JP2010072288A - 表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定性に優れた電気化学的な表示素子の製造方法を提供する。
【解決手段】それぞれ対向電極を備えた一対の対向基板の少なくとも一方がナノ多孔質層3を有し、一対の対向基板間に電解質層6を保持した表示素子を製造する表示素子の製造方法において、電解質層は、互いに混和あるいは相溶して一つの電解質層となる特性を有する少なくとも成分A4と成分B5の二成分から構成され、成分Aは電気化学活性物質を含有し、かつナノ多孔質層へのぬれ性が成分Bより高く、成分Aをナノ多孔質層に付与した後、ナノ多孔質層を乾燥させずに、成分Bを付与することを特徴とする表示素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な表示素子の製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない、いわゆるメモリー性を有する反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低いため白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は駆動電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、エレクトロクロミック表示素子(以下、EC方式と略す)や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)などの電気化学方式が知られている。これらの方式は簡易な素子構成で形成でき、3V以下の低電圧で駆動できるという利点がある。EC方式は、エレクトロクロミック材料の選択によりフルカラー表示が可能であり、ED方式は、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このような電気化学方式の表示素子を製造する方法としては、LCD等の表示素子の製造で知られている真空注入方式が広く用いられている。この真空注入方式は、注入口を設けたセルを、真空容器内で脱気し、注入口を電解質液(電解質層を形成する液)に浸漬した後、常圧に戻すことにより電解質液をセル内に注入するという方法である。
このような真空注入方式に適する電解質液は、比較的粘度が低いものである。使用する真空注入装置により差はあるが、せいぜい数Pa(パスカル)・s程度と言われている。しかしながら、電気化学的な表示素子によっては、用いる電解質液が数十Pa・s以上の高粘度液体である場合も多く、このような場合、真空注入法で表示素子を製造しようとすると、非常に長時間要し、電解質液が細部まで行き渡らないことによる欠陥を生じることがある。
注入する電解質液の粘度を下げるためには、液を加温することが考えられるが、電解質液に含まれる成分によっては、加温により揮発して成分比が変動すること、化学的な反応により性質が変化してしまうことがあり、問題を抱えている。
米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、安定性に優れた電気化学的な表示素子の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.それぞれ対向電極を備えた一対の対向基板の少なくとも一方がナノ多孔質層を有し、該一対の対向基板間に電解質層を保持した表示素子を製造する表示素子の製造方法において、該電解質層は、互いに混和あるいは相溶して一つの電解質層となる特性を有する少なくとも成分Aと成分Bの二成分から構成され、該成分Aは電気化学活性物質を含有し、かつナノ多孔質層へのぬれ性が該成分Bより高く、該成分Aを該ナノ多孔質層に付与した後、該ナノ多孔質層を乾燥させずに、成分Bを付与することを特徴とする表示素子の製造方法。
2.前記成分Aを、前記ナノ多孔質層の一方の端部から浸透させて付与することを特徴とする前記1に記載の表示素子の製造方法。
3.前記成分Aを、前記ナノ多孔質層の中央部から浸透させて付与することを特徴とする前記1に記載の表示素子の製造方法。
4.前記対向基板上に前記ナノ多孔質層を複数に平面分割して設け、該平面分割されたナノ多孔質層間の溝に、前記成分Aを浸透させて付与することを特徴とする前記1に記載の表示素子の製造方法。
5.前記電解質層には、金属または金属塩化合物が含まれることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の表示素子の製造方法。
本発明により、安定性に優れた電気化学的な表示素子の製造方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、それぞれ対向電極を備えた一対の対向基板の少なくとも一方がナノ多孔質層を有し、該一対の対向基板間に電解質層を保持した表示素子を製造する表示素子の製造方法において、該電解質層は、互いに混和あるいは相溶して一つの電解質層となる特性を有する少なくとも成分Aと成分Bの二成分から構成され、該成分Aは電気化学活性物質を含有し、かつナノ多孔質層へのぬれ性が該成分Bより高く、該成分Aを該ナノ多孔質層に付与した後、該ナノ多孔質層を乾燥させずに、成分Bを付与することを特徴とする表示素子の製造方法により、安定性に優れた電気化学的な表示素子の製造方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。なお、本発明に係るナノ多孔質層とは、ナノメートルサイズの孔を多数有する層を意味する。本発明における、電気化学活性物質とは、電気的な刺激によりその構造や組成の変化を起こすものである。具体的には、電気化学反応により溶解および析出を起こす金属塩化合物、電気的な反応により色の変化を起こすエレクトロクロミック性物質、金属塩化合物やエレクトロクロミック化合物が反応する電極に対する対極で、金属塩化合物やエレクトロクロミック化合物と反対の反応を起こすことにより、金属塩化合物の溶解および析出やエレクトロクロミック化合物の色調変化を補助する作用を起こす化合物などが挙げられる。本発明では、対極で反応する化合物を「対極反応物」と表す。
これらの電気化学活性物質は、電極との間で電子の受け渡しを行なうことで。電気化学反応を起こすため、電極近傍により多く分布していることが望ましい。そのため、電極に直接吸着させることも考えられるが、平坦な電極では吸着できる部分が限られているため、電極上にナノ多孔質層を設け、そこに吸着させる方法が、例えば、米国特許第6,067,184号明細書、米国特許第6,301,038号明細書、あるいは特開2004−151265号公報に記載されている。
一般に、吸着法としては、電気化学活性物質を溶解した溶液にナノ多孔質層を長時間浸した後に乾燥させる方法、ナノ多孔質層を形成する粒子に化学反応により吸着させた後に層に形成する方法、ナノ多孔質層表面に化学反応により結合させる方法などが知られている。これらの方法は、表示素子を製造する工程を考えた場合、いずれもナノ多孔質への吸着処理を別途行なうことになり、工程が煩雑になるという問題がある。
一方で、ナノ多孔質層を内部に有する表示素子に、電解質層を一度に付与すると、ナノ多孔質層内部に充分に電解質層が充填されないばかりか、電気化学活性物質を選択的にナノ多孔質内に多く含有させることが難しくなる。
本発明者は、上記課題に対し検討を進めた結果、電解質層を形成する成分を少なくとも2成分に分離し、その一方である成分Aにナノ多孔質層に吸着させるべき電気活性物質を含有させ、さらに、成分のナノ多孔質層へのぬれ性が電解質層全体より高い状態にしたうえで、該成分Aをナノ多孔質層に付与した後に、残りの成分Bを付与することによって、ナノ多孔質層に必要な物質が多く含まれ、更には欠陥のない安定した表示素子が形成できることを見出したものである。
以下、本発明の表示素子の製造方法の詳細について説明する。
本発明に係る電解質層とは、電位差に応じてイオン伝導性を示し、電気化学反応による着色と消色を可能とする層である。その目的を達成するために、有機溶媒、電解質、イオン性液体、電気活性物質、錯化剤、白色散乱物、高分子バインダー等を必要に応じて選択して構成することができる。
本発明の表示素子の製造方法においては、電解質層は、少なくとも第1に付与されるナノ多孔質層へのぬれ性の高い成分Aと、ナノ多孔質層へのぬれ性の低い成分Bとの2つの成分に分離調製される。
ここで、「ナノ多孔質層へのぬれ性が高い」とは、ナノ多孔質層上に成分Aを付与した際に、成分Aが速やかにナノ多孔質層内に浸み込んでいくことを意味する。一般的に「ぬれ性」は、液滴と接触する対応物との接触角が90度より小さいことを言うが、本発明においては、対応物がナノ多孔質層であるため、正確な接触角を測定することは難しい。このため、成分Aがナノ多孔質層内に浸み込んでいく速度を目安とする。
本発明において、ナノ多孔質層へ成分Aを浸透させる方法としては、液滴の滴下手段(例えば、インクジェット法)が最適であるが、その射出速度はあまり速くないほうがよい。高速で射出すると、液滴が強い力でナノ多孔質層に当たるため、内部に浸透するより飛散する方が多くなってしまう。また、内部に一緒に空気を抱き込む可能性が高くなり、このような空気は画像欠陥の原因となるため、好ましくない。
ナノ多孔質層が、表示素子全体に一様に設けられている場合には、ナノ多孔質層の中心部に静かに滴下していく方法が有効である。中心部に滴下することにより、均一に周囲に液滴が広がり、ナノ多孔質層を充分に満たすことができる。
また、ナノ多孔質層の周囲に間隙がある場合には、その間隙部から注入することができる。このような場合、基板を微かに傾斜させておくと重力を有効に使うことが出来、好ましい。更に、ナノ多孔質層が特定のパターンで間隙を有する場合には、それら間隙の数カ所から同時に注入することも効果がある。
いずれの方法においても、ナノ多孔質層への成分Aの浸透は、余計な空気を抱き込まないような速度で行なわれることが好ましい。そのため、成分Aは、ナノ多孔質層に対し、高いぬれ性を有していることが求められる。ぬれ性が低いと、なかなか浸透しないばかりか、気泡の抱きこみが発生しやすくなってしまう。
更に、図を用いて電解質層の形成方法及び表示素子の製造方法について説明する。
図1は、本発明の表示素子の製造方法フローの一例を示す概略図である。
図1に記載の表示素子の製造方法においては、図1のa)に示すように、一方の対向基板(主には、非鑑賞側基板)1a上の周辺部に、シール剤を用いて周辺部材2を付与して開放型のセル部を形成し、そのセル部内部にナノ多孔質層3を形成する。次いで、図2のb)に示すように、形成したナノ多孔質層3の中心部に、液滴滴下手段、例えば、インクジェット法により、ナノ多孔質層へのぬれ性の高い成分A(4)を付与し、成分(A)を未乾燥の状態で、図1のc)に示すように、液滴滴下手段により、成分A(4)よりもナノ多孔質層へのぬれ性の低い成分B(5)を付与する。次いで、図1のe)に示すように、その上部を他方の対向基板1b(主には、表示側の透明基板)で蓋をして、閉鎖型のセルを形成する。この状態で、ぬれ性の高い成分A(4)とぬれ性の低い成分B(5)とは相溶して、一つの電解質層6を形成し、表示素子10とする。
図2は、本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。
図2に記載の表示素子の製造方法は、図1に記載の方法に対し図2のb)に示すように、ナノ多孔質層へのぬれ性の高い成分A(4)を、中心部ではなく、ナノ多孔質層3と周辺部材2との間の領域に付与する方法である。
