JPWO2011132549A1 - 表示素子及び表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、駆動安定性、耐久性に優れた電気化学的な表示素子とその製造方法を提供する。この表示素子は、少なくとも一対の対向電極と、少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により、発色、消色または変色を起こす化合物を該対向電極の間に含有する表示素子において、該対向電極の間に、更に分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を含有し、該分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、下記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする。式(1):|φ′−Va|≦1.8

Description

本発明は、表示素子及びその製造方法に関し、より詳しくは、電気化学反応を用いた表示素子及びその製造方法に関するものである。
デジタルコンテンツの閲覧用に、簡便で読みやすい表示素子が求められる。このような要望に対応した表示素子を用いた端末は電子ペーパーと呼ばれ、各種方式が提案されている。中でも、電気化学的に発色、消色及び変色を生じる化合物を用いた電気化学な表示素子は、電力の供給がなくとも表示状態を維持できるメモリー性を有し、低消費電力で環境適性が高く、低い電圧で駆動できること、比較的高い表示コントラストが得られること、適用する化合物の選択により、表示色を変えることが可能であることなどから、近年注目されている。
このような電気化学な表示素子においては、電極から発消色を起こす化合物への電子の授受を容易にし、発消色性を高めるためには、電極の仕事関数を、発消色を起こす化合物に合わせて調整することが重要であることは広く知られている。例えば、電極として用いるための好ましい仕事関数を有する導電ポリマーを得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、特定の範囲の仕事関数(具体的には5.30eVから5.92eVの範囲)の導電ポリマーを得る方法が記載されているのみである。また、仕事関数の調整が容易な導電性高分子化合物として、特定のイオン性共役高分子と導電性高分子の組み合わせが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、具体的な開示としては、仕事関数を大きくすることについてのみである。
このように、従来は、電極材料そのものを変更することにより仕事関数を変更する工夫が行なわれてきたが、この方法では、例えば、発消色を行なう化合物を変更した場合には、電極材料自体の化学組成を変更しなければいけないという欠点がある。このような化合物選択の組み合わせは容易に見つかるものではなく、また、表示素子の性能、特に駆動安定性が十分な化合物を選択することは容易ではない。また、電極に求められる性能としては、仕事関数だけではなく、例えば、表示側の電極の場合には、透明性が必要となる。更に、熱や光、化合物に対する耐久性なども兼ね備えなければならず、そのような電極材料は、必ずしも多様に選択できるものではない。
特開2008−031430号公報 特開2007−327058号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、駆動安定性、耐久性に優れた電気化学的な表示素子とその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも一対の対向電極と、少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により、発色、消色または変色を起こす化合物を該対向電極の間に含有する表示素子において、
該対向電極の間に、更に分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を含有し、該分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、該発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、下記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする表示素子。
式(1)
|φ′−Va|≦1.8
2.前記電極の仕事関数φ′(V)と、発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする前記1に記載の表示素子。
式(2)
|φ′−Va|≦1.0
3.前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、分子構造内に正または負に帯電した部位を有する化合物、極性基を有する化合物、または孤立電子対などの存在により電荷の偏りを生じている化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、リチウムイオンを生じる化合物、オキソニウムイオンを生じるオキソニウム化合物、ホスホニウムイオンを生じるホスホニウム化合物、スルホニウムイオンを生じるスルホニウム化合物、及びアンモニウムイオンを生じるアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種のイオン乖離により正電荷を生じる部位を有する化合物であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
5.前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、硫化水素イオン、チオシアン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンから選ばれる少なくとも1つのイオン乖離により負電荷を生じる部位を有する化合物であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
6.前記発色、消色または変色を起こす化合物が反応する前の電極単体の仕事関数が、3.5eV以上、6.0eV以下であり、かつ前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、4級アンモニウムイオン構造、過塩素酸イオン構造またはスルホン酸イオン構造を有する化合物を含むことを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の表示素子。
7.前記4級アンモニウムイオン構造を有する化合物が、炭素原子数が4以上の長鎖のアルキルで置換された4級アンモニウムイオン構造を有する化合物であることを特徴とする前記6に記載の表示素子。
8.前記1から7のいずれか1項に記載の表示素子を製造することを特徴とする表示素子の製造方法。
本発明は、限られた電極材料を用いながら、多様な発消色化合物の採用を可能にする手段である。すなわち、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を併用し、それらを適切な割合で電極に吸着させ、電極の仕事関数を調整し、発消色を起こす化合物の酸化還元電位に近づけることにより、発消色を起こす化合物の電極反応速度を調整し、表示素子の駆動安定性を向上することができる。
具体的には、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、発色、消色及び変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)との差の絶対値が1.8以下である場合に、効果が高いことを見出した。更に、差の絶対値が1.0以下であることが、より効果が高いことを見いだした。さらに、本発明の方法によれば、電極材料と発消色を起こす化合物の選択が、化合物自体の酸化還元電位で決まる見掛けの反応速度により規定されないため、例えば、異なる発色を示す化合物による表示素子を重ねて多色表示するような場合でも、各素子の書き換え速度などを調整することができることになる。
また、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物の種類と量の選択により、表示素子内に存在する、発消色を起こす化合物以外の物質の好ましくない電極反応を防ぐよう設計することも可能で、表示素子の耐久性を上げることができる。
