JPWO2011114473A1 - 電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明によると、電池用電極を製造する方法が提供される。この方法は、バインダ54を含むバインダ溶液50であって集電体10表面との接触角が73°以下となるように調整されたバインダ溶液50を集電体10表面に塗布してバインダ溶液層56を形成する工程と、バインダ溶液層56の上から活物質22を含む合材ペースト40を塗布することによって、バインダ溶液層56と合材ペースト層46とを集電体10上に堆積する工程と、堆積したバインダ溶液層56と合材ペースト層46とを共に乾燥させることによって、集電体10上に合材層20が形成された電極30を得る工程とを包含する。
Description
本発明は、電池用電極を製造する方法に関し、特に電極活物質を含む電極合材層が集電体に保持された構成を有する電池用電極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。この種の二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備える。例えば、負極に用いられる電極活物質(負極活物質)の代表例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料が例示される。また、負極に用いられる電極集電体(負極集電体)の代表例としては、銅または銅合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。
かかる構成を有する負極を製造するにあたって負極集電体に負極活物質を保持させる代表的な方法の一つとして、負極活物質の粉末とバインダ(結着剤)を適当な媒体に分散させた合材ペーストを負極集電体(銅箔等)に塗布し、これを熱風乾燥機等に通過させて乾燥させることにより負極活物質を含む層(負極合材層)を形成する方法が挙げられる。この場合、負極合材層中のバインダは、負極活物質同士を結着するとともに負極合材層と負極集電体間を結着する役割も担っている。また、負極合材層中のバインダは、負極合材層を負極集電体に結着する役割も有する。この種の電極の製造に関する技術文献としては特許文献1〜5が挙げられる。
しかしながら、上記負極を製造するにあたって負極活物質粉末とバインダを含有する合材ペーストを負極集電体に塗布して高速で乾燥させると、乾燥中に対流が発生し、集電体近傍のバインダがペースト塗布物の表層部(集電体の反対側)に集まる(浮き上がる)ため、集電体近傍のバインダ量が少なくなり、結果として、負極集電体と負極合材層の接着強度(密着性)が低下するという問題がある。負極集電体と負極合材層の接着強度が低下すると、その後の製造工程(例えば負極シートと正極シートを渦巻き状に捲回する工程)や電池使用時に負極集電体から負極合材層が浮き上がったり剥がれ落ちたりするので、電池性能を低下させる要因となり得る。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、集電体と合材層との接着強度(密着性)を高めることができる電池用電極の製造方法を提供することである。
本発明によると、活物質とバインダを含む合材層が集電体に保持された構成の電池用電極を製造する方法が提供される。この方法は、バインダを含むバインダ溶液であって集電体表面との接触角が73°以下となるように調整されたバインダ溶液を集電体の表面に塗布してバインダ溶液層を形成する工程と、上記バインダ溶液層の上から活物質を含む合材ペーストを塗布することによって、上記バインダ溶液層と合材ペースト層とを集電体上に堆積する工程と、上記堆積したバインダ溶液層と合材ペースト層とを共に乾燥させることによって、上記集電体上に合材層が形成された電極を得る工程とを包含する。
本発明の方法によれば、集電体の表面にバインダ溶液層を形成し、その上に合材ペースト層を堆積して共に乾燥させるので、乾燥後に得られた合材層と集電体表面との界面にバインダ溶液層中のバインダが多く配置される。そのため、集電体に対して密着性のよい合材層を備えた電極を製造することができる。
また、本発明によれば、バインダ溶液として集電体表面との接触角が73°以下のものを使用する。これにより、バインダ溶液の集電体表面に対する濡れ性が高まるので、集電体上にバインダ溶液層を濡れムラなく安定して保持できるようになる。これにより、バインダ溶液層上に堆積した合材ペースト層がバインダ溶液層上で滑らなくなるので、合材ペースト層を平滑に(均一な厚みで)塗布できるようになり、結果、凹凸が小さく平滑性の良い合材層が得られる。即ち、本発明によれば、集電体との密着性が良好で、かつ、平滑性のよい合材層を備えた電極を製造することができる。このような電極を用いれば、サイクル耐久性が高い、出力特性に優れる、電極の生産性が良い、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たす電池を構築できる。
