JPWO2011105148A1 - 透明導電膜、および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明導電膜、および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

透明基材上に導電性繊維と、有機化合物層からなる透明導電膜において、該有機化合物層は下記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物とポリアニオンとからなる導電性高分子化合物と下記一般式(1)で表される構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を含有し、更に、該有機化合物層が、該導電性高分子化合物と該水溶性バインダー樹脂との分散液を塗布・乾燥して形成された有機化合物層であって、かつ、該分散液中の粒子の平均粒経が5〜100nmであることを特徴とする透明導電膜及び有機EL素子。【化1】【化2】

Description

本発明は液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、電子ペーパー、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる透明導電膜、さらに該透明導電膜を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機EL素子ともいう。)に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式が異なるいずれのディスプレイにおいても、透明電極(透明導電膜)は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基材上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が主に使用されてきた。しかし、ITOに用いられているインジウムはレアメタルであり、比較的高価であることから、脱インジウムが望まれている。また、ディスプレイの大画面化、生産性向上に伴い、フレキシブル基板を用いたロールツーロールの生産技術が所望されている。
近年、導電性高分子材料であるポリ3,4−ジアルコキシチオフェンとポリアニオン複合体の分散物を透明フレキシブル基板に積層した透明導電膜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このポリ3,4−ジアルコキシチオフェンとポリアニオン複合体は可視光領域に吸収を有し、表面抵抗率を下げるために膜厚を厚くすると可視光領域の透過率が低下し、低抵抗率と高透過率を両立できないという課題を有していた。また、塗膜の導電性改良を目的として、ポリ3,4−ジアルコキシチオフェンとポリアニオン複合体の分散物に、アミド結合、水酸基を有する水溶性化合物やスルホキシド化合物を添加した組成物(例えば、特許文献2参照)やポリヒドロキシ、カルボキシ基、アミド基、ラクタム基を含有する有機化合物を添加した水分散液(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかし、これら添加剤の効果のみでは抵抗値が高く有機EL素子等の光学デバイス用の透明導電膜としては、低抵抗率と高透過率を達成するという課題を解決するには至っていない。
上記課題を克服するために、導電性繊維を用いる技術が開示されており、導電性繊維の一部を透明樹脂膜でフレキシブル基板に固定し、かつ導電性繊維の一部を透明樹脂膜表面に突起させて電極を形成することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、このような構成の電極に有機ELのような薄膜を積層すると表面の突起が有機EL層の陰極まで突き抜けリークが発生するという課題を有していた。
また、透明基板上に塗布された銀ナノワイヤ上にポリウレタンをオーバーコートし、電極表面が平滑な透明面電極が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、この透明電極上に有機EL素子を積層すると、面発光性および発光寿命が悪いという問題を有していた。
有機EL素子に用いられる電極としては、その表面の平均表面粗さ(Ra)が、通常10nm以下の平滑な電極が用いられている。上記特許文献4のように透明電極表面に突起が存在する電極を用いて有機EL素子を作製すると、陽極と陰極の短絡等、突起を起点にショートするという問題があり、高温、高湿度の環境下ではさらにこの現象が顕著化するという課題を有していた。また、突起間は透明樹脂が存在し、面電極としての機能が得られないという問題を有していた。
上記特許文献5のように、単量体、二量体アクリレートを用いたオーバーコートを銀ナノワイヤ上に積層後硬化した透明電極を用いた場合、残留モノマー、オリゴマーや低分子量体が生成し、層間拡散し、寿命が著しく劣化するという課題を有していた。
また、導電性繊維として金属ナノワイヤである銀ナノワイヤを用い、その銀ナノワイヤ上に導電性高分子材料を積層させた透明電極が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、高温、高湿度の環境下では導電性が低下し、またこの透明電極上に有機EL素子を積層した場合、面発光性および発光寿命が著しく劣化するという課題を有していた。上記特許文献2も低抵抗率と高透過率を両立できないという課題以外に高温、高湿度の環境下での導電性低下、有機EL素子に使用した場合、面発光性および発光寿命が劣化するという課題を有していた。
更に、大面積かつ低抵抗値が要求される製品にも対応できる技術として、パターン状に形成された金属細線に導電性高分子化合物等の透明導電膜を積層し、電流の面均一性と高い導電性を併せ持つ透明導電フィルムが開発されている(例えば、特許文献7、8参照)。しかしながら、このような構成では、有機電子デバイスのリークの原因となる金属細線の凹凸を、導電性高分子化合物等の透明導電膜でなだらかにする必要があり、導電性高分子化合物の厚膜化が必須となる。しかし、導電性高分子化合物は可視光領域に吸収を有するため、厚膜化すると、透明電極の透明性が著しく低下してしまうという課題を有していた。
また、導電性と透明性を両立する方法として、細線構造部上へ導電性高分子化合物と絶縁性高分子化合物の混合物を積層する技術が開示されている(例えば、特許文献9参照)。しかし、絶縁性高分子化合物の添加は導電率が低下するばかりではなく、導電性高分子化合物への相溶性の観点から、高分子化合物添加量が制限され、十分な透過率を維持することが困難であるという課題を有していた。
特開2002−305086号公報 特開2004−59666号公報 特表2007−526925号公報 特表2006−519712号公報 米国特許出願公開第2007/0074316号明細書 米国特許出願公開第2008/0259262号明細書 特開2005−302508号公報 特開2009−87843号公報 特開2009−4348号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性、発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を与える透明導電膜を提供することにある。
さらに、当該透明導電膜を用いた発光均一性が高く、発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を提供することにある。
前記した課題を解決するために、本発明で用いる導電性高分子と水溶性ポリマー分散液中の粒子の粒径を100nm以下とし、導電性繊維と併用することで透明導電膜の平滑性が優れ、且つ導電性と透明性を両立し、高温、高湿度環境下における環境試験後でも高い導電性と透明性及び良好な平滑性を併せ持つ安定性の優れた透明電極及び該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見出したものである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.透明基材上に導電性繊維と、有機化合物層からなる透明導電膜において、該有機化合物層は下記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物とポリアニオンとからなる導電性高分子化合物と下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を含有し、更に、該有機化合物層が、該導電性高分子化合物と該水溶性バインダー樹脂との分散液を塗布・乾燥して形成された有機化合物層であって、かつ、該分散液中の粒子の平均粒経が5〜100nmであることを特徴とする透明導電膜。
〔式中、Aは置換されても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子、又は硫黄原子を表す。〕
〔式中、Rは少なくとも水酸基一つ含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基から選ばれる少なくとも1種を表し、Rは水素原子、又はメチル基を表す。
2.前記分散液中の前記高分子化合物と、前記ポリアニオンの合計質量に対する前記水溶性バインダー樹脂の質量が100〜1000質量%であることを特徴とする前記1記載の透明導電膜。
3.前記分散液中の粒子の少なくとも90質量%の粒子の平均粒径が5〜100nmであることを特徴とする前記1又は2記載の透明導電膜。
4.前記ポリアニオンが下記一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の透明導電膜。
5.基材上にパターン状に形成された金属材料からなる第一導電層と、導電性高分子化合物を含有する第二導電層を有する透明導電膜において、前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有することを特徴とする透明導電膜。
6.前記1〜5のいずれか1項記載の透明導電膜を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性、発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を与える透明導電膜が提供できる。
さらに、当該透明導電膜を用いた発光均一性が高く、発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子が提供できる。
本発明の分散液を塗布した時の構造模式図である。 本発明の透明導電膜を示す構造模式図である。 本発明の透明導電膜の他の例を示す構造模式図である。 本発明のパターン状に形成された金属材料からなる第一導電層と本発明に係る導電性高分子化合物を含有する第二導電層の例を示す構造模式図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、透明基材上に導電性繊維、前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオン、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を含有する透明導電層を有する透明導電膜であって、該一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオン、該一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂からなる分散液中の粒子の平均粒経が50nm以下である分散液を使用することを特徴とする。
本発明においては特に、電極が導電性繊維と前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオン、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂からなる分散液を用いた透明導電層を有することで、平滑性、導電性及び光透過性に優れ、かつ高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性及び光透過性の劣化が少なく耐久性に優れ、発光均一性が高く発光寿命が長い有機EL素子を与える透明導電膜が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔導電性高分子化合物〕
本発明において、「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が10×8Ω/□より低いことをいう。
本発明において、透明電極は、第一の透明導電層が上記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有するか、または第一の透明導電層上に上記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有する。
