JPWO2011046092A1 - リチウム二次電池及びそれに用いられる非水電解液 - Google Patents
リチウム二次電池及びそれに用いられる非水電解液Info
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Abstract
Description
なお、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
リチウム二次電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩と非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が使用されている。
また、負極としてはリチウムを吸蔵・放出することが可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
上記の現象は、LiCoO2のようなニッケル、マンガン、鉄の何れの金属元素も含まない正極を使用した場合にはそれ程大きな問題ではなかった。また、電池が高温状態に長い間晒された後に顕著に起こりやすいことから、電池が高温下で保管されると、正極活物質からの金属イオンの溶出や負極上での溶媒の還元分解が促進されるためであると考えられる。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、上記構成のリチウム二次電池において、非水電解液に、少なくとも二種類の芳香族化合物の組み合わせること、具体的には、シクロヘキサン環を有する芳香族化合物である1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンと、シクロヘキサン環を有さないビフェニル誘導体及びアルキルフェノール誘導体から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物とを、それぞれを0.1〜5質量%の濃度で含有させることにより、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率を大幅に向上できることを見出し、本発明を完成した。
(1)ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池であって、該非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
(2)ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池用の非水電解液であって、非水溶媒に電解質が溶解されている非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されている非水電解液であって、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有する。
本願発明のリチウム二次電池が、高温に晒された後の低温サイクル後の回復率を大幅に改善できる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
つまり、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンは、リチウムに対して約4.3Vの酸化電位を有しており、4.1V以下の充電終止電圧で使用する場合であっても極微量に正極上で酸化され、プロトンの生成を促進することができるので、プロトンの還元により負極上のLi金属の析出が抑制される長所がある。その反面、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを単独で使用した場合には、ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物からなる正極活物質をプロトンにより腐食させ、正極中の金属イオンの溶出が促進されるため、正極の抵抗が増加したり、金属イオンの負極上への析出により負極の抵抗が増加して、低温サイクル後の回復率が低下する問題点があった。
しかしながら、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンと併用することにより、正極表面は保護され、正極からの金属溶出が起きなくなるという、単独にそれぞれの芳香族化合物を利用した場合には得られない特異的な効果が生じることが判明し、本発明に至った。
置換基Xとしては、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニルオキシ基が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニルオキシ基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニルオキシ基が更に好ましい。
置換基Xである炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
置換基Xである炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基等が挙げられる。これらの中でも、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基が好ましく、メタンスルホニル基が特に好ましい。
また、前記アルカンスルホニル基の水素原子は1つ以上フッ素原子で置換されていてもよい。具体的には、トリフルオロメタンスルホニル基やトリフルオロエタンスルホニル基が好ましい。
式(II)において、置換基Yとしては、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニル基がより好ましい。また、nは2が好ましい。
また、置換基−OYに対する、置換基R1の置換位置は、オルト位とパラ位が好ましい。
これらの中でも、tert−アルキル基(この場合、式(II)の化合物はtert−アルキルフェノール誘導体である)がより好ましく、tert−ブチル基、tert−ペンチル基が特に好ましい。
置換基Yである炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルカンスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基等が挙げられる。これらの中でも、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基が好ましく、メタンスルホニル基が特に好ましい。
また、前記アルカンスルホニル基の水素原子は1つ以上フッ素原子で置換されていてもよい。具体的には、トリフルオロメタンスルホニル基やトリフルオロエタンスルホニル基が好ましい。
置換基Yである炭素数2〜6の直鎖又は分枝のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等が挙げられる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基が好ましく、アセチル基が特に好ましい。
置換基Yである炭素数2〜6の直鎖又は分枝のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。
ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体の含有量は、5質量%を超えると、正極上で過度に酸化分解され正極の抵抗が大きくなる場合があり、また、0.1質量%に満たないと電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率を改善する効果が十分に得られない場合がある。したがって、該化合物の含有量の下限は、非水電解液の質量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.7質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が最も好ましい。また、その上限は5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの含有量に対するビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体の含有量の比は、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの酸化分解が過度に抑制されないようにした方が電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率を改善する効果が高くなることから、下限は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。また、その上限は、1以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル、アミド、リン酸エステル、スルホン、ラクトン、ニトリル、S=O結合含有化合物、無水カルボン酸、芳香族化合物等が挙げられる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等が挙げられる。これらの中でも、炭素−炭素二重結合又はフッ素原子を含有する環状カーボネートを少なくとも1種を使用すると電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が一段と向上するので好ましく、炭素−炭素二重結合を含む環状カーボネートとフッ素原子を含有する環状カーボネートを両方含むことが特に好ましい。炭素−炭素二重結合を含有する環状カーボネートとしては、VC、VEC、フッ素原子を含有する環状カーボネートとしては、FEC、DFECが好ましい。