また、本発明によれば、バインダ溶液として集電体表面との接触角が73°以下のものを使用する。これにより、バインダ溶液の集電体表面に対する濡れ性が高まるので、集電体上にバインダ溶液層を濡れムラなく安定して保持できるようになる。これにより、バインダ溶液層上に堆積した合材ペースト層がバインダ溶液層上で滑らなくなるので、合材ペースト層を平滑に(均一な厚みで)塗布できるようになり、結果、凹凸が小さく平滑性の良い合材層が得られる。即ち、本発明によれば、集電体との密着性が良好で、かつ、平滑性のよい合材層を備えた電極を製造することができる。このような電極を用いれば、サイクル耐久性が高い、出力特性に優れる、電極の生産性が良い、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たす電池を構築できる。
上記集電体表面とバインダ溶液との接触角は、概ね73°以下にすることが適当であり、通常は70°以下にすることが好ましく、例えば66°以下にすることがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものにすることができる。上記接触角の下限値は特に制限されないが、例えば60°程度である。この範囲よりも小さすぎると、下層液(バインダ溶液層)の表面張力が上層液(合材ペースト層)に比べて低くなりすぎて平滑に塗工できない場合がある。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記合材ペースト層を、該合材ペースト層の塗工端部が上記バインダ溶液層の塗工端部よりも外方にはみ出すように堆積する。このことによって、合材ペースト層の塗工端部がバインダ溶液層の塗工端部の表面張力の影響を受けにくくなるため、合材ペースト層の塗工端部の形状(延いては合材層の端部形状)を良好にすることができる。好ましくは、上記合材ペースト層の塗工端部が上記バインダ溶液層の塗工端部よりも0.1mm以上(例えば0.1mm〜1.8mm又はそれ以上)はみ出すように堆積するとよい。或いは、上記塗工端部よりも1.8mm以上(例えば1.8mm〜5mm又はそれ以上)はみ出すように堆積するとよい。或いは、上記塗工端部よりも5mm以上はみ出すように堆積してもよい。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記バインダ溶液層を、3μm以下の厚みに形成する。このことによって、バインダ溶液層上に堆積した合材ペースト層が滑りにくくなるので、合材層の平滑性がさらに良好になる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、合材ペースト層の乾燥速度を設定するにあたって対流によるバインダの偏析を考慮しなくてもよいため、合材ペースト層中の溶媒を高速で乾燥できる。例えば、合材ペースト層中の溶媒を、液面面積1m2当たり3.0ml/s以上(すなわち3.0ml/s・m2以上)、例えば3.2ml/s・m2〜5.0ml/s・m2(好ましくは4.0ml/s・m2〜5.0ml/s・m2)の速度で揮発させることができ、生産性が飛躍的に向上する。
本発明によると、また、ここに開示される上記何れかの方法により得られた電極を用いて構築された電池(例えばリチウム二次電池)が提供される。かかる電池は、上記電極を少なくとも一方の電極に用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記電極を用いて電池を構築することにより、サイクル耐久性が高い、出力特性に優れる、生産性が良い、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たす電池を提供することができる。
このような電池は、例えば自動車等の車両に搭載される電池として好適である。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかの電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を備える車両が提供される。特に、軽量で高出力が得られることから、上記電池がリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)であって、該リチウム二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好適である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解質の構成および製法、電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
ここに開示される電極製造方法は、図1に示すように、活物質22と第1バインダ54を含む合材層20が集電体10に保持された構成を有する電極30の製造方法である。この合材層20は、活物質22を含む合材ペーストを集電体10に付与して乾燥させることによって形成されたものである。
