1またはT2を計測し、|T1−Tw1|または|T2−Tw2|が30.0℃以下となるように制御したのちに滅菌用水を供給しても、同様の効果を得ることができる。
滅菌用水制御部3aおよび3bにより所定温度Tw1およびTw2に制御された滅菌用水は、滅菌用水供給ライン4aおよび4b、ならびにバルブ6aおよび6bを介して分離膜モジュール1の1次側および2次側にそれぞれ供給される。
滅菌用水の温度Tw1およびTw2と、分離膜モジュール1の1次側の温度T1および/またはT2とが、|T1−Tw1|≦30.0℃、|T2−Tw2|≦30.0℃となった後、分離膜モジュール1に滅菌用水の供給を開始し、△T1および△T2が毎分6.0℃以下となるように、滅菌用水制御部3aおよび3bにより温度および圧力を制御した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側および2次側に供給して、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の滅菌温度まで昇温させる(ステップS33)。
分離膜モジュール1が所定の滅菌温度に達したのちに、分離膜モジュール1を所定温度で所定時間滅菌し(ステップS34)、滅菌処理の終了後、分離膜モジュールの△T1、△T2が毎分6.0℃以下となるように、分離膜モジュール1のセラミックス膜10の温度を所定の温度まで冷却する(ステップS35)。
また、分離膜モジュールの1次側および2次側に滅菌用水を供給するための別の方法として、滅菌用水を分離膜モジュールの1次側または2次側のいずれかに供給したのちに、滅菌用水をセラミックス膜10に透過させてもよい。図11は、本発明の実施の形態2の変形例3にかかる分離膜モジュールの滅菌用装置の概略図である。
本発明の実施の形態2の変形例3では、滅菌用装置2Dは、温度および圧力を調整した滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側に供給している。分離膜モジュール1の1次側および2次側には、滅菌用水排出ライン7aおよび7bがそれぞれ設けられている。滅菌用水供給ライン4上には、滅菌用水制御部3とバルブ6の間に滅菌用水供給ポンプ8が設置されている。
分離膜モジュール1内の1次側に滅菌用装置2Dから滅菌用水が供給されると、滅菌用水排出ライン7aを介して滅菌用水が系外に排出される。また、滅菌用水供給ポンプ8の駆動により、1次側に供給された滅菌用水を加圧し、該圧力により滅菌用水を2次側に濾過する。2次側に濾過された滅菌用水は、滅菌用水排出ライン7bを介して系外に排出される。
変形例3では、滅菌用水がセラミックス膜10を透過することにより、セラミックス膜10の細孔内部まで滅菌用水が行き渡るため、滅菌効率をさらに高めることができる。滅菌用水をセラミックス膜10に透過させる方法としては、上記のように滅菌用水供給ポンプ8を用いて加圧する方法のほか、2次側から滅菌用水を排出する滅菌用水排出ライン7bに吸引ポンプを設置して該吸引ポンプにより滅菌用水を吸引して2次側に透過させる方法が例示される。
このとき、滅菌用水が液相の場合と気相の場合では、セラミックス膜10の透過しやすさに差異があり、気相のほうがより高い圧力をかけることが要求される。液相の場合と気相の場合では操作に多少の差異が生じるため、場合を分けて順に述べる。ここでは便宜上、分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水を供給するものとする。分離膜モジュール1のT2を測定し、分離膜モジュール1の2次側に滅菌用水を供給する場合は、以下事例の1次側と2次側を入れ替えて考えればよい。
滅菌用水が液相の場合は、濾過に必要な圧力がかかるように滅菌用水を供給すればよい。この場合は、滅菌用水を供給する前に、少なくとも分離膜モジュール1の1次側の温度T1を測定し、|T1−Tw|≦30.0℃となるようにTwを制御したのちに、分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水を供給する。
分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水を供給しながら、1次側から加圧または/および2次側から吸引することで滅菌用水をセラミックス膜10に透過させる。滅菌用水の温度変化率や、分離膜モジュール1の2次側の滅菌用水の排出については、前述の滅菌方法に準じるものとする。
分離膜モジュール1が所定の温度に達したのち、温度保持により滅菌する工程において、温度を保持しやすくするために、滅菌用水を1次側に供給し、供給された滅菌用水を2次側に透過させ続けることが好ましい。所定の時間保持したのちの降温工程についても前述の滅菌方法に準じる。
滅菌用水が気相の場合は、気相の滅菌用水は飽和状態、不飽和状態のいずれの状態で用いてもよい。参考までに、平均気孔径が0.2μmのアルミナ製セラミックス膜の場合は、およそ400kPaの圧力をかけると滅菌用水は分離膜モジュール1の1次側から2次側に透過する。これは145℃程度の水蒸気の飽和水蒸気圧に相当する。
気相かつ飽和状態の滅菌用水をセラミックス膜10に透過させる場合は、予め分離膜モジュール1の1次側および2次側に滅菌用水を供給しながらセラミックス膜10を昇温させる。昇温させるために供給する滅菌用水は気相、液相を問わないが、気相と液相では好ましい配管の態様が異なるため、気相の滅菌用水を供給することが好ましい。このとき、滅菌用水の初期温度および温度変化率の制御は、前述した1次側、2次側の双方に滅菌用水を供給する滅菌方法に準じて行う。
セラミックス膜10が十分に昇温し、滅菌用水の圧力がセラミックス膜の透過に十分となったら、分離膜モジュール1の1次側のみに滅菌用水を供給し、セラミックス膜10の1次側から2次側に向けて滅菌用水を透過させればよい。温度保持のために滅菌用水を透過させ続けることが好ましく、降温工程については昇温工程と同様に、1次側、2次側の双方に滅菌用水を供給する滅菌方法に準じて行う。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる連続発酵による化学品製造装置について説明する。図10は、本発明の実施の形態3にかかる化学品製造装置の概略図である。
化学品製造装置200は、セラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュール1と、実施の形態2の変形例1にかかる滅菌用装置2Cと、発酵原料を微生物の発酵培養により化学品を含有する発酵液への変換を行う発酵槽100と、発酵槽100から分離膜モジュール1に発酵液を送液する発酵液循環手段である循環ポンプ101とを備える。化学品製造装置200は、発酵槽100で発酵により化学品を製造し、製造した化学品を含む発酵液を分離膜モジュール1で濾過しながら、未濾過液を発酵槽100に還流させて連続的に発酵を行う連続発酵装置である。化学品製造装置200には、分離膜モジュール1の1次側および2次側上部に滅菌用水をそれぞれ供給する滅菌用装置2Cが接続されているが、上記で説明した滅菌用装置2、2Aおよび2B等を接続して分離膜モジュール1の滅菌を行うことも可能である。
