JP2011146190A - 酸化バナジウム電極の作製方法および電気化学デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、電気特性および電気特性の安定性に優れる電気化学デバイスを与える酸化バナジウム電極の作製方法を提供することにある。また、この酸化バナジウム電極の作製方法により得られた電極およびこの酸化バナジウム電極を用いた電気化学デバイスを提供することにあり、特に繰り返し使用での安定性に優れる電気化学デバイスを与える電極の作製方法を提供することにある。
【解決手段】銀バナジウム酸化物を含んだ膜を基板上に形成する工程1と下記一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、該膜が形成された該基板を浸漬し、該膜中の銀を溶解する工程2とを有することを特徴とする酸化バナジウム電極の作製方法。
【化1】
Figure 2011146190

【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック方式など種々の方式による各種表示デバイス、二次電池、太陽電池などの光電変換デバイスなどの電気化学デバイスに用いられる電極の作製方法および、電気化学デバイスに関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来、紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない、いわゆる「メモリー性」を有する反射型ディスプレイが知られている。
上述の反射型ディスプレイの方式としては、反射型液晶等の偏光板を用いる方式や電気泳動法やエレクトロクロミック方式などが検討されている。
エレクトロクロミック方式の表示デバイス(以下、EC方式と略す)は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、例えばWO2004/068231号明細書、WO2004/067673号明細書に記載されるように様々な方法が開示されている。
これらの従来技術では、表示部から遠い側の対向電極(以下、対極)の特性変動により、繰返し駆動させたときの白表示時や着色時の反射率の安定性(以下、駆動安定性)や表示する画像を書き換えるときの速度(以下、書換速度)が充分ではなかった。
そして、これを解決する手段として、特表2003−507756号公報に記載される酸化タングステン電極を対極として用いる技術が知られている。
しかしながら、この技術によって、駆動安定性は向上するものの向上度としては不十分であり、かつ表示デバイスの状態で酸化タングステン電極から取り出せる電気量が少なく、書換速度が遅いという問題があった。
また、別の解決手段としては、特許文献1で検討されている酸化バナジウム電極を対極に用いる技術が知られている。
酸化バナジウム電極は酸化タングステン電極よりも表示デバイスの状態で取り出せる電気量が若干多いため、酸化タングステン電極を対極に用いたときよりも書換速度が若干改善されるが、特許文献1に記載されているようなスパッタ法やパルスレーザーデポジション法で形成したバナジウム酸化物を含んだ膜を有する電極をそのまま用いると、駆動安定性および書換速度の向上度が十分でないという問題があった。
他方、近年の電子機器は、小型化、軽量化、携帯機器化が進み、これらの機器に搭載される電池にもますます小型化、軽量化、薄膜化が求められている。これらの機器に搭載される電池としては、単位質量あたりのエネルギー容量の大きさの点で優れるリチウム二次電池が広く用いられ、それに関する研究が数多く報告されている。
そして、リチウム二次電池においても、電極として酸化バナジウム電極を用いることが知られている(特許文献2および3参照)。
しかしながら、これらに記載されている電極の作製方法で作製した酸化バナジウム電極では、充放電時のリチウムイオンの挿入・脱離による電極の膨張収縮のストレスが大きく、充放電サイクルによる放電容量の安定性が充分でないといった問題があった。
特表平08−505242号公報 特開2009−146613号公報 特開2007−173096号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電気特性および電気特性の安定性に優れる電気化学デバイスを与える酸化バナジウム電極の作製方法を提供することにある。また、この電極の作製方法により得られた酸化バナジウム電極およびこの酸化バナジウム電極を用いた電気化学デバイスを提供することにあり、特に繰り返し使用での安定性に優れる電気化学デバイスを与える酸化バナジウム電極の作製方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.銀バナジウム酸化物を含んだ膜を基板上に形成する工程1と下記一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、該膜が形成された該基板を浸漬し、該膜中の銀を溶解する工程2とを有することを特徴とする酸化バナジウム電極の作製方法。
Figure 2011146190
〔式中、Xは硫黄原子または酸素原子を表し、化合物中の少なくとも1つのXは硫黄原子である。n、mは各々1以上、10以下の整数を、aは1以上、50以下の整数を表す。R、R、R、R、R、Rは各々解離性プロトンを有していない置換基を表し、そのうちひとつはカルボニル基を含む。また、それぞれは、同じであっても異なっていても良く、それぞれで連結して環状構造を形成していてもよい。[]内は繰返し単位を表し、繰り返されている場合、Xが表す原子はそれぞれ異なっていても良い。その場合、同様にRおよびRもそれぞれ異なっていても良く、mの表す整数も異なっていても良い。〕
2.前記一般式(1)で表される化合物におけるnおよびmが、各々2または3であることを特徴とする前記1に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
3.前記一般式(1)で表される化合物におけるaが、2または3であることを特徴とする前記1または2に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
4.前記銀バナジウム酸化物を含んだ膜が導電性微粒子を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の酸化バナジウム電極の作製方法で作製された酸化バナジウム電極を有することを特徴とする電気化学デバイス。
6.前記酸化バナジウム電極および該酸化バナジウム電極に対向する対向電極を有し、該酸化バナジウム電極と該対向電極との間に電解質物質とエレクトロクロミック化合物を有す表示デバイスであることを特徴とする前記5に記載の電気化学デバイス。
7.前記電気化学デバイスがリチウム二次電池であることを特徴とする前記5に記載の電気化学デバイス。
8.前記エレクトロクロミック化合物が下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする前記6に記載の電気化学デバイス。
Figure 2011146190
(式中、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xlは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。)
本発明の上記手段により、電気特性および電気特性の安定性に優れる電気化学デバイスを与える酸化バナジウム電極の作製方法が提供できる。また、電気特性に優れ、電気特性の安定性に優れる電気化学デバイスが提供できる。特に駆動安定性に優れ、書き込み速度が速い、表示デバイスおよび、放電容量が大きく放電容量の安定性に優れる充放電デバイスが提供できる。
本発明に係わる表示デバイスの概略断面図である。
本発明は、酸化バナジウム電極を作製する電極作製方法であって、銀バナジウム酸化物を含んだ膜を基板上に形成する工程1と上記一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、該膜が形成された該基板を浸漬し、該膜中の銀を溶解する工程2とを有することを特徴とする。
本発明においては、特に銀バナジウム酸化物を含む膜(以下単に銀バナジウム酸化物膜と称する。)を上記特定の溶液で処理して銀を溶解する工程を有する酸化バナジウム電極の製造方法により、駆動安定性に優れ、書き込み速度が速い、表示デバイスおよび放電容量が大きく放電容量の安定性に優れる充放電デバイスを与える電極が得られる。
以下、本発明の詳細について説明する。
(酸化バナジウム電極の作製方法)
本発明の酸化バナジウム電極の作製方法は、上記のように銀バナジウム酸化物を含んだ膜を形成する工程1および膜中の銀を溶解する工程2を有する。
(工程1)
