JP5287849B2 - 表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶媒等の漏洩がなく、かつ低電圧駆動を可能とし、耐久性の高い新規の電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低いため白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は駆動電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、エレクトロクロミック表示素子(以下、EC方式と略す)や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。EC方式は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、ED方式もまた、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
また、従来多くの電気化学素子の電解質には、水あるいは有機溶媒に支持電解質を溶解した液体電解質が用いられて来た。しかし、液体電解質は電気化学素子の長期保存による経時変化や破損による電解液の漏洩、小型化・薄型化が困難であるという問題を有する。特に、EC方式またはED方式の表示素子は、表示用途に用いる関係上、少なくとも一方向は、ガラスやプラスチック等の透明材料で封止する必要があるため、金属等で電解質を完全に密閉してしまうことは困難である。そのため、電解液の漏れや揮発がより大きな問題となる。
このため、電解質を固体化させ、取り扱いが容易で安全性が高く、かつイオン輸率の大きい固体薄膜電解質材料の研究開発が活発に行われてきた。例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド或いはこれら誘導体や共重合体等ポリエーテル構造を有するポリマーに支持電解質を溶解した高分子固体電解質がある。このようなポリエーテル構造を有するポリマーは、エーテル構造の酸素原子4個で1価のカチオン1個を溶解することができる。このような固体電解質は基本的に有機溶媒等の溶液を含まないため、漏液の可能性は低いものの、その電導度は通常の非水電解液に比べ、3桁ほど低いという実用上の課題を有している。
また、網目構造を有するポリマーマトリックス中に、液体電解質を包含するゲル電解質も知られている。このようなゲル電解質は、モノマーを混合した液体電解質中で重合反応を行うことにより、液体電解質で膨潤した重合体を作製すること、あらかじめ重合したポリマーマトリックスを液体電解質に浸して、ポリマーを膨潤させて作製する。このようなゲル電解質においては、ポリマーマトリックスは基本的に液体電解質を包含する機能を有するだけでイオン伝導には寄与しないため、充分な伝導度が得られなかった。
最近では、電導度及び均一性に優れるとともに、電気化学素子用固体電解質としての使用に耐えられるような充分な固体強度を有する固体電解質として、ゲルが注目されてきている。水素結合等の分子間力を駆動力にして繊維状会合体を形成する自己組織性を有する化合物(自己組織性化合物)は、少量の添加で液体をゲル化することが知られている(例えば、特許文献6〜8参照。)。しかしながら、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、支持電解質が多量に含まれている電解液を上記ゲル化剤でゲル化するためには、電解液に対して多量のゲル化剤を用いなければならず、本来の電気化学的特性をも変えてしまう為、繰返し駆動したときの反射率安定性に課題があり、また、ゲル化の駆動力として水素結合を用いたゲル化剤は、支持電解質を良く溶かす極性有機溶媒や水素結合性有機溶媒を効率的にゲル化することが難しかった。
一方、下記非特許文献1、2には、非プロトン性のゲル化剤が極性有機溶媒ならびに水素結合性有機溶媒も効率的にゲル化することができ、ゲル電解質として好ましい事が記載されているが、実際には各種溶媒に対するゲル化能が示されているだけであり、各種添加剤を含んだ電解液をゲル化することが出来るかどうかは示されていないし、繰返し駆動したときの反射率の安定化効果が得られることも示唆されていなかった。
WO2004/068231号明細書 WO2004/067673号明細書 米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報 特許第2599763号公報 特開2001−167629号公報 特開2006−235366号公報 Chemistry Letters,34(8),1156−1157(2005) Proceedings of Information Display Workshop 2005 p.163−166
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも一対の対向する電極間に電解質、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物及び該電気化学的な酸化還元反応を促進する、酸化還元されうる補助化合物を含有し、対向する電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、該電解質が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする表示素子。
〔式中、Gは酸素原子または硫黄原子を表し、RからRは、各々水素原子または置換基を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、Rは炭素数2から20の置換基を表す。〕
2.前記一般式(1)におけるGが、酸素原子であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
3.前記一般式(1)におけるRからRが、いずれも水素原子であることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
〔式中、Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、Rは炭素数2から20の置換基を表す。〕
5.前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物が、エレクトロクロミック化合物であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
6.前記エレクトロクロミック化合物が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする前記5に記載の表示素子。
〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
7.前記エレクトロクロミック化合物の電気化学反応を促進する、酸化還元されうる補助化合物が、N−オキシル誘導体であることを特徴とする前記5または6に記載の表示素子。
8.前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物が、金属塩化合物であることを特徴とする前記1から7のいずれか1項に記載の表示素子。
9.前記対向する電極の駆動操作により、実質的に黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする前記1から8のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも一対の対向する電極間に電解質、エレクトロクロミック化合物、白色散乱物及び該エレクトロクロミック化合物の電気化学反応を促進する、酸化還元されうる補助化合物を含有し、対向する電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、該電解質が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする表示素子により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
《表示素子の基本構成》
本発明の表示素子においては、一対の対向する電極が設けられている。対向する電極のうち、表示部に近いる電極1(以下、表示電極ともいう)にはITO電極等の透明電極、他方の電極2(以下、対向電極ともいう)には導電性電極が設けられている。電極1と電極2との間に、本発明に係る電解質、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を含有する。対向する電極間に正負両極性の電圧を印加することにより電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の酸化・還元による着色・消色反応により、白及び各種着色状態を可逆的に切り替えることができる。
また、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の電気化学反応を促進するために、後述する酸化還元されうる補助化合物(プロモーター)を添加することを特徴とする。
電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物としては、エレクトロクロミック化合物と電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物が挙げられる。
