JPWO2012073437A1 - 光学フィルム、画像表示装置及びタッチパネルを含む画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(微粒子、非反応性ポリマー)
先ずは、本発明の光学フィルムの一つの特徴である機能性層について説明する。機能性層は、表面凹凸を形成する長さ方向に周期を持たない不規則な突起形状を有し、微粒子又は非反応性ポリマーを実質的に含有しないことを特徴とする。なお、長さ方向とは、光学フィルムの製造時、その組成物塗布液が流延された製膜方向をいう。なお、「実質的に含有しない」とは、当該微粒子や非相溶性である樹脂の含有量が、機能性層の固形分に対して、0.01質量%以下であることを表す。但し、機能性層と基材との界面においては、機能性層を形成する際に基材表面付近の構成成分が機能性層側に抽出される場合があるが、基材から抽出された成分が機能性層と基材との界面付近に局在する場合は、この部分を除くものとする。非反応性ポリマーとしては、不飽和二重結合等の官能基(重合性基)を有さない化合物であり、具体的には(メタ)アクリル系やアクリル系の単量体、共重合性単量体、基材フィルムで後述する熱可塑性アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂等が挙げられる。微粒子としては、無機微粒子や有機微粒子といった微粒子が挙げられる。具体的には無機微粒子としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、又はメラミン系樹脂粉末等を挙げることができる。次に突起形状について説明する。
本発明の突起形状は、長さ方向に周期を持たない不規則な形状の突起をしている。本発明の「長さ方向に周期を持たない不規則な形状の突起」とは、表面凹凸がフィルムの幅手方向にも形や大きさが定まらない不規則な形状であり、表面転写ロールにより形成された表面凹凸のようなフィルムの長さ方向に周期を持たない形状の突起をさす。本発明の突起形状としては、例えば、図1に示す(a)や(b)といった幅や高さの異なる突起が、不規則な形状の突起として例示されるが、これらには限定されない。また、「不規則な配置」とは、前記不規則な傾向の突起が規則的に(例えば、等間隔等で)配置されているのではなく、ランダムな間隔で不規則に配置されており、等方的であっても、異方的であってもよい。なお、突起は基材フィルムと接していない機能性層の表面上に現れる。
本発明に係る機能性層は活性線硬化樹脂を含有することが好ましい。すなわち、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とすることが好ましい。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。これらの樹脂に対して、紫外線や電子線のような活性線を照射することにより硬化させて、活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
(式中、Mwaは親水基の分子量、Moは親油基の分子量を表し、Mwa+Mo=M(化合物の分子量)である)。
次にハードコート層について説明する。ハードコート層を形成する成分としては、機能性層の説明で記載した成分を用いることが出来る。また、膜厚も機能性層で前述した範囲が好ましい。ハードコート層は機能性層を設けるフィルム基材上に塗布、乾燥、硬化、更に必要に応じて熱処理する方法で、ハードコート層を形成することが出来る。ハードコート層は算術平均粗さRaが、10nm未満が好ましく、2nm未満がより好ましい。Raが前記範囲であれば、非常に平滑な面が得られ、画像表示装置に用いた際の視認性が好適に得られる。
(ヘイズ)
光学フィルムの内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズとも記載する)は、0〜1%であることが好ましい。内部散乱を良好に抑性することで、本発明に係る光学フィルムを画像表示装置に用いた場合、優れた視認性が得られる。内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。光学フィルムの表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス、品番S 9111、松浪硝子工業(株)製)2枚で、裏表より光学的に密着するよう挟み、この状態でヘイズ(Ha)をJIS K7136に準じて測定する。次に、同様のガラス板2枚を準備し、これらガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみ数滴滴下して挟みこんでガラスヘイズ(Hb)を測定する。ヘイズ(Ha)から、ガラスヘイズ(Hb)を引くことで、内部ヘイズ(Hi)を算出する。また、光学フィルムの内部ヘイズは0.2〜20%であることが好ましい。
本発明での光学フィルムは、硬度の指標で有る鉛筆硬度がH以上、より好ましくは3H以上である。3H以上であれば、屋外用途で用いられることが多い、大型の画像表示装置や、デジタルサイネージ用画像表示装置の表面保護フィルムとして用いた際も優れた機械特性を示す。鉛筆硬度は、作製した光学性フィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、加重500g条件でJIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、ハードコート層及び/又は機能性層をJIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
基材フィルムは製造が容易であること、機能性層やハードコート層と接着し易いこと、光学的に等方性を有することが好ましい。
次に、基材フィルムとして好ましいセルロースエステルフィルムについて、より詳細に説明する。
式(II) 0≦X≦2.5
カラム:Shodex K806、K805、K803G
(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mwが1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
基材フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、熱可塑性アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の含有質量比が、熱可塑性アクリル樹脂:セルロースエステル樹脂が95:5〜50:50であるセルロースエステル樹脂・熱可塑性アクリル樹脂含有フィルムを用いても良い。
