以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも一対の対向する電極の間に、銀塩化合物を含有する電解質層を有する表示素子において、該対向する電極の一方である観察側電極が、基板上に透明導電性膜と銀薄膜とを有し、かつ該基板の外周縁部に該銀薄膜が存在しない領域を有し、かつ該銀薄膜が存在しない領域に、シール剤が配置されていることを特徴とする表示素子により、低電圧で駆動可能で、かつ繰返し駆動での反射率安定性に優れた表示素子を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、観察側電極5構成として、図1に例示するように、シール剤6の密着部に銀薄膜4が存在し、シール剤6と銀薄膜4とが接触している構成からなる従来型の表示素子では、連続駆動させた際に、シール剤6と透明導電性膜3とに挟まれた部位の銀薄膜4が不溶解状態となるため、画像ムラが発生し易くなる。また、逆にシール剤6と透明導電性膜3とに挟まれた部位の銀薄膜4が完全に溶解すると、その箇所より電解質等の液漏れを生じる。
上記課題に対し、図2に示すように、本発明の表示素子は、透明導電性膜3上のシール剤6が存在しない内部領域に銀薄膜4を形成することにより、銀薄膜4から非観察側電極10への銀転写量のバラツキが抑制され、均一性の高い銀画像を形成できることにより、繰返し駆動を行った際でも、反射率安定性に優れた表示素子を得ることができた。
更に、図3に示すように、観察側電極5が有する銀薄膜4の端部から対向する非観察側電極10が有する基板9に対して垂直方向の領域Aに、該非観察側電極10の導電性膜9が存在しないように該銀薄膜4が配置されていることが好ましい。
すなわち、観察側電極5が有する銀薄膜4の幅をL1とし、対向する位置に配置された非観察側電極10の導電性膜9の幅をL2としたとき、対向する全ての辺の関係が、L1>L2であることが好ましい。観察側電極5が有する銀薄膜4を、対向する位置に配置されている非観察側電極10の導電性膜8の幅より、4つの辺の全てにおいて広くなるように配置することにより、銀薄膜4から非観察側電極10(導電性膜8)への銀転写量(銀溶解量)のバラツキの影響を受けにくくなり、その結果、導電性膜8上への銀の転写ムラを防止することができる。銀薄膜4の配置幅L1に対し、導電性膜8の幅L2が同等あるいは広くなると、銀薄膜4から導電性膜8への銀転写過程で、銀イオン濃度の分布ムラ等の影響で、導電性膜8周辺領域での銀転写量が低下し、僅かはあるが転写ムラを引き起こしやすくなるため、上記構成とすることがより好ましい態様である。
本発明に係る観察側電極5が有する透明導電性膜3の具体的な構成としては、後述の電極構成に記載した透明電極、透明多孔質電極、グリッド電極等を挙げることができる。また、本発明に係る非観察側電極10が有する導電成性膜8の具体的な構成としては、後述の電極構成に記載した透明電極、透明多孔質電極、導電性電極等を挙げることができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子の基本構成について、図2を用いて更に説明する。
図2は、本発明の表示素子の構成の一例を示す概略断面図である。
本発明の表示素子1は、表示部には、少なくとも1対の対向電極(観察側電極5、非観察側電極10)が設けられている。表示部に近い対向電極の1つである観察側電極5は、基板1上にITO膜等の透明導電性膜3と銀薄膜4、他方の非観察側電極10は、基板9上にITO、金、カーボン膜等の導電性膜8が設けられている。観察側電極5と非観察側電極10の周辺部はシール剤6により接着されており、観察側電極5とシール剤6との密着部には銀薄膜4が存在していない。観察側電極5と非観察側電極10との間に、銀塩化合物を含有した電解質層7を有する。対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と黒表示を可逆的に切り替えることができる。
〔表示素子の製造方法〕
本発明の表示素子は、観察側電極と非観察側電極とをシール剤を介して貼り合わせたセルの中に電解質液を充填することで製造することができる。電解質液の充填方法は、観察側電極と非観察側電極とを貼り合わせてセルを作製するとき、電解質液を注入するための注入口を設け、真空注入法にて電解質液を注入口からセル内に充填する方法や、観察側電極若しくは非観察側電極上にディスペンサやインクジェット等を用いて電解質液を吐出し、吐出した電解質液の周辺部にシール剤を配置した後に、観察側電極と非観察側電極とを貼り合わせる方法が挙げられる。
〔銀薄膜の形成方法〕
本発明に係る銀薄膜(図2に記載の銀薄膜4)は、観察側電極5とシール剤6との密着部に銀薄膜4が存在しないような構成とすることを特徴とするものである。更に好ましい態様としては、図3に示すように、銀薄膜4の端部から対向する非観察側電極10を有する基板9に対して、破線の矢印Lで示した様に、垂直方向の領域Aに非観察側電極10の導電性膜8が存在しないように銀薄膜4を形成することが好ましい。この銀薄膜4の形成方法としては、めっき法、スパッタ法、蒸着法を用いて銀薄膜を形成した後にエッチング液を用いて、前記観察側電極5の基板の外周縁部に前記銀薄膜4が存在しないように不要な銀薄膜4を除去する方法や成膜用マスクを介してスパッタリング法や蒸着法で成膜することで、銀薄膜4の成膜時に前記観察側電極5の基板の外周縁部に前記銀薄膜4が存在しないようする方法などが挙げられる。
本発明に係る銀薄膜の形成方法としては、銀薄膜と透明導電性膜との密着性、銀薄膜の純度等の観点から、スパッタ成膜用マスクを介してスパッタ法で銀薄膜を形成する方法が好ましい。本発明に係る銀薄膜の膜厚は10nm以上、50nm以下であることが好ましい。
〔銀塩化合物〕
本発明に係る電解質層は、銀塩化合物を含有することを特徴の一つとする。本発明でいう銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。銀塩化合物が電極上で溶解析出反応することで、コントラストが高い黒表示が可能となる。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
電解質に含まれる金属イオン濃度[Metal]は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度[Metal]が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2.0モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質の安定性が向上する。
〔ハロゲンイオン、金属イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質層に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質液に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Metal]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.01を越える場合には、金属の酸化還元反応時に、X−→X2が生じ、X2は析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
〔一般式(1)で表される化合物〕