連続発酵を開始する前に、分離膜モジュール1を含む化学品製造装置200の系内全体を、滅菌処理する必要がある。分離膜モジュール1の滅菌は、図示する実施の形態2の方法のほか、前述の他の方法により実施してよい。分離膜モジュール1以外の化学品製造装置200の系内は、蒸気滅菌や温水滅菌等で滅菌することができる。このとき、分離膜モジュール1とそれ以外の箇所の間にバルブ(図示なし)等を設けて水蒸気や温水を遮断できるようにしておき、セラミックス膜10が急激に温度変化しないように制御することが好ましい。なお、本発明の化学品製造装置においては、滅菌処理は連続発酵開始前にのみ行い、連続発酵の最中には行わない。
化学品製造装置200の系内全体を滅菌したのちに、連続発酵による化学品の製造を開始する。発酵槽100内での連続発酵は、必要に応じて培地供給ポンプ107によって培地を発酵槽100に供給し、必要に応じて、攪拌装置103で発酵槽100の中の発酵液を攪拌し、また、必要に応じてpHセンサー・制御装置104および中和剤供給ポンプ108によって中和剤を供給し、発酵液のpHを調節することや、必要に応じて、発酵槽気体供給装置115によって適切な気体を供給することにより、高い生産性を維持しながら行われる。
また、発酵の進行に伴い、発酵槽100内の内圧が上昇することがある。発酵槽気体供給装置115を用いて気体を供給する場合、発酵槽100の内部は陽圧であると供給された気体が発酵液に溶解しやすくなるため好ましいが、過度な陽圧になると発酵槽100が破損するため、内圧を発酵槽圧力調整バルブ116および発酵槽圧力計117により制御することが好ましい。
さらに、発酵槽100内の発酵液は、循環ポンプ101によって分離膜モジュール1と発酵槽100の間を循環する。化学品を含む発酵液は、分離膜モジュール1によって微生物と化学品を含む濾過液に濾過・分離され、化学品製造装置200から取り出すことができる。また、濾過・分離された微生物は装置系内にとどまるため、装置系内の微生物濃度を高く維持することができ、生産速度の高い発酵生産が可能となる。
ここで、分離膜モジュール1による濾過・分離には、循環ポンプ101による圧力によって、特別な動力を使用することなく実施可能であるが、必要に応じて濾過ポンプ109を設け、差圧センサー106によって発酵液量を適当に調整することができる。このとき、膜間差圧を500kPa以下の範囲にして濾過処理することが重要である。膜間差圧とは、セラミックス膜の1次側と2次側の圧力差のことであり、膜間差圧が前述の範囲を外れた場合、微生物および培地成分の目詰まりが急速に発生し、透過水量の低下を招き、連続発酵に不具合を生じることがある。膜間差圧の調整は、濾過ポンプ109の吸引圧力、装置系内に導入する気体または液体等の圧力制御により行われてもよい。
必要に応じて、温度制御装置102によって、発酵槽100の温度を微生物/培養細胞が活性化する温度に維持することができるため、微生物濃度を高く維持することができる。なお、発酵液が分離膜モジュール1内に通液される状態においては、発酵液の温度変化率も毎分6.0℃以下で制御されることが好ましい。
さらに、分離膜モジュール1を逆洗できるように、2次側に逆洗用配管を設け、必要に応じて、逆洗ポンプ111を用いて逆洗液を投入させてもよい。逆洗とは、セラミックス膜の2次側から1次側へ液体を透過させることにより、膜面の汚れ物質を除去する方法である。この際、分離膜濾過が行われる際には逆洗バルブ112を閉め、逆洗ポンプ111を止めるとともに、濾過バルブ110を開け、濾過ポンプ109を作動させ、分離膜濾過を行わないときには、濾過バルブ110を閉め、濾過ポンプ109を止めるとともに、逆洗バルブ112を開け、逆洗ポンプ111を作動させることで逆洗を行うこともできる。また、配管気体供給制御バルブ113と配管スクラビング気体供給装置114を用いることにより、分離膜モジュール1内部に気体を供給して、分離膜表面に堆積した詰まり物質の洗浄を行うこともできる。配管気体供給制御バルブと配管スクラビング気体供給装置は必要に応じてタイマーや制御装置によって制御され、スクラビング気体の供給を制御する。また必要に応じて、差圧センサー106によって分離膜モジュール1の差圧を測定し、必要に応じて、配管気体供給制御バルブを調整することができる。
(連続発酵に用いられる微生物について)
連続発酵で使用される微生物や培養細胞の発酵原料、すなわち変換前物質は、発酵培養する微生物や培養細胞の生育を促し、目的とする発酵生産物である化学品を良好に生産させ得るものであればよい。発酵原料としては、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、および必要に応じてアミノ酸、およびビタミンなどの有機微量栄養素を適宜含有する通常の液体培地等が好ましく用いられる。前記発酵培養する微生物や培養細胞の生育を促し、目的とする発酵生産物である化学品を良好に生産させ得るものを一部含む液体であれば、例えば廃水または下水も、そのまま、または発酵原料を添加して使用してもよい。
上記の炭素源としては、例えば、グルコース、シュークロース、フラクトース、ガラクトースおよびラクトース等の糖類、これら糖類を含有する澱粉、澱粉加水分解物、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ケーンジュース、甜菜糖蜜またはケーンジュースからの抽出物もしくは濃縮液、甜菜糖蜜またはケーンジュースの濾過液、シラップ(ハイテストモラセス)、甜菜糖蜜またはケーンジュースからの精製もしくは結晶化された原料糖、菜糖蜜またはケーンジュースからの精製もしくは結晶化された精製糖、更には酢酸やフマル酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類、およびグリセリンなどが使用される。ここで糖類とは、多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基またはケトン基をひとつ持ち、アルデヒド基を持つ糖をアルドース、ケトン基を持つ糖をケトースと分類される炭水化物のことを指す。
また、上記の窒素源としては、例えば、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば、油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカー、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物などが使用される。
また、上記の無機塩類としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩およびマンガン塩等を適宜使用することができる。
