JP6065850B2 - 過給機付きエンジンの過給診断装置 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、過給機付きエンジンの過給状態を診断する装置に関する。
特許文献1には、排気エミッション性能の悪化を回避するために、可変ベーン付きのターボ過給機を備えたエンジンの、過給システムを備える吸気系の異常を検知するシステムが記載されている。このシステムでは、検出した吸入空気流量と、排気温度と、燃料噴射量および排気圧力とに基づいて排気流量を算出すると共に、算出した排気流量とベーン開度とから、予め設定したマップに基づいて過給圧を推定している。そうして、推定した過給圧と検出した実際の過給圧との偏差が大きいときに、吸気系が異常であると検知している。特許文献1ではまた、排気流量の算出式に、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の前後差圧の検出値に相当する項を含めることによって、粒子状物質の堆積状態に応じて変化するDPFの圧力損失分を考慮するようにしている。
特開2007−23977号公報
ところで、特許文献1に記載されているエンジンは、エンジンから排出した排気ガスの一部を、タービンの上流側から取ってコンプレッサの下流側に導入する高圧EGRシステムのみを備えている。高圧EGRシステムによって還流する排気ガスは、タービン及びコンプレッサを通過しない。このため、過給圧を推定する際に、高圧EGRシステムの影響を考慮する必要がない。
これに対し、排気ガスの一部をタービンの下流側から取ってコンプレッサの上流側に導入する低圧EGRシステムを備えたエンジンでは、低圧EGRシステムによって還流する排気ガスは、タービン及びコンプレッサを通過する。このため、過給圧を推定する際に、低圧EGRシステムの影響を考慮する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載されている過給圧の推定手法では、低圧EGRシステムの影響を考慮していない。このため、特許文献1に記載されている過給圧の推定手法を、低圧EGRシステムを備えたエンジンに適用しようとしても、過給圧を高精度に推定することができない。その結果、過給状態を正確に診断することもできない。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低圧EGRシステムを備えたエンジンにおいて、過給圧の推定を高精度に行うことよって、過給機による過給状態を正確に診断することにある。
ここに開示する技術は、過給機付きエンジンの過給診断装置に係り、この装置は、エンジン本体と、前記エンジン本体の排気通路に配設されたタービンと、前記エンジン本体の吸気通路に配設されたコンプレッサとを有しかつ、前記タービンが前記エンジン本体から排出された排気ガスの排気エネルギによって駆動されることに伴い、前記コンプレッサが駆動して前記エンジン本体に対する過給を行うよう構成されたターボ過給システムと、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流側と前記吸気通路における前記ターボ過給システムの下流側とをつなぐ高圧EGR通路を通じて、前記排気通路から取った排気ガスを、前記吸気通路に導入するよう構成された高圧EGRシステムと、前記排気通路における前記ターボ過給システムの下流側と前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流側とをつなぐ低圧EGR通路を通じて、前記排気通路から取った排気ガスを、前記吸気通路に導入するよう構成された低圧EGRシステムと、前記エンジン本体の運転状態に応じて、前記高圧EGRシステム及び前記低圧EGRシステムの作動を制御するよう構成された制御器と、前記エンジン本体の前記吸気通路において過給圧を検出するよう構成されたセンサと、前記過給圧を推定するよう構成された推定手段と、前記センサによって検出した過給圧と、前記推定した過給圧とを比較して、過給状態を診断するよう構成された診断手段と、を備える。
そして、前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを推定すると共に、前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流におけるガス流量を算出しかつ、推定した前記排気エネルギと算出した前記ガス流量とに基づいて前記過給圧を推定し、前記推定手段はまた、前記低圧EGRシステムの作動状態に関係する所定項を含めて前記過給圧を推定する。
ここで、「ターボ過給システム」は、排気通路に配置した1つのタービンと、吸気通路に配置した1つのコンプレッサとを含む、いわゆるシングルターボ過給機によって構成してもよいし、排気通路に直列に配置した大型及び小型の2つのタービンと、吸気通路に直列に配置した大型及び小型の2つのコンプレッサとを含む、いわゆる2ステージターボ過給機によって構成してもよい。
また、「過給圧」とは、吸気通路におけるターボ過給システムの下流の圧力であり、これは、エンジン本体に導入される吸気の圧力と言い換えることが可能である。吸気通路において過給圧を検出するセンサは、例えば吸気マニホールド内の圧力を検出するセンサとしてもよい。
「排気エネルギの推定」は、ターボ過給システムのモデル化に従って設定した推定式に基づいて推定してもよい。また、「ガス流量の算出」は、所定の算出式に基づいて算出してもよい。
「高圧EGRシステム」は、高圧EGR通路と、この高圧EGR通路を流れる排気ガスの流量を調整するように構成された高圧EGRバルブと、を含んで構成される。排気ガスの流量調整によって、高圧EGR通路を通じて吸気通路に導入される排気ガス量が調整される。同様に、「低圧EGRシステム」は、低圧EGR通路と、この低圧EGR通路を流れる排気ガスの流量を調整するように構成された低圧EGRバルブと、を含んで構成される。排気ガスの流量調整によって、低圧EGR通路を通じて吸気通路に導入される排気ガス量が調整される。
「高圧EGRシステム及び低圧EGRシステムの作動を制御するよう構成された制御器」は、前述のように、高圧EGR通路における排気ガスの流量調整(流量ゼロを含む)、及び/又は、低圧EGR通路における排気ガスの流量調整(流量ゼロを含む)を、エンジン本体の運転状態に応じて行う。