本発明の表示素子の基本的な構成を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも一対の対向電極と、少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により、発色、消色または変色を起こす化合物を該対向電極の間に含有する表示素子において、該対向電極の間に、更に分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を含有し、該分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、該発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、|φ′−Va|≦1.8となる関係を満たすことを特徴とする表示素子により、駆動安定性、耐久性に優れた電気化学的な表示素子を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の表示素子の詳細について説明する。
〔セルの基本構成〕
図1は、本発明の表示素子の基本的な構成を示す概略断面図である。
図1において、本発明の表示素子は、一対の対向電極1の間に対向電極の少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により発色、消色または変色を起こす化合物を少なくとも一種含有し、電源3から対向電極1に電圧または電流を印加することにより、該化合物の発色、消色または変色を起こすことにより、表示状態を変更する表示素子である。分子構造内に電荷の偏りを有する化合物は、この対向電極のうち電気化学反応により発色、消色または変色を起こす化合物が反応を起こす電極表面に吸着して作用する。
〔電極〕
本発明の表示素子においては、図1に示すような一対の対向電極間に、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を含有し、該化合物が上記電極に吸着することにより、該電極の仕事関数を変化させることを特徴の1つとする。
更には、上記のような発色、消色または変色を起こす化合物が反応する前の電極単体の仕事関数が、3.5eV以上、6.0eV以下の範囲であることが好ましい。
なお、本発明でいう電極の仕事関数は、紫外光電子分光法により測定することができる。
本発明において、電極素材単体の仕事関数(φ)は、電極を、アセトニトリル中に過塩素酸リチウムを0.2モル/Lの濃度で溶解した電解質液に浸し、理研計器株式会社製AC−2を使用して測定することができる。
また、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数(φ′)は、上記電極を、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を溶解したアセトニトリル/エタノール=50/50(質量比)液に浸漬し、所定時間後に取り出して乾燥させ、上記と同様の方法で吸着した電極素材の仕事関数(φ′)を測定することができる。
以下、本発明の表示素子に適用可能な各種電極について説明する。
(表示側電極)
表示側電極には、少なくとも可視光を透過する透明電極を用いることが好ましい。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられ、生産性や耐久性の点から、特に、ITO、FTO等が好ましい。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
表示側電極の導電性を示す表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。電極の厚みには特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(透明多孔質電極)
表示側電極の表面に、ナノ多孔質構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
(対向電極)
対向電極は、表示色に関与することなく用いることができるため、電気を通じるものであれば、特に制限されず用いることができる。
表示側電極に用いられる材料と同じ材料に加え、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金、カーボン等、透明性を有しない材料でも好ましく用いることができる。
(補助電極)
本発明に係る一対の対向する電極のうち少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
補助電極を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法や、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。本発明の補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
このように透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μm以上、1000μm以下が好ましい。
(電極の製法)
表示側電極および対抗電極、あるいは補助電極を形成するには、公知の方法を適用することができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着するか、全面形成した後に、フォトリソグラフィ法でパターニングして形成してもよい。また、電解メッキ法や無電解メッキ法、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、触媒により重合され、重合した後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、このモノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
電極材料を塗布にて形成する場合は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェット方式は高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明の透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
〈静電インクジェット方式〉
本発明の表示素子においては、複合電極の透明電極及び金属補助電極の少なくとも一方が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
さらに前記ノズル内の溶液が当該ノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
また、前記凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して前記凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
また、前記凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び吐出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
この様な静電インクジェットを用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド性に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができ有利である。
〔電気化学反応により発色、消色または変色を起こす化合物〕
本発明の表示素子においては、少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により、発色、消色または変色を起こす化合物を対向電極の間に含有し、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、前記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする。
本発明に係る発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)は、サイクリックボルタノメトリー(CV)を用いて、公知の方法で、測定できる。具体的には、発色、消色または変色を起こす化合物を、アセトニトリル中に過塩素酸リチウムを0.2モル/Lの濃度で溶解した電解質液に溶解し、所定の電圧範囲で掃引することにより、サイクリックボルタノグラムを得る。酸化時のピーク電圧と、還元時のピーク電圧の中間を酸化還元電位とする。
