JPWO2011062174A1 - 電気泳動分析方法 - Google Patents

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Abstract

プロテアーゼを電気泳動により正確に分析できる手段を提供する。被分析対象プロテアーゼを含有する試料を、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件にした後、当該試料を電気泳動に付すことを特徴とする、プロテアーゼ含有試料の電気泳動分析方法。

Description

本発明は、プロテアーゼの純度を正確に測定することができる電気泳動分析方法に関する。
動物細胞を扱う分野において培養細胞の酵素処理が広く行われている。特に酵素を用いることで、基底膜を構成する細胞外マトリクスなどを温和な条件で分解することができるために、培養細胞の植え継ぎなどでは、欠かすことができないものとなっている。ここで用いられる酵素は、トリプシン、コラゲナーゼなどのプロテアーゼや、ヒアルロニダーゼのような多糖分解酵素がよく知られている。
バシロライシンは、微生物特にバチルス属及び近縁属細菌の生産する中性金属プロテアーゼである。バシロライシンの一種であるプロテアーゼが、微生物Bacillus polymyxa(1994年からPaenibacillus属に属名変更)の培養液中より見出された。このプロテアーゼは、トリプシンやコラゲナーゼとは、異なった分解作用を示すことが認められ、たとえば、他の酵素ではよく分散できない細胞塊を、細胞自体に損傷を与えることなく単細胞に分散させることができる。また、血清中で阻害されないという性質を利用して、接着性の細胞を浮遊系で培養するのに用いるなど、様々な分野で利用されている(特許文献1、2)。このプロテアーゼは、合同酒精株式会社からディスパーゼ(登録商標)の名称で販売され、世界中で広く使用されている。
現在、皮膚組織から分離した上皮細胞を培養してシート状で取り出す場合や、膵臓からインスリン産生細胞を取り出す場合など再生医療関連分野において、このプロテアーゼ(ディスパーゼ)は最も汎用されている。さらに、以上のようなラボ、工業用途だけでなく、医療用として特に眼科領域において、増殖性網膜症の外科手術における硝子体除去時の補助的用途や、糖尿病性白内障の予防療法など、バシロライシンを医薬品として利用する検討が進められている(非特許文献1)。
酵素は、比較的古くより医薬品として利用されてきたが、当初は消化促進剤として、プロテアーゼやアミラーゼ、リパーゼ等が利用されるに過ぎなかった。これらは、経口投与されることが多く、これまで純度が問題になることはほとんどなかった。しかし、代謝異常疾患に対する補填療法や、血液凝固系に関与する酵素群の利用などのように、酵素の非経口投与による治療法が行われるようになり、医薬品としての酵素にアレルギー惹起物質やエンドトキシンの除去など、非経口投与に必要な純度や不純物質の除去が要求されるようになってきた。同時に、予期せぬ副作用を未然に防ぐべく原薬としての酵素タンパク質にも高い純度が求められるようになってきた。
従来、タンパク質の純度を分析する方法として、ゲル濾過法が用いられる場合もあるが、ゲル濾過法では、数万の分子量を持つタンパク質に対し数千の分子量差を見分ける分解能に欠ける。一方、電気泳動法は分解能が高く、タンパク質の純度を分析する方法として広く利用されている。特に試料を前もってSDSとともに加熱してSDS化し、SDS存在下で泳動を行なうSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE法)は、同様に界面活性剤下で泳動を行なうキャピラリー電気泳動法とともに、精製されたタンパク質の純度を分析できる優れた方法である(非特許文献2)。
特公昭56−51747号公報 特公昭57−14836号公報
Tezel THら,Retina,1998;18(1) Laemmliら,Nature,227,680−685(1970)
しかしながら、前記のプロテアーゼ(ディスパーゼ)のような中性金属プロテアーゼを対象としてSDS処理を伴う電気泳動分析を行ったところ、多数のバンドが検出されてしまうことが判明した。また、この多数のバンドの発生は、高温条件下や市販のプロテアーゼ阻害剤の添加によっては全く防止できないことが判明した。従って、このプロテアーゼが含まれる試料中の純度を測定することはできず、さらに精製したプロテアーゼがどの程度の純度に達しているかは全く不明であった。
本発明は、種々のプロテアーゼを電気泳動により正確に分析できる手段を提供することを課題とする。