基材フィルムは、脆性を改善する観点から、アクリル粒子を含有しても良い。アクリル粒子とは、前記熱可塑性アクリル樹脂及びセルロースエステル樹脂を相溶状態で含有する基材フィルム中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
本実施形態に係る基材フィルムには、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子等のマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましく用いられる。
基材フィルムには、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することもできる。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、糖エステル系、アクリル系ポリマー等が挙げられる。この中では、ポリエステル系、糖エステル系及びアクリル系ポリマーの可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れる。用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はコポリマーが好ましい。アクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、又は上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来る。アクリル系ポリマーは上記モノマーのホモポリマー又はコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上であることが好ましく、またメタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上であることが好ましい。特にアクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
基材フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。ヘイズ値は2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下である。全光線透過率、ヘイズ値はJIS K7361及びJIS K7136に準じて測定することが出来る。
式(IV) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxは基材フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyは基材フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nzは基材フィルムの厚み方向の屈折率、dは基材フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す)。
次に、基材フィルムの製膜方法の例を説明するが、これに限定されるものではない。基材フィルムの製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できる。
基材フィルムを溶液流延製膜法で製造する場合の樹脂溶液(ドープ組成物)を形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂などの樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることが出来る。例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることが出来、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。前記溶媒は、アクリル樹脂やセルロースエステル樹脂などの樹脂、及びその他の添加剤を計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
溶液流延製膜法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
基材フィルムは、溶融流延製膜法によって製膜しても良い。溶融流延製膜法は、樹脂及び可塑剤等の添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流延することをいう。
本実施形態における基材フィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜250μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmであり、更に好ましくは20〜60μmである。前記範囲とすることで、基材フィルムの取り扱い性に優れる。本発明に係る基材フィルムの幅は、1〜4mのものが好ましく用いられ、より好ましくは1.4〜4mであり、更に好ましくは1.6〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
本発明の光学フィルムには、反射防止層や透明導電性薄層等、その他の層を設けることができる。
本発明に係る光学フィルムは、ハードコート層又は機能性上層に反射防止層を塗設して、外光反射防止機能を有する反射防止フィルムとして用いることができる。
機能性層/基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
機能性層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
ハードコート層/基材フィルム/機能性層/低屈折率層
ハードコート層/基材フィルム/機能性層/高屈折率層/低屈折率層
ハードコート層/基材フィルム/機能性層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
低屈折率層/機能性層/基材フィルム/ハードコート層/低屈折率層
