JP2011048234A - 表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な素子構成で作製でき、黒表示特性及び色再現性に優れた表示素子を提供する。
【解決手段】基板2上に、少なくとも、透明電極層3と、少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含有する第1のエレクトロクロミック発色層と、該第1のエレクトロクロミック発色層とは異なる色調を呈するエレクトロクロミック化合物を含有する第2のエレクトロクロミック発色層とを積層して構成される表示素子1において、該エレクトロクロミック発色層の少なくとも1層が、電気化学的反応により溶解及び析出を起こす金属種を含有することを特徴とする表示素子。
【選択図】図2

Description

本発明は、明瞭な黒表示が行え、色再現性に優れた表示素子に関するものである。
近年、液晶ディスプレイやCRTディスプレイとは異なり、紙のように持ち歩きが容易で、読みやすい反射型表示を行う電子ペーパーと言われる表示素子が、各種提案されている。中でも、比較的低電圧で駆動ができ、カラー表示が容易であるエレクトロクロミック方式の表示素子が注目されている。特に、積層方式のエレクトロクロミック素子は、並置混色に比べ色再現範囲が広いとされ、各種提案されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、透明薄膜トランジスタを介して複数のエレクトロクロミック層を積層し、多色化する方法がそれぞれ開示されている。また、同様な構成からなる積層素子としては、例えば、特許文献3の図7にもその記載が見られる。しかしながら、特許文献3に記載の発明自体は、エレクトロクロミックにより無色化するピロール系重合物に関する提案であり、カラー化の概念を示しただけであり、その具体的な方法については何ら開示はなされていない。また、特許文献4では、薄膜トランジスタを介さない積層素子が開示されている。いずれの場合も、イエロー、マゼンタ、シアンの三原色の減法混色により、レッド、ブルー、グリーン、そして黒が表現されるとしているが、現実的に、エレクトロクロミック色素の単色での発色性を重視すると、3色の混合で表現される黒は、濃度が不足し、ぼやけた印象となる。また、イエロー、マゼンタ、シアンの単色発色と黒発色との色調のバランスを取ることは難しく、明瞭な黒画像を得ることが難しいのが現状である。特に、フィスドキュメントのような、黒の細線で構成される文字情報を表示する電子ペーパーにおいては、明瞭な黒文字と、カラー画像とが両立することが強く求められる。黒文字を、距離の異なる3色の重なりで再現しようとすると、少しのずれでも、表示する文字が不明瞭になってしまう。解決策として、イエロー、マゼンタ、シアンのエレクトロクロミック層とは別に黒発色する層を加えることが考えられるが、これでは構成層が増えることになり、素子全体の透過率が低下するという問題点がある。
近年、透明電極として広く用いられているITO(Indium Tin Oxide)電極の着色が重要視されており、2009年3月に開催された日本化学会年会では、リコー株式会社が、中間電極層を削減した素子構成を発表している(日経産業新聞2009年3月26日付け朝刊参照)。ここで提案されている素子構成でも、黒はイエロー、マゼンタ、シアンの3色の混合系として提案されており、上記と同様の課題を抱えているのが現状である。
特開2007−41259号公報 特開2008−122797号公報 特開2004−20928号公報 特表2005−535930号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な素子構成で作製でき、黒表示特性及び色再現性に優れた表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基板上に、少なくとも、1)透明電極層と、2)少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含有する第1のエレクトロクロミック発色層と、3)該第1のエレクトロクロミック発色層とは異なる色調を呈するエレクトロクロミック化合物を含有する第2のエレクトロクロミック発色層とを積層して構成される表示素子において、該エレクトロクロミック発色層の少なくとも1層が、電気化学的反応により溶解及び析出を起こす金属種を含有することを特徴とする表示素子。
2.前記基板上に積層される全てのエレクトロクロミック発色層が、前記金属種を含有していることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
3.前記エレクトロクロミック発色層のうち、観察側から最も遠い位置にあるエレクトロクロミック発色層が、白色散乱性物質を含有していることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記エレクトロクロミック発色層が含有する金属種が銀であり、かつ下記一般式(G−1)または下記一般式(G−2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
一般式(G−1)
Rg11−S−Rg12
〔式中、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基は、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。〕
Figure 2011048234
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
5.前記エレクトロクロミック化合物が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の表示素子。
Figure 2011048234
〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
6.中間電極を有し、該中間電極がCe−O−Co電極であることを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明により、簡易な素子構成で作製でき、黒表示特性及び色再現性に優れた表示素子を提供することができた。
本発明の表示素子の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の表示素子の他の構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基板上に、少なくとも、1)透明電極層と、2)少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含有する第1のエレクトロクロミック発色層と、3)該第1のエレクトロクロミック発色層とは異なる色調を呈するエレクトロクロミック化合物を含有する第2のエレクトロクロミック発色層とを積層して構成される表示素子において、該エレクトロクロミック発色層の少なくとも1層が、電気化学的反応により溶解及び析出を起こす金属種を含有することを特徴とする表示素子により、簡易な素子構成で作製できると共に、黒表示特性及び色再現性に優れた表示素子を実現できることを見出し、本発明に到った次第である。
以下、本発明の表示素子の構成要素の詳細について説明する。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子において、表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。観察側に近い表示側透明電極(観察側電極)には、ITO(Indium Tin Oxide)電極等の透明電極を、他方の対向電極(非観察側電極)には、導電性電極が設けられている。基板上に少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含有する第1のエレクトロクロミック発色層と、該第1のエレクトロクロミック発色層とは異なる色調を呈するエレクトロクロミック化合物を少なくとも1種含有する第2のエレクトロクロミック発色層とが積層して設けられており、少なくとも一つのエレクトロクロミック発色層が電気化学的反応により溶解及び析出を起こす金属種が含有されていることを特徴とする。表示側透明電極と対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、金属種やエレクトロクロミック化合物のエレクトロクロミック反応を利用して、各色カラー表示と黒表示に対応する各種着色状態を可逆的に切り替えることができる。
図により、本発明の表示素子の基本的な構成を説明する。
図1は、本発明の表示素子の構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、表示素子1は、対向する位置に配置した一対の基板2、2′間(少なくとも基板2は透明である)に、エレクトロクロミック発色層6が3層形成された構成である。基板2には、表示側透明電極として透明電極層3が設けられ、基板2′上には、対向電極層4が形成されている。各エレクトロクロミック発色層6の間には、中間電極層Hが2層配置されている。中間電極層Hは、透明支持フィルム7上に透明電気伝導性物質層5が形成されたもので、上下いずれか一方のエレクトロクロミック発色層6に透明電気伝導性物質層5が接触し、エレクトロクロミック発色層6が、該透明電気伝導性物質層5と表示電極である透明電極層3、あるいは該透明電気伝導性物質層と対向電極である対向電極層4との間に挟まれた形を取っている。各電極は、それぞれ独立の配線L1により駆動回路に接続されており、発消色させたいエレクトロクロミック発色層6を挟む電極対に選択的に電圧をかけることで、駆動できる。
エレクトロクロミック発色層6の少なくとも1層は、金属種を含有する。金属種はいずれのエレクトロクロミック発色層に含まれても機能するが、発色が良好となる観点からは、少なくともより表示側に位置するエレクトロクロミック発色層に含有せしめることが好ましく、特に好ましくは全てエレクトロクロミック発色層が金属種を含有する態様である。
