JPWO2011083776A1 - 発酵乳の製造方法及び乳製品 - Google Patents

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Abstract

発酵工程後の加熱や添加物の使用などの煩雑な操作を必要とせず、経時的な酸度の上昇やpHの低下を抑制し、長期間に亘って、適度な風味(例えば、酸味)を保ち、良好な品質を維持しうる発酵乳の製造方法を提供する。発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、発酵工程の従来の至適温度よりも高い温度である44〜55℃で発酵させることによって、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、冷蔵保存中における発酵乳含有乳製品の酸度を適度に保持することができる。これにより、発酵乳の酸味が強すぎることに基づく、発酵乳の風味の変化を防止することができる。

Description

本発明は、発酵乳の風味や品質を簡便かつ効率的に改善できる発酵乳の製造方法に関し、特に、前発酵タイプのドリンクヨーグルト、ソフトヨーグルト等の発酵乳含有乳製品の冷蔵保存中における酸度やpHの変化を抑制できる発酵乳の製造方法に関する。
発酵乳は「乳等省令」で、乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの、またはこれらを凍結したものと定義されている。発酵乳の分類では、(a)主に容器に充填した後に発酵させ、容器内で固化させたハードヨーグルト(固形状発酵乳、セットタイプヨーグルト)と、(b)大型のタンクなどで発酵させた後にカードを粉砕し、必要に応じて、果肉やソースなどと混合した後に容器に充填したソフトヨーグルト(糊状発酵乳)と、(c)ハードヨーグルトやソフトヨーグルトを均質機などを用いて細かく砕いて、液状の性質を高め、必要に応じて、果肉やソースなどと混合した後に容器に充填したドリンクヨーグルト(液状発酵乳)に大別される。
日本における発酵乳の成分規格は、無脂乳固形分が8%以上で、かつ、1ml当たりの乳酸菌の数または酵母の数が1000万以上と定められている。また、FAO(国際連合食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)によるヨーグルトの国際規格によると、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の作用によって、乳または乳製品を乳酸発酵して得た凝固乳製品を、ヨーグルトと定義している。
ヨーグルトなどの発酵乳は、乳酸菌の生菌を含むため、長期間で保存した場合、乳酸菌が生成する乳酸などによって経時的に酸度が上昇し、pHが低下し、製造直後と比べて、風味や品質が変化するという問題がある。この問題を軽減するために、以前より種々の方法が提案されている。
一例として、ヨーグルト素材組成物に乳酸菌を加え、組成物中の乳の発酵度合を所望のものとしたものを低温に放置したのち、該乳酸菌を高温側発育停止限界温度以上であって完全死滅に至らない温度、時間条件下に加熱し、これを冷却することを特徴とする、乳酸菌の生菌を含むヨーグルトの製造方法が提案されている(特許文献1)。このヨーグルトの製造方法において、乳酸菌がラクトバチルス・ブルガリカスである場合、高温側発育停止温度は50〜55℃であり、完全死滅条件は例えば63℃で30分間である。
他の例として、キトサンを含有してなる酸度上昇を抑制した発酵乳が提案されている(特許文献2)。
特開昭50―6745号公報 特開平3−292853号公報
特許文献1に記載の技術は、発酵工程後に特定の加熱温度と加熱時間で処理するものである。この技術は、加熱条件の調整が煩雑である上、加熱のための熱エネルギーが過剰に必要であり、さらに、加熱温度が高い場合、ヨーグルトの風味が劣化する可能性があるという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術は、発酵乳には通常含有させないキトサンを、発酵乳の添加物として用いるものである。この技術は、キトサンの添加によって商品力が低下することや、キトサンの風味によって発酵乳の風味が変化する可能性があるなどの問題がある。
