JPWO2011142117A1 - 細胞培養基材及びそれを用いた細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養基材及びそれを用いた細胞培養方法

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Abstract

本発明は、効率よく細胞を培養することができる細胞培養基材を提供する。本発明の細胞培養基材は、基板と、基板上に形成された複数の繊維状突起物と、繊維状突起物表面に形成された撥水膜とを有する。複数の繊維状突起物は互いに絡み合うマトリクス構造である。このような細胞培養基材によれば、撥水性の繊維状突起物に検体を含む培養液を吐出することによって、細胞の非接触下での培養が容易となり、効率よく細胞を培養することができる。

Description

本発明は、血液由来細胞や組織由来細胞、またはiPS細胞やES細胞といった各種細胞の培養に用いられる細胞培養基材及びそれを用いた細胞培養方法に関する。
従来、ヒト、動物由来の細胞を単離して培養させる際には、以下のような方法を用いる。まず、生理食塩水中に、栄養分であるグルコースや、細胞の成長を促す成長剤や、雑菌の繁殖を防ぐ抗生物質などを添加して培養液を調製する。そして、この培養液中に細胞を所定の濃度で撒く。そして、細胞を含む培養液を平面的な培養皿等の容器に入れる。その後に、周囲環境を維持できる環境維持装置(一般にインキュベータと呼ばれる)の中に培養皿を設置する。環境維持装置によって、培養皿の周囲環境として温度、二酸化炭素濃度、酸素濃度等を所定の値に保ち、細胞が分裂し増殖するのを2〜3日待つ。
細胞の増殖速度は細胞の種類や状態、環境によって変わるが、例えばRBL(ラット血液由来細胞)では3日後に細胞濃度が10倍程度になる。このとき、細胞は周囲の培養液から増殖に必要な栄養分を吸収すると共に老廃物を排出する。そのため、培養皿中の培養液の状態は細胞増殖が進むにつれて大きく変わる。また、たとえばCHO(ハムスター由来子宮細胞)などにおいては、細胞は培養皿の平面部に付着しながら増殖する。そのため、付着するためのスペースが培養皿の平面部に無くなると、細胞の増殖は停止する。このように、細胞の増殖が進むと培養液中の細胞密度が高くなりそれ以上の増殖が行われなくなる。このため、ある程度細胞の培養が進んだ後は、細胞と培養液とを培養皿から回収し、遠心分離器を用いて細胞と培養液を分離する。そして、古い培養液を除去した上で、新しい培養液に適切な濃度で細胞を撒き、改めて細胞を培養する。この作業は一般的に継代と呼ばれる。
特に、この継代を細胞の状態に応じて適切に行うことは細胞の培養にとっては重要である。しかし、特に、付着性細胞の場合、平面部を有する培養皿中では細胞の下側が平面部に密着している。そのため、細胞周辺の環境、特に細胞の培養皿と接触している面周辺の環境を一定に保つことが困難な場合がある。
このような課題に対して、例えば、培養皿の平面部に微小な突起群を形成することにより、培養皿と細胞との接触度を低減し、密着度を制御することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
あるいは、矩形状のプレートに適当な間隔で撥水処理を施した球形状の突起部を設け、複数の突起部で液滴を保持し、その液滴中で細胞を培養することが提案されている(例えば、特許文献3)。
細胞はその周辺の環境の変化に敏感である。そのために、前述したように、培養液の入れ替えや、細胞の周辺環境の維持を怠ると、培養液のpHや酸素濃度が変化したり、老廃物が特定の場所に溜まったりしてしまう。それにより、望ましくない環境の変化が起こった周辺の細胞の活性が失われてしまう。このため、細胞の周辺環境の維持は細胞の培養において極めて重要な要素である。しかし、従来の平面的な培養皿では上述したような作業の効率が良くない。そのため、従来の構成による細胞培養基材やそれを用いた細胞培養方法においては、細胞培養の作業効率が良くない。
特許文献1〜3に示す技術は、この問題を解決する一つの方法であるが、作業効率の向上に限界がある。特許文献1、2に開示される技術においては、突起群の形成には、培養皿となる基板に微細な凹凸パターンが形成された金型を押し付けることによって、基板に凹凸パターンを転写して形成する、いわゆるナノインプリント技術を用いている。従って、形成された突起群はその突起の一つ一つが独立している。よって、突起同士が相互に接続するような形状を形成することはできない。さらに、上記転写方法で形成された突起群は、基板の平面にのみしか形成することができないので、この基板の平面に対し垂直方向に伸長する突起群しか構成することができない。
