JP6610380B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第1バンク及び第2バンクを有する内燃機関に適用される制御装置に関する。
特許文献1には、第1バンク及び第2バンクを備えた内燃機関が記載されている。特許文献1に記載の発明においては、第1バンクの気筒から排気通路へと排気が排出され、この排気通路には過給器のタービンが設けられている。また、排気通路には、過給器のタービンよりも上流側と下流側とに接続されてタービンを迂回するバイパス通路が設けられている。このバイパス通路には、アクチュエータによって動作させられるウェイストゲートバルブが設けられている。また、第2バンクの気筒に接続された排気通路等の構成も第1バンクの排気通路等と同様に構成されている。
特許文献1に記載の発明において、内燃機関の制御装置は、過給器による過給を行っている際には、第1バンク及び第2バンクの各気筒に供給される吸気の圧力が目標の過給圧に近づくように、各アクチュエータをそれぞれ制御して各ウェイストゲートバルブの開度を調整する。
特開2015−209815号公報
特許文献1に記載の発明のように、ウェイストゲートバルブをアクチュエータで動作させる構成においては、過給器による過給を行わない非過給域などのように、目標となる過給圧が低い状況下では、アクチュエータを停止させて当該アクチュエータによるウェイストゲートバルブの開度調整を停止する。このときのウェイストゲートバルブの開度は、排気通路における過給器のタービンよりも上流側の圧力、下流側の圧力、及びウェイストゲートバルブやアクチュエータに作用する摩擦力等の機械的な力によって決定される。
ところで、ウェイストゲートバルブやアクチュエータにおいては、同一の仕様であっても多少の個体差が生じることは避けられない。したがって、特許文献1に記載の発明のように、第1バンク及び第2バンクのそれぞれに対応してウェイストゲートバルブやアクチュエータを設けた場合、バンク毎に、ウェイストゲートバルブやアクチュエータに作用する機械的な力に違いが生じることがある。すると、上述した非過給域などのような状況下において、第1バンクに対応するウェイストゲートバルブの開度と第2バンクに対応するウェイストゲートバルブの開度との間に差が生じることがある。仮に、このような事態が生じると、第1バンクの気筒に接続された排気通路の圧力と第2バンクの気筒に接続された排気通路の圧力との間に差が生じて、第1バンクにおける気筒の燃焼状態と第2バンクにおける気筒の燃焼状態とがアンバランスな状態になってしまうおそれがある。
上記の課題を解決するため、本発明は、第1排気通路へと排気を排出する気筒を有する第1バンクと、前記第1排気通路にタービンが設けられた第1過給器と、前記第1排気通路において前記第1過給器のタービンよりも上流側及び下流側を接続して前記第1過給器のタービンを迂回する第1バイパス通路と、前記第1バイパス通路を開閉する第1ウェイストゲートバルブと、前記第1ウェイストゲートバルブを動作させて開度を調節する第1アクチュエータと、前記第1ウェイストゲートバルブの開度を検出する第1開度センサと、第2排気通路へと排気を排出する気筒を有する第2バンクと、前記第2排気通路にタービンが設けられた第2過給器と、前記第2排気通路において前記第2過給器のタービンよりも上流側及び下流側を接続して前記第2過給器のタービンを迂回する第2バイパス通路と、前記第2バイパス通路を開閉する第2ウェイストゲートバルブと、前記第2ウェイストゲートバルブを動作させて開度を調節する第2アクチュエータと、前記第2ウェイストゲートバルブの開度を検出する第2開度センサと、前記第1バンク及び前記第2バンクの各気筒に供給する吸気の圧力を実過給圧として検出する圧力センサとを備えた内燃機関に適用される制御装置であって、実過給圧の目標値である目標過給圧が予め定められた基準圧以上である場合には、前記実過給圧が目標過給圧に近づくように、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを制御し、前記目標過給圧が前記基準圧未満である場合には、前記第1開度センサが検出する第1ウェイストゲートバルブの開度及び前記第2開度センサが検出する第2ウェイストゲートバルブの開度が共通の目標開度となるように、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを制御することを特徴とする。