図1で説明した表示素子の他の態様としては、中間電極層Hが透明支持フィルム7を介することなく、エレクトロクロミック発色層6間に単独で設けられた形態を採用しても良い。また、図1に記載の表示素子の構成には図示されていないが、白色散乱性層を対向電極層4上に設けることが好ましい。対向電極層4が透明な場合、白色散乱性層は対向電極層4より下層側に設けてもよい。また、白色散乱性層は、白色散乱性物質がエレクトロクロミック発色層6内に含まれる場合には省略できる。
図2は、本発明の表示素子の他の構成の一例を示す概略断面図である。
図2に記載の表示素子1においては、エレクトロクロミック発色層9は、イオン透過性の層として形成されており、その層の好ましい構成は、図示するような多孔質層10である。エレクトロクロミック色素は、多孔質層10に吸着されており、多孔質層10が自立性のある薄膜を形成することで、中間支持フィルムを省略することができる。更に、エレクトロクロミック発色層9自身に導電性を持たせることで、中間電極を省略することが可能である。各導電性多孔質層10は、それぞれ独立の配線L2により駆動回路に接続されており、発消色させたいエレクトロクロミック発色層9と電極3との間に選択的に電圧をかけることで、駆動できる。
図2に示す構成からなる表示素子1においては、電気化学的に溶解および析出を起こす金属種は、電解質層8に含まれており、イオンの形で存在するため、系内を自由に移動できる。導電性を有するエレクトロクロミック発色層9は、直接駆動ラインに繋がっており、それぞれ単独に駆動できる。
〔金属種〕
本発明に係るエレクトロクロミック発色層が含有する金属種は、電極上で、該電極の駆動操作により、溶解及び析出を行うことができる金属種であれば、如何なる金属種でもよいが、好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスである。これらの金属種は、単独の金属イオンとして存在させることもできるが、好ましくは金属塩として溶解させることであり、最も好ましくは、銀塩化合物を溶解させることである。
〔銀塩化合物〕
本発明において、金属種として好適な銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができるが、これらに限定されず、これらの中ではハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
〔ハロゲンイオン、金属イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質層あるいはエレクトロクロミック発色層に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、電解質層あるいはエレクトロクロミック発色層に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Metal]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.01よりも大きい場合は、金属の酸化還元反応時に、X→Xが生じ、Xは析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
〔一般式(G−1)または(G−2)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、金属種を含有するエレクトロクロミック発色層が、同時に前記一般式(G−1)または(G−2)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る前記一般式(G−1)で表されるチオエーテル化合物及び前記一般式(G−2)で表されるメルカプト化合物は、金属種(特に銀)の溶解析出を促進するための銀塩溶剤として機能する化合物である。
銀塩溶剤とは、電解質層中で銀を可溶化できる化合物であり、例えば、銀と配位結合を生じさせ、銀と弱い供給結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるものが一般的である。化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、一般式(G−1)で表されるチオエーテル基を含有する化合物及び一般式(G−2)で表されるメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用し、かつ共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
前記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
前記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表すが、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
以下、本発明において適用可能な一般式(G−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
G1−1:CHSCHCHOH
G1−2:HOCHCHSCHCHOH
G1−3:HOCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−4:HOCHCHSCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−5:HOCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHOH
G1−6:HOCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHOH
G1−7:HCSCHCHCOOH
G1−8:HOOCCHSCHCOOH
G1−9:HOOCCHCHSCHCHCOOH
G1−10:HOOCCHSCHCHSCHCOOH
G1−11:HOOCCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCOOH
G1−12:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−13:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−14:HCSCHCHCHNH
G1−15:HNCHCHSCHCHNH
G1−16:HNCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−17:HCSCHCHCH(NH)COOH
G1−18:HNCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHNH
G1−19:HNCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHNH
G1−20:HNCHCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−21:HOOC(NH)CHCHCHSCHCHSCHCHCH(NH)COOH
G1−22:HOOC(NH)CHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCH(NH)COOH
G1−23:HOOC(NH)CHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCH(NH)COOH
G1−24:HN(O=)CCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHC(=O)NH
G1−25:HN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NH
G1−26:HNHN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NHNH
G1−27:HC(O=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=O)CH
G1−28:HNOSCHCHSCHCHSCHCHSONH
G1−29:NaOSCHCHCHSCHCHSCHCHCHSONa
G1−30:HCSONHCHCHSCHCHSCHCHNHOSCH
G1−31:HN(NH=)CSCHCHSC(=NH)NH・2HBr
G1−32:HN(NH=)CSCHCHOCHCHOCHCHSC(=NH)NH・2HCl
G1−33:HN(NH=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=NH)NH・2HBr
G1−34:〔(CHNCHCHSCHCHSCHCHN(CH2+・2Cl
Figure 2011048234
Figure 2011048234
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物G1−2、G1−3が好ましい。
次いで、本発明に係る一般式(G−2)で表される化合物について説明する。
前記一般式(G−2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
前記一般式(G−2)において、Mで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH、N(CH、N(C、N(CH1225、N(CH1633、N(CHCH等が挙げられる。
Zを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
Rg21で表される具体的な基としては、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等、アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル等、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(G−2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2011048234
Figure 2011048234
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果を好適に発揮できる観点から、特に、例示化合物G2−12、G2−13、G2−20が好ましい。