本発明に係る電気化学反応により発色、消色または変色を起こす化合物としては、いわゆるエレクトロクロミック化合物と呼ばれる各種化合物を用いることができる。このような化合物としては、「エレクトロクロミックディスプレイ」(平成3年6月28日刊、産業図書株式会社)pp27−124、「クロミック材料の開発」(2000年11月15日刊、株式会社シーエムシー)pp81−95等に記載の化合物を挙げることができる。
本発明に適用可能なエレクトロクロミック化合物の一つは、金属である。特定の金属は、電気化学的な反応により溶解と析出を繰り返す起こすことが知られている。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、より好ましいのは銀、ビスマスである。特に、明瞭な黒色表示を行う点とその反応性において、銀が好ましい。
本発明においては、発色、消色または変色を起こす化合物として銀塩化合物を用いることができる。本発明に係る銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中で、ハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明の表示素子においては、対向電極間には電解質を保持することが好ましいが、本発明において、電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
本発明に係る発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)としては、ビスマスの酸化還元電位は約+0.3(V)、銀の酸化還元電位は約+0.8(V)である。
エレクトロクロミック化合物としては、有機色素も知られている。色素は、その分子構造により多様な色調の発色が可能である点で、好ましい。
以下に、エレクトロクロミック化合物について、詳しく説明する。
本発明に適用可能なエレクトロクロミック化合物(以下、単にEC化合物ともいう)としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来る。EC化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、有機金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素が知られている。
エレクトロクロミック特性を示す有機金属錯体としては、例えば、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、希土類ジフタロシアニン錯体、フェロセン系色素などが挙げられる。
エレクトロクロミック特性を示す導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリベンジジン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾール及びこれらの誘導体などが挙げられる。
また、例えば、特開2007−112957号公報に記載されているような、ビスターピリジン誘導体と金属イオンから成る高分子材料もエレクトロクロミック特性を示す。
エレクトロクロミック特性を示す有機色素としては、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、フェノチアジン等アジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いることもできる。
中でも、下記一般式(L)で表されるロイコ色素であるエレクトロクロミック化合物は、発色性とメモリー性の点で、より好ましい。
上記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1、Rlで表される置換基としては、特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良いRl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは、>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
前記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物であるアゾール系色素の中でも、特に、下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が好ましい。
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は各々脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)または(L2)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるエレクトロクロミック色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〔分子構造内に電荷の偏りを有する化合物〕
本発明に係る分子構造内に電荷の偏りを有する化合物とは、その化学構造中に、正または負に帯電した部位を有する化合物、極性基を有する化合物、あるいは孤立電子対などの存在により電荷の偏りを生じている化合物である。
正または負に帯電した部位とは、表示素子内に存在する状態で、化合物が正または負に帯電している部分のことであり、これは、化学構造により電荷を帯びている状態や、置換基のイオン乖離により電荷を帯びている状態などである。
更には、本発明においては、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物としては、4級アンモニウムイオン、特にC4以上の長鎖のアルキルで置換された4級アンモニウムイオン、過塩素酸イオン、スルホン酸イオン構造を有する化合物が、その安定性などから好ましい。
イオン乖離により正電荷を生じる部位としては、水素イオン(H)、リチウムイオン(Li)などの金属イオン、オキソニウムイオン(H)、スルホニウムイオン(H)、ホスホニウムイオン(PH )、アンモニウムイオン(NH )などが挙げられる。
リチウムイオンを生じる化合物としては、例えば、酢酸リチウム、アセト酢酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、炭酸リチウム、リチウムジイソプロピルアミド、DL−2−ヒドロキシ酪酸リチウム、ぎ酸リチウム一水和物、ヘキサメチルジシラザンリチウム、L−乳酸リチウム、ピルビン酸リチウム一水和物、ステアリン酸リチウム、リチウムトリ−sec−ブチルボロヒドリド、水素化リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、サリチル酸リチウム、tert−ブチルリチウムなどが挙げられる。
オキソニウムイオンを生じるオキソニウム化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルピリリウムテトラフルオロボラート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリリウム トリフルオロメタンスルホナート、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラートなどが知られている。
ホスホニウムイオンを生じるホスホニウム化合物としては、例えば、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(2,4−ジクロロベンジル)フェニルホスホニウムクロリド、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(2−トリメチルシリルエチル)トリフェニルホスホニウムヨージド、(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(3−トリメチルシリル−2−プロピニル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(4−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(ブロモメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(クロロメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(シアノメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(ホルミルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