従来から、複写機、プリンター等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
まず、第1には、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行い、感光体上にカラーのトナー像を形成する多重現像方式がある。この方式によれば比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、この方式では階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2に、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現するタンデム方式がある。この方式は、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、各感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図2にタンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光体ドラム1、帯電ロール2、現像ロール3、現像ブレード4、トナー供給ロール5およびクリーニングブレード6で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ(駆動部材)9により循環駆動されて転写搬送ベルト10で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール7および除電ロール8で行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト10の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所、短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、タンデム型の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく4色の連続する転写でも比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度への依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第3に、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
前記多重現像方式、タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、かつ装置が特に大型化するようなこともなく、しかも記録媒体種が特に制限されるようなこともない方式として、中間転写方式が提案されている。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、かつタンデム方式のように感光体を1列に並べる必要がないの
で装置が特に大型化することもなく、しかも記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。
中間転写方式によりカラー画像の形成を行う装置として、中間転写部材として無端ベルト状の中間転写部材を用いた画像形成装置を図3に例示する。
図3中、11はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体11は、一次帯電器12によって帯電され、次いで画像露光13により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光体11上に形成され、更に静電潜像が現像器41により第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光体11上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ(駆動部材)30により循環駆動されて感光体11と接触しながら循環回転する中間転写部材20に転写される。この場合、感光体11から中間転写部材20への転写は、感光体11と中間転写部材20とのニップ部において、中間転写部材20に電源61から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写部材20に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、前記感光体11はその表面がクリーニング装置14により清掃され、感光体11の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光体が3回転し、各周回ごとに現像器42〜44を順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光体11上に形成され、これが周回ごとに中間転写部材20に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写部材20上に形成される。なお、図3の装置にあっては、感光体11の周回ごとに現像器41〜44が順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写部材20に転写ローラ25が当接し、そのニップ部に給紙カセット19から紙等の記録媒体26が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源29から転写ローラ25に印加され、中間転写部材20から記録媒体26上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体26へと転写した後の中間転写部材20は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置35により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。図4に、無端ベルト状のタンデム中間転写部材を用いてカラー画像の形成を行うタンデム中間転写方式の画像形成装置を例示する。
図示する装置においては、感光体ドラム52a〜52d上の静電潜像を夫々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックにより現像する第1現像部54a〜第4現像部54dが、タンデム中間転写部材50に沿って順次配置されており、このタンデム中間転写部材50を図中の矢印方向に循環駆動させて、各現像部54a〜54dの感光体ドラム52a〜52d上に形成された4色のトナー像を順次転写することにより、このタンデム中間転写部材50上にカラーのトナー像を形成し、このトナー像を紙等の記録媒体53上に転写することにより、プリントアウトを行う。
なお、図中、符号55は、タンデム中間転写部材50を循環駆動するための駆動ローラ若しくはテンションローラを示し、符号56は記録媒体送りローラ、符号57は記録媒体送り装置、符号58は記録媒体上の画像を加熱等により定着させる定着装置を示す。また、符号59はタンデム中間転写部材50に電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)を示し、この電源装置59は、トナー像を、感光ドラム52a〜52dから上記タンデム中間転写部材50に転写する場合と、タンデム中間転写部材50から記録媒体53上に転写する場合とで、印加する電圧の正負を反転させることができるようになっている。