あるいは、特許文献3に開示される技術においても、同様に、基材として、矩形プレート状基材を用いるため、この基板の平面に対し垂直方向に伸長する突起部しか構成することができない。このため、培養皿の基板平面に形成された微細な凹凸パターンにおける突起の形成ではその突起部の空隙率の向上において限界がある。
特開2005−168494号公報 特開2006−325522号公報 国際公開第2006/106748号
本発明は、従来よりも効率よく細胞を培養できる細胞培養基材及びそれを用いた細胞培養方法を提供する。
本発明の細胞培養基材は、基板と、基板上に形成された複数の繊維状突起物と、繊維状突起物表面に形成された撥水膜とを有する。複数の繊維状突起物は互いに絡み合うマトリクス構造を形成している。このような細胞培養基材によれば、撥水性の繊維状突起物に検体を含む培養液を吐出することによって、細胞の非接触下での培養が容易となり、効率よく細胞を培養することができる。
図1は本発明の実施の形態における細胞培養基材の模式図である。 図2は本発明の実施の形態による細胞培養基材における繊維状突起物の拡大図である。 図3は本発明の実施の形態による細胞培養基材における繊維状突起物のSEM画像を示す図である。 図4は本発明の実施の形態における細胞培養基材の模式図である。 図5は本発明の実施の形態における他の細胞培養基材の模式図である。 図6は本発明の実施の形態におけるさらに他の細胞培養基材の模式図である。 図7は図6に示す細胞培養基材の上面図である。
図1は本実施の形態における細胞培養基材の模式図である。図2は、図1の細胞培養基材における繊維状突起物の拡大図である。
図1に示すように、本実施の形態における細胞培養基材は、基板11と、複数の繊維状突起物12とを有する。基板11は、例えば、単結晶シリコンからなるシリコン基板である。また、基板11としてはそれ以外にも例えば、多結晶シリコン、アモルファスシリコンを材料として用いることができる。繊維状突起物12は基板11上に直接接合されている。複数の繊維状突起物12は、互いに絡み合いマトリクス構造を形成している。繊維状突起物12は二酸化ケイ素を主成分としている。そして、図2に示すように、撥水膜13は繊維状突起物12の表面全体を覆うように撥水膜13が形成されている。撥水膜13は、例えばフッ化炭素系(CF系)ポリマーからなり、複数の繊維状突起物12の表面にそれぞれにコーティングされている。
ここで、「直接接合」とは、基板11上に繊維状突起物12が直接形成され、基板11と繊維状突起物12とを構成する原子が結合している状態を指す。通常は繊維状突起物12と基板11との分子間が共有結合をしている状態である。本実施の形態では、基板11の表面のケイ素原子と繊維状突起物12中のケイ素原子とが、酸素原子を介して共有結合している。また基板11と繊維状突起物12との接合面には接着剤などが含まれておらず、基板11と繊維状突起物12を構成する原子または分子以外の材料を含んでいない。
なお後述するが、基板11と繊維状突起物12は必ずしも「直接接合」されていなくても良い。
繊維状突起物12の長さは全長で10μm以上200μm以下程度である。複数の繊維状突起物12は、互いに絡み合うように密集し形成されていても、自由な方向へ枝分かれしているものが混在して形成されていてもよい。但し、複数の繊維状突起物12が互いに絡み合い、枝分かれをして、マトリクス構造を形成することで、複数の繊維状突起物12から形成される繊維構造体が強固に構成される。なお、繊維状突起物12の太さは、0.01μm〜10μmであることが好ましい。繊維状突起物12の太さが10μmよりも太い場合は、単位面積当たりの空隙率が低減してしまう場合がある。また、繊維状突起物12同士の間隔は0.001〜10μmであることが好ましい。繊維状突起物12同士の間隔が10μmよりも広い場合は、液滴を保持する効果が低減してしまう場合がある。
