JPWO2011096464A1 - 導電性エンドレスベルト - Google Patents

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Abstract

より低コストで、均一で局所的なバラツキがなく、良好な画像が得られる導電性エンドレスベルトを提供する。画像形成装置に用いられる無端ベルト状で、少なくとも基層101と樹脂硬化層102とを内側から順次備える積層構造を有する導電性エンドレスベルト100である。基層101が、熱可塑性樹脂を含有し、樹脂硬化層102が、紫外線硬化型樹脂と、イオン導電剤と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、を含有し、イオン導電剤の含有量が、紫外線硬化型樹脂と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、の総含有量100質量部に対し、0.5〜5質量部である。

Description

本発明は、複写機、プリンター等の電子写真装置や静電記録装置等における静電記録プロセスにおいて、表面に静電潜像を保持した潜像保持体等の画像形成体表面に現像剤を供給して形成されたトナー像を、紙等の記録媒体へと転写する際に用いられる導電性エンドレスベルト(以下、単に「ベルト」とも称する)に関する。
従来から、複写機、プリンター等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
まず、第1には、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行い、感光体上にカラーのトナー像を形成する多重現像方式がある。この方式によれば比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、この方式では階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2に、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現するタンデム方式がある。この方式では、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、各感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図2にタンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光体ドラム1、帯電ロール2、現像ロール3、現像ブレード4、トナー供給ロール5およびクリーニングブレード6で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ(駆動部材)9により循環駆動されて転写搬送ベルト10で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール7および除電ロール8で行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト10の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所および短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、タンデム型の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく、4色の連続する転写でも、比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は、注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度に対する依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第3に、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
前記多重現像方式、タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、かつ装置が特に大型化するようなこともなく、しかも記録媒体種が特に制限されるようなこともない方式として、中間転写方式が提案されている。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して、4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、かつ、タンデム方式のように感光体を1列に並べる必要がないので装置が特に大型化することもなく、しかも記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。
中間転写方式によりカラー画像の形成を行う装置として、中間転写部材として無端ベルト状の中間転写部材を用いた画像形成装置を図3に例示する。
図3中、11はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体11は、一次帯電器12によって帯電され、次いで画像露光13により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光体11上に形成され、更に静電潜像が現像器41により第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光体11上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ(駆動部材)30により循環駆動されて感光体11と接触しながら循環回転する中間転写部材20に転写される。この場合、感光体11から中間転写部材20への転写は、感光体11と中間転写部材20とのニップ部において、中間転写部材20に電源61から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写部材20に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、感光体11の表面がクリーニング装置14により清掃され、感光体11の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光体が3回転し、各周回ごとに現像器42〜44を順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光体11上に形成され、これが周回ごとに中間転写部材20に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写部材20上に形成される。なお、図3の装置にあっては、感光体11の周回ごとに現像器41〜44が順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写部材20に転写ローラ25が当接し、そのニップ部に給紙カセット19から紙等の記録媒体26が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源29から転写ローラ25に印加され、中間転写部材20から記録媒体26上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体26へと転写した後の中間転写部材20は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置35により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせた中間転写方式もある。図4に、無端ベルト状の中間転写部材を用いてカラー画像の形成を行う中間転写方式の画像形成装置を例示する。
