JPWO2011039875A1 - すずめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Ni−Si系合金すずめっき条 - Google Patents
すずめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Ni−Si系合金すずめっき条 Download PDFInfo
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Abstract
すずめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Ni−Si系合金すずめっき条。1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%に対し1/6〜1/4のSiを含有し、さらにZnと必要に応じてSn、Mg、Co、Ag、Cr及びMnの群から選ばれた少なくとも一種とを合計で2.0質量%以下含有し、残部が銅および不可避的不純物から構成される銅合金すずめっき条であり、銅合金とその直上のめっき相との界面に、Si濃度が銅合金組成のSi濃度の100%未満であるSi欠乏層を有し、該Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の90%以上であるCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
Description
本発明は、コネクタ、端子、リレー、スイッチ等の導電性ばね材として好適な、良好な耐熱剥離性を有するCu−Ni−Si系合金すずめっき条に関する。
従来、コネクタ、端子等の電子材料用銅合金には、りん青銅や黄銅に代表される固溶強化型銅合金が使用されていた。しかし、近年、端子、コネクタ等の小型化が進むにつれて、従来の固溶強化型銅合金に替わり、より高強度、高電気伝導性をもつ析出硬化型銅合金の使用量が増加している。析出硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し、電気伝導性が向上する。このため、析出硬化型銅合金は強度、電気伝導性に優れている。
析出硬化型銅合金の代表的なものにCu−Ni−Si系合金があり、電子材料用銅合金として実用化されている。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子が析出することにより強度と導電率が上昇する。Cu−Ni−Si系合金の一般的な製造プロセスは、通常の析出硬化型銅合金と同様に、まず大気溶解を行い、所望の組成のインゴットを鋳造する。その後、熱間圧延、冷間圧延および時効熱処理を行い、所望の厚みおよび特性を有する条や箔に仕上げる。
析出硬化型銅合金の代表的なものにCu−Ni−Si系合金があり、電子材料用銅合金として実用化されている。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子が析出することにより強度と導電率が上昇する。Cu−Ni−Si系合金の一般的な製造プロセスは、通常の析出硬化型銅合金と同様に、まず大気溶解を行い、所望の組成のインゴットを鋳造する。その後、熱間圧延、冷間圧延および時効熱処理を行い、所望の厚みおよび特性を有する条や箔に仕上げる。
上記で製造されるCu−Ni−Si系合金条等にSnめっきを施して得られるCu−Ni−Si系合金Snめっき条は、Snの優れた半田濡れ性および電気接続性を生かし、自動車および民生用のコネクタ、端子等として使われている。そのため、Cu−Ni−Si系合金Snめっき条には、優れた強度、高電気・熱伝導性に加え、すずめっきの耐熱剥離性等にも優れた特性が要求される。
Cu−Ni−Si系合金のSnめっき条は、一般的に、連続めっきラインにおいて、脱脂および酸洗後、電気めっき法により下地めっきを施し、次に電気めっき法によりSnめっきを施し、最後にリフロー処理を施し、Snめっき層を溶融させる工程で製造される。
Cu−Ni−Si系合金Snめっき条の下地めっきとしては、Cu下地めっきが一般的であり、耐熱性が求められる用途に対してはCu/Ni二層下地めっきが施されることもある。ここで、Cu/Ni二層下地めっきとは、Ni下地めっき、Cu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行った後にリフロー処理を行ったものである。この技術は特許文献1〜3(特開平6−196349、特開2003−293187、特開2004−68026号公報)等に開示されている。
Cu−Ni−Si系合金のSnめっき条は、一般的に、連続めっきラインにおいて、脱脂および酸洗後、電気めっき法により下地めっきを施し、次に電気めっき法によりSnめっきを施し、最後にリフロー処理を施し、Snめっき層を溶融させる工程で製造される。
Cu−Ni−Si系合金Snめっき条の下地めっきとしては、Cu下地めっきが一般的であり、耐熱性が求められる用途に対してはCu/Ni二層下地めっきが施されることもある。ここで、Cu/Ni二層下地めっきとは、Ni下地めっき、Cu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行った後にリフロー処理を行ったものである。この技術は特許文献1〜3(特開平6−196349、特開2003−293187、特開2004−68026号公報)等に開示されている。