本実施形態の電極製造方法では、まず、図2に示すように、バインダ54を含むバインダ溶液50であって集電体10表面との接触角が73°以下となるように調整されたバインダ溶液50を用意する。次いで、図3に示すように、バインダ溶液50を集電体10表面に塗布してバインダ溶液層56を形成する。次いで、図4に示すように、バインダ溶液層56の上から活物質22を含む合材ペースト40を塗布することによって、バインダ溶液層56と合材ペースト層46とを集電体10上に堆積する。次いで、図5に示すように、堆積したバインダ溶液層56と合材ペースト層46とを共に乾燥させることによって、集電体10上に合材層20が形成された電極30を得る。
本実施形態の構成によれば、集電体10の表面にバインダ溶液層56を形成し、その上に合材ペースト層46を堆積して共に乾燥させるので、乾燥後に得られた合材層20と集電体10との界面にバインダ溶液層56中のバインダ54が多く配置される。そのため、集電体10に対して密着性のよい合材層20を備えた電極30を製造することができる。
また、本実施形態によれば、バインダ溶液50として集電体表面との接触角が73°以下のものを使用する。これにより、バインダ溶液50の集電体表面に対する濡れ性が高まるので、集電体10上にバインダ溶液層56を濡れムラなく安定して保持できるようになる。これにより、バインダ溶液層56上に堆積した合材ペースト層46を目的の位置に安定して保持できる(例えばバインダ溶液層の濡れムラに起因して合材ペースト層がバインダ溶液層上から滑り落ちたりするのを解消できる)ので、合材ペースト層46を均一な厚みで塗布できるようになる。このことによって、凹凸が小さく平滑性の良い合材層30が得られる。
上記集電体表面とバインダ溶液との接触角θは、概ね73°以下にすることが適当であり、通常は70°以下にすることが好ましく、例えば66°以下にすることがより好ましい。これにより、上述した効果をより顕著なものにすることができる。上記接触角θの下限値は特に制限されないが、例えば60°程度である。この範囲よりも小さすぎると、下層液(バインダ溶液層)の表面張力が上層液(合材ペースト層)に比べて低くなりすぎて平滑に塗工できない場合がある。
接触角θが上記好適範囲を満たすバインダ溶液は、例えば、バインダ溶液中の固形分率を適切に調整することにより実現され得る。例えば、バインダ溶液50は、バインダ54を所定の溶媒52に分散させることにより調製され得る。この場合、所定の溶媒52に分散させるバインダ54の量を適切に調整することにより、接触角θをここに開示される好適な範囲に調整することができる。接触角θを適切な範囲に調整する他の方法としては、バインダ溶液を構成する材料を適切に選択する方法が挙げられる。例えば、バインダ溶液を構成するバインダ及び溶媒の材質を適切に選択することにより、接触角θをここに開示される好適な範囲に調整することができる。その他、接触角θを適切な範囲に調整する方法としては、集電体表面に親水化処理(例えば大気コロナ放電処理)を施す、バインダ溶液に界面活性剤を添加する等の方法を採用することができる。上述した接触角θの調整方法は、それぞれ単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記バインダ溶液に用いられる溶媒52の好適例としては、水系溶媒が挙げられる。水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒が好ましく用いられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の50質量%以上(より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。なお、バインダ溶液は水系溶媒に限定されず、非水系溶媒(バインダの分散媒が主として有機溶媒)であってもよい。非水系溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
上記バインダ溶液に用いられるバインダ(第1バインダ)54としては、典型的なリチウム二次電池用電極に用いられるものと同じであればよく特に制限されない。例えば、水系の溶媒(バインダの分散媒として水または水を主成分とする混合溶媒を用いた溶液)を用いて上記バインダ溶液層を形成する場合には、上記バインダとして、水に分散または溶解するポリマーを好ましく採用し得る。水に分散または溶解するポリマーとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリアクリル酸(PAA)、等が例示される。あるいは、溶剤系の溶媒(バインダの分散媒が主として有機溶媒である溶液)を用いてバインダ溶液層を形成する場合には、溶剤系の溶媒に分散または溶解するポリマーを用いることができる。溶剤系溶媒に分散または溶解するポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、等が例示される。