図示する装置においては、感光体ドラム52a〜52d上の静電潜像を夫々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックにより現像する第1現像部54a〜第4現像部54dが、中間転写部材50に沿って順次配置されており、この中間転写部材50を図中の矢印方向に循環駆動させて、各現像部54a〜54dの感光体ドラム52a〜52d上に形成された4色のトナー像を順次転写することにより、この中間転写部材50上にカラーのトナー像を形成し、このトナー像を紙等の記録媒体53上に転写することにより、プリントアウトを行う。ここで、上記いずれの装置においても、現像に用いるトナーの配列順は特に制限されるものではなく、任意に選択可能である。
なお、図中、符号55は、中間転写部材50を循環駆動するための駆動ローラ若しくはテンションローラを示し、符号56は2次転写ローラ、符号57は記録媒体送り装置、符号58は記録媒体上の画像を加熱等により定着させる定着装置を示す。
従来、かかる無端ベルト状の転写搬送ベルト10や中間転写部材20,50等として使用される導電性エンドレスベルトとしては、基層に熱硬化性樹脂を使用し、該基層上に表層として紫外線硬化型樹脂層を有するものが知られている。また、例えば、特許文献1には、基層である熱可塑性樹脂の上に、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸化亜鉛等の微粒子状金属酸化物導電剤を含有した紫外線硬化型樹脂を塗布した電子写真用ベルトが開示されている。
さらに、特許文献2には、熱可塑性樹脂を含む基層と、該基層上に塗布により設けられた、導電性粒子を含む厚さ0.5μm以上3μm以下の樹脂硬化膜とを具備し、その硬化膜の表面粗さを規定した中間転写ベルトが開示されている。さらにまた、特許文献3には、ガラス転移温度が180℃以下である基材層と、主要成分が活性光線を照射することによって硬化する樹脂である表面層とを有する中間転写体が開示されている。
特開2006−330692号公報(特許請求の範囲等) 特開2007−183401号公報(特許請求の範囲等) 特開2008−46463号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、導電性金属粒子は樹脂硬化層中での分散性が悪く凝集しやすいため、特許文献1〜3記載の方法では、抵抗値のバラツキが大きく、均一な画像が得られないという問題点がある。また、一般に高価な導電性金属粒子を相当量、例えば、50質量部以上配合する必要があるため、コスト高となるという問題がある。さらに、紫外線硬化型樹脂にカーボンブラックを配合した場合には、紫外線が樹脂硬化層中に十分に浸透せず、硬化不良が発生する。
そこで本発明の目的は、上記従来技術における問題を解消して、より低コストで、均一で局所的なバラツキがなく、良好な画像が得られる導電性エンドレスベルトを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂硬化層中に、導電性金属粒子でなくイオン導電剤を含有させ、さらに特定の成分を含有させることで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の導電性エンドレスベルトは、画像形成装置に用いられる無端ベルト状で、少なくとも基層と樹脂硬化層とを内側から順次備える積層構造を有する導電性エンドレスベルトにおいて、
前記基層が、熱可塑性樹脂を含有し、
前記樹脂硬化層が、紫外線硬化型樹脂と、イオン導電剤と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、を含有し、
前記イオン導電剤の含有量が、紫外線硬化型樹脂と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、の総含有量100質量部に対し、0.5〜5質量部であることを特徴とするものである。
本発明の導電性エンドレスベルトにおいては、前記イオン導電剤が、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、また、前記第4級アンモニウム塩が、下記一般式(I)、
Figure 2011096464
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表し、R、RおよびRは、夫々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xn−はn価の陰イオンを表し、nは1〜6の整数である)で表わされることが好ましい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトにおいては、前記1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種の含有量が、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、10〜30質量部であることが好ましく、前記エチレンオキサイドを有するポリマーの含有量が、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、10〜30質量部であることが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、より低コストで、均一で局所的なバラツキがなく、良好な画像が得られる導電性エンドレスベルトを実現することが可能となった。
本発明の一実施の形態に係る導電性エンドレスベルトの幅方向断面図である。 画像形成装置の一例としての転写搬送ベルトを用いたタンデム方式の画像形成装置を示す概略図である。 画像形成装置の他の例としての中間転写部材を用いた中間転写装置を示す概略図である。 画像形成装置のさらに他の例としての中間転写部材を用いた他の中間転写装置を示す概略図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよく、好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式および中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図2に参照符号10で示す転写搬送ベルトの場合、駆動ローラ9等の駆動部材により駆動され、これに伴い搬送される記録媒体上にトナーが順次転写され、カラー画像が形成される。