そこで、本発明者は、プロテアーゼのSDS処理中の分解を防止すべく種々の検討を行った。まず、プロテアーゼの自己分解を防止すべく、グアニジン、尿素などのタンパク質変性剤を添加したが、やはり分解が観察された。また、前記のプロテアーゼが金属プロテアーゼであることから、金属キレート剤の添加も検討したが、活性は即座に停止することはなく、徐々に不活性化することが観察され、活性を残存する酵素が、自己分解に携わることにより、結果的に本来の純度が反映されないことが判明した。そこでさらに検討したところ、強酸性や強塩基にすると、化学的に加水分解が進行するので、正確な分析はできないと考えられていたにもかかわらず、全く意外にも、そのプロテアーゼが速やかに失活するpHに調整し、その後に電気泳動に付すと、自己分解が抑制され、かつ酸や塩基による化学的加水分解も抑制でき、プロテアーゼの主バンドが観察され、正確な純度測定が可能になることを見出した。また、前記のプロテアーゼ(ディスパーゼ)については、初めてその純度が確認でき、純度92%以上の高純度のものが初めて得られた。
すなわち、本発明は、被分析対象プロテアーゼを含有する試料を、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件にした後、当該試料を電気泳動に付すことを特徴とする、プロテアーゼ含有試料の電気泳動分析方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の分析方法により92%以上の純度を有することが確認された、(1)ペニバチルス属に属する細菌により産生され、(2)中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンを分解し、(3)至適pHは7.0〜8.0であり、pH5.5〜9.0で安定であり、(4)20〜75℃で作用し、至適温度が55℃であり、(5)電気泳動法による分子量が32,000〜34,000Daと推定されるプロテアーゼを提供するものである。
本発明によるpH条件での処理後に電気泳動を行なうことで、自己分解を起こしやすいプロテアーゼの本来の純度が明確になった。特に、前記特定のプロテアーゼでは、本発明によりはじめて純度算出が可能となった。純度が92%以上、特に95%以上に精製されたこのプロテアーゼは、医薬用途に有用であり、副作用が少ない医薬品となりうる。
ディスパーゼIの従来法によるSDS−PAGEの結果を示す。 ディスパーゼIのHPLCゲルろ過カラムクロマトを示す。 精製酵素のHPLCゲルろ過カラムクロマトを示す。 ディスパーゼI及び精製酵素のSDS−PAGEの結果を示す。 EDTA、金属、変性剤がSDS−PAGEに及ぼす影響を示す。 EDTA及びSDS−PAGEに及ぼす影響を示す。 酸処理がSDS−PAGEに及ぼす影響を示す。 酸の種類がSDS−PAGEに及ぼす影響を示す。 酸処理後pHを変化させた場合のSDS−PAGEの結果を示す。 アルカリによるサンプル処理後のSDS−PAGEの結果を示す。 TCA処理と硫酸処理の比較を示す。 各精製段階のプロテアーゼのSDS−PAGEの結果を示す。 キャピラリー電気泳動の結果を示す。 本発明の前処理後のSDS−PAGEによる純度確認(左:ディスパーゼI、右:精製酵素)結果を示す。 各種プロテアーゼの分析(前処理法の比較)結果を示す。 D−プロテアーゼの至適pHを示す。 D−プロテアーゼのpH安定性を示す。 D−プロテアーゼの至適温度を示す。 D−プロテアーゼのSDS−PAGEの結果を示す。
本発明の電気泳動分析法は、被分析対象プロテアーゼを含有する試料を、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件にした後は、当該試料を電気泳動分析に付すことを特徴とする。
被分析対象プロテアーゼとしては、プロテアーゼであれば特に限定されず、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼのいずれも用いることができる。
被分析対象プロテアーゼの具体例としては、キモトリプシン(至適pH7.8)、トリプシン(至適pH8.0)、サチライシン(至適pH7〜10.5)、プロテアーゼK(至適pH7.5〜12)等のセリンプロテアーゼ;パパイン(至適pH6〜7.5)等のシステインプロテアーゼ;ペプシン(至適pH2〜3)等のアスパラギンプロテアーゼ;サーモライシン(至適pH7)、BNP(至適pH7.0〜8.0)等のメタロプロテアーゼ等が挙げられる。これらのうち至適pHが中性付近にある中性プロテアーゼが好ましく、中性金属プロテアーゼがより好ましく、前記特許文献1に記載されたプロテアーゼ(以下、Dプロテアーゼという)が特に好ましい。
本発明の被分析対象プロテアーゼを含有する試料としては、微生物等の細胞培養液から常法によりプロテアーゼを製造する過程における純度が不明のプロテアーゼ含有試料、精製した純度が不明のプロテアーゼ含有試料、被分析プロテアーゼと他のタンパク質とを含有する試料、純度の不明な市販のプロテアーゼ等を用いることができる。培養液からの精製手段としては吸着、溶剤分画、硫安分画、クロマトグラフィー、結晶化等を挙げることができる。市販のプロテアーゼとしては、前記の各種プロテアーゼ、ディスパーゼI、ディスパーゼII(登録商標)などが挙げられる。
