JPWO2011152379A1 - 着色樹脂組成物、着色硬化膜、カラーフィルター、液晶表示装置、有機elディスプレイ及び固体撮像素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮明で明度が高く、色特性かつ耐性に優れた信頼性の高い青色画素カラーフィルターを提供する。【解決手段】本発明の青色画素カラーフィルター作製用青色着色樹脂組成物は、特定の青色染料系色材化合物を使用することにより、他にバインダー樹脂、溶剤、及び硬化剤等を混合することで得られる。作製された青色画素カラーフィルターは、染料の優れた色特性を持ちながら、耐熱性等の耐性に優れた高い信頼性を有する。【選択図】なし
Description
本発明は、青色画素を形成する着色樹脂組成物、これを用いて形成されたカラーフィルター、並びに該カラーフィルターを用いて形成された液晶表示装置、撮像素子(CCD、CMOS)、有機ELディスプレイ等の電子表示装置に関する。
ノートパソコンや液晶テレビ、携帯電話等に代表される液晶ディスプレイ(LCD)等の液晶表示素子やデジタルカメラやカラーコピー機等の入力デバイスとして使用される撮像素子(CCD、CMOS)のカラー化にはカラーフィルターが必要である。これら液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターを製造する方法としては、染色法、電着法、印刷法、顔料分散法等があるが、近年、顔料分散法が主流となっている。パターニングの方法としてはフォトリソグラフィー法が代表的で、感光性樹脂組成物と顔料分散体との混合物を用いてカラーフィルターを形成している。最近では着色インキをインクジェットプリンターにより、マスクを介さずに直接基板上に塗布し、カラーフィルターを形成する方法も行われている。
カラーフィルターに求められる特性である、色純度、彩度、明度およびコントラストの向上は特に重要である。明度が向上することによって、バックライトの光量を抑えることができ、消費電力を下げることも出来るため、環境的にも必要な技術である。カラーフィルターの色純度を向上するためには着色顔料の含有量を増加させたり、より良い分光波形の顔料を選択する必要がある。一方、明度を向上するには透過率を高くする必要があるため、逆に顔料濃度を減らす、または膜厚を薄くしなければならない。これらの相反する特性を両立するために顔料の微粒子化という方法が行われている。微粒子化も進めていくと耐性や分散安定性に限界があり、明度が向上しても耐性の両立が取れていないのが現状である。
これらの問題を解決するため、別のアプローチとして染料を使用したカラーフィルターの検討が進められている。染料を用いれば、顔料では達成できない色純度と明度の両立や、粒子では無いことから光散乱を抑制出来るためコントラストも向上できるメリットがある。しかしながら、テレビ等の長期信頼性を必要とする表示体向けには特に耐光性や耐熱性が必要であるが、特に青色染料は顔料よりも耐性が著しく劣っているものが多い。例えば下記の特許文献1および2には、トリフェニルメタン系化合物を使用したカラーフィルターに関する報告がなされているが、トリフェニルメタン系化合物は耐熱性が著しく劣り、実用レベルではない。フタロシアニン系染料が耐性に優れているのは公知(特許文献3)だが、その色特性は青色ではなく、一般に赤味のあるシアン調であるため、鮮明な青色画素を形成できない。カラーフィルターにおいて鮮明な青色画素でなおかつ信頼性に優れた耐性の高い色材を含む着色樹脂組成物が必要とされているがほとんど実用化されていないのが現状である。従って、次世代として明度に優れかつ耐性に優れた高品位なカラーフィルターが求められている。
特許文献1:特開平8−94826号公報
特許文献2:特開2002−14222号公報
特許文献3:特開昭60―249102号公報
特許文献2:特開2002−14222号公報
特許文献3:特開昭60―249102号公報
本発明は、染料の優れた色特性を持ちながら、耐熱性の優れたカラーフィルターの青色画素を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
課題を解決するための手段
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、カラーフィルターの青色画素に、特定の青色色材化合物を含む着色樹脂組成物を使用することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1) 下記式(1)で示される色材化合物、バインダー樹脂、溶剤、及び硬化剤を含有するカラーフィルター用着色樹脂組成物、
(式(1)において、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表すが、少なくとも1つは分岐アルキル基、または環状アルキル基である。R7〜R20はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。アニオン部X−はトリストリフルオロメタンスルホニルメチドまたはビストリフルオロメタンスルホニルイミドを表す。)
(2)銅フタロシアニン顔料を含む(1)に記載の着色樹脂組成物、
(3)(1)または(2)に記載の着色樹脂組成物を用い、パターニングされてなるカラーフィルター用着色硬化膜、
(4)(3)に記載のカラーフィルター用着色硬化膜からなるカラーフィルター、
(5)(4)に記載のカラーフィルターを装着してなる液晶表示装置および有機ELディスプレイ、
(6)(4)に記載のカラーフィルターを装着してなる固体撮像素子、
に関する。
(1) 下記式(1)で示される色材化合物、バインダー樹脂、溶剤、及び硬化剤を含有するカラーフィルター用着色樹脂組成物、
(2)銅フタロシアニン顔料を含む(1)に記載の着色樹脂組成物、
(3)(1)または(2)に記載の着色樹脂組成物を用い、パターニングされてなるカラーフィルター用着色硬化膜、
