JPWO2012032597A1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
内燃機関の制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2012032597A1 JPWO2012032597A1 JP2012532751A JP2012532751A JPWO2012032597A1 JP WO2012032597 A1 JPWO2012032597 A1 JP WO2012032597A1 JP 2012532751 A JP2012532751 A JP 2012532751A JP 2012532751 A JP2012532751 A JP 2012532751A JP WO2012032597 A1 JPWO2012032597 A1 JP WO2012032597A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- supercharging pressure
- compressor
- pressure
- intake
- vane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B37/00—Engines characterised by provision of pumps driven at least for part of the time by exhaust
- F02B37/12—Control of the pumps
- F02B37/22—Control of the pumps by varying cross-section of exhaust passages or air passages, e.g. by throttling turbine inlets or outlets or by varying effective number of guide conduits
- F02B37/225—Control of the pumps by varying cross-section of exhaust passages or air passages, e.g. by throttling turbine inlets or outlets or by varying effective number of guide conduits air passages
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B33/00—Engines characterised by provision of pumps for charging or scavenging
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F01—MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
- F01D—NON-POSITIVE DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES, e.g. STEAM TURBINES
- F01D17/00—Regulating or controlling by varying flow
- F01D17/10—Final actuators
- F01D17/12—Final actuators arranged in stator parts
- F01D17/14—Final actuators arranged in stator parts varying effective cross-sectional area of nozzles or guide conduits
- F01D17/16—Final actuators arranged in stator parts varying effective cross-sectional area of nozzles or guide conduits by means of nozzle vanes
- F01D17/165—Final actuators arranged in stator parts varying effective cross-sectional area of nozzles or guide conduits by means of nozzle vanes for radial flow, i.e. the vanes turning around axes which are essentially parallel to the rotor centre line
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B37/00—Engines characterised by provision of pumps driven at least for part of the time by exhaust
- F02B37/12—Control of the pumps
- F02B37/24—Control of the pumps by using pumps or turbines with adjustable guide vanes
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B39/00—Component parts, details, or accessories relating to, driven charging or scavenging pumps, not provided for in groups F02B33/00 - F02B37/00
- F02B39/16—Other safety measures for, or other control of, pumps
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02D—CONTROLLING COMBUSTION ENGINES
- F02D2200/00—Input parameters for engine control
- F02D2200/02—Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
- F02D2200/04—Engine intake system parameters
- F02D2200/0406—Intake manifold pressure
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02D—CONTROLLING COMBUSTION ENGINES
- F02D41/00—Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
- F02D41/0002—Controlling intake air
- F02D41/0007—Controlling intake air for control of turbo-charged or super-charged engines
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05D—INDEXING SCHEME FOR ASPECTS RELATING TO NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES, GAS-TURBINES OR JET-PROPULSION PLANTS
- F05D2220/00—Application
- F05D2220/40—Application in turbochargers
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Abstract
吸気側及び排気側双方に過給圧調整用のベーン機構を設けた過給器において正確な異常判定を実現する。排気通路(204)に設置され且つ開閉状態に応じて排気圧を調整可能な排気側可動ベーン機構(303、304)を有するタービンと、吸気通路(205)に設置され且つディフューザ部に開閉状態に応じて空気流量を調整可能な吸気側可動ベーン機構(308、309)を有するコンプレッサとを備えた過給器(300)と、コンプレッサ下流側において過給器の実過給圧を検出可能な検出手段(211)とを備えた内燃機関(200)を制御する装置(100)は、過給器の目標過給圧の変化速度が所定値以上となる期間において、実過給圧の時間推移を特定する時間推移特定手段と、特定された時間推移に基づいてタービン及びコンプレッサのうち少なくとも一方の異常を判定する判定手段とを具備する。
Description
本発明は、過給器を備えた内燃機関に係り、特に当該過給器の異常を検出可能な内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
タービンの排気ガス入り口に可変ノズルリングを設けると共に、そのブロワ入り口にインレットガイドベーンを設け、その羽根車出口にディフューザリングを備えた過給器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、特許文献2には、正常時の過給圧と実際の過給圧との誤差に基づいて、排気通路に備えられたこの種の過給圧調整用の機構におけるベーン固着の有無を判定する技術が開示されている。また、同様に排気側のベーン固着の判定に関し、例えば特許文献3には、実過給量を目標過給量に近づけるように制御する際、目標過給量に対応して算出された基準値と実指令値との差が予め設定された範囲内にあるか否かに基づいて、当該ベーン固着の有無を判定する技術も開示されている。
尚、圧力比と流量とに基づいて可変ディフューザの開度を求める構成も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、過給器のフェールセーフを図る観点からは、ターボ過給器の故障が判定された場合に電動コンプレッサの作動を停止させ、内燃機関の運転状態を、機関出力が制限される退避モードに切り替える技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特許文献1に開示されるような、排気側と吸気側とに夫々過給圧の調整を行うためのベーン機構を備えた過給器においては、排気側のベーン固着も吸気側のベーン固着も、実過給圧の振る舞いが正常時と変化する点については同様である。従って、この種の過給器においてベーン固着の有無を判定するにあたって、上記特許文献2又は3に開示されるが如き、その時点での目標過給圧と実過給圧との偏差に対応する物理量、制御量或いは指標値等を用いたとしても、排気側と吸気側のいずれでベーン固着が生じているのかについては、実は全く切り分けることができない。
ここで、ベーン固着を検出するだけでよければ、排気側及び吸気側に夫々ベーン開度を検出可能なセンサを設けることも考えられるが、コスト或いは車両搭載性等、一般的な車両開発の制約に鑑みると、故障検出に特化した検出手段を別途設置するのは困難である。
即ち、上記各種特許文献に開示される技術思想を含む旧来の技術思想には、排気側及び吸気側の双方に開度が可変なベーン機構を設けた構成を有する過給器について、コストの増加や車両搭載性の悪化を伴うことなく精細な故障検出を行うことが実質的に不可能であるという技術的問題点がある。また、このような問題点を有することにより、この種の過給器を搭載する内燃機関を実際に運用するにあたって的確な対策を講じることも困難であり、必然的にこの種の故障発生時において内燃機関の性能低下の度合いが大きくなり易い。
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、排気側にVNT(Variable Nozzle Turbine:可変ノズルタービン)を、吸気側にVGC(Variable Geometry Compressor:可変ジオメトリコンプレッサ)を夫々備えた過給器等、吸気側及び排気側双方に過給圧調整用のベーン機構を設けた過給器において、吸気側ベーン機構のベーン固着と排気側ベーン機構のベーン固着とを正確に切り分けることが可能な内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、排気通路に設置され且つ開閉状態に応じて排気圧を調整可能な排気側可動ベーン機構を有するタービンと、吸気通路に設置され且つディフューザ部に開閉状態に応じて空気流量を調整可能な吸気側可動ベーン機構を有するコンプレッサとを備えた過給器と、前記コンプレッサ下流側において前記過給器の実過給圧を検出可能な検出手段とを備えた内燃機関を制御する装置であって、前記過給器の目標過給圧の変化速度が所定値以上となる期間において、前記検出された実過給圧の時間推移を特定する時間推移特定手段と、該特定された時間推移に基づいて前記タービン及び前記コンプレッサのうち少なくとも一方の異常を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
