JP2011209373A - 電気化学表示素子 - Google Patents

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JP2011209373A JP2010074649A JP2010074649A JP2011209373A JP 2011209373 A JP2011209373 A JP 2011209373A JP 2010074649 A JP2010074649 A JP 2010074649A JP 2010074649 A JP2010074649 A JP 2010074649A JP 2011209373 A JP2011209373 A JP 2011209373A
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彰久 中島
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Abstract

【課題】本発明の目的は、低温で電圧を上げ連続駆動した場合でも、表示画像の反射率の変動が少ない電気化学表示素子を提供することにある。
【解決手段】一対の対向する電極間に電解液層を有し、かつ電圧を印加することにより画像を表示する電気化学表示素子において、該電解液層中に下記一般式(I)で表される化合物を含有し、該電極上または該電解液層中にエレクトロクロミック化合物を有することを特徴とする電気化学表示素子。
一般式(I)
−SO−R
【選択図】なし

Description

本発明は、電気化学表示素子に関する。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
このような電子情報の閲覧手段との一つして、エレクトロクロミック(以下、ECと略す)表示素子が知られている。EC方式は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
EC方式は、室温では、低電圧で繰り返しでの表示が可能な技術であるが(例えば、特許文献3、4参照)、これを低温度下でしようすると反射率が変動してしまうという課題がある。低温度での反射率の低下を抑制する検討として、例えば、EC方式の一つである金属塩のエレクトロデポジション(以下、EDと略す)表示素子の技術が提案されているが(例えば、特許文献5参照)、改善効果が不十分である。
そこで、低温度での反射率の低下を防止するためには、電圧を上げて反応を促進する必要があるが、単に電圧を上げるだけでは、繰り返し駆動による表示画像の反射率の変動を防止することが出来ないという課題があった。
国際公開第04/068231号パンフレット 国際公開第04/067673号パンフレット 特開2007−314721号公報 特開2009−192985号公報 特開2004−309946号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、低温で電圧を上げ連続駆動した場合でも、表示画像の反射率の変動が少ない電気化学表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.一対の対向する電極間に電解液層を有し、かつ電圧を印加することにより画像を表示する電気化学表示素子において、
該電解液層中に下記一般式(I)で表される化合物を含有し、該電極上または該電解液層中にエレクトロクロミック化合物を有することを特徴とする電気化学表示素子。
一般式(I)
−SO−R
(式中、Rは、炭素数1以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表し、Rは、炭素数3以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。)
2.前記エレクトロクロミック化合物が、電気的な酸化還元により溶解析出する金属または金属をその分子構造中に有する化合物であることを特徴とする前記1に記載の電気化学表示素子。
3.前記エレクトロクロミック化合物が、有機色素であることを特徴とする前記1に記載の電気化学表示素子。
4.前記有機色素が、−COOM、−P−O(OM)及び−Si(OR)(ここで、Mはプロトンまたはアルカリ金属を表し、Rはアルキル基を表す。)から選ばれる少なくとも1つの基を有することを特徴とする前記3に記載の電気化学表示素子。
5.前記エレクトロクロミック化合物が、前記電極上の多孔質層に含まれることを特徴とする前記4に記載の電気化学表示素子。
本発明によれば、低温で電圧を上げ連続駆動した場合でも、表示画像の反射率の変動が少ない電気化学表示素子を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の電気化学表示素子は、一対の対向する電極間に電解質層を有し、かつ電圧を印加することにより画像を表示する表示素子において、電解液層中に下記一般式(I)で表される化合物を含有し、電極上または電解液層中にエレクトロクロミック化合物を有することを特徴とする。
本発明においては、特に電解液層中に、本発明の一般式(I)で表される化合物を含むことで、低温で電圧を上げ連続駆動した場合でも、表示画像の反射率の変動が少ない電気化学表示素子が得られる。
以下、本発明の詳細について説明する。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子は、表示部に、少なくとも1対の対向電極が設けられている。表示部に近い電極にはITO電極等の透明電極、他方の電極には導電性電極が設けられている。表示部に近い電極と他方の電極との間の電解液層中に、本発明に係る一般式(I)で表される化合物(溶媒)、エレクトロクロミック化合物(好ましくは電極上に有する)、電解質、イオン導電媒質、溶媒、等を含有させ、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、白表示と着色表示を可逆的に切り替えることができる。
<<一般式(I)で表される化合物>>
本発明の一般式(I)で表される化合物は、本発明の溶媒として電解液層中に用いられる。
本発明の一般式(I)で表される化合物について説明する。
前記一般式(I)において、Rは、炭素数1以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表し、Rは、炭素数3以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。