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、ED方式の表示素子において金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進するために用いられる「金属塩溶剤」と同一範疇の化合物である。特に銀塩溶剤として、メルカプトアゾール類や複素環チオール化合物は良く用いられており、これら公知の銀塩溶剤と比較して、構造的特徴は、アルキル鎖内に金属イオンと相互作用するとされている硫黄原子を組み込んだ点と、同様に金属イオンと相互作用するとされているカルボニル基を少なくとも一つを有し、かつ解離性プロトンを排除した点にある。
本発明に係る前記一般式(1)で表される化合物は、チオエーテル鎖および少なくとも一つのカルボニル基を有する化合物であって、該チオエーテル鎖が化合物全体の30〜99質量%を占め、かつ化合物全体として解離性プロトンを有していない化合物である。
本発明者らが検討を進めた結果、前記一般式(1)で表される特定構造の構造を有する化合物を電解質層に添加することが、該化合物自身の腐食力を抑えることができ、また硫黄原子、カルボニル基を配置して金属イオンとの相互作用力を高めたことで、電極の腐食が大きく抑制され、繰り返し駆動時の安定性に優れ、さらには、低電圧駆動時の書き換え速度の向上する観点から好ましい。
詳細なメカニズムは不明であるが、電極腐食の著しい改善は解離性プロトンを系中から排除したことに由来すると推測している。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、チオエーテル鎖を有することが好ましい。
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6で表される置換基としては、解離性プロトンを有していない置換基であり、例えば、下記の置換基が挙げられる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ジアリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジメシチルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、ジアルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル等)、ジアリールカルバモイル基(例えば、ジフェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル等)、ジアリールスルファモイル基(例えば、ジフェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、ジアルキルアミノカルボニル基(例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基等)、ジアリールアミノカルボニル基(例えば、ジフェニルアミノカルボニル基、ジトリルアミノカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基等)、カルボニル基、シアノ基、または複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)を挙げられるが、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基である。これらの置換基はさらに置換基を有していても良く、お互いに連結して縮合環を形成していてもよい。
一般式(1)において、Xは硫黄原子または酸素原子を表し、化合物中の少なくとも一つのXは硫黄原子である。
一般式(1)において、aは繰り返し単位の数を表す。適度な溶解性を持つためには、aとしては1〜50が好ましく、更には1〜10とすることが好ましい。特に好ましくは1〜6である。
[ ]内は繰り返し単位を表し、aが2以上の数を表す場合、Xが複数個存在することになるが、その場合のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、硫黄原子含有量が多いほど好ましい。またmが表す整数も同じであっても異なっていても良い。
上記の場合、R1、R2も同様に複数個存在することになるが、その場合はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明に係る一般式(1)において、チオエーテル鎖の含有量は、化合物全体の30〜99質量%であることが好ましい。より好ましくは33〜85質量%である。ここでチオエーテル鎖の含有量とは、一般式(1)で表される単位のXが硫黄原子である場合のチオエーテル鎖の分子量が、化合物の全分子量に占める比率(質量%)をいう。
例えば、下記例示化合物(1)−1では、チオエーテル鎖は分子量が120(SC2H4)2であり、分子全体は266であることから120/266×100=45質量%と計算する。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物が有することのない「解離性プロトンを有する基」とは、具体的には、例えば、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpKaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物においては、この解離性プロトンを有する基を、チオエーテル鎖、末端基、連結基等分子全体として有していない。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物においては、少なくとも一つのカルボニル基を有する。このカルボニル基は、化合物の末端基としてまたはチオエーテル鎖の置換基、末端基とチオエーテル鎖との連結基として存在していることが好ましい。カルボニル基は、R5、R6が有していることが好ましい。
カルボニル基の数は1〜10、好ましくは2〜6が一分子中に存在することが好ましい。末端基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の解離性プロトンを有していない基であることが好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物において、カルボニル基とチオエーテル鎖は直接または、連結基で結合している。連結基は、2〜4価であることが好ましい。連結基は、解離性プロトンを有していない基である。
チオエーテル化合物の使用量は、一般的には電解質層を構成する溶媒中に上限としては30モル/L以下、好ましくは20モル/L以下、さらに好ましくは10モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上である。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
〔一般式(2)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質層が、上記一般式(1)で表される化合物と共に、前記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
前記一般式(2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(2)において、Mで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH3)4、N(C4H9)4、N(CH3)3C12H25、N(CH3)3C16H33、N(CH3)3CH2C6H5等が挙げられる。