銀バナジウム酸化物膜を基板上に形成する方法としては、スパッタ装置やパルスレーザーデポジション装置を用い、該装置に金属バナジウムターゲットや酸化バナジウムターゲットおよび基板を装着し、真空下で酸素圧や窒素圧を制御して基板上に酸化バナジウム膜を形成し、得られた酸化バナジウム膜上に銀ターゲットを用いて同様な方法で銀膜を形成して、さらに得られた膜を300℃以上で熱処理することで銀バナジウム酸化物膜を形成する方法が挙げられる。
また、エアロゾル法を用いて作製した酸化バナジウム銀粒子を含んだインクを用いて、スピンコート装置やディップ装置などで、インクを基材上に供給して、銀バナジウム酸化物膜を形成する方法が挙げられる。
この場合、酸化バナジウム銀粒子は、バナジウム前駆体と銀前駆体とから調製することができる。
エアロゾル法に好適なバナジウム前駆体は、例えば、三塩化バナジウム、三塩化バナジル、硫酸バナジル水和物、アンモニウムバナジン酸、バナジウム酸化物化合物および無水アルコールに可溶である二塩化バナジルが含まれる。
好適な銀前駆体は、例えば、硫酸銀、炭酸銀、硝酸銀、塩素酸銀および過塩素酸銀を含む。
バナジウム前駆体と銀前駆体とを溶解した溶液を、反応装置内に供給し、装置内の溶液にアルゴンレーザーを照射し、熱分解することで銀バナジウム酸化物を得ることができる。このとき、溶液の濃度は、0.1モル/L以上、アルゴンレーザーの出力は、100〜1000Wの範囲であることが好ましい。
銀バナジウム酸化物膜は必要に応じて、ITO等の他の金属酸化物膜や金やクロム等の金属膜上に形成してもよい。
〔基板〕
本発明で用いることのできる基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などの透明は基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などの不透明な基板を用いることもできる。透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。基板は、電極が利用される後述する電気化学デバイスにより適宜選択して用いることができる。
(工程2)
本発明に係る工程2においては、上記一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、上記銀バナジウム酸化物膜を有する基材を浸漬することで、この膜中の銀を溶解する。
一般式(1)で表される化合物を含有した溶液は、一般式(1)で表される化合物を可溶化する溶媒に一般式(1)で表される化合物を添加することで得られる。一般式(1)で表される化合物の含有量は、概ね1質量%〜50質量%の範囲が好ましい。
一般式(1)で表される化合物を可溶化する溶媒の例としては、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶媒が挙げられる。
銀バナジウム酸化物膜中の銀を溶解する方法は、例えば一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に基板を浸漬し、室温で放置する方法、50℃〜150℃で加熱する方法、銀バナジウム酸化物膜に負の電位を1分〜30分の範囲で印加する方法などが挙げられる。
これらの中でも、一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、上記銀バナジウム酸化物膜を有する基材を、40℃〜80℃で、1時間〜12時間の範囲で浸漬する方法が好ましく適用できる。
一般式(1)で表される化合物を含有した溶液には例えば表示デバイスの電解質層で使用する支持電解質と同じ化合物を添加していても良い。
銀バナジウム酸化物膜中の銀の溶出の状態は、銀バナジウム酸化物膜を電子顕微鏡で形状観察したり、X線光電子分析法で残留する銀量を見積もることで確認することができる。銀を溶解することにより、銀バナジウム酸化物膜中に空孔が生ずる。
銀バナジウム酸化物膜中から銀を必ずしも全量溶出させる必要はなく、空孔の割合と酸化バナジウムの導電性の観点から、溶出させる銀量を調整することができる。溶出させる銀量の好ましい量は溶出させる前の銀バナジウム酸化物膜に含まれる銀量の50質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
〔一般式(1)で表される化合物〕
一般式(1)中、Xは硫黄原子または酸素原子を表し、化合物中の少なくとも1つのXは硫黄原子である。n、mは各々1以上、10以下の整数を、aは1以上、50以下の整数を表す。
、R、R、R、R、Rは各々解離性プロトンを有していない置換基を表し、そのうちひとつはカルボニル基を含む。
また、それぞれは、同じであっても異なっていても良く、それぞれで連結して環状構造を形成していてもよい。
[]内は繰返し単位を表し、繰り返されている場合、Xが表す原子はそれぞれ異なっていても良い。その場合、同様にRおよびRもそれぞれ異なっていても良く、mの表す整数も異なっていても良い。
、R、R、R、R、Rで表される置換基としては、解離性プロトンを有していない置換基であり、例えば下記の置換基が挙げられる。
置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ジアリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジメシチルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、ジアルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル等)、ジアリールカルバモイル基(例えば、ジフェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル等)、ジアリールスルファモイル基(例えば、ジフェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、ジアルキルアミノカルボニル基(例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基等)、ジアリールアミノカルボニル基(例えば、ジフェニルアミノカルボニル基、ジトリルアミノカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基等)、カルボニル基、シアノ基、または複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)が挙げられるが、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シアノ基が好ましく、さらにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基が特に好ましい。
これらの置換基はさらに置換基を有していても良く、お互いに連結して縮合環を形成していてもよい。
一般式(1)において、Xは硫黄原子もしくは酸素原子を表し、化合物中の少なくとも一つのXは硫黄原子である。
一般式(1)において、aは繰返し単位の数をあらわす。適度な溶解性を持つためには1〜50、好ましくは1〜10とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜6である。
[]内は繰返し単位を表し、aが2以上の数を表す場合、Xが複数個存在することになるが、その場合のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、硫黄原子含有量が多いほど好ましい。またmが表す整数も同じであっても異なっていても良い。
上記の場合、R、Rも同様に複数個存在することになるが、その場合はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明においては、一般式(1)において、チオエーテル鎖の含有量は、化合物全体の30〜99質量%であり、好ましくは33〜85質量%である。ここでチオエーテル鎖の含有量とは、一般式(1)で表される単位のXが硫黄原子である場合のその単位全体の、化合物全体の分子量に対する質量%をいう。
例えば、下記例示化合物(1)−1では、チオエーテル鎖は分子量が120(SCであり、分子全体は266であることから120/266×100=45質量%と計算する。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物が有していない、解離性プロトンを有する基とは、具体的には、例えばヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、などプロトンが解離し得る基が挙げられる。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物においては、この解離性プロトンを有する基を、チオエーテル鎖、末端基、連結基等分子全体として有していない。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物においては、R〜Rの置換基の少なくとも一つのは、カルボニル基を有する。