そこで、本発明は、発酵工程後の加熱や添加物の使用などの煩雑な操作を必要とせず、経時的な酸度の上昇やpHの低下を抑制し、長期間に亘って、適度な風味(例えば、酸味)を保ち、良好な品質を維持しうる発酵乳の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、発酵工程の従来の至適温度(38〜43℃程度)よりも高い温度(例えば、44〜49℃)で発酵させることによって、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、発酵時間を殆ど増大させずに、冷蔵保存中における発酵乳含有物の酸度の上昇及びpHの低下を抑制できることを見出した。また、本発明の発酵温度(例えば、44〜46℃)で発酵させた場合、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、乳酸桿菌や乳酸球菌の生菌数が殆ど変わらず、発酵乳含有乳製品としての市場での商品価値を損なわないことを見出した。さらに、本発明の発酵温度(例えば、44〜50℃)で発酵させた場合、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、発酵乳含有乳製品の風味や物性(品質)を同等に維持しており、市場での商品価値を損なわないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1] 発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、44〜55℃の発酵温度で発酵乳を得る発酵工程を含む、発酵乳の製造方法。
[2] 上記発酵温度が44〜49℃である、前記の[1]に記載の発酵乳の製造方法。
[3] 上記発酵温度の保持時間が2〜24時間である、前記の[1]又は[2]に記載の発酵乳の製造方法。
[4] 上記乳酸桿菌がラクトバチルス・ブルガリカスであり、かつ、上記乳酸球菌がストレプトコッカス・サーモフィルスである、前記の[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵乳の製造方法。
[5] 前記の[1]〜[4]のいずれかに記載の発酵乳の製造方法によって得られた発酵乳を含む乳製品。
[6] 上記乳製品が、ドリンクヨーグルト、ソフトヨーグルト、乳酸菌飲料、及びセットタイプヨーグルトから選ばれる一種である、前記の[5]に記載の乳製品。
[7] 上記乳製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、この間の上記乳製品の酸度(%)の上昇の幅が25%以下である、前記の[5]又は[6]に記載の乳製品。
[8] 上記乳製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、この間の上記乳製品のpHの低下の幅が0.28以下である、前記の[5]〜[7]のいずれかに記載の乳製品。
本発明で用いる「発酵乳の原料」とは、生乳(原乳)、全脂乳、脱脂乳、またはホエイなどの乳成分を含む液体である。ここで、生乳とは例えば、牛乳などの獣乳である。発酵乳の原料を構成しうる成分の例としては、生乳、全脂乳、脱脂乳、ホエイの他に、その加工品(例えば、全脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、練乳、ホエイ粉、クリーム、バター、チーズなど)等が挙げられる。全脂粉乳などの固体原料を用いる場合、水等の液体を加えることによって、液体である発酵乳の原料を調製することができる。
なお、発酵乳の原料は、一般的にヨーグルトミックスなどと呼ばれるものであり、乳成分の他に、砂糖、糖類、甘味料、香料、果汁、果肉、ビタミン、ミネラルなどの食品成分または食品添加物などを含むことができる。また、必要に応じて、ペクチン、大豆多糖類、CMC(カルボキシメチルセルロース)、寒天、ゼラチンなどの安定剤を含有させてもよい。
本発明における「発酵乳」とは、(a)セットタイプヨーグルト(例えば、プレーンヨーグルトやハードヨーグルト)などの後発酵タイプのヨーグルト、(b)ソフトヨーグルト、ドリンクヨーグルトまたは乳酸菌飲料の製造時の中間品(換言すると、最終製品ではない製造途中の物)であって、発酵工程の終了後であって、かつ、発酵工程の後に添加される副原料を添加する前の物と定義される。
また、本発明における「発酵乳」とは、乳成分を含むものであればよく、無脂乳固形分の含有率及び生菌数が限定されるものではない。すなわち、本発明における「発酵乳」とは、無脂乳固形分が8重量%以上のもの(日本の乳等省令で規定する狭義の発酵乳)に限定されず、例えば、無脂乳固形分が3重量%以上、8重量%未満のもの(日本の乳等省令で規定する狭義の乳製品)や、無脂乳固形分が3重量%未満のものを含む。また、本発明における「発酵乳」とは、1ml当たりの乳酸菌の数が1000万以上のもの(日本の乳等省令で規定する狭義の発酵乳)に限定されず、1ml当たりの乳酸菌の数が1000万未満のものを含む。
本明細書において、「発酵乳製品」とは、本発明の製造方法によって得られる発酵乳(例えば、ソフトヨーグルトもしくはドリンクヨーグルトの製造時の中間品)に糖液などの副原料を混合して調製した、ソフトヨーグルトやドリンクヨーグルトなどの前発酵タイプのヨーグルトや、乳酸菌飲料などである。ここで、副原料は、必要に応じて配合される、前記の「発酵乳の原料」の説明で例示した食品成分、食品添加物、または安定剤などを含むことができる。