上記各種画像形成装置において、転写搬送ベルト10や中間転写部材20、タンデム中間転写部材50等として使用される導電性エンドレスベルトとしては、従来、半導電性の樹脂フィルムベルトと、繊維補強体を有するゴムベルトとが主に用いられている。このうち樹脂フィルムベルトとしては、例えば、特許文献1に、熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂、または、これと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイ若しくはポリマーブレンドを基材として用いた導電性エンドレスベルトが記載されている。
また、特許文献2には、積層構造を有するベルトとして、導電性物質を含有するポリイミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミド系樹脂層からなる表面層と、導電性物質を含有するポリイミド系前駆体を閉環イミド化してなる熱硬化性ポリイミド系樹脂層からなる裏面層との二層を有する遠心成形法により形成された無端ベルトであって、前記表面層と裏面層との二層が同時に閉環イミド化されてなり、前記表面層の電気抵抗値が10
9Ω/□〜10
13Ω/□であり、前記裏面層の表面電気抵抗値より大きく、かつ無端ベルトの体積電気抵抗値が前記表面層の表面電気抵抗値より小さい値を有する複写機の記録用半導電性ポリイミド系無端ベルトが記載されている。この技術は、転写効率と除電効率との関係を解決して、電気抵抗値のバラツキがきわめて小さく安定しており、ベルトの表面精度、厚み精度等においても良好な品質を有するベルトの実現を目的としたものである。
特開2002−132053号公報(特許請求の範囲等)
特開2004−29769号公報(特許請求の範囲等)
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよい。好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図2に参照符号10で示す転写搬送ベルトの場合、駆動ローラ9等の駆動部材により駆動され、これに伴い搬送される記録媒体上にトナーが順次転写され、カラー画像が形成される。
また、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図3に参照符号20で示す中間転写部材の場合、これを駆動ローラ30等の駆動部材により循環駆動させ、感光体ドラム(潜像保持体)11と紙等の記録媒体26との間に配設することで、前記感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体26へと転写する。なお、図3の装置は、上述したように、中間転写方式によりカラー印刷を行うものである。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図4に参照符号50で示すタンデム中間転写部材の場合、感光体ドラム52a〜52dを備える現像部54a〜54dと紙等の記録媒体53との間に配設されて、駆動ローラ55等の駆動部材により循環駆動され、各感光体ドラム52a〜52dの表面に形成された4色のトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体53へと転写することで、カラー画像を形成する。
図1に、本発明の導電性エンドレスベルトの一好適例の部分断面図を示す。図示するように、本発明のベルト100は、ベルト基体101上に表面樹脂層102を有しており、この表面樹脂層102が、ベルト基体上に、導電剤を含有せず、かつ、体積抵抗率が1010Ω・cm以上である表面樹脂層を有する点に特徴を有する。かかる表面樹脂層102をベルト基体101上に形成したことで、ベルト表面については表面抵抗率を高くして、用紙の吸着性等を高めることが可能となる一方、ベルト全体としては所望の低体積抵抗率を保持することができ、転写効率を高めることができる。
また、図示するように、本発明のベルト100においては、ベルト基体101と表面樹脂層102との間に、体積抵抗率が108Ω・cm以下である中間樹脂層103を有することが好ましく、これにより、良好にベルト全体の体積抵抗率を低く調整することが可能となる。本発明のベルト100においては、ベルト基体上に、最表層として表面樹脂層102を設けることが必要であるが、その間に設ける中間樹脂層103は必須ではなく、また、ベルト基体101と中間樹脂層103との間、または、中間樹脂層103と表面樹脂層102との間に、他の層を適宜設けてもよい。
かかる表面樹脂層102および中間樹脂層103は、特に制限されるものではないが、紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂を主成分として形成することが好ましい。これにより、紫外線(UV)または電子線の照射量を適切に制御することにより、従来に比し短時間で容易かつ確実に樹脂層102を硬化形成することが可能となり、また、通常の熱硬化性樹脂を用いた際に必要となる硬化のための乾燥ラインを不要なものとすることができるので、熱硬化性樹脂により形成した場合に比して、生産に要するコストを大幅に低減することができる。
本発明において紫外線硬化型樹脂とは、波長200〜400nm程度の紫外線(UV)の照射により硬化する樹脂をいい、通常、プレポリマー、モノマー、紫外線重合開始剤および添加剤からなる。また、本発明において電子線硬化型樹脂とは、架橋剤、重合開始剤、開裂補助剤を含有せず、これらの助剤を用いなくとも、電子線照射によるエネルギーによって自己架橋を進行させる特性を有する樹脂をいうものとする。但し、実際の製造においてこれらを架橋剤等を配合して層を形成することは差し支えなく、本発明に係る電子線硬化型樹脂は、これら架橋剤等との配合を拒むものではない。
紫外線硬化型樹脂および電子線硬化型樹脂としては、具体的には例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもでき、特には、各樹脂層102、103の力学的強度や耐環境特性を改善するために、架橋構造を有するものを導入することが好ましい。
上記の樹脂の中でも、特に、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系の樹脂が好適である。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系の(メタ)アクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
これら紫外線硬化型樹脂および電子線硬化型樹脂は、所望に応じ、粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を含有する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常、10〜200重量部にて用いることが好ましい。
