JPWO2011114574A1 - 永久磁石式同期モータ - Google Patents
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Abstract
Description
この種のコギングトルクは、ロータの機械的な1回転につき、ステータのスロット数と永久磁石の磁極数との最小公倍数の脈動が発生することに起因しており、コギングトルクの大きさは、脈動数に反比例する。
通常、永久磁石式同期モータのコギングトルクを抑制するためには、ステータのスロット数と永久磁石の磁極数との最小公倍数の大きな組み合わせを選ぶ必要がある。
また、特許文献1のようにスキューを設けた場合においても、スキューの電気角度が浅い(20度〜40度程度)ことから、十分にコギングトルクを抑制することができないという課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係る永久磁石式同期モータの基本構造を示す断面図であり、ロータ軸方向に対して垂直な断面を示している。
図1において、回転シャフトからなるロータ1の外周部には、複数極(ここでは、10極)のリング磁石(永久磁石)11が一体的に形成されている。
図2は図1内のステータ2を焼嵌などによって固定するためのフレーム3を示す断面図であり、フレームの軸方向に垂直な断面を示している。
図2のように、内側と外側とで形状が異なるフレーム3を用いた場合には、内径部31にステータ2を焼嵌する際に、ステータ2に加わる応力が異なることから、焼嵌応力によってステータ2のコア部のBHカーブが変化する。
ここでは、リング磁石11(ロータ1)の磁極数が10個なので、モータ駆動用の通電電流の周波数を1fとした場合、10個の脈動成分は電気角的にいうと「2f成分」となり、20個の脈動成分は「4f成分」となる。
図3において、コギングトルクの振幅は、ステータ2を四角形状のフレーム3内に焼嵌することや、ステータ2の圧延方向(図5とともに後述する)などの磁気的な非対称性によって、複数回変動する。
ここでは、永久磁石式同期モータが磁極数「10極」とスロット数「12スロット」との組み合わせであることから、図4においては、ロータ1の着磁ばらつきなどによって、ロータ1が機械的に1回転する間に「12個」および「24個」の脈動が生じる。
ただし、図4に示すように、焼嵌応力によって生じた磁気的なアンバランスによって、「20個」の脈動成分(電気的な4f成分)が大きく発生している。
一般に、電気モータにおいては、ステータ2に発生する渦電流損を低減するために、電磁鋼板を積上げられて製作されるが、電磁鋼板には、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがある。
これら電磁鋼板のいずれの場合も、コア組を形成する帯板段階において、その発生量は異なるものの、圧延方向と非圧延方向とに起因すると考えられる「結晶形の差異による磁気的方向性」が現れ、鉄損および磁束密度が、圧延方向と非圧延方向とで異なっている。
このように磁気的方向性の違いによって発生するコギングトルクも、図3および図4に示したように、20個の脈動成分が大きく生じる。
図6は一般的なリング磁石11を軸方向から見た斜視図であり、スキュー角度θが0度(スキュー無し)の状態を示している。
図7はこの発明の実施の形態1によるスキューを設けたリング磁石11およびロータ1を示す斜視図である。
なお、図7のようなスキュー構成は、リング磁石11を着磁する際に、着磁ヨーク(図示せず)の形状にあらかじめスキュー角度θを設けておくことにより、実現することができる。
図8は図7のロータ1を用いた場合のコギングトルク特性を示す説明図であり、スキュー角度θ(横軸)と、20個の脈動成分のコギングトルクの大きさ(縦軸)との関係を示している。
なお、図7に示すスキュー角度θは機械角度で示しているが、図8に示すスキュー角度は電気角度で示している。
一方、前述の特許文献1の場合には、スキュー角度θが小さい領域(20度〜40度の電気角度)に設定されているので、4f成分を十分に抑制することはできない。
図9から明らかなように、スキュー角度θが0度から大きい値になるほど、モータ出力は低下するので、スキュー角度θを過大に大きく設定することはモータ出力の低下につながる。
これにより、モータ出力を大きく低減せずに、コギングトルクの4f成分を十分に低減することが可能となる。