好ましい態様は、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物としてエレクトロクロミック化合物と金属塩化合物の両方を含有していることである。この態様においては、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、金属塩化合物の溶解析出に伴う白黒表示が行われ、エレクトロクロミック化合物の酸化・還元による着色・消色反応と合わせ、黒色、白色、黒以外の色に着色した状態を可逆的に切り替えることができる。
本発明のより好ましい態様は、エレクトロクロミック化合物が、表示側の透明電極1(表示電極)上に固定化されている態様である。
《電極》
〔表示電極〕
本発明の表示素子においては、一対の対向する電極のうち、表示部に近い電極(表示電極)として透明電極を用いることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
〔半導体ナノ多孔質層〕
本発明の表示素子においては、上記表示部側の透明電極上には色素等を固定化するために、半導体ナノ多孔質層を形成することができる。半導体ナノ多孔質層は、表面積を大きくするため、その表面及び内部に、EC色素等を担持可能な微細孔を有している。半導体ナノ多孔質層の比表面積は、1〜5000m/gが好ましく、10〜2500m/gがより好ましい。ここで、比表面積は窒素ガスの吸着量から求めたBET比表面積を意味する。比表面積が上記の範囲であれば、所望のEC色素吸着量を得ることができ好ましい。
本発明において、半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体、又はこれらの混合物が挙げられ、これらにはドーパントとして不純物が含まれていてもよい。なお、半導体の形態の制限は特になく、単結晶、多結晶、非晶質又はこれらの混合形態であってもよい。
前記半導体微粒子としては、酸化物半導体が好ましい。酸化物半導体は、金属酸化物で半導体の性質を持つものであり、例えば、TiO、SnO、Fe、SrTiO、WO、ZnO、ZrO、Ta、Nb、V、In、CdO、MnO、CoO、TiSrO、KTiO、CuO、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、などが挙げられる。
前記半導体微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、球形、ナノチューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっても構わず、形状の異なる2種類以上の微粒子を混合することもできる。前記球形粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1000nmが好ましく、1〜100nmがより好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合しても構わない。また、前記棒状粒子の場合には、アスペクト比が2〜50000が好ましく、5〜25000がより好ましい。
〔対向電極〕
本発明の表示素子において、一対の対向する電極のうち、非表示部側の電極(対向電極)としては、金属電極もしくは炭素電極が用いられる。
金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持のために有利であり、また電極汚れ防止にも優れる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
炭素電極としては、多孔質炭素電極が好ましい。吸着担持可能な多孔質炭素電極としては、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体や、ホウ素、窒素、りん等を炭素にドープして焼成した炭素化合物、等が挙げられる。炭素粒子の形状としては、メソフェーズ小球体、繊維状黒鉛が挙げられる。メソフェーズ小球体はコールタールピッチ等を350〜500℃で焼成することで得られ、これら小球体をさらに分級して高温焼成で黒鉛化すると良好な多孔質炭素電極が得られる。また、ピッチ系、PAN系、及び気相成長繊維から、繊維状黒鉛を得ることができる。
《ゲル化剤》
本発明の表示素子においては、電解質が前記一般式(1)で表される化合物(ゲル化剤)を含有することを特徴とし、更には、前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(1)において、Gは酸素原子または硫黄原子を表し、R〜Rは、各々水素原子、または置換基を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、Rは炭素数2以上の置換基を表す。
一般式(1)において、Gは酸素原子または硫黄原子を表すが、好ましくは酸素原子である。
一般式(1)において、R〜Rは各々水素原子または置換基を表すが、置換基としては特に制限は無いが、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、イソプロピオキシ期、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等)アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、シアノ基、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド基、プロピオアミド基、イソプロピオアミド基、ブタンアミド基、ピバロイルアミド基等)などが挙げられる。
好ましくは、フッ素、塩素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、モノフルオロメトキシ基であり、更に好ましくは、フッ素である。最も好ましくは、R〜Rがいずれも水素原子の場合である。
一般式(1)において、Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Lで表される2価の連結基としては、特に制限はなく、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基等)、アルケニレン基(例えば、エチレン基,プロペニレン基等)、スルホニル基、スルフィニル基、エーテル基、オキシカルボニル基、チオエーテル基、チオカルボニル基、カルボニル基、ウレタン基、アミド基、イミノ基、−N(R)−基(Rはアルキル基、アリール基、水素原子を表す。)、複素環2価基(例えば、トリアジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、チアゾール−2,4−ジイル基、ベンズオキサゾール−2,5−ジイル基等)などが挙げられるが、好ましくは、オキシカルボニル基である。nは0または1を表すが、好ましくは、1である。
一般式(1)において、Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、二価の芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であっても良く、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセレニン基、フルオランテニレン基、ピローレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基、及びピリミジレン基等が挙げられるが、好ましくは、置換基を有しても良いフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基であり、更に好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基である。
一般式(1)において、Rは炭素数2〜20の置換基を表し、特に制限は無いが、アルキル基(例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、エトキシ基、プロピオキシ基、イソプロピオキシ期、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等)アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、プロピオアミド基、イソプロピオアミド基、ブタンアミド基、ピバロイルアミド基等)などが挙げられる。
好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、アルコキシ基である。原料入手の容易性やハンドリングの容易性から好ましくは、炭素数14以下が好ましく、更に好ましくは12以下である。
前記一般式(2)において、Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、置換基を有しても良い2価の芳香族基としては、上述の一般式(1)のArと同様の2価の芳香族基が挙げられる。
一般式(2)において、Rは炭素数2〜20の置換基を表し、置換基としては上述の一般式(1)中のRと同様の置換基が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の添加量としては、用いる電解質溶媒に対して0.1質量%から30質量%の範囲で用いることができる。好ましい添加量は0.5質量%〜10質量%の範囲であり、1質量%〜5質量%の範囲が特に好ましい。
以下、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の合成方法の一例として、上記例示化合物(1)の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでは無く、従来公知の様々なルート、処方を用いて合成することができる。
