JP4465297B2 - 発酵乳の製造法及び発酵乳 - Google Patents
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(1)ミックスに添加するスターター添加量を減少させることによって、発酵の誘導期を長くする工程、
および、
(2)スターター添加前及び/またはスターター添加後にミックス中の溶存酸素濃度を5ppm以下に低減させる工程
を含み、
前記(1)が、ミックスに添加するスターター添加量を、前記(1)および(2)を行わない場合であって発酵温度43℃、発酵時間3時間後に乳酸酸度0.7%を与える状態まで発酵を行うとした場合のスターターの添加量の50%から25%に減少させることである、前記製造方法に関する。
また本発明は、発酵温度が41℃〜47℃である、前記の製造方法に関する。
さらに本発明は、ハードタイプまたはプレーンタイプのヨーグルトが、測定温度5〜10℃における100g荷重のカードメーターによって測定される硬度が40g以上であり、かつ、ヨーグルトナイフの侵入角度が40℃以下である、前記の製造方法に関する。
また本発明は、スターターが、ラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)およびラクトバチルス・ラクティス(L. lactis)からなる群から選択される1種または2種以上である、前記の製造方法に関する。
1)スターターの添加量を通常添加量の50%から25%に減じて原料ミックスに添加する。50%は最大使用量の閾値であり、概ね本発明品が得られるが場合によって通常と同様の発酵乳となる。また25%は最小使用量の閾値であり、場合によって堅さの点で本発明品としては不十分な発酵乳となる。従って、好ましいスターターの添加量は通常使用量の45%から30%、より好ましくは40%から35%である。
2)スターターの発酵力を予め通常の発酵力の85%から50%に減じたものを用いて通常添加量を原料ミックスに添加する。この場合の85%とは通常のスターターの示す乳酸酸度0.7%を100%とした場合に同様条件で0.6%の乳酸酸度0.6/0.7=85%となる程度に発酵力を低下させた状態のスターターを用いることを示す。
3)あるいはスターターの評価が複雑となってしまうが1)と2)の方法を適宜組み合わせて行う方法も可能である。
以上のどの方法で発酵力を低下させた場合でも、スターター等の発酵力の確認は乳酸酸度を指標として先の通常発酵条件との比較により行うことができる。
次にそれぞれの溶存酸素濃度に調整したミックスを100ml容器に充填し、40℃前後の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させた。比較には、溶存酸素濃度を調整せずに発酵させたものを用いた。この場合、乳酸菌スターターを接種した段階(窒素置換処理なし)でのミックスの溶存酸素濃度は8ppmであった。
尚、乳酸酸度は、0.1規定NaOHを用い、フェノールフタレインを指示薬として滴定し、算出した。
牛乳78.2kg、脱脂粉乳2.6kg、水17.2kgを混合したミックスを調製し、95℃、5分間の加熱殺菌した後、43℃前後まで冷却し、乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌B)2.0(データ未掲載)、1.5、1.0、0.8、0.5重量%の接種を行った。このミックスにパイプを通して窒素ガスを混合分散させ、溶存酸素濃度を5ppm以下に調整した。これを100ml容器に充填し、43℃の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。また、対照として特許文献1に従い、溶存酸素濃度を5ppm以下に調整し、乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌B)2.0重量%の接種を行ったものも用意した。これを100ml容器に充填し、37℃の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。
スターター添加量を減じる代わりに発酵力を低下させたスターターを用いて試験例2と同様に発酵乳を製造しその効果の有無につき検討を行った。この場合、試験例2で用いたミックスを加熱殺菌後43℃前後まで冷却した後、発酵力が76%に低下した乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌Bの混合培養物を冷蔵保存し発酵力を低下させた)2.0重量%の接種を行った。その後窒素置換により脱酸素処理を行い溶存酸素濃度を5ppm以下とし、43℃で発酵を行った。また、対照として特許文献1に従い、溶存酸素濃度を5ppm以下に調整し、正常な発酵力の乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌B)2.0重量%の接種を行ったものも用意し、試験例2同様に発酵を行った。
試験例2で用いたミックスを加熱殺菌後41℃、47℃、49℃前後までそれぞれ冷却した後乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌Bの混合培養物)0.8重量%の接種を行った。窒素置換処理によって溶存酸素濃度を3ppm以下とした後、各温度の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。また、対照として特許文献1に従い、溶存酸素濃度を3ppm以下に調整し、正常な活力の乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌Bの混合培養物)2.0重量%の接種を行ったものも用意した。これを100ml容器に充填し、37℃の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。
牛乳78.2kg、脱脂粉乳2.6kg、水17.2kgを混合したミックスを調製し、95℃、5分間の加熱殺菌した後、43℃前後まで冷却し、乳酸菌スターター(乳酸菌Cと乳酸菌B)1.2重量%の接種を行った。乳酸菌Cと乳酸菌Bの混合培養物は、乳酸菌Aと乳酸菌Bの混合培養物に比べて発酵速度が遅いため、同じ発酵時間で所定の乳酸酸度に達するには、通常の発酵においても1.5倍量(3%)のスターター添加が必要となる。このミックスにパイプを通して窒素ガスを混合分散させ、溶存酸素濃度を5ppm以下に調整した。これを100ml容器に充填し、43℃の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。また、対照として特許文献1に従い、溶存酸素濃度を5ppm以下に調整し、乳酸菌スターター(乳酸菌Aと乳酸菌B)2.0重量%の接種を行ったものも用意した。これを100ml容器に充填し、37℃の発酵室にて静置発酵させ、乳酸酸度が0.7%前後に到達した時点で10℃以下の冷蔵庫に入れ、冷却・発酵停止させ発酵乳を製造した。
また、乳酸菌Dと乳酸菌Bの組合せを用いてスターター添加濃度0.8重量%の接種で同様の製造を行った。
他の乳酸菌スターター(乳酸菌Dと乳酸菌B)を用いた場合も同様の結果が得られた(表1)。 以上の2種類のスターターを用いた場合の乳酸酸度の変化と発酵時間の関係を図4に示す。
Claims (4)
- ハードタイプまたはプレーンタイプのヨーグルトの製造方法であって、
(1)ミックスに添加するスターター添加量を減少させることによって、発酵の誘導期を長くする工程、
および、
(2)スターター添加前及び/またはスターター添加後にミックス中の溶存酸素濃度を5ppm以下に低減させる工程
を含み、
前記(1)が、ミックスに添加するスターター添加量を、前記(1)および(2)を行わない場合であって発酵温度43℃、発酵時間3時間後に乳酸酸度0.7%を与える状態まで発酵を行うとした場合のスターターの添加量の50%から25%に減少させることである、前記製造方法。 - 発酵温度が41℃〜47℃である、請求項1に記載の製造方法。
- ハードタイプまたはプレーンタイプのヨーグルトが、測定温度5〜10℃における100g荷重のカードメーターによって測定される硬度が40g以上であり、かつ、ヨーグルトナイフの侵入角度が40℃以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
- スターターが、ラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)およびラクトバチルス・ラクティス(L. lactis)からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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