で表される炭素数1以上の直鎖または分岐の炭化水素基としては、炭素数1以上のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。例えば、メチル、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、メトキシエチル基、フルオロエチル基、ベンジル基、等が挙げられる。
で表される炭素数3以上の直鎖または分岐の炭化水素基としては、好ましくは炭素数3以上の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられ、炭素数3〜8の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、炭素数3〜6の直鎖または分岐のアルキル基が更に好ましい。例えば、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、メトキシブチル基、フルオロプロピル基、等が挙げられる。
本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例としては、1−エタンスルホニルプロパン、1−エタンスルホニル−2−メチルプロパン、1−プロピルスルホニルメタン、メチルイソプロピルスルホン、ジプロピルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジイソブチルスルホン、ブチルメチルスルホン、ブチルエチルスルホン、ブチルプロピルスルホン、ジ−t−ブチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、ヘキシルメチルスルホン、エチルヘキシルスルホン、ヘキシルプロピルスルホン、ブチルヘキシルスルホン、ジヘキシルスルホン、等を挙げることが出来る。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の添加量は、電解液層中の全溶媒の10質量%以上含有することが低温での表示画像の反射率が安定して発現する観点からより好ましい。
<<本発明のエレクトロクロミック化合物(以下、EC化合物ともいう)>>
本発明に係るEC化合物としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来る。このようなEC化合物としては、無機化合物、導電性高分子化合物、電気的な酸化還元により溶解析出する金属または金属をその分子構造中に有する化合物、および、有機色素、等が挙げられる。
<無機化合物>
無機化合物としては、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等が挙げられる。
<導電性高分子化合物>
導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリベンジジン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾール及びこれらの誘導体などが挙げられる。
<電気的な酸化還元により溶解析出する金属または金属をその分子構造中に有する化合物>
本発明のEC化合物として好ましく用いられる本発明の、電気的な酸化還元により溶解析出する金属または金属をその分子構造中に有する化合物としては、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属または金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種としては、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスであり、さらには、銀および/または銀塩化合物であることが好ましい。銀および銀塩化合物としては、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。銀塩化合物が電極上で溶解析出反応することで、コントラストが高い黒表示が可能となる。
表示デバイスにおいては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。
電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質の安定性が向上する。
電解質が銀塩化合物を含有している場合は、下記の一般式(II)で表される化合物を併用してもかまわない。
以下、一般式(II)で表される化合物について説明する。
〔一般式(II)で表される化合物〕
Figure 2011209373
式中、Xは硫黄原子もしくは酸素原子を表し、化合物中の少なくとも1つのXは硫黄原子である。n、mは1以上10以下、aは1以上50以下の整数を表す。
、R、R、R、R、Rは解離性プロトンを有していない置換基を表し、そのうちひとつはカルボニル基を含む。またそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれで連結して環状構造を形成していてもよい。
[]内は繰り返し単位を表し、繰り返されている場合、Xが表す原子はそれぞれ異なっていても良い。その場合、同様にRおよびRもそれぞれ異なっていても良く、mの表す整数も異なっていても良い。
一般式(II)において、R、R、R、R、R、Rで表される置換基としては、解離性プロトンを有していなければ、例えば下記の置換基が挙げられる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ジアリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジメシチルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、ジアルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル等)、ジアリールカルバモイル基(例えば、ジフェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル等)、ジアリールスルファモイル基(例えば、ジフェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、ジアルキルアミノカルボニル基(例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基等)、ジアリールアミノカルボニル基(例えば、ジフェニルアミノカルボニル基、ジトリルアミノカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基等)、カルボニル基、シアノ基、または複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)を挙げられるが、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基である。これらの置換基はさらに置換基を有していても良く、お互いに連結して縮合環を形成していてもよい。