前記の構成によると、制御器は、エンジン本体の運転状態に応じて、高圧EGRシステム及び低圧EGRシステムの作動を制御する。また、高圧及び低圧EGRシステムの作動と共に、ターボ過給システムによる過給が行われる。
推定手段は、過給圧を推定する。具体的には、排気通路におけるターボ過給システムの上流における排気エネルギを推定すると共に、吸気通路におけるターボ過給システムの上流におけるガス流量を算出し、その排気エネルギとガス流量とに基づいて過給圧を推定する。ターボ過給システムの上流における排気エネルギからタービンの回転状態を推定することができ、ひいてはコンプレッサの回転状態(つまり、コンプレッサの回転状態=タービンの回転状態)を推定することができる。そして、コンプレッサの回転状態と、ターボ過給システム上流のガス流量とから、ターボ過給システムの下流における圧力(つまり、過給圧)を推定することが可能になる。
前記の構成ではまた、過給圧の推定に際し、低圧EGRシステムの作動状態に関係する所定項を含める。具体的には、排気通路におけるターボ過給システム上流の排気エネルギを推定する推定式に、前記の所定項を含める、及び/又は、吸気通路におけるターボ過給システム上流のガス流量を算出する算出式に、前記の所定項を含める。こうすることで、排気通路におけるターボ過給システムの下流側から、吸気通路におけるターボ過給システムの上流側に排気ガスを還流させる低圧EGRシステムの作動状態に対応して変化し得る過給圧を、精度良く推定することが可能になる。
その結果、診断手段は、精度良く推定した過給圧と、検出した過給圧との比較に基づいて過給状態の診断を、正確に行うことが可能になる。その結果、排気エミッション性能の悪化を回避する上で有利になる。
前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを、前記エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギに基づいて推定すると共に、前記排気ガスのエネルギを、前記吸気通路を流れる新気の流量と、前記エンジン本体に供給される燃料流量と、前記低圧EGRシステムを通じて前記吸気通路に還流される排気ガスの流量との加算値に、排気温度を乗算することによって算出する、としてもよい。
エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギ(Eex)を、吸気通路を流れる新気の流量(GA)と、エンジン本体に供給される燃料流量(QFIN)と、低圧EGRシステムを通じて吸気通路に還流される排気ガスの流量(MEGRL)との加算値に、排気温度(THEM)を乗算して算出する。具体的には、下記の式(1)で算出する。
ex=C*M*THEM …(1)
:定容比熱
M:GA+MEGRL+QFIN
このことによって、低圧EGRシステムの作動状態を考慮して、エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギを算出することが可能になるから、排気通路におけるターボ過給システムの上流における排気エネルギを、精度良く推定することが可能になる。
尚、排気ガスのエネルギを精度良く算出するために、前述した排気ガスのエンタルピを算出する式(1)に、排気ガスの圧力エネルギの項、及び/又は、排気ガスの運動エネルギの項を追加してもよい。
前記低圧EGRシステムは、前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続位置よりも下流側に介設しかつ、その開度が変更することで流量を調整するように構成された排気シャッター弁を有しており、前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを、前記エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギから、前記排気シャッター弁における圧力損失分を減算したエネルギに基づいて推定する、としてもよい。
排気シャッター弁の開度を閉弁側に設定したときには、低圧EGR通路の排気通路側の圧力が、吸気通路側に対し相対的に高まるため、低圧EGR通路を通じて吸気通路に還流する排気ガス量が増える。
一方で、排気通路におけるターボ過給システムよりも下流側に配置された排気シャッター弁の開度を閉弁側にしたときには、当該排気シャッター弁の圧力損失が高まり、ターボ過給システムの上流における排気エネルギは、その分、低下する。
そこで、推定手段は、ターボ過給システムの上流における排気エネルギ(E)を、エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギ(Eex)から、排気シャッター弁における圧力損失分(Eesv)を減算したエネルギに基づいて推定する。例えば、下記の式(2)及び式(3)によって、排気エネルギ(E)を算出してもよい。
E=Eex−Eesv …(2)
esv=V(PFRESV−PATM)+1/2*uesv *M …(3)
V:シリンダから排出されるガスの流量(=(NE*シリンダ容積)−MEGRH)
NE:エンジン回転数
MEGRH:高圧EGR通路を通じて還流する排気ガスの流量
PFRESV:排気シャッター弁の上流における圧力
PATM:大気圧
esv:排気シャッター弁の上流におけるガス流速
M:シリンダに導入するガスの流量(前述したように、低圧EGRシステムの作動状態を考慮する場合には、M=GA+MEGRL+QFIN)
こうすることで、低圧EGRシステムの作動状態を考慮して、排気通路におけるターボ過給システム上流の排気エネルギを精度良く推定することが可能になる。
前記推定手段は、前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流におけるガス流量を、前記吸気通路を流れる新気量と、前記低圧EGRシステムを通じて前記吸気通路に還流される排気ガス量とを含めて算出する、としてもよい。
低圧EGRシステムを作動させているときには、ターボ過給システムの上流におけるガスの流れには、吸気通路を流れる新気と、低圧EGR通路を通じて吸気通路に還流される排気ガスとが含まれる。過給圧の推定に際し、低圧EGRシステムを通じて吸気通路に還流される排気ガス量を考慮することによって、過給圧の推定を精度良く行うことが可能になる。
