以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
1)対向電極間に電解質と白色散乱物とを有し、少なくとも一方の対向電極に前記一般式(L)で表される化合物が2種固定化されており、該対向電極間に電圧V1(V)を印加することにより、第1種目の該一般式(L)で表される化合物が着色して赤、緑または青を表示し、該第1種目の一般式(L)で表される化合物が着色している状態で、さらに対向電極間に電圧V2(V)を印加することにより、第2種目の該一般式(L)で表される化合物を着色させることで黒の表示を行い、該電圧V1と電圧V2とが、V2>V1>0の関係を満たすことを特徴とする表示素子、
あるいは、
2)対向電極間に電解質と白色散乱物とを有し、少なくとも一方の対向電極に前記一般式(L)で表される化合物が2種固定化されており、該対向電極間に電圧V3(V)を印加することにより、該2種の一般式(L)で表される化合物を着色させることで黒を表示し、対向電極間に電圧V4(V)を印加することにより、該2種の一般式(L)で表される化合物のいずれか一方を消色することで、赤、緑または青の表示を行い、該電圧V3と電圧V4とが、V3>0>V4の関係を満たすことを特徴とする表示素子、
により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、黒表示のコントラストが高く、かつ黒表示の色調変動が小さいカラー表示可能な表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子においては、表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極とTiO2電極等の多孔質電極、他方の電極2には導電性電極が設けられている。電極1と電極2の間に、本発明に係る電解質と白色散乱物を有し、かつ電極1には本発明に係わる一般式(L)で表される化合物が2種固定化されており、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と黒表示と黒以外の着色表示を可逆的に切り替えることができる。
〔表示色の切り替え方法〕
本発明の表示素子の表示色の切り替え方法は、用いる2種の一般式(L)で表される化合物の特性および表示素子の用途に応じて、以下に記載する2つの駆動方法から選択することを特徴とする。
(駆動方法1)
本発明に係る2種の一般式(L)で表される化合物のうち、第1種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態が赤色であり、第2種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態がシアン色であり、かつ0<第1種目の化合物の着色状態の閾値電圧<第2種目の化合物の着色状態の閾値電圧の関係を満たしている場合、第1種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態の閾値電圧より貴で、第2種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態の閾値電圧より卑な電圧V1を対向電極間に印加することで、白色表示の状態から赤色表示の状態に切り替えることができる。本発明に係る一般式(L)で表される化合物は十分に高いメモリー性を有しているため、赤色を表示させてから経過した時間によらず、第2種目の化合物の着色状態の閾値電圧より貴な電圧V2を対向電極間に予め決められた時間を印加することで、赤色表示の状態から黒色表示の状態に切り替えることができる。本発明に係る駆動方法1は、2種の一般式(L)で表される化合物の着色状態の組合せが緑とマゼンタ、青とイエローの場合にも同様である。
(駆動方法2)
本発明に係る2種の一般式(L)で表される化合物の着色状態が、それぞれ赤色とシアン色であり、かつ第1種目の一般式(L)で表される化合物の0>消色状態の閾値電圧>第2種目の一般式(L)で表される化合物の消色状態の閾値電圧の関係を満たしている場合、第1種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態の閾値電圧および第2種目の一般式(L)で表される化合物の着色状態の閾値電圧より貴な電圧V3を対向電極間に印加することで、白色表示の状態から黒色状態に切り替えることができる。本発明に係る一般式(L)で表される化合物は十分に高いメモリー性を有しているため、黒色を表示させてから経過した時間によらず、第2種目の一般式(L)で表される化合物の消色状態の閾値電圧より貴な電圧V4を対向電極間に予め決められた時間を印加することで、黒色表示の状態から赤色表示の状態に切り替えることができる。本発明に係る駆動方法2は、2種の一般式(L)で表される化合物の着色状態の組合せが緑とマゼンタ、青とイエローの場合においても同様である。
〔電解質〕
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
(電解質溶媒)
本発明において、電解質の溶媒としては非プロトン性極性溶媒が用いられる。非プロトン性極性溶媒としては、例えばジメチルカボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチロラクタン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメテルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、メチルジオキソラン、アセトトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、スルホオキシド、ジメチルスルホオキシドジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、スルホラン、N−メチル−2−オキドリノリン及びこれら混合物を使用することができる。
電解質の溶媒の沸点としては、特に制限はないが、揮発性防止の点、及び製造上の理由から、高沸点であることが好ましく、200℃以上の沸点を有することが好ましい。
本発明において、特に好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)、(S2)で表される化合物である。
〈一般式(S1)、(S2)で表される化合物〉
本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物を含有することが好ましい。
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
上記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は、各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