一般式(II)において、Xは硫黄原子もしくは酸素原子を表し、化合物中の少なくとも一つのXは硫黄原子である。
一般式(II)において、aは繰り返し単位の数をあらわす。適度な溶解性を持つためには1〜50、好ましくは1〜10とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜6である。
[]内は繰り返し単位を表し、aが2以上の数を表す場合、Xが複数個存在することになるが、その場合のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、硫黄原子含有量が多いほど好ましい。またmが表す整数も同じであっても異なっていても良い。
上記の場合、R、Rも同様に複数個存在することになるが、その場合はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明のチオエーテル鎖の含有量は、化合物全体の30〜99質量%である。好ましくは33〜85質量%である。ここでチオエーテル鎖の含有量とは、一般式(II)で表される単位のXが硫黄原子である場合のその単位全体の、化合物全体の分子量に対する質量%をいう。
例えば、下記例示化合物A−1では、チオエーテル鎖は分子量が120(SCであり、分子全体は266であることから120/266×100=45質量%と計算する。
本発明のチオエーテル化合物が有していない、解離性プロトンを有する基とは、具体的には、例えばヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpKaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。
本発明のチオエーテル化合物においては、この解離性プロトンを有する基を、チオエーテル鎖、末端基、連結基等分子全体として有していない。
本発明のチオエーテル化合物においては、少なくとも一つのカルボニル基を有する。このカルボニル基は、化合物の末端基としてまたはチオエーテル鎖の置換基、末端基とチオエーテル鎖との連結基として存在していることが好ましい。カルボニル基は、R、Rが有していることが好ましい。
カルボニル基の数は1〜10、好ましくは2〜6が一分子中に存在することが好ましい。末端基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の解離性プロトンを有していない基であることが好ましい。
本発明のチオエーテル化合物において、カルボニル基とチオエーテル鎖は直接または、連結基で結合している。連結基は、2〜4価であることが好ましい。連結基は解離性プロトンを有していない基である。
本発明のチオエーテル化合物の使用により、金属塩(特に銀塩)の溶解析出を促進することが可能となり、すなわち、低電圧駆動時の書き換え速度の向上が達成される。さらには、ITO電極の電極腐食の抑制が可能となる。
一般に、金属の溶解析出を生じさせるためには、電解液中で金属を可溶化することが必要であり、例えば、金属と配位結合を生じさせ、金属と弱い共有結合を生じさせるような、金属と相互作用を示す化学構造種を含む化合物が有用であると考えられる。
金属種として特に銀に注目すると、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が銀と相互作用を示す化学構造種であると知られているが、本発明においては、アルキル鎖上に硫黄原子(チオエーテル鎖)、カルボニル基が置換した化合物が、銀溶剤として有用に作用し、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
チオエーテル化合物の使用量は、一般的には電解液層を構成する溶媒中に上限としては30モル/L以下、好ましくは20モル/L以下、さらに好ましくは10モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上である。
次に、一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
<有機色素>
本発明のEC化合物として好ましく用いられる本発明の有機色素としては、ロイコ染料、ビオロゲン等ピリジニウム系化合物、アジン系色素、アゾール系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素、ドナー/アクセプター型化合物類(例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン)、等が挙げられ、さらに、特開昭62−71934号、特開2006−71765号等に記載されている化合物、例えばテレフタル酸ジメチル(赤)、4,4′−ビフェニルカルボン酸ジエチル(黄色)、1,4−ジアセチルベンゼン(シアン)、或いは特開平1−230026号、特表2000−504764号等に記載されているテトラゾリウム塩化合物等も挙げることができる。
(ロイコ染料)
ロイコ染料としては、無色または淡色の電子供与性染料で、フェノール性化合物等の顕色剤、酸性物質、電子需要性物質により、発色する化合物である。ロイコ染料の具体例としては、部分骨格にラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン、エステルまたはアミド構造を有する実用上無色となりうる化合物が挙げられる。たとえば、トリアリルメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、フルオラン化合物、チアジン化合物、スピロピラン化合物等である。ロイコ染料は、前記化合物の中から適宜選択することにより、各種カラーの発色を行うことができる。したがって、該ロイコ染料を用いたエレクトロクロミック表示素子の表示色は、これにより適宜選択することができる。たとえばブラックに発色する染料を用いる場合は、白黒およびグレー表示が、可能となる。ロイコ染料の配合量は、ロイコ染料の溶解度に依存するため、一概に表すことは難しい。ロイコ染料は、発色のために充分な量が配合されている必要がある。溶解度が小さいロイコ染料の場合は、必要な量が含まれるように、画素の体積を大きくするなどして、配合量を調節する。たとえば、下記RD−11、RD−12およびRD−1であれば、組成物全体に対し、3〜20質量%とすることができる。