また、紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射により硬化反応の開始を促進させるための紫外線重合開始剤を含有する。かかる紫外線重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、公知のものを使用することができるが、特に、中間樹脂層103においてカーボン系導電剤を用いる場合には、照射される紫外線がカーボン系導電剤により中間樹脂層103内部まで届かなくなって、紫外線重合開始剤の機能が充分発揮されずに硬化反応が進行しなくなるおそれがあるため、中間樹脂層103内部まで侵入しやすい長波長の紫外線に感度を有する紫外線重合開始剤を用いることが好ましい。
具体的には、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上である紫外線重合開始剤が好適に用いられる。このような長波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントンノアミン等を用いることができ、これらのより具体的な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、または、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンを挙げることができる。
この場合、紫外線重合開始剤として、上記のものに加えて、さらに、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm未満である紫外線重合開始剤を含有させることが好ましく、これにより、特にカーボン系導電剤を含有する場合において、中間樹脂層103内部だけでなく、中間樹脂層103の表面近傍についても良好に硬化反応を進行させることができる。
このような短波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ1,2ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
かかる紫外線重合開始剤の配合量としては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部とすることが好ましい。
紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、上記成分以外に必要に応じて、上記の紫外線重合開始剤による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを紫外線硬化型樹脂に添加してもよい。これらの化合物を添加する場合、その添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
また、表面樹脂層102および/または中間樹脂層103、特に、最外側に位置する表面樹脂層102を紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂にて構成する場合には、これら紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂がフッ素および珪素のうちいずれか一方または双方を含有することが好ましく、これにより、表面樹脂層102の表面エネルギーを低減することができ、その結果、ベルト表面の摩擦抵抗を低下させるとともに、トナー離型性も向上することができ、長期間の使用における摩耗を低減して、耐久性を向上させることができる。
フッ素を含む紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂の原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物としては、フルオロオレフィン類、フルオロ(メタ)アクリレート類が好適である。
フルオロオレフィン類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数2〜12のものが好適であり、具体的には、ヘキサフルオロプロペン[CF3CF=CF2,フッ素含有率76重量%]、(パーフルオロブチル)エチレン[F(CF2)4CH=CH2,フッ素含有率69重量%]、(パーフルオロヘキシル)エチレン[F(CF2)6CH=CH2,フッ素含有率71重量%]、(パーフルオロオクチル)エチレン[F(CF2)8CH=CH2,フッ素含有率72重量%]、(パーフルオロデシル)エチレン[F(CF2)10CH=CH2,フッ素含有率73重量%]、クロロトリフルオロエチレン[CF2=CFCl,フッ素含有率49重量%]、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロペン[(CF3)2C=CFOCH3,フッ素含有率63重量%]、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン[(CF2)4(CH=CH2)2,フッ素含有率60重量%]、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン[(CF2)6(CH=CH2)2,フッ素含有率64重量%]、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン[(CF2)8(CH=CH2)2,フッ素含有率67重量%]を例示することができる。
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数5〜16のフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(CF3CH2OCOCH=CH2、フッ素含有率34重量%)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(CF3CF2CH2OCOCH=CH2、フッ素含有率44重量%)、F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2(フッ素含有率51重量%)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CF3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率37重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CF3CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率54重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率49重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[F(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率55重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[F(CF2)8CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[F(CF2)10CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率65重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率52重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率61重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率