JP5120790B2 - トルク制御装置とその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ねじ締め装置などに適用され結合部材にねじりトルクを与えて締付けるトルク制御装置とその制御方法に関する。
従来のトルクを制御するねじ締め装置は、特許文献1および2に開示されている。特許文献1は、締め付けトルクのオーバーシュートを低減することを目的としたもので、図10はそのブロック図である。図9において、101は締付け装置、102はナットランナー、104はソケット、106は回転軸、108は減速機構、110はモモータ、112は速度検知部、114は電流アンプ、116は電流指令部、118は電流制御部、120は速度指令部、122は全体指令部である。ナットランナー102はボルト、ナット等のねじ部材に嵌合するソケット104で、ソケット104の回転軸106は減速機構108を介してモータ110に接続される。モータ110には回転速度を測定する速度検知部112が設けられ、モータ110を回転させるための駆動電流は電流アンプ114から供給される。
速度検知部112で測定されたモータ110の回転速度のデータは全体指令部122へ入力され、全体指令部122では、入力データに基づいて電流制限部118に電流制限値を出力する。速度指令部120は、無負荷領域における所定のモータ110の回転速度の値を指令速度信号として電流指令部116へ出力する。電流指令部116ではこの回転速度の値に対応する電流値を算出して、この大きさの電流を電流アンプ114を介してモータ110に供給する。電流制限部118では、電流アンプ114からモータ110に供給される電流値を監視して、全体指令部122から電流制限部118に入力される電流制限値を越えないよう電流指令部116に割り込み制御をかけている。
図11は、ねじ締め付けを示すグラフであり、縦軸はモータ110の回転トルク、モータ110に供給される電流の制限値及びモータ110の回転速度を示し、横軸は時間を示している。電流制限部118による電流の制限値は、図10中にも示され、次式で決定される。
iL(t)=iT・exp{−v(t)/K}
ここで、iL(t)は時刻tにおける電流制限値、iTは目標トルクを発生させるための電流値、v(t)は時刻tにおけるモータ回転速度、Kは定数である。定数Kの値は、モータ110の特性及び締め付けられるねじ部材の特性に応じて、適切な値が選択される。
モータ110に一定電流が供給されて、無負荷領域ではねじ部材を一定の高速回転をさせて仮締めが行われる。このとき、速度検知部112で測定されたモータ110の回転速度v(t)のデータは全体指令部122へ入力され、全体指令部122では、この回転速度v(t)のデータとiLの式に従い電流制限値iL(t)を算出する。電流制限値iL(t)は、電流制限部118に入力され、電流制限部118では、電流アンプ114から実際にモータ110に供給される電流値を常に監視して、電流制限値iL(t)を越えないように、電流指令部116に対して割り込み制御をかける。
ねじ部材が着座してモータの回転速度v(t)が減少し始めると、電流制限値iL(t)は式に従って次第に上昇し始める。この結果、電流アンプ114からモータ110に供給される電流値も次第に増加して、モータ110の回転トルクも上昇し始める。式に従って電流制限値iL(t)を次第に増加させることによって、上昇の初期には駆動電流の大きさが急激に上昇するため締め付けトルクもそれに追従して上昇する。目標締め付けトルクに相当する所定の駆動電流の大きさに近づくにつれて駆動電流の大きさの上昇が緩やかになるため、締め付けトルクも緩やかに上昇し、目標締め付けトルクを越えることなく目標締め付けトルクに緩やかに到達する。すなわち、モータ110の回転トルクがオーバーシュートを起こすことなく、ねじ部材が所定のトルクで適切に締め付けられる。これより締め付けトルクのオーバーシュートを低減することができるというものである。
特許文献2は、ねじとワーク間の摩擦力の変化や、モータ軸と減速機などの機械伝達系のロストモーションなどにより、実際のトルク値は滑らかにならず急に上昇して跳ね上がったりするのを防ぎ、ねじ締め付けトルクの精度を向上したねじ締め装置を提供することを目的とする。図12は特許文献2のねじ締め装置の構成を示すブロック図で、3相ブラシレスモータ221aを内蔵したねじ締め機本体221の底部に減速機222が配設され、モータ221aの回転スピードが減速機222で減速されて回転力がビット223に伝えられビット先端でねじ224を回転させる。
ブラシレスモータ221aには、CPU225がD/A変換器226を介して接続された電流駆動型ドライバー227が接続され、CPU225からのトルク指令に基づいて電流駆動型ドライバー227はブラシレスモータ221aを電流指令で回転駆動する。ねじ締め機本体221にはブラシレスのため電流方向切換用のセンサCS1〜CS3が120°毎に配設され、これらセンサCS1〜CS3はCPU225および電流駆動型ドライバー227に接続され、センサCS1〜CS3からのモータ221aの3相信号であるコミュテーション信号がCPU25および電流駆動型ドライバー227に入力される。このコミュテーション信号に基づいてCPU225で演算してビット回転速度を検出しモータ221aのビット回転速度を制御する。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