これにより、コギングトルクの4f成分および2f成分を抑制し、特に、ステータ2のばらつきに起因して発生するコギングトルクの4f成分を確実に抑制することができる。
なお、上記実施の形態1(図7)では、単一方向の連続スキューを設けたが、図10のように、連続スキューを中央部で対称的に折り返して、ロータ1の回転方向に対するスキュー角度θの始まりの位置と終わりの位置とが等しくなるように、連続スキューを設けてもよい。
すなわち、図10のように、リング磁石11の軸方向の端部の磁極間の位置が同一となり、かつ軸方向の中央部分の磁極間の位置がスキュー角度θだけずれるように、着磁を行うことにより、軸方向にかかるスラスト力を無くすことが可能となる。
続いて、図12の展開図のように、着磁後の2個のリング磁石11を、軸方向に組み合わせて一体化することにより、図10のリング磁石11を製作することが可能となる。
なお、上記実施の形態1、2(図7、図10)では、連続スキューを設けたが、図14のように、段スキューを設けてもよい。
図14はこの発明の実施の形態3に係る永久磁石式同期モータのロータ1およびリング磁石11を示す斜視図であり、前述と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。また、この発明の実施の形態3の全体構成は、図1に示した通りである。
図15は図14内のリング磁石11(ロータ1)の製法を説明するための展開図である。
図16において、スキュー角度θに対するモータ出力特性は、前述の実施の形態1(図9)の場合よりも向上している。
したがって、この発明の実施の形態3(図14)のような段スキューを設けることにより、モータ出力を低下させることなく、コギングトルクの4f成分を低減することが可能となる。
図17はこの発明の実施の形態3による他の構成例を示す断面図であり、セグメント磁石12を用いた永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示している。
図19はこの発明の実施の形態3によるセグメント磁石12に段スキューを設けた(磁極間の位置をシフトした)状態を示す斜視図である。
なお、図14〜図19においては、リング磁石11またはセグメント磁石12(ロータ1)の磁極数が10極の場合を示しているが、これに限定されることはなく、前述と同様に、Z/{3(相)×2P}の値が2/7となる14極のロータ1と組み合わせて、14極12スロットのモータ構成であってもよい。
これにより、前述の実施の形態1、2と同様に、コギングトルクの4f成分を十分に抑制するとともに、段スキューにおけるモータ出力特性(図16)のように、前述の連続スキューを設けた場合よりも基本波の低減を小さくできるので、出力特性を向上させることも可能となる。
なお、上記実施の形態3(図14、図19)では、2段のリング磁石11またはセグメント磁石12を用いて段スキューを形成したが、図20、図21のように、3段のリング磁石11a〜11cまたはセグメント磁石12a〜12cを用いて、中央部で対称関係となるように段スキューを形成し、前述の実施の形態2と同様に、ロータ1の回転方向に対するスキュー角度θの始まりの位置と終わりの位置とが等しくなるように構成してもよい。
また、軸方向の中央部のリング磁石11b(セグメント磁石12b)の回転方向位置は、両端部の磁石に対してスキュー角度θだけシフトされている。
特に、両端部の磁石長さの和(Ha+Hc)と、中央部の磁石長さHbとを同一値に設定することにより、スラスト力を確実に相殺することができる。
また、ここでは、3段の段スキューを構成したが、スキュー角度の始まりの位置と終わりの位置とが等しくなればよく、任意数の(2n+1)段(nは自然数)で構成することが可能である。
なお、上記実施の形態1〜4(図7〜図21)においては、コギングトルクの4f成分を抑制するために、ロータ1側にスキューを設けたが、図22〜図33に示すように、ステータ2側(ステータスロット21)にスキューを設けてもよい。
この場合、ロータ1としては、たとえば、スキューが設けられていない構成(図6、図18参照)も適用可能となる。また、この発明の実施の形態5の全体構成は、図1に示した通りである。
また、図23は連続スキューを設けた場合のステータスロット21の1ティースの軸方向下端部の断面形状を示す断面図である。
図24において、ステータスロット21の1ティース形状は、ティース端面のみが軸方向に変化することにより連続スキューを形成しており、前述と同様のスキュー角度θを有している。