64重量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率60重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[H(CF2)2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率41重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[H(CF2)4CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率53重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[H(CF2)6CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[H(CF2)8CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率63重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CF3)2CHOCOCH=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率48重量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CF3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率34重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率44重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[F(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[F(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率53重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[F(CF2)8CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61重量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[F(CF2)10CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率63重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率55重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率56重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[H(CF2)2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[H(CF2)4CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[H(CF2)6CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[H(CF2)8CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CF3)2CHOCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率48重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率46重量%]などを例示することができる。
上記の重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物は、モノマー、オリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物であることが好ましい。オリゴマーとしては2〜20量体が好ましい。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマーまたはオリゴマー、また、シリコーン系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
また、珪素を含む紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好適である。反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。
本発明に好適に用いられる珪素含有化合物の具体例を以下に示す。
下記の表1中に示す信越化学工業(株)製 両末端反応性シリコーンオイル(下記式(1)で示される官能基を有する)である。
下記の表2中に示す信越化学工業(株)製 片末端反応性シリコーンオイル(下記式(2)で示される構造を有する)である。
(上記式(2)中、R
1はメチル基またはブチル基であり、R
2は前記式(1)で示される官能基である)
下記の表3中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 両末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(3)で示される構造を有する)である。
下記の表4中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 片末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(4)で示される構造を有する)である。
下記の表5中に示す信越化学工業(株)製 (メタ)アクリロキシアルキルシラン類(順に、下記式(5)〜(11)でそれぞれ示される構造を有する)である。
これらの珪素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物と併用してもよい。
また、これらの重合可能な炭素間二重結合を有する珪素含有化合物および他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物として好ましく用いられる。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。オリゴマーとしては、2〜20量体が好ましい。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等、また、フッ素系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
前述したように、本発明において表面樹脂層102は体積抵抗率1010Ω・cm以上、好適には1010〜1013Ω・cmであって導電剤を含有しないが、中間樹脂層103には、体積抵抗率を108Ω・cm以下、好適には102〜108Ω・cmの範囲内に調整するために、通常、導電剤を配合する。導電剤としては、導電性粉末やイオン導電性物質がある。