本発明においては、被分析対象プロテアーゼを含有する試料を、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件にする。プロテアーゼが速やかに失活するpHとは、プロテアーゼ活性が1分以内に失われるpHをいい、特にプロテアーゼ活性が10秒以内に失われるpHが好ましい。そのようなpH条件は、通常、当該プロテアーゼの至適pHから3以上離れたpH条件であるのが好ましく、さらに至適pHから4以上離れたpH条件であるのが好ましい。
より好ましいプロテアーゼが速やかに失活するpH条件は、当該プロテアーゼが中性プロテアーゼの場合には、pH0.1〜3又はpH11〜14が好ましく、さらにpH0.1〜2.0、又は12〜14が好ましい。当該プロテアーゼが酸性プロテアーゼの場合には、pH10〜14が好ましく、さらにpH11〜14が好ましい。当該プロテアーゼがアルカリプロテアーゼの場合には、pH0.1〜4が好ましく、さらにpH0.1〜3が好ましい。
プロテアーゼがDプロテアーゼの場合には、pH0.7〜2.0に調整するのが好ましい。pH0.7未満では、プロテアーゼの化学的加水分解が生じ、一方pH2.0を超えると自己分解を抑制できない。より好ましいpHは、0.9〜1.9であり、特に好ましくは1.5〜1.9である。
pHの調整には、酸又はアルカリをプロテアーゼ含有試料に添加すればよい。このような酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、トリクロロ酢酸等が挙げられる。またアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
このようなpH条件とする時間及び温度は、対象プロテアーゼが失活し、かつ化学的加水分解を生じない条件であればよく、例えば25℃で、1〜30分とするのが好ましく、さらに25℃で1〜10分とするのが好ましい。
被分析対象プロテアーゼ含有試料は、前記pH処理によりその活性が失なわれているので、当該pH処理後は、そのまま電気泳動に付してもよいし、pHを中性付近やアルカリ性として電気泳動に付してもよい。すなわち、電気泳動装置に供する際のpHは特に制限されない。
その後、被分析対象プロテアーゼ含有試料は、常法により電気泳動に付せばよい。電気泳動手段としては、SDS−PAGE、キャピラリー電気泳動、ネイティブPAGE、等電点電気泳動が挙げられる。例えば、SDS−PAGEの場合、当該プロテアーゼ含有試料を、SDS、メルカプトエタノール、ブロムフェノールブルー色素を含むサンプル処理液に等量で混合後、PAGEに供せばよい。なお、前記Dプロテアーゼ含有試料を用いる場合には、SDS化段階において煮沸を必要としない。逆に、pH0.7〜2.0の試料を煮沸するとプロテアーゼが分解する可能性がある。従って、SDS化は、10〜30℃で行うのが好ましい。
またキャピラリー電気泳動の場合、前記pH処理したプロテアーゼ含有試料を、各装置に示されたサンプル処理液(Experion プロ260 分析キット Biorad社製等)を添加し、キャピラリー電気泳動装置(Experion 全自動チップ電気泳動装置BioRad社製等)に供すればよい。
泳動後の分析手段は、例えばゲル上の色素を検出すればよく、例えばデンシトメーター等により純度を数値化することもできる。またキャピラリー電気泳動を用いても、純度の算出が可能である。
本発明方法によれば、種々のプロテアーゼ、特にDプロテアーゼの純度を電気泳動法により正確に測定することができる。従って、本発明方法を用いれば、従来入手不可能であった、92%以上の純度を有するDプロテアーゼが確認できる。本発明方法により純度が92%以上、さらに95%以上、さらに98%以上、特に99%以上であることが確認されたDプロテアーゼは、特に医薬品として用いることができる。
ここで、Dプロテアーゼは、特許文献1には、次の性質を有することが記載されている。(1)バチルス・ポリミキサに属する細菌により産生され、(2)中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンを分解し、(3)至適pHは8.5であり、pH4.0〜9.0で安定であり、(4)20〜75℃で作用し、至適温度が60℃であり、(5)Ca2+、Mn2+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Al3+で活性が増強し、(6)超遠心法による分子量が35900Daであるプロテアーゼである。
ところが、今回本発明者がDプロテアーゼの性質を再検討したところ、以下の性質を有していることが判明した。(1)ペニバチルス属に属する細菌により産生され、(2)中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンを分解し、(3)至適pHは7.0〜8.0であり、(4)pH5.5〜9.0で安定であり、(4)20〜75℃で作用し、至適温度が55℃であり、(5)電気泳動法による分子量が32,000〜34,000Daと推定される。なお、バチルス・ポリミキサは現在、ペニバチルス・ポリミキサに種名が変更されている。