以下にロイコ染料の例を、その発色によって分類して示すが、これらは例示であるため、ロイコ染料を限定するものではない。
RD−1およびRD−2は、イエローに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
RD−3〜RD−5は、マゼンタに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
RD−6〜RD−9は、シアンに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
RD−10およびRD−11は、レッドに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
RD−12は、ブルーに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
RD−13およびRD−14は、ブラックに発色するロイコ染料である。
Figure 2011209373
(ビオロゲン等ピリジニウム系化合物)
ビオロゲン等ピリジニウム系化合物としては、例えば特表2000−506629号を初めとして下記特許に記載されている化合物が挙げられる。特開平5−70455号、特開平5−170738号、特開2000−235198号、特開2001−114769号、特開2001−172293号、特開2001−181292号、特開2001−181293号、特表2001−510590号、特開2004−101729号、特開2006−154683号、特表2006−519222号、特開2007−31708号、2007−171781号、2007−219271号、2007−219272号、特開2007−279659号、特開2007−279570号、特開2007−279571号、特開2007−279572号等。
以下に、本発明に用いることができるビオロゲン等ピリジニウム化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2011209373
Figure 2011209373
(アジン系色素、アゾール系色素)
本発明の有機色素として、更に、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系色素;イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等のアゾール系色素;等を好ましく用いることができる。
以下に、本発明に用いる事ができるアゾール系色素を例示する。本発明のEC色素として好ましい色素は下記一般式(L)で表される化合物である。
Figure 2011209373
以下、本発明に係る上記一般式(L)で表されるEC化合物について説明する。
上記一般式(L)において、Rlは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl、Rlは各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl、酸素原子または硫黄原子を表し、Rlは水素原子、または置換基を表す。
Rlが置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えば以下のような置換基が挙げられる。
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルフォニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
Rlとしては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
R1,Rlで表される置換基としては特に制限は無く、前記Rlのアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl,Rlは置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl,Rlは互いに連結して、環構造を形成しても良い。Rl,Rlの組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基、複素環基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基、複素環基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせである。
Xとして好ましくは>N−Rlである。Rlとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
一般式(L)で表されるアゾール色素の中でも、特に下記一般式(L2)で表されるイミダゾール系色素が特に好ましい。
Figure 2011209373
一般式(L2)に於いて、Rl21、Rl22は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アシル基、スルホンアミド基、スルファモイル基を表し、R123は芳香族基若しくは芳香族複素環基を表し、Rl24は水素原子、脂肪族基、芳香族基、芳香族複素環基を表し、Rl25は水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基を表す。
これらRl21からRl25で表される基は、更に任意の置換基で置換されていても良い。但しRl21からRl25で表される基の少なくとも1つは、その部分構造として−COOH、−P=O(OH)、−OP=O(OH)及び−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する。
一般式Rl21,Rl22で表される基としては、アルキル基(特に分岐アルキル基)、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基が好ましい。Rl23としては置換若しくは無置換のフェニル基、5員もしくは6員環複素環基(例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基等)が好ましい。Rl24としては置換若しくは無置換の、フェニル基、5員もしくは6員環複素環基、アルキル基が好ましい。Rl25としては特に水素原子若しくはアリール基が好ましい。