これらの溶媒は1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用した場合は、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率がさらに向上するので好ましく、3種類以上が特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとVC、PCとVC、FECとVC、FECとEC、FECとPC、FECとDFEC、DFECとEC、DFECとPC、DFECとVC、DFECとVEC、ECとPCとVC、ECとFECとPC、ECとFECとVC、ECとVCとVEC、FECとPCとVC、DFECとECとVC、DFECとPCとVC、FECとECとPCとVC、DFECとECとPCとVC等が挙げられる。前記の組合せのうち、より好ましくはECとVC、FECとPC、DFECとPC、ECとFECとPC、ECとFECとVC、ECとVCとVEC等の組合せが挙げられる。
環状カーボネートの含有量は、特に制限はされないが、非水溶媒の総容量に対して、10〜40容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が10容量%未満であると電解液の電気伝導度が低下し、電池の内部抵抗が増加する傾向があり、40容量%を超えると電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が低下する場合があるので上記範囲であることが好ましい。
これらの中でも、メチル基を有する鎖状カーボネートを含むことが好ましく、DMC、MEC、MPC、MIPCのうちの少なくとも1種を含むことが更に好ましく、DMC、MECのうちの少なくとも1種を含むことが特に好ましい。更には非対称鎖状カーボネートを含むことが好ましく、非対称鎖状カーボネートと対称鎖状カーボネートを併用することがより好ましい。また、鎖状カーボネートに含まれる非対称鎖状カーボネートの割合が50容量%以上であることが好ましい。
これらの鎖状カーボネートは1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。
上記の鎖状カーボネートの組合せや組成の範囲であると、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が向上する傾向があるので好ましい。
鎖状カーボネートの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総容量に対して、60〜90容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が60容量%未満であると電解液の粘度が上昇し、90容量%を超えると電解液の電気伝導度が低下し、サイクル特性等の電池特性が低下する場合があるので上記範囲であることが好ましい。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率の向上の観点から、環状カーボネート:鎖状カーボネート(容量比)が10:90〜40:60が好ましく、15:85〜35:65がより好ましく、20:80〜30:70が特に好ましい。
これらの中でも、少なくとも環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せた非水溶媒を用いると、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率を向上するために好ましい。より具体的には、EC、PC、VC、VEC、FEC、DFECから選ばれる1種以上の環状カーボネートと、DMC、MEC、DECから選ばれる1種以上の鎖状カーボネートとの組合せが好ましい。
本発明に使用される電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2等のLi塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が好ましい。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2C2F5)2から選ばれる少なくとも1種である。これらの電解質塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が最も好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が更に好ましく、1.2M以下が最も好ましい。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩、及び該非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%、更にビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有させるように添加して調製することができる。
この際、用いる非水溶媒、及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液には、例えば、空気や二酸化炭素を含ませることができる。
非水電解液中に空気又は二酸化炭素を含有(溶解)させる方法としては、(1)予め非水電解液を電池内に注液する前に空気又は二酸化炭素含有ガスと接触させて含有させる方法、(2)注液後、電池封口前又は後に空気又は二酸化炭素含有ガスを電池内に含有させる方法等を採用することができる。
空気又は二酸化炭素含有ガスは、極力水分を含まないものが好ましく、露点−40℃以下であることが好ましく、露点−50℃以下であることがより好ましい。
本発明においては、非水電解液中に二酸化炭素を溶解させた電解液を用いることが特に好ましい。二酸化炭素の溶解量の下限は、非水電解液の重量に対して0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、その上限は、0.5重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池であって、該非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有することを特徴とする。
リチウム含有金属酸化物としては、ニッケル及びマンガンの少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有遷移金属化合物、又はニッケル、マンガン、鉄の少なくとも1種の金属元素を含むオリビン型リン酸リチウムが好ましい。中でもニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むオリビン型リン酸リチウムの場合に、一段と電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が向上するので更に好ましい。
例えば、ニッケル及びマンガンの少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有遷移金属化合物としては、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1-xNixO2(0.5<x<1)、LiCoxNiyMnzO2(x+y+z=1、0≦x<0.5)、LiNiXMn2-xO4(0.1<x<0.6)等が好ましい。
ニッケル及びマンガンの少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有遷移金属化合物の一部が他元素で置換されていると電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が向上するので好ましい。例えば、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物を被覆することもできる。マンガン、ニッケルの一部を他の元素で置換する割合としては、リチウム以外の全金属元素中の0.01モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましく、その上限は、5モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましい。Oの一部をSやFで置換する割合としては、酸素に対する割合として、0.01モル%以上が好ましく、0.02モル%以上がより好ましく、その上限は、1モル%以下が好ましく、0.5モル%以下がより好ましい。
また、LiMn2O4とLiNiO2LiMn2O4とLiCoxNiyMnzO2(x+y+z=1、0≦x<0.5)のように併用してもよい。
ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むオリビン型リン酸リチウムとしては、LiFePO4、LiNiPO4、LiMnPO4、LiFe1-xMnxPO4(0.1<x<0.9)等が好ましい。これらの中では、LiFePO4又はLiMnPO4がより好ましく、LiFePO4が特に好ましい。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、ニッケル、マンガン、及び鉄の一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。