以上、説明したように、前記の過給機付きエンジンの過給診断装置によると、排気通路におけるターボ過給システム上流の排気エネルギの推定値と、吸気通路におけるターボ過給システム上流のガス流量の算出値とに基づいて過給圧を推定するに際し、低圧EGRシステムの作動状態に関係する所定項を含めることによって、過給圧を精度良く推定することが可能になる。その結果、推定過給圧と検出過給圧との比較に基づいて行う過給状態の診断を、正確に行うことが可能になる。
過給診断装置が適用される過給機付きエンジンの構成を示すブロック図である。 高圧EGRシステムの作動領域と低圧EGRシステムの作動領域とを示すマップである。 (a)レギュレートバルブ、ウエストゲートバルブ及びバイパスバルブの作動状態(領域)を示すマップ、(b)マップに示す各領域について排気エネルギと過給圧との関係(コンプレッサ特性)を示す図、(c)マップに示す各領域と、各バルブの状態との対応を示す図である。 予測過給圧の算出手順を示すブロック図である。 コンプレッサ前流量、排気エネルギ、及び、予測過給圧の関係を示すマップである。 過給状態の診断に係るフローチャートである。 排気エネルギと過給圧との平面において、予測過給圧(正常時の過給圧)、過給状態の診断に係るオーバー閾値及びアンダー閾値との関係、並びに、過給状態の異常時の一例を示す図である。 過給状態の診断例を示すタイムチャートである。
以下、ターボ過給機付きエンジンの過給診断装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明は例示である。図1は、実施形態に係るエンジンシステム1の構成を示すブロック図である。このエンジンシステム1は、車両に搭載されると共に、軽油を主成分とした燃料が供給されるディーゼルエンジンのシステムである。
(エンジンシステムの構成)
エンジン本体(以下、単にエンジンという)10は、図1では図示を省略するが、複数のシリンダを有している。各シリンダには、シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタ21が設けられている。
エンジン10には、シリンダ毎に吸気ポート及び排気ポートが形成されていると共に、これら吸気ポート及び排気ポートに、ポートを開閉する吸気弁及び排気弁が配設されている。吸気弁及び排気弁を駆動する動弁系には、少なくとも吸気弁の開弁時期及び排気弁の開弁時期を変更可能な動弁機構22が設けられている。
各シリンダの吸気ポートは、図示を省略する吸気マニホールドを介して吸気通路30に連通している。また、各シリンダの排気ポートは、図示を省略する排気マニホールドを介して排気通路40に連通している。
吸気通路30には、後述するターボ過給システム6の大型コンプレッサ611及び小型コンプレッサ621と、該コンプレッサ611,621により圧縮された空気を冷却するインタークーラ31と、前記各シリンダへの吸入空気量を調節するスロットル弁32とが、上流から下流に向かって順に配設されている。
排気通路40には、ターボ過給システム6の小型タービン622及び大型タービン612と、排気ガス中の有害成分を浄化する酸化触媒41と、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)42と、詳細は後述する排気シャッター弁43と、サイレンサ44とが、上流から下流に向かって順に配設されている。
吸気通路30における小型コンプレッサ621の下流側部分(より正確には、スロットル弁32の下流側部分)と、排気通路40における小型タービン622の上流側部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するための高圧EGR通路510によって接続されている。この高圧EGR通路510には、詳細な構成の図示は省略するが、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するための高圧EGR弁511が介設されている。高圧EGR通路510と高圧EGR弁511とを含んで、高圧EGRシステム51が構成される。
また、吸気通路30における大型コンプレッサ611の上流側部分と、排気通路40における大型タービン612の下流側部分(より正確には、DPF42と排気シャッター弁43との間)とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するための低圧EGR通路520によって接続されている。この低圧EGR通路520には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するための低圧EGR弁521が介設されている。
排気シャッター弁43は、排気通路40において低圧EGR通路520の接続部よりも下流側に配設されている。排気シャッター弁43は、その開度を調整することが可能な流量調整弁であり、排気シャッター弁43を閉じ側にすることによって、通過する流量が低減して、低圧EGR通路520の排気通路40側の圧力を、吸気通路30側の圧力に対して相対的に高めることが可能になる。低圧EGR通路520と低圧EGR弁521と排気シャッター弁43とを含んで、低圧EGRシステム52が構成される。
ターボ過給システム6は、大型ターボ過給機61と小型ターボ過給機62とを含んでいる。大型ターボ過給機61は、相対的に大型のものであり、小型ターボ過給機62は、相対的に小型のものである。
大型ターボ過給機61は、吸気通路30に配設された大型コンプレッサ611と、排気通路40に配設された大型タービン612とを有し、大型コンプレッサ611と大型タービン612とは互いに連結されている。
小型ターボ過給機62は、吸気通路30に配設された小型コンプレッサ621と、排気通路40に配設された小型タービン622とを有し、小型コンプレッサ621と小型タービン622とは互いに連結されている。小型コンプレッサ621は、吸気通路30における大型コンプレッサ611の下流側に配設されている。一方、小型タービン622は、排気通路40における大型タービン612の上流側に配設されている。
すなわち、吸気通路30においては、上流側から順に大型コンプレッサ611と小型コンプレッサ621とが直列に配設され、排気通路40においては、上流側から順に小型タービン622と大型タービン612とが直列に配設されている。これら大型及び小型タービン612,622が排気ガス流により回転し、それによって、大型及び小型コンプレッサ611,621がそれぞれ作動する。
吸気通路30には、小型コンプレッサ621をバイパスする吸気バイパス通路33が接続されている。この吸気バイパス通路33には、そこを流れるガス量を調整するためのバイパスバルブ331が配設されている。