また一般式(L2)を電極上に固定する際、これらRl21からRl25で示される基の少なくともひとつに、部分構造として、−P=O(OH)、−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する事が好ましく、特にRl23若しくはRl24で示される基の部分構造として−Si(OR)(Rは、アルキル基を表す)を有する事が好ましい。
以下に、一般式(L2)で表されるEC色素の具体的化合物例、及び一般式(L2)には該当しないが、一般式(L)に含まれるEC色素の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
一般式(L2)で表される化合物の例示化合物
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
一般式(L)で表される化合物の例示化合物
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
本発明の表示素子においては、本発明に係るEC化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する基を有していることが好ましい。本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。本発明に係る吸着性基は、化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOM、−P=O(OM)、−OP=O(OM)及び−Si(OR)(Mはプロトン、アルカリ金属を表し、Rはアルキル基を表す)が好ましい。
本発明のエレクトロクロミック化合物は、電解液層中に含まれることができるが、電極上の多孔質層に含まれることが好ましい。
<<多孔質層>>
本発明の多孔質層とは、電極層の上に設けられた多孔質構造を有する層のことをいい、特にナノ多孔質構造を有するナノ多孔質層であることが好ましい。このナノ多孔質層は、表示素子を形成した際に実質的に透明で、エレクトロクロミック色素等の電気活性物質を担持することができる。
本発明でいうナノ多孔質化構造とは、層中にナノメートルサイズの孔が無数に存在し、ナノ多孔質化構造内を電解質中に含まれるイオン種が移動可能な状態のことを言う。
このようなナノ多孔質電極の形成方法としては、ナノ多孔質電極を構成する微粒子を含んだ分散物をインクジェット法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などで層状に形成した後に、所定の温度で加熱、乾燥、焼成することよって多孔質化する方法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などで電極層を構成した後に、陽極酸化、光電気化学エッチングすることによってナノ多孔質化する方法などが挙げられる。また、ゾルゲル法や、Adv.Mater.2006,18,2980−2983に記載された方法でも、形成することができる。
ナノ多孔質電極を構成する微粒子の主成分は、Cu、Al、Pt、Ag、Pd、Au等の金属やITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物やカーボンナノチューブ、グラッシーカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有カーボン等の炭素電極から選択することができ、好ましくは、ITO、SnO、TiO、ZnO等の金属酸化物から選択されることである。
ナノ多孔質電極が透明性を有するためには、平均粒子径が5nm〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。微粒子の形状は不定形、針状、球形など任意の形状のものを用いることができる。
ナノ多孔質電極の膜厚は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜5μmの範囲である。
多孔質層の詳細については、後述の(多孔質層(多孔質白色散乱層))において述べる。
<<酸化還元されうる補助化合物(プロモーター)>>
本発明の表示素子に於いては、エレクトロクロミック材料の電気化学反応を促進するために、前記EC化合物に加え、酸化還元されうる補助化合物(以下、プロモーターと記す)を添加しても良い。プロモーターは酸化還元反応の結果として、可視領域(400〜700nm)の光学濃度が変化しないものでも良いし、変化するもの、即ち前記EC化合物で有っても良く、電極上に固定化されていても良く、電解質中に添加されていても良い。これらプロモーターは例えば、対極反応物質としての利用或いは、酸化還元メディエーターとしての利用が考えられる。
例えば、表示電極側でEC化合物を酸化(或いは還元)発色させる場合、対向電極側でプロモーターの還元(或いは酸化)反応を利用する事によって、低い駆動電圧で高い発色濃度を得る事が可能と成る。このようにプロモーターを対極反応物質として利用する場合、EC化合物を表示電極上に固定化し、EC化合物とは逆の酸化還元活性を有するプロモーターを、対向電極上に固定化して用いる事が好ましい。
一方、酸化還元メディエーターは有機電解合成の分野等で一般に用いられている材料である。
本発明に用いる事が出来る好ましいプロモーターとしては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
1)TEMPO等に代表されるN−オキシル誘導体、N−ヒドロキシフタルイミド誘導体、ヒドロキサム酸誘導体等、N−O結合を有する化合物。
2)ガルビノキシル等、0−位に嵩高い置換基を導入したアリロキシ遊離基を有する化合物。
3)フェロセン等、メタロセン誘導体。
4)ベンジル(ジフェニルエタンジオン)誘導体。
5)テトラゾリウム塩/ホルマザン誘導体。
6)フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アクリジン等のアジン系化合物。
7)ビオロゲン等ピリジニウム化合物。
その他、ベンゾキノン誘導体、ベルダジル等ヒドラジル遊離基化合物、チアジル遊離基化合物、ヒドラゾン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアリルアミン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、チアントレン誘導体等もプロモーターとして用いる事ができる。
<<基板>>