さらに、Dプロテアーゼは、詳細には、次の性質を有する。
(1)作用
中性プロテアーゼとしての一般的性質を示し、pHの中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンなどの蛋白質を分解してペプチド乃至遊離のアミノ酸を生成する。
酸化インシュリンのB鎖に対してはPha(1)−Val(2)、His(5)−Leu(6)、His(10)−Leu(11)、Glu(13)−Ala(14)、Ala(14)−Ler(15)、Ler(15)−Tyr(16)、Tyr(16)−Leu(17)、Leu(17)−Val(18)、Gly(23)−Phe(24)、Phe(24)−Phe(25)、Phe(25)−Tyr(26)及びLys(29)−Ala(30)の12ヶ所のペプチド結合を切断することが確認されている。
(2)基質特異性
カゼインに対し、温和な蛋白分解作用を示す。
(3)至適pH及び安定pH範囲
イ 至適pH:カゼインに対する蛋白分解作用の至適pHは、7.0〜8.0である。
ロ 安定のpH範囲:5.5〜9.0の範囲で極めて安定である。
(4)作用適温の範囲
20℃〜75℃の範囲で作用し、至適温度は55℃である。
(5)pH、温度などによる失活の条件
pH3.0以下及びpH10.0以上では、活性は完全になくなる。また、65℃、10分間の加熱処理により、完全に失活する。
(6)阻害、活性化及び安定化
エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、クエン酸、0−フェナンスロリン、2,2−ジピリジル、フッ化ソーダのごとき、金属キレート剤、及びN−ブロモサクシニイミド(NBS)、沃素のごとき酸化剤によって阻害される。
カルシウムイオンにより安定化され、活性には亜鉛イオンが必要である。
(7)分子量
電気泳動法による分子量は、32,000〜34,000Daと推定される。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
参考例1(従来の前処理方法を伴うSDS−PAGEによる分析)
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が1mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この100μLに従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた。試料は2本用意し、片方は3分間煮沸した。
以上のように処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図1に示したように、従来の前処理方法を使用したSDS−PAGEにおいて、ディスパーゼIは多数のバンドが検出された。ディスパーゼIの主成分であるDプロテアーゼの分子量は32kDa〜34kDaであることが示されたが、当該分子量バンドより分子量の小さい多数のバンドが検出された。また、試料を煮沸しなかったものは、SDS化が起こらなかったためか、Dプロテアーゼに該当するバンドが検出されなかった。
参考例2(精製酵素の従来の前処理方法による分析)
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が0.4mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH8.0)に溶解した。この200mLをあらかじめ50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいた陰イオン交換樹脂TSK GEL DEAE 650Mカラム(3×20cm)に吸着し、0.1M食塩を含む50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH8.0)によりリニアグラジエントで溶出した。クロマト操作は4℃付近で行った。Dプロテアーゼの溶出画分を集め、UF膜(旭化成株式会社製AIP)により濃縮し、50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液を用いて、脱塩を行ない、結晶を析出させた。本結晶を精製酵素とした。
精製酵素をタンパク質が1mg/mLとなるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(0.2M食塩を含む、pH7.5)に溶解し、ゲル濾過HPLC(G2000SWXL TOSOH製)に供したところ、保持時間18〜20分にDプロテアーゼのピークが検出された。このピークは別途分子量マーカーとの比較によると分子量30kDa〜40kDaであることが推定された。
