JPWO2011142247A1 - 燃料電池装置 - Google Patents

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Abstract

水素発生部材を有する燃料電池装置であって、水素発生部材での水素の発生を促進させることができ、且つ、発電効率が良い燃料電池装置を提供する。燃料極102、空気極103、及び燃料極102と空気極103との間に狭持される電解質膜101を有する発電部と、前記発電部の燃料極102に供給するための水素を水との酸化反応により発生する水素発生部材104と、水素発生部材104を加熱するヒータ105と、水素発生部材105の温度を検出する温度センサ106と、温度センサ106の検出結果に応じて水素発生部材104の温度を制御する温度制御部20とを備え、温度制御部20が、水素発生部材104の温度が所定の温度以上であると判断すると、ヒータ105の通電を停止させる燃料電池装置。

Description

本発明は、燃料電池装置に関し、特に水素発生部材を有する燃料電池装置に関する。
近年、携帯電話、携帯型情報端末、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型オーディオ、携帯型ビジュアル機器等の携帯用電子機器の多機能化、高性能化が進展するに伴い、その駆動用電池の大容量化に対する要求が高まってきている。従来、このような携帯用電子機器の駆動用電池としては、リチウム電池やニッカド電池が用いられているが、その容量は、限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、リチウム電池やニッカド電池に代わりエネルギー密度が高く大容量化が可能な燃料電池の開発が盛んに行われている。
燃料電池は、水素と酸素から水を生成した際に電力を取り出すものであり、原理的に取り出せる電力エネルギーの効率が高いため、省エネルギーになるだけでなく、発電時の排出物が水のみであるため、環境に優れた発電方式であり、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として期待されている。
このような燃料電池は、典型的には、固体ポリマーイオン交換膜を用いた固体高分子電解質膜、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質膜等を燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだものを1つのセル構成としている。そして、このような構成のセルには、燃料極に燃料ガス(例えば水素ガス)を供給する燃料ガス流路と、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を供給する酸化剤ガス流路とが設けられ、これらの流路を介して燃料ガス、酸化剤ガスがそれぞれ燃料極、酸化剤極に供給されることにより発電が行われる。
ところが、外部から燃料が供給される燃料電池装置では、燃料(例えば水素)を供給するためのインフラ整備が必要である。また、燃料として比較的入手が容易なメタノールを用いる場合においてもその流通には年月を要するといった問題がある。
そこで、このような問題に対応するため、特許文献1では、水を反応させることで水素を発生する水素発生部材を燃料電池本体に設け、その水素発生部材で発生した水素を燃料極に供給する燃料電池システムが提案されている。この燃料電池システムでは、水素発生のために必要となる水を燃料電池本体内で発電により生成された水から賄うため、水の携行が不要となる。そして、水素発生部材で発生した水素は燃料極に供給され、発電することによって酸化剤極側に水が生成されるといった循環の利用形態になるので、外部から水素を供給することを必要とせず発電動作を持続することが可能である。
特開2009−99491号公報 特開2010−27217号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている燃料電池システムは、水素発生部材を加熱する手段を有していないので、水素発生部材の温度が低い場合に水素が発生しにくいという問題を有している。
尚、特許文献2では、燃料電池の温度に応じて燃料である水素の供給圧力を制御する燃料電池システムが提案されているが、特許文献2で提案されている燃料電池システムでは、水素発生部材の温度制御に関する開示や示唆は一切ない。
本発明は、上記の状況に鑑み、水素発生部材を有する燃料電池装置であって、水素発生部材での水素の発生を促進させることができ、且つ、省エネルギーで発電効率が良い燃料電池装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る燃料電池装置は、燃料極、酸化剤極、及び前記燃料極と前記酸化剤極との間に狭持される電解質を有する発電部と、前記発電部の燃料極に供給するための水素を水との酸化反応により発生する水素発生部材と、前記水素発生部材を加熱する加熱手段と、前記水素発生部材の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果に応じて前記水素発生部材の温度を制御する温度制御手段とを備え、前記温度制御手段が、前記水素発生部材の温度が所定の温度以上であると判断すると、前記加熱手段の動作を停止させる構成とする。