一方、排気通路40には、小型タービン622をバイパスする小型排気バイパス通路45と、大型タービン612をバイパスする大型排気バイパス通路46とが接続されている。小型排気バイパス通路45には、そこを流れるガス量を調整するためのレギュレートバルブ451が配設され、大型排気バイパス通路46には、そこを流れるガス量を調整するためのウエストゲートバルブ461が配設されている。
符号100は、エンジンシステム1を制御するコントロールユニットである。コントロールユニット100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
コントロールユニット100には、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサ71、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ72、大気圧を検出する大気圧センサ73の各センサが接続されている。
吸気通路30上には、吸気通路30を流れる新気の流量(及び温度)を検出するエアフローセンサ74が配設されており、エアフローセンサ74は、検出した流量及び外気温度をコントロールユニットに出力する。尚、図1に示す一点鎖線の矢印はそれぞれ、コントロールユニット100まで延長していないが、コントロールユニット100に接続されていることを示している。
また、吸気通路30、排気通路40、高圧EGR通路510及び低圧EGR通路520における所定の箇所には、温度を検出する温度センサ、圧力を検出する圧力センサが配設されている。各センサは、コントロールユニット100に接続されており、その検出値をコントロールユニット100に出力する(図1の一点鎖線の矢印参照)。
ここで、温度センサとしては、吸気通路30において、インタークーラ31の上流におけるガス温度を検出するセンサ81、インタークーラの下流におけるガス温度を検出するセンサ82、吸気マニホールド内のガス温度を検出するセンサ83、エンジン10の排気側のガス温度(つまり、排気マニホールドの温度)を検出するセンサ84、DPF42の上流におけるガス温度を検出するセンサ85、DPF42の下流におけるガス温度を検出するセンサ86、高圧EGR通路510内におけるガス温度を検出するセンサ87、低圧EGR通路520内におけるガス温度を検出するセンサ88、を含んでいる。また、圧力センサとしては、大型コンプレッサ611の下流における圧力を検出するセンサ91、吸気マニホールド内の圧力を検出するセンサ(つまり、過給圧センサ)92、及び、エンジン10の排気側における圧力(つまり、排気マニホールドの圧力)を検出するセンサ93と、DPF42の上流側と下流側との差圧を検出するセンサ94と、を含んでいる。
また、レギュレートバルブ451には、その開度を検出するセンサ452が設けられており、当該センサ452も、その検出値を、コントロールユニット100に出力する。
そして、コントロールユニット100は、前述した各センサ等からの信号に基づいて、エンジン10の運転状態を判断し、インジェクタ21、動弁機構22、バイパスバルブ331、スロットル弁32、レギュレートバルブ451、ウエストゲートバルブ461、排気シャッター弁43、高圧EGR弁511、及び、低圧EGR弁521を制御する。
コントロールユニット100にはまた、後述する過給診断装置の診断結果に応じて、ターボ過給システム6の故障を報知する故障ランプ23が接続されている。
図2は、高圧EGRシステム51及び低圧EGRシステム52の作動領域を示すエンジン10の運転マップ一例である。このマップの高負荷ないし高回転の領域である「LP」領域は、低圧EGR通路520のみを通じて排気ガスの還流が行われる領域である。マップには、「LP」領域において、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷PEに応じた低圧EGR目標還流量が予め設定されているとともに、高圧EGR目標還流量が0に予め設定されている。コントロールユニット100は、この「LP」領域においては、高圧EGR弁511を全閉状態にする。これは、トルクが必要な高負荷領域においては全ての排気ガスをターボ過給システム6のタービン612、622に導いて過給を行うためである。コントロールユニット100はまた、低圧EGR弁521及び排気シャッター弁43の開度を、低圧EGR通路520による排気ガスの還流量が、マップで予め設定された低圧EGR目標還流量になるように制御する。
マップの低負荷乃至低回転の領域から中負荷乃至中回転の領域である「HP+LP」領域は、高圧EGR通路510を通じた排気ガスの還流と、低圧EGR通路520を通じた排気ガスの還流とが行われる領域である。マップには、「HP+LP」領域において、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷PEに応じた低圧EGR目標還流量及び高圧EGR目標還流量が予めそれぞれ設定されている。コントロールユニット100は、「HP+LP」領域では、低圧EGR弁521及び排気シャッター弁43の開度を、低圧EGR通路520による排気ガスの還流量が、マップで予め設定された低圧EGR目標還流量になるように制御すると共に、高圧EGR弁511の開度を、高圧EGR通路50による排気ガスの還流量が、マップで予め設定された高圧EGR目標還流量になるように制御する。
図3は、大型ターボ過給機61及び小型ターボ過給機62の制御に係る、レギュレートバルブ451、ウエストゲートバルブ461、及びバイパスバルブ331の制御に関するマップ等を示している。図3(a)に示す低負荷乃至低回転の領域(1)では、同図(c)に示すように、コントロールユニット100は、レギュレートバルブ451、ウエストゲートバルブ461、及びバイパスバルブ331を全て全閉にする。これにより、大型及び小型ターボ過給機61、62の両方を作動させる。
領域(1)よりも負荷及び回転数の高い領域(3)では、小型ターボ過給機62が排気抵抗になるため、レギュレートバルブ451及びバイパスバルブ331をそれぞれ全開に設定する一方で、ウエストゲートバルブ461を全閉にする。これにより、小型ターボ過給機62をバイパスして大型ターボ過給機61のみを作動させる。