本明細書において、「乳製品」及び「発酵乳製品」は、無脂乳固形分が3重量%以上のもの(日本の乳等省令で規定する狭義の乳製品)に限定されず、3重量%未満のものを含む。
本明細書において、「乳製品」は、最終製品であり、セットタイプヨーグルト、ソフトヨーグルト、ドリンクヨーグルト、及び乳酸菌飲料を含む。ここで、「最終製品」とは、消費者が飲食するための状態となった製品であり、後発酵タイプのヨーグルト(セットタイプヨーグルト)の場合には発酵乳であり、ソフトヨーグルト、ドリンクヨーグルト及び乳酸菌飲料の場合には、発酵乳製品である。
本明細書において「酸度」とは、牛乳関係法令集(乳業団体衛生連絡協議会、平成16年(2004年)3月)の56頁の「5 乳及び乳製品の酸度の測定法」による測定値であり、詳細は以下の通りである。すなわち、試料10mlに同量の炭酸ガスを含まない水を加えて希釈し、指示薬としてフェノールフタレイン液0.5mlを加えて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で30秒間、微紅色の消失しない点を限度として滴定し、その滴定量から試料100g当たりの乳酸のパーセント量を求め、酸度とする。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1mlは、乳酸9mgに相当する。指示薬は、フェノールフタレイン1gを50%エタノールに溶かして、100mlとする。
本発明によると、発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、発酵工程の従来の至適温度(38〜43℃程度)よりも高い温度(例えば、44〜47℃)で発酵させることによって、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、冷蔵保存中における発酵乳含有物(発酵乳または発酵乳製品)の酸度の経時的な上昇を抑制して、酸度を適度に保持することができる。これにより、発酵乳の酸味が強すぎることに基づく、発酵乳の風味の劣化を防止することができる。そして、例えば、発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、従来の至適温度で発酵させた場合に14日間程度である賞味期限を、本発明の発酵温度で発酵させることで、20〜30日間程度に延長することができる。
また、本発明によると、発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、発酵工程の従来の至適温度(38〜43℃程度)よりも高い温度(例えば、44〜46℃)で発酵させているにもかかわらず、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、乳酸桿菌や乳酸球菌の生菌数が殆ど変わらず、発酵乳の乳酸桿菌及び乳酸球菌の必要な生菌数を確保することができ、発酵乳含有乳製品としての市場での商品価値を損なうことがない。
さらに、本発明の発酵温度(例えば、44〜50℃)で発酵させた場合、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、最終製品である発酵乳含有乳製品の風味や物性(品質)を同等に維持しており、最終製品としての市場での商品価値を損なうことがない。
すなわち、本発明によると、発酵工程後の加熱や添加物の使用などの煩雑な操作を必要とせず、経時的な酸度の上昇やpHの低下を抑制し、長期間に亘って、適度な風味を保ち、良好な品質を維持しうる発酵乳の製造方法を提供することができる。
本発明の発酵乳の製造方法は、発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、44〜55℃の発酵温度で発酵乳を得る発酵工程を含む。
本発明では、発酵温度を従来の至適温度(38〜43℃程度)よりも高い値(44〜55℃)に定めているので、当該発酵乳または当該発酵乳を含む発酵乳製品の酸度の増大及びpHの低下を抑制することができる。本発明では、前記の高い温度(44〜55℃)で発酵させることによって、乳酸菌やビフィズス菌などの微生物の活力(活性)や菌数、あるいは発酵乳の原料に含まれる各種の成分などに影響を与えて、例えば、冷蔵保存中における酸度の上昇を抑制すると考えられる。
本発明における発酵温度は、発酵乳中の乳酸菌が死滅しないものであればよく、44〜55℃、好ましくは44〜50℃、より好ましくは44〜49℃、さらに好ましくは44〜48℃、さらに好ましくは44〜47℃、さらに好ましくは45〜47℃、さらに好ましくは45〜46.5℃、最も好ましくは45〜46℃である。
また、本発明において、発酵温度と従来の至適温度範囲(38〜43℃)の上限値(43℃)の差は、好ましくは1〜15℃、より好ましくは2〜12℃、さらに好ましくは2〜10℃、さらに好ましくは2〜8℃、さらに好ましくは2〜7℃、さらに好ましくは2〜6℃、さらに好ましくは2〜5℃、最も好ましくは2〜4℃である。