本発明によると、水素発生部材を加熱することできるので、水素発生部材での水素の発生を促進させることができる。また、本発明によると、水素発生部材の温度が所定の温度以上であれば、水素発生部材を加熱する加熱手段の動作が停止するので、加熱手段でのエネルギー消費を抑えることができる。これにより、発電効率が向上する。
本発明の一実施形態に係る燃料電池装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池装置で行われる発電動作及び再生動作の流れを示す模式図である。 温度制御部の制御動作の一例を示すフローチャートである。 ヒータ通電停止タイミングを示す図である。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。尚、本発明は、後述する実施形態に限られない。
<<本発明の一実施形態に係る燃料電池装置の概略構成>>
最初に、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置の概略構成を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る燃料電池装置1は、図1に示すように、燃料電池本体10と、温度制御部20とを備えている。尚、図1において、燃料電池本体10は断面模式図で示し、温度制御部20はブロック図で示す。
燃料電池本体10は、電解質膜101と、燃料極102と、酸化剤極である空気極103と、水素発生部材104と、ヒータ105と、温度センサ106と、カバー部材107とを有している。また、燃料電池本体10は、電解質膜101の両面に燃料極102と空気極103を接合したMEA(Membrane Electrode Assembly;膜・電極接合体)構造である。
そして、燃料極102側には燃料極102に燃料ガスである水素を供給する水素発生部材104が設けられ、空気極103側には空気極103に酸化剤ガスである空気を供給する空気流路108が形成されている。本実施形態では、酸化剤ガスとして空気を用いているが、空気以外の酸素を含有するガスを酸化剤ガスとして用いることも可能である。
電解質膜101の材料としては、例えば、安定化イットリアジルコニウム(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用いることができ、また例えば、ナフィオン(デュポン社の商標)、カチオン導電性ポリマー、アニオン導電性ポリマー等の固体高分子電解質を用いることができるが、これらに限定されることなく、水素イオンを通すものや酸素イオンを通すもの、また、水酸化物イオンを通すもの等、燃料電池の電解質としての特性を満たすものであればよい。なお、本実施形態においては、電解質膜101として、酸素イオン又は水酸化物イオンを通す電解質、例えば安定化イットリアジルコニウム(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用い、発電時に燃料極102側に水を発生させるようにしている。この場合、発電時に燃料極102側に発生した水を用いた化学反応によって水素発生部材104から水素を発生させることができる。
電解質膜101は、固体酸化物電解質の場合であれば、電気化学蒸着法(CVD−EVD法;Chemical Vapor Deposition − Electrochemical Vapor Deposition)等を用いて形成することができ、固体高分子電解質の場合であれば、塗布法等を用いて形成することができる。
燃料極102、空気極103はそれぞれ、例えば、電解質膜101に接する触媒層と、その触媒層に積層された拡散電極とからなる構成にすることができる。触媒層としては、例えば白金黒或いは白金合金をカーボンブラックに担持させたもの等を用いることができる。また、燃料極102の拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、Ni−Fe系サーメットやNi−YSZ系サーメット等を用いることができる。また、空気極103の拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、La−Mn−O系化合物やLa−Co−Ce系化合物等を用いることができる。
燃料極102、空気極103はそれぞれ、例えば蒸着法等を用いて形成することができる。
水素発生部材104としては、酸化によって水素を発生するもの(例えばFeやMg合金等)を用いることができるが、本実施形態においては、酸化により水素を発生するFeを用いる。また、水素発生部材104は、水素を発生させるだけでなく、水素を吸蔵(吸着)できるものでもよい。水素発生部材104が水素を吸蔵(吸着)できるものである場合、水素発生部材104から水素を発生させた後、吸蔵(吸着)作業を行うことで、繰り返し水素発生部材104を用いることができる。燃料である水素を吸蔵できる材料としては、Ni、Fe、Pd、V、Mg等を基材料とする水素吸蔵合金を用いることができる。