本発明において、「内燃機関」とは、燃料の燃焼エネルギを運動エネルギに変換して動力として取り出すことが可能な機関を包括する概念であり、例えば燃料種別、燃料の燃焼形態、気筒数、気筒配列、着火態様、燃料の供給態様、動弁系の構成或いは吸排気系の構成等、その実践的態様は、本発明に係る過給器を備える限りにおいて如何様にも限定されない趣旨である。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、このような内燃機関を制御する装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ等の実践的態様を採り得る。尚、これらには必要に応じて更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等が内蔵又は付設されていてもよい。
本発明に係る「過給器」とは、排気側可動ベーン機構を有するVNT等のタービンを排気通路に、また吸気側可動ベーン機構を有するVGC等のコンプレッサを吸気通路に夫々備えた過給手段である。尚、排気側吸気側共々、「ベーン機構」とは、好適には、作動流体の流路に係る流路面積を可変とするための複数のベーン、当該ベーンを開閉させるための開閉機構及び当該開閉機構に駆動力を与える駆動装置等を包含し得る。
尚、本発明に係る内燃機関は、このコンプレッサ下流側における吸気の圧力、即ち過給器の実過給圧を検出可能な、過給圧センサ(圧力センサ)等の検出手段を備える。下流側とは、即ち、気筒側であって、検出手段は、例えばコンプレッサ出口若しくはその近傍、インタークーラの上流側若しくは下流側、スロットルバルブの上下流側又は吸気マニホールド等に敷設される。この検出手段は、過給器を備えた内燃機関においては当然備わり得る性質のものである。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、時間推移特定手段が、上記期間において、この検出された実過給圧の時間推移を特定する。尚、時間推移特定手段に係る「特定」とは、検出、算出、導出、同定、推定、選択又は取得等を包括する概念であって、その実践的態様についての限定を伴わず、制御上参照し得る値として確定させることを意味するものである。
ここで、本発明に係る上記期間は、過給器の目標過給圧の変化速度(単位時間当たりの変化量であり、基準となる単位時間が規定されていれば、即ち、変化量と置き換えてもよい)が所定値以上となる期間である。この期間は、好適な一形態としては、内燃機関を搭載する車両が実際に加速を必要とする期間と合致する場合もあるが、概念的には、必ずしも車両が加速状態にある或いは加速を要求している必要はない。上記期間は、即ち、実過給圧の時間推移に基づいた過給器の異常判定が有意性を保ち得る程度に目標過給圧が変化している(増加している)期間である。従って、上記期間に係る「所定値」とは、例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて設定され得る性質の値であってよい。
一方、「実過給圧の時間推移」とは、時系列上の一時点における実過給圧ではなく、有限の時間範囲において定量的に規定された実過給圧の変化態様、変化状態、或いは変化特性等を意味する。即ち、「実過給圧の時間推移」とは、例えば、実過給圧又は実過給圧と一対一、一対多、多対一若しくは多対多に対応する他の制御量、物理量若しくは指標値の変化量、変化率或いは変化に要した時間等、その実践的態様は多岐にわたり得るものの、定義するために少なくとも何らかの形で過去の実過給圧を必要とする性質のものである。この過去の実過給圧との関係性を伴って規定される実過給圧の時間推移は、本発明において重要な役割を担うものである。
即ち、本発明に係る内燃機関の制御装置において、判定手段は、この特定された実過給圧の時間推移に基づいてタービン及びコンプレッサのうち少なくとも一方の異常を判定する。尚、「異常を判定する」とは、少なくとも異常であるか否かを二値的に判定することを含み、正常状態と異常状態との間で段階的に状態を分類することや、或いは異常の発生箇所をより精細に分類すること等を包含する趣旨である。
ここで、吸気側可動ベーン機構及び排気側可動ベーン機構は、双方ともベーン固着時に実過給圧に影響が出る点については同類であるから、時系列上の一時点における実過給圧だけを参照したところで、実はこれらのいずれがベーン固着を生じているかを確定させることはできない。
一方、実過給圧の時間推移は、過去から現在にわたる一定又は不定の時間範囲で定量的に規定された実過給圧の特性であり、吸気側可動ベーン機構と排気側可動ベーン機構とで、ベーン固着時に生じる変化が異なったものとなる。例えば、排気側可動ベーン機構にベーン固着が生じた場合、実過給圧は、ある程度まで目標過給圧に追従した後に目標過給圧未満の収束値に収束するが、吸気側可動ベーン機構にベーン固着が生じた場合、実過給圧は、ある程度まで目標過給圧に追従した後に、コンプレッサにチョーキング(流路閉塞)が生じるため急激に減少する。
従って、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、実過給圧の時間推移に基づいて、吸気側可動ベーン機構及び排気側可動ベーン機構にベーン固着が生じているか否かを検出することができるのは勿論、ベーン固着が生じているとしてそれが吸気側可動ベーン機構で生じているのか排気側可動ベーン機構で生じているのかを正確に切り分けることができるのである。
また、異常検出後に過給器を実制御する上で、或いは車両を退避走行させる上で、判定手段の判定結果に応じた的確な措置を講じることが可能となるのである。
更に、この際、異常判定に必要な実過給圧の検出結果を与える検出手段は、異常判定のために特化して設置されたものではない。従って、本発明によれば、新たな設備投資を必要とすることなく、旧来の装置構成を有効に利用し、コストの増加や車両搭載性の悪化を伴わない良好な異常判定を行うことが可能となるのである。
尚、判定手段は、タービン(排気側可動ベーン機構はタービンに属する)及びコンプレッサ(吸気側可動ベーン機構はコンプレッサに属する)のうち少なくとも一方の異常を判定する。即ち、判定手段は、いずれか一方のみの異常を判定してもよい(好適には、両方である)が、上記した如き明確な切り分けがなされる点に鑑みれば、いずれか一方のみの異常が判定されるとしても、判定された異常(例えば、異常の有無)に関する信頼性は明確に担保される。
尚、判定手段により判定される異常とは、好適な一形態として各ベーン機構におけるベーン固着、特にベーンの閉じ側固着(即ち、目標とする開度よりも閉じ側で固着することであり、必ずしも全閉状態での固着に限定されない)を含むが、必ずしもそれのみに限定されない。例えば、タービンブレードの破損、コンプレッサインペラの破損、シャフトの軸受部分の磨耗や焼付き、或いは吸気通路におけるガス漏洩等、過給器に生じ得る各種の異常を含む趣旨である。
総括すると、本発明は、排気側可動ベーン機構及び吸気側可動ベーン機構の双方を備えた過給器において、(1)過去から現在に至る有限の時間範囲における実過給圧の変化態様が、吸気側可動ベーン機構のベーン固着時と、排気側可動ベーン機構のベーン固着時とで相異なる点に着眼し、(2)このような変化態様の定量的指標(尚、指標と言っても必ずしも規格化された値でなくてよい)となる実過給圧の時間推移に基づいて異常を判定する旨の技術思想により、コストの増加や車両搭載性の悪化を伴うことなく各ベーン機構の正確な異常検出を可能としたものである。従って、ある時刻の実過給圧と目標過給圧との関係性のみをもって異常の判定を実現しようとする如何なる技術思想に対しても、また、異常判定を目的としてベーン開度を検出するためのセンサを別途付加する構成に対しても、本発明は明らかに有利に構成される。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、前記検出された実過給圧のピーク値に対する前記検出された実過給圧の低下量を特定し、前記判定手段は、該特定された低下量が所定値以上である場合に前記コンプレッサが異常であると判定する。
この態様によれば、時間推移として上記期間における実過給のピーク値に対する低下量が特定される。先述したように、吸気側の可動ベーン機構にベーン固着が生じた場合、固着が生じた時点或いはそれより相応の時間経過を経た後に、コンプレッサにおけるチョーキングが始まることによって、実過給圧は急速に低下する。即ち、ピーク値からの低下量は、ベーン固着の発生時点からの経過時間と一対一、一対多、多対一又は多対多に対応して増加する。従って、当該低下量に基づいて、吸気側可動ベーン機構を含むコンプレッサが異常である旨を正確に判定することが可能となる。
また、この際、当該低下量との比較に供される所定値を、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいてベーン固着の誤検出を排除しつつ可及的速やかにベーン固着を検出し得るように定めておく等の措置を講じることによって、チョーキングが重度に進行しないうちに異常判定を行うことが可能となり、判定されたコンプレッサの異常に対応する的確な措置、例えば、タービン回転速度を低下させる或いは吸入空気量を低下させる等の措置を講じる時間的猶予を好適に獲得することも可能となる。
尚、この態様では、前記判定手段は、前記期間において前記検出された実過給圧が減少傾向にある場合に、前記コンプレッサの異常判定を開始し、前記内燃機関の制御装置は、前記判定手段が前記コンプレッサの異常判定を実行している判定期間において前記排気側可動ベーン機構における開度変更を禁止する開度変更禁止手段を更に具備してもよい。
実過給のピーク値に対する低下量に基づいてコンプレッサの異常を判定する場合、可及的迅速にコンプレッサの異常を検出する観点から言えば、検出された実過給圧が減少傾向である旨をもって異常判定を開始するのが望ましい(減少傾向であるか否かの判定態様を特に限定するものではない)。
一方、実際にコンプレッサが異常である場合、このようにコンプレッサの異常判定が開始されから、実際にコンプレッサが異常であるとの判定が下されるまでの判定期間については、コンプレッサが異常であるにもかかわらず、過給器の実践的運用上何らの制約も存在しないことになる。
然るに、コンプレッサ側に何らかの異常が生じている状態において、例えば排気側可動ベーン機構の動作が何ら制限されない場合、過給器は一種の過回転状態に陥る可能性がある。このような過回転状態は、過給器の焼き付きや磨耗等を促進してその寿命を短縮化し得ると共に、内燃機関を搭載する車両の動力性能にも影響を与え得る。
開度変更禁止手段は、このような、一種のグレーゾーン(コンプレッサが異常である可能性が無視し得ない程度に高いとみなし得る期間)に相当する判定期間において、予防的見地から排気側可動ベーン機構の開度変更動作を禁止する(尚、過給器の異常の進行を食い止める観点から言えば、安全性が確保された範囲内で、その動作を著しく制限する態様も含み得る)ものである。
開度変更禁止手段によれば、判定期間中は、排気側可動ベーン機構の開度変更動作が禁止されるので、コンプレッサが実際に異常であったとしてもコンプレッサに無用な負荷が加わることを可及的に防止し、もって過給器の好適な保護を図ることができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、所定期間における前記実過給圧の変化量を特定し、前記判定手段は、前記検出された実過給圧が前記目標過給圧未満であると共に、前記特定された変化量が所定値未満である場合に、前記タービンが異常であると判定する。
この態様によれば、時間推移として、所定期間における実過給圧の変化量が特定される。ここで、上記期間において排気側の可動ベーン機構にベーン固着が生じた場合、先述したように、実過給圧は一定又は略一定となる。従って、実過給圧が目標過給圧と殆ど一致して追従している場合を除けば、上記期間において実過給圧が一定又は略一定であることをもって、タービンが異常である旨の判定を下すことが可能となる。