(4)(3)に記載のカラーフィルター用着色硬化膜からなるカラーフィルター、
(5)(4)に記載のカラーフィルターを装着してなる液晶表示装置および有機ELディスプレイ、
(6)(4)に記載のカラーフィルターを装着してなる固体撮像素子、
に関する。
本発明の青色着色樹脂組成物は、特定の青色色材化合物を含有することによって、耐熱性に優れたカラーフィルター用の高品位な青色画素を提供することができる。
本発明の青色着色樹脂組成物は、バインダー樹脂、溶剤、硬化剤、および特定の青色色材化合物を含有し、必要に応じて、他の顔料もしくは染料等の色材化合物、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合禁止剤および紫外線吸収剤等の各種添加物を含有させることが出来、これらに限定されるものではなく、特定の色材化合物以外の成分としては特に制限無く使用できる。
本発明の着色樹脂組成物を用いた画素製造方法としては、主にフォトリソグラフィー法とインクジェット法が挙げられ、前者には光重合開始剤を用いた現像性に優れた感光性樹脂組成物が用いられ、後者は必ずしも光重合開始剤を必要とせず熱硬化性樹脂組成物が用いられる。
本発明に使用される特定の色材化合物は前記式(1)で表される。一般式(1)のR1〜R6において、炭素数1〜6のアルキル基は置換基を有していてもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、イソブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基、ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R6において、フェニル基またはベンジル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等の(C1〜C5)アルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、スルホン酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等の(C1〜C6)アルコキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシ(C1〜C5)アルキル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブトキシエチル基等の(C1〜C5)アルコキシ(C1〜C5)アルキル基、2−ヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシ(C1〜C5)アルコキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等のアルコキシ(C1〜C5)アルコキシ基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R6において、少なくとも1つ以上の分岐アルキル基、環状アルキル基としては、イソプロピル基、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R6としては、水素原子または炭素数1〜6の無置換のアルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基が好ましい。
一般式(1)のR7〜R20において、炭素数1〜6のアルキル基は置換基を有していてもよい。好ましい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヒドロキシプロピル基、2-スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
一般式(1)のR7〜R20において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(1)のR7〜R20としては、水素原子、塩素原子、または炭素数1〜6の無置換のアルキル基が好ましい。
一般式(1)においてアニオン部X−はトリストリフルオロメタンスルホニルメチドまたはビストリフルオロメタンスルホニルイミドを表す。
本発明の式(1)で表される色材化合物は、例えば、特許文献(WO2009/107734の合成例19)や非特許文献(J.Am.Chem.Soc.1996,118,7215.)に記載された合成法により得られた前駆体の塩化合物(例えば、X−が塩素アニオン)を反応溶媒(例えば、水、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと略記)、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は単独、または混合してもよい)に溶解し、対応する塩または酸を0.5〜3等量程度加え、所定温度(例えば0〜100℃)で攪拌し、容易に合成でき、析出した結晶をろ取する事により得られる。
本発明の青色着色樹脂組成物の全固形分(色材化合物、バインダー樹脂、硬化剤等から成る固形分の総量を指す。以降も同義で用いられる。)中に含まれる前記式(1)で表される色材化合物の含有量は、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜30質量部である。この範囲よりも含有量が多い場合、析出や凝集の問題が発生したり、硬化不十分のために基板との密着性の低下を引き起こす。含有量が少ない場合は大きな問題は無いが、色特性としては十分な色純度を得られない傾向がある。
前記式(1)で表される色材化合物の着色樹脂組成物への溶解性が低い場合には、後述する任意成分である顔料と同様に、分散剤を用いて分散させてもよい。前記式(1)で表される色材化合物は2種以上を混合しても単独で使用してもよいが、他の染料や顔料を混合してもよい。本発明は青色画素に関するものなので、公知の青色染料やバイオレット染料、または青色顔料やバイオレット顔料等と混合することが望ましい。