ここで、水素発生部材104の水素を放出する放出面104aと燃料極102の水素が供給される供給面102aとは互いに対向し、図示しないビーズ等のスペーサにより一定の間隔で平行に配置される。水素発生部材104の放出面104aは水素を面状に放出し、この水素は燃料極102の供給面102aに均一に供給される。
具体的には、水素発生部材104の全面(放出面104aを除く)に接して配置されたヒータ105により、水素発生部材104全体の温度を一様に上昇させることで、放出面104aから水素を面状に放出させることができる。これにより、水素発生部材104は、その放出面104aの略全面から水素を燃料極102の供給面102aの略全面に向けて放出することができる。
また、水素発生部材104の水素発生速度は、放出面104a上の位置に依らず、略一定になるようにすることが望ましい。具体的には熱化学平衡を用いる。水素発生部材104の温度を昇降させると、平衡状態からのずれに応じた水素を発生させることができるので、水素発生部材104全体の温度をヒータ105を用いて均一にすることで、場所に依らず一定の速度で水素を発生させることができる。
また、化学平衡を用いる場合、燃料極102と水素発生部材104との間の空間部111の電池起動時の水素濃度を場所に依らず一定にしておくことで、水素発生部材104の水素発生速度を一定にすることができる。これは、以下のような現象が起こることによるものである。
電池起動時の水素濃度が場所に依らず一定であれば、電極から発生する電力が一定となる。つまり、水素の消費量も場所に依らず一定となる。この場合、消費された水素によって化学平衡がずれ、そのずれ量に応じた水素が新たに水素発生部材104から発生する。水素の消費量が場所に依らず一定なので、水素発生部材104からの水素発生速度も場所に依らず一定になる。
尚、電池起動時の水素濃度を場所に依らず一定にする方法は、予め燃料極102と水素発生部材104との間の空間部111に水素を封入しておけばよい。封入された水素は、自然に拡散し、封入した空間部111内での濃度が一定になるため、水素濃度を場所に依らず一定にすることができる。
上記のように、水素発生部材104の水素発生速度を、放出面104a上の位置に依らず、略一定になるようにすることにより、起電力のばらつきによる出力の低下を抑えることができ、燃料効率を高めることができる。
尚、本実施形態においては、水素発生部材104の水素を放出する放出面104aと燃料極102の水素が供給される供給面102aとを一定の間隔で平行に配置したが、水素発生部材104の水素を放出する放出面104aと燃料極102の水素が供給される供給面102aとを重ねて密着させる構成としてもよい。この構成の場合、燃料電池装置の構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
また、本実施形態においては、水素発生部材104を燃料電池本体10(カバー部材107)に内蔵する構成としたが、水素発生部材104を燃料電池本体10の外側に設け、流路で連結する構成を採用してもよい。
カバー部材107は燃料電池本体10のカバー部材107以外の構成部品を覆うための容器であり、その空気極103側には、空気流路108に空気を供給する空気供給口109、余剰空気を排出する空気排出口110が設けられている。また、ヒータ105の空気極103側にも、同様に空気供給口109及び空気排出口110が設けられている。空気供給口109から空気を空気流路108に通すことで空気極103全体に空気が分散供給される。空気供給口109及び空気排出口110にはそれぞれ、図示しない開閉弁が設置されており、空気供給口109及び空気排出口110それぞれを遮断状態にすることが可能である。
温度センサ106は、例えば熱電対であり、水素発生部材104の温度を検出するために、水素発生部材104に近接して配置される。
燃料電池本体10は、水素発生部材104から燃料極102に水素を供給し、空気流路108から空気極103に空気を供給することで生じる電気化学反応によって発電するものである。また、この発電動作時に、水素発生部材104である鉄(Fe)は酸化され酸化鉄(Fe)へと変化し、水素発生部材104に占める鉄(Fe)の割合が次第に低下していく。尚、発電動作の詳細は後述する。
また、温度制御部20の詳細についても後述する。
還元制御部30は、燃料電池本体10の発電動作に伴い酸化が進行した水素発生部材104を還元させ再生するものである。具体的には、還元制御部30は、燃料電池本体10の発電動作時に生成された水(HO)を燃料電池本体10で電気分解することにより生成される水素(H)を、酸化された水素発生部材104(酸化鉄(Fe)が占める割合が増加した水素発生部材104)に反応させて、酸化された水素発生部材104を還元する。
<<発電動作および再生動作>>
次に、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置1で行われる発電動作及び再生(還元)動作の詳細について図2を用いて説明する。尚、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付す。図2(a)〜図2(d)は、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置1で行われる発電動作及び再生動作の流れを示す模式図である。