ここで、「所定期間」とは、タービンが異常である旨の判定を下すために必要な期間であって、その長さは、例えば、排気側可動ベーン機構が正常に稼動している場合であれば特定された変化量が所定値以上に変化するとみなし得る時間等として、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて規定されていてもよい。
一方、特定された変化量との比較に供される「所定値」とは、実過給圧が一定又は略一定であると判定し得る値であって、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、上記所定期間との関係性を考慮して定められ得る。
尚、変化量の特定に係る「所定期間」と変化量との比較に供すべき「所定値」とは、ある種の相関を有し得る。即ち、所定期間が相対的に長ければ(短ければ)、変化量の所定値はそれに応じて相対的に大きく(小さく)なり得る。このような関係性を利用すれば、異常の判定に時間的制約が存在する場合であっても、異常判定に係る判定精度を確保することが可能となり得る。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、前記目標過給圧に対する前記検出された実過給圧の偏差を特定し、前記判定手段は、前記コンプレッサが異常であると判定された場合において、前記空気流量及び前記特定された偏差に基づいて前記コンプレッサにおける異常の発生箇所を更に判定する。
上記期間における実過給圧の低下は、吸気側可動ベーン機構のベーン固着以外にも、例えば、タービンブレードの破損、コンプレッサインペラの破損、シャフトの軸受部分の磨耗や焼付き、或いは吸気通路におけるガス漏洩等、過給器に生じ得る他の異常(既に述べたように、排気側可動ベーン機構のベーン固着は除く)によって生じ得る。
ここで、吸気側可動ベーン機構のベーン固着と、他の異常との間には、コンプレッサ前後での空気流量に相違がある。即ち、コンプレッサ下流において吸気漏洩が生じている場合、コンプレッサ上流における空気流量と、コンプレッサ下流(例えば、吸気マニホールド付近)における空気流量との差が拡大するが、吸気側可動ベーン機構のベーン固着では、このような拡大は生じない。また、コンプレッサインペラ、タービンブレード或いはベアリング等に異常が生じている場合、元よりコンプレッサが正常に作動しなくなるため、コンプレッサの空気流量は、コンプレッサ上下流隔てなく瞬時に低下するが、吸気側可動ベーン機構のベーン固着では、このような空気流量の瞬時の低下は発生しない。
従って、コンプレッサが異常である旨の判定を下すにあたって、時間推移としての偏差(目標過給圧と実過給圧との偏差であり、広義には、上述した態様における、ピーク値に対する低下量も含まれる)に加え、コンプレッサの空気流量を参照することによって、更にその異常発生箇所の正確な分類が可能となる。この際、コンプレッサの空気流量は、例えばエアフローメータ等、内燃機関に通常備わり得る各種のセンサのセンサ値を流用可能であり、好適には、この種の異常個所の分類をなすにあたって、新規な構成要素の追加によるコストの増加は生じない。
コンプレッサにおける異常の発生箇所を判定可能な本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記判定手段は、少なくとも前記吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着の有無を判定する。
この態様によれば、異常の発生箇所の判定を経た結果として、少なくとも吸気側可動ベーン機構におけるベーンの閉じ側固着の有無が判定されるため、より正確に吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着を検出することが可能となり、コンプレッサのみならず過給器全体に影響を与えるチョーキングを防止、抑制又は緩和することが可能となる。
尚、この態様では、前記吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着が発生したと判定された場合に、前記コンプレッサの前後圧力比と前記空気流量とに基づいて前記吸気側可動ベーンの開度を特定する開度特定手段と、前記特定された開度に応じて前記実過給圧及び空気流量のうち少なくとも一方を補正する補正手段とを更に具備してもよい。
この場合、吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着が検出された場合に、開度特定手段により、その時点でのベーン開度が特定される。ここで、開度特定手段がベーン開度を特定するにあたって参照するコンプレッサの前後圧力比及び空気流量としては、内燃機関に通常備わり得る各種のセンサ(例えば、エアフローメータやコンプレッサ上流側に設けられた吸気圧センサ(尚、コンプレッサ上流側の吸気圧とは、典型的には大気圧である)のセンサ値を参照することができる。即ち、この態様においても、内燃機関には、過給器の異常判定を目的として特別にセンサを付設する必要は生じない。
一方、ベーン開度が特定されると、補正手段により実過給圧及び空気流量のうち少なくとも一方が、この特定された開度に応じて補正される。好適には、内燃機関の運転条件が、特定されたベーン開度でチョーキングの生じない運転領域に制限される。従って、過給器の異常判定を正確に行い得る判定手段の効能を有効に利用して、過給器を、その時点での許容範囲で可及的に高効率に作動させることが可能となる。その結果、車両の好適な退避走行(フェールセーフ走行)もまた可能となる。
尚、実過給圧の補正は、例えば、正常である排気側可動ベーン機構のベーン開度調整やウェストゲート弁による排気バイパス等により行ってもよい。また、空気流量の補正は、スロットル弁の開度調整や吸気バイパス弁による吸気バイパス等により行ってもよい。この際、実過給圧と空気流量とは、相互に協調的に補正されてもよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する異常判定制御を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「時間推移特定手段」及び「判定手段」の一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列した構成を有している。各気筒内部においては、吸入行程において空気が吸入され、気筒内に燃料が噴射される。噴霧燃料と吸入空気は、圧縮行程において攪拌混合され混合気となり、圧縮端付近で自着火することにより燃焼する。
この燃焼に伴う燃焼エネルギは、不図示のピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフト(不図示)を駆動することにより運動エネルギに変換される。このクランクシャフトの回転は、エンジンシステム10を搭載する車両の駆動輪に伝達され、当該車両の走行が可能となる。
排気行程において各気筒から排出される排気は、排気マニホールド203に集約され、排気マニホールド203に接続された排気管204に導かれる。ここで、エンジン200は、ターボチャージャ300を備えており、排気管204に導かれた排気は、このターボチャージャ300のタービンブレード302に排気熱エネルギを供与した後、下流側の触媒装置(不図示)に導かれる構成となっている。尚、ターボチャージャ300の詳細については後述する。
一方、吸気管205には、不図示のエアクリーナを介して外界から空気が吸入される。この吸入空気は、ターボチャージャ300を構成するコンプレッサインペラ307の回転により圧縮され、コンプレッサインペラ307の下流側に設置されたインタークーラ206へ供給される。インタークーラ206は、圧縮後の吸入空気を冷却して過給効率を向上させるための冷却装置である。
吸気管205におけるインタークーラ206の下流側には、スロットル弁207が設置されている。スロットル弁207は、開閉状態に応じて吸入空気を調量する弁であり、ECU100と電気的に接続されたアクチュエータにより、その開閉状態が制御される構成となっている。即ち、スロットル弁207は、所謂電子制御スロットル装置の一部を構築している。
吸気管205は、スロットル弁207の下流側において吸気マニホールド208に連結されている。吸気マニホールド208は、シリンダブロック201内に形成された各気筒に対応する吸気ポートに接続されている。吸気マニホールド208に導かれた吸入空気は、この吸気ポートにおいて霧状に噴射されるガソリンと混合され、先に述べたように、各気筒における不図示の吸気弁の開弁時に気筒内に吸入される。
尚、本実施形態では、ディーゼルエンジンとしたが、これは本発明に係る内燃機関の一例に過ぎず、本発明に係る内燃機関は、例えばガソリンエンジンであってもよいし、アルコール混合燃料を使用するエンジンであってもよい。
エンジン200は、排気熱を回収してタービンブレードを回転駆動し、当該タービンブレードと一体に回転するコンプレッサインペラを利用して吸入空気を大気圧以上に圧縮して下流側に供給する(即ち、過給する)ことが可能な、本発明に係る「過給器」の一例たるターボチャージャ300を備える。
ターボチャージャ300は、タービンハウジング301、タービンブレード302、ノズルベーン303及び可変ノズル用アクチュエータ304を含むVNT(可変ノズルタービン、以下、これらを総称する場合には適宜「VNT」なる文言を使用する)を備える。
タービンハウジング301は、タービンブレード302及びノズルベーン303を収容する筐体である。
タービンブレード302は、排気管204に導かれた排気の圧力(即ち、排気圧)によりターボ回転軸305を中心として回転可能に構成された、金属製或いはセラミック製の回転翼車である。
ノズルベーン303は、タービンハウジング301においてタービンブレード302に対する排気の入り口に相当するインレット部に、タービンブレード302を囲むように等間隔で複数設置された、羽根状部材である。これらノズルベーン303の各々は、不図示のリンク式回動機構により所定の回転軸を中心として当該インレット部内で一斉に回動可能であり、その開閉状態に応じて、排気管204とタービンブレード302との連通面積を変化させることが可能である。より具体的には、当該連通面積は、ノズルベーン303の開度が0°(全閉)の状態において最小となり、90°(全開)の状態において最大となる。
ここで、連通面積が小さくなれば排気の流速が高まるため、排気量が比較的小さい軽負荷領域においては、このノズルベーン303を閉じ側に制御することによって、効率的にタービン302を駆動することが可能となる。
ノズルベーン303を回動させるリンク式回動機構は、可変ノズル用アクチュエータ(VNA)304から供給される駆動力により駆動される。この可変ノズル用アクチュエータ304は、ECU100と電気的に接続されており、ノズルベーン303の開閉状態は、エンジン200の運転条件に応じてECU100により制御される構成となっている。尚、ノズルベーン303の制御態様は、公知のものであってよく、ここではその詳細を省略する。但し、定性的には、軽負荷領域においては先述したようにノズルベーン303は閉じ側に制御され、高負荷領域においてはノズルベーン303による排気の調速作用は必要ないため、エンジン背圧の上昇を避けるべくノズルベーン303は開き側に制御される。
尚、ノズルベーン303及び可変ノズル用アクチュエータ304を含む可変ノズル機構は、本発明に係る「排気側可動ベーン機構」の一例である。
ターボチャージャ300は、コンプレッサハウジング306、コンプレッサインペラ307、ディフューザベーン308及び可変ディフューザ用アクチュエータ309を含むVGC(可変ジオメトリコンプレッサ、以下、これらを総称する場合には適宜「VGC」なる文言を使用する)を備える。
コンプレッサハウジング306は、コンプレッサインペラ307及びディフューザベーン308を収容する筐体である。
コンプレッサインペラ307は、エアクリーナを介して外界から吸気管205に吸入された空気を、タービンブレード302の回転に伴う回転により生じる圧力により下流側へ圧送供給可能に構成されており、このコンプレッサインペラ307による吸入空気の圧送効果により、所謂過給が実現される構成となっている。