本発明で用いられるバインダー樹脂は、フォトリソグラフィー法の設計上、カラーフィルター製造時の現像処理工程において用いられるアルカリ性現像液に可溶であることが望ましく、さらには良好な微細パターンを形成するために光重合開始剤、光重合性モノマー等との十分な硬化特性を有しているものが望ましい。また、顔料分散樹脂組成物も光重合開始剤、光重合性モノマー、顔料分散液等の構成材料との相溶性が良く、析出や凝集等を起こさないよう安定でなければならない。インクジェット法の場合は特にアルカリ可溶性は必要ではないため、他の色材化合物や添加剤との相溶性の良い樹脂を選択すればよい。
バインダー樹脂としては公知の樹脂を使用することもできるが、より好ましくは以下に挙げられる1個以上のカルボキシル基、または水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーあるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これらの側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したもの、さらにアクリレートを付加させたエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は単独でも2種以上組み合わせても良い。
本発明で使用できる前記カルボキシル基含有不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができる。これらのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明で使用できる前記水酸基含有不飽和モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシ−3−メチル−ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、前記他の不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル=(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル=(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(メタ)アクリロイルフタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの他の不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体も有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、およびアクリル酸、アクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のACA−200M(ダイセル製)、ORGA−3060(大阪有機化学製)、AX3−BNX02(日本触媒製)、UXE−3024(日本化薬製)、UXE−3000(日本化薬製)、ZGA−287H(日本化薬製)、TCR−1338H(日本化薬製)、ZXR−1722H(日本化薬製)、ZFR−1401H(日本化薬製)、ZCR−1642(日本化薬製)も使用することができる。
本発明で用いられるバインダー樹脂(共重合体)を製造する場合は、重合開始剤を使用する。共重合体を合成するときに使用される重合開始剤の具体例としては、α,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用割合は、共重合体の合成に使用する全ての単量体の合計に対して、0.01〜25質量部である。また、共重合体を合成する場合は、下記で説明する有機溶剤を使用するのが好ましいが、使用する単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有するものを使用する。共重合体を合成するときの反応温度は50〜120℃であることが好ましく、特に好ましくは80〜100℃である。また、反応時間は1〜60時間であることが好ましく、より好ましくは3〜20時間である。共重合体の好ましい酸価は10〜300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10〜200(mgKOH/g)である。酸価もしくは水酸基価が10以下の場合は現像性が低下する。共重合体の重量平均分子量(Mw)は2000〜400000が好ましく、3000〜100000がより好ましい。この重量平均分子量が2000以下、あるいは400000以上では、感度および現像性等が低下する。
本発明において、前記バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明におけるバインダー樹脂の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常、0.5〜99質量部、好ましくは5〜50質量部である。この場合、バインダー樹脂の含有量が0.5質量部未満では、アルカリ現像性が低下したり、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残り等の問題が発生する可能性がある。
