JPWO2011145145A1 - フラックス投入装置、連続鋳造設備、フラックス投入方法、及び連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、パウダーを供給する投入ホッパーと、この投入ホッパーに接続された投入シュートとを備え、しかも、この投入シュートに、パウダーの安息角に若干プラスした角度を加えた傾斜が付与されたパウダー投入装置が開示されている。このパウダー投入装置によれば、パウダーを、投入シュートを介して自重で落下させることで、鋳型内へ散布できる。
また、特許文献2には、パウダーを鋳型内に散布する旋回シュートと、この旋回シュートの先端部に設けられて鉛直上下方向に動作可能な可動式先端シュートとを備えたパウダー投入装置が開示されている。さらに、このパウダー投入装置は、振動機構を有し、パウダーを、その自由落下に頼ることなく鋳型内に投入することができる。このパウダー投入装置によれば、旋回シュートの旋回と同時に可動式先端シュートを鉛直上下方向に動作させることができるので、パウダーを鋳型内に安定供給できる。
例えば、特許文献3に開示された鋳造パウダー供給装置では、搬送管を直列に2本連通接続し、搬送管と移送管との間、及び両搬送管同士の間を、それぞれ水平旋回自在に連結している。さらに、各連結部に駆動モータを設けるとともに、搬送管の最先端に対して屈曲させた状態で散布ノズルを連通接続している。
また、特許文献4には、貯蔵タンクから切り出されたパウダーを撹拌した後、このパウダーをパウダー供給部へと圧送し、複数本に分岐した散布ノズルへパウダーを供給すると共に、パウダー切替え時にパウダー供給部に残存するパウダーを貯蔵タンクへと回収する、連続鋳造用パウダーの供給装置が開示されている。
さらに、特許文献5には、粉体貯留ホッパーと、第1貯蔵容器と、第2貯蔵容器と、機械的供給機とを有し、第1貯蔵容器と第2貯蔵容器の間を着脱可能な継ぎ手で繋いだ、連続鋳造用の粉体供給装置が開示されている。
すなわち、特許文献1に記載の装置では、投入シュートの傾斜角のみが規定され、パウダーの落下開始位置の、溶鋼湯面からの高さ範囲が規定されていない。よって、パウダーの落下開始位置の高さが高くなるに伴ってパウダーの溶鋼湯面衝突時の速度が増すため、あまり高くなりすぎると、パウダーが溶鋼の湯面に衝突することによる湯面変動が発生する可能性がある。このような場合、湯面変動に起因して鋳片の製品品質低下を招く恐れがあった。
また、特許文献2に記載の装置では、旋回シュート内のパウダーを、パウダーの自由落下を用いることなく、振動機構を用いて鋳型内に供給している。しかしながら、この装置では、振動機構等の装置が、作業者が鋳床作業をする際の障害となり、また設備費が高くなるという課題があった。更に、パウダーの自由落下を用いないため、パウダーを鋳型内に供給するのに時間を要し、パウダーを迅速に鋳型内の湯面に供給する必要がある場合に問題があった。
また、特許文献3に記載の装置では、中空パウダーや顆粒状パウダーを、スクリューフィーダを用いて搬送しているが、遠距離まで搬送する場合、鋳造状況に応じてスクリューフィーダを短時間で間欠運転すると、スクリューとこれを内蔵するパイプ内面との間に上記パウダーが噛み込まれて粉化する。この場合、粉化したパウダーを鋳型内に投入すると、パウダーの溶融特性が粉化前の元の状態から変化してしまい、鋳型内面の潤滑が不安定となり、操業トラブルが発生する懸念があった。
(1)本発明のフラックス投入装置は、フラックスを一時的に貯留する投入ホッパーと;この投入ホッパーに後端が接続されるとともに先端が鋳型内上方に位置するように傾斜配置された供給管と;を備えたフラックス投入装置であって、前記鋳型内の溶鋼湯面から前記投入ホッパーまでの高さ寸法Hが0.5m以上かつ3.0m以下であり;前記供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αが20度以上であり;前記投入ホッパーの前記フラックスの排出口と、前記供給管の前記先端の下部位置とを結ぶ仮想直線が前記水平方向に対してなす角度θが、54.6×H−0.5度以下である。