ディフューザベーン308は、コンプレッサハウジング306においてコンプレッサインペラ307を介して供給される吸入空気の流速を調整して圧力エネルギを取り出すディフューザ部に、コンプレッサインペラ307を囲むように等間隔で複数設置された、羽根状部材である。これらディフューザベーン308の各々は、不図示のリンク式回動機構により所定の回転軸を中心として当該ディフューザ部内で一斉に回動可能であり、その開閉状態に応じて、吸気管205におけるコンプレッサインペラ307側とインタークーラ206側との連通面積を変化させることが可能である。より具体的には、当該連通面積は、ディフューザベーン308の開度が0°(全閉)の状態において最小となり、90°(全開)の状態において最大となる。
ここで、図2を参照し、ディフューザベーン308の構成について説明する。ここに、図2は、ディフューザ部からコンプレッサインペラ307の方向を見た概略平面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、図2(a)は、ディフューザベーン308が全閉(開度0°)である場合に対応しており、図2(b)は、ディフューザベーン308が全開(開度90°)である場合に対応している。図示するように、ディフューザベーン308が全閉状態を採る場合、コンプレッサインペラ307を通過した吸入空気の流路は最も大きく絞られる。反対に、ディフューザベーン308が全開状態を採る場合、当該流路は殆ど絞られることがない。
流路の連通面積が小さくなれば吸入空気の流速が高まるため、過給効果が比較的小さい軽負荷領域においては、このディフューザベーン308を閉じ側に制御することによって、過給効率を向上させることが可能となる。一方、ディフューザベーン308のベーン開度を一定に維持したまま過給を行うと、空気流量が、チョーキングが発生するチョーク流量に到達してチョーキングを生じる可能性が高くなる。そのため、ディフューザベーン308は、軽負荷運転から高負荷運転への移行(概ね、過給圧の上昇と一義的である)に伴って、段階的に或いは連続的に開き側、即ちベーン開度が増大する側へ駆動制御される。
尚、先に述べたノズルベーン303の構成も、概念的には図2に示したディフューザベーン308と同様である。
図1に戻り、ディフューザベーン308を回動させるリンク式回動機構は、可変ディフューザ用アクチュエータ(VDA)309から供給される駆動力により駆動される。この可変ディフューザ用アクチュエータ309は、ECU100と電気的に接続されており、ディフューザベーン308の開閉状態は、エンジン200の運転条件に応じてECU100により制御される構成となっている。尚、ディフューザベーン308の制御態様は、公知のものであってよく、ここではその詳細を省略する。但し、定性的には、軽負荷領域においては先述したようにディフューザベーン308は閉じ側に制御され、高負荷領域においてはチョーキング(流路閉塞)による過給圧の低下を防ぐためにディフューザベーン308は開き側に制御される。
尚、ディフューザベーン308及び可変ディフューザ用アクチュエータ309を含む可変ディフューザ機構は、本発明に係る「吸気側可動ベーン機構」の一例である。
一方、エンジンシステム10は、エアフローメータ209、吸気圧センサ210、過給圧センサ211、インマニ圧センサ212及びインマニ吸気温センサ213を備える。
エアフローメータ209は、外界から吸入される吸入空気の量たる空気流量Qcを検出可能なセンサである。エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空気流量Qcは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
吸気圧センサ210は、エアフローメータ209の下流側に設置された、吸入空気の圧力たる吸気圧P0(実質的に大気圧相当値である)を検出可能なセンサである。吸気圧センサ210は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸気圧P0は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
過給圧センサ211は、VGCとインタークーラ206との間に設置された、過給圧P3を検出可能なセンサである。過給圧センサ211は、ECU100と電気的に接続されており、検出された過給圧P3は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
インマニ圧センサ212は、吸気マニホールド208に設置された、吸気マニホールド内の圧力たるインマニ圧Pimを検出可能なセンサである。インマニ圧センサ212は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたインマニ圧Pimは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
インマニ吸気温センサ213は、吸気マニホールド208に設置された、吸気マニホールド内の吸入空気の温度たるインマニ吸気温Timを検出可能なセンサである。インマニ吸気温センサ213は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたインマニ吸気温Timは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
<実施形態の動作>
続いて、本実施形態の動作について説明する。
続いて、本実施形態の動作について説明する。
<ターボチャージャ300の駆動制御>
始めに、図3を参照し、ターボチャージャ300の動作特性について説明する。ここに、図3は、空気流量Qcと圧力比Rp(Rp=P3/P0)との関係を概念的に説明する図である。
始めに、図3を参照し、ターボチャージャ300の動作特性について説明する。ここに、図3は、空気流量Qcと圧力比Rp(Rp=P3/P0)との関係を概念的に説明する図である。
図3において、横軸には空気流量Qcが、縦軸には圧力比Rpが夫々表されている。
図3には、便宜的に二種類のディフューザベーン開度Adfsに対応するサージ限界線Sg(細い実線参照)及びターボ限界線Tb(細い破線参照)が示される。相対的に小さい、即ち、閉じ側のディフューザベーン開度Adfsclに対応するサージ限界線Sg及びターボ限界線Tbが、夫々図示サージ限界線Sgcl及びターボ限界線Tbclであり、相対的に大きい、即ち、開き側のディフューザベーン開度Adfsopに対応する両線が、夫々サージ限界線Sgop及びターボ限界線Tbopである。
尚、ディフューザベーン308は、ディフューザベーン開度Adfsが連続的に変化し得る構成となっており、図3の座標空間上には、本来、多数のディフューザベーン開度Adfsに対応する多数のサージ限界線Sg及びターボ限界線Tbが規定され得る。但し、それら全ての図示は図面の煩雑化を招くため、本実施形態においては、ディフューザベーン308が、閉じ側のディフューザベーン開度Adfsclと開き側のディフューザベーン開度Adfsopとの間で二値的に切り替えられるものとして説明を継続する。
サージ限界線Sgとは、ターボチャージャ300を構成するVGC(可変ジオメトリコンプレッサ)のサージ限界を規定する線であり、サージ限界線Sgよりも小空気量側(図中左側)の領域或いは高圧力比側(図中上側)の領域がサージ領域であることを意味する。サージ領域においては、コンプレッサインペラ307に共振現象としてのサージングが生じて、ターボチャージャ300の過給効率が極端に低下する。
ターボ限界線Tbとは、ターボチャージャ300を構成するVNT(可変ノズルタービン)のタービン回転速度の限界を規定する線であり、ターボチャージャ300が、ターボ限界線Tbよりも大空気量側(図中右側)の領域或いは高圧力比側(図中上側)の領域では作動できないことを意味する。別言すると、過給が進行する過程において空気流量Qcが徐々に増加し、ターボ限界線Tbに到達すると、圧力比Rpは急激に低下する。これは、ターボ限界線Tbを超えて空気流量Qcを増加させようとしても、ディフューザベーン308による流路閉塞、所謂チョーキングが生じて過給圧が急激に低下することによる。
従って、あるディフューザベーン開度Adfsが与えられた場合に、ターボチャージャ300の実作動領域は、サージ限界線Sgとターボ境界線Tbとによって挟まれた領域に限定される。
一方、本実施形態において、ターボチャージャ300の目標過給圧Ptgは、機関回転速度Ne及びアクセル開度Ta等に応じて定まり得るエンジン200の要求負荷(或いは、目標吸入空気量)に基づいて設定される。従って、ドライバがアクセルペダルを踏み増しする等して車両に加速要求が生じた場合、目標過給圧Ptgは増加する傾向となる。
他方、ターボチャージャ300の実過給圧たる過給圧P3は、目標過給圧Ptgに追従するように制御される。この際、例えば、VNTのノズルベーン開度Anzlが閉弁側に駆動制御され、或いは排気バイパス弁や吸気バイパス弁が別途備わる構成においては、これらが閉弁側に制御される。
ここで、ディフューザベーン開度Adfsが固定されたままだと、先に述べたように、高負荷領域(即ち、空気流量Qcが大である領域)においてチョーキングが生じてしまう。このため、目標過給圧Ptgとの差が増加する、主として加速要求期間においては、的確なタイミングでディフューザベーン308もまた開弁側に駆動制御される。
図3には、その切り替え動作点mc(黒丸参照)が示される。本実施形態において、切り替え動作点mcは、移行後のディフューザベーン開度(即ち、この場合、開き側のAdfsop)に対応するサージ限界線Sg(即ち、この場合、Sgop)を高負荷側に横切った時点近傍に設定される。これは、ディフューザベーン開度が小さい程、ターボ効率(ターボチャージャ300に付与される仕事量に対する過給圧)が高い高効率領域がサージ限界線に近付くためであり、開き側のディフューザベーン開度を選択可能となった時点においては、既に開き側のディフューザベーン開度を選択した方が、効率的な過給が実現できるためである。
切り替え動作点mcにおいてディフューザベーン開度Adfsが切り替えられると、ターボチャージャ300の作動領域はサージ限界線Sgopとターボ限界線Tbopとによって規定される相対的高負荷領域に変化するため、目標過給圧Ptgの増加に対し、過給圧P3を良好に追従させることが可能となる。その結果、ターボチャージャ300が正常である場合、ターボチャージャ300は、図中太い実線で示される正常時動作線に従って作動する。
尚、ディフューザベーン開度Adfsが連続的に切り替えられる場合であっても、基本的に図3に示したように、現時点よりも開き側の開度に対応する切り替え動作点において、ディフューザベーン開度Adfsが順次選択され、ターボチャージャ300の効率的動作が担保される。
ここで、ディフューザベーン308に閉じ側固着(即ち、要求開度よりも閉じ側で生じる固着)が生じた場合を考える。再び図3を参照すると、この場合、切り替え動作点mcにおいてもディフューザベーン開度AdfsはAdfsclのままであり、ターボチャージャ300の動作線は、図中太い破線で示すようになる。即ち、空気流量Qcの増加に伴いターボチャージャ300の動作点がターボ限界線Tbclに到達した時点から、チョーキングにより圧力比Rpが急激に減少し始める。その結果、動作点が、図示破線枠CKで囲まれたチョーキング領域に突入する可能性がある。
ところで、過給圧P3の低下だけを見れば、実はVNTのノズルベーン303が開き側固着した場合にも生じ得る。従って、単にその時点の過給圧P3だけを参照しても、ノズルベーン303の開き側固着とディフューザベーン308の閉じ側固着とを切り分けることができない。これらの切り分けが出来ないと、ターボチャージャ300の実践的運用形態を、安全側に整合させるよりないから、ターボチャージャ300の動作を最適化することが難しくなる。
そこで、本実施形態では、ECU100が異常判定制御を実行することにより、ターボチャージャ300において、VNT側で生じたベーンの開き側固着とVGC側で生じたベーンの閉じ側固着とが正確に切り分けられる。
<異常判定制御の詳細>
次に、図4を参照し、ECU100により実行される異常判定制御の詳細について説明する。ここに、図4は、異常判定制御のフローチャートである。
次に、図4を参照し、ECU100により実行される異常判定制御の詳細について説明する。ここに、図4は、異常判定制御のフローチャートである。