低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、23℃、波長550nmにおける測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、23℃、波長550nmにおける測定で、屈折率を1.4〜2.2の範囲に調整することが好ましい。また、高屈折率層の厚さは5nm〜1μmが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。屈折率は、金属酸化物微粒子等を添加することにより調整できる。用いる金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であるものが好ましく、1.85〜2.50であるものが更に好ましい。
光学フィルムには、ハードコート層又は機能性層上に透明導電性薄層を形成しても良い。設けられる透明導電性薄層としては、一般的に広く知られた透明導電性材料を用いることができる。例えば、酸化インジウム、酸化錫、ITO、金、銀、パラジウム等の透明導電性物質を用いることができる。これらは、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、溶液塗布法等により、ハードコート層上に薄膜として形成することができる。また、前記したπ共役系導電性ポリマーである有機導電性材料を用いて、透明導電性薄層を形成することも可能である。特に、透明性、導電性に優れ、比較的低コストに得られる酸化インジウム、酸化錫又はITOのいずれかを主成分とした透明導電性材料を好適に使用することができる。透明導電性薄膜の厚みは、適用する材料によっても異なるため一概には言えないが、表面抵抗率で1000Ω以下、好ましくは500Ω以下になるような厚みであって、経済性をも考慮すると、10nm以上、好ましくは20nm以上、80nm以下、好ましくは70nm以下の範囲が好適である。このような薄膜においては透明導電性薄層の厚みムラに起因する可視光の干渉縞は発生しにくい。
本発明の光学フィルムは、画像表示装置に使用することで、視認性(クリア性)に優れた性能が発揮される点で好ましい。画像表示装置としては、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又は、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、有機EL表示装置やプラズマディスプレイ等が挙げられる。これら画像表示装置の中でもタッチパネルを含む液晶表示装置のタッチパネル用部材に本発明の光学フィルムを用いた場合、高い視認性、及びペン入力に対する耐久性(摺動による傷等)に優れる点で好ましい。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxは基材フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyは基材フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nzは基材フィルムの厚み方向の屈折率、dは基材フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す)。
<基材フィルム1の作製>
(二酸化珪素分散液の調製)
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均径7nm)
10質量部
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
セルローストリアセテート 90質量部
(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.88、 Mn:140000)
ポリエステル系可塑剤(B−5) 10質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 2.5質量部
二酸化珪素分散希釈液 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ組成物1を調製した。
上記作製した基材フィルム1(セルローストリアセテートフィルム)上に、下記の機能性層組成物1を孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、減圧押出しコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度105℃、減率乾燥区間温度105℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.3J/cm2として塗布層を硬化させ、ドライ膜厚6.5μmの機能性層1を形成した。次いで、ターンバーにより機能性層1を形成したフィルムを反転させ、機能性層1が設けられた面とは逆の面に、下記ハードコート層組成物を孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、減圧押出しコーターを用いてセルローストリアセテートフィルム上に塗布し、恒率乾燥区間温度115℃、減率乾燥区間温度115℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.15J/cm2として塗布層を硬化させドライ膜厚5μmのハードコート層を形成した。次いで、ロール状に巻き取り、光学フィルム1を作製した。光学フィルム1の機能性層1の表面を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)で観察した結果、図4のように不規則な突起形状が不規則に長さ方向及び幅方向に配列していることが分かった。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物1とした。
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート 100質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352) 1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
なお、表1の記載において、多官能アクリレートであるペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレートはPETAと示した。
〈フッ素−シロキサングラフトポリマーの調製〉
以下に、フッ素−シロキサングラフトポリマーの調製に用いた素材の市販品名を示す。
片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B):サイラプレーンFM−0721(Mn:5,000;チッソ(株)製)