また、めっき剥離性に関して、特許文献4(特開平9−209062号公報)では、半田濡れ性およびAgめっきの耐加熱膨れ性を改善するためにSiの酸化物の大きさを限定している。さらに、特許文献5(特開2007−39789号公報)には、めっきと母材との界面のSi濃度を抑えることが有効であると記載されている。
しかしながら、特許文献1〜3のCu−Ni−Si系合金のSnめっき条は、高温で長時間保持した際、めっき層が母材より剥離するという問題がある。
又、上記特許文献4はSnめっきではなくAgめっきに関するものであり経済的に好ましくなく、耐加熱膨れ性を改善するために同文献で採用されているSiの酸化物の大きさの限定をそのままSnめっきへ適用してもめっき成分が異なるため優れた効果は望めない。
また、特許文献5には、良好な耐熱剥離性を得るために、めっきと母材との界面のSi濃度を抑えることが有効であることは記載されているが、耐熱剥離性を促進させる他の元素の濃度についての記載は無い。
そこで、本発明者らは、上記従来技術とは全く別の観点から、Cu−Ni−Si系合金すずめっき条の耐熱剥離性の改善を行った。
又、上記特許文献4はSnめっきではなくAgめっきに関するものであり経済的に好ましくなく、耐加熱膨れ性を改善するために同文献で採用されているSiの酸化物の大きさの限定をそのままSnめっきへ適用してもめっき成分が異なるため優れた効果は望めない。
また、特許文献5には、良好な耐熱剥離性を得るために、めっきと母材との界面のSi濃度を抑えることが有効であることは記載されているが、耐熱剥離性を促進させる他の元素の濃度についての記載は無い。
そこで、本発明者らは、上記従来技術とは全く別の観点から、Cu−Ni−Si系合金すずめっき条の耐熱剥離性の改善を行った。
本発明者らは、リフロー処理を行ったCu−Ni−Si系合金Snめっき条の母材とその直上のめっき層との界面のSi濃度及びZn濃度に着目し、界面Si濃度及びZn濃度と、めっきの耐熱剥離性との関係を調査して下記知見を得た。
Cu−Ni−Si系合金は前述したように、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細なNi−Si化合物粒子が析出して強度上昇に寄与する。しかし、固溶Si全てがNi−Si化合物として析出するわけではなく、一部はCuマトリックス中に固溶して残存する。この残存した固溶Siは当然めっき後も残存しており、めっき後に母材とめっき相との界面へ移動して界面でSi濃化層を生成する。この母材/めっき相界面に生成するSi濃化層は、めっき剥離の原因となる。従って、良好なめっきの耐熱剥離性を得るためには、リフロー処理後の母材とめっき相との界面下のSi濃度の上昇を防止する必要がある。
Cu−Ni−Si系合金は前述したように、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細なNi−Si化合物粒子が析出して強度上昇に寄与する。しかし、固溶Si全てがNi−Si化合物として析出するわけではなく、一部はCuマトリックス中に固溶して残存する。この残存した固溶Siは当然めっき後も残存しており、めっき後に母材とめっき相との界面へ移動して界面でSi濃化層を生成する。この母材/めっき相界面に生成するSi濃化層は、めっき剥離の原因となる。従って、良好なめっきの耐熱剥離性を得るためには、リフロー処理後の母材とめっき相との界面下のSi濃度の上昇を防止する必要がある。
従来、時効処理は表面酸化を防止するべく還元雰囲気下で行われ、時効後の母材表面に少量生成されるCu及び/又はSi酸化物を酸洗等で除去してからめっきが行われていた。しかし還元雰囲気下で時効を行い、かつ酸洗後にめっきを行っても、長時間又は加熱条件下では容易に界面直下にSi濃化層が形成されてしまいめっき剥離が促進される。
本発明者は、めっき処理前の母材合金表面に厚いSi濃化層を比較的短時間で形成するとSi濃化層の下側にSi欠乏層が形成される(図1参照)ことに着目し、本発明を完成させた。即ち、所定の条件で母材表面に作為的に厚いSi濃化層を形成後、そのSi濃化層の大部分を除去してからめっきすると、母材とめっき相の界面下はSi欠乏状態となり、長期保存後及び/又は加熱条件下でも母材/めっき相界面下のSi濃化層の形成が防止できるため、耐熱剥離性に優れためっき条を製造することができる。また、めっきと母材との界面におけるZnの存在がめっきの耐熱剥離性に有効であるため、上記Si欠乏層におけるZn濃度を規定することによってさらに耐熱剥離性に優れためっき条を製造することができる。
このように、本発明は、Snめっきの耐熱剥離性を改善するために、銅母材/めっき相界面下のSi濃度及びZn濃度に着目して成されたものであり、下記めっき条を提供する。
本発明者は、めっき処理前の母材合金表面に厚いSi濃化層を比較的短時間で形成するとSi濃化層の下側にSi欠乏層が形成される(図1参照)ことに着目し、本発明を完成させた。即ち、所定の条件で母材表面に作為的に厚いSi濃化層を形成後、そのSi濃化層の大部分を除去してからめっきすると、母材とめっき相の界面下はSi欠乏状態となり、長期保存後及び/又は加熱条件下でも母材/めっき相界面下のSi濃化層の形成が防止できるため、耐熱剥離性に優れためっき条を製造することができる。また、めっきと母材との界面におけるZnの存在がめっきの耐熱剥離性に有効であるため、上記Si欠乏層におけるZn濃度を規定することによってさらに耐熱剥離性に優れためっき条を製造することができる。