本発明の一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物が、チオフェン残基からなるチオフェン構造単位において、Aは置換されても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、例えば1,2−アルキレン、1,2−シクロヘキシレン、2,3−ブチレン、2,3−ジメチレン、2,3−ブチレン、2,3−ペンチレン等が挙げられる。好ましくはメチレン基、1,2−エチレン及び1,2−プロピレンである。更に好ましくは1,2−エチレンである。
本発明の一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物が、チオフェン残基からなるチオフェン構造単位において、Qは2価の原子を示し、例えば酸素原子、硫黄原子であり、好ましくは酸素原子である。同一構造単位において、Qは同一でも異なっていても良い。
本発明の一般式(I)で表される繰り返し構造単位は、同一でも異なる2種類以上の分子構造を含んでいても良い。
本発明で用いられるポリアニオンは、高分子カルボン酸、高分子スルホン酸及びこれらの塩の各誘導体からなる群より選ばれる化合物等を挙ることができ、好ましくは高分子スルホン酸及びその塩である。ポリアニオンは単独に含有してもよいし、2種類以上を組み合わせて含有してもよい。また、ポリアニオンは、カルボン酸、スルホン酸を有する構造単位と酸残基を有していないモノマー、例えばアクリレート、メタクリレート及びスチレン等と共重合体を形成してもよい。
高分子カルボン酸、高分子スルホン酸及びこれらの塩の具体例としては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸またはポリマレイン酸、高分子スルホン酸、ポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸及びこれらの塩であり、好ましくは、ポリスチレンスルホン酸及びその塩である。
本発明の一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物のスチレンスルホン酸構造単位において、MはH、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンを示し、好ましくはプロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンであり、より好ましくはプロトン、ナトリウムイオンである。
一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの合成は、塊状、溶液、沈澱、懸濁または(逆)乳化重合法によって実施することができる。適当な分子量を得るには溶液重合法が好ましい。
一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの合成に使用する開始剤としては、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド類、過硫酸塩、アゾ化合物またはレドックス触媒等を用いることができる。過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過流酸塩、2,2′−アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物が好ましく使用される。
一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの合成に使用する重合溶剤は、反応条件化で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、水が好ましい。溶液重合は1〜80質量%、好ましくは10〜60質量%の総モノマー濃度で実施することができる。
一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの合成を実施する重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。出発材料は溶剤中に最初に導入しても、溶剤中に別々に導入してもまたは一緒に導入してもよい。場合によっては適当な溶剤に溶解した遊離基開始剤の添加は、出発材料の添加前、添加と同時にまたは添加後に実施することができる。重合の妨害を回避するために、反応は還流下にまたは保護ガス雰囲気、好ましくは窒素ガスまたはアルゴン中で実施することが好ましい。
ポリアニオンの合成に使用するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる、これらは単独で使用しても、複数使用して共重合体を合成しても良い。
一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの分子量は好ましくは1,000〜2,000,000の範囲、より好ましくは2,000〜500,000、さらに好ましくは3000〜100000の範囲内である。
ポリアニオンの分子量はゲルパーミッションクロマトグラフィーまたは浸透圧測定の様な慣用の方法で測定することができる。
本発明の導電性高分子化合物は、主鎖がπ共役系で構成されるカチオン性の高分子化合物を有し、上記ポリアニオンを対アニオンとして有する複合体構成を有する。
本発明のカチオン性高分子化合物は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの共重合体等が挙げられる。これらの中でもポリピロール類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましく用いられる。
カチオン性の高分子化合物は無置換のままでも、充分な導電性、バインダー樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性および相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基を高分子化合物に導入することが好ましい。
カチオン性の高分子化合物の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
これらの中でも特に前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有し、更に本発明に係る導電性高分子化合物が前記一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンを有する態様が好ましい態様である。
(一般式(I)で表される構造単位)
一般式(I)中、Aは置換基を有しても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式(I)で表される繰り返し構造単位を含む高分子化合物は、同一の構造単位を繰り返し含んでもよいし、異なる2種類以上の構造単位を繰り返し含んでいても良い。
前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を含む高分子化合物は、下記一般式(I−a)で表される化合物を酸化重合することによって得ることが出来る。
一般式(I−a)において、A及びQは前記一般式(I)におけるA及びQと同義である。
一般式(I−a)においてQが酸素原子である3,4−ジ−置換チオフェンは、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルのアルカリ金属塩と適当なアルキレンジハライドとを反応させ、次いで遊離3,4−(アルキレンジオキシ−)チオフェン−2,5−ジカルボン酸を脱カルボン酸にして得ることができる(例えば、Tetrahedron,1967,23,2437−2441及びJ.Am.Chem.Soc.,1945,67,2217−2218参照)。
ポリチオフェンは酸化重合により正に荷電されるが、その数および位置を明確に求めることは困難である。
本発明に係る導電性高分子化合物は、一般式(II)で表される繰り返し構造単位以外にアニオン基を有する構造単位を有してもよいが、全体のアニオン基のうち50%(モル)以上は一般式(II)で表される繰り返し構造単位であることが好ましく、特に90%以上が一般式(II)で表される繰り返し構造単位であることが好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物の合成は、一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンと、カチオン性高分子化合物を形成する繰り返し構造単位を有する化合物を含有する溶媒中で、重合反応が完了するまで所定の重合温度で撹拌することで行われる。
カチオン性高分子化合物と一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンの質量比は、ポリアニオンがリッチな環境ならば特に限定はないが、カチオン性高分子化合物が1に対し50以下が好ましく、より好ましくは25以下、更に好ましくは10以下である。
重合時間はバッチの大きさ、重合温度および酸化剤に依存して数分乃至30時間の間であり得る。好ましい重合時間は一般に30分乃至24時間の間である。
適切な酸化剤は例えばJ.Am.Soc.85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適するいずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価で且つ取扱い易い酸化剤例えば鉄(III)塩例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸および有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩(例えば、Fe(SO)、またはH、KCr、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウムおよび銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンおよびバナジウムイオンの存在下における空気および酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸および有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例には炭素数が1〜20のアルカノールの硫酸エステルの鉄(III)塩である例えばラウリル硫酸のFe(III)塩がある。有機酸の鉄(III)塩の例として次のものが挙げられる:炭素数が1〜20のアルキルスルホン酸例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;炭素数が1〜20の脂肪族カルボン酸例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸例えばトリフルオロ酢酸およびパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数が1〜20のアルキル置換されたスルホン酸例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸の鉄(III)塩、また上記の有機酸の鉄(III)塩の混合物も使用することができる。
酸化重合反応において、一般式(II)で表される繰り返し構造単位は、対応するチオフェン各1モルに対して0.25〜10個、好ましくは0.8〜8個のアニオン基が存在する量で加えることが好ましい。
理論的にはチオフェン1モル当り2.25当量の酸化剤が対応するチオフェンの酸化重合に必要である[例えばJ.Polym.Sci.PartA、Polymer Chemistry,第26巻、1287頁(1988)参照]。しかしながら実際には、酸化剤はある過剰量で、例えばチオフェン1モル当り0.1〜2当量の過剰で用いる。
重合に用いる有機溶剤としては、反応条件化で不活性であり、例えば脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびプロパノール;脂肪族ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン;脂肪族カルボン酸エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル;芳香族炭化水素、例えばトルエンおよびキシレン;脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン;塩素化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびジクロロエタン;脂肪族ニトリル、例えばアセトニトリル;脂肪族スルホキシドおよびスルホン、例えばジメチルスルホキシドおよびスルホラン;脂肪族カルボキシアミド、例えばメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミド;脂肪族および芳香族エーテル、例えばジエチルエーテルおよびアニソール等が挙げられる。さらに水又は水と上記有機溶剤との混合物も溶媒として使用することができる。好ましくは水である。