図4において、ECU100は、ターボチャージャ300の目標過給圧の変化量ΔPtgを算出する(ステップS101)。尚、変化量ΔPtgの算出は、所定周期毎に実行されており、ステップS101における変化量ΔPtgとは、即ち、目標過給圧の変化速度と等価である。算出された変化量ΔPtgは、本発明に係る「目標過給圧の変化速度」の一例である。
尚、ECU100は、エンジンシステム10に備わる各種センサから、所定周期でセンサ値を取得している。従って、空気流量Qc、吸気圧P0、過給圧P3、インマニ吸気圧Pim及びインマニ吸気温Timは、ECU100が常時把握している。
ECU100は、算出された変化量ΔPtgが所定値Aよりも大きいか否かを判別する(ステップS102)。ここで、所定値Aは、車両が異常判定を十分に行い得る程度の加速状態にあるか否かを規定する値であり、予めROMに格納された固定値である。後述するように、本実施形態に係る異常判定制御は、実過給圧の時間推移に基づいた異常判定を行うため、目標過給圧Ptgが元より不変又はそれに類する程度に一定している場合には、異常判定に係る判定精度が担保され難いのである。逆に言えば、異常判定制御は、車両が十分な加速状態にある場合には、いつでも実行することができる。所定値Aは、日常的に十分採り得る範囲の値であり、その意味において、異常の判定機会は十分に担保されている。
変化量ΔPtgが所定値A以下である場合(ステップS102:NO)、処理はステップS101に戻され、一連の処理が繰り返される。一方、変化量ΔPtgが所定値Aよりも大きい場合(ステップS102:YES)、即ち、異常の判定条件が満たされる場合、ECU100は、過給圧P3が、目標過給圧Ptg未満であるか否かを判別する(ステップS103)。過給圧P3が目標過給圧Ptg以上である場合(ステップS103:NO)、ECU100は、後述するピーク値P3pkをメモリから消去し(ステップS107)、処理をステップS101に戻して一連の処理を繰り返す。
尚、これ以降、目標過給圧の変化量ΔPtgが所定値Aよりも大きい期間を適宜「目標過給圧上昇期間」と称することとする。
過給圧P3が目標過給圧Ptg未満である場合(ステップS102:YES)、ECU100は、過給圧P3のピーク値P3pkを取得し、メモリ(例えば、RAM)に格納する(ステップS104)。ここで、過給圧P3のピーク値P3pkとは、目標過給圧上昇期間に目標過給圧Ptgに追従する過程において過給圧P3が採るピーク値であり、過給圧P3が目標過給圧Ptgに追従すべく目標過給圧期間において上昇を続けている場合には、基本的にその時点の過給圧P3の値に更新される。一方、過給圧P3が前回値未満である場合、ピーク値P3pkは更新されない(前回値と等しい場合には、更新されてもされなくてもよい)。
ECU100は、取得したピーク値P3pkと最新の過給圧P3との偏差たるピーク偏差(即ち、P3pk−P3)が所定値Bよりも大きいか否かを判別する(ステップS105)尚、所定値Bについては後述する。ピーク偏差が所定値Bよりも大きい場合(ステップS105:YES)、ECU100は、VGCのディフューザベーン308が閉じ側固着であると判定する(ステップS106)。
一方、ピーク偏差が所定値B以下である場合(ステップS105:NO)、ECU100は、過給圧P3が一定であるか否かを判別する(ステップS108)。尚、「一定である」とは、過給圧P3の今回値と前回値との偏差が基準値内に収まっていることを意味する。過給圧P3が一定でない場合(ステップS108:NO)、ECU100は、ステップS101に処理を戻し、一連の処理を繰り返す。尚、ステップS108が「NO」側に分岐する条件には、過給圧P3が目標過給圧Ptgへ追従し続けている場合と、過給圧P3が低下しているもののピーク偏差が未だ所定値B以下である場合とが含まれる。
過給圧P3が一定である場合(ステップS108:YES)、ECU100は、過給圧P3が一定である期間が所定期間継続したか否かを判別する(ステップS109)。過給圧P3が一定である期間が所定期間未満の長さである場合(ステップS109:NO)、ECU100は、処理をステップS101に戻し一連の処理を繰り返す。
過給圧P3が所定期間以上一定である場合(ステップS109:YES)、ECU100は、VNTのノズルベーン303が開き側固着であると判定する(ステップS110)。ステップS106又はステップS110が実行されると、即ち、VGCの閉じ側固着又はVNTの開き側固着が検出されると、異常判定制御は終了する。また、ターボチャージャ300が正常であり、過給圧P3が目標過給圧Ptgに問題無い範囲で追従している場合には、異常判定制御は、対応するステップ間で常時ループ処理される。
ここで、図5を参照し、異常判定制御に係るディフューザベーン308の閉じ側固着及びノズルベーン303の開き側固着の判定に係る判定原理について説明する。ここに、図5は、異常判定制御の実行期間における過給圧P3の一時間推移を例示する図である。
図5において、縦軸は目標過給圧Ptg及び過給圧P3(即ち、圧力値である)であり、横軸は時刻である。時刻T1において、目標過給圧Ptgの変化量が所定値Aを超え、過給圧P3のピーク値P3pkの更新処理が開始されるものとする。
目標過給圧Ptgの時間推移が図示PRF_Ptg(一点鎖線参照)である場合、ターボチャージャ300が正常であれば、過給圧P3の時間推移は、図示PRF_P31(二点鎖線参照)のようになる。即ち、過給圧P3は、目標過給圧Ptgに対し、一定の時間遅延を伴って追従し、一時的にオーバシュートした後、目標過給圧Ptgに収束する。
ところが、VGCのディフューザベーン308に閉じ側固着が生じている場合、先に述べたように切り替え動作点におけるディフューザベーン308の開度切り替えが完了しないために、切り替え動作点以降、過給圧P3の時間推移は、図示PRF_P32(実線参照)の如く、徐々に正常時のものから乖離する。
そして、ターボチャージャ300の動作点(端的には、空気流量Qc)が、ターボ限界線Tbで規定される値に達すると、軽度のチョーキングが始まり、過給圧P3が急激に減少し始める。その結果、ある時刻において、過給圧P3のピーク値P3pkが確定する。
ここで、このような過給圧P3の急下降を放置すれば、図示破線で示すように、チョーキングは更に進行し、過給圧P3は極度に低下してしまう。そこで、異常判定制御では、ピーク値P3pkからの低下量たるピーク偏差が所定値Bに達した(図5において、過給圧P3がP3Aに達した)時刻T2(図示白丸に相当する時点)において、ディフューザベーン308が閉じ側固着状態であると判定するのである。このように、所定値Bとは、過給圧P3が、実践上無視し得ない重度のチョーキングが生じる時点(例えば、図示時刻T3)よりも時系列上前の時点に相当する値まで低下したか否かを規定する値として事前に策定される。
一方、図示は省略するが、VNTのノズルベーン303が開き側固着状態である場合、同じく実過給圧P3は目標過給圧Ptgに対する追従を停止する。ところが、このような一時点における過給圧でなく、有限の時間範囲における時間推移としてみると、ノズルベーン303の閉じ側固着に対しては、実過給圧P3は低下しない。即ち、ノズルベーン303に開き側固着が生じたとしても、タービンブレード302への排気供給が制限されるのみであって、過給圧P3が、既に到達した過給圧から大きく低下することはないのである。従って、時間推移を判定基準とすれば、ノズルベーン303の開き側固着とディフューザベーン308の閉じ側固着とを正確に切り分けることが可能となるのである。
以上説明したように、本実施形態に係る異常判定制御によれば、ノズルベーン303の閉じ側固着とディフューザベーン308の開き側固着とでは目標過給圧上昇期間における過給圧P3の時間推移が全く異なる点に着眼し、エンジンシステム10に元来備わるセンサの検出値を利用して、コストの増加、車両搭載性の悪化及び制御負荷の増大といった問題を生じることなく、且つ正確にターボチャージャ300の異常を判定することができるのである。
尚、本実施形態においては、ピーク値P3pkからの過給圧P3の低下量たるピーク偏差(本発明に係る「実過給圧の時間推移」の一例)に基づいてディフューザベーン308の閉じ側固着に係る判定を行っているが、当該判定に係る判定基準としては、ピーク偏差に限らず他の指標も適用可能である。
ここで、図6及び図7を参照し、他の判定基準について説明する。ここに、図6は、目標過給圧上昇期間における過給圧変化率P3’の一時間推移を例示する図であり、図7は、同様に目標過給圧上昇期間における過給圧変化率P3’の他の時間推移を例示する図である。尚、これらの図において相互に重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、過給圧変化率P3’とは、過給圧P3の時間変化率であり、算定期間が一定であれば、即ち変化量に等しい。ここで、このように過給圧変化率P3’を利用する場合、本発明に係る「実過給圧の時間推移」を以下のように定義することができる。
即ち、時刻T4において目標過給圧Ptgの変化が始まったとする。過給圧変化率P3’が正値を採る期間は、過給圧P3が上昇している期間であり、未だチョーキングが生じていないと判断することが可能である。一方、過給圧変化率P3’が負値を採り始める時刻T5において、過給圧P3は上述の実施形態になぞらえるならば、ピーク値P3pkから減少し始める。
ここで、時刻T4において時間計測を開始し、過給圧変化率P3’が連続的に負値を採る期間の長さ(即ち、時間)を検出すると、この検出された時間値は、本発明に係る「過給圧の時間推移」の一例として利用することができる。例えば、図示のように、当該時間値が基準値ΔT(予め実験的に定められ得る)に達した時刻T6をもって、ディフューザベーン308が閉じ側固着状態である旨の判定を下すことが可能である。
一方、図7には、図6と同様の過給圧変化率P3’の時間推移が例示されるが、時刻T7において異常判定を開始し、過給圧変化率P3’が基準値Cに到達した時刻T8をもってディフューザベーン308が閉じ側固着状態であるとの判定を行ってもよい。この際、時刻T7以降、過給圧変化率P3’の監視は継続されており、時刻T8における基準値Cへの到達が一時的でないことは明らかである。即ち、このような判定態様もまた、過去の過給圧の振る舞いと相関する、本発明に係る「実過給圧の時間推移」を利用する判定の一例となる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、過給圧P3がピーク値P3pkから低下した際の低下量(ピーク偏差)に基づいて、ディフューザベーン308の閉じ側固着に係る判定を行ったが、この種の過給圧のピーク値からの低下は、ディフューザベーン308の閉じ側固着以外を理由としても生じ得る。即ち、ノズルベーン303とディフューザベーン308との間で原因の切り分けを行うことは上述の如く可能であるものの、より精細な異常判定を行う観点からは、第1実施形態に係る異常判定制御に若干の改善の余地がない訳ではない。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、過給圧P3がピーク値P3pkから低下した際の低下量(ピーク偏差)に基づいて、ディフューザベーン308の閉じ側固着に係る判定を行ったが、この種の過給圧のピーク値からの低下は、ディフューザベーン308の閉じ側固着以外を理由としても生じ得る。即ち、ノズルベーン303とディフューザベーン308との間で原因の切り分けを行うことは上述の如く可能であるものの、より精細な異常判定を行う観点からは、第1実施形態に係る異常判定制御に若干の改善の余地がない訳ではない。
ここで、図8を参照し、本発明の第2実施形態に係る異常判定制御について説明する。ここに、図8は、異常判定制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、ピーク値P3pkを記憶すると(ステップS104)、ECU100は、空気流量Qcのピーク値Qcpkを適宜更新しつつ記憶する(ステップS201)。尚、空気流量Qcに係るピーク値の概念は、過給圧P3の場合と同様である。
一方、ステップS105において、ピーク偏差が所定値Bよりも大きい場合(ステップS105:YES)、ECU100は、空気流量Qcのピーク偏差(即ち、Qcpk−Qc)を算出すると共に、算出されたピーク偏差が所定値D以下であるか否かを判別する(ステップS202)。ピーク偏差が所定値D以下である場合(ステップS202:YES)、ECU100は、更に、インマニ空気流量Qimと空気流量Qcとの偏差である空気流量偏差(即ち、Qim−Qc)が所定値E以下であるか否かを判別する(ステップS203)。