また、供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αが最適範囲に定められているので、供給管内でのフラックスの詰まりを防止できる。これにより、鋳型内の溶鋼湯面へのフラックス供給を、安価な供給管を用いて、作業の障害となることなく実施できると共に、溶鋼の湯面変動を抑制してさらなる製品品質の向上が可能となる。
一般的には、切出し用スクリューコンベアにより、中継ホッパーから投入ホッパー及び供給管を介してフラックス(例えば顆粒状パウダー)を鋳型内へ所定量ずつ供給すると(即ち、極短時間の間欠運転を行うと)、フラックスの粉化率が上昇する。このため、従来では、鋳型内へ供給したフラックスの溶融速度が不安定になり、溶鋼湯面に不均一な溶融層が形成され、安定的に凝固シェルの形成を促進できず、操業が不安定になっていた。一方、本発明では、搬送用スクリューコンベアを短時間の高速運転とし、切出し用スクリューコンベアの搬送距離を、搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短くしているので、切出し用スクリューコンベアを極短時間の間欠運転で用いても、貯蔵ホッパーから鋳型内に供給されるフラックスの粉化を抑制することができる。その結果、フラックスの粉化防止と安定供給との両立が図れる。従って、フラックスを鋳型内へ供給した際の滓化性及び潤滑性や保温性を良好な状態に維持し、安定した鋳造を実施できる。
また、供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αを最適範囲に定めるので、供給管内でのフラックスの詰まりを防止できる。これにより、鋳型内の溶鋼湯面へのフラックス供給を、安価な供給管を用いて、作業の障害となることなく実施できると共に、溶鋼の湯面変動を抑制してさらなる製品品質の向上が可能となる。
一般的には、切出し用スクリューコンベアにより、中継ホッパーから投入ホッパー及び供給管を介してフラックス(例えば顆粒状パウダー)を鋳型内へ所定量ずつ供給すると(即ち、極短時間の間欠運転を行うと)、フラックスの粉化率が上昇する。このため、従来では、鋳型内へ供給したフラックスの溶融速度が不安定になり、溶鋼湯面に不均一な溶融層が形成され、安定的に凝固シェルの形成を促進できず、操業が不安定になっていた。一方、本発明では、搬送用スクリューコンベアを短時間の高速運転とし、切出し用スクリューコンベアの搬送距離を、搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短くしているので、切出し用スクリューコンベアを極短時間の間欠運転で用いても、貯蔵ホッパーから鋳型内に供給されるフラックスの粉化を抑制することができる。その結果、フラックスの粉化防止と安定供給との両立が図れる。従って、フラックスを鋳型内へ供給した際の滓化性及び潤滑性や保温性を良好な状態に維持し、安定した鋳造を実施できる。
図1及び図2に示すように、本実施形態のフラックス投入方法を用いた連続鋳造方法は、フラックス(以下、パウダー10)を、斜め下方へ向けて傾斜させた筒状の供給管11を通して自重落下させ、鋳型12内の溶鋼湯面13上に供給しながら鋳片を製造する方法であり、鋳込床での作業の障害となることなく、簡単な構成で溶鋼の湯面変動を抑制でき、鋳片の製品品質を向上できる方法である。
前記フラックス投入装置1は、移送管17から送られてきたパウダー10を受け入れるパウダー投入ホッパー18と、このパウダー投入ホッパー18の下端に接続されて傾斜配置された供給管11とを備えている。供給管11は、その後端がパウダー投入ホッパー18に接続される一方、先端が鋳型12の内部上方に位置するように傾斜配置されている。
供給管11は、パウダー投入ホッパー18の下端位置から、溶鋼湯面13へ向けて傾斜した配管であり、パウダー10を自由落下させることを前提としている。供給管11の構成及び配置の詳細について以下に説明する。
ここで、最小傾斜角度αが20度未満の場合、パウダー10の種類によってばらつきがあるものの、供給管11内でパウダー10の詰まりが発生する虞が高い。また、最小傾斜角度αが20度未満の場合、鋳込床で作業者が作業する際の邪魔となる。このため、最小傾斜角度αを、30度以上、更には35度以上とすることがより好ましい。