次いで、一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
(支持電解質)
本発明の表示素子において用いることができる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4、CH3(C2H5)3NBF4、(CH3)2(C2H5)2NBF4、(CH3)4NSO3CF3、(C2H5)4NSO3CF3、(n−C4H9)4NSO3CF3、
更には、
等が挙げられる。
また、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4PBF4、(C2H5)4PBF4、(C3H7)4PBF4、(C4H9)4PBF4等が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
本発明の支持電解質としては環状4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級スピロアンモニウム塩が好ましい。また対アニオンとしてはClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(C2F5SO2)2N-、PF6 -が好ましく、特にBF4 -が好ましい。
電解質塩の使用量は任意であるが、一般的には、電解質塩は溶媒中に上限としては20mol/L以下、好ましくは10mol/L以下、さらに好ましくは5mol/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上、さらに好ましくは0.1mol/L以上存在していることが望ましい。
(N−オキシル誘導体)
本発明の表示素子においては、電解質がN−オキシル誘導体を含有することが好ましい。
本発明に係るN−オキシル誘導体は、エレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応のメディエータとして機能する場合や対極の反応物として機能する場合があり、メディエータとして機能する場合はエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と同極の活性を有していることが望ましく、対極の反応物として機能する場合にはエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と異極の活性を有していることが望ましい。
〈一般式(1)で表される化合物〉
本発明の表示素子に適用可能なN−オキシル誘導体としては、特に制限はないが、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)において、R1及びR2は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基若しくは>C=O,>C=S,>C=N−Rcを介して窒素原子と結合する基を表す。Rcは水素原子、若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、R1及びR2は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基には、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
なお、本発明に係る一般式(1)で表される化合物としては、以下に説明する一般式(2)〜(5)で表される化合物の具体的化合物を包含する。
本発明においては、N−オキシル誘導体が、下記一般式(2)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
〈一般式(2)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(2)において、R3、R4、R5、R6は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、前記一般式(1)におけるそれぞれと同義である。
Z1は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z1は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、前記一般式(1)で例示したのと同様の置換基が挙げられる。また、R3〜R6及びZ1を構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、例えば、窒素原子と共にアザノルボルネン構造、アザアダマンタン構造等の多環式構造を取っても良い。
一般式(2)で表される化合物の環構造としては、ピペリジン環、若しくはピロリジン環、アザアダマンタン環が好ましい。
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〈一般式(3)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上一般式(3)において、R7は直接、若しくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子を介してカルボニル炭素原子に置換する、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表し、R8は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(1)におけるそれぞれと同義である。また、R7及びR8は互いに連結して、環状構造を形成してもよい。一般式(3)において、R8は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。R7としては、カルボニル炭素原子に直接結合した脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、分岐アルキル基及びシクロアルキル基が好ましい。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〈一般式(4)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(4)において、Z2は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z2は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、一般式(1)で例示した置換基が挙げられる。また、Z2は縮合環で有っても良い。
以下に、一般式(4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
一般式(4)で表される化合物としては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミドのラジカル化合物が好ましい。