ラジカル重合開始剤:パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)
硬化剤:スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;住化バイエルウレタン(株)製)
機械式攪拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554質量部)、キシレン(233質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介して50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂を得た。
機械式攪拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、上記合成したラジカル重合性フッ素樹脂(26.1質量部)、キシレン(19.5質量部)、酢酸n−ブチル(16.3質量部)、メチルメタクリレート(2.4質量部)、n−ブチルメタクリレート(1.8質量部)、ラウリルメタクリレート(1.8質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8質量部)、FM−0721(5.2質量部)、及びパーブチルO(0.1質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1質量部)を追加し、更に90℃で5時間保持することによって、Mwが171,000である35質量%フッ素−シロキサングラフトポリマーの溶液を得た。MwはGPCにより求めた。また、フッ素−シロキサングラフトポリマーの質量%はHPLC(液体クロマトグラフィー)により求めた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
フッ素−シロキサングラフトポリマー(35質量%) 1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性組成物1を下記機能性組成物2に変更し、減率乾燥区間温度を95℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム2を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物2とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート 80質量部
(ライトアクリレートTMP−A、共栄社化学(株)製)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 20質量部
(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を下記機能性層組成物4に変更し、減率乾燥区間温度を100℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム3を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物3とした。
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート 100質量部
(NKエステルATM−4E、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム4の作製において、機能性層組成物1を下記機能性層組成物4に変更し、減率乾燥区間温度を130℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム4を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物4とした。
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート 100質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を下記機能性層組成物5に変更し、減率乾燥区間温度を120℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム5を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物5とした。
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(DPHA)
50質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETA)
50質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を下記機能性層組成物6に変更し、減率乾燥区間温度を95℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム6を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物6とした。
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
(NKエステルATM−4E、新中村化学工業(株)製)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 50質量部
(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を下記機能性層組成物7に変更し、減率乾燥区間温度を135℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム7を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物7とした。
ウレタンプレポリマーとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物
(UA−306H、共栄社化学(株)製) 100質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を特開2008−225195号公報の実施例1と同様にして調製した機能性層組成物8に変更し、更に乾燥温度を特開2008−225195号公報の実施例1と同じ70℃とした以外は同様にして、光学性フィルム8を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物8とした。