図3は、本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。
図3に記載の表示素子の製造方法は、図3のa)に示すように、一方の対向基板(主には、非鑑賞側基板)1a上の周辺部に、シール剤を用いて周辺部材2を付与して開放型のセル部を形成し、そのセル部内部に、ナノ多孔質層3を4分割して形成し、それぞれの間隙部に、液滴滴下手段、例えば、インクジェット法により、ナノ多孔質層へのぬれ性の高い成分A(4)を付与する方法である。
図4は、本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。
図3に記載の表示素子の製造方法は、図3のd)工程の後、底部に成分Cを付与した他方の対向基板(主には、表示側の透明基板)1bで蓋をして、閉鎖型のセルを形成する。
次いで、本発明に係る表示素子の各構成要素について説明する。
《ナノ多孔質層》
本発明におけるナノ多孔質層としては、透明電極の一部として形成される透明多孔質電極、白色表示を補助するための白色散乱層が挙げられる。
(透明多孔質電極)
透明電極の一つの態様として、上記透明電極上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
〔白色散乱層〕
本発明に適用可能な白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、重量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明に係る水系高分子の平均分子量は、重量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高い化合物が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
本発明において、白色散乱層は対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。
白色散乱層の付与方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができる。例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明に係る表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
《基板》
本発明に係る表示素子に適用可能な対向基板としては、下記の各基板を挙げることができる。
本発明で用いることのできる基板のなかで、表示側基板は透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。
また、対向基板としては、例えば、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
また、本発明における「基板」としては、上記素材による基板上に、電極となる導電性層や、絶縁層などの各種機能層を有するものを含む。各種機能層についての詳細は後述する。
《電極》
本発明の表示素子における対向基板としては表面に電極を有する基板を用いることができる。
電極としては、電気を通じるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金、炭素、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
電極の表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(表示側透明電極)
電極のうち、閲覧側に位置する電極としては、透明電極であることが好ましい。透明電極とは、電界質層で生じた表示を閲覧することが可能であることを意味し、可視光を通過させることが好ましい。透過率は閲覧側の基板全体で50%以上、好ましくは80%以上である。
電極としては、導電性高分子を使用することができる。特に高分子のフィルムを用いる場合には、その柔軟性に追随できる素材として導電性高分子は好ましい。
電極として好ましく用いられる導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子が好ましく、例えばポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる重合体、又は共重合体が好適に用いられる。特にポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
さらに、ポリアニオンやそれ以外のドーパントを含むことができる。ポリアニオンとしては、高分子状カルボン酸塩、高分子状スルホン酸が挙げられる。高分子状カルボン酸としては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあげられる。高分子状スルホン酸としては、リスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などがあげられる。これらの高分子状カルボン酸およびスルホン酸類は、ビニルカルボン酸およびビニルスルホン酸類と他の重合可能な低分子化合物、例えばアクリレート類およびスチレンなどとの共重合体であってもよい。具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。これらポリアニオンの中でもポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、及びその全てもしくは一部が金属塩であるものが好ましく用いられる。特にポリスチレンスルホン酸が最も好ましい。かかるポリアニオンの数平均分子量は、1,000〜2,000,000の範囲が適当であり、2,000〜500,000の範囲が好ましい。
他ドーパントとしては、導電性高分子を酸化還元できればドナー性のものでも、アクセプター性のものでも良い。ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられ、アクセプター性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
(補助電極)
本発明に係る対向電極のうち少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
このように透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
(電極の形成方法)
電極、補助電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着する方法や、全面形成した後に、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法等が挙げられる。
また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
電極材料を塗布方式で形成する場合には、例えば、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェット方式は高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明の透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
〈静電インクジェット方式〉
本発明の表示素子においては、複合電極の透明電極及び金属補助電極の少なくとも1方が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい態様の1つである。さらにノズル内の溶液がノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
また、凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して、凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
また、凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び吐出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
この様な静電インクジェットを用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド性に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができ有利である。
各種機能層を有する基板として、薄膜トランジスタ(TFT)基板を用いることも可能である。薄膜トランジスタ基板を使用することで、より細かい画像表示が可能となる。
TFT基板としては、液晶ディスプレイ等に用いられている無機半導体系のものでもよく、有機半導体を用いてもよく、また、プラスチックフィルム上に形成されたTFTであることも好ましい構成である。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社で開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science283,822(1999)やAppl.Phys.Lett.,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
《電解質層》
〔電解質〕
本発明でいう電解質とは、電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
電解質とは、一般に、水などの溶媒に溶けて、その溶液がイオン伝導性を示す物質をいう。
このような物質としては、カリウム化合物としてKCl、KI、KBr等、リチウム化合物としてLiBF、LiClO、LiPF、LiCFSO等、テトラアルキルアンモニウム化合物として過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等が挙げられる。さらに、I/I 、Br/Br 、キノン/ハイドロキノン等の酸化還元対になる化合物を用いることができる。
〔イオン性液体:電気化学活性物質〕
上記のように、溶媒に溶けてイオン伝導性を示す物質に加え、電気化学活性物質として、イオン性液体を電解質として用いることもできる。本発明でいうイオン液体とは、常温溶融塩とも言われ、融点が100℃以下の塩である。この塩は同数のカチオンとアニオンから構成されており、分子構造によって融点が室温以下の物質も数多く存在し、これらは溶媒をまったく加えなくても室温で液体状態である。イオン性液体は、強い静電的な相互作用をもっているため蒸気圧がほとんどないことが大きな特徴であり、高温でも蒸発がなく揮発しない。
本発明に用いるイオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
本発明で好適に用いることができるイオン性液体は、式Qで表され、20〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃、特に20℃で液体として存在する塩のことを指し、粘度(25℃)は、常温で融体である限り特に制限されないが、好ましくは1〜200mPa・sである。さらに、式中Q+で表されるカチオン成分はオニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくはアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びホスホニウムカチオンである。