〔エレクトロクロミック発色層〕
本発明に係るエレクトロクロミック発色層とは、エレクトロクロミック化合物を含有している層を指し、イオン透過性の層としても良いが、これに限定されるものではない。イオン透過性の層とした場合、図2に示した様な多孔質層とすることが好ましい。本発明の表示素子においては、各々色調の異なるエレクトロクロミック発色層を2層以上有することが特徴である。
以下、エレクトロクロミック発色層が含有するエレクトロクロミック化合物について説明する。
(エレクトロクロミック化合物)
本発明に適用可能なエレクトロクロミック化合物としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来る。このようなエレクトロクロミック化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、有機金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素が知られている。
エレクトロクロミック化合物として用いられる有機色素としては、ビオロゲン等のピリジニウム系化合物、フェノチアジン等のアジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いる事もできる。これらエレクトロクロミック化合物については、「機能性色素の応用 入江正浩監修 シーエムシー出版発行」などに記載されている。
本発明においては、特に、下記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物を用いることが、発色波長の選択性とメモリー性の観点から好ましい。
Figure 2011048234
上記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1、Rlで表される置換基としては特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良いRl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
前記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物であるアゾール色素の中でも、特に、下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が好ましい。
Figure 2011048234
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)または(L2)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるエレクトロクロミック色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
Figure 2011048234
これらエレクトロクロミック化合物は、電極、特に閲覧側(表示側)の電極に固定化させることが好ましい。閲覧側電極に固定化されることにより、閲覧濃度の向上を得ることができる。
〔基板〕
本発明の表示素子を構成する基板としては、透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。また、対向基板としては、例えば、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
〔電極〕
(表示側透明電極)
本発明の表示素子においては、表示側に位置する電極として、透明電極(透明電極層ともいう)を有する。
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(透明多孔質電極)
透明電極の一つの態様として、上記透明電極上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
(グリッド電極:補助電極)
本発明の表示素子において、対向電極のうち少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
補助電極を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィー法でパターニングする方法、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。
補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
このように透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
(中間電極)
本発明では、中間電極を設けることが好ましい。中間電極としては、透明支持フィルム上に透明電気伝導性物質層が形成されたものである。中間電極として、好ましくはCe−Co電極を用いることである。この電極は、電極自体が電気化学的な反応を起こすことが可能であるため、エレクトロクロミック色素の着消色反応や金属の溶解析出反応を補助する役割も持つことができる。さらに、この電気化学的な反応が無色から無色へ可逆反応であるため、エレクトロクロミック発色層間の中間電極として用いた場合に素子の色調に影響を与えることがなく、好ましい。
(電極の形成方法)
本発明の表示素子の作製において、透明電極、金属補助電極及び中間電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着する方法や、全面形成した後に、フォトリソグラフィー法でパターニングする方法等が挙げられる。また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
電極材料を塗布方式で形成する場合には、例えば、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェット方式は高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明の透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
〔電解質層〕
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
(支持電解質)
本発明の表示素子において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO、CH(CNBF、(CH(CNBF、(CHNSOCF、(CNSOCF、(n−CNSOCF
更には、
Figure 2011048234
等が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CHPBF、(CPBF、(CPBF、(CPBF等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
本発明の支持電解質としては、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級スピロアンモニウム塩が好ましい。また対アニオンとしてはClO 、BF 、CFSO 、(CSO、PF が好ましく、特にBF が好ましい。
電解質塩の使用量は任意であるが、一般的には、電解質塩は溶媒中に上限としては20モル/L以下、好ましくは10モル/L以下、さらに好ましくは5モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上存在していることである。
固体電解質の場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を、電解質中に含むことができる。
パーフルオロスルホン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、CuS、AgS、CuSe、AgCrSe等のカルコゲニド、CaF、PbF、SrF、LaF、TlSn、CeF等の含フッ素化合物、LiSO、LiSiO、LiPO等のLi塩、ZrO、CaO、Cd、HfO、Y、Nb、WO、Bi、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiAlF、AgSBr、CNHAg、RbCu16Cl13、RbCuCl10、LiN、LiNI、LiNBr等の化合物が挙げられる。
〔イオン性液体〕
本発明の表示素子においては、イオン性液体を用いることができる。本発明でいうイオン性液体とは、常温溶融塩とも言われ、融点が100℃以下の塩である。この塩は同数のカチオンとアニオンから構成されており、分子構造によって融点が室温以下の物質も数多く存在し、これらは溶媒をまったく加えなくても室温で液体状態である。イオン性液体は、強い静電的な相互作用をもっているため蒸気圧がほとんどないことが大きな特徴であり、高温でも蒸発がなく揮発しない。
本発明に用いるイオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
本発明で好適に用いることができるイオン性液体は、式Qで表され、20〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃、特に20℃で液体として存在する塩のことを指し、粘度(25℃)は、常温で融体である限り特に制限されないが、好ましくは1〜200mPa・sである。さらに、式中Q+で表されるカチオン成分はオニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくはアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びホスホニウムカチオンである。
