JPWO2012008222A1 - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができるモータ制御装置を提供する。モータ2の駆動は、モータ制御装置本体10によって制御される。モータ制御装置本体10は、圧力指令信号生成部11、圧力制御部12、速度制御部13、電流制御部14及びパラメータ調整部100を有している。圧力制御部12の制御演算用のパラメータは、パラメータ調整部100は、情報取得部と、パラメータ算出部とを有している。情報取得部は、加圧対象物7の弾性定数K、反力の情報を表す反力定数h、モータトルクからモータ速度への伝達特性、速度制御部13のパラメータKv,Kviの各情報を外部から取得する。情報取得部は、速度制御部13の制御則の情報を予め取得している。パラメータ算出部は、情報取得部が取得した情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータを算出する。

Description

この発明は、対象物に機械負荷を押し当てるためのモータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
射出成形機やプレス成形機等の各種成形機や、ボンディング機械等の加工装置(産業用機械、加工機械)では、電動機構(機械駆動部)がモータによって駆動されて、加圧対象物に圧力を加える。また、このような加工装置では、一般的に、加圧対象物である成形材料等やワークに機械負荷が押し当てられたときの圧力値である実圧力値が圧力検出値として検出され、この圧力検出値と圧力指令値とに基づいて、パラメータで規定される圧力制御演算が行われる。ここで、パラメータは、圧力制御演算のゲイン等のパラメータである。
この圧力制御演算の際、パラメータを適切に調整する必要があるが、パラメータが大きすぎると、制御系の安定性が損なわれて、制御系が不安定になったり、加圧対象物に加わる圧力に高周波の微振動が載る発振現象が発生したりする。この発信現象による微振動がワーク等に伝わることで加工結果に悪影響を及ぼす。
他方、パラメータが小さすぎると、目標圧力値(圧力指令信号)に到達するまでに時間がかかる等の現象が発生したり、外乱が加わった場合に外乱を十分除去できなかったりする可能性がある。特に、外乱に対する補償は、圧力検出値と目標圧力値とを基にせず、目標圧力値のみを基にしてモータを動作させるフィードフォワード制御だけでは補償できず、圧力検出値と目標圧力値とを基に、圧力制御演算を行い、モータの動作をさせることでしか除去することができない。このため、圧力制御演算のパラメータを適切に調整することは重要である。
また、例えば特許文献1に示すような従来装置では、圧力検出値と目標圧力値との圧力偏差(差分)に、圧力ゲインを乗じてモータの速度指令を決定し、この速度指令に追従するように速度制御演算を行う圧力制御おいて、加圧対象物の弾性定数を算出し、この弾性定数を所定の比例定数で割ることにより圧力ゲインを算出する。
特開2008−73713号公報
上記のような従来装置では、所定の比例定数自体をどのように決定するかの指針がないため、所定の比例定数を試行錯誤して調整しなければならないという問題がある。また、一般的に、圧力を制御するにあたり、圧力が発生した際に反力が発生し、この反力が制御系に影響を及ぼす。しかしながら、上記のような従来装置では、この反力に関する情報を利用せずに圧力制御演算のパラメータを算出するため、圧力制御を適切に実行するためのパラメータを算出できないという問題がある。
さらに、圧力制御演算のパラメータを調整する際の評価指標の1つとして、制御系の安定性を確保して、ゲインパラメータを調整する必要がある。この制御系の安定性は、圧力制御に関するパラメータだけで決まるものではなく、そのマイナーループである制御ループ(特許文献1の従来装置における速度制御ループ)の安定性を同時に考慮して、圧力制御のゲインパラメータの調整を行う必要がある。しかしながら、上記のような従来装置では、このようなマイナーループの安定性が十分に考慮されていなかった。
なお、このような問題は、圧力制御のみならず、力制御でも同様に発生する。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができるモータ制御装置を得ることを目的とする。
この発明のモータ制御装置は、モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるものであって、前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体を備え、前記モータ制御装置本体は、前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいて速度指令値を算出する物理量制御部と、前記モータのモータ速度を検出するための速度検出手段によるモータ速度検出値と、前記物理量制御部によって算出された速度指令値とに基づいて、前記モータのトルク指令値もしくは推力指令値を算出する速度制御部と、前記速度制御部によって算出された前記トルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度、モータ位置もしくはモータ加速度への伝達特性の情報、前記速度制御部の制御則の情報、及び前記速度制御部のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記物理量取得値の信号からモータ速度への伝達特性が前記対象物の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であること、及び前記情報取得部が取得した情報を用いて、前記物理量制御部のパラメータを調整する圧力制御パラメータ調整部とを有するものである。
この発明のモータ制御装置によれば、対象物の弾性定数の情報、機械負荷から対象物へ力学的物理量が加わったことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度、モータ位置もしくはモータ加速度への伝達特性の情報、速度制御部の制御則の情報、及び速度制御部のパラメータの情報の各情報と、物理量取得値の信号からモータ速度への伝達特性であって対象物の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性とを用いて、パラメータ調整部が物理量制御部のパラメータを決定するので、制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができる。
この発明の実施の形態1によるモータ制御装置を示すブロック図である。 図1の信号の伝達特性を示すブロック図である。 図1のパラメータ調整部をより具体的に示すブロック図である。 図1のパラメータ調整部の他の例を示すブロック図である。 図1のパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。 図5のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用したときの開ループ伝達特性を示すボード線図である。 図5のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用したときの圧力検出信号の時間応答を示すグラフである。 図5のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用しないときの圧力検出信号の時間応答を示すグラフである。 図5のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用したときの圧力検出信号の時間応答を示すグラフである。 モータ発生トルクから圧力検出信号への伝達特性を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2によるモータ制御装置を示すブロック図である。 図11の信号の伝達特性を示すブロック図である。 図11のパラメータ調整部をより具体的に示すブロック図である。 図13のパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3によるモータ制御装置を示すブロック図である。 図15の信号の伝達特性を示すブロック図である。 図15のパラメータ調整部をより具体的に示すブロック図である。 図15のパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4によるモータ制御装置の信号の伝達特性を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4によるパラメータ調整部を示すブロック図である。 図20のパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。 粘性摩擦係数の線形近似の例を説明するためのグラフである。 モータ速度と圧力指令値との関係を説明するためのグラフである。 図21のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用したときの開ループ伝達特性を示すボード線図である。 図21のフローチャートに従って算出された圧力制御部のパラメータを適用したときの圧力検出信号の時間応答を示すグラフである。 この発明の実施の形態5によるパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態6によるパラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるモータ制御装置を示すブロック図である。
図1において、加工装置1は、回転式のモータ(加圧用モータ)2及びエンコーダ3を含む電動機構4と、機械負荷(押圧部材)5と、圧力検出器6とを有している。
エンコーダ3は、モータ2の回転速度に応じたモータ速度検出信号3aを生成する速度検出手段である。電動機構4は、回転運動を並進運動に変換する送りねじ機構であり、ねじ4aと、ボールねじナット4bとを有している。ねじ4aは、モータ2によって、その周方向へ回転される。ボールねじナット4bは、ねじ4aの回転に伴って、ねじ4aの軸方向へ変位する。
機械負荷5は、ボールねじナット4bに取り付けられている。機械負荷5の先端部は、加圧対象物(対象物)7と対向している。また、機械負荷5は、ボールねじナット4bとともに、ねじ4aの軸方向へ変位する。加圧対象物7は、機械負荷5によって加圧される。圧力検出器6は、機械負荷5に取り付けられている。また、圧力検出器6は、例えばロードセルや各種力センサ等である。さらに、圧力検出器6は、機械負荷5の加圧対象物7への加圧時の圧力(力学的物理量)に応じた圧力検出信号6aを生成する圧力検出手段(物理量検出手段)である。
モータ2の駆動は、モータ制御装置本体10によって制御される。モータ制御装置本体10は、圧力指令信号生成部11、圧力制御部12、速度制御部13、電流制御部14及びパラメータ調整部(パラメータ調整装置)100を有している。圧力指令信号生成部11は、加圧対象物7に加える圧力の指令値である圧力指令値(物理量指令値)の信号、即ち圧力指令信号11aを生成する。
圧力制御部12は、圧力指令信号生成部11からの圧力指令信号11aの圧力指令値と、圧力検出器6からの圧力検出信号6aの圧力検出値(物理量取得値)との偏差(差分)の信号11bを受ける。ここで、圧力検出信号6aについては、圧力検出器6の圧力検出信号6aそのものを用いてもよく、あるいは圧力検出信号6aに代えて、圧力指令信号生成部11がモータ2の速度や電流から推定した圧力の推定値の信号を用いてもよい。
また、圧力制御部12は、圧力制御演算を実行して、圧力指令値と圧力検出値との偏差に応じた速度指令値を算出し、その速度指令値の信号である速度指令信号12aを生成する。この圧力制御部12による圧力制御演算の一例としては、圧力指令値と圧力検出値との偏差に、比例ゲイン(制御用のパラメータ)で定義される比例定数を乗じて、速度指令値を出力する比例制御が挙げられる。なお、圧力制御部12による圧力制御演算の他の例としては、比例+積分制御や、位相進み/遅れ補償制御等であってもよい。また、圧力制御部12の制御演算用のパラメータは、パラメータ調整部100からのパラメータ情報100aに基づいて設定される。