導電性粉末としては、ケッチェンブラックEC,アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラ−(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。この中で、価格が安く、少量で導電性を制御し易いものは、カーボンブラックである。
また、イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、さらに変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート、オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩、テトラブチルアンモニウムほうふっ酸塩等の有機イオン性導電物質が挙げられる。これら導電剤は、2種類以上にて混合して用いることもでき、この場合、印加される電圧の変動や環境の変化に対しても安定して導電性を発現させることができる。
導電性粉末は、樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特には1〜10重量部の範囲で好適に用いられる。また、イオン導電性物質は、樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、特には0.5〜3重量部の範囲で好適に用いられる。
但し、カーボン系導電剤を紫外線硬化型樹脂に含有する場合には、樹脂100重量部に対し20重量部以下、特には10重量部以下、とりわけ5重量部以下であることが好適であり、20重量部を超えると、カーボン系導電剤は紫外線を吸収しやすいことから、導電剤の量が多いほど紫外線が層の奥まで到達しにくくなり、そのため紫外線硬化反応の進行が十分進まなくなってしまうおそれがある。
ベルト基体101上に、上記紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂を主成分とする中間樹脂層103を形成するに際しては、上記樹脂成分、導電剤、およびその他の添加剤を含有する塗工液をベルト基体101上に塗布して、それぞれ紫外線または電子線照射により硬化させる方法を好適に用いることができる。この塗工液は無溶剤で形成することが好ましく、あるいは、常温において揮発性の高い溶剤を溶媒として用いてもよい。このような方法を用いることで、熱や熱風を用いて乾燥、硬化させる場合に必要となるような乾燥のための大掛かりな設備やスペースなどを節減することができ、また、成膜のバラツキを抑制して、中間樹脂層103を高精度で形成することができる。
この塗工液を塗布する方法としては、塗工液中にベルト基体101を浸漬するディップ法や、スプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
紫外線を照射するための光源としては、通常使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のいずれも使用することができる。紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すればよいが、照度100〜700mW/cm2 、積算光量200〜3000mJ/cm2程度が適切である。
中間樹脂層103の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常3〜30μm、特には3〜25μm、とりわけ5〜20μm程度とすることが好ましい。厚さが薄すぎると中間樹脂層103の効果が得られず、一方、厚すぎると、塗膜強度が十分に保てず連続運転時に不具合が起こるため、いずれも好ましくない。
一方、表面樹脂層102を形成する場合においても、上記中間樹脂層103の場合と同様の方法を好適に用いることができるが、中間樹脂層103上に表面樹脂層102を、樹脂を溶剤にて希釈して塗工する方法で形成する場合には、表面樹脂層102に用いる樹脂として、中間樹脂層103を構成する樹脂に対する貧溶媒に可溶である樹脂を用いることが好ましい。この場合、二つの樹脂層を積層する際に、これら樹脂層の双方を高粘度の塗工液で形成すれば、互いに相溶することなく、良好な積層構造を得ることができる。また、溶剤などで希釈した塗工液を用いる場合にも、表面樹脂層102を構成する樹脂として、中間樹脂層103を構成する樹脂に対する貧溶媒に可溶な樹脂を選択することで、風乾、即ち常温での乾燥のみであっても、これら樹脂層が互いに混ざり合うことなく、良好な積層構造を得ることができる。
表面樹脂層102に用いることが可能な、上記条件を満足しうる樹脂としては、アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、イソプロピルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ジメチルスルフォアミドなどのアミド系溶媒、クロロフォルム,ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などに溶解する樹脂を挙げることができる。
このような樹脂の例としては、ポリエステル樹脂,ポリエーテル樹脂,フッ素樹脂,エポキシ樹脂,アミノ樹脂,ポリアミド樹脂,アクリル樹脂,アクリルウレタン樹脂,ウレタン樹脂,アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,尿素樹脂,シリコーン樹脂,ポリビニルブチラール樹脂等、および、それらのブレンド物などが挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂,ポリアミド樹脂,アクリルウレタン樹脂,アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,シリコーン樹脂およびそれらのブレンド物が好ましく、特に、アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂およびそれらのブレンド物が、トナーの帯電能、トナーに対する非汚染性、他の部材との摩擦力低減、感光体に対する非汚染性などの点から好ましい。
表面樹脂層102を構成する樹脂としては、架橋化樹脂を用いることも好ましく、その架橋前の樹脂の良溶媒、例えば、メチルエチルケトン、トルエンなどで抽出した際の可溶部が、30重量%以下、特には10重量%以下であることが好ましい。可溶部が30重量%を超えると比較的低分子量のものや未硬化成分が多く、耐久寿命の不足、感光体の汚染、トナーの汚染や凝集、被覆層の摩耗、摩擦係数の増大などの原因となり、好ましくない。なお、上記溶媒可溶部の量は下記式(11)に従って算出することができる。
A=〔(B−C)/B〕×100 (11)
但し、A〜Cはそれぞれ以下のとおりである。
A:溶媒可溶部量(重量%)
B:溶媒抽出前重量
C:溶媒抽出後重量
上記架橋化樹脂とは、例えば、熱、触媒、空気(酸素)、湿気(水)、電子線などにより自己架橋しうる架橋性樹脂、あるいは架橋剤や他の架橋性樹脂との反応により架橋しうる架橋性樹脂を架橋化処理してなるものをいう。ここで、架橋性樹脂としては、例えば、水酸基,カルボキシル基,酸無水物基,アミノ基,イミノ基,イソシアネート基,メチロール基,アルコキシメチル基,アルデヒド基,メルカプト基,エポキシ基,不飽和基などの反応基(架橋性基)をもつ樹脂、具体的には、ポリエステル樹脂,ポリエーテル樹脂,フッ素樹脂,エポキシ樹脂,アミノ樹脂,ポリアミド樹脂,アクリル樹脂,アクリルウレタン樹脂,ウレタン樹脂,アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,尿素樹脂,シリコーン樹脂,ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フッ素樹脂,ポリアミド樹脂,アクリルウレタン樹脂,アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,シリコーン樹脂およびそれらのブレンド物が好ましく、特には、アルキッド樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂およびそれらのブレンド物が、トナーの帯電能,トナーに対する非汚染性,他の部材との摩擦力低減,感光体に対する非汚染性などの点から好ましい。