また、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図3に参照符号20で示す中間転写部材の場合、これを駆動ローラ30等の駆動部材により循環駆動させ、感光体ドラム(潜像保持体)11と紙等の記録媒体26との間に配設することで、前記感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体26へと転写する。なお、図3の装置は、上述したように、中間転写方式によりカラー印刷を行うものである。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図4に参照符号50で示す中間転写部材の場合、感光体ドラム52a〜52dを備える現像部54a〜54dと紙等の記録媒体53との間に配設されて、駆動ローラ55等の駆動部材により循環駆動され、各感光体ドラム52a〜52dの表面に形成された4色のトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体53へと転写することで、カラー画像を形成する。なお、上記ではトナーが4色の場合について説明しているが、いずれの装置においても、トナーの色数が4色に限られないことは言うまでもない。
図1に、本発明の一好適例の導電性エンドレスベルトの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の導電性エンドレスベルト100は、画像形成装置に用いられる無端ベルト状で、少なくとも基層101と樹脂硬化層(以下、「樹脂層」とも称する)102とを内側から順次備える積層構造を有している。また、このうち基層101が、熱可塑性樹脂を含有し、樹脂硬化層102が、紫外線硬化型樹脂と、イオン導電剤と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、を含有する。さらに、イオン導電剤の含有量が、紫外線硬化型樹脂と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、の総含有量100質量部に対し、0.5〜5質量部であるものである。かかる構成とすることにより、イオン導電剤の分散性が良好となり、抵抗値が安定して抵抗値のバラツキを小さくすることができ、均一な画像を得ることが可能となった。また、表層の柔軟性も得ることができ、ベルトの破損を防ぐことも可能となった。
即ち、本発明においては、樹脂硬化層102中に、イオン導電剤と、それを保持するための物質としての1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、イオンを動きやすくするための吸水性が良好な物質としてのエチレンオキサイドを有するポリマーと、が含有されていることが肝要である。なお、本発明に係る樹脂層102は、図示する例では一層であるが、材料や物性が相互に異なる複数の層で構成することもでき、その場合には、そのうち少なくとも一層が上記紫外線硬化型樹脂を含む層とする。
本発明に用いる紫外線硬化型樹脂とは、波長200〜400nm程度の紫外線(UV)の照射により硬化する樹脂をいい、通常、プレポリマー、モノマー、紫外線重合開始剤および添加剤からなる。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもでき、特には、樹脂層102の力学的強度や耐環境特性を改善するために、架橋構造を有するものを導入することが好ましい。
上記の紫外線硬化型樹脂の中でも、特に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレートモノマーを用いたものや、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂が好適である。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系の(メタ)アクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
紫外線硬化型樹脂は、所望に応じ、粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を含有する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり、通常、10〜200質量部にて用いることが好ましい。
また、紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射により硬化反応の開始を促進させるための紫外線重合開始剤を含有する。かかる紫外線重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、公知のものを使用することができるが、特に、照射される紫外線が樹脂層102内部まで届かなくなって、紫外線重合開始剤の機能が充分発揮されずに硬化反応が進行しなくなるおそれがある場合は、樹脂層102内部まで侵入しやすい長波長の紫外線に感度を有する紫外線重合開始剤を用いることが好ましい。
具体的には、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上である紫外線重合開始剤が好適に用いられる。このような長波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントンノアミン等を用いることができ、これらのより具体的な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、または、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンを挙げることができる。
この場合、紫外線重合開始剤として、上記のものに加えて、さらに、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm未満である紫外線重合開始剤を含有させることが好ましく、これにより、特にカーボン系導電剤を用いた場合において、樹脂層102内部だけでなく、樹脂層102の表面近傍についても良好に硬化反応を進行させることができる。
このような短波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ1,2ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
かかる紫外線重合開始剤の配合量としては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり0.1〜10質量部とすることが好ましい。