このように、本発明は、Snめっきの耐熱剥離性を改善するために、銅母材/めっき相界面下のSi濃度及びZn濃度に着目して成されたものであり、下記めっき条を提供する。
(1)1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%に対し1/6〜1/4のSiを含有し、さらにZnと必要に応じてSn、Mg、Co、Ag、Cr及びMnの群から選ばれた少なくとも一種とを合計で2.0質量%以下含有し、残部が銅および不可避的不純物から構成される銅合金すずめっき条であり、銅合金とその直上のめっき相との界面に、Si濃度が銅合金組成のSi濃度の100%未満であるSi欠乏層を有し、該Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の90%以上であることを特徴とするCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
(2)前記Si欠乏層のSi濃度が銅合金組成のSi濃度の95%以下であることを特徴とする(1)のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
(3)前記Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の95%以上であることを特徴とする(1)又は(2)のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
(2)前記Si欠乏層のSi濃度が銅合金組成のSi濃度の95%以下であることを特徴とする(1)のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
(3)前記Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の95%以上であることを特徴とする(1)又は(2)のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
すずめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Ni−Si系合金すずめっき条を提供する。
(1)母材の成分
NiおよびSiは、時効処理を行うことによりCuマトリックス中にNiとSiの化合物粒子が析出し、高い強度と導電率が得られる。
Niは1.0〜4.5質量%の範囲で添加する。Niが1.0を下回ると充分な強度が得られない。Niが4.5質量%を超えると、鋳造や熱間圧延で割れが発生する。
Siの添加濃度(質量%)は、Niの添加濃度(質量%)の1/6〜1/4、好ましくは1/5〜1/4の範囲とする。Siがこの範囲から外れると、導電率が低下する。特に、Siの添加量がNiの1/4を超えると、固溶Siが増え、銅合金とめっき相の界面のSi濃度が高くなり、銅合金とその直上のめっき相との界面にSi濃化処理に伴うSi欠乏層が形成されなくなり、耐熱剥離性が低下する。
なお、本発明において「Si欠乏層」とは、銅合金組成のSi濃度よりも連続的に低い部分をいい、具体的にはSi濃度が銅合金組成のSi濃度の100%未満である部分、特に95%以下の部分をいう。
また、母材には、耐熱剥離性や強度等の特性を改善するために、Znと必要に応じてSn、Mg、Co、Ag、Cr及びMnの群から選ばれた少なくとも一種とを含有している。これらは添加量が増えると導電率が低下するため合計で2.0質量%以下含まれている。
NiおよびSiは、時効処理を行うことによりCuマトリックス中にNiとSiの化合物粒子が析出し、高い強度と導電率が得られる。
Niは1.0〜4.5質量%の範囲で添加する。Niが1.0を下回ると充分な強度が得られない。Niが4.5質量%を超えると、鋳造や熱間圧延で割れが発生する。
Siの添加濃度(質量%)は、Niの添加濃度(質量%)の1/6〜1/4、好ましくは1/5〜1/4の範囲とする。Siがこの範囲から外れると、導電率が低下する。特に、Siの添加量がNiの1/4を超えると、固溶Siが増え、銅合金とめっき相の界面のSi濃度が高くなり、銅合金とその直上のめっき相との界面にSi濃化処理に伴うSi欠乏層が形成されなくなり、耐熱剥離性が低下する。
なお、本発明において「Si欠乏層」とは、銅合金組成のSi濃度よりも連続的に低い部分をいい、具体的にはSi濃度が銅合金組成のSi濃度の100%未満である部分、特に95%以下の部分をいう。
また、母材には、耐熱剥離性や強度等の特性を改善するために、Znと必要に応じてSn、Mg、Co、Ag、Cr及びMnの群から選ばれた少なくとも一種とを含有している。これらは添加量が増えると導電率が低下するため合計で2.0質量%以下含まれている。
(2)母材とめっき相の界面のSi及びZn濃度
本発明においては、「銅合金とめっき相の界面」とは、GDS(グロー放電発行分光分析装置)により、リフロー後のSnめっき条のSn、Cu、Ni、Siの深さ方向の濃度プロファイルから下記のように求められる。
(ア)Cu下地でCuめっき層が残存している場合、Cuの濃度プロファイルにおいて、Cu濃度が、母材のCu濃度とCuの濃度プロファイルの最大値の中間になる位置を界面とする。