本発明で使用する硬化剤としては、ラジカル重合の場合は光重合モノマー、イオン硬化の場合はエポキシ樹脂、その他にメラミン硬化剤等が挙げられる。これらの具体例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−フルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP−1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA−30(日本化薬製)、UA−33H(新中村化学製)、UA−53H(新中村化学製)、M−8060(東亞合成製);チオール系重合モノマーとして、TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)、DPMP(堺化学製);エポキシ樹脂としては、日本化薬製品のNC−6000、NC−3000、EOCN−1020、XD−1000、EPPN−501H、BREN−S、NC−7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、サイラエースS510(チッソ)、TEPIC(日産化学工業)等;メラミン硬化剤としてはメチロール化メラミンやMw−30(三和ケミカル)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは5〜30質量部である。
本発明の樹脂着色組成物に併用できる色素は、カラーフィルターに適合する分光特性を有するものが好ましく、染料、有機顔料、無機顔料の中から適宜選択することが出来、必要に応じて単独又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して0〜60質量部、好ましくは5〜30質量部である。これらの各種顔料および染料について以下に示す。
本発明に併用できる有機顔料としては特に制限はないが、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、キサンテン系等の顔料;酸性染料、塩基性染料、直接染料等をそれぞれの沈澱剤で不溶化したレーキ顔料、染付けレーキ顔料等が挙げられる。より具体的にはカラーインデックスで、例えば、ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50、ピグメントバイオレット3、4、27,39等が挙げられる。特にピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23が色相、耐性等が良好であることからより好ましい。
本発明に併用できる無機顔料としては特に制限はないが、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、アンチモン白、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドニウムエロー、カドニウムレッド、亜鉛、マンガン紫、コバルト紫、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。
本発明に併用できる染料は特に制限はなく、酸性染料、塩基性染料、直接染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、反応染料、分散染料等が挙げられる。中でも有機溶剤に可溶なものであれば良いが、有機溶剤に不溶な染料でも分散体とする事で適宜使用することができる。
前記において有機溶剤に不溶な染料はよく知られた処方として、例えば酸性染料や塩基性染料の場合は、有機アミン化合物(例えばn−プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等)を反応させアミン塩染料に変性するか、又はそのスルホン酸基に同有機アミン化合物を反応させてスルホンアミド基を有する染料等に変性することが知られている。それらアミン変性した染料も本発明の着色樹脂組成物に使用可能である。その具体的な染料としては、カラーインデックスで、例えば、ソルベントブルー2、3、4、5、6、23、35、36、37、38、43、48、58、59、67、70、78、98、102、104、ベーシックブルー7、アシッドブルー80、83、90、バイオレット染料としてソルベントバイオレット8、9、バイオレット4、5、14、ベーシックバイオレット10等が挙げられる。
フォトグラフィー法に用いられる本発明の着色樹脂組成物に添加される光重合開始剤としては、露光光源として一般的に用いられる超高圧水銀灯から射出される紫外線に充分感度を有するものが好ましく、ラジカル重合性の光ラジカル開始剤、イオン硬化性の光酸発生剤もしくは光塩基発生剤等が挙げられる。光重合では、より少ない露光エネルギーで硬化をさせるような増感剤と呼ばれる重合促進剤の成分を組み合わせて使用することができる。使用できる光重合開始剤は特に制限は無いが、具体例としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2−ブトキシエチル−4−メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ジメチルアミノメチルベンゾエート、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル)−1,3,5−s−トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、ジアゾナフトキノン系開始剤、また市販のカヤキュアーDMBI、カヤキュアーBDMK、カヤキュアーBP−100、カヤキュアーBMBI、カヤキュアーDETX−S、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬製)、ダロキュアー1173、ダロキュアー1116(いずれもメルクジャパン製)、イルガキュアー907、イルガキュアー369(BASF・ジャパン製)、イルガキュアー379EG(BASF・ジャパン製)、イルガキュアーOXE−01(BASF・ジャパン製)、イルガキュアーOXE−02(BASF・ジャパン製)、イルガキュアーPAG103(BASF・ジャパン製)、TME−トリアジン(三和ケミカル製)、ビイミダゾール(黒金化成製)、STR−110、STR−1(いずれもレスペケミカル製)等が挙げられる。