サイクロマーP(ACA)Z320(不飽和基含有アクリル樹脂混合物、ダイセル化学工業(株)製) 5.65質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ダイセル・サイテック(株)製)
6.3質量部
(添加剤:樹脂非相溶成分)
ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量480000;三菱レイヨン(株)製、BR88)
0.9質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 0.5質量部
(溶剤)
メチルエチルケトン(MEK) 0.1質量部
1−ブタノール 5.4質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 1.89質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を特開2007−58204号公報の実施例3と同様にして調製した機能性層組成物9に変更し、更に乾燥温度を特開2007−58204号公報の実施例3と同じ80℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム9を作製した。
下記材料を攪拌、混合し機能性層組成物9とした。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(DPHA、ダイセル・サイテック(株)製) 92質量部
(添加剤:樹脂非相溶成分)
メタアクリレート共重合ポリマー(サフトマーST3600,三菱化学株式会社)
15質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 4質量部
(溶剤)
エタノール 45質量部
トルエン 15質量部
光学フィルム1の作製において、機能性層組成物1を特開2007−182519号公報の実施例5と同様にして調製した機能性層組成物10に変更し、更に乾燥温度を特開2007−182519号公報の実施例5と同じ80℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム10を作製した。
(不飽和二重結合含有アクリル共重合体の調製)
イソボロニルメタクリレート187.2g、メチルメタクリレート2.8g、メタクリル酸10.0gからなる混合物を混合した。この混合物を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル360gにターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート2.0gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの80.0g溶液と同時に3時間かけて等速滴下し、その後、1時間、110℃で反応させた。
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(SP値:12.7)
98.5質量部
不飽和結合含有アクリル共重合体(SP値:9.7、Mw:18000)
1.5質量部
(添加剤:粒子)
オルガノシリカゾル(MIBK−ST:シリカ粒子径20nm、シリカ濃度30%、日産化学工業株式会社製)
10質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア907(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン(株)製)
7質量部
(溶剤)
メチルイソブチルケトン 114質量部
なお、表1の記載において、不飽和結合含有アクリル共重合体はACOPと示した。
特開2006−53371号公報の実施例1と同様にして凹凸付きロールを作製した。次に、特開2006−53371号公報の実施例1と同様にして、基材フィルム1上に機能性層組成物1を塗布後、恒率乾燥区間温度60℃、減率乾燥区間温度60℃で乾燥の後、更に機能性層表面にロールの凹凸を押し当て、機能性層とロールを密着させた。この密着した状態で、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.3J/cm2として塗布層を硬化させ、ドライ膜厚6.5μmの機能性層11を形成した。次いで、ターンバーにより機能性層を形成したフィルムを反転させ、機能性層11が設けられた面とは逆の面に、光学フィルム1で調製したハードコート層組成物を孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、減圧押出しコーターを用いて基材フィルム1上に塗布し、恒率乾燥区間温度115℃、減率乾燥区間温度115℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.15J/cm2として塗布層を硬化させドライ膜厚5μmのハードコート層を形成した。次いで、ロール状に巻き取り、光学フィルム11を作製した。光学フィルム11の機能性層11の表面を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)で観察した結果、長さ方向に周期を有する突起形状が配列されていた。
特開2010−241937号公報の製造例1と同様にしてフッ素処理したシリカ微粒子分散液を調整した。前記調製したシリカ微粒子分散液と反応性基含有樹脂とを攪拌して混合し、機能性層組成物12を調整した。次に、機能性層組成物12を用いて、乾燥温度を特開2010−241937の実施例3と同じ70℃に変更した以外は光学フィルム1の作製と同様にして、光学フィルム12を得た。
(フッ素処理したシリカ微粒子分散液の調製)
シリカ微粒子SP−03F(扶桑化学工業(株)製、粒径0.2〜0.3μm)3.00gにKBM7103(信越化学工業(株)製、フルオロアルキルアルコキシシラン)0.15g、MIBK26.85gを混合した。この混合成分と粒径0.1mmのジルコニアビーズとを混ぜて、3時間分散したのち、ジルコニアビーズを取り除き、更に分散液を50℃で1時間加熱処理することで、フッ素処理したシリカ微粒子分散液を得た。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184 0.02質量部
(添加剤:粒子)
アクリロイル基を有するシリカ微粒子(シリカ微粒子30質量部、MIBK分散液、粒径40nm) 66質量部