上述のイオン性流体について具体的に詳述すると、上式中のQとしては、R、R、R、R=CR、R=CR[ここで、RからRは、互いに独立して、水素、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基、R−X−(R−Y−)−(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基、Rは炭素数4以下のアルキレン基、XおよびYは酸素原子または硫黄原子、nは0〜10の整数を示す)を表し、これらの基は置換基を有していても良い]から成る群から選択されるアンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、R=CR−R−RC=N、R−R−S、R=CR−R−RC=P(ここで、R、RおよびRは、前記で定義したものと同じであり、そしてRは、炭素数1〜6のアルキレンまたはフェニレン基を表し、これらの基は置換基を有していても良い)から成る群から選択される第四級アンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、さらには下記一般式で表される窒素、硫黄および燐原子から選ばれる原子を1、2または3個含む窒素、硫黄および燐原子含有複素環から誘導されるアンモニウムイオン、スルホニウムイオンまたはホスホニウムイオンなどを挙げることができる。
Figure 2010072288
式中RおよびRはこの上で定義した通りであり、Zは、N、N=C、S、PあるいはP=Cを含む4〜10員環を構成しうる原子を指し、この構成する原子には置換基を有していても良い。
上述の中でRからRの具体的な例はとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖又は分枝を有するアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのシクロアルキル基、無置換あるいはハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、水酸基、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の各基)、カルボキシル基、アセチル基、プロパノイル基、チオール基、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等の各基)、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基などの置換基を1〜3個有するフェニル、ナフチル、トルイル、キシリル等のアリール基、ベンジルなどのアラルキル基などを挙げることができる。また、Rの具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基などのアルキル基などが挙げられ、Rとしてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基などのアルキレン基などを挙げることができる。さらにRの具体的な例はとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのフェニレン基などを挙げることができる。
また、式中のAで表される対アニオンとしては、ヘキサフルオロ燐酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、硝酸塩、アルキルスルホン酸塩、フッ化アルキルスルホン酸塩または水素硫酸塩を表す。
さらに、WO95/18456号、特開平8−259543号、特開2001−243995、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、EP−718288号、J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg.Chem.1996,35,1168〜1178等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩なども本発明に応じては適時選択して用いることができる。
〔金属塩化合物〕
本発明に係る金属塩化合物とは、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスである。
本発明に係る銀塩化合物としては、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質液に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
(ハロゲンイオン、金属イオン濃度比)
本発明の表示素子においては、電解質液に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質液に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1):0≦[X]/[Metal]≦0.1
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.1よりも大きい場合は、金属の酸化還元反応時に、X→Xが生じ、Xは析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
〔一般式(1)または(2)で表される化合物〕
本発明においては、金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進するために、銀塩溶剤を用いることができる。銀塩溶剤とは、電解質液中で銀を可溶化できる化合物であればいかなる化合物であってもよい。例えば、銀と配位結合を生じさせ、銀と弱い供給結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基を含有する化合物及びメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用しかつ、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
特に、下記一般式(1)で表されるメルカプト化合物または一般式(2)で表されるチオエーテル化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2010072288
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、Rはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRは同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
一般式(2)
−S−R
〔式中、R、Rは各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。〕
上記一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRは同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(1)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH、N(CH、N(C、N(CH1225、N(CH1633、N(CHCH等が挙げられる。
一般式(1)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(1)のRで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない。
Figure 2010072288
Figure 2010072288
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物1−12、1−18が好ましい。
次いで、前記一般式(2)で表されるチオエーテル系化合物について説明する。
前記一般式(2)において、R、Rは各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(2)のR、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない。
2−1:CHSCHCHOH
2−2:HOCHCHSCHCHOH
2−3:HOCHCHSCHCHSCHCHOH
2−4:HOCHCHSCHCHSCHCHSCHCHOH
2−5:HOCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHOH
2−6:HOCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHOH
2−7:HCSCHCHCOOH
2−8:HOOCCHSCHCOOH
2−9:HOOCCHCHSCHCHCOOH
2−10:HOOCCHSCHCHSCHCOOH
2−11:HOOCCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCOOH
2−12:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
2−13:HOOCCHCHSCHCHSCHCH(OH)CH(OH)CHSCHCHSCHCHCOOH
2−14:HCSCHCHCHNH
2−15:HNCHCHSCHCHNH
2−16:HNCHCHSCHCHSCHCHNH
2−17:HCSCHCHCH(NH)COOH
2−18:HNCHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCHNH
2−19:HNCHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCHNH
2−20:HNCHCHSCHCHSCHCHSCHCHSCHCHNH
2−21:HOOC(NH)CHCHCHSCHCHSCHCHCH(NH)COOH
2−22:HOOC(NH)CHCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHCH(NH)COOH
2−23:HOOC(NH)CHCHOCHCHSCHCHSCHCHOCHCH(NH)COOH
2−24:HN(O=)CCHSCHCHOCHCHOCHCHSCHC(=O)NH
2−25:HN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NH
2−26:HNHN(O=)CCHSCHCHSCHC(=O)NHNH
2−27:HC(O=)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(=O)CH
2−28:HNOSCHCHSCHCHSCHCHSONH
2−29:NaOSCHCHCHSCHCHSCHCHCHSONa
2−30:HCSONHCHCHSCHCHSCHCHNHOSCH
2−31:HN(NH)CSCHCHSC(NH)NH・2HBr
2−32:HN(NH)CSCHCHOCHCHOCHCHSC(NH)NH・2HCl