微生物の発酵条件は、通常、pHが3〜8で温度が20〜65℃の範囲で行うことができる。発酵液のpHは、無機の酸あるいは有機の酸、アルカリ性物質、さらには尿素、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよびアンモニアガスなどによって、上記範囲内のあらかじめ定められた値に調節される。
連続発酵で使用される微生物や培養細胞としては、真核細胞または原核細胞が用いられ、例えば、発酵工業においてよく使用されるパン酵母などの酵母、大腸菌、乳酸菌、コリネ型細菌などのバクテリア、糸状菌、放線菌、動物細胞および昆虫細胞などが挙げられる。使用する微生物や細胞は、自然環境から単離されたものでもよく、また、突然変異や遺伝子組換えによって一部性質が改変されたものであってもよい。
真核細胞の最も際立った特徴は、細胞内に細胞核(核)と呼ばれる構造を持ち、細胞核(核)を有さない原核生物とは明確に区別される。本発明では、その真核細胞のうちで更に好ましくは酵母を好ましく用いることができる。本発明において好適な酵母としては、例えば、サッカロミセス属(Genus Saccharomyces)に属する酵母とサッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)に属する酵母が挙げられる。
原核細胞の最も際立った特徴は、細胞内に細胞核(核)と呼ばれる構造をもたないことであり、細胞核(核)を有する真核生物とは明確に区別される。本発明では、その原核細胞のうちで乳酸菌を好ましく用いることができる。
化学品製造装置で得られる化学品、すなわち変換後物質は、上記の微生物や培養細胞が発酵液中に生産する物質である。化学品としては、例えば、アルコール、有機酸、アミノ酸および核酸など発酵工業において大量生産されている物質を挙げることができる。また、この化学品製造装置は、酵素、抗生物質および組換えタンパク質のような物質の生産に適用することも可能である。例えば、アルコールとしては、エタノール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよびグリセロール等が挙げられる。また、有機酸としては、酢酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸およびクエン酸等を挙げることができ、核酸であればイノシン、グアノシンおよびシチジン等を挙げることができる。
また、化学品製造装置で得られる変換後物質は、化成品、乳製品、医薬品、食品または醸造品のうち、少なくとも1種を含む流体物、または排水であることが好ましい。ここで化成品としては、例えば、有機酸、アミノ酸および核酸のように、膜分離濾過後の工程により化学製品を作ることに適用可能な物質、乳製品としては、例えば、低脂肪牛乳など、膜分離濾過後の工程により乳製品として適用可能な物質、医薬品としては、例えば、酵素、抗生物質、組み換えタンパク質のように、膜分離濾過後の工程により医薬品を作ることに適用可能な物質、食品としては、例えば、乳酸飲料など、膜分離濾過後の工程により食品として適用可能な物質、醸造品としては、例えば、ビール、焼酎など、膜分離濾過後の工程によりアルコールを含む飲料として適用可能な物質、排水としては、例えば、食品洗浄排水、乳製品洗浄排水などの生産品洗浄後の排水や、有機物を豊富に含む家庭排水などが挙げられる。
本実施の形態3にかかる化学品製造装置200で乳酸を製造する場合、真核細胞であれば酵母、原核細胞であれば乳酸菌を用いることが好ましい。このうち酵母は、乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を細胞に導入した酵母が好ましい。このうち乳酸菌は、消費したグルコースに対して対糖収率として50%以上の乳酸を産生する乳酸菌を用いることが好ましく、更に好ましくは対糖収率として80%以上の乳酸菌であることが好適である。
乳酸を製造する場合に好ましく用いられる乳酸菌としては、例えば、野生型株では、乳酸を合成する能力を有するラクトバチラス属(Lactobacillus)、バチラス属(Bacillus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)、テトラゲノコッカス属(Genus Tetragenococcus)、カルノバクテリウム属(Genus Carnobacterium)、バゴコッカス属(Genus Vagococcus)、ロイコノストック属(Genus Leuconostoc)、オエノコッカス属(Genus Oenococcus)、アトポビウム属(Genus Atopobium)、ストレプトコッカス属(Genus Streptococcus)、エンテロコッカス属(Genus Enterococcus)、ラクトコッカス属(Genus Lactococcus)およびスポロラクトバチルス属(Genus Sporolactobacillus)に属する細菌が挙げられる。
また、乳酸の対糖収率や光学純度が高い乳酸菌を選択して用いることができ、例えば、D−乳酸を選択して生産する能力を有する乳酸菌としてはスポロラクトバチルス属に属するD−乳酸生産菌が挙げられ、好ましい具体例として、スポロラクトバチルス・ラエボラクティカス(Sporolactobacillus laevolacticus)またはスポロラクトバチルス・イヌリナス(Sporolactobacillus inulinus)が使用できる。さらに好ましくは、スポロラクトバチルス・ラエボラクティカス ATCC 23492、ATCC 23493、ATCC 23494、ATCC 23495、ATCC 23496、ATCC 223549、IAM12326、IAM 12327、IAM 12328、IAM 12329、IAM 12330、IAM 12331、IAM 12379、DSM 2315、DSM 6477、DSM 6510、DSM 6511、DSM 6763、DSM 6764、DSM 6771などとスポロラクトバチルス・イヌリナスJCM 6014などが挙げられる。
L−乳酸の対糖収率が高い乳酸菌としては、例えば、ラクトバシラス・ヤマナシエンシス(Lactobacillus yamanashiensis)、ラクトバシラス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバシラス・アジリス(Lactobacillus agilis)、ラクトバシラス・アビアリエス(Lactobacillus aviaries)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・デルブレッキ(Lactobacillus delbruekii)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバシラス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバシラス・サリバリス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・シャーピイ(Lactobacillus sharpeae)、ラクトバシラス・デクストリニクス(Pediococcus dextrinicus)、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)などが挙げられ、これらを選択して、L−乳酸の生産に用いることが可能である。