速度制御部13は、圧力制御部12からの速度指令信号12aの速度指令値と、エンコーダ3からのモータ速度検出信号3aのモータ速度検出値との偏差(差分)の信号12bを受ける。また、速度制御部13は、速度指令値とモータ速度検出値との偏差に基づいて、速度制御演算を実行し、モータ2が発生すべきトルクを算出するためのトルク指令値を算出し、その信号であるトルク指令信号13aを生成する。
電流制御部14は、速度制御部13からのトルク指令信号13aを受ける。また、電流制御部14は、モータ2にトルク指令値通りのトルクを発生させるための電流14aを供給する。これにより、モータ2が駆動力を発生し、加圧対象物7に加わった圧力検出値を、所望の圧力である圧力指令値に追従させる圧力制御が実現される。
ここで、圧力検出信号6aが圧力指令信号11aに対してオーバーシュートする、あるいは圧力検出信号6aに微振動が発生するといった好ましくない現象を引き起こすことなく、圧力指令信号11aに対し応答性高く追従するためには、圧力制御部12のパラメータ(圧力制御部12が比例制御を行う場合には、比例ゲイン)を適切に設定する必要がある。また、図1では記載を省略しているが、加圧対象物7に圧力を加えた際に、その反作用分の圧力が、機械負荷5とボールねじナット4bとねじ4aとを通してトルクとなり(以下、このトルクを「反力トルク」として説明する。)、この反力トルクがモータ2に作用する。
次に、上記のような反力トルクの伝達特性を含む、機械負荷5が加圧対象物7に接触している状況での図1の構成における信号の伝達特性について説明する。図2は、図1の信号の伝達特性を示すブロック図である。なお、図2では、圧力指令信号生成部11、パラメータ調整部100及びパラメータ情報100a以外の図1の各機能ブロックの伝達特性を示す。また、以下の明細書、及び図2以降の記号sは、ラプラス演算子を表す。
図2では、電流制御部14が電流17をモータ2に与えた際に、モータ2に発生するモータ発生トルクを符号20aで表している。電流制御部14が制御を行うことにより、モータ発生トルク20aとトルク指令信号13aの値はほぼ一致するが、モータ発生トルク20aは、トルク指令信号13aに対し、伝達特性的に遅れた応答を示す。このときの電流制御部14の伝達特性を図2ではI(s)と表している。
また、図2の符号8aは、加圧対象物7に発生する実圧力である。圧力検出信号6aは、理想的には実圧力8aの値そのものを示す信号であるが、圧力検出器6のハードウェア限界等により、圧力検出信号6aの圧力検出値は、実圧力8aの値よりも何らかの遅れ特性を示すことがある。図2の符号30は、圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性であり、その伝達特性をα(s)と表す。
この伝達特性α(s)の具体例としては、圧力検出器6による検出遅れが無視できるときには、α(s)=1となり、圧力検出器6による検出が時間T1だけ遅れるときには、α(s)=exp(−T1・s)であり、圧力検出器6の応答周波数がω1であるときには、α(s)=ω1/(s+ω1)等であり、圧力検出器6に時間T1の検出遅れがあり、さらに応答周波数がω1である場合は、exp(−T1・s)×ω1/(s+ω1)等である。応答周波数ω1や遅れ時間T1は、圧力検出器6のハードウェア仕様から決定されるものである。圧力検出器6によって生成される圧力検出信号6aの圧力検出値は、実圧力8aの値に対し、α(s)が作用したものとして表すことができる。
図2の符号31は、モータ発生トルク20aと反力トルク20bとの差分であるモータトルク20cから、モータ速度への伝達特性を表しており、その伝達特性の一例は、次の式(1)である。
Figure 2012008222
ここで、Jは、機械可動部総イナーシャである。機械可動部総イナーシャとは、モータ2が駆動したときに動く部分を、モータ回転イナーシャに換算した値である。図1においては、機械可動部総イナーシャは、モータ2、電動機構4、機械負荷5及び圧力検出器6のそれぞれのイナーシャを合計したものである。
なお、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性は、これに限られるものではなく、機械系の共振特性をも表現した特性であってもよい。具体的に、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性としては、次の式(2)等であってもよい。
Figure 2012008222
また、図2では、圧力制御部12が比例制御を使用する場合を示しており、調整すべきパラメータである比例ゲインをKaとして表している。さらに、図2では、速度制御部13が比例+積分制御を使用する場合を示して、比例ゲインをKv、積分ゲインをKviとして表している。
また、図2の符号32は、モータ速度検出信号3aのモータ速度検出値を積分して求められるモータ位置と、実圧力8aとが比例関係にあることを表している。ここで、圧力制御を行ったときには、機械負荷5が加圧対象物7の方に動くほど、言い換えれば、モータ位置が大きくなればなるほど、圧力が大きく発生するという性質がある。概ね、モータ位置に対して圧力検出信号6aの圧力検出値が比例し、符号32のKは、その比例定数である加圧対象物7の弾性定数を表している。
加圧対象物7に圧力を加えるときには、必ずその反作用として反力が発生する。これは、位置や速度を制御しているときにはなく、圧力や力を制御しているときの特有の現象である。この反力である反力トルクは、加圧対象物7を加圧しようとするモータ2の動作を阻害するように作用する。図2では、反力トルクを符号20bで表す。
図2の符号33は、加圧対象物7に圧力が加わっているときの、実圧力8aからトルクへの反力の情報を表す反力定数hであり、実圧力8aの値をFとし、反力トルク33aの値をTaとした場合に、Ta=h・Fとなる関係が成立する。
また、定数hは、送りねじ機構(ボールねじ)のリードをpとした場合、h=p/(2π)として表すことができる。さらに、モータと送りねじ機構とを直結にせずに、減速機やタイミングベルト等の変速機構を介して変速してから、送りねじ機構とモータとを結合する場合、変速比(ギア比)を1/Nとしたときに(モータ速度が変速機構を介することにより1/N倍に変換される)、h=N×p/(2π)で算出可能となる。図2の符号20cは、モータ発生トルク20aから反力トルク20bを引いたトルクを表すモータトルクであり、このモータトルクが実際のトルクとして機械に作用する。
次に、パラメータ調整部100の構成について説明する。図3は、図1のパラメータ調整部100をより具体的に示すブロック図である。パラメータ調整部100は、情報取得部(情報部)101と、パラメータ算出部102とを有している。情報取得部101は、加圧対象物7の弾性定数K、反力の情報を表す反力定数h、先の式(1),(2)に代表されるモータトルク20cからモータ速度への伝達特性、及び速度制御部13のパラメータKv,Kviの各情報を外部から取得する。
また、情報取得部101は、速度制御部13の制御則(即ち、図2においては比例+積分制御)の情報を予め取得(記憶)している。パラメータ算出部102は、情報取得部101が取得した情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータ(図2においてはKa)を算出する。
図4は、図1のパラメータ調整部100の他の例を示すブロック図である。図4のパラメータ調整部100は、図3とは異なる形態を表したもので、図3のパラメータ調整部100との違いは、電流制御部14の伝達特性と圧力検出器6の検出遅れ特性を示す伝達特性の情報を、図3で示した情報に加えて情報取得部101が取得する点である。また、図4において、情報取得部101が圧力検出器6の検出遅れ特性を示す伝達特性の情報を取得して、電流制御部14の伝達特性の情報の取得を省略してもよいし、また、逆に、情報取得部101が電流制御部14の伝達特性の情報を取得して、圧力検出器6の検出遅れの特性を示す伝達特性の情報の取得を省略してもよい。
ここで、モータ制御装置本体10は、演算処理部(CPU)、記憶部(ROM及びRAM等)及び信号入出力部を持ったコンピュータ(図示せず)と、モータに電流を供給するインバータ等(図示せず)とにより構成することができる。モータ制御装置本体10のコンピュータの記憶部には、圧力指令信号生成部11、圧力制御部12、速度制御部13、電流制御部14、パラメータ調整部100、情報取得部101及びパラメータ算出部102の機能を実現するためのプログラムが格納されている。
次に、図3,4のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKaを調整する際の動作について説明する。図5は、図3,4のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。なお、図5に示す一連の動作は、加工装置1の動作設定時(初期設定時や加圧対象物7の変更時)に実行される。
まず、ステップS1では、パラメータ調整部100は、加圧対象物7の弾性定数Kと、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性と、圧力発生に伴うトルクの反力情報である反力定数hとの各情報を取得する。ここで、弾性定数Kは、予め測定されたモータ位置と圧力との関係に基づいて算出可能である。モータトルク20cからモータ速度への伝達特性の例としては、前述のように機械負荷5を剛体とみなし、機械可動部総イナーシャJを用いて、1/(J・s)とすることが挙げられる。
この機械可動部総イナーシャJは、機械の設計値から求めて算出してもよいし、機械負荷5を加圧対象物7に接触させない状態で予め駆動させ、このときのモータ速度やモータ電流等から機械イナーシャを推定することにより、算出してもよい。なお、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性は、これに限るものではない。
他には、予め、機械負荷5を加圧対象物7に接触させない状態で、トルク指令として正弦波やM系列信号加えたときのモータ速度検出信号3aから、式(2)で表されるような機械共振を含むモータトルク20cからモータ速度への伝達特性を算出し、この算出した伝達特性を用いてもよい。反力を表す定数hは、前述のように、送りねじ機構(ボールねじ)のリードpから、h=p/(2π)として求める(変速比1/Nである場合は、h=N×p/(2π))。以下、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性として1/(J・s)を使用した場合について説明を行う。
また、ステップS1では、パラメータ調整部100は、速度制御部13の伝達特性、及びそのパラメータの情報を取得する。この伝達特性は、制御を構成する時点でわかっているので、その情報をそのまま用いればよい。
ステップS2では、パラメータ調整部100は、電流制御部14の伝達特性I(s)の情報を取得する。電流制御部14の伝達特性I(s)は、例えば、圧力制御ループ及び速度制御ループを組まない、即ちフィードバックループをかけない状態で、電流指令を与え、このときの電流出力を解析する正弦波掃引法等により、周波数領域での伝達特性をノンパラメトリックに予め算出しておくことが挙げられる。
なお、電流制御部14の伝達特性は、これに限るものではなく、電流制御部14をある時定数Tを用いて、低域通過特性1/(Ts+1)で近似する、あるいは無駄時間T1を用いて、無駄時間特性exp(−Tl・s)等のパラメトリックに、パラメータ調整部100が伝達特性を取得してもよい。電流制御部14の応答性が十分に高い場合には、I(s)=1としてしてもよい。