<発電動作>
発電動作の前状態では、図2(a)に示すように、空気供給口109及び空気排出口110がともに閉じられており、燃料電池本体10の空間部111には、水素(H)が封入されている。
その後、図2(b)に示すように、空気供給口109及び空気排出口110を開け、空気流路108を介して空気極103に空気を供給すると、燃料極102では、空間部111に封入されている水素(H)と空気極103でイオン化し電解質膜101を通過した酸素イオン(O2−)とで下記の化学反応式(1)に示す反応が生じ、電子(e)が発生し蓄積される。すなわち、燃料電池本体10において起電力が発生し、発電動作が開始される。そして、発電動作時において燃料極102と空気極103の間に外部負荷40を接続すると、燃料極102に蓄積された電子(e)は、外部負荷40を経由して空気極103に流れる。これにより、外部負荷40を駆動することができる。
+O2−→HO+2e …(1)
また、発電動作時において、上記の化学反応式(1)で示したように、燃料極102では水(HO)が生成される。生成された水(HO)は空間部111を経由して水素発生部材104(Fe)に供給され、水素発生部材104(Fe)では、供給された水(HO)により下記の化学反応式(2)に示す酸化反応が生じ、その酸化反応により水素(H)を発生する。そして、発生した水素(H)は空間部111を経由して燃料極102に供給され、燃料極102では、供給された水素(H)を酸化し発電することによって再び水(HO)が生成されるといった循環の利用形態となり発電動作が持続される。
4HO+3Fe→4H+Fe …(2)
尚、上述した発電動作時には、水素発生部材104は、鉄(Fe)が酸化され酸化鉄(Fe)へと変化し、水素発生部材104に占める鉄(Fe)の割合が次第に低下していく。
また、図2(b)に示した発電動作状態から、図2(c)に示すように、空気供給口109及び空気排出口110を閉じ、空気極103への空気の供給を停止すると、発電動作を停止させることができる。このとき、空間部111には、上記の化学反応式(1)及び化学反応式(2)の反応によりそれぞれ生成された水(HO)、水素(H)が残留する。
<再生動作>
図2(c)に示した発電動作停止状態から、図2(d)に示すように、還元制御部30により燃料電池本体10の燃料極102と空気極103の間に電圧を印加し通電すると、燃料極102では、空間部111に残留している水(HO)と通電により供給された電子(e)とで下記の化学反応式(3)に示す電気分解が生じ、その電気分解により水素(H)が発生する。
O+2e→H+O2− …(3)
そして、燃料極102において発生した水素(H)は空間部111を経由して水素発生部材104に供給され、水素発生部材104では、供給された水素(H)により下記の化学反応式(4)に示す還元反応が生じ、その還元反応により水素発生部材104中の酸化鉄(Fe)は還元され鉄(Fe)へと変化し、水素発生部材104に占める鉄(Fe)の割合が次第に増加し、水素発生部材104は再生される。
4H+Fe→4HO+3Fe …(4)
また、再生動作時において、上記の化学反応式(4)で示したように、水素発生部材104では水(HO)が生成される。生成された水(HO)は空間部111を経由して燃料極102に供給され、燃料極102では、供給された水(HO)を電気分解することによって再び水素(H)が生成されるといった循環の利用形態となり再生動作が持続される。
<<温度制御部の制御動作>>
次に、上記の発電動作が行われる際に実行される温度制御部20の制御動作の詳細について、図1、図3、及び図4を用いて説明する。図3は温度制御部20の制御動作の一例を示すフローチャートであり、図4はヒータ通電停止タイミングを示す図である。
温度制御部20は、温度モニタ部201と、判定部202と、補助電源203と、スイッチ部204とを有している。温度モニタ部201は、温度センサ106の出力信号に基づいて、水素発生部材104の温度情報を作成し、その作成した情報を判定部202に送る。温度センサ106が熱電対である場合であれば、温度モニタ部201は熱電対からの電圧値をデジタル信号に変換するA/D変換器を含む。判定部202は、例えばマイクロコンピュータで構成され、温度モニタ部201から送られてきた水素発生部材104の温度情報に基づいて、スイッチ部204をON/OFF制御する。スイッチ部204がON状態であるとき、補助電源203とヒータ105とが電気的に接続され、ヒータ105が通電する。これに対して、スイッチ部204がOFF状態であるとき、補助電源203とヒータ105とが電気的に遮断され、ヒータ105が通電しない。
補助電源203の種類は特に限定されないが、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置1の発電寿命が長い場合には、補助電源203の交換や充電が可能な構成にし、補助電源203の寿命も長くするようにしてもよい。