このカルボニル基は、化合物の末端基としてまたはチオエーテル鎖の置換基、末端基とチオエーテル鎖との連結基として存在していることが好ましい。カルボニル基は、R、Rが有していることが好ましい。
カルボニル基の数は1〜10、好ましくは2〜6が一分子中に存在することが好ましい。末端基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の解離性プロトンを有していない基であることが好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物において、カルボニル基とチオエーテル鎖は直接または、連結基で結合している。連結基は、2〜4価であることが好ましい。連結基は解離性プロトンを有していない基である。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
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本発明の酸化バナジウム電極の作製方法により作製された酸化バナジウム電極が、駆動安定性および書換速度に優れる表示素子を与え、また放電容量が高く、その安定性が高い充放電素子を与える理由は明確ではないが、以下のように推定される。
銀バナジウム酸化物を含んだ膜を有する基板を前期一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に浸漬することで、一般式(1)で表される化合物と銀が錯体を形成することで、銀が溶解しこの膜に空孔が形成される。そのため、酸化バナジウムと電解質物質の界面において例えばリチウムなどのカチオンの移動効率が高くなることで、取り出せる電気量が大きくなると推測される。
一般式(1)で表される化合物は、銀と錯体を形成する他の化合物に比較して、銀を溶解する能力が高く、残存しても悪影響がないためと推測される。
即ち、銀と錯体を形成する化合物として、ピリジン類やハロゲン化合物が知られているが、これらに比較して、硫黄原子とカルボニル基の両方を有するため、銀と錯体を形成する能力が高く、また解離性プロトンを有さないため、残留した場合化合物自体の安定性が良好でハロゲン化合物のように電極を腐食することがないため、と推測される。
リチウム二次電池の電極として使用した場合、充放電時のリチウムイオンの挿入・脱離がスムーズに起こるため、電極の膨張収縮のストレスが小さく、充電サイクル特性を向上させることができると推測される。
〔導電性微粒子〕
本発明に係る銀バナジウム酸化物を含んだ膜は、この膜の抵抗値を下げる目的で導電性微粒子を含有することが好ましい。
本発明に係る導電性微粒子の例としては、ITO粒子、金微粒子、白金微粒子、パラジウム微粒子、カーボン微粒子等が挙げられる。導電性微粒子は一般式(1)で表される化合物との相互作用が少ない方が好ましい。
(電気化学デバイス)
本発明の電気化学デバイスは、少なくとも、本発明に係る酸化バナジウム電極およびこれに対向する対向電極を有し、酸化バナジウム電極と対向電極の間に、電解質物質を有し、電解質物質と各々の電極との間で電子の移動が可能であるように配置された素子である。
以下に、電気化学デバイスの典型的な例として、表示デバイスと二次電池について説明する。
(表示デバイス)
表示デバイスの基本構成を図1により説明する。表示デバイスにおいては、表示部には、少なくとも1組の対向する電極が設けられている。視認側の電極AにはITO電極等の透明電極、電極Aと反対側の電極Bには本発明に係る酸化バナジウム電極が設けられている。電極Aと電極Bとの間に、電解質物質とエレクトロクロミック化合物とを有する。
図1では、電極Aと電極Bとの間に電解質物質およびエレクトロクロミック化合物を含有する電解質層2ならびに、表示性能を高めるために設けられる白色散乱層3を有する態様を示した。
電解質物質とエレクトロクロミック化合物とを有する形態としては、電解質物質とエレクトロクロミック化合物とを含有する層を電極Aと電極Bとの間に設ける形態、電解質物質を含有する層とエレクトロクロミック化合物を含有する層を接触して積層する形態が挙げられる。
電極Aと電極Bの対向する電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と着色表示を可逆的に切り替えることができる。
〔エレクトロクロミック化合物〕
本発明に係るエレクトロクロミック化合物としては、電気化学的な酸化反応および還元反応により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来る。このようなエレクトロクロミック化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物に加え、導電性高分子化合物および有機色素が知られている。
エレクトロクロミック特性を示す導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリベンジジン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾールおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
エレクトロクロミック特性を示す有機色素としては、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、フェノチアジン等アジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)等が挙げられる。その他、酸化還元指示薬、pH指示薬として知られている化合物を用いる事も出来る。
エレクトロクロミック化合物を、色調変化の点で分類すると、下記3つのクラスに分けられる。
クラス1:酸化還元によりある特定の色から別の色に変化するエレクトロクロミック化合物。
クラス2:酸化状態で実質無色であり、還元状態である特定の着色状態を示すエレクトロクロミック化合物。
クラス3:還元状態で実質無色であり、酸化状態である特定の着色状態を示すエレクトロクロミック化合物。
本発明に係る表示デバイスに於いては、目的・用途により上記クラス1からクラス3のエレクトロクロミック化合物を適宜選択する事が出来る。
〔クラス1のエレクトロクロミック化合物〕
クラス1のエレクトロクロミック化合物は酸化還元によりある特定の色から別の色に変化するエレクトロクロミック化合物であり、その取り得る酸化状態に於いて、二色以上の表示が可能な化合物である。
クラス1に分類される化合物としては、例えばVは酸化状態から還元状態へ変化する事で橙色から緑色に変化し、同様にRuは黄色から暗緑色に変化する。
また導電性ポリマーもその多くはクラス1に分類される。例えばポリチオフェンは酸化状態から還元状態へ変化する事で青から赤へと変化し、ポリピロールは褐色から黄色へと変化する。またポリアニリン等では、マルチカラー特性を示し酸化状態の紺色から順に青色、緑色、淡黄色へと変化する。
〔クラス2のエレクトロクロミック化合物〕
クラス2のエレクトロクロミック化合物は、酸化状態で無色乃至は極淡色であり、還元状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス2に分類される無機化合物としては、下記化合物が挙げられ、各々還元状態でカッコ内に示した色を示す。WO(青)、MnO(青)、Nb(青)、TiO(青)等。
クラス2に分類される有機色素としては、特開昭62−71934、特開2006−71765号等に記載されている化合物、例えばテレフタル酸ジメチル(赤)、4,4′−ビフェニルカルボン酸ジエチル(黄色)、1,4−ジアセチルベンゼン(シアン)、或いは特開平1−230026号、特表2000−504764号等に記載されているテトラゾリウム塩化合物等が挙げられる。
クラス2に分類される色素として、最も代表的なのはビオロゲン等ピリジニウム系化合物で有る。ビオロゲン系化合物は表示が鮮明であること、置換基を変える事などにより色のバリエーションを持たせる事が可能である事などの長所を有しているため、有機色素の中では最も盛んに研究されている。発色は、還元で生じた有機ラジカルに基づく。
ビオロゲン等ピリジニウム系化合物としては、例えば特表2000−506629号を初めとして下記特許に記載されている化合物が挙げられる。
特開平5−70455号、特開平5−170738号、特開2000−235198号、特開2001−114769号、特開2001−172293号、特開2001−181292号、特開2001−181293号、特表2001−510590号、特開2004−101729号、特開2006−154683号、特表2006−519222号、特開2007−31708号、2007−171781号、2007−219271号、2007−219272号、特開2007−279659号、特開2007−279570号、特開2007−279571号、特開2007−279572号等。