酸化重合に用いられる溶媒の量としては、合成された高分子化合物の分散性の面から、本発明に係る高分子化合物が、0.1〜80質量%、好ましくは0.5〜50質量%の固体含有量を有するような溶媒の量が好ましい。
酸化重合においては、使用する酸化剤および必要とする反応時間によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
出発材料は溶剤中に最初に導入しても、溶剤中に別々に導入してもまたは一緒に導入してもよい。場合によっては適当な溶剤に溶解した酸化剤の添加は、出発材料の添加前、添加と同時にまたは添加後に実施することができる。重合の妨害を回避するために、反応は還流下にまたは保護ガス雰囲気、好ましくは窒素ガスまたはアルゴン中で実施することが好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物の合成は、一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンと、カチオン性高分子化合物を形成する構造単位である化合物を含有する溶媒中で、重合反応が完了するまで超音波、高圧ホモジナイザー等でせん断を掛けながら重合が行われる。重合後の分散液をイオン交換樹脂、限外ろ過等で酸化重合触媒等から持込まれる無機塩を除去後、適当な粉砕法により、分散粒子の小粒経化を行うことができる。粉砕法としては、例えばボールミル、攪拌ミル、高速攪拌、超音波処理及び高圧ホモジナイザー処理等が挙げられる。これらの中で、超音波処理、高圧ホモジナイザー処理が好ましい。より好ましくは高圧ホモジナイザー処理である。分散液は高圧下、1回ないし多数回金属またはセラミックノズルに通すことができる。ノズル径は1〜0.1mmであり、或いはスロットノズルの場合は、その幅が0.1〜1mmである。ホモジナイザー処理は1〜2000バール、好ましくは100〜1000バール(1バールは1×10Paである)の圧力で行われる。
〔水溶性バインダー樹脂〕
本発明に係る水溶性バインダー樹脂とは、水溶性のバインダー樹脂であり、水溶性バインダー樹脂が、25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダー樹脂を意味する。前記溶解は、ヘイズメーター、濁度計で測定することができる。
本発明の水溶性バインダー樹脂は、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂であるが、単独重合体でも共重合体でも良く、また本発明に係る水溶性バインダー樹脂としては透明である水溶性バインダー樹脂を併用することもできる。
併用することのできる水溶性バインダー樹脂としては、天然ポリマー、合成樹脂(単独重合体、共重合体)、その他フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。水溶性バインダーとしては、例えば:ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルエーテルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルエーテルセルロース等のセルロース類、キトサン、デキストラン、グアーガム、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ブタジエン−無水マレイン酸)、ポリ(n−ブチルアクリレート−2−メタクリロイルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−2−メタクリロキシトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)−ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル付加体、ポリ(エチレングリコール)ビス2−アミノエチル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノカルボキシメチルエーテルモノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリエチレンイミン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(N−イソ−プロピルアクリルアミド)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−メチル−N−ビニルアセトアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウムブロミド)、ポリ(リン酸)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルスルホン酸)等が挙げられる。上記バインダーにおいて、カルボン酸、スルホン酸、リン酸等を有するポリマーは、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩を有していてもよく、窒素原子を有するポリマーは塩酸塩等の構造を有していても良い。上記バインダー樹脂は1種でも複数種でも使用することができる。
本発明の水溶性バインダー樹脂と併用することができる水溶性バインダー樹脂としては、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)共重合体、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)共重合体、セルロース類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)共重合体、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)共重合体、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)共重合体、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)共重合体等が好ましい。市販品としてポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)(ポリサイエンス社製)、PVA203、PVA−224、エクセバールRS−4104(クラレ社製)、メトローズ90SH−100、メトローズ60SH−50、メトローズ60SH−06(信越化学工業社製)等を用いることができる。
本発明の水溶性バインダー樹脂と併用することができる水溶性バインダー樹脂において、より好ましくは、繰り返し単位中に水酸基を有する構造の水溶性バインダー樹脂が挙げられ、具体的には、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)共重合体、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)共重合体、セルロース類等が挙げられる。
本発明の前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂について説明する。
一般式(1)で表される繰り返し構造単位において、Rは少なくとも一つの水酸基を含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基から選ばれる少なくとも1種である。好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基で、より好ましくはアルキル基である。
これらの置換基は更に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されても良い。これらのうち好ましくは、水酸基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記ヘテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。ヘテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記ヘテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることが更に好ましい。ヘテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基が更に置換されても良い。
前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位において、Rとして、具体的には2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル等が挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエチル基であり、Rは水素、メチル基を表す。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂は汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明水溶性バインダー樹脂の分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明水溶性バインダー樹脂の数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、水溶性バインダー樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF、DMF、CH2Cl2が好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
〔導電性分散液〕
本発明に係る一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオン、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂からなる分散液中の粒子の平均粒径は50nm以下が好ましいく、より好ましくは30nm以下である。分散液中での平均粒経が50nmであると乾燥後の表面の平滑性が大きくなる。有機EL素子等該透明導電膜上に機能層を積層するエレクトロデバイスでは、平滑性が悪いと陽極と陰極のリークの原因となり、素子性能が著しく劣化する。また平均粒経が50nm以下の粒子でも大粒経粒子の混入が多いと分散液のろ過性不良を引き起こし、生産性が著しく低下する。このため分散液中の粒子の90質量%が50nm以下であることが好ましい。該導電性分散液中に導電性繊維を含んでも良く、上記粒径が維持されれば他の添加剤を添加しても良い。
本発明に係る一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオンと一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂の混合比は、分散液中の高分子化合物、ポリアニオンの質量に対する水溶性バインダー樹脂の質量が100〜1000質量%であることが好ましく、より好ましくは200〜800質量%である。高分子化合物、ポリアニオンの質量に対する水溶性バインダー樹脂の質量が100質量%以下であると透過率が向上せず、導電性と透過率を両立することができない。また、1000質量%以上添加すると導電性が要求性能を満足しない。
本発明に係る一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオン、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂からなる分散の製造は、一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物、ポリアニオンと一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を混合してから、ボールミル、攪拌ミル、高速攪拌、超音波処理及び高圧ホモジナイザー処理を行うことができる。これらの中で、超音波処理、高圧ホモジナイザー処理が好ましい。より好ましくは高圧ホモジナイザー処理である。均一化処理の温度は特に制限がないが、−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10〜50℃である。
〔有機化合物層〕