また、圧力検出器6の検出遅れ特性が無視できないほど大きい場合には、パラメータ調整部100は、その検出遅れ特性の情報を取得する。圧力検出器6がロードセルである場合には、ロードセルの応答周波数範や、D/A出力周期に相当するサンプリング時間を基にα(s)を取得すればよい。さらに、圧力検出器6の検出遅れ特性が十分小さい場合には、α(s)=1としてもよい。
ステップS3では、パラメータ調整部100は、図2中のモータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性P(s)を算出する。ここで、図2のブロック図より、次の式(3)のような伝達特性が成立する。
Figure 2012008222
モータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性を得るために、機械負荷5を加圧対象物7に接触させた状態にて、モータトルクとして、M系列信号や正弦波信号を加え、このときの入力として加えたトルク指令信号13aと、出力として得られる圧力検出信号6aとを基に同定するという方法も考えられる。しかしながら、モータトルクとしてM系列信号や正弦波信号のような概ね時間平均が0となるようなトルク指令信号13aを加えると、機械負荷5が加圧対象物7に接触したり、離れたりするため、正確な特性を得ることができない。
上記で説明したように、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性と、反力に関する情報と、加圧対象物7の弾性定数とから算出することにより、圧力制御部12のパラメータを算出する基となる、正確なトルク指令信号13aから圧力検出信号6aへの伝達特性を得ることができる。
ステップS4では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaの演算用の初期値を設定する。ここで、初期値を設定するというのは、圧力制御部12に初期値を設定することを意味するわけではなく、後述のステップS5〜8の処理を行うための仮の初期値をパラメータ算出部102に設定することを意味する。
ステップS5では、パラメータ調整部100は、圧力検出信号6aからモータ速度への伝達特性が加圧対象物7の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であることを利用して、圧力検出信号6aからモータ発生トルク20aへの伝達特性C(s)を算出する。図2からわかるように、モータ発生トルク20aは、圧力検出信号6aの圧力検出値だけに依存して決まるのではなく、モータ速度検出信号3aのモータ速度検出値にも依存して決まる。モータ速度検出信号3aのモータ速度検出値をv(s)とし、圧力検出信号6aの圧力検出値をF(s)とし、モータ発生トルク20aをτ(s)とすると、v(s),F(s)からτ(s)への伝達特性は、次の式(4)のように表せる。
Figure 2012008222
ここで、式(4)におけるKv(1+Kvi/s)の因子は、速度制御部13が比例+積分制御であることに由来している。
圧力検出器6の伝達特性が無視できるほど小さい場合、即ちα(s)=1の場合、モータ位置と圧力検出値とが比例関係にあり、モータ位置は、モータ速度検出値を積分した値であることから、モータ速度検出値v(s)と圧力検出値F(s)との間には、次の式(5)の関係がある。
Figure 2012008222
この式(5)の関係を逆に利用すると、次の式(6)の関係が得られる。
Figure 2012008222
ここで、sは、伝達特性としてみたときに微分特性を表すものであるから、圧力検出信号6aからモータ速度検出信号3aへの伝達特性が、弾性定数を逆数とする微分特性を含んでいることに相当する。また、圧力検出器6の遅れ特性α(s)が無視できない場合には、次の式(7)が成立する。
Figure 2012008222
この式(7)を逆に利用すると、次の式(8)の関係が得られる。
Figure 2012008222
つまり、圧力検出器6に検出遅れ特性がある場合でも、圧力検出信号6aからモータ速度への伝達特性が、弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含んでいるという関係が成立する。
以下、圧力検出器6に遅れ特性が無視できる場合、即ちα(s)=1の場合について説明する。モータ速度検出信号3aのモータ速度検出値と圧力検出信号6aの圧力検出値との関係を表す式(6)を、式(4)に代入することにより、次の式(9)が得られる。
Figure 2012008222
圧力検出値F(s)からモータ発生トルクτ(s)への伝達特性C(s)は、次の式(10)となる。
Figure 2012008222
式(6)もしくは式(8)を用いることにより、圧力制御のマイナーループとして速度制御を置く構成をとった場合において、式(4)のようにモータ速度検出値v(s)及び圧力検出値F(s)に依存するモータ発生トルクτ(s)を、圧力検出値F(s)のみに依存する形に表現することが可能となる。
次に、ステップS6では、パラメータ調整部100は、ステップS1〜S5に基づいて、開ループ伝達特性L(s)=P(s)・C(s)を算出し、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出する。
次に、ステップS7では、パラメータ調整部100は、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕がいずれも所定値範囲内にあるかどうかを確認する。なお、ゲイン余裕及び位相余裕のそれぞれが0を下回ると、圧力制御が不安定になるため、ここからいくらかマージンを設けて、ゲイン余裕は5dB〜40dBとし、位相余裕は5〜50degとすること等が所定範囲の例として挙げられる。
ステップS7において、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内にない場合、ステップS8では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaを変更して、再度ステップS5〜S7の処理を繰り返し実行する。ここで、圧力制御部12のパラメータの変更の仕方としては、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲を上回る場合は、Kaを大きくし、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内を下回る場合は、Kaを小さくする。
他方、ステップS7でゲイン余裕及び位相余裕の両方が所定範囲内にある場合には、パラメータ調整部100は、ステップS9の処理に移行する。ステップS9では、ここまでの処理で得られた圧力制御部12のパラメータを、圧力制御部12に設定する。そして、パラメータ調整部100は、一連の処理を終了する。
次に、シミュレーションにより、実施の形態1のモータ制御装置の有効性について説明する。本シミュレーションにおいて、以下に説明する条件で、圧力制御部12のパラメータを算出した。モータトルク20cからモータ速度への伝達特性は、式(1)で表され、J=1.0e−3[kg・m2]とする。また、反力定数をh=3.18e−3[N・m/N]とし、弾性定数をK=1.44e+4[N/rad]とし、電流制御部14の伝達特性をI(s)=exp(−0.003s)とし、圧力検出器6の遅れ特性は無視できるものとして、α(s)=1である場合でシミュレーションを行った。
また、圧力制御の構成としては、図1,2のように圧力制御のマイナーループに速度制御がある構成であり、圧力制御部12は比例制御(圧力制御部12のパラメータは比例ゲインであるKa)で構成され、速度制御部13は比例+積分制御部(速度制御部13のパラメータは、比例ゲインKvと積分ゲインKvi)で構成されている。このときの速度制御部13のパラメータは、Kv=0.1[(N・m)/(rad/s)]、Kvi=3.33[rad/s]である。
ゲイン余裕が5dB以上5.5dB以下でかつ、位相余裕が5deg以上になるように、図5に示すフローチャートに従って、圧力制御部12のパラメータKaを算出したところ、圧力制御部12のパラメータである圧力比例ゲインKaが0.0115[(rad/s)/N]と調整された。
図6は、図5のフローチャートに従って算出した圧力制御部12のパラメータである比例ゲインKa=0.0115[(rad/s)/N]とした場合の開ループ伝達特性L(s)=P(s)・C(s)を示すボード線図である。図6のゲイン特性によれば、34Hz付近に大きなピークをもつことがわかる。このピーク特性は、P(s)に起因するものであり、その周波数は、√(K・h/J)により定まる。
この実施の形態1のように、パラメータ調整部100が、圧力制御部12のパラメータの調整を行うことによって、弾性定数Kと、反力定数hと、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性の情報であるJから決まるピーク特性とを考慮して、圧力制御部12のパラメータを設定することができる。
図7は、図5のフローチャートに従って算出された圧力制御部12のパラメータを適用したときの圧力検出信号6aの時間応答を示すグラフである。この図7は、圧力比例ゲインをKa=0.0115[(rad/s)/N]に設定し、さらに、速度制御部13のパラメータをKv=0.1[(N・m)/(rad/s)]及びKvi=3.33[rad/s]に設定し、圧力指令信号として0[N]から100[N]に0.5[秒]かけてランプ的に上昇し、0.5[秒]以降は100[N]を維持するような圧力指令信号11aを与えたときの圧力検出信号6aをシミュレーションした結果である。
また、図7では、圧力指令信号11aを点線で表し、圧力検出信号6aを実線で表している。この図7によれば、圧力検出信号6aの値が圧力指令信号11aの値よりも大きくなるオーバーシュートや、圧力検出信号6a自体に振動が発生しておらず、良好な圧力制御が実現されていることが確認される。これは、マイナーループである速度制御部13のパラメータKv及びKviの値や、加圧対象物7の弾性定数K、反力情報である反力定数h、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性の各情報を基に、圧力制御部12のパラメータを決定したため、このような良好な特性が実現されるものである。
次に、図7のシミュレーションを行った条件から、圧力制御部12のパラメータである比例ゲインKa=0.0115[(rad/s)/N]のままで、速度比例ゲインKvをKv=0.1[(N・m)/(rad/s)]からKv=0.15[(N・m)/(rad/s)]に変更し、速度積分ゲインをKvi=3.33[rad/s]からKvi=50[rad/s]に変更してシミュレーションを行った。これは、本発明によらない圧力制御パラメータを算出した圧力制御のシミュレーションに相当する。また、圧力指令信号11aとして、図7と同様のものを与えた。このシミュレーション結果を図8に示す。
図8でも、圧力指令信号11aを点線で表し、圧力検出信号6aを実線で表している。図8によれば、圧力指令信号11aに高い周波数の振動が発生し、かつ、時間経過に伴い圧力指令信号11aが発散し、不安定な挙動を示していることがわかる。これは、マイナーループである速度制御部13のパラメータである速度比例ゲイン及び速度積分ゲインの変更に伴い発生しているものである。
図7と図8とのシミュレーションにおいては、加圧対象物7の弾性定数Kと圧力制御部12のパラメータKaとが同一であるが、一方は良好な圧力制御が実現されているが、他方は良好ではない圧力制御になっている。これは、圧力制御部12のパラメータの設定は、マイナーループである速度制御部13のパラメータに応じて、設定する必要があることを示している。
次に、速度制御部13のパラメータである速度比例ゲインKv=0.15[(N・m)/(rad/s)]、及び速度積分ゲインKvi=50[rad/s]として、再度、図5のフローチャートに従って、圧力制御部12のパラメータを算出するシミュレーションを行った。速度制御部13のパラメータ以外は、図7のシミュレーションを行った条件と同一である。このシミュレーション結果では、圧力制御部12のパラメータである比例ゲインKaが0.0069[(rad/s)/N]と算出された。この数値を圧力制御部12のパラメータとして設定したときの圧力検出信号6aをシミュレーションした際の時間応答波形を図9に示す。