また、本実施形態では、供給管11を構成する直管に、鉛直方向に配置された直管21,23を含めているが、これら直管21,23を使用することなく、水平方向に対する傾斜角度が20度以上かつ90度未満で傾斜配置された直管のみを使用してもよい。
更に、供給管11は、直管のみに限らず、円弧状となった1本又は2本以上の湾曲管で構成してもよい(図示略)。この場合の最小傾斜角度αは、前記湾曲管の下流側端部における接線が水平方向に対してなす角度で表される。なお、湾曲管は、供給管11を構成する複数の直管の1部として使用することもできる。
まず、パウダーが溶鋼湯面に衝突した際の湯面衝突速度Vとその時の湯面変動量との関係について、図3を参照しながら説明する。なお、パウダーには、中空パウダーと顆粒パウダーの2種類を使用した。
一般的には、湯面変動量が小さいと鋳片品質(気泡、介在物などの内質欠陥)が向上する。
図3から明らかなように、鋳造速度が0.6m/分以上の場合、パウダーの湯面衝突速度Vが概ね3.4m/秒を超えると湯面変動量の増加が顕著になる。このことから、パウダーの湯面衝突速度Vを3.4m/秒以下とする必要があることが分かった。
また、鋳造速度が0.6m/分以上の場合(以下、ケース1)と、鋳造速度が0.3〜0.5m/分の場合(以下、ケース2)とを比較すると、ケース1の方がケース2よりも湯面衝突速度の減少効果が大きかった。すなわち、湯面衝突速度が4m/秒から3.4m/秒に減少させた場合における湯面変動量の減少割合を両者で比較してみると、ケース2における湯面変動量の減少割合が約1/2(=2mm/4mm)であるのに対して、ケース1における湯面変動量では1/3(=5mm/15mm)となり、ケース1の方がケース2よりも大幅な改善が見られる事が確認された。したがって、鋳造速度が0.6m/分以上の場合の方が、本発明の効果をより発現できることが確認された。
以上より、本実施形態によれば、湯面変動量を5mm以下に抑制できるため、好ましい鋳片品質を維持することができる。
図4には、パウダー10の湯面衝突速度Vが3.4m/秒以下となるように、なす角度θ及び高さ寸法Hを変えた場合の実験結果(図中の○印)と、この実験結果にフィットする曲線を計算で求めた実線とを示している。この実線は、近似線であり、θ=54.6×H−0.5の関係を有している。
このように、θ=54.6×H−0.5が、湯面変動量を5mm以下に保つための臨界条件となるため、なす角度θを54.6×H−0.5度以下(θ≦54.6×H−0.5)にした。
この図4から明らかなように、湯面変動量の測定結果は、前記した計算結果とよく合致していた。また、中空と顆粒のいずれのパウダーを使用した場合でも、なす角度θを規定することで、湯面変動量5mm以下を達成できた。なお、中空パウダーを使用した場合に特にばらつきが小さく、湯面変動量の予測精度が高まったことから、中空パウダーを使用することが特に好ましい。
なお、供給管11の使用環境等を考慮すれば、高さ寸法Hの下限を1mとすることが好ましい。また、湯面変動量を更に抑制するためには、なす角度θを、50×H−0.5度以下、更には、なす角度θを45×H−0.5度以下にすることがより好ましい。
例えば、鋳片を製造する鋳型12の内部空間は、平面視した場合に、250mm程度の短辺と1000mm程度の長辺とを持つ長方形形状を有している。そして、この鋳型12内に配置される浸漬ノズル20の外径寸法は、120mm程度である。供給管11は、鋳型12の長辺側から、長辺をなす内壁面と浸漬ノズル20との間に向けてパウダー10を供給するため、65mm(=(250mm−120mm)/2)程度の隙間に、パウダー10を供給することになる。
一方、供給管11の先端位置Pを、前記内壁面位置Fよりも鋳型12の外方へ200mmを超える位置に配置した場合、湯面衝突速度が3.4m/秒以下の条件下では、パウダー10を鋳型12内へ確実に落下させることができない。このため、パウダー10は鋳型12の周辺に撒き散らされることになり、鋳型12の下流側に配置された連続鋳造機の冷却ノズル(不図示)の詰まりや粉塵環境の悪化の原因となる恐れがある。
なお、供給管11の先端位置Pの水平方向及び高さ方向の位置決めは、実際にパウダー10を供給して決定してもよいが、供給管11から飛び出したパウダー10の速度等を運動方程式に代入してシミュレーションを行い、その結果に基づいて決定してもよい。