インクジェット法等で用いられる熱硬化性樹脂組成物の場合は、一般に熱重合開始剤が用いられるが、必要により光重合開始剤を併用しても良い。熱重合開始剤としてはアゾ系化合物や有機過酸化物系のものがあるが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ジ−t−ブチル、ジベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、必要に応じて単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分を100質量部としたとき0.5〜50質量部、好ましくは1〜25質量部である。
本発明に用いる有機溶剤は、着色樹脂組成物の構成成分であるバインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤等に対して十分な溶解力を有し、バインダー樹脂の合成に用いる単官能のモノマーや重合開始剤等に対しても十分な溶解力を有するものが使用できる。また、顔料分散体を作成する際にも分散安定性を保つことができるものが使用できる。
本発明に用いる有機溶剤は、使用可能であれば、特に制限はないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類;メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
これらは単独もしくは2種以上組み合わせて使用してもよい。また、有機溶剤の使用量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して好ましくは40〜10000質量部であり、100〜1000質量部がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、前記の、バインダー樹脂、硬化剤、光重合開始剤、特定の色材化合物、有機溶剤等を、ディゾルバーやホモミキサー等により混合撹拌して製造される。又、必要に応じて他の顔料や染料を加えることもできるが、顔料や溶解性の低い染料である場合は、適当な分散剤を用いてペイントシェーカー等の分散機により分散体を得て、着色樹脂組成物に加えて混合される。
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、さらに各種添加剤、例えば、充填剤、界面活性剤、熱重合防止剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を添加することができる。又、本発明の着色樹脂組成物は、その調製後に異物等を取り除くためフィルター等で精密濾過することも出来る。
次に本発明の着色樹脂組成物からその硬化物を調製する方法について説明する。先ず、本発明の着色樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、スリットアンドスピン法、ダイコート法、バーコート法等により、膜厚が約0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜5μmになるように塗布し、必要に応じて、減圧チャンバー内で、乾燥条件、温度23〜150℃下で時間1〜60分、より好ましくは温度60〜120℃下で時間1〜10分で減圧乾燥を行い、さらにホットプレートもしくはクリーンオーブン等でプリベーク処理を行い製膜する。次に一般的なフォトリソグラフィー法により所定のマスクパターンを通して放射線(例えば電子線、紫外線。好ましくは紫外線)を照射し、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、又は界面活性剤とアルカリ剤の混合水溶液で現像する。現像方式には、ディップ法、スプレー法、シャワー法、パドル法、超音波現像法等あるが、これらのいずれかを組み合わせても良い。現像により未照射部を取り除き、水でリンスした後、ポストベーク処理、処理は例えば、温度130〜300℃下で時間1〜120分、より好ましくは温度150〜250℃下で時間1〜30分の条件で行い、本発明の着色硬化膜からなる画素を得る。
上記において界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が使用出来る。又、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が使用される。本発明においては、アルカリ剤と界面活性剤の両方を含む水溶液の使用が好ましい。現像は、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃の処理温度下で、通常30〜600秒、好ましくは30〜120秒の処理時間で行われる。
本発明の着色樹脂組成物の硬化物は液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいはデジタルカメラ等に使用される固体撮像素子、等に好適なカラーフィルターとして有用であり、そのカラーフィルターは前記のようにして調製された本発明の着色樹脂組成物の硬化物からなるパターン化された青色画素を有する。
本発明の液晶表示装置は、例えば、バックライト、偏光フィルム、表示電極、液晶、配向膜、共通電極、本発明のカラーフィルター、偏光フィルム等がこの順に積層した構造で作製される。また、有機ELディスプレイについては多層の有機発光素子の上もしくは下のどちらか一方にカラーフィルターを形成して作製される。固体撮像素子については、例えば、転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエーハーの上に、本発明のカラーフィルター層を設け、ついでマイクロレンズを積層することにより作製される。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは無い。尚、実施例中、「%」は特定しない限り「質量%」を意味する。また、分光特性を分光光度計「島津製作所UV−3150」により分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度を算出し、着色体の耐性を評価した。