2−33:HN(NH)CNHCHCHSCHCHSCHCHNHC(NH)NH・2HBr
2−34:〔(CHNCHCHSCHCHSCHCHN(CH2+・2Cl
Figure 2010072288
Figure 2010072288
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物2−3が好ましい。
本発明に係るメルカプト系化合物またはチオエーテル系化合物は、1種のみで用いても複数種を併用して用いてもよく、電解質液のAgイオンのモル数に対するメルカプト系化合物及びチオエーテル系化合物の合計のモル数が0.2〜2の範囲にあることが好ましい。
〔エレクトロクロミック化合物〕
本発明に係る電解質液には、エレクトロクロミック特性を有するエレクトロクロミック化合物を使用することができる。
本発明に係るエレクトロクロミック化合物(EC化合物)としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。EC化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、有機金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素が知られている。
エレクトロクロミック特性を示す有機金属錯体としては、例えば、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、希土類ジフタロシアニン錯体、フェロセン系色素などが挙げられる。
エレクトロクロミック特性を示す導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリベンジジン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾール及びこれらの誘導体などが挙げられる。
また、例えば、特開2007−112957号に記載されているような、ビスターピリジン誘導体と金属イオンから成る高分子材料もエレクトロクロミック特性を示す。
エレクトロクロミック特性を示す有機色素としては、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、フェノチアジン等アジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いることもできる。
(色調によるEC化合物の分類)
本発明に係るEC化合物は、色調変化の点で分類すると、下記3つのクラスに分けられる。
クラス1:酸化還元によりある特定の色から別の色に変化するEC化合物。
クラス2:酸化状態で実質無色であり、還元状態である特定の着色状態を示すEC化合物。
クラス3:還元状態で実質無色であり、酸化状態である特定の着色状態を示すEC化合物。
本発明の表示素子においては、目的及び用途により上記クラス1からクラス3のEC化合物を適宜選択することができる。
〈クラス1のEC化合物〉
クラス1のEC化合物は、酸化還元によりある特定の色から別の色に変化するEC化合物であり、その取り得る酸化状態において、二色以上の表示が可能な化合物である。
クラス1に分類される化合物としては、例えば、Vは酸化状態から還元状態へ変化することで橙色から緑色に変化し、同様にRhは黄色から暗緑色に変化する。
有機金属錯体の多くはクラス1に分類され、ルテニウム(II)ビピリジン錯体、例えばトリス(5,5′−ジカルボキシルエチル−2,2′−ビピリジン)ルテニウム錯体は+2〜−4価の間で、順にオレンジ色から、紫、青、緑青色、褐色、赤錆色、赤へと変化する。希土類ジフタロシアニン類の多くも、このようなマルチカラー特性を示す。例えばルテチウムジフタロシアニンの場合、酸化に従い順次、紫色から青、緑、赤橙色へと変化する。
また、導電性ポリマーもその多くは、クラス1に分類される。例えば、ポリチオフェンは酸化状態から還元状態へ変化することで青から赤へと変化し、ポリピロールは褐色から黄色へと変化する。また、ポリアニリン等では、マルチカラー特性を示し酸化状態の紺色から順に青色、緑色、淡黄色へと変化する。
クラス1に分類されるEC化合物は、単一の化合物で、多色表示が可能であると言うメリットを有するが、反面実質無色と言える状態を作れないと言う欠点を有する。
〈クラス2のEC化合物〉
クラス2のEC化合物は、酸化状態で無色乃至は極淡色であり、還元状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス2に分類される無機化合物としては、下記化合物が挙げられ、各々還元状態でカッコ内に示した色を示す。WO(青)、MnO(青)、Nb(青)、TiO(青)等。
クラス2に分類される有機金属錯体としては、例えば、トリス(バソフェナントロリン)鉄(II)錯体が挙げられ、還元状態で赤色を示す。
クラス2に分類される有機色素としては、特開昭62−71934号、特開2006−71765号等に記載されている化合物、例えば、テレフタル酸ジメチル(赤)、4,4′−ビフェニルカルボン酸ジエチル(黄色)、1,4−ジアセチルベンゼン(シアン)、あるいは特開平1−230026号、特表2000−504764号等に記載されているテトラゾリウム塩化合物等が挙げられる。
クラス2に分類される色素として、最も代表的な化合物はビオロゲン等ピリジニウム系化合物で有る。ビオロゲン系化合物は表示が鮮明であること、置換基を変えることなどにより色のバリエーションを持たせることが可能であることなどの長所を有しているため、有機色素の中では最も盛んに研究されている。発色は、還元で生じた有機ラジカルに基く。
ビオロゲン等ピリジニウム系化合物としては、例えば、特表2000−506629号を初めとして下記特許に記載されている化合物が挙げられる。
特開平5−70455号、特開平5−170738号、特開2000−235198号、特開2001−114769号、特開2001−172293号、特開2001−181292号、特開2001−181293号、特表2001−510590号、特開2004−101729号、特開2006−154683号、特表2006−519222号、特開2007−31708号、2007−171781号、2007−219271号、2007−219272号、特開2007−279659号、特開2007−279570号、特開2007−279571号、特開2007−279572号等。
以下に、本発明に用いることができるビオロゲン等のピリジニウム化合物を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
Figure 2010072288
Figure 2010072288
〈クラス3のEC化合物〉
クラス3のEC化合物は、還元状態で無色乃至は極淡色であり、酸化状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス3に分類される無機化合物としては、例えば、酸化イリジウム(暗青色)、プルシアンブルー(青)等が挙げられる(各々酸化状態でカッコ内に示した色を呈する)。
クラス3に分類される導電性ポリマーとしては、例は少ないが、例えば、特開平6−263846号に記載のフェニルエーテル系化合物が挙げられる。
クラス3に分類される色素としては多数の色素が知られているが、スチリル系色素、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系色素、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等のアゾール系色素等が好ましい。
以下に、本発明に用いることができるスチリル系色素、及びアジン系色素、アゾール系色素を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
Figure 2010072288
Figure 2010072288
本発明の好ましい態様においては、前記EC色素と共に電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩を併用し、黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行う。この場合、該金属塩が還元されて黒表示を行う為、EC色素としては酸化により発色するクラス3のEC化合物が好ましく、特に、発色の多様性、低駆動電圧、メモリー性等の点でアゾール系色素が好ましい。
〔一般式(L)で表される化合物〕
本発明において、最も好ましい色素は、下記一般式(L)で表される化合物である。
以下、本発明に係る一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1、Rlで表される置換基としては特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良いRl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
一般式(L)で表されるアゾール色素の中でも、特に下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が特に好ましい。
Figure 2010072288
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基、スルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基、芳香族複素環基を表し、RL25は水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換の、フェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)、−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるEC色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
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Figure 2010072288
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Figure 2010072288
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Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
これらエレクトロクロミック化合物は、電極、特に閲覧側(表示側)の電極に固定化させることが好ましい。閲覧側電極に固定化されることにより、閲覧濃度の向上を得ることができる。
〔プロモーター〕
本発明の表示素子においては、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の電気化学反応を促進するために、酸化還元されうる補助化合物(以下、プロモーターと記す)を添加することが好ましい。プロモーターは酸化還元反応の結果として、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものでもよいし、変化するもの、即ち前記電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物であってもよく、電極上に固定化されていてもよく、電解質液中に添加されていてもよい。これらプロモーターは例えば、対極反応物質としての利用あるいは、酸化還元メディエーターとしての利用が考えられる。