上記バインダ溶液の固形分率は、凡そ6質量%〜40質量%にすることが適当である。バインダ溶液の固形分率が大きすぎると、下層液(バインダ溶液層)が上層液(合材ペースト層)に比べて界面張力が低下するので、バインダ溶液層と合材ペースト層とが混ざり合い、適切に二層塗工できない場合がある。その一方で、バインダ溶液の固形分率が小さすぎると、バインダ溶液層と合材ペースト層との間の界面張力が増大するので、合材ペースト層がバインダ溶液層上で弾かれてしまい、平滑に塗布できない場合がある。したがって、上記バインダ溶液の固形分率は、凡そ6質量%〜40質量%にすることが適当であり、通常は6質量%〜18質量%にすることが好ましく、例えば9質量%〜13質量%にすることがより好ましい。
上記バインダ溶液を集電体に付与(塗布)する操作は、一般的な流体の塗布技術、例えば印刷法(インクジェット、凸版、グラビア、スクリーン等)、ディスペンサ法、スプレー噴霧法、ナノワイヤーコート法等を用いて行うことができる。ここに開示される技術において集電体上にバインダ溶液を塗布する方法として、ディスペンサ法を用いて集電体上にバインダ溶液を塗布する方法が挙げられる。これにより、均一な厚さのバインダ溶液層56を形成することができる。
上記バインダ溶液層56は、集電体10の表面のうち、少なくとも合材層20が形成される範囲を包含するように設けられることが好ましい。例えば、集電体10の片面のみ(該片面の一部であってもよく全範囲であってもよい。)に合材層40が形成される場合には該片面の合材層20が形成される範囲に亘ってバインダ溶液層56を形成する態様を、また該集電体10の両面に上記合材層20が形成される場合には該両面の合材層20が形成される範囲に亘って上記バインダ溶液層56を設ける態様を採用することができる。
上記バインダ溶液の塗布量(単位面積あたりの塗布量)としては特に限定されないが、バインダ溶液の塗布量が少なすぎると、バインダ溶液層中のバインダ量が減りすぎて集電体と合材層の接着強度を高める効果が得られない場合がある。一方、バインダ溶液の塗布量が多すぎると、バインダ溶液層中のバインダの量が増えすぎて集電体と合材層の界面抵抗が増大する場合がある。したがって、バインダ溶液の塗布量は、固形分に換算して(すなわち乾燥後のバインダの質量に換算して)、凡そ0.01mg/cm2〜0.05mg/cm2程度、通常は0.02mg/cm2〜0.03mg/cm2となるように調整することが好ましい。
ここに開示される好ましい一態様では、図6に示すように、バインダ溶液層56の厚みDが3μm以下となるように形成する。この構成によれば、集電体10の表面張力の影響が発現するので、バインダ溶液層上に形成した合材ペースト層が滑りにくくなる。そのため、合材ペースト層をより平滑に塗布することができる。バインダ溶液層56の厚みDは、概ね3μm以下にすることが適当であり、通常は2.5μm以下にすることが好ましく、例えば1.5μm以下(例えば0.1μm〜1.5μm程度)にすることがより好ましい。
このようにしてバインダ溶液層56を形成したら、次に、図4に示すように、バインダ溶液層56の上から合材ペースト40を塗布することによって、バインダ溶液層56と合材ペースト層46とを集電体10上に堆積する。
上記合材ペーストは、活物質(典型的には粉末状)22と、必要に応じて使用される他の合材層形成成分(例えば第2バインダ44)とを適当な溶媒42中で混合することにより調製され得る。
上記活物質(典型的には粉末状)22としては、典型的なリチウムイオン二次電池に用いられるものと同じであればよく特に限定されない。例えば、負極に用いられる負極活物質22の代表例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が例示される。
上記合材ペーストは、活物質粉末22の他に、一般的な電極の製造において合材層形成用の合材ペーストに用いられる材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の代表例として導電材およびバインダ(第2バインダ)44が挙げられる。上記導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。上記バインダ44は、活物質粒子同士を結着する役割を担っている。このバインダ44は、バインダ溶液層56に含まれるバインダ54と同じ材料であってもよく異なる材料であってもよい。
上記合材ペーストに用いられる溶媒42の好適例としては、水または水を主体とする混合溶媒(水系溶媒)が挙げられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。溶媒42は水系溶媒に限定されず、非水系溶媒であってもよい。非水系溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