図3は、繊維状突起物12のSEM画像を示す図である。繊維状突起物12は、例えば二酸化ケイ素を主成分としたシリコン酸化物を含み、より詳細にはアモルファスの二酸化ケイ素を主成分とする。ケイ素と酸素の分子数比は概ね1:2であるが、アモルファスで存在しているため、微視的には場所によって分子数比にズレがある場合がある。このようなズレは、本発明の構成を限定するものでは無い。また、繊維状突起物12には微量の不純物が含まれている場合があるがそのような不純物は本発明の構成を限定するものではない。また、繊維状突起物12の先端は、基板平面に対して垂直な方向からカーブしていることが好ましい。これによって、複数の繊維状突起物12がより互いに絡み合い、繊維状突起物12の密度を向上できる。
次に本実施の形態の細胞培養基材の製造方法の一例を説明する。
まず、アモルファス二酸化ケイ素によって構成された繊維状突起物12を形成する方法について説明する。
単結晶シリコンからなる基板11において繊維状突起物12を形成させたい場所にのみ、触媒層となるPt層を成膜する。基板11の表面にPt層を成膜する手段としては、スパッタリング、蒸着、スピンコーティング等、通常の薄膜形成手段が適用できる。Ptの膜厚は1〜20nm程度が望ましい。
その後、Pt層を成膜した基板11を、温度1000〜1200℃、不活性ガスを含むガス中での酸素分圧0.1〜1000Paにおいて所定時間、熱処理する。この熱処理工程で、特に昇温過程においては、基板11表面に形成されたPt薄膜は溶融を起こし、粒子状に凝集する(粒子は図示していない)。この時、凝集したPtの粒子径は最初に成膜した際のPt膜の膜厚、熱処理時の昇温速度や温度等により制御できる。さらに、加熱を進め、基板11を構成する材料の蒸気圧温度まで達すると、基板11から材料が蒸発する。具体的には、シリコンが蒸発する。すると、この蒸発したシリコンと雰囲気に存在する酸素とが結合して亜酸化ケイ素が形成され気化する。この気化した亜酸化ケイ素は、過飽和を起こし、その一部が液化する。液化した亜酸化ケイ素は、粒子状に凝集したPtを核に凝集する。Pt周辺に凝集した液化亜酸化ケイ素は、さらに雰囲気に存在する酸素と結合して二酸化ケイ素となり固化する。固化した二酸化ケイ素の先端にはさらに液状化亜酸化ケイ素が凝集し、さらに二酸化ケイ素が形成する。このようにして、Ptを核として、そこから二酸化ケイ素からなる繊維状突起物12が形成される。なお、繊維状突起物12の径は、Ptの粒子径、雰囲気の酸素濃度や温度等に左右されるので、これらを制御することで必要な径、長さの繊維状突起物12を基板11上に形成出来る。
なお熱処理条件は、生産性や、繊維状突起物12の耐熱性を考慮すると、温度1100〜1200℃、不活性ガスを含むガス中での酸素分圧10〜200Paがより好ましい。この繊維状突起物12は、基板11の表面のシリコンと、熱処理工程で供給される酸素ガスとを原料として形成される。そのため、基板11の表面と繊維状突起物12とが直接接合し、強固に結合された状態となる。さらに、反応場の雰囲気の全圧を大気圧より低くすることで、長さ分布の小さい繊維状突起物12を形成できる。
なお、繊維状突起物12は、熱処理工程における酸素ガスの拡散方向に沿うように形成される。特に、反応場の雰囲気内の酸素分圧値が高いと複数の繊維状突起物12が互いに絡み合うようにマトリクス構造に密集し、それぞれ縮れた形状となる。逆に、酸素分圧値が低いと複数の繊維状突起物12が互いに同方向に配向した形状となる。
なお、繊維状突起物12は、熱処理工程における条件を制御することで、先端が基板11に対して垂直な方向からカーブするように形成できる。これによって、複数の繊維状突起物12が互いに絡み合い、密度を向上できる。ここで、熱処理工程における条件とは、例えば、ガス流量、ガス分圧、ガス全圧、温度、排気速度といった条件をいう。
なお、熱処理工程における反応場の雰囲気は、昇温過程においては出来るだけ酸素を取り除いた状態が好ましく、昇温後の温度維持過程においては少量の酸素を追加した低酸素分圧下状態であることが好ましい。これにより、繊維状突起物12の生産性が向上する。
高酸素分圧下とは、具体的に、例えば不活性ガスを含むガス中の全圧1000〜5000Pa時における酸素分圧が50〜1000Pa程度であることを指す。
一方、低酸素分圧下とは具体的に、例えば不活性ガスを含むガス中の全圧1000〜5000Pa時における酸素分圧が50Paより低い程度であることを指す。
