JPH1132724A - ビフィズス菌の生残性の高い飲食品の製造方法 - Google Patents

ビフィズス菌の生残性の高い飲食品の製造方法

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JPH1132724A
JPH1132724A JP9193962A JP19396297A JPH1132724A JP H1132724 A JPH1132724 A JP H1132724A JP 9193962 A JP9193962 A JP 9193962A JP 19396297 A JP19396297 A JP 19396297A JP H1132724 A JPH1132724 A JP H1132724A
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resin
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bifidobacteria
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Asako Satou
麻子 佐藤
Takashi Yamamoto
孝 山本
Akira Tomizawa
章 富澤
Tamami Uchida
珠美 内田
Tomoaki Kudo
倫昭 工藤
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存中の酸度上昇、pHの低下が抑制さ
れ、さらには長期保存後もビフィズス菌の生残性が良好
な飲食品の提供。 【解決手段】 ビフィズス菌を含有する飲食品と弱塩基
性陰イオン交換樹脂とを接触させ、酸を除去することに
より、又は飲食品を予め弱塩基性陰イオン交換樹脂と接
触させ、酸を除去した後、ビフィズス菌を添加すること
により得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビフィズス菌の生
残性の高い飲食品の製造方法に関する。本発明の飲食品
は、長期間保存後でもビフィズス菌の生残性が良好であ
る。
【0002】
【従来の技術】ビフィズス菌は人の腸内に生息し、整腸
作用、病原菌抑制作用、コレステロール低下作用、ガン
細胞増殖抑制作用等を有し、人間の健康維持に重要な働
きをすることから、近年、各種食品に添加され、様々な
目的で利用されている。例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、
ヨーグルト等の乳製品や整腸剤等に利用されており、特
に発酵乳製品への利用は盛んである。しかしながら、ビ
フィズス菌は偏性嫌気性菌であり、酸素が存在する状
態では生育できない、増殖促進物質(酵母エキス等)
が存在しないような純粋な牛乳培地では増殖できない、
耐酸能が低く、低pH領域では死滅し易い、といった
性質を有するため発酵乳製品においてビフィズス菌を利
用する場合、幾つかの問題点があった。すなわち、有用
微生物であるビフィズス菌を飲食品中に含有させても食
品中の酸素の含量、栄養物質、酸度やpHの影響を受け
易いため、これらの条件が好ましい範囲になければ、ビ
フィズス菌は容易に死滅することになる。
【0003】そこで、ビフィズス菌の生残性を向上させ
るために、以下に挙げる方法がとられている。例えば、
ビフィズス菌の生残性を改善するために、ビフィズス菌
を含有する飲食物を製造するに際し、製品中にL−アス
コルビン酸及びラクトバチルス・アシドフィルスを含有
させる方法(特開昭58−111638号公報)、保存
中のビフィズス菌の死滅を抑制したビフィズス菌含有発
酵乳製品を製造する際に、発酵乳製品製造の原料に食物
繊維を添加する方法(特開昭60−164432号公
報)、食品中のビフィズス菌の保存中の菌数低下を抑制
するために、衛生上無害なカタラーゼ陽性微生物の無細
胞抽出液を加える方法(特開昭61−52253号公
報)、ビフィズス菌等の有用微生物を長期間生存させる
ために、有用微生物の生存に有害であるとされる過酸化
水素を除去することを目的としてラクトパーオキシダー
ゼを添加する方法(特開平5−41981号公報)、ビ
フィズス菌の生残性を改善したビフィズス菌含有飲食物
を得るために、飲食物中にラクトバチルス・カゼイ及び
リンゴ酸又はその塩を含有させる方法(特開平7−18
4540号公報)が知られている。
【0004】しかしながら、製品中にL−アスコルビン
酸及びラクトバチルス・アシドフィルスを含有させる方
法やラクトバチルス・カゼイ及びリンゴ酸又はその塩を
含有させる方法では、この方法で使用できる乳酸菌の菌
種が限定されるため好ましくなく、また、衛生上無害な
カタラーゼ陽性微生物の無細胞抽出液やラクトパーオキ
シダーゼを添加する方法では、予めそれらを調製するた
め工程が煩雑となりコストも高くなるため好ましくな
く、食物繊維を添加する方法では、ビフィズス菌の生残