供給管11内に補助的な気体の吹込みを行うと、使用するパウダーの種類(例えば、中空、顆粒、粉末等の状態や粒径)によっては生じる虞がある供給管11内の詰まりを確実に防ぐことができる。すなわち、供給管11内に補助的に気体を吹込むことで、供給管11内におけるパウダー10の流れを促進し、より安定的にパウダー10を鋳型12内へ供給することができる。
以上より、供給管11内に流す気体の適正流量を、供給管11内の断面積1cm2あたり、0を超え3リットル/分以下とした。なお、この気体の適正流量は、下限を1リットル/分、上限を2リットル/分とすることがより好ましい。
ここで、鋳造速度が0.6m/分未満の場合、鋳型12内の溶鋼湯面13の流れが遅く、湯面変動量が元々小さいため、パウダー供給の際の湯面変動の抑制効果が顕著に現れない。一方、鋳造速度が速くなるに伴って、本発明によるパウダー供給の際の湯面変動の抑制効果が顕著に現れるため、上限値については規定していないが、通常の操業で用いられている鋳造速度である例えば3m/分を上限としてもよい。
上述の理由により鋳片の鋳造速度の下限値を0.6m/分にしたが、0.8m/分とすることがより好ましく、1.0m/分とすることが更に好ましい。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明の第2実施形態を以下に説明する。
図5に示すように、本実施形態の連続鋳造設備は、連続鋳造用モールドパウダーの搬送装置110と、この搬送装置110の搬送用スクリューフィーダ118等の運転制御を行う制御装置(不図示)と、鋳型12等を備える。
まず、本実施形態に係るフラックス投入方法を用いたフラックス投入装置と、このフラックス投入装置を備えた連続鋳造設備と、この連続鋳造設備による連続鋳造方法とについて、以下に説明する。
中継ホッパー115の上流側に位置する2つのスクリューフィーダ112及び114は、搬送用スクリューフィーダ(搬送用スクリューコンベアの一例)118を構成する。なお、各スクリューフィーダ112,114及び切出し用スクリューフィーダ116は、それらの搬送管の内径寸法やスクリュー(不図示)の構成が同一であるが、異なっていてもよい。
この貯蔵ホッパー111の下端部には、この下端部より斜め上方に向かって傾斜配置されたスクリューフィーダ112の上流側端部が取付けられている。スクリューフィーダ112は、貯蔵ホッパー111内の顆粒状パウダーを斜め上方に向けて搬送して連結ホッパー113を通過させる。そして、連結ホッパー113を通過した顆粒状パウダーは、スクリューフィーダ114により中継ホッパー115まで搬送される。なお、連結ホッパー113は、顆粒状パウダーを通過させる機能のみを有するものであるが、顆粒状パウダーを一時的に貯留する機能を有するものでもよい。この場合、連結ホッパー113内の顆粒状パウダー量に応じて、隣り合うスクリューフィーダ112,114の運転を、連結ホッパー113を境として別々に制御できる。
本実施形態では、貯蔵ホッパー111と中継ホッパー115との間に、2つのスクリューフィーダ112,114を配置した場合について説明したが、図6に示すように、貯蔵ホッパー111に設けられた1本の搬送用スクリューフィーダ(搬送用スクリューコンベアの一例)119により、貯蔵ホッパー111と中継ホッパー115との間を直接接続してもよい。より具体的に言うと、貯蔵ホッパー111の下端に、1本の搬送用スクリューフィーダ119の上流側端部を接続し、さらにこの搬送用スクリューフィーダ119の下流側端部を中継ホッパー115に接続する。
この中継ホッパー115内には、図示しないレベル計が設置されており、中継ホッパー115内における顆粒状パウダーの貯留量を計測できる。
中継ホッパー115を設けることで、その上流側のスクリューフィーダ112,114は、中継ホッパー115内の顆粒状パウダーの量に応じて(すなわち、顆粒状パウダーの貯留量が予め設定した下限値を下回る前に)、貯蔵ホッパー111内の顆粒状パウダーを中継ホッパー115内へと搬送できる。
また、中継ホッパー115の下流側にある切出し用スクリューフィーダ116は、鋳造作業の進行状況に応じて、鋳型12内へ顆粒状パウダーを所定量ずつ搬送できる。