例えば、表示電極側で電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を酸化(あるいは還元)発色させる場合、対向電極側でプロモーターの還元(あるいは酸化)反応を利用することによって、低い駆動電圧で高い発色濃度を得ることが可能となる。このようにプロモーターを対極反応物質として利用する場合、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物とは逆の酸化還元活性を有するプロモーターを、対向電極上に固定化して用いることが好ましい。プロモーターを対極物質として用いる場合、プロモーターは酸化還元反応の結果として可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものが好ましい。ただし、本発明の好ましい態様において記載したように、表示素子中に白色散乱物を用いて、プロモーターによる発色を遮蔽するような態様の場合、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化するプロモーター、即ち電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を用いてもよい。このような構成の態様は、プロモーターの選択が容易となり好ましい。また別の態様として、表示電極側の電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物と同色の発色を示すプロモーターを用いることは、好ましい態様の一つである。
一方、酸化還元メディエーターは有機電解合成の分野等で一般に用いられている材料である。有機化合物はそれぞれ固有の酸化電位に加えて、電解法や電解条件にも依存する酸化過電圧を有しており、陽極電位がこれらを合せた酸化電位より高いときに、実際上酸化反応が起こる。陽極電位に実験上の限界があることから、直接法で全ての基質を酸化することは不可能である。高い酸化電位を有する基質を酸化する場合、基質から陽極への電子移動は起こらない。この反応系に低電位で陽極に対して電子移動(酸化)が起こるようなメディエーターを共存させると、まずはメディエーターが酸化され、酸化されたメディエーターによって基質が酸化されて生成物が得られる。この反応系の利点は、基質の酸化電位よりも低い陽極電位で基質を酸化することが可能であることと、酸化されたメディエーターは、基質を酸化してもとのメディエーターに戻るため、理論的には触媒量として作用することである。また低電位での酸化が可能となるため、基質や生成物の分解等も抑えられる。
本発明において、例えば前記基質として酸化発色する電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を用いる場合、触媒量の酸化メディエーターを共存させることにより、低い駆動電圧で表示素子を駆動することが可能となり、表示素子の耐久性が高まる。また表示の切り替え速度の向上、高い発色効率が得られる等の利点がある。同様に、還元メディエーターと、還元発色する電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の組み合わせでも、上記効果が得られる。
本発明の表示素子においては、有機電解合成の分野で示されているように、単一のメディエーターを用いてもよいし、複数のメディエーターを組み合わせて用いてもよい。本発明においてプロモーターをメディエーターとして用いる場合、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を表示電極上に固定化し、その近傍にプロモーターを局在化させて用いることが好ましい。
本発明においては、プロモーターを対極反応物質として用いてもよく、またメディエーターとして用いてもよい。また両者の目的で、複数のプロモーターを同時に組み合わせて用いてもよい。
プロモーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。特に対極反応物質として利用する場合には、公知の電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物を利用することが可能である。また、酸化還元メディエーターとして利用する場合は、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に変色する化合物の特性に合わせ、有機合成化学協会誌第43巻第6号(「電気エネルギーを利用する有機合成」特集号)(1985)等に記載されている公知のメディエーターを適宜選択して用いることができる。
本発明に用いることができる好ましいプロモーターとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
1)TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)等に代表されるN−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等、N−O結合を有する化合物、
2)ガルビノキシル等、0−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物、
3)フェロセン等のメタロセン誘導体、
4)ベンジル(ジフェニルエタンジオン)誘導体、
5)テトラゾリウム塩/ホルマザン誘導体、
6)フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系化合物、
7)ビオロゲン等ピリジニウム化合物、
その他、ベンゾキノン誘導体、ベルダジル等ヒドラジル遊離基化合物、チアジル遊離基化合物、ヒドラゾン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアリルアミン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、チアントレン誘導体等もプロモーターとして用いることができる。
本発明の表示素子においては、上記1)から7)の範疇のプロモーターが好ましく、特に1)が好ましい。
以下、1)の範疇の化合物について詳細に説明する。
N−オキシル(ニトロキシドラジカルとも呼ばれる)とは、ヒドロキシルアミンの酸素−水素結合がラジカル的に開裂して生じた酸素中心ラジカルである。ニトロキシドラジカルは、下記スキームに示すように2つの可逆的な酸化還元対を有することが知られている。ニトロキシドラジカルは1電子酸化によりオキソアンモニウムカチオンとなり、これが還元されてラジカルを再生する。またニトロキシドラジカルは1電子還元によりアミノキシアニオンとなり、これが酸化されてラジカルを再生する。従って、ニトロキシドラジカルはp型の対極反応物質、若しくはn型対極反応物質として機能することができる。またオキソアンモニウムカチオンは高い酸化能を有しており、ロイコ色素等の酸化が可能である為、メディエーターとして機能し得る。
Figure 2010072288
N−オキシル誘導体は、電解質液中に含有されていても、電極表面上に固定化されていてもよい。電極表面上に固定化する方法は、N−オキシル誘導体に電極表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法やN−オキシル誘導体をポリマー化して電極表面上に薄膜を形成する方法などが挙げられる。尚、N−オキシル誘導体はN−オキシルラジカルの状態で添加しても良く、またN−ヒドロキシ化合物の状態、更にはオキソアンモニウムカチオンの状態で添加しても良い。
N−オキシル誘導体としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)をはじめとして、各種置換基を置換した誘導体が市販されている。また、公知の文献に従って、ポリマーを含め、各種誘導体を容易に合成することができる。
一般に、ニトロキシドラジカルのα位炭素に水素が置換している場合、容易にヒドロキシアミンとニトロンへ不均化してしまうことが知られている。このため、TEMPOのN−オキシル基α位の4つのメチル基は、安定ラジカルとして存在する上での必須の構造と言えるが、逆にこれら4つのメチル基の立体障害によって、反応性が落ちる場合がある。これら活性低下を引き起こさない点で、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、或いはアザビシクロN−オキシル誘導体が好ましい。
次に、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等について説明する。下記スキームに示すように、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)の電極酸化により生じたフタルイミドN−オキシル(PINO)は、2級アルコールを酸化してケトンを生成する。即ち、NHPIが酸化メディエーターとして機能することが報告されている(Chem.Commun.,1983,479.)。この例から分かるように、NHPI/PINOの酸化還元対は、本発明の表示素子においても、対極反応物質或いはメディエーターとして機能することが理解されよう。またNHPI同様、ヒドロキサム酸誘導体、トリヒドロキシイミノシアヌル酸(THICA)も、プロモーターとして用いることができる。
これらの化合物を用いて、本発明の表示素子を作製する場合、N−OHの状態で添加することが好ましい。N−OHの状態で表示素子を作製した後、表示素子を駆動させて酸化をすることでラジカルが生成する。
Figure 2010072288
上記1)の範疇で示されるプロモーターとしては、下記一般式(M1)で表すことができ、下記一般式(M2)〜(M6)で表されるプロモーターが好ましい。特に、一般式(M6)で表される多環式N−オキシル誘導体が好ましい。尚、一般式(M1)〜(M5)で表されるプロモーターは各種市販されており、容易に入手することができる。また公知の文献に従って、各種誘導体を容易に合成することができる。一般式(M6)で示されるプロモーターは、J.Am.Chem.Soc.,128,8412(2006)及びTetrahedron Letters 49 (2008) 48−52を参考として合成することができる。
また、これらをポリマー化したプロモーターは、例えば、特開2004−227946号公報、同2004−228008号公報、同2006−73240号公報、同2007−35375号公報、同2007−70384号公報、同2007−184227号公報、同2007−298713号公報等を参考にして合成することができる。
はじめに、一般式(M1)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(M1)において、Rm11及びRm12は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基若しくは>C=O、>C=S、>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は水素原子、若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等の各基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基には、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(M1)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