上記の構成によれば、目標過給圧が基準圧未満である場合には、第1ウェイストゲートバルブの開度と第2ウェイストゲートバルブの開度とが共通の目標開度となるように制御される。したがって、目標過給圧が基準圧未満である場合に、第1ウェイストゲートバルブの開度と第2ウェイストゲートバルブの開度との間にずれが生じることを抑制できる。その結果、各ウェイストゲートバルブの開度の差に起因して、第1バンクの気筒の燃焼状態と第2バンクの気筒の燃焼状態とがアンバランスな状態になることを抑制できる。
内燃機関の吸気及び排気の通路構成を示す説明図。 内燃機関におけるバイパス通路及びウェイストゲートバルブの構成を示す説明図。 ウェイストゲートバルブの開度調整制御を示すフローチャート。
以下、内燃機関の制御装置の実施形態を説明する。先ず、内燃機関10の構成を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、内燃機関10は、気筒11Aを有する第1バンク10Aと気筒11Bを有する第2バンク10Bとを備える。なお、図1では、気筒11A及び気筒11Bを1つずつ図示しているが、内燃機関10はV型の6気筒エンジンであり、第1バンク10Aは3つの気筒11Aを有し、第2バンク10Bは3つの気筒11Bを有する。
図1に示すように、内燃機関10は、第1吸気通路12A(図1において左側に図示)を有する。第1吸気通路12Aには、吸入する空気の塵や埃などの異物を取り除く第1エアクリーナ13Aが設けられている。第1吸気通路12Aにおいて第1エアクリーナ13Aよりも下流側には、第1吸気通路12Aを流れる吸気の流量を検出する第1エアフローメータ14Aが設けられている。第1エアフローメータ14Aは、吸気の流量の検出値を、車両に搭載されているエンジンコントロールユニット50(以下、ECU50と略記する)に出力する。
第1吸気通路12Aにおいて第1エアフローメータ14Aよりも下流側には、第1過給器30Aのコンプレッサ31Aが設けられている。なお、第1過給器30Aのコンプレッサ31Aは、後述する排気側のタービン32Aの回転に従って回転する。そして、第1過給器30Aのコンプレッサ31Aは、その回転に伴って圧縮した吸気を第1吸気通路12Aの下流側へ供給する。
第1吸気通路12Aにおいて第1過給器30Aのコンプレッサ31Aよりも下流側には、合流吸気通路15が接続されている。合流吸気通路15には、下流側へ流入する吸気の量を調整するためのスロットルバルブ16が設けられている。スロットルバルブ16は、ECU50からの指令値に基づいて開度が設定される。
合流吸気通路15においてスロットルバルブ16よりも下流側には、第1バンク10Aの各気筒11A及び第2バンク10Bの各気筒11Bに吸気を分配するためのインテークマニホールド17が接続されている。インテークマニホールド17の内部には、当該インテークマニホールド17に供給される吸気を冷却するためのインタークーラ18が設けられている。また、インテークマニホールド17においてインタークーラ18よりも下流側には、インテークマニホールド17内の吸気の圧力を実過給圧Paとして検出する圧力センサ19が設けられている。圧力センサ19は、検出した実過給圧PaをECU50に出力する。
インテークマニホールド17においてインタークーラ18よりも下流側には、第1バンク10Aにおける気筒11Aの吸気ポート21Aが接続されている。吸気ポート21Aには、当該吸気ポート21Aを開閉するための吸気バルブ22Aが設けられている。吸気バルブ22Aは、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して吸気ポート21Aを開閉する。
第1バンク10Aにおける気筒11Aの排気ポート23Aには、当該排気ポート23Aを開閉するための排気バルブ24Aが設けられている。排気バルブ24Aは、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して排気ポート23Aを開閉する。また、第1バンク10Aにおける気筒11Aの排気ポート23Aには、気筒11A内の排気を排出するための第1排気通路25Aが接続されている。
第1排気通路25Aには、上述した第1過給器30Aのタービン32Aが設けられている。第1過給器30Aのタービン32Aは、第1排気通路25A内の排気の流れにより回転し、タービン32Aの回転に伴ってコンプレッサ31Aが回転する。第1排気通路25Aにおいて第1過給器30Aのタービン32Aよりも下流側には、第1排気浄化触媒26Aが設けられている。第1排気浄化触媒26Aは、例えば三元触媒であり、排気中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を除去する。