〈一般式(5)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上一般式(5)において、R9〜R13は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(1)におけるそれぞれと同義である。
一般式(5)において、R9は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としてはシアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。R10〜R13としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
以下に、一般式(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〈一般式(6)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(6)において、Xは重合体の主鎖を形成する構造であり、下記に示す一般式(6−1)〜(6−4)から選ばれる少なくとも1種を表す。
R21〜R23は各々独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を挙げることができるが、その中でも、合成のし易さという観点から、メチル基であることが好ましい。
次いで、Xで表される重合体の主鎖を形成する構造である下記一般式(6−1)〜(6−4)について、更に説明する。
上記一般式(6−1)において、R24は、水素原子またはメチル基を表す。
上記一般式(6−2)において、R24は水素原子またはメチル基を表す。R25は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等を挙げることができるが、その中でも、合成のし易さという観点から、メチレン基が好ましい。
上記一般式(6−3)において、R26〜R28は、各々独立して水素原子またはメチル基を表す。
上記一般式(6−4)において、R26〜R28は各々独立して水素原子またはメチル基を表す。R29は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等を挙げることができるが、その中でも、合成のし易さという観点から、メチレン基が好ましい。
以下に、一般式(6)で表されるN−オキシル誘導体の例示化合物6−1〜6−8を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
上記例示化合物6−1は、例えば、テトラメチルアニジンを触媒として用い、2−ニトロプロパンにメチルビニルケトンをマイケル付加させ、5−ニトロ−2−ヘキサノンとする。次いで、得られた5−ニトロ−2−ヘキサノンを水中で、塩化アンモニウム、亜鉛を用いて環化し、環状ニトロン化合物とする。得られた環状ニトロン化合物にエーテル中でエチニルマグネシウムブロミドを用いたグリニャール反応により、エチニル基を導入し、さらに銅触媒を用いた空気酸化によりニトロキシドラジカルとする。これを、ロジウム触媒により重合することにより、例示化合物6−1が得られる。その他の例示化合物についても、上記の合成法と類似の方法で得ることができる。すなわち、環状ニトロン化合物に、グリニャール反応によりエチニル基、ビニル基を導入後、酸化反応によりニトロキシドラジカルをもつ重合性モノマーとする。これを適当な重合触媒で重合する。エチニル基の場合、ロジウム触媒のほか、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルの塩化物とアルキルスズ化合物、アルキルアルミニウム化合物などを組み合わせた触媒により重合可能である。ビニル基の場合、四塩化チタン、三塩化チタン、四塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウムなどの遷移金属化合物とトリエチルアルミニウムなどの典型金属の有機金属化合物を組み合わせた触媒により重合可能である。合成スキーム、使用する原料、反応条件等を適宜変更し、また公知の合成技術を組合わせることで、目的とするN−オキシル誘導体を合成することができる。
本発明においては、N−オキシル誘導体が、下記一般式(7)〜(9)で表される構造を分子中に有する重合体であることも、好ましい態様の1つである。
〈一般式(7)で表される化合物〉
本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(7)で表される構造を分子中に有する重合体であることが好ましい。
上期一般式(7)において、R30は炭素数1〜4のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基等を挙げることができる。R31は水素原子またはメチル基を表す。
上記一般式(7)で表される化合物は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、さらには5000以上であることがより好ましい。これは、数平均分子量が500以上であると電解液に溶解しづらくなり、さらに数平均分子量5000以上になるとほぼ不溶となるからである。また、数平均分子量の上限には特に制限はないが、合成の都合上、数平均分子量が5000000以下、より好ましくは数平均分子量が1000000以下の化合物を好適に使用できる。一般式(7)で表される化合物の形状としては鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋したような構造でもよい。
以下に、一般式(7)で表されるN−オキシル誘導体の例示化合物7−1〜7−8を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
本発明に係る一般式(7)で表される化合物は、例えば、特開2007−35375号公報の〔化8〕に記載の合成ルートに従って合成することができる。
〈一般式(8)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(8)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(8)において、R32は炭素数1〜4のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基等を挙げることができる。R33〜R35は各々独立して水素原子またはメチル基を表す。
上記一般式(8)で表される化合物は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、さらには5000以上であることがより好ましい。これは、数平均分子量が500以上であると電解液に溶解しづらくなり、さらに数平均分子量5000以上になるとほぼ不溶となるからである。また、数平均分子量の上限には特に制限はないが、合成の都合上、数平均分子量が5000000以下、より好ましくは数平均分子量が1000000以下の化合物を好適に使用できる。一般式(8)で表される化合物の形状としては鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋したような構造でもよい。