(N−メチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルホスホニウムヨージド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、3−ブロモプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、4−エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、アセトニルトリフェニルホスホニウムクロリド、アリルトリフェニルホスホニウムブロミド、アリルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、シンナミルトリフェニルホスホニウムブロミド、シクロプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、シクロプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージド、メトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ビス(テトラフルオロほう酸)μ−オキソビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム]、フェナシルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラ−n−オクチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、テトラブチルホスホニウムビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)ニッケル(III)コンプレックス、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラエチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファート、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、trans−2−ブテン−1,4−ビス(トリフェニルホスホニウムクロリド)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリブチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル(シアノメチル)ホスホニウムクロリド、トリブチル−n−オクチルホスホニウムブロミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルメチルホスホニウムヨージド、トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムブロミド、トリフェニルプロパルギルホスホニウムブロミド、トリフェニルプロピルホスホニウムブロミド、トリフェニルビニルホスホニウムブロミドなどを挙げることができる。
スルホニウムイオンを生じるスルホニウム化合物としては、例えば、(2−カルボキシエチル)ジメチルスルホニウムブロミド、(2−カルボキシエチル)ジメチルスルホニウムクロリド、(3−クロロプロピル)ジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、テトラフルオロほう酸 1,3−ベンゾジチオリリウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルスルファート、ブロモジメチルスルホニウムブロミド、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、テトラフルオロほう酸ジメチル(メチルチオ)スルホニウム、テトラフルオロほう酸ジメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニル(メチル)スルホニウム テトラフルオロボラート、DL−メチオニンメチルスルホニルクロリド、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリブチルスルホニウムヨージド、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルスルホニウムブロミド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヨージド、トリメチルスルホキソニウムブロミド、トリメチルスルホキソニウムヨージド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボラートなどが挙げられる。
本発明においては、特に、アンモニウム化合物は多様な選択肢があり好ましい。このようなアンモニウム化合物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドハイドレート、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリドハイドレート、テトラエチルアンモニウムフルオリドテトラヒドロフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリドトリヒドロフルオリドなどのアンモニウムフルオリド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムクロリド、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、アセチルクロリンクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンゾイルクロリンクロリド、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリドハイドレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドハイドレート、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリドハイドレート、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、(ヒドラジノカルボニルメチル)トリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド、n−オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、フェニルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラアミルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、トリエチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、トリメチル[2,3−(ジオレイロキシ)プロピル]アンモニウムクロリド、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどのアンモニウムクロリド、(フェロセニルメチル)ドデシルジメチルアンモニウムブロミド、(フェロセニルメチル)トリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジアウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジミリスチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、(3−ジメチルカルバモイルオキシフェニル)トリメチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラ(デシル)アンモニウムブロミド、テトラ−n−オクチルアンモニウムブロミド、テトラアミルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、トリメチルステアリルアンモニウムブロミド、トリメチルビニルアンモニウムブロミドなどのアンモニウムブロミド、(2−ヒドロキシメチル)トリエチルアンモニウムヨージド、(フェロセニルメチル)トリメチルアンモニウムヨージド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、エチルトリメチルアンモニウムヨージド、エチルトリプロピルアンモニウムヨージド、フェニルトリエチルアンモニウムヨージド