(発酵条件について)
連続発酵による化学品の製造に使用する微生物または培養細胞が生育のために特定の栄養素を必要とする場合には、その栄養物を標品もしくはそれを含有する天然物として添加する。また、消泡剤を必要に応じて使用することができる。連続発酵による化学品の製造において、培養液とは、発酵原料に微生物または培養細胞が増殖した結果得られる液のことを言う。追加する発酵原料の組成は、目的とする化学品の生産性が高くなるように、培養開始時の発酵原料組成から適宜変更しても良い。
連続発酵による化学品の製造において、発酵原料に糖を用いる場合は、発酵液中の糖類濃度は5g/l以下に保持されることが好ましい。発酵液中の糖類濃度を5g/l以下に保持することが好ましい理由は、発酵液の引き抜きによる糖類の流失を最小限にするためである。
微生物もしくは培養細胞の培養は、通常、pH3以上8以下、温度20℃以上60℃以下の範囲で行われる。発酵液のpHは、無機の酸あるいは有機の酸、アルカリ性物質、さらには尿素、炭酸カルシウムおよびアンモニアガスなどによって、通常、pH3以上8以下範囲内のあらかじめ定められた値に調節する。酸素の供給速度を上げる必要があれば、空気に酸素を加えて酸素濃度を21%以上に保つ、発酵液を加圧する、攪拌速度を上げる、あるいは通気量を上げるなどの手段を用いることができる。
また連続発酵における化学品の製造において、セラミックス膜の洗浄に逆洗や薬液浸漬による洗浄などを行うため、これらに対する耐久性を有することが要求される。例えば逆洗液には、水や濾過液を用いる他、発酵に大きく阻害しない範囲で、アルカリ、酸または酸化剤を使用することができる。ここで、アルカリは、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などを挙げることができる。酸は、シュウ酸、クエン酸、塩酸、硝酸などを挙げることができる。また酸化剤は、次亜塩素酸塩水溶液、過酸化水素水などを挙げることができる。この逆洗液は、滅菌用水と同様の温度制御が行われていれば高温で使用することもできる。
そのため、本発明の分離膜モジュールについては、前記の蒸気滅菌に対する耐久性を有することに加えて、pHでは0〜14、アルカリ、酸または酸化剤、さらには高温水への耐久性があることが好ましい。
なお、逆洗液の逆洗速度は、膜濾過速度の0.5倍以上10倍以下の範囲であり、より好ましくは1倍以上5倍以下の範囲である。逆洗速度がこの範囲より高いと、セラミックス膜に損傷を与える可能性があり、またこの範囲より低いと洗浄効果が充分に得られないことがある。
逆洗液の逆洗周期は、膜差圧および膜差圧の変化により決定することができる。逆洗周期は、時間あたり0.5回以上12回以下の範囲であり、より好ましくは時間あたり1回以上6回以下の範囲である。逆洗周期がこの範囲より多いと、分離膜に損傷を与える可能性があり、またこの範囲より少ないと、洗浄効果が充分に得られないことがある。
逆洗液の逆洗時間は、逆洗周期、膜差圧および膜差圧の変化により決定することができる。逆洗時間は、1回あたり5秒以上600秒以下の範囲であり、より好ましくは1回あたり30秒以上300秒以下の範囲である。逆洗時間がこの範囲より長いと、分離膜に損傷を与える可能性があり、またこの範囲より短いと、洗浄効果が充分に得られないことがある。洗浄に要する時間は、分離膜モジュール内の2次側に供給する必要がある液量、すなわち分離膜モジュール2次側容積の大きさに依存するため、分離膜モジュール内の2次側容積がなるべく小さいほうが逆洗の効率を高めることから好ましいといえる。
また逆洗をする際に、セラミックス膜10の1次側に送液された逆洗液を排出せず、濾過を停止し、セラミックス膜10の浸漬洗浄を続けて行うことができる。浸漬時間は、浸漬洗浄周期、膜差圧および膜差圧の変化により決定することができる。浸漬時間は、好ましくは1回あたり1分以上24時間以下、より好ましくは1回あたり10分以上12時間以下の範囲である。
連続発酵による化学品の製造では、培養初期にBatch培養またはFed−Batch培養を行って、微生物濃度を高くした後に、連続発酵(引き抜き)を開始しても良い。または、微生物濃度を高くした後に、高濃度の菌体をシードし、培養開始とともに連続発酵を行っても良い。連続発酵による化学品の製造では、適当な時期から原料培養液の供給および培養物の引き抜きを行うことが可能である。原料培養液供給と培養物の引き抜きの開始時期は必ずしも同じである必要はない。また、原料培養液の供給と培養物の引き抜きは連続的であってもよいし、間欠的であってもよい。
原料培養液には菌体増殖に必要な栄養素を添加し、菌体増殖が連続的に行われるようにすればよい。発酵液中の微生物または培養細胞の濃度は、発酵液の環境が微生物または培養細胞の増殖にとって不適切となって死滅する比率が高くならない範囲で、高い状態で維持することが、効率よい生産性を得る上で好ましい態様である。発酵液中の微生物または培養細胞の濃度は、一例として、乳酸菌の一種であるSporolactobacillus laevolacticus JCM2513(SL株)を用いたD−乳酸発酵では、乾燥重量として、微生物濃度を5g/L以上に維持することにより良好な生産効率が得られる。
連続発酵による化学品の製造では、必要に応じて発酵槽内から微生物または培養細胞を引き抜くことができる。例えば、発酵槽内の微生物または培養細胞濃度が高くなりすぎると、セラミックス膜の閉塞が発生しやすくなるため、微生物または培養細胞を引き抜くことで、分離膜の閉塞を回避することができる。また、発酵槽内の微生物または培養細胞濃度によって化学品の生産性能が変化することがあり、生産性能を指標として微生物または培養細胞を引き抜くことで生産性能を維持させることも可能である。
連続発酵による化学品の製造において、発酵生産能力のあるフレッシュな菌体を増殖させつつ行う連続培養操作は、菌体を増殖させつつ生産物を生成する連続培養法であれば、発酵反応槽の数は問わない。連続発酵による化学品の製造では、連続培養操作は、通常、培養管理上単一の発酵反応槽で行うことが好ましい。発酵反応槽の容量が小さい等の理由から、複数の発酵反応槽を用いることも可能である。この場合、複数の発酵反応槽を配管で並列または直列に接続して連続培養を行っても発酵生産物の高生産性は得られる。
(参考例1)モノリス膜の作成
外径36mm、長さ200mmの円柱状かつ、基材の長手方向に直径3mmの円形貫通孔を37本設けた、アルミナを主成分とする押出成形物を製作し、これを1250℃で1時間焼結することによりモノリス基材を得た。