(イ)Cu下地でCuめっき層が残存していない場合、母材直上のめっき層はCu6Sn5である。従って、Cuの濃度プロファイルにおいて、Cu濃度が、母材のCu濃度とCu6Sn5のCu濃度(39.1wt%)の中間になる位置を界面とする。
(ウ)Cu/Ni下地の場合、Niの濃度プロファイルにおいて、Ni濃度が、母材のNi濃度とNiの濃度プロファイルの最大値の中間になる位置を界面とする。
本発明においては、「銅合金とめっき相の界面のSi濃度」とは、上記界面から0.5μmの深さの範囲内におけるSi濃度の最大値を指す。優れたすずめっきの耐熱剥離性を得るためには、この最大値が、つまり、銅合金とめっき相の界面のSi濃度が、銅合金組成のSi濃度の100%未満でなければならない。100%以上であると、長期保存後及び/又は加熱条件下でめっき剥離が発生するおそれがある。
また、本発明においては、「銅合金とめっき相の界面の(Si欠乏層における)Zn濃度」とは、上記界面から0.5μmの深さの範囲内におけるZn濃度の最大値を指す。Znはめっきと母材との界面において、めっきの良好な耐熱剥離性に寄与する。このため、優れたすずめっきの耐熱剥離性を得るためには、この最大値が、つまり、銅合金とめっき相の界面のZn濃度が、銅合金組成のZn濃度の90%以上、好ましくは95%以上であることが重要である。
本発明においては、「銅合金とめっき相の界面」とは、GDS(グロー放電発行分光分析装置)により、リフロー後のSnめっき条のSn、Cu、Ni、Siの深さ方向の濃度プロファイルから下記のように求められる。
(ア)Cu下地でCuめっき層が残存している場合、Cuの濃度プロファイルにおいて、Cu濃度が、母材のCu濃度とCuの濃度プロファイルの最大値の中間になる位置を界面とする。
(イ)Cu下地でCuめっき層が残存していない場合、母材直上のめっき層はCu6Sn5である。従って、Cuの濃度プロファイルにおいて、Cu濃度が、母材のCu濃度とCu6Sn5のCu濃度(39.1wt%)の中間になる位置を界面とする。
(ウ)Cu/Ni下地の場合、Niの濃度プロファイルにおいて、Ni濃度が、母材のNi濃度とNiの濃度プロファイルの最大値の中間になる位置を界面とする。
本発明においては、「銅合金とめっき相の界面のSi濃度」とは、上記界面から0.5μmの深さの範囲内におけるSi濃度の最大値を指す。優れたすずめっきの耐熱剥離性を得るためには、この最大値が、つまり、銅合金とめっき相の界面のSi濃度が、銅合金組成のSi濃度の100%未満でなければならない。100%以上であると、長期保存後及び/又は加熱条件下でめっき剥離が発生するおそれがある。
また、本発明においては、「銅合金とめっき相の界面の(Si欠乏層における)Zn濃度」とは、上記界面から0.5μmの深さの範囲内におけるZn濃度の最大値を指す。Znはめっきと母材との界面において、めっきの良好な耐熱剥離性に寄与する。このため、優れたすずめっきの耐熱剥離性を得るためには、この最大値が、つまり、銅合金とめっき相の界面のZn濃度が、銅合金組成のZn濃度の90%以上、好ましくは95%以上であることが重要である。
本発明のCu−Ni−Si系合金は、例えば「溶解、鋳造→均質化→熱間圧延→冷間圧延1→溶体化→冷間圧延2→時効」を適宜変更調整して製造される。本発明の合金すずめっき条の製造では、母材表面に作為的に厚いSi濃化層を形成し、同時にSi欠乏層を形成する。時効処理を、従来の還元性雰囲気下ではなく酸素その他のSiと結合しやすい化合物の存在下で行うと、図1に示されるSi欠乏層を伴ったSi濃化層が形成できる。図1のSi濃度プロファイルでは、表面から深さ方向へSi濃化層のピークに続きSi欠乏層の谷部が観察され、その後一定の銅合金組成のSi濃度となっている。
例えば、時効処理の周囲雰囲気の酸素濃度を5〜50ppmに調整して、合金表面でのSi酸化物層形成を促進すると、目的とするSi濃化層が生成する。上記酸素濃度は時効温度、時間、表面層除去の程度により適宜変更可能である。
上記時効処理で得られた母材銅合金表面のSi濃化層を、研磨、バフ研磨、酸洗等により除去する。
例えば、時効処理の周囲雰囲気の酸素濃度を5〜50ppmに調整して、合金表面でのSi酸化物層形成を促進すると、目的とするSi濃化層が生成する。上記酸素濃度は時効温度、時間、表面層除去の程度により適宜変更可能である。
上記時効処理で得られた母材銅合金表面のSi濃化層を、研磨、バフ研磨、酸洗等により除去する。
上記Si濃化層除去の後、めっき処理を行って本発明の合金すずめっき条を得る。めっき処理は、めっき浴の温度を20〜80℃、めっき時間を3〜120秒の範囲内で行う。めっき後には、2段階でリフロー処理を行う。1段目のリフロー処理は、Znをめっきと母材との界面に拡散させるためのもので、250℃で3〜10秒行う。2段目のリフロー処理は、所望のめっき被膜構造を得るためのもので、550℃で3〜10秒間行う。
上記処理により、本発明のめっき条が製造される。
上記処理により、本発明のめっき条が製造される。
(3)めっきの厚み
(3−1)Cu下地リフローSn
表面から母材にかけて、Sn相、Cu−Sn合金相、場合により残存するCu相の各層でめっき皮膜が構成される。母材上にCu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行い、リフロー処理を施すことにより、このめっき皮膜構造が得られる。Sn相及びCu−Sn相の厚みは電解式膜厚計により求められる。