以下に、本発明に用いる事ができるビオロゲン等ピリジニウム化合物を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
Figure 2011146190
Figure 2011146190
〔クラス3のエレクトロクロミック化合物〕
クラス3のエレクトロクロミック化合物は、還元状態で無色乃至は極淡色であり、酸化状態である特定の着色状態を示す化合物である。
クラス3に分類される無機化合物としては、例えば酸化イリジウム(暗青色)、プルシアンブルー(青)等が挙げられる(各々酸化状態でカッコ内に示した色を示す)。
クラス3に分類される導電性ポリマーとしては、例は少ないが、例えば特開平6−263846に記載のフェニルエーテル系化合物が上げられる。
クラス3に分類される色素としては多数の色素が知られているが、スチリル系色素、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系色素、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等のアゾール系色素等が好ましい。
以下に、本発明に用いる事ができるスチリル系色素、およびアジン系色素、アゾール系色素を例示するが、これらに限定されるものでは無い。
Figure 2011146190
Figure 2011146190
本発明の好ましい態様に於いては、前記エレクトロクロミック色素と共に電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩を併用し、黒表示、白表示および黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行う。この場合、該金属塩が還元されて黒表示を行う為、エレクトロクロミック色素としては酸化により発色するクラス3のエレクトロクロミック化合物が好ましく、特に発色の多様性、低駆動電圧、メモリー性等の点でアゾール系色素が好ましい。本発明において、最も好ましい色素は前記一般式(L)で表される化合物である。
一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルフォニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
Rl、Rlで表される置換基としては特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl、Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl、Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良い。Rl、Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
本発明に係る表示デバイスにおいては、一般式(L)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する基を有していることが好ましい。化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。吸着性基は、化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)およびSi(OR)(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
一般式(L)で表されるアゾール色素の中でも、特に下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が特に好ましい。
Figure 2011146190
一般式(L2)に於いて、Rl21、Rl22は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基、スルファモイル基を表し、Rl23は芳香族基若しくは芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基、芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。但しRl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)およびSi(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式Rl21、Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換の、フェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては特に水素原子若しくはアリール基が好ましい。
また一般式(L2)を電極上に固定する際、これらRl21からRl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)、−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する事が好ましく、特にRl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)を有する事が好ましい。
以下に、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、および一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるEC色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
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Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
Figure 2011146190
本発明に係る表示素子は、酸化バナジウム電極とこれに対向する対向電極との間に電解質物質を含有する。電解質物質を有する層(電解質層)は、上記のようにエレクトロクロミック化合物を同時に含む層であっても、含まない層であってもよい。
電解質物質およびエレクトロクロミック化合物を電極間に存在させるには、溶媒と共に存在させてもよい。
溶媒を用いる場合、この溶媒が、電解質物質であってもよい。
〔溶媒〕
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられ、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒を使用することができる。
具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。前記常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
本発明において、好ましく用いられる溶媒は、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物である。
〈一般式(S1)、(S2)で表される化合物〉
Figure 2011146190
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
Figure 2011146190
一般式(S2)において、Rs21,Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはCHを表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2011146190
次いで、一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21,Rs22は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2011146190
上記例示した一般式(S1)および一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−2)、(S1−4)が好ましい。
一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、表示デバイスにおいては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electrolytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。