合成例1 (化合物2−Aの合成について)
(1)1−ブロモナフタレン(12.42g、0.06mol)とシクロへキシルアミン(6.55g、0.06mol)、ナトリウムt−ブトキシド(8.07g、0.08mol)、Pd2(dba)3(東京化成工業製(トリスジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、0.003eq.対1−ブロモナフタレン)、BINAP(東京化成工業製(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、0.008eq.対1−ブロモナフタレン)をトルエン120mlに溶解し、65℃で3時間撹拌した。その後室温に戻して反応液をカラムろ過し、濾液を減圧留去することで上記化合物1(12.8g、94%)を得た。
(3)合成例1−(2)で得られた化合物2(2.5g、0.004mol)を水2mlとメタノール30mlの混合溶液に溶解し、攪拌しながら、DMF2mlとメタノール10mlの混合溶液にトリストリフルオロメタンスルホニルメチドのセシウム塩2.87gを溶解させた溶液を加えた。3時間、60℃で加熱撹拌した後、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、青色の結晶である化合物2のトリストリフルオロメタンスルホニルメチド塩(トリアリールメタン化合物2−A)2.8gを得た。
合成例2 (化合物4−Aの合成について)
(1)1−ブロモナフタレン(12.42g、0.06mol)と3−アミノペンタン(5.75g、0.06mol)、ナトリウムt−ブトキシド(8.07g、0.08mol)、Pd2(dba)3
(0.003eq.対1−ブロモナフタレン)、BINAP(0.008eq.対1−ブロモナフタレン)をトルエン120mlに溶解し、70℃で5時間撹拌した。その後、室温に戻して反応液をカラムろ過し、濾液を減圧留去することで上記化合物3(12.2g、95%)を得た。
(0.003eq.対1−ブロモナフタレン)、BINAP(0.008eq.対1−ブロモナフタレン)をトルエン120mlに溶解し、70℃で5時間撹拌した。その後、室温に戻して反応液をカラムろ過し、濾液を減圧留去することで上記化合物3(12.2g、95%)を得た。
(3)合成例2−(2)で得られた化合物4(3.0g、0.005mol)を水10mlとメタノール40mlの混合溶液に溶解し、攪拌しながら、DMF3mlとメタノール20mlの混合溶液にトリストリフルオロメタンスルホニルメチドのセシウム塩2.94gを溶解させた溶液を加えた。3時間、60℃で加熱撹拌した後、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、青色の結晶である化合物4のトリストリフルオロメタンスルホニルメチド塩(トリアリールメタン化合物4−A)3.5gを得た。
合成例3 (化合物8−Aの合成について)
(1)N-エチルアニリン(12.12g、0.10mol)、ブロモシクロヘキサン(97.83g、0.60mol)、炭酸カリウム(48.37g、0.35mol)、ヨウ化銅(1.90g、0.01mol)をDMF10mlに溶かし、120℃で3日間反応させた。室温に戻した後、濾過して無機塩をジクロロメタンで洗浄した。濾液を減圧濃縮することで粗生成物を得た。これを減圧蒸留により精製し、目的物である化合物5(11.45g、56%)を得た。
(5)合成例3−(4)で得られた化合物8(3.93g、0.006mol)を水10mlとメタノール40mlの混合溶液に溶解し、攪拌しながら、DMF3mlとメタノール20mlの混合溶液にトリストリフルオロメタンスルホニルメチドのセシウム塩3.21gを溶解させた溶液を加えた。3時間撹拌した後、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、青色の結晶である化合物8のトリストリフルオロメタンスルホニルメチド塩(トリアリールメタン化合物8−A)1.62gを得た。
合成例4 (バインダー樹脂(共重合体)の調製)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160g、メタクリル酸10g、ベンジルメタクリレート33g、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1gを仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80〜85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、共重合体(A)を得た。得られた共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160g、メタクリル酸10g、ベンジルメタクリレート33g、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1gを仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80〜85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、共重合体(A)を得た。得られた共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
実施例1