図9でも、圧力指令信号11aを点線で表し、圧力検出信号6aを実線で表している。図9によれば、図7の場合と同様に、オーバーシュートや振動といった好ましくない現象が発生せず、良好な圧力制御が実現されていることが確認される。これは、図7の場合と同様に、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、加圧対象物7の弾性定数、反力に関する情報、及びマイナーループである速度制御部13のパラメータを考慮することによって、適切な圧力制御が実現されているためである。
次に、図5のフローチャートに従って算出される圧力制御部12のパラメータを設定する効果について説明する。実施の形態1のモータ制御装置では、パラメータ調整部100が、加圧対象物7の弾性定数のみだけでなく、実圧力8aからモータトルク20cへ伝わる反力の情報、及びモータトルク20cからモータ速度への伝達特性の各情報を利用して、圧力制御部12のパラメータを調整するので、正確なモータ発生トルク20aから圧力への伝達特性を算出することができる。この結果、制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができる。なお、実圧力8aからモータトルク20cへの反力の情報は、モータ2の位置や速度を制御する場合では必要がなく、圧力制御を行うときにのみ必要な情報である。
ここで、実施の形態1の演算方式では、加圧対象物7を含んだモータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性が用いられるが、この伝達特性を得るのに、伝達特性を同定するための一般的な手法である、入力信号(トルク)にM系列信号や、サインスイープを加えたときの出力信号(圧力信号)から当該伝達特性の同定を行おうとすると、加圧対象物7に接触したり、離れたりするため、当該伝達特性を正確に求められない。これに対して、実施の形態1による方法であれば、当該伝達特性を正確に求めることができ、当該伝達特性に基づいて圧力制御部12のパラメータを適切に調整することができる。
また、圧力制御の制御上の安定性は、圧力制御部12のパラメータのみに依存して決まるのではなく、マイナーループである速度制御のゲインパラメータにも依存して決まる。実施の形態1によれば、マイナーループの制御器の構成が、圧力指令信号11aからモータトルク20cへの伝達特性であるC(s)に反映され、マイナーループである速度制御の構成とそのパラメータを基に圧力制御部12のパラメータが設定されるため、適切な圧力制御部12のパラメータを算出することができる。この結果、実施の形態1では、制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができる
なお、実施の形態1では、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性を用いたが、代りに、モータトルク20cからモータ位置への伝達特性や、モータトルク20cからモータ加速度への伝達特性を用いてもよい。モータトルク20cからモータ位置への伝達特性を用いる場合の例として、機械可動部総イナーシャJを用いて、次の式(11)を用いることが挙げられる。
Figure 2012008222
また、これに限るものではなく、式(2)と同様に機械の共振要素を表現した伝達特性である次の式(12)を用いてもよい。
Figure 2012008222
ここで、モータトルク20cからモータ位置への伝達特性を用いて、図5における圧力検出信号6a、モータ発生トルク20a、モータトルク20c及び反力トルク20bの関係を描いたものが図10である。図10において、符号34はモータトルク20cからモータ位置への伝達特性を表すブロックであり、符号34aはモータ位置を表す信号であり、35は加圧対象物7の弾性定数で表される比例特性であり、モータ位置信号34aから圧力検出信号6aへの伝達特性を示している。
図10においても、モータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性P(s)は、式(3)と同じ式で表される。よって、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性の代りに、モータトルク20cからモータ位置への伝達特性を用いても同じ結果が得られる。これは、モータ位置に対する圧力が上昇する割合を示す加圧対象物7の弾性定数を用いているためである。これと同様に、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、あるいはモータトルク20cからモータ位置への伝達特性の代りに、モータトルク20cからモータ加速度への伝達特性を用いてもよい。
さらに、図5のフローチャートでは、開ループ特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出し、これらが所定範囲内になるように圧力制御部12のパラメータの調整を行う処理について説明を行った。しかしながら、圧力制御のパラメータの調整方法は、これに限るものではない。例えば、式(3)の伝達特性P(s)、及び式(10)の伝達特性C(s)から、圧力指令信号から圧力検出信号への閉ループ伝達関数P(s)・C(s)/(1+P(s)・C(s))が、微振動や不安定にならないように、その閉ループ伝達関数の極が指定した範囲内になるように圧力制御のパラメータを決定しても、加圧対象物7の弾性定数、反力発生に伴うトルク、モータトルク20cからモータ速度もしくはモータ位置への伝達特性、速度制御部13の制御則、及び速度制御部13のパラメータの各情報を反映した圧力制御部12のパラメータ調整を行うことが可能である。
また、以上の説明では、モータ2として回転型モータを使用した例について説明した。しかしながら、モータ2としてリニアモータを使用しても、ほとんど同様に適用することができる。モータ2としてリニアモータを使用する場合、トルクに相当するのは推力となり、機械可動総イナーシャに相当するのは機械可動総質量となる。また、ねじ送り機構を使用せず、直接リニアモータが機械負荷を駆動し、反力も直接受ける形になるので、反力に関する反力定数がh=1となる点が回転型モータを使用する構成とは相違する。
実施の形態2.
実施の形態1では、圧力制御のマイナーループとして速度制御を置いた場合について説明した。これに対して、マイナーループとして位置制御を置いた場合、即ち圧力制御部12の出力が位置指令信号等の位置の次元をもつ信号を出力する場合でも、実施の形態1と同様に実施することが可能である。従って、実施の形態2では、このようなマイナーループとして位置制御を置いた場合について説明する。
図11は、この発明の実施の形態2によるモータ制御装置を示すブロック図である。図11において、実施の形態2のモータ制御装置本体10の構成は、位置制御部15をさらに有する点と、パラメータ調整部100が位置制御に関する情報を用いる点とを除いて、実施の形態1のモータ制御装置本体10の構成と同様である。また、実施の形態2のエンコーダ3は、モータ位置に応じたモータ位置検出信号3bをさらに生成する点が、実施の形態1のエンコーダ3とは異なる。即ち、実施の形態2のエンコーダ3は、位置検出手段及び速度検出手段の両方を構成している。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
実施の形態2の圧力制御部12は、圧力検出信号6aの値が圧力指令信号11aの値に一致するように、圧力指令信号11aの値と圧力検出信号6aの値との偏差(差分)の信号を基に、圧力制御演算を行って位置指令値を算出し、その信号である位置指令信号12cを生成する。この圧力制御演算の具体例としては、圧力指令信号11aの値と圧力検出信号6aの値との偏差に比例定数を乗じる比例制御や、その偏差を積分して比例定数を乗じる積分制御等が挙げられるが、比例+積分制御や、位相遅れ/進み補償等であってもよい。
位置制御部15は、位置指令信号12cの位置指令値と、エンコーダ3が出力するモータ位置検出信号3bの位置検出値との偏差の信号12dを受け、この偏差を基に位置制御演算を行って速度指令値を算出し、その速度指令信号15aを生成する。この位置制御演算の具体例としては、偏差に位置ゲインをかけることにより速度指令値を算出する比例制御等が挙げられる。実施の形態2の速度制御部13は、速度指令信号15aの速度指令値とモータ速度検出信号3aのモータ速度検出値との偏差を基に速度制御演算を行うことにより、トルク指令値を算出し、そのトルク指令信号13aを生成する。
実施の形態2のパラメータ調整部100は、加圧対象物7の弾性定数、反力に関する情報、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、速度制御部13の制御則とそのパラメータ、及び位置制御部15の制御則とそのパラメータの各情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータを調整する。
図12は、図11の信号の伝達特性を示すブロック図である。なお、図12では、圧力指令信号生成部11、パラメータ調整部100及びパラメータ情報100a以外の図11の各機能ブロックの伝達特性を示す。また、図12において、図2及び図11と同一符号を付したブロック及び信号は、図2及び図11と同一の意味を表すものとする。
ここで、図12では、圧力制御部12の圧力制御演算として積分制御(圧力制御部12の伝達特性がKai/sであり、Kaiが調整すべき圧力制御部12のパラメータである)を用いて、位置制御部15の位置制御演算として比例制御(位置制御部15の伝達特性がKpであり、Kpが位置制御部15のパラメータである)を用いて、速度制御部13の速度制御演算として、図2と同様、比例+積分制御を使用した場合を示している。図12の符号36は、積分特性1/sを表すブロックである。この積分特性を用いて、モータ位置検出信号3bの位置検出値を、モータ速度検出信号3aのモータ速度検出値を積分した値として表すことができる。
図13は、図11のパラメータ調整部100をより具体的に示すブロック図である。実施の形態2の情報取得部101は、加圧対象物7の弾性定数K、反力の情報を表す反力定数h、先の式(1),(2)に代表されるモータトルク20cからモータ速度への伝達特性、速度制御部13のパラメータKv,Kvi、位置制御部15のパラメータKp、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の遅れを表す伝達特性α(s)の各情報を外部から取得する。なお、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の遅れを表す伝達特性α(s)の各情報は、無視できるほど小さい、即ちどちらも1とみなせる場合には、これらの情報の取得を省略してもよい。
また、実施の形態2の情報取得部101は、速度制御部13の制御則(即ち、図12においては比例+積分制御)の情報と、位置制御部15の制御則(即ち、図12においては比例制御)の情報を予め取得(記憶)している。パラメータ算出部102は、情報取得部101が取得した情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータ(図12においてはKai)を算出する。
次に、図13のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKaiを調整する際の動作について説明する。図14は、図13のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。ここでは、圧力制御部12が積分制御を行い、位置制御部15が比例制御を行い、速度制御部13が比例+積分制御を行う場合について説明する。