特に限定するものではないが、合材ペーストの固形分率は凡そ30%以上(典型的には30%〜90%)であることが好ましく、凡そ40%〜60%であることが好ましい。また、合材ペーストの固形分全体に占める活物質の割合は凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ75〜90質量%であることが好ましい。また、合材ペーストの固形分全体に占めるバインダ(第2バインダ44)の割合は凡そ7質量%以下とすることが好ましく、凡そ5質量%以下(例えば凡そ1〜5質量%)とすることが好ましい。また、導電材を含む合材ペーストでは、該合材ペーストの固形分全体に占める導電材の割合を例えば3〜25質量%とすることができ、凡そ3〜15質量%であることが好ましい。
このような合材ペースト40を集電体10に付与(典型的には塗布)する操作は、該集電体として前述のように表面にバインダ溶液層56が形成されたものを用いる点以外は従来の一般的なリチウム二次電池用電極の作製と同様にして行うことができる。例えば、合材ペースト層46は、適当な塗布装置(ダイコーター等)を使用して、上記バインダ溶液層56の上から集電体10に所定量の合材ペースト40を塗布することにより形成され得る。本実施形態においては、バインダ溶液として集電体表面との接触角が73°以下のものを使用するので、バインダ溶液の集電体表面に対する濡れ性が高まり、集電体10上に堆積したバインダ溶液層56を目的に位置に濡れムラなく安定して保持することができる。このことによって、バインダ溶液層56上に形成した合材ペースト層46も滑りにくくなるので、合材ペースト層46を平滑に(均一な厚みで)塗布することができる。
ここに開示される好ましい一態様では、図6に示すように、合材ペースト層46を、該合材ペースト層の塗工端部46aがバインダ溶液層56の塗工端部56aよりも外方にはみ出すよう堆積する。例えば、合材ペースト層の塗工端部46aがバインダ溶液層の塗工端部56aよりも5mm以上はみ出すように堆積することが好ましい。このことによって、合材ペースト層の塗工端部46aがバインダ溶液層の塗工端部56aの表面張力の影響を受けにくくなるため、合材ペースト層46の塗工端部の形状(延いては合材層30の端部形状)を良好にすることができる。合材ペースト層のはみ出し量L(合材ペースト層の塗工端部46aとバインダ溶液層の塗工端部56aとの間の距離)は、概ね0.1mm以上(例えば0.1mm〜1.8mm又はそれ以上)にすることが適当である。或いは、上記はみ出し量Lは、概ね1.8mm以上(例えば1.8mm〜5mm又はそれ以上)にすることが適当である。或いは、上記はみ出し量Lは、概ね5mm以上にしてもよい。
上記塗布後、堆積したバインダ溶液層56と合材ペースト層46とを共に乾燥させることによって、合材ペースト層中の溶媒42及びバインダ溶液層中の溶媒52を除去する。合材ペースト層及びバインダ溶液層から溶媒を除去することによって、活物質22とバインダ54を含む合材層40が形成される。上記乾燥温度は、バインダ溶液層の溶媒52と合材ペースト層の溶媒42とを除去し得る温度域であればよい。例えば、バインダ溶液層および合材ペーストの溶媒が水の場合、乾燥温度は凡そ70℃〜160℃程度にすることができ、通常は80℃〜150℃にすることが好ましい。本実施形態においては、合材ペースト層46の乾燥速度を設定するにあたって対流によるバインダ54の偏析を考慮しなくてもよいため、合材ペースト層中の溶媒42を高速で乾燥できる。例えば、合材ペースト層中の溶媒42を、液面面積1m2当たり3.0ml/s以上(すなわち3.0ml/s・m2以上)、例えば3.2ml/s・m2〜5.0ml/s・m2(好ましくは4.0ml/s・m2〜5.0ml/s・m2)の速度で揮発させることができ、生産性が飛躍的に向上する。
このようにして、図5に示すように、集電体10の表面に合材層20が形成された電極30を得ることができる。なお、乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、合材層20の厚みや密度を調整することができる。
ここに開示される電極製造方法を適用して好ましく製造されるリチウム二次電池用の電極30の断面構造を図5に模式的に示す。この電極30は、活物質22を含む合材層20が集電体10に保持された構成を有する。この合材層20は、図4に示すように、集電体10の表面にバインダ溶液層56を堆積し、その上に合材ペースト層46を堆積して共に乾燥させることにより形成されたものである。そのため、合材層20の表面(表層部)へのバインダ54の偏析(マイグレーション)が抑制され、合材層20と集電体10の密着性を良好にすることができる。また、バインダ溶液として集電体表面との接触角が73°以下となるものを使用するので、合材ペースト層46のバインダ溶液層56上での滑りが抑制され、合材層20の表面平滑性を良好にすることができる。すなわち、本実施形態によれば、集電体10との密着性が良好で、かつ、表面平滑性に優れた合材層20を備えた電極30を製造することができる。このような電極30を用いれば、サイクル耐久性が高い、出力特性に優れる、生産性が良い、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たす電池を構築できる。