本発明において、前記の発酵温度の保持時間は、風味と物性の良好な発酵乳を効率的に得る観点から、好ましくは2〜24時間、より好ましくは3〜12時間、さらに好ましくは3.5〜8時間、最も好ましくは4〜6時間である。
前記のような発酵条件を採用することで、従来の至適温度で発酵させた場合と同様に、発酵乳の微生物(乳酸桿菌や乳酸球菌など)を死滅させず、その必要な生菌数を確保すると共に、従来の至適温度で発酵させた場合と比較して、発酵乳や発酵乳製品の風味や物性(品質)を同等に維持することができる。なお、商業的な規模(換言すると、大容量)で発酵乳を製造する場合、発酵温度を完全に一定の条件に制御することは困難であるため、実際に設定した温度から上下に1〜2℃程度の変化を想定して発酵条件を設定すると良い。
次に、発酵乳の原料にスターターとして添加し混合するための乳酸菌について、説明する。
本発明で用いる乳酸桿菌の例としては、ララクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)等が挙げられる。
本発明で用いる乳酸球菌の例としては、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等が挙げられる。
本発明において、乳酸桿菌及び乳酸球菌に加えて、他の菌を用いることもできる。他の菌としては、酵母等が挙げられる。
本発明で用いる乳酸桿菌及び乳酸球菌の好ましい組み合わせとしては、乳酸桿菌がラクトバチルス・ブルガリカス(ブルガリア菌)であり、かつ乳酸球菌がストレプトコッカス・サーモフィルス(サーモフィルス菌)である組み合わせが挙げられる。この組み合わせは、ヨーグルトに独特の芳醇さと爽やかさを醸し出すため、嗜好性が高く、また、国際規格でヨーグルトと認められているため、本発明において好ましく用いられる。すなわち、乳酸桿菌として、少なくともラクトバチルス・ブルガリカスを使用し、かつ、乳酸球菌として、少なくともストレプトコッカス・サーモフィルスを使用することは、本発明の効果を十分に発揮させる観点から望ましい。なお、本発明では、乳酸桿菌や乳酸球菌として、特異的な性質を有する変異株を使用する必要はなく、汎用の菌株を使用することができる。
本発明で得られる発酵乳は、発酵乳製品の製造に用いることができる。この場合、発酵乳製品として、ドリンクヨーグルト、ソフトヨーグルト、乳酸菌飲料等が挙げられる。
本発明において、最終製品である発酵乳(セットタイプヨーグルト)及び発酵乳製品(ドリンクヨーグルト、ソフトヨーグルト、乳酸菌飲料)の各形態のうち、冷蔵保存中における酸度の上昇やpHの低下に伴う、官能的な酸味(風味)の変化は、一般的には、液状のドリンクヨーグルト(前発酵タイプ)及び乳酸菌飲料で最も影響が大きく、次いで、糊状のソフトヨーグルト(前発酵タイプ)で影響が大きく、固形状のセットタイプヨーグルト(後発酵タイプ)では比較的に影響が小さくなる。すなわち、最終製品の形態に拘わらず、本発明の効果は確実に現れるのであるが、酸味の変化を感じやすいドリンクヨーグルトやソフトヨーグルトなどの前発酵タイプの場合、本発明の効果はより顕著である。また、液状のために周囲の環境から特に影響を受け易いドリンクヨーグルトの場合、本発明の効果は最も顕著である。また、日本の乳等省令では発酵乳に分類されないが、ドリンクヨーグルトに近い形態として、乳酸菌飲料類などの乳酸菌(生菌)を含むヨーグルト系の飲料でも、本発明の効果は同様に期待できる。
本発明の発酵乳の製造方法は、発酵工程の前に殺菌工程などを含むことができる。殺菌工程としては、例えば、120〜150℃、1秒間〜60秒間などの条件で加熱処理するUHT(超高温)殺菌方法や、80〜100℃、10秒間〜30分間などの条件で加熱処理するHTST(高温短時間)殺菌方法などが挙げられる。
本発明の発酵乳の製造方法は、発酵工程の後に冷却工程、カード破砕工程、副原料添加工程などを含むことができる。
冷却工程では例えば、発酵乳を発酵温度から所定の低温(例えば、要冷蔵の表示の条件である10℃以下など)に低下させる。
カード破砕工程では例えば、発酵乳を攪拌や加圧などし、発酵乳カードを微粒化(微細化)して分散させる。なお、カード破砕工程には、発酵乳を均質化し、発酵乳カードを液状化する場合なども含まれる。
副原料添加工程では例えば、糖液、果汁、果肉、フルーツプレパレーションなどの発酵乳以外の成分(副原料)を、発酵乳と混合し撹拌する。なお、副原料添加工程には、タンク内などで副原料と発酵乳を混合し撹拌して安定化させる場合も含まれる。
本発明の発酵乳の製造方法は、通常含まれる工程である、殺菌工程、発酵工程、冷却工程の各工程に加えて、必要に応じて、カード破砕工程、副原料添加工程等の他の工程を含めることができる。
カード破砕工程及び副原料添加工程は、いずれか一方の工程のみを含ませてもよいし、両方の工程を含ませてもよい。また、これら両方の工程を含ませる場合、通常、カード破砕工程の後に、副原料添加工程を含ませる。