領域(1)よりも負荷の高い領域(2)では、レギュレートバルブ451を、エンジン10の運転状態に応じて全閉と全開との間で調整する一方で、ウエストゲートバルブ461及びバイパスバルブ331をそれぞれ全閉にする。これにより、小型ターボ過給機62及び大型ターボ過給機61を共に作動させる。また、領域(3)よりも負荷の高い領域(4)では、レギュレートバルブ451及びバイパスバルブ331をそれぞれ全開に設定する一方で、ウエストゲートバルブ461を、エンジン10の運転状態に応じて全閉と全開との間で調整して、大型ターボ過給機61の過回転を防止する。
尚、図3(b)は、(1)(2)(3)(4)の各領域について、排気エネルギと過給圧との関係、つまり、大型ターボ過給機61及び小型ターボ過給機62のコンプレッサ特性を例示している。具体的には、少なくとも小型ターボ過給機62が作動する領域(1)においては、排気エネルギの上昇に伴い過給圧も高まる一方で、領域(2)においては、レギュレートバルブ451の開度調整を行うことによって、排気エネルギが上昇しても過給圧はほぼ一定に維持される。また、大型ターボ過給機61が作動する領域(3)では、排気エネルギの上昇に伴い過給圧も高まる一方で、過給圧の上昇率は、大型ターボ過給機61の容量が相対的に大きいため、小型ターボ過給機62の作動時に比べて緩やかになる。また、領域(4)では、ウエストゲートバルブ461の開度を調整することによって、排気エネルギが上昇しても、過給圧はほぼ一定に制限される。
図2のマップと、図3(a)のマップとの比較から明らかなように、このエンジンシステムでは、エンジン10の運転領域のほぼ全体に亘って、ターボ過給システム6が作動すると共に、エンジン10の運転領域のほぼ全体に亘って、少なくとも低圧EGRシステム52が作動をする。つまり、ターボ過給システム6と低圧EGRシステム52とが共に作動をする運転状態が存在している。
(過給診断装置)
このエンジンシステム1は、過給状態を診断する診断装置を備えている。次に、前記構成のディーゼルエンジンシステムにおける過給状態の診断方法について、図を参照しながら説明する。
過給状態の診断は、過給圧の予測値と、センサによって検出した過給圧(具体的には、吸気マニホールド圧力)とを比較し、予測した過給圧と、検出した過給圧との偏差が小さいときには、過給状態が正常であると判断する一方で、予測した過給圧と、検出した過給圧との偏差が大きいときには、過給状態が異常であると判断することにより行う。過給圧の予測、及び、過給状態の診断はそれぞれ、コントロールユニット100が行う。以下、過給圧の予測手法、及び、予測した過給圧を用いた過給状態の診断手順について、順に説明する。
(過給圧の予測手法)
図4は、過給圧の予測手法を説明するブロック図である。予測過給圧(ブロックB6)は、排気通路40におけるターボ過給システム6の上流の排気エネルギ(タービン前排気エネルギ、ブロックB4)と、吸気通路30におけるターボ過給システム6の上流のガス流量(コンプレッサ前流量、ブロックB5)とに基づいて算出する。
タービン前排気エネルギ(ブロックB4)は、エンジン10から排出された排気ガスのエネルギに基づいて推定される。具体的には、図1の下図にも示すように、エンジン10から排出された全エネルギEex(ブロックB1)から、ターボ過給システム6よりも下流側に配設されたDPF42の圧力損失分(ブロックB2)、及び、排気シャッター弁(ESV)43の圧力損失分(ブロックB3)をそれぞれ差し引くことによって推定する。
ここで、図1の下図に白抜きの矢印で示すように、エンジン10から排出される排気ガスのエネルギは、エンジン10の回転負荷に応じて変動し、DPF42の圧力損失によって消費されるエネルギは、DPF42の粒子状物質の堆積量によって変動し、排気シャッター弁43の圧力損失によって消費されるエネルギは、排気シャッター弁43の開度によって変動をする。
また、ターボ過給システム6において消費されるエネルギは、ターボ過給システム6の作動状態、つまり、レギュレートバルブ451、ウエストゲートバルブ461及びバイパスバルブ331の開度によって変動をすると共に、ターボ過給システム6の故障等によっても、変動をする。
(エンジン排出エネルギの算出、ブロックB1)
図4にも示すように、エンジン10から排出される全エネルギ(Eex)は、式(1−1)から算出される。
ex=C*M*THEM+PEM*V+1/2*uex *M …(1−1)
ここで、式(1−1)の右辺第1項(C*M*THEM)は、エンジン10から排出されるガスのエンタルピを示し、
:定容比熱
M:GA+MEGRL+QFIN
GA:吸気通路を流れる新気の流量(エアフローセンサ74の検出値[g/sec])
MEGRL:低圧EGR通路520を通じて吸気通路30に還流される排気ガスの流量[g/sec]
QFIN:燃料流量[g/sec]
THEM:排気マニホールドのガス温度(温度センサ84の検出値、つまり排気温度)
である。
また、式(1−1)の右辺の第2項(PEM*V)は、排気圧力のエネルギを示し、
PEM:排気マニホールドの圧力(圧力センサ93の検出値)
:タービン前ガス流量(=(M*22.4/28.8/1000)*(THEM/273.15*101.3/PEM))
である。
さらに、式(1−1)の右辺の第3項(1/2*uex *M)は、ガスの運動エネルギであり、
ex:ターボ過給システム6の上流におけるガス流速[m/sec](エンジン回転数、ガス流量及び当該通路の横断面積から算出)
である。
(DPFの圧力損失による消費エネルギの算出、ブロックB2)
DPF42においては、粒子状物質の堆積状態に応じて圧力損失が変化する。そのため、DPF42の圧力損失による消費エネルギを算出し、算出した消費エネルギを、エンジン10から排出される全エネルギ(Eex)から差し引く。具体的に、DPF42の圧力損失による消費エネルギ(Edpf)は、式(1−2)から算出される。
dpf=C*M*(THEXH2−THEXH3S)+PDPAVEF*V+1/2*udpf *M …(1−2)
但し、
PDPAVEF:DPF42の上流側及び下流側の差圧(差圧センサ94の検出値)
dpf:DPF42の上流におけるガス流速[m/sec](エンジン回転数、ガス流量及び当該通路の横断面積から算出)
THEXH2:DPF42の上流側の温度(温度センサ85の検出値)
THEXH3S:DPF42の下流側の温度(温度センサ86の検出値)
:DPF通過ガス量(=(M*22.4/28.8/1000)*(THEXH2/273.15*101.3/PFRDPF))
PFRDPF:DPF前圧力
である(尚、Mは、前記と同じである)。
(排気シャッター弁の圧力損失による消費エネルギの算出、ブロックB3)