投入シュート121は、側面視してL字状に折れ曲がっているため、投入シュート121の投入ホッパー120との接続部分を、その鉛直方向に沿った軸心を中心として回動させることで、顆粒状パウダーを鋳型12内の溶鋼湯面13に円弧状に散布できる。
なお、貯蔵ホッパー111から鋳型12の上端部までの距離(顆粒状パウダーの搬送距離)は、例えば、7m以上かつ30m以下である。ここで、前記距離が7m未満の場合、鋳型12が設置された鋳床の作業スペースを十分に確保できない。一方、前記距離が30mを超える場合、各スクリューフィーダを用いて顆粒状パウダーを遠隔搬送する際の、顆粒状パウダーの粉化率が急上昇する。したがって、前記距離としては、7m以上かつ30m以下であることが好ましい。
本実施形態の連続鋳造方法では、連続鋳造に用いる顆粒状パウダーを、貯蔵ホッパー111から、搬送用スクリューフィーダ118、連結ホッパー113、そしてスクリューフィーダ114を介して中継ホッパー115に搬送する。さらに、この中継ホッパー115から、切出し用スクリューフィーダ116、投入ホッパー120、そして投入シュート121を介して、鋳型12内へ所定量ずつ供給する。この際、本実施形態のフラックス投入方法によれば、顆粒状パウダーの粉化を抑制、更には防止することができる。
顆粒状パウダーは、例えば、内部に空間が形成された中空状のもの等であり、その平均粒径が、200μm以上400μm以下(更には、下限が250μm、上限が350μm)程度のものである。なお、本実施形態で使用する顆粒状パウダーは、従来公知のパウダーである、内部に空間が形成された中空状のものや、顆粒状のものを含むが、粉末状の粉末パウダーだけは除外される。
まず、中継ホッパー115の上流側にある搬送用スクリューフィーダ118を構成するスクリューフィーダ114とスクリューフィーダ112とを順次稼働させることで、顆粒状パウダーを、貯蔵ホッパー111から中継ホッパー115へと搬送する。この搬送は、中継ホッパー115内に設けられた前記レベル計により、中継ホッパー115内の顆粒状パウダーの貯留量が予め設定した下限値以下になったことが検知された場合に、自動的に行われる。これにより、中継ホッパー115内の顆粒状パウダーの貯留量を自動的に回復させることができる。
これにより、投入シュート121を投入ホッパー120の鉛直方向に沿った軸心を中心として回動させることで、顆粒状パウダーを、投入ホッパー120から投入シュート121を介して、鋳型12内へ満遍なく散布できる。
一方、投入ホッパー120へ顆粒状パウダーを搬送する切出し用スクリューフィーダ116は、鋳造作業の進行状況に応じて運転される。このため、顆粒状パウダーの搬送と停止を、頻繁かつ短時間で間欠的に行う必要があり、切出し用スクリューフィーダ116の稼働率は極めて高い(以下、高稼働とも言う)。
具体的には、低稼働の搬送用スクリューフィーダ118は、例えば10分以上かつ30分以下の時間間隔で1回、2分以上かつ5分以下の短時間運転(即ち、連続運転)で、しかも、顆粒状パウダーの搬送量を、例えば、1分あたり1kg以上かつ20kg以下とする高速運転を行うことができる。また、高稼働の切出し用スクリューフィーダ116は、例えば、10秒以上かつ1分以下の時間間隔で1回、10秒以上かつ1分以下の極短時間運転(即ち、間欠運転)で、しかも、顆粒状パウダーの搬送量を、例えば、1分あたり0.1kg以上かつ3kg以下として、搬送用スクリューフィーダ118の搬送量よりも少なくする低速運転を行うことができる。
図7は、顆粒状パウダーを連続的に搬送する連続運転モードと、極短時間で間欠的に搬送する間欠運転モードとの2つの運転モードについて調査した結果を示している。なお、調査した各運転モードにおけるスクリューフィーダのスクリューの回転数は、90rpm(回転数/分)と400rpmの2つである。
また、図7に示す顆粒状パウダーの粉化率は、搬送後の顆粒状パウダーを、搬送前の顆粒状パウダーの平均粒径よりも細かい篩目を備えた篩にかけ、篩下の顆粒状パウダー(即ち、粉化した顆粒状パウダー)の重さを測り、この測定値を、搬送した全顆粒状パウダーの重さで除算して求めた。ここでは、搬送前の顆粒状パウダーの平均粒径が300μm程度であったため、篩目の大きさが顆粒状パウダーの平均粒径の70%以下(ここでは、210μm)の篩を用いた。