図22〜図26に示すステータスロット21を用いた永久磁石式同期モータにおいて、スキュー角度θに対するコギングトルクの関係は、前述の図8に示した通りである。
図28は図27のステータスロット21の端面形状を平面的に示す展開図である。
図29は段スキューを設けた場合のステータスロット21の1ティースを示す斜視図であり、ティースの中央部分でティース端面形状が変化した状態を示している。
図29において、ステータスロット21のティース端面は、軸方向に対してティース中央部分以降で点対称形状となっている。
図30において、ステータスロット21の各ティースは、軸方向の中心部分まで同一形状となるので、多くの金型を持つ必要がなくなる。
図30、図31のように、各ティースの中央部分で端面形状が切り替わる場合においても、前述と同様に、スキュー角度θに対するコギングトルクの4f成分を十分に抑制することができる。
図32において、ステータスロット21の各ティースの端面は、軸方向の上側と下側とで同一位置にあり、ティース中央部分は異なる位置関係にある。
図33は図32のステータスロット21の端面形成を平面的に示す展開図である。
また、図32のステータ形状とすることのより、スキューによってロータ1に発生するスラスト力を無くすことが可能となる。
また、ロータ1側にもスキューを設けた場合には、別のコギングトルクの成分を抑制することができ、さらにコギングトルクを低減することが可能となる。
さらに、図32のように、連続スキューまたは段スキューにおいて、スキュー角度の始まりの位置と終わりの位置とを、ロータ1の回転方向に関して等しくなるように設定することにより、スラスト力の発生を抑制することができる。
Claims (6)
- 円環状に形成されて巻線が施されたZ個(Zは自然数)のステータスロットと、
前記ステータスロットの円環状内に配置されたロータと、
前記ロータと一体構成されて前記ステータスロットと対向するように配置された2P極(Pは自然数)の永久磁石と
を備え、Z/{3(相)×2P}の値が2/5または2/7となるように構成された永久磁石式同期モータにおいて、
前記永久磁石の前記ステータスロットとの対向面には、前記ロータの軸方向に対して電気角度が42度〜128度となる連続スキューが設けられたことを特徴とする永久磁石式同期モータ。 - 前記連続スキューは、前記ロータの軸方向のスキュー角度の始まりの位置と終わりの位置とが、前記ロータの回転方向に関して等しくなるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式同期モータ。
- 円環状に形成されて巻線が施されたZ個(Zは自然数)のステータスロットと、
前記Z個のステータスロットの円環状内に配置されたロータと、
前記ロータと一体構成されて前記ステータスロットと対向するように配置された2P極(Pは自然数)の永久磁石と
を備え、Z/{3(相)×2P}の値が2/5または2/7となるように構成された永久磁石式同期モータにおいて、
前記永久磁石の前記ステータスロットとの対向面には、前記ロータの軸方向に対して電気角度が42度〜128度となるように、少なくとも2段以上の段スキューが設けられたことを特徴とする永久磁石式同期モータ。 - 前記段スキューは、2n+1段(nは自然数)で構成され、スキュー角度の始まりの位置と終わりの位置とが、前記ロータの回転方向に関して等しくなるように設けられたことを特徴とする請求項3に記載の永久磁石式同期モータ。
- 円環状に形成されて巻線が施されたZ個(Zは自然数)のステータスロットと、
前記Z個のステータスロットの円環状内に配置されたロータと、
前記ロータと一体構成されて前記ステータスロットと対向するように配置された2P極(Pは自然数)の永久磁石と
を備え、Z/{3(相)×2P}の値が2/5または2/7となるように構成された永久磁石式同期モータにおいて、
前記永久磁石に対向する前記ステータスロットの先端形状には、前記ロータの軸方向に対して電気角度が42度〜128度となる連続スキューまたは段スキューが設けられたことを特徴とする永久磁石式同期モータ。 - 前記連続スキューまたは前記段スキューは、スキュー角度の始まりの位置と終わりの位置とが、前記ロータの回転方向に関して等しくなるように設けられたことを特徴とする請求項5に記載の永久磁石式同期モータ。
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