一般式(2)のZを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(2)において、Rg21で表される具体的な基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等)、複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有してもよい。
次に、一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物(2)−12、(2)−18、(2)−20が好ましい。
本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の使用により、銀塩の溶解析出を促進することが可能となる。すなわち、低電圧駆動時の書き換え速度の向上が達成され、更にはITO電極の電極腐食の抑制が可能となる。
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要であり、例えば、銀と配位結合を生じさせ、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物が有用であると考えられる。前期化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が銀と相互作用を示す化学構造種であると知られているが、本発明においては、一般式(1)のようなアルキル鎖上に硫黄原子(チオエーテル鎖)、カルボニル基が置換した化合物及び一般式(2)のようなメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用し、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
次いで、本発明の表示素子のその他の構成要素について説明する。
〔酸化還元されうる補助化合物〕
本発明の表示素子においては、エレクトロクロミック材料の電気化学反応を促進するために、前記エレクトロクロミック化合物に加え、酸化還元されうる補助化合物(以下、プロモーターと記す)を添加しても良い。プロモーターは酸化還元反応の結果として、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものでも良いし、変化するもの、即ち前記エレクトロクロミック化合物で有っても良く、電極上に固定化されていても良く、電解質中に添加されていても良い。これらプロモーターは例えば、対極反応物質としての利用あるいは、酸化還元メディエーターとしての利用が考えられる。
例えば、表示電極側でエレクトロクロミック化合物を酸化(あるいは還元)発色させる場合、対向電極側でプロモーターの還元(あるいは酸化)反応を利用することによって、低い駆動電圧で高い発色濃度を得ることが可能と成る。このようにプロモーターを対極反応物質として利用する場合、エレクトロクロミック化合物を表示電極上に固定化し、エレクトロクロミック化合物とは逆の酸化還元活性を有するプロモーターを、対向電極上に固定化して用いることが好ましい。プロモーターを対極物質として用いる場合、プロモーターは酸化還元反応の結果として可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものが好ましい。但し、本発明の好ましい態様において記載したように、表示素子中に白色散乱物を用いて、プロモーターによる発色を遮蔽するような態様の場合、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化するプロモーター、即ちエレクトロクロミック化合物を用いても良い。このような構成の態様は、プロモーターの選択が容易と成り好ましい。また別の態様として、表示電極側のエレクトロクロミック化合物と同色の発色を示すプロモーターを用いることは、好ましい態様のひとつである。
一方、酸化還元メディエーターは、有機電解合成の分野等で一般に用いられている材料である。有機化合物はそれぞれ固有の酸化電位に加えて、電解法や電解条件にも依存する酸化過電圧を有しており、陽極電位がこれらを合せた酸化電位より高いときに、実際上酸化反応が起こる。陽極電位に実験上の限界があることから、直接法で全ての基質を酸化することは不可能である。高い酸化電位を有する基質を酸化する場合、基質から陽極への電子移動は起こらない。この反応系に低電位で陽極に対して電子移動(酸化)が起こるようなメディエーターを共存させると、まずはメディエーターが酸化され、酸化されたメディエーターによって基質が酸化されて生成物が得られる。この反応系の利点は基質の酸化電位よりも低い陽極電位で基質を酸化することが可能であることと、酸化されたメディエーターは、基質を酸化してもとのメディエーターに戻るため、理論的には触媒量として作用することである。また、低電位での酸化が可能となるため、基質や生成物の分解等も抑えられる。
本発明において、例えば、前記基質として酸化発色するエレクトロクロミック化合物を用いる場合、触媒量の酸化メディエーターを共存させることにより、低い駆動電圧で表示素子を駆動することが可能と成り、表示素子の耐久性が高まる。また表示の切り替え速度の向上、高い発色効率が得られるなどの利点がある。同様に、還元メディエーターと、還元発色するエレクトロクロミック化合物の組み合わせでも、上記効果が得られる。
本発明の表示素子においては、有機電解合成の分野で示されているように、単一のメディエーターを用いても良いし、複数のメディエーターを組み合わせて用いても良い。本発明において、プロモーターをメディエーターとして用いる場合、エレクトロクロミック化合物を表示電極上に固定化し、その近傍にプロモーターを局在化させて用いることが好ましい。
本発明においては、プロモーターを対極反応物質として用いてもよく、またメディエーターとして用いても良い。また両者の目的で、複数のプロモーターを同時に組み合わせて用いても良い。
プロモーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。特に対極反応物質として利用する場合には、公知のエレクトロクロミック化合物を利用することが可能である。また、酸化還元メディエーターとして利用する場合は、表示色素として用いるエレクトロクロミック化合物の特性に合わせ、有機合成化学協会誌第43巻第6号(「電気エネルギーを利用する有機合成」特集号)(1985)等に記載されている公知のメディエーターを適宜選択して用いることができる。
本発明に用いることができる好ましいプロモーターとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
1)TEMPO等に代表されるN−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等、N−O結合を有する化合物。
2)ガルビノキシル等、0−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物。
3)フェロセン等、メタロセン誘導体。
4)ベンジル(ジフェニルエタンジオン)誘導体。
5)テトラゾリウム塩/ホルマザン誘導体。
6)フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系化合物。
7)ビオロゲン等ピリジニウム化合物。
その他、ベンゾキノン誘導体、ベルダジル等ヒドラジル遊離基化合物、チアジル遊離基化合物、ヒドラゾン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアリルアミン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、チアントレン誘導体等もプロモーターとして用いることができる。