一方、スクリューフィーダを間欠運転した場合、顆粒状パウダーの粉化率は、顆粒状パウダーの搬送距離が長くなるに伴い、急激に増加する傾向が見られた。なお、スクリューの回転数を速くすることで、粉化率の上昇速度も、更に急激に上昇している。
以上のことから、スクリューフィーダを極短時間で間欠運転した場合は、顆粒状パウダーの粉化率が上昇し、安定した鋳造を実施できない恐れがあることが判った。
なお、安定した鋳造を実施するためには、鋳型12内に供給される顆粒状パウダーの粉化率を15質量%以下に低減するのが好ましい。
このため、図7から、顆粒状パウダーの粉化率に最も影響を及ぼす切出し用スクリューフィーダ116の搬送距離を7m以下にするのが良いが、他の搬送用スクリューフィーダ118による粉化率も考慮すれば、切出し用スクリューフィーダ116の搬送距離を更に短く(5m以下)するのが好ましい。なお、切出し用スクリューフィーダ116の長さが短くなるに伴い、顆粒状パウダーの粉化率も急激に低下するため、下限値については規定していないが、作業スペースの確保等を考慮すれば、2m(更には3m)程度を最短長さとして用いることが出来る。
まず、図8に、図5に示す搬送用スクリューフィーダ118を構成する各スクリューフィーダ112,114の運転方法と、切出し用スクリューフィーダ116の運転方法とを示す。
ここでは、貯蔵ホッパー111から中継ホッパー115までの間に配置された各スクリューフィーダ112,114の合計搬送距離を6mとし、中継ホッパー115から投入ホッパー120までの間に配置された切出し用スクリューフィーダ116の搬送距離を4mとした。その結果、切出し用スクリューフィーダ116の搬送距離は、搬送用スクリューフィーダ118の搬送距離よりも短くなっている。
一方、中継ホッパー115から投入ホッパー120までの間の切出し用スクリューフィーダ116を高稼働とした(すなわち、高稼働フィーダとして機能させた)。具体的には、スクリューを90rpmの回転数で30〜40秒間回転させる連続運転を、30〜40秒間隔で間欠的に行った。この時の顆粒状パウダーの搬送量は、1回あたり約1kgであった。
ここでの粉化率は、搬送前の顆粒状パウダーの平均粒径が300μm程度であったため、篩目の大きさが210μmの篩を用いて求めた。
図9から明らかなように、中継ホッパー115を設け、その上流側に配置した搬送用スクリューフィーダ118と下流側に配置した切出し用スクリューフィーダ116の運転方法を変えることで、顆粒状パウダーの粉化率を、目標値である15質量%以下に抑えられることが確認できた。なお、比較例では、粉化率が30質量%程度まで上昇していた。
これにより、顆粒状パウダーが鋳型12内での溶融速度を安定させることができ、溶鋼湯面13に均一な溶融層を形成させて鋳型12の内壁面と凝固シェルとの間に流入させ、凝固シェルの生成を安定して促進させることができるので、鋳造を安定に実施できる。従って、顆粒状パウダーの粉化防止と安定供給の両立が図れ、安定した鋳造を実施できる。その結果、鋳片の製品品質を向上させることが可能となる。
上記第2実施形態においては、貯蔵ホッパー111と中継ホッパー115との間に配置される搬送用スクリューフィーダ118を、直列配置された2台のスクリューフィーダ112,114で構成した場合について説明したが、この構成のみに限らず、直列配置された3台以上(現実的には10台以下)のスクリューフィーダで構成してもよい。この場合、隣り合うスクリューフィーダの間に、各スクリューフィーダの下流側端部と上流側端部とを接続する連結ホッパーを設けるのが好ましい。
11 供給管
12 鋳型
13 溶鋼湯面
14 タンディッシュ架台
15 貯蔵ホッパー
16 降下管
17 移送管
18 パウダー投入ホッパー
19 タンディッシュ
20 浸漬ノズル
21〜24 直管
110 連続鋳造用モールドパウダーの搬送設備
111 貯蔵ホッパー
112 スクリューフィーダ
113 連結ホッパー
114 スクリューフィーダ
115 中継ホッパー
116 切出し用スクリューフィーダ(切出し用スクリューコンベア)
117 旋回装置(フラックス投入装置)
118,119 搬送用スクリューフィーダ(搬送用スクリューコンベア)
120 投入ホッパー
121 投入シュート(供給管)