樹脂層102には、上記成分以外に必要に応じて、上記の紫外線重合開始剤による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを紫外線硬化型樹脂に添加してもよい。これらの化合物を添加する場合、その添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
また、少なくとも最外側に位置する樹脂層102に関しては、これを構成する紫外線硬化型樹脂が、フッ素および珪素のうちいずれか一方または双方を含有することが好ましく、これにより、最外層の樹脂層102の表面エネルギーを低減することができ、その結果、ベルト表面の摩擦抵抗を低下させるとともに、トナー離型性も向上することができ、長期間の使用における摩耗を低減して、耐久性を向上させることができる。
フッ素を含む紫外線硬化型樹脂の原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物としては、フルオロオレフィン類、フルオロ(メタ)アクリレート類が好適である。
フルオロオレフィン類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数2〜12のものが好適であり、具体的には、ヘキサフルオロプロペン[CFCF=CF,フッ素含有率76質量%]、(パーフルオロブチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率69質量%]、(パーフルオロヘキシル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率71質量%]、(パーフルオロオクチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率72質量%]、(パーフルオロデシル)エチレン[F(CF10CH=CH,フッ素含有率73質量%]、クロロトリフルオロエチレン[CF=CFCl,フッ素含有率49質量%]、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロペン[(CFC=CFOCH,フッ素含有率63質量%]、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率60質量%]、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン[(CF(CH=CH,フッ素含有率64質量%]、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率67質量%]を例示することができる。
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数5〜16のフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(CFCHOCOCH=CH、フッ素含有率34質量%)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(CFCFCHOCOCH=CH、フッ素含有率44質量%)、F(CFCHCHOCOCH=CH(フッ素含有率51質量%)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率37質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率54質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率49質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率55質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[F(CF10CHCHOCOCH=CH,フッ素含有率65質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率52質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率61質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率64質量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率60質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率41質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率53質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率63質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CFCHFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率48質量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率34質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率44質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率53質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[F(CF10CHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率63質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率55質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率56質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率48質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CFCHFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率46質量%]などを例示することができる。
上記の重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物は、モノマー、オリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物であることが好ましい。オリゴマーとしては2〜20量体が好ましい。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマーまたはオリゴマー、また、シリコーン系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