〔酸化補助化合物および還元補助化合物〕
表示デバイスは、電極間に、さらに酸化補助化合物または還元補助化合物を含有していてもよい。
酸化補助化合物、還元補助化合物には、エレクトロクロミック化合物が酸化もしくは還元されて発色する際に、その反応を助け、安定化させる効果がある。
(酸化補助化合物)
酸化補助化合物は、エレクトロクロミック化合物の発色反応を補助し、安定化させる効果を備えている。電解質に本発明に係る酸化補助化合物を添加することにより、エレクトロクロミック化合物の酸化反応は、この酸化補助化合物を介して行われるため、駆動安定性が向上する。本発明に係る酸化補助化合物として好ましいのは、エレクトロクロミック化合物の酸化電位より低い酸化電位を有し、反応前後で実質的に着色しないか、エレクトロクロミック化合物と同じ色調で微着色する化合物である。
酸化電位は、サイクリックボルタングラムにより測定することができる。
具体的には、サイクリックボルタングラムは、例えば、BAS社製の電気化学アナライザーALS600Cのサイクリックボルタンメトリー法により測定することができる。測定は、酸化活性化合物とテトラブチルアンモニウムパークロライド等の支持電解質を適当な溶媒、例えば、アセトニトリルに溶解した液を準備し、BAS社製のRE−5非水溶媒系参照電極参照電極(Ag/Ag)、Pt作用電極、Ptカウンター電極、スキャン速度100mV/secの条件でサイクリックボルタングラムを測定することができる。
エレクトロクロミック化合物で、明確なピークが確認できない場合には、エレクトロクロミック化合物の着色が確認され始める電位を読み取り、これを酸化電位とすることができる。
このような酸化補助化合物としては、フェロセン等のメタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、または下記に示す化合物などが知られているが、本発明の表示デバイス、すなわちエレクトロクロミック化合物の存在する系においては、N−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体のN−O結合を有する化合物、ガルビノキシルのO−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物が有効である。これらの化合物は、いずれも低い酸化電位を有し、反応前後での着色がほとんどないため、非常に好ましい。
N−オキシル誘導体としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)を初め、各種置換基の置換した誘導体が市販されている。また公知の文献に従って、ポリマーを含め、各種誘導体を容易に合成することができる。
一般には、ニトロキシドラジカルのα位炭素に水素が置換している場合、容易にヒドロキシアミンとニトロンへ不均化してしまう事が知られている。このためTEMPOのN−オキシル基α位の4つのメチル基は、安定ラジカルとして存在する上での必須の構造と言えるが、逆にこれら4つのメチル基の立体障害によって、反応性が落ちる場合がある。これら活性低下を引き起こさない点で、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、或いはアザビシクロN−オキシル誘導体が好ましい。
N−ヒドロキシフタルイミド誘導体としては、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)などが知られている。
ヒドロキサム酸誘導体としては、トリヒドロキシイミノシアヌル酸(THICA)などが挙げられる。
(還元補助化合物)
還元補助化合物の好ましい化合物としては、チアントレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベルダジル等のヒドラジル遊離基化合物、チアジル遊離基化合物、ヒドラゾン誘導体等などが挙げられる。
より好ましい還元補助化合物としては、エタンジオン誘導体、テトラゾリウム塩、ホルマザン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサジン誘導体、アクリジン誘導体、ジフェニルエタンジオン誘導体を挙げることができる。これらの化合物はいずれも良好な可逆反応性を示す。
〔電解質物質〕
電解質物質としては、前記の電解質溶媒の他に、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的にはLiClO、LiSCN、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiPF、LiI、NaI、NaSCN、NaClO、NaBF、NaAsF、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO等の4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等、もしくはこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。また無機酸、有機酸、アルカリ等が挙げられ、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
これらの中でも特に、例えば、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムリチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビスフルオロスルフォニルイミド等のリチウム化合物を好適に用いることができる。
〔白色散乱物〕
表示デバイスは、表示コントラストおよび白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有する白色散乱層を有することができる。
本発明に適用可能な白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン系化合物を好ましく用いることができ、特に、電解質層がポリエチレングリコール化合物を含有していることが好ましい。ポリエチレングリコール化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
水系高分子の平均分子量は、重量平均で10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜500,000の範囲である。
白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
上記白色顔料の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
これらの白色顔料のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因するデバイスの反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高いアルコール系溶剤が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示デバイスの対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。
媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電デバイスの振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができる。例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
白色散乱層は、多孔質白色散乱層であることが好ましい。多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
表示デバイスでは、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬膜剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔増粘剤〕
表示デバイスにおいては、電解質層に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔銀塩化合物〕
電解質層は、必要に応じて銀塩化合物を含有していてもよい。銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。銀塩化合物が電極上で溶解析出反応することで、コントラストが高い黒表示が可能となる。
表示デバイスにおいては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
電解質層に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質層の安定性が向上する。