本発明の表示素子においては、上記1)から7)の範疇のプロモーターが好ましく、特に1)が好ましい。
以下、1)の範疇の化合物について詳細に説明する。
N−オキシル(ニトロキシドラジカルとも呼ばれる)とは、ヒドロキシルアミンの酸素−水素結合がラジカル的に開裂して生じた酸素中心ラジカルである。ニトロキシドラジカルは、下記スキームに示すように2つの可逆的な酸化還元対を有することが知られている。ニトロキシドラジカルは1電子酸化によりオキソアンモニウムカチオンとなり、これが還元されてラジカルを再生する。またニトロキシドラジカルは1電子還元によりアミノキシアニオンとなり、これが酸化されてラジカルを再生する。従って、ニトロキシドラジカルは、p型の対極反応物質若しくはn型対極反応物質として機能することができる。
N−オキシル誘導体を電極表面上に固定化する方法は、N−オキシル誘導体に電極表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法やN−オキシル誘導体をポリマー化して電極表面上に薄膜を形成する方法などが挙げられる。尚、N−オキシル誘導体はN−オキシルラジカルの状態で添加しても良く、またN−ヒドロキシ化合物の状態、更にはオキソアンモニウムカチオンの状態で添加しても良い。
N−オキシル誘導体としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)を初め、各種置換基の置換した誘導体が市販されている。また公知の文献に従って、ポリマーを含め、各種誘導体を容易に合成することができる。
一般にニトロキシドラジカルのα位炭素に水素が置換している場合、容易にヒドロキシアミンとニトロンへ不均化してしまうことが知られている。このため、TEMPOのN−オキシル基α位の4つのメチル基は、安定ラジカルとして存在する上での必須の構造と言えるが、逆にこれら4つのメチル基の立体障害によって、反応性が落ちる場合がある。活性低下を引き起こさない観点からは、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体が好ましい。
次に、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等について説明する。下記スキームに示すように、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)の電極酸化により生じたフタルイミドN−オキシル(PINO)は、2級アルコールを酸化してケトンを生成する。この例から分かるように、NHPI/PINOの酸化還元対は、本発明の表示素子においても、対極反応物質あるいはメディエーターとして機能することが理解されよう。またNHPI同様、ヒドロキサム酸誘導体、トリヒドロキシイミノシアヌル酸(THICA)も、プロモーターとして用いることができる。
これらの化合物を用いて、本発明の表示素子を作製する場合、N−OHの状態(NHPI)で添加することが好ましい。N−OHの状態で表示素子を作製した後、表示素子を駆動させて酸化をすることでラジカルが生成する。
上記1)の範疇で示されるプロモーターは、下記一般式(M1)で表すことができ、下記一般式(M2)から(M5)で表されるプロモーターが好ましい。特に一般式(M6)で表される多環式N−オキシル誘導体が好ましい。
尚、一般式(M1)から(M5)表される各プロモーターは各種市販されており、容易に入手することができる。また公知の文献に従って、各種誘導体を容易に合成することができる。一般式(M6)で表されるプロモーターは、J.Am.Chem.Soc.,128,8412(2006)及びTetrahedron Letters 49(2008)48−52を参考として合成することができる。
また、これらをポリマー化したプロモーターは、例えば、特開2004−227946号公報、同2004−228008号公報、同2006−73240号公報、同2007−35375号公報、同2007−70384号公報、同2007−184227号公報、同2007−298713号公報等を参考にして合成することができる。
上記一般式(M1)において、Rm11及びRm12は、各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基若しくは>C=O、>C=S、>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は水素原子、若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基には、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(M1)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
上記一般式(M2)において、Rm21、Rm22、Rm23、Rm24は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。Rm21、Rm22、Rm23、Rm24で表される脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、前記一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
Z1は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z1は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、前記一般式(M1)で例示したのと同様の置換基が挙げられる。また、Rm21〜Rm24及びZ1を構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、例えば、窒素原子と共にアザノルボルネン構造、アザアダマンタン構造等の多環式構造を取っても良い。
一般式(M2)で表される化合物の環構造としては、ピペリジン環、若しくはピロリジン環、アザアダマンタン環が好ましい。
上記一般式(M3)において、Rm31は直接、若しくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子を介してカルボニル炭素原子に置換する、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表し、Rm32は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。またRm31及びRm32は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、前記一般式(M3)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
前記一般式(M3)において、Rm31、Rm32で表される脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。一般式(M3)において、Rm32は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm31としては、カルボニル炭素原子に直接結合したフェニル基若しくは脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、分岐アルキル基及びシクロアルキル基が好ましい。