低圧EGRシステム52の作動時には、排気シャッター弁43が閉じ側(全閉を含む)に設定されることで、低圧EGR通路520における排気側の圧力が、吸気側に対し相対的に高まり、この低圧EGR通路520を通じた排気ガスの還流量が増えるようになる。一方で、排気シャッター弁43が閉じ側に設定されることにより圧力損失が増大し、その分、ターボ過給システム6の上流における排気エネルギを低減させる。
具体的に、排気シャッター弁43の圧力損失による消費エネルギ(Eesv)は、式(1−3)から算出される。
esv=V(PFRSV−PATM)+1/2*uesv *M …(1−3)
ここで、
:排気シャッター通過ガス量(=(M−MEGRL)*22.4/28.8/1000)*(THEXH3S/273.15*101.3/PFRESV))
PFRSV:排気シャッター弁43の上流における圧力
PATM:大気圧(大気圧センサ73の検出値)
esv:排気シャッター弁43の上流におけるガス流速[m/sec](エンジン回転数、ガス流量及び当該通路の横断面積から算出)
であるが、排気シャッター弁43の上流の圧力(PFRSV)は、排気シャッター弁43を通過するガス流量と、排気シャッター弁43の実際の開度とから、排気シャッター弁43の圧力損失、及び、下流側のサイレンサ44の圧力損失をそれぞれ求めると共に、それらの圧力損失と大気圧とを加算することによって算出される。尚、排気シャッター弁43の圧力損失、及び、サイレンサ44の圧力損失はそれぞれ、実験により予めマップ化されており、排気シャッター弁43の圧力損失は、排気シャッター弁43を通過するガス流量と、排気シャッター弁43の実際の開度と、マップとに基づいて算出され、また、サイレンサ44の圧力損失は、排気シャッター弁43を通過するガス流量と、マップとに基づいて算出される。
また、前記の排気シャッター弁43を通過するガス流量は、エンジン10の一回転当たりに排出されるガス流量[g/rev]を、シリンダ容積と燃料噴射量との加算により算出し、そこから、高圧EGR通路510及び低圧EGR通路520を通じて還流する排気ガス量[g/rev]をそれぞれ減算した上で、エンジン回転数に基づいて、単位時間当たりのガス流量[g/sec]に換算することにより得られる。
(タービン前排気エネルギの算出、ブロックB4)
以上説明したように、式(1−1)から算出したEex、式(1−2)から算出したEdpf、式(1−3)から算出したEesvに基づいて、タービン前排気エネルギ(E)は、式(1−4)で算出される(図1の下図も参照)。
E=Eex−Edpf−Eesv …(1−4)
ここで、タービン前排気エネルギ(E)は、レギュレートバルブ451の開度、及び/又は、ウエストゲートバルブ461の開度に応じて補正を行ってもよい。つまり、レギュレートバルブ451の開度や、ウエストゲートバルブ461の開度と、設定される補正係数(レギュレートバルブ開度補正係数(R/V開度補正係数)、及び、ウエストゲートバルブ開度補正係数(W/V開度補正係数))との関係を予め設定しておき、レギュレートバルブ451の開度や、ウエストゲートバルブ461の開度に応じて、
E=(Eex−Edpf−Eesv)*(R/V開度補正係数) …(1−4−1)
E=(Eex−Edpf−Eesv)*(W/V開度補正係数) …(1−4−2)
として、タービン前排気エネルギ(E)を補正してもよい。
(コンプレッサ前流量の算出、ブロックB5)
吸気通路30におけるターボ過給システム6の上流のガス流量は、吸気通路30を流れる新気量(GA)と、低圧EGR通路520を通じて吸気通路30に還流する排気ガス流量(MEGRL)との和によって算出される。
(過給圧の予測、ブロックB6)
以上のように、ブロックB4のタービン前排気エネルギが推定されると共に、ブロックB5のコンプレッサ前流量が算出されれば、推定した排気エネルギと、算出したガス流量とに基づいて、過給圧を予測する。過給圧の予測は、図5に例示するマップに基づいて行われる。このマップは、予め実験により得られるマップであって、縦軸を予測過給圧とし、横軸をコンプレッサ前流量とした二次元座標における等排気エネルギ(つまり、タービン前排気エネルギ)を示す曲線を描いたコンター図である。このマップを用いることによって、同図に一点鎖線の矢印で例示するように、予測した排気エネルギと、算出したガス流量とから予測過給圧を得ることができる。
(過給状態の診断)
図6は、コントロールユニット100が過給状態の診断を行うときのフローチャートを示している。スタート後のステップS1では、異常カウンタをリセットする。この異常カウンタは、互いに独立した、アンダー異常カウンタとオーバー異常カウンタとの2つのカウンタを含む。異常カウンタは、例えばイグニッションスイッチがオフからオンになればリセットされる。
続くステップS2では、吸気マニホールド内の圧力を計測する過給圧センサ92の検出値を取得する。また、ステップS3では、前述した手法に従い過給圧の予測を行う。過給圧が予測されれば、続くステップS4で、予測した過給圧に基づき診断閾値を設定する。
図7は、診断閾値の一例を示している。図7は、図3(b)に示す排気エネルギと過給圧との関係を示す図における、領域(1)の部分の拡大図に相当する。診断閾値は、予測した過給圧に対し、偏差が許容される上限側の閾値を示すオーバー閾値と、下限側の閾値を示すアンダー閾値とを含む。前述したように、領域(1)においては、排気エネルギの増大に伴い過給圧が高くなるが、オーバー閾値及びアンダー閾値はそれぞれ、予測過給圧が高くなるほど、その予測過給圧との偏差が大きくなるように設定される。
詳細は後述するが、過給圧センサ92によって検出した実際の過給圧が、この予測過給圧を挟んだオーバー閾値とアンダー閾値との間(図7の矢印参照)に収まる場合は、過給状態は正常であると判定する。これに対し、実際の過給圧が、オーバー閾値を超える場合や、アンダー閾値を下回る場合は、過給状態は異常であると判定する。図7の破線は、実際の過給圧がアンダー閾値を下回るような異常状態を例示している。
図6のフローに戻り、診断閾値を設定した後のステップS5では、診断実行条件が成立したか否かを判定する。診断実行条件は、予め設定されており、この診断実行条件には、例えば過給圧が所定以上に高いこと、過給圧の変動が所定よりも小さくて運転状態が安定していること、等が含まれる。診断実行条件を設定しておくことによって、診断の精度を高めることが可能になる。ステップS5の判定がNOのとき(つまり、診断実行条件が成立しないとき)には、ステップS2に戻る一方、判定がYESのとき(つまり、診断実行条件が成立したとき)には、フローは、ステップS6に移行する。