図1及び図2に示すように、第1排気通路25Aには、第1過給器30Aのタービン32Aよりも上流側と下流側とを接続してタービン32Aを迂回する第1バイパス通路27Aが設けられている。第1バイパス通路27Aには、当該第1バイパス通路27Aを開閉するための第1ウェイストゲートバルブ41Aが設けられている。第1ウェイストゲートバルブ41Aには、当該第1ウェイストゲートバルブ41Aを開閉動作させるための第1電動アクチュエータ45Aが連結されている。
第1電動アクチュエータ45Aには、電動モータが内蔵されているとともにその電動モータの回転を直線運動に変換する変換機構が内蔵されている。図2に示すように、第1電動アクチュエータ45Aの変換機構には第1駆動ロッド46Aが連結されているとともに、その第1駆動ロッド46Aには第1ウェイストゲートバルブ41Aが連結されている。第1電動アクチュエータ45Aの電動モータはECU50からの信号に基づいて回転し、それに応じて第1駆動ロッド46Aが直線運動する。そして、第1駆動ロッド46Aの直線運動に応じて、第1ウェイストゲートバルブ41Aが開閉する。
第1電動アクチュエータ45Aには、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度を検出する第1開度センサ47Aが内蔵されている。第1開度センサ47Aは、第1駆動ロッド46Aの位置を第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAとして検出する。第1開度センサ47Aは、検出した第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAを、ECU50へ出力する。なお、以下の説明では、第1ウェイストゲートバルブ41Aが全開であるときの第1駆動ロッド46Aの位置(開度VpA)を100%、第1ウェイストゲートバルブ41Aが全閉であるときの第1駆動ロッド46Aの位置(開度VpA)を0%と表現して説明する。
図1に示すように、内燃機関10は、第2吸気通路12B(図1において右側に図示)を有する。なお、第2吸気通路12Bに関する構成は、第1吸気通路12Aに関する構成と同一構成であるので、以下では、説明を一部省略する。
第2吸気通路12Bには、第2エアクリーナ13Bが設けられており、第2吸気通路12Bにおいて第2エアクリーナ13Bよりも下流側には第2エアフローメータ14Bが設けられている。第2吸気通路12Bにおいて第2エアフローメータ14Bよりも下流側には、第2過給器30Bのコンプレッサ31Bが設けられている。第2吸気通路12Bにおいて第2過給器30Bのコンプレッサ31Bよりも下流側には、合流吸気通路15が接続されている。すなわち、第2吸気通路12Bは、合流吸気通路15において第1吸気通路12Aと合流している。
インテークマニホールド17においてインタークーラ18よりも下流側には、第2バンク10Bにおける気筒11Bの吸気ポート21Bが接続されている。吸気ポート21Bには、当該吸気ポート21Bを開閉するための吸気バルブ22Bが設けられている。第2バンク10Bにおける気筒11Bの排気ポート23Bには、当該排気ポート23Bを開閉するための排気バルブ24Bが設けられている。
第2バンク10Bにおける気筒11Bの排気ポート23Bには、気筒11B内の排気を排出するための第2排気通路25Bが接続されている。なお、第2排気通路25Bに関する構成は、第1排気通路25Aに関する構成と同一構成であるので、以下では、説明を一部省略する。
第2排気通路25Bには、上述した第2過給器30Bのタービン32Bが設けられている。第2排気通路25Bにおいて第2過給器30Bのタービン32Bよりも下流側には、第2排気浄化触媒26Bが設けられている。
図1及び図2に示すように、第2排気通路25Bには、第2過給器30Bのタービン32Bよりも上流側と下流側とを接続してタービン32Bを迂回する第2バイパス通路27Bが設けられている。第2バイパス通路27Bには、当該第2バイパス通路27Bを開閉するための第2ウェイストゲートバルブ41Bが設けられている。第2ウェイストゲートバルブ41Bには、当該第2ウェイストゲートバルブ41Bを開閉動作させるための第2電動アクチュエータ45Bが連結されている。図2に示すように、第2電動アクチュエータ45Bの変換機構には第2駆動ロッド46Bが連結されているとともに、第2駆動ロッド46Bには第2ウェイストゲートバルブ41Bが連結されている。