〔その他〕
表示デバイスを構成する構成層としては、さらに保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)および同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を、下記表1に示す。
Figure 2011146190
〔電極〕
(表示側透明電極)
表示デバイスは、本発明に係る酸化バナジウム電極とこれに対向する対向電極を有するが、表示側と反対側に酸化バナジウム電極を用い、表示側に対向電極を有する態様が好ましく、表示側に位置する電極としては、透明電極であることが好ましい。
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(透明多孔質電極)
透明電極の一つの態様として、上記透明電極上にナノ多孔質化構造を有するナノ多孔質電極を設けることができる。このナノ多孔質電極は、表示デバイスを形成した際に実質的に透明で、電気活性物質等を担持することができる。
ナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の作製方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
表示側の電極は、透明基板状に形成されていることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。
〔表示デバイスのその他の構成要素〕
本発明に係る表示デバイスには、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示デバイスの表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示デバイスとして実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサーおよび柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔表示デバイス駆動方法〕
表示デバイスの駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
表示デバイスは、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
〔リチウム二次電池〕
リチウム二次電池は、少なくとも正電極、電解質層、負電極を有する構成を有する。
本発明に係る酸化バナジウム電極は、負電極として使用されることが好ましい態様である。
正、負電極各々は、正電極活物質層および負電極活物質層を有し、各々正電極活物質および負電極活物質を含有する。
〔正電極〕
正電極活物質層が含有する正電極活物資としては、例えば、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn、LiMnOまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−y)、リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2−yNi)、リチウムコバルトマンガンニッケル複合酸化物(例えばLiCoNiMn1−(z+w))、リチウム鉄マンガン複合酸化物(例えばLi1+x(FeMn1−y1−x)、リチウムマンガンチタン複合酸化物(例えばLiMnTi1−y)、リチウム鉄マンガンチタン複合酸化物(例えばLi1+x(FeMnTi1−(z+w)1−x)、リチウムリン酸化物(LiFePO、LiFe1−yMnPO、LiMnPO、LiCoPO、LiFePOF、LiMnPOFなど)、リチウムケイ酸化物(LiFeSiO)、リチウムケイ酸リン酸複合酸化物(例えばLi2−xFeSi1−x、Li2−xMnSi1−x)、硫酸鉄(Fe(SO)、リチウム硫化鉄(LiFeS)、バナジウム酸化物(例えばV)、フッ化鉄(FeF)、リチウムフッ化鉄(LiFeF)、リチウムフッ化チタン(LiTiF)などから選択される少なくとも一種が挙げられる。なお、これらの化学式中、x,y、z+wは0より大きく、1より小さい範囲であることが好ましい。
〔負電極〕
本発明の作製方法で作製した酸化バナジウム電極は、リチウム二次電池の負電極として用いることが好ましい態様である。
酸化バナジウムの他に、必要に応じて他の負極活物質を混合させても良い。
他の負極活物質としては、例えば、炭素質材料、リチウム金属、リチウム合金、スズ酸化物、珪素酸化物等の酸化物が用いられる。
炭素質材料としては、例えば、無定形炭素、アセチレンブラック、石油コークス、石炭コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、グラファイト系炭素繊維、難黒鉛化炭素等が挙げられる。
尚、これらの電極としては、電池の電気を取り出す端子である集電体上に設けられた形態が好ましい態様である。集電体としては電子伝導性が高いニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属の薄膜が用いられる。
〔電解質層〕
電解質層は、正電極と負電極との間に位置し、両極間の荷電担体輸送を行う機能を有する層であり、室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している層が好ましく用いられる。電解質層は、セパレータと電解質組成物とを含有する。
セパレータは、正電極と負電極とを電子的に絶縁して、ショートを防止し、イオンの移動のみを可能とする機能を有する。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどからなる絶縁性プラスチックで形成された多孔体あるいはシリカなどの無機微粒子などを用いることができる。
電解質組成物は、電解質物質を含有し、さらに溶媒を含有することが好ましい。
溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−1−メトキシエタン等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、などの非プロトン性有機溶媒の一種又は二種以上を混合して使用したものが挙げられる。
電解質物質としては、リチウム塩が用いられる。
リチウム塩としては、例えばLiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(CFSO、LiN(CFSO、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl、イミド類などが挙げられる。
電解質層の形態としては、例えば、上記の多孔体の孔中に電解質組成物が充填された形態、上記セパレータとしての無機微粒子と電解質組成物とが混合された形態が挙げられる。電解質組成物の形態としては、上記電解質物質を含有する上記溶媒からなる液体の状態、ゲル状、固体状の形態がある。
ゲル状または固体状の形態としては、例えば高分子物質または、有機物と無機物の有機−無機複合物質に、リチウム塩あるいはリチウム塩を溶解した溶媒を含ませて形成したゲル状あるいは固体状の形態、重合性モノマー、重合開始剤およびリチウム塩を含有する混合物を重合して形成したゲル状あるいは固体状の形態が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《電極の作製》
〔金属酸化物の成膜〕
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、膜厚150nmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成して、透明電極(以下、ITO電極)を得た。得られたITO電極上にパルスレーザーデポジション法で膜厚50nmの酸化タングステン膜を形成して、電極1を作製した。
(電極2の作製)
ITO電極上にパルスレーザーデポジション法で膜厚50nmの酸化バナジウム膜を形成して、電極2を作製した。
(電極3の作製)
電極2上に蒸着法で膜厚5nmの銀膜を形成し、さらに真空状態で300℃、24時間過熱して、銀バナジウム酸化物含んだ膜を有する電極3作製した。得られた電極3の表面から10nmをスパッタ法で削り取ったあとにX線光電子分光装置で元素分析を行い、銀バナジウム酸化物を含んだ膜であることを確認した。
(電極4の作製)
電極3を作用電極、カウンター電極に白金線、参照電極に銀/塩化銀電極として、後述する浸漬液1に各電極を浸漬し、ポテンショスタッドを用いて作用電極に+1.2Vの電圧を1分間印可した。得られた電極をエタノールで洗浄して、電極4を得た。得られた電極4の表面から10nmをスパッタ法で削り取ったあとにX線光電子分光装置で元素分析を行ったが、銀バナジウム酸化物含んだ膜中の銀量はほとんど減少していないことがわかった。