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヨージド、テトラアミルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、トリメチル[2−[(トリメチルシリル)メチル]ベンジル]アンモニウムヨージドなどのアンモニウムヨージド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシドなどのアンモニウムヒドロキシド、(メトキシカルボニルサルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩、2−(メタクリロイロキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、ベンジルトリエチルアンモニウムブロヒドリド、ベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ビス(テトラブチルアンモニウム)ジクロメート、ビス(テトラブチルアンモニウム)テトラシアノジフェノキノジメタニド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムパークロレート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムヒドロゲンサルフェート、オクタデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、トラブチルアンモニウムアジド、テトラブチルアンモニウムジフロリド、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨージド、テトラブチルアンモニウムジブロモアウレート、テトラブチルアンモニウムジブロモクロリド、テトラブチルアンモニウムジブロモヨージド、テトラブチルアンモニウムジクロロアウレート、テトラブチルアンモニウムジクロロブロミド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケート、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタネート、テトラブチルアンモニウムジヒドロゲントリフルオリド、テトラブチルアンモニウムジヨードアウレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヒドロゲンスルフェート、テトラブチルアンモニウムp−ニトロフェノキシド、テトラブチルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムパーレネート、テトラブチルアンモニウムホスフェート、テトラブチルアンモニウムサリシレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムチオシアネート、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒロドキシド分子内塩、テトラエチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヒドロゲンスルフェート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムスルフェート、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムトリアセトキシボロヒドリド、テトラプロピルアンモニウムパールテナート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミドなどの第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
イオン乖離により負電荷を生じる部位としては、フッ化物イオン(F)などのハロゲン化物イオン、水酸化物イオン(OH)、シアン化物イオン(CN)、硝酸イオン(NO )、過塩素酸イオン(ClO )、酢酸イオン(CHCOO)、硫化水素イオン(HS)、チオシアン酸イオン(SCN)、スルホン酸イオン(SO )、硫酸イオン(SO 2−)、リン酸イオン(PO 2−)、などが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、5−ニトロベンゾイミダゾール硝酸塩、1,1−ジメチルグアニジン硫酸塩、1,2−フェニレンジアミン硫酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン硫酸塩、硫酸m−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン硫酸塩、1−アダマンタンアミン硫酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−メチルグアニジン硫酸塩、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン硫酸塩、2,4,5−トリアミノ−6−ヒドロキシピリミジン硫酸塩水和物、硫酸水素2,4,6−トリフェニルピリリウム、2,4−ジアミノアニソール硫酸塩水和物、2,4−ジアミノフェノール 硫酸塩、2,5−ジアミノトルエン硫酸塩、硫酸水素2−アミノエチル、2−アミノイミダゾール硫酸塩、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン硫酸塩、2−クロロフェニルヒドラジン硫酸塩、3−(エチルアミノ)フェノールヘミ硫酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸銀、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸10−メチル−9−フェニルアクリジニウム、過塩素酸10−メチルアクリジニウム、過塩素酸9−(2,5−ジメチルフェニル)−10−メチルアクリジニウム、過塩素酸9−(2,6−ジメチルフェニル)−10−メチルアクリジニウム、過塩素酸9−(2−ビフェニルイル)−10−メチルアクリジニウム、過塩素酸9−メシチル−10−メチルアクリジニウム、過塩素酸9−メシチル−2,7,10−トリメチルアクリジニウム、過塩素酸アセチルコリン、過塩素酸 ジフェニルヨードニウム、過塩素酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、過塩素酸N−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、1,1−ジエチルグアニジン硫酸塩、1,1−ジメチルグアニジン硫酸塩、1,2−フェニレンジアミン硫酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン硫酸塩、硫酸m−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン硫酸塩、1−アダマンタンアミン硫酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−メチルグアニジン硫酸塩、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン硫酸塩、2,4,5−トリアミノ−6−ヒドロキシピリミジン硫酸塩水和物、硫酸水素2,4,6−トリフェニルピリリウム、2,4−ジアミノアニソール硫酸塩水和物、2,4−ジアミノフェノール硫酸塩、2,5−ジアミノトルエン硫酸塩、硫酸水素2−アミノエチル、2−アミノイミダゾール硫酸塩、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン硫酸塩、2−クロロフェニルヒドラジン 硫酸塩C1214l2・HSO、3−(エチルアミノ)フェノールヘミ硫酸塩、リン酸スペルミジン六水和物、(1R,2R)−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エチレンジアミンリン酸塩、(1S,2S)−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エチレンジアミンリン酸塩、クロロキン二リン酸塩、グアニジンリン酸塩、ヒスタミン二リン酸塩水和物、リン酸トリエタノールアミン、イプロニアジドリン酸塩などが挙げられる。
極性基を有する化合物は、上記のようなイオン乖離によらずとも、化合物自体に電荷の偏りを生じている。例えば、N、Pのような極性部分を有するイオン液体や、SO 、Sのような極性部分を有する化合物がある。このような化合物としては、界面活性剤として知られているような化合物も挙げることができる。