また、珪素を含む紫外線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好適である。反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。
本発明に好適に用いられる珪素含有化合物の具体例を以下に示す。
下記の表1中に示す信越化学工業(株)製 両末端反応性シリコーンオイル(下記式(1)、
Figure 2011096464
で示される官能基を有する)である。
Figure 2011096464
下記の表2中に示す信越化学工業(株)製 片末端反応性シリコーンオイル(下記式(2)、
Figure 2011096464
(上記式(2)中、Rはメチル基またはブチル基であり、Rは前記式(1)で示される官能基である)で示される構造を有する)である。
Figure 2011096464
下記の表3中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製両末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(3)、
Figure 2011096464
で示される構造を有する)である。
Figure 2011096464
下記の表4中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製片末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(4)、
Figure 2011096464
で示される構造を有する)である。
Figure 2011096464
下記の表5中に示す信越化学工業(株)製(メタ)アクリロキシアルキルシラン類(順に、下記式(5)〜(11)、

Figure 2011096464
Figure 2011096464
でそれぞれ示される構造を有する)である。
Figure 2011096464
これらの珪素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物と併用してもよい。
また、これらの重合可能な炭素間二重結合を有する珪素含有化合物および他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物として好ましく用いられる。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。オリゴマーとしては、2〜20量体が好ましい。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等、また、フッ素系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
本発明において、イオン導電剤としては、本発明の所期の効果が得られれば特に限定されないが、例えば、テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム,ヘキサデシルトリメチルアンモニウム,ステアリルトリメチルアンミニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム,ベンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等のアンモニウムの過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などの有機イオン導電剤等を挙げることができる。
また、本発明において、イオン導電剤は、イオンの解離度が低く連続通電においても安定しているため第4級アンモニウム塩であることが好ましく、さらには、下記一般式(I)、
Figure 2011096464
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表し、R、RおよびRは、夫々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xn−はn価の陰イオンを表し、nは1〜6の整数である)で表わされるものであることがさらに好ましい。
第4級アンモニウム塩は、分子量が大きく移動しにくいという特徴を有しているが、本発明では、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種を含有させることで第4級アンモニウム塩を溶解し、さらに、エチレンオキサイドを有するポリマーを含有させて吸水性を良好にすることで第4級アンモニウム塩が移動しやすくなる。その結果、樹脂硬化層102中の第4級アンモニウム塩の分散性が極めて良好となり、均一で局所的なバラツキがなく、良好な画像が得られるものである。
また、本発明において、エチレンオキサイドを有するポリマーとしては、本発明の所期の効果が得られれば限定されず、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート等を挙げることができる。
さらに、本発明において、イオン導電剤の含有量は、紫外線硬化型樹脂と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、の総含有量100質量部に対し、0.5〜5質量部、好ましくは0.5〜2質量部である。イオン導電剤の含有量が0.5質量部より少ないと、紫外線が樹脂硬化層中に十分に浸透せず、硬化不良が発生する。一方、イオン導電剤の含有量が5質量部より多いと、トナーの貼りつきが起こる。
さらに、本発明において、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは20〜30質量部である。かかる含有量が10質量部未満であると、吸水性が十分に得られないおそれがあり、一方、30質量部より多く配合しても吸水性の効果は変わらず、コストが高くなるため好ましくない。
また、本発明において、エチレンオキサイドを有するポリマーの含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは20〜30質量部である。かかる含有量が10質量部未満であると、イオン導電剤を十分に溶解できないおそれがあり、一方、30質量部より多く配合してもイオン導電剤を溶解する効果は変わらず、コストが高くなるため好ましくない。
本発明において、樹脂層102を形成する方法としては、上記紫外線硬化型樹脂の構成成分およびイオン導電剤と、その他の添加剤とを含有する塗工液をベルト基層101上に塗布して、紫外線照射により硬化させる方法を好適に用いることができる。この塗工液は無溶剤で形成することが好ましく、あるいは、常温において揮発性の高い溶剤を溶媒として用いてもよい。このような方法を用いることで、熱や熱風を用いて乾燥、硬化させて形成する方法において必要となるような乾燥のための大掛かりな設備およびスペースを節減することができ、かつ、乾燥プロセスの制御が難しいことに起因する成膜のバラツキを抑制して、樹脂層102を高精度で形成することができる。