尚、一般式(M3)で表される化合物はN−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
上記一般式(M4)において、Z2は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、更に置換基を有していても良い。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、前記一般式(M4)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
前記一般式(M4)において、Z2は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z2は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、一般式(M1)で例示した置換基が挙げられる。また、Z2は縮合環で有っても良い。
尚、一般式(M4)で表される化合物はN−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
上記一般式(M5)において、Rm51からRm55は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基を表す。
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、前記一般式(M5)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
前記一般式(M5)において、Rm51からRm55で表される脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
一般式(M5)において、Rm51は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としてはシアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm52からRm55としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記一般式(M6)において、Rm61及びRm62は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基を表し、Z3、Z4及びZ5は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、nは0または1を表す。
一般式(M6)において、Rm61及びRm62としては水素原子若しくは、炭素数4以下の直鎖アルキル基が好ましく、Rm61及びRm62の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
Z3、Z4及びZ5は環状構造を形成するのに必要な原子群(例えば炭素、窒素、酸素、イオウ等)を表し、各々5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z3、Z4及びZ5は更に置換基を有していても良い。
nは0または1を表すが、n=0の時、一般式(6)はビシクロ化合物を表し、n=1の場合トリシクロ化合物を表す。
一般式(M6)で表される化合物としては、n=1が好ましく、特にアザアダマンタン誘導体が好ましい。
以下に、本発明で用いることのできるプロモーターの具体例を示すが、これらに限定されるものでは無い。
〔一般添加剤〕
本発明の表示素子の電解質には、その他各種性能を向上させる観点から、各種添加剤を使用することができる。それらは目的に応じて選択され、特に制限されるものではない。
各種添加剤としては、化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤についてより詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
上記の添加剤は、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を設け、それら補助層中に含有させることも可能である。
〔多孔質白色散乱層〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱性物質を含有する多孔質白色散乱層を設けることができる。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号公報の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号明細書、特開昭62−245260号公報等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号公報に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、水系高分子の平均分子量は、質量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色顔料の中でも、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に、無機酸化物(Al2O3、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
多孔質白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高いアルコール系溶剤が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、観察側から最も遠いエレクトロクロミック発色層に付与することが好ましい。
媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができる。例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬膜剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号公報、同62−245261号公報、同61−18942号公報、同61−249054号公報、同61−245153号公報、特開平4−218044号公報等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔電解質〕
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
(支持電解質)
本発明の表示素子において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4 −、BF4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6 −、AsF6 −、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3 −、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4 −、BF4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6 −、AsF6 −、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3 −、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4、CH3(C2H5)3NBF4、(CH3)2(C2H5)2NBF4、(CH3)4NSO3CF3、(C2H5)4NSO3CF3、(n−C4H9)4NSO3CF3、