フッ素処理したシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子濃度10.9%)
5.5質量部
(溶剤)
メチルイソブチルケトン 5質量部
《評価》
上記作製した機能性層組成物及び光学フィルム1〜12について下記の評価を行った。
機能性層組成物1〜12について、各組成物の樹脂だけをディスパーにて攪拌混合して、25℃の条件にてB型粘度計を用いて粘度測定を行った。結果を表1に示す。
a.算術平均粗さRaの測定
上記作製した光学フィルム1〜12の機能性層、及びハードコート層を光学干渉式表面粗さ計(RST/PLUS、WYKO社製)を用いて10回測定し、その測定結果の平均から各機能性層及びハードコート層の算術平均粗さRaを求めた。なお、光学フィルム1〜12のハードコート層の算術平均粗さRaは、全て1.5nmであった。各機能性層の算術平均粗さRaの結果を表1に示す。
上記作製したロール状光学フィルム1〜12を、アルミ防湿シートに包み、長期輸送を想定して70℃相対湿度80%の恒温槽で20日保存した。20日間保存後、アルミ防湿シートを剥がしてブロッキング性を表面からの目視観察にて、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:くっつき面積が2%未満、僅かにブロッキングが発生している
△:くっつき面積が2%以上〜10%未満、ブロッキングが発生しているものの、実用上問題ないレベル
×:くっつき面積が10%以上〜40%未満、ブロッキングが発生、実用上極めて問題となる
(耐久性試験)
上記作製した光学フィルム1〜13を、各10cm×10cmサイズで切り出し、屋外での使用を想定してサイクルサーモ(−40℃・30分放置、次いで85℃・30分放置を交互)に500サイクル投入後、85℃相対湿度90%の恒温槽で550時間保存し、更に耐光試験機(アイスーパーUVテスター、岩崎電気(株)製)にて、165時間光照射した。次いで、耐久性試験後の各光学フィルム1〜12を23℃55%RHの雰囲気下で12時間調湿後、JIS K5600−5−1に準拠する方法で、タイプ1の試験装置を用いて円筒型マンドレル法により可とう性(マンドレルの直径の数値)を評価した。マンドレルの直径の数値が低い程、可とう性に優れることを示す。なお、JIS K5600−5−1では、円筒型マンドレルは直径2mmまでしかないため、直径1mmは試作した。
耐ブロッキング性と可とう性の結果から、以下の基準で総合評価を行った。
○:耐ブロッキング性が○で、かつ可とう性評価の円筒型マンドレルの直径が2mm以下 或いは、耐ブロッキング性が◎で、かつ可とう性評価の円筒型マンドレルの直径が、3mm以上、6mm以下
×:耐ブロッキング性が△以下、或いは可とう性評価の円筒型マンドレルの直径が8mm以上
実施例1の光学フィルム1の作製において、機能性層の減率乾燥区間温度を表2に記載したように変更した以外は、同様にして光学フィルム13〜17を作製した。次に、実施例1で作製した光学フィルム1、及び光学フィルム13〜17について、耐ブロッキング性評価の保存期間を30日に変更し、更に密着評価を行った以外は、実施例1と同様にして評価をした。得られた結果を表2に示す。
(耐候性試験)
光学フィルム1、及び光学フィルム13〜17を、各10cm×10cmサイズで切り出し、屋外での使用を想定してオゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に100時間保管後、サイクルサーモ(−40℃・45分放置、次いで110℃・45分放置を交互)で500サイクル投入し、更に耐光試験機(アイスーパーUVテスター、岩崎電気株式会社製)にて、200時間光照射した。
上記耐候性試験を実施した光学フィルムの機能性層表面に、片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横に11本入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この上に市販のセロハン製テープを貼り付け、その一端を手で持って垂直に力強く引っ張って剥がし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する薄膜が剥がされた面積の割合を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:剥離された面積割合が5%未満であった
△:剥離された面積割合が10%未満であり、実用上問題無いレベル
×:剥離された面積割合が10%以上であり、実用上問題となるレベル
実施例1の基材フィルム1のドープ組成物1の調製において、ポリエステル系可塑剤(B−5)の添加量を5質量部に変更し、更に以下に合成したアクリル系ポリマー1を13質量部添加した以外は同様にしてドープ組成物2を調製した。次いで、基材フィルム1の作製において、テンターによるTD方向の延伸条件を表3に記載したように変更した以外は、同様にして基材フィルム2〜5を作製した。前記作製した基材フィルム2〜5に実施例2の光学フィルム17の作製と同様にしてハードコート層と機能性層を設け、光学フィルム18〜21を作製した。
メチルアクリレート 10質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 1質量部
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1質量部
トルエン 30質量部
上記組成物を四つ口フラスコ(投入口、温度計、環流冷却管、窒素導入口、攪拌機を装着)に投入し、徐々に80℃まで昇温し、攪拌しながら5時間重合を行い、重合終了後ポリマー溶液を多量のメタノールに投入して沈殿させ、更にメタノールで洗浄し、精製して乾燥し重量平均分子量5,000(GPCにて測定)のアクリル系ポリマー1を得た。
メチルアクリレート 10質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 1質量部
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1質量部
トルエン 30質量部
上記組成物を四つ口フラスコ(投入口、温度計、環流冷却管、窒素導入口、攪拌機を装着)に投入し、徐々に80℃まで昇温し、攪拌しながら5時間重合を行い、重合終了後ポリマー溶液を多量のメタノールに投入して沈殿させ、更にメタノールで洗浄し、精製して乾燥し重量平均分子量5,000(GPCにて測定)のアクリル系ポリマー1を得た。
a.リターデーション測定