リフロー処理後のSn相の厚みは0.1〜1.5μmとする。厚みが0.1μm未満となると高温環境下における半田濡れ性や接触抵抗の劣化が著しく促進され、1.5μmを超えると、加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
リフロー処理後のCu−Sn合金相の厚みは0.1〜1.5μmとする。Cu−Sn合金相は硬質なため、0.1μm以上の厚さで存在すると、挿入力の低減に寄与する。一方、Cu−Sn合金相の厚さが1.5μmを超えると、加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
電気めっきで形成したCuめっき相の厚みは0〜0.8μmであり、0.8μmを超えると、加熱された際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。好ましいCuめっき層の厚みは0.4μm以下であるが、リフロー処理時にCu−Sn合金相形成に消費され、その厚みがゼロになるのが更に好ましい。
(3−1)Cu下地リフローSn
表面から母材にかけて、Sn相、Cu−Sn合金相、場合により残存するCu相の各層でめっき皮膜が構成される。母材上にCu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行い、リフロー処理を施すことにより、このめっき皮膜構造が得られる。Sn相及びCu−Sn相の厚みは電解式膜厚計により求められる。
リフロー処理後のSn相の厚みは0.1〜1.5μmとする。厚みが0.1μm未満となると高温環境下における半田濡れ性や接触抵抗の劣化が著しく促進され、1.5μmを超えると、加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
リフロー処理後のCu−Sn合金相の厚みは0.1〜1.5μmとする。Cu−Sn合金相は硬質なため、0.1μm以上の厚さで存在すると、挿入力の低減に寄与する。一方、Cu−Sn合金相の厚さが1.5μmを超えると、加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
電気めっきで形成したCuめっき相の厚みは0〜0.8μmであり、0.8μmを超えると、加熱された際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。好ましいCuめっき層の厚みは0.4μm以下であるが、リフロー処理時にCu−Sn合金相形成に消費され、その厚みがゼロになるのが更に好ましい。
それぞれの電気めっき時に、Snめっき層厚みは0.5〜2.0μmの範囲、Cuめっき層厚みは0.1〜1.5μmの範囲で形成されるように適宜調整する。その後、適当な条件でリフロー処理を行うことにより、上記めっき構造が得られる。
(3−2)Cu/Ni下地リフローSnめっき
表面から母材にかけて、Sn相、Cu−Sn合金相、Ni相の各層でめっき皮膜が構成される。母材上にNi下地めっき、Cu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行い、リフロー処理を施すことにより、このめっき皮膜構造が得られる。リフロー処理により、めっき層間のCuとSnが反応してCu−Sn合金層が形成される。一方、Niめっき層は、ほぼ電気めっき上がりの状態(厚み)で残留する。Ni相の厚みは、断面からのSEM観察により求める。
リフロー処理後のSn相の厚み及びCu−Sn合金相の厚みは、上記Cu下地リフローSnと同様である。
リフロー処理後のNi相の厚みは0.1〜1.0μmとする。Ni相の厚みが0.1μm未満では、めっきの耐食性や耐熱性が低下する。一方、リフロー処理後のNi相の厚みが1.0μmを超えると加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
表面から母材にかけて、Sn相、Cu−Sn合金相、Ni相の各層でめっき皮膜が構成される。母材上にNi下地めっき、Cu下地めっき、Snめっきの順に電気めっきを行い、リフロー処理を施すことにより、このめっき皮膜構造が得られる。リフロー処理により、めっき層間のCuとSnが反応してCu−Sn合金層が形成される。一方、Niめっき層は、ほぼ電気めっき上がりの状態(厚み)で残留する。Ni相の厚みは、断面からのSEM観察により求める。
リフロー処理後のSn相の厚み及びCu−Sn合金相の厚みは、上記Cu下地リフローSnと同様である。
リフロー処理後のNi相の厚みは0.1〜1.0μmとする。Ni相の厚みが0.1μm未満では、めっきの耐食性や耐熱性が低下する。一方、リフロー処理後のNi相の厚みが1.0μmを超えると加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。
それぞれの電気めっき時に、Snめっき層厚みは0.5〜2.0μmの範囲、Cuめっき層厚みは0.1〜1.0μm、Niめっき層厚みは0.1〜0.8μmの範囲で形成されるように適宜調整する。その後、適当な条件でリフロー処理を行うことにより、上記めっき構造が得られる。
本発明で「耐熱剥離性に優れた」とは、加熱後に、曲げ半径0.5mmの90°曲げと曲げ戻しを行って、めっき剥離を生じないことをいう。
メス端子材として強度及び導電率に優れる、Cu−Ni−Si系合金をめっき母材として使用した実施例を下記に示す。