まず、ステップS21では、パラメータ調整部100は、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、加圧対象物7の弾性定数K、反力定数h、速度制御部13のパラメータKv,Kvi、及び、位置制御部15のパラメータKpを取得する。次に、ステップS22では、パラメータ調整部100は、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性α(s)を取得する。なお、両者の遅れ特性が小さい場合は、ステップS22を省略して、ステップS23の処理に移行してもよい。
ステップS23では、パラメータ調整部100は、モータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性P(s)を算出する。そして、ステップS24では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaiの演算用の初期値を設定する。なお、ステップS22〜24の処理は、図5におけるステップS2〜4とそれぞれほぼ同様の処理である。
ステップS25では、パラメータ調整部100は、圧力検出信号6aからモータ速度への伝達特性が、加圧対象物7の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であることを利用して、圧力検出信号6aからモータ発生トルク20aへの伝達特性C(s)を算出する。これは、圧力制御部12が積分制御を行い、位置制御部15が比例制御を行い、速度制御部13が比例+積分制御を行う場合、具体的には以下のように算出する。図12において、圧力検出値F(s)とモータ速度検出値v(s)を用いて、モータ発生トルクτ(s)は、次の式(13)のように表すことができる。
Figure 2012008222
また、圧力検出信号6aからモータ速度検出信号3aへの伝達特性が式(6)で表されることを用いると、次の式(14)のようになる。
Figure 2012008222
そして、圧力検出信号6aからモータ発生トルク20aへの伝達特性C(s)について、次の式(15)を導き出すことができる。
Figure 2012008222
次に、ステップS26では、パラメータ調整部100は、ステップS21〜S25に基づいて、開ループ伝達特性L(s)=P(s)・C(s)を算出し、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出する。次に、ステップS27では、パラメータ調整部100は、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕がいずれも所定値範囲内にあるかどうかを確認する。
ステップS27において、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内にない場合、ステップS28では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaiを変更して、再度ステップS25〜S27の処理を繰り返し実行する。ここで、圧力制御部12のパラメータの変更の仕方としては、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲を上回る場合は、Kaiを大きくし、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内を下回る場合は、Kaiを小さくする。
他方、ステップS27でゲイン余裕及び位相余裕の両方が所定範囲内にある場合には、パラメータ調整部100は、ステップS29の処理に移行する。ステップS29では、ここまでの処理で得られている圧力制御部12のパラメータを、圧力制御部12に設定する。そして、パラメータ調整部100は、一連の処理を終了する。
このように、実施の形態2では、圧力制御のマイナーループに位置制御を置いた場合でも、加圧対象物7の弾性定数のみだけでなく、反力に関する情報、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、速度制御部13の制御則とそのパラメータ、及び位置制御部15の制御則とそのパラメータの各情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータを調整するので、正確なモータ発生トルク20aから圧力への伝達特性を算出することができる。この結果、制御系の安定性を確保しつつ、制御性能を向上させることができる。
ここで、実施の形態2の演算方式では、加圧対象物7を含んだモータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性が用いられるが、伝達特性を同定するための一般的な手法である、入力信号(トルク)にM系列信号、サインスイープを加えたときの出力信号(圧力信号)から当該伝達特性の同定を行おうとすると、加圧対象物7に接触したり、離れたりするため、当該伝達特性が正確に求められない。これに対して、実施の形態2による方法であれば、当該伝達特性を正確に求めることができ、当該伝達特性に基づいて圧力制御部12のパラメータを適切に調整することができる。
また、圧力制御の制御上の安定性は圧力制御部12のパラメータのみにして決まるのではなく、マイナーループである位置制御、さらにそのマイナーループの速度制御のゲインパラメータにも依存して決まるが、本発明によれば、マイナーループの制御の構成が、圧力指令信号からモータトルクへの伝達特性であるC(s)に反映され、マイナーループである制御部の構成とそのパラメータを基に圧力制御部12のパラメータが設定されるため、適切な圧力制御部12のパラメータを算出することができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、圧力制御のマイナーループとして速度制御を置いた場合について説明し、実施の形態2では、圧力制御のマイナーループとして位置制御を置いた場合について説明した。しかしながら、マイナーループを置かずに、圧力制御部12の出力が直接モータのトルクとなる構成であっても、実施の形態1,2と同様に実施することが可能であり、実施の形態3では、このようなマイナーループを置かない構成について説明する。
図15は、この発明の実施の形態3によるモータ制御装置を示すブロック図である。図15において、実施の形態3のモータ制御装置本体10の構成は、速度制御部13が省略されている点を除いて、実施の形態1のモータ制御装置本体10の構成と同様である。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
実施の形態3の圧力制御部12は、圧力検出信号6aの値が圧力指令信号11aの値に一致するように、圧力指令信号11aの値と圧力検出信号6aの値との偏差(差分)の信号を基に、圧力制御演算を行ってトルク指令値を算出し、その信号であるトルク指令信号13eを生成する。実施の形態3のパラメータ調整部100は、加圧対象物7の弾性定数、反力に関する情報、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性に基づいて圧力制御部12のパラメータを調整する。
図16は、図15の信号の伝達特性を示すブロック図である。なお、図16では、圧力指令信号生成部11、パラメータ調整部100及びパラメータ情報100a以外の図15の各機能ブロックの伝達特性を示す。また、図16において、図2及び図15と同一符号を付したブロック及び信号は、図2及び図15と同一の意味を表すものとする。ここで、図16では、圧力制御部12の圧力制御演算として微分制御(圧力制御部12の伝達特性がKad・sである。Kadは、パラメータである)を使用した場合を示している。
図17は、図15のパラメータ調整部100をより具体的に示すブロック図である。実施の形態3の情報取得部101は、加圧対象物7の弾性定数K、反力の情報を表す反力定数h、先の式(1),(2)に代表されるモータトルク20cからモータ速度への伝達特性、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の遅れを表す伝達特性α(s)の各情報を外部から取得する。なお、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の遅れを表す伝達特性α(s)の各情報は、無視できるほど小さい、即ちどちらも1とみなせる場合には、これらの情報の取得を省略してもよい。パラメータ算出部102は、これらの情報に基づいて、圧力制御部12のパラメータ(図16においてはKad)を算出する。
次に、図15のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKadを調整する際の動作について説明する。図18は、図15のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS31では、パラメータ調整部100は、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、加圧対象物7の弾性定数K、及び反力定数hを取得する。次に、ステップS32では、パラメータ調整部100は、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性α(s)を取得する。なお、両者の遅れ特性が小さい場合は、ステップS32を省略して、ステップS33の処理に移行してもよい。
ステップS33では、パラメータ調整部100は、モータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性P(s)を算出する。そして、ステップS34では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKadの演算用の初期値を設定する。なお、ステップS32〜34の処理は、図5におけるステップS2〜4とそれぞれほぼ同様の処理である。
ステップS35では、パラメータ調整部100は、圧力検出信号6aからモータ発生トルク20aへの伝達特性C(s)を算出する。これは、圧力制御部12が微分制御を行う場合、C(s)=Kai・sである。
次に、ステップS36では、パラメータ調整部100は、ステップS31〜S35に基づいて、開ループ伝達特性L(s)=P(s)・C(s)を算出し、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出する。次に、ステップS37では、パラメータ調整部100は、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕がいずれも所定値範囲内にあるかどうかを確認する。
ステップS37において、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内にない場合、ステップS38では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKadを変更して、再度ステップS35〜S37の処理を繰り返し実行する。ここで、圧力制御部12のパラメータの変更の仕方としては、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲を上回る場合は、Kadを大きくし、ゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内を下回る場合は、Kadを小さくする。
他方、ステップS37でゲイン余裕及び位相余裕の両方が所定範囲内にある場合には、パラメータ調整部100は、ステップS39の処理に移行する。ステップS39では、ここまでの処理で得られた圧力制御部12のパラメータを、圧力制御部12に設定する。そして、パラメータ調整部100は、一連の処理を終了する。
ここで、実施の形態3の演算方式では、加圧対象物7を含んだモータ発生トルク20aから圧力検出信号6aへの伝達特性が用いられるが、伝達特性を同定するための一般的な手法である、入力信号(トルク)にM系列信号、サインスイープを加えたときの出力信号(圧力信号)から当該伝達特性の同定を行おうとすると、加圧対象物7に接触したり、離れたりするため、当該伝達特性が正確に求められない。これに対して、実施の形態3による方法であれば、当該伝達特性を正確に求めることができ、当該伝達特性に基づいて圧力制御部12のパラメータを適切に調整することができる。