イオン液体の例としては、アミルトリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリブチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムポリエチレングリコールヘキサデシルエーテルスルファート被覆リパーゼ、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムブロミド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムクロリド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート、1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート、1−エチルピリジニウムブロミド、1−エチルピリジニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
界面活性剤のうち好ましい化合物としては、ヘプタデカフルオロ−1−オクタンスルホン酸アンモニウム、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩などが挙げられる。
一つの化合物の中に、正に帯電した部位と負に帯電した部位が共存する化合物もある。このような化合物は、化合物全体としては電荷がニュートラルな状態となっているが、電極に吸着することにより電極の仕事関数を変化させる効果を生じれば、問題なく用いることができる。
(孤立電子対を有する化合物)
本発明でいう孤立電子対とは、非共有電子対またはローンペアとも呼ばれ、1つの軌道に電子が2つ入り,共有結合に関与しない電子対を意味する。本発明に係る分子構造内に電荷の偏りを有する化合物としては、この要件を満たすいかなる孤立電子対を含んでも良い。孤立電子対は、窒素やイオウ、酸素、フッ素などを含む化合物に多く存在する。アミン、カルボン酸は、その例である。また、三フッ化塩素は、塩素上に2個の孤立電子対を有する。別の例としては、複素環化合物が知られている。
孤立電子対を有する化合物としては、エドワード・シー・テーラー(Edward C.Taylor),アーノルド・ワイスバーガー(Arnold Weissberger)編、「ザ・ケミストリー・オブ・ヘテロサイクリック・コンパウンズ(The Chemistry of Heterocyclic Compounds)−ア・シリーズ・オブ・モノグラフズ(A Series of Monographs)」第1〜59巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、ロバート・シー・エルダーフィールド(Robert C.Elderfield)編、「ヘテロサイクリック・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds)」第1〜6巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、などに記載の化合物を用いることができる。また、これらに記載の方法に基づいて合成することができる。
特に好ましい孤立電子対を有する化合物は、酸素原子またはイオウ原子上に孤立電子対を有する化合物である。このような化合物としては、置換又は無置換のフラン化合物、置換又は無置換のチオフェン化合物、置換又は無置換のベンゾ[b]チオフェン化合物、チアントレン、フェノキサチイン、置換又は無置換のフェノキサジン化合物、置換又は無置換のフェノチアジン化合物、置換又は無置換のチアゾリン化合物、置換又は無置換のオキサゾリン化合物、置換又は無置換のモルホリン化合物、置換又は無置換のキサンテンなどが知られている。
本発明に係る分子構造内に電荷の偏りを有する化合物は、電極に吸着する性質をもっている。電極に吸着するとは、化学結合或いは物理結合によって、電極表面に化合物が結合することが可能であることを意味する。このためには、分子構造内に特に吸着基と呼ばれる置換基を有することが好ましい。吸着基としては、カルボシキル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスファト基などが好ましく用いられる。
該分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を電極表面に吸着させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、所望の化合物をアセトニトリル/エタノール=50/50の混合溶媒に溶解させ、これにアセトニトリルで洗浄した電極を浸漬させた後、電極を取り出して乾燥させることで、吸着させることができる。
分子構造内に電荷の偏りを有する化合物の電極への吸着を確認するには、このようにして作製した電極に対し、(1)表面IRを測定する、(2)ラマン分光で分析する、(3)吸着させた化合物に対する良溶媒中に、化合物が吸着した電極を浸漬し化合物を脱着し、ガスクロマトグラフィーなどで定量分析する、などの方法を取ることができる。
上記のような、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物の種類と量は、選択した電極の種類と発消色を生じる化合物の組み合わせにより、種々選択することができる。要は、吸着により電極の仕事関数を好ましい範囲に変化させることができればよい。より好ましくは、分子構造内に電荷の偏りを有する化合物それ自体は電気化学反応を起こさないものがよい。
次いで、本発明の表示素子のその他の構成要素の詳細について説明する。
〔電解質〕
本発明の表示素子において、電解質を用いることができる。本発明でいう電解質は、狭義には、溶媒中に溶解した際に陽イオンと陰イオンに電離する物質そのものをさすが、本発明における電解質は、このような狭義の電解質以外に、溶媒、その他必要に応じて各種化合物等を含有させた混合物も電解質と称する。
(狭義の電解質)
本発明において用いられる狭義の電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO、CH(CNBF、(CH(CNBF、(CHNSOCF、(CNSOCF、(n−CNSOCF
更には、
等が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CHPBF、(CPBF、(CPBF、(CPBF等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
(リチウム塩)
本発明に係る電解質においては、リチウム塩を好適に用いることができる。
リチウム塩としては、任意のリチウム化合物を用いることができるが、リチウム塩のアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(CFSO、(CFCFSO、Ph、(C、(CFSO、CFCOO、CFSO 、CSO 等が挙げられる。アニオンとしては、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(CFSO、(CFCFSO、(CFSO、CFSO がより好ましい。
代表的な支持電解質塩としては、LiN(CFSO、LiCFSO、LiN(SO、LiCFSO、LiPF、LiClO、LiI、LiBF、LiCFCO、LiSCN、LiN(SOCFなどが挙げられる。これらは一種または二種以上を混合してもよい。
これらのリチウム塩の使用量は任意であるが、一般的には、電解質塩は溶媒中に上限としては20M以下、好ましくは10M以下、さらに好ましくは5M以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01M以上、好ましくは0.05M以上、さらに好ましくは0.1M以上存在していることが望ましい。
〔溶媒〕
本発明に係る電解質には、溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒を使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリへキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。前記常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明に用いる電解質溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
〈一般式(S1)、(S2)で表される化合物〉