バインダー樹脂として共重合体(A)5.4g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPHA(日本化薬製)6g、光重合開始剤としてイルガキュアー907(BASF・ジャパン製)1.5gおよびカヤキュアーDETX−S(日本化薬製)0.6g、染料として合成例1−(3)で得られた化合物2−A 1.2g、溶剤としてシクロヘキサノン20gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.6g、それぞれを混合し、青色の本発明の着色樹脂組成物を得た。
バインダー樹脂として共重合体(A)5.4g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPHA(日本化薬製)6g、光重合開始剤としてイルガキュアー907(BASF・ジャパン製)1.5gおよびカヤキュアーDETX−S(日本化薬製)0.6g、染料として合成例1−(3)で得られた化合物2−A 1.2g、溶剤としてシクロヘキサノン20gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.6g、それぞれを混合し、青色の本発明の着色樹脂組成物を得た。
実施例2から4については以下の通りとした。
実施例2:化合物2−Aを合成例2−(3)の化合物4−Aに変更する以外は実施例1と同じ組成とした。
実施例3:化合物2−Aを合成例3−(5)の化合物8−Aに変更する以外は実施例1と同じ組成とした。
実施例4:実施例2に下記比較例1の青色顔料分散液19gを加えて、本発明の青色着色樹脂組成物を得た。
実施例2:化合物2−Aを合成例2−(3)の化合物4−Aに変更する以外は実施例1と同じ組成とした。
実施例3:化合物2−Aを合成例3−(5)の化合物8−Aに変更する以外は実施例1と同じ組成とした。
実施例4:実施例2に下記比較例1の青色顔料分散液19gを加えて、本発明の青色着色樹脂組成物を得た。
比較例1
C.I.ピグメントブルー15:6/アジスパーPB821/ソルスパース5000/PGMEA=15.0/6.0/1.0/78.0(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズ400質量部を添加し、ペイントシェーカーで60分間処理を行い、ろ過することにより、青色顔料分散液を得た。
C.I.ピグメントブルー15:6/アジスパーPB821/ソルスパース5000/PGMEA=15.0/6.0/1.0/78.0(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズ400質量部を添加し、ペイントシェーカーで60分間処理を行い、ろ過することにより、青色顔料分散液を得た。
比較例2:化合物2−AをBasic Blue 7に変更する以外は実施例1と同じ組成とした。
上記で得られた着色樹脂組成物(実施例1〜4)を前記基板上に塗布し、80℃×100秒の条件でプレベークした後、マスクを介して露光による硬化後、界面活性剤を含有するアルカリ水溶液で現像し、水でリンス後、200℃にて加熱し青色パターンを得た。得られた青色パターンは、ラインアンドスペースにて5μm角の解像性を持ち、残渣、画素の剥がれ等は確認されなかった。固体撮像素子用のカラーフィルターとして高解像性の性能が確認された。
耐熱性の評価について
耐熱性評価用の基板は、前記と同様にガラス基板に各組成物を塗布し、全面露光を行い、ポストベーク200℃で5分間処理をし、作成した。その後、以下に記載の通りに評価を行った。
まず、分光光度計により評価用基板の分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度を算出した。次に、評価用基板を200℃で60分間処理した後、再び分光透過率を測定し、色差(ΔEab)を算出して耐熱性を評価した。
耐熱性の結果を表1に示した。
耐熱性評価用の基板は、前記と同様にガラス基板に各組成物を塗布し、全面露光を行い、ポストベーク200℃で5分間処理をし、作成した。その後、以下に記載の通りに評価を行った。
まず、分光光度計により評価用基板の分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度を算出した。次に、評価用基板を200℃で60分間処理した後、再び分光透過率を測定し、色差(ΔEab)を算出して耐熱性を評価した。
耐熱性の結果を表1に示した。
表1は耐熱性の評価結果であるが、本発明の実施例1〜4は同じ染料の比較例2と比べるといずれも良好な結果を示している。比較例1については顔料であるので当然の結果といえる。実施例4については顔料との混合であるため、同様に耐性が良好な結果となっている。しかしながら顔料と混合しても特に析出することなく良好な結果となっており、本発明の染料系色材化合物の幅広い適用性を示している。
以上より、本発明は、特定の青色染料系色材化合物を用いた青色着色樹脂組成物によりカラーフィルターを形成することができ、得られたカラーフィルターは明度が高く、かつ十分な耐性を有しているので高品位で信頼性の高い鮮明な青色画素を得ることができる。また用途に応じて顔料とも良好に混ぜ合わせて使用することができ、幅広い適用性を示しているので、産業上価値の高いことが分かった。
Claims (6)
- 銅フタロシアニン系顔料を含有する請求項1に記載の着色樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の着色樹脂組成物を用い、パターニングされてなるカラーフィルター用着色硬化膜。
- 請求項3に記載のカラーフィルター用着色硬化膜からなるカラーフィルター。
- 請求項4に記載のカラーフィルターを装着してなる液晶表示装置および有機ELディスプレイ。
- 請求項4に記載のカラーフィルターを装着してなる固体撮像素子。
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