なお、熱処理温度が低いほど繊維状突起物12が形成されるのに適した酸素分圧は小さくなる。従って、温度維持過程時の温度に適した酸素分圧で昇温過程を行うと、昇温過程での酸素が過剰となる。すると昇温過程時に、Si表面に酸化膜が形成されてしまう。Si表面の酸化膜は、温度維持過程時での繊維状突起物12の形成を抑制してしまう。
なお、上記工程により繊維状突起物12は1〜500μmの長さで制御することが可能である。
なお、シリコンからなる基板11の表面の一部に二酸化ケイ素を主成分として含む層を形成することにより、層を形成した部分からの繊維状突起物12の形成を抑制できる。二酸化ケイ素を主成分として含む層に触媒層を堆積させても、そこから繊維状突起物12は形成されないためである。このようにすれば、基板11の必要な箇所にのみ、繊維状突起物12を形成できる。
また、シリコンからなる基板11の表面の所望の位置のみに触媒層を形成することで、所望の位置のみに繊維状突起物12を選択的に形成することもできる。これは前述した亜酸化ケイ素の液化が触媒層粒子によって形成された核周辺に集中して発生するからである。
なお、触媒層にPtを用いたが、例えばFe、Co、Ni、Au等であっても同様の効果は得られる。ただし、触媒層に用いる材料としては、繊維状突起物12の形成時の温度で容易に蒸発してしまわない材料であることが望ましい。触媒層が蒸発してしまうと亜酸化ケイ素の液化を促進する核が無くなり、繊維状突起物12が形成されにくくなる。
次に、形成された繊維状突起物12に撥水膜13をコーティングする方法を説明する。
繊維状突起物12が形成された基板11を真空装置内に配置する。次に、真空装置内にフッ化炭素系のガスを導入する。そして、装置内に導入されたガスをプラズマ化させ、繊維状突起物12の表面に、フッ化炭素系ポリマーからなる撥水膜13をコーティングする。
フッ化炭素系のガスとしては、例えば、CF,C、C、C、C、C、CHFなどのフッ化炭素系ガスを用いることが出来る。ほかにも、アルキルシリル基、フルオロシリル基、長鎖アルキル基によって、撥水膜13を形成できる。
なお、このときガスをプラズマ化させる方法としては、ICP(Inductively Coupled Plasma、誘導結合型プラズマ)を用いることが望ましい。ICPではプラズマ化されたガスが自己バイアス効果によって電界加速および偏向されることがない。よって、繊維状突起物12の表面に均一にポリマー膜が形成される。
また、このようにして形成された撥水膜13の接触角を調べたところ、一般的なシリコン基板での接触角が103.6°であったのに対し、撥水性を有する繊維状突起物12の接触角は146.7°と大きく、表面改質により繊維状突起物12表面を超撥水性に修飾できていることが分かる。なお、上述の接触角の測定は、液滴を落とし、CCDカメラを通してコンピューターに取り込まれた画像から、自動的に、気液間の境界を決定し、カーブフィッティングを行った。なお、本実施の形態における撥水膜13としては、撥水膜13上に培養液15を吐出した際に、培養液15が球形の液滴を形成する程度の撥水性を有することが好ましい。
なお、上記のようにガスをプラズマ化させる方法の他、熱によって撥水性の原料を気化させ、繊維状突起物12の表面にコーティングする方法もある。たとえば、アルコールや、ヘプタン、テトラデカン、ヘキサデカン、ペンタデカンといったアルカン、などの有機溶剤を熱によって気化させ、繊維状突起物12の表面に撥水膜13をコーティングできる。あるいは、有機溶剤に、シランカップリング剤を溶解させて撥水膜13をコーティングすることもできる。シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
なお、上記構成は一回のプロセスで形成させることができるので生産性に優れる。
なお、本実施の形態では、繊維状突起物12を形成する方法として、基板11に触媒層を堆積させる方法を例に挙げたが、その他の方法であってもよい。例えば、繊維状突起物12の他の形成方法として、基板11の表面に形成したシード層から形成する方法がある。ここでシード層とは、薄膜シリコンや、シリコン粒子など、シリコンを含む膜のことを指す。従って基板11がシリコンの場合はシード層を形成する必要はない。一方基板11がシリコン以外の場合はシード層を用いる。シード層を形成した基板11を酸素雰囲気で1000℃〜1100℃程度で熱処理をすることで繊維状突起物12が形成される。この方法によっても、基板11と繊維状突起物12とが直接形成された細胞培養基材が得られる。