すなわち、本発明の一の観点によるトルク制御装置は、結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置であって、前記第1メカ部を駆動する第1モータと、前記第2メカ部を駆動する第2モータと、前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令と前記第2指令を生成するコントローラと、を備えたトルク制御装置において、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが所定値に到達したら前記第2モータを前記第1回転速度に減速し、所定時間が経過したら同期して減速停止する第1指令および第2指令を生成することを特徴とするものである。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記第1指令および前記第2指令は、位置制御か速度制御かトルク制御かを選択する制御モード指令と位置指令、速度指令、トルク指令の少なくともひとつを含むことを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記第1モータ制御部は、位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、前記トルク指令から第1モータを駆動する電力変換部と、前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、を備え、第1指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、前記第1指令に従い前記第1モータを駆動することを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記第2モータ制御部は、位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、前記トルク指令から第2モータを駆動する電力変換部と、前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、を備え、第2指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、前記第2指令に従い前記第2モータを駆動することを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記第1モータ制御部および前記第2モータ制御部の電力変換部は、共通の直流電源に接続されることを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい第2回転速度に増速してねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら第1回転速度<第3回転速度<第2回転速度の第3速度に減速し、前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら第1回転速度<第4回転速度<第3回転速度の第4回転速度に減速し、前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら第1速度に減速し、所定時間が経過したら同期して減速停止する第1指令と第2指令を生成することを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より増速して前記第1モータと前記第2モータのモータ位相差を所定のプロファイルで変化させてねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら前記モータ位相差を所定プロファイルで変化させ、第3トルクに到達したら前記モータ位相差を固定し、所定の時間が経過したら同期して減速停止する第1指令と第2指令を生成することを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記ねじりトルクの検出は、前記第1モータ制御部のトルク指令を用いることを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記ねじりトルクの検出は、前記第2モータ制御部のトルク指令の極性を反転した値を用いることを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記ねじりトルクの検出は、前記第1モータ制御部のトルク指令から前記第2制御部のトルク指令を減算し2で除した値を用いることを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記ねじりトル
クの検出は、第1メカ部または第2メカ部に結合したトルクセンサを用いることを特徴としてもよい。
また、上記一の観点によるトルク制御装置は、前記結合部材は、ナットとボルトであることを特徴としてもよい。
また、本発明の他の観点によるトルク制御装置の制御方法は、結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置であって、前記第1メカ部を駆動する第1モータと、前記第2メカ部を駆動する第2モータと、前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令と前記第2指令を生成するコントローラと、を備えたトルク制御装置の制御方法において、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速するステップと、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させるステップと、前記ねじりトルクが所定の値に到達したら前記第2モータを第1回転速度に減速するステップと、所定時間が経過したら同期して減速停止するステップと、を備えたことを特徴とするものである。
また、上記他の観点によるトルク制御装置の制御方法は、同トルク制御装置の制御方法の各ステップの代わりに、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速するステップと、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1速度より大きい第2速度に増速してねじりトルクを発生させるステップと、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら第1速度<第3速度<第2速度の第3速度に減速するステップと、前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら第1速度<第4速度<第3速度である第4速度に減速するステップと、前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら第1速度に減速するステップと、所定時間が経過したら同期して減速停止するステップと、を備えたことを特徴としてもよい。