本発明に係る表示素子に適用可能な対向基板としては、下記の各基板を挙げることができる。
本発明で用いることのできる基板のなかで、表示側基板は透明基板であることが好ましく、このような透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板などが好ましく用いられる。本発明に用いられる透明な基板とは、可視光に対する透過率が少なくとも50%以上の基板をいう。
また、対向基板としては、例えば、金属基板、セラミック基板等の無機基板など不透明な基板を用いることもできる。
また、本発明における「基板」としては、上記素材による基板上に、電極となる導電性層や、絶縁層などの各種機能層を有するものを含む。
(多孔質層(多孔質白色散乱層))
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から多孔質層(多孔質白色散乱層ともいう)多孔質白色散乱層を有することができる。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
<<電解質>>
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
本発明において用いられる電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO2)、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
<<溶媒>>
溶媒としては、本発明の一般式(1)の化合物に加え、一般に電気化学セルや電池に用いられ、本発明で用いられるエレクトロクロミック化合物を初め、電気化学的な酸化還元反応により可逆的に溶解析出する金属塩化合物、プロモーター等各種添加剤を溶解できる溶媒であれば本発明の効果が奏される範囲にていずれも使用することができる。本発明においては、電解液層中の全溶媒の10質量%以上本発明に係る一般式(I)で表される化合物(溶媒)を含有することが低温での表示画像の反射率が安定して発現する観点から好ましい。
該溶媒としては、具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、アセチルアセトン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、メチルピロリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリス(トリフフロロメチル)ホスフェート、トリス(ペンタフロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、4−メチル−2−ペンタノン、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリエチレングリコール類などが使用可能である。
さらに、常温溶融塩も溶媒として使用可能である。該常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明に用いる電解質溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートが好ましい。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
本発明において、好ましく用いられる溶媒は下記一般式(S1),(S2)で表される化合物(溶媒)である。
〔一般式(S1)、(S2)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2011209373
〔式中Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
Figure 2011209373
〔式中Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはCH2を表し、Rs11からRs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011209373
次いで、本発明に係る一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
前記一般式(S2)において、Rs21,Rs22は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2011209373
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electrolytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
<<ポリマー>>
・増粘
〔電解質へ添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、ポリマーを電解質に増粘剤として使用することができる。例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
<<電極>>
(表示側透明電極)
表示側の透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。
また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリセレノフェニレン等、およびそれらの修飾化合物を単独あるいは混合して用いることができる。
(対向電極)
表示側とは反対側の対向電極は、電気を通じるものであれば、特に制限されず用いることができる。前記透明電極と同じ材料に加え、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金、カーボン等、透明性を有しない材料でも好ましく用いることができる。
多孔質カーボン電極
吸着担持可能な多孔質炭素電極としては、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体や、ホウ素、窒素、りん等を炭素にドープして焼成した炭素化合物、等が挙げられる。炭素粒子の形状としては、メソフェーズ小球体、繊維状黒鉛が挙げられる。メソフェーズ小球体はコールタールピッチなどを350〜500℃で焼成することで得られ、これら小球体をさらに分級して高温焼成で黒鉛化すると良好な多孔質炭素電極が得られる。また、ピッチ系、PAN系、および気相成長繊維から、繊維状黒鉛を得ることができる。
グリッド電極(補助電極)