本発明において、特に好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物である。
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはCHを表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
次いで、本発明に係る一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21,Rs22は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
〔基板〕
本発明の表示素子に適用可能な基板としては、ガラス、金属、セラミック、樹脂等、公知の各種基板を挙げることができる。
表示素子で用いる透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが用いられる。
また、本発明でいう基板は、上記素材による基板上に、電極となる導電性層や、絶縁層などの各種機能層を有するものを包含する。
〔多孔質白色散乱層〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱性物質を含有する多孔質白色散乱層を有することができる。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、水系高分子の平均分子量は、重量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色顔料の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
これらの白色顔料のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
多孔質白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高いアルコール系溶剤が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、観察側から最も遠いエレクトロクロミック発色層に付与することが好ましい。
媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができる。例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬膜剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔その他添加剤〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を、下記表1に示す。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《電極の作製》
下記の方法に従って、単体の電極1〜5を作製した。
(電極1の作製)
市販のITO膜付きガラス(ガラス厚み1.5mm)を、公知の方法でエッチングし、ピッチ145μm、電極幅130μmの電極を形成し、電極1を得た。
次いで、作製した電極1の単体における仕事関数を測定した。具体的には、作製した上記電極1を、アセトニトリル中に過塩素酸リチウムを0.2モル/Lの濃度で溶解した電解質液に浸して乾燥した後、理研計器株式会社製AC−2を使用して仕事関数(V)を測定した結果、4.9(V)であった。
(電極2の作製)
上記電極1の作製において、市販のITO膜付きガラスに代えて、AZO膜付きガラスを用いた以外は同様にして、電極2を作製した。また、作製した電極2について、上記と同様の方法で電極単体での仕事関数を測定した結果、4.0(V)であった。
(電極3の作製)
上記電極1の作製において、市販のITO膜付きガラスに代えて、ZnO膜付きガラスを用いた以外は同様にして、電極3を作製した。また、作製した電極3について、上記と同様の方法で電極単体での仕事関数を測定した結果、3.2(V)であった。
(電極4の作製)
上記電極1の作製において、市販のITO膜付きガラスに代えて、市販のFTO膜付きガラスを用いた以外は同様にして、電極4を作製した。また、作製した電極4について、上記と同様の方法で電極単体での仕事関数を測定した結果、5.2(V)であった。
(電極5の作製)
上記作製した電極1上に、平均粒径が10nmの二酸化チタン粒子を含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去して、厚さ1.0μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した電極5を作製した。
《表示側電極の作製》
上記作製した電極と電荷の偏りを有する化合物とを用いて、下記の方法に従って、表示側電極1〜25を作製した。
(表示側電極1)
上記作製した電極1をそのまま使用して、これを表示側電極1とした。表示側電極1の仕事関数は、4.9(V)である。
(表示側電極2の作製)
電極1をアセトニトリルで洗浄し、電荷の偏りを有する化合物としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含むアセトニトリル/エタノール=50/50溶液に浸した後、取り出して乾燥させて、表面に電荷の偏りを有する化合物としてEDTAを吸着させた表示側電極2を作製した。
上記作製した電荷の偏りを有する化合物としてEDTAが吸着した表示側電極2の仕事関数φ′を、前記と同様の方法で測定した結果、3.1(V)であった。
(表示側電極3〜25の作製)
上記表示側電極2の作製において、電極の種類及び電荷の偏りを有する化合物の種類を表2に記載の組み合わせとした以外は同様にして、表2に記載の仕事関数φ′を有する表示側電極3〜25を作製した。
《対向電極の作製》
(対向電極1の作製)
厚さ1.5mmで10cm×10cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmの銀−パラジウム電極を形成して、これを対向電極1とした。
(対向電極2〜5)
上記表示側電極の作製に用いたAZOを有する電極2を対向電極2(AZO)として用い、同様にZnOを有する電極3を対向電極3(ZnO)として、ITOを有する電極1を対向電極4(ITO)として、FTOを有する電極4を対向電極5(FTO)として用いた。
《電解質液の調製》
(電解質液1の調製)
γ−ブチロラクトンの2.5質量部中に、ヨウ化ナトリウムを0.09質量部、塩化ビスマスを0.075質量部加えて完全に溶解させた後、ポリビニルピロリドン(平均分子量15,000)を0.1質量部添加して120℃で加熱しながら1時間攪拌し、平均粒径0.25μmの二酸化チタン粒子を2質量部添加し、電解質液1を得た。なお、発消色を起こす化合物である塩化ビスマスの酸化還元電位Vaを下記の方法により測定した結果、0.6(V)であった。サイクリックボルタノメトリー(CV)を用いて、塩化ビスマスを、アセトニトリル中に過塩素酸リチウムを0.2モル/Lの濃度で溶解した電解質液に溶解し、所定の電圧範囲で掃引することにより、サイクリックボルタノグラムを作成し、酸化時のピーク電圧と、還元時のピーク電圧の中間を酸化還元電位として求めた。
(電解質液2の調製)
γ−ブチロラクトンの2.5質量部中に、ヨウ化ナトリウムを0.09質量部、ヨウ化銀を0.075質量部加えて完全に溶解させた後、ポリビニルピロリドン(平均分子量15,000)を0.1質量部添加して120℃で加熱しながら1時間攪拌し、平均粒径0.25μmの二酸化チタン粒子を2質量部添加し、電解質液2を得た。なお、発消色を起こす化合物であるヨウ化銀の酸化還元電位Vaを、上記と同様の方法により測定した結果、0.8(V)であった。
(電解質液3の調製)
プロピレンカーボネートの2.5質量部中に、過塩素酸リチウムを0.2モル/Lとなるように溶解し、例示化合物(G1−2)を0.09質量部、p−トルエンスルホン酸銀を0.075質量部加えて完全に溶解させた後に、平均粒径2.5μmの二酸化チタン粒子を3質量部加え攪拌し、次いでポリエチレングリコール(平均分子量4万)を0.1質量部添加して120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液3を得た。なお、発消色を起こす化合物であるp−トルエンスルホン酸銀の酸化還元電位Vaを、上記と同様の方法により測定した結果、0.8(V)であった。
(電解質液4の調製)