次いで、一般式(M2)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(M2)において、Rm21、Rm22、Rm23、Rm24は、各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、前記一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Zは更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、前記一般式(M1)で例示したのと同様の置換基が挙げられる。また、Rm21〜Rm24及びZを構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、例えば、窒素原子と共にアザノルボルネン構造、アザアダマンタン構造等の多環式構造を取っても良い。
一般式(M2)で表される化合物の環構造としては、ピペリジン環、若しくはピロリジン環、アザアダマンタン環が好ましい。
次いで、一般式(M3)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、一般式(M3)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M3)において、Rm31は直接、若しくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子を介してカルボニル炭素原子に置換する、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表し、Rm32は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。また、Rm31及びRm32は互いに連結して、環状構造を形成してもよい。
一般式(M3)において、Rm32は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm31としては、カルボニル炭素原子に直接結合したフェニル基若しくは脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、分岐アルキル基及びシクロアルキル基が好ましい。なお、一般式(M3)で表される化合物はN−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
次いで、一般式(M4)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、上記一般式(M4)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M4)において、Zは環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Zは更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、一般式(M1)で例示した置換基が挙げられる。また、Zは縮合環で有っても良い。なお、一般式(M4)で表される化合物はN−OHの状態で添加し、表示素子を作製するのが好ましい。
次いで、一般式(M5)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、前記一般式(M5)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(M5)において、Rm51〜Rm55は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
一般式(M5)において、Rm51は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としてはシアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm52〜Rm55としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
次いで、一般式(M6)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(M6)において、Rm61及びRm62は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基を表す。Rm61及びRm62としては、水素原子若しくは、炭素数4以下の直鎖アルキル基が好ましく、Rm61及びRm62の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
、Z及びZは、各々環状構造を形成するのに必要な原子群(例えば、炭素、窒素、酸素、イオウ等)を表し、各々5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z、Z及びZは更に置換基を有していても良い。
nは0または1を表すが、n=0の時、一般式(M6)はビシクロ化合物を表し、n=1の場合は、トリシクロ化合物を表す。
一般式(M6)で表される化合物としては、n=1が好ましく、特に、アザアダマンタン誘導体が好ましい。
以下に、本発明で用いることのできるプロモーターの具体例を示すが、これらに限定されるものでは無い。
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
Figure 2010072288
〔白色散乱物〕
本発明の表示素子の製造方法で作製される表示素子において白色散乱層を用いない場合あるいはその膜厚を薄く抑えた場合、電解質液には、白色散乱物を含有させることが好ましい。
本発明で適用可能な白色散乱物としては、前記白色散乱層を形成する際に用いるのと同様な各種顔料や樹脂などを用いることができ、中でも二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色散乱物粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
〔溶媒〕
必要に応じ、電解質液に溶媒を含有することができる。溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、本発明で用いられるエレクトロクロミック化合物を初め、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒であればいずれも使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、テトラメチル尿素、スルホラン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリへキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエチレングリコール等が使用可能である。特に非プロトン性極性溶媒が好ましく、揮発性の低い沸点が120〜300℃の範囲にある溶媒が特に好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
上記有機溶媒の中でも、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン等のカルボン酸エステル系化合物を用いることが好ましい。
(一般式(S1)、(S2)で表される化合物)
本発明の表示素子においては、電解質液が、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物を含有することが好ましい。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2010072288
次いで、本発明に係る一般式(S2)で表される化合物について説明する。
Figure 2010072288
上記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2010072288
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質液溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
〔電解質液添加の増粘剤〕
本発明の表示素子の製造方法で作製される素子に用いられる電解質液は、表示素子の諸性能を達成するために、所望の粘度に調整される。
電解質液の粘度を調整するためには、高分子化合物やゲル化剤と言われる化合物を添加する方法が広く知られている。目的で用いられる化合物の例としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、ブチラール樹脂、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド、セルロース、ポリプロピレンオキサイド、ナフィオン等が挙げられる。前記ゲル化剤としては、特に限定されず、オキシエチレンメタクリレート、オキシエチレンアクリレート、ウレタンアクリレート、寒天、等が挙げられる。なお、ゲル化液系電解質は、ポリマーの前駆体モノマーやゲル化剤の前駆体を液系電解質と混合したのち、前記の通り特定の方法によりセル内に注入した後、ゲル化することにより対向する基板の間に挟持させることができる。
また、特開2008−071749号公報に開示されているように、層状粘土鉱物及び/又は有機化層状粘土鉱物を混合することで、ゲル化させることも可能である。このような電解質は、クレイゲル電解質と呼ばれる。層状粘土鉱物としては、ケイ酸四面体が2次元シート状に結合したフィロケイ酸塩の使用が好ましく、具体的には、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライトなどのバーミキュライト系粘土鉱物、ムスコバイト、フロコバイトなどのマイカなどの、天然又は合成の粘土鉱物をあげることができる。これらのうち、水中で膨潤し、陽イオン交換能を有するスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカなどの使用が好ましい。これら層状粘土鉱物の陽イオン交換量は、10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。本発明では、特に、クニミネ工業の天然モンモリロナイト(商品名:クニピアF)、クニミネ工業の合成スメクタイト(商品名:スメクトンSA)、コープケミカルの合成膨潤性雲母(商品名:ソマシフME−100)、合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSWN、同SWF)が好適に用いられる。本発明で用いる有機化層状粘土鉱物を製造するに際して使用することができる層状粘土鉱物としては、上記で例示したものが挙げられる。有機化層状粘土鉱物は一般的な層間の陽イオン交換を行なうことで得ることができる。例えば、前述のような粘土鉱物の水系スラリーに有機オニウムイオンを添加し、攪拌下反応を完了した後、濾過洗浄乾燥することによって得ることができる。