さらに、目標締め付けトルクBに至るトルク上昇時において、トルク上昇レートは、ねじ締め付け時にトルクを上昇させる割合を意味し、1sec当たりに上昇させるトルク(Kgfcm)を設定する。たとえば、10を設定したとすると1sec当たり10Kgfcmトルクが上昇することになり、大きな値を設定するほど締め付け時間は短縮されるが、大きすぎると締め付けトルクがオーバーシュートして目標締め付けトルクBの設定値を越えてしまう。
また、摩擦力の均一化を図るためにねじ締め込み時の漸増トルク指令に、機械系の応答周波数の2倍で設定トルク値の10%の方形波微振動を付加することにより、ねじ234とワーク232の間の摩擦力の変化や、モータ軸と減速機などの伝達系のロストモーションなどによるトルク値の急激な上昇は防止されて漸増トルク指令の上昇は滑らかになる。また、ねじ締め付け時、CPU225は、トルクセンサ228からフィードバックされた実際のトルク値により、漸増設定トルク値になるように制御するとともに、そのフィードバックされた実際のトルク値が目標締め付けトルクBの値に達すると電流駆動型ドライバー227からの電流をオフしてモータ221aを止める。以上により、目標締め付けトルクで正確に止めることができるというものである。
特開平10−080872号公報 特開平06−182638号公報
従来のねじ締め装置は、摩擦トルク、特に静止摩擦トルクの影響を受け、締付けトルクの精度が出ないという問題があった。
また、自動車用のドライブピニオンをロックナットで締付ける場合は、通常ドライブピニオンを固定しロックナットを回転して締付けるが締め付けしろが足らない場合でもトルクレンチが設定トルクになり、締付けトルクを規格内の管理ができないという問題があった。機械化する場合でもモータの起動トルクと設定トルクが重なり合い1Nm以下の微調整ができないという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、静止摩擦トルクの影響をなくし、結合部材の相対回転速度差を数回転/分という低速度にしてねじりトルクを高精度に制御するトルク制御装置とその方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置であって、前記第1メカ部を駆動する第1モータと、前記第2メカ部を駆動する第2モータと、前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令と前記第2指令を生成するコントローラと、を備えたトルク制御装置において、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが所定値に到達したら前記第2モータを前記第1回転速度に減速し、所定時間が経過したら同期して減速停止する第1指令および第2指令を生成することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の機械制御装置において、前記第1指令および前記第2指令は、位置制御か速度制御かトルク制御かを選択する制御モード指令と位置指令、速度指令、トルク指令の少なくともひとつを含むことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記第1モータ制御部は、位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、前記トルク指令から第1モータを駆動する電力変換部と、前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、を備え、第1指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、前記第1指令に従い前記第1モータを駆動することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記第2モータ制御部は、位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、前記トルク指令から第2モータを駆動する電力変換部と、前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、を備え、第2指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、前記第2指令に従い前記第2モータを駆動することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記第1モータ制御部および前記第2モータ制御部の電力変換部は、共通の直流電源に接続されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい第2回転速度に増速してねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら「第1回転速度<第3回転速度<第2回転速度」の第3速度に減速し、前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら「第1回転速度<第4回転速度<第3回転速度」の第4回転速度に減速し、前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら第1速度に減速し、所定時間が経過したら同期して減速停止する第1指令と第2指令を生成することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記プログラムは、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より増速して前記第1モータと前記第2モータのモータ位相差を所定のプロファイルで変化させてねじりトルクを発生させ、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら前記モータ位相差を所定プロファイルで変化させ、第3トルクに到達したら前記モータ位相差を固定し、所定の時間が経過したら同期して減速停止する第1指令と第2指令を生成することを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記ねじりトルクの検出は、前記第1モータ制御部のトルク指令を用いることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記ねじりトルクの検出は、前記第2モータ制御部のトルク指令の極性を反転した値を用いることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記ねじりトルクの検出は、前記第1モータ制御部のトルク指令から前記第2制御部のトルク指令を減算し2で除した値を用いることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、請求項1記載のトルク制御装置において、前記ねじりトルクの検出は、第1メカ部または第2メカ部に結合したトルクセンサを用いることを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明は、請求項1記載の機械制御装置において、前記結合部材は、ナットとボルトであることを特徴とするものである。
請求項13に記載の発明は、結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置であって、前記第1メカ部を駆動する第1モータと、前記第2メカ部を駆動する第2モータと、前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令と前記第2指令を生成するコントローラと、を備えたトルク制御装置の制御方法において、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速するステップと、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させるステップと、前記ねじりトルクが所定の値に到達したら前記第2モータを第1回転速度に減速するステップと、所定時間が経過したら同期して減速停止するステップと、を備えたことを特徴とするものである。
請求項14に記載の発明は、請求項13記載のトルク制御装置の制御方法において、請求項13記載のトルク制御装置の制御方法の各ステップの代わりに、前記第1モータと前記第2モータを同期して加速するステップと、第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を第1速度より大きい第2速度に増速してねじりトルクを発生させるステップと、前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら「第1速度<第3速度<第2速度」の第3速度に減速するステップと、前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら「第1速度<第4速度<第3速度」である第4速度に減速するステップと、前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら第1速度に減速するステップと、所定時間が経過したら同期して減速停止するステップと、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によると、結合部材を同期して回転して静止摩擦トルクの影響をなくし、結合部材の相対回転速度差を数回転/分という低速度にできるので高精度のなじりトルクを生成するトルク制御装置とその方法を提供することができる。
本発明の実施例を示すトルク制御装置のブロック図 本発明のコントローラの構成を示すブロック図 本発明のモータ制御装置の構成を示すブロック図 本発明のトルク制御を説明する指令のタイムチャート 本発明のトルク制御装置をシミュレーションするための構成図 本発明のトルク制御装置をシミュレーションするための制御ブロック図 本発明のシミュレーション結果 本発明のトルク制御装置の制御方法を示すフローチャート 本発明のトルク制御装置の制御方法を示すフローチャート 従来例の構成を示すブロック図 従来例の動作を説明する図 従来例の構成を示すブロック図 従来例の動作を説明する図 本発明のねじりトルク検出のシミュレーション結果 本発明のトルク制御装置に被接触型トルクセンサを使用したときの構成を示すブロック図
符号の説明
1 共通電源
2 コントローラ
3 第1モータ制御部
4 第2モータ制御部
5 第1モータ
6 第2モータ
7 第1メカ部
8 第2メカ部
9 結合部材
10、11 非接触型トルクセンサ
21 指令生成部
23、24 通信部
25 プログラム
31 位置制御部
32 速度指令加算部
33 速度制御部
34 トルク指令加算部
35 電流指令生成部
36 電流制御部
37 電力変換部
38 速度信号生成部
39 通信部
51、110、221a モータ
52 位置検出器
101 締付け装置
102 ナットランナー
104 ソケット
106 回転軸
108 減速機構
112 速度検知部
114 電流アンプ
116 電流指令部
118 電流制御部
120 速度指令部
122 全体指令部
222 減速機
223 ビット
224 ねじ
225 CPU
226 D/A変換器
227 電流駆動型ドライバ
228 トルクセンサ