次に、図7を加えて電極30を製造する製造装置90について説明する。長尺シート状の集電体10は、図示しない巻出部から繰り出され、ローラ91,92の回転によって装置90内を搬送される。集電体10の搬送経路には、上流側から順に、ディスペンサ装置94と、ダイコータ96と、乾燥炉98とが配置されている。
ディスペンサ装置94にはバインダ溶液50が収容されており、搬送中の集電体10上にバインダ溶液50を塗布するように構成されている。また、ダイコータ96には合材ペースト40が収容されており、搬送中の集電体10上にバインダ溶液層の上から合材ペースト40を塗布するように構成されている。長尺シート状の集電体10は、ローラ91,92の回転によって装置90内を搬送され、バインダ溶液50と合材ペースト40とが順次塗布される。その後、乾燥炉98を通過させてバインダ溶液及び合材ペーストを乾燥させることにより、集電体上に合材層20が形成された負極シート30が得られる。負極シート30は、巻取部99により巻き取った後、次工程に供される。
本実施形態の方法を適用することにより、凹凸が小さく表面平滑性に優れた合材層が得られることを確認するため、以下の実験を行った。
まず、バインダ54としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を適当量の水中に分散させ、サンプル1〜7の順にバインダ固形分率が0wt%,3wt%,6wt%,9wt%,13wt%,18wt%,40wt%となるバインダ溶液50を調整した。各サンプル1〜7のバインダ溶液の液滴を、集電体10としての銅箔の表面に付着させ、接触角を測定した。接触角の測定は、First Ten Angstroms社製の動的接触角測定器を用いて行った。その結果を表1及び図8に示す。図8は、バインダ溶液の固形分率(wt%)と接触角(°)との関係を示すグラフである。図8及び表1から明らかなように、バインダ固形分率が増大するに従い接触角が小さくなることが確認された。
次いで、サンプル2〜7のバインダ溶液を用いて負極シート30を作製し、合材層20の表面粗さRyを評価した。負極シート30の作製は、以下のようにして行った。まず、バインダ溶液50を集電体としての銅箔表面に塗布してバインダ溶液層56(厚み2.0μm)を形成し、その上に合材ペースト40を塗布することにより合材ペースト層46(厚み46μm)を堆積した。そして、堆積したバインダ溶液層と合材ペースト層とを凡そ160℃で乾燥することにより、集電体の表面に負極合材層20が設けられた負極シート30を得た。なお、合材ペースト40は、負極活物質としてのカーボン粉末と増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が99:1となるように水中に分散させることにより調製した。また、合材ペーストの塗布量は、約3.5mg/cm2(固形分基準)となるように調節した。
このようにして得られた負極シートの合材層の表面形状(膜厚プロファイル)を計測し、その形状曲線から最大高さ(表面粗さRy)を算出した。合材層の表面形状の計測は、キーエンス社製のレーザ変位計を用いて行った。その結果を図9及び表1に示す。図9は、接触角(°)と表面粗さRy(μm)との関係を示すグラフである。
図9及び表1から明らかなように、接触角が減少するに従い表面粗さRyが低下傾向となった。ここで供した負極シートの場合、特に接触角を65.8°以下とすることにより、4.0μm以下という低い表面粗さRyが達成できた(サンプル3〜7)。さらに接触角を62°以下とすることにより、2.0μm以下という極めて低い表面粗さRyが達成できた(サンプル5〜7)。また、図9のプロットから接触角と表面粗さRyとの関係を近似曲線L1でフィッティングしたところ、電極性能を発揮するうえで好ましい表面粗さRy7.0μm以下を実現するには接触角を73°以下とすればよいことが分かった。このことから、平滑性のよい合成層を得るためには、バインダ溶液と集電体表面との接触角を凡そ73°以下とすることが好ましく、凡そ65.8°以下とすることがより好ましく、凡そ62°以下とすることがさらに好ましいことが確認された。
また、バインダ溶液層56の厚みD(図6参照)を、5.5μm、3.5μm、2.5μm、1.5μmにそれぞれ変えて負極シートを作製した。バインダ溶液層の厚みを変えたこと以外はサンプル5(バインダ固形分率13wt%)と同じ条件で負極シートを作製した。そして、その表面粗さRyを評価した。その結果、合材層の表面粗さRyは、バインダ溶液層の厚みを5.5μm、3.5μm、2.5μm、1.5μmとした順に、それぞれ8.8μm、5.8μm、4.3μm、2.7μmとなった。
上記結果から分かるように、バインダ溶液層の厚みが減少するに従い表面粗さRyが低下傾向となった。特にバインダ溶液層の厚みを2.5μm以下とすることにより、4.3μm以下という極めて低い表面粗さRyが達成できた。このことから、平滑性のよい合成層を得るためには、バインダ溶液層の厚みを凡そ2.5μm以下とすることが好ましく、凡そ1.5μm以下とすることがより好ましいことが確かめられた。