ここで、吸気マニホールド208における空気流量Qimは、第1に、インマニ圧Qim及びインマニ吸気温Timの各センサ値から空気密度を計算し、第2に、計算された空気密度と、エンジン200の機関回転速度Neと、エンジン200の排気量と、エンジン200の体積効率とに基づいた演算処理を行うことにより算出される。尚、インマニ空気流量Qimの詳細な算出式は、本実施形態の要旨と無関係であるので、ここでは割愛することとする。
空気流量偏差が所定値E以下である場合(ステップS203:YES)、ECU100は、ディフューザベーン308が閉じ側固着状態である旨の判定を行う(ステップS106)。
このように、本実施形態では、過給圧P3のピーク偏差が所定値Bよりも大きいことに加えて、空気流量Qcのピーク偏差が所定値D以下であり且つエアフローメータ209により検出される空気流量Qcと吸気マニホールド208の空気流量Qimとの差(空気流量偏差)が所定値E以下であることが、ディフューザベーン308の閉じ側固着に係る判定基準となっている。
一方、ステップS202において、空気流量Qcのピーク偏差が所定値Dよりも大きい場合(ステップS202:NO)、ECU100は、ターボチャージャ300のハードウェア故障である旨の異常判定を行う(ステップS205)。他方、ステップS203において、空気流量偏差が所定値Eよりも大きい場合(ステップS203:NO)、ECU100は、VGCよりも下流側で吸気漏洩が生じている旨の異常判定を行う(ステップS204)。
より具体的に説明すると、例えば管壁部に穴が開いている、カップラやフランジ等を介した吸気管同士の連結部位においてシール漏れが生じている、或いは吸気通路の一部でホース抜けが発生している等の理由により、VGCよりも下流側の吸気管205で吸気漏洩が生じている場合、吸気マニホールド208とVGC上流側の吸気管205との間で空気流量の偏差が大きくなる。従って、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、誤判定を回避しつつ吸気漏れについては的確に判定し得る適切な値を所定値Eとして設定しておけば、第1実施形態においてディフューザベーン308の閉じ側固着が原因とされた過給圧P3の低下が、吸気漏洩に端を発するものであるとの正確な判定が可能となるのである。
また、タービンブレード302の破損、損傷又は損壊、ターボ回転軸304のベアリング焼き付き、或いはコンプレッサインペラ307の破損、損傷又は損壊等、可動ベーン機構よりも規模の大きなターボチャージャ300のハードウェア異常が生じている場合、いずれにせよコンプレッサインペラ307は正常に回転駆動されないから、この種の異常が発生した時点で殆ど瞬時に空気流量Qcは低下する。従って、目標過給圧上昇期間において本来ピーク値Qcpkから低下するはずのない空気流量Qcが低下する。従って、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、誤判定を回避しつつターボチャージャ300のハードウェア異常については的確に判定し得る適切な値を所定値Dとして設定しておけば、第1実施形態においてディフューザベーン308の閉じ側固着が原因とされた過給圧P3の低下が、より深刻なターボチャージャ300のハードウェア故障に端を発するものであるとの正確な判定が可能となるのである。
<第3実施形態>
上述の各実施形態においては、ターボチャージャ300の異常判定に係る部分が論じられたが、ターボチャージャ300に関する正確な異常判定が可能である点に鑑みれば、それに対応するフェールセーフ措置を講じることにも実践上の意義が生じ得る。
<第3実施形態>
上述の各実施形態においては、ターボチャージャ300の異常判定に係る部分が論じられたが、ターボチャージャ300に関する正確な異常判定が可能である点に鑑みれば、それに対応するフェールセーフ措置を講じることにも実践上の意義が生じ得る。
ここで、本発明の第3実施形態として、ディフューザベーン308の閉じ側固着が生じた場合の措置について説明する。係る措置は、ECU100により実行されるフェールセーフ制御により好適に運用される。尚、第3実施形態において、ECU100は、本発明に係る「開度特定手段」及び「補正手段」の一例として機能する。
ここで、図9を参照し、本発明の第3実施形態に係るフェールセーフ制御の詳細について説明する。ここに、図9は、フェールセーフ制御のフローチャートである。
図9において、ECU100は、ディフューザベーン308に閉じ側固着が生じている旨の判定がなされているか否かを判別する(ステップS301)。係る判別は、例えば、上述の第1又は第2実施形態に係る異常判定制御において、ディフューザベーン308の閉じ側固着判定時に然るべきフラグを設定する等の措置を講じておくことにより、容易にして可能である。
ディフューザベーン308の閉じ側固着が生じていない場合(ステップS301:NO)、ECU100は、ステップS301が「YES」側に分岐するまで、即ち、ディフューザベーン308に閉じ側固着が生じるまで、ステップS301に係る処理を繰り返す。
一方、ディフューザベーン308に閉じ側固着が生じた場合(ステップS301:YES),ECU100は、ディフューザベーン開度Adfsを推定する(ステップS302)。この際、ECU100は、その時点の過給圧P3と空気流量Qcとに基づいてディフューザベーン開度Adfsを推定する。尚、ディフューザベーン開度Adfsと過給圧P3(或いは、圧力比Rp)及び空気流量Qcとの関係は、既に図3に例示したようなものであり、複数のディフューザベーン開度Adfsの中から(図3には二種類しか例示されないが、既に述べたように実際には複数の開度が設定される)、その時点の過給圧P3及び空気流量Qcに対応する開度を選択する、或いは適宜補間すること等によって、ディフューザベーン開度Adfsは好適に推定される。
ディフューザベーン開度Adfsが推定されると、ECU100は、予めROMに格納された制限マップを参照し、圧力比Rp(或いは過給圧P3でもよい)及び空気流量Qcの制限値を取得する(ステップ303)。これらの制限値を取得すると、ECU100は、取得した制限値に基づいてターボチャージャ300の動作を制限する(ステップS304)。フェールセーフ制御は、このように実行される。
ここで、図10を参照し、制限マップの詳細について説明する。ここに、図10は、制限マップを概念的に表してなる模式図である。
図10において、縦軸には圧力比Rpが、横軸には空気流量Qcが表されている。係る座標平面上において、制限値は、ディフューザベーン開度Adfs毎に制限ラインPRF_TBi(i=1,2,3,4)として表される。
ROMには、予め図10に示される制限ラインを数値化した制限値マップが格納されており、ECU100は、ステップS304において、推定されたディフューザベーン開度Adfsに対応する制限ラインに従ってターボチャージャ300の動作を制限する。より具体的には、ECU100は、該当する制限ラインよりも高負荷側(Qcが大きくなる側)及び高過給圧側(Rpが大きくなる側)でのターボチャージャ300の動作を禁止する。ターボチャージャ300の動作を制限するにあたっては、排気側に排気バイパス弁が備わる場合には、当該排気バイパス弁の駆動制御を行ってもよいし、吸気側に吸気バイパス弁が備わる場合には、当該吸気バイパス弁の駆動制御を行ってもよいし、或いはエンジン200における燃料噴射量の制限を行ってもよい。
このように、第3実施形態によれば、ディフューザベーン308の閉じ側固着が判定された場合に、固着時のディフューザベーン開度Adfsに応じてターボチャージャ300の動作を制限することができる。このため、ディフューザベーン308の閉じ側固着によるチョーキングの発生を確実に防止しつつ、許容される範囲については最大限に効率的にターボチャージャ300を稼働させることができる。即ち、好適なフェールセーフが実現されるのである。
尚、制限マップとしては、図10に示される以外にも考えられる。ここで、図11及び図12を参照し、制限マップの他の態様について説明する。ここに、図11は、制限マップの他の模式図であり、図12は、制限マップの更に他の模式図である。
図11において、縦軸及び横軸に夫々圧力比Rp及び空気流量Qcを配してなる座標平面上で、ターボチャージャ300の作動許可領域は、ハッチング領域として示される。この作動許可領域は、例えば第1或いは第2実施形態等においてディフューザベー308の閉じ側固着判定がなされた時点での空気流量Qcと圧力比Rpとによって規定されるターボチャージャ300の一動作点を頂点とする矩形領域である。
図11には、この動作点が、図示動作点M1(Qc1,Rp1)である場合が示される。この場合、空気流量Qcの許容最大値(即ち、制限値)はQc1であり、圧力比Rpの許容最大値(即ち、制限値)はRp1である。ターボチャージャ300は、これら許容最大値以下の動作領域(即ち、作動許可領域)でのみ作動が許可される。尚、ROMには、図11に示す関係が数値化された制限マップが格納される。
このように制限マップを設定した場合、その時点での圧力比Rp及び空気流量Qcを最大値として動作制限が与えられるため、図10に例示されるように推定値の介在を必要とする動作制限よりも安全側での運用が可能となる。
図12において、縦軸及び横軸に夫々過給圧P3及び空気流量Qcを配してなる座標平面上で、ターボチャージャ300の作動許可領域は、ハッチング領域として示される。この作動許可領域は、例えば第1或いは第2実施形態等においてディフューザベー308の閉じ側固着判定がなされた時点での空気流量Qcと圧力比Rpとによって規定されるターボチャージャ300の一動作点を頂点とする矩形領域である。
図12には、この動作点が、図示動作点M2(Qc1,P3B)である場合が示される。この場合、空気流量Qcの許容最大値(即ち、制限値)はQc1であり、過給圧P3の許容最大値(即ち、制限値)はP3Bである。ターボチャージャ300は、これら許容最大値以下の動作領域(即ち、作動許可領域)でのみ作動が許可される。尚、ROMには、図12に示す関係が数値化された制限マップが格納される。
このように制限マップを設定した場合、その時点での過給圧P3及び空気流量Qcを最大値として動作制限が与えられるため、図10に例示されるように推定値の介在を必要とする動作制限よりも安全側での運用が可能となる。
<第4実施形態>
次に、図13を参照し、第1及び第2実施形態に係る異常判定制御と較べてターボチャージャ300をより好適に保護し得る本発明の第4実施形態に係る異常判定制御について説明する。ここに、図13は、第4実施形態に係る異常判定制御のフローチャートである。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
<第4実施形態>
次に、図13を参照し、第1及び第2実施形態に係る異常判定制御と較べてターボチャージャ300をより好適に保護し得る本発明の第4実施形態に係る異常判定制御について説明する。ここに、図13は、第4実施形態に係る異常判定制御のフローチャートである。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図13において、ステップS201における空気流量Qcpkの記憶を開始すると(ステップS201)、ECU100は、過給圧P3が低下傾向にあるか否かを判別する(ステップS401)。ここで、「低下傾向」とは、過給圧P3が前回の検出値未満であることを意味するが、より柔軟な運用を図る観点からは、前回値との偏差がセンサの検出誤差相当値以上であることを意味してもよい。
過給圧P3が低下傾向にある場合(ステップS401:NO)、ECU100は、VNTの動作制限を開始する(ステップS402)。ここで、VNTの動作制限とは、VNTに備わるノズルベーン303の開度変更を禁止する措置を意味する。即ち、ステップS402においては、ノズルベーン303の開度たるノズルベーン開度Anzlが、その時点の値に保持される。尚、ステップS402に係る動作は、本発明に係る「開度変更禁止手段」の動作の一例である。
VNTの動作制限が開始されると、処理はステップS105に移行する。ステップS105において、過給圧P3のピーク偏差がB以下である場合(ステップS105:NO)、処理は、ステップS401に戻される。即ち、過給圧P3の低下傾向が継続している限り、VNTの動作制限もまた継続される。