また、繊維状突起物12の他の形成方法として、例えば、シリコン粒子を用いることにより、無触媒で繊維状突起物12を形成することができる。具体的には、シリコン粒子を高温、低酸素濃度下において熱処理することにより、無触媒下で繊維状突起物12を形成できる。これは、シリコン粒子の表面積がその体積に比べて大きいために、より小さな熱容量でかつ無触媒であっても蒸発されやすく、または亜酸化ケイ素となり気化しやすいためである。さらに、シード層として、シリコン粒子を用いている場合は、これらシード層によって基板11の表面が凸凹しているため、気化した亜酸化ケイ素が凸凹部に凝集しやすく、酸素との結合によって二酸化ケイ素への固化が起こりやすい。このため、上述の製造方法で説明したような触媒層やシード層が無くても二酸化ケイ素の繊維状突起物12が形成できる。
ここで、シリコン粒子とは、例えばシリコン、一酸化シリコン、あるいはシリコンの合金であるシリサイドの粒子をいう。シリコン粒子の大きさは出来るだけ小さいことが好ましく、例えば、5μm以下の大きさが好ましい。これにより、シリコンの蒸発量を増大させることができより効率良く繊維状突起物12を形成できる。また高温とは、例えば1000〜1200℃程度であることが望ましい。なお、一酸化シリコン粒子を用いる場合には、上記温度より低い温度900℃程度であっても繊維状突起物12を形成できる。低酸素濃度とは、例えば不活性ガスを含むガス中の全圧1000〜5000Pa時における酸素分圧が50Pa以下程度であることが望ましい。
なお、上記熱処理工程における温度調整は、昇温過程においては出来るだけ酸素を取り除いた状態で行い、昇温後の温度維持過程においては少量の酸素を追加した低酸素分圧下で行うことにより、繊維状突起物12の生産性が向上する。
また、上記方法によると繊維状突起物12は、シリコン粒子と熱処理工程で供給される酸素ガスとを原料として形成される。すなわち、シリコンからなる基板11の材料成分を原料としないので、基板11として結晶性のシリコンウエハなどを用いなくても本実施の形態の細胞培養基材を形成できる。たとえば、基板11として石英、ガラス、サファイヤ等を採用し、それら基板11上に繊維状突起物12を形成できる。これにより、より低コスト化ができ、さらに基板11として透明基板を用いることによって、細胞を顕微鏡で観察する場合、透過照明型顕微鏡を用いることが可能であり、細胞をより観察しやすくなる。
また、別の方法として、一旦、シリコンからなる基板に繊維状突起物12を形成した後、繊維状突起物12を剥離させ、別の基板11へ転写することもできる。たとえば、シリコンからなる基板に一度繊維状突起物12を形成させた後、ガラスなどからなる基板11などへ繊維状突起物12を転写することで細胞培養基材を形成できる。
なお、基板11として、ITO(Indium Tin Oxide)などの電極を表面に形成した基板を採用することで、細胞を培養しながら電圧を印加することができる。これにより、培養液を流動させることや、培養液の状態を電気的に計測でき、精度良く培養液の状態を管理できる。
あるいは、基板11として、ガラスファイバーシートなどのフレキシブルな基板を採用することもできる。たとえば、シリコン粒子をガラスファイバーシートなどに含有させ、上述した加熱工程を行うことで繊維状突起物12を形成できる。
また、シリコン粒子をバインダ等と混合し、スピンコート、印刷、インクジェット法等により、任意の場所のみにシリコン粒子を配置することで、繊維状突起物12を任意の場所のみに容易に形成することができる。
なお、上記粒子からの製造方法においては形成された繊維状突起物12に撥水膜13をコーティングした後に、基板11に接合する方法であっても構わない。
次に本実施の形態の細胞培養基材を用いた細胞培養方法及びその効果を説明する。図4は、本実施の形態における細胞培養基材の模式図である。
細胞培養基材における基板11に形成された複数の繊維状突起物12上に、細胞などの検体14を含む培養液15を吐出する。検体14は、培養液15に所定の濃度となるように蒔種されている。培養液15が吐出された細胞培養基材は所定の細胞培養環境維持装置の中に設置される。細胞培養をする間、細胞培養環境維持装置の内部は所定のガス、例えば酸素や二酸化炭素等のガスを所定の濃度になるように環境維持される。