第2電動アクチュエータ45Bには、第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度を検出する第2開度センサ47Bが内蔵されている。第2開度センサ47Bは、第2駆動ロッド46Bの位置を第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBとして検出する。なお、以下の説明では、第2ウェイストゲートバルブ41Bが全開であるときの第2駆動ロッド46Bの位置(開度VpB)を100%、第2ウェイストゲートバルブ41Bが全閉であるときの第2駆動ロッド46Bの位置(開度VpB)を0%と表現して説明する。
上記の内燃機関10の制御装置としてのECU50は、内燃機関10の制御プログラムを実行する演算装置、内燃機関10の制御プログラム等が記憶されたROM、制御プログラムの実行にあたってデータが一時的に記憶されるRAM等を有するコンピュータとして構成されている。ECU50は、第1エアフローメータ14Aの検出値、第2エアフローメータ14Bの検出値、スロットルバルブ16の開度、車両に取り付けられているアクセル開度センサや車速センサなどの各種センサの検出値に基づいて、目標過給圧Ptを演算する。
ECU50のROMには、内燃機関10の運転状態が過給域にあるか非過給域にあるかを区別するための目標過給圧Ptの閾値として、基準圧Psが予め記憶されている。この実施形態では、基準圧Psは大気圧(1atm)である。また、ECU50のROMには、内燃機関10の運転状態が非過給域にある場合に、第1ウェイストゲートバルブ41Aが取るべき開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bが取るべき開度VpBとして、目標開度Vtが記憶されている。この実施形態では、目標開度Vt(第1駆動ロッド46A、第2駆動ロッド46Bの位置)は、40〜60%に設定されている。
次に、ECU50による内燃機関10の制御態様を、図3に従って説明する。
ECU50は、内燃機関10が運転しているときには、所定の制御周期で第1ウェイストゲートバルブ41A、及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度調整制御を実行する。ECU50は、先ず、開度調整制御として図3に示すステップS10の処理を実行する。
図3に示すように、ステップS10では、ECU50は、実過給圧Paの目標値である目標過給圧Ptを演算する。具体的には、ECU50は、第1エアフローメータ14Aの検出値、第2エアフローメータ14Bの検出値、スロットルバルブ16の開度、車両に取り付けられているアクセル開度センサや車速センサなどの各種センサの検出値を参照する。そして、ECU50は、内燃機関10の制御プログラムに従って目標過給圧Ptを演算する。目標過給圧Ptを演算した後、ECU50の処理はステップS11に移行する。
ステップS11では、ECU50は、ステップS10で演算した目標過給圧Ptと、当該ECU50のROMに記憶されている基準圧Psとを比較する。ECU50により、目標過給圧Ptが基準圧Ps以上であると判断された場合(ステップS11においてNO)、ECU50の処理は、ステップS13に移行する。
ステップS13では、ECU50は、圧力センサ19が検出する実過給圧Paが目標過給圧Ptに近づくように第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBを制御する。具体的には、実過給圧Paが目標過給圧Ptよりも小さい場合、ECU50は、第1電動アクチュエータ45Aを制御して、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAを所定量小さくする。その結果、第1バイパス通路27Aに流入する排気の量が小さくなって第1過給器30Aのタービン32Aの回転速度が速くなる。それに伴って、第1過給器30Aのコンプレッサ31Aの回転速度も速くなって、実過給圧Paも高くなる。同様に、ECU50は、第2電動アクチュエータ45Bを制御して、第ウェイストゲートバルブ41の開度Vpを所定量小さくする。これに対して、実過給圧Paが目標過給圧Ptよりも大きい場合、ECU50は、第1電動アクチュエータ45Aを制御して、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAを所定量大きくする。その結果、第1バイパス通路27Aに流入する排気の量が多くなって第1過給器30Aのタービン32Aの回転速度が遅くなる。それに伴って、第1過給器30Aのコンプレッサ31Aの回転速度も遅くなって、実過給圧Paも低くなる。同様に、ECU50は、第2電動アクチュエータ45Bを制御して、第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBを所定量大きくする。ステップS13の処理が終了した後、ECU50による開度調整制御の1サイクルが終了する。そして、ステップS10、ステップS11及びステップS13の処理が複数サイクル繰り返し実行されることで、実過給圧Paが目標過給圧Ptに徐々に近づいていく。