上述のイオン性液体について具体的に詳述すると、上式中のQとしては、R、R、R、R=CR、R=CR[ここで、RからRは、互いに独立して、水素、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基、R−X−(R−Y−)−(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基、Rは炭素数4以下のアルキレン基、XおよびYは酸素原子または硫黄原子、nは0〜10の整数を示す)を表し、これらの基は置換基を有していても良い]から成る群から選択されるアンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、R=CR−R−RC=N、R−R−S、R=CR−R−RC=P(ここで、R、RおよびRは、前記で定義したものと同じであり、そしてRは、炭素数1〜6のアルキレンまたはフェニレン基を表し、これらの基は置換基を有していても良い)から成る群から選択される第四級アンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、さらには下記一般式で表される窒素、硫黄および燐原子から選ばれる原子を1、2または3個含む窒素、硫黄および燐原子含有複素環から誘導されるアンモニウムイオン、スルホニウムイオンまたはホスホニウムイオンなどを挙げることができる。
Figure 2011048234
式中RおよびRはこの上で定義した通りであり、Zは、N、N=C、S、PあるいはP=Cを含む4〜10員環を構成しうる原子を指し、この構成する原子には置換基を有していても良い。
上述の中でRからRの具体的な例はとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖又は分枝を有するアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのシクロアルキル基、無置換あるいはハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、水酸基、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の各基)、カルボキシル基、アセチル基、プロパノイル基、チオール基、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等の各基)、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基などの置換基を1〜3個有するフェニル、ナフチル、トルイル、キシリル等のアリール基、ベンジルなどのアラルキル基などを挙げることができる。また、Rの具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基などのアルキル基などが挙げられ、Rとしてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基などのアルキレン基などを挙げることができる。さらにRの具体的な例はとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのフェニレン基などを挙げることができる。
また、式中のAで表される対アニオンとしては、ヘキサフルオロ燐酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、硝酸塩、アルキルスルホン酸塩、フッ化アルキルスルホン酸塩または水素硫酸塩を表す。
さらに、WO95/18456号、特開平8−259543号、特開2001−243995、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、EP−718288号、J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg.Chem.1996,35,1168〜1178等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩なども本発明に応じては適時選択して用いることができる。
〔固体電解質、ゲル電解質〕
本発明に係る電解質層には、溶媒やイオン性液体から成る溶液状の電解質以外にも、実質的に溶媒を含まない固体電解質や高分子化合物を含有した高粘度な電解質やゲル状の電解質(以下、ゲル電解質)を用いることができる。
本発明に適用可能な固体電解質、ゲル電解質としては、例えば、特開2002−341387号公報に記載の固体電解質、特開2002−341387号公報に記載のポリマー固体電解質、特開2004−20928号公報に記載の高分子固体電解質、特開2004−191945号公報に記載の高分子固体電解質、特開2005−338204号公報に記載の固体高分子電解質、特開2006−323022号公報に記載の高分子固体電解質、特開2007−141658号公報に記載の固体電解質、特開2007−163865号公報に記載の固体電解質、ゲル電解質等を挙げることができる。
〔有機溶媒〕
本発明に係る電解質層には、有機溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒を使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。前記常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明に用いる電解質溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
本発明において、好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物であり、特に好ましくは一般式(S1)で表される化合物である。
(一般式(S1)、(S2)で表される化合物)
Figure 2011048234
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
Figure 2011048234
一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはCHを表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011048234
次いで、本発明に係る一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011048234
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electrolytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
〔白色散乱性物質〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱性物質を含有する多孔質白色散乱層を有することができる。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、水系高分子の平均分子量は、重量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色顔料の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
これらの白色顔料のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
多孔質白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高いアルコール系溶剤が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、観察側から最も遠いエレクトロクロミック発色層に付与することが好ましい。
媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができる。例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬膜剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電子絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質膜等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的な電気絶縁層としては、例えば、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔その他〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を、下記表1に示す。
Figure 2011048234
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
また、実施例において用いられる化合物の構造を下記に示す。
実施例1
《電極の作製及び白色散乱層の形成》
(電極1の作製)
市販のITO膜付きガラス(ガラス厚み1.5mm)に、公知の方法でエッチングし、ピッチ145μm、電極幅130μmの電極を形成し、電極1を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで10cm×10cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmの銀−パラジウム電極を形成して、電極2を得た。
(白色散乱層の形成)
上記作製した電極2上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、ケン化度87%)を2質量%含むイソプロパノール溶液中に、酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させた混和液を塗布し、その後15℃で30分間乾燥させた後、120℃で1時間焼成し、白色散乱層を作製した。白色散乱層の乾燥膜厚は約20μmであった。
(電極3:中間電極の作成)
厚さ50μmのポリイミドフィルム上に、ITO電極層をスパッタ法により形成して、中間電極である電極3を作製した。
(電極4:セリウム−コバルト複合酸化物電極の作製)
10ミリモルのCe(NOと、10ミリモルのCo(NOを1:1のモル比で混合した溶液を電解液とし、H型の電解セルを用いて、ITO電極層をスパッタ法により形成した厚さ50μmのガラスをカソード電極、参照電極としてAg/AgClを用い、500μA/cmの電流密度でカソード電極上にセリウム−コバルト複合酸化物膜を形成し、これを電極4とした。
(電極5:セリウム−コバルト複合酸化物電極層の形成)