繊維状突起物12の表面には超撥水性を有する撥水膜13が形成されており、なおかつ、繊維状突起物12は互いに絡み合ってマトリクス構造を構成している。そのため、繊維状突起物12上に吐出された培養液15は、繊維状突起物12の隙間には侵入せず、繊維状突起物12の上面でほぼ球形状になる。検体14は、培養液15中で増殖を始める。たとえば検体14が付着性細胞の場合は、繊維状突起物12により構成されたマトリクス構造を足場として検体14が付着し、検体14は、ほぼ球形状となった培養液15中で増殖する。
すなわち、付着性細胞は何らかのものに接触して固定されていなければ増殖することが出来ない。浮いたままだとアポトーシスを起こして多くの場合、死んでしまう。従って、付着性細胞の固定の為には接触するものが必要だが、平面部に固定させる場合では培地交換が困難となる。
しかし、本発明では、繊維状突起物12によって構成されたマトリクス構造に固定させるため、固定は要する面積を最小にしつつも、培地交換も容易となる。その結果、増殖を可能とすることができる。
また、本発明では、空隙率が高いためガス交換率を向上することができる。さらに、液滴表面上のガス交換できる領域が細かく分散され、これによってガス置換を均一にすることができる。
その際、検体14が代謝した老廃物により培養液15のpHが変化する。本実施の形態の細胞培養基材によれば、複数の繊維状突起物12で形成される繊維構造体の内部の空隙部には、繊維状突起物12に形成された撥水膜13により、培養液15が浸入しない。よって、複数の繊維状突起物12で形成される繊維構造体の内部の空隙部を外気と接触させておけば空隙部内部にガスが潤沢に浸透できる。そのため、たとえば従来、二酸化炭素や酸素などのガスを供給しにくかった、培養液15の底面にも容易にガスを供給でき、培養液15全体を新鮮な環境に維持できる。こうして、細胞増殖の過程において適切な環境で管理された細胞群を得られる。
なお、検体14として用いる細胞が組織を構成する場合(たとえば皮膚細胞)、繊維状突起物12の上部に組織化された細胞シートが形成される。このような場合でも、培養液15は繊維状突起物12上で空隙部に侵入することなく保持されている状態なので、容易に培養液を交換でき、培養液15内の環境を容易に保持できる。
また、培養液15の液量は、繊維状突起物12で形成される繊維構造体の平面部のみかけの面積に依存しているので、みかけの面積が大きければ大きいほど多量の培養液15で多くの検体14を培養できる。
なお、繊維状突起物12の先端は基板11の平面に対して垂直な方向からカーブしていることが好ましい。これによって複数の繊維状突起物12は相互により高密度に絡み合い、マトリクス構造を構成できる。よって、繊維状突起物12で形成される繊維構造体の上部において細胞が足場として接触できる面積を増やすことができ、かつ繊維構造体内部に十分な空隙部を持つことが出来る。これにより、より効率よく細胞を培養できる。
なお、細胞培養基材100に電気や超音波、振動といった外部刺激を与えることによって、培養液15を繊維状突起物12上で流動させることができる。培養液15を流動させることで、培養液15中での培養塊の沈降を防ぎ、検体14を培養液15内で浮遊した状態で培養できる。
なお、細胞培養中の培養液15内に繊維状突起物12の一部分が入っていても良い。
また、本実施の形態の細胞培養基材によれば、細胞培養における分化効率も向上する。iPS細胞やES細胞などの分化誘導においては、細胞の極性、すなわちアクシンや微小管などの細胞骨格分子の配置は細胞の分化と密接に関わることが知られている。つまり、分化誘導において、細胞が他の細胞や支持体等に接着すると細胞の極性に大きく影響してしまう。よって、極性なく細胞の分化を誘導することが組織を形成するための細胞培養に重要である。従来例でも示したようなナノインプリント構造による微少凹凸の三次元構造などにおける細胞培養においては、平面での培養よりは改善されるものの、その構造上、培養中に細胞が微小凹凸部等に接触することがある。これにより多くの場合、細胞に極性をもたらしてしまう。その結果、効率よく細胞を培養あるいは分化誘導することが困難となる。しかし、本実施の形態の細胞培養基材では、複数の繊維状突起物12にそれぞれ撥水膜13がコーティングされている。そして、繊維状突起物12の上面に細胞などの検体14を含む培養液15を吐出し、細胞(検体14)を培養する。この時、検体14は、検体14下方全体が繊維状突起物12に接触せずに、培養液15内で培養される。よって、細胞培養中に検体14下方全体が繊維状突起物12に接触しないので、効率的な細胞培養が可能となる。さらに、繊維状突起物12の直径を極めて小さくしておくことで、細胞などの検体14が繊維状突起物12に接触することをより抑制できる。このときの繊維状突起物12の直径は最小で10nm程度まで小さくすることが出来る。