本発明に係る有機化合物層は、一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物とポリアニオンとからなる高分子化合物と下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を含有する。
本発明に係る有機化合物層は、前記導電性分散液を透明機材上へ塗布、乾燥して形成される。塗布方法は特に限定はなく、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。乾燥温度は導電性高分子化合物、水溶性バインダー樹脂に用いている溶媒が有機化合物層から抜ければよく、0〜250℃、より好ましくは5〜200℃、更に好ましくは10〜150℃である。
本発明に係る有機化合物層の厚さは、導電性繊維を覆い透明導電膜表面の平滑性が保たれれば良く、1nm〜1μm以下が好ましく、より好ましくは3nm〜500nmである。
〔透明導電膜〕
本発明に係る透明導電膜は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明に係る導電性高分子化合物の他に、他の導電性高分子化合物や添加剤を含有してもよい。
本発明に係る透明導電膜の厚さは、使用する導電性繊維の形状や含有量によって異なるが、大凡の目安として、導電性繊維の平均直径以上500nm以下が好ましい。後述の加圧方法などにより、本発明に係る第一の透明導電膜の厚さを薄くすると、厚さ方向の導電性繊維のネットワーク形成を密にすることができるため好ましい。
また、第二の透明導電膜を設ける場合、第二の透明導電膜の厚さは、1nm〜1μmが好ましく、特に3nm〜500nmの範囲が好ましい。
本発明において、透明導電膜は、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、本発明の透明導電膜における電気抵抗値としては、表面抵抗率として1000Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましい。さらには、電流駆動型オプトエレクトロニクスデバイスに適用するためには、50Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。10Ω/□以下であると各種オプトエレクトロニクスデバイスにおいて、透明導電膜として機能することができて好ましい。
前記表面抵抗率は、例えば、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
本発明の透明導電膜の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚みが薄くなるほど透明性や柔軟性が向上するためより好ましい。
本発明の一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物とポリアニオンを含む分散液を200℃で60分加熱して発生する硫黄酸化物量は、過酸化水素で全量酸化することで硫酸化物イオンにし、その量をイオンクロマトグラフィーで定量できる。硫黄酸化物が透明導電膜、有機エレクトロルミネッセンス素子の経時の保存や通電、発光等の使用で発生すると、電極や素子の安定性を著しく劣化させるため、硫黄酸化物の発生が少ない材料を用いる必要がある。透明導電膜、有機エレクトロルミネッセンス素子の保存や使用で問題ない範囲としては、硫酸化物イオン換算で分散液の全量に対して0〜300ppmが好ましく、より好ましくは0〜100ppm、更に好ましくは0〜50ppmである。
硫黄酸化物量を減量する方法としては、特に限定されないが不活性ガスを分散液中にバブリングし気体成分を除去する分散液の脱気、分散液の溶媒を除去し得られた固形分をソックスレー抽出器により洗浄、また分散液を限外ろ過により洗浄、更に高純度の溶媒の使用や再沈殿による精製後再分散する方法やこれらを複数使用する等の方法が挙げられる。
本発明の分散液中に不活性ガスをバブリングするガスとしては、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等希ガスが挙げられる。この中でも、二酸化炭素、窒素、アルゴンが好ましく、より好ましくは窒素、アルゴンで、更に好ましくは窒素である。
本発明の分散液中に不活性ガスをバブリングする量や時間は、全体量、攪拌の有無やスピードにより異なるが、使用する不活性ガスのトータル量は分散液体積の0.1〜100倍が好ましく、より好ましくは0.5〜50倍で、更に好ましくは1〜30倍である。バブリング時間は特に制限はないが、10時間以内が好ましく、より好ましくは3時間以内で、更に好ましくは1時間以内である。
本発明の分散液を限外ろ過により洗浄する方法には特に制限はなく、装置、フィルター種等既知の方法により実施することができる。限外ろ過を行い不純物を除去しながら純水や超純水で置換することが望ましい。また、導電性高分子を合成する場合も純水の代わりに超純水を使用することが好ましく、更に脱気、ソックスレー抽出器や限外ろ過等の洗浄と組合すことが好ましい。また、本発明の分散液を一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物をポリアニオンに対する溶解性が低い大量の溶媒中へ滴下し、再沈殿を行い、使用溶媒で洗浄、乾燥後再び超純水等に再分散してもよい。
〔透明基材〕
本発明において、「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
本発明の透明導電膜に用いられる透明基材としては、高い光透過性を有していればそれ以外に特に制限はない。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への透明導電層の形成のし易さ等の点で、透明ガラス基板、透明樹脂基板、透明樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
透明基材として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
透明基材として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムが好ましく。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度およびコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。
屈折率を調製する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調製して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、透明基材にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層の反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
尚、透明基材には前述のように表面処理を施したり、目的に応じて各種の機能性層を設けることができる。
(第一の透明導電層)
本発明の透明電極において、導電性繊維を用いる場合は、第一の透明導電層に導電性繊維を含有し、パターン状に形成された金属材料を用いる場合は、第一の透明導電層に金属材料をパターン状に形成する。
〔導電性繊維〕
本発明に係る導電性繊維とは、導電性を有し、かつその長さが直径(太さ)に比べて十分に長い形状を持つものである。本発明に係る導電性繊維は、透明導電層内において導電性繊維が互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを形成し補助電極として機能すると考えられる。従って、導電性繊維が長い方が導電ネットワーク形成に有利であるため好ましい。一方で、導電性繊維が長くなると導電性繊維が絡み合って凝集体を生じ、光学特性を劣化させる場合がある。導電ネットワーク形成や凝集体生成には、導電性繊維の剛性や直径等も影響するため、使用する導電性繊維に応じて最適な平均アスペクト比(アスペクト=長さ/直径)のものを使用することが好ましい。大凡の目安として、平均アスペクト比は、10〜10,000であるものが好ましい。
形状としては中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のもの等があり、例えば、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等がある。
本発明においては、透明性の観点から太さが300nm以下の導電性繊維であることが好ましく、併せて導電性も満足するために、導電性繊維は金属ナノワイヤおよびカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらには、コスト(原材料費、製造費)と性能(導電性、透明性、可撓性)の観点から、銀ナノワイヤを最も好ましく用いることができる。
本発明において上記導電性繊維の長さや直径、アスペクト比の平均値は、十分な数の導電性繊維について電子顕微鏡写真を撮影し、個々の導電性繊維像の計測値の算術平均から求めることができる。導電性繊維の長さは、本来直線状に伸ばした状態で測定すべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いてナノワイヤの投影径および投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)こともできる。また、長さや直径の相対標準偏差は、測定値の標準偏差を平均値で除した値に100を乗じた値で表す。計測対象の導電性繊維のサンプル数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上がより好ましい。
相対標準偏差[%]=測定値の標準偏差/平均値×100
〔金属ナノワイヤ〕
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る導電性繊維に適用される金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)および鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、およびマグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.およびChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
〔カーボンナノチューブ〕
カーボンナノチューブは、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が筒形に巻かれた形状からなる炭素系繊維材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、アームチェア型に分けられ、各種のものが知られている。
本発明に係る導電性繊維に適用されるカーボンナノチューブとしては、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができ、また、これらの種々のカーボンナノチューブを複数混合して用いてもよいが、導電性に優れた単層カーボンナノチューブであることが好ましく、さらには金属性のアームチェア型単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
カーボンナノチューブの形状としては、1つのカーボンナノチューブで長い導電パスを形成するために、アスペクト比(=長さ/直径)が大きい、すなわち細くて長い単層カーボンナノチューブであることが好ましい。例えば、アスペクト比が102以上、好ましくは103以上のカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブの平均長さは、3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は100nmより小さいことが好ましく、1〜50nmが好ましく、1〜30nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
カーボンナノチューブの製造方法は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。また、副生成物や触媒金属等の残留物を除去するために、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現できることから好ましい。
〔パターン状金属材料〕
第1導電層に金属材料をパターン状に形成場合は、金属材料からなる光不透過の導電部と透光性窓部を併せ持つフィルム基板となり、透明性、導電性に優れた電極基板が作製できる。金属材料は、導電性に優れていれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属の他に合金でもよい。特に、後述のようにパターンの形成のしやすさの観点から金属材料の形状は、金属微粒子または金属ナノワイヤであることが好ましく、金属材料は導電性の観点から銀であることが好ましい。
