JPWO2012029820A1 - 医薬固形製剤用のコーティング剤、医薬用フィルム製剤及び被覆医薬固形製剤 - Google Patents

医薬固形製剤用のコーティング剤、医薬用フィルム製剤及び被覆医薬固形製剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、無包装の状態の医薬固形製剤自体にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を付与しながら、かつ医薬固形製剤の崩壊性に影響を及ぼさない、医薬固形製剤用のコーティング用剤を提供することを目的としている。本発明は、平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、ポリエチレングリコールと膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4である、医薬固形製剤用のコーティング剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、医薬固形製剤用のコーティング剤、医薬用フィルム製剤及び被覆医薬固形製剤に関する。
医薬品の多くは酸素や水蒸気に不安定であることから、市販医薬品、特に医薬固形製剤のほとんどは、PTP(press through pack)シート等の包装材で包装され、酸素や水蒸気から守られている。
その一方で、医療現場や調剤薬局では、処方された薬の飲み忘れや服用する用量の間違いを防止するため、1回に服用する複数の医薬品をそれぞれPTPシート等の包装から出し、1つの袋にまとめて提供する一包化調剤が普及している。さらには、欧米では患者がPTPシート等の包装から出した医薬品をピルケース等に小分けして保管する場合も多いことから、医薬固形製剤自体の水蒸気バリア性及び酸素バリア性、すなわち、ガスバリア性を高めるための手法が求められてきた。
医薬固形製剤自体のガスバリア性を高める手法としては、医薬固形製剤を糖衣する手法や高分子物質でフィルムコーティングする手法が実用化されており、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EudragitEPO(登録商標);デグサ社)にステアリン酸を配合したフィルムコーティング剤(特許文献1)、ポリビニルアルコールと重合性ビニル単量体とを共重合させた樹脂組成物(特許文献2)、ポリビニルアルコールにタルクと界面活性剤とを添加したコーティング剤(特許文献3)又はPVAにベントナイトを特定の構造体で均一に分散させたフィルムコーティング剤(特許文献4)が開発されている。
また、酸素や水蒸気以外に対するガスバリアフィルムコーティングのニーズとしては、揮発性(昇華性)の薬物又はその分解物の拡散防止が挙げられる。これらの物質が拡散すると、悪臭を発したり、一包化調剤した際に他の薬剤を変色させたりするなどの問題があるからである。例えば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤であるオルメサルタンメドキソミル製剤は、オルメサルタンメドキソミルから脱離した(5−メチル2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基が加水分解され、ジアセチルと変化し、ジアセチル由来の臭気を発することが知られている。また、オルメサルタンメドキソミル製剤は、メトホルミン塩酸塩製剤と一包装化して高温高湿条件下に保存するとメトホルミン塩酸塩製剤が着色することが知られている。この着色は、オルメサルタンメドキソミル由来のジアセチルが塩酸メトホルミンのグアニジノ基と反応することによるものである。
これら臭気や着色を改善する方法としては、化学吸着型乾燥剤を含む医薬パッケージ(特許文献5)、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有するフィルムコーティング(特許文献6)、ポリビニルアルコール共重合体での被覆(特許文献7)が報告されている。
特表2004−518750号公報 国際公開第2005/019286号 特開2006−188490号公報 国際公開第2010/074223号 国際公開第2008/041663号 国際公開第2006/123765号 国際公開第2007/145191号
しかしながら、ガスバリアを目的とした医薬固形製剤の糖衣には長時間を要するばかりか、糖衣の膜厚が厚くなるために、医薬固形製剤自体が大型化して飲みにくくなり、患者の服用負担を大きくし、さらには薬効発現までに長時間がかかるおそれがあった。
また、高分子物質で医薬固形製剤をフィルムコーティングする従来の手法の内、PTPシートと同等の優れたガスバリア性(水蒸気透過度:1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満、酸素透過係数:1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満)が得られるのは特許文献4のフィルムコーティング剤のみであり、これ以外の手法により得られるガスバリア性は、PTPシートに及ぶものではなかった。
さらに、特許文献4のフィルムコーティング剤については、形成されたフィルム自体の崩壊性力が弱いことから、被覆対象の医薬固形製剤自体の崩壊性が小さい場合には崩壊遅延が生じ、薬効に影響を与えかねないばかりか、処方変更に伴う生物学的同等性試験がより煩雑なものとなる可能性が指摘されていた。
そこで本発明は、無包装の状態の医薬固形製剤自体にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を付与しながら、かつ医薬固形製剤の崩壊性に影響を及ぼさない、医薬固形製剤用のコーティング剤を提供することを目的としている。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレングリコール中に膨潤性粘土を均一に分散させたコーティング剤が、医薬固形製剤自体にPTPシートと同等のガスバリア性を付与可能であること、さらには該コーティング剤から形成されたフィルムが、高い崩壊性を有することを見出した。
すなわち、本発明は平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、上記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4である、医薬固形製剤用のコーティング剤を提供する。
上記フィルムコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面に薄いフィルムを形成し、そのフィルムの層によって医薬固形製剤を被覆すれば、ポリエチレングリコールと膨潤性粘土の質量比及び膨潤性粘土の膨潤状態の影響により、膨潤性粘土が迷路のような構造となって、被覆した医薬固形製剤と、水蒸気や酸素との接触を防止する効果(以下、「迷路効果」)を発揮する。このため、フィルムの層が薄くても医薬固形製剤自体にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を付与することができ、患者の服用に支障を来たすことがない。
上記膨潤性粘土は、ベントナイト又はケイ酸アルミニウムマグネシウムであることが好ましい。
ベントナイト又はケイ酸アルミニウムマグネシウムを用いることで、より大きな迷路効果を得ることができる。
上記コーティング剤は、糖アルコール誘導体型界面活性剤を0.5〜30%含有することが好ましい。
上記糖アルコール誘導体型界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステルであることが好ましい。
また本発明は、上記のコーティング剤から形成され、室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が、1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である医薬用フィルム製剤、又は、上記コーティング剤で被覆され、室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が、1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である被覆医薬固形製剤、を提供する。
さらに本発明は、平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、上記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4であり、室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である医薬用フィルム製剤、又は、平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、上記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4であり、室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である被覆層を有する被覆医薬固形製剤、を提供する。
本発明によれば、無包装の状態であっても医薬固形製剤自体にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を付与できるため、医薬固形製剤の劣化を防ぎ、薬効成分を安定的に長期間保持することが可能となる。また本発明によれば、形成されたフィルム自体が崩壊性に優れることから、医薬固形製剤の崩壊性に影響を及ぼすことなく優れたガスバリア性能を発揮できる。
実施例1の錠剤及び比較例4の錠剤、市販錠の溶出プロファイルである。 実施例2の錠剤及び比較例5の錠剤、市販錠の溶出プロファイルである。 実施例2の錠剤の保存前後の溶出プロファイルである。 比較例5の錠剤の保存前後の溶出プロファイルである。 市販錠の保存前後の溶出プロファイルである。 実施例3のフィルムの集束イオンビーム透過型電子顕微鏡像である。 実施例4のフィルムの集束イオンビーム透過型電子顕微鏡像である。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、特に明記することがない限り、「%」は「質量%(w/w%)」を表す。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤は、平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、上記ポリエチレングリコールと上記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4であることを特徴としている。
「医薬固形製剤」とは、固形となるように製剤化された医薬品のことであり、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤又はフィルム製剤が挙げられる。
「医薬固形製剤用のコーティング剤」とは、医薬固形製剤の表面に薄いフィルムを形成し、そのフィルムの層によって医薬固形製剤を被覆することが可能な組成物をいう。上記のフィルムは医薬固形製剤にガスバリア性を付与し、医薬固形製剤に含まれる薬効成分の酸素若しくは水蒸気による分解又は変色あるいは医薬固形製剤の劣化等を防ぐ役割を果たす。
医薬固形製剤を被覆するフィルムの層の質量は、医薬固形製剤自体の質量に対して2〜200%であることが好ましく、医薬固形製剤が錠剤であれば、3〜70%が好ましく、3〜20%がより好ましく、3〜15%がさらに好ましい。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面に薄いフィルムの層を形成するためには、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を医薬固形製剤の表面に噴霧又は塗布等し、コーティング剤に含まれる溶媒を乾燥除去すればよい。より具体的には、医薬固形製剤が錠剤状であれば、例えば、コーティングパン又は錠剤用コーティング機の使用が挙げられる。また、医薬固形製剤が顆粒状又は粉末状であれば、例えば、流動層コーティング機又は転動流動層コーティング機の使用が挙げられる。
上記のコーティング剤に含まれる溶媒としては、例えば、水、炭素数1〜5の低級アルコール又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、エタノール又は水が好ましい。
また、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤は液体状態のみならず、固体状態であっても構わない。固体状態のコーティング剤としては、例えば、液体状態のコーティング剤を噴霧乾燥又は凍結乾燥し、溶媒成分を蒸発させたものが挙げられる。
なお、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤に薬効成分を加えたものをそのまま乾燥すれば、フィルム製剤を得ることもできる。
医薬固形製剤に含まれる「薬効成分」とは、人及び動物の疾病の治療、予防、診断に使用されるものであって、器具機械ではないものをいい、例えば、化学療法剤、カルシウム拮抗剤、抗生物質、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、抗悪性腫瘍剤、自律神経用薬剤、精神神経用薬剤、局所麻酔剤、筋弛緩剤、消化器官用薬剤、抗ヒスタミン剤、中毒治療剤、催眠鎮静剤、抗癲癇剤、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、強心剤、不正脈治療剤、利尿剤、血管拡張剤、抗脂血剤、滋養強壮変質剤、ビタミン剤、抗凝血剤、肝臓用薬剤、血糖降下剤、血圧降下剤、大腸炎治療剤、抗喘息薬剤、抗狭心薬剤、制吐剤、糖質コルチコイド、潰瘍性大腸炎若しくはクローン病の治療薬剤、抗カビ剤、細動脈硬化治療剤、酵素抑制剤、痛風治療剤、抗パーキンソン薬剤、偏頭痛治療剤又はタンパク及びペプチドが挙げられる。中でも、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤により得られる優れたガスバリア性は、吸湿性、酸化分解性又は臭気性の薬効成分を含む医薬固形製剤の被覆において特にその効果をいかんなく発揮するものである。
「医薬固形製剤の劣化」とは、例えば、酸素や水蒸気による、医薬固形製剤の重量、硬度若しくは形状の変化、薬効成分の分解による含量低下、漏出又は医薬固形製剤の表面のひび割れ若しくは着色等の外観の変化が挙げられる。
「ポリエチレングリコール」(以下、「PEG」)とは、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)をいい、日本及び欧州薬局方ではマクロゴール、米国薬局方(NF)では、ポリエチレングリコールと称されており、グレードの品番と平均分子量は3極で統一されていないため、以下ではPEGの品名は日本薬局方(以下、日局と略すこともある。)の呼称を使用する。本発明においてのPEGの平均分子量は、950〜25000(例えば、日局マクロゴール1000、4000、6000及び20000(日油社又は三洋化成社))であることが必要であるが、特に、平均分子量7000〜9300(例えば、日局マクロゴール6000)が好ましい。なお、平均分子量が上記範囲内であれば、平均分子量の異なる複数のPEGを組み合わせて用いても構わない。
「膨潤性粘土」とは、膨潤性を有する粘土のことをいい、具体的には、適量の水を含んでいるときに粘性と可塑性を示す微粉の物質のうち、膨潤性を有している物質のことをいう。
膨潤性粘土は、金属塩種の組成バランスより、負の電荷に帯電しているものが好ましいが、負の電荷に帯電している膨潤性粘土としては、例えば、3層構造を有するスメクタイトが挙げられる。
「負の電荷に帯電」とは、膨潤性粘土がカチオン交換能を有する状態をいい、その帯電量はカチオン交換容量(CEC:Cation Exchange Capacity)として表記される。なお、カチオン交換容量の単位はミリ当量/100グラム(以下、「meq/100g」)であり、一般的には1価のイオンのモル濃度に相当する当量数として表される。
スメクタイトとしては、例えば、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ベントナイト(以下、「BT」)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム又はこれらの混合物が挙げられるが、BT又はケイ酸マグネシウムアルミニウムが好ましく、BTがより好ましい。
膨潤性粘土は、上記の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムにおいて、均一に分散していることが好ましい。「均一に分散」とは、膨潤性粘土が1層の帯状構造体として分散している状態が最も好ましいが、通常医薬品製造に用いられる製造機器において、1層にまで剥離することは難しい。実際には、膨潤性粘土は帯状構造体が10〜100層積み重なった帯状積層構造体として分散している状態が好ましく、帯状積層構造体の積層数は、より少ない方が好ましい。すなわち、ある一定のBTとポリマー含量の本発明のコーティング剤から形成したフィルムにおいては、少ない積層数の帯状積層構造体として均一分散させたほうが、より長い迷路効果が得られ、ガスバリア性能が向上するためである。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムの厚み方向の断面において、上記の帯状積層構造体は網目状に分散しており、かつ面配向していることが好ましい。フィルムの厚み方向の断面における帯状積層構造体の状態は、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」)等を用いて観察することができる。
「網目状」とは、フィルムの厚み方向の断面における帯状積層構造体の分散状態を二次元的に表した場合において、膨潤性粘土の帯状構造体がその言葉のとおり網の目を形成している様子をいう。
「面配向」とは、膨潤性粘土の帯状構造体が、フィルムの厚み方向に積み重なっている様子をいう。
膨潤性粘土を、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムにおいて帯状積層構造体として分散させるには、コーティング剤に含まれる膨潤性粘土が膨潤状態であることが好ましい。
膨潤性粘土の「膨潤状態」とは、膨潤性粘土が分散媒を含み、膨潤した状態のことをいう。膨潤状態の膨潤性粘土としては、例えば、膨潤性粘土を分散媒に懸濁させてホモジナイザー等で撹拌した分散液が挙げられるが、その分散液を濾過した場合において、すべての膨潤性粘土が濾紙を通過できる程度に分散した状態であることが好ましい。なお、上記の濾過操作に使用する濾紙としては、例えば、ガラス繊維濾紙GF/D:粒子保持能2.7μm(ワットマン社)が挙げられる。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤に含まれる膨潤性粘土の帯状積層構造体としての分散の度合いの指標については、ヘーズ値が挙げられる。ヘーズ値はコーティング剤の濁度を示す値であり、膨潤性粘土が均一に分散してコーティング剤の透明度は高くなるほど、その値は小さくなる。すなわち、コーティング剤のヘーズ値がより小さいことは、膨潤性粘土の帯状構造体の積層数がより少ないことを示す。なお、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤に含まれる膨潤性粘土としては、膨潤性粘土単独の3.5%水溶液のヘーズ値が90%以下であるものが好ましく、60%以下であるものがより好ましい。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤におけるPEGと膨潤性粘土との質量比は、2:8〜6:4であることが必要であるが、3:7であることが好ましい。
膨潤性粘土の質量が、PEGの質量に対し40%未満の場合には、膨潤性粘土による迷路効果が小さくなって、PTPシートと同等の優れたガスバリア性が得られなくなるからであり、一方で、膨潤性粘土の質量が、PEGの質量に対し4倍を超える場合には、膨潤性粘土の比率が高過ぎるために膨潤性粘土の帯状積層構造体としての分散が不均一となり、やはりPTPシートと同等の優れたガスバリア性が得られなくなるからである。
なお、膨潤性粘土による迷路効果を十分に得るためには、上記の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムにおける膨潤性粘土の割合が、20%以上であることが好ましい。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムの水蒸気透過度は、PTPシートと同等の1.0×10−5〜1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atmであることが好ましく、1.0×10−5〜6.5×10−5g・mm/cm・24hr・atmであることがより好ましく、1.0×10−5〜3.0×10−5g・mm/cm・24hr・atmであることがさらに好ましい。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムは優れた崩壊性を示す。より具体的には、大きさ1cm×2cm、厚さ60μmに形成したフィルムの溶解試験(37℃、パドル法、50回転/分、溶媒900mlの水)において、フィルムは10分以内に崩壊し、その形状がなくなる。
膨潤性粘土をフィルム中で均一に分散させるためには、膨潤性粘土をコーティング剤溶液中で均一に分散させることが重要であり、分散装置としては、膨潤性粘土を帯状積層構造体として均一分散できる攪拌能力を有する装置が好ましく、例えば、ホモジナイザー(ポリトロン;キネマティカ社)や薄膜旋回型高速撹拌機(フィルミックス:プライミクス社)であれば好適に使用できる。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤には、そのガスバリア性を低下させない範囲で薬学的に許容される添加剤が含まれていても構わない。例えば、膨潤性粘土の帯状積層構造体としての分散をより均一にするために、添加剤として界面活性剤を含めることができるが、この場合のPEG及び膨潤性粘土の総量に対する界面活性剤の量は、0.01〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。
上記の界面活性剤としては、糖アルコール誘導体型界面活性剤が好ましい。ここで「糖アルコール誘導体型界面活性剤」とは、分子内に糖アルコール骨格を有しかつ界面活性能を有する化合物をいうが、中でもソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノラウレートが挙げられる。
糖アルコール誘導体型界面活性剤を添加剤とする場合には、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤が、糖アルコール誘導体型界面活性剤を0.5〜30%含有することが好ましい。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤には、医薬品分野で一般的にコーティングに使用される添加剤がさらに含まれていても構わないが、このような添加剤としては、例えば、遮蔽剤である植物抽出色素等の着色剤、酸化チタン、炭酸カルシウム又は二酸化ケイ素が挙げられる。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤から形成したフィルムの層で被覆される医薬固形製剤は、他の高分子物質等から形成したフィルムの層で予め被覆されていても構わないが、この場合、医薬固形製剤のフィルムの層全体に対する膨潤性粘土の割合は、5%以上であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(水蒸気透過度の測定方法)
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤により形成したフィルムの水蒸気透過度は、JIS K8123(1994)を一部改変して測定した。
具体的には、適宜調製したコーティング剤により形成したフィルムを光に透かし、ピンホールのない均一な厚さの部分を選択して直径が3.5cmとなるように円形に切り取り、任意の5箇所でフィルムの厚みを測定した。次に、3gの塩化カルシウム(850〜2000μmの粒度)をアルミニウムカップ(直径30mm)に入れ、アルミニウムカップの上に円形に切り取ったフィルムとフィルム固定用のリングを順に乗せ、リングの上におもりを乗せてリングを固定し、その状態で溶融したパラフィンワックスをアルミニウムカップの縁に流し込んだ。パラフィンワックスが固化した後、おもりを取り除き、アルミニウムカップ全体の質量を量り、開始時質量とした。その後、アルミニウムカップを40℃、75%RHの恒温槽に入れ、24時間毎に取り出して質量を測定し、以下の式を用いて水蒸気透過係数を算出した。ただし、以下に記載した水蒸気透過度の測定試験においては、いずれもr=1.5cm、t=24時間、C=1atmであった。
水蒸気透過度(g・mm/cm・24hr・atm)=(W×A)/(B×t×C)
W: 24時間で増加した質量(g)
A: 5箇所のフィルムの厚みの平均値(mm)
B: 透過面積πr(cm
t: 経過時間(時間)
C: 気圧(atm)
(ヘーズ値の測定方法)
積分球分光光度計(UV−3101PC型自記分光光度計;島津製作所)を用いて全光線透過スペクトル及び拡散透過スペクトルを測定し、ヘーズ値を算出した。
(酸素透過係数の測定方法)
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤により形成したフィルムの酸素透過係数は、JIS K7126−1(2006)ガスクロマトグラフ法によるガス透過試験方法に基づき、酸素透過係数測定装置(GTR−30XAD2G及び2700T.F;GTRテック社)を使用して、23±2℃の温度で90%相対湿度(90%RH)の条件で測定した。
(バルプロ酸ナトリウム製剤の溶出試験)
溶出試験は、第十五改訂日本薬局方溶出試験法第二法に従って行い、日局溶出試験第2液を試験液とし、試験液900mLに錠剤を投入し、経時的に溶出液を採取して下記HPLC条件で定量した。
≪HPLC条件≫
移動相 : 50mMリン酸二水素ナトリウム/アセトニトリル=5/5(v/v)
カラム : Devolosil ODS−5(4.6×150mm)
検出波長: 210nm
(モンテルカストナトリウム製剤の溶出試験)
溶出試験は、第十五改訂日本薬局方溶出試験法第二法に従って行い、蒸留水に0.5%濃度のポリソルベート80を添加した試験液(900mL)に錠剤を投入し、経時的に溶出液を採取して下記のHPLC条件で定量した。
≪HPLC条件≫
移動相 : 酢酸塩緩衝液(pH3.5)/メタノール=15/85(v/v)
カラム : Hypersil ODS(4.6×250mm)
検出波長: 254nm
(錠剤の吸湿による質量増加量(吸湿増加量)の算出方法)
保存前錠剤及び保存後錠剤の質量を測定し、以下の式1によって吸湿増加量を算出した。
吸湿増加量(質量%)={(W−Ws)/Ws}×100 ・・・・・・式1
W : 保存後錠剤の質量(g)
Ws: 保存前錠剤の質量(g)
(錠剤の着色評価方法)
分光色彩計(JP7100F/C;JUKI社)を用いてL*、a*、b*を測定し、保存前の錠剤との色差(ΔE)を以下の式2から算出した。
ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)0.5・・・・・・式2
ΔL:保存前後の錠剤の明るさ(L*軸)の値の差
Δa:保存前後の錠剤の赤〜緑(a*軸)の値の差
Δb:保存前後の錠剤の黄〜青(b*軸)の値の差
(実施例1)
445.1質量部の水に10.5質量部のPEG(マクロゴール6000(平均分子量7300〜9300);日油社)、544.4質量部の4.5%BT溶液及び3.5質量部のSpan20を加え、ホモジナイザー(ポリトロン(登録商標) Model KR)で撹拌してコーティング剤(以下、「実施例1コーティング剤」)を得た。なお、4.5%BT溶液としては、撹拌した955質量部の水に45質量部のBT(クニピア‐F(カチオン交換能:115meq/100g);クニミネ工業)を添加し、ホモジナイザーで均一分散させた後に遠心分離し、その上澄み液を濾紙で吸引濾過して得られた濾液を用いた。
50gのバルプロ酸ナトリウム錠(デパケン(登録商標)錠200mg;協和発酵キリン社)及び200gのプラセボ錠(嵩増し用)をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが50〜60μmになるまで実施例1コーティング剤でバルプロ酸ナトリウム剤を被覆した。こうして得られた被覆バルプロ酸ナトリウム錠を40℃、相対湿度75%の条件下で12日間保存し、保存前後における外観の変化と溶出プロファイルを調べた。
また、実施例1コーティング剤をポリプロピレンバランストレイの裏面にスプレー噴霧し、直ちにドライヤーの温風で乾燥させた。これら操作を数回繰り返した後、50℃のオーブンにバランストレイを静置して一晩乾燥し、バランストレイから剥離したフィルムの水蒸気透過度を測定した。
(実施例2)
20gのモンテルカストナトリウム錠(シングレア(登録商標)錠10mg;萬有製薬)及び230gのプラセボ錠(嵩増し用)をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが60〜80μmになるまで実施例1コーティング剤でモンテルカストナトリウム錠を被覆した。こうして得られた被覆モンテルカストナトリウム錠を40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存前後における溶出プロファイルと吸湿増加量を調べた。
(実施例3)
111.95質量部の水に5.25質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び382.8質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌してコーティング剤(以下、「実施例3コーティング剤」)を得た。なお、3.2%BT溶液としては、撹拌した968質量部の水に32質量部のBT(クニピア‐F;クニミネ工業)を添加し、ホモジナイザーで均一分散させた後に遠心分離し、その上澄み液を濾紙で吸引濾過して得られた濾液を用いた。
その後、実施例3コーティング剤をポリプロピレンバランストレイの裏面にスプレー噴霧し、直ちにドライヤーの温風で乾燥させた。これら操作を数回繰り返した後、50℃のオーブンにバランストレイごと静置して一晩乾燥し、バランストレイからフィルムを剥離してその水蒸気透過度を測定した。また、実施例3コーティング剤のヘーズ値を測定した。
(実施例4)
222.55質量部の水に5.25質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び272.2質量部の4.5%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤(以下、「実施例4コーティング剤」)を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度及び酸素透過係数を測定した。また、実施例4コーティング剤のヘーズ値を測定した。
(実施例5)
222.55質量部の水に5.25質量部のPEG(マクロゴール1000(平均分子量950〜1050);日油社)及び272.2質量部の4.5%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例6)
222.55質量部の水に5.25質量部のPEG(マクロゴール4000(平均分子量2600〜3800;日油社)及び272.2質量部の4.5%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例7)
222.55質量部の水に5.25質量部のPEG(マクロゴール20000(平均分子量20000〜25000);日油社)及び272.2質量部の4.5%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例8)
333.94質量部の水に10.5質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び155.56質量部の4.5%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例9)
59.0質量部の水に3.5質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び437.5質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例10)
156.38質量部の水に4.62質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)、336.9質量部の3.2%BT溶液及び2.1質量部のSpan80を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例11)
156.38質量部の水に4.62質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)、336.9質量部の3.2%BT溶液及び2.1質量部のTween80(ポリソルベート 80)を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例12)
112.0質量部の水に5.075質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)、382.8質量部の3.2%BT溶液及び0.175質量部の流動パラフィンを加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例13)
544.4質量部の4.5%BT溶液に10.5質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)を加えてホモジナイザーで撹拌し、3.5質量部のSpan20と531.15質量部の水を加えた後に450.45質量部のエタノールを加えて再びホモジナイザーで撹拌し、コーティング剤(以下、「実施例13コーティング剤」)を得た。
その後、20gのモンテルカストナトリウム錠(シングレア(登録商標)錠10mg;萬有製薬)と230gのプラセボ錠(嵩増し用)をそれぞれコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが60〜80μmになるまで実施例13コーティング剤でモンテルカストナトリウム錠を被覆した。こうして得られた被覆モンテルカストナトリウム錠を40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存前後における吸湿増加量を測定した。
また、実施例13コーティング剤をポリプロピレンバランストレイの裏面にスプレー噴霧し、直ちにドライヤーの温風で乾燥させた。これらの操作を数回繰り返した後、50℃のオーブンにバランストレイごと静置して一晩乾燥し、バランストレイからフィルムを剥離してその水蒸気透過度を測定した。
(実施例14)
127.4質量部の4.5%BT溶液に2.46質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)を加えて撹拌し、0.81質量部のSpan20及び98.84質量部の水を加え、引き続き225.55質量部のエタノールを加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例15)
76.23質量部の4.5%BT溶液に1.47質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)を加えて撹拌し、2.10質量部のSpan20及び120.2質量部の水を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例16)
1.12質量部のBT、0.47質量部のPEG6000、0.16質量部のSpan20及び28.2質量部の水を高速撹拌機(フィルミックス40−40型;プライミクス社)(以下、「フィルミックス」)に入れて5分間混合撹拌し、引き続き20.0質量部の水を加えスターラーで撹拌したものを濾紙で吸引濾過して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(実施例17)
22.4質量部の5.0%BT溶液及び0.47質量部のPEG6000を5分間、フィルミックスを用いて混合撹拌し、0.16質量部のSpan20を加え、さらに5分間混合撹拌し、26.97質量部の水を加えスターラーで撹拌したものを濾紙で吸引濾過して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。なお、5.0%BT溶液としては、1.25質量部のBTと23.75質量部の水をフィルミックスで撹拌したものを用いた。
(オルメサルタンメドキソミルのコーティング用核錠剤の製造)
市販錠は平形状の裸錠であり、フィルムコーティングには不向きであるため、粉砕してR錠に再打錠した。市販のオルメサルタンメドキソミル含有錠剤(オルメテック錠(登録商標)20mg;第一三共社)を乳鉢で粉砕し、得られた粉砕物をロータリー打錠機で再度打錠してオルメサルタンメドキソミル核錠剤を得た(直径7mm、10R)。
(実施例18)
上記の製法で得たオルメサルタンメドキソミル核錠剤をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが60〜80μmになるまで実施例1のコーティン剤をオルメサルタンメドキソミル核錠剤に被覆した。こうして得られた被覆オルメサルタンメドキソミル錠及び市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤(グリコラン錠250mg(登録商標);日本新薬社)をそれぞれ同一ガラス瓶に入れてプラスチックキャップをし、40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存中にオルメサルタンメドキソミルから分解遊離するジアセチルによるメトホルミン塩酸塩含有錠剤の着色変化を色差計で評価した。
(比較例1)
323.65質量部の水に12.25質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び164.1質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例2)
6.05質量部の水に1.75質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)及び492.2質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤から、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例3)
111.95質量部の水に5.25質量部のポリエチレンオキサイド(PolyOX80;ダウコーニング社;以下、「PEO」)及び382.8質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例4)
特許文献4の実施例2に記載されたガスバリアコーティング剤を調製した。156.38質量部の水に4.62質量部のポリビニルアルコール(ゴーセノールEG05;日本合成化学社;以下、「PVA」)、336.9質量部の3.2%BT溶液及び2.1質量部のSpan20(ソルビタンモノラウレート)を加え、ホモジナイザーで撹拌してコーティング剤を得た(以下、「比較例4コーティング剤」)。
25gのバルプロ酸ナトリウム錠(デパケン錠(登録商標)200mg;協和発酵キリン社)及び225gのプラセボ錠(嵩増し用)をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが50〜60μmになるまで比較例4コーティング剤でバルプロ酸ナトリウム錠を被覆した。こうして得られた被覆バルプロ酸ナトリウム錠を40℃、相対湿度75%の条件下で12日間保存し、保存前後における外観の変化と溶出プロファイルを調べた。また、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例5)
20gのモンテルカストナトリウム錠(シングレア錠(登録商標)10mg;萬有製薬)及び230gのプラセボ錠(嵩増し用)をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが50〜60μmになるまで比較例4コーティング剤をモンテルカストナトリウム錠に被覆した。こうして得られた被覆モンテルカストナトリウム錠を40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存前後における溶出プロファイルを調べた。
(比較例6)
33.81質量部の水に1.37質量部のポリエチレングリコール400(PEG400;日油社)及び100.0質量部の3.2%BT溶液を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例7)
65.34質量部の4.5%BT溶液に1.26質量部のPEG(マクロゴール6000;日油社)を加えて撹拌し、2.80質量部のSpan20及び、130.6質量部の水を加え、ホモジナイザーで撹拌して得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを形成し、その水蒸気透過度を測定した。
(比較例8)
特許文献6の実施例2に記載されたガスバリアコーティング剤を調製した。15.0質量部のデキストロース(日本薬局方ブドウ糖NG−TDA;サンエイ糖化社)、35質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(T.P.T−JP 50:五徳薬品社)を1200質量部の水に加えて撹拌溶解させ、コーティング剤を得た(以下「比較例8コーティング剤」)。
オルメサルタンメドキソミル核錠剤(直径7mm、10R)をコーティングパン(DRC−200;パウレック社)に仕込み、フィルムの厚みが60〜80μmになるまで比較例8コーティン剤でオルメサルタンメドキソミル核錠剤を被覆した。こうして得られた被覆オルメサルタンメドキソミル錠及び市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤(グリコラン錠(登録商標)250mg;日本新薬社)を同一ガラス瓶に入れてプラスチックキャップをして40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存中にオルメサルタンメドキソミルから分解遊離するジアセチルによるメトホルミン塩酸塩含有錠剤の着色変化を色差計で評価した。
(参考例1)
市販のバルプロ酸ナトリウム錠(デパケン錠(登録商標)200mg;協和発酵キリン社)について、40℃、相対湿度75%の条件下で12日間保存した後の外観観察し、さらに、その保存前後の溶出プロファイルをそれぞれ確認した。
(参考例2)
市販のモンテルカストナトリウム錠(シングレア錠(登録商標)10mg;萬有製薬)について、40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存する前後の溶出プロファイルを確認した。
(参考例3)
市販のモンテルカストナトリウム錠(シングレア錠(登録商標)10mg;萬有製薬)について、40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存する前後の吸湿増加量を算出した。
(参考例4)
市販のオルメサルタンメドキソミル含有錠(オルメテック錠20mg:第一三共社)と市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤(グリコラン錠(登録商標)250mg:日本新薬)を同一ガラス瓶に入れてプラスチックキャップをし、40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存し、保存中にオルメサルタンメドキソミルから分解遊離するジアセチルによるメトホルミン塩酸塩含有錠剤の着色変化を色差計で評価した。
表1は、実施例3コーティング剤及び実施例4コーティング剤のヘーズ値を示している。
表2は、実施例1及び3〜12並びに比較例1〜4で調製した各コーティング剤に含まれるPEGの質量比、BTの質量比、第3成分の質量比及び調製に用いたBT溶液の濃度と、実施例1及び3〜12並びに比較例1〜4で測定した各フィルムの水蒸気透過度とを示している。
これらの結果より、PEGと膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4の範囲にあれば、水蒸気透過度は1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満であることが明らかとなり、各実施例のコーティング剤を用いて形成されたフィルムは、PTPシートと同等の優れたガスバリア性を有することが判明した。このことは、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面に薄いフィルムの層を形成し、医薬固形製剤を被覆すれば、医薬固形製剤自体にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を付与できることを意味している。
実施例4で形成したフィルムの酸素透過係数は、1.4×10−5cm・mm/cm・24hr・atmであり、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満であった。この結果より、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤により形成したフィルムは、水蒸気に対してのみならず、酸素に対してもPTPシートと同等の優れたガスバリア性を有することが明らかとなった。
表3は、実施例1の錠剤、比較例4の錠剤及び市販のバルプロ酸ナトリウム錠の外観観察の結果を示している。
この結果より、市販のバルプロ酸ナトリウム錠については、保存期間が1日経過した時点で外観の変化(潮解)が観察されるのに対し、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を被覆し、医薬固形製剤の表面に薄いフィルムの層を形成させたバルプロ酸ナトリウム錠(実施例1の錠剤)及び比較例4の錠剤については、12日間保存後も外観変化は観察されなかった。このことより、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面に薄いフィルムの層が形成されるように医薬固形製剤を被覆すれば、特許文献4記載のガスバリアコーティング剤を被覆した固形製剤と同等のガスバリア性を有することが明らかとなった。
次に、ガスバリアフィルムコーティング被覆による溶出プロファイルへの影響について調べた。実施例1の錠剤及び比較例4の錠剤並びに市販のバルプロ酸ナトリウム錠の溶出プロファイルを図1に示す。
図1の結果より、比較例4の錠剤は45分経過後であってもほとんど薬物が溶出しなかったが、実施例1の錠剤及び市販のバルプロ酸ナトリウム錠はほぼ100%の溶出を示した。これらの結果から、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面にフィルムの層を形成し、医薬固形製剤を被覆したとしても、医薬固形製剤自体の崩壊性には一切の悪影響を及ぼさないことが明らかとなった。なお、保存後の市販のバルプロ酸ナトリウム錠に関しては、保存中にバルプロ酸ナトリウムが潮解してしまったため、その溶出試験が実施できなかった。
以上の結果、比較例4に代表される特許文献4に記載の錠剤は、ガスバリア性はあるものの実施例1に示される本発明の錠剤に比べて著しく溶出遅延が認められたため、本発明の錠剤の方が特許文献4に記載の錠剤よりも医薬品として優れていることが明らかとなった。
実施例2の錠剤及び比較例5の錠剤並びに市販のモンテルカストナトリウム錠の溶出プロファイルを図2(図2−1、図2−2、図2−3及び図2−4)に示す。
図2の結果より、市販のモンテルカストナトリウム錠は保存により吸湿し、著しく溶出プロファイルが遅延することが確認された(図2−4)。一方、実施例2及び比較例5の錠剤は保存による溶出遅延は確認されなかった(図2−2及び図2−3)。また、実施例2の錠剤は、試験開始約15分後に薬物が溶出を開始するのに対し、比較例5の錠剤は試験開始約30分後に溶出を開始した(図2−2及び図2−3)。これらのことは、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を用いて医薬固形製剤の表面にフィルム層を形成し、医薬固形製剤を被覆した医薬固形製剤は、フィルム自体が崩壊性を有しているため、薬物が速やかに溶出する性質が保持されていることを意味している。
以上の結果、比較例5に代表される特許文献4に記載の錠剤は、ガスバリア性はあるものの実施例2に示される本発明の錠剤に比べて著しく溶出遅延が認められたため、本発明の錠剤の方が特許文献4に記載の錠剤よりも医薬品として優れていることが明らかとなった。
(フィルムのTEM測定)
集束イオンビーム法を用い、実施例3及び実施例4でそれぞれ形成したフィルムの厚み方向の断面をTEMで観察した。実施例3で形成したフィルムについての顕微鏡像を図3に、実施例4で形成したフィルムについての顕微鏡像を図4に示す。
図3及び図4の結果より、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤で形成されたフィルムは、膨潤性粘土が帯状積層構造体として均一に分散していることが明らかとなった。
表4は、コーティング剤の溶解溶媒としてエタノールを用いた実施例13及び実施例14のフィルムの水蒸気透過度を示し、表5は、実施例2及び実施例13の被覆モンテルカストナトリウム含有錠剤を40℃75%RHで保存した後の吸湿増加量を示している。
表4の結果より、エタノールを溶解溶媒として用いた実施例13及び実施例14のフィルムの水蒸気透過度は、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満であり、溶解溶媒が水である実施例1と同様にPTPシートと同等の優れたガスバリア性を医薬固形製剤自体に付与可能であることが明らかとなった。特に、30%エタノールを溶解溶媒として用いた実施例13のフィルムでは、水蒸気透過度は8.6×10-6と非常に高いガスバリア性を示していた。また、表5の結果より、参考例である市販錠は吸湿増加量が3.9%であるのに対して、コーティング溶媒として水を用いた実施例2の被覆モンテルカストナトリウム含有錠剤は2.5%、実施例13の被覆モンテルカストナトリウム含有錠剤は1.6%であり、本発明のコーティング剤が医薬用固形製剤に高いガスバリア性能を付与することが明らかとなった。
表6は、PEG1000を用いて調製したフィルム(実施例5)及びPEG400を用いて調製したフィルム(比較例6)の水蒸気透過度を示している。
分子量分布が380〜420のPEGを用いた比較例6のフィルムの水蒸気透過度は、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm以上であったが、分子量分布が950〜1050のPEGを用いた実施例5のフィルムの水蒸気透過度は、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満であったため、医薬固形製剤にPTP包装シートと同等のガスバリア性能を保持させるには、PEGの分子量分布が950以上である必要があることが示唆された。
表7は、コーティング剤中の第3成分の質量比の異なるフィルムの水蒸気透過度を示している。
第3成分の質量比が30%である実施例15のフィルムの水蒸気透過度は、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満であったが、第3成分の質量比が40%である比較例7のフィルムの水蒸気透過度は、1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm以上であったため、医薬固形製剤にPTP包装シートと同等のガスバリア性能を保持させるには、コーティング剤中に添加する第3成分の質量比は30%以下である必要があることが示唆された。
表8は、フィルミックスを用いて調製したコーティング剤を用いて形成させたフィルムの水蒸気透過度を示している。
フィルミックスを用いて調製した実施例16及び実施例17のフィルムの水蒸気透過度が1.0×10−4cm・mm/cm・24hr・atm未満であったことから、コーティング剤の調製に用いる撹拌分散装置はホモジナイザー(ポリトロン;キネマティカ社)に限らず、コーティング剤を濾紙で吸引ろ過できる程度に分散可能な装置であれば、組成分の添加形態が液状態又は粉末のような固体状態であっても、医薬固形製剤にPTP包装シートと同等のガスバリア性能を保持させることを可能にするコーティング剤を調製できることが明らかとなった。
表9は、実施例18の被覆オルメサルタンメドキソミル錠と市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤のセット、比較例8のガスバリアコーティング剤と市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤のセット、又は、参考例4の市販のオルメサルタンメドキソミル含有錠と市販のメトホルミン塩酸塩含有錠剤のセットをそれぞれ同一瓶内に入れて、40℃、75%RHで1週間保存し、保存前後のメトホルミン塩酸塩含有錠剤の着色変化について、色差計にて評価し、求めたΔEを示している。
その結果、実施例18の被覆オルメサルタンメドキソミル錠と同一瓶内で保存したメトホルミン塩酸塩錠剤のΔE値は、比較例8のガスバリアコーティング剤と同一瓶内で保存したメトホルミン塩酸塩錠剤と比較して明らかに小さい値を示した。このことより、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤を被覆したオルメサルタンメドキソミル錠剤は、保存中にオルメサルタンメドキソミルから分解遊離するジアセチルによるメトホルミン塩酸塩含有錠剤の着色変化を抑制することが明らかとなった。また、本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤によるガスバリア効果は、特許文献6で開示されているガスバリア技術よりも優れていることが示唆された。
本発明の医薬固形製剤用のコーティング剤は、医薬品分野において、医薬固形製剤を被覆するフィルムの層を形成するために好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、
    前記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4である、医薬固形製剤用のコーティング剤。
  2. 前記膨潤性粘土は、ベントナイト又はケイ酸マグネシウムアルミニウムである、請求項1記載のコーティング剤。
  3. 糖アルコール誘導体型界面活性剤を0.5〜30%含有する、請求項1又は2記載のコーティング剤。
  4. 前記糖アルコール誘導体型界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステルである、請求項3記載のコーティング剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載のコーティング剤から形成され、
    室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が、1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である、医薬用フィルム製剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項記載のコーティング剤で被覆され、
    室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が、1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である、被覆医薬固形製剤。
  7. 平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、
    前記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4であり、
    室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である、医薬用フィルム製剤。
  8. 平均分子量が950〜25000のポリエチレングリコールと、膨潤性粘土とを含み、
    前記ポリエチレングリコールと前記膨潤性粘土との質量比が2:8〜6:4であり、
    室温40℃、相対湿度75%の条件下における水蒸気透過度が1.0×10−4g・mm/cm・24hr・atm未満である、被覆層、
    を有する被覆医薬固形製剤。
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