以下に、一般式(8)で表されるN−オキシル誘導体の例示化合物8−1〜8−8を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
本発明に係る一般式(8)で表される化合物は、例えば、特開2007−35375号公報の〔化9〕に記載の合成ルートに従って合成することができる。
〈一般式(9)で表される化合物〉
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
上記一般式(9)において、R36〜R43は各々置換又は無置換のアルキル基を表し、nは5〜200の整数を表す。
R36〜R43は、置換又は無置換のアルキル基であればよく、鎖状、環状又は分岐状アルキル基の何れでもよいが、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、アルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子等で置換されていてもよい。nは5〜200の整数を表すが、好ましくは10〜100の整数である。
以下に、一般式(9)で表されるN−オキシル誘導体の例示するが、本発明はここに例示する化合物にのみ限定されるものではない。
一般式(9)で表される化合物は、例えば、ノルボルネン骨格を有するモノマーを、第二世代Grubbs触媒等のメタセシス触媒を用いて開環重合させることにより製造することができる。
〔白色散乱物〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al2O3、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔一般式(L)で表される化合物〕
本発明において、エレクトロクロミック化合物として、前記一般式(L)で表される化合物を2種用いることを特徴とする。
以下、本発明に係る前記一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
前記一般式(L)において、Rl1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl2、Rl3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl4、酸素原子または硫黄原子を表し、Rl4は水素原子、または置換基を表す。
Rl1が置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rl1としては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R12、Rl3で表される置換基としては特に制限は無く、前記Rl1のアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl2、Rl3は置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl2、Rl3は互いに連結して、環構造を形成しても良いRl2、Rl3の組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rl4である。Rl4として好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
本発明の表示素子においては、上記一般式(L)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。本発明でいう化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明でいう物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
本発明において、吸着性基としては化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
一般式(L)で表されるアゾール色素の中でも、特に下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が特に好ましい。
上記一般式(L2)において、Rl21、Rl22は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基、スルファモイル基を表し、R123は芳香族基または芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基、芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。ただし、Rl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式(L2)において、Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換の、フェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては、特に、水素原子またはアリール基が好ましい。
また、一般式(L2)で表される化合物を電極上に固定する際、これらRl21〜Rl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)2、−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましく、特に、Rl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)を有することが好ましい。
以下、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるEC色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〔一般式(A)または(B)で表される化合物〕
本発明に係る前記一般式(A)または一般式(B)において、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2は各々独立に置換基を有しても良い、芳香族基、芳香族複素環基、脂肪族基を表す。Ra1及びRa2、Rb1及びRb2は互いに連結して環状構造を形成しても良い。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、芳香族複素環基としては、例えばピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。また脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基としては、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(A)または一般式(B)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