パターン形状には特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状、メッシュ状あるいはランダムな網目状であってもよいが、開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。開口率とは、光不透過の導電部が全体に占める割合である。例えば、導電部がストライプ状あるいはメッシュ状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。パターンの線幅は10〜200μmが好ましい。細線の線幅が10μm未満では、所望の導電性が得られず、また200μmを超えると透明性が低下する。細線の高さは、0.1〜10μmが好ましい。細線の高さが0.1μm未満では、所望の導電性が得られず、また10μmを超えると有機電子デバイスの形成において、電流リークや機能層の膜厚し分布不良の要因となる。
導電部がストライプ状またはメッシュ状の電極を形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知な方法が利用できる。例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、印刷、蒸着、スパッタ、めっき等の1あるいは2以上の物理的または化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の[0076]−[0112]、及び実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
〔透明電極〕
本発明の透明導電膜の構造模式図を図に示す。
図1は、本発明の代表的な透明導電膜の一例を示す構造模式図である。透明導電膜は、透明基材41上に第一の透明導電層31を有し、該第一の透明導電層31は導電性繊維11および本発明に係る導電性高分子化合物と水溶性バインダー樹脂21を含有する。
図2は、本発明の代表的な透明導電膜の別の一例を示す構造模式図であって、透明基材41上に導電性繊維11を含む第一の透明導電層31を有し、該第一の透明導電層31の上に、本発明に係る導電性高分子化合物と水溶性バインダー樹脂21を含有する第二の透明導電層を形成する。
図3は、本発明の代表的な透明導電膜のさらに別の一例を示す構造模式図であって、透明基材41上に導電性繊維11を含む第一の透明導電層31を有し、該第一の透明導電層31の上に、本発明に係る導電性高分子化合物と水溶性バインダー樹脂21を含有する第二の透明導電層32を形成するが、第二の透明導電層32の一部は、導電性繊維11を含む。即ち、導電性繊維11が第一の透明導電層31と第二の透明導電層32の両層に共有されている状態を指す。
図4において、1はパターン状に形成された金属材料からなる第一導電層、2は本発明に係る導電性高分子化合物を含有する第二導電層、3は基材を示す。
〔透明導電膜の製造方法〕
本発明の透明導電膜は、下記(1)〜(3)の方法で作製することができる。
(1)透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含む混合物を用い、導電性繊維および前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有する層を形成する工程を有する製造方法。
この場合、上記混合物が下述するように水系分散物であることが好ましい態様である。
(2)透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を形成する工程、および第一の透明導電層上に一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有する第二の透明導電層を形成する工程を有する製造方法。
上記第一または第二の透明導電層を形成する工程に用いられる方法としては特に制限はないが、生産性の改善、平滑性や均一性などの電極品質の向上、環境負荷軽減の観点から、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いることが好ましい。
塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。
上記(1)の工程に用いられる方法としては、透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含む混合物を塗布して形成する方法、または離型性基材の離型面状に導電性繊維および前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含む混合物を塗布し塗布により形成された導電層を透明基材上転写して形成する方法がある。
上記(2)、(3)の第二の透明導電層を形成する工程に用いられる方法としては、第一の透明導電層の上に、一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有する塗布液を塗布し形成する方法がある。
本発明においては、上記の導電性繊維および前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含む混合物または第二の透明導電層を形成するための塗布液として、水溶性バインダー樹脂を含有する水系分散物を用いることが好ましい態様である。
本発明の透明導電膜を製造する製造方法としては、特に下記の手段が好ましく用いられる。
イ)透明基材上に導電性繊維、一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物および水溶性バインダー樹脂を含有する水系分散物を塗布することにより第一の透明導電層を形成する製造方法。水系分散物は、水溶性バインダー樹脂を含有し、導電性繊維を分散含有する。水溶性バインダー樹脂としては、前述の水溶性バインダーを用いることができる。
ロ)透明基材上に導電性繊維、或いはパターン状金属材料を含有する塗布液を塗布、乾燥、必要に応じて焼成して第一の透明導電層を形成する工程と、この第一の透明導電層上に一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物および水溶性バインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより第二の透明導電層を形成する工程とを有する方法により透明導電層を形成する製造方法。
ハ)離型性基材の離型面上に、導電性繊維を含む第一の透明導電層を形成した後、第一の透明導電層を透明基材上に転写することにより第一の透明導電層を形成する工程およびこの第一の透明導電層上に、一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物および水溶性バインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより第二の透明導電層を形成する工程とを有する方法により透明導電層を形成する製造方法。
前述イ)において、導電性繊維、導電性高分子化合物、および水溶性バインダー樹脂の添加量に特に制限はないが、導電性繊維は導電性と透過率の関係から0.50g/mが好ましく、より好ましくは0.10g/m以下である。また導電性高分子化合物は固形分として、導電性繊維質量の50倍以下が好ましく、より好ましくは10倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下である。水溶性バインダー樹脂は、導電性バインダー固形分の5倍以下が好ましく、より好ましくは3倍以下である。
前述の透明導電膜の製造方法ロ)において、導電性繊維、或いはパターン状金属材料、導電性高分子化合物、および水溶性バインダー樹脂の添加量は、各々前述の透明導電膜の製造方法イ)と同様の添加量が好ましい。
前述の透明導電膜の製造方法ハ)において、用いられる離型性基板としては、樹脂基板や樹脂フィルムなどが好適に挙げられる。該樹脂には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂の単層あるいは複数層からなる基板やフィルムが好適に用いられる。さらにガラス基板や金属基板を用いることもできる。また、離型性基板の表面(離型面)には、必要に応じてシリコン樹脂やフッ素樹脂、ワックスなどの離型剤を塗布して表面処理を施してもよい。
離型性基板表面は、透明導電層を転写した後の表面の平滑性に影響を与えるため、高平滑であることが望ましく、具体的にはRy≦50nmであることが好ましく、Ry≦40nmであることがより好ましく、Ry≦30nmであることがさらに好ましい。また、Ra≦10nmであることが好ましく、Ra≦5nmであることがより好ましく、Ra≦1nmであることがさらに好ましい。
上記の工程において、導電性繊維を塗布した後、カレンダー処理や熱処理を施し導電性繊維間の密着性を高めることや、プラズマ処理を施し導電性繊維間の接触抵抗を低減することは、導電性繊維のネットワーク構造の導電性を向上させる方法として有効である。また、上記工程において、離型性基板の離型面は、予めコロナ放電(プラズマ)などにより親水化処理していてもよい。
上記転写する工程を有する方法において、転写は接着層を介して行ってもよい。転写層は離型性基板側に設けても良いし、透明基材側に設けても良い。接着層に用いられる接着剤としては、可視領域で透明で転写能を有する材料であれば特に限定されない。透明であれば、硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。
硬化型樹脂として、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などが挙げられるが、これらの硬化型樹脂のうちでは、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型樹脂とは紫外線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂で、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。本発明では、バインダーとしてアクリル系、アクリルウレタン系の紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を重合させたもの挙げることができる。
モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性線硬化樹脂が好ましい。
これら紫外線硬化型樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
透明導電層を形成した離型性基板と透明基材とを接着(貼合)し、紫外線等を照射して接着剤を硬化した後に離型性基板を剥離することにより、透明導電層を透明基材側に転写することができる。ここで、接着方法は特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性が良く好適に用いることができる。
〔パターニング方法〕
本発明に係る第一の透明導電層または第一の透明導電層と第二の透明導電層とからなる透明導電層は、パターニングすることができる。パターニングの方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。例えば、離型面上にパターニングされた透明導電層を形成した後、透明基材上に転写することによってパターニングされた透明導電膜を形成する方法を用いることができ、具体的には、以下のような方法を好ましく用いることができる。
i)離型性基板上に印刷法を用いて透明導電層をパターン様に直接形成する方法
ii)離型性基板上に透明導電層を一様に形成した後、一般的なフォトリソプロセスを用いてパターニングする方法
iii)例えば紫外線硬化型樹脂を含む導電性材料を使用して透明導電層を一様に形成した後、フォトリソプロセス様にパターニングする方法
iv)離型性基板上に予めフォトレジストで形成したネガパターン上に透明導電層を一様に形成し、リフトオフ法を用いてパターニングする方法
〔表面の平滑性〕
本発明の透明導電膜は、透明導電層の表面の平滑性(第一の透明導電層または第二の透明導電層の表面の平滑性)がRy≦50nm、また、併せてこの表面の平滑性はRa≦10nmであることが好ましい。透明導電層の表面の平滑性を表すRyとRaは、Ry=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)とRa=算術平均粗さを意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。RyやRaの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツル社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY方向20μm、Z方向2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツル社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