これに対して、ステップS11において、ECU50により、目標過給圧Ptが基準圧Ps未満であると判断された場合(ステップS11においてYES)、ECU50の処理は、ステップS12に移行する。ステップS12では、ECU50は、第1開度センサ47Aによって検出される第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAが、当該ECU50のROMに記憶されている目標開度Vtに一致するように、第1電動アクチュエータ45Aを制御する。同様に、ECU50は、第2開度センサ47Bによって検出される第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBが、当該ECU50のROMに記憶されている目標開度Vtに一致するように、第2電動アクチュエータ45Bを制御する。なお、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAに関する目標開度Vtと、第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBに関する目標開度Vtとは共通の値である。したがって、ECU50がステップS12の処理を実行することにより、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBが共に共通の開度(目標開度Vt)に制御される。
次に、上記一連の開度調整制御による効果を説明する。
上記実施形態では、目標過給圧Ptが基準圧Psよりも小さい状況下では、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAだけでなく、第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBも目標開度Vtに制御される。すなわち、仮に、第1ウェイストゲートバルブ41Aと第2ウェイストゲートバルブ41Bとの間や、第1電動アクチュエータ45Aと第2電動アクチュエータ45Bとの間に個体差があっても、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAと第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBとを共通の開度に制御できる。したがって、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAと第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBとの間にずれが生じることに起因して、例えば内部EGR量に差が生じるなど、両バンクの気筒の燃焼状態がアンバランスな状態になることは抑制できる。その結果、第1バンク10Aの各気筒11A及び第2バンク10Bの各気筒11Bをいずれも同等の制御で適切に運転させることができる。
ところで、上記実施形態において、目標過給圧Ptが基準圧Psよりも小さい状況下から目標過給圧Ptが変更され、その変更後の目標過給圧Ptが基準圧Psよりも大きくなったとする。このとき、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAは、目標開度Vtから、新たな目標過給圧Ptを達成できるに足る開度に変更されることになる。
ここで、仮に、目標開度Vtとして100%(全開)を設定していた場合、新たな目標過給圧Ptを達成できるに足る第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度が小さい場合に、その開度に至るまでに相応の時間を要する。すなわち、目標開度Vtとして100%近傍を設定していると、目標過給圧Ptが基準圧Psよりも大きくなったときに実過給圧Paを新たな目標過給圧Ptへと制御する応答性が悪くなるおそれがある。