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、加圧対象物7の弾性定数、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、反力に関する情報を主に用いて、圧力制御部12のパラメータを算出する構成について説明した。これに対して、実施の形態4では、図1における電動機構4の摩擦特性が無視できないほど大きい場合等、摩擦特性の情報をも用いて、圧力制御部12のパラメータを算出する構成について説明する。また、実施の形態4では、図1のように、圧力制御のマイナーループとして速度制御を置く構成を例として説明する。
図19は、この発明の実施の形態4によるモータ制御装置の信号の伝達特性を示すブロック図である。この図19は、図1のブロック図を、摩擦特性が大きい場合を考慮し、各信号間の伝達特性という観点で描いたものである。図19において、同一符号を付したブロック及び信号は、図2のブロック図と同一の意味をもつものとし、説明を省略する。また、図19の符号41は、モータ速度に比例して摩擦トルクが発生する粘性摩擦特性を表すブロックである。また、ブロック41における記号dは、粘性摩擦係数を表す定数である。摩擦トルクは、摩擦はモータの動きを阻害するように働くためモータ発生トルク20aに対し、マイナス方向に加わる。
図20は、この発明の実施の形態4によるパラメータ調整部100を示すブロック図である。図20において、実施の形態4の情報取得部101は、実施の形態1と同様に、加圧対象物7の弾性定数、反力に関する情報、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、速度制御部13のパラメータ、電流制御部14の伝達特性、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性の各情報を外部から取得する。
また、実施の形態4の情報取得部101は、これらの情報に加えて、摩擦に関する情報を外部から取得する。なお、実施の形態1と同様、電流制御部14の伝達特性、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性は、それぞれ十分に遅れが少ない場合には、情報の取得を省略してもよい。パラメータ算出部102は、これらの情報を基に、圧力制御部12のパラメータを算出する。
次に、図20のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKaを調整する際の動作について説明する。図21は、図20のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。ここで、図21に示す処理の流れは、実施の形態1で説明した図5と類似した処理の流れとなっているため、以降の説明では、実施の形態1と同じ処理については説明を適宜省略する。
図21において、ステップS1,S2は、実施の形態1の処理内容と同じである。ステップS2の次の処理であるステップS40では、パラメータ調整部100は、摩擦に関する情報である、モータ速度に比例して発生する粘性摩擦の粘性摩擦係数dに関する情報を取得する。
ここで、加圧対象物7の弾性定数が大きい場合(加圧対象物7が硬い場合に相当する)、圧力及びモータ位置は比例関係にあり、かつ弾性定数が大きいため、モータ2が僅かな距離を動いただけで、圧力が上昇するという性質がある。このような加圧対象物7に対して、圧力制御を実行すると、圧力制御を実行しているときにモータ2の速度は非常に小さくなり、速度の大きさに比例して発生する粘性摩擦分のトルクはほとんど無視できる程の大きさなる。
この場合、粘性摩擦ではなく、モータ速度の方向にのみ依存して、一定値の摩擦トルクが発生するクーロン摩擦のような非線形摩擦特性が圧力制御に及ぼす影響が大きくなる。クーロン摩擦は、粘性摩擦のように線形な伝達特性として表すことができない。このためクーロン摩擦のような非線形な摩擦特性が支配的である場合には、線形近似によって算出された粘性摩擦係数dが用いられる。
この線形近似の例を、図22を用いて説明する。図22では、非線形摩擦の例であるクーロン摩擦を、太実線で表している。クーロン摩擦は、モータ速度がプラス方向のときには、プラスの摩擦トルクτcがモータ速度の大きさに関わらず発生し、速度がマイナス方向のときには、マイナスの摩擦トルク−τcがモータ速度の大きさに関わらず発生する。圧力制御中のモータ速度の最大値をVmaxとしたとき、粘性摩擦係数の近似dを、d=τc/Vmaxにて近似を行う。このように近似した粘性摩擦を図22中に一点鎖線で示す。
図22において、モータ速度が−Vmaxから+Vmaxまで変化したときには、近似を行う前の太線のクーロン摩擦よりも小さい摩擦で近似していることに相当する。摩擦は、モータ2の動作に対して阻害する方向に働くため、摩擦が大きいときほど圧力制御は安定になりやすい。小さく近似した摩擦特性を基に、圧力制御のパラメータの算出を行うことにより、保守的な圧力制御のパラメータを算出することになる。この圧力制御のパラメータを使用する圧力制御は、近似した摩擦特性よりも大きな摩擦がかかる状況では、安定な圧力制御が実現できることになる。
ここで、Vmaxの算出例として、圧力指令値の変化の傾きと弾性定数を利用することが挙げられる。圧力制御を行うと、圧力検出信号の値が圧力指令値に追従するので、圧力指令値と圧力検出値とは、ほぼ等しい値をとる。また、前述のように圧力とモータ位置とは、比例関係にあるため、圧力指令値とモータ位置との間にも比例関係が成立する。さらに、両者を微分した値、即ち圧力指令値を微分した値と、モータ位置を微分してなるモータ速度との間にも比例関係が成立する。
比例定数が弾性定数Kで表されるため、モータ速度は、圧力指令値を微分した値を加圧対象物7の弾性定数で除した値に等しいとみなせ、モータ速度の最大値は、圧力指令値の変化の傾きから決定される。図23は、モータ速度と圧力指令値(圧力指令信号)との関係を説明するためのグラフである。図23において、圧力指令値が時間T0かけて圧力0からF0に直線的に上昇する場合、モータ速度は、圧力指令値の変化の傾きF0/T0を加圧対象物7の弾性定数Kで除した値の速度をとる。つまり、圧力指令値の変化の傾きF0/T0を加圧対象物7の弾性定数Kで除して得た値から、粘性摩擦係数を取得可能である。
なお、図23では、圧力指令値が直線的に上昇する例を示しているが、圧力指令値が直線的に上昇又は下降しない場合には、圧力指令値の変化の傾きの最大値を利用すればよい。また、圧力指令値は、圧力制御を行うときの仕様として事前に与えられる情報であるため、この情報を利用すれば、実際に圧力制御を行う前に圧力制御中のモータ2の最大速度を得ることできる。なお、以上の説明では線形近似の一例を示したものであり、線形近似は、この例に限られるものではなく、非線形な伝達特性を線形伝達特性に近似する記述関数法を用いてもよい。
次に、ステップS3では、パラメータ調整部100は、モータ発生トルク20aから圧力検出信号への伝達特性を算出する。ここで、粘性摩擦もしくは近似された粘性摩擦係数dを用いた場合、モータ発生トルク20aから圧力検出信号への伝達特性である次の式(16)を算出する。
Figure 2012008222
この式(16)の伝達特性は、加圧対象物7の弾性定数、反力に関する情報だけでなく、粘性摩擦係数dの摩擦に関する情報を含んだ伝達特性を表している。なお、図21におけるステップS4からステップS9は、実施の形態1と同様の処理であるため、説明を省略する。
次に、シミュレーション結果に基づく実施の形態4の有効性について説明する。ここで、摩擦に関する情報以外は、実施の形態1の図9で行ったシミュレーションと同じ条件にてシミュレーションを実施した。即ち、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性を式(1)で表されものを用いて、J=1.0e−3[kg・m2]とし、反力定数h=3.18e−3[N・m/N]とし、弾性定数K=1.44e+4[N/rad]とし、電流制御部14の伝達特性をI(s)=exp(−0.003s)とし、圧力検出器6の検出遅れ特性は十分に小さくα(s)=1という条件とした。
また、圧力制御の構成としては、図19のように圧力制御のマイナーループに速度制御がある構成であり、圧力制御部12は比例制御(圧力制御部12のパラメータは比例ゲインであるKa)を行い、速度制御部13は比例+積分制御部(速度制御部13のパラメータは、比例ゲインKvと積分ゲインKvi)を行い、そのパラメータKv=0.15[(N・m)/(rad/s)],Kvi=50[rad/s]と設定した。
これらの条件に加え、機械の摩擦が大きく、粘性摩擦係数d=0.05[(N・m)/(rad/s)]とした条件であり、これらの情報に基づいてパラメータ調整部100に圧力制御部12のパラメータを算出させた。そして、図9のシミュレーションと同様に、図21のステップS7中の開ループ伝達特性のゲイン余裕が5dB以上5.5dB未満で、かつ位相余裕5deg以上になるように調整を行ったところ、圧力制御部12のパラメータは、Ka=0.0181[(rad/s)/N]と算出された。
従って、このシミュレーション結果によれば、摩擦特性以外は本シミュレーションと同一の状況である図9のシミュレーションを行ったときに算出された圧力制御部12のパラメータKa=0.0069[(rad/s)/N]に比べて、圧力制御部12のパラメータKaが大きな値が算出されていることがわかる。
次に、図21のフローチャートに従って算出された圧力制御部12の比例ゲインKa=0.0181[(rad/s)/N]を適用したときの開ループ伝達特性L(s)=P(s)・C(s)のボード線図を図24に示す。この図24によれば、摩擦がない条件の図6と比較すると、約34Hzのピーク特性が小さい特性になっていることがわかる。これは、大きな粘性摩擦が働くという情報がモータ発生トルク20aから圧力検出信号への伝達特性であるP(s)に反映されたためである。このようにピーク特性が小さくなったことにより、図9の状況よりも圧力制御部12のパラメータKaを大きくしても、所定のゲイン余裕及び位相余裕を満たせるようになった。
図25は、図21のフローチャートに従って算出された圧力制御部12のパラメータを適用したときの圧力検出信号の時間応答を示すグラフである。この図25は、圧力制御部12の比例ゲインをKa=0.0181[(rad/s)/N]に設定したときの圧力検出信号の時間応答のシミュレーション波形である。なお、圧力指令信号として、図7〜9の場合と同一の信号を用いた。図25では、圧力指令信号11aを点線で表し、圧力検出信号6aを実線で表している。
図25によれば、圧力検出信号に圧力指令信号よりも大きくなるオーバーシュートや、圧力検出信号自体に振動が発生しておらず、良好な圧力制御が実現されており、さらに、圧力検出信号の圧力指令信号に対する追従特性が図9に示す追従特性よりも若干向上していることがわかる。具体的に、図25における時間0.5[秒]では、圧力が90[N]をとっているのに対し、図9における時間0.5[秒]では、圧力が85[N]をとっていることから確認される。
これは、圧力制御部12のパラメータが、図9のシミュレーションで設定した圧力制御部12より大きく算出されたためであり、圧力制御のパラメータを算出するにあたり、摩擦特性を考慮することによって、圧力制御の安定性が同程度で、より追従性の高い圧力制御のパラメータを算出することが可能になる。
なお、実施の形態4では、圧力制御のマイナーループが速度制御である場合を説明したが、実施の形態2,3と同様、圧力制御のマイナーループが位置制御やトルク制御で同様に実施することが可能である。また、モータとして回転型モータを用いても、リニアモータを用いても同様に実施することが可能である。
実施の形態5.