上記ゲル濾過HPLC用に溶解した試料に、従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加え3分間煮沸した。
こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図2〜図4に示したように、DEAEカラムで精製したDプロテアーゼについても、当該分子量バンドより分子量の小さい多数のバンドが検出された。このことは、SDS−PAGE法の過程においてDプロテアーゼが分解していることを示す。特に電気泳動の前処理に原因があると推察された。
参考例3(EDTA、金属、タンパク質変性剤の影響)
Dプロテアーゼはカルシウム、亜鉛を含む金属プロテアーゼの一種であるので、EDTA等の金属キレート剤及び亜鉛以外の重金属を用いて不活化することで、前処理中の分解が抑制されることを期待した。また、グアニジン、尿素、トリクロロ酢酸(TCA・pH4.8)などで、たんぱく質を即時に変性させることで、同様に自己による分解が抑制されることを期待した。
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この50μLに各濃度のEDTAあるいは、金属あるいは、タンパク質変性剤50μLを添加し、従来の試料の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加え3分間煮沸した。同様に煮沸しないものも作成した。
こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図5に示したように、煮沸した場合、EDTAや金属、タンパク変性剤等では、分解を抑制して本来の純度を反映させることはできなかった。従来法SDS−PAGEと同程度、又はそれ以上の不純物バンドが検出された。
ただ、煮沸しなかったEDTA10mMサンプルはDプロテアーゼのバンドが濃く、相対的に不純物バンドが少ない可能性が推察された。
参考例4(EDTAの効果)
EDTAの効果についてさらに検討した。市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この50μLに各濃度のEDTA50μLを添加し、従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた(煮沸は行なわなかった)。こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図6に示したように、5mM以上のEDTAにより不純物バンドの数は減少したが、別途EDTA添加時の残存プロテアーゼ活性を測定したところ、表1に示したようにプロテアーゼ活性を維持していることがわかった。それゆえ、EDTAでは、効果的に即座にプロテアーゼ活性を失活させて、本来の純度を反映させるということはできないことが示された。
(プロテアーゼ活性の測定方法)
プロテアーゼ活性測定は一般的なカゼイン分解法を用いて行った。すなわち、EDTA添加後の試料を50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)で適度に希釈し、これを1mL試験管にとり、3分間30度に保温した。これにあらかじめ30℃に保温した0.6%ミルクカゼイン溶液5mL加え、30℃で10分間反応した。沈殿試薬(トリクロル酢酸18g、酢酸ナトリウム18g、酢酸19.8gを水で1Lとしたもの)5mLを加えて、反応を停止し、しばらく30℃で沈殿を形成させた後、ろ紙を用いてろ過し、ろ液の275nmにおける吸光度を測定した。ブランクは、あらかじめ沈殿試薬で不活化した試料を用いた。
結果は、バッファー(EDTA未処理)の場合を100として相対値で示した。
実施例1(酸による前処理)
Dプロテアーゼは中性プロテアーゼであるので、試料処理時のpHを酸性にすることで、酵素反応が即時に不活化し、分解が抑制されることを期待した。
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この50μLに各濃度の硫酸50μLを添加し、従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた。また、同様に煮沸したサンプルも作成した。こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図7に示したように、0.05M硫酸添加サンプル(pH1.9)において煮沸したものは、Dプロテアーゼバンド(32kDa〜34kDa)以外に分解物バンドが観察された。一方、0.05M〜1.0M硫酸添加サンプル(pH0.7〜1.9)において煮沸しなかったものは、Dプロテアーゼ(32kDa〜34kDa)のバンドを示し、またDプロテアーゼより低分子(32kDa未満)に夾雑タンパク質と考えられる複数のバンドが観察された。0.01M硫酸添加サンプル(pH3.7)において煮沸しなかったものは、自己分解が起こったために、Dプロテアーゼのバンドが薄く、また、分解物のバンドが顕著に認められた。