更には
等が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN−、ClO4 −、BF4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6 −、AsF6 −、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3 −、および(C2F5SO2)3C−から選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4PBF4、(C2H5)4PBF4、(C3H7)4PBF4、(C4H9)4PBF4等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、支持電解質は溶媒中に上限としては20モル/L以下、好ましくは10モル/L以下、さらに好ましくは5モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上存在していることである。
固体電解質の場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を、電解質中に含むことができる。
パーフルオロスルホン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TlSn2F5、CeF3等の含フッ素化合物、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のLi塩、ZrO2、CaO、Cd2O3、HfO2、Y2O3、Nb2O5、WO3、Bi2O3、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、AgSBr、C5H5NHAg5I6、Rb4Cu16I7Cl13、Rb3Cu7Cl10、LiN、Li5NI2、Li6NBr3等の化合物が挙げられる。
〔溶媒〕
本発明に係る電解質には、溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒を使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリへキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。前記常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明に用いる電解質溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
〈一般式(S1)、(S2)で表される化合物〉
本発明において、特に好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物である。
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはCH2を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アルケニル基としては、例えば、エチニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、1、3−ブタジエニル基、イソプロペニル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
次いで、本発明に係る一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アルケニル基としては、例えば、エチニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、1、3−ブタジエニル基、イソプロペニル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−2)、(S1−4)が好ましい。
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は、2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電子絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性と電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質膜等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して、部分的に融着させて粒子間に生じた孔を利用する方法)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る方法)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的な電気絶縁層としては、例えば、特開平10−30181号公報、特開2003−107626号公報、特公平7−95403号公報、特許第2635715号公報、同第2849523号公報、同第2987474号公報、同第3066426号公報、同第3464513号公報、同第3483644号公報、同第3535942号公報、同第3062203号公報等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔基板〕
本発明の表示素子を構成する基板としては、透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。また、対向基板としては、例えば、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
〔電極〕
本発明の表示素子においては、基板上に透明導電成膜を形成して観察側電極とすることを特徴の一つとするが、本発明に係る観察側電極が有する透明導電性膜の具体的な構成としては、下記に示す透明電極、透明多孔質電極、グリッド電極等を挙げることができる。また、本発明の表示素子においては、基板上に導電成膜を形成して非観察側電極とすることが好ましいが、本発明に係る非観察側電極が有する導電成性膜の具体的な構成としては、下記に示す透明電極、透明多孔質電極、導電性電極等を挙げることができる。
(透明電極)
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは、特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(透明多孔質電極)
透明電極の一つとして、上記電極層の上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO2、TiO2、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO2、TiO2、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
(導電性電極)
透明電極に対向する導電性電極は、電気を通じるものであれば、特に制限されず用いることができる。
前記透明電極と同じ材料に加え、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金、カーボン等、透明性を有しない材料でも好ましく用いることができる。
(多孔質カーボン電極)