一般的には、切出し用スクリューコンベアにより、中継ホッパーから投入ホッパー及び供給管を介してフラックス(例えば顆粒状パウダー)を鋳型内へ所定量ずつ供給すると(即ち、極短時間の間欠運転を行うと)、フラックスの粉化率が上昇する。このため、従来では、鋳型内へ供給したフラックスの溶融速度が不安定になり、溶鋼湯面に不均一な溶融層が形成され、安定的に凝固シェルの形成を促進できず、操業が不安定になっていた。一方、本発明では、搬送用スクリューコンベアを短時間の高速運転とし、切出し用スクリューコンベアの搬送距離を、搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短くしているので、切出し用スクリューコンベアを極短時間の間欠運転で用いても、貯蔵ホッパーから鋳型内に供給されるフラックスの粉化を抑制することができる。その結果、フラックスの粉化防止と安定供給との両立が図れる。従って、フラックスを鋳型内へ供給した際の滓化性及び潤滑性や保温性を良好な状態に維持し、安定した鋳造を実施できる。
また、供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αを最適範囲に定めるので、供給管内でのフラックスの詰まりを防止できる。これにより、鋳型内の溶鋼湯面へのフラックス供給を、安価な供給管を用いて、作業の障害となることなく実施できると共に、溶鋼の湯面変動を抑制してさらなる製品品質の向上が可能となる。
一般的には、切出し用スクリューコンベアにより、中継ホッパーから投入ホッパー及び供給管を介してフラックス(例えば顆粒状パウダー)を鋳型内へ所定量ずつ供給すると(即ち、極短時間の間欠運転を行うと)、フラックスの粉化率が上昇する。このため、従来では、鋳型内へ供給したフラックスの溶融速度が不安定になり、溶鋼湯面に不均一な溶融層が形成され、安定的に凝固シェルの形成を促進できず、操業が不安定になっていた。一方、本発明では、搬送用スクリューコンベアを短時間の高速運転とし、切出し用スクリューコンベアの搬送距離を、搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短くしているので、切出し用スクリューコンベアを極短時間の間欠運転で用いても、貯蔵ホッパーから鋳型内に供給されるフラックスの粉化を抑制することができる。その結果、フラックスの粉化防止と安定供給との両立が図れる。従って、フラックスを鋳型内へ供給した際の滓化性及び潤滑性や保温性を良好な状態に維持し、安定した鋳造を実施できる。
Claims (18)
- フラックスを一時的に貯留する投入ホッパーと;
この投入ホッパーに後端が接続されるとともに先端が鋳型内上方に位置するように傾斜配置された供給管と;
を備えたフラックス投入装置であって、
前記鋳型内の溶鋼湯面から前記投入ホッパーまでの高さ寸法Hが0.5m以上かつ3.0m以下であり;
前記供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αが20度以上であり;
前記投入ホッパーの前記フラックスの排出口と、前記供給管の前記先端の下部位置とを結ぶ仮想直線が前記水平方向に対してなす角度θが、54.6×H−0.5度以下である;
ことを特徴とするフラックス投入装置。 - 前記供給管が、互いに接続された複数の直管を有し;
これら直管のうち、前記水平方向に対する傾斜角度が最も小さいものの傾斜角度が、前記最小傾斜角度αである;
ことを特徴とする請求項1に記載のフラックス投入装置。 - 前記供給管の前記先端の前記水平方向における位置が、この供給管の真下位置における前記鋳型の内壁面位置を基準とした場合、前記鋳型の内方に向かって50mmの位置から、この鋳型の外方に向かって200mmの位置までの範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフラックス投入装置。
- 前記供給管内に、この供給管内の流路断面積1cm2あたり、0を超えて3リットル/分以下の流量で気体を吹き込む気体供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフラックス投入装置。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載のフラックス投入装置と、前記鋳型と、を備えたことを特徴とする連続鋳造設備。