温度制御部20が制御動作を開始すると、スイッチ部204がON状態になる(ステップS10)。その後、判定部202は、温度モニタ部201から送られてきた水素発生部材104の温度情報を取得し(ステップS20)、水素発生部材104の温度が所定の温度Tp以上であるか否かを判定する(ステップS30)。したがって、判定部202には、所定の温度Tpの設定値を記憶する記憶手段(例えば不揮発性メモリ)を設けるようにする。
水素発生部材104の温度が所定の温度Tp以上であると判定した場合(ステップS30のYES)、判定部202は、スイッチ部204をOFF状態にし(ステップS40)、その後、ステップS20に移行する。
一方、水素発生部材104の温度が所定の温度Tp以上でないと判定した場合(ステップS30のNO)、判定部202は、スイッチ部204をON状態にし(ステップS10)、その後、ステップS20に移行する。
上記のような制御により、図4に示すように、水素発生部材104の温度が所定の温度Tpに達すると、ヒータ105の通電が停止する。水素発生部材104としてFeを用いる場合、温度Tpは例えば100℃である。この時点が、ヒータ通電停止タイミングt1となる。そして、その後は、上記の化学反応式(2)に示す酸化反応(発熱反応)が進行して、水素発生部材104が自己発熱し、燃料電池本体10が所望の電力を発電するのに十分な量の水素が発生する温度Taに達する。すなわち、所定の温度Tpでヒータ通電停止すると、その後、水素発生部材104の温度が、水素発生部材104の自己発熱により、燃料電池本体10が所望の電力を発電するのに十分な量の水素が発生する温度Taに達するように、所定の温度Tpが設定されている。さらに、水素発生部材104は自己発熱により温度がTsに達すると、定常状態に達し、それ以上温度は上昇しなくなる。
尚、一度温度Taに達していた水素発生部材104の温度が諸般の要因により所定の温度Tpを下回ると、ヒータ105の通電が再開される。
上記のような制御により、水素発生部材104の温度を上昇させるための、ヒータ105の通電を最小限に抑えることができるので、本発明の一実施形態に係る燃料電池装置1は、省エネルギーで電気の利用効率を高くすることができる。
また、例えば、より早く所望の電力を得たい場合など、発電を加速する場合には、所定の温度Tpの設定値を高くしてヒータ105への通電時間を可変するようにしてもよい。
以下、本実施形態の変形例について説明する。本実施形態においては、電解質膜101として固体酸化物電解質を用いて、発電の際に燃料極102側で水を発生させるようにする。この構成によれば、水素発生部材104が設けられた側で水を発生するため、装置の簡素化や小型化に有利である。一方、特開2009−99491号公報に開示された燃料電池のように、電解質膜101として水素イオンを通す固体高分子電解質を用いることも可能である。但し、この場合には、発電の際に空気極103側で水が発生されることになるため、この水を水素発生部材104に伝搬する流路を設ければよい。
1 本発明の一実施形態に係る燃料電池装置
10 燃料電池本体
101 電解質膜
102 燃料極
102a 供給面
103 空気極
104 水素発生部材
104a 放出面
105 ヒータ
106 温度センサ
107 カバー部材
108 空気流路
109 空気供給口
110 空気排出口
111 空間部
20 温度制御部
201 温度モニタ部
202 判定部
203 補助電源
204 スイッチ部
30 還元制御部
40 外部負荷
50 外部電源

Claims (5)

  1. 燃料極、酸化剤極、及び前記燃料極と前記酸化剤極との間に狭持される電解質を有する発電部と、
    前記発電部の燃料極に供給するための水素を水との酸化反応により発生する水素発生部材と、
    前記水素発生部材を加熱する加熱手段と、
    前記水素発生部材の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出結果に応じて前記水素発生部材の温度を制御する温度制御手段とを備え、
    前記温度制御手段が、前記水素発生部材の温度が所定の温度以上であると判断すると、前記加熱手段の動作を停止させることを特徴とする燃料電池装置。
  2. 前記電解質は、発電の際に前記燃料極側で水が生成するものであって、
    前記水素発生部材は、前記燃料極側で発生された水を利用して水素を発生することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記水素発生部材の水素を放出する放出面と前記燃料極の水素が供給される供給面とが互いに対向して平行に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池装置。
  4. 前記発電部及び前記水素発生部材を内蔵するカバー部材を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の燃料電池装置。
  5. 前記水素発生部材が鉄で構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の燃料電池装置。
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