2、5−ジメトキシベンズアルデヒドとマロン酸をKnoevenagel縮合反応により2,5−ジメトキシケイ皮酸へ導き、末端カルボン酸をエチルエステル保護した後、三臭化ホウ素を作用させることでメチルエーテルの脱保護と環化反応を同時に行い6−ヒドロキシクマリンを得た。得られた6−ヒドロキシクマリンを4−プロポキシ安息香酸クロリドと反応させることで、例示化合物(1)を得ることができる。
本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表されるその他の化合物も、上記の合成ルートを参考にして、容易に合成することができる。
《電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物》
本発明に係る電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物としては、以下に説明するエレクトロクロミック化合物と金属塩化合物を挙げることができる。
〔エレクトロクロミック化合物〕
本発明に係るエレクトロクロミック化合物(EC化合物)としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。EC化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、有機金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素が知られている。
エレクトロクロミック特性を示す有機金属錯体としては、例えば、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、希土類ジフタロシアニン錯体、フェロセン系色素などが挙げられる。
エレクトロクロミック特性を示す導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリベンジジン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾール及びこれらの誘導体などが挙げられる。
また、例えば、特開2007−112957号公報に記載されているような、ビスターピリジン誘導体と金属イオンから成る高分子材料もエレクトロクロミック特性を示す。
エレクトロクロミック特性を示す有機色素としては、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、フェノチアジン等アジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いることもできる。
〔色調によるEC化合物の分類〕
本発明に係るEC化合物は、色調変化の点で分類すると、下記3つのクラスに分けられる。
クラス1:酸化還元によりある特定の色から別の色に変化するEC化合物。
クラス2:酸化状態で実質無色であり、還元状態である特定の着色状態を示すEC化合物。
クラス3:還元状態で実質無色であり、酸化状態である特定の着色状態を示すEC化合物。
本発明の表示素子においては、目的及び用途により上記クラス1からクラス3のEC化合物を適宜選択することができる。
(クラス1のEC化合物)
クラス1のEC化合物は、酸化還元により、ある特定の色から別の色に変化するEC化合物であり、その取り得る酸化状態において、二色以上の表示が可能な化合物である。
クラス1に分類される化合物としては、例えば、Vは酸化状態から還元状態へ変化することで橙色から緑色に変化し、同様にRhは黄色から暗緑色に変化する。
有機金属錯体の多くはクラス1に分類され、ルテニウム(II)ビピリジン錯体、例えばトリス(5,5′−ジカルボキシルエチル−2,2′−ビピリジン)ルテニウム錯体は+2〜−4価の間で、順にオレンジ色から、紫、青、緑青色、褐色、赤錆色、赤へと変化する。希土類ジフタロシアニン類の多くも、このようなマルチカラー特性を示す。例えばルテチウムジフタロシアニンの場合、酸化に従い順次、紫色から青、緑、赤橙色へと変化する。
また、導電性ポリマーもその多くは、クラス1に分類される。例えば、ポリチオフェンは酸化状態から還元状態へ変化することで青から赤へと変化し、ポリピロールは褐色から黄色へと変化する。また、ポリアニリン等では、マルチカラー特性を示し酸化状態の紺色から順に青色、緑色、淡黄色へと変化する。
クラス1に分類されるEC化合物は、単一の化合物で、多色表示が可能であると言うメリットを有するが、反面実質無色と言える状態を作れないと言う欠点を有する。
(クラス2のEC化合物)
クラス2のEC化合物は、酸化状態で無色乃至は極淡色であり、還元状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス2に分類される無機化合物としては、下記化合物が挙げられ、各々還元状態でカッコ内に示した色を示す。WO(青)、MnO(青)、Nb(青)、TiO(青)等。
クラス2に分類される有機金属錯体としては、例えば、トリス(バソフェナントロリン)鉄(II)錯体が挙げられ、還元状態で赤色を示す。
クラス2に分類される有機色素としては、特開昭62−71934号公報、特開2006−71765号公報等に記載されている化合物、例えば、テレフタル酸ジメチル(赤)、4,4′−ビフェニルカルボン酸ジエチル(黄色)、1,4−ジアセチルベンゼン(シアン)、あるいは特開平1−230026号公報、特表2000−504764号公報等に記載されているテトラゾリウム塩化合物等が挙げられる。
クラス2に分類される色素として、最も代表的な化合物はビオロゲン等ピリジニウム系化合物で有る。ビオロゲン系化合物は表示が鮮明であること、置換基を変えることなどにより色のバリエーションを持たせることが可能であることなどの長所を有しているため、有機色素の中では最も盛んに研究されている。発色は、還元で生じた有機ラジカルに基づく。
ビオロゲン等ピリジニウム系化合物としては、例えば、特表2000−506629号公報をはじめとして、下記各特許に記載されている化合物が挙げられる。
特開平5−70455号公報、特開平5−170738号公報、特開2000−235198号公報、特開2001−114769号公報、特開2001−172293号公報、特開2001−181292号公報、特開2001−181293号公報、特表2001−510590号公報、特開2004−101729号公報、特開2006−154683号公報、特表2006−519222号公報、特開2007−31708号公報、特開2007−171781号公報、特開2007−219271号公報、特開2007−219272号公報、特開2007−279659号公報、特開2007−279570号公報、特開2007−279571号公報、特開2007−279572号公報等。
以下に、本発明に用いることができるビオロゲン等のピリジニウム化合物を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
(クラス3のEC化合物)
クラス3に属するEC化合物は、還元状態で無色乃至は極淡色であり、酸化状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス3に分類される無機化合物としては、例えば、酸化イリジウム(暗青色)、プルシアンブルー(青)等が挙げられる(各々酸化状態でカッコ内に示した色を呈する)。
クラス3に分類される導電性ポリマーとしては、例は少ないが、例えば、特開平6−263846号に記載のフェニルエーテル系化合物が挙げられる。
クラス3に分類される色素としては多数の色素が知られているが、スチリル系色素、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系色素、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等のアゾール系色素等が好ましい。
以下に、本発明に用いることができるスチリル系色素、及びアジン系色素、アゾール系色素を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
本発明の好ましい態様においては、前記EC色素と共に電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩を併用し、黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行う。この場合、該金属塩が還元されて黒表示を行う為、EC色素としては酸化により発色するクラス3のEC化合物が好ましく、特に、発色の多様性、低駆動電圧、メモリー性等の点でアゾール系色素が好ましい。
本発明において、最も好ましい色素は、前記一般式(L)で表される化合物である。
以下、本発明に係る前記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
前記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1、Rlで表される置換基としては、特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良いRl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
一般式(L)で表されるアゾール色素の中でも、特に下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が特に好ましい。