これに対して、上記実施形態では、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAの目標開度Vtとして、40〜60%を採用している。したがって、目標過給圧Ptが基準圧Psよりも大きくなったときに、その目標過給圧Ptを達成できる第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度が0%に近くても、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度がその0%に近い開度に至るまでの時間が過度に長くなることは抑制できる。なお、この点については、第2ウェイストゲートバルブ41Bも同様である。
上記実施形態は次のように変更できる。
・上記実施形態では、ウェイストゲートバルブの開度調整制御を、内燃機関10としてのV型の6気筒エンジンに適用したが、内燃機関10の態様は上記実施形態のものに限らない。例えば、ウェイストゲートバルブの開度調整制御を、6気筒以外の複数気筒のV型エンジンに適用してもよいし、水平対向エンジンに適用してもよい。すなわち、第1バンク10A及び第2バンク10Bに、それぞれバイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブが設けられていれば、どのような内燃機関であっても、上記実施形態のウェイストゲートバルブの開度調整制御を適用でき得る。
・上記実施形態では、目標過給圧Ptが基準圧Ps以上である場合のウェイストゲートバルブの開度調整制御において第1開度センサ47Aが検出する開度VpAや第2開度センサ47Bが検出する開度VpBを参照しなかったが、これに限らない。実過給圧Paが目標過給圧Ptに近づくように制御できるのであれば、第1開度センサ47Aが検出する開度VpAや第2開度センサ47Bが検出する開度VpBを参照して制御を行ってもよいし、他のセンサの検出値を参照してもよい。
・第1ウェイストゲートバルブ41Aを開閉動作させるための構成は、第1電動アクチュエータ45Aに限らない。例えば、ダイアフラム式のアクチュエータであってもよい。なお、ダイアフラム式のアクチュエータで第1ウェイストゲートバルブ41Aを開閉動作させる場合であっても、圧力室に供給する圧力を制御することにより、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAを調整可能である。なお、第2ウェイストゲートバルブ41Bについても、同様に変更可能である。
・第1開度センサ47Aは、第1電動アクチュエータ45Aにおける第1駆動ロッド46Aの位置を検出するものに限らない。例えば、第1電動アクチュエータ45Aに内蔵されている変換機構の歯車等の回転角度位置を検出するものであってもよいし、第1電動アクチュエータ45Aにおける電動モータの回転子の回転角度位置を検出するものであってもよい。また、第1ウェイストゲートバルブ41Aの位置を直接検出するものであってもよい。この点、第2開度センサ47Bについても同様である。
・基準圧Psは、必ずしも大気圧(1atm)でなくてもよく、大気圧より大きくても小さくてもよい。各ウェイストゲートバルブの個体差や各電動アクチュエータの個体差がどのような過給域においてウェイストゲートバルブの開度の差として顕在化するのかは、ウェイストゲートバルブや電動アクチュエータの構成によって異なる。したがって、試験等を行うことにより、ウェイストゲートバルブや電動アクチュエータの構成に応じた基準圧Psを設定すればよい。
・基準圧Psは固定値でなくてもよい。例えば、内燃機関10が搭載されている車両の外部の気圧、温度などの外部環境に応じて基準圧Psを変更してもよい。なお、基準圧Psが可変であっても、その基準圧Psを演算するためのマップや演算式がECU50のROMに記憶されているのであれば、その基準圧Psは予め定められた基準圧であると言える。
・目標開度Vtは40〜60%に限らず適宜変更できる。例えば、第1電動アクチュエータ45Aの動作が高速で、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpAを速やかに変更できるのであれば、目標開度Vtとして例えば100%(全開)が設定されていても、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度の応答性の問題は生じにくい。
・第1ウェイストゲートバルブ41Aの目標開度Vtと第2ウェイストゲートバルブ41Bの目標開度Vtとが共通であるならば、目標開度Vtは固定値でなくてもよい。内燃機関10が搭載されている車両の外部の気圧、温度などの外部環境に応じて目標開度Vtを変更してもよい。