前記作製した基材フィルム1〜5の面内リターデーションRo及び厚み方向リターデーションRthを以下の方法で測定した。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×dである。
(式中、nxは基材フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyは基材フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nzは基材フィルムの厚み方向の屈折率、dは基材フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)。
得られたインナータッチパネルを、上面側偏光板/液晶セル/下面側偏光板の構成を有する液晶表示装置の上面側偏光板の下に組み込んで液晶表示装置を作製し、暗室にて、インナータッチパネルを黒表示画面で正面方向や視野方向を変えて見て、視認性を以下の基準で評価した。
○:タッチパネルの色味変化が無い
Δ:タッチパネルの色味変化が多少観察される
×:タッチパネルの色味変化が大きい
<導電性光学フィルム1〜12の作製>
光学フィルム1〜12のハードコート層に表面抵抗率が約400Ωである酸化インジウム錫(ITO)の透明導電性薄膜を、スパッタリング法を用いて設け、図5に示した構成の導電性光学フィルム1〜12を作製した。
市販の抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置(型名:LCD−USB10XB−T、(株)アイ・オー・データ機器製)の導電性ハードコートフィルムを剥がし、上記作製した各導電性光学フィルム1〜12を図6のように機能性層が視認側となるように貼合して、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置1〜12を作製し、以下項目について評価を行い、表4に結果を示す。
a.視認性評価(文字ボケ・ムラ)
(文字ボケ評価)
天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した室内で、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置を様々な角度から観察し、文字ボケを以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の写り込みが気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
×:蛍光灯の写り込みが気にならないが、フォントの大きさ8以下の文字がボケ、読むのが困難である
上記作製した各抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置を、60℃、90%RHの条件で1000時間放置した後、23℃、55%RHに戻した。様々な角度から観察し、以下の基準でムラを評価した。
△:細かなムラが認められる(実害性有り)
×:ムラが認められる
抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置に用いた各導電性光学フィルムの機能性層の表面上を先端部が0.08mmφのポリアセタール製のペンを使用し、荷重250g、ペン摺動速度100mm/秒で直線40mmを15万回往復後の摺動部における機能性層の傷つき及び剥れを目視により評価した。
11 本発明の光学フィルム
12 透明導電性薄膜
13 ガラス基板
14 スペーサ
20 カラー液晶表示パネル
30 基材フィルム
31 機能性層
32 ハードコート層
33 ITO層(導電性薄膜)
40 導電性光学フィルム
P インナータッチパネル
Claims (9)
- 基材フィルム上の一方の面にハードコート層、及びもう一方の面に機能性層を有する光学フィルムにおいて、該機能性層が長さ方向に周期を持たない不規則な突起形状を有し、かつ微粒子又は非反応性ポリマーを実質的に含有しないことを特徴とする光学フィルム。
- 前記機能性層の突起形状の算術平均粗さRaが10〜130nmであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記機能性層が少なくとも活性線硬化型樹脂を含有し、かつ当該活性線硬化型樹脂の粘度が20〜2000mPa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2項に記載の光学フィルム。
- 前記ハードコート層の算術平均粗さRaが2nm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記基材フィルムの波長590nmにおける、下記式で規定される面内リターデーションRoが0〜5nm、厚み方向のリターデーションRthが−10〜10nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
Ro=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxは基材フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyは基材フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nzは基材フィルムの厚み方向の屈折率、dは基材フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す) - 前記基材フィルムがセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、活性線硬化型樹脂を含有する機能性層を少なくとも塗布工程、乾燥工程及び硬化工程を経由して形成し、かつ前記乾燥工程における減率乾燥区間の温度を85〜140℃の範囲内に維持した条件下で処理することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムを構成に含むことを特徴とする画像表示装置。
- タッチパネルを含む画像表示装置であって、該タッチパネルの構成に請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムが含まれていることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
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