10ミリモルのCe(NOと、10ミリモルのCo(NOを1:1のモル比で混合した溶液を電解液とし、H型の電解セルを用いて、ITO電極層をスパッタ法により形成した厚さ50μmのガラスをカソード電極、参照電極としてAg/AgClを用い、500μA/cmの電流密度でカソード電極上にセリウム−コバルト複合酸化物膜を形成した。次いで、形成したセリウム−コバルト複合酸化物膜をカソード電極より分離して取り出し、乾燥させて、セリウム−コバルト複合酸化物電極層を得て、これを電極5とした。
《表示素子の作製》
下記の方法に従って、図1に記載した構成からなる各表示素子を作製した。
〔表示素子101の作製〕
(エレクトロクロミック液の調製)
〈エレクトロクロミック液Y1の調製〉
プロピレンカーボネートに、テトラブチルアンモニウムパークロレートを0.2モル、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを0.4モル溶解し、これにポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエロー発色性のエレクトロクロミック液Y1を調製した。
〈エレクトロクロミック液M1の調製〉
上記エレクトロクロミック液Y1の調製において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジメチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを用いた以外は同様にして、マゼンタ発色性のエレクトロクロミック液M1を調製した。
〈エレクトロクロミック液C1の調製〉
上記エレクトロクロミック液Y1の調製において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、シアン発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(メトキシ)フェニル〕−1,3,5−ヘキサトリエニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕を用いた以外は同様にして、シアン発色性のエレクトロクロミック液C1を調製した。
(構成部品の準備)
1)前記作製した電極2上に形成した白色散乱性層上に、エレクトロクロミック液C1を滴下法により厚み20μmとなるように塗布して、シアン発色のエレクトロクロミック層C1を形成した。
2)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液M1を、厚み20μmとなるように塗布して、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層M1を形成した。
3)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液Y1を、厚み20μmとなるように塗布して、イエロー発色のエレクトロクロミック層Y1を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極及び上記作製した構成部品1)〜3)を用いて、下記の構成からなる表示素子101を作製した。
表示素子101は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層Y1/電極3(構成部品3)/エレクトロクロミック層M1/電極3(構成部品2)/エレクトロクロミック層C1/白色散乱層(/電極2)(構成部品1)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を得た。各電極には、駆動装置と繋がる配線が接続されている。
〔表示素子102の作製〕
(エレクトロクロミック液K1の調製)
N,N−ジメチルアセトアミドの1.0g中に、テトラnブチルアンモニウムテトラフルオロボレートを40mg、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成(株)製、ODB色素)を400mg、2,5−ジターシャリーアミルハイドロキノンを40mg、1−ブチルピリジニウムヘキサフロロホスフェイトを110mg、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を50mg、それぞれ添加、溶解して、黒発色性のエレクトロクロミック液K1を調製した。
(構成部品の準備)
4)電極3のITO膜上に、上記調製した黒発色性のエレクトロクロミック液K1を厚み20μmとなるように塗布して、黒発色のエレクトロクロミック層K1を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極、構成部品1)〜3)と、上記作製した構成部品4)を用いて、下記の構成からなる表示素子102を作製した。
表示素子102は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層K1/電極3(構成部品4)/エレクトロクロミック層Y1/電極3(構成部品3)/エレクトロクロミック層M1/電極3(構成部品2)/エレクトロクロミック層C1/白色散乱層(/電極2)(構成部品1)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を作製した。
〔表示素子103の作製〕
上記表示素子101の作製において、イエロー発色のエレクトロクロミック層Y1の形成に用いたエレクトロクロミック液Y1を、下記のイエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK1に変更して、エレクトロクロミック層Y1に代えてエレクトロクロミック層YK1を形成した以外は同様にして、表示素子103を作製した。
(エレクトロクロミック液YK1の調製)
プロピレンカーボネートに、黒表示用の金属種として塩化ビスマスを0.04質量%、ヨウ化リチウムを0.2モル、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを0.4モル溶解し、これにブチラール樹脂を20質量%添加して、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK1を得た。
〔表示素子104の作製〕
エレクトロクロミック層YK1の形成に用いたイエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK1において、黒表示用の金属種として塩化ビスマスに代えてヨウ化銀を用いた以外は同様にしてイエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK2を調製した。次いで、表示素子103の作製において、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK1に代えて、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK2を用いた以外は同様にして、表示素子104を作製した。
〔表示素子105の作製〕
(エレクトロクロミック液の調製)
〈エレクトロクロミック液YK3の調製〉
N−メチルピロリドンの5質量部に、イエロー発色性のエレクトロクロミック化合物として4,4−ビフェニルジカルボン酸(BCE)を1.0質量部、トリフェニルホスフィンを0.26質量部、(n−CNClOを0.08質量部、p−トルエンスルホン酸銀0.3質量部、下記化合物A−1を0.04質量部、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−13を0.4質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK3を調製した。
Figure 2011048234
〈エレクトロクロミック液M2の調製〉
N−メチルピロリドンの5質量部に、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物としてテレフタル酸ジメチルを1.0質量部、トリフェニルホスフィンを0.26質量部、(n−CNClOを0.08質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、マゼンタ発色性のエレクトロクロミック液M2を得た。
〈エレクトロクロミック液C2の調製〉
N−メチルピロリドンの5質量部に、シアン発色のエレクトロクロミック化合物として1,4−ジアセチルベンゼンを1.0質量部、トリフェニルホスフィンを0.26質量部、(n−CNClOを0.08質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して溶解し、さらに平均粒径23nmの酸化チタンを20質量部添加し超音波分散機にて分散して、シアン発色性のエレクトロクロミック液C2を得た。
(構成部品の準備)
5)前記作製した電極2上に、エレクトロクロミック液C2を滴下法により厚み30μmとなるように塗布して、シアン発色のエレクトロクロミック層C2を形成した。
6)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液M2を、厚み20μmとなるように塗布して、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層M2を形成した。
7)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液YK3を、厚み20μmとなるように塗布して、イエローおよび黒発色性の発色のエレクトロクロミック層YK3を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極及び上記調製した各エレクトロクロミック層を用いて、下記の構成からなる表示素子105を作製した。
表示素子105は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層YK3/電極3(構成部品7)/エレクトロクロミック層M2/電極3(構成部品6)/エレクトロクロミック層C2(白色散乱性物質含有層)/電極2(構成部品5)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を得た。各電極には、駆動装置と繋がる配線が接続されている。
〔表示素子106の作製〕