次に、平均粒子径約1.2μmのアルミナ90質量%に対して、SiO/Alを主原料としZrOを10質量%以下含有し、ボールミルなどで平均粒子径を1μm以下としたフリット10質量%を混合し、これに、有機バインダーとしてポリカルボン酸アンモニウム、多糖類バインダーを全体に対して各々0.5質量%、水を80質量%となるように加え、第1の分離機能層を製膜するためのスラリーを作製した。スラリーをモノリス基材の貫通孔内に循環させ、モノリス基材の貫通孔上に膜厚が150μmに達する量の製膜原料が付着したところで循環をやめた。その後、モノリス基材内からスラリーを排出し、真空乾燥を約10分間行った。更に、60℃で20時間乾燥した後、960℃で1時間焼成することで、モノリス基材上に第1の分離機能層を形成した。
さらに、平均粒子径約0.6μmのアルミナ3.5質量%に、有機バインダーとしてポリカルボン酸アンモニウム0.5質量%、ポリカルボン酸粘結剤1.0質量%、水95質量%となるように各々加えて第2の分離膜機能層を製膜するためのスラリーを作製した。この製膜スラリーを用いて、膜厚が30μmに達する量の成膜原料が基体に付着するまで、前述の方法で製膜を行い、60℃で20時間乾燥した後、1400℃で1時間焼成して第2の分離機能層を積層させて、モノリス膜を得た。
(参考例2)分離膜モジュールの作成
参考例1で得られたモノリス膜を、内径40mmの、ステンレス製のモジュール容器内に収め、モジュール容器とモノリス膜の間にEPDM製のO−リングを配して分離膜モジュール1を作成した。
(参考例3)D−乳酸の連続発酵
D−乳酸の連続発酵は、以下の条件のとおり行った。連続発酵は、図10の化学品製造装置200を用いて行った。
発酵槽容量:2(L)
発酵槽有効容積:1.5(L)
温度調整:37(℃)
発酵槽通気量:窒素ガス0.2(L/min)
発酵槽攪拌速度:600(rpm)
pH調整:3N Ca(OH)2によりpH6に調整
乳酸発酵培地供給:発酵槽液量が約1.5Lで一定になる様に制御して添加
発酵液循環装置による循環液量:2(L/min)
膜濾過流量制御:吸引ポンプによる流量制御
間欠的な濾過処理:濾過処理(9分間)〜濾過停止処理(1分間)の周期運転
膜濾過流束:0.01(m/day)以上5(m/day)以下の範囲で膜間差圧が500kPa以下となる様に可変。膜間差圧が範囲を超えて上昇し続けた場合は、連続発酵を終了した。
培地組成は、以下の表1に示すとおりである。
Figure 2012086763
微生物としてSporolactobacillus laevolacticus JCM2513(SL株)を用い、生産物である乳酸の濃度の評価には、下記に示したHPLCを用いて以下の条件下で行った。
カラム:Shim-Pack SPR-H(島津社製)
移動相:5 mM p-トルエンスルホン酸(0.8 mL/min)
反応相:5 mM p-トルエンスルホン酸、20 mM ビストリス、0.1 mM EDTA・2Na(0.8 mL/min)
検出方法:電気伝導度
カラム温度:45℃
なお、乳酸の光学純度の分析は、以下の条件下で行った。
カラム:TSK-gel Enantio L1(東ソー社製)
移動相 :1 mM 硫酸銅水溶液
流束:1.0 mL/分
検出方法:UV 254 nm
温度:30℃
L-乳酸の光学純度は、次式(i)で計算される。
光学純度(%)=100×(L−D)/(D+L) ・・・(i)
また、D-乳酸の光学純度は、次式(ii)で計算される。
光学純度(%)=100×(D−L)/(D+L) ・・・(ii)
ここで、LはL-乳酸の濃度を表し、DはD-乳酸の濃度を表す。
培養は、まずSL株を試験管で5mLの乳酸発酵培地で一晩振とう培養した(前々々培養)。得られた培養液を新鮮な乳酸発酵培地100mLに植菌し、500mL容坂口フラスコで24時間、30℃で振とう培養した(前々培養)。前々培養液を、図10に示す化学品製造装置200の発酵槽100に培地を入れた後に植菌し、発酵槽100を付属の攪拌装置103によって攪拌し、発酵槽100の通気量の調整、温度調整、pH調整を行い、循環ポンプ101を稼働させることなく、24時間培養を行った(前培養)。前培養完了後直ちに、循環ポンプ101を稼働させ、前培養時の運転条件に加え、乳酸発酵培地の連続供給を行い、連続発酵装置の発酵液量を1.5Lとなるよう膜透過水量の制御を行いながら連続培養し、連続発酵によるD−乳酸の製造を行った。連続発酵試験を行うときの膜透過水量の制御は、濾過ポンプ109により濾過量が発酵培地供給流量と同一となるように制御した。適宜、膜透過発酵液中の生産されたD−乳酸濃度および残存グルコース濃度を測定した。
(比較例1)
参考例1で得られたモノリス膜を電気オーブンの中に収め、300.0℃になるまで加熱した。加熱速度は毎分15.0℃であった。300.0℃に達した後に30分保持し、その後、電気オーブンの電源を切り、電気オーブンに付属した換気ファンを用いてオーブン内を冷却した。オーブンの電源を切ってから20分後に電気オーブンの内温は25.0℃になり、冷却時の平均温度変化率は毎分13.8℃であった。この手順で乾熱滅菌を行ったモノリス膜は、急激な温度変化に耐えられずにクラックが入ってしまった。
このモノリス膜を用いて、参考例2と同様の手順で分離膜モジュールを作成した。その後、分離膜モジュールの2次側に滅菌水を満たし、分離膜モジュールの1次側に滅菌空気を送り、分離膜モジュールの1次側のゲージ圧が50kPaとなるように加圧して、1分間保持し、分離膜モジュールの2次側から気泡が発生するか否かを確認した。これ以降、この操作をエアリークテストと呼び、1分以内に分離膜の2次側に気泡が発生したものについては、分離膜の気密性が損なわれて(リークして)おり、エアリークテストに不合格であるとする。
この分離膜モジュールのエアリークテストを実施したが、モノリス膜にクラックによるリークが確認された。このときの滅菌処理条件をまとめて表2に記載した。
(比較例2)
参考例1に記載のモノリス膜を、参考例2に記載の方法で分離膜モジュールとし、図6に示す滅菌用装置2Aに接続した。分離膜モジュール1の1次側の温度T1は25.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1下部の1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=5.0℃であった。その後、△T1が毎分7.0℃となるように制御しながら滅菌用水を供給し続け、分離膜モジュールの内温を昇温させた。T1が100℃に達した後は、滅菌用水を加圧するように制御した。T1が121℃に達したのち、121℃の状態を20分維持させた。その後、分離膜モジュール1の1次側に、加圧状態の滅菌用水を、△T1が毎分7.0℃となるように制御しながら連続的に供給し、分離膜モジュール1を冷却した。T1が100℃以下になったら、滅菌用水を常圧に戻すよう制御した。T1が37℃になったら滅菌用水の供給を止めた。