本発明で得られる発酵乳または該発酵乳を含む乳製品(以下、「本発明の発酵乳等」ともいう。)を、最終製品の調製の終了時(具体的には、最終製品が発酵乳である場合には、発酵乳の発酵工程の終了時であり、最終製品が発酵乳以外の乳製品である場合には、当該乳製品の調製工程の終了時)から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該25日間の酸度(%)の上昇の幅(換言すると、25日後の酸度の値から0日後の酸度の値を引いた値)は、好ましくは0.25%以下、より好ましくは0.23%以下、さらに好ましくは0.20%以下、特に好ましくは0.18%以下である。該値の下限は、特に限定されず、小さければ小さいほど良いが、通常、0.10%である。
また、本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該25日後の酸度(%)は、好ましくは0.98%以下、より好ましくは0.96%以下、さらに好ましくは0.93%以下、特に好ましくは0.91%以下である。該値の下限は、特に限定されないが、通常、0.80%である。
本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から12日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該12日間の酸度(%)の上昇の幅は、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.17%以下、さらに好ましくは0.15%以下、特に好ましくは0.13%以下である。該値の下限は、特に限定されず、小さければ小さいほど良いが、通常、0.10%である。
また、本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から12日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該12日後の酸度(%)は、好ましくは0.91%以下、より好ましくは0.90%以下、さらに好ましくは0.88%以下、さらに好ましくは0.86%以下である。該値の下限は、特に限定されないが、通常、0.80%である。
本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該25日間のpHの低下の幅(換言すると、0日後のpHの値から25日後のpHの値を引いた値)は、好ましくは0.28以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.20以下、特に好ましくは0.15以下である。該値の下限は、特に限定されず、小さければ小さいほど良いが、通常、0.05である。
本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該25日後のpHは、好ましくは3.90以上、より好ましくは3.95以上、さらに好ましくは4.00以上、特に好ましくは4.05以上である。該値の上限は、特に限定されないが、通常、4.20である。
本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から12日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該12日間のpHの低下の幅は、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.15以下、特に好ましくは0.10以下である。該値の下限は、特に限定されず、小さければ小さいほど良いが、通常、0.05である。
本発明の発酵乳等を、最終製品の調製の終了時から12日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、当該12日後のpHは、好ましくは3.95以上、より好ましくは4.00以上、さらに好ましくは4.05以上、さらに好ましくは4.10以上である。該値の上限は、特に限定されないが、通常、4.20である。
本発明において、前記の好ましい酸度またはpHであれば、最終製品である発酵乳含有製品(発酵乳または発酵乳製品)の賞味期限を十分に延長することができる。
一方、発酵乳や発酵乳製品では一般的に、酸味を抑制して、風味をマイルドにするため、甘味料などを添加して甘味を増強し、酸味と甘味のバランスにより嗜好性を高めている。この点、本発明では、酸度の上昇及びpHの低下を抑制しているため、発酵乳または発酵乳製品に由来する酸味を抑制することができ、甘味料などの添加量を低減することができる。この場合、発酵乳や発酵乳製品の本来の芳醇さと爽かさを維持しつつ、すっきりした酸味の発酵乳や発酵乳製品を提供することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、この実施例に限定されないことはいうまでもない。例えば、本発明は、セットタイプヨーグルトにも適用可能である。