吸着担持可能な多孔質炭素電極としては、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体や、ホウ素、窒素、リン等を炭素にドープして焼成した炭素化合物、等が挙げられる。炭素粒子の形状としては、メソフェーズ小球体、繊維状黒鉛が挙げられる。メソフェーズ小球体はコールタールピッチなどを350〜500℃で焼成することで得られ、これら小球体をさらに分級して高温焼成で黒鉛化すると良好な多孔質炭素電極が得られる。また、ピッチ系、PAN系、および気相成長繊維から、繊維状黒鉛を得ることができる。
(グリッド電極:補助電極)
本発明に係る対向電極のうち少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
補助電極を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィー法でパターニングする方法、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。
補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためには、ライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
このように、透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
(電極の形成方法)
透明電極、金属補助電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着するか、全面形成した後に、フォトリソグラフィー法でパターニングしてもよい。
また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
電極材料を塗布にて形成する場合には、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェット方式は高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明に係る透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
〈静電インクジェット方式〉
本発明の表示素子においては、複合電極の透明電極及び金属補助電極の少なくとも一方が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いた静電インクジェット方式により形成されることが好ましい。
さらに前記ノズル内の溶液が当該ノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
また、前記凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して前記凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
また、前記凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び吐出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
この様な静電インクジェット方式を用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド性に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができる。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり、封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。シール剤を、銀薄膜が存在しない領域に配置させる方法としては、例えば、スクリーン印刷法やディスペンサによるパターニング等が挙げられる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔TFTへの適用〕
図4は、本発明の表示素子を、制御手段として、薄膜トランジスタ(TFT)に適用した一例を示す断面図である。
図4においては、TFT基板34と透明電極33と、両基板に挟まれたED表示部22から構成されている。TFT基板34には、複数のソース線43と図示しない複数のゲート線がマトリックス上に配線されている。ソース線43とゲート線に囲まれた領域が1つの画素に相当する。
各画素では、ゲート線に接続されたゲート電極45、ソース線43に接続されたソース電極46、ドレイン電極47と半導体層48で1つのスイッチングTFTが形成されている。ドレイン電極47は、コンタクトホール32で透明電極11に接続されている。
透明電極11は、イオン物質、光変調物質、電気泳動物質及び該電気泳動物質を分散させる分散媒を含有するED表示部22を介して、対向電極12に対向して配置されている。
表示素子を駆動するための回路としては、電圧駆動回路と電流駆動回路とがあるが、本発明においては、いずれでも使用できる。駆動回路には、電力供給源、電源、スイッチング手段、電位制御手段、書き換え指定手段、電源遮断手段などを、適宜選択、組み合わせして用いることができる。電位制御手段にはCMOS、TFTなどが用いられ、スイッチング手段、書き換え指定手段、電源遮断手段には、それぞれTFTを用いることができる。
これらTFTを用いた表示素子の構成とその回路の具体的な例については、特開2002−258327号公報、特開2004−29327号公報、特開2005−49771号公報、特開2007−17971号公報、特開2007−316345号公報などに示されている。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号公報の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《表示素子の作製》
〔電解質液の調製〕
(電解質液1の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、ヨウ化ナトリウム0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液1を得た。
(電解質液2の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−57を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−20を例示化合物(1)−57とのモル比が85:15となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液2を得た。
(電解質液3の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−5を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−20を例示化合物(1)−5とのモル比が85:15となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液3を得た。
(電解質液4の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−1を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−20を例示化合物(1)−1とのモル比が85:15となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液4を得た。