本発明において、Ryの値は50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。同様に、Raの値は10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
(補助電極)
大面積化に対応するためには、本発明の透明導電膜が、さらに、光不透過の導電部と透光性窓部とからなる補助電極を有することが好ましい。
補助電極の光不透過の導電部は導電性が良い点で金属であることが好ましく、金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等が挙げられる。また導電部の金属は合金でも良く、金属層は単層でも多層でも良い。
補助電極の形状は特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状、あるいはメッシュ状、あるいは、ランダムな網目状である。
導電部がストライプ状、あるいはメッシュ状の補助電極を形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知な方法が利用できる。例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、蒸着、スパッタ、めっき等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状、あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の0076−0112、および実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子〕
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明導電膜を有することを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機発光層を含む有機層および本発明の透明導電膜を有する。
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明導電膜を陽極として用いることが好ましく、有機発光層、陰極については有機エレクトロルミネッセンス素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構成としては、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成のものを挙げることができる。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、および各種蛍光色素および希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途で用いることが好ましい。
本発明の透明導電膜は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、透明導電膜表面の平滑性が厳しく求められる有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子の透明導電膜として特に好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[PHEA(ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート)−1の合成]
300mlナスフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成社製)5.0g(43.1mmol、Fw116.12)、2,2′−アゾビス(2−メチルイソプロピオニトリル)0.7g(4.3mmol、Fw164.21)及びテトラヒドロフラン100mlを加え、8時間加熱還流した。その後、溶液を室温まで冷却し、激しく攪拌されたメチルエチルケトン2.0L中へ滴下した。反応溶液を1時間攪拌後、メチルエチルケトンをデカンテーションし、メチルエチルケトン100mlで壁面に付着した重合体を3回洗浄した。ポリマーはテトラヒドロフラン100mlに溶解し、200mlフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターによりテトラヒドロフランを減圧留去した。その後、80℃3時間減圧することで、残留しているTHFを留去し、数平均分子量57,800、分子量分布1.24のPHEA−1を4.1g(収率82%)得た。
構造、分子量は各々H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
<GPC測定条件>
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414(Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr含有)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
[PEDOT(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン)(本発明の一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物)/PSS(ポリスチレンスルホン酸)(本発明の一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオン)とPHEA−1(ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート))(本発明の一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂)の分散液調製]
以下に、導電性高分子化合物の合成例を示す。分散液の粒径は濃厚経粒径アナライザーFPAR−1000を用い、25℃で測定した。
<PEDOT/PSSの合成1>
ポリスチレンスルホン酸5.6g(Aldrich社製、18質量%水溶液、4.9mmol、Fw206.19)、過硫酸カリウム0.65g(2.7mmol、Fw238.10)及び硫酸鉄(III)2.5mg(0.125mmol、Fw399.88)を100mlの純水に溶解した。ホモジナイザー(本体:ウルトラタラックス T−25、シャフトジェネレーター:S25N−10G(IKA社製))を溶液の液面下へ設置、作動させた後、前記溶液中へ3,4−Ethylendioxythiophene 0.28g(1.97mmol、Fw142.18)を添加し、室温で24時間重合させた。続いて、陰イオン交換体(Bayer AG;Lewatit MP 62)5.0g、陽イオン交換体(Bayer AG Lewatit S 100)5.0gを溶液へ添加し、8時間攪拌した。イオン交換体をろ過によって取除き、得られた溶液に対し700ミリバール、ノズル直径0.1mm、5〜10℃の条件下、高圧ホモジナイザーを用いて2回均質化し導電性高分子化合物P−1を得た(固形分濃度1.3%)。P−1の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ41nm、54nmであった。
<PEDOT/PSSの合成2>
重合温度を5〜10℃に保った以外は合成例1と同様にして導電性高分子化合物P−2を得た(固形分濃度1.3%)。P−2の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ30nm、42nmであった。
<PEDOT/PSSの合成3>
高圧ホモジナイザーの処理温度を室温で行った以外は合成例1と同様にして導電性高分子化合物P−3を得た(固形分濃度1.3%)。P−3の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ65nm、82nmであった。
<PEDOT/PSSの合成4(比較合成例)>
前記<PEDOT/PSSの合成1>において、5〜10℃、8時間で重合させる以外は同様の方法を用い導電性高分子化合物P−4を得た(固形分濃度1.3%)。P−4の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ123nm、4.1nmであった。
<PEDOT/PSSの合成5(比較合成例)>
<PEDOT/PSSの合成2>で得られたP−2をフィルター(ミリポア社製、VSWP04700、孔径0.025μm)で2回ろ過することにより、導電性高分子化合物P−5を得た(固形分濃度1.3%)。P−5の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ5.3nm、3.3nmであった。
<PEDOT/PSSの合成6(比較合成例)>
前記<PEDOT/PSSの合成1>において、重合中にホモジナイザー(本体:ウルトラタラックス T−25、シャフトジェネレーター:S25N−10G(IKA社製))を使用せずに、6時間重合させた以外は同様の方法を用い導電性高分子化合物P−6を得た(固形分濃度1.3%)。P−6の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ127nm、132nmであった。
<分散液の調製>
合成例1(本発明)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−1の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、ホモジナイザー(本体:ウルトラタラックス T−25、シャフトジェネレーター:S25N−10G(IKA社製))を用い、室温で1時間均一化処理を行うことにより分散液D−11を得た。D−11の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ39nm、45nmであった。
合成例2(本発明)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−2の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−12を得た。
D−12の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ26nm、37nmであった。
合成例3(本発明)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−2の固形分に対して150質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−13を得た。
D−13の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ27nm、38nmであった。
合成例4(本発明)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−2の固形分に対して900質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−14を得た。
D−14の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ13nm、19nmであった。
合成例5(本発明)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子P−3の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−15を得た。D−15の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ61nm、78nmであった。
合成例6(比較例)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−4の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−16を得た。
D−16の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ115nm、3.7nmであった。
合成例7(比較例)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−5の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−17を得た。
D−17の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ4.8nm、3.1nmであった。