前記一般式(A)、一般式(B)において、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2は芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましく、特に、電子吸引性基の置換した芳香族炭化水素基、若しくは電子欠乏性の芳香族複素環基が好ましい。電子吸引性基としては、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性基である。好ましくは、σp値が0.2以上の電子吸引性基である。上限としては好ましくは1.0以下の電子吸引性基である。更に好ましくは0.75以下の電子吸引性基である。ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則によりもとめられた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979年(南江堂)に詳しい。但しこれらの成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなくその値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれる限り包含されることは勿論である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
電子欠乏性の芳香族複素環基としては、例えばピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等の含窒素6員環から誘導される基が好ましい。
以下、一般式(A)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
以下に、一般式(B)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
〔イオン性液体〕
本発明の表示素子にはイオン性液体を適用することができる。本発明でいうイオン液体とは、常温溶融塩とも言われ、融点が100℃以下の塩である。この塩は同数のカチオンとアニオンから構成されており、分子構造によって融点が室温以下の物質も数多く存在し、これらは溶媒をまったく加えなくても室温で液体状態である。イオン性液体は、強い静電的な相互作用をもっているため蒸気圧がほとんどないことが大きな特徴であり、高温でも蒸発がなく揮発しない。
本発明に用いるイオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
本発明で好適に用いることができるイオン性液体は、式Q+A-で表され、20〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃、特に20℃で液体として存在する塩のことを指し、粘度(25℃)は、常温で融体である限り特に制限されないが、好ましくは1〜200mPa・sである。さらに、式中Q+で表されるカチオン成分はオニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくはアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びホスホニウムカチオンである。
上述のイオン性流体について具体的に詳述すると、上式中のQ+としては、R1R2R3R4N+、R1R2R3S+、R1R2R3R4 +P、R1R2N+=CR3R4、R1R2P+=CR3R4[ここで、R1からR4は、互いに独立して、水素、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基、R5−X−(R6−Y−)n−(式中、R5は炭素数4以下のアルキル基、R6は炭素数4以下のアルキレン基、XおよびYは酸素原子または硫黄原子、nは0〜10の整数を示す)を表し、これらの基は置換基を有していても良い]から成る群から選択されるアンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、R1R2N+=CR3−R7−R3C=N+R1R2、R1R2S+−R7−S+R1R2、R1R2P+=CR3−R7−R3C=P+R1R2(ここで、R1、R2およびR3は、前記で定義したものと同じであり、そしてR7は、炭素数1〜6のアルキレンまたはフェニレン基を表し、これらの基は置換基を有していても良い)から成る群から選択される第四級アンモニウムおよび/またはホスホニウムイオン、さらには下記一般式で表される窒素、硫黄および燐原子から選ばれる原子を1、2または3個含む窒素、硫黄および燐原子含有複素環から誘導されるアンモニウムイオン、スルホニウムイオンまたはホスホニウムイオンなどを挙げることができる。
式中R1およびR2はこの上で定義した通りであり、Zは、N+、N+=C、S+、P+あるいはP+=Cを含む4〜10員環を構成しうる原子を指し、この構成する原子には置換基を有していても良い。
上述の中でR1からR4の具体的な例はとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖又は分枝を有するアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのシクロアルキル基、無置換あるいはハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、水酸基、低級アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、カルボキシル基、アセチル基、プロパノイル基、チオール基、低級アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ)、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基などの置換基を1〜3個有するフェニル、ナフチル、トルイル、キシリル等のアリール基、ベンジルなどのアラルキル基などを挙げることができる。また、R5の具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基などのアルキル基などが挙げられ、R6としてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基などのアルキレン基などを挙げることができる。さらにR7の具体的な例はとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのフェニレン基などを挙げることができる。