また、上記触媒としては、例えば、過酸化物,アゾ化合物などのラジカル触媒,酸触媒,塩基性触媒,アルカリ触媒などが挙げられ、これらは、架橋性樹脂の種類に応じて適宜選択される。上記架橋剤としては、例えば、水酸基,カルボキシル基,酸無水物基,アミノ基,イミノ基,イソシアネート基,メチロール基,アルコキシメチル基,アルデヒド基,メルカプト基,エポキシ基,不飽和基などの反応基を1分子中に2個以上有する分子量1000以下、好ましくは分子量500以下程度の化合物、具体的には、ポリオール化合物,ポリイソシアネート化合物,ポリアルデヒド化合物,ポリアミン化合物,ポリエポキシ化合物などが挙げられ、これらは、架橋性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
表面樹脂層102の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常1〜20μm、特には2〜15μm、とりわけ3〜10μm程度とすることが好ましい。厚さが薄すぎると、局所的な放電が起こり、画像に白横線が発生しやすくなるおそれがあり、一方、厚すぎると、抵抗値の著しい上昇を引き起し、画像不良などの問題を生ずるおそれがある。
また、ベルト基体101上に設ける樹脂層の総厚としては、特に制限されるものではないが、通常4〜50μm、特には5〜40μm、とりわけ8〜30μm程度とすることが好ましい。厚さが薄すぎると、長期使用時の摩擦により十分にベルト表面の帯電性能を確保することができなくなる場合があり、一方、厚すぎると、連続運転時における樹脂層の耐久性が悪化して、画像不良などの問題を生ずるおそれがある。
本発明においては、ベルト基体101上に上記表面樹脂層102を設けた点のみが重要であり、ベルト基体101の構成については、特に制限されるものではない。ベルト基体101の基材樹脂としては、従来公知の材料のうちから適宜選択して用いることができ、具体的には例えば、熱可塑性ポリアミド(PA)、熱可塑性ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリアセタール(POM)、熱可塑性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂や熱可塑性ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂等の熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や熱可塑性ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂のうちいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンドや、これら樹脂のうちいずれか1種または2種以上と他の熱可塑性樹脂、特には熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイまたはポリマーブレンドなどを用いてもよい。
熱可塑性ポリアミドは、耐摩耗性の良好な材料として最も古くから使われている樹脂の一つであり、強度や耐衝撃性等にも優れており、市場で容易に入手することができる。PAとしてはいくつか種類があるが、特に、ナイロン12(以下、「PA12」と称する)、例えば、東レ(株)製、商品名:リルサンAESN O TLやダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドL2101、ダイアミドL1940、宇部興産(株)製、商品名:3024Uなどを好適に用いることができる。PA12は他のPAに比べ環境変動における寸法安定性に優れている。また、PA6も好適である。かかる熱可塑性ポリアミドをベルト基体101の基材樹脂として用いることで、抵抗のバラツキがなく、かつ、強度、特には屈曲耐久性に優れる導電性エンドレスベルトを得ることができる。尚、かかるPA12としては、好適には数平均分子量7000〜100000、より好適には13000〜40000の範囲内のものである。
PAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイのうち好適なものとしては、PA12と熱可塑性ポリエーテルとのブロック共重合アロイを挙げることができる。これにより、寸法安定性に加え、低温特性の向上にも優れた効果を得ることができる。かかるPA12と熱可塑性ポリエーテルとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドX4442などを代表的に挙げることができる。
また、PAとのポリマーブレンドに好適に用いることのできる熱可塑性エラストマーとしては、ヤング率が98000N/cm2以下、好ましくは980〜49000N/cm2の重合体が知られ、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、スチレン系、アクリル系、ポリジエン系等のエラストマーを使用することができる。かかる熱可塑性エラストマーをブレンドすることにより、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。PA12と熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンドも市場で入手可能であり、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドE1947が挙げられる。
尚、本発明におけるPAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイおよびポリマーブレンドにおける配合比としては、PAがPA12である場合には、好適には、PA12を100重量部に対し熱可塑性エラストマー100重量部以下である。
熱可塑性ポリアリレートは、耐衝撃性および寸法安定性に優れ、かつ、弾性回復特性が良好なエンプラであり、市場で容易に入手することができ、例えば、ユニチカ(株)製のU−100などを代表的に挙げることができる。かかるPARを導電性エンドレスベルトの基材とすることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
PARのポリマーアロイまたはポリマーブレンドのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリカーボネート(PC)または熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)とのポリマーアロイを挙げることができる。かかるPARと熱可塑性樹脂とのポリマーアロイおよびポリマーブレンドも市場で入手することが可能であり、例えば、PCとのアロイとしてのユニチカ(株)製のP−3001、PETとのアロイとしてのユニチカ(株)製のU−8000などを代表的に挙げることができる。