(電極5の作製)
電極3を作用電極、カウンター電極に白金線、参照電極に銀/塩化銀電極として、後述する浸漬液2に各電極を浸漬し、攪拌しながら80℃で12時間放置した。
得られた電極をエタノールで洗浄して、電極4を得た。得られた電極4の表面から10nmをスパッタ法で削り取ったあとにX線光電子分光装置で元素分析を行い、銀バナジウム酸化物含んだ膜中の銀量が減少していることを確認した。
(電極6〜10の作製)
表2に記載する浸漬液3〜7に変更した以外は電極5と同様にして、電極6〜10を作製した。いずれも銀バナジウム酸化物含んだ膜中の銀量が減少していることを確認した。
(電極11の作製)
ITO電極上にITO微粒子を散布したあとにパルスレーザーデポジション法で膜厚50nmの酸化バナジウム膜を形成して、ITO微粒を含有した酸化バナジウム膜を作製した。
得られた電極上に蒸着法で膜厚5nmの銀膜を形成し、さらに真空状態で300℃、24時間過熱して、ITO微粒子を含んだ銀バナジウム酸化物含んだ膜を作製した。得られた電極の表面から10nmをスパッタ法で削り取ったあとにX線光電子分光装置で元素分析を行い、ITO微粒子を含んだ銀バナジウム酸化物を含んだ膜であることを確認した。得られた電極を作用電極、カウンター電極に白金線、参照電極に銀/塩化銀電極として、後述する浸漬液7に各電極を浸漬し、ポテンショスタッドを用いて作用電極に+1.2Vの電圧を1分間印加した。得られた電極をエタノールで洗浄して、電極11を得た。得られた電極10の表面から10nmをスパッタ法で削り取ったあとにX線光電子分光装置で元素分析を行い、銀バナジウム酸化物含んだ膜中の銀量が減少していることを確認した。
(電極12〜14の作製)
導電性微粒子を表2に微粒子に変更した以外は電極11と同様にして、電極12〜14を作製した。
〔浸漬液の調製〕
(浸漬液1の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、ビピリジル0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液1を得た。
(浸漬液2の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−57を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液2を得た。
(浸漬液3の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−5を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液3を得た。
(浸漬液4の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−30を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液4を得た。
(浸漬液5の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−54を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液5を得た。
(浸漬液6の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−2を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液6を得た。
(浸漬液7の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、化合物(1)−1を0.25gとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gとを溶解させて、浸漬液7を得た。
《電極の評価》
〔電気量の評価〕
下記のように電気量を測定し、電気特性の指標とした。電気量が大きいほど導電特性は良好であり、電気特性に優れる。
作製した電極を作用電極、カウンター電極に白金線、参照電極に銀/塩化銀電極として、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウムが0.1mol/Lになるように調製したγ−ブチロラクトン溶液に各電極を浸漬し、電気化学アナライザーALS−650Cのサイクリックボルタンメトリーテクニックで走査速度100mV/sec、走査範囲±1.2Vの条件で測定して得られたサイクリックボルタングラムから各電極の電気量を算出した。評価結果を、表2に示す。
Figure 2011146190
表2が示している通り、本発明に係る一般式(1)で表される化合物を含有した浸漬液で処理することで電極の電気量が向上し、電気特性に優れることが分かる。
実施例2
《キャパシタの作製》
充放電デバイスの一つであるキャパシタを下記のように作製し、放電エネルギーおよび放電エネルギーの変化を下記のように測定し、これを電気特性および電気特性の安定性の指標とした。
負極を電極2〜11に変更した以外は特開2000−268881号公報の実施例1に記載する方法と同様にして、キャパシタ1〜10を作製した。
《キャパシタの評価》
〔放電エネルギーの評価〕
作製したキャパシタに5mAで定電流充電を行い、2Vに達した時点で2Vによる定電圧による定電圧充電に切り替え、2時間充電した後に放電することで、充放電曲線を測定し、得られた充放電曲線から放電エネルギーを算出した。
同様な測定を10回繰返し、1回目と10回目の放電エネルギーの差から充放電特性の安定性を評価した。
以上により得られた各キャパシタの構成および評価結果を、表3に示す。
Figure 2011146190
表3が示している通り、本発明に係る電極を用いたキャパシタは放電エネルギーが高く、その安定性に優れることが分かる。
実施例3
《表示デバイスの作製》
〔電解液の作製〕
(電解液1の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gを溶解させて、電解液1を得た。
(電解液2の調製)
化合物S1−4の2.5g中に、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム0.1gを溶解させて、電解液2を得た。
〔インク液1の調製〕
(インク液1の調製)
化合物V17を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液1を調製した。
(インク液2の調製)
化合物Ot1を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液2を調製した。
(インク液3の調製)
化合物EC1を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液3を調製した。
(インク液4の調製)
化合物L1を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液4を調製した。
(インク液5の調製)
化合物V5を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液5を調製した。
(インク液6の調製)
化合物Ot3を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液6を調製した。
(インク液7の調製)
化合物EC2を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液7を調製した。
(インク液8の調製)
化合物L25を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液8を調製した。
(インク液9の調製)
化合物L53を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液9を調製した。
〔観察側電極の作製〕
(観察側電極1の作製)
ITO電極上に、厚み2μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜をスピンコート法で形成し、ITO上に二酸化チタン微粒子含んだ多孔質膜を形成した。得られた電極を前述のインク液1に室温で一晩浸漬したあと、電極を取り出してエタノールで洗浄し、その後80℃で5分間乾燥して溶媒を蒸発させて化合物V17が固着した観察側電極1を作製した。
(観察側電極2の作製)
インク液を1から2に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物Ot1が固着した観察側電極2を作製した。
(観察側電極3の作製)
インク液を1から3に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物EC1が固着した観察側電極3を作製した。