その後、比較例1と同様の手順で分離膜モジュール1のエアリークテストを実施したが、モノリス膜にクラックによるリークが確認された。このときの滅菌処理条件をまとめて表2に記載した。
(比較例3)
比較例2と同様にモノリス膜を用いた分離膜モジュール1を作成し、図7に記載の滅菌用装置2に接続した。分離膜モジュール1の1次側の温度T1は50.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=90.0℃、気相状態とし、分離膜モジュール1の上部1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=40.0℃であった。その後、△T1が毎分5.5℃となるように制御しながら滅菌用水を供給し続け、分離膜モジュールの内温を昇温させた。T1が100℃に達した後は、滅菌用水を加圧するように制御した。T1が121℃に達したのち、121℃の状態を20分維持させた。その後、分離膜モジュール1の1次側に加圧状態の滅菌用水を、△T1が毎分5.5℃となるように制御しながら連続的に供給し、分離膜モジュール1を冷却した。T1が100℃以下になったら、滅菌用水を常圧に戻すよう制御した。T1が37℃になったら滅菌用水の供給を止めた。
その後、比較例1と同様の手順で分離膜モジュール1のエアリークテストを実施したが、モノリス膜にクラックによるリークが確認された。このときの滅菌処理条件をまとめて表2に記載した。
(実施例1)
比較例2と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図7に記載の滅菌用装置2Bに接続して滅菌処理を行った。分離膜モジュール1の1次側の温度T1は20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1の下部1次側に連続的供給を開始した。|T1−Tw|=10.0℃であった。
その後、△T1が毎分5.5℃となるように制御しながら滅菌用水を供給し続け、分離膜モジュール1の内温を昇温させた。T1が100℃に達した後は、滅菌用水を加圧するように制御した。T1が121℃に達したのち、121℃の状態を20分維持させた。その後、分離膜モジュール1の1次側に加圧状態の滅菌用水を、△T1が毎分5.5℃となるように制御しながら連続的に供給し、分離膜モジュール1を冷却した。T1が100℃以下になったら、滅菌用水を常圧に戻すよう制御した。T1が37℃になったら滅菌用水の供給を止めた。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
なお、分離膜モジュールの蒸気滅菌に対する耐久性を確認するために、前述の方法と同様にして分離膜モジュールを繰り返し滅菌処理した。その結果、本実施例に記載の方法ではモノリス膜にクラックの発生は無く、10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例2)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図1に記載の装置の分離滅菌用装置2に接続して滅菌処理を行った。滅菌処理は、分離膜モジュール1の1次側に、実施例1と同様の初期温度Tおよび温度変化率△Tとなるように制御を行い、気相状態の滅菌用水を分離膜モジュール1の1次側上部から供給して分離膜モジュールの滅菌処理を実施した。100℃以上においては、気相状態の滅菌用水を加圧して用いた。なお、気相状態の滅菌用水には、滅菌用水が凝縮して液相状態となったものの混入を許容している。以下、他の実施例において気相状態の滅菌用水を用いる場合も、同様に液相状態の滅菌用水が混入してもよいものとした。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌に対する耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法ではモノリス膜にクラックの発生は無く、10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例3)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図10に記載の装置の滅菌用装置2Cを分離膜モジュール1の下部に接続して滅菌処理を行った。分離膜モジュール1の1次側の温度T1は20.2℃、2次側の温度T2は20.4℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1下部の1次側および2次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=9.6℃、|T2−Tw|=9.4℃であった。
その後、△T1および△T2がそれぞれ毎分5.5℃となるように制御しながら滅菌用水を供給し続け、分離膜モジュール1の内温を昇温させた。T1、T2のいずれかが100℃に達した後は、滅菌用水を加圧するように制御した。T1およびT2が121℃に達したのち、T1、T2とも121℃以上となる状態を20分維持させた。その後、分離膜モジュール1の1次側および2次側に加圧状態の滅菌用水を、△T1および△T2が毎分5.5℃となるように制御しながら連続的に供給し、分離膜モジュール1を冷却した。T1およびT2が100℃以下になったら、滅菌用水を常圧に戻すよう制御した。T1およびT2が37℃以下になったら滅菌用水の供給を止めた。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌に対する耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法ではモノリス膜にクラックの発生は無く、10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例4)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図10に記載の滅菌用装置2Cに接続した。分離膜モジュール1の上部1次側および2次側に、実施例3と同様の初期温度T、温度変化率△Tとなるように、温度および圧力制御を行った気相状態の滅菌用水を供給し、分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌に対する耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法ではモノリス膜にクラックの発生は無く、10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例5)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図11に記載の滅菌用装置2Dを分離膜モジュール1の下部に接続した。分離膜モジュール1の1次側の温度T1は20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1下部の1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=10.0℃であった。