市販の電気銅をアノードとして、硝酸銅浴中で電解を行い、カソードに高純度銅を析出させた。この高純度銅中のP、As、Sb、Bi、Ca、Mg及びS濃度は、いずれも1質量ppm未満であった。以下、この高純度銅を下記インゴット製造材料に用いた。
高周波誘導炉を用い、内径60mm、深さ200mmの黒鉛るつぼ中で、2kgの高純度銅を溶解した。溶湯表面を木炭片で覆った後、所定量のNi、Si、Zn及びその他の添加元素を投入し、溶湯温度を1200℃に調整した。
その後、溶湯を金型に鋳込み、幅60mm、厚み30mmのインゴットを製造し、以下の工程で、Cu下地リフローSnめっき材およびCu/Ni下地リフローSnめっき材に加工した。
(工程1)950℃で3時間加熱した後、厚さ8mmまで熱間圧延する。
(工程2)熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去する。
(工程3)板厚0.3mmまで冷間圧延する。
(工程4)溶体化処理として800℃で1分加熱し、水中で急冷する。
(工程5)電気炉を真空度10-4Pa以下まで真空引きし、純度99.9998%の窒素ガスで置換する。この操作を2回以上繰り返す。その後、純度99.9999%の酸素ガスを注入し、所定の酸素濃度に制御する。時効処理として、この所定の酸素濃度に制御した雰囲気の電気炉中で460℃で6時間保持後、そのまま冷却する。
(工程6)板厚0.25mmまで冷間圧延する。
(工程7)窒素雰囲気の電気炉中に500℃で10秒保持した後、10vol%硫酸―1vol%過酸化水溶液中で、バフ研磨を行い、銅合金表面のSi濃化層を除去する。
市販の電気銅をアノードとして、硝酸銅浴中で電解を行い、カソードに高純度銅を析出させた。この高純度銅中のP、As、Sb、Bi、Ca、Mg及びS濃度は、いずれも1質量ppm未満であった。以下、この高純度銅を下記インゴット製造材料に用いた。
高周波誘導炉を用い、内径60mm、深さ200mmの黒鉛るつぼ中で、2kgの高純度銅を溶解した。溶湯表面を木炭片で覆った後、所定量のNi、Si、Zn及びその他の添加元素を投入し、溶湯温度を1200℃に調整した。
その後、溶湯を金型に鋳込み、幅60mm、厚み30mmのインゴットを製造し、以下の工程で、Cu下地リフローSnめっき材およびCu/Ni下地リフローSnめっき材に加工した。
(工程1)950℃で3時間加熱した後、厚さ8mmまで熱間圧延する。
(工程2)熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去する。
(工程3)板厚0.3mmまで冷間圧延する。
(工程4)溶体化処理として800℃で1分加熱し、水中で急冷する。
(工程5)電気炉を真空度10-4Pa以下まで真空引きし、純度99.9998%の窒素ガスで置換する。この操作を2回以上繰り返す。その後、純度99.9999%の酸素ガスを注入し、所定の酸素濃度に制御する。時効処理として、この所定の酸素濃度に制御した雰囲気の電気炉中で460℃で6時間保持後、そのまま冷却する。
(工程6)板厚0.25mmまで冷間圧延する。
(工程7)窒素雰囲気の電気炉中に500℃で10秒保持した後、10vol%硫酸―1vol%過酸化水溶液中で、バフ研磨を行い、銅合金表面のSi濃化層を除去する。
(工程8)次の条件でNi下地めっきを施す(Cu/Ni下地リフローSnめっきのみ)。
・めっき浴組成:硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸:30g/L。
・めっき浴温度:50℃。
・電流密度:5A/dm2。
(工程9)次の条件でCu下地めっきを施す。
・めっき浴組成:硫酸銅200g/L、硫酸60g/L。
めっき浴温度:25℃。
・電流密度:5A/dm2。
(工程10)次の条件でSnめっきを施す。
・めっき浴組成:酸化第1錫41g/L、フェノールスルホン酸268g/L、界面活性剤5g/L。
めっき浴温度:50℃。
・電流密度:9A/dm2。
(工程11)第1段リフロー処理として、窒素雰囲気、温度250℃に調整した加熱炉中に、10秒間保持する。
(工程12)第2段リフロー処理として、窒素雰囲気、温度550℃に調整した加熱炉中に、5秒間保持した後、水冷する。
なお、上述の工程11は発明例のみについて行い、比較例については行わなかった。
このように作製したサンプルにつき、次の評価を行った。
・めっき浴組成:硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸:30g/L。
・めっき浴温度:50℃。
・電流密度:5A/dm2。
(工程9)次の条件でCu下地めっきを施す。
・めっき浴組成:硫酸銅200g/L、硫酸60g/L。
めっき浴温度:25℃。
・電流密度:5A/dm2。
(工程10)次の条件でSnめっきを施す。
・めっき浴組成:酸化第1錫41g/L、フェノールスルホン酸268g/L、界面活性剤5g/L。
めっき浴温度:50℃。
・電流密度:9A/dm2。
(工程11)第1段リフロー処理として、窒素雰囲気、温度250℃に調整した加熱炉中に、10秒間保持する。
(工程12)第2段リフロー処理として、窒素雰囲気、温度550℃に調整した加熱炉中に、5秒間保持した後、水冷する。
なお、上述の工程11は発明例のみについて行い、比較例については行わなかった。
このように作製したサンプルにつき、次の評価を行った。
(a)母材の成分分析
機械研磨と化学エッチングによりめっき層を完全に除去した後、Cu以外の添加元素につき、ICP−発光分光法で測定した。