熱可塑性ポリアセタールは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、熱安定性の面からはコポリマーが好ましい。POMは、強度、耐摩耗性、寸法安定性、成形性などのバランスがとれていることから、プラスチック歯車などに多く使用されているエンプラであり、市場で容易に入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック2010、ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラコンM25−34などを代表的に挙げることができる。かかるPOMを導電性エンドレスベルトの基材に用いることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
POMのポリマーアロイのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイを挙げることができ、これにより、前記特性に加えて耐衝撃性にも優れた効果を奏する。POMと熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック4012などを代表的に挙げることができる。
また、POMとのポリマーブレンドに好適に用いることができる熱可塑性エラストマーとしては、前述のPAの場合と同様のものを挙げることができる。この場合にも、かかる熱可塑性エラストマーとのブレンドの効果により、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。
熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂は、耐衝撃性、寸法安定性および耐侯性に優れ、かつ、弾性回復特性が良好なエンプラであり、市場で容易に入手することができる。具体的には、例えば、熱可塑性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂や熱可塑性ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂等を挙げることができ、好適には、熱可塑性PBN樹脂を用いる。
また、熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、具体的には例えば、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や熱可塑性ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を挙げることができ、好適には、熱可塑性PET樹脂を用いる。熱可塑性PET樹脂は、耐熱性や耐光性、耐摩耗性等に優れるという特長を有する。
ベルト基体101中には、導電剤を添加して導電性の調整を行う。かかる導電剤としては、中間樹脂層103について前掲したものを適宜用いることができ、特に制限されるものではない。また、その添加量は、基材樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。本発明においては、ベルト全体の導電性の調整は主としてベルト基体101に添加する導電剤により行い、前記中間樹脂層103には、補助的に導電性を調整する目的で導電剤の添加を行う。
ベルト基体101中には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して着色を施してもよい。
本発明の導電性エンドレスベルトの厚さは、転写搬送ベルトまたは中間転写部材等の形態に応じて適宜選定されるものであるが、好ましくは、ベルト基体101および樹脂層102との総厚で50〜200μmの範囲内である。また、その表面粗さとしては、好適には、JIS10点平均粗さRzで10μm以下、特に6μm以下、更には3μm以下とする。さらに、体積抵抗率としては、前述のように、樹脂層102および/またはベルト基体101中に適宜導電剤を添加することにより、102Ωcm〜1013Ωcmの範囲内程度に調整することが好ましい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトには、図1に一点鎖線で示すように、図2の画像形成装置における駆動ローラ9または図3の駆動ローラ30などの駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材に形成した嵌合部(図示せず)と嵌合する嵌合部を形成してもよく、本発明の導電性エンドレスベルトは、このような嵌合部を設け、これを駆動部材に設けた嵌合部(図示せず)と嵌合させて走行させることにより、導電性エンドレスベルトの幅方向のずれを防止することができる。
この場合、前記嵌合部は、特に制限されるものではないが、図1に示すように、ベルトの周方向(回転方向)に沿って連続する凸条とし、これを駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した溝に嵌合させるようにすることが好ましい。
なお、図1(a)では、1本の連続する凸条を嵌合部として設けた例を示したが、この嵌合部は多数の凸部をベルトの周方向(回転方向)に沿って一列に並べて突設してもよく、また嵌合部を2本以上設けたり(図1(b))、ベルトの幅方向中央部に設けてもよい。更に、嵌合部として図1に示した凸条ではなく、ベルトの周方向(回転方向)に沿った溝を設け、これを前記駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した凸条と嵌合させるようにしてもよい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置としては、図2に示すタンデム方式のものや図3に示す中間転写方式のもの、または、図4に示すタンデム中間転写方式のものを例示することができるが、これらには限定されない。尚、図3の装置の場合、本発明の中間転写部材20を回転させる駆動ローラまたは駆動ギアには適宜電源61から電圧を印加することができ、この場合の電圧は直流のみの印加または直流に交流を重量する印加など、印加条件は適時選択することができる。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトの製造方法は、ベルト基体101上に、中間樹脂層塗工液および表面樹脂層塗工液を順次塗工して中間樹脂層103および表面樹脂層102を形成するに当たり、表面樹脂層塗工液を、中間樹脂層103を構成する樹脂に対する貧溶媒を用いて作製する点に特徴を有する。これにより、前述したように、これら両樹脂層が互いに混ざり合うことがなく、良好な積層構造が形成される。本発明の製造方法においては、上記樹脂層102の形成工程以外の工程については特に制限されるものではなく、例えば、ベルト基体101については、二軸混練機により基材樹脂と導電剤等の機能性成分とからなる樹脂組成物を混練し、得られた混練物を環状ダイスを使って押出し成形することにより製造することができる。または、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ法または遠心注型法も好適に採用することができる。