上記表示素子105の作製に用いたエレクトロクロミック液YK3の調製において、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−13を、同量の一般式(G−2)で表される例示化合物G2−12に変更した以外は同様にして、エレクトロクロミック液YK4を調製した。次いで、表示素子105の作製において、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK3に代えて、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK4を用いた以外は同様にして、表示素子106を作製した。
〔表示素子107の作製〕
上記表示素子105の作製に用いたエレクトロクロミック液YK3の調製において、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−13を、同量の一般式(G−1)で表される例示化合物G1−2に変更した以外は同様にして、エレクトロクロミック液YK5を調製した。次いで、表示素子105の作製において、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK3に代えて、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK5を用いた以外は同様にして、表示素子107を作製した。
〔表示素子108の作製〕
上記表示素子105の作製に用いたエレクトロクロミック液YK3の調製において、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−13を、同量の一般式(G−1)で表される例示化合物G1−3に変更した以外は同様にして、エレクトロクロミック液YK6を調製した。次いで、表示素子105の作製において、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK3に代えて、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK6を用いた以外は同様にして、表示素子108を作製した。
〔表示素子109の作製〕
(エレクトロクロミック液の調製)
〈エレクトロクロミック液YK7の調製〉
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物として、例示化合物(L69)を0.2モル/L、p−トルエンスルホン酸銀を0.3質量部、前記化合物A−1を0.04質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK7を調製した。
〈エレクトロクロミック液M3の調製〉
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物して例示化合物(L70)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、マゼンタ発色性のエレクトロクロミック液M3を得た。
〈エレクトロクロミック液C3の調製〉
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、エレクトロクロミック化合物して、例示化合物(L71)を0.2モル/L、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加して、酸化チタン(一次平均粒子径:0.34μm)を30質量部添加し、超音波分散機で分散し、シアン発色性のエレクトロクロミック液C3を得た。
(構成部品の準備)
8)前記作製した電極2上に、エレクトロクロミック液C3を滴下法により厚み30μmとなるように塗布して、シアン発色のエレクトロクロミック層C3を形成した。
9)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液M3を、厚み20μmとなるように塗布して、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層M3を形成した。
10)電極3のITO膜上に、エレクトロクロミック液YK7を、厚み20μmとなるように塗布して、イエローおよび黒発色性の発色のエレクトロクロミック層YK7を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極及び上記調製した各エレクトロクロミック層を用いて、下記の構成からなる表示素子109を作製した。
表示素子109は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層YK7/電極3(構成部品10)/エレクトロクロミック層M3/電極3(構成部品9)/エレクトロクロミック層C3(白色散乱性物質含有層)/電極2(構成部品8)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を得た。各電極には、駆動装置と繋がる配線が接続されている。
〔表示素子110の作製〕
上記表示素子109の作製に用いたエレクトロクロミック液YK7の調製において、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−20を0.4質量部添加した以外は同様にして、エレクトロクロミック液YK8を調製した。次いで、表示素子109の作製において、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK7に代えて、イエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK8を用いた以外は同様にして、表示素子110を作製した。
〔表示素子111の作製〕
(エレクトロクロミック液の調製)
〈エレクトロクロミック液YK9の調製〉
上記表示素子104の作製に用いたイエローおよび黒発色性のエレクトロクロミック液YK2の調製において、一般式(G−2)で表される例示化合物G2−12を0.4質量部添加した以外は同様にして、エレクトロクロミック液YK9を調製した。
〈エレクトロクロミック液C4の調製〉
上記表示素子104の作製に用いたシアン発色性のエレクトロクロミック液C1の調製において、酸化チタン(一次平均粒子径:0.34μm)を30質量部添加し、超音波分散機で分散した以外は同様にして、エレクトロクロミック液C4を調製した。
(構成部品の準備)
11)前記作製した電極2上に、エレクトロクロミック液C4を滴下法により厚み30μmとなるように塗布して、シアン発色のエレクトロクロミック層C4を形成した。
12)電極4(セリウム−コバルト複合酸化物電極)上に、エレクトロクロミック液M1を、厚み20μmとなるように塗布して、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層M4を形成した。
13)電極4(セリウム−コバルト複合酸化物電極)上に、エレクトロクロミック液YK9を、厚み20μmとなるように塗布して、イエローおよび黒発色性の発色のエレクトロクロミック層YK9を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極及び上記調製した各エレクトロクロミック層を用いて、下記の構成からなる表示素子111を作製した。
表示素子111は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層YK9/電極4(構成部品13)/エレクトロクロミック層M4/電極4(構成部品12)/エレクトロクロミック層C4(白色散乱性物質含有層)/電極2(構成部品11)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を得た。各電極には、駆動装置と繋がる配線が接続されている。
〔表示素子112の作製〕
(エレクトロクロミック液の調製)
〈エレクトロクロミック液C5の調製〉
上記表示素子109の作製に用いたシアン発色性のエレクトロクロミック液C3の調製において、酸化チタンを除いた以外は同様にして、エレクトロクロミック液C5を調製した。
(構成部品の準備)
14)前記作製した電極2上に形成した白色散乱性層上に、エレクトロクロミック液C5を滴下法により厚み30μmとなるように塗布して、シアン発色のエレクトロクロミック層C5を形成した。
15)電極4(セリウム−コバルト複合酸化物電極)上に、エレクトロクロミック液M3を、厚み20μmとなるように塗布して、マゼンタ発色のエレクトロクロミック層M5を形成した。
16)電極4(セリウム−コバルト複合酸化物電極)上に、エレクトロクロミック液YK7を、厚み20μmとなるように塗布して、イエローおよび黒発色性の発色のエレクトロクロミック層YK10を形成した。
(表示素子の形成)
前記作製した各電極及び上記調製した各エレクトロクロミック層を用いて、下記の構成からなる表示素子112を作製した。
表示素子112は、観察側から、電極1/エレクトロクロミック層YK10/電極4(構成部品16)/エレクトロクロミック層M5/電極4(構成部品15)/エレクトロクロミック層C5/白色散乱層(電極2)(構成部品14)となるように貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子を得た。各電極には、駆動装置と繋がる配線が接続されている。
〔表示素子113の作製〕
上記表示素子109の作製に用いた各エレクトロクロミック液(エレクトロクロミック液YK7、エレクトロクロミック液M3、エレクトロクロミック液C3)を用い、電極2上にエレクトロクロミック液C3を厚み20μmとなるように塗布し、その上に電極5を重ね、更にエレクトロクロミック液M3を厚み20μm、電極5、エレクトロクロミック液YK7を厚み20μmとなるように順次重ね、最後に電極1を貼り合せ、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子113を作製した。
《表示素子の評価》
上記作製した表示素子101〜113を、それぞれ駆動回路に接続し、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dを用い、発色状態の最大吸収波長における反射率が最も低くなる駆動条件を求めた。