なお、本実施の形態によれば、繊維状突起物12によりマトリクス構造を容易に形成できる点、さらに繊維状突起物12が互いに接続させることが容易にできるため繊維構造体としての強度を容易に高められる点、といったカーボン系ファイバーにはない特徴を有する。
また、例えば、複数の繊維状突起物12が互いに絡み合うことによって構成するマトリクス構造の密度を調整することで、繊維状突起物12の形状、空隙率をより自由に調整できる。これにより、検体14として扱う細胞の種類毎に適した表面状態を形成できる。
なお、SAM(Self Assembly Monolayer)や化学修飾などを用いて、複数の繊維状突起物12に蛋白質を結合させてもよい。蛋白質を結合させることによって、培養液15内に蛋白質が入り、細胞の増殖を促進させることができる。ここで蛋白質とは、例えばアクチン、アルブミンなどをいう。
なお、図5に示すように、基板11の表面に開口部を有する窪み16を形成し、窪み16の内壁面に繊維状突起物12を形成しても良い。窪み16の内底面および側面には、繊維状突起物12が形成されている。さらに、繊維状突起物12表面全体が撥水膜13によってコーティングされている。このような細胞培養基材において、窪み16に形成された繊維状突起物12上に吐出された培養液15は、底面側のみでなく側面側からも保持される。そのため、例えば培養中に基板11に振動が加わった場合にも培養液15及びその中に含まれる検体14が細胞培養基材上を流動することが抑制でき、確実に検体14を細胞培養基材上に保持できる。よって、より効率的かつ確実に細胞を培養することができる。
また、図6、図7に示すように、基板11には第一面と第一面の反対面である第二面とを貫通する貫通孔17が形成されていても良い。基板11の第一面における貫通孔17の周辺から貫通孔17の内壁面にかけて複数の繊維状突起物12が形成されている。さらに、その繊維状突起物12の表面全体が撥水膜13によってコーティングされている。
上記構成により、培養液15の液滴の側面は繊維状突起物12で保持されかつ、液滴の一部は貫通孔17内に入り込む。このようにして液滴は細胞培養基材に保持される。これにより、液滴の底面を完全に非接触な状態で保持できる。そのため、細胞などの検体14の着床をさらに抑制しながら細胞培養を行える。また培養液15の底面側が開放されているので,倒立顕微鏡等を用い容易に観察可能となる。さらに基板11の第二面側から観察しながら、基板11の第一面側から培養液15の液滴の操作、例えば薬液の投入などが可能となる。これにより、より作業効率を高め、かつ確実に精度良く細胞の培養ができる。
なお、図6に示すように、貫通孔17の形状は第一面から第二面に向かって孔径が狭くなるようにテーパ形状を有していると良い。これにより、培養液15の液滴がちょうど貫通孔17に挿入され、保持された形状となり、液滴が他方へ転がり移動することを抑制することが出来るだけでなく、基板11の第二面側への落下もさらに抑制できるため好ましい。
なお、貫通孔17の第二面側に細胞捕捉孔を有した薄板や、パッチクランプピペットを用いることによって、例えば細胞培養後に細胞同士がネットワークを形成した状態でそれら細胞の電気生理状態をそのまま測定することも可能である。
本発明の細胞培養基材は、血液由来細胞や組織由来細胞、またはiPS細胞やES細胞といった細胞の細胞培養に用いられることが期待される。
11 基板
12 繊維状突起物
13 撥水膜
14 検体
15 培養液
16 窪み
17 貫通孔
細胞の増殖速度は細胞の種類や状態、環境によって変わるが、例えばRBL(ラット好塩基球白血病)では3日後に細胞濃度が10倍程度になる。このとき、細胞は周囲の培養液から増殖に必要な栄養分を吸収すると共に老廃物を排出する。そのため、培養皿中の培養液の状態は細胞増殖が進むにつれて大きく変わる。また、たとえばCHO(チャイニーズハムスター卵巣)などにおいては、細胞は培養皿の平面部に付着しながら増殖する。そのため、付着するためのスペースが培養皿の平面部に無くなると、細胞の増殖は停止する。このように、細胞の増殖が進むと培養液中の細胞密度が高くなりそれ以上の増殖が行われなくなる。このため、ある程度細胞の培養が進んだ後は、細胞と培養液とを培養皿から回収し、遠心分離器を用いて細胞と培養液を分離する。そして、古い培養液を除去した上で、新しい培養液に適切な濃度で細胞を撒き、改めて細胞を培養する。この作業は一般的に継代と呼ばれる。