実施の形態1のパラメータ調整部100は、圧力検出信号6aからモータ速度への伝達特性が加圧対象物7の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であることを利用して圧力制御部12のパラメータを調整した。これに対して、実施の形態5のパラメータ調整部100は、圧力制御のマイナーループが速度制御である場合に、マイナーループである速度制御ループを閉じた状態における速度指令から圧力検出信号6aへの伝達特性を算出し、この速度指令から圧力検出信号6aへの伝達特性を利用して圧力制御部12のパラメータを調整する。
実施の形態5のモータ制御装置本体10の構成の概要は、実施の形態1のモータ制御装置本体10の構成と同様であり、実施の形態5では、パラメータ算出部102の処理内容の一部が実施の形態1とは異なる。また、実施の形態5のパラメータ調整部100の情報の流れは、実施の形態1の図3や図4に示す情報の流れと同様である。
次に、実施の形態5のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKaを調整する際の動作について説明する。図26は、実施の形態5のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。ここでは、圧力制御部12が比例制御を行い、圧力制御のマイナーループである速度制御部13が比例+積分制御を行う場合の処理内容の一例について説明する。なお、図26のフローチャートでは、図5のフローチャートに類似する処理を行うステップがあるが、このような類似する箇所については概略のみを説明し、相違する箇所について詳しく説明を行う。
図26において、まず、ステップS51では、パラメータ調整部100は、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、加圧対象物7の弾性定数K、反力定数h、及び速度制御部13のパラメータKv,Kviを取得する。なお、速度制御部13の制御則の情報は、パラメータ調整部100(情報取得部101)に予め記憶されているものとする。
次に、ステップS52では、パラメータ調整部100は、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性α(s)を取得する。なお、両者の遅れ特性が小さい場合は、ステップS52を省略して、ステップS53の処理に移行してもよい。
ステップS53では、パラメータ調整部100は、摩擦に関する情報を取得する。ここで、摩擦に関する情報とは、実施の形態4のように、機械の粘性摩擦係数d、あるいはクーロン摩擦等の非線形摩擦特性を線形化した摩擦係数dに関する情報である。なお、摩擦特性が無視できるほど小さい場合には、ステップS53を省略し、次のステップS54の処理へ移行してもよい。
ステップS54では、パラメータ調整部100は、ステップS51〜53で取得した情報に基づいて、速度指令信号12aから圧力検出信号6aへの伝達特性Q(s)を算出する。ここで、モータ発生トルク20aからモータ速度への伝達特性が先の式(1)で表せ、かつ速度制御部13の制御則が比例+積分制御(図2や図19中のブロック13)である場合には、具体的に次の式(17)のように算出する。
Figure 2012008222
これは、図2や図19に示すブロック同士の関係から、速度指令信号12aから圧力検出信号6aへの伝達特性を計算すると得られる関係である。また、機械に共振特性がある場合には、式(17)の第1式の1/(Js)に代えて式(2)を代入すれば、同様の伝達特性の計算を行うことができる。ここで、電流制御部14の伝達特性、及び圧力検出器6の遅れ特性が無視できるほど小さく、ステップS52で電流制御部14の伝達特性、もしくは圧力検出器6の遅れ特性の情報の取得を省略した場合には、それぞれI(s)=1、α(s)=1とすればよい。また、ステップS53で摩擦特性が無視できるほど小さく、情報の取得を省略した場合には、d=0として処理を行えばよい。
次に、ステップS55では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaの演算用の初期値を設定する。ステップS56では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12の伝達特性D(s)を取得する。実施の形態5の例では、圧力制御部12は比例制御を行う構成であるため、圧力制御部12のパラメータKaを用いてD(s)=Kaである。
ステップS57では、パラメータ調整部100は、ステップS54及び56で取得したQ(s)及びD(s)から、開ループ伝達特性L(s)=Q(s)・D(s)を算出し、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出する。ステップS58では、パラメータ調整部100は、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕がいずれも所定値範囲内にあるかどうかを確認する。
ステップS58でゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内にない場合、ステップS59では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaを変更する。他方、ステップS58でゲイン余裕及び位相余裕の両方が所定範囲内にある場合には、パラメータ調整部100は、ステップS60の処理に移行する。ステップS60では、ここまでの処理で得られた圧力制御部12のパラメータを、圧力制御部12に設定する。そして、パラメータ調整部100は、一連の処理を終了する。
次に、実施の形態5の効果について説明する。圧力制御の安定性は、圧力制御部12のパラメータのみに依存して決まるのではなく、圧力制御のマイナーループである速度制御部13のゲインパラメータにも依存する。実施の形態5では、圧力制御のマイナーループである速度制御部12の構成とそのパラメータとが、速度指令信号12aから圧力検出信号6aへの伝達特性であるQ(s)に反映され、これに基づいて圧力制御部12のパラメータが調整される。この構成により、圧力制御のマイナーループである速度制御部13の制御則及びパラメータを考慮して、より適切な圧力制御部12のパラメータを算出することができる。この結果、制御系の安定性を確保しつつ、圧力指令値に対する追従性等の制御性能を向上させることができる。
実施の形態6.
実施の形態5では、圧力制御のマイナーループに速度制御を用いた構成について説明した。これに対して、実施の形態6では、圧力制御のマイナーループに速度制御及び位置制御の両方を用いる構成について説明する。
実施の形態6のモータ制御装置本体10の構成の概要は、実施の形態2のモータ制御装置本体10の構成と同様であり、実施の形態6では、パラメータ算出部102の処理内容の一部が実施の形態2とは異なる。また、実施の形態6のパラメータ調整部100の情報の流れは、実施の形態2の図13に示す情報の流れと同様である。
次に、実施の形態6のパラメータ調整部100が圧力制御部12のパラメータKaiを調整する際の動作について説明する。図27は、実施の形態6のパラメータ調整部100の動作を示すフローチャートである。ここでは、図12に示すように圧力制御部12が積分制御を行い、位置制御部15が比例制御を行い、速度制御部13が比例+積分制御を行う場合の処理内容の一例について説明する。なお、図27のフローチャートでは、図14のフローチャートに類似する処理を行うステップがあるが、このような類似する箇所については概略のみを説明し、相違する箇所について詳しく説明を行う。
図27において、まず、ステップS71では、パラメータ調整部100は、モータトルク20cからモータ速度への伝達特性、加圧対象物7の弾性定数K、反力定数h、速度制御部13のパラメータKv,Kvi、及び位置制御部15のパラメータKpを取得する。なお、速度制御部13及び位置制御部15のそれぞれの制御則の情報は、パラメータ調整部100(情報取得部101)に予め記憶されているものとする。
次に、ステップS72では、パラメータ調整部100は、電流制御部14の伝達特性I(s)、及び圧力検出器6の検出遅れを表す伝達特性α(s)を取得する。なお、両者の遅れ特性が小さい場合は、ステップS72を省略して、ステップS73の処理に移行してもよい。
ステップS73では、パラメータ調整部100は、摩擦に関する情報を取得する。ここで、摩擦に関する情報とは、実施の形態4のように、機械の粘性摩擦係数d、あるいはクーロン摩擦等の非線形摩擦特性を線形化した摩擦係数dに関する情報である。なお、摩擦特性が無視できるほど小さい場合には、ステップS73を省略し、次のステップS74の処理へ移行してもよい。
ステップS74では、パラメータ調整部100は、ステップS71〜73で取得した情報に基づいて、位置指令信号12cから圧力検出信号6aへの伝達特性Q(s)を算出する。ここで、モータ発生トルクからモータ速度への伝達特性が先の式1で表せる場合、速度制御部13の制御則がPI制御(図2のブロック13)である場合には、具体的に次の式(18)のように算出する。これは、図12に示すブロック同士の関係から、位置指令信号12cから圧力検出信号6aへの伝達特性を計算すると得られる関係である。
Figure 2012008222
次に、ステップS75では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaiに初期値を与える。ステップS76では、パラメータ調整部100は、圧力制御部13の伝達特性D(s)を取得する。実施の形態6の例では、圧力制御部13は積分制御を行う構成であるため、D(s)=Kai/sである。
ステップS77では、パラメータ調整部100は、ステップS74及び76で取得したQ(s)及びD(s)から、開ループ伝達特性L(s)=Q(s)・D(s)を算出し、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出する。ステップS78では、パラメータ調整部100は、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕がいずれも所定値範囲内にあるかどうかを確認する。
ステップS78でゲイン余裕及び位相余裕の少なくともいずれか一方が所定範囲内にない場合、ステップS79では、パラメータ調整部100は、圧力制御部12のパラメータKaiを変更する。他方、ステップS78でゲイン余裕及び位相余裕の両方が所定範囲内にある場合には、パラメータ調整部100は、ステップS80の処理に移行する。ステップS80では、ここまでの処理で得られた圧力制御部12のパラメータを、圧力制御部12に設定する。そして、パラメータ調整部100は、一連の処理を終了する。
次に、実施の形態6の効果について説明する。圧力制御の安定性は、圧力制御部12のパラメータのみに依存して決まるのではなく、圧力制御のマイナーループである位置制御部15や速度制御部13のゲインパラメータにも依存する。実施の形態6では、圧力制御のマイナーループである位置制御部15及び速度制御部13の構成と、これらのパラメータとが位置指令信号12cから圧力検出信号6aへの伝達特性であるQ(s)に反映され、これに基づいて圧力制御部12のパラメータが調整される。この構成により、より適切な圧力制御部12のパラメータを算出することができる。この結果、圧力制御系の安定性を確保しつつ、圧力指令値に対する追従性などの制御性能を向上させることができる。
また、実施の形態5と同様に、実施の形態6でも、Q(s)は、加圧対象物7の弾性定数に概ね比例する。このため、加工装置1の加圧対象物7が変更される場合に、その変更後の加圧対象物7の弾性定数がわかれば、加圧対象物7の変更前の圧力制御部12のパラメータを使用していたときと同程度の安定余裕をもつ、加圧対象物7の変更後の圧力制御部12のパラメータを簡単に算出することができる。
実施の形態7.