過給圧P3の低下傾向が継続する過程において、過給圧P3のピーク偏差がBを超えると(ステップS105:YES)、第2実施形態で説明した、ステップS202以降の処理が実行される。ここで、ステップS106、S204又はS205のいずれかにおいて何らかの異常判定が完了すると、VNTの動作制限は解除される。但し、これらの場合、結局のところターボチャージャ300は正常に機能しないため、何らかのフェールセーフ措置が講じられるのが望ましい。VNTの動作制限は、この種のフェールセーフ措置の一環として、再度開始或いは継続されてもよい。
一方、ステップS401において、過給圧P3が低下傾向にない場合(ステップS401:NO)、即ち、過給圧P3が目標過給圧Ptgに追従すべく上昇中か、或いは停滞中である場合、ECU100は、少なくとも吸気側の異常が生じている可能性は低いものとして、VNTの動作制限を解除する(ステップ403)。VNTの動作制限が解除されると、処理はステップS108に移行する。
このように、第4実施形態に係る異常判定制御においては、実過給圧P3が低下傾向を示した時点から何らかの異常判定が完了するまでの期間としての判定期間において、VNTのノズルベーン303の開度変更が禁止される。従って、係る判定期間中に、VNTの通常の制御態様の下でノズルベーン303がより閉弁側へ駆動されること等によって、ターボチャージャ300が過回転状態に陥る事態が防止される。従って、ターボチャージャ300の保護を好適に図ることができる。
尚、無論この判定期間は、VGCの異常判定を実行している期間であって、VGCが必ずしも異常でない言わばグレーゾーンに相当する期間である。然るに、この期間においてVNTの動作が制限されずに、例えば、ノズルベーン開度Anzlがより閉弁側に制御され、ターボチャージャ300の回転上昇が促された場合、真にVGCが異常状態である場合には、ターボチャージャ300が過回転状態となって好ましくない。一方で、判定期間は、実時間軸上の絶対値としては短い期間であって、このような期間についてVNTの動作を制限したところで、実践上動力性能に与える影響は無視し得るのである。
また、一時的なVGCの動作渋り等によって過給圧P3が一時的に低下傾向を示すような場合には、VNTの動作制限が開始されても、ステップS401が「NO」側に分岐することによって速やかにVNTの動作制限は解除される。従って、ターボチャージャ300の実運用上、何らの問題も生じない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、吸気側と排気側とに過給圧調整用のベーン機構を備えた過給器を備えた内燃機関に適用可能である。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…気筒、204…排気管、205…吸気管、302…タービンブレード、303…ノズルベーン、
307…コンプレッサインペラ、308…ディフューザベーン。
307…コンプレッサインペラ、308…ディフューザベーン。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、排気通路に設置され且つ開閉状態に応じて排気圧を調整可能な排気側可動ベーン機構を有するタービンと、吸気通路に設置され且つディフューザ部に開閉状態に応じて空気流量を調整可能な吸気側可動ベーン機構を有するコンプレッサとを備えた過給器と、前記コンプレッサ下流側において前記過給器の実過給圧を検出可能な検出手段とを備えた内燃機関を制御する装置であって、前記過給器の目標過給圧の変化速度が所定値以上となる期間において、前記検出された実過給圧の時間推移を特定する時間推移特定手段と、該特定された時間推移に基づいて前記過給器の異常の有無を判定すると共に、前記過給器に異常があると判定された場合において、前記異常が前記タービンの異常であるか、前記コンプレッサの異常であるかを判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
実過給圧のピーク値に対する低下量に基づいてコンプレッサの異常を判定する場合、可及的迅速にコンプレッサの異常を検出する観点から言えば、検出された実過給圧が減少傾向である旨をもって異常判定を開始するのが望ましい(減少傾向であるか否かの判定態様を特に限定するものではない)。
尚、この態様では、前記吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着が発生したと判定された場合に、前記コンプレッサの前後圧力比と前記空気流量とに基づいて前記吸気側可動ベーン機構におけるベーン開度を特定する開度特定手段と、前記特定されたベーン開度に応じて前記実過給圧及び空気流量のうち少なくとも一方を補正する補正手段とを更に具備してもよい。
尚、ECU100は、エンジンシステム10に備わる各種センサから、所定周期でセンサ値を取得している。従って、空気流量Qc、吸気圧P0、過給圧P3、インマニ圧Pim及びインマニ吸気温Timは、ECU100が常時把握している。
過給圧P3が目標過給圧Ptg未満である場合(ステップS103:YES)、ECU100は、過給圧P3のピーク値P3pkを取得し、メモリ(例えば、RAM)に格納する(ステップS104)。ここで、過給圧P3のピーク値P3pkとは、目標過給圧上昇期間に目標過給圧Ptgに追従する過程において過給圧P3が採るピーク値であり、過給圧P3が目標過給圧Ptgに追従すべく目標過給圧上昇期間において上昇を続けている場合には、基本的にその時点の過給圧P3の値に更新される。一方、過給圧P3が前回値未満である場合、ピーク値P3pkは更新されない(前回値と等しい場合には、更新されてもされなくてもよい)。
ここで、吸気マニホールド208における空気流量Qimは、第1に、インマニ圧Pim及びインマニ吸気温Timの各センサ値から空気密度を計算し、第2に、計算された空気密度と、エンジン200の機関回転速度Neと、エンジン200の排気量と、エンジン200の体積効率とに基づいた演算処理を行うことにより算出される。尚、インマニ空気流量Qimの詳細な算出式は、本実施形態の要旨と無関係であるので、ここでは割愛することとする。
過給圧P3が低下傾向にある場合(ステップS401:YES)、ECU100は、VNTの動作制限を開始する(ステップS402)。ここで、VNTの動作制限とは、VNTに備わるノズルベーン303の開度変更を禁止する措置を意味する。即ち、ステップS402においては、ノズルベーン303の開度たるノズルベーン開度Anzlが、その時点の値に保持される。尚、ステップS402に係る動作は、本発明に係る「開度変更禁止手段」の動作の一例である。
Claims (7)
- 排気通路に設置され且つ開閉状態に応じて排気圧を調整可能な排気側可動ベーン機構を有するタービンと、吸気通路に設置され且つディフューザ部に開閉状態に応じて空気流量を調整可能な吸気側可動ベーン機構を有するコンプレッサとを備えた過給器と、
前記コンプレッサ下流側において前記過給器の実過給圧を検出可能な検出手段と
を備えた内燃機関を制御する装置であって、
前記過給器の目標過給圧の変化速度が所定値以上となる期間において、前記検出された実過給圧の時間推移を特定する時間推移特定手段と、
該特定された時間推移に基づいて前記タービン及び前記コンプレッサのうち少なくとも一方の異常を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、前記検出された実過給圧のピーク値に対する前記検出された実過給圧の低下量を特定し、
前記判定手段は、該特定された低下量が所定値以上である場合に前記コンプレッサが異常であると判定する
ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記判定手段は、前記期間において前記検出された実過給圧が減少傾向にある場合に、前記コンプレッサの異常判定を開始し、
前記内燃機関の制御装置は、
前記判定手段が前記コンプレッサの異常判定を実行している判定期間において前記排気側可動ベーン機構における開度変更を禁止する開度変更禁止手段を更に具備する
ことを特徴とする請求の範囲第2項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、所定期間における前記実過給圧の変化量を特定し、
前記判定手段は、前記検出された実過給圧が前記目標過給圧未満であると共に、前記特定された変化量が所定値未満である場合に、前記タービンが異常であると判定する
ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記時間推移特定手段は、前記時間推移として、前記目標過給圧に対する前記検出された実過給圧の偏差を特定し、
前記判定手段は、前記コンプレッサが異常であると判定された場合において、前記空気流量及び前記特定された偏差に基づいて前記コンプレッサにおける異常の発生箇所を更に判定する
ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記判定手段は、少なくとも前記吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着の有無を判定する
ことを特徴とする請求の範囲第5項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸気側可動ベーン機構の閉じ側固着が発生したと判定された場合に、前記コンプレッサの前後圧力比と前記空気流量とに基づいて前記吸気側可動ベーンの開度を特定する開度特定手段と、
前記特定された開度に応じて前記実過給圧及び空気流量のうち少なくとも一方を補正する補正手段と
を更に具備する
ことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の内燃機関の制御装置。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2010/065262 WO2012032597A1 (ja) | 2010-09-06 | 2010-09-06 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2012032597A1 true JPWO2012032597A1 (ja) | 2013-12-12 |
JP5482904B2 JP5482904B2 (ja) | 2014-05-07 |
Family
ID=45810222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012532751A Expired - Fee Related JP5482904B2 (ja) | 2010-09-06 | 2010-09-06 | 内燃機関の制御装置 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20130255648A1 (ja) |
EP (1) | EP2615274A4 (ja) |
JP (1) | JP5482904B2 (ja) |
CN (1) | CN103080500B (ja) |
WO (1) | WO2012032597A1 (ja) |
Families Citing this family (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6207145B2 (ja) * | 2012-10-24 | 2017-10-04 | ダイハツ工業株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
CN103742256B (zh) * | 2013-12-24 | 2016-03-16 | 潍柴动力股份有限公司 | 发动机、发动机增压器保护方法和装置 |
JP6125440B2 (ja) * | 2014-01-08 | 2017-05-10 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP6044572B2 (ja) * | 2014-03-19 | 2016-12-14 | マツダ株式会社 | ターボ過給機付エンジンの制御装置 |
JP6011576B2 (ja) * | 2014-04-24 | 2016-10-19 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP6044601B2 (ja) * | 2014-07-11 | 2016-12-14 | トヨタ自動車株式会社 | 過給システムおよび過給システムの診断方法 |
JP6044600B2 (ja) | 2014-07-11 | 2016-12-14 | トヨタ自動車株式会社 | 過給システムおよび過給システムの診断方法 |