(観察側電極4の作製)
インク液を1から4に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物L1が固着した観察側電極4を作製した。
(観察側電極5の作製)
インク液を1から5に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物V5が固着した観察側電極5を作製した。
(観察側電極6の作製)
インク液を1から6に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物Ot3が固着した観察側電極6を作製した。
(観察側電極7の作製)
インク液を1から7に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物EC2が固着した観察側電極7を作製した。
(観察側電極8の作製)
インク液を1から8に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物L25が固着した観察側電極8を作製した。
(観察側電極9の作製)
インク液を1から9に変更した以外は観察側電極1と同様にして、化合物L53が固着した観察側電極9を作製した。
〔表示デバイスの作製〕
(表示デバイス1の作製)
電極1上に後述する二酸化チタン分散物を乾燥後の平均膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷し、その後50℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、85℃の雰囲気中で1時間乾燥させて電極1上に多孔質白色散乱層を形成し、観察者側電極に対する対極電極1を作製した。
得られた対極電極の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、多孔質白色散乱層を有する対極電極1と観察側電極1とをそれぞれの電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示デバイス1を作製した。
(表示デバイス2〜33の作製)
観察側電極に対する対極電極として、表1に記載した電極、観察側電極および電解液に変更した以外は表示デバイス1と同様にして、表示デバイス2〜33を作製した。
(二酸化チタン分散物の調製)
水/エタノール混合溶液に、クラレポバールPVA235(クラレ社製、ポリビニルアルコール樹脂)を固形分濃度で2質量%になるように添加し、加熱溶解させた後、石原産業社製の二酸化チタンCR−90を20質量%となるように超音波分散機で分散させて、二酸化チタン分散物を得た。
《表示デバイス1〜33の評価》
〔駆動安定性の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示デバイスの両電極を接続し、各表示デバイスの観察側電極に+1.2Vの電圧を3秒間印加した後に−1.2Vの電圧を1.5秒間印加して着色表示させたときの極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られた反射率の平均値をRave1(%)とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave2(%)を求めた。ΔR10,000(%)=|Rave1−Rave2|とし、ΔR10,000の値を求め、これを繰返し駆動させたときの駆動安定性の指標とした。
〔書換速度の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示デバイスの両電極を接続し、各表示デバイスの観察側電極に+1.2Vの低電圧を3秒間印加して白表示させた後に、−1.2Vの定電圧を1秒間印加して着色表示させたときの可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、得られた値をRCOLOR(%)とした。ここでは、RCOLOR(%)の値が小さいほど、着色表示の書換速度が速いことになる。
以上により得られた各表示デバイスの構成および評価結果を、表4に示す。
Figure 2011146190
表4が示している通り、本発明に係る電極を用いた表示デバイスは駆動安定性と書換速度に優れることが分かる。また、電解液中に銀塩化合物を含有し、電解液が色変化して黒白表示が可能なデバイスにおいても、実施例3と同様の効果があることを確認した。
実施例4
《リチウム二次電池の作製》
〔電解液の作製〕
(電池1の作製)
電極2を負極として用い、正極は、コバルト酸リチウムを溶解した液をアルミニウム電極上に塗布後、乾燥して作製した。セパレータを介してこれらの電極を電池セルに入れ、端子溶接を行った。続いて1Mの六フッ化リン酸リチウムを含有したエチレンカードネート/ジエチルカーボネート(3:7)の電解液を注液した。1時間静置した後封口して電池1を完成させた。
(電池2〜10の作製)
電極2を電極3〜11に変更した以外は電池1と同様にして、電池2〜10を作製した。
《電池の評価》
〔放電容量の評価〕
上記のようにして作製した各電池を、それぞれ室温下において、1mAの定電流で電位が4.30Vになるまで充電した後、10分間休止し、その後、1mAの定電流で電位が2.00Vになるまで放電させ、各電池において、1回目(1サイクル目)、10回目(サイクル目)における負極活物質1g当たりの放電容量(mAh/g)を測定し、放電容量、および1回目と10回目との放電容量の差を求め、これらを電気特性および電気特性の安定性の指標とした。
以上により得られた各電池の構成および評価結果を、表5に示す。
Figure 2011146190
表5が示している通り、本発明に係る酸化バナジウム電極を用いた電池は放電容量が高く、放電容量が安定していることが分かる。
1 表示デバイス
2 白色散乱層
3 電解質層
A 電極
B 電極

Claims (8)

  1. 銀バナジウム酸化物を含んだ膜を基板上に形成する工程1と下記一般式(1)で表される化合物を含有した溶液に、該膜が形成された該基板を浸漬し、該膜中の銀を溶解する工程2とを有することを特徴とする酸化バナジウム電極の作製方法。
    Figure 2011146190
    〔式中、Xは硫黄原子または酸素原子を表し、化合物中の少なくとも1つのXは硫黄原子である。n、mは各々1以上、10以下の整数を、aは1以上、50以下の整数を表す。R、R、R、R、R、Rは各々解離性プロトンを有していない置換基を表し、そのうちひとつはカルボニル基を含む。また、それぞれは、同じであっても異なっていても良く、それぞれで連結して環状構造を形成していてもよい。[]内は繰返し単位を表し、繰り返されている場合、Xが表す原子はそれぞれ異なっていても良い。その場合、同様にRおよびRもそれぞれ異なっていても良く、mの表す整数も異なっていても良い。〕
  2. 前記一般式(1)で表される化合物におけるnおよびmが、各々2または3であることを特徴とする請求項1に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物におけるaが、2または3であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
  4. 前記銀バナジウム酸化物を含んだ膜が導電性微粒子を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化バナジウム電極の作製方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化バナジウム電極の作製方法で作製された酸化バナジウム電極を有することを特徴とする電気化学デバイス。
  6. 前記酸化バナジウム電極および該酸化バナジウム電極に対向する対向電極を有し、該酸化バナジウム電極と該対向電極との間に電解質物質とエレクトロクロミック化合物を有す表示デバイスであることを特徴とする請求項5に記載の電気化学デバイス。
  7. 前記電気化学デバイスがリチウム二次電池であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学デバイス。
  8. 前記エレクトロクロミック化合物が下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする請求項6に記載の電気化学デバイス。
    Figure 2011146190
    (式中、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xlは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。)
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