(b)酸洗研磨量
酸洗研磨を行う前後のサンプルの板厚をマイクロメータで測定し、酸洗研磨前後の板厚の差から酸洗研磨量を求めた。
(c)Si及びZn濃度プロファイル、及び、界面Si及びZn濃度
試料をアセトン中で超音波脱脂した後、表面からのGDS(グロー放電発光分光分析装置)分析により、Si及びZnの深さ方向の濃度プロファイルを求めた。測定条件は次の通りである。
装置:JOBIN YBON社製JY5000RF−PSS型
Current Method Program:CNBinteel−12aa−0
Mode:設定電力=40W
気圧:775Pa
電流値:40mA(700V)
フラッシュ時間:20s
予備加熱(Preburn)時間:2s
測定(分析)時間=30s、サンプリング時間=0.020s/point
機械研磨と化学エッチングによりめっき層を完全に除去した後、Cu以外の添加元素につき、ICP−発光分光法で測定した。
(b)酸洗研磨量
酸洗研磨を行う前後のサンプルの板厚をマイクロメータで測定し、酸洗研磨前後の板厚の差から酸洗研磨量を求めた。
(c)Si及びZn濃度プロファイル、及び、界面Si及びZn濃度
試料をアセトン中で超音波脱脂した後、表面からのGDS(グロー放電発光分光分析装置)分析により、Si及びZnの深さ方向の濃度プロファイルを求めた。測定条件は次の通りである。
装置:JOBIN YBON社製JY5000RF−PSS型
Current Method Program:CNBinteel−12aa−0
Mode:設定電力=40W
気圧:775Pa
電流値:40mA(700V)
フラッシュ時間:20s
予備加熱(Preburn)時間:2s
測定(分析)時間=30s、サンプリング時間=0.020s/point
濃度プロファイルデータより、母材とめっき相の界面のSi及びZn濃度を求めた。
GDSによる濃度プロファイルデータの代表的なものを図2〜5に示す。図2は、発明例1に係るCu下地Snめっき銅合金におけるSi及びZnの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図3は、発明例1に係るCu下地Snめっき銅合金におけるSn及びCuの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図4は、発明例8に係るCu/Ni下地Snめっき銅合金におけるSi及びZnの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図5は、発明例8に係るCu/Ni下地Snめっき銅合金におけるSn、Cu及びNiの深さ方向に対する濃度プロファイルである。
GDSによる濃度プロファイルデータの代表的なものを図2〜5に示す。図2は、発明例1に係るCu下地Snめっき銅合金におけるSi及びZnの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図3は、発明例1に係るCu下地Snめっき銅合金におけるSn及びCuの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図4は、発明例8に係るCu/Ni下地Snめっき銅合金におけるSi及びZnの深さ方向に対する濃度プロファイルである。図5は、発明例8に係るCu/Ni下地Snめっき銅合金におけるSn、Cu及びNiの深さ方向に対する濃度プロファイルである。
図3に示す発明例1に係る銅合金は、Cu下地でCuめっき層が残存していないものであるため、上述の定義により、「Cuの濃度プロファイルにおいて、Cu濃度が、母材のCu濃度とCu6Sn5のCu濃度(39.1wt%)との中間になる位置」が界面となる。これに従い、めっき相と銅合金の界面は深さ1.4μmに存在することが決定された。一方、図2は同一試料の深さ方向に対するSi及びZnの濃度プロファイルである。上記決定された深さ1.4μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.4〜1.9μm)の範囲におけるSi濃度の最大値は0.29mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のSi濃度は当該銅合金の93%であり、銅合金組成のSi濃度の100%未満となった。
また、上記決定された深さ1.4μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.4〜1.9μm)の範囲におけるZn濃度の最大値は0.36mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のZn濃度は当該銅合金の100%であった。
また、上記決定された深さ1.4μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.4〜1.9μm)の範囲におけるZn濃度の最大値は0.36mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のZn濃度は当該銅合金の100%であった。