DE102014016782A1 (de) * | 2014-11-13 | 2016-05-19 | Man Truck & Bus Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Pulsationskorrektur eines Ausgangssignals eines Luftmassensensors |
CN107110013A (zh) * | 2015-01-16 | 2017-08-29 | 三菱重工业株式会社 | 可变容量型涡轮增压机的异常判定装置 |
JP6507667B2 (ja) * | 2015-01-23 | 2019-05-08 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法 |
DE102015002598A1 (de) * | 2015-02-28 | 2016-09-01 | Man Truck & Bus Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Ansteuerung eines Antriebssystems eines Kraftfahrzeugs mit einer aufgeladenen Brennkraftmaschine |
KR101694034B1 (ko) * | 2015-07-14 | 2017-01-09 | 현대자동차주식회사 | 가변 터보차저의 제어 시스템 및 방법 |
CN107532526B (zh) | 2015-11-20 | 2020-11-10 | 三菱重工发动机和增压器株式会社 | 增压系统的控制装置 |
US9976474B2 (en) * | 2016-04-14 | 2018-05-22 | Caterpillar Inc. | Turbocharger speed anomaly detection |
GB2558604B (en) * | 2017-01-09 | 2020-02-26 | Delphi Automotive Systems Lux | Method to detect faults in boost system of a turbocharged engine |
JP2020051404A (ja) | 2018-09-28 | 2020-04-02 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の診断装置 |
CN109488473B (zh) * | 2018-12-17 | 2021-08-13 | 中国船舶重工集团公司第七一一研究所 | 发动机的在线预判系统和在线预判方法 |
US11608775B1 (en) * | 2022-07-26 | 2023-03-21 | Garrett Transportation I Inc. | Control method for variable turbine nozzle of turbocharger during engine braking |
Family Cites Families (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4594668A (en) * | 1983-02-16 | 1986-06-10 | Allied Corporation | Turbocharger control system |
JPS61205330A (ja) * | 1985-03-08 | 1986-09-11 | Kako Ogata | 過給機の制御方法 |
JP3127829B2 (ja) * | 1996-06-13 | 2001-01-29 | 三菱自動車工業株式会社 | ターボチャージャ付きエンジン |
JPH10196381A (ja) * | 1997-01-10 | 1998-07-28 | Toyota Motor Corp | 可変ノズル型ターボチャージャを搭載する内燃機関の制御装置 |
JP3873742B2 (ja) * | 2001-12-28 | 2007-01-24 | いすゞ自動車株式会社 | 可変容量ターボチャージャの制御装置 |
JP2004100517A (ja) * | 2002-09-06 | 2004-04-02 | Mitsubishi Fuso Truck & Bus Corp | 内燃機関の故障検出装置 |
JP4452534B2 (ja) * | 2004-03-25 | 2010-04-21 | 株式会社豊田自動織機 | 内燃機関における過給機の異常検出装置 |
JP4254606B2 (ja) * | 2004-04-28 | 2009-04-15 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関用多段過給システム |
JP2006291816A (ja) * | 2005-04-08 | 2006-10-26 | Toyota Motor Corp | 過給機の異常判定装置 |
EP1772608A1 (en) * | 2005-10-10 | 2007-04-11 | C.R.F. Società Consortile per Azioni | Method and device for controlling geometry of a variable-geometry turbocharger, in particular for an internal-combustion engine of a motor vehicle |
FR2892451A1 (fr) * | 2005-10-21 | 2007-04-27 | Renault Sas | Systeme et procede de commande d'un turbocompresseur de suralimentation pour moteur a combustion interne |
JP4859718B2 (ja) * | 2007-03-15 | 2012-01-25 | 本田技研工業株式会社 | ターボ過給機の異常判定装置 |
FR2915237B1 (fr) * | 2007-04-20 | 2012-11-09 | Renault Sas | Systeme et procede de commande d'un turbocompresseur de suralimentation pour moteur a combustion interne |
JP2009174396A (ja) * | 2008-01-23 | 2009-08-06 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
EP2397673B1 (en) * | 2009-02-13 | 2013-04-24 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine control device |
JP5136701B2 (ja) * | 2010-12-02 | 2013-02-06 | トヨタ自動車株式会社 | 過給機付き内燃機関の制御装置 |
-
2010
- 2010-09-06 JP JP2012532751A patent/JP5482904B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2010-09-06 US US13/820,905 patent/US20130255648A1/en not_active Abandoned
- 2010-09-06 EP EP10856947.6A patent/EP2615274A4/en not_active Withdrawn
- 2010-09-06 CN CN201080068976.2A patent/CN103080500B/zh not_active Expired - Fee Related
- 2010-09-06 WO PCT/JP2010/065262 patent/WO2012032597A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5482904B2 (ja) | 2014-05-07 |
WO2012032597A1 (ja) | 2012-03-15 |
CN103080500A (zh) | 2013-05-01 |
US20130255648A1 (en) | 2013-10-03 |
CN103080500B (zh) | 2015-07-29 |
EP2615274A1 (en) | 2013-07-17 |
EP2615274A4 (en) | 2015-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5482904B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
KR101490959B1 (ko) | 터보 차저 제어 방법 | |
CN106662030B (zh) | 用于增压器的异常诊断装置和异常诊断方法 | |
US8849548B2 (en) | Anti-sticking and diagnostic strategy for exhaust system valves | |
RU2711575C2 (ru) | Способ (варианты) и система обнаружения дефектов рециркуляционного клапана компрессора | |
US9500148B2 (en) | Control device and control method used for engine intake air-or-gas system | |
EP1744029A1 (en) | Trouble diagnosing apparatus for supercharger of internal combustion engine | |
EP3190280B1 (en) | Control device for internal combustion engine and control method thereof | |
JP2010180781A (ja) | 過給機付き内燃機関の制御装置 | |
JP5071242B2 (ja) | ターボ過給機付きエンジンの排気温度検出装置の劣化診断装置 | |
US10006384B2 (en) | Control device for internal combustion engine | |
EP2674597A1 (en) | Control device for internal combustion engine | |
JP2008240576A (ja) | 過給システムの故障診断装置 | |
JP5494253B2 (ja) | 過給器の制御装置 | |
JP5212923B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP2012026354A (ja) | 内燃機関の異常判定装置 | |
JP6971349B2 (ja) | 内燃機関の過給圧制御装置 | |
US11643945B2 (en) | Internal combustion engine diagnosing device | |
JP5540869B2 (ja) | 過給器の故障診断装置 | |
JP6414582B2 (ja) | エンジンの制御方法及び制御装置 | |
JP6406338B2 (ja) | エンジンの制御方法及び制御装置 | |
JP5067268B2 (ja) | 過給機付きエンジンの過給圧制御装置 | |
JP6065850B2 (ja) | 過給機付きエンジンの過給診断装置 | |
JP2023124223A (ja) | エンジンシステムおよびエンジンシステムの制御方法 | |
JP2021113546A (ja) | 制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140121 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140203 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |