本発明で使用できる導光板の具体的な実施形態は以下のとおりである。
[1]
出光面、該出光面と対向する対向面、及び、前記出光面と前記対向面との間に挟まれた少なくとも1つの入光面を有し、前記少なくとも1つの入光面が、開口部又は底面が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する、導光板。
[2]
基材と、該基材の少なくとも一端面に積層された接着層と、該接着層の上に積層された、表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層とを有する、[1]に記載の導光板。
[3] 前記接着層が、100℃における貯蔵弾性率G’が10,000〜45,000Paである材料で構成されている、[1]又は[2]に記載の導光板。[4] 前記表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層が、ベースフィルム層と、表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する樹脂層とからなり、 該表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する樹脂層が、 (A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:70〜99.9質量%と、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有する光重合性樹脂組成物の硬化物を含み、 前記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、ビフェニル基を有する下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含む、[1]〜[3]いずれか1項に記載の導光板。 一般式(I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは少なくともアルキレン基を一部又は全部に有する2価の有機基を表す。)[5] 前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(II)で表される構造を有する、[4]に記載の導光板。 一般式(II)
(一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数が1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜3の整数を表す。)[6] 前記接着層及び前記表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層が、表面にすべり付与性材料からなるすべり性付与層を有すると共に、該すべり性付与層の内側に位置する形状追随性を有しゴム硬度が10乃至70である材料からなる形状追随層を有する貼合治具を用いて前記基材の一端面に貼合されたものである、[2]〜[5]いずれか1項に記載の導光板。[7] 前記接着層及び前記表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層が、以下の貼合方法によって前記基材の一端面に貼合されたものである、[2]〜[6]いずれか1項に記載の導光板: 接着層と表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層とが積層された積層体であって、前記基材の前記一端面の厚みと略同一もしくはそれよりも狭い幅を有する積層体を用意する工程と、 前記積層体の前記接着層を前記一端面に対向させ、前記積層体を前記一端面上に積層する積層工程と、 形状追随性を有する部材を備える貼合治具で、前記表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層上を圧力をかけながら、前記一端面の長手方向に1回以上なぞる密着工程と、 を有する貼合方法。[8] 前記表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層に、その法線方向から光線を入射したときの、前記一方向に垂直な方向の拡散角度が30°〜120°である、[1]〜[7]いずれか1項に記載の導光板。
[9]
前記入光面全体が、その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度が入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有し、
入光面の法線方向から入射した光の入光面長手方向への出射光の出射角度を横軸、強度を縦軸とする入光面全体の出光パターン曲線が、該出光パターン曲線において出射光の強度がピーク強度となるピーク点1点及び出射光の強度が前記ピーク強度の半分となる中間点2点の合計3点を通る正規分布曲線と比較した時に、以下の条件1.及び/又は条件2.を満たす、[1]〜[8]いずれか1項に記載の導光板。
条件1.出射光の強度がピーク強度の3/4以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より狭い。
条件2.出射光の強度がピーク強度の1/10以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より広い。
[10]
前記出光面及び/又は対向面が、前記入光面の法線方向に略平行な溝構造を有する、[1]〜[9]いずれか1項に記載の導光板。
[11]
前記溝構造が、レンチキュラーレンズ形状又はランダムな複数本の溝である、[9]
に記載の導光板。
本発明の導光板の実施形態について、その一例の概略図を示す図1を用いて以下に具体的に説明する。
本発明の導光板1は、出光面11と、出光面と対向する対向面と、出光面と対向面の間に挟まれた少なくとも1つの入光面12を有する。
本発明の導光板においては、近傍に配置された光源の光を入光面12から導光板内に入射させ、板内部で繰り返し反射させて導光し、導光した光を出光面と対向する対向面(図示せず)によって出光面11に向け、出光面11から外部に出射させる。
導光板は、輝度ムラの低減のために、入光面12に、開口部又は底面が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部13を有する。 図1の導光板1においては、開口部又は底面が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部は、出光面11に略垂直な溝である。
凹部(凸部)の開口部(底面)の長径が出光面と垂直な方向となす角が40度以下である場合には(0度でなくても)、その凹部(凸部)の開口部(底面)は“出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有している”ものとするが、凹部(凸部)の開口部(底面)の長径と出光面と垂直な方向のなす角は10度以下であることが好ましく、8度以下であることがより好ましく、6度以下であることがより好ましく、4度以下であることがより好ましく、最も好ましくは0度である。ここで、開口部(底面)の長径とは、開口部(底面)に外接する面積が最小となる外接長方形の長辺をいう。
入光面に、開口部(底面)の形状が、出光面と垂直な方向に長い異方性形状以外の形状である凹部(凸部)(例えば、開口部(底面)が円等の等方形状であるものや、開口部(底面)は異方性形状であるが、その長径が出光面と垂直な方向と平行でないもの)が存在していても構わない。ただし、開口部(底面)が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する凹部(凸部)の開口部(底面)の面積の合計が、それ以外の凹部(凸部)の開口部(底面)の面積の合計を上回っていることが好ましい。
前記異方性形状の長径と短径の比(長径/短径)に限定はないが、好ましくは2以上であり、より好ましくは10以上である。ここで、短径、長径とは、それぞれ、外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺をいう。
前記異方性形状に限定はなく、その具体例としては、例えば、図1に示すような直線(溝)や、図13に示すような略楕円形状が挙げられる。
凹部(凸部)の開口面(底面)の形状は、入光面の任意の箇所を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察することによって決定することができる。
凹部(凸部)の出光面に平行な方向のピッチに限定はないが、その平均ピッチは20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。また、平均ピッチは580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、より好ましくは780nm(可視光全域)以上である。
一般に使用される点光源の発光面サイズ(幅)は数mm程度であるので、平均ピッチをこのような値に設定すれば、十分な数の凹部又は凸部を点光源の発光面に割り当てることができ、光源と導光板の位置あわせの精度を厳格に求める必要がなくなる。また、平均ピッチをこのような値に設定すれば、取り扱い時に凹部又は凸部に爪などが引掛かることも少なく、ハンドリング性が向上する。さらに、本発明の面光源装置に含まれる導光板によって拡散する光は可視光線(380nm〜780nmの電磁波)であるので、凹部又は凸部による拡散効果を十分に発揮するためには平均ピッチは上記のような値であることが好ましい。
ここで、凹部(凸部)の出光面に平行な方向のピッチとは、入光面の出光面に平行な任意の断面における隣合う谷底(凹部の場合)又は山頂(凸部の場合)の間の水平距離(入光面に平行な方向の距離)をいう(図13参照)。なお、谷底(山頂)が平坦である場合には、その中心を谷底(山頂)としてピッチを決定する。
また、凹部又は凸部の出光面に平行な方向の平均ピッチとは、入光面の出光面と平行な任意の垂直断面から任意に抽出した100μmに存在する凹部(凸部)のピッチの平均値とする。
凹部(凸部)の出光面に平行な方向の(平均)ピッチは、入光面の出光面に平行な任意の断面を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察・測定することによって決定することができる。
各凹部(凸部)の大きさ(深さ・高さ)にも限定はない。
例えば、その開口部(底面)の短径は580nm〜100μmであってもよく、780nm〜60μmであってもよく、1〜20μmであってもよい。また、その開口部(底面)の長径は、例えば5μm以上2cm以下であってもよい。
また、深さ(高さ)は、例えば、500nm〜50μmであってもよく、700nm〜30μmであってもよく、5〜10μmであってもよい。凹部又は凸部の平均深さ(高さ)も、500nm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは700nm〜30μm、更に好ましくは5〜10μmである。
ここで、凹部(凸部)の深さ(高さ)は、入光面の任意の断面における各凹部を構成する両側の山のうち高い方の山の山頂と凹部の谷底の間の(各凸部を構成する両側の谷のうち低い方の谷の谷底と凸部の山頂の間の)垂直距離(入光面に垂直な方向の距離)(山頂と谷底の標高差)をいう。(図13参照)また、凹部又は凸部の平均深さ(高さ)は、入光面の任意の垂直断面から任意に抽出した100μmに存在する凹部(凸部)の深さ(高さ)の平均値とする。
凹部(凸部)の大きさは、入光面の任意の箇所を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察・測定することによって決定することができる。
ただし、凹部(凸部)の形状が溝(畝)である場合、その長さは、点光源の発光面の導光板の厚み方向の長さよりも大きいことが好ましい。つまり、溝(畝)の長さは点光源の発光面の大きさ以上で、かつ、導光板の厚さ以下であることが好ましい。なお、図1においては、溝は入光面を導光板の厚さ方向に横断(出光面から対向面まで)する長さを有しているが、溝(畝)の長さは必ずしも入光面を横断するものでなくてもよい。
複数の凹部(凸部)が先行技術のような周期的な構造ではなく、複数の凹部(凸部)の形状、大きさ(深さ、高さ)及び出光面に平行な方向15のピッチのうち少なくとも1つがランダム(不規則)に異なっていると、輝度ムラ低減(とりわけホットスポット低減)効果が向上するため好ましい。
ここで、ランダムに異なっているとは、複数の測定値から算出された標準偏差を3倍した値(3シグマ)が平均値の10%を超えることをいう。
入光面上の凹部又は凸部が配置される領域については特に限定はなく、導光板と組み合せて使用する光源の出光分布や配置等にあわせて適宜決定することができる。すなわち、本発明の面光源装置に含まれる導光板においては、入光面に凹部又は凸部が無い部分(領域)を有しても良い。もっとも、凹部又は凸部は、少なくとも、光源の発光面と対向する領域には配置されていることが好ましい。
また、凹部又は凸部の密度には限定はないが、導光板の入光面のうち、光源の発光面に対向する領域については、凹部(凸部)の開口部(底面)の面積の合計がその領域の25%以上(より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上)を占めることが好ましい。
複数の凹部又は凸部の具体例を図2及び図3及び図24A〜Jに示す。
図2、図3の例は、凹部又は凸部が溝であるものである。図2の複数本の溝(溝構造)は、溝と垂直な方向への拡散角度(後述するFWHMで定義)が60度、溝と平行な方向への拡散角度が1度の異方性の拡散特性を有する。図3の溝構造は、溝と垂直な方向への拡散角度が30度、溝と平行な方向への拡散角度が1度の異方性の拡散特性を有する。
図24A〜Jの拡散角度、平均ピッチ(凹部の開口部の長径の方向(溝)に垂直な方向の平均ピッチ)、平均深さについては表1に示す。なお、表1において、「横」とは、凹部の開口部の長径の方向に垂直な(溝に垂直な)方向をいい、「縦」とは凹部の開口部の長径の方向に平行な(溝に平行な)方向をいう。
複数の凹部又は凸部の別の具体例を図E3(a)〜(c)に示す。図3の例は、いずれも、凹部又は凸部が溝であるものである。図E3(a)の複数本の溝(溝構造)は、溝と垂直な方向への拡散角度(後述)が83度、溝と平行な方向への拡散角度が3度の異方性の拡散特性を有する。(b)の溝構造は、溝と垂直な方向への拡散角度が75度、溝と平行な方向への拡散角度が0.2度の異方性の拡散特性を有する。(c)の溝構造は、溝と垂直な方向への拡散角度が65度、溝と平行な方向への拡散角度が7度の異方性の拡散特性を有する。
複数の凹部又は凸部の表面には、さらに、入光面での反射を低減し、入射光を効率よく利用することを目的として、モスアイ構造を設けてもよい。ここで、「モスアイ構造」とは、高さが1μm以下の略同一形状の凸部が略周期的(例えば、正方格子状、長方格子状、平方四辺形格子状、三角格子状(ハニカム)又は六角格子状に、50〜500nm程度のピッチで)に設けられた微細凹凸構造をいう。ここで、「微細な凹凸構造」とは、その平均高さが、前記複数の凹部(凸部)の平均深さ(高さ)の1/10以下である凹凸をいう。その高さは50〜500nmとしてもよいし、100〜300nmとしてもよい。
凹凸構造は、複数の凸部からなることが好ましい。各凸部の形状に限定はなく、例えば、テント型、円錐型、釣鐘型、多角錐型、半球型等が挙げられ、その平均高さは1μm以下であることが好ましい。
モスアイ構造及びモスアイ構造を表面に有する凹部(溝)の具体例を、それぞれ、図16、図17に示す。
本発明の導光板の入光面に、その開口部又は底面が出光面に垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部(以下、「凹凸構造」ということがある。)を形成する方法に限定はない。例えば、(1)凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する金型を用いて導光板を射出成型する方法、(2)凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する転写型を用いて導光板(基材)の入光面上に凹凸構造を転写する方法、及び、(3)表面に凹凸構造を有する層を透光性の接着剤(粘着剤)等を用いて導光板(基材)に貼り合せる方法等を用いることができる。
尚、凹凸構造が形成された層は、透明な光学用接着剤等で入光面に貼り付けられ導光板と一体化していなければ、本発明の効果は発揮されない。すなわち、導光板の入光面と光源との間に上記凹凸構造が形成された層を単に配置しただけでは、導光板内部での入射光を広角に拡散させること(さらには、ホットスポットやその他の点光源に由来する輝度ムラを解消すること)はできない。
(1)の方法として、例えば、導光板を成形する金型の入光面に相当する位置に凹凸構造に対応する凹凸パターンを有するスタンパーを配置し、当初から凹凸構造を有する導光板を射出成形することができる。この方法は、比較的小型(32型以下程度)の画像表示装置に用いる面光源装置用の導光板を製造するのに適している。
(2)の方法として、例えば、凹凸構造を有していない導光板(基材)(導光板製造用原反シート)を押出成形やキャスト成形等により成形した後、入光面(入光面となる面)に凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する転写型を用いて凹凸構造を転写することができる。
図4にこの方法の具体例を示す。図4の方法においては、所定のサイズにカットした透明基板41を複数枚重ね、表面に凹凸構造(ここでは溝構造)に対応する凹凸パターンを有する転写ローラー42を加熱しながら透明基板の入光面となる面に押し付けて凹凸構造を転写する。この方法によれば、複数枚の導光板にまとめて転写ができるので、大量生産が可能であり、品質も向上する。
(3)の方法の具体的手順に限定はなく、基材に、接着層と表面に凹凸構造を有する層を順次貼合してもよいし(表面に凹凸構造を有する層が、透明ベースフィルム層と表面に凹凸構造を有する樹脂層の二層からなる場合には、接着層に、透明ベースフィルム層及び樹脂層からなるものを貼合してもよいし、接着層、透明ベースフィルム層、樹脂層をこの順で貼合してもよい)、また、予め接着層と表面に凹凸構造を有する層を貼合した積層体を用意しておいて、これを基材に貼ってもよい。
基材に、接着層、表面に凹凸構造を有する層を順次貼合する場合、基材に接着層を貼合する方法、及び、その上に表面に凹凸構造を有する層を貼合する方法に限定はない。
接着層はそれ自体に粘着性があるので、単に各層を積層するだけでもよいし、積層した後、ヘラや硬度の高いローラー等の治具を用いて各層の間の空気を抜くことにより密着させてもよい。このような治具として、後述する本願明細書第4発明の貼合治具(例えば、表面にすべり付与性材料からなるすべり性付与層を有すると共に、該すべり性付与層の内側に位置する形状追随性を有しゴム硬度が10乃至70である材料からなる形状追随層を有する貼合治具等)を使用することが好ましい。
本発明者らの研究によれば、積層領域のうち層間に空気層が介在している部分の割合が10面積%以下であると、高温多湿下におけるいて層間剥離が生じにくくなることが判明した。そのため、治具を用いて、空気層が介在する部分の割合が10面積%以下となるまで各層の間の空気を抜くことは非常に有効である。
接着層として片面に剥離シートを積層したものを使用して、基材に接着層を貼合し、必要に応じ空気抜きを行った後、この剥離シートを剥がして、その上に表面に凹凸構造を有する層を貼り合わせるようにしてもよい。
また、基材上への接着層の貼合、或は、その上への表面に凹凸構造を有する層の貼合に先立ち、基材及び/又は接着層、接着層及び/又は表面に凹凸構造を有する層にエキシマUV処理やコロナ処理等の表面処理を施すことによって表面の分子結合を切断した後、直ちに両者を密着させることによって、貼り合わせ強度を向上させることもできる。
予め接着層と表面に凹凸構造を有する層を貼合した積層体を用意して、これを基材に貼る場合には、以下のような方法を採用することができる。なお、この方法については、後述する本願明細書第4発明に関する説明において詳しく説明する。 接着層と表面に凹凸構造を有する層とが積層された積層体であって、基材の一端面の厚みと略同一もしくはそれよりも狭い幅を有する積層体を用意する工程と、 前記積層体の前記接着層を前記一端面に対向させ、前記積層体を前記一端面上に積層する積層工程と、 形状追随性を有する部材を備える貼合治具で、前記表面に凹凸構造を有する層上を圧力をかけながら、前記一端面の長手方向に1回以上なぞる密着工程と、 を有する貼合方法。
予め接着層と表面に凹凸構造を有する層を貼合した積層体を用意して、これを基材に貼る方法の具体例としては、以下に説明するa.シール型、及び、b.テープ型の2種類の方法が挙げられる。
a.シール型
ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等からなる透明なベースフィルム上に、例えば、紫外線硬化樹脂層を塗布し、後述するスペックルパターンを用いた方法により紫外線硬化樹脂層に凹凸構造を形成するなどして、表面に凹凸構造を有する層を形成する。ベースフィルムの厚さに限定はないが、例えば、20〜250μm、好ましくは50〜125μmとすることができる。
次いで、上記ベースフィルムの凹凸構造を形成した面とは反対側の面に、接着剤(粘着剤)を塗布すると共にその上にポリエチレンテレフタレート等からなる剥離フィルムを貼り合わせるか、又は、剥離フィルム付きの接着フィルムの接着層を貼り合わせる等して、接着剤側が剥離フィルムでカバーされた多層フィルムを製造する。このような多層フィルムの層構成の具体例を図5に示す。図5の5a、5bは、共に、剥離フィルムを片側に設けた多層フィルムである。多層フィルム5aにおいては、下から順に、剥離フィルム51、接着層52、ベースフィルム53及び表面に凹凸構造(ここでは溝構造)が形成された樹脂層54が積層されている。また、多層フィルム5bにおいては、凹凸構造が形成された樹脂層54の上にさらに、粘着層55及び台紙フィルム層56が設けられ、下から順に、剥離フィルム51、接着層52、ベースフィルム53、凹凸構造が形成された樹脂層54、粘着層55及び台紙フィルム56が積層されている。なお、剥離フィルム51及び台紙フィルム56は、導光板の製造中、シール台紙又は保護フィルムの役割を果たすものであり、その厚みに限定はなく、例えば(その材質にもよるが)、20〜100μmとすることができる。ただし、ハーフカット処理の加工をより容易に行うためには、台紙フィルムは50μm以上が好ましく、75μm以上がさらに好ましい。また、接着層52の厚さは、例えば10〜100μmとすることができる。性能とコストのバランスを考慮した場合は、15〜50μm程度が好ましく、20〜25μm程度がさらに好ましい。
次に、この多層フィルムを導光板の入光面の長さ(幅)に合わせて切断し、次いで、多層フィルム5aの場合は剥離フィルム51のみを残して、多層フィルム5bの場合は台紙フィルム56と粘着層55を残して、残りの各層を入光面の厚みと同じ幅に切断する(ハーフカットする)ことによって、導光板の入光面と同じサイズを有する凹凸構造が形成されたフィルム(凹凸構造シール)を剥離フィルム51(多層フィルム5aの場合)又は台紙フィルム56(多層フィルム5bの場合)上に複数枚形成したシールシートを製造する。なお、以上のように、多層フィルム5aの場合は、ハーフカット処理の際、切断手段の刃が凹凸構造が形成された層の側から入るので、凹凸構造が壊れる危険が少ないという利点があり、一方、多層フィルム5bの場合は、ハーフカット処理の際、切断手段の刃が接着層52の側から入るので、接着層を確実に切断でき、接着剤(粘着剤)どうしが再度くっついてしまう所謂「糸引き」という不具合が発生しにくいという利点がある。ハーフカットの方法としては、例えば、トムソン刃を切断方向に入れる方法、ロール刃を切断方向に転がす方法、及び、レーザーを用いて所望の深さまで焼き切る方法等が挙げられるがこれらに限定されない。なお、レーザーを用いると切断屑が発生しないという利点がある。このようにして作製されたシールシートの正面概略図を図6に示す。図6において、各縦線は溝61を示す。
そして、導光板の製造工程や導光板を有する面光源装置の組立工程において、多層フィルム5aの場合は上記凹凸構造が形成されたフィルム(凹凸構造シール)を剥離フィルム51から1枚ずつ剥がして接着層52を介して導光板(基材)の入光面に貼り合せる。多層フィルム5bの場合は、上記凹凸構造が形成されたフィルム(凹凸構造シール)を粘着層55から1枚ずつ剥がし、次いで剥離フィルム51を剥がして接着層52を介して入光面に貼り合わせる。最後に、必要に応じてフィルムと入光面との間の空気をローラー等により抜くことにより密着させてもよい。
なお、貼り合わせに先立ち、接着層52及び/又は入光面にエキシマUV処理やコロナ処理等の表面処理を施すことによって表面の分子結合を切断した後、直ちに接着層52と入光面とを密着させることによって、貼り合わせ強度を向上させることもできる。さらに、このような表面処理を利用すれば、接着剤を使用せずに凹凸構造を有するフィルムのベースフィルムと導光板とを貼り合せることも可能であり、低コスト化、信頼性向上を図ることができる。
このシール型の方法によれば、入光面への貼り合わせ作業が容易になり、使用した(貼り合わせた)シールの枚数の管理も容易になるので、導光板の製造が容易になる。さらに導光板製造用材料の輸送も容易になる。
なお、シールシートを製造する際、多層フィルム(5a、5b)を導光板の入光面の長さ(幅)より短く切断し、面光源装置の組立の際、2枚以上の多層フィルム(シール)を入光面に貼り合わせてもよい。このとき、入光面の光源の発光面に対向する領域より(上下左右)2mm以上外側までが各多層フィルム(シール)によって覆われるよう(フィルムどうしの隙間や継ぎ目が発光面に対向する領域にかからないよう)、位置決めして貼り合わせることが好ましい。
b.テープ型
b.テープ型の方法について、図7を用いて説明する。
a.シール型の場合と同様にして、凹凸構造が形成された層を有する多層フィルム71を製造する。次いで、これを入光面の厚みと同じ幅に切断することによって複数本のテープ状にし、それぞれリール(図示せず)に捲回してロール72に加工する。リールの具体例を図25に示す。このとき図25のように、巻き取ったテープが軸ズレを起こさないように、二枚の円盤に挟まれるような構造のリールで巻き取ることが好ましい。また巻き取られたテープの径は円盤の外径より小さいことが好ましい。
そして、導光板の製造工程や導光板を有する面光源装置や照明装置の組立工程において、ロール72から、凹凸構造が形成された層を有するテープ(テープ状フィルム)を繰り出して、導光板の入光面の長さに切断した後入光面に貼り合せるか、入光面に貼り合わせた後入光面の長さに切断する。貼り合わせには、a.シール型の方法において述べたのと同様の方法が採用できる。
この方法によれば、テープを切断する長さは導光板に貼り合わせる際に決定すればよいので、1種類のロール(凹凸構造が形成された層を有するテープ状フィルムのロール)を様々な大きさを有する導光板の製造に兼用することができ、ロールの汎用性が高い。また多層フィルム71を導光板に貼り合せる工程の自動化・高速化が容易となる。
上述の(1)、(2)の方法で使用する金型(スタンパー)、転写型(転写ローラー)や(3)の方法で使用するフィルム等に、凹凸構造に対応する凹凸パターンや凹凸構造を形成する方法に限定はなく、例えば、切削、サンドブラスト等の機械加工によって形成してもよいし、レーザーのスペックルパターン露光により形成することもできる。スペックルパターン露光を利用する方法は、機械加工では困難な10μm程度以下の微細な3次元構造の形成に適しており、また適度な不規則性を得ることも容易である。
スペックルパターン露光を利用する場合には、具体的には次のようにしてランダムな凹凸構造を形成することができる。
例えば、レーザー光を用いた干渉露光によりランダムな斑点模様や縞模様のスペックルパターンを発生させ、これをフォトレジスト等の感光性材料に照射する。次いで、露光した感光性材料を公知の方法によって現像すると、感光性材料に上記スペックルパターンに対応したランダムな凹凸構造が形成される。
なお、ランダムな斑点模様や縞模様のスペックルパターンは、例えば、レーザー光を異方性の強い拡散層等で拡散させることによって発生させることができる。通常、レーザー光を拡散層で拡散させて露光面に照射すると、スペックルは円形ムラとして発生するが、拡散層を異方性の強いものとすると、スペックルを斑点模様や縞模様状にすることができる。さらに、レーザー光の波長やレーザー光を拡散させる条件等を適宜変更することにより、所望のランダム斑点/縞模様を得ることが可能となる。具体的には、特表2004−508585号公報の段落0047〜0057に開示される方法等によって発生させることができる。
凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する金型や転写型は、さらに、上記のようにして作製した凹凸構造をサブマスタ型とし、このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属に上記凹凸構造に対応する凹凸パターンを転写すること等によって作製することができる。
なお、干渉露光によるスペックルパターンを用いた微細な凹凸パターンの作製方法は周知であり、例えば、特許第3413519号、特表2003−525472号公報及び特表2004−508585号公報等に開示されている。
導光板の入光面に、複数の凹部又は凸部を形成する方法として、上記(3)の方法を採用した場合、導光板の構成は、基材と、該基材の少なくとも一部に積層された接着層と、さらにその上に積層された表面に複数の凹部又は凸部を有する層(表面に凹凸構造を有する層)とを有するものとなる。
ここで、接着層及び表面に凹凸構造を有する層が設けられている領域は、入光面である。
なお、接着層及び表面に凹凸構造を有する層が基材の外側にはみ出していると、本発明の導光板を用いて面光源装置等を組み立てる際に他の部材と接触・干渉し、表面に凹凸構造を有する層が剥がれたり、他の部材を傷つけたりする危険があるので、これらは面内に収まっていることが好ましい。
基材の接着層及び表面に凹凸構造を有する層が積層される箇所には、導光板を高温多湿下で使用した場合等に基材−接着層間に発生する気泡を外部に逃すための、微細な溝が1本又は複数本形成されていてもよい。このような溝の幅、断面形状、深さ等に限定はないが、その幅は、0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.01mmである。また、深さは、例えば、0.5〜0.01mmとすることができる。溝の長さにも限定はないが、接着層が積層される領域を横断又は縦断するものであることが好ましい。
基材の材料は、透光性のものであれば特に限定はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン系共重合体等の光学部品の材料として一般に使用されている透明性の高い(例えば、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1.0以下)高分子材料やガラス等の無機材料を用いることができる。
また、基材には、必要に応じて有機や無機の染料や顔料、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、不純物の捕捉剤、増粘剤、表面調整剤及び離型剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。
このような導光板の断面の一例を図E4に示す。図E4において、E41は基材、E42は接着層、E43は表面に凹凸構造を有する層である。
接着層は、表面に凹凸構造を有する層を基材に固定する役割を果す。接着層を構成する材料は、100℃における貯蔵弾性率G’が40,000〜180,000Paであるものが好ましい。導光板が面光源装置やテレビ受信装置に組み込まれて使用される場合には、LED光源による発熱などにより局所的には約100℃にも上る高温環境下や、約95RH%にも上る多湿環境下に置かれることになるところ、従来使用されている接着層を用いると、表面に凹凸構造を有する層の基材への接着が十分ではない。そのため、長期間使用すると、基材−表面に凹凸構造を有する層間に気泡が発生したり、表面に凹凸構造を有する層が剥がれるという問題が生じる。ところが、本発明者らが鋭意検討した結果、接着層を構成する材料として、100℃における貯蔵弾性率G’が40,000〜180,000Paであるものを用いると、このような問題が解消できることが判明した。
接着層を構成する材料は、100℃における貯蔵弾性率G’が40,000〜180,000Paである以外には限定はなく、一般に使用されている接着剤を用いることができる。このような接着剤としては、例えば、ホットメルト型接着剤、熱硬化型接着剤、感圧型接着剤、エネルギー線硬化型接着剤、吸湿型接着剤、乾燥型接着剤、UV硬化型接着剤、重合型接着剤、2液反応型接着剤、嫌気型接着剤などが挙げられる。これらの中でも、作業性の観点から感圧型接着剤(粘着剤)が最も好ましい。
特に、本発明者らの研究によれば、100℃における貯蔵弾性率G’が、40,000〜180,000である粘着剤を用いると、基材−接着層間、及び、接着層−表面に凹凸構造を有する層間の剥がれが起こりにくいことが判明した。したがって、接着層の材料としてはそのようなものを用いることが好ましい。
接着層の材料の100℃における貯蔵弾性率は、より好ましくは、40,000〜120,000Pa、更に好ましくは65,000〜120,000Pa、とりわけ好ましくは65,000〜95,000Paである。上記貯蔵弾性率が小さすぎると貼り付けた後でのハガレなどが起きやすく、大きすぎると接着性に劣るために好ましくない。また、貯蔵弾性率が小さすぎると、基材がアクリル系樹脂であった場合、貼り付け時に発泡が起きるため好ましくない。
100℃における貯蔵弾性率G’が40,000〜180,000Paであると剥がれが起こりにくい理由は明らかではないが、基材と表面に凹凸構造を有する層の間の熱膨張率差から生じる高温時のひずみを吸収できるためである、と推測される。ただし、機序はこれによらない。
ここで、本発明における100℃における貯蔵弾性率G’とは、以下の条件で測定を行い得られた結果に基づき、90℃以上110℃未満における貯蔵弾性率G’を平均した値をいう。なお、測定装置としては、例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製 ARESを使用することができる。
・変形モード:ねじり
・測定周波数:一定周波数1Hz
・昇温速度:5℃/分
・ひずみ:0.2%
・測定温度:粘着剤のガラス転移温度付近から200℃でまで測定
・測定部形状:パラレルプレート 8mmφ
・試料厚さ:0.8〜1mm
・前処理:温度50℃、真空度−0.02MPaで30分真空乾燥
なお、本発明における100℃における貯蔵弾性率G’は、測定条件として以下の条件を採用する以外は同様にして得られる値(G0’)との間に一対一の相関関係を有してい
る。その対応関係を図E19に示す。
・変形モード:ねじり
・測定周波数:一定周波数1rad/s
・昇温速度:5℃/分
・ひずみ:2%
・測定温度:粘着剤のガラス転移温度付近から200℃でまで測定
・測定部形状:パラレルプレート 25mmφ
・試料厚さ:0.8〜2mm
・前処理:なし
また、光学特性の点では、接着層の材料は、接着層の全光線透過率が90%以上で、ヘーズが1.0以下となるようなものであることが好ましい。
さらに、接着層は、導光部材が面光源装置や照明装置等に組み込まれた際には、光源近傍に配置されることになるので、光源による熱の影響に耐えうるものであることも好ましい。
以上のような観点から、接着層の材料として好ましいものとしては、(メタ)アクリル系粘着剤(以下、単に「アクリル系粘着剤」という。)((メタ)アクリル系ポリマー(モノマー成分として(メタ)アクリル酸を含むポリマー)をベースポリマーとして含む(好ましくは30質量%、より好ましくは50質量%以上含有する)粘着剤)やウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤が挙げられる。
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物、スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、ならびに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、などが挙げられる。なかでも、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物が好ましい。
これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
アクリル系粘着剤としては、後述の手法をもって製造したものや、市販のアクリル系粘着剤等が挙げられる。
市販のアクリル系粘着剤の例としては、例えば、MO−3006C(リンテック(株)製)、MO−3012C(リンテック(株)製)、8171JR(3M(株)製)、8172JR(3M(株)製)、パナクリーンPD−S1(パナック(株)製)、マスタックTR−1801(藤森工業(株)製)、マスタックTR−1802(藤森工業(株)製)、CCL/D2−L/T5T5(新タック化成(株)製)、CCL/D1/T3T3(新タック化成(株)製)、EXC10−076(東洋インキ(株)製)、LUCIACS CS9621T(日東電工(株)製)、LUCIACS HJ9150W(日東電工(株)製)、DH425A((株)サンエー化研製)等が挙げられるが、特にこれに限定されない。
例えば、表面に凹凸構造を有する層がポリエチレンテレフタレート、基材の材料がポリメチルメタクリレートで、85℃の環境下で使用する場合には、上述した粘着剤のうち、PD−S1、TR−1801A、CCL/D1/T3T3、MO−3006C、EXC10−076が好ましい。また、100℃の高温環境下でも耐える粘着剤は、PD−S1、TR−1801A、CCL/D1/T3T3である。
アクリル系粘着剤のベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー0.1〜10質量%またはカルボキシキル基含有モノマー0.1〜10質量%を共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーが特に好ましい。
水酸基含有モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、側鎖の炭素数が4以上の水酸基含有モノマーを用いると、耐熱性が向上するため好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記水酸基含有モノマーを使用する際の共重合割合は、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜7質量%である。上記水酸基含有モノマーの含有量が少なすぎると長期の耐久性が低下する場合があり、多すぎると硬くなり耐久性に不具合が生じる場合がある。
カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などがあげられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらカルボキシル基含有モノマーは、接着性向上や凝集力増加による耐熱性という観点から効果的である。
上記カルボキシル基含有モノマーの共重合割合は、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量%である。上記カルボキシル基含有モノマーが少なすぎると接着性に劣り、多すぎると硬くなり耐久性に不具合が生じる場合や、タッキファイヤーとの相溶性が大きく低下して粘着剤が白濁する場合があり好ましくない。
これらの他に、(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分としては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが使用できる。このようなアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。中でも、粘着剤に柔軟性を付与するという観点から、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、その際には(メタ)アクリル系ポリマー中に30〜99質量%使用されることが好ましく、より好ましくは50〜99質量%である。
さらに、(メタ)アクリル系ポリマーには、共重合可能な他の単量体(モノマー成分)を適宜共重合してもよい。共重合可能な単量体としては、たとえば、酢酸ビニル、アクリルアミド、ジメチルアミノアルキルアミド、アクリロイルモルホリン、グリシジルアクリレート、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエンやα−ビ
ニルトルエンなどの誘導体などの高屈折率単量体、べンジル(メタ)アクリレートやナフチル(メク)アクリレート、フエノキシエチル(メタ)アクリレート、フエノキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系ポリマーとしては、特に、カルボキシル基含有モノマー0.1〜30質量%、n−ブチル(メタ)アクリレート30〜99.9質量%を共重合成分として含む(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく、さらにゲル分率が30〜90質量%に調整されたものが好ましい。このように(メタ)アクリル系ポリマーは、粘着層の内部凝集力向上と柔軟性向上を両立できるため、導光部材の基材に貼合して使用した場合に、界面での発泡現象や基材からの剥がれが発生しない。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常60万以上であるが、好ましくは70万〜300万である。上記重量平均分子量が小さすぎると、耐久性に乏しくなり、大きすぎると、作業性が悪くなるために好ましくない。
(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の任意の製法を採用することができる。
たとえば、溶液重合では、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの重合開始剤を、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜0.2質量部使用することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15質量部使用する。酢酸エチルなどの重合溶媒を使用して、窒素気流下で50〜70℃で8〜30時間反応させることにより得られる。
このようにして得られた(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率を調節したり、内部凝集力を上げたり、耐熱性を上げる目的で、変性処理をすることもできる。
上記変性処理として、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部の存在下に、上記(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分とは異なる単量体を10〜200質量部、好ましくは10〜100質量部加えて、必要に応じて媒体も調整して、過酸化物0.02〜5質量部、好ましくは0.04〜2質量部を使用して、グラフト重合反応を行うことが挙げられる。
ここで、(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分とは異なる単量体というのは、特に限定されず、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、イソボルミル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニル
トルエンやα−ビニルトルエンなどの誘導体などの高屈折率単量体があげられる。前記高
屈折率単量体を使用することにより、(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率を高めることができる。
グラフト重合方法としては、溶液重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液に、必要な単量体と粘度調整される溶媒を加えて、窒素置換した後、過酸化物0.02〜5質量部、好ましくは0.04〜2質量部を加えて、50〜80℃で、4〜15時間加熱して、グラフト重合反応を行う。
乳化重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液に、固形分量を調整する水を加えて、さらに必要な単量体を加えて、撹拌しながら窒素置換して(メタ)アクリル系ポリマー体粒子に単量体を吸収させた後に、水溶性の過酸化物水溶液を加えて、50〜80℃で、4〜15時間加熱して反応を終了させる。
このように、(メタ)アクリル系ポリマーの存在下に単量体を重合することで、この単量体のホモポリマーも生成するが、(メタ)アクリル系ポリマーへのグラフト重合も起こるので、他のホモポリマーからなる重合体がアクリル系共重合体中に均一に存在する状態になる。この際の開始剤として使用される過酸化物が少ないとグラフト重合反応の時間がかかりすぎ、多すぎると単量体のホモポリマーが多く生成するために好ましくない。
粘着剤には、(メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマーの他に、タッキファイヤーなどの粘着付与剤を適宜添加してもよい。
上記タッキファイヤーとしては、特に限定されないが、無着色で透明のものが好ましい。その透明度は、50質量%トルエン溶液でのガードナー色相1以下であることが好ましい。
上記タッキファイヤーとして、たとえば、芳香族環を有するタッキファイヤーで、屈折率が1.51〜1.75の範囲のものが好ましく使用される。また、タッキファイヤーの重量平均分子量は、1000〜3000であることが好ましく、軟化点は90℃以下であることが好ましい。重量平均分子量が3000を超えたり、軟化点が90℃を超えると、(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性が低下する場合があり、重量平均分子量が1000未満であると、粘着剤の凝集力が低下する場合がある。
具体的には、スチレンオリゴマー、フエノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとα−メチルスチレンの共重合体、
C9系石油樹脂の水添物、テルペンフエノールの水添物、ロジンおよぶその誘導体の水添物などがあげられる。この際、軟化点が40℃以下のタッキファイヤーは、その使用量を30質量部未満とし、軟化点が50℃以上のタッキファイヤーを20質量部以上併用して使用されるのが、耐熱性の面で好ましい。
これらのタッキファイヤーの配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー固形分100質量部に対して、10〜150質量部、好ましくは20〜100質量部用いられ、所定の屈折率に調整される。少なすぎると屈折率が十分に上がらず、多すぎると硬くなり接着性が低下するため好ましくない。
粘着剤には架橋剤を適宜用いることができる。特に(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いる際には、架橋することにより凝集力や耐久性が向上するため好ましい。
上記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、過酸化物などがあげられる。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類や、各種ポリオールで変性したジイソシアネート付加物、イソシアヌレート環やビューレット体やアロファネート体を形成させたポリイソシアネート化合物などがあげられる。特に、脂肪族や脂環族のイソシアネートが、架橋物が透明になるため好ましく用いられる。
また、乳化重合にて製造した変性(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いない場合が多いが、使用する場合には、イソシアネート基が水と反応しやすいため、ブロック化されたイソシアネート系架橋剤を用いても良い。
過酸化物としては、加熱によりラジカルを発生して粘着剤のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば使用可能である。たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンなどがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシドなどが好ましく用いられる。
前記過酸化物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対し、前記過酸化物0.03〜2質量部含有することが好ましく、0.04〜1.5質量部含有することがより好ましく、0.05〜1質量部含有することがさらに好ましい。0.03質量部未満では、凝集力が不足する場合があり、一方、2質量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
ただし、架橋剤として、芳香族系のイソシアネート化合物を使用した場合には、硬化後の粘着剤が着色する場合があることがあるので、透明性が要求される本発明の用途(導光部材)では脂肪族や脂環族系イソシアネートが好ましく用いられる。
以上のような架橋剤の配合量としては、使用する(メタ)アクリル系ポリマーの種類によっても異なるが、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、通常0.03〜2質量部、好ましくは0.05〜1質量部の範囲で使用される。少なすぎると凝集力が不足し、多すぎると接着性が低下するために好ましくない。
また、粘着剤にはシランカップリング剤を適宜添加することができる。
シランカップリング剤としては、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのインシアネート基含有シランカップリング剤などがあげられる。このようなシランカップリング剤を使用することは、粘着剤の耐久性の向上に好ましい。また、粘着剤のガラス基材に対する接着性も向上する。
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、前記シランカップリング剤0.01〜2質量部含有することが好ましく、0.02〜1質量部含有することがより好ましい。0.01質量部未満では、耐久性の向上効果に劣る場合があり、一方、2質量部を越えると、接着力が増大しすぎて再剥離性に劣る場合がある。
粘着剤には、ごく少量であれば有機溶剤を含有していてもよく、たとえば、メタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル(酢酸アミル)、酢酸イソペンチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が用いられるが、特に限定されない。これら有機溶剤は(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し0.001〜1質量部含有することが好ましく、0.001〜0.5質量部含有することがより好ましく、0.001〜0.1質量部含有することがより好ましい。1質量部より多く含有すると、粘着剤から発生した有機溶剤が基材や表面に凹凸構造を有する層を溶解する場合があるため好ましくない。一方、0.001質量部未満含有する場合、乾燥時間および乾燥コストがかかることがある。
粘着剤には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、加硫剤、粘着付与剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えたレドックス系を採用してもよい。
なお、粘着剤は、導光部材の製造の際には、剥離処理した支持体の上に積層された形態で用意することができる。例えば、粘着剤を、剥離処理した支持体上に塗布乾燥、架橋処理して粘着剤層付きシートとすることができる。具体的には、剥離処理した支持体上に粘着剤を塗布乾燥し、その上に相対的に剥離強度の弱い剥離処理済みフィルムを貼合して粘着剤付きシートを作製する。あるいは、剥離処理した支持体上に粘着剤を塗布乾燥した後、すぐに基材に貼り合わせてもよい。
このような支持体材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂、等で構成された透明性基材が挙げられるが、経済性の観点からポリエチレンテレフタレートが一般的に用いられる。また、剥離処理としては、シリコーン層を塗布するかまたはエンボス形状を付与するなどが挙げられる。
粘着剤の塗布の方法としては、リバースコーター、コンマコーターやリップコーター、ダイコーターなど任意の塗布方法で、通常乾燥後の粘着剤厚さが2〜500μm、好ましくは5〜100μmとなるように処理される。
粘着剤が架橋剤を含有する場合には、剥離処理された支持体上に塗布乾燥した後に、架橋後の粘着剤のゲル分率が30〜90質量%好ましくは40〜90質量%、より好ましくは45〜85質量%になるように架橋処理してもよい。
ゲル分率が小さすぎると凝集力に劣り、大きすぎると接着性に劣るため好ましくないが、この範囲にすることで、アクリル基材などに貼り合せた際には、基材からの水分や残存モノマーの発生があっても、基材と粘着剤の接着界面での発泡現象を抑制することができる。ここでの粘着剤のゲル分率とは、粘着剤のうち、酢酸エチルに溶解しないものの割合をいい、架橋したものの割合(質量%)を示す指標である。
(ゲル分率の測定)
ゲル分率の測定は以下のようにして測定することができる。
粘着剤をW1g取り出し、酢酸エチルに室温(約25℃)下で7日間浸漬した。その後
、浸漬処理した粘着剤(不溶分)を酢酸エチル中から取り出し、130℃で2時間乾燥後の質量W2gを測定し。ゲル分率を
ゲル分率(質量%)=(W2/W1)×100
として計算した。
接着層を構成する材料の、100℃でのTMA(熱機械分析)の変位は−1〜2μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、0〜1μm、更に好ましくは0〜0.5μmである。上記TMAの変位が小さすぎると貼り付けた後でのハガレなどが起きやすく、大きすぎると熱によってうねりが生じるために好ましくない。
(熱機械分析(TMA)の変位の測定)
熱機械分析は以下の条件で行った。
・装置:セイコーインスツルメンツ社製TMA/SS120
・プローブ:針入プローブ(先端径:1mm)
・荷重:10mN(1.02g)
・雰囲気:空気
・温度範囲:30℃〜200℃
・昇温時間:5℃/分
・測定試料:25μm厚みの接着層を5mm角に切り取り、石英ディスク(10mmφ)に貼り付けた。
接着層を構成する材料の100℃でのTG/DTA(重量減少率)は、0〜−0.4%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0〜−0.3%、更に好ましくは0〜−0.2%である。上記TGAが大きすぎると熱による接着層の劣化が生じるために好ましくない。
(熱重量分析の測定)
熱重量分析の測定は以下の条件で行った。
・装置:セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA220
・雰囲気:窒素(流量:250ml/分)
・温度範囲:30℃〜200℃
・昇温時間:10℃/分
・試料作製:25μm厚みの接着層を全体の質量が10mgになるように折り重ね、試料容器にセットした。
接着層を構成する材料の剥離強度は、0.3〜1.5N/mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.2N/mm、更に好ましくは0.5〜1.0N/mmである。上記剥離強度が小さすぎると貼り付けた後でのハガレなどが起きやすく、大きすぎるとリワーク性(貼り直し作業性)が低下し、且つ製造も困難なため好ましくない。
(剥離強度の測定)
剥離強度の測定は以下の条件で行った。
・装置:エー・アンド・デイ社製RTG−1210
・剥離角度:90°
・剥離速度:50mm/min
・測定距離:50mm
・試験環境:温度23℃、湿度50%
・粘着剤試料:ポリエチレンテレフタラートフィルム(東洋紡製コスモシャインA4300、75μm厚み)に接着層を貼り付けた後、幅を3.5mmにカットし、アクリル板(カナセ工業製、カナセライト1300、厚さ:2mm、サイズ25cm×3cm)に貼合し、温度23℃、湿度50%の環境下に1日放置後したものを測定試料とした。
接着層を構成する材料の屈折率は、1.40〜1.70の範囲が好ましく、より好ましくは1.45〜1.65、更に好ましくは1.45〜1.60である。
(屈折率の測定)
屈折率の測定は以下の条件で行った。
25℃の雰囲気下で、ナトリウムD線(589nm)を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR=M4)を用いて屈折率の測定をおこなった。
接着層の厚さに限定はなく、例えば、接着層の全光線透過率が90%以上、ヘーズが1.0以下となるように調整してもよいが、接着層の厚さが5〜200μmであると、基材−接着層間、及び、接着層−表面に凹凸構造を有する層間の剥がれが起こりにくいので好ましい。接着層の厚さは、10〜100μmであることがより好ましく、15〜50μmであることがさらに好ましく、20〜30μmであることがさらに好ましい。接着層の厚さが薄すぎると、基材に微細な凹凸が存在した場合、接着層がこの凹凸に追従できず(凹凸を吸収することができず)、貼合不良が発生する確率が増加する。一方、接着層の厚さが厚すぎると、その断面の面積が大きくなるので、導光板の製造中に、粘着剤のはみ出しやダマの発生という不具合が発生する確率が増加する。また、接着層の厚さが厚すぎると、製造工程において、接着層をロール状にして取り扱う際、同一ロール径に巻き取れる長さが短くなってしまうという不都合もある。
接着層の基材と接する側の面には、導光板を高温多湿下で使用した場合等に基材−接着層間に発生する気泡を外部に逃すための、微細な溝が1本又は複数本形成されていてもよい。このような溝の幅、断面形状、深さ等に限定はないが、その幅は、0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.01mmである。また、深さは、例えば、0.5〜0.01mmとすることができる。溝の長さにも限定はないが、接着層を横断又は縦断するものであることが好ましい。
次に、表面に凹凸構造を有する層について説明する。
表面に凹凸構造を有する層の厚さに限定はないが、接着層との間の接着性の観点からは、25〜500μm程度であることが好ましい。薄すぎるとコシが足りず、基材上に貼合する際の作業性が低下し、一方、厚すぎても逆にコシが強くなりすぎて貼合の作業性が低下するので、50〜300μmであることがより好ましい。
表面に凹凸構造を有する層は、透明ベースフィルム層とその上に積層された表面に複数の凹部又は凸部を有する樹脂層とを含む多層構造を有していてもよい。
この場合、表面に凹凸構造を有する樹脂層の材料も限定はなく、例えば、光重合性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。
また、透明ベースフィルム層の材料、厚さ等に限定はなく、材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明性の高い(例えば、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1.0以下の)高分子材料が挙げられ、厚さは、例えば、20〜250μm、より好ましくは50〜125μmとすることができる。
前記光重合性樹脂組成物としては、後述する本願明細書第1発明の拡散シートの樹脂層と同一のもの、すなわち、(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーを70〜99.9質量%、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有するものを用いることが好ましい。
(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、例えば、ビフェニル基を有する下記の一般式(I)で示される化合物を用いることができる。
一般式(I)
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは少なくともアルキレン基を一部又は全部に有する2価の有機基を表す。)
前記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、ビフェニル基の置換位置がオルト位またはパラ位でありXが炭素数が1〜12の2価の有機基である化合物であることが好ましく、下記の一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(II)において、Rは水素原子又はメチル基を、Aは各々独立して炭素数が1〜4のアルキレン基を、nは1〜3の整数を表す。
一般式(II)
また、(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、上記の一般式(I)で示される化合物の他、公知の(メタ)アクリレート基又はアリル基を有する化合物を使用することもできる。
例えば、ノニルフェノールアクリレート、アルコキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスアリールフルオレン誘導体、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA系(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子中にエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖の双方を含む化合物等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレートが屈折率の観点から好ましく、エトキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレート(例えば、製品名A−LEN−10、新中村化学製)が特に好ましい。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物も用いることができる。
この場合のウレタン化化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量で10,000未満のものが好ましい。
上述した(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記光重合性樹脂組成物中における(A)付加重合性モノマーの含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で70質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上95質量%以下である。十分に硬化させるという観点から70質量%以上であることが好ましいが、開始剤成分やその他重合禁止剤、染料等を配合することを考慮すると99.9質量%以下であることが好ましい。
また、前記一般式(I)で表される化合物の含有割合は50〜95質量%であることが好ましい。樹脂層の屈折率を高くする観点から50質量%以上が好ましく、光硬化性の低下を防止する観点から95質量%以下とすることが好ましい。
前記光重合性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の芳香族ケトン類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリシン、N−フェニルグリシン、さらに、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(O−ベンゾイルカルボニル)−オキシム等のオキシムエステル類、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸、並びにこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、テトラゾール類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、及び、1−フェニル−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等のピラゾリン類が挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、製品名DAROCURE1173、チバ・スペシャリティ・ケミカル製)が好ましい。
前記光重合性樹脂組成物中における(B)光重合開始剤の含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
(B)の含有量を0.1質量%以上とすると、十分な光硬化感度が得られ、30質量%以下とすると、光硬化前の液状樹脂としての保存安定性が得られる。
熱安定性、保存安定性を向上させるために、前記光重合性樹脂組成物中に、ラジカル重合禁止剤を含有させることが好ましい。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、t−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤の含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
上記光重合樹脂組成物には、少量であれば有機溶剤を含有していてもよく、たとえば、メタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル(酢酸アミル)、酢酸イソペンチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が用いられるが、特に限定されない。これら有機溶剤は0.001〜1質量部含有することが好ましく、0.001〜0.5質量部含有することがより好ましく、0.001〜0.1質量部含有することがより好ましい。1質量部以上含有するすると、光重合樹脂組成物から発生した有機溶剤が接触している他の材料を溶解する場合があるため好ましくない。0.001質量部未満含有する場合、乾燥時間および乾燥コストがかかるので好ましくない。
硬化後の光重合性樹脂組成物の屈折率としては、1.40〜1.70の範囲が好ましく、より好ましくは1.45〜1.65、更に好ましくは1.45〜1.60である。
屈折率が1.40より低いと、本発明の導光板を面光源装置として使用した場合に、表面に凹凸構造を有する樹脂層が光源由来の輝度ムラを均一化する能力が低下してしまう。屈折率が1.70より高いと製造が困難となる。
(屈折率の測定)
屈折率の測定は以下の条件で行った。
25℃の雰囲気下で、ナトリウムD線(589nm)を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR=M4)を用いて屈折率の測定をおこなった。
また、表面に凹凸構造を有する樹脂層の厚さについては、薄すぎると凹凸構造を形成することができないが、厚すぎると層が脆くなりひび割れ等が発生するおそれがあり、また、高温下に長時間置いた場合の変色が許容範囲を越えるおそれもある。このような観点から、その厚さは2〜50μmとすることができる。
なお、表面に凹凸構造を有する樹脂層には、光学性能を上げるため、例えば平均粒径2μm程度のシリコン微粒子を混入し、内部拡散性能を付与することもできる。尚、実施例においては、このような内部拡散性能を有していない紫外線硬化樹脂を用いている。
本発明の導光板において、入光面は少なくとも1つあればよく、2つまたはそれ以上あってもよい。入光面を2つ有する場合、導光板の形状は出光面と対向面を主面とする平板状の直方体であることが好ましく、さらに、2つの入光面が対向していることが好ましい。この場合、対向する二つの入光面は長さが同じであるため、点光源の数や種類を同一にし、部品の共通化を図ることができるというメリットがある。
導光板の厚さ(出光面とこれに対向する対向面との間の距離)に限定はないが、例えば、2.0〜5.0mm程度とすることができる。
本発明の導光板の材質は、透光性のものであれば特に限定はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン系共重合体等の光学部品の材料として一般に使用されている透明性の高い高分子材料やガラス等の無機材料を用いることができる。
また、本発明の導光板は、必要に応じて有機や無機の染料や顔料、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、不純物の捕捉剤、増粘剤、表面調整剤及び離型剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。
本発明の導光板における凹凸構造(複数の凹部又は凸部)は、複数の凹部(凸部)の開口部(底面)が特定の一方向に長い異方性形状を有するものであるので、その表面形状により、前記特定の一方向(すなわち凹部(凸部)の開口部(底面)の長径の方向)に垂直な方向への拡散角度が最大で、前記特定の一方向に平行な方向への拡散角度が最小である異方性の拡散特性を示す。
拡散角度(入光面に垂直に光線を入射させたときの出射光の拡散角度(FWHM))の具体的な値に限定はないが、前記特定の一方向に垂直な方向(出光面に平行な方向)への拡散角度が30°以上であることが好ましく、より好ましくは40°以上、さらに好ましくは50°以上であり、とりわけ好ましくは65°以上である。また、その上限は、120°以下であることが好ましく、100°以下であってもよく、90°以下であってもよい。
一方、前記特定の一方向(出光面に垂直な方向)への拡散角度は、10°以下であることが推奨され、5°以下であることが好ましく、1°以下であることがさらに好ましく、0.5°以下が最も好ましい。
また、拡散角度の最小値に対する最大値の比は、200以上であることが好ましく、より好ましくは400以上である。拡散角度の最小値に対する最大値の比がこのような範囲となるようにすることにより、輝度ムラがさらに低減できる。なお、拡散角度の最小値に対する最大値の比については、後述する明細書第3発明に関する記載において詳しく説明する。
前記特定の一方向に垂直な方向、平行な方向への拡散角度は、共に、各凹部(凸部)の形状や深さ(高さ)及びピッチ等を適宜変更することによって調整することができ、スペックルパターンを利用して溝構造を形成する場合、これらはレーザー光を拡散させる条件等を適宜変更することによって調整できる。
また、後述する明細書第二発明の場合を除き、拡散特性は凹凸構造が形成された全領域において略一定であることが好ましい。
ここで、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう(図8参照)。この拡散角度は、例えば、Photon Inc.製のPhoton或いは、ビームプロファイラNanoScan、または日本電色工業株式会社製のGC5000L等の変角色差計を用いて、凹凸構造が形成された面の法線方向から、凹凸構造に入射した光の透過光強度の角度分布(透過光の強度の出射角度に対する分布)を測定することによって求めることができる。特に、FWHMが1°以下の特性に関してはNanoScanが測定に最適である。ここで、凹凸構造が形成された面の法線方向とは、図1の16に示す方向を指す。
また、前記拡散角度の定義は、透過光強度の角度分布が0度付近に最大ピークを有し、
その最大ピークの両側に向かって単調減少することを前提にした定義であるが、
(1)最大ピークが中央以外にある、又は(2)ピーキーな透過強度が特定の角度に存在する、すなわちピークの最大幅(根元の幅)が10°以下のピークが存在する、場合においては、拡散角度を定義する本体の趣旨に照らして、それぞれ(1)0度付近における透過光強度の値の半値幅を適用する、(2)±15°の範囲で移動平均を取った透過強度の半値幅を適用する、こととする。
尚、拡散角度は理論(スネルの法則)上、基材が内部拡散性能を持たない場合であれば、基材の屈折率の影響は受けず、凹凸構造が形成された面を形成する材料の屈折率に依存する。このため、導光板の入光面に凹凸構造を形成する方法として上記(3)の製法を採用する場合であれば、凹凸構造を有するフィルム単独で拡散角度を測定しても、これを導光板に貼り合わせた最終形態の状態で拡散角度を測定しても、測定結果は変わらない。
また、上記(1)(2)の製法を採用する場合であれば、入光面と平行な面で切断した薄片を作製して、その拡散角度を測定してもよい。
なお、測定対象である面と対向する面が平滑でない場合には、その面を切断する等して平滑面とするか、測定対象である面の表面形状をその面を形成する材料と同じ屈折率を有する材料に転写しこれを用いることにより測定することができる(凹凸が反転しても、0度方向から入射する透過光強度の角度分布は変化しないので、拡散角度も変化しない)。
また、凹凸構造が形成された入光面に、その法線方向から、光線を入射したときに、出射角度=0°において、光の透過光強度がピーク強度の90%以上となることが好ましい。
具体的な例を図15(A)(B)に示す。図15(A)(B)は日本電色工業株式会社製のGC5000Lを用いて測定した、凹凸構造を有するフィルム単独の透過光強度の角度分布である。
図中の◇(白抜き)部分の透過光強度は、ピーク強度の90%以上である。どちらの角度分布でも、出射角度=0°において透過光強度はピーク強度の90%以上である。
このように、凹凸構造が形成された入光面の表面形状は、その法線方向から光線を入射したときの光の透過光強度の角度分布が、複数のピークを持たず、なだらかに変化するようなものであることが好ましい。
本発明の導光板においては、上述のような複数の凹部又は凸部の表面形状に由来する異方性の拡散特性により、ホットスポット等の輝度ムラの低減効果が向上すると推測される。
なお、特許文献5に開示されている技術においても異方性の拡散特性が利用されているが、フィラーを分散させる手法では精度の高い異方性を得ることは困難で、必ずしも導光板の一方向への拡散角度を最大にすることはできない。そのような異方性の精度の低い部材を入光面に設けると導光効率が悪くなる。さらに、異方性不足から導光板入光直後の光漏れも激しくなり、表示装置や面光源装置に適した品質が得られない。加えて、特許文献5に開示されている技術においては、粘着剤とフィラーとの間の屈折を利用して異方性を与えるところ、両者の屈折率差は小さいので、導光板の一方向への拡散角度を十分に大きな値とすることができない。
これに対して、本発明の導光板においては、凹凸構造の表面形状により異方性の拡散特性を実現するので、その表面形状を制御することによって、精度の高い異方性拡散特性を安定的に得ることができる。更に、表面形状により異方性の拡散特性を実現する本発明においては、異方性拡散をもたらす屈折は、空気(屈折率ほぼ1)と凹凸構造を構成する材料(樹脂又は樹脂組成物)(屈折率約1.3〜1.6)との間で起きるので、粘着剤とフィラーとの間の屈折を利用する特許文献5に開示の技術と比較して、凹部(凸部)の開口部(底面)の長径の方向に垂直な方向への拡散角度を大きな値とすることができる。
本発明の導光板の入光面が、さらに、以下のような要件を満たすものであると、輝度ムラはさらに少なくなる。
入光面全体が、その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度が入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有し、
入光面の法線方向から入射した光の入光面長手方向への出射光の出射角度を横軸、強度を縦軸とする入光面全体の出光パターン曲線が、該出光パターン曲線において出射光の強度がピーク強度となるピーク点1点及び出射光の強度が前記ピーク強度の半分となる中間点2点の合計3点を通る正規分布曲線と比較した時に、以下の条件1.及び/又は条件2.を満たす。
条件1.出射光の強度がピーク強度の3/4以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より狭い。
条件2.出射光の強度がピーク強度の1/10以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より広い。
このような要件については、後述の明細書第2発明に関する記載において詳しく説明する。
次に、本発明の導光板の出光面、対向面について説明する。 本発明の導光板の出光面及び/又は対向面には、入光面の法線方向に略平行な溝構造を設けることができる。出光面にこのような溝構造を設けると、出光面から出る光の広がりを押さえる直進性を向上させることができるので、導光板をローカルディミングに適したものとすることができる。
前記溝構造としては、レンチキュラーレンズ形状又はランダムな複数本の溝であることが好ましい。前記溝構造を出光面、対向面どちらに設けるかは、製造のしやすさ、取り扱いのしやすさ等を考慮して適宜決定すればよい。出光面及び対向面の両方に設けてもよいが、例えば、対向面に後述する光散乱加工を設ける場合には、出光面の方のみに設けることが好ましい。
さらに、入光面近傍の領域におけるホットスポットを軽減できるという観点から、溝構造は、出光面及び/又は対向面の入光面側端部から1〜50mm内側の位置から開始し、入光面と反対方向に延びるように設けることが好ましい。
レンチキュラーレンズ形状は、入光面の法線方向に略平行な方向に延び、複数並列して設けられることが好ましい。レンチキュラーレンズ形状のピッチは20〜500μmが好ましく、深さは20〜500μmが好ましい(図G19参照)。ピッチが小さすぎるとレンチキュラーレンズの精度の良い加工が困難となり、ピッチが大きすぎると液晶パネルの画素とのモアレが発生しやすくなる。深さが浅すぎると光の直進性が低下し、深さが深すぎると精度の良い加工が困難となったり傷付きやすくなったりする。
次に、ランダムな複数本の溝について説明する。
複数本の溝がランダムであるとは、複数本の溝の断面形状、ピッチ及び深さのうち少なくとも1つがランダム(不規則)に異なっていることをいう。
図G19に、入光面の法線方向に略平行なランダムな複数本の溝を出光面に設けた例を示す。
各溝の断面形状に限定はなく、例えば、V字形状やU字形状とすることができる。
溝のピッチとは、隣り合う溝の谷底の間の水平距離(ランダムな複数本の溝を有する面に平行な方向の水平距離)をいう。なお、谷底が平坦である場合には、その中心を谷底としてピッチを決定する。溝の断面形状や幅は溝の延在方向に沿って変化していても良い。
また、溝の深さは、各溝を構成する両側の山のうち高い方の山の山頂と溝の谷底の間の垂直距離(ランダムな複数本の溝を有する面に垂直な方向の距離)(山頂と谷底の標高差)をいう。
溝の深さは延在方向に沿ってなだらかに又は急勾配で変化していてもよく、また、その結果、途中に溝が途切れる箇所があってもよいが、できれば変化しない方が好ましい。
本発明において好ましく利用できるランダムな複数本の溝の具体例を図G21A及びG21Bに示す。図G21Aは溝に垂直な方向への拡散角度(後述)が30度、溝に水平な方向への拡散角度が1度の異方性の光拡散特性を有するランダムな複数本の溝の具体例を示す表面プロファイル図である。図G21Bは溝に垂直な方向への拡散角度が60度、溝に水平な方向への拡散角度が1度の異方性の光拡散特性を有するランダムな複数本の溝の具体例を示す表面プロファイル図である。
ランダムな複数本の溝の平均ピッチに限定はないが、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。また、ランダムな複数本の溝の平均ピッチは580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、より好ましくは780nm(可視光全域)以上である。
導光板と組み合せて使用される表示パネルの画素ピッチや光学シートの構造ピッチは、それぞれ、概ね100〜600μm、50〜150μmであるので、ランダムな複数本の溝の平均ピッチをこのような値に設定すれば、導光板と組み合せて使用する表示パネルや光学シートとの空間干渉によるモアレの発生を防ぐことができる。さらに、平均ピッチをこのような値に設定すれば、取り扱い時に溝に爪などが引掛かることも少なく、ハンドリング性が向上する。さらに、本発明の導光板によって導光する光は可視光線(380nm〜780nmの電磁波)であるので、ランダムな複数本の溝による光の直進化の効果を十分に発揮するためには平均ピッチの下限値は上記のような値であることが好ましい。
ランダムな複数本の溝の平均深さにも限定はないが、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。
溝の斜面角度は光の直進性へ大きな影響を与える。すなわち、出光面又は対向面に溝構造を設けた場合、導光板中では、外側に広がろうとする光を溝の斜面で反射し、導光板中へ戻すことで光の直進性を上げると考えられる。したがって、各溝の斜面角度は、40度〜60度であることが好ましい。そこで、出光面又は対向面に設けたランダムな複数本の溝は、溝の斜面角度の、40度〜60度の範囲内にあるものの占める割合が5%以上であることが好ましい。さらに好ましくは10%以上である。また、その中でも45±5度であるものの占める割合が多いほうがより直進性向上に貢献する。
ここで、「斜面角度」とは、ランダムな複数本の溝を有する面の溝に垂直な断面における各溝を構成する表面の接線と溝構造を有する面とがなす角の総称をいう。
そして、斜面角度が40度〜60度の範囲内にあるものの占める割合については、顕微鏡観察(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により、ランダムな複数本の溝を有する面の任意の垂直断面(溝構造に垂直な断面)から任意に300μmの距離の範囲を抽出し、さらに、その範囲の端から0.5μm毎の点を接点とする接線を抽出して、これらとランダムな複数本の溝有する面とがなす角(鋭角)を測定することによって決定することとする。
また、本発明の導光板の対向面には、出光面における出光分布を均一にするために、入光面から遠ざかる方向に向かってグラデーションを有する光散乱加工を形成してもよい。また表示装置においては、出光分布の均一性を高めつつも、画面中央の輝度が最も高い一様な山型の出光分布とすることが視認しやすく好ましいとされている。 光散乱加工としては、例えば、ドットや凹凸形状を、入光面から離れるに従って徐々に面積が広くなるようなグラデーションパターンにしたものや、同一大のドットや凹凸形状を光源から離れるに従ってピッチが狭くなるようにしたグラデーションパターンが挙げられる。この場合のドットや凹凸の形状には円形、四角形などが挙げられ、その大きさは例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
本発明のような入光面に凹凸構造を持つ導光板は、入光面と垂直な方向(光の伝播方向)への光の到達度が、入光面が平滑であるものと若干異なる。すなわち、入光面に近い領域の出光面からの出光量は、入光面が平滑面である導光板に比べて多くなり、一方、入光面から遠い領域の出光面からの出光量は入光面が平滑面である導光板に比べて少なくなる傾向にある。従って、入光面が平滑面である導光板に比べて、反射面の入光面に近い部分光散乱パターンを、従来よりもさらに散乱しにくい形状(例えばドットや凹凸形状の面積をさらに小さくしたもの)或いは密度を疎にすることが好ましい。 もっとも、出光面からの出光量の光の伝播方向の変化が大きすぎる場合は、グラデーションを有するパターンによる対応では限界がある(例えば、面積を変更する場合は、面積が0%以上100%以下の範囲までしか変化させることができない)。
図D16は、出光面の輝度を、入光面からの距離(光の伝播方向、図1の矢印16方向)をX軸に、輝度をY軸にとったものであり、X軸の0mmのところが導光板の入光面である。尚、入光面から16.5mm内側までの領域には、導光板と光源の距離を固定するために遮光性の板で固定しているため、輝度がゼロとなっている。一般的な入光面が平滑面の導光板(リファレンス)と、本発明の導光板(製造例D−20)と、一般的な拡散シートを導光板の入光面に貼った状態の導光板(製造例D−37)の輝度を比べると、入光面に近いところでは、リファレンスと比べて、製造例D−20およびD−37の輝度が高く、入光面から遠いところでは、製造例D−20およびD−37の輝度が低い。 本発明の導光板においては、出光面上の各位置の輝度が、入光面が平滑である場合の値と比較して、50%以上150%以下の範囲内あることが好ましい。より好ましくは60%以上140%以下、さらに好ましくは70%以上130%以下である。 入光面が平滑である場合の値と比較して、この範囲であれば、反射面の光散乱パターンを容易に設計変更できる。
或は、本発明の導光板においては、その出光面及び/又は対向面に、フレーム(面光源装置)及び/又は遮光枠(テレビ受信装置)に遮蔽されている遮光部分の入光面近傍の領域Bにおいて、光源に正対する部分領域の光散乱度が、光源と光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工を設けることもできる。
遮光部分の入光面近傍の領域Bにおいて、光源に正対する部分領域の光散乱度が光源と光源の間に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を設けることにより、入光面に設けた凹凸構造と相俟って(このような出光面及び/又はその対向面の入光面近傍に設けた光散乱加工と入光面に設けた凹凸構造とが、相互に輝度ムラ低減効果の足りない部分を補完しあって)、出光面の輝度の均一性が飛躍的に向上し、後述のP/Gを大きくすることができる。
なお、「点光源(又は点光源と点光源の間の部分)に正対する部分領域」とは、出光面の入光面に平行な方向をX軸、入光面に垂直な方向をY軸としたときに、点光源(又は点光源と点光源の間の部分)と略同じX座標を有する部分領域をいい、「点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低い(又は略等しい)」とは、同じY座標を有する部分領域同士を比較したときに、点光源に正対する部分領域(光源と略同じX座標を有する部分領域)の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域(点光源と点光源の間の部分と略同じX座標を有する部分領域)の光散乱度よりも低い(又は略等しい)ことをいう。
出光面及び/又は対向面のフレーム(面光源装置)又は遮光枠(テレビ受信装置)に遮蔽されている遮光部分において、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工が施される入光面近傍の領域Bは、遮光部分のうち入光面に平行な帯状のエリアであることが好ましいが、必ずしも入光面側端部(Y=0)から開始している必要はない。
「点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低」くなる構成の具体的な態様としては、例えば、a.点光源と正対する部分領域以外に光散乱加工を施す(点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域に光散乱加工を施す)、b.入光面近傍の略全領域に光散乱加工を施し、点光源と正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が低くなるようにする(点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が高くなるようにする)、等が挙げられる。
光散乱加工に限定はなく、光学材料の分野で一般に採用されているものが使用できる。例えば、反射性あるいは拡散性の材料からなる複数の拡散性ドットのパターンを積層や印刷により設けることや、凹凸形状等の複数の3次元ドットのパターンを形成することが挙げられる。ドットの形状に限定はなく、例えば円形、四角形などが挙げられ、その大きさは例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
光散乱度は、例えば、反射(拡散)性材料からなる拡散性ドット中の反射(拡散)性物質の濃度(濃度を高くする程光散乱度は高くなる)、凹凸形状の3次元ドットの形状(例えば、高さを高くするほど光散乱度は高くなる)、ドットが形成されている部分の面積の割合(以下、「ドット密度」という。なお、領域内でドット密度が段階的に変化している場合には、領域のドット密度は、図26記載のように、ドット26の中心と隣接するドットA〜Fの中心とを結ぶ線分の垂直2等分線26a〜26fによって囲まれる多角形262の面積に対するドット26の面積の割合(%)をいい、ドット密度を高くするほど光散乱度は高くなる)等を調整することによって制御することができる。ドット密度は、例えば、単位面積あたりのドットの個数を一定にして各ドットの面積を変化させるか、逆に各ドットの面積を一定にして単位面積あたりのドットの個数を変化(ドットのピッチ)させるか、或は、その両方を変化させる等して調整することができる。
本発明においては、導光板の出光面及び/又は対向面の、少なくともフレーム(面光源装置)又は遮光枠(テレビ受信装置)に遮蔽されていない非遮光部分を覆う領域A(少なくとも非遮光部分を含み、その周辺部分である遮光部分を含んでもよい)にも、光散乱加工を施すことができる。このとき、領域Aの範囲は、領域Aと領域Bとの間に、後述する領域Cが存在するよう適宜設定することが好ましい。
なお、領域Aのうち、少なくとも非遮光部分においては、点光源に正対する部分領域の光散乱度と、点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度とが略等しいことが好ましい。
領域Aと領域Bに挟まれた領域Cは、入光面に平行な帯状の領域であることが好ましく、その場合、領域Cの幅は0.2mm以上が好ましく、さらに好ましくは0.5mm以上であり、最も好ましくは1mm以上である。また、領域Cの幅の上限としては3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がさらに好ましく、1.5mm以下が最も好ましい。
領域Cにおいては、少なくとも点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域には光散乱加工が設けられていないことが好ましく、領域C全体に光散乱加工が全く設けられていなくてもよい。
図18、19に、出光面及び/又は対向面に施す上記光散乱加工の具体例を示す。また、図18の例においては、入光面近傍の領域Bにおいて、点光源と正対する部分領域に光散乱加工を設けないようにすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。また、図19の例においては、入光面近傍の領域Bにおいて、点光源と正対する部分領域の各ドットの面積を小さく、また、入光面近傍の点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の各ドットの面積を大きくすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。
図27に、本発明の面光源装置とテレビ受信装置の一例の断面図を示す。面光源装置の発光エリアはフレーム(BLフレーム)により画定(制限)され、テレビ受信装置の表示エリアは遮光枠(ブラックマトリックス)によって画定(制限)されている。
図28に、本発明における出光面及び/又は対向面の上記光散乱加工の別の具体例を示す。
図28の例においては、遮光部分(すなわち、表示エリアないしは発光エリアの外側)のうち入光面近傍の領域B(入光面と平行な帯状のエリア)に、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間に部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工が施されており、この点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の各ドットの面積を小さく、また、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の各ドットの面積を大きくすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。
非遮光部分(すなわち、表示エリアないしは発光エリア)においては、点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度と略等しくなるように光散乱加工が施されている。具体的には、ドット密度により光散乱度を制御する場合、入光面からの距離が同じ領域(同じY座標を有する領域)のうち最もドット密度の低い領域のドット密度ρ1と最もドット密度の高い領域のドット密度ρ2の比(ρ2/ρ1)が、ρ2/ρ1≦1.2であることが好ましく、ρ2/ρ1≦1.1であることがさらに好ましく、ρ2/ρ1=1とするのが最も好ましい。
点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工と、遮光部分/非遮光部分との位置関係を、上記のようにする(すなわち、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を、遮光部分内に収める)ことで、発光面/表示面の輝度ムラを正面からだけでなく、斜めからも視認されないようにすることができる。
図29に、本発明における出光面及び/又は対向面の上記光散乱加工の別の具体例を示す。
図29の例では、遮光部分内の、非遮光部分(表示エリアないしは発光エリア)との境界から数mm程度外側(入光面側)に設定された入光面近傍の領域B(入光面に平行な帯状のエリア)において、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域にのみ、非遮光部分のドット密度より2倍〜20倍高い密度でドットを形成している。またこの密度は、5〜15倍が好適であり、10倍程度が最も好適である。
このように、遮光部分の入光面近傍の領域Bにおいて点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域にのみ光散乱加工を施すことにより、点光源と点光源の間に擬似的な光源を発生させ、これが実際の光源の像と重なることで、点光源に由来する輝度ムラを低減することができる。
さらに、図29の例においては、非遮光部分とその周辺のエリア(遮光部分のうち、非遮光部分との境界付近の境界エリア)に、点光源に正対する部分領域の光散乱度と点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度が略等しくなるような光散乱加工が施され、領域Aを形成している。
そして、領域Aと領域Bの間には、光散乱加工の設けられていない領域C(入光面に平行な帯状の領域)が存在している。
なお、前記領域Bは、遮光部分と非遮光部分との境界から1mm以上外側から開始することが好ましい。こうすることで、前述した擬似的な光源が、面光源装置やテレビ受信装置の使用時に利用者に視認されることを防ぐことができる。
また、入光面近傍の領域Bにおける点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域に施された光散乱加工(擬似的な光源となる光散乱加工)は、その中央(光源と光源の中間)に向かって光散乱度が上がるグラデーションをかけることが好ましい。こうすることで、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域に左右の点光源から届く光を中央部に向うに従って強く散乱させ、擬似的光源散乱加工部の中央に暗部を発生させず、自然な擬似光源部を設けることができる。また、グラデーションの密度分布としては、点光源と点光源の中間に正対する部分領域(擬似的な光源となる光散乱加工の入光面と平行な向きにおける中央領域)に対し、点光源に正対する部分領域の近傍(擬似的な光源となる光散乱加工の入光面と平行な向きにおける両端)の密度が5%〜80%程度の範囲に設定されたグラデーションであることが好ましく、10%〜70%がより好適であり、20%〜50%がさらに好適であり、30%〜40%が最も好適である。
ドット密度により光散乱度を制御する場合、入光面近傍の領域Bにおける点光源に正対する部分領域のうち最もドット密度の低い領域のドット密度ρ1と入光面近傍の領域Bにおける点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域のうち最もドット密度の高い領域のドット密度ρ2の比(ρ2/ρ1)と、後述のP/Gとが、以下の関係を満たすように、ドット密度ρ1、ρ2を調整することが好ましい。
2.9≦1.4×(P/G)−ρ2/ρ1≦3.1
ここで、ある領域のドット密度ρ(%)とは、その領域に含まれる特定のドット(26
)の中心点と該特定のドットに隣接するドット(A〜F)の中心点とを結ぶ線分の垂直二等分線(26a〜f)で形成される、該特定のドットを囲むように出来る多角形(263)の面積を分母として、該特定のドット(26)の面積を分子とした面積比率を%で表した値のことを言うものとする(図26参照)。
図A1〜10に、出光面及び/又は対向面に施す上記光散乱加工のさらに別の具体例を示す。
また、以下の表に、これらの光散乱加工及び後述する製造例A−11で採用した図33の光散乱加工と、LED配列ピッチ及び導光板の上に積層する光学シート(拡散シート(DS)、プリズムシート(Prism)及び反射型偏光シート(DBEF))の好適な組合せを示す。
なお、表中に特に記載のない場合、導光板の入光面(開口部(底面)が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部(凸部))にその法線方向から光線を入射したときの、出光面と平行な方向(表中においては「面方向」と表示)の拡散角度は、50°以上100°以下であることが好ましく、60°以上85°以下であることがより好ましく、70°以上80°以下が最も好適である。
また、表中に特に記載のない場合、導光板の入光面(開口部(底面)が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部(凸部))にその法線方向から光線を入射したときの、出光面と垂直な方向(表中においては「厚み方向と表示」)の拡散角度は、20°以下であることが好ましく、1°以下であることがより好ましく、0.5°以下が最も好適である。
図A9に示された光散乱加工によって形成された光源と光源の間に擬似的な光源の効果について説明する。
図A9の光散乱加工は、導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:409mm、長さ:721mm)の対向面に施されたものであって、拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から2.5〜3.5mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の光源と光源との間に正対する部分領域においてはρ=50〜100%となるように、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においては、ρ=10%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=9%となるように設けたものであり、それ以外の領域には拡散性ドットは設けられていない。
図A9の光散乱加工が施された導光板の入光面に、図24Cに示した表面プロファイルを有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが透明両面接着シートを用いて貼合し、LED(発光面サイズ5.0mm(幅方向)×3.0mm(厚み方向)、LED数42個)を入光面に沿って配列ピッチPが16.0mmとなるように配置した。
この上に、導光板側から、拡散シート(DS)/プリズムシート(LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有する)/DBEFをこの順で積層し、さらにその上に、外形が導光板及びLEDを十分に覆うサイズで395mm×700mmの開口部を有するフレームを導光板の出光面側に対向するように配置し、面光源装置を作製し、ムラを評価したところ、光散乱加工によって光源と光源の間に形成された擬似的な光源のエリアが、入光面側端部から1.5〜2.5mmの範囲においても2.5〜3.5mmの範囲と同様の密度ρで拡散性ドットが形成された導光板に比べて、より効果的にホットスポットを抑制した、すなわち擬似的な光源としてより強く働いた。
これは入光面側端部1.5mm〜2.5mmにおける光散乱加工は、ホットスポットの抑制にはあまり寄与しないことを示すと共に、むしろ入光面側端部2.5mm〜3.5mmに届く光を少なくしてしまうことで擬似的な光源としての作用を減じてしまっていることを示唆している。
図A2〜図A8及び図33に示す光散乱加工においても、入光面端部2.5mm〜3.5mmの間(これらに施された拡散性ドットのサイズでは、ドットライン一列分に相当)の部分のパターンのみを、図A9の2.5mm〜3.5mmの間のパターンに替えることで上述の効果が得られる。
また、この場合はドットラインが一列分と単純であるため設計も比較的容易になり開発速度の向上にも貢献する。そして、このドット一列部分だけを、別工程の追加印刷で形成したり、追加のドットシールを裏面に貼合することなどで対応することも好ましい。
出光面における出光分布のさらなる均一性を達成するために、入光面近傍の領域における光散乱加工、及びそれ以外の領域における光散乱加工には、さらに、入光面から遠ざかる方向に向かって光散乱度が高まるようなグラデーション(例えば、入光面から離れるに従ってドット面積が広くなるようなグラデーション、同一大のドットを光源から離れるに従ってピッチが狭くなるように配置したグラデーション)も付与することができる。
また、表示装置用の面光源装置の場合、出光分布の均一性を高めつつも、画面中央の輝度が最も高い一様な山型の出光分布とすることが視認しやすく好ましいとされているので、出光面及び/又は対向面に設ける光散乱加工は、さらに、中央部分の光散乱度が高くなるよう構成してもよい。
上述の入光面近傍の光散乱加工は、出光面、対向面のいずれに設けてもよく、両方に設けてもよい。ただし、光散乱加工が視認されやすいものである場合等には、対向面にのみ設けるようにすることが好ましい。
また、出光面及び/又は対向面のうち、光散乱加工を施さない方には、前述した入光面の法線方向に略平行な溝構造を設けても良い。出光面及び/又は対向面にこのような溝構造を設けると、出光面から出る光の広がりを押さえることができるので、導光板をローカルディミングに適したものとすることができる。
また別の態様として、本発明の導光板の出光面及び/又は対向面には、入光面近傍の領域において、点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工を設けることもできる。 このような光散乱加工を出光面及び/又は対向面に設けることにより、入光面に設けた凹凸構造と相俟って(このような光散乱加工と入光面に設けた凹凸構造とが、相互に輝度ムラ低減効果の足りない部分を補完しあって)、出光面の輝度の均一性が飛躍的に向上し、後述のP/Gを大きくすることができる。 なお、「点光源(又は点光源と点光源の間の部分)に正対する部分領域」とは、出光面の入光面に平行な方向をX軸、入光面に垂直な方向をY軸としたときに、略同じY座標を有する領域の部分であって、点光源(又は点光源と点光源の間の部分)と略同じX座標を有する部分領域をいう。
出光面及び/又は対向面において光散乱加工が施されている領域(以下「光散乱加工領域」ともいう。)に関しては、「入光面近傍の領域において、点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成されている」という条件が満たされている限り限定はなく、必ずしも入光面側端部(Y=0)から光散乱加工領域が開始している必要はない。例えば、面光源装置がフレーム(発光エリアを画定する開口部を有するフレーム)を有し、出光面の外周部がこのフレームで覆われる場合など、導光板の出光面のうちの中心部のみが発光エリアとして利用される場合には、入光面側における光散乱加工領域とフレームとのオーバーラップが、10mm程度以下(より好ましくは6mm程度以下)となるような位置から光散乱加工が開始するようにすることが、面内(発光エリア内)平均輝度の観点から好ましい。もっとも、表示装置等に使用したときに、光散乱加工の開始ラインが視認できてしまうのを防ぐ観点から、オーバーラップはある程度、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm程度、存在している方が好ましい。
「入光面近傍の領域において、点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低い」構成の具体的な態様としては、例えば、a.入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域以外に光散乱加工を施す、b.入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域にのみ光散乱加工を施す、c.出光面及び/又は対向面の略全域に光散乱加工を施し、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が低くなるようにする、及び/又は、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が高くなるようにする、等が挙げられる。
光散乱加工に限定はなく、光学材料の分野で一般に採用されているものが使用できる。例えば、反射性あるいは拡散性の材料からなる複数の拡散性ドット(以下、単に「ドット」ともいう。)のパターンを積層や印刷により設けることや、凹凸形状等の複数の3次元ドットのパターンを形成することが挙げられる。ドットの形状に限定はなく、例えば円形、四角形などが挙げられ、その大きさは例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
光散乱度は、例えば、反射(拡散)性材料からなる拡散性ドット中の反射(拡散)性物質の濃度(濃度を高くする程光散乱度は高くなる)、凹凸形状の3次元ドットの形状(例えば、高さを高くするほど光散乱度は高くなる)、ドットが形成されている部分の面積の割合(以下、「ドット密度」という。)(ドット密度を高くするほど光散乱度は高くなる))等を調整することによって制御することができる。ドット密度は、例えば、単位面積あたりのドットの個数を一定にして各ドットの面積を変化させるか、逆に各ドットの面積を一定にして単位面積あたりのドットの個数を変化(ドットのピッチ)させるか、或は、その両方を変化させる等して調整することができる。
図C18、C19に、光散乱加工の具体例を示す。また、図C18の例においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域にドットを設けないようにすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。また、図C19の例においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の各ドットの面積を小さく、また、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の各ドットの面積を大きくすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。
ドット密度により光散乱度を制御する場合、入光面近傍の領域において点光源に正対する部分領域のうち最もドット密度の低い領域のドット密度ρ1と入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域のうち最もドット密度の高い領域のドット密度ρ2の比(ρ2/ρ1)と、後述のP/Gとが、以下の関係を満たすように、ドット密度ρ1、ρ2を調整することが好ましい。 2.9≦1.4×(P/G)−ρ2/ρ1≦3.1 ただし、各部分領域内でドット密度が段階的に変化しているような場合には、ある部分領域のドット密度とは、その部分領域に含まれる特定のドット(26)の中心点と該特定のドットに隣接するドット(A〜F)の中心点とを結ぶ線分の垂直二等分線(26a〜f)で形成される、該特定のドットを囲むように出来る多角形(263)の面積を分母として、該特定のドット(26)の面積を分子とした面積比率を%で表した値のことを言うものとする(図26参照)。
出光面における出光分布のさらなる均一性を達成するために、光散乱加工には、さらに、入光面から遠ざかる方向に向かって光散乱度が高まるようなグラデーション(例えば、入光面から離れるに従ってドット面積が広くなるようなグラデーション、同一面積のドットを入光面から離れるに従ってピッチが狭くなるように配置したグラデーション)も付与することができる。 また、表示装置用の面光源装置の場合、出光分布の均一性を高めつつも、画面中央の輝度が最も高い一様な山型の出光分布とすることが視認しやすく好ましいとされているので、出光面及び/又は対向面に設ける光散乱加工は、さらに、中央部分の光散乱度が高くなるよう構成してもよい。
上述の光散乱加工は、出光面、対向面のいずれに設けてもよく、両方に設けてもよい。ただし、光散乱加工が視認されやすいものである場合等には、対向面にのみ設けるようにすることが好ましい。 また、出光面及び/又は対向面のうち、光散乱加工を施さない方には、前述した入光面の法線方向に略平行な溝構造を設けても良い。出光面及び/又は対向面にこのような溝構造を設けると、出光面から出る光の広がりを押さえることができるので、導光板をローカルディミングに適したものとすることができる。
さらにまた別の態様として、本発明の導光板の出光面及び/又は対向面には、フレーム(面光源装置)及び/又は遮光枠(表示装置)に遮蔽されている遮光部分において、入光面近傍の領域に、点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工を設けることもできる。
このような点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を出光面及び/又は対向面の入光面近傍の領域に設けることにより、入光面に設けた凹凸構造と相俟って(このような出光面及び/又はその対向面に点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工と入光面に設けた凹凸構造とが、相互に輝度ムラ低減効果の足りない部分を補完しあって)、出光面の輝度の均一性が飛躍的に向上し、後述のP/Gを大きくすることができる。
なお、「点光源(又は点光源と点光源の間の部分)に正対する部分領域」とは、出光面の入光面に平行な方向をX軸、入光面に垂直な方向をY軸としたときに、略同じY座標を有する領域の部分であって、点光源(又は点光源と点光源の間の部分)と略同じX座標を有する部分領域をいい、「点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低い(又は略等しい)」とは、点光源に正対する部分領域(点光源と略同じX座標を有する部分領域)の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域(点光源と点光源の間の部分と略同じX座標を有する部分領域)の光散乱度よりも低い(又は略等しい)ことをいう。
出光面及び/又は対向面のフレーム(面光源装置)又は遮光枠(表示装置)に遮蔽されている遮光部分において施された、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工は、遮光部分の入光面近傍の領域の少なくとも一部に施されていればよく、例えば、遮光部分のうち入光面に平行な帯状のエリアか、或は、非遮光部分との境界から1mm以上外側(入光面側)の入光面に平行な帯状のエリア内、に施されていることが好ましい。
また、この光散乱加工は、必ずしも入光面側端部(Y=0)から開始している必要はない。
出光面及び/又は対向面の遮光部分の、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工が施された領域以外の領域(例えば、非遮光部分と入光面近傍との間に挟まれた(遮光部分と非遮光部分との境界付近に位置する)境界エリアや、導光板の入光面に対して垂直な辺に平行なエリア)については、光散乱加工を設けても設けなくてもどちらでもよいが、出光面(対向面)の点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域については、面内を通して(遮光部分、非遮光部分を通して)、光散乱度が前述のY軸方向に急激に変化しないことが好ましいため(光散乱度が連続していることが好ましいため)、光散乱度がY軸方向に急激に変化しないように適宜光散乱加工を設けることが好ましい。
また、上述の境界エリアにおいては、点光源に正対する部分領域の光散乱度と、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度とが略等しくなるようにすることが好ましい。
「点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源の間の部分に正対する部分」領域の光散乱度よりも低」くなる構成の具体的な態様としては、例えば、a.点光源と正対する部分領域以外に光散乱加工を施す(点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域に光散乱加工を施す)、b.入光面近傍の領域において略全域に光散乱加工を施し、点光源と正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が低くなるようにする(点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域については他の部分領域より光散乱度が高くなるようにする)等が挙げられる。
光散乱加工に限定はなく、光学材料の分野で一般に採用されているものが使用できる。例えば、反射性あるいは拡散性の材料からなる複数の拡散性ドット(以下、単に「ドット」ともいう。)のパターンを積層や印刷により設けることや、凹凸形状等の複数の3次元ドットのパターンを形成することが挙げられる。ドットの形状に限定はなく、例えば円形、四角形などが挙げられ、その大きさは例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
光散乱度は、例えば、反射(拡散)性材料からなる拡散性ドット中の反射(拡散)性物質の濃度(濃度を高くする程光散乱度は高くなる)、凹凸形状の3次元ドットの形状(例えば、高さを高くするほど光散乱度は高くなる)、ドットが形成されている部分の面積の割合(以下、「ドット密度」という。なお、領域内でドット密度が段階的に変化している場合には、領域のドット密度は、図26記載のように、ドット26の中心と隣接するドットA〜Fの中心とを結ぶ線分の垂直2等分線26a〜26fによって囲まれる多角形262の面積に対するドット26の面積の割合(%)をいい、ドット密度を高くするほど光散乱度は高くなる)等を調整することによって制御することができる。ドット密度は、例えば、単位面積あたりのドットの個数を一定にして各ドットの面積を変化させるか、逆に各ドットの面積を一定にして単位面積あたりのドットの個数を変化(ドットのピッチ)させるか、或は、その両方を変化させる等して調整することができる。
この態様において、導光板の出光面及び/又は対向面の、フレーム(面光源装置)又は遮光枠(表示装置)に遮蔽されていない非遮光部分からなる領域においては、点光源に正対する部分領域の光散乱度と、点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度とが略等しいことが好ましい。非遮光部分には、光散乱加工を設けても設けなくてもどちらでもよいが、出光面(対向面)の点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域については、面内を通して、光散乱度が前述のY軸方向に急激に変化しないことが好ましいため(光散乱度が連続していることが好ましいため)、光散乱度がY軸方向に急激に変化しないように適宜光散乱加工を設けることが好ましい。
図C18、C19に、出光面及び/又は対向面に施す光散乱加工の具体例を示す。また、図C18の例においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域に光散乱加工を設けないようにすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。また、図C19の例においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の各ドットの面積を小さく、また、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の各ドットの面積を大きくすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。
図27に、本発明の面光源装置と表示装置の一例の断面図を示す。面光源装置の発光エリアはフレーム(BLフレーム)により画定(制限)され、表示装置の表示エリアは遮光枠(ブラックマトリックス)によって画定(制限)されている。
図F28に、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工と、遮光部分/非遮光部分との位置関係の具体例を示す。
図F28の例においては、遮光部分(すなわち、表示エリアないしは発光エリアの外側)のうち入光面と平行な帯状のエリアに、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間に部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工が施されており、この点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間に部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工においては、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の各ドットの面積を小さく、また、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の各ドットの面積を大きくすることによって、入光面近傍の領域において点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるようにしている。
非遮光部分(すなわち、表示エリアないしは発光エリア)においては、点光源と正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度と略等しくなるように光散乱加工が施されている。具体的には、ドット密度により光散乱度を制御する場合、同じ領域に属する部分領域(同じY座標を有する部分領域)のうち最もドット密度の低い部分領域のドット密度ρ1と最もドット密度の高い部分領域のドット密度ρ2の比(ρ2/ρ1)が、ρ2/ρ1≦1.2であることが好ましく、ρ2/ρ1≦1.1であることがさらに好ましく、ρ2/ρ1=1とするのが最も好ましい。
点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工と、遮光部分/非遮光部分との位置関係を、上記のようにする(すなわち、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を、遮光部分内に収める)ことで、発光面/表示面の輝度ムラを正面からだけでなく、斜めからも視認されないようにすることができる。
図F29に、点光源に正対する部分領域の光散乱度が、点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工と、遮光部分/非遮光部分との位置関係の別の具体例を示す。
図F29の例においては、図C18と同様に、遮光部分のうち、入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域(の一部)にのみ光散乱加工を施し、点光源に正対する部分領域には光散乱加工が施されていない。
具体的には、遮光部分内の、非遮光部分(表示エリアないしは発光エリア)との境界から0mm以上(例えば、数mm程度)外側(入光面側)に設定された入光面に平行な帯状のエリアB内の、点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域にのみ、非遮光部分のドット密度より2倍〜10倍高い密度でドットを形成している。
このように、遮光部分の点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域にのみ光散乱加工を施すことにより、点光源と点光源の間に擬似的な光源を発生させ、これが実際の点光源の像と重なることで、点光源に由来するムラを低減することができる。
なお、図F29の例においては、遮光部分のうち、非遮光部分との境界付近のエリア(境界エリア)には、点光源に正対する部分領域の光散乱度と点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度が略等しくなるような光散乱加工が施され、非遮光部分と共に、エリアAを形成している。
前記エリアBは、遮光部分と非遮光部分との境界から1mm以上外側とすることが好ましい。こうすることで、前述した擬似的な光源が、面光源装置や表示装置の使用時に利用者に視認されることを防ぐことができる。
また、前述の擬似的な光源となる光散乱加工部(入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域に施された光散乱加工)は、その中央(点光源と点光源の中間)に向かって光散乱度が上がるグラデーションをかけることが好ましい。こうすることで、点光源と点光源の間の部分に左右の点光源から届く光を中央部に向うに従って強く散乱させ、擬似的光源散乱加工部の中央に暗部を発生させず、自然な擬似光源部を設けることができる。
ドット密度により光散乱度を制御する場合、入光面近傍の領域において点光源に正対する部分領域のうち最もドット密度の低い部分領域のドット密度ρ1と入光面近傍の領域において点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域のうち最もドット密度の高い部分領域のドット密度ρ2の比(ρ2/ρ1)と、後述のP/Gとが、以下の関係を満たすように、ドット密度ρ1、ρ2を調整することが好ましい。
2.9≦1.4×(P/G)−ρ2/ρ1≦3.1
ただし、各部分領域内でドット密度が段階的に変化しているような場合には、ある部分領域のドット密度とは、その部分領域に含まれる特定のドット(26)の中心点と該特定のドットに隣接するドット(A〜F)の中心点とを結ぶ線分の垂直二等分線(26a〜f)で形成される、該特定のドットを囲むように出来る多角形(263)の面積を分母として、該特定のドット(26)の面積を分子とした面積比率を%で表した値のことを言うものとする(図26参照)。
出光面における出光分布のさらなる均一性を達成するために、入光面近傍の光散乱加工及びそれ以外の適宜施される光散乱加工には、さらに、入光面から遠ざかる方向に向かって光散乱度が高まるようなグラデーション(例えば、入光面から離れるに従ってドット面積が広くなるようなグラデーション、同一面積のドットを入光面から離れるに従ってピッチが狭くなるように配置したグラデーション)も付与することができる。
また、表示装置用の面光源装置の場合、出光分布の均一性を高めつつも、画面中央の輝度が最も高い一様な山型の出光分布とすることが視認しやすく好ましいとされているので、出光面及び/又は対向面に設ける光散乱加工は、さらに、中央部分の光散乱度が高くなるよう構成してもよい。
上述の入光面近傍の光散乱加工は、出光面、対向面のいずれに設けてもよく、両方に設けてもよい。ただし、光散乱加工が視認されやすいものである場合等には、対向面にのみ設けるようにすることが好ましい。
また、出光面及び/又は対向面のうち、光散乱加工を施さない方には、前述した入光面の法線方向に略平行な溝構造を設けても良い。出光面及び/又は対向面にこのような溝構造を設けると、出光面から出る光の広がりを押さえることができるので、導光板をローカルディミングに適したものとすることができる。
次に、本発明の面光源装置について説明する。
図9に本発明の面光源装置の一例の概略図を示す。
本発明の面光源装置9は、導光板91と、導光板の入光面93の近傍に配置された複数の点光源92と、導光板91の出光面と対向するように配置されたフレーム(非図示)を有する。
点光源に限定はないが、LED(発光ダイオード)を用いることが好ましい。LEDは低消費電力で高輝度の光が得られ、温度が低い場合でも明るく発光するので、点灯直後から十分な照度を有する面光源装置、照明装置を提供することができる。LEDの種類に限定はなく、例えば、青色LEDにより緑色、赤色蛍光体を励起するワンチップタイプの擬似白色LED、赤色/緑色/青色LEDを組み合わせて白色光を作るマルチチップタイプ、更には近紫外LEDと赤色/緑色/青色蛍光体を組み合わせたワンチップタイプの擬似白色LED等が挙げられる。
図10に本発明で使用できる箱型のLED10の一例の概略図を示す。なお、LEDの外形や発光面のサイズに限定はないが、外形が5.6mm(幅)×3.0mm(高さ)×1.0mm(厚み)程度で、発光面101の横幅102が5mm以下のものが一般的に使用されている。
点光源の発光面と導光板の入光面の距離は、0.1mm以上1.5mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。導光板と発光面の距離を離すと、導光板に入射する光の量は、逆2乗の法則により減少し、結果的に出光面からでる光の総量も減少してしまう。従って、点光源の発光面と導光板の入光面の距離は近いことが好ましい。一方、点光源の周辺では熱が発生し、導光板が膨張するため、膨張に耐えうる隙間を残しておく必要がある。
点光源の配置方法に限定はないが、導光板の入光面に沿って(出光面に平行に)一直線上に等間隔(「等間隔」には±10%の誤差を含むものとする)に配置することが好ましい。この場合、点光源の配列ピッチPは、例えば、点光源の幅(外形)〜200mm程度にするのが一般的である。輝度ムラ防止の観点からは、点光源はなるべく密に配置されている方がよく、基板上への実装制約の観点ではある程度距離が開いている方が良い。点光源の配列ピッチは、好ましくは5mm〜200mm、より好ましくは10〜100mmである。
もっとも、本発明の面光源装置においては、導光板として、出光面における入光面近傍の輝度ムラが低減された導光板を使用するので、点光源の配列ピッチが多少大きくても、ホットスポットのない出光面を実現することができる。具体的には、例えば、20mm〜50mm、30mm〜50mm、又は40mm〜50mm程度であれば輝度ムラを許容できる範囲内に抑えることができる。
以上においては、LEDとして、図K1で示されるようなランバート形LEDを前提に説明をしてきた。ランバート型LEDとは、発光面が略平面となっていて、内部に拡散性の強い蛍光体が分散された層を有するLEDであり、全方位に対してランバートモデルに近い配光で発光することが特徴である。
ここで、本発明の導光板の入光面に設けられた凹凸構造の作用効果は、単純に凹凸構造で光を広げるというだけではなく、本来LEDが広い方向に発光した光が入光面から導光板内部に入射する際、図K4に示すように屈折によってその広がりが抑制されてしまうことを防ぎ、図K5に示すように広い角度のままで入射させることにもある。
そこで、点光源として、表面に図K2で示すようなレンズを有する高拡散LEDを用いれば、LEDの発光強度の角度分布を、図K3に示すようにすることが可能で、広角度方向に強く配光することが出来る。広角度方向の光は図K5のように導光板の中に凹凸面を介して広角度で入射することが可能になる。
したがって、本発明においては、点光源として、その表面に、入光面の長さ方向と平行に切断した断面においてLEDの中央に正対する箇所が凹んでいるレンズを有するLED(高拡散LED)を使用することも好ましい。
導光板の入光面の凹凸構造と上述の高拡散LEDを組み合わせることによって(例えば、図K6)、ランバート型LEDと凹凸構造との組合せで得られた効果を大きく超えるようなホットスポット抑制能力が得られ、LEDの削減さらには狭額縁化にも貢献する。また、図33などで代表される出光面及び/又は対向面の光散乱加工との組合せによりその効果はさらに増大させることが可能である。
本発明の面光源装置は、さらに、導光板の出光面と対向するように配置された、面光源装置の発光エリア(照射エリア)を画定するフレームを有する。フレームは、点光源の光を透過しない材料で構成され、発光エリアに対応する領域は、例えば、開口部で構成される。
フレームは、導光板や点光源をその中に収納することができるような覆い部をさらに有するものとしてもよく、光源等をその中に隠して、面光源装置をすっきりとした外観にすることができる。
フレームは、発光エリアが導光板の入光面よりも内側から始まるように構成される。
さらに、導光板の出光面及び/又は対向面に前述のような光散乱加工が施されている場合には、発光エリアが導光板の出光面及び/又は対向面の、入光面近傍の、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工が施されている領域よりも内側から始まるように構成されていることが好ましい。
換言すると、導光板の出光面及び/又は対向面の上記光散乱加工が施されている領域が、少なくとも1つの入光面側において、フレームの開口部に正対する範囲より外側、好ましくは0〜10mm(ただし、0mmは含まず)、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1〜4mm、特に好ましくは2mm外側、から始まる。このようにするようにすると、光散乱加工のスタートラインが画面側から視認できてしまうおそれがなくなると共に、高い面内(発光エリア内)平均輝度を確保することができる。
本発明の面光源装置においては、導光板、点光源及びフレームに加え、拡散シートや反射シート等の、所謂エッジライト方式の面光源装置において一般に採用される光学要素をさらに含むことができる。具体的には、拡散シートを導光板の出光面上方に配置したり、反射シートを導光板の対向面下方に配置することができる。さらに、導光板の出光面上方には、拡散シート以外にも、プリズムシートや、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシートなどの集光シートや、液晶パネルの偏光板での光学損失を回避するための偏光反射シートなどを配置することもできる。
特に、導光板の出光面上方に、LEDの配置された入光面に対して略垂直な稜線を有する溝構造を表面に有するレンズシートを積層すると、本発明の輝度ムラ低減効果が非常に強く得られるため好ましく、レンズシートは、溝構造が略三角柱で構成されているプリズムシートであることが好ましい。さらに、加えて、LEDの配置された入光面に対して略平行な稜線を有する溝構造を表面に有するレンズシートを組み合わせると、斜め方向からみたときの輝度ムラが改善されるため好ましい。また、その際、プリズムシートと導光板との間に拡散シートを介在させると、導光板の光散乱加工が視認されにくくなると共に、細かいムラも改善されるため好ましい。さらに、組み合わせて使用する表示パネルとの干渉による光学シートの傷付等を防止するために、一番外側には拡散シート(その拡散性は、前述の拡散シートの拡散性よりも低いものであることが好ましい)を配置することが好ましい。
本発明の面光源装置においては、とりわけ、導光版の出光面上方に、少なくとも、拡散シート、LEDが配置された入光面に対して略垂直な稜線を有する溝構造を表面に有するプリズムシート、LEDが配置された入光面に対して略平行な稜線を有する溝構造を表面に有するプリズムシート、及び拡散シート、の4枚の光学シートをこの順で積層すると(図23参照)、輝度ムラがほとんどなく、しかも、導光板に設けた光散乱加工等が視認されることもない、非常に高品位の面光源装置が得られる。
プリズムシート、拡散シートとしては、面光源装置等において一般に使用されているものが使用できる。例えば、導光板の出光面と接する拡散シート(以下、「下拡散シート」という。)としては、総厚215μmで、その内訳が、厚さ188μmPET基材上の表示面側に、数μm〜数十μmオーダーのシリカビーズ等の透明粒子を分散し、前記ビーズ
がUVないしは熱硬化性樹脂を厚さ10μm前後バインダーとしてコーティングされ(ここで、ビーズの多くはバインダーから頭を出すようにコーティングされており、これにより適切な拡散性と集光性を得ている)、表示面側からみて反対側に、帯電や密着を防ぐためのコート層が厚さ10μm前後で設けられた(コート層により、導光板との密着による不具合などを防いでいる。このコート層には、少量のビーズや、表面抵抗を下げるための脂肪酸塩が添加される。)ものを使用することができる。
表示面側に配置された拡散シート(以下、「上拡散シート」という。)としては、総厚220μmで、その内訳が、厚さ188μmPET基材上の表示面側に、数μm〜数十μ
mオーダーのシリカビーズ等の透明粒子が下拡散シートより少なく分散し、前記ビーズがUVないしは熱硬化性樹脂を厚さ10μm前後バインダーとしてコーティングされ(ここで、ビーズの多くがバインダーの中に埋まるようコーティングされており、これにより適切な拡散性を抑えつつ、パネル等との干渉による傷付を防いでいる。)、表示面側からみて反対側に、下拡散シートと同様に帯電や密着を防ぐためのコート層が厚さ10μm前後で設けられた(コート層により、プリズムシートとの密着による不具合などを防いでいる。このコート層には、少量のビーズや、表面抵抗を下げるための脂肪酸塩が添加される。上拡散シートの場合、パネルとの密着を防ぐ観点から、表示面側も同様な設計をとることも多い。)ものを使用することができる。
プリズムシートとしては、例えば、厚み250μmのPET基材の表示面側に、UV硬化性樹脂を厚み15μm〜20μmで頂角が略90°のプリズムが略50μmのピッチで賦形された光学シートを使用することができる。表示面側からみて反対側には、前記拡散シートと同様に帯電や密着を防ぐためのコート層が厚さ15μm〜20μmで設けられており、積層された他の光学シートとの密着や、摩擦係数増加による傷つきなどの不具合を防いでいる。このコート層には、少量のビーズや、表面抵抗を下げるための脂肪酸塩が添加される。
また、面光源装置は、上記の点光源に電力を供給する電源を有し、電流量やオンオフをコントロールする制御回路を有していてもよい。
本発明の面光源装置は一般照明装置として使用することもできる。以下に本発明の面光源装置を一般照明装置に使用する場合について説明する。
図C2−11に本発明の照明装置の一例(屋内天井照明)の断面図を示し、図C2−9にその内部の概略図を示す。
本発明の照明装置C2−9は、発光エリア(照射エリア)を画定する開口部C2−901を有するフレームC2−90(図9には図示せず)と、導光板C2−91と、導光板の入光面の近傍(フレームの背面)に配置された複数の点光源(図C2−11には図示せず)とを有する。
本発明の面光源装置を一般照明装置として使用する場合においても、点光源に限定はないが、LED(発光ダイオード)を用いることが好ましい。LEDは低消費電力で高輝度の光が得られ、室温が低い場合でも明るく発光するので、点灯直後から十分な照度を有する照明装置を提供することができる。LEDの種類に限定はなく、例えば、青色LEDにより緑色、赤色蛍光体(或いはYAG等の黄色蛍光体)を励起するワンチップタイプの擬似白色LED、一つのLEDパッケージに二つ以上の青色LEDチップが実装され、緑色、赤色蛍光体(或いはYAG等の黄色蛍光体)を励起する2in1擬似白色LED、赤色/緑色/青色LEDを組み合わせて白色光を作るマルチカラーチップタイプ、更には近紫外LEDと赤色/緑色/青色蛍光体を組み合わせたワンチップタイプの擬似白色LED等が挙げられる。
図10に使用できる箱型のLED10の一例の概略図を示す。LEDの外形や発光面のサイズに限定はない。液晶表示装置等のバックライトにおいては、外形が5.6mm(幅)×3.0mm(高さ)×1.0mm(厚み)程度で、発光面101の横幅102が5mm以下のものが一般的に使用されているが、一般照明装置においては液晶表示装置等のバックライトにおいて使用されているものより若干大きいものが好ましく、外形が6.0mm(幅)×5.0mm(高さ)×1.5mm(厚み)程度で、発光面101の横幅102が5.5mm以下程度であるものが好ましい。
また、一般的なLEDの供給電流は20mA〜160mA程度であるが、一般照明装置においては、供給電流が200mA〜1Aクラスのラージチップ型大出力LEDを用いることもできる。このような大出力LEDを用いる場合には、使用するLEDの数が飛躍的に減少し製造コストが安価となるが、その一方で、ホットスポットの問題が大きくなる。そのため、ホットスポットの低減という本発明の効果がより重要となる。
点光源の発光面と導光板の入光面との距離は、0.1mm以上1.5mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
これは、導光板と発光面の距離を離すと、導光板に入射する光の量は、逆2乗の法則により減少し、結果的に出光面からでる光の総量も減少してしまう。従って、点光源の発光面と導光板の入光面の距離は近いことが好ましいためである。また、点光源の周辺では熱が発生し、導光板が膨張するため、膨張に耐えうる隙間を残しておく必要がある。
点光源の配置方法に限定はないが、導光板の入光面に沿って(出光面に平行に)一直線上に等間隔(「等間隔」には±10%の誤差を含むものとする)に配置することが好ましい。この場合、点光源の配列ピッチPは、例えば、点光源の幅(外形)〜200mm程度にすることができる。輝度ムラ防止の観点からは、点光源はなるべく密に配置されている方がよく、基板上への実装制約や製造コストの観点ではある程度距離が開いている方が良い。点光源の配列ピッチは、好ましくは6mm〜200mm、より好ましくは10〜100mmである。
もっとも、本発明においては、導光板として、出光面における入光面近傍の輝度ムラが低減された導光板を使用するので、点光源の配列ピッチが多少大きくても、具体的には80mm〜200mm、100mm〜200mm、又は120mm〜200mm程度であっても、ホットスポットの抑制された出光面を実現することができる。
フレームは、導光板や点光源をその中に収納することができるものとしてもよく、これにより光源等をフレームの後ろに隠して、照明装置をすっきりとした外観にすることができる。
導光板の入光面近傍では輝度ムラが発生するので、フレームの開口部は、発光エリアが、導光板の入光面よりも内側から始まるように設計されることが好ましい。
すなわち、導光板91の入光面93とフレームの開口部との間の水平距離G(導光板91上にフレーム開口部に相当する領域94を投影したときのその領域94と入光面93との距離(図9参照))を一定以上確保するように設計されることが好ましい。
もっとも、本発明の導光板は、入光面近傍の輝度ムラが低減されているので、これを利用する一般照明装置においては、従来の導光板を用いた場合ほど発光エリアを内側に形成する必要はない(Gを大きくする必要はない)。
具体的には、導光板の入光面と表示エリアとの間の水平距離Gを、点光源の配列ピッチPに対して、G<P(P/G>1)とすることができ、さらにはG<P/2(P/G>2)、あるいはG<P/4(P/G>4)とすることもできる。
PとGの関係を上記のように設計することができると、フレームが薄い、スタイリッシュな照明装置を実現することができ、また、使用する点光源の数を減らすこともできるので省電力化も図れる。なお、Gの大きさは、上述のとおりPとの兼ね合いで決まるが、例えば、0.1〜30mm、0.1〜20mm又は0.1〜10mmとすることができる。
なお、後述する実施例にて示すように、点光源の配列ピッチPを変化させても、導光板の入光面と発光エリアとの間の水平距離Gを変化させても、P/Gが同じ値ならば、同じ輝度ムラ低減性能を示す。
導光板が入光面を2つ有する場合、第一の入光面の近傍に配置された点光源の配列ピッチをP1、第二の入光面の近傍に配置された点光源の配列ピッチをP2、前記第一の入光面と前記開口部との間の水平距離をG1、前記第二の入光面と前記開口部との間の水平距離をG2としたときに、P1/G1:P2/G2=100:90〜100:110の範囲内であることが好ましく、P1/G1:P2/G2=100:95〜100:105の範囲内であることがより好ましく、P1/G1=P2/G2であることが好ましい。
また、G1とG2は必ずしも同一にする必要はない。
一般照明装置は、導光板及び点光源に加え、拡散シートや反射シート等の光学要素をさらに含むことができる。具体的には、拡散シートを導光板の出光面側に対向するように配置したり、反射シートを導光板の対向面側に対向するように配置することができる。さらに、導光板の出光面側には、拡散シート以外にも、プリズムシートや、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシートなどの集光シートを配置することもできる。また、上記の点光源に電力を供給する電源を有し、電流量やオンオフをコントロールする制御回路を有していてもよい。
一般照明装置には、導光板の出光面側に、汚れ防止等の目的でカバーを設けてもよい。
また、避難誘導灯(図C2−12)として使用する場合には、導光板の出光面側に、避難者の誘導方向を表示するパネルを配置する。
本発明の面光源装置を一般照明装置として使用する場合、その最大輝度に限定はないが、本発明の面光源装置では輝度ムラが改善され、輝度の大きい部分と小さい部分との差が小さいので、輝度の大きい部分の輝度を一般照明装置に広く使用されているHCFL(熱陰極管、いわゆる蛍光灯)の表面輝度と同等ないしはそれ以下にすれば、一般照明としての性能は十分であり、逆に、利用者に眩しさを感じさせることもない。このような観点から、本発明の面光源装置を利用する一般照明装置においては、複数の点光源の点灯時における出光面の最大輝度がいずれの方向から測定しても10,000cd/m2以下であることが好ましく、より好ましくは8,000cd/m2〜10,000cd/m2さらに好ましくは9,000cd/m2〜10,000d/cm2である
次に、本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は、面光源装置の光の透過を調整することによって表示をする表示エリア及び該表示エリアを画定する遮光枠を有する表示パネルと、表示パネルの背面に配置された面光源装置とを有する。
本発明の表示装置においては、面光源装置として、前述した面光源装置を用いることができる。
導光板の入光面近傍では輝度ムラが発生し十分な表示品質を保証できないので、表示パネルの表示エリア(アクティブエリア)は、導光板の入光面よりも内側から始まるように設計されることが好ましい。
すなわち、導光板91の入光面93と表示エリアとの間の水平距離G(導光板91上に表示エリアに相当する領域94を投影したときのその領域94と入光面93との距離(図9参照))を一定以上確保するように設計されることが好ましい。
もっとも、本発明の導光板は、入光面近傍の輝度ムラが低減されているので、これを使用する本発明の表示装置においては、従来の導光板を用いた場合ほど表示エリアを内側に形成する必要はない(Gを大きくする必要はない)。
具体的には、本発明の表示装置においては、導光板の入光面と表示エリアとの間の水平距離Gを、点光源の配列ピッチPに対して、G<P/2.5(P/G>2.5)としてもよく、さらにはG<P/3(P/G>3)、G<P/4(P/G>4)とすることもできる。
PとGの関係を上記のように設計することができると、額縁と呼ばれる表示パネルに形成される表示エリアの外枠部が薄い、スタイリッシュな表示装置を実現することができ、また、使用する点光源の数を減らすこともできるので省電力化も図れる。なお、従来の表示装置におけるPとGの関係は、せいぜいP/G≦0.7程度である。なお、Gの大きさは、上述のとおりPとの兼ね合いで決まるが、例えば、0.1〜30mm、0.1〜20mm又は0.1〜10mmとすることができる。
なお、点光源の配列ピッチPを変化させても、導光板の入光面と表示エリアとの間の水平距離Gを変化させても、P/Gが同じ値ならば、同じ輝度ムラ低減性能を示す。
本発明の表示装置に含まれる導光板が入光面を2つ有する場合、第一の入光面の近傍に配置された点光源の配列ピッチをP1、第二の入光面の近傍に配置された点光源の配列ピッチをP2、前記第一の入光面と前記表示エリアとの間の水平距離をG1、前記第二の入光面と前記表示エリアとの間の水平距離をG2としたときに、P1/G1:P2/G2=100:90〜100:110の範囲内であることが好ましく、P1/G1:P2/G2=100:95〜100:105の範囲内であることがより好ましい。
また、G1とG2は必ずしも同一にする必要はない。例えば、表示装置の下辺部にはスピーカー等を設ける場合もあるので、スペース確保のために下辺部の方のみGを小さくするなどということも可能である。
表示パネルは、液晶表示パネルであることが好ましい。液晶表示パネルとしては従来使用されているものを使用することができるが、その構成の一例の概略を図11に示すと共に、以下に説明する。
図11は液晶表示パネル11の一例の正面概略図である。点線111の外側が遮光枠(ブラックマトリックス)113であり、内側が表示エリア112である。遮光枠(ブラックマトリックス)113の裏側にパネル配線(図示せず)等が存在する。図11において、114、115は、それぞれ、ソースライン(後述、図示せず)に電圧を印加するためのドライバICであるソースチップ、ゲートライン(後述、図示せず)に電圧を印加するためのドライバICであるゲートチップである。
透過型の液晶表示パネルでは、一般に、透明基板上にマトリクス状に配置された多数の画素電極が、透明基板上に配置されたアクティブマトリクス素子によって駆動される。透明基板上にアクティブマトリクス素子および画素電極が設けられたアクティブマトリクス基板には、液晶層が積層状態で設けられており、この液晶層を挟んでアクティブマトリクス基板と対向するように対向基板が配置されている。対向基板は、対向電極が設けられた透明基板であり、この対向電極が液晶層における表示領域に対向している。
アクティブマトリクス基板に設けられたアクティブマトリクス素子には、各画素電極にそれぞれ接続されたアクティブ素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)が設けられている。また、アクティブマトリクス素子には、行方向に沿って相互に平行に配置された複数のゲートラインと、各ゲートラインと直交する列方向に沿って相互に平行に配置された複数のソースラインとが設けられており、各ゲートラインと各ソースラインとの交差部近傍に各TFTがそれぞれが配置されている。そして、各TFTは、近接する交差部をそれぞれ形成するゲートラインおよびソースラインのそれぞれに接続されている。
各TFTは、それぞれが接続されたゲートラインから供給されるゲート信号によってオンして、それぞれが接続されたソースラインから供給されるソース信号を、それぞれに接続された画素電極に供給するように構成されている。
このような液晶表示パネルにおいては、通常、1フレーム毎に、アクティブマトリクス基板において行方向に沿って配置された各ゲートラインに対して、列方向に沿った順番に線順次にゲート信号(水平同期信号)が供給されるようになっており、列方向に隣接するゲートラインに対して連続してゲート信号が供給される。
本発明の表示装置の表示パネルは、表示装置の表示エリアを画定する遮光枠を有する。
遮光枠は、点光源の光を透過しない材料で構成され、表示エリアに対応する領域は開口部となっているか、点光源の光を透過する材料で構成される。このような遮光枠の具体例としては、表示エリア以外の領域(枠部分)にのみカーボンブラック等の遮光剤が混入されたカラーフィルターが施されたガラス基板等が挙げられる。
遮光枠は、表示装置の表示エリアが導光板の入光面よりも内側から始まるように構成され、さらに、表示エリアが導光板の出光面及び/又は対向面の入光面近傍に施された、光源に正対する領域の光散乱度が光源と光源の間の部分に正対する領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工よりも内側から始まるように構成されている。
換言すると、導光板の出光面及び/又は対向面の上記光散乱加工が施されている領域が、少なくとも1つの入光面側において、遮光枠の内枠に正対するラインより外側、好ましくは0〜10mm(ただし、0mmは含まず)、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1〜4mm、特に好ましくは2mm外側、から始まる。このようにすると、光散乱加工のスタートラインが画面側から視認できてしまうおそれがなくなると共に、高い面内(表示エリア内)平均輝度を確保することができる。
本発明の表示装置は、携帯情報端末やパソコンのモニタ等の各種用途に使用することができる。例えば、本発明の表示装置を放送映像信号を受信するチューナーとを組み合せることにより、本発明のテレビ受信装置とすることができる。図12にこのようなテレビ受信装置12の構成の一例を示す。図12のテレビ受信装置12は、本発明の表示装置121を、スピーカー1221の設けられた前キャビネット122;テレビチューナー回路基板123、電源回路基板124、制御回路基板125等の各種回路基板;裏キャビネット126及びスタンド127等と組み合せたものである。
次に、本発明において用いる導光板の入光面に貼合される、表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する樹脂層(光拡散層)としても好適に利用できる、拡散シートの光拡散層に関する本願明細書第1発明について説明する。 明細書第1発明は、液晶表示装置等の背面照明(back lighting)に用いられる拡散シートとりわけ、その光拡散層に関する。
現在、液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ノートパソコン等の幅広い分野で利用されている。 液晶表示装置に使用する光源ユニットを大別すると、液晶表示パネル配置側を上方としたとき、当該液晶表示パネルの直下に光源を複数配置した構成の直下型光源ユニットと、液晶パネルの直下に配置した導光体の側端面に光源を配置した構成のエッジライト型光源ユニットとがある。
上記のような各種液晶表示装置に使用される光源ユニットは、表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給し、かつできるだけ多くの光を供給することが要求される。 すなわち光源ユニットには、光拡散性に優れると共に、高い輝度が得られるという光学特性が要求される。
ところで、前記のエッジライト型光源ユニットにおいては、導光体の側端面に光源が配置されているため、光源ユニット自身を薄型化できるという長所を有する反面、導光体を通すことにより輝度が低くなるという短所を有している。 これに対して、前記の直下型光源ユニットは、高い輝度が得られるという長所を有する反面、液晶表示パネル面の光源の上部と光源間の上部との間での輝度が不均一化しやすいという短所を有している。そのため、直下型光源ユニットにおいては、光源と液晶表示パネルとの間隔をある程度取った上で、光を拡散させる機能を有する光学シート、例えば拡散板を、光源と液晶表示パネルとの間に配置するようにしている。
前記拡散板としては、光を拡散する粒子や気泡を含有する樹脂板や、透明基板の表面に微細な凹凸形状が付与された構成のものが知られているが、高い輝度を得るためには、光の透過率の損失が少ない後者がより好ましい。
前記凹凸形状を拡散板の表面に付与する方法としては、所定の金型を用いて樹脂を射出成形する手法や、ダイヤモンド刃によって凹凸構造をロールに加工し、それを用いて押出成形する手法がある。
しかし、前記のような機械的に凹凸を形成する方法は、多くの時間がかかり、コスト高になるという問題がある。また、前記のような機械的に凹凸を形成する方法においては、数十μm程度の構造が限界であり、さらには、形状の均一性を高めることが容易ではないという問題がある。 これに対して、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸形状を記録し、パターン転写用の金型を製造し、この金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸を形成し、ホログラム導光板を作製する技術が提案されている(例えば、特開2001−23422号公報中、図41参照。)。
一方において、近年、液晶表示装置の薄型化が進行しており、光源と、該光源からの光を拡散させるための光学シート(例えば、上述のホログラム導光板、及び拡散板)との間の距離をより縮めたいとの要求がある。 また、コスト低減及び消費電力低減のため、光源ユニットの光源数を削減したいとの要求もある。
しかしながら、図B1(a)、(b)に模式的に示すように、光源ユニットにおいて、光源のピッチ(p)と光源B1−光学シートB2との間の距離(h)との比(p/h)が大きくなるほど、つまり、hが小さくなるほど(図B1(a)のha)、及び/又は、pが大きくなる(図B1(b)のpa)ほど、輝度むらが顕著になる。 ここで「輝度むら」とは、液晶表示パネルの画面上において光源照度の強弱分布に由来する明暗が見える現象を言う。 液晶表示装置においては、かかる輝度むらの低減化が要求されている。
前記特開2001−23422号公報に開示されている従来技術においては、未だ十分に輝度むらを軽減させることができず、液晶表示装置の薄型化や、光源数の削減の要求には対応できない。 そこで明細書第1発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑みて、輝度むらを軽減化できる拡散シート及び光源ユニットを提供することを目的とする。
明細書第1発明の発明者は、上述した拡散シートに関する従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、光拡散層が特定の材料により形成されており、特定の屈折率を有する拡散シートによって、上述した従来技術の問題を解決できることを見出し、明細書第1発明を完成させるに至った。 明細書第1発明は下記の通りである。
〔1〕 シート状の基材の少なくとも一の主面に凹凸構造を有する樹脂層が積層されている拡散シートであって、 前記樹脂層の屈折率が1.55〜1.70であり、 かつ、前記樹脂層が、 (A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:70〜99.9質量%と、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有する光重合性樹脂組成物の硬化物からなり、 前記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、ビフェニル基を有する下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含む拡散シート。
一般式(I)
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは少なくともアルキレン基を一部又は全部に有する2価の有機基を表す。)
前記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、下記の一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(II)
一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数が1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜3の整数を表す。
〔2〕 前記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー中における前記一般式(I)または(II)で表される構造を有する化合物の含有量が、50〜95質量%である前記〔1〕に記載の拡散シート。
〔3〕 前記拡散シートの面に垂直方向に光線を入射したとき、前記拡散シート面内の所定の方向に沿って拡散角度が周期的に変化する前記〔1〕又は〔2〕に記載の拡散シート。
〔4〕 前記拡散シート面内の所定の方向における相対位置を横軸にとり、当該相対位置における拡散角度を縦軸にとった拡散角度分布図において、 前記拡散角度がピーク値を示すピーク点と前記拡散角度がボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点とが示すピーク値とボトム値との算術平均値が、前記隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値よりも大きい前記〔3〕に記載の拡散シート。
〔5〕 拡散角度が、前記凹凸構造によって制御されている前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の拡散シート。
〔6〕 前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造であり、前記拡散角度が、前記凹凸構造のスペックルの平均サイズ及び形状によって制御されている前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の拡散シート。
〔7〕 2つ以上の光源と、当該光源に対向して配設される前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の拡散シートとを具備する光源ユニット。
〔8〕 前記光源が線状光源である前記〔7〕に記載の光源ユニット。
〔9〕 前記光源が点状光源である前記〔7〕に記載の光源ユニット。
〔10〕 前記拡散シートの拡散角度分布の周期と、 前記拡散シートの入光面における照度分布の周期と、が、略等しい前記〔7〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の光源ユニット。
〔11〕 前記拡散シートと前記光源との間に、拡散剤を含有する拡散板が配置されており、前記拡散板の配置側とは反対側に、前記光源を介して、反射シートが配置されている前記〔7〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の光源ユニット。
〔12〕 前記拡散シート配置側に、さらに表面賦形型拡散シートが配置されている前記〔7〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の光源ユニット。
〔13〕 前記拡散シート配置側に、さらにプリズムシートが配置されている前記〔7〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の光源ユニット。
〔14〕 前記拡散シート配置側に、さらに反射型偏光シートが配置されている前記〔7〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の光源ユニット。
〔15〕 液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルに光を供給する前記〔7〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の光源ユニットとを備え、 前記液晶表示パネルの背面側に前記光源ユニットが配置されており、当該光源ユニットから光を入射することにより、表示を行う液晶表示装置。
明細書第1発明によれば、輝度むらを効果的に低減可能な拡散シート、光源ユニット、及びこれを用いた液晶表示装置が得られる。
以下、明細書第1発明を実施するための形態(以下、実施形態と言う。)について、図面を参照して説明する。 なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。 また、各図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。 さらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
〔拡散シート〕 実施形態の拡散シートは、シート状の基材の少なくとも一の主面に、凹凸構造を有する樹脂層が積層されている。 前記樹脂層の屈折率が1.55〜1.70であり、 かつ、前記樹脂層が、 (A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:70〜99.9質量%、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有する光重合性樹脂組成物の硬化物からなり、 前記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、ビフェニル基を有する下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含む。
一般式(I)
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは少なくともアルキレン基を一部又は全部に有する2価の有機基を表す。)
一般式(I)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(II)で表される構造を有することが好ましい。
一般式(II)
一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数が1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜3の整数を表す。
(基材) 実施形態の拡散シートを構成する基材はシート状の基材であり、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であればよく、特に、基材単体での光透過率が75%以上であることが好ましい。 この場合「光」とは、可視光であれば特に限定しないが、例えば、実施形態の拡散シートを用いた光源ユニットにおける光源より射出される光である。 前記光透過率は、例えば、(株)島津製作所社製の紫外可視分光光度計(MPC−2200)を用いて、光源と検出器との間に基材をセットし、波長550nmにおける入射光強度及び透過光強度を検出した後、下記式(II)によって算出することができる。 光透過率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおけ
る入射光強度)×100 ・・・(II) 基材の厚さは、特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。 基材の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂等が挙げられる。 また、ガラスとしては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
(樹脂層) <凹凸構造> 樹脂層は、上述した基材の少なくとも一の主面に形成されており、凹凸構造を有している。 前記主面とは、上述した基材の厚み部分を含まず、基材を平面と見たときの、表面及び裏面を言う。 凹凸構造とは、表面に多数の突起部が設けられた構造である。 前記突起部の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状等が挙げられる。 各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。 また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造は、非平面スペックルによって特徴付けられた微細な3次元構造であることが好ましい。
光の拡散性能に関して好ましい特性を得るためには、突起部の高さは1μm〜15μmの範囲が好ましく、ピッチは1μm〜30μmの範囲が好ましい。
前記非平面スペックルによって特徴付けられた3次元構造は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造の形成に適している。 特に、非平面スペックルを用いて凹凸を形成する方法は、拡散シート上の領域に応じて、拡散角度を変化させたものとする場合に適した製法である。 この非平面スペックルによる凹凸構造の製造方法については後述する。
また、マイクロレンズのような等方的な凹凸構造や、レンチキュラーレンズのような異方的な凹凸構造も、拡散シートの樹脂層の凹凸構造として好ましい。
拡散シートの樹脂層に形成されている凹凸構造は、モアレ抑制などの観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。 凹凸形状がシートの表面に存在すると、拡散シートに入射してきた光を拡散することが可能となる。
実施形態の拡散シートは、シート面内のどこかに、上記のような凹凸形状が配列されて、光を拡散する機能を示す部分があればよく、拡散機能を有する必要のない部分、例えば端部においては、シート表面が平滑になっている部分が存在していてもよい。
<屈折率> 実施形態の拡散シートの、樹脂層の屈折率は、1.55〜1.70である。 樹脂層の屈折率の測定は、JIS K7142に準拠して行い、具体的にはメトリコン社製の屈折率計MODEL 2 010 PRISM COUPLER(メトリコン社製)を用いて測定できる。 樹脂層の屈折率が1.55以上であれば、光源からの光を効率的に立ち上げることができ、輝度むらを効果的に低減することができる。 屈折率が1.70以下であれば、(1)付加重合性モノマー分子に塩素や臭素等のハロゲンを導入する、(2)組成物中に無機分子を導入する、(3)組成物中にビスフェノール骨格やフルオレン骨格等、特定の構造を有する付加重合性モノマーを多量入れる、等の手法を使わずに製造することができる。なお、前記(1)の場合は、環境に対する負荷が高い、前記(2)の場合は樹脂としての相溶性や成形性が悪化する、前記(3)の場合は樹脂粘度が高くなってハンドリングが困難になる、硬化収縮が大きすぎるため転写性が劣る、硬化後の樹脂が硬すぎて耐衝撃性に劣る、というデメリットをそれぞれ有している。 樹脂層の屈折率は1.58〜1.70が好ましく、1.60〜1.70がより好ましい。 屈折率が1.55〜1.70の範囲内である場合、寸法形状としては同じ凹凸構造であっても、屈折率が低い場合と比較して光の拡散性が相対的に高くなるので、高拡散角度を有する拡散シートをより容易に実現できる。 また、上述したような屈折率を有する樹脂層を具備する実施形態の拡散シートを、直下型光源ユニットに使用することで、バックライトの輝度むら抑制効果を高めることができる。さらに、凹凸構造を有する樹脂層の屈折率が1.55〜1.70の範囲にある場合、寸法形状としては同じ凹凸構造であっても、屈折率が低い場合と比較して斜めから入射した光を真上に立ち上げやすくなるので、例えばエッジライト型光源ユニットにおいてバックライトの輝度を向上させることも可能になる。
<樹脂層の材料> 実施形態の拡散シートの樹脂層を構成する樹脂は、光重合性樹脂組成物の硬化物からなる。 前記光重合性樹脂組成物は、(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーを70〜99.9質量%、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有する。
(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、公知の(メタ)アクリレート基又はアリル基を有する化合物を使用することができる。例えば、ノニルフェノールアクリレート、アルコキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスアリールフルオレン誘導体、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA系(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子中にエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖の双方を含む化合物等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物も用いることができる。 この場合のウレタン化化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量で10,000未満のものが好ましい。 上述した(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 2種以上を組み合わせる際、例えばメチルメタクリレートと共重合させることにより、PMMAポリマーの側鎖成分として、これら(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーを用いてもよい。例えば、PMMAポリマーの側鎖成分としてアルコシキ化フェニルフェノールアクリレートが使用されてもよい。 照射した光に対して高感度で硬化するという観点から、(メタ)アクリレート基を3つ以上有するものが好ましい。例えば、トリメチロールプロパンに平均3モルのエチレンオキサイドを付加したトリアクリレート(新中村化学製A−TMPT−3EO、製品名)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製A−TMMT、製品名)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製ATM−35E、製品名)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー製SR399、製品名)、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー製SR494、製品名)などが挙げられる。 硬化後の樹脂と基材との密着性を向上させるという観点から、2−フェノキシエチルアクリレート(サートマー製SR339A、製品名)、2−フェノキシエチルメタクリレート(サートマー製SR340、製品名)、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート(サートマー製CD611、製品名)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(サートマー製SR285、製品名)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(サートマー製SR203、製品名)などが好ましい。 光照射後の硬化物に柔軟性を付与するという観点から、ウレタン結合またはイソシアヌル結合を有するモノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサ目値レンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学製UA306H、製品名)、ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製M−327、製品名)、ポリオール変性2官能ウレタンアクリレート(共栄社化学製M−1600、製品名)、2官能脂肪族ウレタンアクリレート(サートマー製CN9001、製品名)、ポリエステル変性2官能ウレタンアクリレート(サートマー製CN981、製品名)、ポリエステル変性3官能ウレタンアクリレート(サートマー製CN929、製品名)などが挙げられる。 また、屈折率の観点から、2−フェニキシアルキル(メタ)アクリレート、ノニルフェノール変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル変性(メタ)アクリレート、トリシクロデカン変性(メタ)アクリレート、フルオレン変性(メタ)アクリレートが好ましい。2−フェニキシアルキル(メタ)アクリレートの例としては、2−フェノキシエチルアクリレート(サートマー製SR339A、製品名)、2−フェノキシエチルメタクリレート(サートマー製SR340、製品名)、ノニルフェノール変性(メタ)アクリレートの例としては、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート(東亜合成製M−113、製品名)、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート(日油製LS−100A、製品名)、イソシアヌル変性(メタ)アクリレートの例としては、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(東亜合成製M−315、M−313、製品名)、トリシクロデカン変性(メタ)アクリレートの例としては、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学製DCP、製品名)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学製A−DCP、製品名)、フルオレン変性(メタ)アクリレートの例としては、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学製A−BPEF、商品名または大阪ガスケミカル製BPEF−A)およびその誘導体(大阪ガスケミカル製、オグソールEA−0200、オグソールEA−0500、オグソールEA−1000、オグソールEA−F5003、オグソールEA−F5503)などが挙げられる。 また、下記一般式(X)で示される化合物も好ましい。
一般式(X)
(式中、R1及びR
2は、それぞれ独立にH又はCH3である。また、AおよびBは、それぞれ独立に炭素数が1〜4個のアルキレン基である。a1、a2、b1及びb2は0又は正の整数であり、a1、a2、b1及びb2の合計は、2〜40である。) 一般式(X)で示される化合物の例としては、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル}プロパン又は2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリエチレンオキシ基は、モノエチレンオキシ基、ジエチレンオキシ基、トリエチレンオキシ基、テトラエチレンオキシ基、ペンタエチレンオキシ基、ヘキサエチレンオキシ基、ヘプタエチレンオキシ基、オクタエチレンオキシ基、ノナエチレンオキシ基、デカエチレンオキシ基、ウンデカエチレンオキシ基、ドデカエチレンオキシ基、トリデカエチレンオキシ基、テトラデカエチレンオキシ基、及びペンタデカエチレンオキシ基からなる群から選択されるいずれかの基である化合物が好ましい。また、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリアルキレンオキシ)フェニル}プロパン又は2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリアルキレンオキシ)フェニル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の混合物が挙げられ、オクタエチレンオキシ基とジプロピレンオキシ基のブロック構造の付加物又はランダム構造の付加物、及びテトラエチレンオキシ基とテトラプロピレンオキシ基のブロック構造の付加物又はランダム構造の付加物、ペンタデカエチレンオキシ基とジプロピレンオキシ基のブロック構造の付加物又はランダム構造の付加物が好ましい。式中、a3、a4、b3及びb4は0又は正の整数であり、a3、a4、b3及びb4の合計は、2〜30が好ましい。これらの中でも、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学製、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE−900、BPE−1300N、製品名)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学製、ABE−300、A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、A−BPE−4、製品名)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学製、A−BPP−3、製品名)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学製、A−B1206PE、製品名)と2,2−ビス{(4−メタクリロキシペンタエチレンオキシ)フェニル}プロパンが最も好ましい。 これらの中でも、下記一般式(I)で示される化合物が屈折率の観点から好まく、下記一般式(II)で示される化合物が最も好ましい。
一般式(I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは少なくともアルキレン基を一部又は全部に有する2価の有機基を表す。)
一般式(II)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数が1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
一般式(I)で示される化合物の例としては、アルキル化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(4)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(4)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(5)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルコキシ化(6)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルケニル化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(1)アルコキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(2)アルコキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、アルキル化(2)アルコキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、が挙げられる。これらの中でもアルコキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレートが屈折率の観点から好ましく、エトキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレート(例えば、製品名A−LEN−10、新中村化学製)が特に好ましい。また、これらの化合物において、ビフェニル基のオルト位にかえてメタ位もしくはパラ位に残基が結合した化合物、たとえばエトキシ化(1)m−フェニルフェノールアクリレートや、エトキシ化(1)p−フェニルフェノールアクリレートも好ましい。
一般式(II)で示される化合物としては、例えば、メトキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化(1)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化(2)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化(3)o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。 これらの中でも、エトキシ化(1)o−フェニルフェノールアクリレート(例えば、製品名A−LEN−10、新中村化学製)が好ましい。
前記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー中における、前記一般式(I)または(II)で表される化合物の含有割合は50〜95質量%であることが好ましい。 樹脂層の屈折率を高くする観点から50質量%以上が好ましく、光硬化性の低下を防止する観点から95質量%以下とすることが好ましい。
上述した(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、上記の一般式(I)または(II)で示される化合物の他、公知の(メタ)アクリレート基又はアリル基を有する化合物を使用することができる。 例えば、ノニルフェノールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA系(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子中にエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖の双方を含む化合物等が挙げられる。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物も用いることができる。 この場合のウレタン化化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量で10,000未満のものが好ましい。
上述した(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記光重合性樹脂組成物中における(A)付加重合性モノマーの含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で70質量%以上99.9質量%以下である。好ましくは75質量%以上95質量%以下である。十分に硬化させるという観点から70質量%以上であるものとし、開始剤成分やその他重合禁止剤、染料等を配合することを考慮して99.9質量%以下とする。
前記光重合性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の芳香族ケトン類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリシン、N−フェニルグリシン、さらに、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(O−ベンゾイルカルボニル)−オキシム等のオキシムエステル類、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸、並びにこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、テトラゾール類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、及び、1−フェニル−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等のピラゾリン類が挙げられる。 これらの中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、製品名DAROCURE1173、チバ・スペシャリティ・ケミカル製)が好ましい。
前記光重合性樹脂組成物中における(B)光重合開始剤の含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で0.1質量%以上30質量%以下
であり、好ましくは1質量%以上20質量%以下である。 (B)の含有量を0.1質量%以上とすることにより、十分な光硬化感度が得られ、30質量%以下とすることにより、光硬化前の液状樹脂としての保存安定性が得られる。
熱安定性、保存安定性を向上させるために、前記光重合性樹脂組成物中に、ラジカル重合禁止剤を含有させることが好ましい。 このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、t−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。 ラジカル重合禁止剤の含有量は、光重合性樹脂組成物の全質量基準で0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
(拡散シートの特性) 実施形態の拡散シートは、拡散シート面に、垂直に光線を入射した場合に、面内の所定の方向に沿って拡散角度が周期的に変化するものであることが好ましい。 これにより、シート面内における照度分布に応じて拡散性が変化するようにできるため、より均一に、輝度むらを低減できるという効果が得られる。
実施形態の拡散シートは、所定の光源と組み合わせることにより、後述する光源ユニットを構成する。 ここで、拡散シートの光学的な機能を説明するため、光源ユニットにおける実施形態の拡散シートと光源との関係について説明する。 図B2(a)、(b)は、それぞれ、拡散シートB15に対向して光源B101、102を配置したときの、光源の投影領域と、光源間の投影領域を示したものである。 なお、光源ユニットを構成するとき、拡散シートB15と光源B101、102との間に他の所定の機能を有するその他の光学シートを配置することができるが、図B2(a)、(b)においては省略する。
光源は、複数(少なくとも2つ)配設されている。 光源としては、図B2(a)に示すように、冷陰極管(CCFL)B101等の線光源や、図B2(b)に示すように、LED(発光ダイオード)B102、レーザー等の点光源を用いることができる。 図B2(a)、(b)において、符号B103は、光源直上の投影領域を示し、符号B104は光源間の投影領域を示す。 光源直上の投影領域においては高い拡散性が要求され、光源間の投影領域には、高い拡散性が要求されないため、このように領域を分けることにより、拡散角度の設計を確実に行うことができる。 なお、図B2(a)、(b)では、全体の領域を、光源直上の投影領域B103と、光源間の投影領域B104との2つに分割している例を示しているが、光源直上の投影領域B103、光源間の投影領域B104以外の領域、例えば、四隅部のような端部があってもよい。 また、光源間の投影領域B104は、光源直上の投影領域B103に隣接していなくてもよく、近接する光源の中間に位置する領域(例えば、図B2(a)、(b)中、破線に沿って配置されている光源の中間の領域)を含んでいてもよい。
なお、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。 図B3(a)に拡散角度の説明図を示す。横軸は透過光の出光角度を示し、縦軸は透過光強度(相対値)を示す。
この拡散角度は、例えば、Photon(株)社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900(以下LD8900)で、拡散シートB15の凹凸面の法線方向から、凹凸面側より入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。 ここで、図B3(b)においては、拡散シートB15の凹凸面側に、法線方向から光が入射したときの、透過光強度を模式的に表す。
また、実施形態の拡散シートとしては、測定方向によらず、ほぼ同じ拡散角度が得られる等方性シートと、測定方向によって、拡散角度が異なる異方性シートの両方を用いることができる。 異方性シートとは、例えば、直交する2つの方向で拡散角度を測定した場合に、拡散角度が異なるようなシートである。
上述したように、実施形態の拡散シートは、シート面内の所定の方向に沿って拡散角度が周期的に変化するものが好ましい。 ここで、「周期的に変化する」とは、繰り返されたパターン同士を比較して、同じ繰り返しに相当するピーク値及びピーク値を与える周期の開始点からの変位が全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内)の範囲内であり、ボトム値及びボトム値を与える周期の開始点からの変位が、全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内)の範囲内にあれば、周期的に変化しているものに該当するものとする。 上記の周期性を示す方向は、拡散シート面内に少なくとも一つあればよく、拡散シート面について拡散角度の分布を作成することにより特定することができる。 実施形態においては、繰り返された複数のピーク値の拡散角度は、測定された全てのピーク値の拡散角度の差が5°以内となることが好ましく、3°以内がより好ましく、2°以内であることが最も好ましい。ボトム値についても同様である。
このような拡散シートの拡散能力は、前記所定の方向における前記シート面内の相対位置を横軸にとり、前記シート面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとった拡散角度分布図で表わすことができる。 図B4は、上述した拡散シートの一例における、拡散シート面内の相対的な位置に対する拡散角度の分布の1周期分を示す図である。 この拡散シートは、シート面に垂直に光線を入射した場合の、出射光の拡散角度が、前記シート面内の所定の方向に沿って周期的に変化するものである。 図B4に示す拡散角度分布図においては、拡散シート面内の所定の方向における前記シート面内の相対位置を横軸にとり、前記シート面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとっている。
実施形態の拡散シートは、拡散角度がピーク値を示すピーク点と拡散角度がボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有るものであることが好ましい(図B4においてはピーク点が1つ、ボトム点が2つ示されている)。 ピーク値とは、拡散角度の分布の1周期の中で最も高い拡散角度の値をいい、ボトム値とは、拡散角度の分布の1周期の中で最も低い拡散角度の値をいう。 実施形態の拡散シートにおいては、このような拡散角度分布図において、隣り合うピーク点とボトム点とが示すピーク値とボトム値との算術平均値が、前記隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より大きいことが好ましい。 ここで述べる「全点」とは、測定点の全てを意味するものである。
拡散角度の変化は、隣り合うピーク点とボトム点とが示すピーク値とボトム値との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より大きければ、厳密に直線状、曲線状、階段状でなくてもよく、拡散角度の測定バラツキ等により、直線状、曲線状、階段状から若干外れた形状や、直線と曲線の混合形状であってもよい。 拡散シート上の光源直上領域から光源間領域へ推移する場合、その位置に対する入光角度は直線的に大きくなっていく。
入光角度が大きいほど、拡散シートより下方向(すなわち光源側)へ反射される光や、拡散シートの法線方向に対して斜め方向に透過する光の強度が大きくなっていくことを考慮すると、光源直上領域から光源間領域へ推移するにつれて拡散すべき光の量は直線的ではなく、それ以上に大きく減衰することが好ましい。 つまり、隣り合うピーク点とボトム点とが示すピーク値とボトム値との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より大きい拡散シートであれば、拡散すべき光の減衰に合わせて輝度ムラを低減することが可能となる。 図B5(a)〜図B5(f)に、横軸を拡散シートの面上の相対位置とし、縦軸を拡散角度(FWHM)とした、拡散角度が直線状、曲線状、直線と曲線の混合形状に変化している拡散シートの拡散角度分布図の例を示す。
拡散シート面内の各領域における拡散角度は、一般的に、相対的に拡散角度が高い領域を光源直上に配置することが好ましいが、全体として拡散角度が極めて高い場合においては、光源直上の照度が高い領域に、拡散シートにおける比較的低い拡散角度を有する領域を配置するようにしてもよい。 また、各領域間の拡散角度はなめらかに変化することが好ましい。 特に、高拡散角度領域に連続する複数のピーク値を含む形状があることが輝度むら低減の観点から好ましく、その形状は、直線状又は下に凸の曲線状又は直線と下に凸の曲線の混合形状であることが好ましい(図B5(d)、(f))。このようなパターンは、光源が線光源の場合、特に効果的である。
また、拡散角度のボトム値があり、前記ボトム値を含む低拡散角度領域における拡散角度分布が、前記ボトム値を極小値とする下に凸の曲線状であるものも輝度むら低減の観点から好ましい(図B5(a)〜(d))。 図B5(c)は、拡散角度の分布が、前記ピーク値を含み上に凸の曲線形状を有する第一の区間と、拡散角度の分布が前記ボトム値を含み下に凸の曲線形状を有する第二の区間とを有しているが、このようなパターンは、光源が点光源である場合、特に効果的である。 点光源として、例えば、LED(発光ダイオード)を用いる場合、光の出光角度によらず照度分布に対して実施形態の拡散シートにおける拡散角度を設計することができる。 具体的には、照度が相対的な数値段階的に分布しているとすると、拡散角度を当該数値に対応して設計するような場合が挙げられる。
ここで、「高拡散角度領域」とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値の算術平均値より大きい角度領域とし、「低拡散角度領」とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値の算術平均値より小さい角度領域とする。 ピーク値とボトム値の算術平均値は、上記定義に基づく拡散角度の分布を用いて算出するものとする。 なお、一周期の中で、ピーク値、ボトム値は1つとは限らず、同一の値が複数存在していてもよい。 また、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度とは、図B4の破線区間部分に存在する拡散角度をいうものとする。 すなわち、ピーク点が複数存在する場合、隣り合うボトム点に対応する位置とピーク点に対応する位置との間の区間内の全点に存在する拡散角度をいうものとする。
図B6〜図B8は、実施形態の拡散シートの高拡散角度領域と低拡散角度領域の配置の例を示す図である。 図B6、B7は、高拡散角度領域B301と低拡散角度領域B302とが、前記拡散シート面内のx軸方向において周期的に存在すること、すなわち、拡散角度が図B5(a)〜(f)のように周期的に変化していることを示している。 図B6、B7に示すようなパターンは、線光源に対して用いることが好適であるが、点光源に対して用いてもよい。
また、図B8は、高拡散角度領域B303と低拡散角度領域B304が、前記シート面内のx軸方向及びy軸方向において周期的に存在している図である。 これも、拡散シートのx軸又はy軸方向の断面においては、図B5(a)〜(f)のように拡散角度が推移している。 図B8に示すようなパターンは、点光源に対して用いることが好適であるが、線光源に対して用いてもよい。
上述した表面に凹凸構造を有し面上の位置によって拡散角度が変化する拡散シートは、下記のようにして作製できる。 まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度
が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスター型を作製する。 レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変え、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御し、異なる拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができる。
拡散角度の範囲は、凹凸構造によって形成、制御され、一般的にはスペックルの平均サイズ及び形状に依存する。 スペックルが小さければ角度範囲が広い。 また、前記凹凸の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造とすることもできる。 スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となる。 このように、拡散角度が位置によって変化するようなサブマスター型を作製する。 このサブマスター型に、電鋳等の方法で金属を被着して、この金属にスペックルパターンを転写してマスター型を作製する。 前述した光重合性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層に、上記マスター型を用いて紫外線による賦形を行ってスペックルパターンを樹脂層に転写する。 拡散角度を位置によって変えたこの拡散シートの詳細な製造方法については、特表2003−525472号公報(国際公開第01/065469号)に開示されている。 具体的には、光源と、光源から投射された光の光路に設けられたサイズ及び形状可変の開口を備えたマスクと、光源から投射された光により生ずる拡散パターンを記録するためのプレートと、マスクとプレートの間に配置された光を拡散させる拡散板と、光の一部をブロックするために拡散板とプレートの間に設けられたブロッカーを用い、マスクの開口とブロッカーのサイズ及び形状、拡散板の拡散度合い及び各構成部材間の距離を変化させて作製する。
例えば、以下の方法が挙げられる。(1)マスクの開口形状を縦長にすることで、プレート上に記録される凸部の底面の形状を横長の楕円にし、縦長の楕円拡散能を示す(直交する2方向の拡散角度が異なる)領域を形成する。(2)マスクの開口形状を正方形にすることで、プレート上に記録される凸部の底面の形状を等方にし、等方拡散能を示す(全方向で拡散角度が同一となる)領域を形成する。 上記(1)及び(2)のパターンを組み合わせて、周期的パターンを形成すれば、実施形態の拡散シート、すなわち面内で拡散角度が周期的に変化する拡散シートが製造できる。
拡散シートの表面構造の凹凸高さは、例えば走査型電子顕微鏡で観察した拡散シート断面形状のピッチやアスペクト比、表面粗さ等から判断できる。 また、レーザー共焦点顕微鏡による拡散シート表面の観察像からも、前記ピッチ、アスペクト比や、表面粗さ等を読み取ることができる。 例えば、ピッチが短いほど、或いはアスペクト比が大きいほど、或いは表面粗さが大きいものほど凹凸高さが高いと見なすことができる。
〔光源ユニット〕 実施形態の光源ユニットは、2つ以上の光源と、当該光源に対向して配設される、上述した拡散シートとを具備している。 図B9(a)、(b)、図B10(a)、(b)に、実施形態の光源ユニットの概略構成図を示す。 実施形態の光源ユニットは、複数の光源を用いており、光源としては、図B9に示すような冷陰極管(CCFL)等の線光源B11や、図B10に示すようなLED(発光ダイオード)、レーザー等の点光源B12を用いることができる。 この場合、前記光源B11,12は拡散シートB15の入光面及び出光面に対して、直下に配列されている。 光源ユニットは、基本的には、光源(線光源B11又は点光源B12)と、光源B11、12に対向して配設された実施形態の拡散シートB15とを具備する構成となっている(図B9(a)、図B10(a)参照)。 また、線光源B11、点光源B12の背面側、すなわち拡散シート配置側とは反対側には、光を反射させる機能を有する反射シートB13が配置されていることが好ましい。
また、光学ユニットは、上記構成を有していれば、さらに、所定の光学シート、拡散剤を含有する拡散板(符号は共通して14)等を配設してもよく、例えば、光源B11、12と拡散シートB15との間に、拡散板又は所定の光学シートB14を設けた構成とすることができる(図B9(b)、図B10(b))。 拡散板B14は、光を拡散させる機能を有するものであれば、従来公知のものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等に、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。これらの拡散板は、光を拡散させ、下部光源の光を均一化させる効果がある。また、前記拡散板は、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。 また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板も用いることができる。
反射シートB13は、光を反射させる機能を有しているものであれば、従来公知の材料を用いることができる。 例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート等をいずれも用いることができる。 また、前記反射シートB13は、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。 これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子等を添加したものを用いることができる。
実施形態の光源ユニットにおいて、上述した面内の所定方向に沿って拡散角度が周期的に変化する拡散シートを用いる場合は、前記拡散シートの拡散角度分布の周期と、前記拡散シートの入光面における照度分布の周期とを略等しくすることが好ましい。 拡散角度分布の周期は、上述したように、拡散シートの製造工程において、表面の凹凸構造を記録する際、レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズ、スペックルパターン、形状及び方向を制御することにより調整できる。 拡散シートB15の入光面における照度分布は、例えばELDIM社のEZCONTRASTXL88などによって測定できる。具体的には、拡散シートB15が設けられる光源ユニットにおいて、前記拡散シートを除き、拡散シートの入光面が位置する箇所に装置の焦点を定めて全方位輝度分布を測定し、その結果から積算光束量(Integrated Intensity)を得る、ということを面内測定対象範囲において繰り返すことで測定する。 図B11(a)、(b)は、実施形態の光源ユニットの具体的な構成例の、概略斜視図である。 図B11(a)、(b)に示す光源ユニットにおいて、拡散シートB15は、面内において前記拡散角度が周期的に分布し、さらに前記拡散角度が周期的に分布する方向と、CCFL光源B11の長手方向と直交する方向が一致するように配置されている。 なお、図B11(b)は、図B11(a)の構成に、所定の光学シートB14を追加した構成となっている。
図B12は、光源ユニットにおいて、光源の相対的な位置と、前記拡散シートの拡散角度分布周期との関係を示した図である。 図B11(a)、(b)において、前記拡散シートの入光面における照度分布の周期は、光源同士の間隔と等しいため、拡散シート面内の拡散角度分布周期を、光源間隔と略等しくすることにより、照度分布の周期と、上述した拡散角度分布の周期を略等しくすることができる。 前記拡散シートの入光面の照度分布において、光源直上領域の照度が高い場合、輝度むら解消の観点から、前記拡散シートの高拡散角度領域を配置することが好ましい。 図B12には、前記拡散シートの入光面における照度分布に対応するように設計した、前記拡散角度分布の例が示されている。 また、光源B11、12の投影領域から光源B11、12の間の投影領域における拡散角度の差、凹凸高さの差、及び拡散シート面内の位置による拡散角度・凹凸高さの変わり方は、輝度を均一化するために適宜調整することができる。
以下、実施形態の光源ユニットの具体的な構成例について説明する。 例えば、光源ユニットの構成として、図B13(a)〜図B13(c)に示す配設構成を採用することができる。 これらにおいては、光源として、線光源B11であるCCFLについて例示してあるが、例えば図B14で示すように光源がLED等の点光源B12であってもよい。
図B13(a)は、上述した図B9(b)に示す光源ユニットの構成において、図面中の上下方向を基準として、光源B11直上に配置される拡散板B14と、拡散シートB15との間に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シートB16を配置し、さらに拡散シートB15の直上に、前記表面賦形型拡散シートB16を配置してなる光源ユニットを示す。 ここで、表面賦形型拡散シートB16としては、アクリル系樹脂からなる球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、又はポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。 また、表面賦形型拡散シートB16としては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、又はポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。 このような表面賦形型拡散シートB16は、光を拡散させ均一化させる効果とともに、拡散板B14で拡散された光を集光する機能を有する。これらの表面賦形型拡散シートB16と、拡散シートB15とを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。
図B13(b)は、図B9(b)に示す構成において、図面中の上下方向を基準として、光源B11直上に配置される拡散板B14及び拡散シートB15の上方に、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下「プリズムシート」ともいう。)17と、上述した微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シートB16と、をこの順で配置してなる光源ユニットを示す。 また、図B13(c)は、図B9(b)に示す構成において、図面中の上下方向を基準として、光源B11直上に配置される拡散板B14及び拡散シートB15の上方に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シートB16と、反射型偏光シートB18とを配置してなる光源ユニットを示す。 プリズムシートB17としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。 前記断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上等の観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシートB17としては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、又はポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシートB17は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。このプリズムシートと、実施形態の拡散シートとを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。
図B14(a)は、図B10(b)に示す構成において、図面中の上下方向を基準として、光源B12直上に配置される拡散板B14及び拡散シートB15の上方に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シートB16を2枚配置し、さらに反射型偏光シートB18をこの順で配置してなる光源ユニットを示す。 図B14(b)は、図B10(b)に示す構成において、図面中の上下方向を基準として、光源B12直上に配置される拡散板B14及び拡散シートB15の上方に、プリズムシートB17を配置し、さらに反射型偏光シートB18をこの順で配置してなる光源ユニットを示す。 反射型偏光シートB18としては、自然光又は偏光から直線偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。 前記直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交す
る直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。 前記反射型偏光シートB18としては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(商品名 DBEF、3M(株)製)等を用いることができる。
他にも、光源ユニットの構成として、例えば、図B15、図B16に示す配設構成を採用することができる。なお、下記においては、上述した例と同様に、図面中の上下方向を基準として配置構成を示す。 図B15(a)は、図B9(a)に示す構成において、光源B11と拡散シートB15の間に拡散板B14を配置し、さらに拡散シートB15の直上に、表面賦形型拡散シートB16を配置してなる光源ユニットを示す。 また、図B15(b)は、図B9(a)に示す構成において、拡散シートB15の上方に、拡散板B14、表面賦形型拡散シートB16の順で配置してなる光源ユニットを示す。 図B15(c)は、図B9(a)に示す構成において、光源B11と拡散シートB15の間に拡散板B14を配置し、さらに拡散シートB15の上方に、プリズムシートB17、反射型偏光シートB18の順で配置してなる光源ユニットを示す。 また、図B15(d)は、図B9(a)に示す構成において、光源B11と拡散シートB15の間に拡散板B14を配置し、さらに拡散シートB15の上方に、プリズムシートB17のプリズム配列方向を直交させて2枚配置し、さらにその上方に表面賦形型拡散シートB16を配置してなる光源ユニットを示す。
図B16(a)は、図B9(a)に示す構成において、光源B11と拡散シートB15の間に拡散板B14を配置し、さらに拡散シートB15の上方に、表面賦形型拡散シートB16、プリズムシートB17、及び反射型偏光シートB18をこの順で配置してなる光源ユニットを示す。また、図B16(b)は、図B9(a)に示す構成において、拡散シートB15の上方に、拡散板B14、表面賦形型拡散シートB16、プリズムシートB17、及び反射型偏光シートB18をこの順で配置してなる光源ユニットを示す。
〔液晶表示装置〕 実施形態の液晶表示装置は、所定の表示ユニットと、上記に亘り説明した実施形態の光源ユニットとを具備している。 例えば、図B10(b)に示すような実施形態の光源ユニットの上方に、2枚の偏光板の間に液晶層を有する液晶表示パネルを設けたものが挙げられる。
明細書第1発明の拡散シート及び光源ユニットは、液晶表示装置用の拡散シート及び光源ユニットとして産業上の利用可能性がある。
次に、本発明においても好適に利用できる導光板に関する本願明細書第2発明について説明する。
明細書第2発明は、導光部材に関し、例えば、いわゆるエッジライト方式の面光源装置や、各種照明装置に用いることのできる導光板に関する。
液晶表示装置では、液晶表示パネル自身は発光しないため、面光源装置が必要となる。面光源装置としては、光源を液晶表示パネルの背面に設置する直下型面光源装置と、光源を液晶表示パネルの側面に設置するエッジライト型面光源装置の2種類が使用されているが、液晶表示装置の薄型化を重要視する場合は、薄型化に適したエッジライト方式の面光源装置が多く用いられている。
このようなエッジライト方式の面光源装置は、一般的には、光源からの光を液晶表示パネル側に出射させる導光板と、その側部に配置されたLED(発光ダイオード)やCCFL(冷陰極管)等の光源と、導光板から出射した光を液晶表示パネル側の方向に向けるプリズムシート等から構成される。
上記導光板は、一般に、第一面(以下、「出光面」ともいう。)、該第一面と対向する第二面(以下、「対向面」ともいう。)、前記出光面と前記対向面に挟まれた少なくとも1つの入光面を有し、その側部(入光面)から入射する光を板内部で繰り返し反射させて導光し、導光した光を対向面に設けた光出射機構によって出光面から液晶表示パネル側に出射させる。
ところで、このような導光板を複数の点光源と組み合わせて用いた場合、出光面の中心部(点光源からある程度離れた場所)では均一な輝度が得られるものの、点光源に近い入光面近傍の領域においては、点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域は暗い一方、点光源に正対する部分領域には極端に明るい所謂ホットスポットが出現し、輝度ムラが生じてしまうという欠点がある。
そのため、光源として複数の点光源を用いた面光源装置においては、実質的に、導光板の出光面の中心部しか利用できないという問題がある。
このような輝度ムラを防止する方法として、入光面に入射光を拡散させる光学構造(以下、「拡散構造」ともいう。)を設けることが検討されている。
例えば、特開2002−169034号公報には、入光面に、対称性を有した三角形形状を貫欠した台形状の凹凸構造を設けた導光板が、特開2003−215346号公報には、入光面に、開口部が略四角形で底部に円弧状の角部を有する窪みを設けた導光板がそれぞれ開示されている。
さらに、特開2006−49286号公報には、対向面にローレットカットを施すと共に、入光面にレンチキュラー形状等の周期的な微細なカットを施した導光板が開示され、特開2008−34234号公報には、入光面に、粘着剤と針状フィラーとからなる異方性光拡散粘着層を設けた導光板が開示されている。
ところで、蛍光体面を電子銃で走査して画像を表示するCRT表示装置では画像表示面の各画素は1フレームの間の一瞬しか発光しないのに対し、液晶表示装置では各画素は照明装置が点灯している間はずっと発光している。そのため、液晶表示装置においては、人間の目の残光特性によるコントラストの低下や動画ボケが発生する。その対策としては、導光板の光出射面部を複数に区分し、複数の光源の一部のみを点灯させることで該導光板の光出射面部の一部の区分のみを発光させ、他の区分は発光させないようにエリア制御を行う技術、または各区分で光量を調節する技術(以下、「ローカルディミング」と言う)が知られている。ローカルディミングは、前述の表示画像のコントラスト向上以外にも、省消費電力化や、3D画像を表示する際の右眼用画像と左眼用画像が同時に見えてしまう現象(クロストーク)の低減にも使用することができる有用な技術である。
エッジライト方式の面照明装置を使用した液晶表示装置において、上述のローカルディミングを行うためには、導光板の入光面近傍に配置された複数の光源を2つ以上の区分(たとえば「上半分」「下半分」の2区分)に分けて、必要な区分のみを点灯させることになる。この時に、光源から発する光が拡散性を有しているため、出光面の発光させたい区分以外の区分にも導光板の材質の臨界角に応じて出光面と対向面との間で全反射が続く範囲で光が広がってしまうために光源を点灯した区分に隣接する区分も薄く発光してしまうという問題がある。
そこで、ローカルディミングを実現するための一形態として、出光面の発光領域を複数の短冊状の領域に区分した照明装置が提案されている(例えば、特開2001−210122号公報参照)。また、導光板の入光面に凸部を設けると共にその頂部に光源を配置すること、及び、導光板の入光面にレンチキュラーレンズを配置すると共にその焦点位置に光源を配置することが提案されている(特開2009−199927号公報)。
明細書第2発明の発明者は、ホットスポットの抑制とローカルディミングとを両立させたエッジライト方式の面照明装置を得ようと考えた。しかしながら、ローカルディミングを行うために前述の特開2001−210122号公報記載の技術を採用すると、導光板を分割する方法であるので組立工数増や強度低下が懸念される。また、分割部分に暗線が発生してしまう。一方、特開2009−199927号公報記載の技術は、入射面部に光を集光する光学構造を設けるものであり、ホットスポットの抑制のために入射面側に設ける光を拡散させる光学構造とは組み合わせることが困難である。
そこで、明細書第2発明の発明者は、ローカルディミングを行うために出光面に入光面の法線方向に伸びる略平行な溝構造を設けるとともに、ホットスポットを解消するために入光面に出光面から対向面方向に延びる溝形状を設けた導光板を作製した。しかしながら、入光面に拡散構造を設けるとともに、出光面に入光面の法線方向に略平行な溝構造を有する導光板は、ホットスポットの低減には寄与するが、入光面から輝度の相対的に高い部分が直線状に延びる、いわゆる輝線が発生することを、明細書第2発明の発明者は見出した(図G18参照)。
明細書第2発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、出光面において入光面近傍のホットスポットや輝線等の輝度ムラが少なく、ローカルディミング可能な導光板、及び該導光板を有する面光源装置、該面光源装置を有する表示装置、該表示装置を有するテレビ受信装置を提供することを目的とする。
明細書第2発明の発明者らは、該導光板について鋭意検討した結果、入光面に、制御された光拡散特性を持つ光拡散部分を設けることで、前述したホットスポットや輝線が解消でき、出光面全体に亘って均一な輝度分布が得られることを見出し、明細書第2発明を完成させた。
すなわち、明細書第2発明は以下のとおりである。
[1]
光源からの光を受ける少なくとも一つの入光面と、
前記入光面と略直交し、前記入光面から入射した光を出光させる第一面と、
前記入光面と略直交し、前記第一面と対向する第二面と
を有する導光板であって、
前記第一面及び/又は前記第二面は、前記入光面の法線方向に略平行な溝構造を有し、
前記入光面全体は、その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度が入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有し、
入光面の法線方向から入射した光の入光面長手方向への出射光の出射角度を横軸、強度を縦軸とする入光面全体の出光パターン曲線が、該出光パターン曲線において出射光の強度がピーク強度となるピーク点1点及び出射光の強度が前記ピーク強度の半分となる中間点2点の合計3点を通る正規分布曲線と比較した時に、以下の条件1.及び/又は条件2.を満たす導光板。
条件1.出射光の強度がピーク強度の3/4以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より狭い。
条件2.出射光の強度がピーク強度の1/10以上となる出射角度の範囲が、正規分布曲線より広い。
[2]
入光面に、その法線方向から入射した光の入光面長手方向への拡散角度が、0°より大きく40°未満である前項[1]に記載の導光板。
[3]
入光面に、その法線方向から入射した光の入光面長手方向への拡散角度が、0°より大きく30°以下である前項[1]又は[2]に記載の導光板。
[4]
前記入光面が、光拡散特性の異なる2種以上の部分領域に分割されており、
前記2種以上の部分領域は、
その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度が入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有する第一の部分領域と、
その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度が、第一の部分領域のそれより小さく、かつ、入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有する第二の部分領域、及び/又は、その法線方向からの入射光の入光面長手方向への拡散角度と入光面長手方向と垂直な方向への拡散角度が略等しい等方性の光拡散特性を有する第三の部分領域と、
を含む前項[1]〜[3]のいずれかに記載の導光板。
[5]
前記第一〜三の部分領域の少なくとも1つが入光面20平方ミリメートルあたりに占める割合が面内において略一定である前項[4]に記載の導光板。
[6]
前記第一〜三の部分領域の少なくとも1つが複数の小領域に分割されており、前記小領域が入光面20平方ミリメートルあたりに占める割合が10〜80%である前項[4]又は[5]に記載の導光板。
[7]
前記第一〜三の部分領域が各々複数の小領域に分割されており、前記第一〜三の部分領域の少なくとも1つの各小領域の面積が0.2〜4平方ミリメートルである前項[4]〜[6]いずれか1項に記載の導光板。
[8]
前記第一の部分領域に、開口部又は底面が入光面長手方向と略垂直な方向に長い異方性形状を有する複数個の凹部又は凸部が存在する前項[4]〜[7]いずれか1項に記載の導光板。
[9]
前記複数個の凹部又は凸部のピッチ、及び、深さ又は高さのうち少なくとも1つが不規則に異なる前項[8]記載の導光板。
[10]
前記複数個の凹部又は凸部の長径方向と入光面長手方向と垂直な方向のなす角が、10°以下である、前項[8]又は[9]に記載の導光板。
[11]
前記複数個の凹部又は凸部の平均ピッチが50μm以下である、前項[8]〜[10]いずれかに記載の導光板。
[12]
前記複数個の凹部又は凸部の平均深さ又は高さが1〜50μmである、前項[8]〜[11]いずれかに記載の導光板。
[13]
前記複数個の凹部又は凸部が、スペックルパターン露光により形成されたものである、前項[8]〜[12]いずれかに記載の導光板。
[14]
前記第一の部分領域にその法線方向から入射した光の入光面長手方向への拡散角度が5°以上40°未満である、前項[4]〜[13]いずれかに記載の導光板。
[15]
前記第一の部分領域にその法線方向から入射した光の入光面長手方向への拡散角度が0°以上30°以下である、前項[4]〜[14]いずれかに記載の導光板。
[16]
前記第一の部分領域に、その法線方向から入射した光の入光面長手方向及び入光面長手方向に垂直な方向への出射光強度の出射角度に対する分布において、出射角度=0°における透過光強度がピーク強度の90%以上である、前項[4]〜[15]いずれかに記載の導光板。
[17]
前記第二の部分領域または前記第三の部分領域にその法線方向から入射した光の入光面長手方向への拡散角度が0°以上20°未満である、前項[4]〜[16]いずれかに記載の導光板。
[18]
前記第二の部分領域または前記第三の部分領域に、その法線方向から入射した光の入光面長手方向及び前記長手方向と垂直な方向への出射光強度の出射角度に対する分布において、出射角度=0°における出射光強度がピーク強度の90%以上である、前項[4]〜[17]いずれか一項に記載の導光板。
[19]
入光面上に存在する異方性の光拡散特性を有する領域の少なくとも一部が、入光面上に積層された接着層と、前記接着層の上に積層された異方性光拡散層とを有する、前項[1]〜[18]いずれかに記載の導光板。
[20]
前記接着層が、100℃における貯蔵弾性率G´が40,000〜180,000Paである材料で構成されている、前項[19]に記載の導光板。
[21]
前記溝構造が、レンチキュラーレンズ形状である前項[1]〜[20]いずれかに記載の導光板。
[22]
前記溝構造が、ランダムな複数本の溝からなる前項[1]〜[20]いずれかに記載の導光板。
[23]
前記ランダムな複数本の溝の平均ピッチが30μm以下である、前項[22]に記載の導光板。
[24]
前記ランダムな複数本の溝の平均深さが1〜50μmである、前項[22]又は[23]に記載の導光板。
[25]
前記溝構造が、前記第一面及び/又は第二面の入光面側端部から1〜50mm内側の位置から形成されている前項[1]〜[24]いずれかに記載の導光板。
[26]
前項[1]〜[25]いずれか1項に記載の導光板と、
該導光板の前記少なくとも1つの入光面の近傍に配置された複数の点光源と、
を有する面光源装置。
[27]
光の透過を調整することによって表示をする表示エリアを有する表示パネルと、
該表示パネルの背面に配置された前項[26]に記載の面光源装置と、
を有する表示装置。
[28]
前記表示パネルが液晶表示パネルである、前項[27]に記載の表示装置。
[29]
前項[27]又は[28]に記載の表示装置と、
放送映像信号を受信するチューナーと、
を有するテレビ受信装置。
明細書第2発明の導光板によって、複数個の点光源からなる光源を用いた場合に、出光面において入光面近傍のホットスポット及び輝線を含む輝度ムラが少なく、ローカルディミング可能な面光源装置、該面光源装置を有する表示装置、該表示装置を有するテレビ受信装置を提供することができる。
明細書第2発明の導光板の実施形態について、以下に具体的に説明する。
明細書第2発明の導光板2は、光源からの光を受ける少なくとも一つの入光面G22と、前記入光面から入射した光を出光させる第一面G21と、第一面と対向する第二面を有しており、第一面と第二面は前記入光面と略直交しており、第一面及び/又は第二面は入光面の法線方向に略平行な溝構造を有している(図G2参照)。
前記入光面は、全体として、その法線方向からの入射光の入光面長手方向G24(以下、「第一方向」ということもある。)への出射光の拡散角度が、入光面長手方向と垂直な方向G25(以下、「第二方向」ということもある。)への拡散角度より大きい。
ここで、入光面長手方向とは、入光面に外接する面積が最小となる外接長方形の長辺の方向をいう。
明細書第2発明の導光板においては、図G1に示すように、入光面の法線方向からの入射光の第一方向への出射光の出射角度を横軸、強度を縦軸とする入光面全体の出光パターン曲線が、該出光パターン曲線において出射光の強度がピーク強度となるピーク点1点及び出射光の強度が前記ピーク強度の半分となる中間点2点の合計3点を通る正規分布曲線と比較した時に、以下の2条件のうち少なくとも1つを満たす。
条件1.出射光の強度がピーク強度の3/4以上となる出射角度の範囲が正規分布曲線より狭い
条件2.出射光の強度がピーク強度の1/10以上となる出射角度の範囲が正規分布曲線より広い
出射角度の範囲の差には限定はないが、ピーク強度の3/4以上となる出射角度の範囲については、正規分布曲線のそれに対して、3%以上狭い(小さい)ことが好ましい。
またピーク強度の1/10以上となる出射角度の範囲については、正規分布曲線のそれに対して、5%以上広い(大きい)ことが好ましく、より好ましくは10%以上である。
入光面全体の前記出光パターン曲線は、例えば、日本電色工業株式会社製のGC5000L等の変角色差計を用いて、入光面の法線方向から、該面に入射した光の透過光強度の第一方向における角度分布(透過光の強度の出射角度に対する分布)を測定することによって求めることができる。なお、その際使用する入射レーザー光の光源のレーザー直径は3mmとする。
ここで、入光面が後述するような光拡散性の異なる複数の部分領域に分割されている場合には、任意の点10点以上について測定した出光パターン曲線の平均値(各出射角度に対する出射光強度の平均値の分布)を入光面全体の出光パターン曲線とする。
入光面全体の第一方向および第二方向の拡散角度に限定はないが、以下の範囲にあることが好ましい。ここで、「拡散角度」とは、出射光強度(がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう(図G1参照)。
第一方向及び第二方向への拡散角度は、導光板を面光源装置に用いる際に組み合せて使用する点光源の配置や拡散シートおよび反射シート等の他の光学要素の種類に応じて適宜決定することができ、一般に、第一方向への拡散角度が0°より大きく40°未満であることが好ましく、より好ましくは5°以上25°未満である。また、前記第二方向への拡散角度は、前記第一方向への拡散角度よりも小さく、かつ0°より大きく30°未満であることが好ましく、より好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°未満である。
なお、入光面全体の拡散角度は、例えば、Photon Inc.製のPhotonや前述した日本電色工業株式会社製のGC5000L等の変角色差計を用いて、入光面の法線方向から、入光面に入射した光の出射光強度の角度分布(出射光の強度の出射角度に対する分布)を測定することによって求めることができる。
ここで、入光面が後述するような光拡散性の異なる複数の部分領域に分割されている場合には、任意の点10点以上について測定した出射光強度の角度分布の平均値(各出射角度に対する出射光強度の平均値の分布)を入光面全体の出射光強度の角度分布とする。
以上のような出光パターン曲線は、例えば、入光面を、光拡散特性の異なる2種以上の部分領域に分割し、そのうちの少なくとも1種の部分領域(第一の部分領域)が、その法線方向からの入射光の第一方向への出射光の拡散角度が、第二方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有するように構成することにより実現することができる。
このとき、例えば図G5に示すように、入光面が光拡散特性の異なる2種以上の部分領域に分割され、そのうちの少なくとも1種の部分領域が複数の小領域に分割されている態様を好ましく用いることができる。
前記2種以上の部分領域は、少なくとも、その法線方向からの入射光の第一方向への拡散角度が第二方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有する第一の部分領域と、その法線方向からの入射光の第一方向への拡散角度が第二方向への拡散角度より大きい異方性の光拡散特性を有する第二の部分領域であって、第一方向への拡散角度が第一の部分領域のそれより小さい第二の部分領域、及び/又は、その法線方向からの入射光の第一方向への拡散角度と第二方向への拡散角度が略等しい等方性の光拡散特性を有する第三の部分領域と、を含むことが好ましい。
なお、第一〜第三の各部分領域の各出光パターン曲線は、前記条件1.または、前記条件2.を満たしている必要はなく、正規分布曲線で表されても良い。
輝度ムラをより効果的に防止するためには、入光面中に、上記2種以上の部分領域が適度な割合で存在することが好ましい。
入光面中にそれぞれの部分領域の占める面積の割合に具体的な限定はないが、第一〜三の部分領域の少なくとも1つが複数の小領域に分割されており、前記小領域が入光面20平方ミリメートルあたりに占める割合は10〜80%であることが好ましく、また、第一〜三の部分領域の少なくとも1つが入光面20平方ミリメートルあたりに占める割合は面内を通して略一定であることが好ましい。
ここで、略一定とは、入光面の任意の10以上の箇所について、上記少なくとも1つの部分領域が20平方ミリメートルあたりに占める割合を測定した場合に、その割合の分散が平均値の10%以下となることを指す。
また、前記第一〜三の部分領域が各々複数の小領域に分割され、前記第一〜三の部分領域の少なくともいずれかひとつの各小領域の面積が0.2〜4平方ミリメートルであることが好ましい。1つあたりの部分領域の小領域の面積を充分に小さく設定することで、明細書第2発明の導光板を面光源装置として使用する際に、光源と導光板の位置あわせの精度を厳格に求める必要がなくなる。
入光面における、第一の部分領域と、第二の部分領域及び/又は第三の部分領域の配置に限定はない。例えば、それぞれの部分領域は、規則的に配置されていてもよいし(図G5(a)〜(e))、ランダムに配置されていても良い(図G5(f))。また、各部分領域は入光面を第二方向に横断するように配置されていてもよいし(図G5(a)(b))、横断せず島状に分布する配置(図G5(c)〜(f))でも良い。さらに、3種以上の部分領域に分割されていても良い(図G5(e))。
それぞれの部分領域にその法線方向から入射した光の拡散角度に限定はないが、以下の範囲にあることが好ましい。
第一の部分領域の第一方向への拡散角度は5°以上40°未満であることが好ましく、より好ましくは5°以上20°未満である。第二方向への拡散角度は第一方向への拡散角度よりも小さく、かつ0°より大きく40°未満であることが好ましく、より好ましくは15°未満である。
第二の部分領域の第一方向への拡散角度は、第一の部分領域のそれよりも小さく、かつ0°以上20°未満であることが好ましく、より好ましくは10°未満である。第二方向への拡散角度は、第二の部分領域の第一方向への拡散角度よりも小さく、かつ0°以上20°未満であることが好ましく、より好ましくは10°未満である。
第三の部分領域は、第一方向と第二方向への拡散角度が略等しく、かつ0°以上20°未満であることが好ましく、より好ましくは10°未満である。ここで、略等しいとは、両者の比が0.9以上1.1未満の範囲にあることを指す。また、第三の部分領域の第一及び/又は第二方向への拡散角度は0°であっても良い。
なお、各部分領域の拡散角度は、例えば、Photon Inc.製のPhotonや前述した日本電色工業株式会社製のGC5000L等の変角色差計を用いて、入光面の法線方向から、各部分領域に入射した光の出射光強度の角度分布(出射光の強度の出射角度に対する分布)を測定することによって求めることができる。
また、測定に使用するレーザー光源のレーザー径に対し、各部分領域のサイズが小さい場合には、それぞれの部分領域の出射光強度の角度分布が正規分布で表現できる時には、各部分領域の拡散角度は、複数の部分領域が交じり合った面に入射した光の透過光強度の角度分布を、それぞれの部分領域の出射光強度の角度分布(正規分布)の足し合わせであると近似することで求めることが可能である(図G10)。正規分布曲線は、Cを定数、σを標準偏差とすると、次の式によって表される曲線である。
2つの正規分布曲線の各々のC及びσを変化させ、各角度における強度を足し合わせた
近似値と実測値との差が小さくなるようにそれぞれの値を決定することによって、各部分領域の出射光強度の角度分布の近似正規分布を決定する。正確な近似のためには、出射角度=−85°から85°まで1度ごとに計171点について求めた近似値と実測値との差の絶対値の合計が、少なくとも150未満となるようなC及びσを求めることが好ましい
。近似値を求めるにあたって、マイクロソフト社製MICROSOFT EXCEL(登録商標)のソルバーツールを用いて、近似値と実測値との差の合計が最小となるように2つの正規分布曲線の各々のC及びσを変化させることは、短時間で正規分布曲線の各々の
C及びσを求めることができるため、有用である。また、同様の機能を種々のプログラム
言語によって実行することも可能であるが、明細書第2発明の近似値の求め方はこれらに限定されるものではない。以上の方法で得られた2つの正規分布のFWHMを第一の部分領域、及び、第二部分領域または第三の部分領域の拡散角度とする。
第一〜第三の部分領域それぞれに、その法線方向から入射した光線の第一及び第二方向への出射光強度の角度分布において、出射角度=0°における光の透過光強度がピーク強度の90%以上となることが好ましい。
具体的な例を図G16に示す。図G16は日本電色工業株式会社製のGC5000Lを用いて測定した第一の部分領域単独の第一方向への出射光強度の角度分布である。
図中の◇(白抜き)部分の出射光強度は、ピーク強度の90%以上である。どちらの角度分布でも、出射角度=0°において出射光強度はピーク強度の90%以上である。
このように、第一〜第三の部分領域の光拡散特性は、その法線方向から光線を入射したときの第一及び第二方向への出射光の出射光強度の角度分布が、複数のピークを持たず、なだらかに変化するようなものであることが好ましい。
明細書第2発明の導光板において、入光面は少なくとも1つあればよく、2つまたはそれ以上あってもよい。入光面を2つ有する場合、導光板の形状は第一面と第二面を主面とする平板状の直方体であることが好ましく、さらに、2つの入光面が対向していることが好ましい。この場合、対向する二つの入光面は長さが同じであるため、点光源の数や種類を同一にし、部品の共通化を図ることができるというメリットがある。
明細書第2発明の導光板の入光面(の一部の領域)に異方性の光拡散特性を付与する方法に限定はない。
例えば、透光性フィルムや粘着剤中に異方形状の拡散剤等をその長径の方向が特定の一方向に配向するように混入させ、これらを入光面の該当領域に貼り合せる方法が挙げられる。具体的には、長径10〜300μm、短径0.3〜5μmの針状フィラーであって、粘着剤と屈折率の異なる針状フィラーを粘着剤に添加したものを、せん断力をかけながら塗工することによって、その長径の方向を塗工方向に沿うように配向させ、塗工した領域に異方性の光拡散特性を付与することができる(特開2008−34234号公報参照)。
また、入光面の異方性の光拡散特性を持たせる領域に、開口部又は底面が特定の一方向に長い異方性の形状を有する複数の凹部又は凸部を設けることも好ましい。前記特定の一方向は、第二方向と平行な方向であることが好ましい。
なお、凹部(凸部)の開口部(底面)の長径が特定の一方向となす角が40度以下である場合には(0度でなくても)、その凹部(凸部)の開口部(底面)は“特定の一方向に長い異方性形状を有している”ものとするが、凹部(凸部)の開口部(底面)の長径と特定の一方向のなす角は10度以下であることが好ましく、8度以下であることがより好ましく、6度以下であることがより好ましく、4度以下であることがより好ましく、最も好ましくは0度である。ここで、開口部(底面)の長径とは、開口部(底面)に外接する面積が最小となる外接長方形の長辺をいう。
開口部(底面)の形状が特定の一方向に長い異方性形状の形状である凹部(凸部)に混じって、開口部(底面)の形状が特定の一方向に長い異方性形状以外の形状である凹部(凸部)(例えば、開口部(底面)が円等の等方形状であるものや、開口部(底面)は異方性形状であるが、その長径が特定の一方向と平行でないもの)が存在していても構わない。ただし、開口部(底面)が特定の一方向に長い異方性形状を有する凹部(凸部)の開口部(底面)が設けられた領域においては、異方性形状を有する凹部(凸部)の開口部(底面)の面積の合計が、それ以外の凹部(凸部)の開口部(底面)の面積の合計を上回っていることが好ましい。
前記異方性形状の長径と短径の比(長径/短径)に限定はないが、好ましくは2以上であり、より好ましくは10以上である。ここで、短径、長径とは、それぞれ、外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺をいう。
前記異方性形状に限定はなく、その具体例としては、例えば、図G2に示すような直線(溝)や、図13に示すような略楕円形状が挙げられる。
凹部(凸部)の開口部(底面)の形状は、入光面の任意の箇所を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察することによって決定することができる。
凹部(凸部)の第一方向のピッチに限定はないが、その平均ピッチは20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。また、平均ピッチは580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、より好ましくは780nm(可視光全域)以上である。
平均ピッチをこのような値に設定すれば、取り扱い時に凹部又は凸部に爪などが引掛かることも少なく、ハンドリング性が向上する。さらに、明細書第2発明の面光源装置に含まれる導光板によって拡散する光は可視光線(380nm〜780nmの電磁波)であるので、凹部又は凸部による拡散効果を十分に発揮するためには平均ピッチは上記のような値であることが好ましい。
ここで、凹部(凸部)の第一方向のピッチとは、入光面の第一方向に平行な任意の断面における隣合う谷底(凹部の場合)又は山頂(凸部の場合)の間の水平距離(入光面に平行な方向の距離)をいう(図13参照)。なお、谷底(山頂)が平坦である場合には、その中心を谷底(山頂)としてピッチを決定する。
また、凹部又は凸部の第一方向の平均ピッチとは、入光面の凹部(凸部)の形成された領域の出光面と平行な任意の垂直断面から任意に抽出した100μmに存在する凹部(凸部)のピッチの平均値とする。
凹部(凸部)の第一方向の(平均)ピッチは、入光面の凹部(凸部)の形成された領域の第一方向に平行な任意の断面を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察・測定することによって決定することができる。
各凹部(凸部)の大きさ(深さ・高さ)にも限定はない。
例えば、その開口部(底面)の短径は580nm〜50μmであってもよく、780nm〜20μmであってもよく、1〜10μmであってもよい。また、その開口部(底面)の長径は、例えば5μm以上2cm以下であってもよい。
また、深さ(高さ)は、例えば、500nm〜50μmであってもよく、700nm〜30μmであってもよく、5〜10μmであってもよい。凹部又は凸部の平均深さ(高さ)も、500nm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは700nm〜30μm、更に好ましくは5〜10μmである。
ここで、凹部(凸部)の深さ(高さ)は、入光面の凹部(凸部)の形成された領域の任意の断面における各凹部を構成する両側の山のうち高い方の山の山頂と凹部の谷底の間の(各凸部を構成する両側の谷のうち低い方の谷の谷底と凸部の山頂の間の)垂直距離(入光面に垂直な方向の距離)(山頂と谷底の標高差)をいう(図13参照)。また、凹部又は凸部の平均深さ(高さ)は、入光面の凹部(凸部)の形成された領域の任意の垂直断面から任意に抽出した100μmに存在する凹部(凸部)の深さ(高さ)の平均値とする。 凹部(凸部)の大きさは、入光面の任意の箇所を顕微鏡(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により観察・測定することによって決定することができる。
ただし、凹部(凸部)の形状が第二方向に平行な溝(畝)である場合、その長さは、点光源の発光面の第二方向の長さよりも大きいことが好ましい。つまり、溝(畝)の長さは点光源の発光面の大きさ以上であることが好ましい。なお、図G2においては、溝23は入光面22を第二方向25に横断する長さを有しているが、溝(畝)の長さは必ずしも導光板を横断するものでなくてもよい。
複数の凹部(凸部)の形状、大きさ(深さ、高さ)及び第一方向のピッチのうち少なくとも1つがランダム(不規則)に異なっていると、輝度ムラ低減効果が向上するため好ましい。
ここで、大きさ、ピッチが異なっているとは、標準偏差を3倍した値(3シグマ)が平均値の10%を超えることをいう。
明細書第2発明の導光板の入光面に、開口部又は底面が特定の一方向に長い異方形状を有する複数の凹部又は凸部を形成する方法に限定はなく、例えば、本発明について前述した方法((1)〜(3))を採用することができる。また、その際に使用する接着層や表面に複数の凹部又は凸部を有する樹脂層についても前述したものと同様のものを使用することができる。
[光拡散層]
次に、光拡散層について説明する。光拡散層は、入光面の第一〜第三の部分領域に、異方性または等方性の光拡散特性を与えるために利用できる層であり、例えば、前述の(3)凹凸構造を有するフィルムを透光性の粘着剤等を用いて導光板に貼り合せることによって入光面に複数の凹部又は凸部を形成する方法における、凹凸構造を有するフィルムや、フィルム中に異方形状の拡散剤を混入した透光性のフィルムを粘着剤等を用いて導光板に貼り合せる場合の異方形状の拡散剤を混入した透光性のフィルムがこれにあたる。
光拡散層は、入射した光を異方に又は等方に拡散する機能を有する層であればよく、従来公知のものを使用することができ、その材料、形状等に限定はない。
光拡散層の厚さにも限定はないが、接着層との間の接着性の観点からは、25〜500μm程度であることが好ましい。薄すぎるとコシが足りず、基材上に貼合する際の作業性が低下し、一方、厚すぎても逆にコシが強くなりすぎて貼合の作業性が低下するので、50〜300μmであることがより好ましい。
光拡散層は、前述の(3)の方法における凹凸構造を有するフィルムのように、表面に凹凸構造を有する層であってもよく、さらに、透明ベースフィルム層とその上に積層された表面に凹凸構造を有する透明樹脂層とを含む多層構造を有していてもよい。
この場合、光拡散層や表面に凹凸構造を有する透明樹脂層の材料も限定はなく、例えば、光重合性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。
また、透明ベースフィルム層の材料、厚さ等に限定はなく、材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明性の高い(例えば、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1.0以下の)高分子材料が挙げられ、厚さは、例えば、20〜250μm、より好ましくは50〜125μmとすることができる。
前記光重合性樹脂組成物としては、本発明や明細書第1発明について前述したものと同様の光重合性樹脂組成物を使用することができる。
[対向面の光散乱加工]
明細書第2発明の導光板の第二面には、第一面における出光分布を均一にするために、入光面から遠ざかる方向に向かって密になるグラデーションを有する光散乱加工を形成することができる。なお、表示装置用の面光源装置の場合、出光分布の均一性を高めつつも、画面中央の輝度が最も高い一様な山型の出光分布とすることが視認しやすく好ましいとされているので、第二面の中央部分の光散乱加工の密度をより高くするようにしてもよい。
入光面から遠ざかる方向に向かって密になるグラデーションを有する光散乱加工としては、例えば、反射性あるいは拡散性の材料を積層(印刷)した部分や凹凸形状を形成した部分(以下まとめて「ドット」という。)を、入光面から離れるに従って徐々に面積が広くなるように設けたグラデーションパターン(印刷の場合は、徐々に濃くなるグラデーションパターンにしてもよい)や、同一大のドットを入光面から離れるに従ってピッチが狭くなるように設けたグラデーションパターンが挙げられる。この場合のドットの形状としては、例えば、円形、四角形などが挙げられ、その大きさは例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
明細書第2発明の導光板の第二面に上述のような光散乱加工を設ける場合、輝度ムラをさらに低減するために、図C18のように、入光面の近傍であって点光源と対面する位置においては、ドットを形成しないか、或は、ドットの密度を小さくしたり、各ドットを小さく(薄く)することが好ましい。このようにすることによって輝度ムラをさらに低減することができるため、後述のP/Gをさらに大きくすることができる。
[第一面及び/又は第二面の溝構造]
明細書第2発明の導光板は、第一面及び/又は第二面に入光面の法線方向に略平行な溝構造を有する。前記溝構造としては、レンチキュラーレンズ形状又はランダムな複数本の溝であることが好ましい。前記溝構造を第一面、第二面どちらに設けるかは、製造のしやすさ、取り扱いのしやすさ等を考慮して適宜決定すればよい。第一面及び第二面の両方に設けてもよいが、例えば、第二面に前述のような光散乱加工を設ける場合には、第一面の方のみに設けることが好ましい。
さらに、入光部付近のホットスポットを軽減できるという観点から、溝構造は、第一面及び/又は第二面の入光面側端部から1〜50mm内側の位置から開始し、入光面と反対方向に延びるように設けることが好ましい。
レンチキュラーレンズ形状は、入光面の法線方向に略平行な方向に延び、複数並列して設けられることが好ましい。レンチキュラーレンズ形状のピッチは20〜500μmが好ましく、深さは20〜500μmが好ましい(図G19参照)。ピッチが小さすぎるとレンチキュラーレンズの精度の良い加工が困難となり、ピッチが大きすぎると液晶パネルの画素とのモアレが発生しやすくなる。深さが浅すぎると光の直進性が低下し、深さが深すぎると精度の良い加工が困難となったり傷付きやすくなったりする。
次に、ランダムな複数本の溝について説明する。
複数本の溝がランダムであるとは、複数本の溝の断面形状、ピッチ及び深さのうち少なくとも1つがランダム(不規則)に異なっていることをいう。
図G19に、入光面の法線方向に略平行なランダムな複数本の溝を第一面に設けた例を示す。
各溝の断面形状に限定はなく、例えば、V字形状やU字形状とすることができる。
溝のピッチとは、隣り合う溝の谷底の間の水平距離(ランダムな複数本の溝を有する面に平行な方向の水平距離)をいう。なお、谷底が平坦である場合には、その中心を谷底としてピッチを決定する。溝の断面形状や幅は溝の延在方向に沿って変化していても良い。 また、溝の深さは、各溝を構成する両側の山のうち高い方の山の山頂と溝の谷底の間の垂直距離(ランダムな複数本の溝を有する面に垂直な方向の距離)(山頂と谷底の標高差)をいう。
溝の深さは延在方向に沿ってなだらかに又は急勾配で変化していてもよく、また、その結果、途中に溝が途切れる箇所があってもよいが、できれば変化しない方が好ましい。
明細書第2発明において好ましく利用できるランダムな複数本の溝の具体例を図G21A及びG21Bに示す。図G21Aは溝に垂直な方向への拡散角度(後述)が30度、溝に水平な方向への拡散角度が1度の異方性の光拡散特性を有するランダムな複数本の溝の具体例を示す表面プロファイル図である。図G21Bは溝に垂直な方向への拡散角度が60度、溝に水平な方向への拡散角度が1度の異方性の光拡散特性を有するランダムな複数本の溝の具体例を示す表面プロファイル図である。
ランダムな複数本の溝の平均ピッチに限定はないが、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。また、ランダムな複数本の溝の平均ピッチは580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、より好ましくは780nm(可視光全域)以上である。
導光板と組み合せて使用される表示パネルの画素ピッチや光学シートの構造ピッチは、それぞれ、概ね100〜600μm、50〜150μmであるので、ランダムな複数本の溝の平均ピッチをこのような値に設定すれば、導光板と組み合せて使用する表示パネルや光学シートとの空間干渉によるモアレの発生を防ぐことができる。さらに、平均ピッチをこのような値に設定すれば、取り扱い時に溝に爪などが引掛かることも少なく、ハンドリング性が向上する。さらに、明細書第2発明の導光板によって導光する光は可視光線(380nm〜780nmの電磁波)であるので、ランダムな複数本の溝による光の直進化の効果を十分に発揮するためには平均ピッチの下限値は上記のような値であることが好ましい。
ランダムな複数本の溝の平均深さにも限定はないが、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。
溝の斜面角度は光の直進性へ大きな影響を与える。すなわち、第一面又は第二面に溝構造を設けた場合、導光板中では、外側に広がろうとする光を溝の斜面で反射し、導光板中へ戻すことで光の直進性を上げると考えられる。したがって、各溝の斜面角度は、40度〜60度であることが好ましい。そこで、第一面又は第二面に設けたランダムな複数本の溝は、溝の斜面角度の、40度〜60度の範囲内にあるものの占める割合が5%以上であることが好ましい。さらに好ましくは10%以上である。また、その中でも45±5度であるものの占める割合が多いほうがより直進性向上に貢献する。
ここで、「斜面角度」とは、ランダムな複数本の溝を有する面の溝に垂直な断面における各溝を構成する表面の接線と溝構造を有する面とがなす角の総称をいう。
そして、斜面角度が40度〜60度の範囲内にあるものの占める割合については、顕微鏡観察(走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等)により、ランダムな複数本の溝を有する面の任意の垂直断面(溝構造に垂直な断面)から任意に300μmの距離の範囲を抽出し、さらに、その範囲の端から0.5μm毎の点を接点とする接線を抽出して、これらとランダムな複数本の溝有する面とがなす角(鋭角)を測定することによって決定することとする。
明細書第2発明の導光板は、面光源装置に組み入れてノートPC、携帯情報端末、デスクトップPCモニタ、デジタルカメラ、テレビ受信装置等の各種表示装置に使用することができる。
とりわけ、明細書第2発明の導光板を組み入れた面光源装置は、光源として複数の点光源を用いながら、入光面近傍の輝度ムラ(ホットスポット・輝線)が少なく出光面全体に亘って均一な輝度が得られ、ローカルディミングに対応し、大型かつ薄型の液晶表示装置を低コスト且つ/或いは狭額縁に提供することができるので、液晶表示装置に使用するのに適している。
なお、明細書第2発明の導光板を組み入れた面光源装置、表示装置及びテレビ受信装置の具体的な態様は、本発明の面光源装置、表示装置及びテレビ受信装置のそれと同様にすることができる。
次に、本発明において導光板(又は導光板の入光面に貼合する、表面に開口部又は底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有する層)としても好適に利用できる拡散シートに関する本願明細書第3発明について説明する。
明細書第3発明は光源からの光を拡散させるシートに関し、特に、ある一方向にのみ拡散させ、ある一方向に対して直交する方向へは殆ど拡散させない拡散シートに関する。
現在、発光ダイオード(LED)を用いた種々の照明器具が開発・販売されている。しかしながら、LEDが指向性の強い点光源であることから、広い面積を照射するためには多数のLEDが必要になるという欠点があった。そこで、光源と、照射対象と、の間に設置するための拡散板や拡散シートに関する技術が検討されている。
例えば、特許第3413519号公報には、不規則な非平面スペックルによって感光性媒体を露光することにより、感光性媒体に微細彫刻面組織を形成する光の均質化装置が開示されている。
特表2004−508585号公報には、種々のレンズの組み合わせ、開口の寸法、及び露光に使用する各部材の距離を適切に選択することによって所望のスペックルパターンを実現し、感光媒体に露光することで異方性のあるディヒューザのためのマスタの作製方法が開示されている。また、100°x90°、60°x40°、50°x10°、20°x1°、6°x0.3°、60°x0.5°、130°x70°の出力角度を有する最終のマスタを作製した旨の実施例が開示されている。なお、「A°xB°」という表記は、該マスタを用いて作製したディヒューザにおいて、拡散角度が最大となる方向における拡散角度の値がA°で、拡散角度が最小となる方向における拡散角度の値がB°であることを意味する。
特開2005−24886号公報には、特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過するとともに、該特定方向から入射した光の散乱光強度の半値幅が2つの散乱面で異なる異方性散乱フィルムをスクリーンとして前面に配置した投射型画像表示装置が開示されている。そのようなフィルムの製造方法としてホログラフィック手法が開示されており、スクリーンの上下方向の拡散角度が32°で左右方向の拡散角度が75°、並びにスクリーンの上下方向の拡散角度が42°で左右方向の拡散角度が103°の実施例が開示されている。
特開2006−337906号公報には、拡散角度に異方性のある光拡散フィルムが開示されている。そのような光拡散フィルムの製造方法としては、ブラストガンを金型母材に対して寝かせた状態でサンドブラスト加工する方法が開示されている。さらに、平均凹凸間隔がX軸方向で0.13mm、Y軸方向で0.07mmの金型を作製し、該金型を用いて光拡散フィルムを作製し、該光拡散フィルムを用いて垂直方向の拡散角度が32°で水平方向の拡散角度が51°の異方性のあるスクリーンを作製した旨の実施例が開示されている。
工場における検査用のライン照明のようなライン状照明システムを、LED等の点光源を複数使用して実現するためには、該点光源を一列に並べて拡散シートによって光を該点光源の並ぶ方向(以下「水平方向」という。)に拡散させることが考えられる。
該拡散シートにおいて、水平方向の拡散性が低いことは、被照射面において、該点光源からの垂線の足に相当する部分と、隣接する該点光源同士の中間点からの垂線の足に相当する部分と、の間に明暗のムラを発生させるため好ましくない。該点光源の数を増やして間隔を詰めることで明暗のムラを減少させることも考えられるが、電力消費及び製造コストを増大させる傾向にある。
また、該拡散シートにおいて、該点光源の並ぶ方向と直交する方向(以下「垂直方向」という。)の拡散性が高いことは、該点光源からの光が散乱することで、被照射面において、該点光源からの垂線の足に相当する部分に照射される光の強度が低下してしまうため、ライン状照明システムとしては好ましくない。
なお、前記ライン状照明システムのラインが短い場合には、前記点光源を1つとして、前記拡散シートによって光を特定方向に拡散させてもよい。この場合も該特定方向には光の拡散性が高く、該特定方向と直交する方向への光の拡散性が低いことが好ましいことは、該点光源が複数の場合と同様である。
したがって、点光源からの光を前記水平方向に拡散させ、前記垂直方向には拡散させない拡散シートであることが好ましい。このように一方向にのみ点光源からの光を拡大する手段としては、レンズアレイ等の規則的な表面構造が知られているが、規則的な表面構造を用いると、例えば照射された光を撮像する際にモアレ干渉縞が発生することがある。そのため、画質を損なう可能性があり、好ましくない。
そこで、明細書第3発明は、点光源を用いたライン状照明システムにおいて、点光源の数を削減して間隔を広げた場合においても照射面における光の均一性が高く、かつ照射面における光の強度の低下を抑制することが可能で、モアレ干渉縞を発生させることのない拡散シート、及び該拡散シートを有する照明装置を提供することを課題とする。
明細書第3発明の発明者らは、前記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、出射光の拡散角度の最小値が0.1度以下のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光によって得られるスペックルパターンにより感光性媒体を露光し、現像することによって得られるサブマスタ型から転写して作製した拡散シートが、光をある一方向にのみ拡散させ、ある一方向に対して直交する方向へは殆ど拡散させないことを見出し、明細書第3発明を完成するに至った。
すなわち、明細書第3発明は下記の通りである。[1]少なくとも一方の面に非周期的な表面凹凸構造を有し、法線方向から前記表面凹凸構造に入射した光の出射光の拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とが存在し、前記最小値に対する前記最大値の比が200以上であり、前記最大値が40度以上100度未満であり、前記最小値が0.5度未満である拡散シート。
[2] 前記拡散角度の最小値に対する前記拡散角度の最大値の比が400以上である前記[1]記載の拡散シート。[3] 前記出射光の拡散角度が最小値を示す方向に対して斜め方向に筋状パターンが設けられている前記[1]又は[2]に記載の拡散シート。
[4]
前記筋状パターンと、出射光の拡散角度が最小値を示す方向とのなす角度が5度以上である前記[3]記載の拡散シート。
[5]
前記筋状パターンが非周期的である前記[3]又は[4]に記載の拡散シート。[6] 前記筋状パターンが不連続である前記[3]乃至[5]に記載の拡散シート。
[7]
前記出射光の拡散角度の最小値が0.2度以下である前記[1]乃至[6]に記載の拡散シート。[8] 前記表面凹凸構造の最小平均ピッチが20μm以下である前記[1]乃至[7]に記載の拡散シート。[9] 前記表面凹凸構造の最大平均ピッチが5mm以上である前記[1]乃至[8]に記載の拡散シート。
[10]
前記表面凹凸構造の最小平均ピッチに対する、表面凹凸構造の最大平均ピッチの比が200以上である前記[1]乃至[9]に記載の拡散シート。[11] 前記表面凹凸構造の最小平均ピッチに対する、表面凹凸構造の最大平均ピッチの比が400以上である前記[10]に記載の拡散シート。[12] 前記表面凹凸構造の最大平均アスペクト比が0.5以上である前記[1]乃至[11]に記載の拡散シート。[13] 前記表面凹凸構造は、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成されたものである前記[1]乃至[12]に記載の拡散シート。[14] 前記スペックルパターンが、出射光の拡散角度の最小値が0.1度以下のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光によって得られたものである前記[13]に記載の拡散シート。[15] 前記筋状パターンはサンドブラストによって形成されたものである前記[3]乃至[6]に記載の拡散シート。[16] 前記筋状パターンが前記表面凹凸構造の密度の分布によって形成されたものである前記[3]乃至[6]に記載の拡散シート。[17] 少なくとも一つ以上の点光源と前記[1]乃至[16]のいずれかに記載の拡散シートを具備するライン状照明システム。[18] 前記点光源が発光ダイオード(LED)である前記[3]乃至[6]に記載のライン状照明システム。
[19]
出射光の拡散角度の最小値が0.1度以下のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光によって得られるスペックルパターンにより感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製し、該サブマスタ型から少なくとも一回以上転写することを特徴とする前記[1]乃至[16]のいずれかに記載の拡散シートの製造方法。
明細書第3発明の拡散シートによれば、点光源を用いたライン状照明システムにおいて点光源の数を削減して間隔を広げた場合においても照射面における光の均一性が高く、かつ照射面における光の強度の低下を抑制することが可能で、モアレ干渉縞を発生させることがない。
次に、明細書第3発明の実施の形態(以下において、「実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、明細書第3発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。なお、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
図H1は、斜め上方から見た第1の実施形態に係るライン状照明システムの構成を示す模式図である。図H1に示すように、水平方向に並べられた複数の点光源H1からの光は、第1の実施形態に係る、少なくとも一方の面に非周期的な表面凹凸構造を有し、法線方向から前記表面凹凸構造に入射した光の出射光の拡散角度が最大値を示す方向と最小値を示す方向とが存在し、拡散角度の最小値に対する、拡散角度の最大値の比が200以上、前記最大値が40度以上100度未満であり、前記最小値が0.5度未満である拡散シートH2を介して、照射面H3に対して照射される。
点光源H1は光を発する機能を有し、その表示形態、寸法、配光範囲は限定されない。点光源H1としては自発光光源を用いることが好ましいが、その方式は限定されず、例えばLED、白熱灯、ハロゲンランプ、水銀灯、キセノンランプ、ナトリウムランプ、及び可視光レーザー等が挙げられる。中でもLEDは、発した光の発散性が低いので照射面においても高輝度を保ったライン状照明システムを得やすいこと、発光効率の高さや光源の小型化が可能なことから好ましく、LEDチップ単独や、COB型(Chip On Board型)LEDなどの単一光源であっても、LEDチップが複数実装された形態からなるような、複数光源であってもよい。
また、点光源にかえて、熱陰極管、冷陰極管等の線光源を使用してもよい。
拡散シートH2は、光透過性で平面状の基材からなる基材層を備え、基材層の少なくとも一方の表面に表面凹凸構造を有している。ライン状照明システムとして使用する場合には、拡散シートH2に対して、点光源H1を、表面凹凸構造を有する表面側に設置することが好ましい。
基材層としては、光透過性を有するシート、フィルム、膜、又は板等を用いることができる。基材層の材質としては有機材料、無機材料、又は有機材料及び無機材料からなる複合材料を用いることができる。ここで、有機高分子材料等の有機材料は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、及びシクロオレフィンポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材層の厚みは40μm以上であることが好ましい。また基材層の光透過率は85%以上であることが好ましい。
拡散シートH2の表面凹凸構造は、多数の微細突起部からなる構造で、突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、及び略放物面状のいずれでもよく、また、突起部間は、連続的な曲面でつながっていてもよい。凸部の高さ及びピッチの少なくとも一方は非周期的であることが好ましい。ここでいう「非周期的」とは、隣接する数個の突起部の高さ及びピッチの少なくとも片方がランダムであることを意味する。
拡散シートH2の表面凹凸構造は、具体的には、次のようにして形成することができる。 まず、予め干渉露光によりスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製し、このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着することによりこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。さらに、光透過性基材に、マスタ型を用いて紫外線硬化樹脂による賦形を行うことにより、光透過性基材の表面にスペックルパターンを転写する(硬化した紫外線硬化樹脂からなるスペックルパターン層を基材の表面に成形する。)。このスペックルパターンが拡散シートH2の表面凹凸構造に対応する。
スペックルパターンとは、コヒーレントな光が拡散板を通過した後の空間に干渉によって生成するランダムな強度を有する光分布パターンのことであるが、該空間に感光性樹脂層を有する基板を設置して露光及び現像することによって、ランダムな表面凹凸構造に変換され、該構造を有するサブマスタ型を製造することができる。本明細書においては、このランダムな表面凹凸構造のこともスペックルパターンという。
上記のサブマスタ型の詳細な製造方法については、ホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製し、該サブマスタ型からシートへと表面構造を転写することによって凹凸構造を有するシートを得ることができる。スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散シートH2の表面凹凸構造が調節され、凹凸構造の平均ピッチを制御することができる。スペックルパターンの寸法・形状及び方向の調節方法については、例えば特許第3390954号公報に開示されている公知の方法を用いることができる。
また、スペックルパターンで特徴づけられた拡散シートH2の表面凹凸構造は、拡散シートH2のどちらか一方の面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
第1の実施形態に係るライン状照明システムの場合は、拡散シートH2は、点光源からの光を照射面H3上に照射するために光透過性であり、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比が、200以上であり、より好ましくは400以上である。そのような拡散シートH2を用いることにより、例えば点光源を用いたライン状照明システムにおいて、点光源の数を削減して間隔を広げた場合においても、照射面における光の均一性を高くすることが可能となる。このような拡散シートH2は、上述のサブマスタ型を作製する際の露光で用いるホログラフ拡散体として、異方度の高いスペックルパターンを有するホログラフ拡散体を使用することで得ることができる。なお、ホログラフ拡散体における異方度とは、ホログラフ拡散体を透過する光が方向によって異なる拡散角度を示すときに、ホログラフ拡散体の拡散角度の最小値に対する、拡散角度の最大値の比によって与えられる。拡散シートH2の拡散角度の最小値に対する、拡散角度の最大値の比を高くするために用いられる異方度の高いスペックルパターンを有するホログラフ拡散体とは、具体的には、拡散角度の最小値が好ましくは0.1度以下であるもの、より好ましくは0.05度以下であるもの、更に好ましくは0.03度以下であるものをいう。また、拡散角度の最大値が好ましくは5度以上であるもの、より好ましくは10度以上であるもの、更に好ましくは20度以上であるものをいう。
前述の干渉露光による拡散シートの製造方法においては、従来、一定以上の拡散性を有するホログラフ拡散体やすりガラス等のその他の拡散体を用いて、拡散シートは製造されている。しかし、一定以上の拡散性を有するホログラフ拡散体を用いて、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比が、200以上である拡散シートH2を製造することは不可能である。これに対し、上述した拡散角度の最小値を有するホログラフ拡散体を用いることにより、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比が、200以上である拡散シートH2を製造することが可能となる。
拡散シートH2の出射光の拡散角度の最小値(垂直方向)は、点光源からの光を効率よく照射面H3に照射するため、0.5度未満であることが好ましく、より好ましくは0.2度以下、更に好ましくは0.1度以下である。
拡散シートH2の出射光の拡散角度の最大値(水平方向)は、点光源間の光のムラを抑制するため、40度以上であることが好ましく、より好ましくは60度以上である。拡散角度の最大値は100度未満であることが好ましい。
出射光の拡散角度は、例えば日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)やフォトン・インク(Photon Inc.)製のビームプロファイラ(NanoScan)を用いて、拡散シートH2に対して法線方向から、拡散シートH2の表面凹凸構造を有する表層に入射した光の出射角度に対する透過光強度の分布を測定し、出射光強度の最大値の半分以上の値となる拡散角度の範囲(半値幅)を求めることによって得られる。拡散シートH2に対する法線方向とは、拡散シートH2の表面に対して垂直な方向のことである。
表面凹凸構造の具体的なサイズとしては、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比を200以上にするという観点、特に最大拡散角度を上げるという観点から、最大平均アスペクト比が0.5〜3であることが好ましい。アスペクト比は、凸部高さの1/2の位置における凸部の幅に対する、凸部高さの比(高さ/幅)で定義される。最大平均アスペクト比は拡散シートの面内を様々な方向に走査して求められる各方向の平均アスペクト比の最大値によって与えられる。
拡散シートH2の表面凹凸構造の平均ピッチの最小値は、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比を200以上にするという観点、特に最大拡散角度を上げるという観点から、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下であり、更に好ましくは10μm以下であり、よりさらに好ましくは5μm以下である。ここで、20μm以下とすることより、拡散シートH2の外観上のざらつき感をより抑制することが可能となる。また、平均ピッチの最小値は、580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、780nm(可視光の上限波長)以上であることがより好ましい。平均ピッチとは、拡散シートH2の表面凹凸構造のピーク間又はボトム間のピッチの平均のことであり、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザー顕微鏡、及び表面形状測定機等を用いて観察することで測定することができる。平均ピッチの最小値は、拡散シートの面内を様々な方向に走査して求められる各方向の平均ピッチの最小値によって与えられる。
拡散シートH2の表面凹凸構造の平均ピッチの最大値は、出射光の拡散角度の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比を200以上にするという観点、特に最小拡散角度を下げるという観点から、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは5mm以上であり、更に好ましくは10mm以上である。平均ピッチの最大値は拡散シートの面内を様々な方向に走査して求められる各方向の平均ピッチの最大値によって与えられる。
また、拡散シートH2は、出射光の拡散角度
の最小値に対する、出射光の拡散角度の最大値の比を200以上にするという観点から、表面凹凸構造の最小平均ピッチに対する、最大平均ピッチの比が、200以上であることが好ましく、より好ましくは400以上であり、更に好ましくは600以上である。
拡散シートH2は2層以上からなっていてもよく、例えば表面凹凸構造を有する表層を紫外線硬化樹脂によって平滑な基材層の上に賦形してもよい。
図H2は、上方から見た第2の実施形態に係る拡散シートH2を示す模式図である。拡散シートH2は少なくとも一方の面に非周期的な異方性表面凹凸構造を有し、図H2に示すように、出射光の拡散角度が最小値を示す方向H6に対して斜め方向に筋状パターンH5が同面内に形成されている。筋状パターンH5は、例えば拡散シートH2に略平行に設けられた複数の溝、あるいは突起(リッジ)からなる。あるいは、筋状パターンH5は、表面凹凸構造の密度分布を筋状に変化させることによって形成される。筋状パターンH5を形成することにより、凹凸構造を有する面が擦れて傷がついた場合に、傷が筋状パターンH5に紛れることで視認されにくくなる効果を発揮する。加えて、筋状パターンH5が形成されていることにより、凹凸面に応力がかかった際に、筋状パターンH5に沿って擦れることで傷の発生を未然に防ぐ効果も発揮される。
筋状パターンH5の平均ピッチは耐擦過性の向上のためには2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。
ここで、筋状パターンH5の平均ピッチとは、目視により確認できる筋状パターンのピッチの平均のことであり、光学顕微鏡やルーペ等を用いて観察することで測定することができる。後述するように、サンドブラスト等によって形成された筋状パターンH5であれば、筋状パターンH5の凹凸の間隔をピッチとして測定することができる。また、筋状パターンH5が表面凹凸構造の密度分布によって形成される場合には、密度の濃淡の間隔をピッチとして測定することができる。
出射光の拡散角度の最小値を与える方向H6に対する筋状パターンH5の角度H7は、十分な耐擦過性のためには5度以上であることが好ましく、より好ましくは10度以上である。
拡散シートH2の拡散性を阻害しないためには、角度H7は30度未満であることが好ましく、より好ましくは20度未満である。
筋状パターンH5が非周期的であることは、例えば液晶パネルのように規則的に配置された画素からなる表示装置と光源との間に拡散シートH2を用いた場合に、モアレ干渉縞が発生しにくいことから好ましい。
十分な耐擦過性のためには、筋状パターンH5は不連続であることが好ましい。
筋状パターンH5は、表面凹凸構造を有するサブマスタ型或いは拡散シートH2に対して、例えば、出射光の拡散角度の最小値を与える方向H6に対して、斜めにサンドブラストをかけることで形成することができる。
表面凹凸構造を有するサブマスタ型或いは拡散シートH2に対して、例えば、出射光の拡散角度の最小値を与える方向H6に対して、斜めにサンドペーパーや凹凸面を有するロール、ワイヤー等で擦ることも、筋状パターンH5を形成する手法として用いることができる。
サンドブラストやサンドペーパー、ロール、ワイヤー等によって筋状パターンH5を形成する場合には、拡散シートH2の拡散性への悪影響を避けるため、筋状パターンH5の平均アスペクト比は0.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以下であり、更に好ましくは0.05以下である。
筋状パターンH5を形成する別の方法としては、干渉露光によりサブマスタ型を作製する際に、露光の強度やスペックルパターンのピッチを調節することで、サブマスタ型の表面凹凸構造の密度に分布を持たせることもできる。表面凹凸構造の密度に分布を持たせることにより、出射光の拡散角度の最小値を与える方向H6に対して、斜め方向に筋状パターンH5を外観上、視認させることが可能となる。
明細書第3発明は、ライン状光源システムを有する照明装置および検査装置の分野で好適に利用できる。
次に、本発明において用いる導光板を製造する際にも好適に利用できる、貼合方法及び貼合治具に関する本願明細書第4発明について説明する。 明細書第4発明は、貼合方法及び貼合治具に関し、特に板状部材の一端面に光学フィルムを貼合するのに適した貼合方法及び貼合治具に関する。
略平行な二主面を有するフィルム状部材の主面、又は略平行な二主面と当該二主面の縁の間に位置する幅の狭い端面とを有する板状部材の主面に、光学フィルムや保護フィルムを貼合した製品や貼合する方法はよく知られている。これに対して、板状部材の端面に光学フィルムを貼合した製品や貼合する方法は少なく、一般的でなかった。これは、板状部材の用途において、端面が積極的な機能を有することが少なかったことが理由の一つとして挙げられる。
しかし、近年、端面が積極的な機能を有する板状部材が提案され、例として、液晶表示装置において、エッジライト方式の面光源装置の部品として使用される導光板が挙げられる。エッジライト方式の面光源装置においては、液晶表示パネルの背面に導光板が配置され、導光板の一端面(側面)に光源が配置される。この構造により、光源を直接液晶表示パネルの背面に配置する直下方式の面光源装置と比較して、薄型化が可能となる。通常の導光板は、厚みが0.5〜10mm程度で、液晶表示パネルより一回り大きい長方形状の透明樹脂板であり、一端面(側面)が入光面、液晶表示パネル側の主面が出光面として用いられる。このような導光板は、液晶表示装置以外にも、室内照明や自動車照明を含む照明用途で使用されている。
上述の導光板には、光学特性を向上させる目的で、テープ状の光学シートを一端面に貼合したものがある。具体的には、端面からの光の漏出を減らすことを目的として反射シートを入光面以外の端面に貼合した導光板や、輝度ムラの低減を目的として入光面(端面)に異方性光拡散体シートを貼合した導光板が提案されている(例えば、特開2011−3532号公報参照。)。
しかし、特開2011−3532号公報において、異方性光拡散体シートは、高透明性の両面粘着テープにより導光板に貼合される旨の記載はあるが、貼合方法や治具についての具体的な記載はない。
また、略平行な二主面と一以上の端面とを有する板状部材の一端面に光学フィルムを貼合する場合、界面に気泡が入らないように貼合することが必要になる場合がある。例えば、前述の導光板の例においては、端面に反射シートを貼合する場合には、界面に気泡が入っても同様の効果を奏するので剥離しなければ大きな問題はない。しかしながら、入光面に前述の異方性光拡散体シートを貼合する場合は、気泡の存在が、光学特性に悪影響を与え、所望の光拡散効果を得ることができない。さらに、気泡の存在が、外観上の問題となることも多い。
そこで、光学フィルムを貼合した界面に気泡が入った場合には、当該光学フィルムを一度はがして貼りなおすか、気泡の入った部分を手で押して気泡内の空気を界面から外部に逃がすことが考えられるが、これらの方法は生産効率がよくない。特に、段積み状態の複数の導光板に対して光学フィルムを貼合する場合においては、各導光板の一端面の不揃いにより奥まった位置にある導光板の側端面に対して、例えば数十cm以上もの長さに渡って逸れることなく短冊状の光学フィルムを貼合すること自体が困難である上、上記の方法で気泡を排除することも困難である。また、1枚の板状部材であっても、一端面が粗い場合には同様に、凹んだ部分において気泡を排除することが困難である。
明細書第4発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、板状部材の一端面に光学フィルムを気泡なしに効率よく貼合する方法を提供することを目的とする。
明細書第4発明の発明者らは、鋭意検討した結果、形状追随性を有する部材を備える貼合治具、また、その貼合治具を用いた貼合方法が前述のような問題が解消できることを見出し、明細書第4発明を完成させた。
すなわち、明細書第4発明は以下のとおりである。[1] 略平行な二主面と一以上の端面とを有する板状部材の一端面に、粘着材層と光学フィルム層とが積層されたテープ状部材であって、前記板状部材の前記一端面の厚みと略同一もしくはそれよりも狭い幅を有するテープ状部材を貼合する方法であって、 前記テープ状部材の前記粘着材層を前記一端面に対向させ、前記テープ状部材を前記一端面上に積層する積層工程と、 形状追随性を有する部材を備える貼合治具で、前記光学フィルム層上を、前記一端面の長手方向に圧力をかけながら1回以上なぞる密着工程と、 を有する貼合方法。[2] 前記積層工程が、前記一端面に積層された前記光学フィルム層上の複数の箇所を前記一端面に圧接する工程を含む前項[1]に記載の貼合方法。[3] 前記積層工程と前記密着工程とが、同一形状を有する複数の前記板状部材を多段積みした状態で行われる工程である前項[1]又は[2]に記載の貼合方法。[4] 前記密着工程が、前記形状追随性を有する部材で複数の前記板状部材の一端面を長手方向に同時になぞる工程を含む前項[3]に記載の貼合方法。[5] 前記積層工程と密着工程とが、複数の板状部材が、隣り合う板状部材間の段差が500マイクロメートル以上で多段積みされた状態で行われる工程である前項[3]又は[4]に記載の貼合方法。[6] 前記積層工程が、同一形状を有する複数の前記板状部材を多段積みした状態で行われる工程であり、前記密着工程が、前記板状部材を1枚ずつにした状態で行われる工程である前項[1]又は[2]に記載の貼合方法。[7] 前記板状部材の一端面の表面粗さが500マイクロメートル以上である前項[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の貼合方法。[8] 前記板状部材の厚みが0.5〜10ミリメートルの範囲内である前項[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の貼合方法。[9] 前記光学フィルム層の表面が光拡散性を有する凹凸構造を有する前項[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の貼合方法。[10] 前記光学フィルム層の鉛筆硬度が5H以下である前項[1]乃至[9]のいずれか1項に記載の貼合方法。[11] 前記積層工程と前記密着工程とが、前記テープ状部材の長さが、前記板状部材の一端面の長さより長く、前記テープ状部材の少なくとも1端が前記一端面より長手方向にはみだした状態で行われる工程であり、前記テープ状部材の前記板状部材の一端面からはみ出した部分を切断する切断工程を有する前項[1]乃至[10]のいずれか一項に記載の貼合方法。[12] 前記テープ状部材が両端を有し、少なくとも一端の近傍にマーキングを有する前項[1]乃至[11]のいずれか一項に記載の貼合方法。[13] 前記積層工程において、リールから前記テープ状部材を前記板状部材の一端面上に供給する、前項[1]乃至[12]のいずれか1項に記載の貼合方法。[14] 板状部材の端面上に粘着材層を介して積層された光学フィルム上をなぞるための貼合治具であって、形状追随性を有する部材を備える貼合治具。[15] 当該貼合治具表面に位置し、すべり付与性材料からなるすべり性付与層と、 前記すべり性付与層の内側に位置し形状追随性を有する材料からなる形状追随層と、 を備える前項[14]記載の貼合治具。[16] 前記形状追随性を有する材料がゴム硬度が10乃至70の材料である前項[14]又は[15]記載の貼合治具。[17] 前記形状追随性を有する材料が弾性体である前項[14]又は[15記載の貼合治具。[18] 前記弾性体がゴム又はスポンジからなる前項[17]記載の貼合治具。[19] 前記弾性体がスポンジ硬度が5乃至50のスポンジである前項[17]記載の貼合治具。[20] 前記形状追随性を有する材料が塑性変形体である前項[14]又は[15]記載の貼合治具。[21] 板状部材の端面上に粘着材層を介して積層された光学フィルム上をなぞるための貼合治具であって、形状追随性を有する部材を備える貼合治具と、 積層された前記粘着材層及び前記光学フィルムを備えるテープ状部材を前記板状部材の一端面上に供給するために前記テープ状部材を巻きつけた状態で保持するためのリールと、 前記板状部材の二主面をはさみつけた状態で前記一端面に沿って移動するためのピンチローラと、を 備える貼合装置。
明細書第4発明に係る貼合方法及び貼合治具によれば、板状部材の一端面に光学フィルムを気泡なしに効率よく貼合することが可能になる。
以下、明細書第4発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。なお、明細書第4発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
実施の形態に係る貼合方法は、図I1に示すような略平行な二主面と一以上の端面とを有する板状部材I1の一端面に、粘着材層と光学フィルム層とが積層されたテープ状部材I2であって、板状部材I1の一端面の厚みと略同一もしくはそれよりも狭い幅を有するテープ状部材I2を貼合する方法である。実施の形態に係る貼合方法は、テープ状部材I2の粘着材層を板状部材I1の一端面に対向させ、テープ状部材I2を板状部材I1の一端面上に積層する積層工程と、形状追随性を有する部材を備える貼合治具で、光学フィルム層上を、板状部材I1の一端面の長手方向に圧力をかけながら、1回以上なぞる密着工程と、を有する。
実施の形態に係る貼合方法で用いられる板状部材I1とは、略平行な二主面と一以上の端面とを有する部材であり、例えば透明樹脂又はガラス製であり、主面が長方形状の板状部材、より具体的には導光板が挙げられる。実施の形態に係る貼合方法が好ましく適応できる板状部材I1の厚みは0.5mm〜10mmであり、更に好ましくは1mm〜5mm、最も好ましくは1.5mm〜4mmである。
実施の形態に係る貼合方法で用いられるテープ状部材I2とは、例えば粘着材層と光学フィルムとが積層されてなるテープ状部材をいう。このようなテープ状部材I2は、光学フィルムの主面の一方に溶媒に溶かした粘着材を塗布乾燥して作製した積層体、あるいは光学フィルムの主面の一方に両面粘着シートを積層する公知の方法で気泡無しに作製した積層体を、テープ状に切断する方法で製造することができる。
以下では、実施の形態に係る貼合方法を、板状部材I1を導光板とし、一端面を導光板の入光面とし、テープ状部材I2を粘着材層が積層された光拡散フィルム(光学フィルムの一種)とした例で説明する。
テレビ用の導光板の場合、導光板の主面のサイズはテレビの画面の大きさにより定められる。例えば32インチテレビ用の場合は長辺の長さは約70cmであるが、60インチテレビ用の場合は133cmにも及ぶ。例えば導光板の厚みが3mmであり、32インチテレビ用の導光板の長辺に渡って貼合する場合、貼合する光拡散フィルムの大きさは、例えば幅2.8mmで長さは70cmとなる。
光拡散フィルムの幅は求める光学性能に応じて、導光板の厚みに対して110%〜20%の間で設定され、好ましくは100%〜40%、更に好ましくは99%〜50%であり、最も好ましくは95%〜80%である。導光板の厚みに対して光拡散フィルムの幅が110%以下であれば、他の部材との干渉によりひっかかって部分剥がれが生じる可能性が少ない。また、幅が20%以上であれば、光拡散性などの所望の光学特性が得られる。
光拡散フィルムの長さは、下限は光源(LEDチップ)が並んでいるエリアを確保できる長さであり、上限は貼合する導光板の一端面の長さよりも数cm長くすることができる。
図I2に示すように、複数の導光板1が主面方向に段積みされた状態で、導光板一枚毎の一端面に光拡散フィルム2を貼合する場合、端面が隣接する導光板毎に段差が生じ、奥まったものと飛び出たものが存在する。この時、奥まった
導光板の一端面に光拡散フィルムを手で貼合する場合であって、導光板の厚みが例えば3mmと薄く、奥まった部分に手が入らない場合には、光拡散フィルムの片端部を導光板の一端面の長手方向にはみ出した状態にして把持すれば、フィルム長尺に渡って導光板の一端面幅から逸れないように位置調整して積層しやすくなるので好ましい。また、密着工程は、板状部材を一枚ずつにした状態でおこなってもよい。
確実に把持できるよう、貼合終了側の端部が長手方向にはみ出すことがより好ましく、また光拡散フィルムの両端部を導光板一側面からはみ出した状態とすることも適宜好ましく採用できる。光拡散フィルムが導光板の一端面からはみ出した状態とすることにより、視認性がよくなり、段積みの板状部材に1枚ずつ貼合していく際に、貼合し忘れを防ぐことができ、検査もしやすくなる利点がある。また、万一、フィルムが導光板の一端面幅から逸れてしまった場合など、貼合し直しが必要な場合に、剥がしやすくなる利点もある。
はみ出す長さは把持するに十分な量とし、5mm〜30mmが好ましい。5mmより少ないと把持しにくく、30mm以上では光拡散フィルムが無駄になる傾向にある。上記はみ出しの目的が済んで、少なくとも製品となる前の段階で、カッターを用い、はみ出した部分を除去することが好ましい。
光拡散フィルムの厚みは30〜300μmが好ましい。厚みが30μm以上であれば貼合時に破断することが少なくなる傾向にある。また、厚みが300μm以下であれば、密着工程で気泡をより容易に抜くことが可能となる傾向にある。また、粘着材層の厚みは10〜70μmが好ましい。厚みが10μm以上であれば、粘着力を充分に確保でき、熱衝撃等で自然に剥離することを抑制可能になる傾向にある。また、厚みが70μm以下であれば、密着工程で気泡を抜くことがより容易になる傾向にある。
実施の形態に係る貼合方法において、光学フィルム層上を形状追随性を有する部材で圧力をかけながら一端面の長手方向に1回以上なぞる密着工程により、光学フィルム層と板状部材の一端面の間の気泡を容易に除去することができる。形状追随性を有する部材については後述する。この時、密着工程の前の積層工程において、光学フィルム層上の複数の箇所を一端面に圧接する仮止め工程を含ませることができる。
また、同一形状を有する複数の板状部材を多段積みした状態で、積層工程と密着工程とを行うことができる。更に、同一形状を有する複数の板状部材を多段積みした状態で積層工程を行い、板状部材を1枚ずつにした状態で密着工程を行うこともできる。
光学フィルム層が透明の場合には、図I3に示すように、視認性向上のためにテープ状部材I2の一端又は両端にマーキングI3を設けることができる。板状部材I1の一端面が略1mを超える長い場合、2枚の光学フィルムで貼合することも可能であるが、その際に、例えばテープ状部材に二つ設けられたマーキングを板状部材の一端面の両方の端にそれぞれ合わせてから貼合、あるいは、マーキングを中心に合わせてから貼合、あるいは一端面と中心にそれぞれマーキングを合わせてから2枚のフィルムを貼合することにより定位置に貼合しやすくなる。また、多段積みの板状部材に1枚ずつ貼合していく際に、貼合し忘れを防ぐことができ、検査もしやすくなる利点がある。
板状部材の一端面より、長手方向にはみ出してテープ状部材を貼合する場合は、マーキング位置はテープ状部材の端とする場合、あるいは板状部材の端とする場合で適宜選択できる。マーキングの方法としては、マーカーによってラインを引く方法や、色つきのテープをマークしたい部分に貼合する方法がある。マーカーとしては、市販のサインペンやマジックインキ、熱退色性インキを用いたペン等を用いることができる。熱退色性インキを用いたペンは、テープ状部材を貼合後、形状追随性部材で圧力をかけながらフィルム層上をすべらせる工程で発生する摩擦熱によりマーキングが消えるために、最終製品にマーキングを残したくないニーズがある場合に好ましく用いることができる。色つきのテープとしては、各種テープを用いることができるが、最終製品にマーキングを残したくないニーズがある場合には微粘着性のテープでマーキングすることによって貼合後、テープをはがすことができるために好ましく用いることができる。
図I4に示すように、テープ状部材I2はリールカートリッジにより板状部材I1の一端面に供給することができる。リールカートリッジは、リールに巻かれたテープ状部材I2であって、光学フィルム層、粘着材層、及び剥離紙層からなるテープ状部材I2を、剥離紙I5を剥離させて巻き取りながら粘着材層側が板状部材I1の一端面に対向するように板状部材I1の一端面上に供給するもので、適宜、テープ状部材I2を供給する部分(以下「供給口」)には板状部材I1の一端面幅から逸れてしまわないようにガイドローラI10を設けることができる。また、板状部材I1の二主面を両側から挟むピンチローラI9を設けることが好ましい。また供給口に後述する形状追随性を有する貼合治具I4を設けることにより、積層工程と密着工程とを同時に又は連続して行うこともできる。なお、テープ状部材I2において、光学フィルム層が剥離層の機能を有していてもよい。この場合、テープ状部材I2は剥離紙I5を備えていなくてもよい。
図I5に示す実施の形態に係る貼合治具I4は、実施の形態に係る貼合方法における密着工程を実施するのに適した治具である。実施の形態に係る貼合治具I4は、光学フィルム層表面と接触する接触部I6を備え、接触部I6が形状追随性を有する部材であることにより、圧力をかけながら板状部材I1の一端面の長手方向に1回以上なぞることで、気泡を排除しつつテープ状部材I2を板状部材I1の一端面上に密着させることができる。ここで、「なぞる」とは、形状追随性を有する部材を備える貼合治具I4を光学フィルム層表面ですべらせる場合と、ころがらせる場合と、の両方を含む。
貼合治具I4の形状追随性を有する部材は、ゴム、スポンジ等の弾性体や、形状追随性を有する塑性変形体であることが好ましい。また形状追随性を有する材料の硬度はゴム硬度が10〜70であることが好ましく、35〜65が更に好ましく、40〜60が最も好ましい。なお、形状追随性を有する材料がスポンジ等でゴム硬度を測定することができない場合はスポンジ硬度で代用することができ、その場合、5〜50であるのが好ましい。このような形状追随性を有する部材を使用することにより、特に硬度が5以上であれば、掛けた応力が一端面に対して垂直方向の応力に効率的に伝播され、効率的に気泡を排除しつつ密着させることができる傾向にある。この際、弾性体であると長期の使用に耐えることができる。硬度が70以下であれば、加えた応力に対する形状追随性が優れ、治具が幅方向に対し少し傾いても接触面積を一定以上確保でき、一端面の幅方向の気泡排除の均一性が優れる傾向にある。
図I5(b)及び図I5(c)に示すように、実施の形態に係る貼号治具4は、板状部材I1の一端面の表面粗さが500μm以上である場合、あるいは多段積みの板状部材I1で隣り合う一端面の段差が500μm〜5mm程度である場合においても、形状追随性が十分にあるため、複数枚の板状部材I1を一度になぞって気泡除去することができる。更に光学フィルムの表面に光拡散性を有する凹凸構造が存在していても、特に光学フィルムの鉛筆硬度が5H以下の柔軟なフィルムであっても傷がつきにくく、光拡散性を貼合後にも維持できる。
なお、密着工程における圧力をかけた状態において、実施の形態に係る貼合治具I4がテープ状部材I2の長手方向と接触している長さ(接触長さ)は0.5mm〜15mmであることが好ましく、0.8mm〜5mmが更に好ましく、1mm〜3mmが最も好ましい。接触長さが0.5mm以上であると気泡を効率的に排除できる傾向にあり、15mm以下であると加えた力を効率的に気泡排除するための応力に伝播することができる傾向にあり、作業者が手貼りする際に疲れにくくなる。
形状追随性を有する部材の材料は、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、4フッ化エチレン・プロピレン系ゴム、水素添加NBR、塩素化ポリエチレン、エチレンアクリレート系ゴム、ノルボルネンゴム、フロロシリコーンゴム、天然ゴム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、EVAフォーム、シリコーンフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム、及びEPDMフォームなどから選択され、具体的には、Dow Corning社製シリコーンラバーSilastic J−RTVや日本バルカー工業株式会社製コードシール<ソフト>等を好ましく用いることができる。
実施の形態に係る貼合治具I4の接触部I6は、図I6(a)に示すように、形状追随性を有する部材の材料からなる形状追随層I8のみからなっていてもよい。あるいは、貼合治具I4の接触部I6の最表面部に、図I6(b)及び図I6(c)に示すように、すべり付与性材料からなるすべり付与層7を設けることにより、スムーズに一端面を長手方向になぞることができ、作業性を更に向上することができる。特に、貼合治具の接触部I6と接触する光学フィルム層の表面が平滑な場合には、効果は顕著である。この場合のすべり付与層7はそれよりも内側に存在する形状追随層I8との積層であってもよいし、傾斜構造をとってもよい。積層の場合は、形状追随層I8をすべり付与性材料で被覆してもよいし、形状追随層I8にすべり付与性材料を固着してもよい。このすべり付与性材料の存在は内部の形状追随層I8の寿命を伸ばす効果や形状追随材料の飛散防止効果が付与され、適宜、このすべり付与層7のみを交換することによって貼合治具を長く使用することもできる。
すべり性付与材料としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、フッ素系樹脂、ポリオキシメチレンなどが選択される。また熱収縮性を持つ、フィルムやチューブであれば、形状追随層I8にすべり性付与材料を被覆した後に加熱収縮することにより密着させ、両者間での滑りによる材料の磨耗が抑止でき貼合治具の寿命を延ばすことができる。
貼合治具I4は接触部I6の他、人の手もしくはロボットアームなどによる把持部を備えることができる。この場合、接触部I6と把持部は一体であり、接触部I6を圧力をかけながら一端面の長手方向に滑らせることが好ましい。すなわち転がり摩擦よりも動摩擦をうまく制御し効かせることにより加えた応力を効率的に気泡排除するための応力に伝播することができる。その場合、貼合治具I4の形状は直方体、四角錘などが選択され、その内の一辺、もしくは一頂点を接触部I6とし、圧力を加える。
また、一度に一枚ずつ密着であれば、貼合冶具4の形状を板状部材I1の厚さにあわせた溝を有する形状とすることもできる。
一方、貼合治具の形状をロール状とし、板状部材の両側、例えば両端面をそれぞれロールでモーメントを与えないように挟んで押し付け、回転しつつ板状部材を送りつつ貼合することもできる。この場合は、ロールでの押圧が殆ど効率的に一端面に対して垂直の応力が与えられるので気泡除去をしつつ密着させることができる。
本発明の導光板を製造する方法の一つとして、凹凸構造を有する粘着材付シート(シール)を導光板基材に貼合する方法について先に説明した。この方法において用いるのに好適な表面に凹凸構造が形成された粘着材付シートの製造方法に関する本願明細書第5発明について、凹凸構造の中でも顕著な効果を示す、開口部または底面が一方向に長い異方性形状を有する複数の凹部または凸部からなる凹凸構造(以下「縦溝構造」という。)のものを例示する形で、以下に説明する。ただし、明細書第5発明は、例示された縦溝構造に限定されず、各種凹凸構造を有する粘着材付シート(シール)に適用可能である。
(縦溝シートロールの製造方法)
第一に、基材に縦溝構造を有する樹脂層(「縦溝層」ともいう。)が積層されたシートが芯管にロール状に巻かれたもの(以下、「縦溝シートロール」という。)を製造する方法を説明する。
芯管にロール状に巻かれた基材を芯管から巻出して(巻出工程)、光重合性樹脂組成物を塗布し(塗布工程)、円筒面の表面に凹凸構造を有する円筒状の型に押し当てながら紫外線を照射することによって、基材の片面に前記光重合性樹脂組成物を硬化させたUV硬化樹脂層を形成し(硬化工程)、この基材と樹脂層が積層されてなるシートを別の芯管にロール状に巻取ること(巻取工程)で表面に凹凸構造を有するロール状のフィルムを製造する方法はよく知られている(たとえば、特開平7−32476号公報参照)。
この方法において、円筒面の表面に縦溝構造を有する円筒状の型を使用することで、基材と縦溝層とからなるシートがロール状に巻かれた縦溝シートロールJ1を製造できる。このとき、縦溝層の傷つきを防ぐため、縦溝層がロールの内側になるように巻取るのが好適である。好適例としては、基材が厚み125μmのPETフィルム、縦溝層が厚み15μmのUV硬化樹脂層である縦溝シートロールJ1が例示される。
(粘着材付縦溝シートロールの製造方法A1:貼合法)
第二に、前記縦溝シートロールを用いて、重剥離セパレータ、粘着層、基材、及び縦溝層がこの順に積層されたシートが芯管にロール状に巻かれたもの(以下、「粘着材付縦溝シートロール」という。)を製造する第一の方法を説明する(図J1)。
重剥離セパレータ、粘着層、及び軽剥離セパレータがこの順に積層されてなる粘着フィルムが芯管にロール状に巻かれたもの(以下「粘着フィルムロール」という。)を用意する。
前記縦溝シートロールJ1から基材と縦溝層とからなるシート1を巻出すとともに(縦溝シートロール巻出工程)、前記粘着フィルムロールから粘着フィルムを巻出し(粘着フィルムロール巻出工程)、前記巻出した粘着フィルムより軽剥離セパレータを剥離して重剥離セパレータと粘着層とからなるシート2とし(剥離工程)、前記シート2の粘着層と前記シート1の基材が接するように積層しロールで圧力を与えることによって貼合する(貼合工程)。
貼合後の、重剥離セパレータ、粘着層、基材、及び縦溝層が積層されてなるシートを別の芯管にロール状に巻取ることで(粘着材付縦溝シートロール巻取工程)、粘着材付縦溝シートロールJ2を製造する。粘着材付縦溝シートロールJ2においても、縦溝層がロールの内側になるように巻きとるのが好適である。好適例としては、重剥離セパレータが厚さ75μmの剥離処理されたPETフィルム、粘着層が厚さ25μmの光学用接着材、基材が厚み125μmのPETフィルム、縦溝層が厚み15μmのUV硬化樹脂層である粘着材付縦溝シートロールJ2が例示される。
(粘着材付縦溝シートロールの製造方法A2:塗工法)
第三に、前記縦溝シートロールを用いて、重剥離セパレータ、粘着層、基材、及び縦溝層がこの順に積層されたシートが芯管にロール状に巻かれたもの(以下、「粘着材付縦溝シートロール」という。)を製造する第二の方法を説明する(図J2)。
重剥離セパレータが芯管にロール状に巻かれたもの(以下「重剥離セパレータロール」という。)を用意する。
前記縦溝シートロールJ1から基材と縦溝層とからなるシート1を巻出し(縦溝シートロール巻出工程)、塗工装置(例えば、ダイコータ)で、前記シート1の基材面に溶媒に溶かした粘着材を塗布し(塗布工程)、加熱によって前記溶媒を揮発させて粘着層付のシート2とするとともに(乾燥工程)、前記重剥離セパレータロールから重剥離セパレータを巻出し(重剥離セパレータロール巻出工程)、前記重剥離セパレータと前記シート2の粘着層とが接するように積層しロールで圧力を与えることによって貼合する(貼合工程)。貼合後の、重剥離セパレータ、粘着層、基材、及び縦溝層が積層されてなるシートを別の芯管にロール状に巻取ることで(粘着材付縦溝シートロール巻取工程)、粘着材付縦溝シートロールJ2を製造する。粘着材付縦溝シートロールJ2の好適な態様については、前述した第一の方法と同じである。
ただし、第二の製造方法では粘着材を直接塗工しているので粘着材の物性安定のために、養生期間と呼ばれる製造後使用前に保管しておく時間が必要となる。養生期間は、利用する粘着材にもよるが例えば2週間程度の養生が好ましい。
(ハーフスリットシートの製造方法)
第四に、前記縦溝粘着材付縦溝シートロールを用いて、ハーフスリットシートを製造する方法を説明する。
ロール状に巻かれたシートには、ロールからシートを巻出し、巻取る方向(以下「MD方向」という。)とロールの幅方向(以下「TD方向」という)がある。
一方、本発明において用いる導光板の入光面に接着層(粘着材層)を介して積層される基材と縦溝構造を有する樹脂層からなるシートの場合は、縦溝構造の拡散角度が低い方向(縦溝の稜線と平行な方向)を前記入光面の厚み方向(短辺方向)とし、縦溝構造の拡散角度が高い方向(縦溝の稜線と直交する方向)を前記入光面の幅方向(長辺方向)とする必要がある。
したがって、以下では、図J3によって、縦溝シートロールJ2がTD方向に高拡散なシートである場合のハーフスリット加工方法を説明し、図J4によって、縦溝シートロールJ2がMD方向に高拡散なシートである場合のハーフスリット加工方法を説明する。
(TD方向高拡散の場合のハーフスリットシートの製造方法B)
図J3は、左上から右下に向かって加工の流れが示されている。
TD方向が高拡散なシートロールの場合、粘着材付縦溝シートロール(TD方向高拡散)J21を、MD方向の長さがハーフスリットシートの最終製品のシート幅になるように、一本刃でTD方向にカットする(工程B1)。このときの幅は後工程でハーフスリットを入れる向きと平行であり、一つのシート上に何本のハーフスリットを形成するかを決めるために行う。
次に、TD方向の長さが導光板の入光面に貼合するシートの長辺の長さとなるように一本刃でMD方向にカットして粘着材付縦溝シートJ3とする(工程B2)。このとき、TD方向の片端部をカットしても両端部をカットしてもよいが、後者のほうが品質均一性の観点からは好ましい。ただし導光板の入光面に貼合するシートの長辺の長さは、導光板の入光面の長辺と同じ長さに限定する必要はなく、導光板の入光面の長辺の長さより短い場合も含む。これは、個々の粘着材付縦溝シールJ5を長辺方向に複数枚貼合する場合や、僅かに短めに貼合する場合等があるからである。
最後に、粘着材付縦溝シートJ3を、MD方向の長さが導光板の入光面に貼合するシートの短辺の長さとなるように一本刃でTD方向に重剥離セパレータを切り落とさずに残して、縦溝層、基材、及び粘着層までカットするハーフスリットを行い、ハーフスリットシートJ4とする(工程B3)。このときハーフスリットを入れる向きは、高拡散方向に略平行であり、縦溝構造の稜線に対し垂直な向きである。
(MD方向高拡散の場合のハーフスリットシートの製造方法C)
図J4は、左上から右下に向かって加工の流れが示されている。
MD方向が高拡散なシートロールの場合、粘着材付縦溝シートロール(MD方向高拡散)J22を、TD方向の幅がハーフスリットシートの最終製品のシート幅になるように、小巻にスリットして巻きなおす(工程C1)。このときの幅は後工程でハーフスリットを入れる向きと直交しており、一つのシート上に何本のハーフスリットを形成するかを決めるために行う。ハーフスリットシートJ4になった際の短冊状の個々の粘着材付縦溝シールの数を制約する寸法が、J22においてはTD方向であるため、ロールtoロール加工でスリットし粘着材付縦溝シートロール小巻J221とした方が、中間在庫としても汎用性が高い。なぜなら、導光板は入光面の長さの種類が多い一方で、入光面の厚みに対応する短冊状の個々の粘着材付シート厚みの種類はある程度限られているため、導光板に対応する長さが後の工程で決めることが出来るためである。
次に、粘着材付縦溝シートロール小巻J221を、MD方向の長さが導光板の入光面に貼合するシートの長辺の長さとなるように一本刃でTD方向にカットして粘着材付縦溝シートJ3とする(工程C2)。
最後に、粘着材付縦溝シートJ3を、TD方向の長さが導光板の入光面に貼合するシートの短辺の長さとなるように一本刃でMD方向に重剥離セパレータを切り落とさずに残して、縦溝層、基材、及び粘着層までカットするハーフスリットを行い、ハーフスリットシートJ4とする(工程C3)。この際に確実に粘着材付縦溝シールJ5を分断するために、詳細には後述する図J12、図J13、図J14で示されるような断面すなわち、重剥離セパレータにカットがある程度及び、しかしながら分断はしない状態とする。
(マーキング)
導光板に貼合される粘着材付縦溝シールJ5は光学部材であるため透明度が高く、当該粘着材付縦溝シールJ5が貼合された導光板と貼合されていない導光板とを見分けるのが非常に難しい。そのため、導光板の製造工程で粘着材付縦溝シールJ5が貼合されていない欠品の検査が難しい。また貼合時にも位置あわせの目印が無く、手作業においても自動化するためにもなんらかの目印が必要となる。そのため、本発明に関わる粘着材付縦溝シールJ5には視認可能なマーキングを施すことが好ましい。
マーキングを施す位置としては、光学的に影響しない位置として面光源装置を設定しやすい位置、例えば図J7に示されるマーキング付ハーフスリットシートJ41に記載の位置が好適である。また、図示しているものとしては、マーキング付ハーフスリットシートJ41の両側2箇所にマーキングがなされているものを例示しているが、必要に応じて、一箇所にマーキングがされているものや、マーキング付ハーフスリットシートJ41の中央付近にマーキングしているもよい。
(ロールからシーティングと同時にマーキングする方法)
前述の工程C2を利用した、マーキングの追加方法について図J5で説明する。
工程C1で製造された粘着材付縦溝シートロール小巻J221を、内巻きにされている縦溝層を表となるように巻出す。そして、マーキング用のヘッドを用いてTD方向に一本ラインを引いて、さらに少しロールを送り出し2本目のラインを引く(工程C2−1)。これにより、裁断予定位置の両側にTD方向にラインを引くことになる。図J5ではヘッドが一つの場合のみを例示しているが、2ヘッドを用いれば2本ラインを同時に引くことも可能であり、さらにヘッドがロールの送り出し方向にも移動可能なマウントに設計をすれば、ロールの送り出しを逐次止めながら作業をする必要も無くなり加工速度を上げることが可能である。ただし、その全てを実現させると装置が大規模且つ高価になるため、製造量などに応じたレベルの装置設計を行うのが好適である。
次に、2本のマーキングの間を一本刃でTD方向にカットすることで、マーキング付縦溝シートJ31が製造される(工程C2−2)。
カット加工をする際に確実にマーキングの間に刃を入れ、さらに、面光源装置としてマーキングが与える影響(点光源であるLEDの光を遮る、着色する等の光学的干渉)を最小限に抑えるため、マーキングの位置はマーキング付縦溝シートJ31の端部から0mm以上20mm以下が好ましく、0.5mm以上10mm以下がさらに好ましく、1mm以上5mm以下が最も好ましい。このようにすることで、入光面に着材付縦溝シールJ5を一枚貼る場合にはLEDの存在しない端にマーキングを設置することが可能となり、また複数枚貼る場合にはマーキング位置が面光源装置においてLEDと隣接するLEDとの間となることで光学的な干渉を抑えることができる。
(マーキングの種類)
また、前記光学的な干渉を防ぐ方法としてマーキングの色としては黒やグレーが好ましい。これにより、LEDから導光板に入光した光に色がつくことを防ぐことが出来る。また、マーキングのライン太さは50μm〜2mmが好ましく、100μm〜1mmがさらに好ましく、200μm〜500μmが最も好ましい。この範囲にマーキングのライン太さを設定することによって目視等での目印としての機能は十分に発揮した上で、光学的な干渉が最小限に抑えられることが確認できている。この場合は面光源装置となった際にマーキングがLEDと対向する面にあったとしても良好な品位を確保できる。
マーキングの方法としては、レーザー、インクジェット、スタンプローラー、ペンなどの手法が考えられるが、本製造例ではインクジェットを示唆例示するものである。インクジェット用のインク材料として、染料系、顔料系が選択可能であるが、滲みなどを考慮すると顔料系の方が好適な場合が多い。また、溶剤としては水、有機溶剤(MEK、エタノール)などが考えられる。水の場合は揮発性物質が無いため、揮発性有機化合物VOC(Volatile Organic Compounds)規制対策として有効である。有機溶剤は、VOC対策を配慮した上であれば、乾燥が速いため加工の時間の短縮が可能となり必要に応じて使い分けることが可能である。
(枚葉シートに対するマーキング)
また、前述の製造方法Bや後述する製造方法Dなど、いくつかの加工方法によってはロールの状態からマーキングを行うことが難しい場合がある。図J10はその場合のマーキングの方法を例示するものである。工程D3では、マーキングする対象となるシートをマーキングヘッドの方に順次送り出していき、シートの両端にマーキングを行う。図示しているマーキングの対象はスリットシロ剥がし済みハーフスリット縦溝シート(枚葉)J42であるが、本装置は必要に応じて粘着材付縦溝シートJ3や、ハーフスリットシートJ4、などに対するマーキングとしても利用できる。加工工程はさまざまな組合せが可能であり、製造例で示す加工の流れだけに明細書第5発明は限定されるものではない。
また枚葉シートに対するマーキング方法としては、手作業によるペンでの方法なども位置を合わせる治具等(定規、マスクなど)を利用することで可能となる。生産量が少ない場合などは、手作業を選択することも可能である。
(枚葉シートへのハーフスリット加工方法C3及びB3)
製法Bの工程B2または製法Cの工程C2で製造されたマーキング付縦溝シートJ31をハーフスリットして、マーキング付ハーフスリットシートJ41を形成する方法について、図J6で説明する。
工程C2で製造されたマーキング付縦溝シートJ31、或いは工程B2を通って前記枚葉でのマーキング加工を受けたマーキング付縦溝シートJ31を、送り出しステージに縦溝層を表側、裏側に重剥離セパレータとなるようにセッティングをする。マーキング付縦溝シートJ31を送り出しステージで一本刃の下に掛かるところまで送り、そこから導光板の厚みに応じた幅に、刃を重剥離セパレータに到達しつつ、重剥離セパレータが破断しない深さに入れていき、マーキング付ハーフスリットシート(枚葉)J41を製造できる。
(スリットシロ剥がし工程)工程C4
このとき、一枚のマーキング付縦溝シートJ31に対して最初のスリットによって出来る一枚の粘着材付縦溝シールJ5(以下「短冊」ともいう。)と、最後のスリットによって出来る短冊は、送り出しステージの送り精度だけではなく、マーキング付縦溝シートJ31のセッティング位置精度の影響も受けるため、導光板の厚みに対応する光学性能を維持する幅にすることが容易ではない。そのため、図J7ではマーキング付ハーフスリットシート(枚葉)J41の両端の短冊を除去する方法を例示している。
手法としては、手作業で行うのが一般的であるが、機械化し剥がしていくことも可能である。このようにマーキング付 スリットシロ剥がし済みハーフスリットシート(枚葉)J43を製造することが出来る。この形態を複数枚袋詰め、ダンボール梱包が行われ、導光板の入光面へ貼合する工程に輸送ないしは、導光板の入光面に貼合するメーカーに販売される。
(ハーフスリット時の短冊本数)
図J6のような工程でハーフスリットを入れていく場合、刃の太さ分だけ短冊がシート上でスリット入れ始め方向(図J6では左方向)に追いやられていくため、ハーフスリット数が多くなってくると、短冊が重剥離セパレータから大きく浮いたり、短冊が隣の短冊に乗り上げたりする場合がある。また、一つのシートあたりの短冊数は梱包効率などを考慮すると多い方が良い。前記二つの制約から、スリットシロ剥がし済みハーフスリットシート(枚葉)J41ないしはマーキング付スリットシロ剥がし済みハーフスリットシート(枚葉)J43の上の短冊数は、10本以上100本以下が好ましく、25本以上75本以下がさらに好ましく、在庫管理の観点も考慮しキリのよい本数である50本が産業上最も好ましい。
(スリットシロの幅)
前記スリットシロの幅は、前記した短冊幅の精度向上のため及び、梱包や輸送時に、ハーフスリットシート(枚葉)J4から摩擦等により短冊が剥がれるのを防ぐ目的で設定されている。しかしながら、スリットシロの幅を大きく取りすぎると、取り効率が悪化してしまう。このような課題を考慮し、スリットシロの幅としては0mm以上20mm以下程度である必要があり、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がさらに好ましい。また、短冊の幅が対応する導光板の厚みと同等とすれば、図J6の送りステージの送り条件を変えずに容易に製造できるため好適である。例えば市場のテレビ用として主流となっている3mm厚の導光板に対して、短冊幅は2.8mmが好適であるが、この場合加工精度も考慮してスリットシロは3mm±1.5mm程度に設定すると好適である。
(ハーフスリット小巻ロールの製造方法D1)ロータリーダイ法
前述したように、製品として存在しうる短冊長(導光板の入光面の長さの種類)は非常に種類が多く、導光板の厚みはある程度種類が限定されているため、ハーフスリットが入った状態の小巻ロール(ハーフスリット小巻ロールJ222)の状態を中間在庫として保管をしおけば、必要な短冊長のサイズの発注を受けた際に非常に短期間で納品対応が可能になり産業上大きな意味を有する。
図J8でその方法を説明する。粘着材付縦溝シートロール小巻J221を巻き出して、シリンダー形状の円周に渡る刃が設けられたロータリー刃を押し当ててハーフスリットをシームレスにロールを流しながら入れていく(工程D1−1)。その後、シートの端からスリットシロ部分を取り除く(工程D1−2)。その後で縦溝層を内側として巻き取っていき、ハーフスリット小巻ロールJ222が製造できる(巻取工程)。
(ハーフスリット小巻ロールの裁断方法D2とマーキング方法D3)
ハーフスリット小巻ロールJ222から、マーキング付スリットシロ剥がし済みハーフスリットシート(枚葉)J43を製造する方法について説明する。
図J9のように、ハーフスリット小巻ロールJ222を巻き出し、一本刃で導光板の入光面の長さに対応して裁断シーティングしていくことで(工程D2)、スリットシロ剥がし済みハーフスリット縦溝シート(枚葉)J42が製造できる。導光板の組み立て工程によってはマーキングが不要となる場合もあるので、この形態で複数枚梱包され、輸送ないしは販売されることも好ましい。
そして、図J10で例示するように、前記スリットシロ剥がし済みハーフスリット縦溝シート(枚葉)J42を縦溝層を表、重剥離セパレータ層を裏として、送り出しステージにセッティングを行い、ステージの送りに従い、シートの端部付近にマーキングラインを入れていく。このようにして、マーキング付スリットシロ剥がし済みハーフスリットシート(枚葉)J43が製造できる。
(ハーフスリットシートの反り方向)
ハーフスリットシートJ4は、最終的には導光板の入光面への貼合工程において、粘着材付縦溝シールJ5を重剥離セパレータから個別に剥離する前提で製造されている。図J11で、それを想定したハーフスリットシートJ4の好適な反り方向を説明する。
図J11では、縦溝層を凸側としてハーフスリットが入っている方向に垂直な断面で凸側に反るように設定している。このようにすれば、断面拡大図にあるように複数の粘着材付縦溝シールJ5が僅かに開くような形で離れる傾向に設定することが可能で、粘着材付縦溝シートJ5を個別に剥がすことが容易になり非常に好適である。また、粘着材のスリット面が接触した状態で高温等にさらされた場合に粘着材の再溶着(糸引き不具合)が起きる懸念も最小限に抑えることが可能である。
この反りは、重剥離セパレータに入れるスリット深さや、各加工工程でのロール等を利用した押さえ方でコントロールが可能である。
(重剥離セパレータに及ぶスリット深さ)
ここまで、一本刃あるいはロータリーダイ等の手段によってハーフスリット加工を行う方法について例示してきた。図J12では、スリットが重剥離セパレータに及ぶ好適な深さJ6について説明する。
図J12のようにスリット方向は縦溝層の縦溝の稜線と略垂直な向き且つセパレータに面に略垂直に入れられている。確実に粘着層までスリットするために重剥離セパレータにまでスリットJ6を0μm以上入れた方が好ましく、重剥離セパレータが破断しない深さに抑える必要がある。ハーフスリット装置の精度を考慮した安定的製造及び、重剥離セパレータがハンドリング等で破断しない強度を考慮すると、重剥離セパレータに及ぶスリット深さJ6は2μm以上重剥離セパレータの厚みの半分以下が好ましく、さらに5μm以上25μm以下であるのがさらに好ましい。
(重剥離セパレータに及ぶスリットと短冊のズレ)
図J13及び図J14では、前述した重剥離セパレータに及ぶスリットJ6と短冊J5のズレをコントロールして好適にした形態を例示する。
図J13では、シートの左の断面ほど重剥離セパレータに及ぶスリットJ6と短冊J5に大きなズレが出来るように製造されている。これは、工程B3或いは工程C3において、図J13の左からハーフスリットを入れていくと共に、一本刃の刃先の角度をコントロールすることで実現させることが出来る。具体的には刃の角度を非対称にする等の方法がある。このように粘着材付縦溝シール(短冊)J5と、重剥離セパレータに及ぶスリットJ6との位置がズレるように製造することによって、粘着材付縦溝シール(短冊)J5を、重剥離セパレータから個別に剥離する際に重剥離セパレータが一緒に破断をする恐れが大幅に軽減される。
また、図J14では、図J8で示すロータリーダイ法D1で加工する場合の好適なズレを例示している。ロータリー刃の性質上中央付近ではある程度重剥離セパレータに及ぶスリットJ6と短冊J5のズレは小さくなってしまうが、重剥離セパレータの破断のリスクを最小限に抑えるため、図J14上の左右において短冊J5が外にズラして製造されている。ロータリー刃の刃の角度をシリンダーの長さ方向で個別に変更する等を行うことで実現できる。
また、図J13や図J14のように、粘着材付縦溝シール(短冊)J5と、重剥離セパレータに及ぶスリットJ6位置がズレるように製造しようとすることで、複数の粘着材付縦溝シール(短冊)J5乗り上げる不具合を防ぐことも出来、製造工程全体の安定にも繋がる。
(マーキングに代わる方法)
本製造例では、目視可能な目印としてマーキングの説明について前述してきたが、マーキングが導光板の入光面に残ることをさらに強く嫌う場合などに、熱退色性のインクを用いたマーキングや、マーキングの代わりに縦溝面に色付の保護フィルムを全面或いは部分的に貼合し、粘着材付縦溝シールJ5と一体に形成する方法なども選択可能である。前者は、貼合後の導光板に熱を加える。後者は導光板の入光面に粘着材付縦溝シールJ5を貼合後に色付の保護フィルムだけを剥離する。これらの方法を用いれば、入光面にマーキングが残ることが無い。
本製造例では、発明を説明する目的の範囲内で具体的な形態に限定して説明をしてきたが、その構成に限定されるものではなく、適宜組み合わせ、変更することが可能である。
(粘着材)
本製造例では粘着層25μmの厚みで説明してきたが、明細書第5発明においてはこの厚みに限定されるものではない。5μm以上250μm以下の厚みが好適であり、薄すぎると信頼性等に問題が出やすくなり、厚すぎるとコストの負担が大きくなる。しかしながら、粘着層が厚い方が、導光板の入光面への貼合工程で空気が入りにくい場合があり選択する場合がある。このあたりの事情を考慮すると、10μm以上100μm以下がさらに好ましく、20μm以上60μm以下が好ましい。
(重剥離セパレータ)
本製造例では、重剥離セパレータは75μm厚のPETで説明してきたが、明細書第5発明においてはこの厚みに限定されるものではない。材料としては、PC、PP、TAC、COP、PS、PMMA、MS、紙、樹脂コートされた紙などフィルム状部材であれば選択可能である。また、厚さについてはハーフスリットを入れるため10μm以上の厚みである必要はあるが、上限の制約はコストと巻き取ることが可能な厚みであるかによる。このあたりの事情を考慮すると、10μm以上500μm以下が現実的であり、25μm以上250μm以下が好ましく、35μm以上100μm以下がさらに好ましい。また、一般に入手が可能なPET基材から37μm、50μm、75μmが製造安定性とコストの面から、最も好適である。
(縦溝層及び縦溝シートロール)