また、式中のA-で表される対アニオンとしては、ヘキサフルオロ燐酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、硝酸塩、アルキルスルホン酸塩、フッ化アルキルスルホン酸塩または水素硫酸塩を表す。
さらに、WO95/18456号、特開平8−259543号、特開2001−243995、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、EP−718288号、J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg.Chem.1996,35,1168〜1178等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩なども本発明に応じては適時選択して用いることができる。
〔固体電解質、ゲル電解質〕
本発明の電解質は、溶媒やイオン性液体から成る溶液状の電解質以外にも、実質的に溶媒を含まない固体電解質や高分子化合物を含有した高粘度な電解質やゲル状の電解質(以下、ゲル電解質)を用いることができる。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔その他の添加剤〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダ 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
〔基板〕
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
〔電極〕
本発明の表示素子においては、対向電極の少なくとも1種が金属電極であることが好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持の為に有利であり、また電極汚れ防止にも優れる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《表示素子の作製》
〔電解液の作製〕
(電解液1の調製)
アセトニトリル2.5g中にテトラブチルアンモニウムパークロレート0.025gとを溶解させて、電解液1を得た。
(電解液2の調製)
ジメチルスルフォキシド2.5g中にテトラブチルアンモニウムパークロレート0.025gとを溶解させて、電解液2を得た。
(電解液3の調製)
γブチロラクトン2.5g中にテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液3を得た。
(電解液4の調製)
γブチロラクトン2.5g中にテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gと化合物(2−17)を0.025g溶解させて、電解液4を得た。
(電解液5の調製)
γブチロラクトン2.5g中にテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gと化合物(2−26)を0.025g溶解させて、電解液5を得た。
〔電極の作製〕
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、ピッチ145μm、電極幅130μmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成して、透明電極(電極1)を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(電極2)を得た。
(電極3の作製)
さらに電極1上に、厚み5μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜を形成し、電極3を得た。
(電極4の作製)
下記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、120dpiで電極3上に付与し、電極4を作製した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
(電極5〜9の作製)
インク液1をインク液2〜6に変更した以外は電極4と同様にして、電極5〜9を作製した。
(電極10の作製)
炭素粉末(導電付与剤)を600mg、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を100mg測り採り、混合した。ここに、アセチルアセトン4mlを加え、スラリー状となるまで撹拌した。得られたスラリー状液体をドクターブレードで、乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように電極2上に塗布した後、80℃で3分間乾燥して、電極10を得た。
(電極11の作製)
化合物(A−29)を300mg、炭素粉末(導電付与剤)を600mg、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を100mg測り採り、混合した。ここに、アセチルアセトン4mlを加え、スラリー状となるまで撹拌した。得られたスラリー状液体をドクターブレードで、乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように電極2上に塗布した後、80℃で3分間乾燥して、電極11を得た。
(電極12〜15の作製)
化合物(A−29)を表1に示す化合物に変更した以外は電極11と同様にして、電極12〜15を作製した。
〔インク液の調製〕
(インク液1の調製)
化合物EC−1を3mmol/L、化合物EC−2を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液1を調製した。
(インク液2の調製)
化合物EC−3を3mmol/L、化合物EC−4を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液2を調製した。
(インク液3の調製)
化合物EC−3を3mmol/L、化合物(L1)を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液3を調製した。
(インク液4の調製)
化合物(L1)を3mmol/L、化合物(L10)を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液4を調製した。
(インク液5の調製)
化合物(L17)を3mmol/L、化合物(L7)を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液5を調製した。
(インク液6の調製)
化合物(L1)を3mmol/L、化合物(L29)を3mmol/Lとなるようにエタノールに溶解させて、インク液6を調製した。
〔表示素子の作製〕