図5に示す発明例8に係る銅合金は、深さ1.3〜1.8μmの範囲でNiの濃度ピークが検出され、このピーク濃度と銅合金のNi濃度との中間は47%となり、そのときの深さは1.65μmであった。即ち、めっき相と銅合金の界面は深さ1.65μmに存在することが決定された。一方、図4は同一試料の深さ方向に対するSi及びZnの濃度プロファイルである。上記決定された深さ1.65μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.65〜2.15μm)の範囲におけるSi濃度の最大値は0.32mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のSi濃度は当該銅合金の92%であり、銅合金組成のSi濃度の100%未満となった。
また、上記決定された深さ1.5μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.65〜2.15μm)の範囲におけるZn濃度の最大値は0.52mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のZn濃度は当該銅合金の95%であった。
また、上記決定された深さ1.5μmの界面から0.5μmの深さ迄の間(即ち表面から深さ1.65〜2.15μm)の範囲におけるZn濃度の最大値は0.52mass%となる。従って、当該銅合金とめっき相との界面のZn濃度は当該銅合金の95%であった。
(d)耐熱剥離性
幅10mmの短冊試験片を採取し、150℃の温度で、大気中2000時間(Cu下地に係る発明例及び比較例)又は3000時間(Cu/Ni下地に係る発明例及び比較例)まで加熱した。その間、50時間毎にサンプルを加熱炉から取り出し、曲げ半径0.5mmの90°曲げと曲げ戻しを行った。そして、曲げ内周部表面を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、めっき剥離の有無を調べた。
上記試験条件及び試験結果を表1に示す。
幅10mmの短冊試験片を採取し、150℃の温度で、大気中2000時間(Cu下地に係る発明例及び比較例)又は3000時間(Cu/Ni下地に係る発明例及び比較例)まで加熱した。その間、50時間毎にサンプルを加熱炉から取り出し、曲げ半径0.5mmの90°曲げと曲げ戻しを行った。そして、曲げ内周部表面を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、めっき剥離の有無を調べた。
上記試験条件及び試験結果を表1に示す。
発明例1〜14の母材とめっき相との界面のSi濃度割合は、めっき直後も150℃で2000h又は3000h加熱の耐熱試験後も、母材のそれの100%未満であり、さらに、母材とめっき相との界面のZn濃度割合は90%以上であり、Cu下地、Cu/Ni下地にかかわらず、150℃で2000h又は3000h加熱してもめっき剥離は発生しなかった。
比較例1〜9及び13〜21は、母材とめっき相との界面のSi濃度割合は、めっき直後も150℃で2000h又は3000h加熱の耐熱試験後も、母材のそれの100%未満であったが、第1段リフロー処理を行っておらず、前記界面におけるZn濃度割合が90%未満であり、めっき剥離が発生した。
比較例10〜12及び22〜24は、めっき直後も150℃で2000h又は3000h加熱の耐熱試験後も、母材のそれの100%以上であり、さらに第1段リフロー処理を行っておらず、前記界面におけるZn濃度割合が90%未満であり、めっき剥離が発生した。また、そのめっき剥離時間は比較例1〜9及び13〜21よりも短かった。
比較例1〜9及び13〜21は、母材とめっき相との界面のSi濃度割合は、めっき直後も150℃で2000h又は3000h加熱の耐熱試験後も、母材のそれの100%未満であったが、第1段リフロー処理を行っておらず、前記界面におけるZn濃度割合が90%未満であり、めっき剥離が発生した。
比較例10〜12及び22〜24は、めっき直後も150℃で2000h又は3000h加熱の耐熱試験後も、母材のそれの100%以上であり、さらに第1段リフロー処理を行っておらず、前記界面におけるZn濃度割合が90%未満であり、めっき剥離が発生した。また、そのめっき剥離時間は比較例1〜9及び13〜21よりも短かった。
Claims (3)
- 1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%に対し1/6〜1/4のSiを含有し、さらにZnと必要に応じてSn、Mg、Co、Ag、Cr及びMnの群から選ばれた少なくとも一種とを合計で2.0質量%以下含有し、残部が銅および不可避的不純物から構成される銅合金すずめっき条であり、銅合金とその直上のめっき相との界面に、Si濃度が銅合金組成のSi濃度の100%未満であるSi欠乏層を有し、該Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の90%以上であることを特徴とするCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
- 前記Si欠乏層のSi濃度が銅合金組成のSi濃度の95%以下であることを特徴とする請求項1に記載のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
- 前記Si欠乏層におけるZn濃度が銅合金組成のZn濃度の95%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のCu−Ni−Si系合金すずめっき条。
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