ステップS6では、検出した実際の過給圧が、設定したアンダー閾値を下回るか否かを判定する。判定がYESのときには、フローはステップS7に移行する。一方、判定がNOのときには、フローはステップS10に移行する。
ステップS7では、アンダー異常カウンタをカウントアップした後、続くステップS8で、アンダー異常カウンタが所定の故障判定閾値以上になったか否かを判定する。判定がNOのときには、フローはステップS2に戻る一方、判定がYESのときには、フローはステップS9に移行する。ステップS9では、故障ランプ23を点灯する。つまり、検出した実際の過給圧がアンダー閾値を下回ることが、所定回数だけカウントされたときに、ターボ過給システム6が故障であると診断する。
ステップS6で、検出した過給圧がアンダー閾値を下回らないとして移行したステップS10では、検出した過給圧がオーバー閾値を超えるか否かを判定する。判定がNOのときには、フローはステップS2に戻る。一方、判定がYESのときには、フローはステップS11に移行する。
ステップS11では、オーバー異常カウンタをカウントアップした後、続くステップS12で、オーバー異常カウンタが所定の故障判定閾値以上になったか否かを判定する。判定がNOのときには、フローはステップS2に戻る一方、判定がYESのときには、フローはステップS13に移行する。ステップS13では、故障ランプ23を点灯する。前記と同様に、検出した実際の過給圧がオーバー閾値を上回ることが、所定回数だけカウントされたときに、ターボ過給システム6が故障であると診断する。
以上説明したフローは、ターボ過給システム6の故障を判定するだけであるが、このエンジンシステム1におけるターボ過給システム6は、大型ターボ過給機61及び小型ターボ過給機62を含むことから、例えばその故障が大型ターボ過給機61の故障であるか、又は、小型ターボ過給機62の故障であるかを判定するようにしてもよい。
つまり、図6に破線で示すように、ステップS7に続くステップS14では、レギュレートバルブ451の開度が全開であるか否かを判定する。判定がYESのとき(つまり、レギュレートバルブ451の開度が全開のとき)には、フローはステップS15に移行する。レギュレートバルブ451が全開のときには小型ターボ過給機62は作動をしておらず、大型ターボ過給機61のみが作動をしていることから、大型ターボ過給機61の故障カウンタをカウントアップする。これに対し、ステップS14の判定がNOのとき(つまり、レギュレートバルブ451の開度が全開ではないとき)には、フローはステップS16に移行し、レギュレートバルブ451が全閉であるか否かを判定する。判定がYESのとき(つまり、レギュレートバルブ451の開度が全閉のとき)には、フローはステップS17に移行する。レギュレートバルブ451が全閉のときは、低負荷低回転の領域(1)に相当し、小型ターボ過給機62の作動が支配的であるため、ステップS17では、小型ターボ過給機62の故障カウンタをカウントアップする。こうして、図6のフローでは省略しているが、大型ターボ過給機61の故障カウンタ、及び、小型ターボ過給機62の故障カウンタに基づいて、故障箇所の特定を行ってもよい。
図8は、図7に示すフローチャートに従って行われる過給状態の診断例を示している。図8の(a)は車速、(b)は過給圧、(c)はレギュレートバルブ451及びウエストゲートバルブ461の開度、(d)は診断条件の成立状態及び非成立状態、(e)はアンダー異常カウンタのカウント値、(f)は故障ランプのオンオフをそれぞれ示している。図8のタイムチャートは、同図(a)に示すように、車速が次第に上昇するような運転状態であって、同図(c)に示すように、レギュレートバルブ451の開度が全開と全閉との間で変化しかつ、ウエストゲートバルブ461が全閉であるような、領域(1)(2)(3)における運転状態を示している。
また、図8(b)に示す実線は、予測した過給圧を示し、一点鎖線は、その予測した過給圧に基づいて設定されるアンダー閾値を示し、破線は、過給圧センサ92が検出した実際の過給圧を示している。
先ず、図8(d)に示すように、時刻TからTの間は、診断実行条件が成立している。この間に、検出した過給圧と予測した過給圧とは実質的に同じであり、過給状態の異常は認められない。時刻TからTの間は、過給圧の急変や、過給圧がそもそも低いこと等によって、診断実行条件が成立していない。従って、この間は診断を行わない。時刻TからTの間は再び、診断条件が成立している。
時刻TからTは、診断条件が非成立である。この間に、同図(b)に示すように、検出した過給圧は、アンダー閾値を下回っている。しかしながら、診断条件が非成立であるため診断は行わない。つまり、異常カウンタのカウントアップは行わない。
時刻Tにおいて診断条件が成立すれば、過給状態の診断を行う。前述の通り、検出した実際の過給圧がアンダー閾値を下回っているため、図8(e)に示すように、アンダー異常カウンタをカウントアップする。時刻TからTの間に示すように、実際の過給圧がアンダー閾値を下回る状態が継続することによって、アンダー異常カウンタのカウント値は次第に上昇する。
時刻TからTの間に、全閉状態であったレギュレートバルブ451が開弁方向に変更され、時刻Tにおいて、検出した実際の過給圧がアンダー閾値以上になれば、アンダー異常カウンタのカウントアップが停止する。アンダー異常カウンタは、カウント値を保持する。
時刻Tにおいてレギュレートバルブ451が全開となり、その後の時刻Tにおいて、レギュレートバルブ451が閉弁方向に変更される。そうして、レギュレートバルブ451が全閉となった後の時刻Tにおいて、検出した実際の過給圧がアンダー閾値を下回ったとする。図8(d)に示すように、診断実行条件は成立しているため、アンダー異常カウンタが、カウントアップを開始する。それによって、アンダー異常カウンタのカウント値は再び上昇する。
時刻T10からT11の間は、診断実行条件が非成立である。この間は、前述したように、検出した実際の過給圧がアンダー閾値を下回っているものの、アンダー異常カウンタは、カウントアップをしない。時刻T11においてレギュレータバルブが再び全開になった後、診断実行条件が成立している。