- 前記鋳型による鋳片の鋳造速度が0.6m/分以上であることを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造設備。
- 前記フラックスを貯蔵する貯蔵ホッパーと;
この貯蔵ホッパーから前記フラックスを搬送する搬送用スクリューコンベアと;
この搬送用スクリューコンベアで搬送されてきた前記フラックスを受け入れる中継ホッパーと;
この中継ホッパーと前記投入ホッパーとの間に設けられた切り出し用スクリューコンベアと;
前記搬送用スクリューコンベアの運転制御を行う制御装置と;
をさらに備え、
前記切り出し用スクリューコンベアの搬送距離が、前記搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短く;
前記制御装置が、所定時間、前記搬送用スクリューコンベアによる搬送量を所定搬送量以上に制御する;
ことを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造設備。 - 前記切り出し用スクリューコンベアの搬送距離が7m以下であることを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造設備。
- 前記所定時間が2分以上かつ5分以下であり;
前記所定搬送量が、1kg/分以上かつ20kg/分以下の範囲内である;
ことを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造設備。 - 前記搬送用スクリューコンベアが、
複数のスクリューコンベアと;
これらスクリューコンベア間に配置された連結ホッパーと;
を備え、
前記制御装置が、前記各スクリューコンベアの搬送動作を個別に制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造設備。 - 傾斜配置された供給管を通してフラックスを落下させて鋳型内の溶鋼湯面に供給する方法であって、
前記溶鋼湯面から前記フラックスの落下開始位置までの高さ寸法Hを0.5m以上かつ3.0m以下とし;
前記供給管の水平方向に対する最小傾斜角度αを20度以上とし;
前記落下開始位置と前記供給管の先端下部の位置との間を結ぶ仮想直線が前記水平方向に対してなす角度θを、54.6×H−0.5度以下とする;
ことを特徴とするフラックス投入方法。 - 前記供給管内に、この供給管内の流路断面積1cm2あたり、0を超えて3リットル/分以下の流量で気体を吹き込む工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のフラックス投入方法。
- 請求項11または12に記載のフラックス投入方法を用いて前記鋳型内の前記溶鋼湯面に前記フラックスを供給する工程を含むことを特徴とする連続鋳造方法。
- 前記鋳型による鋳片の鋳造速度が0.6m/分以上であることを特徴とする請求項13に記載の連続鋳造方法。
- 前記フラックスを、このフラックスを貯蔵する貯蔵ホッパーから搬送用スクリューコンベアを介して中継ホッパーに搬送する工程と;
さらにこのフラックスを、前記中継ホッパーから切り出し用スクリューコンベア、前記投入ホッパー及び前記供給管を介して前記鋳型内へ供給する工程と;
を備え、
前記切り出し用スクリューコンベアの搬送距離を、前記搬送用スクリューコンベアの搬送距離よりも短くし;
前記搬送用スクリューコンベアの搬送量を、所定時間、所定搬送量以上とする;
ことを特徴とする請求項13に記載の連続鋳造方法。 - 前記切り出し用スクリューコンベアの搬送距離を7m以下とすることを特徴とする請求項15に記載の連続鋳造方法。
- 前記所定時間が2分以上かつ5分以下であり;
前記所定搬送量が、1kg/分以上かつ20kg/分以下の範囲内である;
ことを特徴とする請求項15に記載の連続鋳造方法。 - 前記搬送用スクリューコンベアが、複数のスクリューコンベアと、これらスクリューコンベア間に配置された連結ホッパーとを備え;
前記各スクリューコンベアの搬送動作を個別に制御する;
ことを特徴とする請求項15に記載の連続鋳造設備。
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