本発明に係る一対の対向する電極のうち少なくとも一方の電極に、補助電極を付帯させることができる。
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
<<TFT>>
TFTは液晶ディスプレイ等で用いられている公知の半導体製造技術で使用されている材料を適宜選択して用いることができ、さらに特開平10−125924号、同10−135481号、同10−190001号、特開2000−307172号等に記載されている有機化合物から成る有機TFTを用いてもよい。
<<電子絶縁層>>
本発明の表示素子においては、電子絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
<<シール剤/封止剤>>
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
<<スペーサー>>
基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。
また、柱状構造物により、基板間のギャップを保持することもできる。柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。
<<電気化学的な表示素子の駆動方法>>
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
<<光学部材(AR、AGなど)>>
表示素子の表面には、反射防止処理やアンチグレア処理を施すことができる。
反射防止処理は、表示素子表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《電極の作製》
(二酸化チタン分散物の調製)
水/エタノール混合溶液に、クラレポバールPVA235(クラレ社製、ポリビニルアルコール樹脂)を固形分濃度で2質量%になるように添加し、加熱溶解させた後、二酸化チタンCR−90(石原産業社製)を20質量%となるように超音波分散機で分散させて、二酸化チタン分散物を得た。
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、導電層としてピッチ145μm、幅130μmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成して、電極1を作製した。
(電極2の作製)
電極1のITO膜上に、前述した二酸化チタン分散物を乾燥後の平均膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷し、その後50℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、85℃の雰囲気中で1時間乾燥させて多孔質白色散乱層を形成した電極2を作製した。
(電極3(観察側電極)の作製)
電極1のITO膜上に、公知の方法に従いスパッタ法で酸化タングステンの膜(本発明のEC化合物)を平均膜厚が0.5μmとなるように成膜した。その後、公知の方法に従いフォトリソ法によりITO膜上以外の部分の酸化タングステン膜を取り除き電極3を作製した。
《電気化学表示素子(単に、表示素子ともいう)の作製》
(表示素子1の作製)
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、観察側電極を電極3として、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧し作製したセルに、ジメチルスルホキシド(本発明の一般式(1)の化合物の比較の化合物)2.5質量部中に、塩化ナトリウム0.1質量部とテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩0.025質量部とを溶解させた電解液を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止、表示素子1を得た。
(表示素子2〜4)
表示素子1の作製において電解液のジメチルスルホキシドを表1記載の化合物(本発明の一般式(1)の化合物)に変えた他は同様にして、表示素子2〜4を得た。
実施例2
(表示素子5の作製)
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、観察側電極を電極1として、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧し作製したセルに、ジメチルスルホキシド2.5質量部中に、塩化ビスマス0.1質量部(本発明のEC化合物)と塩化ナトリウム0.1質量部とテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩0.025質量部とを溶解させた、電解液を、真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止、表示素子5を得た。
(表示素子6、7の作製)
表示素子5の作製において、ジメチルスルホキシドを表2記載の化合物(本発明の一般式(1)の化合物)に変えた他は同様にして、表示素子6、7を得た。
(表示素子8)
表示素子5の作製において、表示素子5の電解液をイソブチルメタンスルホン(本発明の一般式(1)の化合物)2.5質量部にヨウ化銀0.3質量部(本発明のEC化合物)、ヨウ化リチウム0.25質量部とを溶解させた電解液に置き換えた他は同様にして表示素子8を得た。
実施例3
(表示素子9の作製)
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、観察側電極を電極1として、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧し作製したセルに、ジメチルスルホキシド2.5質量部中に、化合物V1(本発明のEC化合物)0.2質量部、と塩化ナトリウム0.1質量部とを溶解させた電解液を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し表示素子9を得た。
(表示素子10〜15)
表示素子9の作製において、表示素子9の電解液のジメチルスルホキシドと化合物V1を表3記載の「本発明の一般式(1)の化合物」と「本発明のEC化合物」とに代えた他は同様にして表示素子10〜15を得た。
(表示素子16)
化合物V1(本発明のEC化合物)を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液を調製し、電極1を室温で一晩浸漬した後、電極を取り出してエタノールで洗浄し、その後80℃で5分間乾燥して溶媒を蒸発させて電極1′を作製した。