231 ねじ頭
231a 座面
232 ワーク
233 キャッチャ
234 ねじ
235 吸着パイプ
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明のトルク制御装置の構成を示すブロック図である。図において、1は共通電源、2はコントローラ、3は第1モータ制御部、4は第2モータ制御部、5は第1モータ、6は第2モータ、7は第1メカ部、8は第2メカ部、9は結合部材である。コントローラ2は上位システムのコマンドに従い記憶したプログラムを実行し、第1指令と第2指令を生成する。第1モータ制御部3は第1指令に従い第1モータを制御し、第2モータ制御部4は第2指令に従い第2モータを制御する。第1モータ5は第1メカ部を駆動し、第2モータ6は第2メカ部を駆動する。結合部材7は第1メカ部7と第2メカ部8に保持されている。共通電源1は、3相交流電源を整流して直流電源を生成し、第1モータ制御部3と第2モータ制御部4に電力を供給する。
図2は、本発明のコントローラの構成を示すブロック図である。図において、21は指令生成部、22、23は通信部、24はプログラムである。通信部22は上位システムよりコマンドを受信してレスポンスを送信する。指令生成部21は、記憶したプログラムと上位システムのコマンドに基づいて第1モータ制御部3に対して第1指令、第2モータ制御部に対して第2指令を生成する。通信部23は第1指令、第2指令をコマンドにのせて第1モータ制御部および第2モータ制御部へ送信し、モータ制御装置のレスポンスを受信する。第1および第2指令は、第1および第2モータ制御部が位置制御か速度制御かトルク制御かを規定する制御モード指令と、位置指令、外部速度指令、外部トルク指令を生成する。
図3は、本発明の第1モータ制御部3および第2モータ制御部4の構成を示すブロック図である。図において、31は位置制御部、32は速度指令加算部、33は速度制御部、34はトルク指令加算部、35は電流指令生成部、36は電流制御部、37は電力変換部、38は速度信号生成部、39は通信部、51はモータ、52は位置検出器である。通信部39はコントローラの生成するコマンドをシリアル通信で受信し、モータ制御部のステータスをレスポンスとして送信する。コマンドの制御モード指令により位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択する。位置制御を規定された場合、位置制御部31は、位置指令を位置信号の差である位置偏差をPID制御処理をして速度指令を生成する。速度指令加算部32は、速度指令と外部速度指令を加算して新たな速度指令を生成する。
速度制御部33は、速度指令と速度信号の速度偏差をPID制御処理をしてトルク指令を生成する。トルク指令加算部34は、トルク指令と外部トルク指令を加算して新たなトルク指令を生成する。電流指令部35はトルク指令をモータのトルク定数で除算して電流指令を生成する。電流制御部36は電流指令と電流信号の電流偏差をPID処理をして電圧指令を生成する。電力変換部37は、電圧指令からPWM信号を生成し、インバータを駆動する。インバータは共通電源から供給される直流電圧をPWM信号により変調電圧を生成しモータ51に印加する。位置検出器52はモータの位置信号を生成し、速度信号生成部38は位置信号の時間差分をとって速度信号を生成する。
図4は本発明のトルク制御装置の特徴部分に係る位置指令の速度プロファイルを示すタイムチャートで、制御モードは位置制御モードである。ナットとボルトを回転させた状態で静止摩擦トルクの影響をなくし、ナットとボルトの相対回転速度差を数回転/分という低速で締付けることにより締付けトルクの精度を上げるのである。つまり、ナットとボルトがねじ込まれた状態でナットとボルトを所定の回転速度まで同期加速する。そして、所定の回転速度に到達したら、ナットまたはボルト側の回転速度を所定の回転速度まで加速しナットとボルト間に締付けトルクを発生させる。そして、締付けトルクが所定値になったらトルクに応じて回転速度を減速し最初の回転速度で同期させ、所定時間経過後減速停止する。
図4において、第1回転速度時間をtとすると、第1指令と第2指令は第1回転速度までは加速度αで加速する。時刻t1で第1回転速度に到達すると時刻t2まで第1回転速度を維持する。時刻t2で第2指令のみ加速度αで第2回転速度まで加速する。時刻t3で第2回転速度に到達したら第2回転速度を維持する。トルク指令が時刻t4で第1トルクに到達すると減速度βで第3回転速度まで減速する。時刻t5で第3回転速度に到達すると第3回転速度を維持する。時刻t6でトルク指令が第2トルクに到達すると減速度βで第4回転速度まで減速する。時刻t7で第4回転速度に到達すると第4回転速度を維持する。時刻t8でトルク指令が第3トルクに到達すると減速度βで第1回転速度まで減速する。時刻t9で第1回転速度に到達すると第1回転速度を維持する。所定時間が経過したら減速停止する。
ねじりトルクは第1モータと第2モータの位相差にほぼ比例するので、速度プロファイルの代わりに第1モータと第2モータの位相差プロファイルを用いることもできる。第1モータと前記第2モータを同期して加速し、第1回転速度に到達したら、第2モータの回転速度を第1速度よりも増速して第1モータと第2モータの位相差を所定のプロファイルで変化させてねじりトルクを発生させる。そして、ねじりトルクが第1トルクに到達したらモータ位相差を所定プロファイルで変化させ、第3トルクに到達したらモータ位相差を固定し、所定の時間が経過したら同期して減速停止する。