本製造例では、縦溝層は15μm厚の縦溝が形成されたUV硬化樹脂層で説明し、基材はPETの125μm厚で説明してきたが、細書第5発明においてはこの内容に限定されるものではない。縦溝層としては、熱硬化性の樹脂や、熱可塑性樹脂などを用いて転写する方法も選択可能であり、基材の材料としてはPC、PP、TAC、COP、PS、PMMA、MSなど光学用途に利用可能な透明度を有するフィルム状部材であれば選択可能である。基材の厚みについても、10μm以上の厚みがあれば実施は可能である。ただし、薄すぎる場合、導光板の入光面に対する貼合時のハンドリングが悪く作業性が悪くなり、厚すぎるとコストが上がることと、ハーフスリット工程B3、工程C3或いは工程D1での、短冊の乗り上げリスクが増大するため好ましくない。そのため、コスト等や性能を考慮すると厚み25μm以上250μm以下が好ましく、38μm以上150μ未満がさらには好ましく50μm以上125μm以下が最も好ましい。
明細書第5発明において使用できるハーフスリットシートの具体的な実施形態は以下のとおりである。
[1]
セパレータフィルム上に粘着材と一体化された複数の短冊状光学フィルムが形成されたハーフスリットシートであって、
前記光学フィルムの表面には、凹部又は凸部の開口部又は底面が前記ハーフスリットシートのいずれかの辺に対し垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有し、前記光学フィルム層の裏面側は略平面で粘着層が一体的に形成されており、前記平面と粘着層を挟んで対向する面には粘着層と剥離が容易なようにセパレータフィルムが面していて、前記光学フィルム層と粘着層はセパレータフィルム上で複数の短冊となるように、略同じ幅で平行にカットされており、前記カットされている方向は、前記複数の凹部又は凸部の異方性形状の長軸に垂直な向きとされているハーフスリットシート。
[2]
前記複数の短冊状光学フィルムの全てに少なくとも1箇所のマーキングが施されている前記[1]記載のハーフスリットシート。
[3]
前記マーキングがライン状に施されていて、ラインの太さが50μm〜2mmの範囲内である前記[2]記載のハーフスリットシート。
[4]
前記マーキングが前記複数の短冊状光学フィルムの短辺側端部から1mm〜5mmの範囲に施されている前記[2]又は[3]記載のハーフスリットシート。
[5]
前記マーキングの色が黒ないしはグレーである前記[2]〜[4]のいずれかに記載のハーフスリットシート。
[6]
前記セパレータフィルムが、前記セパレータフィルム上の前記複数の短冊状光学フィルムが載っている部分よりも、前記複数の短冊状光学フィルムの短辺側の大きさが大きく、はみ出し部分を有するように設定されていることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハーフスリットシート。
[7]
前記セパレータフィルムのはみ出し部分が1mm〜5mmの範囲で設定されている前記[6]記載のハーフスリットシート。
[8]
前記セパレータフィルムに2μm以上前記セパレータフィルムの厚みの半分以下の深さの部分スリットが、前記複数の短冊状光学フィルムの数に1を足した数入っている前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハーフスリットシート。
[9]
前記セパレータフィルムに入っている前記部分スリットの位置が、前記短冊状光学フィルム同士の境目の位置とが一部又は全体でずれている前記[8]記載のハーフスリットシート。
[10]
前記ずれがハーフスリットシート面内の中央付近の短冊状光学フィルム或いはどちらかの端部付近の短冊状光学フィルムを基準に遠ざかるごとに大きくなっていく前記[9]記載のハーフスリットシート。
[11]
前記短冊状光学フィルムの短辺方向の断面が短冊状光学フィルムの載っている面を凸に反っているないしは、凸に反り癖がつけられている前記[1]〜[10]のいずれかに記載のハーフスリットシート。
[12]
前記異方性形状を有する複数の凹部又は凸部が縦溝構造である前記[1]〜[11]のいずれかに記載のハーフスリットシート。
[13]
前記[1]〜[12]のいずれかに記載のハーフスリットシートから剥離された短冊状光学フィルムを少なくとも一枚入光面に貼合する導光板の製造方法。
[14]
前記[13]に記載の導光板を有するテレビ受信装置。
[15]
前記[13]に記載の導光板を有する面光源装置。
以下、具体的な製造例を挙げて説明する。 本発明は、上述した実施形態及び下記製造例に限定されず、種々変更して実施することが可能である。 例えば、製造例における部材の材質、配置、形状等は、例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。また、製造例で示した構成を適宜組み合わせてテレビ受信装置、面光源装置を構成することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
<製造例A>
[製造例A−1]
入光面が鏡面で、対向面に光散乱加工が均一に施された(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットがピッチ2.55mm×1.5mmの千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部からの距離が同じ位置においては、LEDに正対する部分領域のドットとLED間に正対する部分領域のドットの直径が同一となるように(ドット密度が均一となるように)設けられた)導光板モデル(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:500mm、長さ:100mm)に、LED(発光面サイズ4.5mm(幅方向)×2.5mm(厚み方向)、LED数10個)を入光面に沿って配列ピッチPが27.5mmとなるように配置し、(面光源装置の光線追跡シュミレーションモデルを作製した。
コニカミノルタ製CA2000Aで代表される二次元色彩輝度計の測定検出モデルと同様の測定モデルを作製し、LED点灯時の導光板の出光面の入光面側端部から7mm内側(P/G=3.93に相当)における正面方向(V=0°、H=0°)から観察したときの輝度分布を、入光面に平行な方向に亘って、Light Tools(Optical Research Associates) バージョン7.1を利用して、計算した。[製造例A−2]
導光板モデルを、対向面の光散乱加工を図19(入光面近傍(入光面側端部から7mm内側(G=7mm)付近の領域)においてはρ=18.0%〜45.0%で変動、対向面の中央部分においてはρ=8%で均一)のようにしたものとした以外は製造例A−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の正面方向(V=0°、H=0°)から観察したときの輝度分布を計算した。
[製造例A−3]
導光板モデルを、入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シートを用いて貼り付けたものとした以外は製造例A−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の正面方向(V=0°、H=0°)から観察したときの輝度分布を計算した。
[製造例A−4]
導光板モデルを、入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シートを用いて貼り付け、対向面の光散乱加工を、図19(入光面近傍(入光面側端部から7mm内側(G=7mm)付近の領域)においてはρ=18.0%〜45.0%で変動、対向面の中央部分においてはρ=8%で均一)のようにしたものとした以外は製造例A−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の正面方向(V=0°、H=0°)から観察したときの輝度分布を計算した。
製造例A−1〜4の面光源装置の出光面の入光面側端部から7mm内側における正面方向(V=0°、H=0°)から観察したときの輝度分布を図20に、その標準偏差(S.D.値)を図21と表A−1に示す。
なお、図20において、縦軸は輝度、横軸は出光面上の入光面に平行な方向の位置を表している。また、図21において、鎖線は画像表示装置に使用するのに許容できるS.D.値(0.2)、また、一点鎖線は画像表示装置に使用するのに十分なS.D.値(0.1)を示している。
製造例A−1の面光源装置においては、輝度が一定せず、ホットスポット(極大部)が出現し、製造例A−2、3の面光源装置においても、この輝度ムラは解消できなかった。すなわち、対向面の入光面近傍に点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を施した製造例A−2においては、LEDに正対する部分の輝度を抑えることはできるが、LED間に正対する部分の輝度を上げることはできなかった。一方、導光板の入光面に溝構造を形成した製造例A−3においては、ある程度、LED間に正対する部分の輝度を抑え、LED間にあたる部分の輝度を上げることはできたが、十分ではなかった。
これに対して、製造例A−4の面光源装置においては、輝度が場所によらずほぼ一定で、ホットスポットは出現しなかった。
なお、製造例A−4の面光源装置は、フレームを備えておらず発光エリアも画定されていないが、現在トレンドとなっている狭額縁の表示装置を達成するためにはG(入光面と発光エリアとの間の水平距離)=7mm程度とする必要があるところ、製造例A−4の面光源装置(P=27.5mm)においては、出光面の入光面側端部から7mm内側における正面方向から観察したときの輝度のS.D.値は0.04と非常に低かった。このことから、G=7mmという条件下でLEDの配列ピッチを30mm程度にまで広げても、すなわち、P/G>4としても、正面方向から観察する限り、画像表示装置に使用するのに許容できるS.D.値(0.2)は得られると考えられる。もっとも、製造例A−4の面光源装置では、導光板の対向面の入光面側端部から7mm内側(発光エリアに対応するエリア)において、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源との間の部分に正対する部分領域の光散乱度より低い(ρ1=18.0%、ρ2=45.0%)ため、斜め方向(V=0°、H=20°)から測定したときの輝度のS.D.値を計算したところ、0.05以上となった。そのため、LEDの配列ピッチを広げた場合には、許容S.D.値が得られない可能性もある。
[製造例A−5]
入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが透明両面接着シートを用いて貼り付けられ、対向面に、図30に示す光散乱加工が施された(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1〜4mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の点光源と点光源の間に正対する部分領域においてはρ=20〜60%となるように、入光面側端部から4〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においてはρ=7〜20%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=8%となるように設けた)導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:409mm、長さ:721mm)に、LED(発光面サイズ5.0mm(幅方向)×3.0mm(厚み方向)、LED数36個)を入光面に沿って配列ピッチPが19.2mmとなるように配置した。
この上に、導光板側から、拡散シート(DS)、プリズムシート(LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有する)及び反射型偏光シート(3M社製DBEF)をこの順に積層し、さらにその上に、外形が導光板及びLEDを十分に覆うサイズで395mm×700mmの開口部を有するフレームを導光板の出光面側に対向するように配置し、面光源装置を作製した。
二次色彩輝度計(コニカミノルタ製CA2000A)で出光面の正面方向(V=0°、H=0°)からの輝度測定を行い、出光面の輝度の標準偏差(S.D.値)を求めた。
結果を図31に示す。出光面(非遮光部分)の輝度のS.D.値は、P/G=1〜2.6(Gは入光面からの距離(mm))において0.02以下と非常に低かった。
また、出光面を斜め方向(V(Vertical)=45°又はH(Horizonal)=20°)から見たときの(輝度計の測定方向を出光面正面に対してV=45°又はH=20°傾けて測定したときの)、入光面側端部から7mm内側(非遮光部分)における輝度のS.D.値を表A−2に示す。ここで、上記H、Vとは、輝度計の傾斜角を示し、それぞれ、入光面に平行な方向の傾斜角(入光面に垂直な軸を中心として回転した傾斜角)、入光面に対して垂直な方向の傾斜角(入光面に平行な軸を中心として回転した傾斜角)で正の値が発光エリアないしは表示エリアの中心に倒れこむ方位をいう。
製造例A−5の面光源装置においては、正面からだけではなく、出光面を斜め方向から見たときの輝度ムラも低減されていた。また、輝度ムラについては二次元色彩輝度計を用いた測定の他、目視での評価も平行して行いS.D.値の結果と同様であることが確認できた。
[製造例A−6]
導光板の対向面の光散乱加工を、図32のようにした(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1.5〜4.5mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の点光源と点光源の間に正対する部分領域においてはρ=20〜60%となるように、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においてはρ=10〜13%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=8〜9%となるように設け、製造例A−5の光散乱加工と比較すると、境界エリアにおいて点光源に正対する部分領域と点光源と点光源の間に正対する部分領域の光散乱度の差が小さい)以外は製造例A−5と同様にして、出光面の輝度ムラを観察した。
輝度ムラは、正面(V=H=0°)及び斜め方向(V=0°,H=20°、V=45°,H=0°)いずれから観察した場合においても、製造例A−5のそれよりも小さかった。
[製造例A−7]
製造例A−6の面光源装置において、図27に示したものと同様の構成を有する表示パネル(遮光枠の外枠が導光板を十分に覆うサイズで、表示エリア392.4mm×696.4mm)を導光板の出光面側に対向するように配置して表示装置を作製し、表示エリアにおける輝度ムラを観察した。
表示エリアにおける輝度ムラは、正面(V=H=0°)及び斜め方向(V=0°,H=20°、V=45°,H=0°)いずれから観察した場合においても、製造例A−5のそれよりも小さかった。
[製造例A−11]
入光面に、図24Cに示した表面プロファイルを有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが透明両面接着シートを用いて貼り付けられ、対向面に、図33に示す光散乱加工が施された(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1.5〜3.5mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の点光源と点光源との間に正対する部分領域においてはρ=20〜60%となるように、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においては、ρ=10%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=9%となるように設け、入光面端部から3.5〜4.5mm(遮光部分、領域C)を含むそれ以外の領域には光散乱加工は設けない)導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:409mm、長さ:721mm)に、LED(発光面サイズ5.0mm(幅方向)×3.0mm(厚み方向)、LED数36個)を入光面に沿って配列ピッチPが19.2mmとなるように配置した。
この上に、導光板側から、拡散シート(DS)/プリズムシート(LEDが配置された入光面に対して垂直な稜線を有する溝構造を表面に有する)/プリズムシート(LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有する)/拡散シート(DS)をこの順で積層し、さらにその上に、外形が導光板及びLEDを十分に覆うサイズで395mm×700mmの開口部を有するフレームを導光板の出光面側に対向するように配置し、面光源装置を作製し、製造例A−5と同様にして、出光面の輝度分布のS.D.値を求めた。
さらに、この面光源装置の上に、液晶表示パネルを積層し、その表示面の輝度分布のS.D.値も求めた。
結果を図34に示す。
輝度ムラは、正面(V=H=0°)においては0.01以下、及び斜め方向(V=45°,H=0°)においても0.01以下、斜め方向(V=0°,H=20°)でも0.01以下と、いずれから観察した場合においても、製造例A−6のそれよりもさらに小さかった。
製造例A−11においては、出光面の光散乱加工に加えて、光学シートとしてプリズムシート(LEDが配置された入光面に対して垂直な稜線を有する溝構造を表面に有する)があることにより輝度ムラ低減効果が非常に強く得られ、さらにプリズムシート(LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有する)を加えたことにより斜め方向から見たときの輝度ムラのさらなる改善も得られた。
また、導光板とプリズムシートとの間に配置した拡散シートにより、導光板に設けた光散乱加工が視認されることもなかった。
[製造例A−12]
導光板の対向面の光散乱加工を、以下(図示せず)のようにした(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1.5〜3.5mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域においてはρ=50〜100%となるように、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においては、ρ=10%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=9%となるように設け、入光面端部から3.5〜4.5mm(遮光部分、領域C)を含むそれ以外の領域には光散乱加工は設けない)以外は製造例A−5と同様にして、出光面の輝度ムラを観察した。
輝度ムラは、正面及び斜め方向いずれから観察した場合においても、製造例A−6よりもさらに良好な品位が得られた。
製造例A−12においては、使用したプリズムシートが、LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有するもの一枚のみであったため、その輝度ムラ低減効果は製造例A−11ほどは優れていなかったものの、概ね同じような効果が得られた。
[製造例A−13]
LEDの配列ピッチPを13.4mmに変更し、導光板の対向面の光散乱加工を、以下(図示せず)のようにした(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットを、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1.5〜3.5mm(遮光部分、入光面近傍の領域B)の点光源と点光源の間の部分(幅4.5mm)に正対する部分領域においてはρ=50〜100%となるように、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア)、領域A)においては、ρ=10%となるように、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分、領域A)においてはρ=9%となるように設け、それ以外の領域には光散乱加工は設けない)以外は製造例A−5と同様にして、出光面の輝度分布のS.D.値を求めた。
輝度ムラは、正面及び斜め方向いずれから観察した場合においても、製造例A−6よりもさらに良好な品位が得られた。
結果を図35に示す。
製造例A−13においては、使用したプリズムシートが、LEDが配置された入光面に対して平行な稜線を有する溝構造を表面に有するもの一枚のみであったため、その輝度ムラ低減効果は製造例A−11ほどは優れていなかったものの、製造例A−11よりも点光源間のピッチを押さえたこともあり、概ね同じような効果が得られた。
[製造例A−14〜16]
三菱電機株式会社製32ML10型テレビ受信装置において、面光源装置におけるLEDの配列ピッチを19.2mmに変更すると共に、導光板を、対向面に表A−3に示す光散乱加工(図A1又は図33)を有し、かつ、側面(入光面と垂直な側面)に表A−3に示す配置(図A11〜A13)で反射シートを貼り合わせたものに替えて、製造例A−14(a)〜(d)のテレビ受信装置を作製した。
導光板の入光面に、表面に図24(C)に示す複数の凹部(FWHM:83(横)×3(縦))を有する紫外線硬化樹脂層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シート(パナック社製 PD−S1)を用いて貼り合わせた以外は、製造例A−14と同様にして、製造例A−15(a)〜(d)のテレビ受信装置を作製した。
導光板の入光面に、表面に頂角Rのプリズム(ピッチ:約50μm:プリズムの稜線方向が導光板の厚み方向と一致)を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シート(パナック社製 PD−S1)を用いて貼り合わせた以外は、製造例A−14と同様にして、製造例A−16(a)〜(d)のテレビ受信装置を作製した。
これらのテレビ受信装置について、液晶パネルを通して二次色彩輝度計(コニカミノルタ製CA2000A)の面内平均輝度、及び面内の平均色度x及びyを測定した。その(a)凹凸無しをリファレンスとして、輝度は相対輝度%とし、色度x及びyはリファレンスからの差Δx、Δyとして整理した。結果を以下の表A−3〜5に示す。
製造例A−14〜16において、導光板の対向面の光散乱加工パターンは図A1に示したものであっても、図33に示したものであっても、その他の条件(導光板の側面に貼合された反射シートの配置、入光面の形状)が同じである限り輝度及び色度に大きな差はなかった。
また、導光板の入光面に複数の凹部又は凸部を有する場合(製造例A−15)には、入光面が鏡面である場合(製造例A−14)と比較して面内平均輝度が下がる傾向にあるが、導光板の側面全体に反射シートを貼ると(図A11の配置)、平均輝度を回復することができた。また、導光板の側面に反射シートを部分的に貼る場合には、図A13のように入光面近傍に貼る方が、図A12のように中心部に貼る場合と比較して面内の平均輝度を高くすることができた。
[参考]
LEDのピッチがより密な系(P=10.0mm)においては、導光板の出光面及び/又は対向面に、少なくとも遮光枠により遮蔽されていない非遮光部分を覆う領域Aに光散乱加工を施すと共に、遮光枠により遮蔽されている遮光部分の入光面近傍の領域Bにおいては、点光源に正対する部分領域の光散乱度が点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工を施し、領域Aと領域Bとの間に挟まれた領域Cにおいては、少なくとも点光源と点光源の間の部分に正対する部分領域には光散乱加工が設けないようにすれば、入光面に複数の凹部又は凸部が形成されていなくても(入光面が略鏡面であっても)、ある程度の輝度ムラ低減効果が得られる。
従来、領域Aにおいて、点光源に正対する部分領域より点光源と点光源の間に正対する部分領域の光散乱度を上げる導光板が提案されてきたが、特にH方向の斜めの品位が悪く、テレビ等に最適な品位が得られなかった。また、領域Aにおいて、点光源と正対する部分領域と、点光源と点光源の間に正対する部分領域の光散乱度を同じにし、領域Bにおいて、点光源と点光源の間に正対する部分領域にのみ光散乱加工を施した仕様であって、領域Cを有さず、領域Aと領域Bが接している場合にもH方向の品位は十分ではない。
導光板の入光面に溝構造を形成したフィルムを貼らず、LEDの配列ピッチPを10mmとした以外は製造例A−11と同様にして、出光面の輝度ムラを観察した。
輝度ムラは、正面及び斜め方向いずれから観察した場合においても、図A1のような光散乱加工で、入光面に溝構造を形成したフィルムを貼らない導光板(入光面が鏡面で(入光面に溝構造を有さない)、且つ点光源の位置に対応した光散乱加工が施されていない導光板)に比べると良好な品位となっていた。
<製造例B>
(拡散シート) 製造例Bにおいて、所定のスペックルパターンを有するマスター型を使用して、当該基材と前記マスター型との間に光重合性樹脂組成物を充填し、基材を通して紫外線照射により硬化させ、その後に、マスター型と光重合性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層との間で剥離させて、凹凸構造を有する樹脂層を基材の片面に形成した。 製造例B−1〜6、9及び10は、全て同一のマスター型を使用した。 また、製造例B−7及び8は、後述のように光源直上の投影領域と光源間の投影領域によって拡散角度が異なる、前記マスター型とは異なるものであって、製造例B−7、8で分布形状が異なるマスター型を使用した。 前記紫外線照射においては、高圧水銀灯を用いて照射条件は250mJ/cm2の光量として照射した。 樹脂層の厚みは15μmであった。
(製造例Bにおいて用いた各種光学シート)反射シート:ポリエステル樹脂からなる白色反射シート(以下、「RS」と略記する。商品名 ルミラーE6SL、東レ製)拡散板:ポリスチレンからなり、厚さ1.5mm、拡散剤濃度13000ppmの拡散板(以下、「DP」と略記する。商品名 DSF60、旭化成イーマテリアルズ製)表面賦形型拡散シート:厚さ250μmのPET基材上に半球レンズがUV硬化性樹脂によって賦形された光学シート(以下、「MLF」と略記する。商品名 PTR−733、シンファインターテック製)アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート:厚さ250μmのPET基材上に頂角90°、ピッチ50μmのプリズム条列がUV硬化性樹脂によって賦形された光学シート(以下、「プリズムシート」と略記する。商品名 BEF−III、3M製)反射型偏光シート:反射型偏光シート(以下、「DBEF」と略記する。商品名 DBEF、3M社製)を、それぞれ用いた。
(製造例Bにおいて用いた光源、光源ユニット) 光源ユニットの光源としては、3.5mm角、高さ2.0mmの白色LED光源(CREE社製 商品名 LM6−EWN1−03−N3)を用いた。 このLEDを図B17に示すようなパターンでLEDを133個並べて配置し、光源ユニットを作製した。
以下、製造例Bにおける特性の測定方法について説明する。(拡散角度) 拡散角度は、拡散シートの微細な凹凸構造を有する面から入光させ、Photon(株)社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900で測定した。 下記製造例Bにおいて、例えば、拡散角度を5°であると表記した場合、どの方向の光のFWHM(拡散角度)も、5°であることを表している。 拡散角度分布は、拡散シートのx軸方向及び/又はy軸方向に対して、1mm間隔でFWHMを測定し、拡散角度分布図を作成した。
(輝度及び輝度むら) 輝度は、コニカミノルタ製の2次元色彩輝度計(CA2000)を使用し、光源ユニットから70cm離して設置し、光源ユニットの中心部120mm×120mmの範囲で測定した平均輝度値を輝度とした。 輝度むらは、x軸方向及びy軸方向の2方向について算出した値の平均値とした。 まず、x軸(120mm)方向の平均輝度値を求め、y軸方向について、各々の点の輝度値を各々の点から±15.2mm分の輝度平均値で割り返した値の標準偏差として輝度むらを求めた。 同様に、y軸(120mm)方向の平均輝度値を求め、x軸方向について、各々の点の輝度値を各々の点から±20.8mm分の輝度平均値で割り返した値の標準偏差として輝度むらを求めた。 最後に、x軸方向の標準偏差とy軸方向の標準偏差を平均した値(以下、<製造例B>内においては、「S.D.」と表わす。)を、光源ユニットの輝度むらとした。 なお、LED光源は点光源なので、図B2(b)のように、隣接する光源の直線距離が最大となるような線(図2B(b)における破線)上において、拡散角度の分布を考えた。 輝度むらは、画面に対して法線方向からの輝度むらを測定した。 ここで、輝度むらの判定基準を下記のように、2段階(○、×)に分類した。○:S.D.≦0.005×:0.005<S.D.
(樹脂層の屈折率) 樹脂層の屈折率は、この15μm厚みの樹脂層を基材から剥がし、樹脂層のみを屈折率計MODEL 2 010 PRISM COUPLER(メトリコン社製)で測定した。 測定結果を下記表B−1に、使用した樹脂ごとに示した。
〔製造例B−1〕 図B14(b)に示すように、光源(LED)12上方に、拡散板(DP)14、後述する製造例B−1の拡散シート15、プリズムシート17、反射型偏光シート(DBEF)18と、をこの順で配置し、製造例B−1の光源ユニットを得た。 製造例B−1の拡散シート15は、厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡(株)製、以下「PET基材」という。)の基材の一方の面上に、下記表B−1及び表B−2に示す組成を有する光重合性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層(樹脂1)が形成されており、この樹脂層は、表面に干渉露光によるスペックルパターンに由来する不規則な凹凸構造を有している。 なお、表B−1及び表B−2中、(A−1)〜(A−5)は、「(A):少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー」に相当するものであり、この中で(A−1)は、上記一般式(I)で表される化合物に相当する。また、(B−1)は、(B):光重合開始剤に相当する。 この拡散シート15を、凹凸構造面が出光面となるように用いた。 製造例B−1の拡散シート15の拡散角度(FWHM)は83°であった。 ここで、反射シート(RS)13と拡散板(DP)14の入光面との距離hを21.0mmとした。 製造例B−1の光源ユニットにおける輝度むらを上記の方法で算出した。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−2〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂2)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−2の拡散シートの拡散角度(FWHM)は85°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−3〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂3)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−3の拡散シートの拡散角度(FWHM)は90°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−4〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂4)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−4の拡散シートの拡散角度(FWHM)は80°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−5〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂5)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−5の拡散シートの拡散角度(FWHM)は87°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−6〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂6)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−6の拡散シートの拡散角度(FWHM)は86°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−7〕 図B14(a)に示すように、光源12の上方に、拡散板(DP)14、後述する製造例B−7の拡散シート15、表面賦形型拡散シート(MLF)16、表面賦形型拡散シート(MLF)16、反射型偏光シート(DBEF)18を、この順で配置し、製造例B−7の光源ユニットを構成した。 製造例B−7の拡散シートは、厚さ250μmのPET基材の一方の面上に、下記表B−1及び表B−2に示す組成を有する光重合性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層(樹脂1)を有し、その樹脂層は、表面に干渉露光によるスペックルパターンに由来する不規則な凹凸構造を有しているものとした。 製造例B−7の拡散シートは、光源の投影領域の拡散角度が83°、光源と光源の中間点の投影領域の拡散角度が28°で、図B18(a)に示すように拡散角度が変化した。 なお、図B18(a)の横軸は、拡散シート面上の所定の位置を示し、横軸中に記載されている丸印は光源の位置を示している。 製造例B−7の拡散シートを、前記不規則な凹凸パターン形状を形成した層が出光面となるように用いた。 ここで、反射シート(RS)13と拡散板(DP)14の入光面との距離hを19.0mmとした。 製造例B−7の光源ユニットにおける輝度むらを上記の方法で算出した。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示した。 また、製造例B−7の拡散シートにおける拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との算術平均値(Av1)と、連続する拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との間に分布する全測定点の拡散角度の算術平均値(Av2)を下記表B−3に示す。
〔製造例B−8〕 図B14(a)に示すように、光源12の上方に拡散板(DP)14、後述する製造例B−8の拡散シート15、表面賦形型拡散シート(MLF)16、表面賦形型拡散シート(MLF)16、反射型偏光シート(DBEF)18と、をこの順で配置し、製造例B−8の光源ユニットを構成した。 製造例B−8の拡散シートは、厚さ250μmのPET基材の一方の面上に、下記表B−1及び表B−2に示す組成を有する光重合性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂層(樹脂1)を有しており、その樹脂層は表面に干渉露光によるスペックルパターンに由来する不規則な凹凸構造を有しているものとした。 製造例B−8の拡散シートは、光源の投影領域の拡散角度が83°、光源と光源の中間点の投影領域の拡散角度が28°で、図B18(b)に示すように拡散角度が変化した。 なお、図B18(b)の横軸は、拡散シート面上の所定の位置を示し、横軸中に記載されている丸印は光源の位置を示している。 製造例B−8の拡散シートを、不規則な凹凸パターン形状を設けた層が出光面となるように用いた。 ここで、反射シート(RS)13と拡散板(DP)14の入光面との距離hを17.0mmとした。 製造例B−8の光源ユニットにおける輝度むらを上記の方法で算出した。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示した。 また、製造例B−8の拡散シートにおける拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との算術平均値(Av1)と、連続する拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との間に分布する全測定点の拡散角度の算術平均値(Av2)を下記表B−3に示す。
〔製造例B−11〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂7)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−11の拡散シートの拡散角度(FWHM)は75°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
〔製造例B−12〕 光重合性樹脂組成物を、下記表B−1及び表B−2の(樹脂8)に変更した。 その他の条件は、製造例B−1と同様として拡散シートを作製し、光源ユニットを得た。 製造例B−12の拡散シートの拡散角度(FWHM)は70°であった。 輝度むらの評価結果を下記表B−3に示す。
表B−1に示すように、製造例B−1〜6の拡散シートは、拡散シートの出光面に凹凸構造を有する樹脂層を持つ拡散シートであって、樹脂層の屈折率が1.55〜1.70であり、かつ上記樹脂が、(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:70〜99.9質量%、(B)光重合開始剤:0.1〜30質量%を含有してなる光重合性樹脂組成物の硬化物であって、上記(A)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有しているため、輝度むら低減能力が良好であり、光源と光学シート間の距離を短くできることが分かった。 また、拡散角度(FWHM)が76°以上を示す拡散シートを得るのは通常困難であるが、前述の光重合性樹脂組成物を用いれば、硬化収縮による転写率低下や、硬化物が硬すぎることによる不良を生じることなく達成可能であり、良好な輝度むら低減能力を示す拡散シートを得ることが可能であることが分かった。
また、製造例B−7の拡散シートは、拡散シート面内の所定の方向に沿って拡散角度が周期的に変化するので、輝度むら低減能力がより良好であり、反射シート(RS)13と拡散板(DP)14の入光面との距離h、すなわち光源と光学シート間の距離をより短くできることが分かった。 さらに、製造例B−8の拡散シートは、拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との算術平均値(Av1)が連続する拡散角度ピーク値と拡散角度ボトム値との間に分布する全測定点の拡散角度の算術平均値(Av2)よりも大きいので、輝度むら低減能力が非常に良好であり、反射シート(RS)13と拡散板(DP)14の入光面との距離h、すなわち光源と光学シート間の距離をさらに短くできることが分かった。
<製造例C>
[製造例C−1] 入光面が鏡面で、対向面に光散乱加工が均一に施された(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットがピッチ2.55mm×1.5mmの千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部からの距離が同じ位置においては、LEDに正対する領域のドットとLED間に正対する領域のドットの直径が同一となるように(ドット密度が均一となるように)設けられた)導光板モデル(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:500mm、長さ:100mm)に、LED(発光面サイズ4.5mm(幅方向)×2.5mm(厚み方向)、LED数10個)を入光面に沿って配列ピッチPが27.5mmとなるように配置した面光源装置の光線追跡シュミレーションモデルを作製した。 コニカミノルタ製CA2000Aで代表される二次元色彩輝度計の測定検出モデルと同様の測定モデルを作製し、LED点灯時の導光板の出光面の入光面側端部から7mm内側(P/G=3.93に相当)における輝度分布を、入光面に平行な方向に亘って、Light Tools(Optical Research Associates) バージョン7.1を利用して、計算した。[製造例C−2] 導光板モデルを、対向面の光散乱加工を図C19(入光面近傍(入光面側端部から7mm内側(G=7mm)付近)においてρ1=18.0%、ρ2=45.0%)のようにしたものとした以外は製造例C−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の輝度分布を計算した。[製造例C−3] 導光板モデルを、入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シートを用いて貼り付けたものとした以外は製造例C−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の輝度分布を計算した。[製造例C−11] 導光板モデルを、入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを透明両面接着シートを用いて貼り付け、対向面の光散乱加工を、図C19(入光面近傍(入光面側端部から7mm内側(G=7mm)付近)においてρ1=18.0%、ρ2=45.0%)のようにしたものとした以外は製造例C−1と同様にして、出光面の入光面側端部から7mm内側の輝度分布を計算した。
製造例C−1〜3及び11の面光源装置の出光面の入光面側端部から7mm内側における輝度分布を図C20に、その標準偏差(SD値)を図C21と表C−1に示す。 なお、図C20において、縦軸は輝度、横軸は出光面上の入光面に平行な方向の位置を表している。また、図C21において、鎖線は画像表示装置に使用するのに許容できるSD値(0.2)、また、一点鎖線は画像表示装置に使用するのに十分なSD値(0.1)を示している。
製造例C−1の面光源装置においては、輝度が一定せず、ホットスポット(極大部)が出現し、製造例C−2、3の面光源装置においても、この輝度ムラは解消できなかった。すなわち、対向面に光源に正対する領域の光散乱度が光源と光源の間の部分に正対する領域の光散乱度より低くなるように構成された光散乱加工を施した製造例C−2においては、LEDに正対する部分の輝度を抑えることはできるが、LED間に正対する部分の輝度を上げることはできなかった。一方、導光板の入光面に溝構造を形成した製造例C−3においては、ある程度、LED間に正対する部分の輝度を抑え、LED間にあたる部分の輝度を上げることはできたが、十分ではなかった。 これに対して、製造例C−11の面光源装置においては、輝度が場所によらずほぼ一定で、ホットスポットは出現しなかった。 また、現在トレンドとなっている狭額縁の表示装置を達成するためにはG(入光面と表示エリアとの間の水平距離)=7mm程度とする必要があるところ、製造例C−11の面光源装置(P=27.5mm)においては、出光面の入光面側端部から7mm内側における輝度のSD値は0.04と非常に低かった。このことから、導光板の入光面が、複数の凹部又は凸部であって、その開口部又は底面が出光面と垂直な方向に長い異方性形状を有する複数の凹部又は凸部を有し、導光板の出光面及び/又は対向面に、入光面近傍において、光源に正対する領域の光散乱度が光源と光源の間の部分に正対する領域の光散乱度よりも低くなるように構成された光散乱加工が施されている面光源装置においては、G=7mmという条件下でLEDの配列ピッチを30mm程度にまで広げても、すなわち、P/G>4としても、少なくとも画像表示装置に使用するのに許容できるSD値(0.2)は得られると考えられる。
[参考実験C1] 光散乱加工とフレームのオーバーラップの最適値について調べた。 市販のLEDテレビ(ソニー株式会社製 BRAVIA EX710)から面光源装置部(開口部が導光板の入光面端部から8mm内側に相当する位置から始まるフレームを有するもの)を取り出し、導光板を、入光面が鏡面で、対向面に入光面側端部から2mm、6mm又は10mmのところから光散乱加工(直径0.8mm〜1.3mmの拡散ビーズとバインダーからなる円形の拡散性ドットがピッチ2.55mm×1.5mmの千鳥配置で一様に(均一なドット密度で)設けられたもの)を施こしたもの(すなわち、フレームと光散乱加工とのオーバーラップが6mm、2mm又は−2mm(オーバーラップなし)のもの)、又は、入光面に製造例C−11と同様にして溝構造を設け、対向面に入光面側端部から2mm、6mm又は10mmのところから光散乱加工を施こしたものに替えて、発光エリアの面内平均輝度を測定した。 図C22に、これらの面光源装置の発光エリアの面内平均輝度を投入電力で除した値(輝度効率、投入電力のばらつきを補正した値)を示す。 図C22より、光散乱加工とフレームのオーバーラップがないと面内平均輝度が低下するが、一方でオーバーラップが大きすぎても面内平均輝度が低下するため、オーバーラップは2mm程度であると好ましいことが確認できた。
[参考実験C2] 製造例C−11と同じ面光源装置の光線追跡シュミレーションモデル1と、LEDの配列ピッチPを22.5mm及び25mmに変更したシュミレーションモデル2及びシュミレーションモデル3を用意した。 これらのシュミレーションモデル1〜3を用い、Light Tools(Optical Research Associates) バージョン7.1を利用して、導光板の出光面の入光面側端部から7mm内側(G=7mm)における輝度分布のSD値が0.2を下回るようになる、入光面近傍の光源に正対する領域の光散乱加工パターンのドット密度ρ1と入光面近傍の光源と光源の間の部分に正対する領域の光散乱加工パターンのドット密度ρ2の組合せを算出したところ、以下のような結果が得られた。 この結果を、ρ2/ρ1を縦軸、P/Gを横軸としてプロットしたところ、図C23のような直線性(ρ2/ρ1=1.4×(P/G)−3.0)が認められた。これにより、ρ2/ρ1が以下の関係式を満たすようにρ1、ρ2を調整すれば、所望のP/Gにおいて、輝度ムラのない出光分布を実現することができる。 2.9≦1.4×(P/G)−ρ2/ρ1≦3.1
[標準リファレンスC] LEDの配列ピッチPが10.5mm、導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:4mm)の入光面と表示エリアとの間の水平距離Gが16.5mm(P/G=0.64)である市販のLEDテレビ(ソニー株式会社製 BRAVIA KDL−32EX700)から、面光源装置部のみを取り出し、LEDの配列ピッチが約42mm(P/G=2.55)となるようにLEDを再配置し、導光板の出光面の入光面側端部から16.5mm内側(表示エリア開始部に相当)から、さらに10mm内側の位置(入光面側端部から26.5mm内側)における輝度をコニカミノルタ製 二次元色彩輝度計(CA−2000)を使用して測定した。
[製造例C−21] 上記の面光源装置において、導光板の入光面に本発明の溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、透明両面接着シート(日東電工株式会社製CS9621T)を用いて貼り付け、出光面の入光面側端部から26.5mm内側の位置における輝度を測定した。なお、溝構造はスペックルパターン露光により製造した図2に示した表面プロファイルを有するものであり、平均ピッチは約6μm、平均深さは約4μmである。
[製造例C−31〜33] 上記の面光源装置において、導光板を以下のものに差し替えて、出光面の入光面側端部から26.5mm内側の位置における輝度を測定した。なお、いずれの導光板も、製造例C−21の導光板と同様に、所定の微細構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを標準レファレンスの導光板の入光面に両面接着シートを用いて貼り付けることによって製造した。 製造例C−31:入光面に90度頂角のプリズム(ピッチ:約50μm)を有する導光板 製造例C−32:入光面にレンチキュラーレンズ(ピッチ:約120μm)を有する導光板 製造例C−33:入光面に頂角Rのプリズム(ピッチ:約50μm)を有する導光板
製造例及び標準リファレンスCの導光板を用いた面光源装置の輝度の変動を図C3−13に示す。図C3−13において、縦軸は出光面の入光面側端部から26.5mm内側の位置における輝度、横軸は導光板の入光面の幅方向の位置を示す。 製造例C−21の面光源装置においては、輝度が場所によらずほぼ一定で、ホットスポットは出現しなかった。これに対し、市販のテレビで使用されている導光板(標準リファレン
スC)や、先行技術文献に開示されている導光板に相当する導光板を用いた場合(製造例C−31〜33)には、輝度が一定せず、ホットスポット(極大部)が出現し、輝度ムラが解消できなかった。
<製造例D>
以下の製造例D−1〜17、42及び43においては、導光板の入光面に、図24(A〜J)の表面形状を有する縦長又は等方のくぼみが形成された紫外線硬化樹脂層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材を、透明両面接着シート(パナック社製 PD−S1)を用いて貼り付けることによって製造した。 図24(A〜J)のフィルムの拡散角度、くぼみの平均ピッチ、くぼみの平均深さ、及び基材厚みを以下の表D−1に示す。
[リファレンス1] LEDの配列ピッチPが10.5mm、導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:4mm)の入光面と表示エリアとの間の水平距離Gが16.5mm(P/G=0.64)である市販のLEDテレビ(ソニー株式会社製 BRAVIA KDL−32EX700)から、面光源装置部のみを取り出し、LEDの配列ピッチPが約21mmとなるようにLEDを再配置した。 導光板の出光面側に、拡散シート(ソニー株式会社製 BRAVIA KDL−32EX700に搭載のもの)を配設し、出光面の法線方向から1mの位置に、コニカミノルタ製 二次元色彩輝度計(CA−2000)を設置し、出光面の輝度を測定した。
[輝度ムラ抑制能の評価] 二次元色彩輝度計(CA−2000)によって測定した出光面の輝度データの中から、出光面の入光面側端部からの距離Gが20mm、25mm、30mm、35mm及び40mmのところ(入光面側端部から20mm、25mm、30mm、35mm及び40mm内側のところ)の入光面と平行な方向(図9の(A)方向)の輝度プロファイルを抽出した。 上記各輝度プロファイルL(X)(X軸:入光面と平行な方向の距離、Y軸:輝度L)から、ホットスポットと無関係の輝度勾配をキャンセルするために、LEDのピッチP(この場合は約21mm)に相当する範囲の平均値を取ることでスムージングした値(移動平均値)
を求め、前記輝度プロファイルを前記輝度プロファイルの移動平均値で割った値の標準偏差値(S.D.値)を求め、LEDによる輝度ムラすなわちホットスポットの指標とした。 X軸にP/G(P=21mm,G=20,25,30,35,40mm)、Y軸に上記の標準偏差値(輝度ムラの指標)を取ったグラフを図D17に示す。
[到達度の評価] 二次元色彩輝度計(CA−2000)によって測定した出光面の輝度データの中から、光の伝播方向(図9の(B)方向)の輝度プロファイルを、ホットスポットの輝度ムラをキャンセルするために、入光面と平行な方向(図9のA方向)に評価の範囲の中央のLEDから±1.5P(PはLEDピッチ)の範囲において、前記L(X)の平均値T(X’)を算出し、入光面に垂直な方向の距離(図9のB方向)をX‘軸に、Y軸をT(X’)にしてプロットした(図16)。この輝度プロファイルにおいて、導光板の入光面から16.5mm内側までの範囲(X=0〜16.5mm)には導光板を固定するための遮蔽板を設置しているため、この範囲の輝度はゼロとなっている。次いで、この輝度プロファイルのX=16.5mmから390mmまでを抜き出した。
[製造例D−1] リファレンス1の面光源装置において、導光板の入光面に後述する溝構造を形成した平均厚さが250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、透明両面接着シート(パナック株式会社製PD−S1)を用いて貼り付けた以外は、リファレンス1と同様にして出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 なお、溝構造はスペックルパターン露光により製造した図24(A)の表面プロファイルを有するものであり、平均ピッチは約7.3μm、平均深さは約2.5μmである。また、フィルム単独の状態でGC−5000Lを用いて測定したときの拡散角度(FWHM)は47°x4°であった。 また、リファレンス1と同様にして、光の伝播方向の輝度プロファイルから、X=16.5から390mmまでを抜き出し、この範囲に含まれる各測定点について、その輝度値のリファレンス1に対する比(各測定点の輝度値をリファレンス1の同じ箇所(X)における輝度値で割った値)を求め、その最小値(MIN)と最大値(MAX)を表D−2に記載した。
[製造例D−2] リファレンス1の面光源装置において、導光板の入光面に後述する溝構造を形成した平均厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、透明両面接着シート(パナック株式会社製PD−S1)を用いて貼り付けた以外は、リファレンス1と同様にして出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス1と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。 なお、溝構造はスペックルパターン露光により製造した図24(B)の表面プロファイルを有するものであり、平均ピッチは約5.4μm、平均深さは約3.6μmである。またフィルム単独の状態でGC−5000Lを用いて測定したときのFWHMは63°x1°であった。