次いで、分離膜モジュール1の1次側に実施例1と同様の温度変化率△Tとなるように制御を行った液相状態の滅菌用水を連続的に供給した。併せて分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水供給ポンプ8により100kPaの圧力を印加し、滅菌用水をモノリス膜の1次側から2次側に透過させて、分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌に対する耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法ではモノリス膜にクラックの発生は無く、10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例6)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図11に記載の滅菌用装置2Dを分離膜モジュール1の下部に接続した。分離膜モジュールの1次側の温度T1は20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール下部の1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=10.0℃であった。次いで、分離膜モジュール1の1次側に、温度上昇率△T1が毎分3.5℃となるように制御を行った液相状態の滅菌用水を連続的に供給した。併せて分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水供給ポンプ8により100kPaの圧力を印加し、滅菌用水をモノリス膜の1次側から2次側に透過させて、分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌の耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法では10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例7)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図11に記載の滅菌用装置2Dを分離膜モジュール1の下部に接続した。分離膜モジュールの1次側の温度T1は20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=45.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1下部の1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=25.0℃であった。次いで、分離膜モジュール1の1次側に実施例1と同様の温度変化率△Tとなるように温度制御を行った液相状態の滅菌用水を連続的に供給した。併せて分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水供給ポンプ8により100kPaの圧力を印加し、滅菌用水をモノリス膜の1次側から2次側に透過させて、分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認でた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌の耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法では10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例8)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図11に記載の滅菌用装置2Dを分離膜モジュール1の下部に接続した。分離膜モジュールの1次側の温度T1は20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=25.0℃、液相状態とし、分離膜モジュール1下部の1次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=5.0℃であった。次いで、分離膜モジュール1の1次側に実施例1と同様の温度変化率△Tとなるように温度制御を行った液相状態の滅菌用水を連続的に供給した。併せて分離膜モジュール1の1次側に滅菌用水供給ポンプ8により100kPaの圧力を印加し、滅菌用水をモノリス膜の1次側から2次側に透過させて、分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌の耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法では10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
(実施例9)
実施例1と同様にモノリス膜の分離膜モジュール1を作成し、図10に記載の滅菌用装置2Cを分離膜モジュール1に接続した。分離膜モジュール1の1次側の温度T1、2次側の温度T2とも20.0℃であった。滅菌用水制御部3において、滅菌用水をTw=30.0℃、気相状態とし、分離膜モジュール上部の1次側および2次側への連続的供給を開始した。|T1−Tw|=|T2−Tw|=10.0℃であった。
その後、△T1および△T2が毎分5.5℃で上昇するように制御しながら滅菌用水を供給し続け、分離膜モジュール1の内温を昇温させた。T1、T2のいずれかが100℃に達した後は、滅菌用水を加圧するように制御した。T1およびT2が200.0℃に達したのち、分離膜モジュール1の2次側への滅菌用水供給を止め、滅菌用水を1次側から2次側に透過させるようにして5分維持させた。その後、再び分離膜モジュールの2次側にも滅菌用水供給を開始し、分離膜モジュールの1次側および2次側に加圧状態の滅菌用水を、△T1および△T2が毎分5.5℃となるように制御しながら連続的に供給し、分離膜モジュールを冷却した。T1およびT2が100℃以下になったら、滅菌用水を常圧に戻すよう制御した。T1およびT2が37℃以下になったら滅菌用水の供給を止めた。
次いで、分離膜モジュール1の1次側に、実施例2と同様の温度、圧力制御を行った気相状態の滅菌用水を供給し、モノリス膜の1次側から2次側に透過させて分離膜モジュール1の滅菌処理を実施した。滅菌用水は分離膜モジュール1の2次側から排出し、滅菌フィルターを通して滅菌用水制御部3に返送した。
その後、参考例3の記載に沿ってD−乳酸の連続発酵を行った。この条件で連続発酵を行った場合、連続発酵開始から400時間の連続発酵が可能であることを確認できた。連続発酵の結果をまとめて表2に記載した。