合成例8(比較例)
水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子化合物P−6の固形分に対して400質量%の固形分濃度となるように添加した後、合成例1と同様の均一化処理を行うことにより分散液D−18を得た。
D−18の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ112nm、119nmであった。
[銀ナノワイヤの作製]
金属微粒子として、ポリビニルピロリドンK30(分子量5万;ISP社製)を用い、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法に基づき、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、水洗処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、銀ナノワイヤ分散液を調製した。
実施例1
〔透明導電膜TC−101の作製;本発明〕
作製した銀ナノワイヤの水分散液を易接着加工を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように、銀ナノワイヤの分散液をスピンコーターを用いて塗布し乾燥した。続いて、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、公知のフォトリソグラフィー法により電極パターン幅10mmのストライプ状透明パターン電極TCF−1を作製した。
次いで、D−1を乾燥膜厚が300nmとなるようにスピンコーターにて塗布し、120℃で30分乾燥することで透明導電膜TC−101を作製した。
〔透明導電膜TC−102〜TC−105(本発明)の作製;本発明〕
透明導電膜TC−101の作製において、本発明の分散液D−11をD−12〜D−15に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−102〜TC−105を作製した。
〔透明導電膜TC−106〜TC−109の作製;比較例〕
透明導電膜TC−101の作製において、本発明の分散液D−11を、D−16〜D−18及びP−2に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−106〜TC−109を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明導電膜TC−101〜TC−109に対して、以下の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求め、光透過性、導電性、平滑性の指標とした。
また、透明導電膜の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で14日間置く強制劣化試験後の透明導電膜試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)の評価を行い安定性の指標とした。評価結果を表1に示す。
[全光線透過率]
JIS K 7361−1:1997に準拠して、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHGM−2Bを用いて測定した。
[表面抵抗率]
JIS K 7194:1994に準拠して、三菱化学社製ロレスターGP(MCP−T610型)を用いて、測定した。
[表面粗さ(Ra、Ry)]
AFM(セイコーインスツル社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニット)を使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を用いて、前記の方法(JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる。)で測定した。
表1に示した結果から、透明導電膜TC−106〜TC−109に対して、透明導電膜TC−101〜TC−105は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例2
〔透明導電膜TC−201の作製;本発明〕
本発明の導電性高分子化合物P−1(固形分濃度1.3%)を固形分濃度が13%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮し、前記で作製したPHEA−1を本発明の導電性高分子化合物P−1に対し固形分換算でそれぞれ400質量%添加した後、ホモジナイザー(本体:ウルトラタラックス T−25、シャフトジェネレーター:S25N−10G(IKA社製))を用い、室温で1時間均一化処理を行うことにより分散液D−21を得た。D−21の平均粒径及び粒子の90質量%の粒経を示すd90はそれぞれ42nm、48nmであった。この分散液へ銀ナノワイヤを本発明の導電性高分子化合物P−1に対し固形分換算で3質量%添加した。この分散液を、易接着加工を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、乾燥膜厚が300nmとなるようにスピンコーターにて塗布し、120℃で30分乾燥した。
〈金属ナノワイヤ除去剤BF−1の作製〉
エチレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 60g
エチレンジアミン4酢酸 2g
メタ重亜硫酸ナトリウム 15g
チオ硫酸アンモニウム 70g
マレイン酸 5g
を純水で1lに仕上げ、硫酸またはアンモニア水でpHを5.5に調製し金属ナノワイヤ除去剤BF−1を作製した。
続いて、上記銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、グラビア塗布機Kプリンティングプルーファー(松尾産業株式会社製)に、10mmのストライプ状パターンと逆の印刷パターンを形成した版を取り付け、上記にて作製した金属ナノワイヤ除去剤BF−1の粘度をCMCで適宜調製し、銀ナノワイヤ塗布層の上に塗布膜厚30μmとなるよう印刷回数を調製してグラビア印刷を行った。印刷後1分間放置し、次いで流水による水洗処理を行い、透明導電膜TC−201を作製した。
〔透明導電膜TC−202の作製;本発明〕
透明導電膜TC−201の作製において、分散液D−21の作製の際、本発明の導電性高分子化合物P−1(固形分濃度1.3%)を、本発明の導電性高分子化合物P−2(固形分濃度1.3%)に置き換えて作製したD−22にした以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−202を作製した。
〔透明導電膜TC−203の作製;本発明〕
透明導電膜TC−202の作製において、分散液D−22の作製の際、本発明の水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子の固形分に対して150質量%となるように添加して作製したD−23にした以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−203を作製した。
〔透明導電膜TC−204の作製;本発明〕
透明導電膜TC−202の作製において、分散液D−22の作製の際、本発明の水溶性バインダー樹脂PHEA−1を導電性高分子の固形分に対して900質量%となるように添加して作製したD−24にした以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−204を作製した。
〔透明導電膜TC−205の作製;本発明〕
透明導電膜TC−201の作製において、分散液D−21の作製の際、本発明の導電性高分子化合物P−1(固形分濃度1.3%)を、本発明の導電性高分子化合物P−3(固形分濃度1.3%)に置き換えて作製したD−25にした以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−205を作製した。
〔透明導電膜TC−206〜TC−209の作製;比較例〕
透明導電膜TC−201の作製において、本発明の分散液D−21を、D−26〜D−28及びP−2に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−206〜TC−209を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明導電膜TC−201〜TC−209に対して、実施例1記載の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求めた。また、透明導電膜の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で14日間置く強制劣化試験後の透明導電膜試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示した結果から、透明導電膜TC−206〜TC−209に対して、透明導電膜TC−201〜TC−205は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例3[透明導電膜の作製]
透明導電膜TC−301の作製(本発明)
本発明の透明導電膜の好ましい製造プロセスに従い透明導電膜を作製した。離型性基板として、表面の平滑性がRy=35nm、Ra=2nmである離型性PETフィルムを用いた。該離型性PETフィルム表面にコロナ放電処理を施した後、上記銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤの目付け量が80mg/mとなるように塗布し乾燥して、導電性繊維である銀ナノワイヤを含有する第一の導電性層を設けた。
次いで、バリア層と易接着層を有する透明基材(PETフィルム(全光透過率90%))上に接着層として紫外線硬化型樹脂(JSR社製、NN803)を塗布し溶媒成分を気化させた後、銀ナノワイヤを含有する第一の導電性層と、接着層とを貼合した。続いて、紫外線を照射して接着層を十分に硬化させた後、離型性基板である離型性PETフィルムを剥離した。
さらに、本発明の分散液D−11に該導電性高分子化合物の質量に対して5質量%のDMSO(ジメチルスルホキシド)を添加し、乾燥膜厚が100nmとなるよう、上記離型性PETフィルムを剥離した第一の導電性層の面へ、オーバーコートし乾燥した後、80℃で3時間熱処理することで本発明の透明導電膜TC−301を作製した。
〔透明導電膜TC−302〜TC−305(本発明)の作製;本発明〕
透明導電膜TC−301の作製において、本発明の分散液D−11をD−12〜D−15に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−302〜TC−305を作製した。
〔透明導電膜TC−306〜TC−309の作製;比較例〕
透明導電膜TC−301の作製において、本発明の分散液D−11を、D−16〜D−18及びP−2に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−306〜TC−309を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明導電膜TC−301〜TC−309に対して、実施例1記載の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求めた。また、透明導電膜の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で14日間置く強制劣化試験後の透明導電膜試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)評価を行った。結果を表3に示す。
表3に示した結果から、透明導電膜TC−306〜TC−309に対して、透明導電膜TC−301〜TC−305は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例4[透明電極の作製]
〈第一導電層の形成〉
本発明の透明電極の好ましい製造プロセスに従い透明電極を作製した。
(細線格子)
下記の如く細線格子(金属材料)をグラビア印刷にて作製した。
(グラビア印刷)
銀ナノ粒子ペースト1(M−Dot SLP:三ツ星ベルト製)をRK Print Coat Instruments Ltd製グラビア印刷試験機K303MULTICOATERを用いて線幅50μm、高さ1.5μm、間隔1.0mmの細線格子を印刷した後、110℃、5分の乾燥処理を行った。
(透明電極TC−401の作製(本発明))
ガスバリア性を有する透明電極用のフィルム基板上にグラビア印刷にて第一導電層を形成した透明電極上に、下記塗布液Aを、押し出し法を用いて、乾燥膜厚300nmになるように押し出しヘッドのスリット間隙を調整して塗布し、110℃、5分で加熱乾燥し、導電性高分子化合物とCP−1からなる第二導電層を形成し、得られた電極を8×8cmに切り出した。得られた電極をオーブンを用いて110℃、30分加熱することで透明電極TC−101を作製した。