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、先ほど作製した電極1′を観察電極として、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧し作製したセルに、イソブチルメタンスルホン(本発明の一般式(1)の化合物)2.5質量部中に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.3質量部溶解させた電解液を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し表示素子16を得た。
(表示素子17)
表示素子16の化合物V1を表3記載の化合物に代えた他は同様にして表示素子17を得た。
(表示素子18)
化合物V1(本発明のEC化合物)を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させたインク液に、電極1上に、厚み2μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)の多孔質膜をスピンコート法で形成した電極を室温で一晩浸漬した後、電極を取り出してエタノールで洗浄し、その後80℃で5分間乾燥して溶媒を蒸発させて電極1″を作製した。
電極2の周辺部を、平均粒径40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした後に、先ほど作製した電極1″を観察電極として、それぞれストライプ状の電極が直交するように貼り合わせ、さらに加熱押圧し作製したセルに、イソブチルメタンスルホン(本発明の一般式(1)の化合物)2.5質量部中に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.3質量部溶解させた電解液を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し表示素子18を得た。
(表示素子19〜26)
表示素子18の化合物V1を表3記載の化合物に代え、電解液の溶媒イソブチルメタンスルホンを表3記際の化合物に代えた他は同様にして表示素子19〜26を得た。
《評価方法》
表示素子を25℃で1日放置した後、この温度で、定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、表示側の電極に+1.5Vの電圧を2秒間印加した後に−1.5Vの電圧を1秒間印加してカラーを表示させたときの極大波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで順次測定し、同様な駆動条件で合計10回駆動させ、発色状態での最大吸収波長における反射率の平均をR1とした。
この状態で1000回駆動を繰り返し、発色状態での最大吸収波長における反射率を同様に測定し、発色状態での最大吸収波長における反射率の平均をR2とし、(R2/R1):室温での反射率の変動(比1)、を計算した。
今回の表示素子は、いずれも比1が0.8〜1.0の間であり、本駆動では室温での反射率が安定していることを確認した。
この表示素子を−10℃で1日調温したのち、この温度で+1.8Vの電圧を2秒間印加した後に−1.8Vの電圧を1秒間印加してカラーを表示させたときの極大波長波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで順次測定し、同様な駆動条件で合計10回駆動させ、最大吸収波長における反射率の平均値のR3とした。この状態で1000回駆動を繰り返し、発色状態での最大吸収波長における反射率を同様に測定し、発色状態での最大吸収波長における反射率の平均をR4とし、(R4/R3):低温(−10℃)での反射率の変動(比2)、を計算し、表1〜3に示す。比2の値が高い方が発色状態での表示画像の反射率がより安定していることを示す。
Figure 2011209373
Figure 2011209373
Figure 2011209373
表1〜表3から明らかなように、本発明の表示素子は、低温で電圧を上げて連続駆動しても、発色状態での表示画像の反射率の変動が少ないことがわかる。また、本発明の一般式(1)の化合物を電解液層に含有し、且つ本発明のEC化合物を多孔質電極(観察電極)に固定した場合(試料18〜26)が、特により優れた結果となることがわかる。

Claims (5)

  1. 一対の対向する電極間に電解液層を有し、かつ電圧を印加することにより画像を表示する電気化学表示素子において、
    該電解液層中に下記一般式(I)で表される化合物を含有し、該電極上または該電解液層中にエレクトロクロミック化合物を有することを特徴とする電気化学表示素子。
    一般式(I)
    −SO−R
    (式中、Rは、炭素数1以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表し、Rは、炭素数3以上の直鎖または分岐の炭化水素基を表す。)
  2. 前記エレクトロクロミック化合物が、電気的な酸化還元により溶解析出する金属または金属をその分子構造中に有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
  3. 前記エレクトロクロミック化合物が、有機色素であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
  4. 前記有機色素が、−COOM、−P−O(OM)及び−Si(OR)(ここで、Mはプロトンまたはアルカリ金属を表し、Rはアルキル基を表す。)から選ばれる少なくとも1つの基を有することを特徴とする請求項3に記載の電気化学表示素子。
  5. 前記エレクトロクロミック化合物が、前記電極上の多孔質層に含まれることを特徴とする請求項4に記載の電気化学表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017111389A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 株式会社リコー エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、並びに表示装置、情報機器、及びエレクトロクロミック調光レンズ

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