実施例1と同様にして、分離膜モジュールの蒸気滅菌の耐久性を確認した。その結果、本実施例に記載の方法では10回の繰り返し滅菌処理が可能であった。
Figure 2012086763
本発明の分離膜モジュールの滅菌方法を用いれば、少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールの破損を抑制しつつ滅菌処理が可能となり、食品や医薬品の精製工程などに好適に用いることが可能となる。また、該滅菌方法を実現するための滅菌処理装置および適用例の一つである化学品製造用装置を用いれば、簡便な操作条件で、長時間にわたり安定して高生産性を維持し、かつ滅菌処理可能な連続発酵が可能となり、広く発酵工業において、発酵生産物である化学品を低コストで安定に生産することが可能となる。
1 分離膜モジュール
2、2A、2B、2C、2D 滅菌用装置
3 滅菌用水制御部
3a 滅菌用水制御部(1次側)
3b 滅菌用水制御部(2次側)
4 滅菌用水供給ライン
4a 滅菌用水供給ライン(1次側)
4b 滅菌用水供給ライン(2次側)
5 温度測定部
5a 温度測定部(1次側)
5b 温度測定部(2次側)
6 バルブ
6a バルブ(1次側)
6b バルブ(2次側)
7 滅菌用水排出ライン
7a 滅菌用水排出ライン(1次側)
7b 滅菌用水排出ライン(2次側)
8 滅菌用水供給ポンプ
10 セラミックス膜
11 モジュール容器
12 O−リング
13 通液口
13a 原液供給口/濃縮液排出口
13b 濾過液排出口/逆洗液供給口
20 セラミックス基材
21 貫通孔
22 分離機能層
23 集水スリット
24 集水孔
25 集水スリット連通孔
100 発酵槽
101 循環ポンプ
102 温度制御装置
103 攪拌装置
104 pHセンサー・制御装置
105 レベルセンサー・制御装置
106 差圧センサー
107 培地供給ポンプ
108 中和剤供給ポンプ
109 濾過ポンプ
110 濾過バルブ
111 逆洗ポンプ
112 逆洗バルブ
113 配管気体供給制御バルブ
114 配管スクラビング気体供給装置
115 発酵槽気体供給装置
116 発酵槽圧力調整バルブ
117 発酵槽圧力計
200 化学品製造装置

Claims (9)

  1. 少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを、滅菌用水を用いて滅菌する分離膜モジュールの滅菌方法であって、
    前記分離膜モジュールに前記滅菌用水を供給し、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で上昇するように、供給する前記滅菌用水の温度および圧力を制御して、所定の滅菌温度まで前記分離膜モジュールを昇温する昇温工程と、
    前記分離膜モジュールが所定の滅菌温度に達したのちに、前記分離膜モジュールを所定温度で所定時間滅菌する滅菌工程と、
    を含むことを特徴とする分離膜モジュールの滅菌方法。
  2. 前記分離膜モジュールの温度Tを測定する温度測定工程と、
    前記滅菌用水の温度Twが|T−Tw|≦30.0℃となるようにTおよび/またはTwを制御する初期温度制御工程とを含み、
    前記初期温度制御工程後に、前記昇温工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の分離膜モジュールの滅菌方法。
  3. 前記温度測定工程は、前記温度Tとして処理対象の原液が供給される側である前記分離膜モジュールの1次側の温度を測定し、
    前記昇温工程および前記滅菌工程は、前記分離膜モジュールの1次側に前記滅菌用水を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜モジュールの滅菌方法。
  4. 前記温度測定工程は、前記温度Tとして前記分離膜モジュールの1次側および2次側の温度のうちいずれか一方の温度Tを測定し、
    前記昇温工程および前記滅菌工程は、前記分離膜モジュールの1次側および2次側に前記滅菌用水を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜モジュールの滅菌方法。
  5. 少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを、滅菌用水を用いて滅菌する分離膜モジュールの滅菌方法であって、
    前記分離膜モジュールの処理対象の原液が供給される1次側および処理後の濾過液が集液される2次側に前記滅菌用水を供給し、前記分離膜モジュールの1次側および2次側の温度が毎分6.0℃以下で上昇するように、供給する前記滅菌用水の温度および圧力を制御して、所定の滅菌温度まで前記分離膜モジュールを昇温する昇温工程と、
    前記分離膜モジュールの1次側および2次側が所定の滅菌温度に達したのちに、前記分離膜モジュールを所定温度で所定時間滅菌する滅菌工程と、
    を含むことを特徴とする分離膜モジュールの滅菌方法。
  6. 前記分離膜モジュールの1次側の温度T1および2次側の温度T2を測定する温度測定工程と、
    前記分離膜モジュールの1次側に供給される滅菌用水の温度Tw1、および前記分離膜モジュールの2次側に供給される滅菌用水の温度Tw2を、|T1−Tw1|≦30.0℃、および|T2−Tw2|≦30.0℃となるように、T1および/またはT2および/またはTwを制御する初期温度制御工程とを含み、
    前記初期温度制御工程後に、前記昇温工程を実施することを特徴とする請求項5に記載の分離膜モジュールの滅菌方法。
  7. 前記滅菌工程後、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で降下するように、前記分離膜モジュールを冷却する冷却工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分離膜モジュールの滅菌方法。
  8. 少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールを滅菌する滅菌用装置であって、
    前記分離膜モジュールの温度を測定する温度測定手段と、
    温度および圧力が制御された気相または液相の滅菌用水を生成し、前記分離膜モジュールに供給する滅菌用水制御部と、
    を備え、前記滅菌用水制御部は、前記分離膜モジュールの温度が毎分6.0℃以下で上昇および降下するように、前記滅菌用水を供給することを特徴とする滅菌用装置。
  9. 少なくともセラミックスを含む分離膜を備えた分離膜モジュールと、
    請求項8に記載の滅菌用装置と、
    発酵原料を微生物による発酵培養することにより、該発酵原料を化学品を含有する発酵液に変換する発酵槽と、
    前記発酵槽から前記分離膜モジュールに発酵液を送液する発酵液循環手段と、
    を備えることを特徴とする化学品製造装置。
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