ここで有機オニウムイオンとしては、層状粘土鉱物の交換無機イオンを置換できるものであれば特に限定はないが、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン等があげられる。このうちアンモニウムイオンが最も一般的であり、好ましくは第4級アンモニウムイオンであり、具体的には、脂肪族アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ベタイン類、レシチン、カチオン染料(色素)等を例示できる。第4級アンモニウムイオンとしては、例えば、メチルエチルイミダゾリウム、メチルプロピルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウム、メチルペンチルイミダゾリウム、メチルヘキシルイミダゾリウム、エチルエチルプロピルイミダゾリウム、エチルプロピルイミダゾリウム、エチルブチルイミダゾリウム、エチルペンチルイミダゾリウム、エチルヘキシルイミダゾリウム、ヒドロキシポリオキシエチレントリアルキルアンモニム、ヒドロキシポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシプロピレン)ジアルキルアンモニム等が挙げられる。有機オニウムイオンを含む有機オニウム塩は、例えば、Cl、Br、I、NO 、OH、CHCOO、CHSO 等のアニオンよりなる塩を挙げることができる。有機化層状粘土鉱物を調整するための有機オニウム塩としては、市販品(例えば、ライオン(株)製のエソカードシリーズ、旭電化工業(株)製のアデカコールCCシリーズ)を用いることができる。
さらに、本発明の表示素子の製造方法で作製される表示素子の電解質は、固体電解質とする使用することもできる。固体電解質としては、室温で固体であり、かつイオン導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキサイド、オキシエチレンメタクリレートのポリマー、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸、LiN、Na−β−Al、Sn(HPO・HO等を挙げることができ、特に、オキシアルキレンメタクリレート系化合物、オキシアルキレンアクリレート系化合物又はウレタンアクリレート系化合物を前駆体の主成分とし、当該前駆体を重合することによって得られる高分子化合物等を用いた高分子固体電解質が好ましい。
〔その他添加剤〕
本発明の表示素子の製造方法で作製される表示素子の電解質液には、その他各種性能を向上させる目的で、様々な添加剤を使用することができる。それらは目的に応じて選択され、特に制限されるものではない。
各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
上記の添加剤は、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を設け、それら補助層中に含有させることも可能である。
〔その他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いる。
(シール剤)
シール剤は、外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
(柱状構造物)
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶剤に溶解する等してペースト状にして用いることが望ましい。
(スペーサー)
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔電解質層成分の付与法〕
本発明に係る各成分を付与する方法としては、塗布法、印刷法、ディスペンサ法で、基板上に設けることができる。塗布法としては、押し出し塗布法、ディツプコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法などが知られている。印刷法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、インクジェット法、注入法などを用いることができる。
(スクリーン印刷)
印刷法の中でも特にスクリーン印刷は、各成分の付与だけでなく、シール剤や前記各種構造物を形成する際にも用いることが可能である。
スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを介し、印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。
〔電気化学的な表示素子の駆動方法〕
本発明の電気化学的な表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子の製造方法で作製される表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、ワンタイムパスワード、電子ブック、携帯電話のカバー等各種機器の筐体装飾、キーボード表示、電子棚札、電子POP、電子広告等が挙げられる。特に大画面の表示が求められる電子ブック、電子広告、電子POP等の製造に有効である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《電極の作製》
(電極1の作製)
市販の厚さ0.7mmのITO膜付きガラス基板20cm×30cmの周辺部のITO膜を、公知の方法によりエッチングし、配線部を残してITO膜を除去し、電極1とした。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmの銀−パラジウム電極を形成し、電極2とした。
《ナノ多孔質層の形成》
(ナノ多孔質層1の形成)
シーアイ化成社製ナノテックITOスラリー(ITO粒子の平均粒径30nm)を電極1のITO膜上に、ITOナノ粒子によるナノ多孔質層1を形成した。ナノ多孔質層1の乾燥膜厚は、約5μmであった。
(ナノ多孔質層2の形成)
上記ナノ多孔質層1の形成において、ナノ多孔質層1のITOスラリーの代わりに、Solaronix社製 TiOスラリー(NanoxideHT)を用いた以外は同様にして、電極1のITO膜上に、乾燥膜厚が約5μmの酸化チタンのナノ多孔質層2を形成した。
(ナノ多孔質層3の形成)
電極2の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させた混和液を塗布し、その後、15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させて、ナノ多孔質層3を作製した。酸化チタンのナノ多孔質層3の乾燥膜厚は約20μmであった。
(ナノ多孔質層4の形成)
ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)4質量%を含むイソプロパノール溶液中に、酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させた混和液を、スクリーン印刷により、電極2のITO電極パターンに合わせてパターンで印刷し、膜厚15μmのパターン化したナノ多孔質層4を得た。
《電解液の調製》
(電解質液1の調製)
ジメチルスルホキシド250質量部に塩化ビスマス9質量部、ヨウ化リチウム18質量部を溶解し、これに平均粒径25nmの二酸化チタン60質量部を加え、分散した。更にポリエチレングリコール(平均分子量50万)を15質量部加え、溶解して電解質液1を調製した。
(電解質液の成分1Aと成分1Bの調製)
〈成分1Aの調製〉
ジメチルスルホキシド130質量部に、塩化ビスマス9質量部を溶解し、成分1Aを調製した。
〈成分1Bの調製〉
ジメチルスルホキシド120質量部に、ヨウ化リチウム18質量部を溶解し、これに平均粒径25nmの二酸化チタン60質量部を加え、分散した。更にポリエチレングリコール(平均分子量50万)を15質量部加え、溶解して成分1Bを調製した。
(電解質液2の調製)
ジメチルスルホキシド25質量部に、ヨウ化ナトリウム0.9質量部、ヨウ化銀0.75質量部を加えて完全に溶解させたし、これに平均粒径25nmの二酸化チタン60質量部を加え、分散した。後に、ポリビニルアルコール(重合度4500、ケン化度87〜89%)を1.5質量部加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液3を得た。
(電解質液の成分2Aと成分2Bの調製)
〈成分2Aの調製〉
ジメチルスルホキシド18質量部に、ヨウ化ナトリウム0.9質量部、ヨウ化銀0.75質量部を加えて完全に溶解させ、電解質液の成分2Aを調製した。
〈成分2Bの調製〉
ジメチルスルホキシド7質量部に、平均粒径25nmの二酸化チタン60質量部を加え、分散した。更にポリビニルアルコール(重合度4500、ケン化度87〜89%)を1.5質量部加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液の成分2Bを得た。
(電解質液の成分3Aと成分3Bの調製)
〈成分3Aの調製〉
ジメチルスルホキシド18質量部に、例示化合物1−2を1.5質量部、トシル酸銀0.75質量部を加えて完全に溶解させ、電解質液の成分3Aを調製した。
〈成分3Bの調製〉
ジメチルスルホキシド5質量部に、平均粒径25nmの二酸化チタン60質量部を加え、分散した。更にポリビニルアルコール(重合度4500、ケン化度87〜89%)を1.5質量部加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液の成分3Bを得た。
(電解質液の成分4Aと成分4Bの調製)
〈成分4Aの調製〉
上記成分3Aの調製において、例示化合物1−2を、例示化合物2−1に変更した以外は同様にして電解質液の成分4Aを得た。
〈成分4Bの調製〉
成分4Aは、上記成分3Bと同一組成とした。
(電解質液5の調製)
γ−ブチロラクトン5質量部とジメチルスルホキシド18質量部を合わせ、フェロセンを1質量部、例示化合物1−2を1.5質量部、トシル酸銀0.75質量部を加えて完全に溶解させ、ポリビニルアルコール(重合度4500、ケン化度87〜89%)を1.5質量部加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質液5を得た。
(電解質液の成分5A、成分5Bの調製)
〈成分5Aの調製〉
γ−ブチロラクトン5質量部に、フェロセンを1質量部溶解し、電解質液の成分5Aを調製した。
〈成分5Bの調製〉
ジメチルスルホキシド18質量部に、例示化合物1−2を1.5質量部、トシル酸銀0.75質量部を加えて完全に溶解させ、ポリビニルアルコール(重合度4500、ケン化度87〜89%)を1.5質量部加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質層液の成分5Bを得た。
(電解質液6の調製)
アセトニトリルに、過塩素酸リチウムを0.2モル/L、エレクトロクロミック色素として、ビス−(2−ホスホノエチル)−4,4−ビピリジニウムジクロライドを0.2モル/L相当量を溶解させ、電解質液6を調製した。
(電解質液の成分6A、成分6Bの調製)
〈成分6Aの調製〉
アセトニトリルに、ビス−(2−ホスホノエチル)−4,4−ビピリジニウムジクロライドを0.2モル/L相当量を溶解させ、電解質液の成分6Aを調製した。