さらに、図6に示す合材ペースト層のはみ出し量L(合材ペースト層の塗工端部46aとバインダ溶液層の塗工端部56aとの間の距離)が、−5mm、−1.8mm、0mm、+1.8mm、+5mmとなるように、合材ペースト層及びバインダ溶液層の塗工幅をそれぞれ変えて負極シートを作製した。塗工幅を変えたこと以外はサンプル5(バインダ固形分率13wt%)と同じ条件で負極シートを作製した。そして、その表面粗さRyを評価した。その結果、合材層の表面粗さRyは、はみ出し量Lを−5mm、−1.8mm、0mm、+1.8mm、+5mmとした順に、それぞれ9.7μm、9.9μm、2.5μm、2.4μm、1.2μmとなった。なお、上記はみ出し量Lがプラスの場合は、合材ペースト層がバインダ溶液層の塗工端部よりも外方にはみ出すように堆積したことを意味し、上記はみ出し量Lがマイナスの場合は、バインダ溶液層が合材ペースト層の塗工端部よりも外方にはみ出すように堆積したことを意味する。
上記結果から分かるように、合材ペースト層のはみ出し量Lが大きくなるに従い表面粗さRyが低下傾向となった。特に、はみ出し量Lを+1.8mm以上とすることにより、2.4μm以下という極めて低い表面粗さRyが達成できた。このことから、平滑性のよい合成層を得るためには、上記はみ出し量Lを、0を上回る値(例えば0.1mm以上)とすればよく、1.8mm以上(例えば5mm以上)とすることが好ましいことが確かめられた。
以下、上述した方法を適用して製造された負極(負極シート)30を用いて構築されるリチウム二次電池の一実施形態につき、図10に示す模式図を参照しつつ説明する。このリチウム二次電池100は、負極(負極シート)30として、上述したバインダ溶液を用いて製造された負極(負極シート)30が用いられている。なお、ここに開示される電極製造方法は負極30に限らず、正極70にも適用することができる。
図示するように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース82を備える。このケース(外容器)82は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体84と、その開口部を塞ぐ蓋体86とを備える。ケース82の上面(すなわち蓋体86)には、電極体80の正極70と電気的に接続する正極端子72および該電極体の負極30と電気的に接続する負極端子74が設けられている。ケース82の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)70および長尺シート状の負極(負極シート)30を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)76とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体80が収容される。
負極シート30は、長尺シート状の負極集電体10の両面に負極活物質を主成分とする負極合材層20が設けられた構成を有する。また、正極シート70も負極シートと同様に、長尺シート状の正極集電体の両面に正極活物質を主成分とする正極合材層が設けられた構成を有する。これらの電極シート30、70の幅方向の一端には、いずれの面にも上記電極合材層が設けられていない電極合材層非形成部分が形成されている。
上記積層の際には、正極シート70の正極合材層非形成部分と負極シート30の負極合材層非形成部分とがセパレータシート76の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート70と負極シート30とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体80の捲回方向に対する横方向において、正極シート70および負極シート30の電極合材層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート70の正極合材層形成部分と負極シート30の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート76とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合材層の非形成部分)70Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層の非形成部分)30Aには、正極リード端子78および負極リード端子79がそれぞれ付設されており、上述の正極端子72および負極端子74とそれぞれ電気的に接続される。