・上記実施形態では、目標過給圧Ptが基準圧Ps未満であるときに、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBが目標開度Vtとなるように制御したが、目標過給圧Ptに依らずに一連の制御を行なうことも可能である。例えば、エンジン負荷率の目標値について所定の基準値を予め設定しておき、エンジン負荷率の目標値がその基準値未満であるときに、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBが目標開度Vtとなるように制御してもよい。さらに、例えば、エンジン負圧の目標値について所定の基準値を予め設定しておき、エンジン負圧の目標値がその基準値未満であるとき(負圧の程度が基準値よりも大きいとき)に、第1ウェイストゲートバルブ41Aの開度VpA及び第2ウェイストゲートバルブ41Bの開度VpBが目標開度Vtとなるように制御してもよい。
10…内燃機関、10A…第1バンク、11A…気筒、12A…第1吸気通路、13A…第1エアクリーナ、14A…第1エアフローメータ、15…合流吸気通路、16…スロットルバルブ、17…インテークマニホールド、18…インタークーラ、19…圧力センサ、21A…吸気ポート、22A…吸気バルブ、23A…排気ポート、24A…排気バルブ、25A…第1排気通路、26A…第1排気浄化触媒、27A…第1バイパス通路、30A…第1過給器、31A…コンプレッサ、32A…タービン、41A…第1ウェイストゲートバルブ、45A…第1電動アクチュエータ、46A…第1駆動ロッド、47A…第1開度センサ、10B…第2バンク、11B…気筒、12B…第2吸気通路、13B…第2エアクリーナ、14B…第2エアフローメータ、21B…吸気ポート、22B…吸気バルブ、23B…排気ポート、24B…排気バルブ、25B…第2排気通路、26B…第2排気浄化触媒、27B…第2バイパス通路、30B…第2過給器、31B…コンプレッサ、32B…タービン、41B…第2ウェイストゲートバルブ、45B…第2電動アクチュエータ、46B…第2駆動ロッド、47B…第2開度センサ、50…エンジンコントロールユニット(ECU)、Pa…実過給圧、Pt…目標過給圧、Ps…基準圧、VpA…第1ウェイストゲートバルブの開度、VpB…第2ウェイストゲートバルブの開度、Vt…目標開度。

Claims (1)

  1. 第1排気通路へと排気を排出する気筒を有する第1バンクと、前記第1排気通路にタービンが設けられた第1過給器と、前記第1排気通路において前記第1過給器のタービンよりも上流側及び下流側を接続して前記第1過給器のタービンを迂回する第1バイパス通路と、前記第1バイパス通路を開閉する第1ウェイストゲートバルブと、前記第1ウェイストゲートバルブを動作させて開度を調節する第1アクチュエータと、前記第1ウェイストゲートバルブの開度を検出する第1開度センサと、
    第2排気通路へと排気を排出する気筒を有する第2バンクと、前記第2排気通路にタービンが設けられた第2過給器と、前記第2排気通路において前記第2過給器のタービンよりも上流側及び下流側を接続して前記第2過給器のタービンを迂回する第2バイパス通路と、前記第2バイパス通路を開閉する第2ウェイストゲートバルブと、前記第2ウェイストゲートバルブを動作させて開度を調節する第2アクチュエータと、前記第2ウェイストゲートバルブの開度を検出する第2開度センサと、
    前記第1バンク及び前記第2バンクの各気筒に供給する吸気の圧力を実過給圧として検出する圧力センサと
    を備えた内燃機関に適用される制御装置であって、
    実過給圧の目標値である目標過給圧が予め定められた基準圧以上である場合には、前記実過給圧が目標過給圧に近づくように、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを制御し、前記目標過給圧が前記基準圧未満である場合には、前記第1開度センサが検出する第1ウェイストゲートバルブの開度及び前記第2開度センサが検出する第2ウェイストゲートバルブの開度が共通の目標開度となるように、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを制御する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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