[リファレンス2] LEDの配列ピッチPを約31.5mmとした以外はリファレンス1と同様にして、輝度ムラ抑制能及び到達度を評価した。[製造例D−3] 導光板の入光面に製造例D−1と同じ溝構造を形成した平均厚さが250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを製造例D−1と同じ透明両面接着シートを用いて貼り付けた以外はリファレンス2と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス2と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス2にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。[製造例D−4] 導光板の入光面に製造例D−2と同じ溝構造を形成した平均厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを製造例D−2と同じ透明両面接着シートを用いて貼り付けた以外はリファレンス2と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス2と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス2にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。
[リファレンス3] LEDの配列ピッチPを約42mmとした以外はリファレンス1と同様にして、輝度ムラ抑制能及び到達度を評価した。[製造例D−5] 導光板の入光面に製造例D−1と同じ溝構造を形成した平均厚さが250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを製造例D−1と同じ透明両面接着シートを用いて貼り付けた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。[製造例D−6] 導光板の入光面に製造例D−2と同じ溝構造を形成した平均厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを製造例D−2と同じ透明両面接着シートを用いて貼り付けた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。
製造例D−1〜6の輝度ムラ(S.D.値)をY軸に、X軸にP/Gをとったグラフを図D17A〜Fに示す。 また、到達度(MIN、MAX)の評価結果を表2にまとめた。
図D17A,B,Cは、入光面の形状以外の条件(面光源装置のLEDピッチP)を揃えて、各導光板の性能差を比較したものである。いずれの図からも、製造例D−1〜6の方がリファレンスよりも輝度ムラが小さいことが確認できる。さらに、図D17A及び図D17BのようにP/Gが小さい場合には、リファレンスと製造例の間には差があるものの、製造例同士の間には差はほとんど無い。(さらに、P/Gが1以下の場合には、もともと輝度ムラが少ないため、製造例とリファレンスの間でも差が小さい。)一方、図D17CのようにP/Gの高い領域になると、製造例D−5(図24(A)の表面形状(縦方向の拡散角度が47°))よりも、製造例D−6(図24(B)の表面形状(縦方向の拡散角度が63°))の方が性能が良いことがわかる。 また、図D17D、E、Fは、同じ導光板を用いて、LEDピッチPを変えた場合を比較したものである。これらの図から、製造例Dの導光板においても、リファレンスと同様に、LEDの配列ピッチPを変化させても、P/Gが同じ値である限り、同じ性能(輝度ムラ低減性能)が得られることが確認できる。
到達度(MAX、MIN)を見ると、全体的に製造例D−1、3、5のフィルムの方が良好傾向にある。
以降の製造例においては、リファレンス3と同様のLED配置を採用し、リファレンス3と同様にして輝度ムラ、到達度を評価した[製造例D−7〜11] 平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに導光板の厚さ方向となす角が−10°、−5°、0°、5°又は10°である縦溝を形成したフィルムを用意した。導光板の入光面に上記フィルムを、透明両面接着シート(パナック株式会社製PD−S1)を用いて貼り付けた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。 なお、溝構造は、スペックルパターン露光により製造した図24(C)の表面プロファイルを有するものであり、平均ピッチは約6.6μm、平均深さは約3.4μmである。またフィルム単独の状態でGC−5000Lを用いて測定したときのFWHMは83°x3°であった。 製造例D−7〜11の抑制能を図D18に、到達度(MIN、MAX)を表D−3に示す。
縦溝の方向が−10°〜10°の範囲で変化しても、輝度ムラ抑制能(図D18)および到達度(表D−3)は顕著な変化を示さなかった。
[製造例D−12〜15、12´〜15´] 製造例D−1の溝構造を形成したフィルムと同じフィルムを幅4mmの大きさにカットし、入光面上に0〜1.5mmの隙間(継ぎ目)をあけて貼り付けた以外はリファレンス3と同様にして出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。 その際、各フィルム間の隙間(継ぎ目)がLED発光面(と対向部分)にかからないようにしたもの(製造例D−12〜15)と、LEDのLED発光面にかかるようにしたもの(製造例D−12´〜15´)の2種類を用意した。 製造例D−12〜15及び製造例D−12´〜15´の輝度ムラ抑制能を、それぞれ、図D19
及びD20に、到達度(MIN、MAX)を表D−4に示す。なお、溝構造を形成したフィルムをカットせずに(隙間をあけずに)貼り付けたもの(製造例D−6に相当)をリファレンス4とした。
隙間(継ぎ目)の有無、位置によって到達度(表D−4)には大きな違いはなかった。一方、輝度ムラについては、LED発光面上に隙間(継ぎ目)がある場合には、輝度ムラが著しく上がったが(図D19)、LED発光面の間に隙間(継ぎ目)がくるようにしたものは性能上問題なかった(図D20)。
[製造例D−16,17] 導光板の入光面に、拡散角度(FWHM)が83°×3°(表面形状図24C)で平均厚さが125μmであるポリエチレンテレフタレートフィルムと、拡散角度(FWHM)が92°×50°(表面形状図24D)、平均厚さが250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれ、製造例D−1と同じ透明両面接着シートを用いて貼り付けた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。[製造例D−35、36] 表面形状を90°回転させた(すなわち、くぼみを横長のものとした)以外は製造例D−16又は17と同様にして、輝度ムラ、MIN及びMAXを測定した。 結果を図D21及び表D−5に示す。
くぼみの形状を横長にしたものにおいては輝度ムラ抑制能は低下し(図D21)、到達度(表D−5)も悪化した。
[製造例D−37〜40] 導光板を以下のものに差し替えた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。また、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた。 なお、いずれの導光板も、製造例D−1〜6の導光板と同様に、所定の微細構造を形成した平均厚さが250μm(製造例D−38のみ400μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムをレファレンス3の導光板の入光面に透明両面接着シート(パナック社製 PD−S1)を用いて貼り付けることによって製造した。 製造例D−37:入光面に半径30μmの半球が平均ピッチ70.6μmでランダムに配置されているもの。 製造例D−38:入光面に90度頂角のプリズムがピッチ約60μmで周期的(格子状)に配置されているもの。 製造例D−39:入光面に頂角Rのプリズムがピッチ約50μmで周期的(格子状)に配置されているもの。 製造例D−40:入光面にレンチキュラーレンズがピッチ約150μmで周期的に配置されているもの。 結果を図D22及び表D−6に示す。なお、図D22及び表D−6には、比較のため、製造例D−6(表面プロファイル:図24(B)、平均ピッチ:約5.4μm、平均深さ:約3.6μmの溝構造を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを入光面に貼り付けた製造例)のデータも掲載した。
製造例D−37は到達度が悪く、また、製造例D−38,39,40は抑制能が低かった。
[製造例D−19〜23][製造例D−42、43] 導光板を以下の表面形状を有するものに差し替えた以外はリファレンス3と同様にして、出光面の入光面と平行な方向の輝度プロファイルを測定し、輝度ムラを求めた。 製造例D−19:図24(E) 製造例D−20:図24(A)(製造例D−5に相当) 製造例D−21:図24(G) 製造例D−22:図24(F) 製造例D−23:図24(H) 製造例D−42:図24(I)(縦長ではない等方のくぼみが形成されている) 製造例D−43:図24(J)(縦長ではない等方のくぼみが形成されている) 以上で測定した輝度ムラについて、0.020以下を○、0.020より大きく0.050未満を△、0.050以上を×と評価して、縦FWHM(導光板の厚さ方向への(出光面に垂直な平面における)FWHM、縦溝の縦方向と同方向の透過光強度断面から計算する)を横軸、横FWHM(導光板の幅方向への(出光面に平行な平面における)FWHM)を縦軸としてプロットした。結果を図D23に示す。 輝度ムラ抑制能(図D23)については、横FWHMが60°以上が良いと言える。
また、製造例D−19〜22、42、43の導光板について、リファレンス3と同様にして、光の伝播方向(入光面と垂直な方向)の輝度プロファイルを測定し、基準をリファレンス3にした以外は製造例D−1と同様にしてMINとMAXの値を求めた、結果を表D−7に示す。
到達度(表D−7)を加味すると、製造例D−17は最適な形状ではないと言える。
<製造例E>
[製造例E−1A] 基材として、SONY製液晶テレビBRAVIA 32EX700に使用されていたPMMA製導光板(幅400mm、長さ700mm、厚み4mmの平板)、接着層として、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=77,000Pa(G0’=18,000Pa))フィルム(パナック株式会社製PD−S1、粘着剤フィルム厚さ:25μm、100℃でのTG/DTA(重量減少率)−0.06%)、及び、光拡散層として、ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)層上に、表面に拡散角度が60度×1度である溝構造を有する紫外線硬化樹脂からなる層を設けた多層フィルムを用意した。 次いで、接着層及び光拡散層を基材の長手方向の側面のサイズに切断したものを各2枚用意し(光拡散層については、拡散角度が60度の方向が長手方向になるように切断した。)、基材の長手方向の両側面に、接着層、光拡散層をこの順にローラーを用いて貼り合せて入光部(入光面)を形成し、導光板を作製した。 具体的には、まず基材の側面に前述の粘着剤フィルムを粘着剤と基材が接するようにして仮留めし、その後基材側面の一端からもう一端に向けて剥離紙の上からローラーでしごき、気泡を抜いた。その後粘着剤フィルムの剥離紙を剥がし、その上に、前述の光拡散層を、凹凸構造を有する面とは反対側の面が粘着剤と接するようにして仮留めし、基材側面の一端からもう一端に向けて凹凸構造の上からローラーでしごいて貼りあわせた。 以上のようにして作製した導光板の一方の主面上に拡散シート(東レセーハン株式会社製 TDF187)を1枚積層すると共に、入光面に沿って18個(各入光面に9個ずつ)のLEDを配列ピッチが42mmとなるように略均等に配置し(LEDと入光面の距離:0.8mm)、面光源装置を作製した。 LEDを点灯し、導光板上に積層した拡散シート上の入光面側端部から10mm内側に相当する位置における輝度を、コニカミノルタ製 二次元色彩輝度計(CA−2000)を使用して、導光板の長手方向に沿って測定した。得られた輝度プロファイルを図E17に示す。
[製造例E−1B] 光拡散層を接着層を用いず、4mm角の粘着テープで両端のみを固定し基材の長手方向の両側面に積層した以外は製造例E−1Aと同様にして面光源装置を作製し、入光面側端部から10mm内側の輝度プロファイルを測定した。得られた輝度プロファイルを図E18に示す。
接着層を介して基材に光拡散層を固定した製造例E−1Aの面光源装置においては、輝度が導光板の長手方向に沿って概ね一定であったが、接着層を用いなかった製造例E−1Bの面光源装置においては、導光板の長手方向の輝度ムラが激しかった。
[製造例E−2A] 基材として、三菱レイヨン株式会社製PMMA LX N865からなる、幅30mm、長さ250mm、厚み4mmの平板、接着層として、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=77,000Pa(G0’=18,000Pa))フィルム(パナック株式会社製PD−S1、粘着剤フィルム厚さ:25μm 剥離強度:0.75N/mm)、及び、光拡散層として、からなる厚み125μmの透明ベースフィルムポリエチレンテレフタレート(東洋紡株式会社製 A4300)層上に、表面に微細な凹凸構造を有する紫外線硬化樹脂からなる層を設けた多層フィルムを用意した。 次いで、接着層及び光拡散層を基材の長手方向の側面のサイズに切断し、基材の長手方向の側面の一方に、接着層、光拡散層の順にローラーを用いて貼り合せて入光部を形成し、導光部材を作製した。具体的には、まず基材の側面に前述の粘着剤フィルムを粘着剤と基材が接するようにして仮留めし、その後基材側面の一端からもう一端に向けて剥離紙の上からローラーでしごき、気泡を抜いた。その後粘着剤フィルムの剥離紙を剥がし、その上に、前述の光拡散層を、凹凸構造を有する面とは反対側の面が粘着剤と接するようにして仮留めし、基材側面の一端からもう一端に向けて凹凸構造の上からローラーでしごいて貼りあわせた。
[製造例E−2B] 光拡散層の透明ベースフィルム層の厚さを250μmに変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2C] 基材の厚さを3.5mmに変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2D] 光拡散層の透明ベースフィルム層の厚さを250μmに変更した以外は製造例E−2Cと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2E] 接着層を、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=84,000Pa(G0’=19,800Pa))フィルム(藤森工業株式会社製TR−1801A、粘着剤フィルム厚さ:25μm、100℃でのTG/DTA(重量減少率)−0.05%、剥離強度:0.63N/mm)に変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2F] 接着層を、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=68,000Pa(G0’=16,900Pa))フィルム(新タック化成株式会社製CCL/D1/T3T3、粘着剤フィルム厚さ:25μm 剥離強度:0.61N/mm)に変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2G] 接着層を、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=44,000Pa(G’0=10,700Pa))フィルム(東洋インキ株式会社製EXC10−076、粘着剤フィルム厚さ:50μm)に変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2H] 接着層を、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=160,000Pa(G0’=44,600Pa))からなるフィルム(リンテック株式会社製MO−3006C、粘着剤フィルム厚さ:25μm、100℃でのTG/DTA(重量減少率)−0.09%)に変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。[製造例E−2I] 接着層を、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=30,000Pa(G0’=6,100Pa))からなるフィルム(リンテック株式会社製MO−3012C、粘着剤フィルム厚さ:25μm、100℃でのTG/DTA(重量減少率)−0.10%)に変更した以外は製造例E−2Aと同様にして導光板を作製した。
製造例E−2A〜2Iの導光板においては、光拡散層は基材にしっかりと固定されていた。これらの導光板を、以下のa〜dの条件で静置した後、基材と接着層間及び接着層と光拡散層間
の剥離の発生を目視により観察し、以下の基準に基づいて評価した。(条件)a.90℃30%RHの条件下に250時間b.100℃ドライの条件下に12時間c.100℃ドライの条件下1000時間d.85℃ドライ条件に24時間(評価基準)◎ :剥離が全く無い○ :剥離が接着面積の1%未満△ :剥離が接着面積の1%以上30%未満× :剥離が接着面積の30%以上
結果を表E1−1に示す。接着層がG’=40,000〜180,000Paの粘着剤で構成されている製造例E−2A〜2Hの導光板は、高温(多湿)下に長時間置いても光拡散層の剥離があまり起こらなかった。
[製造例E−3A] 基材として、三菱レイヨン株式会社製PMMA LX N865からなる、幅30mm、長さ250mm、厚み3.5mmの平板、接着層として、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤(G’=77,000Pa(G0’=18,000Pa))フィルム(パナック株式会社製PD−S1、粘着剤フィルム厚さ:25μm)、及び、光拡散層として、ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)層上に、表面に拡散角度が60度×1度である溝構造を有する紫外線硬化樹脂からなる層を設けた多層フィルムを用意した。 次いで、光拡散層の凹凸構造を有する面とは反対側の面に、ラミネーターを用いて接着層をラミネートして積層体とし、この積層体を基材の長手方向の側面のサイズに切断して接着層の剥離紙を剥がし、基材の長手方向の側面の一方に、接着層、光拡散層の順になるようにしてローラーを用いて貼り合せて入光部を形成し、導光板を作製した。 以上のようにして作製した導光板の一方の主面上に拡散シート(東レセーハン株式会社製 TDF187)を1枚積層すると共に、入光面に沿って18個(各入光面に9個ずつ)のLEDを配列ピッチが26mmとなるように略均等に配置し(LEDと入光面の距離:0.8mm)、面光源装置を作製した。 次いで、LEDを点灯し、コニカミノルタ製 二次元色彩輝度計(CA−2000)を使用して、導光板上に積層した拡散シート上の入光面側端部からの距離がXmmである位置(入光面側端部からXmm内側)における輝度を導光板の長手方向に沿って測定して輝度プロファイルを得るという作業をX=10〜20mmの範囲について1mm刻みで繰り返し行った。このようにして得られた輝度プロファイルを元に、判断して輝度ムラがなくなったと判断できる入光面側端部からの距離(X)を求めたところ、13mmであった。[製造例E−3B] 接着層及び光拡散層の積層体の貼合の際に使用する治具をポリプロピレン樹脂製のヘラに変更した以外は製造例E−3Aと同様にして、輝度ムラがなくなる入光面側端部からの距離(X)を測定したところ14mmであった。[製造例E−3C] ヘラで接着層及び光拡散層の積層体貼合の際に、ヘラと積層体の間に厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを挿入した(フィルム越しにヘラでしごいた)以外は製造例E−3Bと同様にして、輝度ムラがなくなる入光面側端部からの距離(X)を測定したところ13mmであった。
<製造例F>
[製造例F−11] 入光面に、図2に示した表面プロファイル(平均ピッチ:約6μm、平均深さ:約4μm)を有する溝構造を形成した平均厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが透明両面接着シートを用いて貼り付けられ、対向面に、図F30に示す光散乱加工が施された(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットが、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1〜4mm(遮光部分)においてはρ1=0%、ρ2=60%、入光面側端部から4〜6mm(遮光部分(境界エリア))においてはρ1=7%、ρ2=20%、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分)においてはρ1=ρ2=8%となるように設けられている)導光板(材質:ポリメチルメタクリレート、厚み:3.0mm、幅:409mm、長さ:721mm)に、LED(発光面サイズ5.0mm(幅方向)×3.0mm(厚み方向)、LED数36個)を入光面に沿って配列ピッチPが19.2mmとなるように配置した。この上に、拡散シート、プリズムシート及び反射型偏光シート(3M社製DBEF)をこの順に積層し、さらにその上に、外形が導光板及びLEDを十分に覆うサイズで395mm×700mmの開口部を有するフレームを導光板の出光面側に対向するように配置し、面光源装置を作製した。 二次色彩輝度計(コニカミノルタ製CA2000A)で出光面の正面方向(V=0°、H=0°)からの輝度測定を行い、出光面の輝度の標準偏差(S.D.値)を求めた。 結果を図F31に示す。出光面(非遮光部分)の輝度のS.D.値は、P/G=1〜2.6(Gは入光面からの距離(mm))において0.02以下と非常に低かった。
また、出光面を斜め方向(V(Vertical)=45°又はH(Horizonal)=20°)から見たときの(輝度計の測定方向を出光面正面に対してV=45°又はH=20°傾けて測定したときの)、入光面側端部から7mm内側(非遮光部分)における輝度のS.D.値を表F−2に示す。ここで、上記H、Vとは、輝度計の傾斜角を示し、それぞれ、入光面に平行な方向の傾斜角(入光面に垂直な軸を中心として回転した傾斜角)、入光面に対して垂直な方向の傾斜角(入光面に平行な軸を中心として回転した傾斜角)で正の値が発光エリアないしは表示エリアの中心に倒れこむ方位をいう。 製造例F−11の面光源装置においては、正面からだけではなく、出光面を斜め方向から見たときの輝度ムラも低減されていた。
[製造例F−12] 導光板の対向面の光散乱加工を、図F32のようにした(拡散ビーズとバインダーからなる直径0.8mm〜1.3mmの円形の拡散性ドットが、千鳥配置で(三角格子状に)、入光面側端部から1.5〜4.5mm(遮光部分)においてはρ1=0%、ρ2=60%、入光面側端部から4.5〜6mm(遮光部分(境界エリア))においてはρ1=10%、ρ2=13%、入光面側端部から6mm以降(非遮光部分)においてはρ1=8%、ρ2=9%となるように設けられており、製造例F−11の光散乱加工と比較すると、境界エリアにおいて光源に正対する領域と光源と光源の間に正対する領域の光散乱度の差が小さい)以外は製造例F−11と同様にして、出光面の輝度分布のS.D.値を求めた。 輝度ムラは、正面(V=H=0°)及び斜め方向(V=0°,H=20°、V=45°,H=0°)いずれから観察した場合においても、製造例F−11のそれよりも小さかった。
[製造例F−13] 製造例F−12の面光源装置において、フレームを取り外すと共に、図F28に示したものと同様の構成を有する表示パネル(遮光枠の外枠が導光板を十分に覆うサイズで、表示エリア392.4mm×696.4mm)を導光板の出光面側に対向するように配置して表示装置を作成し、表示エリアにおける輝度ムラを観察した。 表示エリアにおける輝度ムラは、正面(V=H=0°)及び斜め方向(V=0°,H=20°、V=45°,H=0°)いずれから観察した場合においても、製造例F−11のそれよりも小さかった。
<製造例G>
まず、製造例Gの評価方法について説明する。1.評価系(ホットスポットの評価) 製造例G−1〜12、及び21〜30については以下の評価系1を、製造例G−13〜15及び製造例G−31、32については以下の評価系2を使用してホットスポットの評価を行った。評価系1 導光板の入光面にそって5個のLEDを、LEDの発光面が入光面と平行になり、かつ配列ピッチが18.8mmとなるように略均等に配置し(LEDと入光面との距離0.5mm)、導光板の出光面側に光学シート(後述)を積層して面光源装置を作製した。LEDの外形は幅5.6mm×高さ3.0mmである。評価系2 導光板の入光面にそって5個のLEDを、LEDの発光面が入光面と平行になり、かつ配列ピッチが9.4mmとなるように略均等に配置し(LEDと入光面との距離0.5mm)、導光板の出光面側に光学シート(後述)を積層して面光源装置を作製した。LEDの外形は幅5.6mm×高さ3.0mmである。 具体的には、LEDを点灯し、導光板上に積層された光学シートの出光面の法線方向に出光面から0.5mの位置(正面からみたときのホットスポット評価)および法線方向から斜め30度方向に出光面から0.5mの位置(図G26)(斜めからみたときのホットスポット評価)に、コニカミノルタ製 二次元色彩輝度計(CA−2000)を設置し、該出光面の輝度分布を測定した。二次元色彩輝度計(CA−2000)によって測定した該出光面の輝度データの中から、該出光面の入光面側端部からの距離が7.5mm(評価系1)、3mm(評価系2)のところの該入光面と平行な方向(図9(A)方向)の輝度プロファイルL(X)(X軸:入光面と平行な方向の距離、Y軸:輝度L)を抽出した。
上記各輝度プロファイルL(X)から、ホットスポットと無関係の輝度勾配をキャンセルするために、LEDのピッチP(この場合は約18.8mm(評価系1)又は9.4mm(評価系2))に相当する範囲の平均値を取ることでスムージングした値(移動平均値)
なお、上記の標準偏差値(S.D.値)の評価におけるXの範囲としては、両端部のLEDを除いた範囲、つまり、点光源群の端から2番目のLEDの位置から、もう一方の端から2番目のLEDの位置までを用いている。
(輝線の評価) 輝線(図G18参照)については、LEDを点灯し、導光板の出光面上に積層した光学シートを出光面の法線方向および法線方向から30度斜め方向から目視にて観察し、輝線の有無を判定した。 なお、ホットスポットと輝線は、具体的には表G−1の判断基準に従って評価した。
2.製造例Gの導光板の作製方法 製造例G−1〜15及び製造例G−22、24、26、28、30、32の導光板は、後述する導光板基材に、接着層を介して光拡散層を貼り合わせることにより作製した。 具体的には、後述する光拡散シート(ベースフィルム上に光拡散層を設けたもの)の光拡散層とは反対側の面に、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤フィルム(パナック株式会社製PD−S1、粘着剤フィルム厚さ:25μm、100℃での貯蔵弾性率G’:77,000Pa)をラミネートして、接着層付き多層フィルムを作製した。次いで、接着層付き多層フィルムを所定の幅でスリットしたのち、接着層の剥離紙を剥離して導光板の入光面にローラーを用いて貼り合わせ、光拡散層を貼り合わせた。 製造例G−21、23、25、27、29、31は、入光面に光拡散層を貼り合わせない導光板であり、導光板基材をそのまま使用した。
3.使用した部材の説明 次に、製造例Gに使用した各種部材について説明する。A.光学シート 以下の光学シートを導光板と併用した。(ア)拡散シート(DS)・・・東レセーハン製 TDF−187(イ)プリズムシート(Prism)・・・LG電子製 SOS−07H(ウ)反射型偏光シート(DBEF)・・・スリーエム製 DBEF−D400 これらの光学シートを測定時に導光板の出光面上に積層して用いた。 製造例G−1〜5及び製造例G−21〜24では、導光板の出光面上に、光学シートとして上記DSを1枚積層した。 製造例G−6〜8、及び製造例G−25、26では、導光板の出光面上に上記DS、Pris
m(LEDの配列方向に対してプリズム列が直交)の順に1枚ずつ積層した。 製造例G−10、11、13〜15、及び製造例G−27、28、31、32では、導光板の出光面上に上記DS、Prism(LEDの配列方向に対してプリズム列が直交)、DBEFの順に1枚ずつ積層した。 製造例G−12及び製造例G−29、30では導光板の出光面上に上記Prism(LEDの配列方向に対してプリズム列が平行)、Prism(LEDの配列方向に対してプリズム列が直交)、DBEFの順に積層した。
B.導光板基材 製造例Gにおいては、導光板基材として、以下のA、Bを使用した。A、Bは、いずれもPMMAからなる厚さ3mmの平板であり、第一面には入光面に垂直な方向に延びるレンチキュラーレンズ形状が設けられている。・導光板基材−A 第一面(出光面)に図G20Aに示すようなレンチキュラーレンズを有し、レンチキュラーレンズの形状は高さ60μm、ピッチ290μmである。第二面(対向面)には白色インキを印刷して設けられたドットパターン(入光面から3mm内側からスタート)を有する。・導光板基材−B 第一面(出光面)に図G20Bに示すようなレンチキュラーレンズを有し、レンチキュラーレンズの形状は高さ80μm、ピッチ290μmである。第二面(対向面)にはレーザー彫刻によって設けられたドットパターン(入光面から3mm内側からスタート)を有する。
C.光拡散シート 一部の製造例Gの導光板は、導光板基材入光面に以下の光拡散層つきフィルム(光拡散シート)を接着して作製した。・光拡散シート1 ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に図G3のような、光拡散特性の異なる第一の部分領域と第二の部分領域(それぞれの占める面積の割合が等しく50%である)を有する光拡散層を有している光拡散シート。光拡散層は、スペックルパターン露光により一方向(入光面長手方向に対して垂直な方向(第二方向))に長い形状の開口部を有する複数の凹部(溝)が形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなり、第一の部分領域と第二の部分領域では、凹部の平均深さ及び平均ピッチが異なっている。 入光面全体の拡散角度は、第一方向が11°、第二方向が1°であり、その第一方向への出光パターン曲線におけるピーク強度3/4以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより5%狭く、ピーク強度1/10以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより16%大きい(図G22A(a))。 また、それぞれの部分領域は以下の特性を有する。(第一の部分領域) 分割された各領域の面積は等しく1.65平方ミリメートルであり、第一方向の拡散角度が17°、第二方向の拡散角度が1°である異方性の光拡散特性を有し、凹部の平均ピッチが15μm、平均深さが8μmである。(第二の部分領域) 分割された各領域の面積は等しく1.65平方ミリメートルであり、第一方向の拡散角度が8°、第二方向の拡散角度が1°である異方性の光拡散特性を有し、凹部の平均ピッチが25μm、平均深さが5μmである。
・光拡散シート2 ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に図G4のような、光拡散特性の異なる第一の部分領域と第二の部分領域(それぞれの占める面積の割合は第一の部分領域の占める割合が38%、第二の部分領域の占める割合が62%)を有する光拡散層を有している光拡散シート。光拡散層は、スペックルパターン露光により一方向(入光面長手方向に対して垂直な方向(第二方向))に長い形状の開口部を有する複数の凹部が形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなる。 光拡散層全体の拡散角度は第一方向が6°、第二方向が1°であり、その第一方向への出光パターン曲線におけるピーク強度3/4以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより5%狭く、ピーク強度1/10以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより40%大きい(図G22A(b))。 また、それぞれの部分領域は以下の特性を有する。(第一の部分領域) 分割された各部分領域の面積は等しく0.45平方ミリメートルであり、第一方向の拡散角度が10°、第二方向の拡散角度が1°である異方性の光拡散特性を有し、凹部の平均ピッチが20μm、平均深さが5μmである。(第二の部分領域)分割された各部分領域の面積は等しく0.75平方ミリメートルであり、第一方向の拡散角度が5°、第二方向の拡散角度が1°である異方性の光拡散特性を有し、凹部の平均ピッチが33μm、平均深さが3μmである。
・光拡散シート3 ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に、一様にスペックルパターン露光により図G23に示すような一方向(入光面長手方向に対して垂直な方向(第二方向))に長い形状の開口部を有する複数の凹部が形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなる光拡散層を有している光拡散シート。 光拡散層全体の拡散角度は第一方向が16°、第二方向が1°であり、その第一方向への出光パターン曲線におけるピーク強度3/4以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより8%大きく、ピーク強度1/10以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより6%大きい(図G22A(c))。 凹部の平均ピッチは5.2μm、平均深さは1.2μmである。・光拡散シート4 ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に、一様にスペックルパターン露光により一方向(入光面長手方向に対して垂直な方向(第二方向))に長い形状の開口部を有する複数の凹部が形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなる光拡散層を有している光拡散シート。 光拡散層全体の拡散角度は第一方向が14°、第二方向が1°であり、その第一方向への出光パターン曲線におけるピーク強度3/4以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより12.5%小さく、ピーク強度1/10以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより7.4%大きい(図G22B(d))。 凹部の平均ピッチは3.5μm、平均深さは1.2μmである。・光拡散シート5 ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に、一様にスペックルパターン露光により一方向(入光面長手方向に対して垂直な方向(第二方向))に長い形状の開口部を有する複数の凹部が形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなる光拡散層を有している光拡散シート。 光拡散層全体の拡散角度は第一方向が25°、第二方向が1°であり、その第一方向への出光パターン曲線におけるピーク強度3/4以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれより6%小さく、ピーク強度1/10以上の出射角度の範囲は正規分布曲線のそれと等しい(図G22B(e))。 凹部の平均ピッチは7.0μm、平均深さは1.9μmである。
・光拡散シートA 透明ベースフィルム上に、表面に、図G24に示すような等方性の形状の開口部を有する複数の凹部(平均ピッチ16μm、平均深さ5μm)が形成された光拡散層を有する、東レセーハン製拡散シートTDF−187
また、製造例Gにおいて上記のように測定器に基づく判断に加えて、目視による判定によって、表示装置にふさわしい組合せ(LED配列ピッチ、導光板の入光面の凹凸構造及び導光板の上に積層する光学シートの組合せ)を以下に例示する。
なお、判定は以下の基準に従って実施した。表示装置として相応しい品位であるかについて、全方位からの観察に基づき総合的に判断した。
上記、判定基準に従い額縁(入光面と表示エリアとの間の水平距離)G=7mmの標準的な機種において、LEDの削減を考慮した好適な組合せを光学シート配設毎に以下の表に例示する。
なお、表中「光拡散シート」とあるのは、導光板基材の入光面に貼合した光拡散シートを意味する。
上記、判定基準に従い額縁G=4mmの狭額縁を想定して、良好な品位を提供する好適な組合せを光学シート配設毎に以下に例示する。
<製造例H>
製造例Hについて説明する。なお、以下の製造例Hにおいては、拡散シートの表面凹凸構造の長軸方向(拡散角度が低い方向)を点光源列に対して垂直に設置するものとする。
[製造例H−1] 製造例H−1に係る拡散シートを製造する際には、特許第3413519号公報に記載のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製した。該感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体として拡散シートに対して水平方向となる方向の拡散角度が30度、上下方向となる方向の拡散角度が0.08度の拡散板を使用した。該サブマスタ型と、基材(厚さ80ミクロンの東洋紡製PET基材A4300と)と、の間で、厚さ約20マイクロメートルとなるように塗布した光硬化性樹脂(ノーランド社製光学用接着剤NOA63)を光硬化させた後、該サブマスタ型を剥離させることによって、表面凹凸構造を有する表層を基材上に形成した製造例H−1に係る拡散シートを製造した。
スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、以下の5種類の拡散シートを得た。なお、スペックルパターンの方向は、製造する拡散シートの上下及び水平方向を考慮して、調節される。
[製造例H−2] 製造例H−1で得られた各拡散シートの拡散角度の最小値をフォトン・インク(Photon Inc.)製のビームプロファイラ(NanoScan)を用い、JDS Uniphase社のヘリウムネオン(He−Ne)レーザー1107Pを各拡散シートの表面凹凸構造を有する面から照射して測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−3] 製造例H−1で得られた各拡散シートの拡散角度の最大値を、日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用い、光源からの光を各拡散シートの表面凹凸構造を有する面から照射して測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−4] 図H1のように照射面3に対して拡散シート2の背面に5個の点光源1を水平に並べたライン状照明システムを製作した。点光源1としては、波長が488nm、出力が0.18W、強度がガウシアン分布であり、最大強度の1/e2となる範囲が3mmの平行光を出射するLEDを用いた。隣接する点光源間の距離は80cmとした。
拡散シート2と照射面3との距離を1mとした際の照射面3における照射光4の水平方向の強度分布をニューポート社製1936−Cパワーメーターを用い、918D−UV−OD3ディテクタを照射面上の各点に設置して測定した。図H3は拡散シート2としてDS174−4を用いた場合、図H4はDS175−1を用いた場合、図H5はDS175−2を用いた場合、図H6はDS176−1を用いた場合、図H7はDS176−2を用いた場合の強度分布である。
比較のため、図H3〜図H7における位置が−800mmから800mmの間の光の強度の最大値と最小値、並びに光の強度の最大値に対する最小値の比を求めたところ、以下のような結果が得られた。
いずれの拡散シートを用いても強度が概ね4mW/cm2以上でありながら、光の最大強度に対する最小強度の比が0.7以上となり、均一なライン状に照射面を照らせていることが分かった。また、DS174−4、DS175−1及びDS175−2は、光の強度が、最小値でも7.0mW/cm2以上と良好であった。
[製造例H−5] 製造例H−1で得られた各拡散シートのうち、DS176−2の出射光の拡散角度が最小値を示す方向に対して、斜め10度方向からのサンドブラスト加工により、同拡散シートの表面凹凸構造を有する面に筋状パターンを形成した。加工した拡散シートをDS176−2Sとする。 DS176−2Sについて、光学顕微鏡下で筋状パターンのピッチを測定したところ、平均ピッチは0.2 mmであった。
次いで、DS176−2Sの一部を切断し、断面の形状から筋状パターンの高さを測定したところ、平均高さは0.02 mmであった。
[製造例H−6] 製造例H−6に係る拡散シートを製造する際には、特許第3413519号公報に記載のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製する際に、露光の際のスペックルパターンの寸法及び形状を部分的に調節することで、同サブマスタ型の出射光の拡散角度が最小値を示す方向に対し斜め8度方向へ筋状にパターンを有するサブマスタ型を得た。
次に、本製造例で得られたサブマスタ型から、製造例H−1と同様にパターンを転写することで拡散シートDS177−1Vを得た。DS177−1Vについて、光学顕微鏡下でスペックルパターンの密度の濃淡のピッチを測定したところ、平均ピッチは1 mmであった。
[製造例H−7] 製造例H−5、6で得られた拡散シートの拡散角度の最小値を、製造例H−2と同様に測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−8] 製造例H−5、6で得られた拡散シートの拡散角度の最大値を、製造例H−3と同様に測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−9] 製造例H−1、5、6で得られた拡散シートについて、硬度HBの鉛筆で表面凹凸構造を有する面を各々5回擦る耐擦過性試験を行った。鉛筆は上部を2本の指で挟み、約10gの荷重で試験片の表面に対して略30度の角度をなすように当て、出射光の拡散角度が最大を示す方向に、試験片上を手で約5mm/秒の速度で動かした。結果は以下の通りであった。なお、表中の○は鉛筆で擦ったことによる傷が視認できず、合格であったことを表し、×は傷が視認でき、不合格であったことを表している。
斜め方向に筋状パターンを形成した拡散シートは、耐擦過性が向上することが分かった。
[製造例H−11] 製造例H−1と同様に、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、以下の3種類の拡散シートを得た。感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体としてスクリーンの地平面に対して上下方向となる方向の拡散角度と、水平方向となる方向の拡散角度がともに5度の拡散板を使用した。
[製造例H−12] 製造例H−11で得られた各拡散シートの拡散角度の最小値を、製造例H−2と同様に測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−13] 製造例H−11で得られた各拡散シートの拡散角度の最大値を、製造例H−3と同様に測定したところ、以下のような結果が得られた。
[製造例H−14] 製造例H−4と同様に、製作したライン状照明システムにおいて照射面3における照射光4の強度分布を測定した。図H8は拡散シート2としてDS142−8を用いた場合、図H9はDS154−1を用いた場合、図H10はDS156−1を用いた場合の強度分布である。
比較のため、製造例H−4と同様に、図H8〜図H10における位置が−800mmから800mmの間の光の強度の最大値と最小値、並びに最大値に対する最小値の比を求めたところ、以下のような結果が得られた。DS154−1及びDS156−1においては、光が垂直方向にも拡散しているために、表H−11に示すように、水平方向の最大強度が低下した。
DS142−8を拡散シート2に使用した場合は照射面3における光の強度のむらが大きく、使用に堪えないものであった。DS154−1及びDS156−1を使用した場合は均一ではあるものの強度が5mW/cm2を大きく下回り、照射面を十分に明るく照らすことができなかった。
<製造例I>
次に、製造例Iについて説明する。
製造例Iに用いた光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレートからなる厚み125μmの透明ベースフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)上に、表面に、スペックルパターン露光により一方向に長い形状の開口部を有する複数のくぼみが形成された紫外線硬化樹脂硬化物からなる光拡散層を有する光拡散シートの光拡散層を有していない側の面に、剥離紙の上に積層されたアクリル系粘着剤フィルム(パナック株式会社製PD−S1、粘着剤フィルム厚さ:25μm)をラミネートして作製した。
製造例Iでは以下の作業を行い、気泡の抜けを目視で観察した。 作業1:まず、光学フィルムから剥離紙をはがした。次に、光学フィルムの両端を手で持って、主面が713mm×410mmの長方形状であり、厚みが3mmの導光板の713mm×3mmの一端面との角度を合わせた。次に、光学フィルムの左端部分を、導光板の一端面上に圧接した。さらに、光学フィルムの右端を手で持ったまま、光学フィルムの左端から25cm程度離れた部分を導光板の一端面上に圧接した(以下、「仮貼り」という。)。その後、左手を25cm程度ずつ移動させながら、約25cm間隔で光学フィルムを導光板の一端面上に圧接した。最後に、貼合治具を用いて光学フィルム層に圧力をかけながら1回なぞった。 作業2:主面が713mm×410mmの長方形状であり、厚みが3mmの導光板を25枚段積みにし、隣り合う導光板間の凹凸の断差(端面のずれ)がランダムに500μm〜1mmになるようにそろえた状態で、713mm×3mmの面に上記光学フィルムを一枚ずつ仮貼りしていった。25枚すべての仮貼りが終わった後、貼合治具を用いて光学フィルム層に圧力をかけながら隣接する5〜6枚を同時に1回なぞった。
(硬度の測定) 弾性体の硬度は、JIS K 6253に準拠して測定した。タイプAデュロメータが標準的に測定器として使用される。孔径の大きな多孔体、スポンジなどタイプAデュロメータでの測定が困難なものに対してはタイプEデュロメータによるゴム硬度、あるいはSRIS 0101に記載されているアスカーC型デュロメータにて測定し、スポンジ硬度として示す。
(製造例I−1) 製造例I−1では貼合治具として、Dow Corning
社製シリコーンラバーSilastic J−RTVを図I7に示す形状に成型したもの(ゴム硬度55)を、図I8に示すように、ポリエチレン製のビニール袋に包み、すべり性を付与したものを用いた。圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約3mmであった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。
(製造例I−2) 製造例I−2では貼合治具として、Dow Corning社製シリコーンラバーSilastic J−RTVを図I7に示す形状に成型したもの(ゴム硬度55)に、図I9に示すように、ニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼合しすべり性を付与したものを用いた。圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約3mmであった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。
(製造例I−3) 製造例I−3では貼合治具として、市販のクロロプレンゴム片(3mm×50mmφ、ゴム硬度62)をポリエチレン製のビニール袋に包み、すべり性を付与したものを用いた。貼合治具のゴム硬度は高いが、薄いため、圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約10mmと長かった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。製造例I−1と比較してゴム硬度が高く、形状追随性が若干悪化したため、より高い圧力を必要とし、作業性が若干悪化したが問題のない範囲であった。
(製造例I−4) 製造例I−4では貼合治具として、三進興産株式会社製ソルボ(50mm×50mm×3mm、ゴム硬度32)をポリエチレン製のビニール袋に包み、すべり性を付与したものを用いた。貼合治具が柔らかい上に薄いため、圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約15mmと長かった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。製造例I−1と比較してゴム硬度が低いために、掛けた応力が端面に対して垂直方向の応力に伝搬する効率が低下したため、より高い圧力を必要とし、作業性が若干悪化したが問題のない範囲であった。
(製造例I−5) 製造例I−5では貼合治具として、日本バルカー工業株式会社製バルカー・コードシールソフト(35mm×10mm×3mm、ゴム硬度55)を用いた。貼合治具の塑性変形性が強いため、圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約2mmと短かった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。製造例I−1と比較して塑性変形体であるために、使用するたびに形状追随性が低下して固くなっていくため、治具の寿命が若干短いが、問題のない範囲であった。
(製造例I−6) 製造例I−6では貼合治具として、市販のEVAフォーム(95mm×25mm×10mm、ゴム硬度28)をポリエチレン製のビニール袋に包み、すべり性を付与したものを用いた。貼合治具のゴム硬度は低いが、厚みがあるため、圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約3mmと短かった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。製造例I−1と比較してゴム硬度が低いために、掛けた応力が端面に対して垂直方向の応力に伝搬する効率が低下したため、より高い圧力を必要とし、作業性が若干悪化したが問題のない範囲であった。
(製造例I−7) 製造例I−7では貼合治具として、ポリウレタン樹脂(株式会社デビカ製地震番、3mm×40mmφ、ゴム硬度8)をポリエチレン製のビニール袋に包み、すべり性を付与したものを用いた。貼合治具が柔らかい上、薄いため、圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約15mmと長かった。
作業1,2ともに気泡が除去できた。作業2では貼合治具は圧力をかけたことで形状が変化し、わずかに奥まった導光板に対しても圧力がかかった結果気泡を排除することができた。製造例I−1と比較してゴム硬度が低いために、掛けた応力が端面に対して垂直方向の応力に伝搬する効率が低下したため、より高い圧力を必要とし、作業性が若干悪化したが問題のない範囲であった。
(製造例I−8) 製造例I−8では貼合治具として、Dow Corning社製シリコーンラバーSilastic J−RTVを図I10に示すようにガイド付きの形状に成型したもの(ゴム硬度55)に、図I11に示すようにニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼合しすべり性を付与したものを用いた。圧力をかけた状態での導光板に対する貼合治具の接触長さは約8mmであった。
作業1では、気泡が除去できた。作業2ではガイド形状が導光板と干渉するため気泡は除去できなかった。
(製造例I−11) 製造例I−11では貼合治具として市販の竹製ヘラ(ゴム硬度98)にニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼合しすべり性を付与したものを用いた。圧力をかけた状態での導光板に対する竹製ヘラの接触長さは0.3mmであった。
作業1では、光学フィルム層をなぞる工程で、治具が傾き接触面積が減少したためうまく気泡を除去することができなかった。作業2では形状追随性がないためにわずかに奥まった導光板の気泡を除去することができなかった。
(製造例I−12)
前記製造例I−8などの貼合治具を用いる場合には、導光板一枚ずつに対してしか気泡を抜く作業を行えないため(作業2には適用できないため)、複数枚を積層した状態にある導光板の気泡を抜くためには一枚ずつ個別に取り出す必要があり、気泡を抜く作業性が煩雑な面がある。そこで貼合治具として、図I12に示すような導光板の厚みと略同一の幅を有するゴムローラーを用いて作業2を行った。当該ローラーを重ねた状態の導光板の入光面に沿うように擦ることで、気泡を効率よく除去することができた。 特に、ローラー表面を構成する材料として、ゴムのような柔らかい材質で表面が滑るように設定されたものを用いた場合が最も好適であった。
(製造例I−13)
貼合治具として、図I13のようにローラー(図I12のローラと同様のローラー)を3つ平行に並べたものを用いて作業2を行った。具体的には、図I14のような形で、ローラーを導光板の入光面にあてがいながら擦ることによって、作業を行ったところ、気泡を効率よく除去することができた。この貼合治具を用いると、なぞる作業を一回行うだけで、3つのローラーにより続けて気泡が除去されるので、気泡を抜く効率が向上した。