正極シート70は、長尺状の正極集電体の上にリチウム二次電池用正極活物質を主成分とする正極合材層が付与されて形成され得る。正極集電体にはアルミニウム箔その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。正極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2等の、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするものが挙げられる。また、負極シート30は、長尺状の負極集電体の上にリチウム二次電池用負極活物質を主成分とする負極合材層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔(銅または銅合金を主体とする箔状の部材)その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が例示される。
また、正負極シート70、30間に使用されるセパレータシート76の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
そして、ケース本体84の上端開口部から該本体84内に捲回電極体80を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体84内に配置(注液)する。電解質は例えばLiPF6等のリチウム塩である。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF6等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)に溶解してなる非水電解液を使用することができる。
その後、上記開口部を蓋体86との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウム二次電池100の組み立てが完成する。ケース82の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウム二次電池100の構築が完成する。
このようにして構築されたリチウム二次電池100は、前述したバインダ溶液を用いて製造された電極を少なくとも一方の電極(ここでは負極)に用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記電極を用いて電池を構築することにより、サイクル耐久性が高い、出力特性に優れる、生産性が良い、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たすリチウム二次電池100を提供することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上述した例では、バインダ溶液の固形分率(バインダ固形分濃度)を変えることによってバインダ溶液と集電体表面との接触角を調整しているが、これに限定されない。例えば、集電体表面に親水化処理を施したりバインダ溶液に界面活性剤を添加したりすることによってバインダ溶液と集電体表面との接触角を制御してもよい。
本発明によれば、集電体に対する密着性が良好で、かつ、平滑性がよい合材層を備えた電池用電極の製造方法を提供することができる。
本発明に係る電池(例えばリチウム二次電池)は、上記のとおり電池性能に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図11に模式的に示すように、かかる電池(組電池の形態であり得る。)100を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
Claims (7)
- 活物質とバインダを含む合材層が集電体に保持された構成の電池用電極を製造する方法であって、
バインダを含むバインダ溶液であって集電体表面との接触角が73°以下となるように調整されたバインダ溶液を集電体表面に塗布してバインダ溶液層を形成する工程と、
前記バインダ溶液層の上から活物質を含む合材ペーストを塗布することによって、前記バインダ溶液層と合材ペースト層とを集電体上に堆積する工程と、
前記堆積したバインダ溶液層と合材ペースト層とを共に乾燥させることによって、前記集電体上に合材層が形成された電極を得る工程と
を包含する、電池用電極の製造方法。 - 前記合材ペースト層を、該合材ペースト層の塗工端部が前記バインダ溶液層の塗工端部よりも外方にはみ出すように堆積する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記バインダ溶液層を、3μm以下の厚みに形成する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記合材ペースト層中の溶媒を3.0ml/s・m2以上の速度で揮発させる、請求項1から3の何れか一つに記載の製造方法。
- 前記活物質は、炭素系材料からなる負極活物質であり、
前記集電体は、銅または銅合金製の負極集電体である、請求項1から4の何れか一つに記載の製造方法。 - 請求項1から5のいずれか一つに記載の方法により製造された電極を用いて構築された電池。
- 請求項6に記載の電池を搭載した車両。
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