(表示素子1の作製)
電極10の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、電極10と電極4とを、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。
(表示素子2〜20の作製)
電極構成と電解液をそれぞれ表1に示す通りに変更した以外は表示素子1と同様にして、表示素子2〜20を作製した。
なお、表1に記載の例示化合物以外のEC化合物の詳細は、以下の通りである。
化合物EC−3:1−Benzl−1′−(2−phosphonoethyl)−4、4′−bipyridinium dibromide
化合物EC−4:1−Ethyl−1′−(3−phosphonopropyl)−4、4′−bipyridinium dichloride
《表示素子の評価》
(表示素子1の評価)
〔表示色評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子1の両電極を接続し、表示側の電極に+1Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が白からシアンに切り替わった。これは実質的にEC化合物1のみが着色してEC化合物2は着色していないことを示している。次に、表示側の電極に+2Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色がシアンから黒に切り替わった。これはEC化合物1が着色している状態にさらにEC化合物2が赤着色したことを示している。
〔黒色の反射率の評価〕
前記の方法で表示素子1を黒表示させた直後の反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、400〜700nmの反射率の平均値を黒色の反射率の指標とした。ここでは、得られた反射率の値が小さいほど黒色の表現能力が高いことになる。
〔黒色の色調変動の安定性の評価〕
前記の方法で表示素子1を黒表示させた直後の色度L*a*b*をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、さらに10分放置した後の色度L*a*b*を同測定器で測定し、色度差ΔEを算出して、ΔEを黒色の色調変動の安定性の指標とした。ただし、表示素子1においてはメモリー性が低く、黒表示してから10分後にはほぼ完全に消色していたため、ΔEを算出することができなかった。
(表示素子2の評価)
〔表示色評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子2の両電極を接続し、表示側の電極に+2Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が白から赤に切り替わった。これは実質的にEC化合物3のみが着色してEC化合物4は着色していないことを示している。次に、表示側の電極に+3Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が赤からマゼンタに切り替わったが黒表示はできなかった。
(表示素子3の評価)
〔表示色評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子3の両電極を接続し、表示側の電極に+2Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が白から赤に切り替わった。これは実質的にEC化合物3のみが着色してEC化合物2は着色していないことを示している。次に、表示側の電極に+2.5Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が赤から黒に切り替わった。これはEC化合物1が着色している状態にさらにEC化合物(L10)がシアン着色したことを示している。
〔黒色の反射率の評価〕
表示素子1と同様にして、表示素子2の黒色の反射率を評価した。
〔黒色の色調変動の安定性の評価〕
前記の方法で表示素子3を黒表示させた直後の色度L*a*b*をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、さらに10分放置した後の色度L*a*b*を同測定器で測定し、色度差ΔEを算出して、ΔEを黒色の色調変動の安定性の指標とした。ここでは、ΔEが小さいほど黒色の色調変動の安定性が高いことになる。
(表示素子4〜11の評価)
印加電圧を表2に記載する電圧に変更した以外は表示素子3と同様にして、表示素子4〜11の表示色評価と黒色の反射率と黒色の色調変動の安定性の評価を行った。
(表示素子12の評価)
〔表示色評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子12の両電極を接続し、表示側の電極に+1.2Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が白から青に切り替わった。これは実質的にEC化合物17のみが着色してEC化合物(L7)は着色していないことを示している。次に、表示側の電極に+1.8Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が青から黒に切り替わった。これはEC化合物(L17)が着色している状態にさらにEC化合物(L2)がイエロー着色したことを示している。
〔黒色の反射率の評価〕
表示素子3と同様にして、表示素子12の黒色の反射率を評価した。
〔黒色の色調変動の安定性の評価〕
表示素子3と同様にして、表示素子12の黒色の色調変動の安定性を評価した。
(表示素子13の評価)
〔表示色評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子13の両電極を接続し、表示側の電極に+2.5Vの定電圧を1秒間印加すると表示色が白から黒に切り替わった。これはEC化合物(L1)とEC化合物(L29)の両方が着色したことを示している。次に表示側の電極に−0.8Vの定電圧を0.5秒間印加すると表示色が黒から赤に切り替わった。これはEC化合物(L1)の赤着色を保っている状態でEC化合物(L29)のシアン着色が消色したことを示している。
〔黒色の反射率の評価〕
表示素子3と同様にして、表示素子13の黒色の反射率を評価した。
〔黒色の色調変動の安定性の評価〕
表示素子3と同様にして、表示素子13の黒色の色調変動の安定性を評価した。
(表示素子14〜20の評価)
印加電圧を表2に記載する電圧に変更した以外は表示素子13と同様にして、表示素子14〜20の表示色評価と黒色の反射率と黒色の色調変動の安定性の評価を行った。
以上により得られた各表示素子の構成及び評価結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる表示素子は、比較例に対し、黒表示のコントラストが高く、かつ黒表示の色調変動が小さいことが分かる。