一般的に、各種成形機やボンダなどの加工機械等では、通常全く同じワーク(加圧対象物)のみに対し、加工(加圧)するのではなく、さまざまな異なる種類のワークに対し、加工動作を行う。従って、ワークを変更する場合には、ワークの弾性定数が変化するので、圧力制御を安定して行うためには、ワークの特性に応じて圧力制御用のパラメータを変更する必要がある。
このように圧力制御部12のパラメータを変更するためには、加工装置1の加圧対象物7の種類が変更される度に、実施の形態1〜6で説明した方法をやり直すことも考えられる。しかしながら、加圧対象物7の弾性定数が、あまり大きく変わらなければ(例えば1/3以上〜3倍未満である等)、より簡単な方式で、これを実現することが可能である。そこで、実施の形態7では、圧力制御のマイナーループが速度制御である場合を例にとり、この実現方法について説明する。
なお、加圧対象物7の弾性定数が大きく変わる(例えば3倍以上あるいは1/3未満になる等)場合には、実施の形態5,6における伝達特性Q(s)に関する性質(Q(s)の大きさは加圧対象物7の弾性定数Kに比例する)が崩れる。このため、再度、実施の形態1〜6で説明した方法を繰り返せばよい。
式(17)の第2式において、速度指令信号12aから圧力検出信号6aへの伝達特性であるQ(s)の分母は、周波数領域s=jω(j:虚数単位、ω:周波数を表すパラメータ)で考えた場合、制御系の安定性に係わる高周波領域(ωが比較的大きい領域)では、弾性定数の大きさ(値)が多少変わっても、sの1次の項にのみ影響し、高周波領域ではsの2次の項や3次の項が支配的になるので、分母全体の大きさ(値)にあまり影響を与えない。
一方、Q(s)の分子は、加圧対象物7の弾性定数に比例する。このことから、加圧対象物7を変更しただけでは、機械可動部分のイナーシャJ、粘性摩擦係数d、速度制御部13のパラメータKv,Kvi等は変わらないので、Q(s)は、加圧対象物7の弾性定数に概ね比例する関係にあるといえる。これは、圧力制御のマイナーループが位置制御である場合についても、式(18)から同様に成立する。この性質は、加圧対象物7が変更される前後で、弾性定数が極端に大きく変わらないときに、成立しやすい。
ここで、図26のフローチャートに従って、ある加圧対象物7に対する圧力制御部12のパラメータが算出されているものとする。上記のQ(s)に関する性質から、変更後の加圧対象物7の弾性定数だけがわかっていれば、加圧対象物7の変更後のQ(s)は、おおよそ、変更後の加圧対象物7の弾性定数と、変更前の加圧対象物7の弾性定数との比(以下、「弾性定数の比」とする)で算出される値倍だけ変化すると見積もることができる。
また、加圧対象物7の変更前の圧力制御のゲイン余裕と、加圧対象物7の変更後の圧力制御のゲイン余裕とを同程度にするためには、加圧対象物7の変更前に使用されたゲインに、弾性定数の比で算出された値の逆数を乗じて圧力制御部12のパラメータを変更すればよい。例えば、ある加圧対象物7に対して、図26のフローチャートに従って、圧力制御部12のゲイン余裕が20dBになるように調整されており、加圧対象物7を変更することによって、変更後の加圧対象物7の弾性定数が、元の加圧対象物7よりも1.5倍大きくなったと仮定する。
このとき、上記のQ(s)に関する性質により、加圧対象物7の変更後のQ(s)は、加圧対象物7の変更前のQ(s)よりも概ね1.5倍大きくなる。このことから、加圧対象物7の変更後の圧力制御の開ループ伝達特性L(s)=D(s)・Q(s)のゲイン余裕を、加圧対象物7の変更前のゲイン余裕と同じ20dBにするためには、圧力制御部12のパラメータを1/2倍にすればよく、加圧対象物7の弾性定数のみから簡単に圧力制御部12のパラメータを算出することができる。
即ち、加圧対象物7が変更される前の状態で、パラメータ調整部100が実施の形態1〜6のいずれかの方法で、予め圧力制御部12のパラメータを予め調整する。その後の加圧対象物7の変更後に、パラメータ調整部100が、変更前の加圧対象物7の弾性定数と、変更前の圧力制御部12のパラメータとの積を比例乗数とし、その比例乗数が変更後の加圧対象物7の弾性定数に反比例するように圧力制御部12のパラメータを調整する。これによって、圧力制御部12のパラメータを簡単に調整することが可能である。
なお、実施の形態7では、圧力制御のマイナーループが速度制御の場合について説明したが、圧力制御のマイナーループが位置制御あるいは電流制御であっても、実施の形態7と同様のことが言える。
また、実施の形態1〜7では、圧力制御に関する構成について説明したが、実施の形態1〜7の圧力制御を、そのまま力制御に置き換えることもできる。即ち、力学的物理量として力を用いることもできる。

Claims (12)

  1. モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるモータ制御装置であって、
    前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体
    を備え、
    前記モータ制御装置本体は、
    前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいて速度指令値を算出する物理量制御部と、
    前記モータのモータ速度を検出するための速度検出手段によるモータ速度検出値と、前記物理量制御部によって算出された速度指令値とに基づいて、前記モータのトルク指令値もしくは推力指令値を算出する速度制御部と、
    前記速度制御部によって算出された前記トルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
    前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度、モータ位置もしくはモータ加速度への伝達特性の情報、前記速度制御部の制御則の情報、及び前記速度制御部のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記物理量取得値の信号からモータ速度への伝達特性が前記対象物の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であること、及び前記情報取得部が取得した情報を用いて、前記物理量制御部のパラメータを調整する圧力制御パラメータ調整部と
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  2. モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるモータ制御装置であって、
    前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体
    を備え、
    前記モータ制御装置本体は、
    前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいて位置指令値を算出する物理量制御部と、
    前記モータのモータ位置を検出するための位置検出手段による位置検出値と、前記物理量制御部によって算出された位置指令値とに基づいて、速度指令値を算出する位置制御部と、
    前記モータのモータ速度を検出するための速度検出手段によるモータ速度検出値と、前記位置制御部によって算出された速度指令値とに基づいて、前記モータのトルク指令値もしくは推力指令値を算出する速度制御部と、
    前記速度制御部によって算出された前記トルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
    前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度への伝達特性の情報、前記位置制御部の制御則の情報、前記位置制御部のパラメータの情報、前記速度制御部の制御則の情報、及び前記速度制御部のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記物理量取得値の信号からモータ位置への伝達特性が前記対象物の弾性定数の逆数を比例定数とする比例特性を含む伝達特性であること、前記物理量取得値の信号からモータ速度への伝達特性が前記対象物の弾性定数の逆数を比例定数とする微分特性を含む伝達特性であること、及び前記情報取得部が取得した情報を用いて、前記物理量制御部のパラメータを調整するパラメータ調整部と
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  3. モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるモータ制御装置であって、
    前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体
    を備え、
    前記モータ制御装置本体は、
    前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいてモータトルク指令値もしくは推力指令値を算出する物理量制御部と、
    前記物理量制御部によって算出された前記モータトルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
    前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度への伝達特性の情報のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記情報取得部が取得した情報を用いて、前記物理量制御部のパラメータを調整するパラメータ調整部と
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  4. モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるモータ制御装置であって、
    前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体
    を備え、
    前記モータ制御装置本体は、
    前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいて速度指令値を算出する物理量制御部と、
    前記モータのモータ速度を検出するための速度検出手段によるモータ速度検出値と、前記物理量制御部によって算出された速度指令値とに基づいて、前記モータのトルク指令値もしくは推力指令値を算出する速度制御部と、
    前記速度制御部によって算出された前記トルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
    前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度、モータ位置もしくはモータ加速度への伝達特性の情報、前記速度制御部の制御則の情報、及び前記速度制御部のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記情報取得部が取得した情報を用いて、前記速度指令値についての速度指令信号から前記物理量取得値の信号への伝達特性を算出し、その算出した伝達特性に基づいて前記物理量制御部のパラメータを調整するパラメータ調整部と
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  5. モータを有し、力及び圧力のいずれか一方である力学的物理量を対象物に加えるための機械負荷に接続され、前記モータの動力によって、前記機械負荷を変位させて前記対象物に押し付けることにより、前記対象物に前記力学的物理量を加える電動機構に設けられるモータ制御装置であって、
    前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量の値を物理量取得値として取得し、前記物理量取得値を予め設定された物理量目標値とするための物理量指令値を生成して、前記物理量取得値と前記物理量指令値とを用いて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置本体
    を備え、
    前記モータ制御装置本体は、
    前記物理量取得値及び前記物理量指令値に基づいて位置指令値を算出する物理量制御部と、
    前記モータのモータ位置を検出するための位置検出手段による位置検出値と、前記物理量制御部によって算出された位置指令値とに基づいて、速度指令値を算出する位置制御部と、
    前記モータのモータ速度を検出するための速度検出手段によるモータ速度検出値と、前記位置制御部によって算出された速度指令値とに基づいて、前記モータのトルク指令値もしくは推力指令値を算出する速度制御部と、
    前記速度制御部によって算出された前記トルク指令値もしくは前記推力指令値に基づいて、前記モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
    前記対象物の弾性定数の情報、前記機械負荷から前記対象物へ前記力学的物理量が作用したことに伴うモータトルクもしくは推力の反力に関する情報、モータトルクもしくは推力からモータ速度への伝達特性の情報、前記位置制御部の制御則の情報、前記位置制御部のパラメータの情報、前記速度制御部の制御則の情報、及び前記速度制御部のパラメータの情報を取得する情報取得部を持ち、前記情報取得部が取得した情報を用いて、位置指令値についての位置指令信号から前記物理量取得値の信号への伝達特性を算出し、その算出した伝達特性に基づいて前記物理量制御部のパラメータを調整するパラメータ調整部と
    を有することを特徴とするモータ制御装置。
  6. 前記情報取得部は、前記電流制御部の伝達特性の情報をさらに取得し、
    前記パラメータ調整部は、前記情報取得部が取得した前記電流制御部の伝達特性の情報をも用いて前記物理量制御部のパラメータを算出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータ制御装置本体は、前記機械負荷から前記対象物に作用する前記力学的物理量を検出するための物理量検出手段を介して、前記物理量取得値を取得し、
    前記情報取得部は、前記物理量検出手段の遅れ特性を示す伝達特性の情報をさらに取得し、
    前記パラメータ調整部は、前記情報取得部が取得した前記物理量検出手段の遅れ特性を示す伝達特性の情報をも用いて前記物理量制御部のパラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記情報取得部は、
    モータ速度に比例した摩擦トルクもしくは摩擦推力に伴って発生する粘性摩擦の粘性摩擦係数、もしくは
    非線形な摩擦特性をモータ速度に比例した粘性摩擦に近似したときの粘性摩擦係数
    をさらに取得し、
    前記パラメータ調整部は、前記情報取得部が取得した粘性摩擦係数の情報をも用いて前記物理量制御部のパラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記情報取得部は、物理量指令値の変化の傾きを前記対象物の弾性定数で除して得た値から、前記粘性摩擦係数を取得することを特徴とする
    ことを特徴とする請求項8記載のモータ制御装置。
  10. 前記パラメータ調整部は、前記物理量制御部のパラメータを調整する際に、開ループ伝達特性のゲイン余裕及び位相余裕を算出し、算出した値が所定の範囲内になるように前記物理量制御部のパラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記パラメータ調整部は、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、閉ループ伝達関数の極が所定の範囲内になるように前記物理量制御部のパラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  12. 前記パラメータ調整部は、加圧対象物が変更された際に、変更前の加圧対象物の弾性定数と、加圧対象物の変更前の前記物理量制御部のパラメータとの積を比例乗数とし、変更後の加圧対象物の弾性定数に反比例して、加圧対象物の変更後の前記物理量制御部のパラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
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