次に本発明のトルク制御装置をシミュレーションした結果について説明する。図5はシミュレーションのための構成図で、結合部材は角度θまでは締付けトルク0でθを超えたらばね特性をもつとした。第1モータ側の慣性モーメントをJ1、第2モータ側の慣性モーメントをJ2、結合部のばね定数をKsとした。図6はシミュレーションに用いた制御ブロック図で、図7はシミュレーション結果である。シミュレーションの条件は、第1モータ制御部および第2モータ制御部ともに、位置制御ゲインKp=200(s−1)、速度制御比例ゲインKv=1(Nms/r)、速度制御積分時定数Tvi=10(ms)、第1モータ側慣性モーメントJ1=0.001(kgm2)、第2モータ側慣性モーメントJ2=0.001(kgm2)、結合部ばね定数Ks=10(Nm/r)である。速度プロファイルは、第1回転速度N1=1260(rpm)、第2回転速度N2=1386(rpm)、第3回転速度N3=1283(rpm)、第4回転速度N4=1268(rpm)、角加速度α=1320(r/s2)、β=−1320(r/s2)である。第1トルクTq1=11(Nm)、第2トルクTq2=14(Nm)、第3トルクTq3=15(Nm)である。
シミュレーション結果から明らかなように、第1モータは、第2モータが発生するトルクの反作用を受けてブレーキトルクを発生し発電機として動作する。電力変換器のインバータに供給する直流電源を共通化するのは駆動電力と発電電力をキャンセルさせるためである。
次にねじりトルクの検出について説明する。コントローラは第1モータ制御部および第2モータ制御部からトルク指令をレスポンス情報として制御時間ごとに受信しているので第1モータ制御部のトルク指令の極性反転値または第2モータ制御部のトルク指令をねじりトルク検出として用いることができる。また、第1モータ+第1メカ部と第2モータ+第2メカ部の慣性モーメントがほぼ同じであるなら、第2モータ制御のトルク指令から第1モータ制御のトルク指令を減算し2で除した値を用いることにより、加減速トルクが相殺されねじりトルクを検出することができる。
図14は、図7のシミュレーション結果に第2モータ制御装置のトルク指令から第1モータのトルク指令を減算し2で除した値を追加したものである。さらに、精度のよいねじりトルクを検出したい場合は第1メカ部または第2メカ部に非接触型トルクセンサを搭載し直接ねじりトルクを検出することもできる。図15は、非接触型トルクセンサを第1メカ部、第2メカ部に搭載した例である。ねじりトルク信号を第1モータ制御装置または第2モータ制御装置が受信し、コントローラに送信する。
図8は本発明のトルク制御装置の制御方法を示すフローチャートである。図8において、ステップSA1で第1モータと第2モータを同期して加速し、ステップSA2で第1回転速度に到達したら第2モータの回転速度を第1回転速度よりも大きい所定の速度プロファイルで変化させて結合部材にねじりトルクを発生させ、ステップSA3でねじりトルクが所定の値に到達したら第2モータを第1回転速度まで減速し、ステップSA4で所定の時間が経過したら同期して減速停止する。
図9は、他の制御方法を示すフローチャートである。図において、ステップSB1で第1モータと第2モータを同期して加速し、ステップSB2で第1回転速度に到達したら、第2モータの回転速度を第1速度よりも大きい第2速度に増速してねじりトルクを発生させ、ステップSB3でねじりトルクが第1トルクに到達したら「第1速度<第3速度<第2速度」の第3速度に減速し、ステップSB4でねじりトルクが第2トルクに到達したら「第1速度<第4速度<第3速度」である第4速度に減速し、ステップSB5でねじりトルクが第3トルクに到達したら第1速度まで減速し、ステップSB6で所定の時間が経過したら同期して減速停止する。
本発明によると、回転しながらトルクを制御できるので、ねじ締め装置だけではなく、モータ試験装置、機械試験装置、模擬負荷装置など試験装置にも適用できる。

Claims (14)

  1. 結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置であって、
    前記第1メカ部を駆動する第1モータと、
    前記第2メカ部を駆動する第2モータと、
    前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、
    前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、
    上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令および前記第2指令を生成するコントローラと、
    を備え
    前記プログラムは、
    前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、
    第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を前記第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させ、
    前記ねじりトルクが所定値に到達したら前記第2モータを前記第1回転速度に減速し、
    所定時間が経過したら同期して減速停止するように、
    前記第1指令および前記第2指令を生成させる、トルク制御装置。
  2. 前記第1指令および前記第2指令は、位置制御か速度制御かトルク制御かを選択する制御モード指令と位置指令、速度指令及びトルク指令の少なくとも一つと、を含む請求項1記載のトルク制御装置
  3. 前記第1モータ制御部は、
    位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、
    前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、
    前記トルク指令から第1モータを駆動する電力変換部と、
    前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、
    を備え、
    前記第1指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、
    前記第1指令に従い前記第1モータを駆動する、請求項2記載のトルク制御装置。
  4. 前記第2モータ制御部は、