また、本実施の形態の細胞培養基材によれば、細胞培養における分化効率も向上する。iPS細胞やES細胞などの分化誘導においては、細胞の極性、すなわちアクチンや微小管などの細胞骨格分子の配置は細胞の分化と密接に関わることが知られている。つまり、分化誘導において、細胞が他の細胞や支持体等に接着すると細胞の極性に大きく影響してしまう。よって、極性なく細胞の分化を誘導することが組織を形成するための細胞培養に重要である。従来例でも示したようなナノインプリント構造による微少凹凸の三次元構造などにおける細胞培養においては、平面での培養よりは改善されるものの、その構造上、培養中に細胞が微小凹凸部等に接触することがある。これにより多くの場合、細胞に極性をもたらしてしまう。その結果、効率よく細胞を培養あるいは分化誘導することが困難となる。しかし、本実施の形態の細胞培養基材では、複数の繊維状突起物12にそれぞれ撥水膜13がコーティングされている。そして、繊維状突起物12の上面に細胞などの検体14を含む培養液15を吐出し、細胞(検体14)を培養する。この時、検体14は、検体14下方全体が繊維状突起物12に接触せずに、培養液15内で培養される。よって、細胞培養中に検体14下方全体が繊維状突起物12に接触しないので、効率的な細胞培養が可能となる。さらに、繊維状突起物12の直径を極めて小さくしておくことで、細胞などの検体14が繊維状突起物12に接触することをより抑制できる。このときの繊維状突起物12の直径は最小で10nm程度まで小さくすることが出来る。

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された複数の繊維状突起物と
    前記繊維状突起物表面に形成された撥水膜とを備え、
    複数の前記繊維状突起物は互いに絡み合うマトリクス構造である
    細胞培養基材。
  2. 前記繊維状突起物の先端は、前記基板の平面の垂直方向からカーブしている、請求項1に記載の細胞培養基材。
  3. 前記繊維状突起物は、シリコン酸化物からなる
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  4. 前記繊維状突起物は、アモルファスの二酸化ケイ素からなる
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  5. 前記撥水膜はフッ化炭素系ポリマーからなる
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  6. 前記繊維状突起物と前記基板とは直接接合されている
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  7. 前記基板は窪みを有しており、前記繊維状突起物は、前記窪みの内底面と側面とに形成されている
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  8. 前記基板は第一の面と、前記第一の面の反対面である第二の面とを有し、前記基板には前記第一の面と前記第二の面とを連通する貫通孔が設けられ、
    前記第一の面における前記貫通孔の周辺部から前記貫通孔の内壁面にかけて前記繊維状突起物が形成される
    請求項1に記載の細胞培養基材。
  9. 細胞を含む培養液を請求項1に記載の細胞培養基材の前記繊維状突起物の上部に配置するステップと、
    前記細胞培養基材を細胞培養環境維持装置の中に設置するステップと、前記細胞培養環境維持装置の内部がガスにより所定のガス濃度になるように環境維持するステップとを含む、
    細胞培養方法。
  10. 前記ガスは二酸化炭素と酸素との少なくともいずれかを含み、前記所定のガスは所定の濃度に維持される
    請求項9に記載の細胞培養方法。
  11. 前記ガスを前記繊維状突起物の周囲に存在する空隙部に循環させる請求項9に記載の細胞培養方法。
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