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は各々脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基またはスルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基または芳香族複素環基を表し、RL25は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはアシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)から選ばれる少なくとも1つを有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に、分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換の、フェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)または−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として、−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるEC色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
《補助化合物(プロモーター)》
本発明の表示素子においては、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の電気化学反応を促進するために、酸化還元されうる補助化合物(以下、プロモーターと記す)を添加する。プロモーターは酸化還元反応の結果として、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものでもよいし、変化するもの、即ち前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物であってもよく、電極上に固定化されていてもよく、電解質中に添加されていてもよい。これらプロモーターは、例えば、対極反応物質としての利用あるいは、酸化還元メディエーターとしての利用が考えられる。
例えば、表示電極側で電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を酸化(あるいは還元)発色させる場合、対向電極側でプロモーターの還元(あるいは酸化)反応を利用することによって、低い駆動電圧で高い発色濃度を得ることが可能となる。このようにプロモーターを対極反応物質として利用する場合、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物とは逆の酸化還元活性を有するプロモーターを、対向電極上に固定化して用いることが好ましい。プロモーターを対極反応物質として用いる場合、プロモーターは酸化還元反応の結果として可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものが好ましい。ただし、本発明の好ましい態様において記載したように、表示素子中に白色散乱物を用いて、プロモーターによる発色を遮蔽するような態様の場合、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化するプロモーター、即ち電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を用いてもよい。このような構成の態様は、プロモーターの選択が容易となり好ましい。また別の態様として、表示電極側の電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物と同色の発色を示すプロモーターを用いることは、好ましい態様の一つである。
一方、酸化還元メディエーターは、有機電解合成の分野等で一般に用いられている材料である。有機化合物はそれぞれ固有の酸化電位に加えて、電解法や電解条件にも依存する酸化過電圧を有しており、陽極電位がこれらを合せた酸化電位より高いときに、実際上酸化反応が起こる。陽極電位に実験上の限界があることから、直接法で全ての基質を酸化することは不可能である。高い酸化電位を有する基質を酸化する場合、基質から陽極への電子移動は起こらない。この反応系に低電位で陽極に対して電子移動(酸化)が起こるようなメディエーターを共存させると、まずはメディエーターが酸化され、酸化されたメディエーターによって基質が酸化されて生成物が得られる。この反応系の利点は、基質の酸化電位よりも低い陽極電位で基質を酸化することが可能であることと、酸化されたメディエーターは、基質を酸化してもとのメディエーターに戻るため、理論的には触媒量として作用することである。また低電位での酸化が可能となるため、基質や生成物の分解等も抑えられる。
本発明において、例えば、前記基質として酸化発色する電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を用いる場合、触媒量の酸化メディエーターを共存させることにより、低い駆動電圧で表示素子を駆動することが可能となり、表示素子の耐久性が高まる。また表示の切り替え速度の向上、高い発色効率が得られる等の利点がある。同様に、還元メディエーターと、還元発色する電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の組み合わせでも、上記効果が得られる。
本発明の表示素子においては、有機電解合成の分野で示されているように、単一のメディエーターを用いてもよいし、複数のメディエーターを組み合わせて用いてもよい。本発明においてプロモーターをメディエーターとして用いる場合、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を表示電極上に固定化し、その近傍にプロモーターを局在化させて用いることが好ましい。
本発明においては、プロモーターを対極反応物質として用いてもよく、またメディエーターとして用いてもよい。また両者の目的で、複数のプロモーターを同時に組み合わせて用いてもよい。
プロモーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。特に対極反応物質として利用する場合には、公知の電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を利用することが可能である。また、酸化還元メディエーターとして利用する場合は、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の特性に合わせ、有機合成化学協会誌第43巻第6号(「電気エネルギーを利用する有機合成」特集号)(1985)等に記載されている公知のメディエーターを適宜選択して用いることができる。
本発明に用いることができる好ましいプロモーターとしては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
1)TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)等に代表されるN−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等、N−O結合を有する化合物、
2)ガルビノキシル等、0−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物、
3)フェロセン等のメタロセン誘導体、
4)ベンジル(ジフェニルエタンジオン)誘導体、
5)テトラゾリウム塩/ホルマザン誘導体、
6)フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系化合物、
7)ビオロゲン等ピリジニウム化合物、
その他、ベンゾキノン誘導体、ベルダジル等ヒドラジル遊離基化合物、チアジル遊離基化合物、ヒドラゾン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアリルアミン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、チアントレン誘導体等もプロモーターとして用いることができる。
本発明の表示素子においては、上記1)から7)の範疇のプロモーターが好ましく、特に1)が好ましい。
以下、1)の範疇の化合物について詳細に説明する。
N−オキシル(ニトロキシドラジカルとも呼ばれる)とは、ヒドロキシルアミンの酸素−水素結合がラジカル的に開裂して生じた酸素中心ラジカルである。ニトロキシドラジカルは、下記スキームに示すように2つの可逆的な酸化還元対を有することが知られている。ニトロキシドラジカルは1電子酸化によりオキソアンモニウムカチオンとなり、これが還元されてラジカルを再生する。またニトロキシドラジカルは1電子還元によりアミノキシアニオンとなり、これが酸化されてラジカルを再生する。従って、ニトロキシドラジカルはp型の対極反応物質、若しくはn型対極反応物質として機能することができる。またオキソアンモニウムカチオンは高い酸化能を有しており、ロイコ色素等の酸化が可能である為、メディエーターとして機能し得る。
N−オキシル誘導体は、電解質中に含有されていても、電極表面上に固定化されていてもよい。電極表面上に固定化する方法は、N−オキシル誘導体に電極表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法やN−オキシル誘導体をポリマー化して電極表面上に薄膜を形成する方法などが挙げられる。尚、N−オキシル誘導体はN−オキシルラジカルの状態で添加しても良く、またN−ヒドロキシ化合物の状態、更にはオキソアンモニウムカチオンの状態で添加しても良い。