    位置指令と位置信号から速度指令を生成する位置制御部と、
    前記速度指令と速度信号からトルク指令を生成するトルク制御部と、
    前記トルク指令から第2モータを駆動する電力変換部と、
    前記位置信号から前記速度信号を生成する速度信号生成部と、
    を備え、
    前記第1指令の制御モード指令に従い位置制御、速度制御、トルク制御のいずれかを選択し、
    前記第2指令に従い第2モータを駆動する、請求項2または3記載のトルク制御装置。
  5. 前記第1モータ制御部および前記第2モータ制御部の電力変換部は、共通の直流電源に接続される請求項3または4記載のトルク制御装置。
  6. 前記プログラムは、
    前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、
    前記第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を前記第1回転速度より大きい第2回転速度に増速してねじりトルクを発生させ、
    前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら前記第1回転速度より大きく前記第2回転速度より小さい第3回転速度に減速し、
    前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら前記第1回転速度より大きく前記第3回転速度より小さい第4回転速度に減速し、
    前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら前記第1回転速度に減速し、
    所定時間が経過したら同期して減速停止するように、
    前記第1指令と前記第2指令を生成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  7. 前記プログラムは、
    前記第1モータと前記第2モータを同期して加速し、
    前記第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を前記第1回転速度より増速して前記第1モータと前記第2モータのモータ位相差を所定のプロファイルで変化させてねじりトルクを発生させ、
    前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら前記モータ位相差を所定プロファイルで変化させ、
    前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら前記モータ位相差を固定し、
    所定の時間が経過したら同期して減速停止するように、
    前記第1指令と前記第2指令を生成する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  8. 前記ねじりトルクの検出は、前記第1モータ制御部のトルク指令の極性反転値を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  9. 前記ねじりトルクの検出は、前記第2モータ制御部のトルク指令を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  10. 前記ねじりトルクの検出は、前記第2モータ制御部のトルク指令から前記第1制御部のトルク指令を減算し2で除した値を用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  11. 前記ねじりトルクの検出は、第1メカ部または第2メカ部に結合したトルクセンサを用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
  12. 前記結合部材は、ナットとボルトである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の機械制御装置。
  13. 結合部材を介して同軸に結合された第1メカ部と第2メカ部のトルクを制御するトルク制御装置の制御方法であって、
    前記第1メカ部を駆動する第1モータと、前記第2メカ部を駆動する第2モータと、前記第1モータを第1指令どおりに制御する第1モータ制御部と、前記第2モータを第2指令どおりに制御する第2モータ制御部と、上位システムのコマンドによりプログラムに基づいて前記第1指令および前記第2指令を生成するコントローラと、を備えたトルク制御装置を使用して、
    前記第1モータと前記第2モータを同期して加速するステップと、
    第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を前記第1回転速度より大きい所定の速度プロファイルで変化させて前記結合部材にねじりトルクを発生させるステップと、
    前記ねじりトルクが所定の値に到達したら前記第2モータを前記第1回転速度に減速するステップと、
    所定の時間が経過したら同期して減速停止するステップと、
    を備えたトルク制御装置の制御方法。
  14. 前記ねじりトルクを発生させるステップ及び前記減速するステップは、
    前記第1回転速度に到達したら、前記第2モータの回転速度を前記第1回転速度より大きい前記第2回転速度に増速してねじりトルクを発生させるステップと、
    前記ねじりトルクが第1トルクに到達したら、前記第1回転速度より大きく前記第2回転速度より小さい第3回転速度に減速するステップと、
    前記ねじりトルクが第2トルクに到達したら、前記第1回転速度より大きく前記第3回転速度より小さい第4回転速度に減速するステップと、
    前記ねじりトルクが第3トルクに到達したら、前記第1回転速度に減速するステップと、
    を備えた請求項13記載のトルク制御装置の制御方法。
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