この塗工液を塗布する方法としては、塗工液中に基層101である基体を浸漬するディップ法や、スプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
紫外線を照射するための光源としては、通常使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のいずれも使用することができる。紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すればよいが、照度100〜700mW/cm、積算光量200〜3000mJ/cm程度が適切である。
樹脂層102の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常1〜12μm、特には1〜10μm、とりわけ2〜3μm程度とすることが好ましい。厚さが薄すぎると、長期使用時の摩擦により十分にベルト表面の帯電性能を確保することができなくなる場合があり、一方、厚すぎると、ベルト表面が硬くなって、トナーにダメージを与え、画像形成体等へのトナーの固着が発生して画像不良などの問題を生ずるおそれがある。
また、本発明のベルトにおける基層101は、熱可塑性樹脂を主成分として構成するものである。かかる熱可塑性樹脂としては、従来公知の材料のうちから適宜選択して用いることができ、具体的には例えば、熱可塑性ポリアミド(PA,ナイロン)、熱可塑性ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、熱可塑性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂や熱可塑性ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂等の熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や熱可塑性ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂のうちいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンドや、これら樹脂のうちいずれか1種または2種以上と他の熱可塑性樹脂、特には熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイまたはポリマーブレンドなどを用いてもよい。中でも、PPS、ポリアルキレンテレフタレート、ナイロン等が好ましい。
上記熱可塑性ポリアミドは、耐摩耗性の良好な材料として最も古くから使われている樹脂の一つであり、強度や耐衝撃性等にも優れており、市場で容易に入手することができる。PAとしてはいくつか種類があるが、特に、ナイロン12(以下、「PA12」と称する)、例えば、東レ(株)製、商品名:リルサンAESNOTLやダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドL2101、ダイアミドL1940、宇部興産(株)製、商品名:3024Uなどを好適に用いることができる。PA12は他のPAに比べ環境変動における寸法安定性に優れている。また、PA6も好適である。かかる熱可塑性ポリアミドを基層101の基材樹脂として用いることで、抵抗のバラツキがなく、かつ、強度、特には屈曲耐久性に優れる導電性エンドレスベルトを得ることができる。なお、かかるPA12としては、好適には数平均分子量7000〜100000、より好適には13000〜40000の範囲内のものである。
PAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイのうち好適なものとしては、PA12と熱可塑性ポリエーテルとのブロック共重合アロイを挙げることができる。これにより、寸法安定性に加え、低温特性の向上にも優れた効果を得ることができる。かかるPA12と熱可塑性ポリエーテルとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドX4442などを代表的に挙げることができる。
また、PAとのポリマーブレンドに好適に用いることのできる熱可塑性エラストマーとしては、ヤング率が98000N/cm以下、好ましくは980〜49000N/cmの重合体が知られ、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、スチレン系、アクリル系、ポリジエン系等のエラストマーを使用することができる。かかる熱可塑性エラストマーをブレンドすることにより、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。PA12と熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンドも市場で入手可能であり、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドE1947が挙げられる。
なお、本発明におけるPAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイおよびポリマーブレンドにおける配合比としては、PAがPA12である場合には、好適には、PA12を100質量部に対し熱可塑性エラストマー100質量部以下である。
熱可塑性ポリアリレートは、耐衝撃性および寸法安定性に優れ、かつ、弾性回復特性が良好なエンジニアリングプラスチックであり、市場で容易に入手することができ、例えば、ユニチカ(株)製のU−100などを代表的に挙げることができる。かかるPARを導電性エンドレスベルトの基材とすることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
PARのポリマーアロイまたはポリマーブレンドのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリカーボネート(PC)または熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)とのポリマーアロイを挙げることができる。かかるPARと熱可塑性樹脂とのポリマーアロイおよびポリマーブレンドも市場で入手することが可能であり、例えば、PCとのアロイとしてのユニチカ(株)製のP−3001、PETとのアロイとしてのユニチカ(株)製のU−8000などを代表的に挙げることができる。
熱可塑性ポリアセタールは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、熱安定性の面からはコポリマーが好ましい。POMは、強度、耐摩耗性、寸法安定性、成形性などのバランスがとれていることから、プラスチック歯車などに多く使用されているエンジニアリングプラスチックであり、市場で容易に入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック2010、ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラコンM25−34などを代表的に挙げることができる。かかるPOMを導電性エンドレスベルトの基材に用いることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
POMのポリマーアロイのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイを挙げることができ、これにより、上記特性に加えて耐衝撃性にも優れた効果を奏する。POMと熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック4012などを代表的に挙げることができる。
また、POMとのポリマーブレンドに好適に用いることができる熱可塑性エラストマーとしては、前述のPAの場合と同様のものを挙げることができる。この場合にも、かかる熱可塑性エラストマーとのブレンドの効果により、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。
熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂は、耐衝撃性、寸法安定性および耐侯性に優れ、かつ、弾性回復特性が良好なエンジニアリングプラスチックであり、市場で容易に入手することができる。具体的には、例えば、熱可塑性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂や熱可塑性ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂等を挙げることができ、好適には、熱可塑性PBN樹脂を用いる。
また、熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、具体的には例えば、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や熱可塑性ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を挙げることができ、好適には、熱可塑性PET樹脂を用いる。熱可塑性PET樹脂は、耐熱性や耐光性、耐摩耗性等に優れるという特長を有する。
基層101中には、導電剤を添加して導電性の調整を行う。かかる導電剤としては、樹脂層102について前掲したイオン導電剤や電子導電剤を適宜用いることができ、特に制限されるものではない。電子導電剤としては、具体的には例えば、ケッチェンブラック,アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラ−(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属および金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカー等が挙げられる。また、その添加量は、基材樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部程度である。
基層101の厚さとしては、転写搬送ベルトまたは中間転写部材等の形態に応じて適宜選定されるものであるが、通常85〜150μmとすることが好ましい。
基層101および樹脂層102中には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して着色を施してもよい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトの表面粗さとしては、好適には、JIS10点平均粗さRzで10μm以下、特に6μm以下、さらには3μm以下とする。さらに、体積抵抗率としては、前述のように、樹脂層102中にイオン導電剤、および/または基層101中に導電剤を添加することにより、10Ωcm〜1013Ωcmの範囲内程度に調整することが好ましい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトには、図1に一点鎖線で示すように、図2の画像形成装置における駆動ローラ9または図3の駆動ローラ30などの駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材に形成した嵌合部(図示せず)と嵌合する嵌合部を形成してもよく、本発明の導電性エンドレスベルトに、このような嵌合部を設け、これを駆動部材に設けた嵌合部(図示せず)と嵌合させて走行させることにより、導電性エンドレスベルトの幅方向のずれを防止することができる。
この場合、前記嵌合部は、特に制限されるものではないが、図1に示すように、ベルトの周方向(回転方向)に沿って連続する凸条とし、これを駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した溝に嵌合させるようにすることが好ましい。
なお、図1(a)では、1本の連続する凸条を嵌合部として設けた例を示したが、この嵌合部は多数の凸部をベルトの周方向(回転方向)に沿って一列に並べて突設してもよく、また嵌合部を2本以上設けたり(図1(b))、ベルトの幅方向中央部に設けてもよい。更に、嵌合部として図1に示した凸条ではなく、ベルトの周方向(回転方向)に沿った溝を設け、これを前記駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した凸条と嵌合させるようにしてもよい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置としては、図2に示すタンデム方式のものや図3に示す中間転写方式のもの、または、図4に示すタンデム中間転写方式のものを例示することができるが、これらには限定されない。尚、図3の装置の場合、中間転写部材20を回転させる駆動ローラまたは駆動ギアには適宜電源61から電圧を印加することができ、この場合の電圧は直流のみの印加または直流に交流を重量する印加など、印加条件は適時選択することができる。
さらに、本発明において、導電性エンドレスベルトの製造方法は、樹脂層102を形成するあたり、紫外線硬化型樹脂を含む無溶剤の塗工液を基層101上に塗工し、これを紫外線照射により硬化させる工程を含むものである。かかる製造方法においては、上記樹脂層102の形成工程以外の工程については特に制限されるものではなく、例えば、基層101については、二軸混練機により基材樹脂と導電剤等の機能性成分とからなる樹脂組成物を混練し、得られた混練物を環状ダイスを使って押出し成形することにより製造することができる。または、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ法または遠心注型法も好適に採用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