すなわち、試料液を前処理として酸性にすることで、その酸性度合いによって分解に差が有ることがわかった。
さらに、この酸性条件においた後SDSを添加することにより、中性域でSDSを付加する場合に必要な煮沸作業を経ることなく、SDS化が進行することが見出された。
実施例2(酸の種類による影響)
使用する酸の種類による影響を確認した。市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この50μLに各種酸50μLを添加し、従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた。
こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図8に示したように、酢酸を除いて酸の種類を問わず、pH0.7〜2.0においてDプロテアーゼ(32kDa〜34kDa)のバンドを示し、またDプロテアーゼより低分子領域(32kDa未満)に夾雑タンパク質と考えられる複数のバンドが観察された。
実施例3(酸処理後pHを中性及びアルカリ性にして電気泳動する)
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。この試料0.5mLと等量の0.05M 硫酸を混和し、酸処理を施した(このときのpH1.7)。さらにこの試料に、pHを測定しながら0.1M 水酸化ナトリウムを徐々に加え、pHを中性及びアルカリ性に戻したものを調製した。
各pHの試料50μLに等量のサンプル処理液(25% グリセリン、5% SDS、BPB適量を含む)を加え、よく混和した後、各10μLをSDS−PAGE(15%ゲル)に供した。その結果、図9に示したように、酸処理後にpHを変化させても、電気泳動結果に違いは見られなかった。
実施例4(アルカリ処理(pH12付近))
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)をタンパク質が1mg/mLになるように蒸留水にて溶解した。この試料50μLと等量の水酸化ナトリウム溶液を混和し、アルカリ処理を施した。使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を変化させ、各pHを測定した。
各濃度の水酸化ナトリウム溶液で処理した試料に100μLのサンプル処理液(25% グリセリン、5% SDS、BPB適量を含む)を加え、よく混和した後、各10μLをSDS−PAGE(15%ゲル)に供した。その結果、図10に示すように、アルカリ処理を行っても、酸処理法と同様の電気泳動パターンが得られた。ただし、pH12以上の強アルカリの状態にしなかった場合、自己分解物と考えられる不純物バンドが多く見られた。
実施例5(TCA処理と硫酸処理の比較)
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)を5mg/mLになるように蒸留水にて溶解した。また、精製されたDプロテアーゼを5万PU/mL(およそ5mg/mL)になるように調製した。この試料0.05mLと等量の0.1Mトリクロロ酢酸(TCA)、0.05M 硫酸、それぞれを混和して酸処理を行った。この処理は、すべて氷上で冷却した状態で行った。
処理した各試料に0.1mLのサンプル処理液(25%グリセリン、5%SDS、BPB適量を含む)を加え、よく混和した後、各10μLをSDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図11に示すように、TCA処理法でも硫酸法でもバンドパターンは、ほぼ同様であった。
また、精製酵素の純度は98%程度、ディスパーゼIの純度は90%程度あることが示された。
実施例6(精製酵素の本発明法による分析)
市販ディスパーゼII(粗精製品)、市販ディスパーゼI(精製品)及び精製酵素(高度精製品)の溶液に対し、酸を加えた後、従来の試料処理液を加えるという本発明法の効果を確認した。
ディスパーゼI、II、及び精製酵素をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。試料50μLに0.05M硫酸50μLを加えて混合し、次いで従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた。比較のために0.05M硫酸の代わりに水50μLを加え混合し、次いで従来の試料前処理液100μLを加え、3分間煮沸したものも作成した。
こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図12に示すように本発明法による前処理を行なうことで、ディスパーゼIやディスパーゼIIに含まれるDプロテアーゼ及び不純物を明瞭に観察することができた。さらに精製酵素では不純物が減少していることを観察することができた。一方、従来法では、試料の精製度合いに関わらず、まったく本来の純度を反映する結果となっておらず、Dプロテアーゼのようなプロテアーゼの純度分析には適していないことが確認できた。
実施例7(精製酵素の本発明法による分析:キャピラリー電気泳動)
市販ディスパーゼI(合同酒精株式会社製)及び精製酵素をタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。
試料50μLに0.05M硫酸50μLを加えて混合し、この4μLにバイオラッドサンプル処理液(Experion プロ260 分析キット Biorad社製)2μL、水84μLを添加した。
比較のため試料50μLに水50μLを添加し撹拌後、この4μLにバイオラッドサンプル処理液2μL、水84μLを添加し煮沸した。また同様に煮沸しないサンプルも作成した。
こうして処理した試料をキャピラリー電気泳動(Experion 全自動チップ電気泳動装置BioRad社製)に供した。
その結果、図13に示したように、本発明法による前処理を行なうと、45〜50kDaに、Dプロテアーゼのバンドが示され、また本酵素より低分子領域に夾雑タンパク質と考えられるバンドが複数観察された。一方、本発明による前処理を行なわない場合は、50kDa以下に多数の分解物バンドが認められた。
本キャピラリー電気泳動法により精製酵素の純度は98%以上、ディスパーゼIの純度は80%であることが示された。
実施例8(精製酵素の純度分析)
精製されたDプロテアーゼの純度を定量化するために、段階希釈法による算出を試みた。不純物バンドを可視化するために、精製酵素10mg/mLを段階的に希釈したものを本発明の前処理後、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。比較としてディスパーゼIも同様に処理した。電気泳動後、不純物バンドが、Dプロテアーゼに対してどのくらい含まれているかを確認した。
その結果、図14から、精製酵素では、レーン(2)に認められる28kDa〜32kDaのバンドの濃さと、1/50希釈したレーン(8)の本酵素のバンドの濃さがほぼ一致したことから、今回得られた精製酵素中の28kDa〜32kDaのバンドは2%程度であることがわかった。
同様にディスパーゼIを分析すると、32kDa未満のバンドの総計は8〜12%程度混在していた。
実施例9(一般的なプロテアーゼの本発明による前処理後の分析)
本発明法が他のプロテアーゼへの応用が可能かを確かめるために、Dプロテアーゼ以外7種のプロテアーゼを本発明法で分析した。
7種のプロテアーゼをタンパク質が2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。試料50μLに0.05M硫酸50μLを加えて混合し、ついで従来の試料前処理液(25%グリセリン、2.5%SDS、0.125M トリス−塩酸緩衝液pH6.8、2−メルカプトエタノール2.5%及びブロムフェノールブルー適量を含む)100μLを加えた。
比較のために0.05M硫酸の代わりに水50μLを加え混合し、次いで従来法の試料処理液100μLを加え、3分間煮沸したものも作成した。
こうして処理した試料を10μLずつ、SDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
その結果、図15に示したように、本発明の酸を用いた前処理により、酸性プロテアーゼであるペプシンを除き、プロテアーゼの種類(活性中心の違い)に関わらず、SDS−PAGE上のプロテアーゼのバンドは濃く、そのレーンに含まれる他のバンドの数及び量が減少した。このことは、本発明法の前処理法によって、プロテアーゼが、従来の前処理中において自己分解を引き起こすことや、共存するタンパク質を分解することが、抑制されていることを示す。
実施例10(Dプロテアーゼの性質の確認)
Dプロテアーゼの至適pH、pH安定性、至適温度を測定した。また、SDS−PAGEの結果から分子量を推定した。
i)至適pH(特許文献1:pH8.5)
市販ディスパーゼIを各pHに調整したバッファーで50PU/mLとなるように希釈し、基質は各pHに調製したバッファーで0.6%ミルクカゼインを調製し各pHにおけるプロテアーゼ分解活性を測定した。別途基質及び酵素を混合し、反応時のpHを確認した。
尚、pH5.5、6.5は50mMメス−2mM酢酸カルシウムバッファーを、pH7.5、8.5は50mMトリス−2mM酢酸Caバッファーを、pH9.5、10.5、11.0は50mMチャップス−2mM酢酸カルシウムバッファーを用いた。
その結果、D−プロテアーゼの至適pHは7.0〜8.0であった(図16)。
ii)pH安定性(特許文献1:pH4〜9)