N−オキシル誘導体としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)をはじめとして、各種置換基を置換した誘導体が市販されている。また、公知の文献に従って、ポリマーを含め、各種誘導体を容易に合成することができる。
一般に、ニトロキシドラジカルのα位炭素に水素が置換している場合、容易にヒドロキシアミンとニトロンへ不均化してしまうことが知られている。このため、TEMPOのN−オキシル基α位の4つのメチル基は、安定ラジカルとして存在する上での必須の構造と言えるが、逆にこれら4つのメチル基の立体障害によって、反応性が落ちる場合がある。これら活性低下を引き起こさない点で、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、或いはアザビシクロN−オキシル誘導体が好ましい。
次に、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等について説明する。下記スキームに示すように、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)の電極酸化により生じたフタルイミドN−オキシル(PINO)は、2級アルコールを酸化してケトンを生成する。即ち、NHPIが酸化メディエーターとして機能することが報告されている(Chem.Commun.,1983,479.)。この例から分かるように、NHPI/PINOの酸化還元対は、本発明の表示素子においても、対極反応物質或いはメディエーターとして機能することが理解されよう。またNHPI同様、ヒドロキサム酸誘導体、トリヒドロキシイミノシアヌル酸(THICA)も、プロモーターとして用いることができる。
これらの化合物を用いて、本発明の表示素子を作製する場合、N−OHの状態で添加することが好ましい。N−OHの状態で表示素子を作製した後、表示素子を駆動させて酸化をすることで、ラジカルが生成する。
上記1)の範疇で示されるプロモーターとしては、下記一般式(M1)で表すことができ、下記一般式(M2)〜(M6)で表されるプロモーターが好ましい。特に、一般式(M6)で表される多環式N−オキシル誘導体が好ましい。尚、一般式(M1)〜(M5)で表されるプロモーターは各種市販されており、容易に入手することができる。また公知の文献に従って、各種誘導体を容易に合成することができる。一般式(M6)で示されるプロモーターは、J.Am.Chem.Soc.,128,8412(2006)及びTetrahedron Letters 49 (2008) 48−52を参考として合成することができる。
また、これらをポリマー化したプロモーターは、例えば、特開2004−227946号公報、同2004−228008号公報、同2006−73240号公報、同2007−35375号公報、同2007−70384号公報、同2007−184227号公報、同2007−298713号公報等を参考にして合成することができる。
はじめに、一般式(M1)で表される化合物について説明する。
上記一般式(M1)において、Rm11及びRm12は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基若しくは>C=O、>C=S、>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は水素原子、若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等の各基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基には、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(M1)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
次いで、一般式(M2)で表される化合物について説明する。
上記一般式(M2)において、Rm21、Rm22、Rm23、Rm24は、各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、前記一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Zは更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、前記一般式(M1)で例示したのと同様の置換基が挙げられる。また、Rm21〜Rm24及びZを構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、例えば、窒素原子と共にアザノルボルネン構造、アザアダマンタン構造等の多環式構造を取っても良い。
一般式(M2)で表される化合物の環構造としては、ピペリジン環、若しくはピロリジン環、アザアダマンタン環が好ましい。
次いで、一般式(M3)で表される化合物について説明する。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、一般式(M3)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M3)において、Rm31は直接、若しくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子を介してカルボニル炭素原子に置換する、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表し、Rm32は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。また、Rm31及びRm32は互いに連結して、環状構造を形成してもよい。
一般式(M3)において、Rm32は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm31としては、カルボニル炭素原子に直接結合したフェニル基若しくは脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、分岐アルキル基及びシクロアルキル基が好ましい。なお、一般式(M3)で表される化合物は、N−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
次いで、一般式(M4)で表される化合物について説明する。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、上記一般式(M4)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M4)において、Zは環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Zは更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、一般式(M1)で例示した置換基が挙げられる。また、Zは縮合環で有っても良い。なお、一般式(M4)で表される化合物は、N−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
次いで、一般式(M5)で表される化合物について説明する。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、上記一般式(M5)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M5)において、Rm51〜Rm55は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
一般式(M5)において、Rm51は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としてはシアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm52〜Rm55としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
次いで、一般式(M6)で表される化合物について説明する。
上記一般式(M6)において、Rm61及びRm62は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基を表す。Rm61及びRm62としては、水素原子若しくは、炭素数4以下の直鎖アルキル基が好ましく、Rm61及びRm62の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
、Z及びZは、各々環状構造を形成するのに必要な原子群(例えば、炭素、窒素、酸素、イオウ等)を表し、各々5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z、Z及びZは更に置換基を有していても良い。
nは0または1を表すが、n=0の時、一般式(M6)で表される化合物としてはビシクロ化合物を表し、n=1の場合は、トリシクロ化合物を表す。
一般式(M6)で表される化合物としては、n=1が好ましく、特に、アザアダマンタン誘導体が好ましい。
以下に、本発明で用いることのできるプロモーターの具体例を示すが、これらに限定されるものでは無い。
《電解質》
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に、電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