下記の表6〜8中に夫々示す配合になるように、各実施例および比較例の導電性エンドレスベルトを作製した。具体的には、まず、各表中に示すベルト基体の各配合成分を二軸混練機により溶融混練して、得られた混練物を環状ダイスを用いて押出し成形することにより、内径220mm、厚さ100μm、幅250mmの寸法を有する基層101を作製した。その後、この基層101上に、各表中に示す配合材料を用いてメチルエチルケトンを溶剤として作製した樹脂層の溶剤塗工液を、スプレーを用いて、乾燥後の膜厚が2μmとなるよう塗工した。塗工後のベルト100を回転させながら、ウシオ電機(株)製 ユニキュアUVH−0252C装置を用いて、照度400mW,積算光量1000mJ/cmで紫外線を照射し、樹脂層102の塗膜を硬化させることにより、導電性エンドレスベルト100を得た。
得られた各実施例および比較例のベルトにつき、下記の手順に従い、評価を行った。これらの結果を下記の表6〜8中に併せて示す。
<耐折れ回数>
各ベルトから長さ100mm、幅15mmの試験片を切り出し、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機を用いて、折り曲げ速度175回/min、回転角度135度、引張荷重14.7N(1.5kgf)の条件で耐折り曲げ回数(耐折れ回数:回)を測定した。なお、基層のみの場合の耐折れ回数は、3000回である。
<ブリード性>
各ベルトを感光体ドラムに荷重1kgにて押し付け、40℃×95%の高温高湿下で一週間放置した。その後、各ベルトを取り出し、感光体ドラムとの接触部について目視確認を行って、感光体ドラムの汚染が見られなかった場合を○、汚染が若干見られた場合を△、ベルト表面にブリードが生じて感光体ドラムの汚染が見られたものを×とした。
<画像の評価>
各ベルトを図3に示す中間転写ベルトを用いた中間転写方式のカラーレーザープリンターに装着し、印字試験を行った。印字された画像について、初期の画像不良の評価(初期画像評価)を行った。画像不良を生じない場合を○、やや生じた場合を△、生じた場合を×とした。また、5000枚印字試験後の画像不良の評価(5K画像評価)を行った。画像不良を生じない場合を○、やや生じた場合を△、生じた場合を×とした。
Figure 2011096464
*1)DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*2)1,4−BDA:1,4−ブタンジオールアクリレート
*3)PEGジアクリレート:ポリエチレングリコールジアクリレート
*4)第4級アンモニウム塩:ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート無水物(日油(株)製,エレガン26)
*5)金属微粒子:石原産業(株)製、SN−100P
*6)PPS:ポリプラスチックス(株)製、フォートロンW2204
*7)カーボンブラック:電気化学工業(株)製、商品名 電化ブラック
Figure 2011096464
*8)PETEA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学(株)製,ライトアクリレートPE−4A)
*9)ウレタンアクリレート:ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製,UA−306H)
*10)PTMGA:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(共栄社化学(株)製,ライトアクリレートPTMGA−250)
*11)PBT:ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)製,ジュラネックス800FP)
*12)12−Ny:ポリアミド12(宇部興産(株)製,ウベスタレジン3024U C01)
Figure 2011096464
上記表6および7に示すように、各実施例のベルトにおいては、耐折れ回数、ブリード性、初期画像評価および5K画像評価のいずれも良好で、より低コストで、均一で局所的なバラツキがなく、良好な画像が得られる導電性エンドレスベルトを提供できた。一方、比較例1では、ベルトが破損してしまった。また、比較例2および6では、十分な耐折れ回数を得ることができなかった。さらに、比較例3では、トナー貼りつきが生じ、良好なブリード性、初期画像評価および5K画像評価が得られなかった。さらにまた、比較例4〜6では、良好な5K画像評価が得られなかった。
1、11、52a〜52d 感光体ドラム
2、7 帯電ロール
3 現像ロール
4 現像ブレード
5 トナー供給ロール
6 クリーニングブレード
8 除電ロール
9、30、55 駆動ローラ(駆動部材)
10 転写搬送ベルト
12 一次帯電器
13 画像露光
14、35 クリーニング装置
19 給紙カセット
20、50 中間転写部材
25 転写ローラ
26、53 記録媒体
29、61 電源
41、42、43、44 現像器
54a〜54d 第1現像部〜第4現像部
56 2次転写ローラ
57 記録媒体送り装置
58 定着装置
100 導電性エンドレスベルト
101 基層
102 樹脂硬化層

Claims (5)

  1. 画像形成装置に用いられる無端ベルト状で、少なくとも基層と樹脂硬化層とを内側から順次備える積層構造を有する導電性エンドレスベルトにおいて、
    前記基層が、熱可塑性樹脂を含有し、
    前記樹脂硬化層が、紫外線硬化型樹脂と、イオン導電剤と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、を含有し、
    前記イオン導電剤の含有量が、紫外線硬化型樹脂と、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種と、エチレンオキサイドを有するポリマーと、の総含有量100質量部に対し、0.5〜5質量部であることを特徴とする導電性エンドレスベルト。
  2. 前記イオン導電剤が、第4級アンモニウム塩である請求項1記載の導電性エンドレスベルト。
  3. 前記第4級アンモニウム塩が、下記一般式(I)、
    Figure 2011096464
    (式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表し、R、RおよびRは、夫々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xn−はn価の陰イオンを表し、nは1〜6の整数である)で表わされる請求項2記載の導電性エンドレスベルト。
  4. 前記1,4−ブタンジオールアクリレートおよびポリテトラメチレングリコールアクリレートのうち少なくとも一種の含有量が、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、10〜30質量部である請求項1記載の導電性エンドレスベルト。
  5. 前記エチレンオキサイドを有するポリマーの含有量が、紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、10〜30質量部である請求項1記載の導電性エンドレスベルト。
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