時刻T11以降の時刻T12において、検出した過給圧が、アンダー閾値を再び下回るようになる。アンダー異常カウンタは、カウントアップを開始し、時刻T13においてアンダー異常カウンタが図8(e)に一点鎖線で示す故障判定閾値を超える。このことを受けて、コントロールユニット100は、図8(f)に示すように、故障ランプ23をオフからオンに切り換える。
以上説明したように、ここに開示する過給診断装置では、過給圧の予測に際し、低圧EGRシステム52の作動状態を考慮している。具体的には、エンジン10から排出される排気ガスのエネルギを算出する際に、低圧EGR通路520を通じて吸気通路30に導入される排気ガス流量(MEGRL)を、式(1−1)に含めている。
また、排気通路40におけるターボ過給システム6の上流のエネルギを算出する際に、式(1−3)によって算出する排気シャッター弁43の圧力損失分を考慮している。
さらに、吸気通路30におけるターボ過給システム6の上流のガス流量の算出する際に、低圧EGR通路520を通じて吸気通路30に導入する排気ガス流量(MEGRL)を含めている。
高圧EGRシステム51は、エンジン10とターボ過給システム6との間に介在するため、過給圧の推定に考慮する必要はないのに対し、低圧EGRシステム52は、ターボ過給システム6がエンジン10との間に介在するため、この低圧EGRシステム52の作動状態を考慮しなければ過給圧の推定を精度良く行い得ない。しかしながら、前述した過給圧の予測手法を採用することによって、過給圧の予測を精度良く行うことが可能になる。
尚、前記のエンジンシステムは、ターボ過給システム6が、大型ターボ過給機61及び小型ターボ過給機62を備えた、いわゆる2ステージターボ過給機によって構成されているが、これに代えて、一つのコンプレッサと一つのタービンとを有するシングルターボ過給機によってターボ過給システム6を構成することも可能である。また、シングルターボ過給機及び2ステージターボ過給機に拘わらず、ターボ過給機は、可変ベーン付きのVGTとしてもよい。
1 エンジンシステム
10 エンジン(エンジン本体)
100 コントロールユニット(制御器、推定手段、診断手段)
30 吸気通路
40 排気通路
43 排気シャッター弁
51 高圧EGRシステム
510 高圧EGR通路
52 低圧EGRシステム
520 低圧EGR通路
61 大型ターボ過給機
611 大型コンプレッサ
612 大型タービン
62 小型ターボ過給機
621 小型コンプレッサ
622 小型タービン
92 過給圧センサ

Claims (4)

  1. エンジン本体と、
    前記エンジン本体の排気通路に配設されたタービンと、前記エンジン本体の吸気通路に配設されたコンプレッサとを有しかつ、前記タービンが前記エンジン本体から排出された排気ガスの排気エネルギによって駆動されることに伴い、前記コンプレッサが駆動して前記エンジン本体に対する過給を行うよう構成されたターボ過給システムと、
    前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流側と前記吸気通路における前記ターボ過給システムの下流側とをつなぐ高圧EGR通路を通じて、前記排気通路から取った排気ガスを、前記吸気通路に導入するよう構成された高圧EGRシステムと、
    前記排気通路における前記ターボ過給システムの下流側と前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流側とをつなぐ低圧EGR通路を通じて、前記排気通路から取った排気ガスを、前記吸気通路に導入するよう構成された低圧EGRシステムと、
    前記エンジン本体の運転状態に応じて、前記高圧EGRシステム及び前記低圧EGRシステムの作動を制御するよう構成された制御器と、
    前記吸気通路における前記ターボ過給システムの下流の過給圧を検出するよう構成されたセンサと、
    前記過給圧を推定するよう構成された推定手段と、
    前記センサによって検出した過給圧と、前記推定した過給圧とを比較して、過給状態を診断するよう構成された診断手段と、を備え、
    前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを推定すると共に、前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流におけるガス流量を算出しかつ、推定した前記排気エネルギと算出した前記ガス流量とに基づいて前記過給圧を推定し、
    前記推定手段はまた、前記低圧EGRシステムの作動状態に関係する所定項を含めて前記過給圧を推定する過給機付きエンジンの過給診断装置。
  2. 請求項1に記載の過給機付きエンジンの過給診断装置において、
    前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを、前記エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギに基づいて推定すると共に、前記排気ガスのエネルギを、前記吸気通路を流れる新気の流量と、前記エンジン本体に供給される燃料流量と、前記低圧EGRシステムを通じて前記吸気通路に還流される排気ガスの流量との加算値に、排気温度を乗算することによって算出する過給機付きエンジンの過給診断装置。
  3. 請求項1又は2に記載の過給機付きエンジンの過給診断装置において、
    前記低圧EGRシステムは、前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続位置よりも下流側に介設しかつ、その開度が変更することで流量を調整するように構成された排気シャッター弁を有しており、
    前記推定手段は、前記排気通路における前記ターボ過給システムの上流における排気エネルギを、前記エンジン本体から排出される排気ガスのエネルギから、前記排気シャッター弁における圧力損失分を減算したエネルギに基づいて推定する過給機付きエンジンの過給診断装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の過給機付きエンジンの過給診断装置において、
    前記推定手段は、前記吸気通路における前記ターボ過給システムの上流におけるガス流量を、前記吸気通路を流れる新気量と、前記低圧EGRシステムを通じて前記吸気通路に還流される排気ガス量とを含めて算出する過給機付きエンジンの過給診断装置。
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