(電解質液5の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−1を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−12を例示化合物(1)−1とのモル比が85:15となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液5を得た。
(電解質液6の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−1を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−12を例示化合物(1)−1とのモル比が90:10となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液6を得た。
(電解質液7の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−1を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−12を例示化合物(1)−1とのモル比が95:5となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液7を得た。
(電解質液8の調製)
例示化合物S1−4の2.5g中に、p−トルエンスルホン酸銀0.1g、例示化合物(1)−1を0.2g、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.025gを溶解させ、更に例示化合物(2)−12を例示化合物(1)−1とのモル比が98:2となる条件で溶解させた液に、石原産業社製二酸化チタンCR−93を2.0g分散して、電解質液8を得た。
〔電極の作製〕
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで4cm×4cmのガラス基板上に、膜厚150nmで3cm×3cmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成して、透明電極である電極1を得た。
(電極2の作製)
上記作製した電極1のITO膜上の全面に、膜厚5nmの銀薄膜をスパッタ法で形成し、更にフォトリソグラフィー法でエッチング液を用いて、銀薄膜のサイズが3cm×3cmとなるように得られた銀薄膜の周辺部を溶解して、電極2を得た。
(電極3の作製)
厚さ1.5mmで4cm×4cmのガラス基板上に、膜厚150nmで2cm×2cmのITO膜を公知の方法に従って形成して、電極3を得た。
(電極4の作製)
上記で作製した電極1のITO膜上の全面に、膜厚5nmの銀薄膜をスパッタ法で形成し、さらにフォトリソグラフィー法でエッチング液を用いて、銀薄膜のサイズが1cm×1cmとなるように得られた銀薄膜の周辺部を溶解して、電極4を得た。
(電極5の作製)
上記で作製した電極1のITO膜上の全面に、膜厚5nmの銀薄膜をスパッタ法で形成し、さらにフォトリソグラフィー法でエッチング液を用いて、銀薄膜のサイズが2cm×2cmとなるように得られた銀薄膜の周辺部を溶解して、電極5を得た。
(電極6の作製)
厚さ1.5mmで4cm×4cmのガラス基板上に、膜厚150nmで1cm×1cmのITO膜を公知の方法に従って形成して、電極6を得た。
(電極7の作製)
上記で作製した電極1のITO膜上の全面に、開口部の面積が2cm×2cmのスパッタリング成膜用マスクを用いて膜厚5nmの銀薄膜をスパッタ法で形成して、電極7を得た。
(電極8〜11の作製)
上記電極7の作製において、銀薄膜の膜厚を表2に記載した膜厚に変更した以外は同様にして、電極8〜11を得た。
〔表示素子の作製〕
(表示素子1の作製)
上記作製した電極3の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むアクリル−エポキシ系シール剤で縁取りし、次に縁取りしたシール剤の内側に電解質液1をディスペンサで所望量となるように注入し、次に電極2を貼り合わせ、次に紫外線ランプを用いて加圧しながらシール剤を硬化し、表示素子1を作製した。上記作製した表示素子1は、図1に示す観察側電極とシール剤の密着部に、銀薄膜が存在する構成である。
(表示素子2の作製)
上記作製した電極3の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むアクリル−エポキシ系シール剤で縁取りし、次に縁取りしたシール剤の内側に電解質液1をディスペンサで所望量となるように注入し、次に電極4を貼り合わせ、次に紫外線ランプを用いて加圧しながらシール剤を硬化し、表示素子2を作製した。上記作製した表示素子2は、図2に示す観察側電極とシール剤の密着部に銀薄膜が存在せず、また、銀薄膜の端部の下側には、非観察側電極のITO膜が存在する構成となっている。
(表示素子3の作製)
上記作製した電極6の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むアクリル−エポキシ系シール剤で縁取りし、次に縁取りしたシール剤の内側に電解質液1をディスペンサで所望量となるように注入し、次に電極5を貼り合わせ、次に紫外線ランプを用いて加圧しながらシール剤を硬化し、表示素子3を作製した。上記作製した表示素子3は、図3に示す観察側電極とシール剤の密着部に銀薄膜が存在せず、また、銀薄膜の端部の下側A(破線の矢印Lで示した位置)には非観察側電極のITO膜が存在しない構成となっている。
(表示素子4の作製)
電極6の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むアクリル−エポキシ系シール剤で縁取りし、次に縁取りしたシール剤の内側に電解質液1をディスペンサで所望量となるように注入し、次に電極7を貼り合わせ、次に紫外線ランプを用いて加圧しながらシール剤を硬化し、表示素子4を作製した。上記作製した表示素子4は、図3に示す観察側電極とシール剤の密着部に銀薄膜が存在せず、また、銀薄膜の端部の下側A(破線の矢印Lで示した位置)には非観察側電極のITO膜が存在しない構成となっている。
(表示素子5〜8の作製)
上記表示素子4の作製において、電極7に代えて、それぞれ電極8〜11を用いた以外は同様にして、表示素子5〜8を作製した。
(表示素子9〜15の作製)
上記表示素子4の作製において、電解質液1をそれぞれ電解質液2〜8に変更した以外は同様にして、表示素子9〜15を作製した。
《表示素子の評価》
〔駆動安定性の評価〕
80℃の温度環境下で、72時間保存した各表示素子の両電極に、定電圧電源の両端子を接続し、各表示素子の表示電極側に+1.5Vの電圧を1秒間印加した後、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加してグレーを表示させたときの波長550nmにおける反射率を、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させて測定した反射率の平均値をRave1とした。次いで、上記操作を1万回繰返して駆動させた後、同様な方法で反射率の平均値Rave2を求めた。
次いで、ΔRBK1=|Rave1−Rave2|とし、ΔRBK1を繰返し駆動させたときの駆動安定性(反射率安定性)の指標とした。
以上により得られた各表示素子の構成及び評価結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなる表示素子は、比較例に対し駆動安定性に優れることが分かる。