[実施例1;高温(45℃)で発酵した場合(実験室規模の実験)]
脱脂粉乳705gと、水道水4195gを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、45℃に冷却した。次に、「明治ブルガリアヨーグルト」(商品名;明治乳業社製)より単離したラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の混合スターター100gを接種し、タンク内において、45℃で発酵させ、乳酸の生成によって酸度が1.20%に到達した、発酵時間が5時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。なお、後述する従来の至適温度で発酵させた比較例1の場合と比較して、この5時間は発酵時間として、同等であった。
この得られた発酵乳について、一段加圧を約10MPa、二段加圧を約5MPaで均質化して、液状の発酵乳を得た。そして、この液状の発酵乳と糖液(砂糖を5.5質量%、ブドウ糖果糖液糖を16質量%、ペクチンを0.6質量%で配合した水溶液)を質量比で6:4に混合して、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。得られた発酵乳製品を10℃で保存し、調製直後の新鮮物を始点として、発酵乳製品の酸度、pH、粘度、乳酸桿菌と乳酸球菌の生菌数の経時的変化を調べた。なお、乳酸桿菌と乳酸球菌の生菌数は、発酵乳製品の1mlあたりのコロニー数(コロニー形成単位:Colony forming unit)を計測した数値である。
[実施例2;高温(47℃)で発酵した場合(実験室規模の実験)]
脱脂粉乳705gと、水道水4195gを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、47℃に冷却した。次に、実施例1と同様にして、混合スターター100gを接種し、タンク内において、47℃で発酵させ、乳酸の生成によって酸度が1.20%に到達した、発酵時間が5.5時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。なお、後述する従来の至適温度で発酵させた比較例1の場合と比較して、この5.5時間は発酵時間として、ほぼ同等であった。
得られた発酵乳について、実施例1と同様にして、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。得られた発酵乳製品について、実施例1と同様にして、発酵乳製品の酸度、pH、粘度、乳酸桿菌と乳酸球菌の生菌数の経時的変化を調べた。
[比較例1;従来の至適温度(43℃)で発酵した場合(実験室規模の実験)]
脱脂粉乳705gと、水道水4195gを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、43℃に冷却した。次に、実施例1と同様にして、混合スターターを100gで接種し、タンク内において、43℃で発酵させた。乳酸の生成によって酸度が1.20%に到達した、発酵時間が5時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。
得られた発酵乳について、実施例1と同様にして、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。得られた発酵乳製品について、実施例1と同様にして、発酵乳製品の酸度、pH、乳酸桿菌と乳酸球菌の生菌数、粘度の経時的変化を調べた。
実施例1、実施例2、比較例1について、発酵乳製品の酸度、pH、及び、乳酸桿菌と乳酸球菌の生菌数の経時変化を表1〜表4に示した。
Figure 2011083776
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表1及び表2から、従来の至適温度の43℃で発酵させた比較例1と比較して、高温の45℃で発酵させた実施例1と、高温の47℃で発酵させた実施例2では、冷蔵(10℃以下)保存中における酸度の上昇及びpHの低下が抑制されることを確認できた。
表1及び表2から、比較例1の12〜17日間の保存に比較して、実施例1と実施例2の25日間(4週間程度)の保存で、酸度の上昇及びpHの低下が抑制されており、本発明により、発酵乳や発酵乳製品の賞味期限を延長できることが分かる。
一方、発酵乳や発酵乳製品では一般的に、酸味を抑制し、風味をマイルドにするため、甘味料などを添加して甘味を増強し、酸味と甘味のバランスにより嗜好性を高めている。本発明によれば、酸度の上昇及びpHの低下が抑制され、発酵乳や発酵乳製品に由来する酸味を抑制できるため、甘味料などの添加量を低減することができる。この場合、発酵乳や発酵乳製品の本来の芳醇さと爽かさを維持しつつ、すっきりした酸味の発酵乳や発酵乳製品を提供することができる。