〈成分6Bの調製〉
アセトニトリルに、過塩素酸リチウムを0.2モル/L溶解させ、電解質液の成分6Bを調製した。
(電解質液7の調製)
ジメチルスルホキシド25質量部中に、p−トルエンスルホン酸銀1質量部とテトラブチルアンモニウムパークロレート0.25質量部とを溶解させ、さらに下記化合物EC−1を0.1質量部、例示化合物M1を1質量部溶解した。この溶液に、分子量20万のポリエチレンオキシドを0.5質量部、架橋剤として、チバ・ジャパン製、IRGACURE1840.01質量部加えて溶解し、電解質液7を得た。
Figure 2010072288
(電解質液の成分7A、成分7B、成分7Cの調製)
〈成分7Aの調製〉
ジメチルスルホキシドに、上記化合物EC−1を0.2モル/L相当量を溶解させ、電解質液の成分7Aを調製した。
〈成分7Bの調製〉
ジメチルスルホキシド20質量部中に、p−トルエンスルホン酸銀1質量部とテトラブチルアンモニウムパークロレート0.25質量部とを溶解させ、電解質液の成分7Bを調製した。
〈成分7Cの調製〉
ジメチルスルホキシド5質量部中に、例示化合物M1を1質量部、分子量20万のポリエチレンオキシドを0.5質量部、チバ・ジャパン製、IRGACURE1840.01質量部加えて溶解し、電解質液の成分7Cを得た。
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製〕
ナノ多孔質層1の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液1を縁取り内部に滴下して満たした後、電極2を電極が内側になるように重ね、加熱押圧して、表示素子1を得た。
〔表示素子2の作製〕
ナノ多孔質層1の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液の成分1Aを、滴下法により所定量滴下した。このとき、ナノ多孔質層全体が電解質液の成分1Aで濡れた状態であった。これに電解質液の成分1Bを滴下して縁取り内部を満たした後、電極2を電極が内側になるように重ね、加熱押圧して、表示素子2を得た。
〔表示素子3の作製〕
表示素子1の作製において、電解質液1の代わりに電解質液2を用いた以外は同様にして、表示素子3を得た。
〔表示素子4の作製〕
表示素子2の作製において、電解質液の成分1Aおよび成分1Bの代わりに、電解質液の成分2Aおよび成分2Bを用いた以外は同様にして、表示素子4を得た。
〔表示素子5の作製〕
表示素子4の作製において、電解質液の成分2Aおよび成分2Bの代わりに、電解質液の成分3Aおよび成分3Bを用いた以外は同様にして、表示素子5を得た。
〔表示素子6の作製〕
表示素子4の作製において、電解質液の成分2Aおよび成分2Bの代わりに、電解質液の成分4Aおよび成分4Bを用いた以外は同様にして、表示素子6を得た。
〔表示素子7の作製〕
ナノ多孔質層3の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液5を縁取り内部に滴下して満たした後、ナノ多孔質層2を電極が内側になるように重ね、加熱押圧して、表示素子7を得た。
〔表示素子8の作製〕
ナノ多孔質層3の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液の成分5Aをナノ多孔質層3の傾斜の上になる端部にゆっくりと滴下し、ナノ多孔質層3を電解質液の成分5Aで満たした後、電解質液の成分5Bを付与した。
ナノ多孔質層2を適量の電解質液の成分5Aで満たし、乾燥しないうちに重ね、加熱押圧して、表示素子8を得た。
〔表示素子9の作製〕
ナノ多孔質層2の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液6を縁取り内部に滴下して満たした後、電極1を電極が内側になるように重ね、加熱押圧して、表示素子9を得た。
〔表示素子10の作製〕
ナノ多孔質層2の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液の成分6Aをナノ多孔質層2の端部から滴下して満たした後、電解質液の成分6Bを縁取り内部に滴下し、電極1を電極が内側になるように重ね、加熱押圧して、表示素子10を得た。
〔表示素子11の作製〕
ナノ多孔質層4の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液7を縁取り内部に滴下して満たした後、ナノ多孔質層1を電極が内側になるように重ね、加熱押圧し、紫外線照射して電解質液をゲル化させて、表示素子11を得た。
〔表示素子12の作製〕
ナノ多孔質層4の周辺部を、平均粒子径が20μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りし、電解質液の成分7Aをナノ多孔質層4の間隙に滴下する形で付与し、ナノ多孔質層4を電解質液の成分7Aで満たし、さらに電解質液の成分7Bを付与し、これを紫外線照射してゲル化させた。
一方で、ナノ多孔質層1の周辺部を、オレフィン系封止剤が高さ5μmとなるように縁取りし、ナノ多孔質層に電解質液の成分7Cを付与した。
ゲル化したセルを電解質液7Cが付与されたナノ多孔質層1に対向して重ね、加熱押圧して、表示素子12を得た。
《表示素子の評価》
上記作製した表示素子1〜12について、下記の各評価を行った。
〔セル品質の評価(充填性の評価)〕
作製した各表示素子のセル部の電解質が未充填な部分の有無について目視観察し、下記の基準に従ってセル品質(充填性)の評価を行なった。
○:電解質液が均一に充填され、気泡等の欠陥が見られない
△:ごく小さな気泡が数個確認された
△×:ごく小さな気泡が10個程度確認された
×:気泡の数が多い、または1mm以上の気泡が確認された
〔表示性能の評価〕
(駆動前の白地状態での評価)
上記作製した表示素子の駆動前の表示部について、下記の評価を行った。
〈ムラ耐性の評価〉
各表示素子の白表示(未印加)状態でのムラの有無を目視観察し、下記の基準に従ってムラ耐性の評価を行った。
○:表示ムラの発生がまったく認められず、均質性が極めて高い品質である
○△:表示ムラの発生がほぼ認められず、良好な均質性である
△:やや弱い白表示ムラの発生が認められる
△×:明らかな白表示ムラの発生が認められ、実用上問題となる品質である
×:極めて強い白表示ムラの発生が認められ、実用に耐えない品質である
〈気泡耐性の評価〉
各表示素子の白表示(未印加)状態での気泡発生の有無を目視観察し、下記の基準に従って気泡耐性の評価を行った。
○:気泡の発生がまったく認められず、均質性が極めて高い品質である
○△:気泡の発生がほぼ認められず、良好な均質性である
△:微小な気泡の発生が認められる
△×:明らかな気泡の発生が認められ、実用上問題となる品質である
×:極めて多量の気泡の発生が認められ、実用に耐えない品質である
(駆動直後の着色状態での評価)
上記作製した表示素子の各基板から引き出した配線端子の表示側となるITO付基板の電極に+2Vの定電圧を印加し、着色を呈した状態での表示部について、下記の評価を行った。
〈ムラ耐性の評価〉
各表示素子の着色状態(印加状態)での表示ムラの有無を目視観察し、下記の基準に従ってムラ耐性の評価を行った。
○:表示ムラの発生がまったく認められず、均質性が極めて高い品質である
○△:表示ムラの発生がほぼ認められず、良好な均質性である
△:やや弱い表示ムラの発生が認められる
△×:明らかな表示ムラの発生が認められ、実用上問題となる品質である
×:極めて強い表示ムラの発生が認められ、実用に耐えない品質である
〈気泡耐性の評価〉
上記駆動前の白地状態での気泡耐性の評価と同様に基準で、評価を行った。
〈濃度の測定〉
着色状態での濃度を、コニカミノルタセンシング社製の分色測色計CM−3700で測定した。なお、表示素子1〜8、11、12は、550nmでの反射濃度を測定し、表示素子9、10は、透過型の表示素子となるため、透過濃度を測定した。
(100回繰り返した後の特性評価)
上記作製した表示素子の各基板から引き出した配線端子の表示側となるITO付基板の電極に+2Vの定電圧を印加し、着色するまでの時間を測定した。次いで、表示側の電極に−2Vの定電圧を印加し、消色するまでの時間を測定した。上記測定した各時間に応じて、着色と消色を100回繰り返した後、下記の各評価を行った。
〈消色状態での品質評価〉
100回の+2Vと−2Vの印加を100回繰り返した後、白表示状態(消色状態)でのムラ耐性及び気泡耐性を、上記駆動前の白地状態での評価と同様にして行った。
〈着色状態での品質評価〉
100回の+2Vと−2Vの印加を100回繰り返した後、着色状態でのムラ耐性、気泡耐性及び濃度を、上記駆動直後の着色状態での評価と同様にして行った。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2010072288
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の表示素子の製造方法に従って製造した表示素子は、比較例に対し、セル内への電解質液の充填が迅速かつ均一に行うことができ、連続して行った白表示及び着色表示性能での表示ムラに優れ、気泡の発生が抑制された極めて均質性、安定性の高い表示素子を得ることができた。
本発明の表示素子の製造方法フローの一例を示す概略図である。 本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。 本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。 本発明の表示素子の製造方法フローの他の一例を示す概略図である。
符号の説明
1a、1b 対向基板
2 周辺部材
3 ナノ多孔質層
4 成分A
5 成分B
6 電解質層
7 成分C
10 表示素子

Claims (5)

  1. それぞれ対向電極を備えた一対の対向基板の少なくとも一方がナノ多孔質層を有し、該一対の対向基板間に電解質層を保持した表示素子を製造する表示素子の製造方法において、該電解質層は、互いに混和あるいは相溶して一つの電解質層となる特性を有する少なくとも成分Aと成分Bの二成分から構成され、該成分Aは電気化学活性物質を含有し、かつナノ多孔質層へのぬれ性が該成分Bより高く、該成分Aを該ナノ多孔質層に付与した後、該ナノ多孔質層を乾燥させずに、成分Bを付与することを特徴とする表示素子の製造方法。
  2. 前記成分Aを、前記ナノ多孔質層の一方の端部から浸透させて付与することを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造方法。
  3. 前記成分Aを、前記ナノ多孔質層の中央部から浸透させて付与することを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造方法。
  4. 前記対向基板上に前記ナノ多孔質層を複数に平面分割して設け、該平面分割されたナノ多孔質層間の溝に、前記成分Aを浸透させて付与することを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造方法。
  5. 前記電解質層には、金属または金属塩化合物が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子の製造方法。
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