ニッケル、マンガン、及び鉄の一部を他の元素で置換する割合としては、リチウム以外の全金属元素中の0.01モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましく、その上限は、5モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましい。Oの一部をSやFで置換する割合としては、酸素に対する割合として、0.01モル%以上が好ましく、0.02モル%以上がより好ましく、その上限は、1モル%以下が好ましく、0.5モル%以下がより好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは3g/cm3以上であり、特に好ましくは3.6g/cm3以上である。なお、上限としては、4g/cm3以下が好ましい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料としては、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などが好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると、正極から溶出した金属イオンが黒鉛粒子表面のLiイオンの吸蔵及び放出サイトを塞いで電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が低下しやすくなるが、本願発明の電解液を使用すると、上記の効果が一段と向上するので好ましく、0.05以上となることが更に好ましく、0.1以上となることが特に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下が更に好ましい。
また、高結晶性の炭素材料は低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が良好となるので好ましい。高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応しやすく、負極上にリチウム金属が析出しやすくなるため、電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率が低下する傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では上記の特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。
リチウム二次電池の構造には特に限定はなく、単層又は複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート式電池等を適用できる。
本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧は4.2V以下が好ましく、特に4.1V以下の場合に電池が高温に晒された後の低温サイクル後の回復率に優れている。放電終止電圧は、2.5V以上、さらに2.8V以上とすることができる。電流値については特に限定されないが、0.1〜20Cの放電電流で使用される。また、本発明におけるリチウム二次電池は、−40〜100℃、好ましくは0〜80℃で充放電することができる。
本発明においては、リチウム二次電池の内圧上昇の対策として、電池蓋に安全弁を設けたり、電池缶やガスケット等の部材に切り込みを入れる方法も採用することができる。また、過充電防止の安全対策として、電池の内圧を感知して電流を遮断する電流遮断機構を電池蓋に設けることができる。
実施例1〜18、比較例1〜3
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(正極活物質);94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、低結晶性の炭素材料によって被膜された人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、I(110)/I(004)は0.1であった。そして、正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液に0.4重量%の二酸化炭素を溶解させたものを加えて、2032型コイン電池を作製した。
(1)初期の放電容量
上記の方法で作製した電池を用いて、25℃の恒温槽中、1Cの定電流で4.1V(充電終止電圧)まで充電した後、4.1Vの定電圧で2.5時間充電し、1Cの定電流下2.75V(放電終止電圧)まで放電して、初期の放電容量を求めた。
(2)高温貯蔵試験
次に、25℃の恒温槽中、1Cの定電流で4.1Vまで充電した後、4.1Vの定電圧で2.5時間充電し、次に80℃の恒温槽中、開回路の状態で1日放置した。
(3)低温サイクル試験
更に、0℃の恒温槽中、1Cの定電流で4.1Vまで充電した後、4.1Vの定電圧で2.5時間充電し、1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。これを50サイクルに達するまで繰り返した。
(4)低温サイクル試験後の放電容量回復率
最後に、25℃の恒温槽中、1Cの定電流で4.1Vまで充電した後、4.1Vの定電圧で2.5時間充電し、1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電して、低温サイクル試験後の放電容量を求めた。
そして、以下の式により低温サイクル試験後の放電容量回復率(%)を求めた。
低温サイクル試験後の放電容量回復率(%)=(低温サイクル試験後の放電容量/初期の放電容量)×100
電池の作製条件及び電池特性を表1に示す。
実施例6及び11、比較例1で用いた正極活物質に変えて、LiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。LiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜いて正極シートを作製したこと、充電終止電圧を4.0V、放電終止電圧を2.0Vとした他は、実施例6及び11、比較例1と同様にしてコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例19及び20と比較例4の対比から、正極がリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩等の鉄を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として用いた場合にも同様な効果がみられた。従って、本発明の効果は、ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極を有するリチウム二次電池に共通の効果であることは明らかである。
Claims (10)
- ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池であって、該非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記ビフェニル誘導体が、ビフェニル、オルトターフェニル、4−メチルビフェニル、4−エチルビフェニル、4−tert−ブチルビフェニル、4−メトキシビフェニル、及び4−(メチルスルホニルオキシ)ビフェニルから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のリチウム二次電池。
- 前記アルキルフェノール誘導体が、4−tert−ブチルアニソール、4−tert−ペンチルアニソール、2,4−ジ−tert−ブチルアニソール、2,6−ジ−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルフェニルメタンスルホネート、4−tert−ペンチルフェニルメタンスルホネート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルメタンスルホネート、及び2,6−ジ−tert−ブチルフェニルメタンスルホネートから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの含有量に対するビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体の含有量の比が0.1〜1である請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記リチウム含有金属酸化物が、ニッケル及びマンガンを少なくとも含むリチウム含有遷移金属化合物、又はニッケル、マンガン及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むオリビン型リン酸リチウムである請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記炭素材料が、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01〜0.5となる人造黒鉛又は天然黒鉛である請求項1に記載のリチウム二次電池。
- ニッケル、マンガン、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むリチウム含有金属酸化物を正極活物質として含む正極、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を負極活物質として含む負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池用の非水電解液であって、非水溶媒に電解質が溶解されている非水電解液中に、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを0.1〜5質量%と、ビフェニル誘導体及び/又はアルキルフェノール誘導体を0.1〜5質量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
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