一方、表3及び表4から、従来の至適温度の43℃で発酵させた比較例1と比較して、高温の45℃で発酵させた実施例1と、高温の47℃で発酵させた実施例2では、乳酸桿菌数と乳酸球菌数の経時変化に差異はなかった。そして、実施例1〜2のそれぞれで、乳酸菌の生菌数(1mlあたり)が1000万(1×10)cfu以上であり、日本における発酵乳の成分の規格を十分に満たしていることを確認できた。また、表には示さなかったが、発酵乳製品の物性(品質)の指標として粘度を調べたところ、従来の至適温度の43℃で発酵させた比較例1と比較して、高温の45℃で発酵させた実施例1と、高温の47℃で発酵させた実施例2では、粘度の経時変化に差異はなかった。つまり、冷蔵(10℃以下)保存中における粘度の上昇は起こらないことを確認できた。
実施例1、実施例2、比較例1の結果より、発酵乳や発酵乳製品を調製する際に、従来の至適温度と言われていた発酵温度よりも高い温度である45〜47℃で発酵させることで、発酵時間を従来と同等にしつつ、発酵乳含有乳製品の規格や商品の価値を十分に満たして、冷蔵保存中における酸の生成を抑制できることが明らかとなった。
[実施例3;高温(45〜47℃)で発酵した場合(実機規模の実験)]
脱脂粉乳1.4トンと、水道水8.4トンを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、約45℃に冷却した。次に、「明治ブルガリアヨーグルト」より単離したラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の混合スターター0.2トンを接種し、タンク内において、約45℃で発酵を開始させ、乳酸の生成によって酸度が1.10%に到達した、発酵時間が4時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。なお、後述する従来の至適温度で発酵させた比較例2の場合と比較して、この4時間は発酵時間として、同等であった。発酵時間である4時間の経過時点において、発酵の進行に伴い、発酵温度は約47℃に到達していた。また、タンク内において、発酵温度は必ずしも均一ではなく、外側部分と内側(中心)部分とでは異なっていた。前記の約45℃及び約47℃の温度は、タンク内の最も外側の地点で測定したものである。最も内側の地点(中心点)では、この最も外側の地点よりも温度が2.0℃程度高い。
この得られた発酵乳について、一段加圧を約10MPa、二段加圧を約5MPaで均質化して、液状の発酵乳を得た。そして、この液状の発酵乳と糖液(砂糖を5.5質量%、ブドウ糖果糖液糖を16質量%、ペクチンを0.6質量%で配合した水溶液)を質量比で6:4に混合して、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。この得られた発酵乳製品を10℃と5℃で保存し、調製直後の新鮮物を始点として、発酵乳製品の酸度の上昇の幅の経時的変化を調べた。
[実施例4;高温(47〜49℃)で発酵した場合(実機規模の実験)]
脱脂粉乳1.4トンと、水道水8.4トンを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、約47℃に冷却した。次に、実施例3と同様にして、混合スターター0.2トンを接種し、タンク内において、約45℃で発酵を開始させ、乳酸の生成によって酸度が1.10%に到達した、発酵時間が4.7時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。なお、後述する従来の至適温度で発酵させた比較例2の場合と比較して、この4.7時間は発酵時間として、幾らか延長されていた。発酵時間である4.7時間の経過時点において、発酵の進行に伴い、発酵温度は約49℃に到達していた。また、タンク内において、発酵温度は必ずしも均一ではなく、外側部分と内側(中心)部分とでは異なっていた。なお、タンク内での測定地点及び温度の差異は、実施例3と同様である。
この得られた発酵乳について、実施例3と同様にして、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。この得られた発酵乳製品について、実施例3と同様にして、発酵乳製品の酸度の上昇の幅の経時的変化を調べた。
[比較例2;従来の至適温度(43〜44℃)で発酵した場合(実機規模の実験)]
脱脂粉乳1.4トンと、水道水8.4トンを混合して、発酵乳の原料(ヨーグルトミックス)を調製し、これを95℃、10分間で加熱殺菌した後に、約43℃に冷却した。次に、実施例3と同様にして、混合スターター0.2トンを接種し、タンク内において、約43℃で発酵を開始させ、乳酸の生成によって酸度が1.10%に到達した、発酵時間が4時間の時点で発酵工程を終了し、次いで10℃以下に冷却して、発酵乳を得た。発酵時間である4時間の経過時点において、発酵の進行に伴い、発酵温度は約44℃に到達していた。また、タンク内において、発酵温度は必ずしも均一ではなく、外側部分と内側(中心)部分とでは異なっていた。なお、タンク内での測定地点及び温度の差異は、実施例3と同様である。