次に、この駆動条件で各表示素子に対し、黒文字(7ポイント相当の日本語および英文)を表示させ、目視でその視認性を評価した。黒文字は、黒発色層がある場合には、単色で表示し、黒発色層がない場合には、多色を重ねて表示した。
さらに、単色及び混合色を含む色彩パターンを表示させ、その色味を目視で評価した。
なお、基準品として同じパターンを印刷した印刷物を用いた。
〔黒文字視認性の評価〕
表示した黒文字を目視観察し、下記の基準に従って黒文字視認性を評価した。
5:黒文字が鮮明に表示されており、色調変動もまったく認められない
4:黒文字が良好に表示され、かつ色調変動も認められない
3:表示される黒文字に僅かに不鮮明さが認められるが、色調変動もなく、実用上許容される品質である
2:表示される黒文字に不鮮明さが認めら、同時に色調変動も認められ、実用上懸念される品質である
1:表示される黒文字に明らかなつぶれが認めら、同時に強い色調変動も認められ、実用に耐えない品質である
〔色再現性の評価〕
表示した単色及び混合色を含む色彩パターンを目視観察及び印刷した印刷物との比較観察を行い、下記の基準に従って色再現性を評価した。
5:全色共に基準の印刷物と全く同様の同色彩であり、優れた色再現性である
4:全色共に基準の印刷物とほぼ同様の同色彩であり、良好な色再現性である
3:一部の色再現で基準の印刷物とやや異なる色調であるが、全体として実用上共用される色再現性である
2:一部の色再現で基準の印刷物とは明らかに異なる色調であり、実用上懸念される色再現性である
1:ほぼ全色にわたり基準の印刷物とは明らかに異なる色調であり、実用上問題と奈ある色再現性である
〔白地特性の評価〕
各表示素子で白表示した際の白地の色調を目視観察し、下記の基準に従って白地特性の評価を行った。
5:極めて良好な白地特性である
4:ほぼ良好な白地特性である
3:白から僅かな色調変動は認められるが、実用上許容される白地特性である
2:白からの色調変動が認められ、実用上懸念される白地特性である
1:白から明らかな色調変動が認められ、実用に耐えない白地特性である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2011048234
表2に記載の結果より明らかなように、電気化学的反応により、溶解及び析出を起こす金属種を含有している表示素子103〜113は、該金属種を含有していない表示素子101及び102より、各評価項目において高い効果を発揮していることが明らかである。特に、一般式(L)で表される化合物を含有し、中間電極層がCe−Co電極である表示素子112及び113は、更に高い効果を発揮した。なお、一般式(L)の化合物を用いた表示素子の方が、画像表示の後回路をオープンにした際に、濃度低下が遅く、メモリー性に優れていることを確認することができた。
実施例2
《イオン伝導性多孔質層の形成》
〔イオン伝導性多孔質層1の形成〕
15質量%SnOコロイド水溶液(平均粒径:15nm)の1.5mlに、酢酸0.3mlを滴下し、乳鉢でよく混合したゲル状溶液に、ZnO粉末(平均粒径:0.2μm)を0.3gと、メタノールを20ml少しずつ加えてよく混合した。ホットプレート(100〜120℃)上に設置したカラス上に、この混合物を乾燥させながら複数回塗布し、最後に550℃で焼成してZnO/SnO混合多孔質層からなるイオン伝導性多孔質層1を形成した。イオン伝導性多孔質層1の厚みは、30μmであった。
〔イオン伝導性多孔質層2の形成〕
平均粒径が23nmの酸化チタンをポリビニルアルコールの溶液に分散し、この分散液をITO付きガラス板上に塗布し、ホットプレートで120度で乾燥させ、更に250度で焼成して、酸化チタンの多孔質膜(厚み約30μm)を得た。これを作用電極とし、実施例1に記載の電極4の作製方法と同様にして、酸化チタンの表面にセリウム−コバルト複合酸化物膜を形成させ、イオン伝導性多孔質層2を得た。
〔イオン伝導性多孔質層3の形成〕
上記作製したイオン伝導性多孔質層1の表面に、イオン伝導性多孔質層2の作製と同様にして、セリウム−コバルト複合酸化物膜を形成させ、イオン伝導性多孔質層3を得た。
《電解液の調製》
(電解液1の調製)
プロピレンカーボネートに、テトラブチルアンモニウムパークロレートを0.2モル溶解し、これにポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加、溶解して、電解液1を調製した。
(電解液2の調製)
プロピレンカーボネートに、ヨウ化銀を0.04質量%、ヨウ化リチウムを0.2モル溶解し、これにブチラール樹脂を20質量%添加、溶解して、電解液2を調製した。
(電解液3の調製)
N−メチルピロリドンの5質量部に、トリフェニルホスフィンを0.26質量部、(n−CNClOを0.08質量部、p−トルエンスルホン酸銀0.3質量部、実施例1に記載の化合物A−1を0.04質量部、一般式(G−2)で表される例示化合物2−13を0.4質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加、溶解して、電解液3を調製した。
(電解液4の調製)
プロピレンカーボネートに、塩化ビスマスを0.04質量%、ヨウ化リチウムを0.2モル溶解し、これにブチラール樹脂を20質量%添加、溶解して、電解液4を調製した。
(電解液5の調製)
γ−ブチロラクトンに、0.05モル/Lの過塩素酸リチウム、0.05モル/Lのフェロセンを溶解し、p−トルエンスルホン酸銀を0.3質量部、実施例1に記載の化合物A−1を0.04質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製エスレックBH3)を20質量部添加、溶解して、電解液5を調製した。
《表示素子の作製》
下記の方法に従って、図2に示す構成からなる表示素子を作製した。
〔表示素子201の作製〕
(イオン伝導性多孔質層の形成)
〈イオン伝導性多孔質層Y1の形成〉
上記作製したイオン伝導性多孔質層1を、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物である2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンのエタノール液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた後、電解液1に浸し、多孔質層内を電解液1で満たして、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層Y1を得た。
〈イオン伝導性多孔質層M1の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y1の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジメチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層M1を作製した。
〈イオン伝導性多孔質層C1の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y1の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、シアン発色のエレクトロクロミック化合物として、2−{2−〔4−(メトキシ)フェニル〕−1,3,5−ヘキサトリエニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノインドリノ〔2,1−b〕を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層C1を作製した。
(表示素子の作製)
表示素子201は、非観察側から、電極2上に形成した白色散乱層の上に、イオン伝導性多孔質層C1、電解液1(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層M1、電解液1(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層Y1、電解液1(厚み10μm)、電極1の順に重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止して作製した。
〔表示素子202の作製〕
(イオン伝導性多孔質層の形成)
〈イオン伝導性多孔質層K1の形成〉
記作製したイオン伝導性多孔質層1を、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成(株)製、ODB色素)のエタノール溶液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた。次いで、電解液1に浸し、多孔質層内を電解液1で満たして、イオン伝導性多孔質層K1を形成した。
(表示素子の作製)
表示素子202は、表示素子201の作製に用いたエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層Y1、イオン伝導性多孔質層M1、イオン伝導性多孔質層C1と、上記作製したイオン伝導性多孔質層K1を用いて、非観察側から、電極2上に形成した白色散乱層の上に、イオン伝導性多孔質層C1、電解液1(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層M1、電解液1(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層Y1、電解液1(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層K1、電解液1(厚み10μm)、電極1の順に重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止して、表示素子202を得た。
〔表示素子203の作製〕
表示素子201の作製において、電解液1に変えて電解液2を用いた以外は同様にして、表示素子203を作製した。
〔表示素子204の作製〕
(イオン伝導性多孔質層の形成)
〈イオン伝導性多孔質層Y2の形成〉
上記作製したイオン伝導性多孔質層1を、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物である4,4−ビフェニルジカルボン酸(BCE)のエタノール液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた後、電解液3に浸し、多孔質層内を電解液3で満たして、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層Y2を得た。