性は改善されるものの、得られた製品の組織、風味が変
化する。さらに容器を改良してビフィズス菌の生残性を
向上させる試みもなされている。例えば、ガスバリアー
性の高いアルミコーティング紙容器、多層プラスチック
容器、及びガラス容器等を使用することが行われてい
る。しかしながらこれらの容器は、通常の発酵乳製品の
容器に使用されているポリスチレン容器、紙容器等に比
べてコスト高になるといった問題点があった。
【0005】
【発明が発明が解決しようとする課題】本発明は、保存
中の酸度上昇、pHの低下が抑制され、さらには長期保
存後もビフィズス菌の生残性が良好な飲食品を提供する
ことを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ビフィズス菌を含有する
飲食品を特定樹脂で処理し、飲食品中に含有される酸の
一部を選択的に除去することにより、製品保存中のビフ
ィズス菌の生残性を向上させることが可能となることを
見いだし、本発明を完成させるに至った。本発明は、ビ
フィズス菌を含有する飲食品と弱塩基性陰イオン交換樹
脂とを接触させ、酸を除去することを特徴とするビフィ
ズス菌の生残性の高い飲食品の製造方法に関する。ま
た、本発明は、飲食品を予め弱塩基性陰イオン交換樹脂
と接触させ、酸を除去した後、ビフィズス菌を添加する
ことを特徴とするビフィズス菌の生残性の高い飲食品の
製造方法に関する。本発明では、飲食品として液状の発
酵乳製品について主に説明するが、飲食品は発酵乳製品
に限定されず、各種食品を含み、飲食品の形態も液状に
限定されず、ペースト状、固形状等の食品も含む。ま
た、本発明ではビフィズス菌とは、ビフィドバクテリウ
ム(Bifidobacterium )に分類される細菌をいう。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、発酵乳製品を例示して、本
発明を詳しく説明する。本発明の酸を除去する方法とし
ては、主として、以下に示す3通りの方法がある。
(1)原料ミックスに乳酸菌及びビフィズス菌を添加
し、発酵させて調製した発酵乳製品を樹脂処理して酸を
除去する方法、(2)原料ミックスに乳酸菌のみを添加
し発酵させて調製した発酵乳製品と別にビフィズス菌を
培養した培養物を混合後、樹脂処理して酸を除去する方
法、(3)原料ミックスに乳酸菌のみを添加し発酵させ
て調製した発酵乳製品を樹脂処理して酸を除去後、ビフ
ィズス菌を添加する方法のいずれかを採用することによ
りビフィズス菌の生残性の高い発酵乳製品を得ることが
できる。
【0008】本発明で発酵乳製品の調製に使用すること
のできる乳酸菌としては、通常発酵乳の製造に用いられ
るものであればいずれでもよく、例えばラクトバチルス
・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトバチルス・ア
シドフィルス(L.acidophilus )、ストレプトコッカス
・サーモフィルス(S.thermophilus)等が例示できる。
また、ビフィズス菌としては、ビフィドバクテリウム・
ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・ブレー
ベ(B.breve )等を例示することができる。なお、本発
明の発酵乳製品とは、ビフィズス菌を含有し、厚生省令
で定められた発酵乳、乳酸菌飲料、乳製品乳酸菌飲料等
のことをいう。
【0009】このように、本発明は、発酵乳製品に代表
されるビフィズス菌を含有する飲食品を特定樹脂で処理
することを特徴とするが、本発明では樹脂として弱塩基
性陰イオン交換樹脂を用いることが好ましく、この樹脂
で発酵乳製品を処理することにより、発酵乳製品中に含
有される酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸の一部が選択
的に樹脂に吸着されて酸が除去され、発酵乳製品の酸度
が低下し、pHが上昇する。特に、弱塩基性陰イオン交
換樹脂は酢酸に対して選択性が高い。発酵乳製品中の酢
酸は、ビフィズス菌により産生されるが、酢酸は乳酸に
比べてシャープな酸味を有し、香気的にも好まれないた
め、除去することにより風味上より好ましいものとな
る。このようにして酸を除去することにより、保存中に
乳酸菌やビフィズス菌自体が産生する酸で製品の酸度が
上昇してもビフィズス菌が死滅することもなく、ビフィ
ズス菌の生残性の良好な発酵乳製品を得ることができ
る。なお、樹脂処理した発酵乳製品の酸度は0.45〜
0.75%、pHは4.3〜5.2となり、酸味は抑え
ながらも適度な発酵風味が有り、酢酸臭が抑えられてい
るため、発酵乳製品としてより好ましいものとなる。一
方、通常の発酵乳製品の製造直後の酸度は、0.75〜
1.0%、pHは4.0〜4.3であり、これは飲食し
たときに適度な酸味を感じる程度であるが、約2週間ほ
ど保存すると、酸度が上昇し、pHが低下し、ビフィズ