プロピレンカーボネートの2.5質量部中に、過塩素酸リチウムを0.2モル/Lとなるように溶解し、これに発消色を起こす化合物として化合物EC−1を0.4モル/Lとなるように溶解させた後に、平均粒径2.5μmの二酸化チタン粒子を3質量部加え攪拌し、次いでポリエチレングリコール(平均分子量4万)を1質量部添加して120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液4を得た。なお、発消色を起こす化合物である化合物EC−1の酸化還元電位Vaを、上記と同様の方法により測定した結果、1.3(V)であった。
(電解質液5の調製)
上記電解質液4の調製において、発消色を起こす化合物として化合物EC−1に代えて、化合物EC−2を用いた以外は同様にして、電解質液5を調製した。なお、発消色を起こす化合物である化合物EC−2の酸化還元電位Vaを、上記と同様の方法により測定した結果、2.0(V)であった。
(電解質液6の調製)
上記電解質液4の調製において、発消色を起こす化合物として化合物EC−1に代えて、化合物EC−3を用いた以外は同様にして、電解質液6を調製した。なお、発消色を起こす化合物である化合物EC−3の酸化還元電位Vaを、上記と同様の方法により測定した結果、0.9(V)であった。
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製〕
対向電極1の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後、対向電極1と表示電極1とを、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解質液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。
〔表示素子2〜25の作製〕
上記表示素子1の作製において、表示電極、対向電極及び電解質液の種類を、表2に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、表示素子2〜25を作製した。
表2に、各表示素子の構成を示す。
上記表2に略称にて記載した各構成要素の詳細は、以下の通りである。
(電極の構成材料)
ITO:Indium Tin Oxide(インジウム錫酸化物)
AZO:AlをドープしたZnO
FTO:フッ素ドープ酸化スズ
(電荷の偏りを有す得る化合物)
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
化合物B−1:(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド
化合物B−2:(フェロセニルメチル)ドデシルジメチルアンモニウムブロミド
化合物B−3:テトラチアフルバレン
化合物B−4:2,3−ジメチルフラン
化合物B−5:(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩
化合物B−6:メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
化合物B−7:過塩素酸10−メチルアクリジニウム
化合物B−8:1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム
化合物B−9:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム
化合物B−10:トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート
化合物B−11:トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド
化合物B−12:トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
化合物B−13:1,1−ジメチルグアニジン硫酸塩
化合物B−14:(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド
化合物B−15:ペンタデカフルオロ−1−オクタンスルホン酸リチウム
化合物B−16:2,4,6−トリメチルピリリウムテトラフルオロボラート
化合物B−17:テトラフルオロほう酸
化合物B−18:n−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド
上記各化合物の中で、化合物B−1〜B−8の構造を以下に示す。
(発消色を起こす化合物)
《表示素子の評価》
〔駆動安定性の評価〕
上記作製した表示素子1〜25を、それぞれ駆動回路に接続し、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dを用い、1.5Vの駆動電圧において、白と着色のコントラストが5.0となるのに要する電圧印加時間を求め、この条件で千回の書き換え(表示と消去の繰返し)を行なった。
次いで、下式に従って千回の書き換えを行った後のコントラスト保持率を求め、これを駆動安定性の評価の尺度とした。
コントラストは、着色表示の反射率/白色表示(画像消去時)の反射率とし、反射率は最大反射を示す波長で測定し、コントラスト保持率=千回駆動後のコントラスト/初期コントラスト(=5)×100(%)として求めた。
得られた結果を、表3に示す。
表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる表示素子は、比較の表示素子に対し、コントラスト保持率が高く、駆動安定性に優れていることが分かる。
1 対向電極
2 電解質
3 電源
4 アース

Claims (8)

  1. 少なくとも一対の対向電極と、少なくとも一方の電極表面での電気化学反応により、発色、消色または変色を起こす化合物を該対向電極の間に含有する表示素子において、
    該対向電極の間に、更に分子構造内に電荷の偏りを有する化合物を含有し、該分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が吸着した電極の仕事関数φ′(V)と、該発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、下記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする表示素子。
    式(1)
    |φ′−Va|≦1.8
  2. 前記電極の仕事関数φ′(V)と、発色、消色または変色を起こす化合物の酸化還元電位Va(V)とが、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
    式(2)
    |φ′−Va|≦1.0
  3. 前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、分子構造内に正または負に帯電した部位を有する化合物、極性基を有する化合物、または孤立電子対などの存在により電荷の偏りを生じている化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、リチウムイオンを生じる化合物、オキソニウムイオンを生じるオキソニウム化合物、ホスホニウムイオンを生じるホスホニウム化合物、スルホニウムイオンを生じるスルホニウム化合物、及びアンモニウムイオンを生じるアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種のイオン乖離により正電荷を生じる部位を有する化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、硫化水素イオン、チオシアン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンから選ばれる少なくとも1つのイオン乖離により負電荷を生じる部位を有する化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 前記発色、消色または変色を起こす化合物が反応する前の電極単体の仕事関数が、3.5eV以上、6.0eV以下であり、かつ前記分子構造内に電荷の偏りを有する化合物が、4級アンモニウムイオン構造、過塩素酸イオン構造またはスルホン酸イオン構造を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示素子。
  7. 前記4級アンモニウムイオン構造を有する化合物が、炭素原子数が4以上の長鎖のアルキルで置換された4級アンモニウムイオン構造を有する化合物であることを特徴とする請求項6に記載の表示素子。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の表示素子を製造することを特徴とする表示素子の製造方法。
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