〔電解質溶媒〕
本発明において、電解質溶媒としては特に制限はなく、具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメテルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルジオキソランアセトトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、スルホオキシド、ジメチルスルホオキシドジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、N−メチル−2−オキドリノリン、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
電解質で用いる溶媒の沸点としては、特に制限はないが、揮発防止の点、及び製造上の理由から、高沸点であることが好ましく、200℃以上の沸点を有する溶媒が好ましい。
本発明において、特に好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)、(S2)で表される化合物である。
(一般式(S1)、(S2)で表される化合物)
本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物を含有することが好ましい。
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
上記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は、各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
次いで、一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
本発明において、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物が電解質中に含まれることを特徴とするが、本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物は、電解質溶媒中においてゲル化剤として機能する。これは、本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物が、π−π相互作用を駆動力とした3次元的に絡み合った繊維状の網目構造を形成し、これらの空隙に電解質溶媒が包接された構造体を形成することにより、有機ゲルが形成していると考えられる。また、従来の水素結合を駆動力としたゲル化剤では、極性有機溶剤や水素結合性(プロトン性)有機溶媒を効率的にゲル化させることは難しかったが、本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物は水素結合ではなくπ−π相互作用を駆動力としている為、あらゆる種類の溶剤中にてゲル化することが可能となる。
〔支持電解質〕
本発明の表示素子において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO、CH(CNBF、(CH(CNBF、(CHNSOCF、(CNSOCF、(n−CNSOCF
更には、
等が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CHPBF、(CPBF、(CPBF、(CPBF等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
本発明に適用可能な支持電解質としては、環状4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級スピロアンモニウム塩が好ましい。また対アニオンとしてはClO 、BF 、CFSO 、(CSO、PF が好ましく、特にBF が好ましい。
電解質塩の使用量は任意であるが、一般的には、電解質塩は溶媒中に上限としては20mol/L以下、好ましくは10mol/L以下、さらに好ましくは5mol/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上、さらに好ましくは0.1mol/L以上存在していることである。
本発明において、電解質には、上記電解質溶媒及び支持電解質以外に、下記の様な化合物を添加しても良い。
〔金属塩化合物〕
本発明に係る金属塩化合物とは、一対の対向する電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向する電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスである。
〔銀塩化合物〕
本発明に係る銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明に係る電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
〔ハロゲンイオン、金属イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる金属イオン濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1):0≦[X]/[Metal]≦0.1
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.1よりも大きい場合は、金属イオンの酸化還元反応時に、X→Xが生じ、Xは析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属イオンのモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
〔銀塩溶剤〕
本発明においては、金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進するために、下記一般式(G1)または一般式(G2)で表される化合物を含有することが好ましい。
(一般式(G1)または一般式(G2)で表される化合物)
本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(G1)または一般式(G2)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。一般式(G1)及び(G2)で表される化合物は、本発明において銀の溶解析出を生じさせるため、電解質中での銀の可溶化を促進する化合物である。
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要であり、例えば、銀と配位結合を生じさせる、あるいは銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物が有用である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基を含有する化合物及びメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用しかつ、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
一般式(G1)
Rg11−S−Rg12
上記一般式(G1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
上記一般式(G2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は置換基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
前記一般式(G1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表すが、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
以下、本発明において適用可能な一般式(G1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
G1−1:CHSCHCHOH
G1−2:HOCHCHSCHCHOH
G1−3:HOCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−4:HOCHCHSCHCHSCHCHSCHCHOH
G1−5:HOCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHOH
G1−6:HOCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHOH
G1−7:HCSCHCHCOOH
G1−8:HOOCCHSCHCOOH
G1−9:HOOCCHCHSCHCHCOOH
G1−10:HOOCCHSCHCHSCHCOOH
G1−11:HOOCCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCOOH
G1−12:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−13:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
G1−14:HCSCHCHCHNH
G1−15:HNCHCHSCHCHNH