ス菌の成育や生残性が悪くなり、酸味が強くなる上、ビ
フィズス菌が産生する酢酸により、発酵乳製品の酢酸臭
が強くなるため、好ましくないものとなる。更に、弱塩
基性陰イオン交換樹脂は、活性炭と同様の脱臭効果を有
しており、本発明においては、飲食品の粉臭や加熱臭、
雑味等が除去されるため、風味改善の効果がある。例え
ば、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク粉、ホエー粉
(ホエー蛋白濃縮物、ホエー蛋白単離物)等を原料とし
て発酵乳製品を調製した場合、従来のものより風味の良
好な製品を得ることができる。このため、従来は雑味が
強いため、多量に添加することができなかったホエー粉
等の調製品を用いた場合でも風味良好な飲食品が製造可
能となり、製造コストを低減させることができる。 ま
た、液状の発酵乳製品においては樹脂処理を行うことに
より、製品の粘度が低下するうえ、保存中の粘度上昇も
抑制されるため、のどごしの良好なものが得られる。
【0010】本発明において使用することができる樹脂
は、主として酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸を除去で
きるものであり、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性
陰イオン交換樹脂等が挙げられるが、強塩基性陰イオン
交換樹脂は塩基性度が高く、処理液のpHがアルカリ側
になるとともに、有機酸除去効果が高くなりすぎるた
め、弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いることが好まし
い。弱塩基性陰イオン交換樹脂として、例えば、デュオ
ライト(Duolite ;登録商標)A-561 、アンバーライト
(Amberlite ;登録商標)IRA-94S 、アンバーライト
(Amberlite ;登録商標)IRA-68、ダイヤイオン(DIAI
ON;登録商標)WA10、ダイヤイオン(DIAION;登録商
標)WA30、オプティポア(Optipore;登録商標)L-285
等を例示できる。尚、これらの樹脂の有機酸除去能力
は、樹脂の前処理条件によって若干変化する。例えば、
酢酸イオン、乳酸イオン等の有機酸根と交換される弱塩
基性陰イオン交換樹脂の対イオンを塩素イオンと水酸イ
オンとし、それらの割合を変えることにより除去能力を
コントロールすることができる。これらの樹脂と発酵乳
製品を接触させる方法としては、カラムに樹脂を充填し
発酵乳製品を通液する方法、あるいはタンクに発酵乳製
品と樹脂とを入れ攪拌して接触させ、除酸後、樹脂を分
離する方法等があり、いずれの方法を用いてもよい。こ
れらの樹脂は、1N NaOH を樹脂の2倍容量用いて再生
後、塩酸で中和して使用する。中和に使用する塩酸量
は、樹脂の銘柄及び目標とする酸味成分の除去量に応じ
てコントロールする。尚、樹脂の使用量は発酵乳製品の
容量に対して5〜20容量%程度である。また、処理す
る発酵乳製品の温度は、50℃以下、好ましくは5〜2
0℃がよい。更に樹脂をカラムに充填して接触させる時
の通液速度は、SV=2〜10(リットル/リットル−
樹脂/時間、以下L/L−R.Hと略す)の範囲がよ
く、タンク攪拌式の場合は、30〜120分間程度の接
触で除酸効果を奏することができる。
【0011】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1 乳酸菌、ビフィズス菌併用培養物を樹脂処理
する方法 生乳2000g、温水5840g、脱脂粉乳1140
g、無塩バター180gを均質化(均質圧150kg/cm
2 ) し、99℃で15秒間殺菌して冷却した。これにラ
クトバチルス・ブルガリクスとストレプトコッカス・サ
ーモフィルスの混合スターターを3重量%及びビフィド
バクテリウム・ロンガムを3重量%添加し、39℃の恒
温室で乳酸酸度が1.0%になるまで発酵させた。発酵
終了後、カードを攪拌しながら5℃まで冷却した。異性
化糖1102g、温水8898gを混合し90℃達温で
殺菌したあと5℃まで冷却して糖液を調製した。上記の
発酵ミックスと糖液を2:1の比で混合し、均質化(均
質圧150kg/cm2 )して液状の発酵乳製品を調製し
た。このようにして得られた発酵乳製品を以下に示す方
法で樹脂処理した。
【0012】1)樹脂の前処理 (コンディショニング) 弱塩基性陰イオン交換樹脂 (ダウケミカル社製、オプテ
ィポアL−285)1lをカラムに充填し、通液速度を
SV=4(L/L−R.H)に調節した。その後、4%
NaOH 溶液4lを通液し、脱イオン水3lで水洗した。
さらに、1N HCl溶液150mlを通液し、脱イオン水3
lで水洗した。
【0013】2)発酵乳製品の樹脂処理 前記1)に示す処理をした弱塩基性陰イオン交換樹脂に
発酵乳製品5lを通液速度SV=3(L/L−R.