〈第二導電層の形成〉
(塗布液A)
本発明の分散液D−11に該導電性高分子化合物の質量に対して5質量%のDMSO(ジメチルスルホキシド)を添加し、乾燥膜厚が100nmとなるよう、上記離型性PETフィルムを剥離した第一の導電性層の面へ、オーバーコートし乾燥した後、80℃で3時間熱処理することで本発明の透明導電膜TC−401を作製した。
〔透明電極TC−402〜TC−405の作製;本発明〕
透明導電膜TC−401の作製において、本発明の分散液D−11をD−12〜D−15に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−402〜TC−405を作製した。
〔透明導電膜TC−406〜TC−409の作製;比較例〕
透明導電膜TC−401の作製において、本発明の分散液D−11を、D−16〜D−18及びP−2に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明導電膜TC−406〜TC−409を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明電極TC−401〜TC−409に対して、実施例1記載の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求めた。また、透明電極の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で14日間置く強制劣化試験後の透明電極試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)評価を行った。
結果を表4に示す。
表4に示した結果から、透明電極TC−406〜TC−409に対して、透明電極TC−401〜405は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例5
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
作製した透明導電膜TC−101〜109を第一電極に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子OEL−501〜509を作製した。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極上に、1,2−ジクロロエタン中に1質量%となるように正孔輸送材料の4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)を溶解させた正孔輸送層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、80℃、60分間乾燥して、厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
正孔輸送層が形成された各フィルム上に、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に対して、赤ドーパント材BtpIr(acac)が1質量%、緑ドーパント材Ir(ppy)が2質量%、青ドーパント材FIr(pic)が3質量%にそれぞれなるように混合し、PVKと3種ドーパントの全固形分濃度が1質量%となるように1,2−ジクロロエタン中に溶解させた発光層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、100℃、10分間乾燥して、厚さ60nmの発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
形成した発光層上に、電子輸送層形成用材料としてLiFを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ0.5nmの電子輸送層を形成した。
〈第2電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、第2電極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ100nmの第2電極を形成した。
〈封止膜の形成〉
形成した電子輸送層の上に、ポリエチレンテレフタレートを基材とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。第1電極および第2電極の外部取り出し端子が形成できる様に端部を除き第2電極の周囲に接着剤を塗り、可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
(評価)
[発光輝度ムラ]
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。200cd/mで発光させた有機EL素子OEL−401〜OEL−407について、50倍の顕微鏡で各々の発光均一性を観察した。また、有機EL素子OEL−501〜OEL−507をオーブンにて60%RH、80℃2時間加熱したのち、再び前記23±3℃、55±3%RHの環境下で1時間以上調湿した後、同様に発光均一性を観察した。
発光均一性の評価基準
◎:EL素子全体が均一に発光している
○:EL素子全体がほぼ均一に発光している
△:EL素子の発光にややムラが認められる
×:EL素子の発光に明らかなムラが認められる
上記評価結果を表5に示す。
表5から、比較の有機EL素子OEL−506〜OEL−509は80℃30分の加熱後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−501〜OEL−505の発光均一性は加熱後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例6
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例2の手順と同様にして作製した透明導電膜TC−201〜209を第一電極に用いて、実施例5の手順と同様な方法で有機EL素子OEL−601〜609を作製した。
(評価)
実施例5と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
表6から、比較の有機EL素子OEL−606〜OEL−609は60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−601〜OEL−605の発光均一性は加熱(強制劣化)後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例7
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例3の手順と同様にして作製した透明導電膜TC−301〜309を第一電極に用いて、実施例5の手順と同様な方法で有機EL素子OEL−701〜709を作製した。
(評価)
実施例5と同様にして評価を行った。結果を表7に示す。
表7から、比較の有機EL素子OEL−706〜OEL−709は60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−701〜OEL−705の発光均一性は加熱(強制劣化)後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例8
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例4の手順と同様にして作製した透明電極TC−401〜409を第一電極に用いて、実施例4の手順と同様な方法で有機EL素子OEL−801〜809を作製した。
(評価)
実施例5と同様にして評価を行った。
結果を表8に示す。
表8から、比較の有機EL素子OEL−806〜OEL−809は60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−801〜OEL−805の発光均一性は加熱(強制劣化)後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例9
〔透明導電膜TC−901の作製(発明例)〕
銀ナノワイヤをSWCNT(Unidym社製、HiPcoR単層カーボンナノチューブ)に変更し、SWCNTの目付け量が50mg/mとなるよう調製した以外は、実施例1で示したTC−101の製造方法と同様にしてTC−901を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製〕
得られた透明導電膜を第一電極(アノード電極)として、実施例5と同様に有機EL素子OLE−901を作製し評価を行ったところ、OLE−101と同様にEL素子全体が均一に発光することが確認できた。また、有機EL素子を60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後も素子全体に均一発光が認められた。
実施例10
〔透明導電膜TC−1001の作製(発明例)〕
銀ナノワイヤをSWCNT(Unidym社製、HiPcoR 単層カーボンナノチューブ)に変更し、銀ナノワイヤ除去剤を用いず、分散液を支持体上に10mmのストライプ状パターンの印刷パターンを形成した版の上から塗布した以外は、実施例2で示したTC−201の製造方法と同様にしてTC−1001を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製〕
得られた透明導電膜を第一電極(アノード電極)として、実施例5と同様に有機EL素子OLE−1001を作製し評価を行ったところ、OLE−201と同様にEL素子全体が均一に発光することが確認できた。また、有機EL素子を60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後も素子全体に均一発光が認められた。
1 パターン状に形成された金属材料からなる第1導電層
2 バインダー樹脂と導電性ポリマーを含有する第2導電層
3 基材
11 導電性繊維
21 導電性高分子化合物と水溶性バインダー樹脂
31 第一の透明導電膜
32 第二の透明導電膜
41 透明基材

Claims (6)

  1. 透明基材上に導電性繊維と、有機化合物層からなる透明導電膜において、該有機化合物層は下記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物とポリアニオンとからなる導電性高分子化合物と下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する水溶性バインダー樹脂を含有し、更に、該有機化合物層が、該導電性高分子化合物と該水溶性バインダー樹脂との分散液を塗布・乾燥して形成された有機化合物層であって、かつ、該分散液中の粒子の平均粒経が5〜100nmであることを特徴とする透明導電膜。

    〔式中、Aは置換されても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子、又は硫黄原子を表す。〕

    〔式中、Rは少なくとも水酸基一つ含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基から選ばれる少なくとも1種を表し、Rは水素原子、又はメチル基を表す。
  2. 前記分散液中の前記高分子化合物と、前記ポリアニオンの合計質量に対する前記水溶性バインダー樹脂の質量が100〜1000質量%であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜。
  3. 前記分散液中の粒子の少なくとも90質量%の粒子の平均粒径が5〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の透明導電膜。
  4. 前記ポリアニオンが下記一般式(II)で表される繰り返し構造単位を有するポリアニオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の透明導電膜。
  5. 基材上にパターン状に形成された金属材料からなる第一導電層と、導電性高分子化合物を含有する第二導電層を有する透明導電膜において、前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する高分子化合物を含有することを特徴とする透明導電膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の透明導電膜を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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