市販ディスパーゼIを各pHに調整したバッファーで6500PU/mLとなるように希釈し、4、37、45、50、55、60℃の各温度で1時間保持した。それぞれを、50mM Tris−2mM酢酸カルシウムバッファー(pH7.5)で50PU/mLとなるように希釈し、プロテアーゼ活性(pH7.5)を測定した。
尚、pH5.5、6.5は50mM MES−2mM酢酸カルシウムバッファーを、pH7.5、8.5は50mM Tris−2mM酢酸Caバッファーを、pH9.5、10.5、11.0は50mM CAPS、2mM酢酸カルシウムバッファーを用いた。
その結果、D−プロテアーゼはpH5.5〜9.0で安定であった(図17)。
iii)至適温度(特許文献1:60℃)
市販ディスパーゼIを50mM Tris−2mM酢酸カルシウムバッファー(pH7.5)で50PU/mLとなるように希釈し、30、40、50、55、60℃の各温度でプロテアーゼ活性(pH7.5)を測定した。
その結果、D−プロテアーゼの至適温度は55℃であった(図18)。
iv)分子量の測定(特許文献1:超遠心法により35,900Da)
市販ディスパーゼIを2mg/mLになるように50mMトリス−2mM酢酸カルシウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。その試料50μLに0.05M硫酸50μLを加え混合した。そこに等量のサンプル処理液(25% グリセリン、5% SDS、BPB適量を含む)を加え、よく混和した後、各10μLをSDS−PAGE(15%ゲル)に供した。
電気泳動後、Dプロテアーゼのバンドとマーカータンパク分子のバンドの移動度(RF値)から、Dプロテアーゼの分子量を推定した結果32〜34kDaと示された(図19)。

Claims (9)

  1. 被分析対象プロテアーゼを含有する試料を、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件にした後、当該試料を電気泳動に付すことを特徴とする、プロテアーゼ含有試料の電気泳動分析方法。
  2. 前記プロテアーゼが速やかに失活するpH条件が、当該プロテアーゼの至適pHから3以上離れたpH条件である請求項1記載の分析方法。
  3. 前記プロテアーゼが中性プロテアーゼの場合、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件がpH0.1〜3又はpH11〜14であり;前記プロテアーゼが酸性プロテアーゼの場合、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件がpH10〜14であり;前記プロテアーゼがアルカリプロテアーゼの場合、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件が0.1〜4である請求項1又は2記載の分析方法。
  4. 前記プロテアーゼが中性金属プロテアーゼであり、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件がpH0.7〜2.0又は12〜14である請求項1〜3のいずれか1項記載の分析方法。
  5. プロテアーゼの純度を分析するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の分析方法。
  6. 電気泳動が、SDS−PAGE又はキャピラリー電気泳動である請求項1〜5のいずれか1項記載の分析方法。
  7. 前記プロテアーゼが、(1)ペニバチルス属に属する細菌により産生され、(2)中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンを分解し、(3)至適pHは7.0〜8.0であり、pH5.5〜9.0で安定であり、(4)20〜75℃で作用し、至適温度が55℃であり、(5)電気泳動法による分子量が32,000〜34,000Daと推定されるプロテアーゼであり、当該プロテアーゼが速やかに失活するpH条件がpH0.7〜2.0又は12〜14である請求項1〜6のいずれか1項記載の分析方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の分析方法により92%以上の純度を有することが確認された、(1)ペニバチルス属に属する細菌により産生され、(2)中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンを分解し、(3)至適pHは7.0〜8.0であり、pH5.5〜9.0で安定であり、(4)20〜75℃で作用し、至適温度が55℃であり、(5)電気泳動法による分子量が32,000〜34,000Daと推定されるプロテアーゼ。
  9. 純度が95%以上である請求項8記載のプロテアーゼ。
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