H)、温度8℃の条件で通液した。なお粘度が高すぎる
と通液できないため、通液する発酵乳製品の粘度は70
0cP以下になるように調整した。このようにして、樹
脂処理した発酵乳製品を得た。
【0014】試験例1 実施例1で得られた樹脂処理した液状の発酵乳製品(本
発明品1)と樹脂処理しない発酵乳製品(比較例1;樹
脂処理を行わないもの、調製は本発明品1と同様)につ
いて、以下に示す試験を行った。 (1)乳酸含量の測定;市販のF−キットDL−乳酸
(ベーリンガー・マンハイム、山之内(株)製) を用い
て、試料100g中の乳酸含量(mg)を測定した。 (2)酢酸含量の測定;市販のF−キット酢酸(ベーリ
ンガー・マンハイム、山之内(株)製) を用いて、試料
100g中の酢酸含量(mg)を測定した。 (3)pHの測定;ガラス電極法に従いガラス電極pH
計(F−22、(株)堀場製作所製) を用いて測定を行
った。試料100g(品温10℃)にガラス電極を差し
込み、値が一定となったところの測定値を読み取り試料
のpHとした。 (4)乳酸酸度の測定;中和滴定法に従い、試料9gを
3倍に希釈し、フェノールフタレイン指示薬を添加し、
0.1N NaOH 溶液で中和滴定を行い、30秒間微紅色
の消失しない点を終点とし、終点における滴定量を読み
取り、100g中の乳酸量を算出し、%で示した。 (5)ビフィズス菌数;試料1gを光岡(光岡:臨床検
査、第18巻、第1163頁、1974年) に従い嫌気
性用希釈液で段階的に希釈した後、これを血液肝臓寒天
(Blood Liver Agar、BL寒天) 平板培地の表面に塗布
し、37℃、72時間スチールウール法により嫌気培養
を行い、出現したコロニー数を計測し、試料1 cfu/ m
l 当たりの値を示した。 (6)粘度;B型粘度計 (東京計器製) を用い、試料2
00ml(品温10℃) を測定カップにとり、測定プロー
ブ (ローターNo.1)を挿入し、60回転/分で30
秒後の測定値を読み取り、これを試料の粘度(cP)と
して示した。 (7)官能評価;酸味、風味、組織の好ましさについて
評価した。評価は、30名の熟練パネラーにより、試料
100gを飲用し、良好:5、やや良好:4、どちらで
もない:3、やや悪い:2、悪い:1の5段階で評価
し、その平均点で示した。 測定項目(1)、(2)については、試料製造後 1日目
のみ測定し、結果を表1に示す。(3)〜(6)につい
ては10℃にて保存し、製造後日数1、5、9、14日
目で測定し、結果を表2に示す。(7)については、製
造後日数1、14日目の試料について評価し、結果を表
3に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】樹脂処理した本発明品1は、樹脂処理しな
い比較例1に比べ、発酵乳製品の乳酸含量及び酢酸含量
が少なく、保存中のビフィズス菌の生残性も良好で、酸
度の上昇、pHの低下、粘度の上昇も抑制された。ま
た、官能評価においても本発明品1は比較例1に比べ、
酸味、風味、組織の点で好ましい評価を得、特に酸味に
関しては保存14日経過しても、マイルドな酸味が維持
された。なお、樹脂処理直後のものも、適度な酸味を有
しており、良好な評価が得られた。
【0019】実施例2 乳酸菌、ビフィズス菌を別途培
養し、混合後に樹脂処理する方法 生乳2000g、温水5840g、脱脂粉乳1140
g、無塩バター180gを均質化(均質圧150kg/cm
2 ) し、99℃で15秒間殺菌して冷却した。これにラ
クトバチルス・ブルガリクス及びストレプトコッカス・
サーモフィルスの混合スターターを3重量%添加し、3
9℃の恒温室で乳酸酸度が1.0%になるまで発酵させ
た。発酵終了後、カードを30回転/分の条件で攪拌し
ながら5℃まで冷却し、乳酸菌培養物を調製した。脱脂
粉乳120g、酵母エキス1g、水870gを混合溶解
し、95℃で15分間殺菌して冷却した。これにビフィ
ドバクテリウム・ロンガム3重量%を添加し、32℃の
恒温室で乳酸酸度が1.1%になるまで発酵させた。発
酵終了後、カードを30回転/分で攪拌しながら5℃ま
で冷却し、ビフィズス菌培養物を調製した。異性化糖1
102g、温水8898gを混合し90℃達温で殺菌し
たあと5℃まで冷却して糖液を調製した。上記の乳酸菌
培養物:ビフィズス菌培養物:糖液を9:1:5の割合
で混合して均質化(均質圧150kg/cm2 )して液状の