G1−16:HNCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−17:HCSCHCHCH(NH)COOH
G1−18:HNCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHNH
G1−19:HNCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHNH
G1−20:HNCHCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCHNH
G1−21:HOOC(NH)CHCHCHSCHCHSCHCHCH(NH)COOH
G1−22:HOOC(NH)CHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCH(NH)COOH
G1−23:HOOC(NH)CHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCH(NH)COOH
G1−24:HN(O=)CCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHC(=O)NH
G1−25:HN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NH
G1−26:HNHN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NHNH
G1−27:HC(O=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=O)CH
G1−28:HNOSCHCHSCHCHSCHCHSONH
G1−29:NaOSCHCHCHSCHCHSCHCHCHSONa
G1−30:HCSONHCHCHSCHCHSCHCHNHOSCH
G1−31:HN(NH)CSCHCHSC(NH)NH・2HBr
G1−32:HN(NH)CSCHCHOCHCHOCHCHSC(NH)NH・2HCl
G1−33:HN(NH)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(NH)NH・2HBr
G1−34:〔(CHNCHCHSCHCHSCHCHN(CH2+・2Cl
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物G1−2が好ましい。
次いで、一般式(G2)で表される化合物について説明する。
前記一般式(G2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は置換基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(G2)において、Mで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH、N(CH、N(C、N(CH1225、N(CH1633、N(CHCH等が挙げられる。
一般式(G2)のZを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(G2)において、Rg21で表される置換基としては、特に制限は無いが、例えば下記の様な置換基が挙げられる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等)、複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(G2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物G2−12、G2−18、G2−20が好ましい。
《白色散乱物》
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号明細書、特開昭62−245260号公報等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号公報に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向する電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向する電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系高分子と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系高分子と白色顔料との水混和物を一方の電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向する電極で挟み込み、対向する電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系高分子の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号明細書、特開昭59−116655号公報、同62−245261号公報、同61−18942号公報、同61−249054号公報、同61−245153号公報、特開平4−218044号公報等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報等に記載の化合物)が挙げられる。水系高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系高分子1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
《電子絶縁層》
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
《その他の添加剤》
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を、下記表1に示す。
《基板》
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号公報(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
《表示素子のその他の構成要素》
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
《表示素子駆動方法》
本発明の表示素子の透明状態及び着色状態の制御方法は、エレクトロクロミック色素の酸化還元電位や銀イオンの析出過電圧を基に決められることが好ましい。
例えば、前記一般式(L)で表される化合物と銀化合物を対向する電極間に有する表示素子の場合、酸化側で黒以外の着色状態を示し、還元側で黒色状態を示す。この場合の制御方法の一例としては、前記一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位より貴な電圧を印加することで、前記一般式(L)で表される化合物を酸化し黒以外の着色状態を示し、前記一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位と銀化合物の析出過電圧の間の電圧を印加することで、前記一般式(L)で表される化合物を還元し白色状態に戻し、銀化合物の析出過電圧より卑な電圧を印加することで銀を電極上に析出させ黒色状態を示し、析出した銀の酸化電位と前記一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位の間の電圧を印加することで析出した銀を溶解して消色する方法が挙げられる。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
《商品適用》
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《表示素子の作製》
〔表示電極の作製〕
(電極A1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、ピッチ145μm、電極幅130μmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成し、透明電極(電極A1)を得た。
(電極A2の作製)
電極A1上に、厚み5μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜を形成し、電極A2を得た。
(電極A3の作製)
ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、下記インク液a1を、120dpiで電極A2上に付与し、電極A3を作製した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
〈インク液a1の調製〉
例示EC色素(L1)を、アセトニトリル/エタノール混合溶媒(1/1)に溶解して、濃度3mmol/Lに調整した。
〔対向電極の作製〕
(電極B1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(電極B1)を得た。
〔電解液の調製〕
(電解液1−1〜1−15の調製)
表2に記載の各種溶媒2.5gに、支持電解質としてテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム(SBP)0.025g、表2に示す量の各種ゲル化剤、及び各種プロモーター0.05gを加え、加熱溶解して、電解液1−1〜1−15を調製した。
(表示素子1−1の作製)
ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)を2質量%含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製の二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散した混和液を調製した。
次いで、周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした電極B1の上に、上記混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。その後、15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発した後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥した。得られた二酸化チタン層上に、平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、電極B1と電極A3を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。
該空セルに、50℃に保温した電解液1−1を減圧注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1−1を作製した。
(表示素子1−2〜1−15の作製)
表示素子1−1の作製において、電解液1−1を電解液1−2〜電解液1−15にそれぞれ変更した以外は同様にして、表示素子1−2〜1−15を得た。
《ゲル化状態の評価》
各電解液を加熱した状態で、直径1cmのサンプル瓶に充填し、その後室温まで冷却し、サンプル瓶を上下反転した状態で、下記基準により目視で評価した。
○:サンプル瓶を軽くたたいても流れ落ちない
△:軽くたたくと流れ落ちる
×:液状で即座に流れ落ちる
《表示素子の評価》
〔繰返し駆動させたときの反射率の安定性の評価〕
(表示素子1−1の評価)
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、−1.5Vの電圧を1.5秒間印加した後に+1.5Vの電圧を1秒間印加して着色表示させたときの可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られた反射率の平均値をRave1とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave2を求めた。ΔRCOLOR1=|Rave1−Rave2|とし、ΔRCOLOR1を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、ΔRCOLOR1の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に優れることになる。
(表示素子1−2から表示素子1−15の評価)
表示素子に印加する電圧を、表3に記載した値に変更した以外は、表示素子1−1と同様にして表示素子1−2から表示素子1−15を評価した。
〔表示素子の均一性(ムラ)の評価〕
上記繰り返し駆動させたときの反射率の安定性の評価の繰り返し数を、2万回まで延長させた後,表示素子のムラの状態を、下記基準により目視で評価した。
○:略均一な発色・消色状態を維持している
△:変色若しくは濃度ムラが認められる
×:変色若しくは濃度ムラが著しい
××:表示素子が駆動しない(電圧印加で濃度変化しない)
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表3に示す。
表3に記載の結果より明らかなように、本発明に係るゲル化剤(一般式(1)、(2)の化合物)は、比較ゲル化剤に対して、極性溶媒に対してもゲル化能力が強いことが分かる。
また、比較例の表示素子1−5、1−10、1−13、1−14では、±1.5Vの電圧印加では充分な濃度変化が生じないため、±3Vの電圧印加を必要とし、かつ反射率変化も大きかった。
一方、ゲル化剤を用いない比較例の表示素子1−15は、液状であることを除けば、低電圧で駆動し、反射率変化も小さく好ましい性能を有していたが、繰り返し駆動回数を増やしたとき、徐々に駆動速度が遅くなり最終的には素子が駆動しなくなってしまった。
これら比較例に対し、本発明の構成を満たす表示素子は、繰返し駆動させても、反射率の安定性、表示ムラ等が改善されていることが分かる。
実施例2
《表示素子の作製》
表示電極及び対向電極は、各々実施例1で作製した電極A3及び電極B1を用いた。
〔電解液の調製〕
(電解液2−1〜2−12の調製)
表4に記載の各種溶媒2.5gに、支持電解質としてテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム(SBP)0.025g、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物として、p−トルエンスルフォン酸銀0.1g、銀塩溶剤として例示化合物G1−3を0.2g、表4に示す量の各種ゲル化剤と各種プロモーター0.05gを加え、加熱溶解して、電解液2−1〜2−12を調製した。
次いで、実施例1に記載の表示素子1の作製において、電解液1−1に代えて、上記調製した電解液2−1〜2−12を用いた以外は同様にして、表示素子2−1〜2−12を作製した。
《表示素子の評価》
〔繰返し駆動させたときの反射率の安定性の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、−1.5Vの電圧を1.5秒間印加してグレー表示させたときの波長550nmと、+1.5Vの電圧を1.5秒間印加して着色表示させたときの可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られたグレーの反射率と着色状態の反射率の平均値を別々に算出し、それぞれRave3、Rave4とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave5、Rave6を求めた。
ΔRBK=|Rave3−Rave5
ΔRCOLOR2=|Rave4−Rave6
とし、RBKとRCOLOR2を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、RBKとRCOLOR2の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に優れることになる。
ゲル化状態の評価及び表示素子の均一性(ムラ)の評価は、実施例1と同様の方法、基準で評価した。
以上により得られた各電解液及び表示素子の評価結果を、表5に示す。
表5に記載の結果より明らかな様に、本発明の構成を満たす表示素子は、比較例に対し、繰返し駆動させたときの反射率の安定性、表示ムラ等が改善されているのが分かる。

Claims (9)

  1. 少なくとも一対の対向する電極間に電解質、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物及び該電気化学的な酸化還元反応を促進する、酸化還元されうる補助化合物を含有し、対向する電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、該電解質が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする表示素子。
    〔式中、Gは酸素原子または硫黄原子を表し、R からR は、各々水素原子または置換基を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、Rは炭素数2から20の置換基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)におけるGが、酸素原子であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記一般式(1)におけるRからRが、いずれも水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
    〔式中、Arは置換基を有しても良い2価の芳香族基を表し、Rは炭素数2〜20の置換基を表す。〕
  5. 前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物が、エレクトロクロミック化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 前記エレクトロクロミック化合物が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の表示素子。
    〔式中、Rlは置換または無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子または置換基を表す。〕
  7. 前記エレクトロクロミック化合物の電気化学反応を促進する、酸化還元されうる補助化合物が、N−オキシル誘導体であることを特徴とする請求項5または6に記載の表示素子。
  8. 前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物が、金属塩化合物であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 前記対向する電極の駆動操作により実質的に黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の表示素子。
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