〈イオン伝導性多孔質層M2の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y2の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物として、テレフタル酸ジメチルを用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層M2を作製した。
〈イオン伝導性多孔質層C2の形成〉
上記作製したイオン伝導性多孔質層3を、シアン発色のエレクトロクロミック化合物である1,4−ジアセチルベンゼンのエタノール液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた後、電解液3に浸し、多孔質層内を電解液3で満たして、シアン発色のエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層C2を得た。
(表示素子の作製)
表示素子204は、非観察側から、電極2上に形成した白色散乱層の上に、イオン伝導性多孔質層C2、電解液3(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層M2、電解液3(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層Y2、電解液3(厚み10μm)、電極1の順に重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止して作製した。
〔表示素子205の作製〕
(イオン伝導性多孔質層の形成)
〈イオン伝導性多孔質層Y3の形成〉
上記作製したイオン伝導性多孔質層1を、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物である例示化合物(L69)のエタノール液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた後、電解液4に浸し、多孔質層内を電解液4で満たして、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層Y3を得た。
〈イオン伝導性多孔質層M3の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y3の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物として、例示化合物(L70)を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層M3を作製した。
〈イオン伝導性多孔質層C3の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y3の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、シアン発色のエレクトロクロミック化合物として、例示化合物(L71)を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層C3を作製した。
(表示素子の作製)
表示素子205は、非観察側から、電極2上に形成した白色散乱層の上に、イオン伝導性多孔質層C3、電解液4(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層M3、電解液4(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層Y3、電解液4(厚み10μm)、電極1の順に重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止して作製した。
〔表示素子206の作製〕
(イオン伝導性多孔質層の形成)
〈イオン伝導性多孔質層Y4の形成〉
上記作製したイオン伝導性多孔質層2を、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物である例示化合物(L69)のエタノール液に浸漬し、12時間後に引き上げて乾燥させた後、電解液4に浸し、多孔質層内を電解液3で満たして、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物が吸着したイオン伝導性多孔質層Y4を得た。
〈イオン伝導性多孔質層M4の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y4の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、マゼンタ発色のエレクトロクロミック化合物として、例示化合物(L70)を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層M4を作製した。
〈イオン伝導性多孔質層C4の形成〉
上記イオン伝導性多孔質層Y4の形成において、イエロー発色のエレクトロクロミック化合物に代えて、シアン発色のエレクトロクロミック化合物として、例示化合物(L71)を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層C4を作製した。
(表示素子の作製)
表示素子206は、非観察側から、電極2上に形成した白色散乱層の上に、イオン伝導性多孔質層C4、電解液3(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層M4、電解液3(厚み10μm)、イオン伝導性多孔質層Y4、電解液3(厚み10μm)、電極1の順に重ね、周囲をエポキシ系封止剤で封止して作製した。
〔表示素子207の作製〕
上記表示素子206の作製に用いたイオン伝導性多孔質層Y4、イオン伝導性多孔質層M4、イオン伝導性多孔質層C4の作製において、イオン伝導性多孔質層2に代えてイオン伝導性多孔質層3を用いた以外は同様にして、イオン伝導性多孔質層Y5、イオン伝導性多孔質層M5、イオン伝導性多孔質層C5を作製して用いた以外は、表示素子206の作製と同様にして、表示素子207を作製した。
《表示素子の評価》
上記作製した表示素子201〜207を、それぞれ駆動回路に接続し、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dを用い、発色状態の最大吸収波長における反射率が最も低くなる駆動条件を求めた。
次に、この駆動条件で各表示素子に対し、実施例1に記載の方法と同様にして、黒文字視認性、色再現性、白地特性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2011048234
表3に記載の結果より明らかなように、電気化学的反応により、溶解及び析出を起こす金属種を含有している表示素子203〜207は、該金属種を含有していない表示素子201及び202より、各評価項目において高い効果を発揮していることが明らかである。特に、一般式(L)で表される化合物及び金属種として銀を含有している表示素子206及び207は、更に高い効果を発揮した。加えて、一般式(L)で表される化合物を用いた表示素子の方が、画像表示の後回路をオープンにした際に、濃度低下が遅く、メモリー性に優れていることを確認することができた。
1 表示素子
2、2′ 基板
3 透明電極層
4 対向電極層
5 透明電気伝導性物質層
6、9 エレクトロクロミック発色層
7 透明支持フィルム
8 電解質層
10 多孔質層
L1、L2 配線
H 中間電極層

Claims (6)

  1. 基板上に、少なくとも、1)透明電極層と、2)少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含有する第1のエレクトロクロミック発色層と、3)該第1のエレクトロクロミック発色層とは異なる色調を呈するエレクトロクロミック化合物を含有する第2のエレクトロクロミック発色層とを積層して構成される表示素子において、該エレクトロクロミック発色層の少なくとも1層が、電気化学的反応により溶解及び析出を起こす金属種を含有することを特徴とする表示素子。
  2. 前記基板上に積層される全てのエレクトロクロミック発色層が、前記金属種を含有していることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記エレクトロクロミック発色層のうち、観察側から最も遠い位置にあるエレクトロクロミック発色層が、白色散乱性物質を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記エレクトロクロミック発色層が含有する金属種が銀であり、かつ下記一般式(G−1)または下記一般式(G−2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
    一般式(G−1)
    Rg11−S−Rg12
    〔式中、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基は、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。〕
    Figure 2011048234
    〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
  5. 前記エレクトロクロミック化合物が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示素子。
    Figure 2011048234
    〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
  6. 中間電極を有し、該中間電極がCe−O−Co電極であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115004096A (zh) * 2020-02-05 2022-09-02 金泰克斯公司 电致变色化合物

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