発酵乳製品を調製した。このようにして得られた発酵乳
製品を以下に示す方法で樹脂処理を行った。
【0020】1)樹脂の前処理 (コンディショニング) 実施例1と同様に行った。
【0021】2)発酵乳製品の樹脂処理 前記1)の前処理が終了した弱塩基性陰イオン交換樹脂
200mlを3l三角フラスコに入れ、上記のように調製
した発酵乳製品を添加した。温度8℃の条件で30分間
振盪させた後、濾過により樹脂と発酵乳製品を分離し、
樹脂処理した発酵乳製品を得た。
【0022】試験例2 実施例2で得られた樹脂処理した発酵乳製品(本発明品
2)と樹脂処理しない発酵乳製品(比較例2;樹脂処理
をしないもの、調製は本発明品2と同様)について、試
験例1と同様の試験を行った。試験例1と同様に測定項
目(1)、(2)については、試料製造後 1日目のみ測
定し、結果を表4に示す。(3)〜(6)については1
0℃にて保存し、製造後日数1、5、9、14日目で測
定し、結果を表5に示す。(7)については、製造後日
数1、14日目の試料について評価し、結果を表6に示
す。
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】樹脂処理した本発明品2は、樹脂処理しな
い比較例2に比べ、発酵乳製品の乳酸含量及び酢酸含量
が少なく、保存中のビフィズス菌の生残性も良好で、酸
度の上昇、pHの低下、粘度の上昇も抑制された。ま
た、官能評価においても本発明品2は比較例2に比べ、
酸味、風味、組織の点で好ましい評価を得、特に酸味に
関しては保存14日経過しても、マイルドな酸味が維持
された。なお、樹脂処理直後のものも、適度な酸味を有
しており、良好な評価が得られた。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、ビフィズス菌を含有す
る飲食品を弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理して、飲食
品中に含有される酢酸、乳酸、クエン酸等の酸の一部を
選択的に除去することにより、製品保存中のビフィズス
菌の生残性を向上させることができる。このようにして
得られる飲食品は、ビフィズス菌を高濃度に含有し、保
存中の酸度上昇、pHの低下が抑制され、長期保存後で
もビフィズス菌の生残性が良好なものとなる。さらに樹
脂処理を行うことにより、粉臭、加熱臭、雑味が低減さ
れ、飲食品の風味が向上する。このため、従来は雑味が
強く多量に添加することができなかった安価な乳素材で
あるホエー粉等の調製品を用いた場合でも、風味の良好
な飲食品を製造できるため、製造コストの低減も可能と
なる。その上、乳酸に比べ酢酸の除去効果が高いため、
ビフィズス菌含有の食品において好ましくないとされる
酢酸臭を低減させながらも適度な発酵臭、酸味を有する
ため、風味の点で好ましいものが得られる。また、液状
の飲食品についても樹脂処理により粘度が低下するた
め、保存中の粘度の上昇が抑制され、のどごしの良好な
ものが得られる。このように、従来のビフィズス菌の生
残性を向上させる技術では、製品の風味を向上させる効
果は認められなかったが、本発明では、ビフィズス菌の
生残性を向上させるだけでなく、飲食品の風味を向上さ
せることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 倫昭 埼玉県坂戸市鶴舞4丁目13−2

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビフィズス菌を含有する飲食品と弱塩基
    性陰イオン交換樹脂とを接触させ、酸を除去することを
    特徴とするビフィズス菌の生残性の高い飲食品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 飲食品を予め弱塩基性陰イオン交換樹脂
    と接触させ、酸を除去した後、ビフィズス菌を添加する
    ことを特徴とするビフィズス菌の生残性の高い飲食品の
    製造方法。
JP9193962A 1997-07-18 1997-07-18 ビフィズス菌の生残性の高い飲食品の製造方法 Pending JPH1132724A (ja)

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