この得られた発酵乳について、実施例3と同様にして、最終製品である発酵乳製品(ドリンクヨーグルト)を得た。この得られた発酵乳製品について、実施例3と同様にして、発酵乳製品の酸度の上昇の幅の経時的変化を調べた。
実施例3、実施例4、比較例2について、発酵乳製品の酸度の上昇の幅の経時変化を表5(保存温度:10℃)と表6(保存温度:5℃)に示した。
Figure 2011083776
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表5及び表6から、比較例2の7〜12日間の保存に比較して、実施例3と実施例4の36日間(1カ月以上)の保存で、酸度の上昇が抑制されており、本発明により、発酵乳や発酵乳製品の賞味期限を延長できることが分かる。一方、本発明により、酸度の上昇が抑制され、発酵乳や発酵乳製品に由来する酸味を抑制できるため、甘味料などの添加量を低減できる。この場合、発酵乳や発酵乳製品の本来の芳醇さと爽かさを維持しつつ、すっきりした酸味の発酵乳や発酵乳製品を提供できる。
実施例3及び比較例2について、専門パネラーの12名で、発酵乳製品の官能評価を実施した。この官能評価では、酸味の強さ、甘味の強さ、後味の良さ、口当たりの良さを評価の項目とし、「2、1、0、−1、−2」の5段階で評価の程度を表現した。ここで、この評価の程度で数値が大きいと、酸味及び甘味については「強い」を意味し、後味及び口当たりについては「良い」を意味する。酸味については、数値が小さいほど良好であり、甘味、後味、口当たりについては、数値が大きいほど良好である。この官能評価における専門パネラーの12名の平均値の経時変化を表7に示した。
Figure 2011083776
表7から、比較例2に比較して実施例3で、酸味は弱く、甘味は強く、後味は同等に、口当たりは良く評価されており、本発明により、発酵乳や発酵乳製品の酸味を抑えながら、甘味を増強して、後味を同等に維持しつつ、口当たりを改良できることが分かる。前記の実施例などで実証した内容と同様に、この官能評価からも、本発明により、製造直後の新鮮物だけでなく、冷蔵保存後の保存品においても、発酵乳や発酵乳製品の本来の芳醇さと爽かさを維持しつつ、すっきりした酸味の発酵乳や発酵乳製品を提供できることを確認できた。
本発明によれば、発酵工程後の加熱や添加物の使用などの新たな工程を追加することなく、発酵乳含有乳製品としての商品価値を維持しながら、冷蔵保存中における酸度やpHの変化を抑制することができる。これにより、製造時の中間品である発酵乳(例えば、ドリンクヨーグルトの原料としての発酵乳)や、最終製品である発酵乳(例えば、セットタイプヨーグルト)または発酵乳製品(例えば、ドリンクヨーグルト)を長期間で保存しても、それらを製造した直後の新鮮物と比べて、風味や品質の変化を抑制することができるため、賞味期限を延長することができる。そして、発酵乳や発酵乳製品の風味や品質を人工的に調整するために添加していた、香料や甘味料などの使用量を低減することができる。

Claims (8)

  1. 発酵乳の原料に乳酸桿菌及び乳酸球菌を添加し、44〜55℃の発酵温度で発酵乳を得る発酵工程を含む、発酵乳の製造方法。
  2. 上記発酵温度が44〜49℃である、請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  3. 上記発酵温度の保持時間が2〜24時間である、請求項1又は2に記載の発酵乳の製造方法。
  4. 上記乳酸桿菌がラクトバチルス・ブルガリカスであり、かつ、上記乳酸球菌がストレプトコッカス・サーモフィルスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発酵乳の製造方法によって得られた発酵乳を含む乳製品。
  6. 上記乳製品が、ドリンクヨーグルト、ソフトヨーグルト、乳酸菌飲料、及びセットタイプヨーグルトから選ばれる一種である、請求項5に記載の乳製品。
  7. 上記乳製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、この間の上記乳製品の酸度(%)の上昇の幅が0.25%以下である、請求項5又は6に記載の乳製品。
  8. 上記乳製品の調製の終了時から25日間の経過時まで、10℃の温度下に保存した場合に、この間の上記乳製品のpHの低下の幅が0.28以下である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の乳製品。
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